説明

金属含有材料を還元生成物に還元するための方法および装置

本発明は、金属含有材料を還元生成物に還元するための方法に関する。本発明は、金属含有材料を還元生成物に還元するための装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属含有材料を還元生成物に還元するための方法に関する。本発明は、金属含有材料を還元生成物に還元するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
金属含有材料、例えば金属-酸素化合物、金属酸化物、例えば酸化鉄、の還元は大規模還元炉中で行われている。鉄-酸素化合物の還元には、高炉が、一世紀以上、銑鉄を金属含有材料、例えば鉄-酸素化合物、または鉄鉱石から製造するための働き者になっている。これらの高炉における主要な還元体および化学的エネルギーの供給源はコークスである。
【0003】
コークスは、石炭を酸素の非存在下で焼成し、揮発性炭化水素を除去し、安定した高炉操作に不可欠な特性をコークスに与える。コークス製造には、揮発性炭化水素の多くが危険であるために、環境的な観点から問題がある。また、石炭の全ての種類がコークス製造に適している訳ではない。その上、コークス製造の副生成物に対する需要が低下している。従って、高炉のコークス消費および全体的な燃料消費を低減させることが、最近の開発における大きな目的になっている。高炉中への石炭直接投入は、これらの開発の一つである。高炉を回避する新しい技術、例えば鉄鉱石の直接還元、も開発されている。
【0004】
直接還元では、鉄鉱石を、固体還元剤または気体状還元剤でよい還元剤で、鉄の融点より低い温度で還元することにより、鉄を製造する。固体還元剤は、コークスの代わりに、あらゆるサイズの石炭でよい。気体状還元剤の例は、天然ガス、水素および一酸化炭素(CO)である。
【0005】
鉄鉱石の直接還元は、固体の直接還元された鉄、または溶融装置との組合せで、液体生成物の形態にある最終還元生成物を製造することができる。直接還元製法の最終還元生成物は、第二反応器中に排出し、融解および所望によりさらに精製するか、または冷却し、後で使用するために貯蔵することができる。
【0006】
現在、統合された製鋼所から出る粉塵およびスラッジは、鉱石調製段階における原料として循環使用される。これらの、「微粉」と呼ばれることが多い廃棄物は、鉄含有化合物、例えば酸化鉄、を含むことがある。しかし、これらの微粉中にある金属、例えば亜鉛または亜鉛化合物、の含有量、そのような元素の蓄積、およびこれらの金属の、高炉中に装填する量の制限のために、これらの廃棄物は、別の方法で循環使用するか、または廃棄しなければならないことが多く、コスト増加または環境に対する負荷を引き起こす。
【0007】
WO 2005/116273からは、固体炭素質材料、例えば石炭、および酸素含有ガスを第一容器中の流動床に供給して発熱させ、石炭を炭に転化し、その炭を部分的に酸化することにより形成されたCOを含む高温オフ-ガスを排出する方法に基づく、鉄鉱石の還元が公知である。次いで、CO、炭および不可避な残留固体粒子(例えば灰)を第二容器に送り、そこで金属含有材料を少なくとも部分的に還元する。少なくとも部分的に還元された鉄鉱石微粉を含む固体還元生成物は、必要に応じて、例えば第二還元段階用の流動床中でさらに処理し、より高度の還元を達成する。少なくとも900℃の高い処理温度の結果、鉄鉱石微粉は、成長物(accretions)および凝集物を形成する傾向がある。この粘着挙動は、第一容器中で過剰量の炭を形成することにより、抑制される。もう一つの欠点は、大量の複雑で危険な炭化水素の発生である。これらの炭化水素の凝縮は回避しなければならず、さらには、オフ-ガスの除去または後燃焼が必要であり、一方、金属の再酸化を阻止しなければならない。また、操作温度が高く、その結果、熱損失が高いので、直接還元製法のエネルギー効率は一般的に低く、炭素消費率が高い。操作温度が高いために、非常に大量の有害窒素-酸素化合物(NOxガス)、または還元性雰囲気中で、アンモニア型化合物が形成される。さらに、石炭の直接使用による直接還元技術は、石炭中に硫黄が存在するために、高レベルの硫黄も処理しなければならない。
【0008】
米国特許第3,788,835号は、鉄鉱石の還元方法を開示しているが、そこでは、還元の主要部分を気体状還元体、例えばメタン、で行い、メタンが高温で水素および一酸化炭素に解離する。気体状還元体による鉄鉱石の還元は、約85〜90%の金属化が達成されるまで行われる。金属化の大部分が達成される区域では、鉱石が還元される間、炭素が鉱石の上に堆積する。金属化の程度が約85〜90%に達した後、続いて堆積した炭素が、別の不活性段階で全ての残留する酸化物と相互作用し、金属化が0.5〜2.5%増加する。
【0009】
ヨーロッパ特許第1568793号は、還元反応で金属-酸素化合物を還元する方法を開示しているが、そこでは金属-酸素化合物の還元に炭素を使用し、金属が還元反応のための触媒として作用する。ヨーロッパ特許第1568793号は、固体反応物用の搬送手段として押出機型スクリューが関与する方法を行う反応器の種類を開示している。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、還元体として固体の炭素を使用して金属含有材料を直接還元する方法および装置を提供することである。
【0011】
比較的低い温度で操作し、エネルギー効率を向上させる、および/または発生する危険なオフ-ガス、例えば炭化水素および/またはNOxガス、の量を下げることができる、金属-酸素化合物を還元する方法および装置を提供することも、本発明の目的である。
【0012】
還元された金属の単位重量あたりの炭素効率を増加させることができる、金属-酸素化合物を還元する方法および装置を提供することも、本発明の目的である。
【0013】
これらの目的の一つ以上を達成するために、金属含有材料を還元生成物に還元する方法であって、
酸素含有ガス流を使用して炭素含有化合物をガス化することにより、気体状COを含んでなる気相を形成する工程、
流動床反応器の反応チャンバー中に金属含有材料を供給する工程、
該流動床反応器の該反応チャンバー中に該気体状COを供給し、該気体状COを固体炭素および気体状二酸化炭素に転化し、該固体炭素を、該金属含有材料上に、および/または該還元生成物上に析出させる工程、
該固体炭素により、該金属含有材料を該還元生成物に少なくとも部分的に還元し、それにより該金属含有材料および/または該還元生成物を該気体状COの固体炭素および気体状二酸化炭素への転化の助触媒として使用する工程、
最終還元生成物を該反応チャンバーから排出する工程
を含んでなり、該最終還元生成物が、最終段階反応器中で、該固体炭素と該還元生成物の不完全還元された部分との間の実質的な固体−固体反応により、より高い金属化度にさらに還元される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】流動床反応器の基本的な配置を示す。
【図2】本発明の方法を実行するための完全な装置の基本的な配置を示す。
【図3】本発明の方法を実行するための、少なくとも2基の循環流動床反応器および1基の最終段階反応器を含んでなる、完全な装置の基本的な配置を示す。
【図4】ZnをZn含有金属含有材料から循環させるための循環装置を含んでなる、図2の装置の基本的な配置を示す。
【図5】図2の別の実施態様をそれぞれ示す。
【図6】図3の別の実施態様をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
固体炭素は、Boudouard炭素と呼ばれ、典型的には表面-対-体積比が非常に高いグラファイトの結晶構造を有する。分かり易くするために、本明細書では、他の形態の炭素質化合物、例えば石炭または炭、は、これらの固体化合物の炭素含有量が非常に高くても、固体炭素とは見なさない。COは、実質的に純粋なCOでよいが、COを含んでなる気体状混合物の一部でもよい。固体炭素は、Boudouard反応による一酸化炭素の解離により発生する。
2CO → C + CO
【0016】
この反応は、平衡反応であり、右条件下、例えば温度および圧力、では、炭素が形成されるように右側にシフトする。その上、金属含有材料または還元生成物も、Boudouard反応により固体炭素の形成を促進することが分かった。本発明では、還元生成物は、還元度が限定された生成物ではなく、金属含有材料の、還元度がゼロである還元状態と、所望の還元度を有する最終還元生成物との間の、いずれかの還元状態を表現するのに使用することを強調しておく。これは、本発明による方法の際に、還元度が異なった還元生成物が共存することを意味する。従って、最終還元生成物の還元度は、最終還元生成物を構成する還元生成物の、様々な画分の平均還元度である。金属含有出発材料として鉄鉱石(本発明を制限しない例として)を還元する場合の、還元生成物の金属化程度は、炭化鉄および金属鉄中の鉄原子の数と、還元生成物中の鉄原子の総数の比として定義される。金属鉄と炭化鉄の比は、反応チャンバー中のプロセス条件によって異なる。
【0017】
金属含有材料の還元には、準安定性炭化物の存在が関与していると考えられる。固体炭素またはBoudouard炭素は、金属含有材料と反応して準安定性炭化物を生じ、この炭化物が、最終的に金属含有材料の金属および二酸化炭素に崩壊することができる。従って、本発明では、固体炭素は、Boudouard炭素および準安定性金属炭化物を包含する。このプロセスは、下記の反応により図式的に示され、簡素化される。
MeO+2CO→MeC+CO
MeC→Me+C
【0018】
反応チャンバー中の適切な条件の選択に関する限り、当業者は、これらの適切な条件を選択することができると考えられる。少量の水素は、Boudouard反応によるCOから固体炭素および二酸化炭素の形成を促進することが知られている。従って、純粋なCOを使用する場合、少量の水素をCOに加えることができる。本発明では、金属-酸素化合物の、典型的には50%を超える、好ましくは70%を超える、より好ましくは80%を超える、さらに好ましくは90%を超える酸素が、最終段階反応器における最終還元の後、堆積した固体炭素に結合している。COを含んでなる気体状混合物が、例えば石炭のガス化により、製造される場合、その気体状混合物は、水素も含んでなることができる。
【0019】
好ましくは、水素の量は、ガス化装置中の酸素含有ガス流として工業的純度の酸素を使用する場合、40体積%未満、好ましくは30体積%未満であり、ガス化装置中の酸素含有ガス流として空気を使用する場合、好ましくは8体積%未満、より好ましくは6体積%未満である。水素は、選択される操作条件のために、金属-酸素化合物の還元で重大な役割を果たさない。
【0020】
好ましくは、ガス化、還元および最終還元の全プロセスは、超大気圧で行う。本発明者らは、少なくとも3 bar(g)、好ましくは約5 bar(g)の過圧が望ましいことを見出した。プロセス全体にわたる圧力損失のため、FBにおける5 bar(g)の過圧を確保するために、ガス化装置は、圧力8 bar(g)で操作するとよい。これによって、より小さな反応容器を使用することができ、容器中のプロセスに有益な影響を及ぼすことができる。ガス化および還元のみを超大気圧で操作し、最終還元を遙かに低い圧力、好ましくは大気圧未満で操作することも可能であるが、これによって、最終段階の反応器が著しく大きくなり、資本および操作コストが高くなる。
【0021】
本発明の方法では、反応チャンバー中で気体状COから形成される炭素が、反応チャンバー中に気体状形態で供給され、反応チャンバー中でBoudouard反応により固体炭素に転化されることに注意すべきである。従って、本発明は、固体炭素が酸化炭素として気体状態を通過し、反応チャンバー中で、所望により金属含有材料の金属の炭化物の形態を通り、好ましくは金属含有材料または金属含有材料の還元により形成された還元生成物上に、またはBoudouard反応によりすでに析出した炭素上に、析出しない限り、固体形態の炭素を反応チャンバーに加えないことを特徴とすることができる。反応開始の際、還元生成物は全く存在しないことに注意する。還元生成物は、金属含有材料が幾らか還元された後にのみ、存在する。予備還元された還元生成物を加え、プロセスのより急速な開始を刺激することもできる。
【0022】
一酸化炭素からの固体炭素形成は、反応チャンバー中条件下での発熱反応である。この発熱反応により放出されるエネルギーは、反応チャンバーにおける金属含有材料の、還元生成物を製造するための還元反応に使用するのが有利である。
【0023】
流動床を使用することが不可欠であるが、これは、粒子の表面積-対-体積比が高いので、得られる熱および物質移動係数が高いためである。本発明の方法では、反応物が、非常に近くに集められ、非常に反応性が高く、反応物の一つ、即ち固体炭素、の形成が発熱性であるので、流動床中の条件は、金属含有材料粒子の反応に最適である。金属含有材料が特定の形態を有し、流動化し得る必要があることは明らかである。金属含有材料の、収容できる最大粒子径は、流動床の設計および操作パラメータによって異なる。
【0024】
本発明の方法には、金属含有材料の還元に必要な固体炭素が、その場で、非常に反応性の高い形態で、発熱反応により形成されるという利点がある。これによって、反応性があまり高くない、または反応を妨害する性質さえある材料を含む固体炭素、あるいは反応に全く寄与しない材料、例えば灰、が反応チャンバー中に導入されることが阻止される。妨害する性質は、還元生成物の、例えば硫黄による汚染に、金属含有材料の固体炭素による還元反応の妨害に、もしくは固体炭素の形成の妨害になって現れる。金属含有材料は、流動床の反応チャンバーに供給され、固体炭素は、反応チャンバー中で気体状一酸化炭素から、好ましくは金属含有材料または還元生成物上に直接析出するので、成長物や凝集物が形成される危険性が無い。
【0025】
本発明の一実施態様では、流動床反応器の反応チャンバーから排出された後の最終還元生成物は、還元度が少なくとも50%である。この数は、最終段階反応器中の還元に良好な出発点を与える。
【0026】
一実施態様では、最終段階反応器における還元が、非不活性雰囲気中で行われる。非不活性雰囲気は、最終還元生成物が、最終段階反応器中で、プロセスの最後における所望の程度の還元または金属化にさらに還元されるのに適切な反応条件を造り出すのに重要である。一実施態様では、気体状COを含んでなる高温ガス流が最終段階反応器中に供給される。例えばガス化装置、または循環使用されるプロセスガスから生じる、気体状COを含んでなる高温ガス流の導入は、最終段階反応器中に適切な反応条件をもたらすことが見出された。一実施態様では、CO/COおよび/または酸素含有ガスを最終段階反応器中に供給し、その際、好ましくはCO/CO含有ガスは新しい合成ガスおよび/または循環使用されるプロセスガスである、および/または酸素含有ガスは空気または工業用純度の酸素である。最終段階反応器には、最後のCFBから来る還元生成物を、新しい合成ガスまたはCOを含んでなる循環使用されるプロセスガスおよび工業用純度の酸素または最終段階反応器中に注入された空気と共に供給する。最終段階反応器における反応は吸熱的であり、好ましくは最終段階反応器中の底部注入による酸素注入の結果として放出される熱により、プロセスの最後に所望の還元または金属化程度に到達させる条件が得られる。
【0027】
本発明の一実施態様では、流動床は、急速流動化または空気圧搬送もしくは円環形流動床型の流動床である。これらの型の流動床反応器により、急速流動化される床が形成され、ガス化のための高い反応速度および固体が反応を完了するのに十分な滞留時間が得られる。
【0028】
本発明の一実施態様では、本方法を連続製法として行い、その際、金属含有材料および気体状COを連続的に、またはバッチ様式で流動床反応器の反応チャンバーに供給し、還元生成物を連続的に製造し、最終還元生成物を連続的に、またはバッチ様式で、該反応チャンバーから排出することができる。この実施態様では、固体炭素形成の発熱性格を最適に利用することができ、プロセスを最も経済的に実行することができる。反応器の、還元生成物の単位時間あたりの単位質量に関する容量は、最適なプロセス効率、従ってプロセス経済性に到達できるパラメータである。反応チャンバーから排出される最終還元生成物は、固体形態にあり、無論、原料として反応チャンバーに供給された金属含有材料の還元度より高い還元度を有する。最終還元生成物は、後に続く工程で、さらに高い還元度に還元すべき金属含有材料として使用できることに注意すべきである。この場合、還元度は、最初の還元工程前の金属含有材料の、一般的には0と仮定される還元度に対して決定する必要がある。還元生成物の50%の還元度は、金属含有材料の酸素の50%が金属含有材料から除去されていることを示す。50%の金属化は、金属含有材料中に本来存在する金属原子の50%が金属形態にある、および/または金属炭化物として存在することを意味する。他の50%は、依然として、多かれ少なかれ酸化された状態にある。分かり易くするために、50%の還元度は、(例えば)全てのMeOがMeOに還元されている場合、金属化程度が尚0であることを意味する。本発明の利点は、金属含有出発材料が、還元度が0%である場合に十分に発揮されるが、例えば予備的な還元操作のために、金属含有出発材料の還元度がすでに高い場合には、出発還元度は0より高い場合があることに注意すべきである。鉄鉱石の場合、100%Feは、還元度が0%になろう。好ましくは、金属含有材料のこの出発還元度は25%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは0%である。
【0029】
好ましい実施態様では、流動床反応器の反応チャンバーから排出された後の最終還元生成物は、還元度が少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%である。最適還元度は、完全還元に近い、即ち少なくとも還元度が90または95%、あるいはさらに高く、実質的に完全な還元、または完全な金属化が、流動床反応器で技術的には達成できるであろうが、ほとんどの経済的製法では、そうはなりそうもない。その上、還元された粒子が粘着する傾向は、金属化程度の増加と共に増大する。最終還元生成物の還元度は幾分低く、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%を目標とし、最終段階反応器で行われるプロセス工程で少なくとも90または95%の、実質的に完全な還元度に向けて最終工程を行うのが好ましいことが分かった。
【0030】
本発明の好ましい実施態様では、金属含有材料は、鉄化合物、好ましくは鉄鉱石である。本発明者らは、気体状COから固体炭素を形成するための有利な温度範囲、および鉄化合物、好ましくは、鉄鉱石、を金属鉄に還元するための有利な温度範囲が、少なくとも部分的に一致するので、鉄化合物、好ましくは鉄鉱石、を金属含有材料として使用することにより、本発明の方法を有利に実行できることを見出した。これによって、還元または金属化程度が高い最終還元生成物、もしくは実質的に金属の鉄、を製造するための非常に経済的な方法が得られる。
【0031】
本発明の一実施態様では、反応チャンバー中の最高温度は、特に金属含有材料として鉄化合物を使用する場合、875℃、好ましくは845℃、より好ましくは825℃、さらに好ましくは800℃または790℃である。反応チャンバー中のこれらの低い温度でも、固体炭素により金属含有材料を還元し、還元生成物を製造することができることが分かった。固体炭素形成の発熱反応は、反応を大幅に持続することができ、低い温度には、高いプロセス温度によるエネルギー損失が抑えられ、有害な窒素-酸素化合物(NOxガス)の形成が阻止されるという有益な効果がある。低い操作温度のもう一つの利点は、金属中の様々な元素の溶解度が温度と共に下がり、それによって、純度がより高い金属が得られる。反応チャンバー中の400℃未満の温度では、還元がほとんど観察されないことが分かった。約450℃以上で、例えば500℃で、還元速度は大きく増加する。反応チャンバーに好適な最低温度は640℃、好ましくは690℃であることが分かった。しかし、500℃未満の温度では重大な還元が観察されないが、金属含有材料または金属含有材料の還元により形成された還元生成物の存在が、Boudouard反応による、気体状COからの固体炭素の、所望により金属含有材料の金属の炭化物の形態を通して、またはすでに析出している炭素上への析出を促進するので、400〜500℃の温度でも炭素析出は非常に容易に起こる。Boudouard反応の平衡は、高温では左(CO側)に向かってシフトし、このシフトは、600℃を超えると顕著になる。これらの温度以上では、炭素は、すでに固体炭素が存在する場合にのみ、析出することが分かった。
【0032】
本発明の一実施態様では、気体状COを固体炭素および気体状二酸化炭素に転化するための助触媒は、金属含有材料の還元の助触媒としても作用する。助触媒は、触媒作用により、または別の反応機構により、気体状一酸化炭素からの固体炭素の形成および/または金属含有材料の還元を、より急速に、より完全に、またはより低い温度で(またはそれらの組合せ)引き起こす機能を有する。
【0033】
本発明の方法は、金属含有材料がニッケル化合物、好ましくは、ニッケル鉱石、コバルト化合物、好ましくはコバルト鉱石、またはそれらの混合物であるプロセスに好適であり、金属コバルト、ニッケルまたはそれらの合金を製造するための経済的な方法が得られることが分かる。
【0034】
本発明の一実施態様では、金属含有材料、より詳しくは鉄化合物または鉄鉱石、を、化合物または鉱石の粒子径が0.1〜5000μmである、細かい化合物または鉱石の形態で用意する。好適な最大粒子径は、200μm、好ましくは100μmである。好ましくは、粒子径は少なくとも5μm、好ましくはせいぜい50μm、より好ましくは5〜50μmである。これらの種類の鉱石を使用することは、細かい鉱石が、塊状の鉄より一般的に安価であり、これらの細かい鉱石は流動床で処理するのに好適であるために、経済的な観点から、特に魅力的である。
【0035】
フェライト形態にある鉄中の各種元素、例えば炭素、の溶解度は、温度と共に大きく減少し、炭素に関しては720℃で約0.02%であるので、鉄の形態にある最終還元生成物中に含まれる、好ましくない場合がある元素は非常に少ない。
【0036】
本発明の一実施態様では、金属含有材料は、ニッケル化合物、例えばニッケル鉱石、コバルト化合物、例えばコバルト鉱石、鉄化合物、例えば鉄鉱石、を含んでなる化合物群の少なくとも2種類の化合物の混合物である。そのような化合物の混合物を使用することにより、金属含有材料の完全な還元の後に得られる(最終)還元生成物は、それぞれの金属の混合物であり、従って、合金を製造するための経済的で簡単な方法が得られる。
【0037】
本発明の一実施態様では、固体炭素が金属含有材料の上および/または還元生成物の上にナノチューブの形態で析出する。本発明者らは、驚くべきことに、気体状COから形成される固体炭素は、カーボンナノチューブの形態を有することを見出した。反応チャンバーを適切に設計し、プロセスパラメータを適切に選択することにより、本発明の方法は、金属含有材料粒子を還元することによる還元生成物として金属を製造する代わりに、気体状COから固体炭素を形成することを持続し、炭素形成のための基体および/または助触媒として金属含有材料および/または還元生成物を使用することにより、カーボンナノチューブの形態にある固体炭素を製造することにも使用できる。次いで、この基体は、プロセス中で再使用し、ナノチューブは、様々な目的に使用できる。
【0038】
本発明の一実施態様では、流動床反応器の反応チャンバー中に供給される気体状COは、酸素含有ガス流を使用し、炭素含有化合物をガス化することにより製造されるが、その際、該ガス流は高温ガス流である。好ましくは、酸素含有ガス流は、工業用純度の、例えば酸素含有量が少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の酸素である。空気よりも酸素を使用することの利点は、反応器をより小さく製造することができ、空気は80%の不活性な窒素を含み、この窒素を加熱し、冷却する必要があるので、プロセスのエネルギー効率がより高くなることである。別のガス化工程を使用することにより、炭素含有化合物中に存在するか、または炭素含有化合物をガス化することにより形成される好ましくない成分、例えば揮発性炭化水素または硫黄化合物、を、反応チャンバーに供給される気体状COから除去することができる。ガス化工程は、標準的なガス化装置で行うこともできるが、噴流(entrained flow)ガス化装置を使用するのが好ましく、これは、噴流ガス化装置の操作温度が灰の融解温度よりも十分に高いので、灰の大部分がスラグとして除去されるためである。これは、ガス化装置をどのように操作するか、ガス化装置を離れるガス中にどれだけの量の気体状COが実際にあるかによって異なることは明らかである。合成ガスは、例えば様々な濃度のCO、CO、H、HOおよびNを含んでなる場合がある。ガス化装置から出るオフ-ガス中の気体状COの量は、石炭をガス化するためにガス化装置に供給されるガスの性質によっても異なる。純粋な酸素を使用する場合、オフ-ガス中COレベルは、空気を使用した場合よりも高い。好ましくは、ガス化装置のオフ-ガス中の気体状COの量は、少なくとも10%(体積%)である。ガス化装置のオフ-ガス中の平衡CO/COは、少なくとも2、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10である。CO/Hは、少なくとも1、好ましくは3を超えるべきである。炭素含有化合物は、コークス、石炭、炭、油、重合体、天然ガス、紙、バイオマス、タールサンドまたは強く汚染された炭素含有エネルギー供給源でよい。これが、本発明の方法が、廃棄物または不経済的な炭素供給源の効率的な利用に貢献できる道である。ガス化装置のオフ-ガスの温度は、非常に高い、例えば1300〜1600℃または約1500℃であることに注意すべきである。金属含有出発材料の還元用に流動床反応器中に導入するのに好適であるためには、ガス化装置のオフ-ガスは冷却しなければならない。ガス化装置のオフ-ガスは、好ましくはより低温の循環プロセスガスまたは冷却した新しい合成ガスと混合することにより、または熱交換装置中で冷却する。得られる気相は、温度が約800℃であり、FBに送られ、そこで気相は還元工程に入る。循環されるプロセスガスは、FB中で金属含有出発材料と相互作用した後、FBから出た後、浄化され、CO洗浄されている気相であるので、気相の組成は、循環されるガスと混合される結果、変化していることがある。
【0039】
本発明の一実施態様では、反応チャンバーからオフ-ガスが排出され、その際、残留する気体状COおよび/またはCOの少なくとも一部はオフ-ガスから分離され、該残留する気体状COおよび/またはCOはガス化装置反応チャンバー中に再導入される。COは、ガス化装置中で炭素含有化合物の炭素と反応させることにより、逆Boudouard反応によりCOを供給ための供給源として使用することができる。これは、例えば分離装置、例えばスクラッバー、を使用して、COをオフ-ガスから分離する必要があることを意味する。循環されるCOは、直接、またはガス化装置もしくは熱交換装置を通した後、流動床の反応チャンバー中に再導入することができる。
【0040】
オフ-ガス中の炭素を循環使用する代わりに、オフ-ガスを燃焼させることにより、オフ-ガス中に尚存在する化学物質および/または熱エネルギーを循環使用すること、および/または熱エネルギーを、例えばガス化装置に入る酸素含有量ガスを再加熱するために使用することも可能であるが、これは、例えば、反応チャンバーから出る高温オフ-ガスを熱交換装置を通して供給し、ガス化装置に入る前に酸素含有量ガス流を再加熱することにより行う。
【0041】
好ましい実施態様では、固体炭素による金属含有材料の還元を、循環流動床(CFB)反応器中で行い、該反応器は、立上がり管部分(riser part)および戻り脚(return leg)を含んでなり、金属含有材料および気体状COをCFBの立上がり管部分中に供給し、気体状COを含んでなるガス流が金属含有材料を、CFBの立上がり管部分を通して実質的に上方向に移動させ、その際、気体状COの、固体炭素および気体状二酸化炭素への転化が、金属含有材料および気体状COが実質的に上方向に移動する際に、少なくとも部分的に行われる。
【0042】
CFBを使用することにより、反応物は反応チャンバーを通って循環し、反応チャンバーは、CFBの立上がり管部分および戻り脚を含んでなり、気体状COの、固体炭素および気体状二酸化炭素への転化は、金属含有材料および気体状COが実質的に上方向に移動する際に、少なくとも部分的に行われ、金属含有材料の還元は、立上がり管部分中に再導入される前の、戻り脚における、多かれ少なかれよどみ段階で起こると考えられる。従って、本発明の一実施態様では、金属含有材料および金属含有材料の還元から得られる還元生成物および固体炭素は、CFBの戻り脚中に排出され、金属含有材料および還元生成物および固体炭素が、CFBの戻り脚を通って実質的に下方向に移動し、その際、固体炭素による金属含有材料および還元生成物の還元は、CFBの戻り脚中で少なくとも部分的に、好ましくは実質的に行われる。固体炭素による金属含有材料の還元は固体-固体反応であるので、その反応速度は、気体状COから固体炭素が形成される気体-固体反応の反応速度より低い。立上がり管部分および戻り脚における滞留時間の差は、これらの異なった反応速度を説明する。
【0043】
金属含有粒子のCFBにおける滞留時間は、還元または金属化の所望の程度に応じて、数多くの循環がなされるように選択する。CFBは、分離手段、例えばサイクロン、を備え、固体粒子、例えば金属含有材料、金属含有材料の還元から生じる還元生成物、および固体炭素を、気体状COおよび気体状二酸化炭素を含んでなる上方向に移動するガス流から分離する。この分離は、好ましくはCFBの立上がり管部分の上側部分で、好ましくは一基以上のサイクロンにより行う。
【0044】
本発明の方法は、バッチ製法で行い、還元生成物が所望の還元または金属化程度に達した時、反応チャンバーから最終還元生成物として排出することができる。この最終還元生成物は、それに続く処理工程に供給し、さらに還元または金属化を行うことができる。
【0045】
本発明の一実施態様では、金属含有材料の還元は、複数の流動床反応器(即ち2基以上)で行い、先行する流動床反応器(i)の最終還元生成物を排出し、それに続く(i+1)流動床反応器に送り、より高い還元または金属化程度にさらに還元する。(i+1)番目の流動床反応器における温度は、i番目の流動床反応器におけるよりも高いのが好ましい。この実施態様では、プロセス条件およびFB設計を最適化し、最終還元生成物のそれぞれの還元または金属化程度を達成することができる。先行する流動床反応器を固体炭素製造に最適化し、それに続く反応器を、金属含有材料の所望の還元または金属化程度を達成するように最適化する様式で設計することもできる。
【0046】
好ましい実施態様では、後に続く流動床から排出される気相を、先行する流動床反応器中に排出し、さらに処理する。これによって、気相に対して向流プロセスが達成され、ガス中に存在する熱および気相中のCOガスを最も経済的に使用することができる。従って、CO濃度が最も高い気相は、還元または金属化の程度が最も高い還元生成物を含む流動床反応器に導入される。従って、この実施態様は、ある流動床反応器中では気相および金属含有粒子が向流にはなく、同じ方向に流れるが、全体的には気相および金属含有粒子の向流を特徴とする。
【0047】
本発明の一実施態様では、最終還元生成物を、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の、さらに高い還元または金属化程度に、最終還元生成物への最終段階反応器で、残留固体炭素と還元生成物の不完全還元部分との間の実質的に固体-固体反応により、さらに還元するが、その際、最終段階反応器は、好ましくはロータリーキルン、ロータリーハース炉または流動床反応器である。後に続く4、好ましくは3基の流動床、好ましくはCFB、が関与するプロセスが、出発還元度が25%未満、好ましくは15%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは0%である金属含有出発材料を、経済的な様式で、最終段階反応器における直接還元された金属、例えばDRI、への最終還元を達成するのに好適な、還元または金属化程度および堆積固体炭素の量に還元するのに十分であることが分かった。
【0048】
この実施態様では、金属含有材料は、それぞれの金属にほとんど完全に還元される。最終段階反応器における最終還元を、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%のさらに高い還元または金属化程度に行うのが有益であることが分かった。理想的には、金属化程度は、さらに高い、即ち99%を超える、または99.5%を超える。ロータリーキルン、ロータリーハース炉または別の流動床反応器でさらに還元するのが有利であることが立証されている。還元生成物を溶融操作にかけることにより、より高い金属化程度を達成することができる。
【0049】
本発明の方法により得られる最終還元生成物は、本方法の直接的な結果として大きな表面積を有する。鉄-酸素化合物または鉄鉱石を金属含有材料として使用する場合、中間および/または最終還元生成物は、金属鉄または強度に還元された鉄-酸素化合物を含んでなる。本発明の方法では、汚染物が非常に少ない、比表面積が非常に大きい鉄が得られる。このため、この還元生成物は、水素製造用のスポンジ鉄製法(SIP)に極めて好適である。スポンジ鉄製法は、水素製造用の良く知られている技術である。この方法は、鉄または還元された酸化鉄を蒸気で再酸化させ、磁鉄鉱および水素を形成する工程を含んでなる。製造される水素は高純度等級を有し、燃料電池貴金属触媒の必要条件に合致する。従って、この製法は、高および低温燃料電池に使用する水素の製造および精製に非常に重要である。無論、この水素は、他の目的にも使用できる。
【0050】
鉄の形態にある、または強く還元された鉄-酸素化合物の形態にある、本発明の方法により与えられる非常に大きな比表面積を有する最終還元生成物は、車両の燃料として使用され、その際、還元生成物は、蒸気により酸化されて水素を形成し、その水素が、例えば燃料電池の電力を与えるのに使用され、車両を推進するか、またはエンジンもしくは装置を駆動する。本発明の方法により製造される、鉄または強く還元された鉄-酸素化合物の形態にある最終還元生成物を使用して製造することができる水素は、例えば天然ガスから製造される水素より経済的であり、生成する二酸化炭素も少ない。
【0051】
最終還元生成物は、分離処理にかけ、金属部分を非金属部分、例えば脈石またはスラグ、から分離することができる。この分離処理は、重力処理、粒子径処理または磁気処理のような技術を含んでなることができる。
【0052】
最終還元生成物は、生成物を圧縮された生成物に圧縮することにより、好ましくはブリケット加工により、またはロール加工された製品にロール加工することにより、さらに処理することができる。このブリケット加工された、またはロール加工された製品は、溶融操作に使用することができる。ロール加工された製品は、その後のロール加工操作に原料として使用するか、または、ロール加工された製品が直接用途に望ましい特性を有していれば、直接用途に使用することもできる。
【0053】
本発明の第二の態様により、本発明の方法により金属含有材料を還元生成物に還元するための装置であって、
少なくとも一基の、反応チャンバーを含んでなる流動床反応器と、
酸素含有ガス流を使用して炭素含有化合物をガス化することにより、気体状COを含んでなる気相を製造するための、該酸素含有ガスを供給するための入口、該炭素含有化合物を供給するための入口、該気体状COを含んでなる気相用の出口、および所望によりスラグのような固体廃棄物用の出口を備えたガス化装置と、
該金属含有材料を導入するための、反応チャンバーへの第一入口と、
該反応チャンバー中に該気体状COを導入するための第二入口と、
該反応チャンバー中で該金属含有材料および該気体状COを含んでなる流動床を発生する手段と、
該反応チャンバー中で、該気体状COを固体炭素および気体状二酸化炭素に転化させ、該固体炭素を、該金属含有材料上および/または該還元生成物上に析出させ、該固体炭素により該金属含有材料を還元し、還元生成物を製造するのに好適な温度を得るための手段と、
該流動床の構成成分の少なくとも一部を分離手段に向け、該還元生成物を該流動床から分離するための手段、および所望により該流動床からのオフ-ガスを循環手段に向けるための手段と、
該ガス流から分離された該還元生成物の少なくとも一部を該反応チャンバーに戻すための戻し部分、および残留する該還元生成物を該反応チャンバーから最終還元生成物として排出するための出口と
を備えてなる、装置を提供する。
【0054】
流動床反応器は、粒子の高い表面積-対-体積比により、熱および物質移動係数が高いので、固体炭素が析出できる場所として金属含有材料を機能させるための、非常に効率的な装置を提供する。反応物は、非常に近いところに集合し、非常に反応性が高く、反応物の一方、即ち固体炭素、の形成が発熱性であるので、流動床中の条件は、金属含有材料粒子の還元に最適である。金属含有材料粒子が、流動を可能にするために特定のサイズを有する必要があることは明らかである。収容できる最大粒子径は、流動床の設計および操作パラメータによって異なる。さらに、固体炭素は、流動床中の反応チャンバー中で気体状一酸化炭素から、好ましくは金属含有材料または少なくとも部分的に還元された金属含有材料上に直接析出するので、成長物および凝集物を形成する危険性は無い。酸素含有ガスを供給するための入口、および炭素含有化合物をガス化装置中に供給するための入口は、一つの入口に組み合わせることができる。
【0055】
好ましい実施態様では、流動床反応器は、循環流動床(CFB)であり、
金属含有材料および気体状COを含んでなる該流動床の実質的に上向きの移動を行う立上がり管部分と、
該流動床の構成成分を、該立上がり管部分の最上部分に達した時に、分離手段に向け、該還元生成物を該流動床から分離する手段および該気相を該流動床から循環手段に向ける手段および還元生成物を戻り脚に向ける手段と、
該還元生成物の実質的に下向きの運動を行う戻り脚と、
オフ-ガスを、さらなる処理を行うために該流動床から排出する手段と、
該還元生成物の少なくとも一部を該戻り脚から反応チャンバーに戻すための、残留する該還元生成物を最終還元生成物として該反応チャンバーから排出する手段も含んでなる、手段と
を備えてなる。
【0056】
CFBにおける金属含有粒子の滞留時間は、還元生成物の所望の金属化程度に応じて、多数の循環が行われるような滞留時間である。CFBは、分離手段、例えば一基以上のサイクロン、を備え、固体部分、例えば金属含有材料、還元生成物、および固体炭素、を、上向きに移動する、気体状COおよび気体状二酸化炭素を含んでなるガス流から分離する。この分離は、好ましくはCFBの立上がり管部分の上部近くで、好ましくは一基以上のサイクロンにより行われる。
【0057】
本発明の一実施態様では、還元生成物の少なくとも一部を戻り脚から反応チャンバーに戻す手段が、ループシールまたはループシールバルブである。ループシールの利点は、還元プロセスの部分を反応チャンバー中に選択的に与えるのに使用できることである。複数のループシールを使用することにより、還元生成物の一部を最終還元生成物として排出させることもできる。
【0058】
一実施態様では、本発明の装置が、複数の接続された流動床反応器を含んでなり、その際、最終還元生成物を先行する流動床から、後に続く流動床反応器の反応チャンバーに輸送し、より高い還元度にさらに還元させる手段を備えている。本明細書では、複数とは、2以上を意味する。従って、2、3、4またはそれ以上の接続された流動床反応器を使用することができる。後に続く流動床から排出される気相を、さらに処理するために、先行する流動床反応器に供給し、それによって、全体的な向流ガス流を造り出す手段も備えることができる。一実施態様では、後に続く流動床反応器を、先行する流動床反応器よりも高い温度で操作する手段を備え、好ましくは、後に続く全ての反応器を、先行する流動床反応器よりも高い温度で操作する。
【0059】
一実施態様では、残留する気体状COおよび/またはCOの少なくとも一部をオフ-ガスから分離し、例えば流動床反応器の反応チャンバー中に、あるいは流動床反応器の一基以上の反応チャンバー中に、またはガス化装置中に、もしくは熱交換装置中にに再導入し、オフ-ガス中に尚存在する熱的または化学的エネルギーの少なくとも一部を回収するための循環手段を備え、例えば燃焼可能な成分を燃焼させ、その熱を使用して装置に入る気相を予備加熱するか、またはCOおよび/またはCOをガス化装置に再導入し、炭素供給源として使用することができる。
【0060】
一実施態様では、本装置は、最終還元生成物を、さらに高い還元または金属化程度に、固体炭素と還元生成物の不完全還元部分との間の実質的に固体-固体反応により、還元するための最終段階反応器を備え、その際、最終段階反応器は、好ましくはロータリーキルン、ロータリーハース炉または流動床反応器である。固体炭素は、好ましくは固体炭素が還元生成物と共に形成された流動床反応器から、最終段階反応器中に送られるが、流動床から送られた固体炭素の量が、最終段階反応器から離れた後の最終還元生成物の所望の還元または金属化程度を達成するには不十分である場合には、固体炭素は、還元生成物を最終段階反応器中に導入する前に、還元生成物に加えることもできる。一実施態様では、本発明の装置は、最終還元生成物の金属部分を残りの部分から、例えば重力、磁気または粒子径手段により分離する手段を含んでなる。
【0061】
好ましい実施態様では、本発明の方法を実行するための装置は、好ましくは噴流型のガス化装置、3基の連続したCFB反応器、および回転キルン型またはFB型、好ましくは発泡FB型の最終段階反応器を含んでなる。この実施態様を鉄鉱石の還元に関して説明するが、この説明は、他の金属含有材料の還元にも等しく有効であり、プロセスパラメータの僅かな変更を必要とするだけである。ガス化装置には、工業用純度の酸素および石炭粉末を供給する。噴流ガス化装置では、乾燥した粉末化された石炭が、向流で工業用酸素でガス化される。ガス化反応は、細かい粒子の濃密な雲の中で行う。高い温度および圧力により、より高い処理量が達成され、タールおよび揮発性炭化水素、例えばメタン、が、ガス化装置のオフ-ガス中に存在しない。噴流ガス化装置は、操作温度が灰の溶融温度より優に高いので、灰の大部分をスラグとして除去する。少量の灰が非常に細かい乾燥フライアッシュとして形成され、気体状COと共に最後のCFBに向けて運ばれる。COを含んでなるガス化装置オフ-ガスの、ガス化装置の出口における温度は、非常に高く、約1300〜1600℃、好ましくは約1400〜1500℃である。所望により、低温のCO含有ガスを、ガス化装置中の温度を制御するための調整剤として供給することができる。従来使用されている蒸気は、CO/H比に悪影響を及ぼすので、調整剤としては好ましくない。ガス化装置オフ-ガスは、好ましくは循環される低温のプロセスガスまたは冷却した合成ガスと混合することにより、または熱交換装置中で冷却する。得られる冷却されたガス化装置オフ-ガスは、温度が約800℃であり、最後のCFBに供給され、そこでガス化装置オフ-ガス(合成ガス)は還元プロセスに入る。最後のCFB中に導入する前に、ガス化装置オフ-ガスを、例えばカルシウム処理により、処理してCaSを形成し、ガスから硫黄を除去しておくことができる。
【0062】
鉄化合物または鉄鉱石は、好ましくは粒子径が5〜200μmの細かい化合物または鉱石の形態で供給する。この材料は、CFBに、ガス化装置オフ-ガスに対して向流で供給し、従って、第一CFBで装置に入る。この第一CFBにおける温度は、最も低く、化合物または鉱石の上に固体を堆積させるために最適化する。第一CFBにおける温度は、350〜600℃、好ましくは400〜500℃に制御し、固体炭素(即ちBoudouard炭素および/または鉄炭化物)を形成する。鉄鉱石の還元、特に赤鉄鋼から磁鉄鉱への還元、は、これらの低い温度ですでに開始され、鉄-炭化物(FeC)が形成され始める。鉄化合物、および/またはその還元生成物は、これらの低い温度における固体炭素の形成に触媒として作用する。CFBの戻り脚中の条件は、下記の反応が可能になるような条件である。
FeO+FeC→(1+x)Fe+CO
【0063】
最後のCFB(これは、向流の原理から、固相に対しては最初のCFBであり、気相に対しては最後のCFBである)から離れる時、還元生成物は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%の所望の還元度に達している、および/または最終段階反応器におけるDRIへの最終還元を少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の還元または金属化程度に行うのに十分な固体炭素が含まれている。従って、プロセスパラメータを、最後のCFBを離れる時に鉄鉱石が50%の所望の還元度には達していないが、その代わりに、DRIへの最終還元を少なくとも90%の該還元または金属化程度に行うのに十分な固体炭素を含んでいるように、選択することができる。この場合、CFB反応器は、鉄鉱石を還元するためにではなく、鉄鉱石を還元するのに必要な固体炭素を製造するのに使用され、鉄鉱石の還元は最終段階反応器で行われる。
【0064】
最終段階反応器には、最後のCFBから来る還元生成物を、COおよび工業用純度の酸素または最終段階反応器に注入される空気を含んでなる新しい合成ガスまたは循環使用されるプロセスガスと共に供給する。最終段階反応器における反応は、吸熱性であり、好ましくは最終段階反応器での底部注入による、酸素注入の結果として放出される熱が、上記の最終還元を可能にする条件を支援する。最終段階反応器が流動床であるので、局所的なホットスポットの発生が阻止され、反応器中の細かい粒子の凝固によりプロセスが詰まる危険性が最少に抑えられる。詰まる危険性は、必要であれば、米国特許第3,615,352号に記載されているように、流動床に添加剤を添加することにより、さらに低下する。最終段階反応器中の温度は、好ましくは680〜850℃、例えば約750℃±20°である。最終段階反応器における還元反応の大部分は、全くの固体-固体反応であり、気体-固体反応ではない。存在するガスは、鉄およびその酸化物に関するCO-CO-T安定性ダイアグラムを操作することにより、固体-固体反応を可能にする条件を造り易くするだけである。本発明者らは、最終段階反応器に入る気相の後燃焼比が、最終還元の際にCOが発生する結果として最終段階反応器から出る気相の後燃焼比
【数1】

と実質的に同じであることを見出した。実施態様は3基のCFBで説明しているが、2、4、5基またはそれ以上のCFBの使用も可能であることに注意する。本発明者らは、3または4基のCFBを使用することにより、金属含有出発材料上に炭素を堆積させるための低温CFB、炭素をさらに堆積させるための中温CFB、および還元を完了させ、金属含有出発材料の、所望の還元または金属化程度を達成し、最終段階反応器中に導入するための良好な還元生成物を与える堆積固体炭素量を得る、最終的な「高」温CFBの良好な組合せが得られることを見出した。
【0065】
最終段階反応器から出る最終還元生成物は、脈石、スラグ、CaSまたは他の好ましくない物質も含んでなることができ、これらの物質は気相から磁気分離操作で除去することができる。
【0066】
プロセスの最終的な、プロセスには最早導入できないオフ-ガスは、尚幾らかの化学物質または熱的エネルギーを保持しており、このエネルギーは、例えばそれを燃焼させることにより、および/または熱を使用して、利用することができる。
【0067】
一実施態様では、本装置は、Znおよび/またはPbおよび/またはCdを、Znおよび/またはPbおよび/またはCd含有金属含有材料から循環させるための循環装置を含んでなり、この装置は、Zn-、Pb-Cd-含有化合物の、固体炭素による、金属Zn、Pbおよび/またはCdへの還元を行い、Zn、Pbおよび/またはCdを蒸発させ、気体状Zn、Pbおよび/またはCdを製造する手段を含んでなる。
【0068】
一実施態様では、本装置は、
気体状Zn、Pbおよび/またはCdを液体および/または固体状Zn、Pbおよび/またはCdに凝縮および/または凝固させるための手段、または
気体状Zn、Pbおよび/またはCdを、亜鉛-酸素化合物、鉛-酸素化合物および/またはカドミウム-酸素化合物に酸化する手段
を備えてなる。
【0069】
この実施態様により、例えば鋼工業から出る鉄含有量が高い廃棄物の処理を行うことができる。これらの材料、例えば鋼工業から出る鉄含有量が高い粉塵、は、本発明の方法および装置における金属含有材料として使用することができる。鉄-酸素化合物の他に、これらの材料は、亜鉛-酸素化合物、鉛-酸素化合物またはカドミウム-酸素化合物も含んでなる。これらの化合物は、金属含有材料から、鉄-酸素化合物を鉄化合物に還元することにより、循環使用される。Zn、PbまたはCdも、本プロセスの中で還元し、気体状態にする。亜鉛-酸素化合物、鉛-酸素化合物またはカドミウム-酸素化合物の還元は、固体炭素により、または気体状COまたはHによる直接還元により行う。その後、Zn、CdまたはPb金属を気体状態から凝縮させるか、または酸化し、塩-酸素化合物、鉛-酸素化合物および/またはカドミウム-酸素化合物として集めることができる。好ましい実施態様では、本装置は、脱亜鉛装置を含んでなり、この脱亜鉛装置は、金属含有材料または還元生成物もしくは最終還元生成物を加熱し、Zn-含有化合物を金属Znに還元し、Znを蒸発させ、気体状Znを製造するか、またはZnを酸化し、亜鉛-酸素化合物、例えばZnOまたはZn(OH)を製造するための加熱手段を含んでなる。この実施態様は、Zn含有量が高すぎて、例えば従来の鉄および鋼製造には使用できない、Zn含有量が高い廃棄物を処理するのに有利である。本方法は、Zn、Cdおよび/またはPbを粉鉱から抽出し、粉鉱を従来の高炉が関与する製鉄経路で使用することにも使用できる。
【0070】
一実施態様では、本装置は、気体状Znを液体および/または固体Znに凝縮および/または凝固させる凝縮手段を含んでなる。
【0071】
ここで本発明を下記の、本発明を制限しない図面を使用してさらに説明する。
【0072】
図1において、この例における流動床反応器1は、循環流動床であり、金属含有材料2、および気体状COを含んでなるガス流3を供給する。金属含有材料2および気体状COを含んでなるガス流が、循環流動床1の立上がり管部分を通って上向きに移動した後、材料は、ガスおよび固体粒子を分離する手段5に送られる。オフ-ガスは、手段5から上向きの矢印で示すように、手段5から離れる。
【0073】
気体状COから形成された固体炭素および金属含有材料を含んでなる固体部分は、反応し、金属含有材料を還元生成物に還元する。還元生成物は、戻り脚を通って手段7、例えばループシール、に下降し、還元生成物の少なくとも一部を、1回以上の追加サイクルを行うために、循環流動床の反応チャンバーに戻す。あるいは、還元生成物の少なくとも一部は、手段7から右向きの矢印で示すように、最終還元生成物として排出することができる。
【0074】
図2で、手段7から排出できる還元生成物の一部は、手段4に供給される。この手段4は、最終段階反応器、例えばロータリーキルン、ロータリーハース炉または流動床反応器、でよい。あるいは、手段4は、部分1、5、6および7を含んでなる一回以上の追加サイクルでよく、その際、6は、循環流動床反応器の戻り脚を図式的に示し、1は立上がり管部分であり、5は分離手段、例えばサイクロン、である。この状況を図3に図式的に示す。手段4は、一基以上の循環流動床反応器および一基の最終段階反応器を表すことができる。図2および3で、ガス流は、点線または破線矢印(「g」)で図式的に示し、非ガス流は、実線矢印(「s」)で示す。手段5により分離された気体状生成物は、ガス浄化装置11に送り、排出するか、またはガス浄化装置11から、ガスを再使用する、および/または予備加熱する目的で、ガス供給源12、例えばガス化装置、に送ることができる。図2で、気体状COを含んでなるガスは、ガス供給源12で、例えば石炭をガス化することにより、製造され、気体状COをを含んでなる高温ガス流8が、手段4を通して、一般的または全体的に向流で、金属含有材料および/または還元生成物に供給される。これをガス流3により示す。循環流動床の立上がり管部分の中で、金属含有材料および/または中間的還元生成物の流れは、立上がり管部分中の太い矢印1および1aにより示すように、ガス流と共存している。
【0075】
図4では、図2の装置が、Znおよび/またはPbおよび/またはCdを、Znおよび/またはPbおよび/またはCd含有金属含有材料から循環させる装置と組み合わされている。Znおよび/またはPbおよび/またはCd含有金属含有材料を尚含んでいる最終還元生成物9は、気体状COを含んでなる高温ガス流8と共に、手段13に運ばれ、この高温ガス流8は、亜鉛-酸素化合物または鉛-酸素化合物またはカドミウム-酸素化合物を金属の鉛、亜鉛またはカドミウムに還元するのに使用される。次いで、この金属の鉛、亜鉛またはカドミウムは、気体状態に変換され、手段15に送られる。手段15で、これらの金属を、気体状態から凝縮させる、または酸化し、亜鉛-酸素化合物、鉛-酸素化合物および/またはカドミウム-酸素化合物として集めることができる。
【0076】
図5で、図2の実施態様に代わる実施態様を示すが、そこでは、ガス化装置から来る合成ガスが、約800℃に冷却された後、CFBに導入される。合成ガスは、手段5で固体粒子から分離され、循環されるガスはガス浄化装置11で浄化される。ガス浄化装置の後、循環されたプロセスガスは、最終段階反応器4またはガス化装置12に送られる。循環されたガスは、ガス化装置に直接送るか、またはガス化装置で製造された新しい合成ガスを約800℃に冷却するのに使用できる。手段4は、図2に関して示したのと同じ別の意味を有することができる。図5に示す別のガス流も、図3(図6参照)および図4の実施態様に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属含有材料を還元生成物に還元する方法であって、
酸素含有ガス流を使用して炭素含有化合物をガス化することにより、気体状COを含んでなる気相を供給する工程、
流動床反応器の反応チャンバー中に金属含有材料を供給する工程、
前記流動床反応器の前記反応チャンバー中に前記気体状COを供給し、前記気体状COを固体炭素および気体状二酸化炭素に転化し、前記固体炭素を前記金属含有材料上および/または前記還元生成物上に析出させる工程、
前記固体炭素により、前記金属含有材料を前記還元生成物に少なくとも部分的に還元し、それにより前記金属含有材料および/または前記還元生成物を前記気体状COの固体炭素および気体状二酸化炭素への転化の助触媒として使用する工程、
最終還元生成物を前記反応チャンバーから排出する工程
を含んでなり、前記最終還元生成物が、最終段階反応器中で、前記固体炭素と前記還元生成物の不完全還元された部分との間の実質的な固体−固体反応により、より高い還元度または金属化度にさらに還元される、方法。
【請求項2】
前記流動床反応器の前記反応チャンバーから排出された後、前記最終還元生成物の還元度が少なくとも50%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終段階反応器における前記還元が、非不活性雰囲気中で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
気体状COを含んでなる高温ガス流が前記最終段階反応器中に供給される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
CO/COおよび/または酸素含有ガスが前記最終段階反応器中に供され、好ましくは前記CO/CO含有ガスが新しい合成ガスおよび/または循環使用されるプロセスガスである、および/または前記酸素含有ガスが空気または工業用純度の酸素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法を連続製法として行い、その際、前記金属含有材料および気体状COを連続的に、またはバッチ様式で前記流動床反応器の反応チャンバーに供給し、前記還元生成物を連続的に製造し、前記最終還元生成物を連続的に、またはバッチ様式で、前記反応チャンバーから排出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記最終還元生成物の還元度が少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応チャンバー中の最高温度が875℃、好ましくは845℃、より好ましくは825℃、さらに好ましくは800℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記気体状COを固体炭素および気体状二酸化炭素に転化するための助触媒が、前記金属含有材料の還元の助触媒としても作用する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属含有材料が鉄化合物、好ましくは鉄鉱石である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記鉄鉱石が、細かい鉱石の形態で供され、その際、前記鉱石の粒子径が、好ましくは0.1〜5000μm、より好ましくは5〜50μmである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記金属含有材料が、ニッケル化合物、好ましくはニッケル鉱石、コバルト化合物、好ましくはコバルト鉱石、またはそれらの混合物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属含有材料が、ニッケル鉱石のようなニッケル化合物、コバルト鉱石のようなコバルト化合物、鉄鉱石のような鉄化合物、を含んでなる化合物群の、少なくとも2種類の化合物の混合物である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記気体状COが、酸素含有ガス流を使用して炭素含有化合物をガス化することにより製造され、その際、好ましくは前記ガス流が高温ガス流である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応チャンバーからオフ-ガスが排出され、その際、残留する気体状COおよび/またはCOの少なくとも一部が前記オフ-ガスから分離され、前記残留する気体状COおよび/またはCO2が前記ガス化装置反応チャンバー中に再導入される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応チャンバーからオフ-ガスが排出され、その際、前記残留する気体状COおよび/またはCOの少なくとも一部が前記オフ-ガスから分離され、前記ガス化装置に入る前に、前記ガス流を予備加熱する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記固体炭素による前記金属含有材料の還元を循環流動床(CFB)反応器中で行い、前記反応器が、立上がり管部分および戻り脚を含んでなり、前記金属含有材料および前記気体状COを前記CFBの前記立上がり管部分中に供給し、前記気体状COを含んでなるガス流が前記金属含有材料を、前記CFBの前記立上がり管部分を通して実質的に上方向に移動させ、その際、前記気体状COの、固体炭素および気体状二酸化炭素への転化が、前記金属含有材料および前記気体状COが実質的に上方向に移動する際に、少なくとも部分的に行われる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属含有材料および前記金属含有材料の前記還元から得られる前記還元生成物および前記固体炭素が、前記CFBの前記戻り脚中に排出され、前記金属含有材料および前記還元生成物および前記固体炭素が、前記CFBの前記戻り脚を通って実質的に下方向に移動し、その際、前記固体炭素による前記金属含有材料および前記還元生成物の前記還元が、前記CFBの前記戻り脚中で少なくとも部分的に、好ましくは実質的に行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
所望の還元度に達している還元された金属含有材料が、前記反応チャンバーから最終還元生成物として排出される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記金属含有材料の前記還元が、複数の流動床反応器で行われ、先行する流動床反応器の最終還元生成物が排出され、それに続く流動床反応器に送られ、より高い還元度にさらに還元される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
後に続く流動床から排出される気相が、先行する流動床反応器中に排出され、さらに処理される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記流動床が、急速流動化または空気圧搬送型である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記最終還元生成物が、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の金属化度に、最終段階反応器で、前記固体炭素と前記還元生成物の不完全還元部分との間の実質的に固体-固体反応により、さらに還元され、その際、前記最終段階反応器が、好ましくはロータリーキルン、ロータリーハース炉または流動床反応器である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記最終還元生成物を処理し、金属部分を脈石またはスラグのような非金属部分から分離する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記最終還元生成物を、前記生成物を圧縮された製品に圧縮することにより、好ましくはブリケット加工により又はロール加工された製品にロール加工することにより、さらに処理する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記金属含有材料が鉄-酸素化合物および亜鉛-酸素化合物を含んでなり、前記方法が、前記鉄-酸素化合物を請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法により還元することを含み、前記亜鉛-酸素化合物を、前記気体状COから生じる固体炭素により亜鉛に還元し、前記亜鉛を蒸発させ、続いて、所望により気体状態から亜鉛を凝縮させることを含むか、または亜鉛を再酸化し、亜鉛-酸素化合物として集めることを含む亜鉛回収工程を行うことを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法により金属含有材料を還元生成物に還元するための装置であって、
少なくとも一基の、反応チャンバーを備えた流動床反応器と、
酸素含有ガス流を使用して炭素含有化合物をガス化することにより、気体状COを含んでなる気相を製造するための、前記酸素含有ガスを供給するための入口、前記炭素含有化合物を供給するための入口、前記気体状COを含んでなる気相用の出口、および所望によりスラグのような固体廃棄物用の出口を備えたガス化装置と、
前記金属含有材料を導入するための、反応チャンバーへの第一入口と、
前記反応チャンバー中に前記気体状COを導入するための第二入口と、
前記反応チャンバー中で前記金属含有材料および前記気体状COを含んでなる流動床を発生する手段と、
前記反応チャンバー中で、前記気体状COを固体炭素および気体状二酸化炭素に転化させ、前記固体炭素を、前記金属含有材料上および/または前記還元生成物上に析出させ、前記固体炭素により前記金属含有材料を還元し、還元生成物を製造するのに好適な温度を得るための手段と、
前記流動床の構成成分の少なくとも一部を分離手段に向け、前記還元生成物を前記流動床から分離するための手段、および所望により前記流動床からのオフ-ガスを循環手段に向けるための手段と、
前記ガス流から分離された前記還元生成物の少なくとも一部を前記反応チャンバーに戻すための戻し部分、および残留する前記還元生成物を前記反応チャンバーから最終還元生成物として排出するための出口と、
所望により、前記還元生成物をより高い還元度に、前記固体炭素と前記還元生成物の実質的に固体-固体反応により、さらに還元するための、好ましくはロータリーキルン、ロータリーハース炉または流動床反応器である、最終段階反応器と
を備えてなる、装置。
【請求項28】
前記流動床反応器が、循環流動床であり、
前記金属含有材料および前記気体状COを含んでなる前記流動床の実質的に上向きの移動を行う立上がり管部分と、
前記流動床の構成成分を、前記立上がり管部分の最上部分に達した時に、分離手段に向け、前記還元生成物を前記流動床から分離する手段および前記気相を前記流動床から循環手段に向ける手段および前記還元生成物を戻り脚に向ける手段と、
前記還元生成物の実質的に下向きの運動を行う戻り脚と、
オフ-ガスを、さらなる処理を行うために前記流動床から排出する手段と、
前記還元生成物の少なくとも一部を前記戻り脚から前記反応チャンバーに戻すための、前記最終還元生成物を前記反応チャンバーから排出するための出口も含んでなる、手段と
を備えてなる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記還元生成物の少なくとも一部を前記戻り脚から前記反応チャンバーに戻す前記手段が、ループシールである、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
複数の接続された流動床反応器を備えてなり、前記最終還元生成物を先行する流動床から、後に続く流動床反応器の反応チャンバーに輸送し、前記最終還元生成物をより高い還元度にさらに還元させる手段を備えている、および/または後に続く流動床から排出される気相を、先行する流動床反応器に供給する手段を備えている、請求項27〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
後に続く流動床反応器を、先行する流動床反応器よりも高い温度で操作する手段を備え、好ましくは、後に続く任意の反応器を、先行する流動床反応器よりも高い温度で操作する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記装置が、気体状COを供給するためのガス化装置、好ましくは噴流型のガス化装置、還元生成物を供給するための複数の、好ましくは3基の接続された、反応チャンバーをそれぞれ含んでなる循環流動床、前記還元生成物をさらに還元するための発泡流動床型の最終段階反応器を備え、前記ガス化装置、前記循環流動床および前記最終段階反応器の間に連続的な連結があり、好ましくは少なくとも2、好ましくは少なくとも4 barの過圧が前記装置中に存在する、請求項1〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
Znおよび/またはPbおよび/またはCdを、Znおよび/またはPbおよび/またはCd含有金属含有材料から循環させるための循環装置を備えてなり、前記装置が、Zn-、Pbおよび/またはCd-含有化合物の、前記固体炭素による、金属Zn、Pbおよび/またはCdへの還元を行い、Zn、Pbおよび/またはCdを蒸発させ、気体状Zn、Pbおよび/またはCdを製造する加熱手段を備えてなる、請求項1〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
気体状Zn、Pbおよび/またはCdを液体および/または固体状Zn、Pbおよび/またはCdに凝縮および/または凝固させるための凝固手段、または
気体状Zn、Pbおよび/またはCdを、亜鉛-酸素化合物、鉛-酸素化合物および/またはカドミウム-酸素化合物に酸化する手段
を備えている、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
請求項6〜26のいずれか一項に記載の方法により製造された前記還元生成物の、水素を製造するためのスポンジ鉄製法における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−544846(P2009−544846A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521144(P2009−521144)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006376
【国際公開番号】WO2008/009433
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(505008419)コラス、テクノロジー、ベスローテン、フェンノートシャップ (15)
【氏名又は名称原語表記】CORUS TECHNOLOGY BV
【Fターム(参考)】