説明

金属微粒子含有黒色分散物、着色組成物、感光性転写材料、遮光画像付き基板、カラーフィルター、及び液晶表示装置

【課題】薄層で光学濃度が高く、黒色安定性に優れた金属微粒子含有黒色分散物、着色組成物を提供する。
【解決手段】可視分光波長400nm〜700nmの範囲において、分光吸収スペクトルの極小値におけるモル吸光係数が1800L/mol・cm以上であることを特徴とする金属微粒子含有黒色分散物、及び該金属微粒子含有黒色分散物を含む着色組成物である。前記金属微粒子の可視分光波長400nm〜700nmの範囲における、分光吸収スペクトルの極大値/極小値におけるモル吸光係数の比が1.0〜3.0の範囲であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属微粒子含有黒色分散物、この黒色分散物を含む着色組成物、この着色組成物を用いて得られる感光性転写材料、遮光画像付き基板、カラーフィルター、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から黒色材料用着色組成物は、印刷インク、インクジェットインク、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマデイスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム、ブラックマトリックス等の遮光画像等に広く用いられている。前記遮光画像は、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色部、さらにTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等、いわゆるブラックマトリックス(以下、「BM」という場合がある。)の他に、各種遮光画像を含むものである。
BMは、一般に表示コントラストを向上させるために用いられ、さらに、薄膜トランジスター(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示装置の場合には光による電流リークによる画質低下を防止するためにも用いられており、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)が求められている。
【0003】
一方、近年、液晶表示装置がテレビジョン(以下、「TV」という場合がある。)へ応用されるようになってきている。TV用途では、透過率が低く且つ高い色純度を有するカラーフィルターが用いられており、また、高輝度を得るためにバックライトの輝度が高くなる傾向にある。このため、コントラストの低下や周辺額縁部分の透けを防止するために、BMには高い遮光性が要求されている。
【0004】
また、家庭用や設置用等に用いられるTVは、太陽光が入射する部屋に長期間設置されることが多く、太陽光に対するTFTの劣化が懸念されている。更に、TV用途では、(1)ODが高く画像の引締まり感がでること、即ち、コントラストが高いこと、および(2)外光での液晶の白さが目立たなくなること、が要求されるため、係る観点でもBMには高い遮光性が要求されている。
【0005】
BMとしては、例えば、クロム等の金属膜を遮光層として有するものが挙げられる。クロム等の金属膜を遮光層とするBMの形成方法としては、例えば、金属薄膜を蒸着法やスパッタリング法により作製して、該金属薄膜の上にフォトレジストを塗布し、次いでBM用パターンをもつフォトマスクを用いてフォトレジスト層を露光現像し、その後露出した金属薄膜をエッチングし、最後に金属薄膜上のレジスト層を剥離することによってBMを形成する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
このフォトレジストを用いたBMの製造方法は、金属薄膜を用いるため、膜厚が小さくても高い遮光効果が得られるという利点がある。しかし、蒸着法やスパッタリング法という真空成膜工程やエッチング工程が必要となり、コストが高くなるという問題がある。また、遮光層が金属膜であるため、反射率が高く、強い外光の下では表示コントラストが低いという問題もある。
これに対し、前記金属薄膜として、低反射クロム膜(金属クロムと酸化クロムとの2層からなるもの等)を用いるといった手段があるが、更なるコストアップとなることは否めない。また、エッチング工程では金属イオンを含有した廃液が排出されるため、環境負荷が大きいという大きな欠点も有している。特に、上述の方法に最もよく用いられるクロムは、有害で環境負荷が非常に大きく、昨今はEUのELV指令、RoHS指令に代表されるように環境負荷低減への社会的な関心が高まっており、クロムを代替した材料の提案が行われている。
【0007】
他のBM形成方法としては、遮光性顔料、例えばカーボンブラックを含有する感光性樹脂組成物を用いる方法も知られている。該方法としては、例えば、透明基板にR、G、B画素を形成した後、この画素の上にカーボンブラック含有感光性樹脂組成物を塗布し、透明基板のR、G、B画素非形成面側から全面に露光する、セルフアライメント方式のBM形成方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前記方法は、前記金属膜のエッチングによる方法に比較して製造コストは低くなるものの、十分な遮光性を得るためには膜厚が厚くなるという問題がある。その結果、BMとR、G、B画素との重なり(段差)が生じ、カラーフィルターの平坦性が悪くなって液晶表示装置のセルギャップムラが発生し、表示ムラ等の表示不良につながることになる。
【0008】
表示ムラとは、ブラックマトリックス基板表面が平滑でない場合に、液晶の配向が乱れ、表示ムラの原因となると言われており、液晶表示装置にグレイのテスト信号を入力させた時に観察される淡いムラである。比較的くっきりした筋状に見える「スジムラ」は感光性樹脂層の形成時に生じた厚みムラ、露光のムラ、現像処理のムラ、熱処理のムラなど、配向制御用突起の形成時に発生しているものと、液晶表示装置として機能する際に、配向制御用突起と液晶の間のインターラクションにより発生するムラとが考えられるが、機構は定かではない。
【0009】
一方、透明基板上に親水性樹脂を含有する感光性レジスト層を形成し、BM用パターンを有するフォトマスクを介して露光・現像して透明基板上にレリーフを形成し、この透明基板を無電解メッキの触媒となる金属化合物の水溶液に接触させ、金属化合物をレリーフ中に含有させ乾燥した後、熱処理を施し、その後、前記透明基板上のレリーフを無電解メッキ液に接触させることにより、粒径0.01〜0.05μmの遮光用の金属粒子がその内部に均一に分散されたBMを作製する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。前記金属粒子としてはニッケル、コバルト、鉄、銅、クロムが記載され、具体例としては唯一ニッケルが示されている。
しかしながら、この方法は、露光現像工程を含むレリーフ形成−無電解メッキ触媒の付与−熱処理−無電解メッキという、水を扱う煩瑣な処理工程が多い。そのため、低コストでのBM製造を大きくは期待できない。
【0010】
また、黒色パターンを作製する着色組成物に磁性フィラーを使った例が提案されているが(例えば、特許文献3参照。)、これらの例は10ミクロン以上の厚膜であり、単位膜厚辺りの濃度が低く、薄膜で遮光性能が高い遮光画像を低コストで作製することができない。
【0011】
前記以外に、環境負荷が小さく薄膜で光学濃度の高いブラックマトリックスを得る方法として金属微粒子を用いる方法が知られている(例えば、特許文献4参照。)。また特許文献5には、アスペクト比2以上である金属微粒子を用いた例がある。これらの方法によると、環境負荷が小さく、薄膜で光学濃度の高いブラックマトリックスを得ることが可能とされている。
【特許文献1】特開昭62−9301号公報
【特許文献2】特許第3318353号公報
【特許文献3】特開2001−13678号公報
【特許文献4】特開2004−334180号公報
【特許文献5】特開2005−17322号公報
【非特許文献1】共立出版(株)発行「カラーTFT液晶ディスプレイ」第218〜220頁(1997年4月10日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一方、BMはバックライトの光漏れを防ぐための遮蔽能の他に、液晶TV画面の全面に対しての額縁としての機能を有する必要があり、そのために反射の色味としての黒色度が同時に要求される。しかし、従来の金属微粒子を含有したBMは薄膜で光学濃度の高いブラックマトリックスを得ることができるが、作製されたBMは、反射率が高く、これをカラーフィルターに用いた場合、色味がずれてしまうという問題があった。特に薄膜化したBMにおいて金属充填率を上げる場合などにおいては反射率が非常に高くなり、色味ずれの問題が顕著であった。
【0013】
本発明は、前記従来における問題に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。即ち本発明の目的は、薄層で光学濃度が高く、黒色安定性に優れた金属微粒子含有黒色分散物、着色組成物及び該着色組成物を用いて得られる感光性転写材料、及び黒色度の高い膜又はブラックマトリックスをはじめとする遮光画像若しくは薄膜で濃度の高い着色膜をはじめとする画像を有する遮光画像付き基板、カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
<1> 可視分光波長400nm〜700nmの範囲において、分光吸収スペクトルの極小値におけるモル吸光係数が1800L/mol・cm以上であることを特徴とする金属微粒子含有黒色分散物である。
【0015】
<2> 前記金属微粒子の可視分光波長400nm〜700nmの範囲における、分光吸収スペクトルの極大値/極小値におけるモル吸光係数の比が1.0〜3.0の範囲であることを特徴とする前記<1>に記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0016】
<3> 前記金属微粒子が銀または銀を含有する化合物であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0017】
<4> 前記金属微粒子分散物が、球相当直径50nm以下の金属微粒子からなることを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0018】
<5> 前記金属微粒子分散物が、三角形状及びまたは六角形状の主平面を有する平板状粒子を含有することを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0019】
<6> 前記金属微粒子分散物が、三角形状の主平面を有する平板状粒子であり、少なくともアスペクト比1.1〜4.0の粒子を含有することを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0020】
<7> 前記金属微粒子分散物が、六角形状の主平面を有する平板状粒子であり、少なくともアスペクト比1.2〜6.0の粒子を含有することを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0021】
<8> 可視分光波長400nm〜700nmの範囲において、分光吸収スペクトルの極小値におけるモル吸光係数が1900L/mol・cm以上であることを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物である。
【0022】
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物を含む着色組成物である。
【0023】
<10> 仮支持体上に少なくとも一層の感光性遮光層を設けた感光性転写材料であって、前記感光性遮光層が請求項9に記載の着色組成物を用いてなることを特徴とする感光性転写材料である。
【0024】
<11> 前記<10>に記載の感光性転写材料を用いて作製される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板である。
【0025】
<12> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の金属微粒子含有黒色分散物を用いて形成される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板である。
【0026】
<13> 前記<9>に記載の着色組成物を用いて形成されることを特徴とするカラーフィルターである。
【0027】
<14> 前記<9>に記載の着色組成物を用いて形成されることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、薄層で光学濃度が高く、黒色安定性に優れた金属微粒子含有黒色分散物、着色組成物及び該着色組成物を用いて得られる感光性転写材料を提供することができる。
また、本発明によれば、黒色度の高い膜又はブラックマトリックスをはじめとする遮光画像若しくは薄膜で濃度の高い着色膜をはじめとする画像を有する遮光画像付き基板、カラーフィルターおよび液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の金属微粒子含有黒色分散物は、可視分光波長400nm〜700nmの範囲において、分光吸収スペクトルの極小値におけるモル吸光係数が1800L/mol・cm以上であることを特徴としている。
本発明の着色組成物は、当該本発明の金属微粒子含有黒色分散物を含み、印刷インク、インクジェットインク、フォトマスク作製材料、印刷用プルーフ作製用材料、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、プラズマディスプレイパネル(PDP)の隔壁、誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、電子部品の配線パターン、導電ペースト、導電フィルム、ブラックマトリックス等の遮光画像等の作製に用いることができる。特に、高遮蔽能で黒色安定性に優れるために、黒色インク、プラズマディスプレイパネル(PDP)の隔壁、ブラックマトリックス等の遮光画像等に好適に用いることができる。さらに好ましくは、カラー液晶表示装置等に用いるカラーフィルタの表示特性向上のために、着色パターンの間隔部、周辺部分、及びTFTの外光側等に遮光画像(ブラックマトリックスを含む。)を設けるために好適に用いることができる。
特に好ましくは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、無機ELを備えたEL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の着色画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更に好ましくはTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のブラックマトリックスとして好適に用いられる。
【0030】
以下、本発明の金属微粒子含有黒色分散物について詳細に説明すると共に、該説明を通じて、本発明の着色組成物、本発明の感光性転写材料、並びにこれを用いた遮光画像付き基板、カラーフィルター、液晶表示用装置についても詳述する。
【0031】
≪金属微粒子含有黒色分散物≫
本発明の金属微粒子含有黒色分散物および本発明の着色組成物は、黒色である。ここで、「黒色」とは、無彩色点(x=0.333,y=0.333,Y=0)からの色度のズレがΔEで100以内である色をいう。また、「黒色分散物」とは、本発明の金属微粒子分散物に含まれる全金属原子濃度を2.0×10−4モル/Lの分散溶液とした場合に、可視分光波長400nm〜700nmの範囲における、分光吸収スペクトルの極大値/極小値の吸収の比、すなわち、
黒色度b=Abs(Max400〜700nm)/Abs(Min400〜700nm)が、1.0〜3.0の範囲でのある分散物を意味する。前記黒色分散物の吸収は、日立社製 U−3410形自記分光光度形を用いて測定することができる。
【0032】
本発明の金属微粒子含有黒色分散物は、上述の通り、可視域すなわち吸収波長400〜700nmの範囲において、分光吸収の吸収極小値におけるモル吸光係数が1800L/mol・cm以上であり、高遮蔽能を有するという観点からは2200L/mol・cm以上が好ましく、3500L/mol・cm以上が更に好ましい。また、黒色度の観点からは、可視域すなわち吸収波長400〜700nmの範囲に置いてモル吸光係数の最大値と最小値の比は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜2.2が好ましく、1.0〜1.6がもっとも好ましい。
【0033】
一般に、吸光度Aは、以下式(1)に表され
A=ε × L × C ・・・・・・・・・式(1)
A=吸光度
ε=モル吸光係数
L=光路長
C=濃度
によって表される。
【0034】
モル吸光係数は、測定溶媒によって変化するが、本発明においては、黒色金属微粒子の測定溶媒はHO、メタノール、エタノール、シウロヘキサノン、メチルエチルケトン、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、N−メチルピロリドン等から、最も高いモル吸光係数を示す、最適な溶媒を選択して求めることができる。測定時の金属微粒子分散物の濃度は、2.0E×10−4mol/Lとして測定することが出来る。
【0035】
また、本発明の金属微粒子含有黒色分散物は、必要に応じて、樹脂またはその前駆体の少なくとも1種、顔料微粒子、バインダーとなるポリマー、モノマー、開始剤、溶媒等を用いて構成することができる。
【0036】
ここで、吸収極小値とは、特定波長領域の光が吸収される場合にその吸収波形がある波長に極小ピークを持ち、その極小ピークでの吸収をいう。なお、吸収とは、光と物質の相互作用により、光のエネルギーが物質中の格子や電子などの振動エネルギーに変換されることをいう。
【0037】
吸収波形は、分光放射輝度計SR−3((株)トプコン製)を用いて測定することができる。
【0038】
〜黒色微粒子〜
本発明において、黒色微粒子としては、金属微粒子、金属化合物粒子、複合粒子などの金属系微粒子、並びに顔料などの微粒子が挙げられる。本発明においては、微粒子を適宜選択することで、可視光域に吸収極小値を有し、該吸収極小値の波長が400〜700nmに含まれる構成とすることができる。
【0039】
以下、金属微粒子について詳述する。
〈金属微粒子〉
本発明における金属微粒子は、無彩色に近づけるために、色々な種類の粒子を組み合わせることにより得ることができる。球状粒子がランダムに連結した連結形、楕円形、板状(三角形、六角形、円形)、などのものが好ましい。最も好ましいものは板状(三角形、六角形、円形)である。
【0040】
また、金属微粒子のサイズとしては、球相当直径が50nm以下であるものが好ましく、30nm以下であるものがより好ましい。球相当直径が前記範囲内であると、散乱によるヘイズが少なく、可視部の光学吸収濃度が高くい点で有効である。
【0041】
また、本発明における高濃度の黒色分散物を調整するためには、可視領域の範囲すべてにおいて均一に吸収スペクトルを有していることが好ましい。そのため粒子サイズ分布は広く多分散であることが好ましい。変動係数としては20〜66%が好ましく、25〜60%が更に好ましい。
さらに具体的には、銀粒子または銀を含有する化合物からなる粒子であって粒子アスペクト比は1.0〜10.0の範囲で構成されることが好ましい。また平均アスペクト比としては1.1〜6.0の六角平板粒子または三角平板粒子が、可視部の光学吸収濃度が高い点で好ましい。
【0042】
平均アスペクト比とは、平板粒子に関しては、投影面積から求まる円相当直径を厚みで割った値であり、棒状粒子に関しては、長軸長を短軸長で割った値を意味し、100個の金属系微粒子を測定した値の平均値である。なお、粒子の投影面積は電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
【0043】
上記のうち、前記金属系微粒子としては、六角形平板微粒子、三角形平板微粒子が好ましい形態として挙げられる。
【0044】
[六角形平板微粒子]
六角形平板微粒子は、六角形状を主平面とする平板状粒子、すなわち平板形状が六角形の微粒子であり、アスペクト比1.2〜6.0の粒子が好ましい。具体的な例として、平板粒子の形状が例えば正六角形や合同な二等辺三角形を4つ重ねた六角形等である粒子が挙げられ、中でも正六角形である金属系微粒子、特に正六角形の金属粒子が好ましい。
【0045】
ここで、「六角形状」であるとは、下記の方法によって粒子を、X軸、Y軸、Z軸からなる三軸径の直方体と捉えた場合に、角が六個ある平板粒子形態となることをさす。すなわち、三軸径の直方体と捉えた場合に、ある1軸方向に厚みを持ち、残り2軸が作る平面内に角が六個ある粒子のことをさす。
【0046】
[三角形平板微粒子]
三角形平板微粒子は、三角形状を主平面とする平板状粒子、すなわち平板形状が三角形の微粒子であり、アスペクト比1.1〜4.0の粒子が好ましい。具体的な例として、正三角形、直角三角形、二等辺三角形等である粒子が挙げられ、中でも正三角形である金属系微粒子、特に正三角形の金属粒子が好ましい。
【0047】
ここで、「三角形状」であるとは、下記の方法によって粒子を、X軸、Y軸、Z軸からなる三軸径の直方体と捉えた場合に、角が三個ある平板粒子形態となることをさす。すなわち、三軸径の直方体と捉えた場合に、ある1軸方向に厚みを持ち、残り2軸が作る平面内に角が3個ある粒子のことをさす。
【0048】
なお、本発明において、前記電子顕微鏡としては、日本電子社製の電子顕微鏡JEM2010を用いて、加速電圧200kVで測定を行なうことができる。また、原子間力顕微鏡(AFM)は、セイコーインスツルメンツ株式会社製のSPA−400が挙げられる。原子間力顕微鏡(AFM)での測定では、比較にポリスチレンビーズを入れておくことにより測定が容易になる。
【0049】
上記の中でも、誘電率実部が負である微粒子が好ましい。ここで、誘電率とは、物質に電場を印加したときに、物質中の原子がどの程度応答するかを示す物理量である。誘電率は、一般に複素数のテンソル量で与えられる。複素誘電率の実部は分極の起こりやすさを表す量であり、虚部は誘電損失の度合いを表す量である。
本発明においては、誘電率実部が負である微粒子として、特に金属粒子又は金属を含有する金属化合物粒子が好ましく、銀粒子又は銀を含有する銀化合物粒子が最も好ましい。
【0050】
前記誘電率は、屈折計により測定される屈折率を二乗したものや、「Handbook of optical constans」や「Landolt-BoernsteinGroup3 Volume15 SubvolumeB」に記載の文献値
を用いることができる。
金属微粒子における金属としては、特に限定されず、いかなるものを用いてもよい。金属微粒子は、2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金として用いることも可能である。また、金属と金属化合物との複合微粒子でもよい。
【0051】
金属微粒子としては、金属又は、金属と金属化合物とから形成されるものが好ましく、金属から形成されるものが特に好ましい。
【0052】
特に長周期律表(IUPAC 1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からな
る群から選ばれる金属を主成分として含むことが好ましい。また、第2〜14族からなる郡から選ばれる金属を含有することが好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族からなる群から選ばれる金属を主成分として含むことがより好ましい。これらの金属のうち、金属微粒子としては、第4周期、第5周期、又は第6周期の金属であって、第2族、第10族、第11族、第12族、又は第14族の金属の粒子が更に好ましい。
【0053】
前記金属微粒子として好ましい例は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、カルシウム、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。更に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、カルシウム、イリジウム、及びこれらの合金、より好ましい金属は、銅、銀、金、白金、パラジウム、錫、カルシウム、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましい金属は、銅、銀、金、白金、錫、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種である。とりわけ銀が好ましく、銀としてはコロイド銀が最も好ましい。
【0054】
〈金属化合物粒子〉
「金属化合物」とは、前記金属と金属以外の他の元素との化合物である。金属と他の元素との化合物としては、金属の酸化物、硫化物、硫酸塩、炭酸塩などが挙げられ、金属化合物粒子としてはこれらの粒子が好適である。中でも、色調や微粒子形成のしやすさから、硫化物の粒子が好ましい。
金属化合物の例としては、酸化銅(II)、硫化鉄、硫化銀、硫化銅(II)、チタンブラックなどがあるが、色調、微粒子形成のしやすさや安定性の観点から、硫化銀が特に好ましい。
【0055】
〈複合粒子〉
複合粒子は、金属と金属化合物とが結合して1つの粒子になったものをいう。例えば、粒子の内部と表面で組成の異なるもの、2種の粒子が合一したもの等を挙げることができる。また、金属化合物と金属とはそれぞれ1種でも2種以上であってもよい。
金属化合物と金属との複合微粒子の具体例としては、銀と硫化銀の複合微粒子、銀と酸化銅(II)の複合微粒子などが好適に挙げられる。
【0056】
〈コアシェル粒子〉
本発明に係る金属微粒子は、コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)であってもよい。コア・シェル型の複合粒子(コアシェル粒子)とは、コア材料の表面をシェル材料でコートしたものである。
コア・シェル型の複合粒子を構成するシェル材料としては、例えば、Si、Ge、AlSb、InP 、Ga、As、GaP 、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、PbTe、Se、Te、CuCl、CuBr、CuI、TlCl、TlBr、TlIやこれらの固溶体及びこれらを90mol%以上含む固溶体から選ばれる少なくとも1種の半導体、又は銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられる。
前記シェル材料は、反射率を低下させる目的で屈折率の調整剤としても好適に用いられる。
【0057】
また、好ましいコア材料としては、銅、銀、金、パラジウム、ニッケル、錫、ビスマス、アンモチン、鉛、及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0058】
コアシェル構造を有する複合粒子の作製方法には、特に制限はなく、代表的な方法は以下のものが挙げられる。
(1)公知の方法で作製した金属微粒子の表面に、酸化、硫化などにより、金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属微粒子を水などの分散媒に分散させて、硫化ナトリウムや硫化アンモニウムなどの硫化物を添加する方法である。この方法により粒子の表面が硫化されてコアシェル粒子が形成できる。
この場合、用いる金属粒子は、気相法、液相法などの公知の方法で作製することができる。金属粒子の作製方法については、例えば、「超微粒子の技術と応用における最新動向II」(住ベテクノリサーチ(株)、2002年発行)に記載されている。
(2)金属粒子を作製する過程で連続的に表面に金属化合物のシェルを形成する方法であり、例えば、金属塩溶液に還元剤を添加して、金属イオンの一部を還元して金属微粒子を作製し、次いで硫化物を添加して、作製した金属微粒子の周囲に金属硫化物を形成する方法である。
【0059】
本発明に係る金属微粒子は、金属化合物を用いた化学的還元法、無電解メッキ法、金属の蒸発法、高圧水銀灯を用いて光照射する方法等により作製することが可能であるが、黒色金属微粒子を、安定して簡易に供給できるという観点から、還元性化合物を用いて上記金属化合物を金属へ還元する、化学還元法を用いることがより好ましい。逆ミセルと超音波を併用した例として、Journal of Physical Chemistry B 2003,107,3679−3683や、またNano Lett.VOL.2,No.8,2002にも三角形状や六角形状の平板粒子形成方法が記載され本発明に係る黒色金属微粒子の形成法として利用することができる。
上記金属化合物としては上述の金属を含むものであれば特に限定されず、例えば、テトラクロロ金(III)酸四水和物(塩化金酸)、硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(塩化白金酸)、塩化白金酸カリウム、塩化銅(II)二水和物、酢酸銅(II)一水和物、硫酸銅(II)、塩化パラジウム(II)二水和物、三塩化ロジウム(III)三水和物等を挙げることができる。また黒色金属微粒子という観点からは、硝酸銀、酢酸銀を用い調製することが好ましい。
【0060】
上記還元性化合物としては、アミン化合物、水素化ホウ素ナトリウムなどのアルカリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、ギ酸、ホルムアルデヒド、亜ニチオン酸、亜硫酸ナトリウム、スルホキシル酸塩誘導体、ハイドロキノン、ハイドロキノン誘導体、ヒドロキシルアセトンなどを挙げることができる。これらは、単独または組み合わせて使用することが可能である。上記還元性化合物としては、トリエタノールアミン、アスコルビン酸、ハイドロキノン、ハイドロキノン誘導体、ヒドロキシルアセトンが好ましく、アスコルビン酸、ハイドロキノン、ハイドロキノン誘導体がさらに好ましい。さらに金属微粒子含有黒色分散物の調製には亜硫酸ナトリウムとハイドロキノンの混合溶液、亜硫酸ナトリウムとアスコルビン酸の混合溶液を用いること、または併用する事が好ましい。
【0061】
上記還元性化合物を添加する方法として特に限定されないが、粒度分布の広い粒子を安定に調整するためには、金属塩と還元性化合物を液中で、同時に添加されるようにすることが、凝集を発生させずに制御して多分散の粒子を調整する事ができる。また、例えば、窒素及びまたは硫黄含有高分子化合物の添加後に行うこともできる。この場合は、例えば、まず溶媒に窒素及びまたは硫黄含有化合物を溶解させ、更に、上記還元性化合物又は金属化合物の何れかを溶解させて得られる溶液に、還元性化合物又は金属化合物の残った方を加えることで、還元を進行させることができる。また、上記還元性化合物を添加する方法としては、まず溶媒に窒素及び又は硫黄含有高分子化合物を溶解させ、更に、上記還元性化合物と金属化合物を同時又はどちらか一方を添加中に残った方を加えることで、還元を進行させることができる。上記還元性化合物を添加する方法としては、先に硫黄含有高分子化合物と上記還元性化合物又は金属化合物とを混合しておき、この混合物を還元性化合物又は金属化合物の残った方に加える形態をとってもよい。
【0062】
本発明の金属微粒子含有黒色分散物の製造における分散液に用いられる溶媒としては、上記金属化合物を溶解することができるものであれば特に限定されず、例えば、水、有機溶媒等を挙げることができる。上記有機溶媒等としては特に限定されず、例えば、エタノール、エチレングリコール等の炭素数1〜4のアルコール;アセトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。上記溶媒としては1種又は2種以上を用いることができる。上記溶媒が水と有機溶媒との混合物である場合には、上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、シウロヘキサノン、メチルエチルケトン、2−プロパノール、1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、N−メチルピロリドン等から適宜選択される。
【0063】
〈顔料その他〉
本発明においては、上記の金属微粒子とは別に、あるいは金属微粒子と共に、顔料等その他の微粒子を用いることもできる。顔料を用いたときには、ブラックマトリックスをより黒色に近い色相に構成することができる。
【0064】
前記顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、又は黒鉛が好適なものとして挙げられる。
カーボンブラックの例としては、Pigment Black(ピグメント・ブラック)7(カーボンブラック C.I.No.77266)が好ましい。市販品として、三菱カーボンブラック MA100(三菱化学(株)製)、三菱カーボンブラック #5(三菱化学(株)製)が挙げられる。
チタンブラックの例としては、TiO、TiO、TiNやこれらの混合物が好ましい。市販品として、三菱マテリアルズ(株)製の(商品名)12Sや13Mが挙げられる。チタンブラックの平均粒径は40〜100nmが好ましい。
黒鉛の例としては、粒子径がストークス径で3μm以下のものが好ましい。3μmを超える黒鉛を用いると、遮光パターンの輪郭形状が不均一になり、シャープネスが悪くなることがある。また、粒子径の大部分は0.1μm以下であることが望ましい。
【0065】
前記顔料以外の公知の顔料を用いることもできる。顔料は一般に有機顔料と無機顔料とに大別されるが、本発明においては有機顔料が好ましい。好適に使用される顔料の例としては、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ニトロ系顔料を挙げることができる。有機顔料の色相は、例えば、黄色顔料、オレンジ顔料、赤色顔料、バイオレット顔料、青色顔料、緑色顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等が好ましい。
【0066】
以下、着色組成物に使用可能な顔料等の微粒子(着色剤)の例を列挙する。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
微粒子の具体的な例として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。
【0067】
また、「顔料便覧、日本顔料技術協会編、誠文堂新光社、1989」、「COLOUR
INDEX、THE SOCIETY OF DYES & COLOURIST、THIRD EDITION、1987」に記載のものを参照して適宜用いることもできる。
【0068】
顔料は、金属微粒子の色相と補色関係にあるものを用いることが望ましい。また、顔料は1種でも2種以上を組み合せて用いてもよい。好ましい顔料の組み合わせとしては、赤色系及び青色系の互いに補色関係にある顔料混合物と黄色系及び紫色系の互いに補色関係にある顔料混合物との組合せや、前記の混合物に更に黒色の顔料を加えた組み合わせや、青色系と紫色系と黒色系との顔料の組合せを挙げることができる。
【0069】
顔料の球相当直径は、5nm以上5μm以下が好ましく、特に10nm以上1μm以下が好ましく、更にカラーフィルタ用としては、20nm以上0.5μm以下が好ましい。
【0070】
−−金属微粒子の分散−−
本発明に係る金属微粒子は、安定な分散状態で存在していることが好ましく、例えば、コロイド状態であることがより好ましい。コロイド状態の場合には、例えば、金属微粒子が実質的に微粒子状態で分散されていることが好ましい。
【0071】
分散を行なう際の分散剤としては、上記した、窒素及び又は硫黄元素含有高分子ポリマーが好ましく、チオール基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類及び多糖類由来の天然高分子、合成高分子及びこれらに由来するゲルなどを用いることができる。
【0072】
前記チオール基含有化合物は、種類は特に限定されず、1個又は2個以上のチオール基を有する化合物であればいかなるものでもよい。チオール基含有化合物としては、例えば、アルキルチオール類(例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタンなど)、アリールチオール類(例えば、チオフェノール、チオナフトール、ベンジルメルカプタンなど)などが挙げられる。
また、前記アミノ酸又はその誘導体としては、例えば、システイン、グルタチオンなどが、前記ペプチド化合物としては、例えば、システイン残基を含むジペプチド化合物、トリペプチド化合物、テトラペプチド化合物、5以上のアミノ酸残基を含むオリゴペプチド化合物など)が挙げられ、さらに分散剤として、蛋白質(例えば、メタロチオネインやシステイン残基が表面に配置された球状蛋白質など)などを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されることはない。
【0073】
前記高分子類としては、保護コロイド性のあるポリマーでゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。
分散剤として使用可能なポリマーについては、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、(株)朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
【0074】
また、金属微粒子が分散された分散液には、親水性高分子、界面活性剤、防腐剤、又は安定化剤などを適宜配合してもよい。親水性高分子としては、水に溶解でき、希薄状態において実質的に溶液状態を維持できるものであればいずれのものを用いてもよい。例えば、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチンなどのタンパク質及びタンパク質由来の物質;セルロース、デンプン、アガロース、カラギーナン、デキストラン、デキストリン、キチン、キトサン、ペクチン、マンナンなどの多糖類及び多糖類由来の物質などの天然高分子;ポバール(ポリビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルアミンなどの合成高分子;又はこれらに由来するゲルなどを用いることができる。ゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの種類は特に限定されず、例えば、牛骨アルカリ処理ゼラチン、豚皮膚アルカリ処理ゼラチン、牛骨酸処理ゼラチン、牛骨フタル化処理ゼラチン、豚皮膚酸処理ゼラチンなどを用いることができる。
【0075】
前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用でき、アニオン系及びノニオン系界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤のHLB値は塗布液の溶媒が水系か有機溶剤系かにより一概に言えないが、溶媒が水系の場合は8〜18程度のものが好ましく、有機溶剤系の場合は3〜6程度のものが好ましい。
【0076】
なお、前記HLB値については、例えば「界面活性剤ハンドブック」(吉田時行、進藤信一、山中樹好編、工学図書(株)発行、昭和62年)に記載されている。
界面活性剤の具体例としては、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノラウリル酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリル酸エステルなどがある。界面活性剤の例についても前述の「界面活性剤ハンドブック」に記載されている。
【0077】
≪着色組成物≫
〜樹脂またはその前駆体〜
本発明の着色組成物は、樹脂またはその前駆体の少なくとも一種を用いて好適に構成することができる。ここで、樹脂はバインダーとしてのポリマー成分であり、樹脂の前駆体は、重合したときに樹脂を構成する成分であり、いわゆるモノマー、オリゴマー成分などが含まれる。
【0078】
前記樹脂としては、側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報、及び特開昭59−71048号公報に記載のメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体などを挙げることができる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができる。このほか、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。特に、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の共重合体やベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体も挙げることができる。
【0079】
前記樹脂は、30〜400mgKOH/gの範囲の酸価と1,000〜300,000の範囲の重量平均分子量とを有するものを選択するのが好ましい。
【0080】
また、上記以外に、種々の性能、例えば硬化膜の強度を改良する目的で、現像性等に悪影響を与えない範囲でアルコール可溶性のポリマーを添加してもよい。アルコール可溶性のポリマーとしては、例えば、アルコール可溶性ナイロン、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0081】
前記「樹脂の前駆体」としては、硬化することで樹脂となるモノマー等が挙げられる。これらは後述する。
【0082】
〈遮光画像作製用組成物〉
本発明の着色組成物は、遮光画像の作製に好適に用いることができる。以下、遮光画像の作製用に好適な遮光画像作製用組成物(以下、「遮光用着色組成物」ともいう。)について詳述する。
【0083】
本発明の着色組成物を用いて、遮光層(パターニングする前の層)を形成した場合、形成された遮光層の層厚1μmあたりの光学濃度としては1以上が好ましい。
【0084】
また、本発明の着色組成物における金属微粒子の含有量としては、例えばカラーフィルタの作製時など、ポストベークの際に金属微粒子が融着するのを防止することを考慮すると、形成された遮光層の質量に対して10〜90質量%程度、好ましくは10〜80質量%になるように調節することが好ましい。また、微粒子の含有量は、平均粒径による光学濃度の変動を考慮して行なうのが好ましい。後述の感光性を有する遮光画像作製用組成物中に含有する金属微粒子の含有量についても同様である。
【0085】
本発明にいう「遮光画像」は、ブラックマトリックスを包含する意味で用いる。「ブラックマトリックス」とは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置などの表示装置の周辺部に設けられた黒色の縁や、赤、青、緑の画素間の格子状やストライプ状の黒色の部分、更にTFT遮光のためのドット状や線状の黒色パターン等のことであり、このブラックマトリックスの定義は、例えば、「液晶ディスプレイ製造装置用語辞典」(第2版、菅野泰平著、p.64、日刊工業新聞社、1996年)に記載されている。遮光画像の例としては、有機ELディスプレイ(例えば特開2004−103507号公報)、PDPのフロントパネル(例えば特開2003−51261号公報)、PALCではバックライトの遮光等が挙げられる。
【0086】
ブラックマトリックスは、表示コントラストを向上させるため、また、薄膜トランジスター(TFT)を用いたアクティブマトリックス駆動方式の液晶表示装置の場合には、光の電流リークによる画質低下を防止するため、高い遮光性(光学濃度ODで3以上)が必要である。
【0087】
〈感光性遮光画像作製用着色組成物〉
上記の遮光画像作製用着色組成物は、感光性を有することがより好ましい。
具体的には、感光性樹脂組成物を用いて構成することで感光性を付与することができる。前記感光性樹脂組成物は、バインダーとなるポリマー、光重合開始剤、及びエチレン性不飽和二重結合を有し光の照射によって付加重合するモノマー(以下、「光重合性モノマー」という場合がある。)等を含有してなる態様が好ましく挙げられる。
【0088】
前記感光性樹脂組成物は、アルカリ水溶液で現像可能なものと、有機溶剤で現像可能なものとがある。安全性と現像液のコストとの点からは、アルカリ水溶液で現像可能なものが好ましく、かかる点からバインダーとなるポリマーとしてアルカリ可溶性ポリマーを用いて構成することが好ましい。
感光性樹脂組成物は、上述のような光や電子線などの放射線を受容する部分が硬化するネガ型でもよいし、放射線未受容部が硬化するポジ型でもよい。
【0089】
ポジ型の感光性樹脂組成物には、ノボラック系の樹脂を用いたものが挙げられる。例えば、特開平7−43899号公報に記載のアルカリ可溶性ノボラック樹脂系を使用することができる。また、特開平6−148888号公報に記載のポジ型感光性樹脂層、すなわち該公報に記載のアルカリ可溶性樹脂と感光剤として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルと熱硬化剤との混合物を含む感光性樹脂層を用いることができる。更に、特開平5−262850号公報に記載の組成物も活用可能である。
【0090】
ネガ型の感光性樹脂組成物としては、ネガ型ジアゾ樹脂とバインダーとからなる感光性樹脂(光重合性組成物)、アジド化合物とバインダーとからなる感光性樹脂組成物、桂皮酸型感光性樹脂組成物等が挙げられる。中でも特に好ましいのは、光重合開始剤、光重合性モノマー、及びバインダーを基本構成要素として含む光重合性組成物である。
【0091】
前記光重合性組成物としては、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」、「重合開始剤C」、「界面活性剤」、「接着助剤」やその他成分物を利用することができる。例えば、ネガ型であってアルカリ水溶液で現像可能な感光性樹脂組成物として、主成分としてカルボン酸基含有バインダー(アルカリ可溶性バインダー)と、光重合開始剤と、光重合性モノマーとを含んでなる感光性樹脂組成物が挙げられる。なお、前記アルカリ可溶性バインダーとしては、既述の〈樹脂またはその前駆体〉の項において挙げた樹脂を好適なものとして使用できる。
【0092】
前記アルカリ可溶性バインダーの含有量としては、感光性の遮光画像作製用着色組成物の全固形分に対して通常、10〜95質量%が好ましく、更に20〜90質量%がより好ましい。10〜95質量%の範囲では、感光性樹脂層の粘着性が高すぎることもなく、形成される層の強度及び光感度が劣ることもない。
【0093】
前記光重合開始剤としては、米国特許第2367660号明細書に記載のビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載のアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号及び同第2951758号の各明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンとの組合せ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載のトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載のトリハロメチルオキサジアゾール化合物等が挙げられる。特に好ましくは、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール、トリアリールイミダゾール二量体である。
また、上記以外に、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとして挙げることができる。
【0094】
上記の光重合開始剤又は光重合開始剤系は、一種単独で用いる以外に二種類以上を混合して用いてもよく、特に二種類以上を用いることが好ましい。また、感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0095】
黄ばみなどの着色がなく、かつ露光感度を高くして良好な表示特性が得られる例としては、ジアゾール系光重合開始剤とトリアジン系光重合開始剤との組み合わせが挙げられ、中でも、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾールと、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキンカルボニルメチル)−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジンとの組み合わせが最も好ましい。これらの光重合開始剤の比率は、ジアゾール系/トリアジン系の質量比率で、好ましくは95/5〜20/80であり、より好ましくは90/10〜30/70であり、最も好ましくは80/20〜60/40である。これらの光重合開始剤は、特開平1−152449号公報、特開平1−254918号公報、特開平2−153353号公報に記載されている。更に好適な例として、ベンゾフェノン系も挙げられる。
【0096】
感光性の遮光画像作製用着色組成物が顔料を用いて構成されている場合、該遮光画像作製用着色組成物の固形分全体に占める顔料の割合が15〜25質量%付近のときには、光重合開始剤にクマリン系化合物を混合した構成とすることによっても、黄ばみなどの着色がなく、かつ高感度化することができる。クマリン系化合物としては、7−[2−[4−(3−ヒドロキシメチルビペリジノ)−6−ジエチルアミノ]トリアジニルアミノ]−3−フェニルクマリンが最も好ましい。この場合、光重合開始剤とクマリン系化合物との比率は、光重合開始剤/クマリン系化合物の質量比率で、好ましくは20/80〜80/20であり、より好ましくは30/70〜70/30であり、最も好ましくは40/60〜60/40である。
但し、本発明に使用できる光重合性組成物は、これらに限定されるものではなく、公知のものの中から適宜選択することできる。
【0097】
前記光重合開始剤は、感光性の遮光画像作製用着色組成物の全固形分に対して、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。該含有量が前記範囲内であると、光感度や画像強度の低下を防止でき、充分に性能を向上させることができる。
【0098】
前記光重合性モノマーとしては、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン若しくはグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加反応させた後で(メタ)アクリレート化したもの等の多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0099】
更に、特公昭48−41708号、同50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、同52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレートやメタクリレートを挙げることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0100】
前記光重合性モノマーは、一種単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
光重合性モノマーの感光性の遮光画像作製用着色組成物の全固形分に対する含有量は、5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。該含有量が前記範囲内にあると、光感度や画像の強度も低下せず、感光性遮光層の粘着性が過剰になることもない。
【0101】
感光性樹脂組成物としては、前記成分のほかに、更に熱重合防止剤を添加することが好ましい。熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール、ピロガロール等の芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾキノン、p−トルキノン等のキノン類、ナフチルアミン、ピリジン、p−トルイジン、フェノチアジン等のアミン類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩又はアンモニウム塩、クロラニール、ニトロベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。
【0102】
感光性樹脂組成物として、更に必要に応じて、公知の添加剤、例えば、可塑剤、界面活性剤、密着促進剤、分散剤、垂れ防止剤、レベリング剤、消泡剤、難燃化剤、光沢剤、溶剤等を添加することができる。
【0103】
前記密着促進剤としては、例えば、アルキルフェノール/ホルムアルデヒドノボラック樹脂、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、アクリル樹脂系粘着剤、芳香族系、脂肪族系又は脂環族系の石油樹脂、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0104】
また、金属微粒子を銀コロイドのように水分散物として用いる場合には、感光性樹脂組成物として水系のもの用いることが必要である。このような感光性樹脂組成物としては、特開平8−271727号公報の段落[0015]〜[0023]に記載のもののほか、市販のものとして例えば、東洋合成工業(株)製の「SPP−M20」等が挙げられる。
【0105】
本発明の遮光画像作製用着色組成物(感光性のものを含む。)を用いて遮光画像(ブラックマトリックスを含む。)を作製する場合には、薄膜で光学濃度の高いブラックマトリックスを作製することができる。
【0106】
≪感光性転写材料≫
本発明の感光性転写材料は、仮支持体と該仮支持体上に設けられた少なくとも一層の感光性遮光層とを有してなり、仮支持体上の感光性遮光層は既述の本発明の着色組成物を用いてなるものである。特に、感光性を有する遮光画像作製用着色組成物を用いて感光性遮光層を仮支持体上に設けて感光性の転写材料(感光性転写材料)を作製し、作製された感光性転写材料の感光性遮光層を被転写体に転写してブラックマトリックス等の遮光画像を作製するようにすることができる。
【0107】
前記感光性転写材料は、仮支持体上に少なくとも感光性を有する遮光画像作製用着色組成物を用いて形成した感光性遮光層を設けてなるものであり、必要に応じて、熱可塑性樹脂層、中間層、保護層等を設けた構成とすることができる。
前記感光性遮光層の層厚としては、0.1〜4μmの範囲が好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲が好ましく、更には0.2〜1.0μmの範囲が好ましい。
【0108】
〜仮支持体〜
仮支持体としては、ポリエステル、ポリスチレン等を用いた公知の支持基材を用いることができる。中でも、2軸延伸したポリエチレンテレフタレートはコスト、耐熱性、寸法安定性の観点から好ましい。
【0109】
仮支持体の厚みは、15〜200μm程度が好ましく、30〜150μm程度がより好ましい。該厚みが前記範囲内であると、ラミネート工程時に熱によりトタン板状のしわが発生するのを効果的に抑制することができ、コスト上も有利である。
【0110】
また、仮支持体には必要に応じて、特開平11−149008号公報に記載の導電性層を設けてもよい。
【0111】
〜熱可塑性樹脂層〜
仮支持体と感光性遮光層との間、又は支持体と後述の中間層との間には、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。この熱可塑性樹脂層は、下地表面の凹凸(既に形成されている画像などによる凹凸等も含む。)を吸収することができるクッション材としての役割を担うものであるため、当該凹凸に応じて変形しうる性質を有していることが好ましい。
【0112】
アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、等より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。更に、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による有機高分子のうち、アルカリ水溶液に可溶なものを使用することもできる。また、これらの熱可塑性樹脂のうち、軟化点が80℃以下のものが好ましい。
なお、明細書中において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称であり、その誘導体の場合についても同様である。
【0113】
前記アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂の中でも、重量平均分子量3千〜50万(Tg=0〜170℃)の範囲で選択して使用することが好ましく、更には重量平均分子量4千〜20万(Tg=30〜140℃)の範囲がより好ましい。
これら樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59−44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64−55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特開平5−241340号の各公報に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。
【0114】
中でも特に好ましいものとしては、特開昭63−147159号公報に記載のメタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体、特公昭55−38961号、特開平5−241340号の各公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0115】
また、熱可塑性樹脂層には、熱可塑性樹脂層と仮支持体との間の接着力を調節するために、各種可塑剤、各種ポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、又は離型剤等を加えることが可能である。
好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。
前記可塑剤の熱可塑性樹脂層中における量は、前記樹脂に対して、200質量%以下が一般的であり、好ましくは20〜100質量%である。
【0116】
また、アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層の厚みとしては、6μm以上が好ましい。該厚みが6μm以上であると、被転写材表面の凹凸を完全に吸収することができる。また、厚みの上限については、現像性、製造適性の点から、約100μm以下が一般的であり、好ましくは約50μm以下である。
【0117】
熱可塑性樹脂層は、該層を構成する成分を用いて調製した塗布液の塗布等により形成することができる。溶媒としては、該層を構成する前記樹脂を溶解するものであれば特に制限なく使用でき、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n−プロパノール、i−プロパノール等が挙げられる。
【0118】
〜中間層〜
本発明の転写材料には、仮支持体と感光性遮光層との間に中間層を設けてもよい。
中間層は、樹脂を用いて構成することができ、該樹脂としては、アルカリ可溶であれば特に制限はない。該樹脂の例として、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体を挙げることができる。また、ポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキシル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合した樹脂も用いることができる。
これらの中で好ましいものは、ポリビニルアルコールであり、ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがより好ましい。
【0119】
中間層を構成する樹脂は、2種類以上を混合して使用することが好ましく、特にポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを混合して用いることが特に好ましい。両者の質量比は、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25の範囲が好ましく、更には10/90〜50/50の範囲がより好ましい。該質量比が前記範囲内であると、中間層の面状が良好であり、該層上に塗設した感光性遮光層との密着性がよく、更に酸素遮断性が低下して感度が低下するのを防止することができる。
なお、中間層には必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加することができる。
【0120】
中間層の厚みは、0.1〜5μmの範囲が、更には0.5〜3μmの範囲が好ましい。中間層の厚みが前記範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、また、現像時の中間層除去時間が増大することもない。
【0121】
中間層は、前記成分を用いた塗布液の塗布等により形成することができるが、塗布液の調製には溶媒を使用でき、該溶媒としては、中間層を構成する前記樹脂の溶解が可能であれば特に制限はなく、中でも水が好ましく、水に既述の水混和性の溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。好ましい溶媒の具体例としては、例えば、水、水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロパノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし比は質量比を表す)等が挙げられる。
【0122】
−−感光性転写材料の作製−−
本発明の感光性転写材料の作製は、仮支持体上に、溶液状に調製した既述の本発明の感光性を有する遮光画像作製用着色組成物を、例えば、スピナー、ホワイラー、ローラーコーター、カーテンコーター、ナイフコーター、ワイヤーバーコーター、エクストルーダー等の塗布機を用いて塗布・乾燥させる等の方法により行なうことができる。アルカリ可溶性の熱可塑性樹脂層を設ける場合も同様である。
【0123】
本発明の感光性転写材料は、既述の本発明の遮光画像作製用着色組成物を用いて形成された感光性遮光層を有するため、薄膜で、450〜470nmと540〜580nmまたは、460〜525nmと600〜620nmに吸収極大を有する光学濃度の高い遮光層を作製することができる。
【0124】
≪表示装置用遮光画像≫
表示装置用遮光画像は、既述の本発明の着色組成物又は本発明の感光性転写材料を用いて形成された遮光層(好ましくは感光性遮光層)をパターニングすることによって作製することができる。遮光層の層厚は、0.2〜2.0μm程度、更には0.9μm以下であることが好ましい。
形成される本発明に係る遮光層は、金属微粒子を用いて、可視域すなわち吸収波長400〜700nmの範囲に置いて、分光吸収の吸収極小値におけるモル吸光係数が1800L/mol・cm以上に構成されるので、薄膜で高い光学濃度(3.5以上)を得ることができる。
【0125】
また、本発明の表示装置用遮光画像の作製には、既述した本発明の遮光画像作製用の着色組成物を用いて作製する(パターニングする)方法であれば特に制限はない。以下、表示装置用遮光画像の作製方法について、ブラックマトリックスパターンの作製方法を例に説明する。
【0126】
第1の方法は、まず金属微粒子と樹脂またはその前駆体の少なくとも1種とを含有し、感光性を有する本発明の遮光画像作製用着色組成物を基板に塗布し、金属微粒子を含有した感光性遮光層を形成する。その後、パターン露光、現像によりパターン以外の部分の遮光層を除却することによりパターン形成を行ない、ブラックマトリックス(遮光画像)を得る方法である。また、既述の中間層と同組成の層を前記感光性遮光層上に形成して保護層とすることもできる。この場合、塗布液の塗布は、前記−−転写材料の作製−−の項で列挙した塗布機を用いて塗布することができる。中でも、スピンコート法によって行なうのが好ましい。
【0127】
第2の方法は、まず、金属微粒子と樹脂またはその前駆体の少なくとも1種とを含有し、非感光性の本発明の遮光画像作製用着色組成物を基板に塗布して金属微粒子を含有した遮光層を形成する。その後、該遮光層上に感光性レジスト液を塗布してレジスト層を形成する。次いで、露光によりレジスト層を露光、現像してレジスト層にパターンを形成した後、このパターンに応じて遮光層の非パターン部(露出部)を溶解し、遮光層にパターンを形成する。最後にレジスト層を除却して、ブラックマトリックス(遮光画像)を得る方法である。
【0128】
第3の方法は、予め基板上のパターン以外の部分に塗布層を形成しておき、この上に金属微粒子と樹脂またはその前駆体の少なくとも1種とを含有し、非感光性の本発明の遮光画像作製用着色組成物を塗布して微粒子を含有した遮光層を形成する。次いで、始めに形成した塗布層を上の遮光層と共に除却し、ブラックマトリックス(遮光画像)を得る方法である。
【0129】
また、第4の方法は、感光性転写材料を用いた遮光画像の作製方法であって、光透過性基板の上に、感光性転写材料を感光性遮光層が接触するように配置して積層した後、感光性転写材料と光透過性基板との積層体から仮支持体を剥離し、感光性遮光層を露光し、現像してブラックマトリックス(遮光画像)を得る方法である。この方法は、煩瑣な工程を行なうことを必要とせず、低コストに行なうことができる。
【0130】
次に、露光及び現像について述べる。
基板上に形成された遮光層の上方に所定のマスクを配置し、該マスク上方からマスクを通して前記遮光層を露光し、次いで現像液による現像を行なってパターン像を形成し、引き続き必要に応じて水洗処理を行なう工程を施すことにより、表示装置用遮光画像を作製することができる。露光は、上述のようにマスクを配置して行なう方法以外に、マスクを介さずに直接、画像データに基づいて光を相対走査することでパターン像を得るようにすることもできる。
【0131】
露光に用いる光源としては、感光性遮光層を硬化し得る波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば、適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LD、超高圧水銀灯、YAG−SHG固体レーザー、KrFレーザー、固体レーザー等が挙げられる。
露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
この際に使用する露光機は、特に限定されるわけではないが、マスクを介して露光するプロキシミティ露光機のほか、散乱光線露光機、平行光線露光機、ステッパー、及びレーザー露光などを用いることができる。
【0132】
現像に用いる現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができ、中でもアルカリ性物質の希薄水溶液が好ましく用いられる。詳しくは、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましい。なお、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
また、現像前には、純水をシャワーノズル等にて噴霧して、感光性遮光層の表面を均一に湿らせておくようにすることが好ましい。
【0133】
遮光画像の塗布による形成方法及び感光性転写材料を用いる形成方法において、現像に用いる前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(例えば、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)、燐酸三ナトリウム、等が挙げられる。アルカリ性物質の濃度は、0.01〜30質量%が好ましく、pHは8〜14が好ましい。
【0134】
前記「水と混和性の有機溶剤」としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が好適に挙げられる。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1〜30質量%が好ましい。
更に、公知の界面活性剤を添加することもでき、該界面活性剤の濃度としては0.01〜10質量%が好ましい。
【0135】
前記現像液は、浴液として用いてもよいし、あるいは噴霧液としても用いることができる。遮光層の未硬化部分を除去する場合、現像液中で回転ブラシや湿潤スポンジで擦るなどの方法を組み合わせることができる。現像液の液温度は、通常室温付近から40℃が好ましい。現像時間は、遮光層の組成、現像液のアルカリ性や温度、有機溶剤を添加する場合にはその種類と濃度、等に依るが、通常10秒〜2分程度である。短すぎると非露光部の現像が不充分となると同時に紫外線の吸光度も不充分となることがあり、長すぎると露光部もエッチングされることがある。いずれの場合にも、遮光画像形状を好適なものとすることが困難となる。この現像工程にて、遮光画像が顕在化される。
【0136】
≪遮光画像付き基板≫
本発明の遮光画像付き基板は、光透過性基板の上に本発明の着色組成物を用いて形成された遮光層を上記のようにパターニングすることによって作製できる。
この遮光画像付き基板(好ましくは、基板面にブラックマトリックスが設けられたブラックマトリックス基板)における遮光画像(好ましくはブラックマトリックス)の、基板面からの厚みは0.2〜2.0μmが好ましく、特に0.2〜0.9μmが好ましい。
本発明の遮光画像付き基板は、本発明の着色組成物を用いて作製された本発明の表示装置用遮光画像を設けて構成されたものであるため、薄膜で高い光学濃度を有する。
【0137】
本発明の遮光画像付き基板は、テレビ、パーソナルコンピュータ、液晶プロジェクター、ゲーム機、携帯電話などの携帯端末、デジタルカメラ、カーナビなどの用途に特に制限なく適用でき、450〜470nmと540〜580nmまたは、460〜525nmと600〜620nmに吸収極大を有する表示装置を構成するのが効果的である。また、下記カラーフィルタの作製においても好適に用いることができる。
【0138】
カラーフィルタは、光透過性基板の上に、着色層からなり、互いに異なる色を呈する2色以上の着色画素からなる画素群と、該画素群を構成する各画素を互いに離画する遮光画像(ブラックマトリックス)とで構成されたものであり、前記ブラックマトリックスは、既述の本発明の着色組成物又は本発明の転写材料を用いて作製されたものである。 前記画素群は、異なる色を呈する2色の着色画素からなる画素群または3色の着色画素からなる画素群であってもよいし、異なる色を呈する4色以上の着色画素からなる画素群であってもよい。例えば3色で構成される場合、赤(R)、緑(G)及び青(B)の3つの色相が好適に用いられる。赤、緑、青の3種の画素群を配置する場合は、モザイク型、トライアングル型等の配置が好ましく、4種以上の画素群を配置する場合ではどのような配置であってもよい。
【0139】
前記光透過性基板としては、表面に酸化珪素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス板、ノンアルカリガラス板、石英ガラス板等の公知のガラス板或いはプラスチックフィルム等が用いられる。
【0140】
カラーフィルタを作製する場合、光透過性基板に常法により互いに異なる色を呈する2色以上の着色画素からなる画素群を形成した後、前記のようにしてブラックマトリックスを形成してもよいし、あるいは最初にブラックマトリックスを形成し、その後に互いに異なる色を呈する2色以上の着色画素からなる画素群を形成するようにしてもよい。
本発明において、カラーフィルタを作製する場合は既述のように、本発明の着色組成物を用いて作製された薄膜で高濃度のブラックマトリックス(表示装置用遮光画像)を備えるので、表示コントラストが高く、平坦性に優れている。
【0141】
≪表示素子≫
本発明の金属微粒子含有黒色分散物は、表示素子に好適に用いることができる。前記表示素子としてはプラズマディスプレイ表示装置、EL表示装置、CRT表示装置、液晶表示装置等が挙げられ、中でも液晶表示装置に用いた場合に本発明の本発明の金属微粒子分散物の効果が顕著に発揮される。表示素子の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、隅工業調査会 1990毎発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順幸著、産業図書側 平成元年発行)」などに記載されている。
【0142】
本発明の液晶表示装置は、前記カラーフィルター以外に電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ.視野角補償フィルム、反射防止フィルム、光拡散フィルム、防眩フィルムなどさまざまな部材から一般的に構成される。本発明における遮光画像はこれらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については例えば「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表良吉(株)富士キメラ総研 2003等発行)」に記載されており、LCDの種類としては、STN、TN、VA、IPS、OCS、およびR−OCB等が挙げられる。
【0143】
液晶表示装置の一つとしては、少なくとも一方が光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルター、液晶層および液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式およびアクティブマトリックス駆動方式を含む)を少なくとも備えたものが挙げられる。
前記カラーフィルターとしては、前記のごとき複数の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素が、互いに本発明による遮光画像により離画されているカラーフィルターが好適に用いることができる。前記カラーフィルターは平坦性が高いため、このカラーフィルターを備える液晶表示装置は、カラーフィルターと基板との間にセルギャップムラが発生せず、色ムラ等の表示不良の発生が改善される。
【0144】
また、前記液晶表示装置の別の態様としては、少なくとも一方が光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルター、液晶層および液晶駆動手段を少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、且つ各アクティブ素子の間に本発明の金属微粒子分散物、または、これを用いた着色組成物若しくは感光性転写材料を用いて作製されるブラックマトリックスが形成されているものである。
液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、側工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明の表示装置(液晶表示装置)には特に制限はなく、例えば前記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。本発明はこれらの中でも、特にカラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。
【0145】
また、カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に本発明はもちろんIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置にも適用できる。これらの方式については例えば「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページに記載されている。
【0146】
前記液晶表示装置に用いることのできる液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、強誘電液晶等が挙げられる。
【実施例】
【0147】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、特に限定のない限り、「部」は「質量部」を、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
【0148】
[実施例1]
(1)銀ナノ粒子分散液の調製:金属含有分散液A−1
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを12.0に調整した水溶液2.5Lに、下記構造の高分子化合物PO−1を3.0g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
【0149】
【化1】

【0150】
この溶液を45℃に温度制御し、アスコルビン酸8.5gを含む水溶液と、ハイドロキノン5g及び亜硫酸ナトリウム1.5gを含む水溶液と、硝酸銀30gを含む水溶液とを同時に添加して、黒色の銀ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀微粒子は、算術平均粒径:16.1nm、平均アスペクト比2.2を有する球状粒子がランダムに連結した連結状の粒子であった。調製した銀ナノ粒子含有液に遠心分離処理(12000rpm・30min)を行い、上澄み液を捨てて、蒸留水を加え水洗を3度繰り返した。更に、前記銀ナノ粒子含有液にアセトンを加え、スターラーで攪拌後、遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った。その後、上澄み液を除去して、1−メトキシ−2−プロピルアセテートを加え、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した。これにより得られた銀ナノ粒子分散液は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法によりAg含有量を測定した結果、Ag濃度8.0質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−1の溶剤分散物中の濃度は1.1質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を金属含有分散液A−1とする。
【0151】
得られた金属含有分散液A−1をAg濃度=2.0×10−4モル/Lとなるようにアセトン溶剤で適時に希釈して、(株)日立製作所製「U−3410形自記分光光度計」を用い、分光吸収を測定した。波長400nm〜700nmの範囲での吸収の極小値のモル吸光係数1900L/mol・cmであった。
【0152】
また、上記金属含有分散液A−1において、仕込み時のpHを10.8に調整することにより、アスペクト比の異なる金属含有分散液A−4を調製した。調製した金属含有分散物の中の粒子は球状粒子がランダムに連結した連結状の粒子であった。粒子サイズは:算術平均粒径18.9nm、平均アスペクト比2.6を有していた。
【0153】
(2)球状銀ナノ粒子分散液の調製:S−1
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを11.0に調整した水溶液2.5Lに、前記高分子化合物PO−1を3.0g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。
この溶液を50℃に温度制御し、アスコルビン酸12gを含む水溶液と、硝酸銀30gを含む水溶液とを同時に添加して、黒色の銀ナノ粒子含有液を調製した。
得られた銀微粒子は、算術平均粒径:11nm平均アスペクト比1.2を有する球状の粒子であった。
【0154】
調製した銀ナノ粒子含有液に遠心分離処理(12000rpm・30min)を行い、上澄み液を捨てて、蒸留水を加え水洗を3度繰り返した。更に、前記銀ナノ粒子含有液にアセトンを加え、スターラーで攪拌後、遠心分離処理(12000rpm・30min)を行った。その後、上澄み液を除去して、1−メトキシ−2−プロピルアセテートを加え、ブランソン社製「ソニファー(Sonifier)II型」超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製「モデル(Model)200bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザー」で40kHzの超音波を10分間照射した。これにより得られた銀ナノ粒子分散液は、粒子形成後と同様の形状、色味を有していた。また得られた銀ナノ粒子分散液を原子吸光法によりAg含有量を測定した結果、Ag濃度8.0質量%であった。またTG−DTA(セイコー(株)製)を用いて、乾燥減量から得られた高分子化合物PO−1の溶剤分散物中の濃度は1.0質量%であった。この銀ナノ粒子分散液を金属含有分散液S−1とする。
【0155】
得られた金属含有分散液S−1をAg濃度=2.0×10−4モル/Lとなるようにアセトン溶剤で適時に希釈して、(株)日立製作所製「U−3410形自記分光光度計」を用い、分光吸収を測定した。吸収の極小値のモル吸光係数1400L/mol・cmであった。
【0156】
(3)六角形状銀ナノ粒子分散液の調製:A−2
純水1000mLにP0−2を6.0×10−3%(W/W)となるように添加した。その後、1.0モル/L硝酸銀水溶液50mLと、1.0モル/L亜硫酸ナトリウム水溶液50mLと、1.0モル/Lハイドロキノン水溶液25mLとを60分かけゆっくりと同時添加した。
【0157】
【化2】

【0158】
調製した銀微粒子分散液を、硝酸を滴下しpH4に調整し銀微粒子を凝集沈降させた。
凝集銀微粒子液の上澄み液を除去し、これに蒸留水を加えて静置し再び上澄みを除去した。これを数回繰り返した。
【0159】
上記凝集銀微粒子にメチルエチルケトンを銀が8質量%となるよう加え、ブランソン社製 ソニファー(Sonifier)II型超音波ホモジナイザーを用いて20kHzの超音波を5分間照射した。その後、ブランソン社製モデル(Model)2000bdc−h 40:0.8型超音波ホモジナイザーで40kHzの超音波を10分間照射した。超音波照射の間は、試料液が25℃に維持されるよう、ヤマト科学社製クールニクスCTW400により冷却した。
【0160】
この粒子分散液の透過電子顕微鏡観測を行ったところ、アスペクト比は4.1であった。また算術平均径:32.0nmであった。
【0161】
得られた金属含有分散液A−2をAg濃度=2.0×10−4モル/Lとなるようにメチルエチルケトン溶剤で適時に希釈して、(株)日立製作所製「U−3410形自記分光光度計」を用い、分光吸収を測定した。波長400nm〜700nmの範囲での吸収の極小値のモル吸光係数2670L/mol・cmであった。
【0162】
また、上記の微粒子分散液A−2の調製において、銀塩還元時の反応温度、反応時間を調整することにより、各種アスペクト比の異なる微粒子分散液S−2を調製した。調製した微粒子分散液の粒子性状を下記表1に示す。
【0163】
(4)三角形状銀ナノ粒子分散液の調製:A−3
まず、NANO LETTERS 2002 Vol.2,No.8 903−905に記載されている微粒子の調製方法により、三角平板形状の銀粒子分散液を調製し、得られた分散液に遠心分離処理(10,000r.p.m.20分間)を行ない、上澄み液を捨て適宜P0−2を加え濃縮洗浄を繰り返して行ない、三角平板銀微粒子の微粒子分散液を得た。
得られた三角平板銀微粒子は、算術平均粒径:35nm、平均アスペクト比3.5を有する三角形状の平板粒子であった。
【0164】
得られた三角形状平板微粒子(平均アスペクト比 R=3.5)73.5gと、P−1を2.05gと、メチルエチルケトン16.4gとを混合した。これを、超音波分散機(商品名:Ultrasonic generator model US−6000 ccvp、nissei社製)を用いて分散し、三角形状平板微粒子分散液を調製した。この微粒子分散物をA−3とする。
【0165】
得られた金属含有分散液A−3をAg濃度=2.0×10−4モル/Lとなるようにメチルエチルケトン溶剤で適時に希釈して、(株)日立製作所製「U−3410形自記分光光度計」を用い、分光吸収を測定した。波長400nm〜700nmの範囲での吸収の極小値のモル吸光係数2890L/mol・cmであった。
【0166】
また、上記の微粒子分散液A−3の調製において、銀塩還元時の反応温度、反応時間を調整することにより、各種アスペクト比の異なる微粒子分散液S−3を調製した。調製した微粒子分散液の粒子性状を下記表1に示す。
【0167】
(5)銀錫合金ナノ粒子分散液の調製:A−5
1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、pHを11.6に調整した水溶液2.5Lに、前記高分子化合物PO−1を3g加え、完全に溶解するまで45℃で30分攪拌した。 この溶液50℃に温度制御し、水素化ホウ素ナトリウム3gを含む水溶液酢酸銀(I)23.6g、塩化スズ(II)水和物13.3gを含む水溶液を同時に添加して、黒褐色の銀錫合金ナノ粒子含有液を調製した。得られた微粒子の性状を下記表1に示す。
次いで前記(1)と同様に得られた金属微粒子を処理し、銀錫合金ナノ粒子分散液A−5とした。
【0168】
【表1】

【0169】
<感光性遮光層用塗布液の調製>
下記組成を混合して、感光性遮光層用塗布液を調製した。
〔組成〕
・金属微粒子分散液A−1 50.00部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 28.6部
・メチルエチルケトン 37.6部
・フッ素系界面活性剤 0.2部
(商品名:F176PF、大日本インキ化学工業(株)製)
・ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.001部
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(モル比=73/27、分子量30000)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA(日本化薬社製))
ここで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量は、塗布液におけるベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体の量を1としたときの質量比率で0.9となる量とし、且つ、上記金属微粒子分散液A−1の体積分率が0.13になるような量とした。
・ビス[4−[N−[4−(4、6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン−2−イル)フェニル]カルバモイル]フェニル]セバケート 0.1部
【0170】
<保護層用塗布液の調製>
下記組成を混合して、保護層用塗布液を調製した。
・ポリビニルアルコール 3.0部
(商品名:PVA205、(株)クラレ製)
・ポリビニルピロリドン 1.3部
(商品名:PVP−K30、アイエスピー・ジャパン社製)
・蒸留水 50.7部
・メチルアルコール 45.0部
【0171】
<感光材料の作製>
ガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が0.7μmになるように上記感光性遮光層用塗布液を塗布して100℃で5分間乾燥し感光性遮光層を形成した。次いで、この上にスピンコーターを用いて上記保護層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布して、100℃で5分間乾燥し保護層を形成して、本発明の感光材料T−1を作製した。
【0172】
他方、感光材料T−1と同様に、金属微粒子分散液A−1の調製の際、それぞれ、表1に記載の微粒子分散物S−1、A−2、A−3、S−2、S−3、A−4、A−5を用いて感光材料T−2〜8を作製した。
【0173】
《ブラックマトリックスの作製》
超高圧水銀灯を有すプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング(株)製)で、前記各感光材料の基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と保護層を塗布面の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cm2でパターン露光した。次いで、現像処理液TCD(富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用いて現像処理(33℃・20秒)を行った。画面サイズ10インチで、画素数が480×640であり、また、ブラックマトリックス幅が24μmで、画素部の開口が86μm×304μmであるブラックマトリックスB−1〜B−8を得た。以下表2にまとめた。
【0174】
《評価》
得られたブラックマトリックスについて下記の評価を行った。結果を下記表2に示す。
−光学濃度の測定−
膜の光学濃度は以下の方法で測定した。
まず、ブラックマトリックス作製前のガラス基板上に塗設された感光性遮光層に前記超高圧水銀灯を用いて塗布面側から500mJ/cm2の露光を行った。次いで、この光学濃度(O.D.)をマクベス濃度計(商品名:TD−904、マクベス社製)を用いて測定し、更に240℃120分ベークを行った後に光学濃度(O.D.)を測定した。別途、ガラス基板の光学濃度(OD)を同様の方法で測定し、上記O.D.からODを差し引いて、ベーク前及び後における膜の光学濃度とした。
【0175】
《ブラックマトリックスの反射率測定》
スペクトロフォトメーターV−560(日本分光(株)製)と組み合わせた、絶対反射率測定装置ARV−474(日本分光(株)製)を用いて、遮光膜(M)の反射率として、基板の反対側(塗布膜の形成されている面側)の絶対反射率を測定した。尚、測定角度は垂直方向から5度、波長は555nmとした。
【0176】
《ブラックマトリックス反射色相》
大塚電子製の顕微分光光度計「MCPD−2000」を用いて、反射光のスペクトルからC光源における原刺激値X、Y、Zを計算し、(x、y)を求めた。
【0177】
【表2】

【0178】
表2から、本発明の金属微粒子含有黒色分散物を用いて得られたブラックマトリックスは、ODが高く、色味も黒色を維持しており、低反射率でブラックマトリクスとしての品位が高かった。
これに対し、比較例は反射率が高く、ブラックマトリックスとして満足のいく性能を発揮できなかった。
【0179】
[実施例2]
(液晶表示装置の作製)
上記で得られたブラックマトリックスを形成した基板を用いて、特開平11−242243号公報の第一実施例[0079]〜[0082]に記載の方法を用いて、液晶表示装置R−1を作製したところ、誤作動なく表示することを確認した。
【0180】
他方、前記ブラックマトリックスB−1をB−2〜B−8に置き換えた以外は液晶表示装置R−1の作製と同様にして、液晶表示装置R−2〜R−8を作製したところ誤作動なく表示することを確認した。
【0181】
《ムラ評価》
液晶表示装置にグレイのテスト信号を入力させた時に、表示部を目視およびルーペにて観察し、ムラの発生の有無を判断した。ムラがまったく観察されなかったものを「◎」、ムラがわずかに確認されたものを「○」、ムラが顕著に確認されたものを「×」とした。
評価結果を表3にまとめた。
【0182】
【表3】

【0183】
表3から、本発明の金属微粒子含有黒色分散物を用いた液晶表示装置は、表示ムラがなく表示品質が良く、より表示品位の高い液晶表示装置が提供できることがわかる。
【0184】
[実施例3]
《感光性転写材料の作製》
2軸延伸した75μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体(仮支持体)の表面に、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・ジャパン社製、商品名:MH−1600)を用いて、下記のように調製した熱可塑性樹脂層用塗布液を厚みが15μmになるように塗布して100℃で5分間乾燥し、熱可塑性樹脂層を形成した。次いで、この上に実施例1における保護層用塗布液と同組成の中間層用塗布液を乾燥膜厚が1.5μmになるように塗布して、100℃で5分間乾燥し、中間層を形成した。更にこの上に、実施例1の感光性遮光層用塗布液(金属微粒子分散液A−1を含む)を、乾燥膜厚0.7μmになるよう塗布して100℃で5分間乾燥し、感光性遮光層を形成し、感光性転写材料を作製した。
【0185】
<熱可塑性樹脂層用塗布液の調製>
下記組成を混合して熱可塑性樹脂層用塗布液を調製した。
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(55/11.7/4.5/28.8)の共重合体(分子量80000)
58部
・スチレン/アクリル酸=63/37の共重合体(分子量7000)
136部
・2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン
(新中村化学工業(株)製、多官能アクリレート) 90部
・フッ素系界面活性剤 1部
(商品名:F780F、大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 541部
・1−メトキシ−2−プロパノール 63部
・メチルアルコール 111部
【0186】
《感光材料の作製》
ガラス基板と前記より得られた感光性転写材料とを、感光性遮光層がガラス基板に接触するように重ね合わせ、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用いて両者を貼り合わせた。ラミネーション条件は、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分であった。その後、感光性転写材料から仮支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を剥離し、感光材料を作製した。
【0187】
《ブラックマトリックスの作製》
実施例1の《ブラックマトリックスの作製》において示した露光機、露光条件にて露光を行った。次いで以下の3工程の現像処理を行い、ブラックマトリックスH−1を得た。
〔現像処理〕
第1工程:現像処理液(商品名:T−PD1、富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度30℃・40秒の条件で現像処理を行った。
第2工程:現像処理液(商品名:T−CD1、富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度33℃・20秒の条件で現像処理を行った。
第3工程:現像処理液(商品名:T−SD1、富士写真フイルム(株)製、アルカリ現像液)を用い、温度33℃・20秒の条件で現像処理を行った。
【0188】
他方、本実施例の《感光性転写材料の作製》において、感光性遮光層用塗布液のみを置き換えた以外は、ブラックマトリックスH−1の作製と同様にして、ブラックマトリックスH−2〜H−8を得た。なお、ブラックマトリックスH−2〜H−8の作製において、置き換えた感光性遮光層塗布液中の金属微粒子分散液は、それぞれ、金属微粒子分散液S−1、A−2、A−3、S−2、S−3、A−4、A−5である。
【0189】
《評価》
実施例1と同様にして、ブラックマトリックスの光学濃度と品位との評価を行った。結果を下記表4に示す。
【0190】
【表4】

【0191】
表4から、本発明のブラックマトリックスは、いずれも3.5以上のODを有し、反射率が低く、反射色味も黒色を維持しており、ブラックマトリクスとしての品位が高かった。
【0192】
<カラーフィルターの作製および評価>
本発明および比較例で得られた格子状遮光画像(ブラックマトリクス)に対し、特開2004−347831号公報の[0075]〜[0086]に記載の転写型の感光性樹脂フィルムを用いて赤色、緑色、青色の所定サイズ、形状の着色パターンを形成しカラーフィルターを作製した。
本発明において、比較例で作製したカラーフィルターと比較して、特に欠陥がないカラーフィルターが作製できた。
【0193】
<液晶表示装置の作製および評価>
前記で得られた本発明のカラーフィルター、および比較例のカラーフィルターを用いて液晶表示装置を形成した。
比較例のカラーフィルターを用いた液晶表示装置と比較して、本発明のカラーフィルターを用いた液晶表示装置が良好な表示特性を示すことを確認した。
【0194】
<液晶表示装置の作製および評価>
前記で得られた本発明のカラーフィルター、および比較例のカラーフィルターを用い、RGBのパターンに対応してガラス基板上に薄膜トランジスタ、画素電極を形成し、配向膜を設けたアクティブマトリックス基板を作製した。次いで、カラーフィルター上にITOと配向膜を形成し対向基板を作製した。このアクティブマトリクス基板と対向電極間にTN液晶を封入し、シール剤を介して貼り合わせ、各基板の両側に偏光板をクロスニコルにて配置し、アクティブマトリックス基板側にバックライトを配置して液晶表示装置とした。
比較例のカラーフィルターを用いた液晶表示装置と比較して、本発明のカラーフィルターを用いた液晶表示装置の方が良好な表示特性を示すことを確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視分光波長400nm〜700nmの範囲において、分光吸収スペクトルの極小値におけるモル吸光係数が1800L/mol・cm以上であることを特徴とする金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項2】
前記金属微粒子の可視分光波長400nm〜700nmの範囲における、分光吸収スペクトルの極大値/極小値におけるモル吸光係数の比が1.0〜3.0の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項3】
前記金属微粒子が銀または銀を含有する化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項4】
前記金属微粒子分散物が、球相当直径50nm以下の金属微粒子からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項5】
前記金属微粒子分散物が、三角形状及びまたは六角形状の主平面を有する平板状粒子を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項6】
前記金属微粒子分散物が、三角形状の主平面を有する平板状粒子であり、少なくともアスペクト比1.1〜4.0の粒子を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項7】
前記金属微粒子分散物が、六角形状の主平面を有する平板状粒子であり、少なくともアスペクト比1.2〜6.0の粒子を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項8】
可視分光波長400nm〜700nmの範囲において、分光吸収スペクトルの極小値におけるモル吸光係数が1900L/mol・cm以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物を含む着色組成物。
【請求項10】
仮支持体上に少なくとも一層の感光性遮光層を設けた感光性転写材料であって、前記感光性遮光層が請求項9に記載の着色組成物を用いてなることを特徴とする感光性転写材料。
【請求項11】
請求項10に記載の感光性転写材料を用いて作製される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか1項に記載の金属微粒子含有黒色分散物を用いて形成される遮光画像を有することを特徴とする遮光画像付き基板。
【請求項13】
請求項9に記載の着色組成物を用いて形成されることを特徴とするカラーフィルター。
【請求項14】
請求項9に記載の着色組成物を用いて形成されることを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2008−3150(P2008−3150A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170297(P2006−170297)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】