説明

金属酸化物微粒子含有カチオン重合型組成物

空気中での硬化が迅速でフィルム形成性が良好で厚膜化も可能であり、硬化後の皮膜の透明性に優れ、硬化時の残存応力を低減し密着性が高く、かつ、高表面硬度、耐磨耗性、紫外線および熱線遮蔽性、導電性、抗菌性等の特性が付与可能なカチオン重合型組成物を提供することにある。(A)成分:分子中にオキセタニル基を1個有する単官能オキセタン化合物、(B)成分:分子中に2個以上のカチオン開環重合性を有する環状エーテル残基を有する化合物、(C)成分:潜在性を有するカチオン重合開始剤、および、(D)成分:粒径が1〜1000nmである金属酸化物微粒子からなるカチオン重合型組成物であり、空気中での活性エネルギー線照射により良好な硬化性を示し、かつ、得られた塗膜は硬化皮膜中の残存応力が低く密着性に優れていること、(D)成分が安定に分散し、高表面硬度、耐磨耗性、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、導電性、抗菌性等の特性が付与可能なことを見出し本発明を完成させるに至った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、塗料またはコーティング剤等に有用な硬化性樹脂組成物に関し、更に詳しくは、光照射あるいは加熱により短時間で硬化し透明性に優れた塗膜を形成でき、プラスティックおよび金属等の基材に反り等の悪影響を与える残存応力を低減し密着性に優れ、かつ、金属酸化物微粒子の選択により、高表面硬度、耐磨耗性、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、導電性、および抗菌性等の特性が付与可能であり、また、形成される皮膜の屈折率も調整可能な硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
紫外線(UV)開始硬化の分野においては、多官能アクリレート及び不飽和ポリエステル等を用いた光開始ラジカル重合が広く検討され、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤、光造形、およびレジストインキ等多くの分野で工業的に利用されている。しかし、ラジカル重合は空気中の酸素によって阻害されるため、表面層の硬化が遅く、後工程において表面が汚れたり、傷がつきやすい等の欠点がある。とりわけ、スプレー塗装またはグラビヤ印刷等で用いられる2〜3μm以下の薄膜の場合、酸素阻害の影響が大きく、空気中では硬化し難いという問題点がある。また、ラジカル重合型の活性エネルギー線硬化型樹脂は、硬化収縮が大きく、基材との密着性に劣る、という問題点がある。
これに対して光開始カチオン重合は、上記光開始ラジカル重合とは異なり酸素による重合阻害を受けないため、空気中においても完全に重合させることが可能である。また、開環重合性のモノマーであるエポキシドを用いた場合には、低硬化収縮であるので基材との密着性に優れ、同時に、耐熱性や耐薬品性の良好な硬化物を得ることが可能である。しかしながら、光カチオン硬化型エポキシ化合物はエポキシ基の光重合速度が比較的遅いため、速やかな光硬化性が要求される用途に対しては、好適とはいい難いものであった。すなわち、硬化速度が遅く、塗膜表面が傷つき易い等の問題点を有している(例えば、特開平6−228413号参照)。
一方、通常オキセタニル基のカチオン重合速度は、エポキシ化合物を配合することにより大きく加速され迅速な硬化を示すことが報告されている(例えば、特開平7−053711号および特開平7−062082号などを参照)。また、オキセタニル基を有する化合物の光開始カチオン重合用のモノマーとしての応用が開示されている(例えば、特開平6−016804号参照)。しかしながら、上記オキセタン化合物と脂環式エポキシ化合物からなる組成物の硬化膜は一般に基材との密着性が低いことが報告されていた(高分子学会編、「ポリマーフロンティア21シリーズ」、2001年、6巻、p.77−101.参照)。
一分子中に芳香環とオキセタニル基をそれぞれ一個有する、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタンをエポキシ化合物と配合してなる光硬化性組成物は、低粘度で硬化性に優れ、かつ、硬化物の強度と伸びに優れることが開示されている(例えば、特開平11−140279号参照)。また、同様な組成物が密着性に優れた皮膜を形成し、その密着性の発現機構が硬化時の応力緩和に起因することが当該発明者により報告されている(H.Sasaki,「Rad Tech North America」,2002年,p.64−78.参照)。
一方、これらの有機系硬化型材料に対して金属酸化物微粒子等の無機材料を添加することにより形成する塗膜に多様な機能を付加する検討が報告されている(例えば、「微粒子工学大系、第二巻応用技術」、フジ・テクノシステム、2002年、p.275−285および「無機・有機ハイブリッド材料の開発と応用」、シーエムシー、2000年、p.54−73参照)。
光硬化型材料と微粒子状無機物との組み合わせに関しては、有機シラン化合物及び/又はその加水分解物から得られた樹脂をビヒクルとし平均粒子径が1〜300nmの微粒子状無機物とからなる透明材料であって、当該微粒子状無機物が透明材料に5〜80重量%で含有するものが報告されている(例えば、特公平3−2459号参照)。この材料は、その硬化が有機シラン化合物の加熱による脱水縮合等に依存しているため反応が遅く、硬化の完結までに数時間ないし数十時間を要し、また、加熱硬化の前後における収縮率の変化が顕著でありフィルム形成性にも乏しいので、被覆材を厚膜化することが困難であった。
このような欠点を改良できるものとして、下記のようなものが報告されている。
メタクリロキシシランで修飾したコロイダルシリカを硬化性金属酸化物粒子とするものが開示されており、当該硬化性金属酸化物粒子を、アクリレート樹脂と混合し、光硬化型のコーティング材料として用いることを提案している(例えば、特公昭62−21815号参照)。しかしながら、密着性および表面硬度に優れる硬化膜を提供できる組成物を得ることはできなかった。
透明、高屈折率かつ高硬度、耐摩耗性を持つ硬化物を与える、特にコーティング材として好適に用いることができる液状硬化性樹脂組成物として、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物、分子中に重合性不飽和基とアルコキシシラン基とを有する化合物と、ジルコニウム、アンチモン、亜鉛、錫、セリウムおよびチタンよりなる群から選ばれる金属の酸化物の粒子を反応させて得られる反応生成物並びに放射線重合開始剤を含有する液状硬化性樹脂組成物ものが報告されている(例えば、特開2000−143924号参照)。
これらは、全てラジカル重合性の材料を用いているため、前述の、薄膜の硬化不良、硬化収縮による基材との密着性不良棟の問題点は依然として残っていた。
また、有機珪素化合物で表面処理したコロイダルシリカを入れて硬化後の硬度を向上させた放射線硬化可能なモノマーをバインダーとして使用することが報告されている(例えば、特開平8−217991号参照)。
しかしながら、開示された技術において重合型材料として用いられているものはラジカル重合型材料に関してのみであり、また、形成される皮膜の硬度は充分とは言いがたく、これらに開示された技術から、空気中での硬化速度に優れ、且つ、密着性および表面硬度に優れた硬化膜を提供できる組成物を得ることはできなかった。
加水分解性基を有するオキセタン化合物と反応させた金属酸化物粒子を配合した硬化性組成物が報告され、これは保存安定性を有し、これを配合した組成物における硬化性能が優れるものである(例えば、特開2000−26730号参照)。しかしながら、これは本願の金属酸化物微粒子と異なり、更に組成物の硬化後の性状も異なるものである。
このようにカチオン重合成組成物に表面処理した金属酸化物粒子を含有させて硬化後の硬度を向上させた報告が認められるが,表面処理をしていない金属酸化物粒子を含有させることで硬化後の硬度を向上させるものはなかった。
【発明の開示】
本発明の目的は、上記したような従来の技術の問題点を解消して、空気中での硬化が迅速でフィルム形成性が良好で厚膜化も可能であり、硬化後の皮膜の透明性に優れ、硬化時の残存応力を低減し密着性が高く、かつ、高表面硬度、耐磨耗性、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、導電性、抗菌性等の特性が付与可能なカチオン重合型組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(A)成分:分子中にオキセタニル基を1個有する単官能オキセタン化合物、(B)成分:分子中に2個以上のカチオン開環重合性を有する環状エーテル残基を有する化合物、(C)成分:潜在性を有するカチオン重合開始剤、および、(D)成分:粒径が1〜1000nmである金属酸化物微粒子、からなるカチオン重合型組成物であり、空気中での活性エネルギー線照射により良好な硬化性を示し、かつ、得られた塗膜は硬化皮膜中の残存応力が低く密着性に優れていること、(D)成分が安定に分散し、高表面硬度、耐磨粍性、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、導電性、抗菌性等の特性が付与可能なことを見出し本発明を完成させるに至った。
1.(A)成分:分子中にオキセタニル基を1個有する単官能オキセタン化合物、(B)成分:分子中に2個以上のカチオン開環重合性を有する環状エーテル残基を有する化合物、(C)成分:潜在性を有するカチオン重合開始剤、および(D)成分:粒径が1〜1000nmである金属酸化物微粒子、からなるカチオン重合型組成物。
2.(D)成分がシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、およびアンチモンドープ酸化スズから選ばれる少なくとも1種以上である上記1記載のカチオン重合型組成物。
3.(D)成分がシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化スズである上記1記載のカチオン重合型組成物。
4.(D)成分がシリカである上記1記載のカチオン重合型組成物。
5.(A)成分および(B)成分からなる重合性材料の合計量100質量部中に(A)成分が10〜80質量部配合されていることを特徴とする上記1〜4にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物。
6.(A)成分のうち少なくとも一部が分子中に芳香族を有する単官能オキセタン化合物であることを特徴とする上記1〜5にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物。
7.(B)成分のうち少なくとも一部が分子中に2個以上のグリシジルエーテル残基および芳香族を有するエポキシ化合物であることを特徴とする上記1〜6に記載のカチオン重合型組成物。
8.(B)成分のうち少なくとも一部が、置換あるいは非置換のビスフェノール樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のノボラック樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のビフェノール樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のナフタレン樹脂グリシジルエーテルから選ばれる分子中に二個以上のグリシジルエーテル残基を有するエポキシ化合物であることを特徴とする上記1〜7にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物。
9.(C)成分が光潜在性を有するオニウム塩であることを特徴とする上記1〜8に記載のカチオン重合型組成物。
10.(C)成分のアニオン残基として、SbF、AsF、B(Cから選ばれる一種を有するオニウム塩であることを特徴とする上記1〜9にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物。
11.(E)成分として、有機ケイ素化合物を添加することを特徴とする上記1〜10にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物
12.(E)成分として用いる有機ケイ素化合物がカチオン重合性基を有することを特徴とする上記1〜11にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
○(A)成分
本発明における(A)成分は、分子中にオキセタニル基を1個有する単官能オキセタン化合物であり、下記一般式(1)で表されるオキセタン化合物が挙げられる。

式(1)中、Rは水素原子または直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは、ハロゲン基および/または炭素数1〜4のアルキル基を有してもよい直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜8個のアルキル基、ハロゲン基を有してもよいフェニル基若しくはナフチル基、ハロゲン基を有してもよい炭素数4〜7個のシクロアルキル基を表し、RおよびRは、水素原子または直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは酸素原子である。
式(1)のRとしては、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、更にメチル基またはエチル基が好ましく、特にエチル基が好ましい。
式(1)のRとしては、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜8個のアルキル基、ハロゲン基および/または炭素数1〜4のアルキル基を有してもよいフェニル基若しくはナフチル基、炭素数4〜7個のシクロアルキル基が好ましく、更に直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜8個のアルキル基、ハロゲン基および/または炭素数1〜4のアルキル基を有してもよいフェニル基若しくはナフチル基が好ましく、特にフェニル基が好ましい。
式(1)のRおよびRとしては、水素原子または直鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、更に水素原子が好ましい。
式(1)の例としては、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタンなどが挙げられ、好ましいものとしては、分子中に芳香族基を有する誘導体である、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亜合成製のOXT−211(商品名))が例示できる。
(A)成分は、(A)成分および(B)成分からなる重合性材料の合計量100質量部中に(A)成分が10〜80質量部配合されることが好ましく、更に20〜70質量部配合されることが好ましく、30〜60質量部配合されることが特に好ましい。
○(B)成分
本発明における(B)成分は分子中に開環重合性の環状エーテル基を2個以上有する化合物であり、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、エポキシ化合物とラクトンとの反応生成物であるスピロオルソエステル化合物などを挙げることができる。これら化合物は、1種を単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシルレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなどを例示できる。更に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエンなどを例示することができる。
オキセタン化合物としては、分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物であれば特に制限なく使用できる。具体的には、特開平8−85775号公報および特開平8−134405号公報などに記載された各種のオキセタン化合物が挙げられる。2官能オキセタンの例としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテルなどが挙げられる。これらの化合物として、東亜合成(株)製のアロンオキセタンOXT−121およびOXT−221(いずれも商品名)などが挙げられる。
分子中に2個以上のカチオン開環重合性を有する環状エーテル残基を有する(B)成分の好ましいものは、分子中に二個以上のグリシジルエーテル残基および芳香族基を有するエポキシ化合物であり、具体的には、置換あるいは非置換のビスフェノール樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のノボラック樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のビフェノール樹脂グリシジルエーテルが挙げられる。
上述の分子中に二個以上のグリシジルエーテル残基および芳香族基を有するエポキシ化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が、(B)成分中に10〜100質量%配合されることが好ましく、50〜100質量%配合されることが更に好ましい。
○(C)成分
本発明における(C)成分は、潜在性を有するカチオン重合開始剤であり、活性エネルギー線あるいは熱の適応により活性化され酸成分を生成し、組成物中の開環重合性基のカチオン開環重合を誘発するように作用するものである。
活性エネルギー線のうち光に潜在性を有するカチオン重合開始剤としては、光が照射されて活性化され開環重合性基の開環を誘発し得る限り任意の光カチオン重合開始剤が用いることができ、光カチオン重合開始剤としては、オニウム塩類および有機金属錯体類などを例示することができる。オニウム塩類としては、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩およびヨードニウム塩が挙げられる。また、有機金属錯体類としては、例えば、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体およびアリールシラノール−アルミニウム錯体などが挙げられる。
熱潜在性を有するカチオン重合開始剤としては、加熱により活性化され開環重合性基の開環を誘発する限り任意の熱カチオン重合開始剤が用いられ、第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩などの各種オニウム塩類、有機金属錯体類などが例示される。
(C)成分としては、アニオン残基として、SbF、AsF、B(Cから選ばれる一種を有するものが、好ましいものとして挙げられる。
具体的に(C)成分としては、光潜在性を有するものとして、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−150(いずれも商品名、旭電化工業(株)製)、UV9380C(商品名、GE東芝シリコーン社製)、ロードシル2074(商品名、ローディア社製)などを、熱潜在性を有するものとして、アデカオプトンCP−66およびアデカオプトンCP−77(いずれも商品名、旭電化工業(株)製)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80LおよびサンエイドSI−100L(いずれも商品名、三新化学工業(株)製)等を利用することができる。
(C)成分の配合割合は、(A)成分および(B)成分からなる重合性材料の合計量100質量部中に対し、0.01〜5質量部が好ましく、更に0.1〜4質量部が好ましい。潜在性カチオン重合開始剤の配合割合が0.01質量部未満の場合には、光あるいは熱の作用により活性化しても、開環重合性基の開環反応を十分に進行させることができないことがあり、重合後の耐熱性および吸水率が不十分となる場合が有る。また、5質量部を超えて配合したとしても、重合を進行する作用はそれ以上高まらず、逆に耐熱性などの他の特性が低下することがある。
(D)成分:金属酸化物微粒子
本発明において、(D)成分として用いられる金属酸化物微粒子の種類は、特に制限されるものではないが、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アンチモン、アンチモンドープ酸化スズ、および酸化スズなどの粒子が挙げられ、更に好ましくは、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、および酸化スズなどが挙げられる。これらの粒子は、1種単独で使用することもできるし、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
なお、金属酸化物微粒子として、シリカがより好ましい。シリカは、シリカを主成分とする粒子であれば良く、シリカ以外の他の成分を含んでいても良い。このようなシリカ以外の成分としてはアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化硼素、酸化スズ、酸化リン等を挙げることができる。
(D)成分の配合量は、(A)および(B)成分からなる重合性材料の合計量100質量部中に対し、1〜500質量部配合されるのが好ましく、10〜300質量部配合されるのがより好ましく、特に30〜200質量部配合されるのが好ましい。配合量が1質量部以下であった場合、金属酸化物微粒子の添加による硬化皮膜の改質が充分ではなく、500質量部を超えた場合、分散が困難となり均一な皮膜を得ることが困難となってしまう。
(D)成分の平均粒子径(粒径)は、1〜1000nmが例示できるが、1〜500nmが好ましく、2〜200nmが更に好ましく、2〜50nmが特に好ましく、更に5〜50nmが特に好ましい。粒子の粒径が1nm未満であると、取り扱いや混合分散が困難となる傾向があり、一方、1000nmを超えると、樹脂に混合分散させた場合に、沈降しやすくなったり、樹脂の透明性が低下しやすい傾向がある。
(D)成分の粒径が10μmを超えると活性エネルギー線特に紫外線などの光による硬化が困難となる傾向にある。
(D)成分の比表面積は、0.1〜3000m/gの範囲内の値とするのが好ましく、更に10〜1500m/gが好ましい。粒子の比表面積が0.1m/g未満となると樹脂に混合分散させた場合に、沈降しやすくなったり、樹脂の透明性が低下しやすい傾向がある。一方、粒子の比表面積が3000m/gを超えると、取り扱いや混合分散が困難となる傾向がある。
さらに、(D)成分の粒子の形状も特に制限されるものではないが、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状もしくは不定形状の群から選ばれる少なくとも一つの形状であることが好ましい。但し、分散性がより良好な観点から、球状粒子を使用することがより好ましい。
また、(D)成分の粒子の使用状態は特に制限されるものではないが、例えば、乾燥状態で使用することができるし、あるいは水もしくは有機溶剤に分散した状態で使用することもできる。また、分散溶媒を用いて、微粒子状のシリカ粒子を分散させた状態の液を用いることもでき、特に透明性を追求する目的においては好ましい。
ここで、分散溶媒が有機溶剤の場合、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等を使用することができる。なお、より好ましい分散溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン等である。また、これらの有機溶剤と相溶するこれら以外の有機溶剤または水との混合物として用いてもよい。
○(E)成分:有機ケイ素化合物
本発明において、必要に応じて下記式(2)で表わされる有機シラン化合物及びその加水分解生成物である有機ケイ素化合物を(E)成分として用いることができる。
(R−Si−(Y)4−n (2)
式(2)式中、RはSi−C結合を介してケイ素と結合した炭素数が1〜12である有機基、Yは加水分解性基、およびnは0〜3の整数である。
一般式(2)における有機基Rは、Si−C結合を介して珪素と結合した炭素数が1〜12である1価の有機基の中から選ぶことができる。このような有機基として、非重合性の有機基および重合性の有機基あるいはいずれか一方の有機基を選ぶことができる。
式(2)の非重合性の有機基Rとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、環状あるいはこれらの組み合わせであっても良い。
式(2)のより具体的な有機基Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、およびハロゲン化アルキル基が挙げられる。これらのアルキル基のうち、より好ましくはメチル基である。また、非重合性の有機基Rにおける具体的なアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、およびハロゲン化アリール基が挙げられる。これらのうち、より好ましくはフェニル基である。
また、式(2)の非重合性の有機基Rとしては、ヘテロ原子を含む構造単位とすることもできる。そのような構造単位としては、エーテル結合、エステル結合を例示することができる。また、ヘテロ原子を含む場合、非塩基性であることが好ましい。
また、式(2)の重合性の有機基Rとしては、分子中にカチオン重合性の官能基を有する有機基であることが好ましい。このような官能基を導入することにより、カチオン重合を併用して、光硬化性樹脂組成物をより有効に硬化させることができ、硬化後の材料の強度、硬度を増す効果がある。カチオン重合性の官能基を有する有機基Rとしては、環状エーテル構造を有する有機基等が挙げられる。かかる環状エーテル基としては、直鎖や環状構造を有する3〜6員環の環状エーテル構造、より具体的にはグリシジル基、オキセタニル基、テトラヒドロフラン構造を含む基、及びピラン構造を含む基を挙げることができる。
これらの環状エーテル基のうち、より好ましいものはグリシジル基、オキセタニル基等の4員環以下の環状エーテル構造である。また、環状エーテル構造を有する有機基の具体例を示すと、グリシジルプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、メチルオキセタニルメトキシプロピル基、エチルオキセタニルメトキシプロピル基等を挙げることができる。
次に、一般式(2)における加水分解性基Yの具体的内容について説明する。本発明において、加水分解性基Yは、炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましい。
式(2)のYにおける好ましい炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキシ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、あるいは、グリシジロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エトキシ基等のエポキシ基含有アルコキシ基、メチルオキセタニルメトキシ基、エチルオキセタニルメトキシ基等のオキセタニル基含有アルコキシ基等を挙げることができる。
(E)成分を活性エネルギー線硬化性のカチオン重合型組成物中に配合する場合、(D)成分である金属酸化物微粒子100質量部に対して75質量部以下の量で使用するのが好ましく、50質量部以下が更に好ましい。(E)成分が75質量部を上回る量では、フィルムの強度低下のほか、光学的性質の低下、コストの増加などの問題を生ずることがある。
なお、(E)成分は、主に(D)成分の表面処理することに用いられる。
○有機溶媒
本発明の組成物において、必要に応じて有機溶媒を配合することができる。このような有機溶媒としては、本発明の目的、効果を損なわない範囲で選ぶことができるが、通常、大気圧下での沸点が50〜200℃の範囲内の値を有する有機化合物であり、各成分を均一に溶解させる有機化合物が好ましい。好ましい有機溶媒を示すと、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
これらの中で、より好ましい有機溶媒を示すと、アルコール類、エーテル類、ケトン類をあげることができる。さらに好ましくは、アルコール類、ケトン類である。
○他の任意成分
本発明のカチオン重合型組成物には、必要に応じて次のような成分を添加配合することができる。
本発明のカチオン重合型組成物に配合できる任意成分として、粉末状の補強剤や充填剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、カオリン、マイカ、石英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン等があり、さらに繊維質の補強剤や充填剤、たとえばガラス繊維、セラミック繊維、カーボンファイバー、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維等がある。これらは本発明の組成物100質量部に対して、900質量部以下の配合が好ましく、700質量部以下が更に好ましく、300質量部以下が特に好ましい。
更に本発明のカチオン重合型組成物に配合できる任意成分として、着色剤、顔料、難燃剤、例えば二酸化チタン、鉄黒、モリブデン赤、紺青、群青、カドミウム黄、カドミウム赤、三酸化アンチモン、赤燐、ブロム化合物及びトリフェニルホスフェイト等も配合することができる。これらは本発明の組成物100質量部に対して、20質量部以下の配合が好ましく、15質量部以下が更に好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
更に本発明のカチオン重合型組成物に配合できる任意成分として、最終的な接着層、成形品などにおける樹脂の性質を改善する目的で種々の硬化性モノマー、オリゴマー及び合成樹脂を配合することができる。例えば、モノエポキシ等のエポキシ樹脂用希釈剤、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これら樹脂類の配合割合は、本発明の樹脂組成物の本来の性質を損なわない範囲の量、すなわち本発明の組成物100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下が更に好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
本発明の組成物における各成分および任意成分の配合手段としては、加熱溶融混合、ロール、ニーダーによる溶融混練、適当な有機溶剤を用いての湿式混合及び乾式混合等が挙げられる。
○硬化方法
本発明のカチオン重合型組成物において活性エネルギー線特に光照射により硬化を行う場合、用いることのできる光源としては特に限定されるものではない。例えば、波長400nm以下に発光分布を有する、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯およびメタルハライドランプなどを用いることができる。組成物への光照射強度は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではないが、光カチオン重合開始剤の活性化に有効な光波長領域(光重合開始剤によって異なるが、通常250〜420nmの光が用いられる。)の光照射強度が0.1〜100mW/cmであることが好ましい。組成物への光照射強度が0.1mW/cm未満であると、反応時間が長くなり過ぎ、100mW/cmを超えると、ランプから輻射される熱および組成物の重合時の発熱により、得られる硬化物の黄変あるいは支持体の劣化が生じる恐れがある。
組成物への光照射時間は、目的とする製品毎に制御されるものであって特に限定されるものではないが、前記光波長領域での光照射強度と光照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cmとなるように設定されることが好ましい。組成物への積算光量が10mJ/cm未満であると、光カチオン重合開始剤よりの活性種の発生が十分でなく、得られる硬化物の硬度および耐熱性の低下が生じるおそれがあり、5,000mJ/cmを超えると、照射時間が非常に長時間となり、生産性向上のためには不利なものとなる。
また、熱により重合を行う場合は一般的に知られた方法により熱を適応する事ができ、その条件などは特に限定されるものではない。
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、各例中の部は質量部を意味する。
<実施例1〜3および比較例1、2>
(A)成分として、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(OXT−211(商品名)、東亜合成(株)製)、
(B)成分として、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE、商品名:エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)製)、
(C)成分として、光潜在性を有するオニウム塩であるテトラアリルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(SP−170、商品名:オプトマーSP−170、旭電化工業(株)製)、
(D)成分として、メチルエチルケトンに分散したコロイダルシリカ(MEK−ST(商品名、日産化学(株)製)固形分=30wt%、有機溶剤=メチルエチルケトン、シリカ粒径=約10〜20nm)、
および、メチルエチルケトンを表1に示した配合比(質量)で、均一になるよう室温で充分攪拌混合し、実施例1〜3および比較例1、2の硬化性組成物を得た。
なお、(C)成分は重合性成分100質量部に対して2質量部添加した。
そして重合性材料と(D)成分(金属酸化物微粒子)を合わせたものが250質量部となるように、メチルエチルケトンの添加量を調整した。
上記組成物を#30のバーコーターにて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムあるいはメタクリル樹脂(PMMA)板に塗布し、80℃で10分間保持して溶媒を除去した後、120W/cmの高圧水銀灯(ランプ高さ10cm)にて、コンベアスピード10m/秒で2回紫外線照射することにより光硬化を行い、その後、これらの硬化物を100℃のオーブン中で1時間、後硬化を行った(膜厚約10μm)。
実施例1〜3および比較例1、2の密着性、鉛筆硬度、フィルムのカールの有無、耐スクラッチ性およびテーバー磨耗などの評価結果を表1に、また微小硬度測定結果を表2に示した。表2のPMMAは、メタクリル樹脂板のみで測定したものである。
なお、評価は以下に示した方法で行った。
密着性:JIS K−5400に従い、硬化塗膜の密着性の評価を碁盤目試験により行った。
○:剥がれ無し
△:若干剥がれ有り
×:全面剥がれ
鉛筆硬度:JIS D−0202に従い、硬化塗膜の鉛筆硬度測定を行った。
フィルムのカール:10cm四方の厚さ50μmのPETフィルムに、各組成物を塗工、乾燥、硬化させたものの外観で評価した。
○:カール全くなし
△:カールあり
×:大きくカールあり
耐スクラッチ性:#0000スチールウールを500g加重にて硬化物表面を30回往復し、表面の傷つきを目視にて評価。
○:傷無し
△:若干傷有り
×:傷有り
テーバー磨耗試験:磨粍輪としてCS−10Fを用い、テーバー磨耗試験にて500g加重で500回磨耗を行い、試験前後のHazeの変化(ΔHaze(%))にて評価した。
微小硬度測定:Fischer社製フィッシャースコープH100Vにて硬化後の塗膜のユニバーサル硬さ(N/mm)、ヤング率(MPa)および塑性変形硬さ(N/mm)を測定した。


表1および表2の結果から、金属酸化物微粒子を含有させた本発明のカチオン重合型組成物からなる硬化物は、金属酸化物微粒子を含まないものに比べ、硬度、密着性、耐スクラッチ性および耐磨耗性に優れている。この性能向上は、金属酸化物微粒子の粒径に大きく影響していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
本発明により開示される組成物は、光照射あるいは加熱により短時間で硬化し透明性に優れた塗膜を形成でき、プラスティック、金属等の基材に反り等の悪影響を与える残存応力を低減し密着性に優れ、かつ、金属酸化物微粒子の選択により、高表面硬度、耐磨耗性、紫外線遮蔽性、熱線遮蔽性、導電性、抗菌性等の特性が付与可能であり、また、形成される皮膜の屈折率も調整可能であるため、広範な用途に応用展開が可能である。特に、プラスティック材料に残存応力を低減した状態で密着性を維持しながら高硬度、耐磨耗性等の特性を付与できることからコーティング剤等として、光学、電気・電子分野等の用途において有利に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:分子中にオキセタニル基を1個有する単官能オキセタン化合物、(B)成分:分子中に2個以上のカチオン開環重合性を有する環状エーテル残基を有する化合物、(C)成分:潜在性を有するカチオン重合開始剤、および(D)成分:粒径が1〜1000nmである金属酸化物微粒子、からなるカチオン重合型組成物。
【請求項2】
(D)成分がシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニア、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化スズ、およびアンチモンドープ酸化スズから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1記載のカチオン重合型組成物。
【請求項3】
(D)成分がシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、または酸化スズである請求項1記載のカチオン重合型組成物。
【請求項4】
(D)成分がシリカである請求項1記載のカチオン重合型組成物。
【請求項5】
(A)成分および(B)成分からなる重合性材料の合計量100質量部中に(A)成分が10〜80質量部配合されていることを特徴とする請求項1〜4にそれぞれ記載のカチオン重合型組成物。
【請求項6】
(A)成分のうち少なくとも一部が分子中に芳香族を有する単官能オキセタン化合物であることを特徴とする請求項5に記載のカチオン重合型組成物。
【請求項7】
(B)成分のうち少なくとも一部が分子中に2個以上のグリシジルエーテル残基および芳香族を有するエポキシ化合物であることを特徴とする請求項5に記載のカチオン重合型組成物。
【請求項8】
(B)成分のうち少なくとも一部が、置換あるいは非置換のビスフェノール樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のノボラック樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のビフェノール樹脂グリシジルエーテル、置換あるいは非置換のナフタレン樹脂グリシジルエーテルから選ばれる分子中に二個以上のグリシジルエーテル残基を有するエポキシ化合物であることを特徴とする請求項7に記載のカチオン重合型組成物。
【請求項9】
(C)成分が光潜在性を有するオニウム塩であることを特徴とする請求項1〜4に記載のカチオン重合型組成物。
【請求項10】
(C)成分のアニオン残基として、SbF、AsF、B(Cから選ばれる一種を有するオニウム塩であることを特徴とする請求項9に記載のカチオン重合型組成物。
【請求項11】
(E)成分として、有機ケイ素化合物を添加することを特徴とする請求項1〜4に記載のカチオン重合型組成物
【請求項12】
(E)成分として用いる有機ケイ素化合物がカチオン重合性基を有することを特徴とする請求項11に記載のカチオン重合型組成物

【国際公開番号】WO2004/033532
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【発行日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542880(P2004−542880)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013114
【国際出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】