説明

鉄道車両用制振装置

【課題】安定した推力を発揮して車体振動を効果的に抑制することが可能な鉄道車両用制振装置を提供することである。
【解決手段】上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、シリンダ2と、シリンダ2内に摺動自在に挿入されるピストン3と、シリンダ3内に挿入されてピストン3に連結されるロッド4と、シリンダ2内にピストン3で区画したロッド側室5とピストン側室6と、タンク7と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第一通路8の途中に設けた第一開閉弁9と、ピストン側室6とタンク7とを連通する第二通路10の途中に設けた第二開閉弁11と、ロッド側室5へ作動油を供給するポンプ12とを有するアクチュエータA1,A2を備え車体Bの振動を抑制する鉄道車両用制振装置1において、起動後であって車体振動を抑制する通常制御モードへ移行する前に、ポンプ12を駆動し第一開閉弁9および第二開閉弁11を開いてアクチュエータA1,A2を暖気運転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両用制振装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の鉄道車両用制振装置にあっては、たとえば、鉄道車両に車体の進行方向に対して左右方向の振動を抑制すべく、車体と台車との間に介装されて使用されるものが知られている。
【0003】
より詳しくは、この鉄道車両用制振装置は、鉄道車両の台車と車体の一方に連結されるシリンダと、当該シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダ内に挿入されてピストンと台車と車体の他方に連結されるロッドと、シリンダ内にピストンで区画したロッド側室とピストン側室と、タンクと、ロッド側室とピストン側室とを連通する第一通路の途中に設けた第一開閉弁と、ピストン側室とタンクとを連通する第二通路の途中に設けた第二開閉弁と、ロッド側室へ作動油を供給するポンプと、ロッド側室を上記タンクへ接続する排出通路と、当該排出通路の途中に設けられ開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁とを備えており、上記したポンプ、第一開閉弁、第二開閉弁および可変リリーフ弁を駆動することで、伸縮双方へ推力を発揮することができ、この推力で車体の振動を抑制するようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−65797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄道車両が営業走行中の場合、鉄道車両用制振装置は、ポンプを一定回転数で駆動し、車体の振動状況に応じて第一開閉弁、第二開閉弁をおよび可変リリーフ弁を適宜駆動して車体振動を抑制する。そして、鉄道車両が営業走行を終えて、営業走行を再開するまで、鉄道車両は車庫に収容されるが、その間、鉄道車両用制振装置は駆動を停止している。
【0006】
ここで、従来の鉄道車両用制振装置にあっては、油圧を利用して車体の振動を抑制する推力を得るが、上記したように営業走行が終了してから再開されるまでは鉄道車両用制振装置は駆動を停止しているため、鉄道車両用制振装置の起動直後は、アクチュエータ内の作動油の温度が低い状態となっている。このように作動油の温度が低いと、作動油の粘度が高く、ポンプの回転軸周りの摩擦も大きい状態となるため、ポンプの吐出流量が不安定となって、アクチュエータの推力が安定しない。
【0007】
また、アクチュエータが発揮する推力をフィードバック制御しようとする場合、起動直後では推力が安定しないことから、推力の偏差が大きくなり、車体振動を悪化させてしまう可能性もある。
【0008】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、安定した推力を発揮して車体振動を効果的に抑制することが可能な鉄道車両用制振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、鉄道車両の台車と車体の一方に連結されるシリンダと、当該シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、上記シリンダ内に挿入されて上記ピストンと上記台車と車体の他方に連結されるロッドと、上記シリンダ内に上記ピストンで区画したロッド側室とピストン側室と、タンクと、上記ロッド側室と上記ピストン側室とを連通する第一通路の途中に設けた第一開閉弁と、上記ピストン側室と上記タンクとを連通する第二通路の途中に設けた第二開閉弁と、上記ロッド側室へ液体を供給するポンプとを有するアクチュエータを備え、車体の振動を抑制する鉄道車両用制振装置において、起動後であって車体振動を抑制する通常制御モードへ移行する前に、上記第一開閉弁および上記第二開閉弁を開き、上記ポンプを駆動してアクチュエータを暖気運転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鉄道車両用制振装置によれば、起動後であって車体の振動を抑制する通常制御モードへ移行する前にアクチュエータの暖気運転を実行するので、通常制御モード移行前にアクチュエータ内の作動油の温度が振動抑制に適する温度になり、アクチュエータの発生推力を安定させて車体振動を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施の形態における鉄道車両用制振装置を搭載した鉄道車両の断面図である。
【図2】一実施の形態の鉄道車両用制振装置におけるアクチュエータの詳細図である。
【図3】一実施の形態の鉄道車両用制振装置におけるコントローラの制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態における鉄道車両用制振装置1は、鉄道車両の車体Bの制振装置として使用され、図1に示すように、台車Tと車体Bとの間に対として介装される二つのアクチュエータA1,A2と、これら両方のアクチュエータA1,A2を制御するコントローラCとを備えて構成されている。アクチュエータA1,A2は、詳細には、鉄道車両の場合、車体Bの下方に垂下されるピンPに連結され、車体Bと台車Tとの間で対を成して並列に介装されている。
【0013】
そして、これらのアクチュエータA1,A2は、コントローラCが通常制御モードを実行する場合、車体Bの車両進行方向に対して水平横方向の振動を抑制するようになっている。この実施の形態では、具体的には、コントローラCは、通常制御モードにおいてスカイフック制御を行って、これらアクチュエータA1,A2に推力を発生させて上記車体Bの横方向の振動を抑制するようになっている。
【0014】
本実施の形態の鉄道車両用制振装置1にあっては、コントローラCは、通常制御モードでは、車体Bの車体Bの車両進行方向に対して水平横方向の横方向速度を得て、アクチュエータA1,A2で発生すべき推力である制御力指令値を求め、当該制御力指令値通りの推力をアクチュエータA1,A2に発生させるべく制御することで車体Bの上記横方向の振動を抑制するようになっている。
【0015】
つづいて、アクチュエータA1,A2の具体的な構成について説明する。これらアクチュエータA1,A2は、同じ構成であるので、説明の重複を避けるため、便宜、アクチュエータA1についての構成についてのみ説明し、アクチュエータA2についての具体的な説明を省略することとする。
【0016】
アクチュエータA1は、図2に示すように、鉄道車両の台車Tと車体Bの一方に連結されるシリンダ2と、シリンダ2内に摺動自在に挿入されるピストン3と、シリンダ2内に挿入されてピストン3と上記した台車Tと車体Bの他方に連結されるロッド4と、シリンダ2内にピストン3で区画したロッド側室5とピストン側室6と、タンク7と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第一通路8の途中に設けた第一開閉弁9と、ピストン側室6とタンク7とを連通する第二通路10の途中に設けた第二開閉弁11と、ロッド側室5へ液体を供給するポンプ12と、ポンプ12を駆動するモータ15とを備えており、片ロッド型のアクチュエータとして構成されている。また、この場合、上記ロッド側室5とピストン側室6には液体として作動油が充填されるとともに、タンク7には、作動油のほかに気体が充填されている。なお、タンク7内は、特に、気体を圧縮して充填することによって加圧状態とする必要は無い。
【0017】
そして、基本的には、第一開閉弁9で第一通路8を連通状態とするとともに第二開閉弁11を閉じた状態でポンプ12を駆動することで、このアクチュエータA1を伸長駆動させることができ、第二開閉弁11で第二通路10を連通状態とするとともに第一開閉弁9を閉じた状態でポンプ12を駆動することで、アクチュエータA1を収縮駆動させることができるようになっている。
【0018】
以下、アクチュエータA1の各部について詳細に説明する。シリンダ2は筒状であって、その図2中右端は蓋13によって閉塞され、図2中左端には環状のロッドガイド14が取り付けられている。また、上記ロッドガイド14内には、シリンダ2内に移動自在に挿入されるロッド4が摺動自在に挿入されている。このロッド4は、一端をシリンダ2外へ突出させており、シリンダ2内の他端を同じくシリンダ2内に摺動自在に挿入されているピストン3に連結してある。
【0019】
なお、ロッド4の外周とシリンダ2との間は図示を省略したシール部材によってシールされており、これによりシリンダ2内は密閉状体に維持されている。そして、シリンダ2内にピストン3によって区画されるロッド側室5とピストン側室6には、上述のように作動油が充填されている。
【0020】
また、このアクチュエータA1の場合、ロッド4の断面積をピストン3の断面積の二分の一にして、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積がピストン側室6側の受圧面積の二分の一となるようになっており、伸長駆動時と収縮駆動時とでロッド側室5の圧力を同じくすると、伸縮の双方で発生される推力が等しくなるようになっており、アクチュエータA1の変位量に対する流量も伸縮両側で同じとなる。
【0021】
詳しくは、アクチュエータA1を伸長駆動させる場合、ロッド側室5とピストン側室6を連通させた状態となってロッド側室5内とピストン側室6内の圧力が等しくなって、ピストン3におけるロッド側室5側とピストン側室6側の受圧面積差に上記圧力を乗じた推力を発生し、反対に、アクチュエータA1を収縮駆動させる場合、ロッド側室5とピストン側室6との連通が断たれてピストン側室6をタンク7に連通させた状態となるので、ロッド側室5内の圧力とピストン3におけるロッド側室5側の受圧面積を乗じた推力を発生することになり、アクチュエータA1の発生推力は伸縮の双方でピストン3の断面積の二分の一にロッド側室5の圧力を乗じた値となるのである。したがって、このアクチュエータA1の推力を制御する場合、伸長駆動、収縮駆動共に、ロッド側室5の圧力を制御すればよいが、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積をピストン側室6側の受圧面積の二分の一に設定しているので、伸縮両側で同じ推力を発生する場合に伸長側と収縮側でロッド側室5の圧力が同じとなるので制御が簡素となり、加えて変位量に対する流量も同じとなるので伸縮両側で応答性が同じとなる利点がある。なお、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積をピストン側室6側の受圧面積の二分の一に設定しない場合にあっても、ロッド側室5の圧力でアクチュエータA1の伸縮両側の推力の制御をすることができる点は変わらない。
【0022】
戻って、ロッド4の図2中左端とシリンダ2の右端を閉塞する蓋13には、図示しない取付部を備えており、このアクチュエータA1を鉄道車両における台車Tと車体Bとの間に介装することができるようになっている。
【0023】
そして、ロッド側室5とピストン側室6とは、第一通路8によって連通されており、この第一通路8の途中には、第一開閉弁9が設けられている。この第一通路8は、シリンダ2外でロッド側室5とピストン側室6とを連通しているが、ピストン3に設けられてもよい。
【0024】
第一開閉弁9は、この実施の形態の場合、電磁開閉弁とされており、第一通路8を開放してロッド側室5とピストン側室6とを連通する連通ポジション9bと、ロッド側室5とピストン側室6との連通を遮断する遮断ポジション9cとを備えたバルブ9aと、遮断ポジション9cを採るようにバルブ9aを附勢するバネ9dと、通電時にバルブ9aをバネ9dに対向して連通ポジション9bに切換えるソレノイド9eとを備えて構成されている。
【0025】
つづいて、ピストン側室6とタンク7とは、第二通路10によって連通されており、この第二通路10の途中には、第二開閉弁11が設けられている。第二開閉弁11は、この実施の形態の場合、電磁開閉弁とされており、第二通路10を開放してピストン側室6とタンク7とを連通する連通ポジション11bと、ピストン側室6とタンク7との連通を遮断する遮断ポジション11cとを備えたバルブ11aと、遮断ポジション11cを採るようにバルブ11aを附勢するバネ11dと、通電時にバルブ11aをバネ11dに対向して連通ポジション11bに切換えるソレノイド11eとを備えて構成されている。
【0026】
ポンプ12は、モータ15によって駆動されるようになっており、ポンプ12は、一方向のみに作動油を吐出するポンプとされており、その吐出口は供給通路16によってロッド側室5へ連通され、吸込口はタンク7に通じて、モータ15によって駆動されると、タンク7から作動油を吸込んでロッド側室5へ作動油を供給する。
【0027】
上述のようにポンプ12は、一方向のみに作動油を吐出するのみで回転方向の切換動作がないので、回転切換時に吐出量変化するといった問題は皆無であり、安価なギアポンプ等を使用することができる。さらに、ポンプ12の回転方向が常に同一方向であるので、ポンプ12を駆動する駆動源であるモータ15にあっても回転切換に対する高い応答性が要求されず、その分、モータ15も安価なものを使用することができる。なお、供給通路16の途中には、ロッド側室5からポンプ12への作動油の逆流を阻止する逆止弁17を設けてある。
【0028】
このアクチュエータA1にあっては、ポンプ12から所定の吐出流量をロッド側室5へ供給するようにして、伸長作動させる際には第二開閉弁11を開きつつ第一開閉弁9を開閉させることによってロッド側室5内の圧力を調節し、逆に収縮作動させる際には第一開閉弁9を開きつつ第二開閉弁11を開閉させることによってロッド側室5内の圧力を調節することで、上記した制御力指令値が指示する通りの推力を得ることができる。なお、第一開閉弁9および第二開閉弁11は、開弁圧を調節可能であって開閉機能を備えた可変リリーフ弁とされてもよい。この場合には、第一開閉弁9或いは第二開閉弁11を伸縮作動時に開閉作動させるのではなく、開弁圧を調節することでアクチュエータA1の推力を調節することも可能である。
【0029】
また、ポンプ12の吐出流量を調節することによっても同様に、制御力指令値が指示する通りの推力を得ることができる。この場合、ロッド側室5の圧力を検出するための圧力センサを設けるか、モータ15或いはポンプ12の回転軸に作用するトルクを検出するセンサを設けるか、或いは、ロッド4に作用する荷重を得るロードセンサや歪を検出する歪センサを設けておけば、アクチュエータA1が出力する推力を計測することができる。
【0030】
上記のように、アクチュエータA1の推力調節が可能ではあるが、より簡単に推力調節が可能なように、本実施の形態の鉄道車両用制振装置1にあっては、ロッド側室5とタンク7とを接続する排出通路21と、この排出通路21の途中に設けた開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁22とを設けている。
【0031】
可変リリーフ弁22は、この実施の形態では、比例電磁リリーフ弁とされており、排出通路21の途中に設けた弁体22aと、排出通路21を遮断するように弁体22aを附勢するバネ22bと、通電時にバネ22bに対向する推力を発生する比例ソレノイド22cとを備えて構成され、比例ソレノイド22cに流れる電流量を調節することで開弁圧を調節することができるようになっている。
【0032】
この可変リリーフ弁22は、弁体22aに作用させる排出通路21の上流となるロッド側室5の圧力がリリーフ圧(開弁圧)を超えると、当該排出通路21を開放させる方向に弁体22aを推す上記圧力に起因する推力と比例ソレノイド22cによる推力との合力が、排出通路21を遮断させる方向へ弁体22aを附勢するバネ22bの附勢力に打ち勝つようになって、弁体22aを後退させて排出通路21を開放するようになっている。
【0033】
また、この可変リリーフ弁22にあっては、比例ソレノイド22cに供給する電流量を増大させると、比例ソレノイド22cが発生する推力を増大させることができるようになっており、比例ソレノイド22cに供給する電流量を最大とすると開弁圧が最小となり、反対に、比例ソレノイド22cに全く電流を供給しないと開弁圧が最大となる。
【0034】
したがって、排出通路21と可変リリーフ弁22とを設けることで、アクチュエータA1を伸縮作動させる際に、ロッド側室5内の圧力は可変リリーフ弁22の開弁圧に調節され、ロッド側室5の圧力は可変リリーフ弁22の開弁圧を調節することで容易に調節することができる。このように排出通路21と可変リリーフ弁22とを設けることで、アクチュエータA1の推力を調節するために必要なセンサ類が不要となり、第一開閉弁9と第二開閉弁11の高速で開閉させたり、第一開閉弁9および第二開閉弁11を開閉機能付きの可変リリーフ弁としたり、ポンプ12の吐出流量の調節のために高度にモータ15を制御したりする必要もなくなるので、鉄道車両用制振装置1が安価となり、ハードウェア的にもソフトウェア的にも堅牢なシステムを構築することができる。
【0035】
なお、可変リリーフ弁22は、与える電流量で開弁圧を比例的に変化させることができる比例電磁リリーフ弁を用いることで開弁圧の制御が簡単となるが、開弁圧を調節できるリリーフ弁であれば比例電磁リリーフ弁に限定されるものではない。
【0036】
そして、可変リリーフ弁22は、第一開閉弁9および第二開閉弁11の開閉状態に関わらず、アクチュエータA1に伸縮方向の過大な入力があって、ロッド側室5の圧力が開弁圧を超える状態となると、排出通路21を開放してロッド側室5をタンク7へ連通し、ロッド側室5内の圧力をタンク7へ逃がして、アクチュエータA1のシステム全体を保護するようになっている。このように、排出通路21と可変リリーフ弁22を設けることでシステムの保護も可能となる。
【0037】
さらに、この実施の形態のアクチュエータA1は、ダンパ回路Dを備えており、このダンパ回路Dは、第一開閉弁9および第二開閉弁11が閉弁している場合に、アクチュエータA1をダンパとして機能させる。ダンパ回路Dは、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れのみを許容する整流通路18と、タンク7からピストン側室6へ向かう作動油の流れのみを許容する吸込通路19を備えている。また、この実施の形態の場合には、アクチュエータA1が、排出通路21と可変リリーフ弁22とを備えているので、可変リリーフ弁22が減衰弁として機能するようになっている。
【0038】
より詳細には、整流通路18は、ピストン側室6とロッド側室5とを連通しており、途中に逆止弁18aが設けられ、この整流通路18は、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。さらに、吸込通路19は、タンク7とピストン側室6とを連通しており、途中に逆止弁19aが設けられ、この吸込通路19は、タンク7からピストン側室6へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、整流通路18は、第一開閉弁9の遮断ポジション9cを逆止弁とすることで第一通路8に集約することができ、吸込通路19についても、第二開閉弁11の遮断ポジション11cを逆止弁とすることで第二通路10に集約することができる。
【0039】
このように構成されたダンパ回路Dは、アクチュエータA1における第一開閉弁9と第二開閉弁11がともに遮断ポジション9c,11cを採ると、整流通路18および吸込通路19と排出通路21で、ロッド側室5、ピストン側室6およびタンク7が数珠繋ぎに連通させる。そして、整流通路18、吸込通路19および排出通路21は、一方通行の通路に設定されているので、アクチュエータA1が外力によって伸縮させられると、必ずシリンダ2から作動油が排出されて排出通路21を介してタンク7へ戻され、シリンダ2で足りなくなる作動油は吸込通路19を介してタンク7からシリンダ2内へ供給される。この作動油の流れに対して上記可変リリーフ弁22が抵抗となってシリンダ2内の圧力を開弁圧に調節する圧力制御弁として機能するので、アクチュエータA1は、パッシブなユニフロー型のダンパとして機能することになる。なお、可変リリーフ弁22と排出通路21とを設けない場合には、別途、ロッド側室5とタンク7とを接続する通路と、この通路の途中に減衰弁とを設けてダンパ回路Dを構成するようにしてもよい。また、アクチュエータA1の各機器への通電が不能となるようなフェール時には、第一開閉弁9と第二開閉弁11のバルブ9a,11aがバネ9d,11dに押圧されて、それぞれ遮断ポジション9c,11cを採り、可変リリーフ弁22は、開弁圧が最大に固定された圧力制御弁として機能するので、アクチュエータA1は、自動的に、パッシブダンパとして機能することができる。
【0040】
つづいて、アクチュエータA1,A2に所望の伸長方向の推力を発揮させる場合、たとえば、コントローラCは、各アクチュエータA1,A2の第一開閉弁9を連通ポジション9bとし第二開閉弁11を遮断ポジション11cとして、アクチュエータA1,A2の伸縮状況に応じてモータ15を所定の回転数で回転させポンプ12からシリンダ2内へ作動油を供給する。このようにすることで、ロッド側室5とピストン側室6とが連通状態におかれて両者にポンプ12から作動油が供給され、ピストン3が図2中左方へ押されアクチュエータA1,A2は伸長方向の推力を発揮する。ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁22の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁22が開弁して作動油が排出通路21を介してタンク7へ逃げるので、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力は、可変リリーフ弁22に与える電流量で決まる可変リリーフ弁22の開弁圧にコントロールされる。そして、アクチュエータA1,A2は、ピストン3におけるピストン側室6側とロッド側室5側の受圧面積差に上記した可変リリーフ弁22によってコントロールされるロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力を乗じた値の伸長方向の推力を発揮する。
【0041】
これに対して、アクチュエータA1,A2に所望の収縮方向の推力を発揮させる場合、コントローラCは、各アクチュエータA1,A2の第一開閉弁9を遮断ポジション9cとし第二開閉弁11を連通ポジション11bとして、アクチュエータA1,A2の伸縮状況に応じてモータ15を所定の回転数で回転させつつポンプ12からロッド側室5内へ作動油を供給する。このようにすることで、ピストン側室6とタンク7が連通状態におかれるとともにロッド側室5にポンプ12から作動油が供給されるので、ピストン3が図2中右方へ押されアクチュエータA1,A2は収縮の推力を発揮する。上記したところと同様に、可変リリーフ弁22の電流量を調節することで、アクチュエータA1は、ピストン3におけるロッド側室5側の受圧面積と可変リリーフ弁22にコントロールされるロッド側室5内の圧力を乗じた収縮方向の推力を発揮する。
【0042】
このように、本実施の形態では、排出通路21と可変リリーフ弁22を備えているため、モータ15を所定の回転数で定速回転させて推力調節を行うことができ、ポンプ12の回転数が変化させずに済むので、ポンプ12の回転数変動に伴う騒音の発生を防止でき、アクチュエータA1,A2の制御応答性をも良好なものとなる。なお、可変リリーフ弁22による圧力調節にモータ15の回転数の変更を加味してアクチュエータA1,A2の発生推力を調節することも可能である。
【0043】
また、このアクチュエータA1,A2にあっては、アクチュエータとして機能するのみならず、モータ15の駆動状況に関わらず、第一開閉弁9と第二開閉弁11の開閉のみでダンパとしても機能させることができるので、面倒かつ急峻な弁の切換動作を伴うことが無いので、応答性および信頼性が高いシステムを提供することができる。
【0044】
なお、このアクチュエータA1,A2にあっては、片ロッド型に設定されているので、両ロッド型のアクチュエータに比較してストローク長を確保しやすく、アクチュエータの全長が短くなって、鉄道車両への搭載性が向上する。
【0045】
また、このアクチュエータA1,A2におけるポンプ12からの作動油供給および伸縮作動による作動油の流れは、ロッド側室5、ピストン側室6を順に通過して最終的にタンク7へ還流するようになっており、ロッド側室5あるいはピストン側室6内に気体が混入しても、アクチュエータA1,A2の伸縮作動によって自立的にタンク7へ排出されるので、推進力発生の応答性の悪化を阻止できる。
【0046】
したがって、アクチュエータA1,A2の製造にあたって、面倒な油中での組立や真空環境下での組立を強いられることが無く、作動油の高度な脱気も不要となるので、生産性が向上するとともに製造コストを低減することができる。
【0047】
さらに、ロッド側室5あるいはピストン側室6内に気体が混入しても、気体は、アクチュエータA1,A2の伸縮作動によって自立的にタンク7へ排出されるので、性能回復のためのメンテナンスを頻繁に行う必要もなくなり、保守面における労力とコスト負担を軽減することができる。
【0048】
つづいて、コントローラCは、図1から図3に示すように、車体Bの車両進行方向に対して水平横方向の横加速度αを検出する加速度センサ40と、横加速度αに含まれる曲線走行時の定常加速度、ドリフト成分やノイズを除去するバンドパスフィルタ41と、バンドパスフィルタ41で濾過した横加速度αを処理して、各アクチュエータA1,A2のモータ15、第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11e、可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ制御指令を出力する制御部42とを備えて構成されていて、通常制御モードでは、以下に説明するように、各アクチュエータA1,A2の推力を制御するようになっている。なお、バンドパスフィルタ41で横加速度αに含まれる曲線走行時の定常加速度が除去されるので、乗り心地を悪化させる振動のみを抑制することができる。
【0049】
制御部42は、通常制御モードでは、加速度センサ40で検知した横加速度αを積分して車体Bの横方向速度を求める。横方向速度は、たとえば、図1中左方向の速度を正の値として、反対の図1中右方向の速度を負の値として求める。なお、車体Bの横方向速度を求めるのに他のセンサ、手段を用いてもよい。
【0050】
さらに、制御部42は、スカイフック制御則に則り上記のようにして求めた横方向速度にスカイフックゲインを乗じてアクチュエータA1,A2が発生すべき推力の大きさ、方向でなる制御力指令値を求める。
【0051】
そして、コントローラCにおける制御部42は、制御力指令値を求めた後、制御力指令値通りに各アクチュエータA1,A2に推力を発揮させるべく、これらアクチュエータA1,A2へ制御指令を与える。具体的には、制御部42は、制御力指令値から各アクチュエータA1,A2のモータ15、第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11e、可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ与えるべき制御指令を求めて当該制御指令を出力することになる。また、制御力指令値から制御指令を求める際、現在アクチュエータA1,A2が出力している推力をフィードバックして制御指令を求めてもよい。以上、通常制御モードでは、コントローラCは、所定のサンプリングタイム周期で横加速度をサンプリングし、上記した処理を実行して、制御力指令値を求めて各アクチュエータA1,A2の推力を制御する処理を継続的に行う。
【0052】
以上が通常制御モードでの鉄道車両用制振装置1の作動であるが、鉄道車両要請制振装置1が停止状態にあって、電源が投入されて起動されると、通常制御モードへ移行する前に、所定時間の間、アクチュエータA1,A2を暖気運転するようになっている。
【0053】
また、この場合、二つのアクチュエータA1,A2を備えており、一方のアクチュエータA1(A2)を暖気運転する際には、他のアクチュエータA2(A1)をダンパとして機能させるようにする。
【0054】
具体的には、暖気運転は、各アクチュエータA1,A2とも、第一開閉弁9、第二開閉弁11を開弁させてから、モータ15でポンプ12を駆動し、さらに、可変リリーフ弁22の開弁圧を最小にする。
【0055】
そうすることで、ポンプ12から吐出された作動油は、排出通路21を介してタンク7へ戻され、第一開閉弁9と第二開閉弁11の双方が開いているのでロッド側室5とピストン側室6がタンク7へ通じており、ロッド側室5とピストン側室6の圧力はタンク圧に維持されるので、暖気運転中は、アクチュエータA1,A2は伸長側へも収縮側へも推力を発揮しない状態に維持される。したがって、暖気運転に伴って車体BがアクチュエータA1,A2によって加振されることがないようになっている。なお、暖気運転に要する時間は、予め決めておけばよく、たとえば、鉄道車両が使用される地域における季節ごとの平均気温によって決めておくことができ、たとえば、冬季と夏季では暖気運転する所定時間を長くすることになる。この暖気運転は、所定時間の経過後に終了し、暖気運転終了後、鉄道車両要請制振装置1は、通常制御モードへ移行する。この暖気運転を行うことにより、アクチュエータA1,A2内の作動油の温度が上昇し、通常制御モードへ移行後においてアクチュエータA1,A2に狙い通りの推力を発生させることができる。また、作動油の温度が、アクチュエータA1,A2が設定どおりの推力の発揮が可能となれば、暖気運転を終了して通常制御モードへ移行すればよいので、作動油の温度を監視しておき、作動油の温度が暖気運転を終了してもよい温度になったことをもって暖気運転を終了するようにしてもよく、したがってたとえば、タンク7内の作動油の温度を検出する温度センサを設けておき、制御部42で温度を監視するようにしてもよい。
【0056】
なお、第一開閉弁9と第二開閉弁11とが開いていてロッド側室5とピストン側室6とがタンク圧に維持されることから、可変リリーフ弁22の開弁圧を最小としなくともアクチュエータA1,A2が推力を発生しない状態とすることができるが、実際には管路抵抗によって僅かにロッド側室5とピストン側室6に差圧が生じて僅かではあるもののアクチュエータA1,A2が収縮方向の推力を発生してしまう可能性もあるので、可変リリーフ弁22の開弁圧を最小とすることでロッド側室5の上流側の圧力を小さくでき、アクチュエータA1,A2が暖気運転中に推力を発生してしまうことを確実に阻止することができる。
【0057】
このように、本発明の鉄道車両用制振装置1によれば、起動後であって車体Bの振動を抑制する通常制御モードへ移行する前にアクチュエータA1,A2の暖気運転を実行するので、アクチュエータA1,A2内の作動油の温度が低すぎて発生推力が不安定となって車体振動を効果的に抑制できなくなるといった不具合を解消することができる。すなわち、本発明の鉄道車両用制振装置1によれば、通常制御モード移行前にアクチュエータA1,A2内の作動油の温度が振動抑制に適する温度になり、アクチュエータA1,A2の発生推力を安定させて車体振動を効果的に抑制することができるのである。
【0058】
また、暖気運転中は、アクチュエータA1,A2は、推力を発揮しないので、暖気運転に伴って車体Bを加振してしまうこともなく、無駄にエネルギを消費してしまうこともない。
【0059】
なお、この実施の形態では、二つのアクチュエータA1,A2を備えており、一方のアクチュエータA1を暖気運転する際には、他方のアクチュエータA2をダンパとして機能させ、他方のアクチュエータA2を暖気運転する際には、一方のアクチュエータA1をダンパとして機能させるようにしている。
【0060】
具体的には、たとえば、アクチュエータA1を暖気運転させている場合には、アクチュエータA2の第一開閉弁9および第二開閉弁11を閉じ、ポンプ12を停止させる。なお、可変リリーフ弁22へは、通電しないか、または、アクチュエータA2をダンパとして機能させる場合に要求される減衰力を発生可能なように開弁圧となるように与える電流量調節する。
【0061】
すると、暖気運転中は、アクチュエータA1,A2のうちいずれか一方は、ダンパとして機能するので、何らかの外力が車体Bや台車Tに作用しても車体Bの振動はダンパとして機能するアクチュエータによって抑制されるので、車体Bが全く自由に左右動してしまう機会をなくすことができ、安全に暖気運転することが可能である。
【0062】
なお、この実施の形態では、二つのアクチュエータA1,A2を備えているが、台車Tと車体Bとの間に並列されるアクチュエータが三つ以上ある場合にあっては、少なくとも一つのアクチュエータをダンパとして機能させたうえで他のアクチュエータを暖気運転するようにすれば、車体Bが全く自由に左右動してしまう機会をなくすことができ、安全に暖気運転することが可能である。つまり、たとえば、三つのアクチュエータがある場合、まず、二つのアクチュエータを暖気運転して残りの一つをダンパとして機能させ、続いて暖気運転が済んでいないアクチュエータを暖気運転し、暖気運転済みの二つのアクチュエータの一つまたは全部をダンパとして機能させるようにすればよい。
【0063】
そして、すべてのアクチュエータA1,A2について暖気運転が終了すると、コントローラCは、通常制御モードへ移行するが、通常制御モード並行する前に、鉄道車両用制振装置1に異常がないか自己診断を実行するようにしてもよい。
【0064】
自己診断は、たとえば、第一開閉弁9と第二開閉弁11とを開いてポンプ12を駆動して、可変リリーフ弁22の開弁圧を変化させるなどした際に、アクチュエータA1,A2が伸縮するか否を監視し、伸縮する場合に異常と判断する。また、アクチュエータA1,A2の推力を監視することができる場合、暖気運転後にアクチュエータA1,A2の推力が制御指令通りに発生されるかをチェックする。なお、暖気運転後にアクチュエータA1,A2の推力が制御指令通りに発生されるかをチェックする場合、作動油の温度による誤差が小さくなるので、異常を検知しやすくなるという利点がある。つまり、暖気運転を行わずして推力チェックする場合、作動油の温度が低くて粘度が高く、アクチュエータA1,A2の推力が制御指令よりも過剰に高くなってしまうため、これを異常と検知することができないが、暖気運転をすることで、作動油温度による推力過剰現象を抑制することができるため、異常を判断するための閾値を小さくできるため、異常を正確に発見することができるようになる。
【0065】
なお、コントローラCは、ハードウェア資源としては、図示はしないが具体的にはたとえば、加速度センサ40が出力する信号を取り込むためのA/D変換器と、バンドパスフィルタ41と、バンドパスフィルタ41で濾過した横加速度αを取り込んでアクチュエータA1,A2を暖気運転、通常制御モードでの制御、自己診断するのに必要な処理に使用されるプログラムが格納されるROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、上記プログラムに基づいた処理を実行するCPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、上記CPUに記憶領域を提供するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置とを備えて構成されればよく、コントローラCの上記制御部42は、CPUが上記各処理を行うためのプログラムを実行することで実現することができる。なお、積分器を使用して横加速度αから横方向速度を求めてもよく、横加速度αをバンドパスフィルタ41および積分器で処理した後に位相補償用のフィルタで処理してもよく、また、バンドパスフィルタ41、積分器および位相補償用のフィルタの特性を合成したフィルタで処理するようにしてもよく、バンドパスフィルタ41および積分器で処理した後に位相補償用のフィルタは、CPUがプログラムを実行することで実現されてもよい。
【0066】
なお、上記したところでは、コントローラCは、スカイフック制御則に則ってアクチュエータA1,A2の制御力指令値を求めているが、他の制御則を用いてもよい。
【0067】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、鉄道車両等の制振に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 鉄道車両用制振装置
2 シリンダ
3 ピストン
4 ロッド
5 ロッド側室
6 ピストン側室
7 タンク
8 第一通路
9 第一開閉弁
10 第二通路
11 第二開閉弁
12 ポンプ
16 供給通路
18 整流通路
19 吸込通路
21 排出通路
22 可変リリーフ弁
A1,A2 アクチュエータ
B 車体
C コントローラ
D ダンパ回路
P ピン
T 台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の台車と車体の一方に連結されるシリンダと、当該シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、上記シリンダ内に挿入されて上記ピストンと上記台車と車体の他方に連結されるロッドと、上記シリンダ内に上記ピストンで区画したロッド側室とピストン側室と、タンクと、上記ロッド側室と上記ピストン側室とを連通する第一通路の途中に設けた第一開閉弁と、上記ピストン側室と上記タンクとを連通する第二通路の途中に設けた第二開閉弁と、上記ロッド側室へ液体を供給するポンプとを有するアクチュエータを備え、車体の振動を抑制する鉄道車両用制振装置において、起動後であって車体振動を抑制する通常制御モードへ移行する前に、上記第一開閉弁および上記第二開閉弁を開き、上記ポンプを駆動してアクチュエータを暖気運転することを特徴とする鉄道車両用制振装置。
【請求項2】
上記アクチュエータは、上記ロッド側室を上記タンクへ接続する排出通路と、当該排出通路の途中に設けられ開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁とを有し、上記暖気運転では、上記可変リリーフ弁の開弁圧を最小とすることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用制振装置。
【請求項3】
上記アクチュエータを二つ以上備え、上記アクチュエータは、第一開閉弁および第二開閉弁が閉じた状態で当該アクチュエータをダンパとして機能させるダンパ回路を備え、アクチュエータについて暖気運転する際に、少なくとも一つのアクチュエータをダンパとして機能させることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄道車両用制振装置。
【請求項4】
上記ダンパ回路は、上記タンクから上記ピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路と、上記ピストン側室から上記ロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路とを有することを特徴とする請求項3に記載のシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−245926(P2012−245926A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120599(P2011−120599)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】