説明

鉄道軌道スキャニングシステムおよび方法

【課題】 精度および有効性のレベルの向上を改善した鉄道軌道上あるいは近傍の物体や異常を検出するためのシステムを提供する。
【解決手段】 鉄道軌道上あるいは近傍の物体や異常を検出するためのシステムは、鉄道軌道部上あるいは近傍をスキャンするためのスキャニング手段と、スキャニング手段からの情報に基づいて鉄道軌道部上あるいは近傍の物体あるいは異常の存在と位置を決定するための検出手段から成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道軌道上あるいは近傍の外部物体あるいは異常を検出するための方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道軌道は、現在、人力で検査されている、つまり、問題を視覚的に確認するために鉄道軌道に沿って歩かなければいけない人の関与により、あるいは、鉄道軌道上で動く台車(プラットフォーム)上に設置された1個あるいはそれ以上のカメラからの実況あるいは時間遅れの映像画像をみることによる。後の場合において、検査は、軌道上をカメラが動く時に捕捉された「移動」映像(あるいは、映像からの多くの「静止」フレームの調査による)の視覚検査に基づいている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した方法とシステムは、遅く退屈だけでなく、必要とされている人間の入力と人的誤りの連携リスクのために、鉄道軌道の周りの外部物体あるいは異常の検出の機会が低く遅い。そのような方法は、また資源集約的でもある。
【0004】
本発明は、上述の現状の方法に比較して、精度および有効性のレベルの向上を改善した鉄道軌道上あるいは近傍の物体や異常を検出するためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの側面によれば、鉄道軌道上あるいは近傍の物体や異常を検出するためのシステムを提供することであり、システムは、鉄道軌道部上あるいは近傍をスキャンするためのスキャニング手段と、スキャニング手段からの情報に基づいて鉄道軌道部上あるいは近傍の物体あるいは異常の存在と位置を決定するための検出手段から成る。
【0006】
好ましくは、システムは、更に、検出手段からの情報に基づいて1個またはそれ以上の物体あるいは異常の画像を捕捉するためのカメラ手段と、検出情報を得るためのカメラ手段により捕捉の画像を処理するための画像処理手段から成る。
【0007】
本発明の他の側面によれば、鉄道軌道上あるいは近傍の物体や異常を検出するための方法を提供することであり、方法は、鉄道軌道部上あるいは近傍を、スキャニング装置を利用してスキャンし、スキャニング装置に結合した検出装置を利用して、スキャニング手段からの情報に基づいて鉄道軌道部上あるいは近傍の物体あるいは異常の存在と位置を決定することから成る。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、適切な情報を得るために画像を捕捉し、処理することにより鉄道軌道周りの外部物体あるいは異常を検出するシステムと方法を提供できる。
【0009】
本発明は、外部物体(例えば、爆発物あるいは爆発および爆弾に関係した装置)あるいは鉄道軌道上あるいは近傍の異常(つまり、列車の経路上あるいは近傍)の存在の事前警告を提供し、取るべき適切な行動を与える、それゆえ、列車と軌道に関係した事故の防止を助け、それにより、妨害、いたずら、かつ/または他の自然あるいは不自然な出来事などの事件による損傷、破壊を避けることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
自動化鉄道軌道スキャニング、鉄道軌道の沿った外部物体あるいは異常検出のシステムと方法が実施の形態例で提供される。システムは、外部物体あるいは異常の検出の援助のために、列車の前の鉄道軌道の周りの領域の捕獲映像を処理する。システムは、鉄道軌道に沿って動く既存の台車(プラットフォーム)あるいは独立ユニット上に取り付けられる。可動車両は、以下でスキャニング台車として称される普通のあるいは小型化された軌道車両を備える。少なくとも1個の画像装置(例えば、画像を捕捉するカメラ)が軌道の概観および周囲の視野を補足するために使用され、そして少なくとも1個の画像装置が鉄道軌道の部分の拡大視野を捕捉するために使用される。システムは、全ての外部物体あるいは異常を解析し、検出し、そして好ましくは検出物体を分類するために画像装置から得た画像ストリームを監視する。
【0011】
図1は、軌道車両102上に取り付けた少なくとも2台のビデオカメラを使用して外部物体を検出するためのシステムの前方視野100の概略図を示す。1台のカメラは、広角視野画像範囲(境界108、110、112および114)内の外部物体106あるいは異常に対して鉄道軌道104を「スキャニング」するために使われる。一方、他のカメラは、検出した外部物体106、あるいは、鉄道軌道104上あるいはその周辺(拡大画像116)の特別な場所を拡大(ズーム)するために使用される。例として、広角視野カメラは列車前方500メートルの軌道長をカバーする。一度、潜在的外部物体が広角視野カメラで検出されると、ズームカメラが、分析と分類のために検出された外部物体106の周りの画像116を捕捉するためにズーム(拡大動作)する。
【0012】
図2は、実施の形態例による鉄道軌道200の周りの外部物体および異常を検出するシステムと方法を説明する概略平面図を示す。スキャンとズームカメラは、それぞれ、数字202、203で示される。スキャンとズームカメラが、実施の形態例において1台のカメラとして装備され得ることは評価される。カメラ202、203は、直線鉄道軌道200上を動く軌道結合車両205上に取り付けられることが示される。軌道結合車両は、例えば、専用の検査車両、あるいは他の機関車あるいは客車の機関車であり得る。スキャニングカメラ202は、方向204に可動する。実施の形態例内の鉄道軌道200を実質的に含み囲む弧状の領域をスキャン(走査)することが出来る。同様にズームングカメラ203は、弧状206内の物体あるいは詳細にズームするために可動する。
【0013】
図3は、実施の形態例において外部物体および異常を検出するシステムと方法を説明する図2においての場面の概略側面図を示す。スキャニングカメラ202は、更に300の方向に可動できる、そして車両205の前の異なる距離で、実質的に200を含み囲む領域をスキャンすることが出来る。同様に、ズーミングカメラ203は、スキャンカメラ202の全体スキャン領域302内の物体あるいは詳細にズームするために可動する。
【0014】
図4は、車両205が上り勾配から平らになる時(つまり、軌道200の部分400が、ポイント402へ上り勾配として見られ、その後、軌道200は水平部404に合わせる)、実施の形態例において外部物体を検出するシステムと方法を説明する概略側面図を示す。
【0015】
図5は、車両205が下り勾配から平らになる時(つまり、軌道200の部分500が、ポイント502へ下り勾配として見られ、その後、軌道200は水平部504に合わせる)、実施の形態例において外部物体を検出するシステムと方法を説明する概略側面図を示す。
【0016】
図6は、車両205が運動方向に沿って曲がり角を通り抜ける時、実施の形態例において外部物体および異常を検出するシステムと方法を説明する概略平面図を示す。それは、車両の前方の軌道200の部分600が、軌道200の水平方向のポイント502の周りで曲がっていることを示している。
【0017】
図4から図6で説明したように、本実施の形態の例において外部物体および異常を検出するシステムと方法は、上り傾斜、下り傾斜および曲がり(カーブ)のような様々の軌道条件下で、実質的に鉄道軌道200を含み囲む前方領域の適応範囲を備えることが出来る。適応範囲が、スキャニングカメラ(図4から図6の視野領域406を比較)とズームカメラ(図4から図6のズーム領域408の例を比較)の両方に対して提供されることは評価される。
【0018】
図7は、実施の形態例による外部物体を検出するためのシステム700の基本結合要素を示す機能ブロック図である。スキャンカメラ・モジュール702とズームカメラ・モジュール704により捕捉された画像についての情報は、車両位置・モジュール706と一緒に、連続して画像処理モジュール708に供給される。処理された画像は、連続して画像記録モジュール710に記録される。処理された画像は、また、フュージョン・モジュール712に供給される。データベース714に蓄積されたデジタル地図、地理情報システムおよび標石データなどの鉄道軌道情報は、また提供され、フュージョン・モジュール712により参照される。フュージョン・モジュール712は、処理された画像の相違を確認するための画像マッチング、地図マッチング、特徴マッチング、異常検出、外部物体検出および警報分析などの様々な機能を実行するアルゴリズムから成り、必要な予防的措置を取るために車両制御・モジュール716に警報を出す。
【0019】
図8は、本実施の形態の例における、鉄道軌道スキャニングおよび外部物体あるいは異常を検出するためのシステム800の様々な結合装置を示す基本ブロック図である。画像装置802から得られた鉄道軌道の周りの画像は、処理のためにコンピュータシステム806に供給される。この実施の形態の照明装置804は、夜間を含む光が制限された条件においてシステム800の使用を可能にする。照明装置804の適用範囲と画像装置802は、運用中に合うように設計される。画像装置は、図1から図6の参照でそれらが記述されたと同様に、例えば、単一あるいは個別カメラとして、スキャンニングおよびズームカメラ手段(図示せず)を備える。コンピュータシステム806は、コア処理モジュール(図示せず)、図9を参照してここに記述される詳細を備える。
【0020】
図9は、本実施の形態の例における、鉄道軌道スキャニングおよび外部物体あるいは異常を検出するためのシステムのコア処理モジュール900を示す機能ブロック図である。モジュール900は、複数のサブシステムに結合している、例えば902。物体検出システム902による外部物体の検出で、物体認識サブシステム904が、物体と物体参照データベース・サブシステム906内に蓄積されたものとを比較することにより、検出物体を正常あるいは異常物体に分類する。これは、間違い警報を減らすことを助ける。物体認識サブシステム904は、また、規則セット、規則基礎のエンジンあるいは専門システムの使用により、物体を正常あるいは異常物体に分類する。画像合成サブシステム908が、運転者により良く見えるために、大きなおよび静止の画像を創る。一度、物体が異常として分類されると、モジュール900は、警報を出し、サブシステム910に警告する、それにより、運転者は、マン・マシン・インターフェース912を介して、必要な行動を取ることが出来る。画像認識および再生スブシステム914は、再生分析のために、外部物体検出サブシステム902から得られた処理画像を蓄積する。更に、デジタルマッピング・サブシステム916、地理情報システム、車両位置サブシステム918およびデータ通信サブシステムなどの支援・サブシステムは、より良い検査結果および必要装置の制御のために、必要とされる情報をモジュール900に提供する。
【0021】
自動鉄道軌道スキャニングおよび外部物体あるいは異常検出システムの好ましい実施の形態において、鉄道軌道の周りの領域がスキャンされる、そして鉄道軌道上(および軌道の側面を含む地上のそれらすぐの周辺かもしれない)の潜在的な外部物体あるいは異常が検出される、そして適切な人物に(およびシステム)に、潜在的な外部物体あるいは異常についての存在、場所および他の適切な情報に関して警告を出す。そのような実施の形態におけるシステムは、以下、1)から9)で構成される。
1)画像処理モジュールを備えるコンピュータシステム。
2)異なる視野(例えば、前方、後方、平面および側面)から鉄道軌道をスキャンできる1個あるいはそれ以上の画像装置。
3)検出外部物体あるいは軌道上の全ての選定位置あるいはその周辺を、特に前方視野や随意的に側面視野を、自動追跡するためのズーミング能力を有する1個あるいはそれ以上の第二の画像装置。
4)位置情報を提供するための位置決定(ポジショニング)サブシステム(つまり、GPS、推測航法、ビーコン)。
5)捕捉情報(つまり、画像および検出外部物体位置)を表示するためのデジタルマッピング・サブシステム。
6)画像記録および再生サブシステム。
7)遠隔的に画像を制御および表示するためのデータ通信サブシステム。
8)画像位置とデジタル地図あるいは標石を一致させる鉄道軌道地理情報システム(GIS)を含む軌道情報データベース。
9)外部物体検出の場合に鉄道軌道管理者に知らせることが出来る警報管理システム。
【0022】
更に、実施の形態は、以下、10)から15)の1個あるいはそれ以上を備え得る。
10)潜在的な物体あるいは異常が検出され時、取るべき行動を決定するシステムにより、および物体あるいは異常検出、分類かつ/または確認能力を高めるために、用いられる物体およびそれら形状のデータベース。
11)潜在的な物体あるいは異常が検出され時、取るべき行動を決定するシステムにより、および物体あるいは異常検出、分類かつ/または確認能力を高めるために、用いられる規則セット、規則基礎のエンジンあるいは専門システム。
12)スキャニング台車に離れて取り付けられ管理装置あるいは他の意思決定装置。
13)非・実時間処理および検出に対するオプション、例えば、定期検査などのような定常使用に対して。
14)スキャンされた軌道の静止の視野を提供する画像合成。
15)画像装置の近くに簡単に取り付けるための照明装置。
【0023】
装置を運ぶ台車が動くとき、スキャニング装置が軌道の周りの画像を捕捉する。スキャニング装置は、前、後ろ、側面で軌道に面する角度で取り付け、あるいは軌道に向かって下向きに取り付けることができる。そして、鉄道軌道のスキャンされた画像を通過する手動オプションを運転者に提供し、そして外部物体および異常を検出するために、得られた画像は一緒に合成される。
【0024】
システムは、常に1個あるいはそれ以上の画像装置から捕捉された全ての単一フレームを処理し得る、けれどもこの機能は、他の実施の形態において異なるあるいは変えうる。システムは、二通りの運用形態を持ち得る、つまり、訓練(あるいは調整)および実際の運用。訓練モードの間、興味の領域の境界が定義される(例えば、定義距離で軌道と軌道外側の枕木領域間の枕木領域)。システムは、状況理解のための初期調整期間を利用し得、および外部物体あるいは異常から正常背景(軌道、枕木、バラスト、ファスナー、ボルト、ナットなどのような通常物体)画像を区別するために使用し得る。実際の運用中、システムは、外部物体および異常の検出のために、重要画像補助変数(共通背景軌道情報の記述)と新しく獲得された画像を比較し得る。重要画像補助変数は、背景変化(例えば、天候、環境、照明条件)に付加するために定期的に更新されえる。列車軌道区間での突然のあるいは緩やかな背景変化(例えば、トンネル)に対して、システムは、比較と外部物体検出のために蓄積画像テンプレートを使い得る。全ての捕捉ビデオ画像と検出外部物体は、記録されえ、そして人的検査のために、あるいは検出外部物体の確認のために再生されることが出来る。
【0025】
本実施の形態の例において、システムは、枯れ葉あるいはゴミを含む外部物体を認識する。正常外部物体(例えば、枯れ葉、ゴミなど)による間違い警報の可能性を減らすために、そのような正常外部物体を無視するか捨て去るために、システムの感度レベルを調整することが出来る。正常外部物体は、また、大きさ、長さ、面積、形状、光度、色などのような視覚属性に基づいてフィルターをかけて取り除くことが出来る。その他の実例で、枯れ葉やゴミのような外部物体の検出は重要であるかもしれない、例えば、異常外部物体が他の正常な物体(枯れ葉、ゴミなど)に隠れるあるいは覆われているかもしれない。ある構成調整が、異なる環境と目的に対して最適な結果を生成するために持ちられ得る。可視および不可視スペクトルの画像を拾い上げるカメラを結合することは役に立つかもしれない。例えば、普通のカメラからの画像を、葉やゴミを認識するために使用し得る、一方、赤外カメラからの画像を、葉が異常な熱サインを発しているかどうか調べるために使用し、隠れた物体の存在を示し得る。
【0026】
図1から図7は、本実施の形態の例による前方に見える物体の検出のみを示す。しかしながら、システムは、また、後方(後方視野)、下向き、台車の両側面の一つに向けるカメラを持っても良い。更に、外部物体が軌道の下に埋められている可能性があることが考えると、外部物体検出は、物理的物体の検出に限定されないだけでなく、軌道ベッド表面変動の検出をも含む。
【0027】
本発明の実施の形態において、システムは、スキャニング装置によって捕捉された軌道の画像を処理することによって外部物体あるいは異常を検出する。
一度、物体あるいは異常をスキャニング装置により検出すれば、随意の画像装置はズームインに用いられることが出来、改善された分類かつ/または確認のために物体の高解像度画像を提供できる。実例で、検出物体が評価されているとき、台車は一時的に止まり得る。検出物体に関して取る適切な動作に決定をするために、背景の管理者あるいはシステム運転者のような適切な意思決定者に警告する。台車は、動き続け得る、そして意思決定者の許可が認められた後のみスキャンする。システムは、ユーザが、視野と先の距離の異なる装置の高さによってカメラを傾けることにより、興味の領域を構成することを許す。
【0028】
実施の形態の例において更なる動作のために、一度、外部物体あるいは異常が鉄道軌道上で確認されれば、システムは警報信号をシステム運転者(近づいてくる列車あるいは同じ軌道近傍の運転者であり得る)かつ/また背景管理者に送る。システムは、また、台車の位置を決定するための位置決定サブシステム(つまり、GPSあるいは推測航法)で、おそらくGIS及びデジタル地図と一緒に、統合され得る、それにより、システムは、また正確に、素早く捕捉画像と外部物体の位置を決定し、記録しそして報告する。GPSあるいはGIS地図を使用しないで位置を決定する他の手段は、例えば、鉄道軌道の側面に沿って置かれた無線あるいは赤外標識(ビーコン)を使用しても良い。パターンマチングおよび画像理解アルゴリズムあるいは規則セット、規則基礎のエンジンあるいは専門システム(正常鉄道軌道、異常あるいは外部物体に関して可視あるいは不可視情報用いる)のいずれかを用いることで、実時間で捕捉鉄道軌道画像を外部物体画像のデータベースと比較することにより、疑わしい外部物体を検出、おそらく分類かつ/または確認できる。捕捉画像と処理画像は適当に索引(位置情報で)される、それゆえ鉄道軌道の対応部の位置を決定あるいは簡単にすばやく検索できる。軌道の特別な部分と連結した外部物体に関する画像あるいは処理情報を蓄積し、必要なときに検索できる。位置は、地理的な地図参照に基づき、あるいは更に便利な軌道上の特別な印に基づいても良い。加えるに、捕捉および処理画像を再生目的で蓄積できる。
【0029】
外部物体の正確な検出は別として、システムは、異常を検出する能力を持つことが出来る、あるいは、実施の形態例において、軌道の側面構造を含む、鉄道軌道とその周辺を作る重要構造と他の物体間の間隙(スペース)を検査することにより鉄道軌道の完全性を確認できる。スキャニング装置は、地形の変化や湾曲部にある鉄道軌道に追従することが出来る。切り替え、回転および軌道切り替えギアーなどの一般に知られた軌道特徴を確認するためにスキャニング装置により得られた場所と軌道情報をGISとデジタル地図に記入できる。システムにより捕捉、処理された新しい軌道データの追加により、既知の軌道特徴は、豊かになる。
【0030】
スキャニング装置が正しく鉄道軌道に追従することを容易にするために、スキャンされた画像は、随意の軌道と事前に知られた軌道情報と共に、鉄道軌道の見かけ上の動き(鉄道軌道の上をスキャニング装置が動くとき)を決定するために処理され得る、そして、それは、自動的にスキャニング装置の配置を調整することにより、あるいは、他の技術(例えば、1個以上の画像装置が利用可能であれば、使用のスキャニング装置の選択)により、補正される。
【0031】
実施の形態の一例において、システムは、実時間に軌道に沿って外部物体を検出できる。検出サブシステムは、潜在的外部物体が注意を必要とするか、あるいは除去すべきかどうかを決定するために特徴抽出能力を備えうる。パターン認識技術の使用により、可能な物体の性質を決定するために、検出外部物体からの目に見える独特な特徴(例えば、大きさ、形状、光度および色)が既知の物体データベースと比較される。物体分類は、規則セットあるいは規則基礎のエンジンあるいは専門システムを用いて達成される。外部物体が検出されると、システムは、更なる行動(例えば、スキャニング台車の停車、あるいは列車に近づく)に対してシステム運転者あるいは背景の管理者などの適切な意思決定者に警告をだすように構成できる。
【0032】
画像装置は、所望のフレームレートおよび解像度の全ての光学的あるいは赤外カメラで良い。いくつかの状況において、例えば、メンテナンス応用に対して、スキャニング装置は、前側に装置する必要はない、あるいは、スキャニング台車の前側の軌道画像の捕捉のために設計する必要はない(例えば、スキャニング装置が、現在通過中あるいは通過した軌道の部分を捕捉しても良い)。スキャニング装置は、また、台車の後部に装置しても良い、例えば、台車が逆向きに移動する能力を有する。ビデオ、静止あるいは視覚画像装置は、鉄道軌道、鉄道軌道上のそれらの直の周囲および物体についての構造情報を提供できる他の種類の(スキャニング)センサー技術で置き換え、あるいは強化しても良い。スキャニング台車は、鉄道軌道上を移動する軌道車両である必要はない、例えば、無人の遠隔操作の空飛ぶものでも良い。
【0033】
鉄道軌道異常あるいは外部物体検出システムに対して、少なくとも1個の画像装置(以下「スキャニング装置」として参照)が、鉄道軌道あるいは列車(「スキャン台車」として参照)をスキャンする移動車両に取り付けられる、それにより、それは、台車が動くときスキャン台車の前方の鉄道軌道をスキャンする。スキャン装置それ自身は、必要な画像あるいは捕捉すべき軌道の適切な部分の映像を捕捉するために、車両の側面あるいは後ろのように、前に設置されるよりかむしろ離れて設置しても良い。
【0034】
実施の形態は、鉄道軌道スキャニングの方法および物体の存在あるいは異常検出を提供し、そしてまた、鉄道軌道の大きな、連続の合成「静止」画像を提供することができる、それにより、画像基礎の検査かつ/または検証を容易にする。方法は、精度のレベルを上げ、現状の方法に比べて効果的である。
【0035】
外部物体を検出することは別として、本発明の実施の形態は、また、見る、あるいは、検索および管理が簡単である方法で、鉄道軌道の状況あるいは状態の記録を作る方法を提供できる。本発明の実施の形態は、また、保守作業あるいは修理が必要とされる軌道上の領域を突き止めるかあるいは予測することにより、鉄道軌道の保守に使うことが出来る。実施の形態は、また、事故/事件の前の鉄道軌道の状態を決めるために使うことが出来うる、そして事故/事件の原因を決定しうる。実施の形態は、長いパイプライン、ビル構造のような鉄道軌道に似た他の構造の検査へ適用しうる。
【0036】
本発明は、特に、好ましい実施の形態に関して明示し説明をしたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更可能であることはいうまでもない。従って、開示の発明は説明としてのものであり、その有効範囲は、特許請求範囲のみで制限されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施の形態例による鉄道軌道上の外部物体あるいは異常を検出するためのシステムと方法を示す概略図である。
【図2】実施の形態例によるまっすぐな鉄道軌道上の外部物体あるいは異常を検出するためのシステムと方法を示す概略平面図描写である。
【図3】図2の概略側面図である。
【図4】実施の形態例による、列車が上り勾配から平らになる時、鉄道軌道上の外部物体あるいは異常を検出するためのシステムと方法を示す概略側面図である。
【図5】実施の形態例による、列車が下り勾配から平らになる時、鉄道軌道上の外部物体あるいは異常を検出するためのシステムと方法を示す概略側面図である。
【図6】実施の形態例による、列車が線路上のカーブを通り抜ける時、鉄道軌道上の外部物体あるいは異常を検出するためのシステムと方法を示す概略平面図である。
【図7】実施の形態例による鉄道軌道上の外部物体あるいは異常を検出するためのシステムの基本結合要素を示す機能ブロック図である。
【図8】実施の形態例による、鉄道軌道スキャニングおよび外部物体あるいは異常検出に対する様々なシステム装置示すブロック図である。
【図9】実施の形態例による、鉄道軌道スキャニングおよび外部物体あるいは異常検出に対する処理システムの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0038】
100…前方視野、102…軌道車両、104…鉄道軌道、106…外部物体、108,110,112,114…境界、116…拡大画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道軌道上又は近傍における物体又は異常を検出するための鉄道軌道スキャニングシステムであって、
鉄道軌道部上又は近傍をスキャンするためのスキャニング手段と、
前記スキャニング手段からの情報に基づいて、鉄道軌道部上又は近傍における物体又は異常の存在と位置を決定するための検出手段を備えることを特徴とする鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項2】
更に、前記検出手段からの情報に基づいて1個またはそれ以上の物体又は異常の画像を捕捉するためのカメラ手段と、
検出情報を得るための前記カメラ手段により捕捉の画像を処理するための画像処理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項3】
1個の検出情報は、物体あるいは異常の性質から成ることを特徴とする請求項2に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項4】
更に、システムのデータベース内の参照データに対して得られた検出情報を照合するための照合手段を備えることを特徴とする請求項2または3のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項5】
前記スキャニング手段は1個あるいはそれ以上の広角カメラから成り、
前記検出手段は、広角カメラにより補足された画像の画像処理に基づいて物体あるいは異常の存在と位置を決定するために動作可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項6】
前記カメラ手段は1個あるいはそれ以上のズームカメラであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項7】
自動で、実時間処理が可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項8】
1)捕捉物体あるいは異常の高解像度画像、
2)地理的な座標系の物体かつ/または異常の位置(例えば、既知の参照ポイントから軌道に沿った緯度と経度または距離)、
3)スキャニング台車あるいは何台かの他の既知の軌道車両からの物体かつ/または異常の距離、
4)物体かつ/または異常の大きさ、光度、色あるいは形状、かつ/または他の視覚特性、
5)物体かつ/または異常の分類あるいは認識が可能、例えば、物体/軌道データベースあるいは他の情報源からの情報を合致させることにより、あるいは規則セットあるいは規則基礎のエンジンあるいは専門システムを使うことによる、
上記1)から5)の1個あるいはそれ以上を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項9】
容易な検索と検証のためのデータ/時間検印、緯度と経度位置、標石、車両速度およびその他の補助変数をもつ軌道の連続画像、意思決定者に画像の検討を可能にするために一緒に合成された画像を捕捉するための1個あるいはそれ以上の画像装置から成ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項10】
地形の変化、曲率半径、環境、天候およびポイントレールの1個あるいはそれ以上に対して、補正あるいは調整を実施できることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項11】
画像装置の異なる視角に対して関連する軌道と連携した構造物を見出し、検出することができることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項12】
軌道に沿って発見されると期待される物体および特徴と同様に、潜在的な外部の物体かつ/または異常のデータベースを維持かつ/または使用することができることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項13】
規則セットあるいは規則基礎のエンジンあるいは専門システムに基づいて、正常あるいは異常として検出された物体を分類することができることを特徴とする前記請求範囲のいずれかに記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項14】
湾曲した鉄道軌道の周りの鉄道軌道操縦として、画像境界を定義し、自動的に興味の領域とカメラ視野を調整するために、鉄道線路を認識することができることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項15】
背景の主要な画像補助変数を連続して更新することにより、緩やかな、あるいは強烈な背景変化にも適応することができることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項16】
蓄積画像テンプレートと捕捉画像を比較することにより、突然のあるいは緩やかな背景変化に適応することができることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項17】
感度レベルを調整することにより、正常外部物体による間違い警報を減らすことができることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項18】
大きさ、長さ、面積、外形、光度、色などの視覚属性物体の使用をすることにより、正常外部物体による間違い警報を減らすことができることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項19】
軌道基礎変動の分析により、不可視の物理的外部物体を検出することができることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の鉄道軌道スキャニングシステム。
【請求項20】
鉄道軌道上あるいは近傍の物体又は異常を検出するための鉄道軌道スキャニング方法であって、
鉄道軌道部上あるいは近傍を、スキャニング装置を利用してスキャンし、
前記スキャニング装置に結合した検出装置を利用して、スキャニング手段からの情報に基づいて鉄道軌道部上あるいは近傍の物体あるいは異常の存在と位置を決定することを特徴とする鉄道軌道スキャニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−502538(P2008−502538A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527150(P2007−527150)
【出願日】平成17年6月11日(2005.6.11)
【国際出願番号】PCT/SG2005/000190
【国際公開番号】WO2005/120924
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(503210658)ストラテック システムズ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Stratech Systems Limited
【Fターム(参考)】