説明

鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法

【課題】容易に施工することができるとともに工期の短縮を図ることができ、さらに、騒音や振動等が抑えられ、構造物を利用しながら工事することができる鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法を提供することを目的としている。
【解決手段】鉄骨ブレース2に補剛材3が外装されることで鉄骨ブレース2の座屈が防止される鉄骨ブレース2の補剛構造において、補剛材3は、鉄骨ブレース2に巻き付けられたマット状の袋体4内に硬化性流動体からなる充填材5が充填された構成からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既存構造物の耐震強度を増大させる耐震補強技術として、柱梁架構の内側に壁を新設する技術があるが、工事自体が大規模となって工期やコストが増大するという問題や、構造物の重量が増大して構造上不利になるという問題、それまで利用可能であったスペースが塞がれることにより建物の利用計画に影響を与えるという問題、工事に騒音や振動が伴うことにより建物を利用しながら補強工事を行うことが難しいという問題等がある。
【0003】
そこで、従来、構造物の架構内に設けられた鉄骨ブレースを補剛することにより構造物の耐震強度を増大させる技術が提案されている。従来の鉄骨ブレースの補剛技術としては、鉄骨ブレースに補剛用の鋼管を外装させる技術がある。この技術の一例として、特許文献1に開示されているように、鋼管に取り付けられたボルトを捻じ込み、そのボルトの先端を鉄骨ブレースに押し付けることにより、鋼管を鉄骨ブレースに固定するものがある。また、特許文献2に開示されているように、鋼管の内周面に突設された鋼板で鉄骨ブレースを両側から挟み込むものがある。さらに、特許文献3に開示されているように、鋼管の内周面に設けられた受け材に鉄骨ブレースの側端を嵌め込むものがある。これらの技術によれば、鋼管によって鉄骨ブレースの座屈が防止され、構造物の耐震強度を増大させることができる。
【0004】
また、従来の鉄骨ブレースの補剛技術として、鉄骨ブレースを鉄筋コンクリートで被覆する技術がある。この技術は、特許文献4に開示されているように、鉄骨ブレースを囲うように鉄筋を配筋した後、この鉄筋を囲うように型枠を筒状に組み立てて、この型枠内にコンクリートを打設することで、鉄骨ブレースを鉄筋コンクリートで被覆するものである。この技術によれば、被覆した鉄筋コンクリートによって鉄骨ブレースの座屈が防止され、構造物の耐震強度を増大させることができる。
【0005】
さらに、従来の鉄骨ブレースの補剛技術として、鉄骨ブレースを鋼管コンクリートで被覆する技術がある。この技術は、特許文献5に開示されているように、鉄骨ブレースに鋼管を外装させ、この鋼管内にコンクリートを打設するものである。この技術によれば、被覆した鋼管コンクリートによって鉄骨ブレースの座屈が防止され、構造物の耐震強度を増大させることができる。
【特許文献1】特開平11−29978号公報
【特許文献2】特開平9−221830号公報
【特許文献3】特開平11−152801号公報
【特許文献4】特開平7−324379号公報
【特許文献5】特開平9−328813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した鉄骨ブレースに鋼管を外装させる従来の技術では、補剛用の鋼管として、厚肉で相当な重量の鋼管が用いられるため、この鋼管を揚重したり定置したりする作業には、大型の揚重機等の大規模な設備が必要であるという問題がある。また、既存の鉄骨ブレースに鋼管を外装させる際、鋼管を例えば半割りして2つの分割体に分け、それらの分割体を鉄骨ブレースの両側から挟み込んで管状に形成するが、従来は、分割体同士の合わせ目を溶接することで分割体を連結しているため、鋼管を組み立てる作業が煩雑であるという問題がある。また、鋼管に取り付けられたボルトの先端を鉄骨ブレースに押し付けて鋼管を固定する補剛構造では、分割体同士を溶接した後、複数のボルトの捻じ込みを調整する必要があり、工事がさらに煩雑になる。
【0007】
また、上記した鉄骨ブレースを鉄筋コンクリートで被覆する従来の技術では、鉄筋の配筋を行った後、型枠を建て込み、その後、コンクリート打設し、コンクリートの固化後に型枠を解体しなければならない。このように複数の作業を順次行う必要があり、工事が煩雑であり、工期も長くなるという問題がある。また、通常、上記作業には騒音や振動が伴うので、構造物を利用しながら工事を行うのが難しい場合がある。
【0008】
また、上記した鉄骨ブレースを鋼管コンクリートで被覆する従来の技術では、上述した鋼管を外装させる従来技術と同様に、既存の鉄骨ブレースに対して補剛構造を施工する際、鋼管の分割体同士の合わせ目を溶接するため、工事が煩雑であるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、小規模な工事で容易に施工することができるとともに工期の短縮を図ることができ、さらに、騒音や振動等が抑えられ、構造物を利用しながら工事することができる鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造は、鉄骨ブレースに補剛材が外装されることで前記鉄骨ブレースの座屈が防止される鉄骨ブレースの補剛構造において、前記補剛材は、前記鉄骨ブレースに巻き付けられたマット状の袋体内に硬化性流動体からなる充填材が充填された構成からなることを特徴としている。
【0011】
このような特徴により、上記した補剛材は、鉄骨ブレースに袋体を巻き付けた後、その袋体の中に充填材を充填することで形成される。このとき、袋体は軽量であるため容易に鉄骨ブレースに巻き付けられる。また、上記した補剛材を形成する際には、溶接作業が不要であり、また、袋体が充填材の型枠の役目を果たすため、補剛材を形成する際に鉄骨ブレースの周りに型枠を建て込んだり型枠を解体したりする必要もない。また、上記した袋体及び充填材からなる補剛材は、架構内に組み込まれる耐震壁等と比べて軽量である。また、充填材と鉄骨ブレースとの間には袋体が介在されることになり、充填材と鉄骨ブレースとは縁が切られた状態となる。
【0012】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造は、前記補剛材に外側鋼管が外装されていることが好ましい。
【0013】
これにより、補剛構造の断面二次モーメントと断面係数(耐力と剛性)が向上する。なお、この外側鋼管は上記補剛材を補強するためのものであるので、従来の補剛用鋼管よりも薄肉で軽量の鋼管を用いることができる。
【0014】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造は、前記外側鋼管が、該外側鋼管を周方向に分割した複数の分割体からなり、隣り合う前記分割体同士が、一方の分割体に設けられた爪部と他方の分割体に設けられた被掛止部とが掛合することで連結されており、前記爪部と前記被掛止部とは、前記充填材の充填によって前記袋体が膨張して隣り合う前記分割体同士が互いに離間する方向へ押圧されることでかしめられていることが好ましい。
【0015】
これにより、既存の鉄骨ブレースに対して外側鋼管が溶接せずに設置される。すなわち、鉄骨ブレースに袋体を巻き付けた後、複数の分割体を袋体の外周を囲うように配置する。このとき、爪部と被掛止部とは緩い状態で掛け合わされている。次に、袋体の中に充填材を充填する。このとき、袋体は充填材の充填に伴い徐々に膨張する。この袋体の膨張により、隣り合う分割体同士が互いに離間する方向にそれぞれ押圧され、掛け合わされた爪部と被掛止部とがかしめられ、隣り合う分割体同士が強固に連結される。
【0016】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造は、前記袋体に繊維補強が施されていることが好ましい。
【0017】
これにより、補剛材の耐力と剛性が向上する。
【0018】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造は、前記鉄骨ブレースと前記補剛材との間に緩衝材が介在されていることが好ましい。
【0019】
これにより、鉄骨ブレースと充填材との間には、袋体の厚さと緩衝材の厚さを足した寸法の間隔があくことになるため、緩衝材の厚さを変更することで鉄骨ブレースと充填材との間隔寸法が適宜調整可能である。したがって、鉄骨ブレースに圧縮力が作用した際の材軸直交方向への歪が大きい場合(例えば制振ブレース等)にも対応可能である。
【0020】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造の施工方法は、鉄骨ブレースに補剛材が外装されることで前記鉄骨ブレースの座屈が防止される鉄骨ブレース補剛構造の施工方法において、前記鉄骨ブレースにマット状の袋体を巻き付けた後、該袋体内に硬化性流動体からなる充填材を充填することで、前記補剛材を形成することを特徴としている。
【0021】
このような特徴により、既存の鉄骨ブレースに対して請求項1記載の補剛構造が形成される。このとき、袋体は軽量であるため鉄骨ブレースに容易に巻き付けられる。また、補剛材の形成する際には、溶接作業が不要であり、また、袋体が充填材の型枠の役目を果たすため、補剛材を形成する際に鉄骨ブレースの周りに型枠を建て込んだり型枠を解体したりする必要はない。
【0022】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造の施工方法は、前記鉄骨ブレースの補剛範囲のうちの少なくとも下端位置に、前記鉄骨ブレースに巻き付けた前記袋体を支持するための袋体支持部材を設置することが好ましい。
【0023】
これにより、鉄骨ブレースに巻き付けられた袋体が鉄骨ブレースに沿って摺り落ちないように仮受けされる。
【0024】
また、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造の施工方法は、前記袋体を前記鉄骨ブレースに巻き付ける際、粘着材を介して前記袋体を前記鉄骨ブレースに巻き付けることが好ましい。
【0025】
これにより、鉄骨ブレースに巻き付けられた袋体が鉄骨ブレースから外れないように粘着材によって鉄骨ブレースに仮固定される。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法によれば、型枠の建て込みや解体、厚肉で重量のある鋼管の揚重や定置、鋼管組み立て時の現場溶接等の作業が不要であるため、比較的規模の小さい工事となり、容易且つ安全に施工することができる。また、上記した補剛材を形成する作業は騒音や振動が小さく、工事中における周辺環境への影響が少ないため、構造物を利用しながら工事することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0028】
図1は鉄骨構造物の架構1を表した側面図である。
図1に示すように、鉄骨造の架構1の内側には、風や地震等の水平力に抵抗して架構1の面内変形を防ぐための鉄骨ブレース2が組み込まれている。この鉄骨ブレース2は、架構1の内側に斜めに延在させて架設された耐震ブレースであり、例えばH型鋼等の鋼材からなる。本実施の形態では、鉄骨ブレース2は、その弱軸(フランジに対して垂直な方向)が架構1の構面内にくるような向きで設置されている。つまり、鉄骨ブレース2のウェブが架構1の構面と平行になるような向きで配置されている。なお、本発明は、上記した鉄骨ブレース2の向きに限定されるものではなく、例えば、その強軸(ウェブに対して垂直な方向)が架構1の構面内にくるような向きで鉄骨ブレース2を設置してもよい。また、鉄骨ブレース2のうち、後述する補剛材3で拘束していない部分、つまり、鉄骨ブレース2の両端部分には、降伏しないように耐力と剛性を高めるための補強リブ30を設けておくことが好ましい。
【0029】
上記した鉄骨ブレース2の中間部分には、鉄骨ブレース2の座屈を防止するための補剛材3が外装されている。補剛材3は、鉄骨ブレース2が軸方向に圧縮力を受けた場合にその中間部分が座屈によって弱軸方向にたわみ変形することがないように鉄骨ブレース2を補剛する部材であり、鉄骨ブレース2の中間部分を被うように鉄骨ブレース2に外装されている。
【0030】
図2は補剛材3により補剛された鉄骨ブレース2の側面図であり、図3は補剛材3により補剛された鉄骨ブレース2の断面図である。
図2,図3に示すように、補剛材3は、鉄骨ブレース2に巻き付けられた袋体4内に充填材5が充填された構成からなる。
充填材5は、充填性に優れた硬化性流動体からなり、例えば無収縮モルタルやセメントペースト等からなる。
【0031】
袋体4は、その中に充填材5が詰められるマット状(座布団状)の袋体であり、充填材5を充填する際の型枠の役目を果たすものである。袋体4は、充填材5の圧入や鋼材エッジ部との接触に耐え得る程度の耐久性を有するとともに、鉄骨ブレース2に巻き付けられる程度の可撓性(易変形性)を有する材質のものからなる。また、袋体4は、充填材5の圧入により若干膨張する程度の膨張性を有する材質のものからなることが好ましく、例えば、塩化ビニール製、ポリアミド系繊維製のものを使用することが好ましい。
【0032】
また、上記した袋体4には、繊維補強が施されていることが好ましい。繊維補強としては、例えば、アラミド繊維による補強やポリエステル補強糸を施したりする。具体的に説明すると、図12、図13に示すように、アラミド繊維からなる緯糸が織り込まれた筒状織物を用いて袋体4を形成する。そして、その袋体4を鉄骨ブレース2に巻き付けるとともに袋体4内に充填材5を充填する。なお、、補剛材3は円筒形状に形成される。なお、勿論、繊維補強が施されていない袋体4を用いることも可能である。
さらに、袋体4は、充填材5としてモルタル等を使用する場合には、遮水性を有することが好ましい。例えば、シリコンコーティングを施した袋体を用いることが好ましい。
【0033】
また、上記した袋体4は、鉄骨ブレース2の全周に亘って巻き付けられて筒状に形成されており、袋体4の両側端の合わせ目は、鉄骨ブレース2の強軸に平行する面の中央位置で密着されている。つまり、袋体4は、その合わせ目が鉄骨ブレース2のフランジ面(図3においては上フランジ面)の幅方向中央位置にくるように鉄骨ブレース2に巻き付けられている。
【0034】
また、鉄骨ブレース2のフランジ間にある両側の凹部分には、ブロック体6,6がそれぞれ嵌め込まれている。ブロック体6,6は、フランジ間の凹部分に隙間無く嵌合される長方形のものである。また、ブロック体6,6は軽量なものであり、例えば発泡スチロールなどからなる。このブロック体6,6は、鉄骨ブレース2の中間部分、つまり上記した補剛材3によって補剛して座屈を防止する範囲(補剛範囲L)に配置されている。また、ブロック体6,6の全長(長手方向の長さ)は補剛範囲L(補剛材3)の全長よりも若干長く、ブロック体6,6の両端部は補剛材3の両端からそれぞれ突出されている。なお、上記したブロック状のブロック体6,6を配置せず、フランジ間に鋼板を溶接してフランジ間の凹部分を鋼板で塞ぐ構成にしてもよい。また、鉄骨ブレース2が鋼管からなる場合には、上記したブロック体6,6や鋼板は不要である。
【0035】
また、補剛材3(袋体4)と鉄骨ブレース2との間や、補剛材3(袋体4)とブロック体6,6との間には、巻き付けた袋体4を鉄骨ブレース2側に仮止めするための粘着材7…が介在されている。この粘着材7…は、鉄骨ブレース2の材軸方向に延在する帯状の粘着材であり、例えば、アクリル系やシリコン系の両面粘着テープや粘着剤などを用いることができる。また、上記した粘着材7…は、ブロック体6,6の全長に亘って延在されており、また、鉄骨ブレース2のフランジ中央位置、フランジ側端面、及びブロック体6,6の中央位置にそれぞれ配設されている。なお、上記した粘着材7…の形状や位置、延在方向等は適宜変更可能であり、例えば、帯状以外の形状(例えば四角形等)の粘着材を配設させてもよく、或いは、帯状の粘着材を鉄骨ブレース2の四隅位置だけに配設させてもよく、或いは、帯状の粘着材を鉄骨ブレース2の周方向に延在させてもよい。
【0036】
上記した補剛材3には、補剛材3の耐力と剛性を向上させるための外側鋼管8が外装されている。この外側鋼管8としては、断面矩形(ロ字形)の鋼管が用いられている。この外側鋼管8を構成する鋼管は、上記した補剛材3の断面二次モーメントと断面係数(耐力と剛性)を補うためのものであり、補剛材3と組み合わせて鉄骨ブレース2の座屈を防止することができる程度の厚さを有している。
【0037】
また、外側鋼管8は、外側鋼管8の周方向に2つに分割された、つまり、鋼管を材軸方向に切断した断面コ字形の一対の半割り鋼管8a,8b(分割体)からなり、一対の半割り鋼管8a,8bを筒状(断面ロ字状)に組み合わせてその合わせ目部分を連結した構成からなっている。また、上記した一対の半割り鋼管8a,8bは、補剛材3に装着される際に鉄骨ブレース2の強軸方向からそれぞれ被せられており、鉄骨ブレース2の強軸に平行する補剛材3の側面の位置で一対の半割り鋼管8a,8bの端部同士が連結されている。つまり、一対の半割り鋼管8a,8bの合わせ目は、鉄骨ブレース2のフランジ面の幅方向中央位置にある。また、外側鋼管8は、材軸方向には分割されていない、つまり、材軸直交方向に切断していなく、半割り鋼管8a,8bは、補剛範囲Lの全長に亘って延在されている。
【0038】
なお、本実施の形態では、外側鋼管8として断面ロ字状の鋼管が使用されているが、本発明は、断面円形の鋼管からなる外側鋼管であってもよい。また、上記した外側鋼管8を仕上げ材を兼ねている構成であってもよく、例えば、美観や耐候性を向上させるべく、ステンレス鋼やメッキ鋼材からなる外側鋼管を使用してもよい。
【0039】
図4は一対の半割り鋼管8a,8bの合わせ目部分の連結構造を表した拡大断面図である。
図4に示すように、上記した一対の半割り鋼管8a,8bの合わせ目部分は、かみ合わせ継手により連結されている。具体的に説明すると、一方の半割り鋼管8aの端部には、フック状の爪部12が設けられ、他方の半割り鋼管8bの端部には、爪部12が掛止される被掛止部13が設けられており、これらの爪部12と被掛止部13とが掛合することで、一対の半割り鋼管8a,8bの合わせ目部分は連結されている。なお、このかみ合わせ継手は、一対の半割り鋼管8a,8bを組み合わせた当初は、爪部12と被掛止部13との間には隙間があり、爪部12と被掛止部13とは緩く掛け合わされた状態になっている。そして、後述する充填材5の充填によって袋体4が膨張して一対の半割り鋼管8a,8b同士が互いに離間する方向(図8に示す矢印方向)へ押圧されることで、爪部12と被掛止部13とがかしめられて固定される。また、爪部12と被掛止部13の各係合面はテーパー面となっており、強固にかみ合わされる。
【0040】
次に、上記した構成からなる鉄骨ブレース2の補剛構造の施工方法について説明する。なお、本実施の形態では、既存の鉄骨ブレース2に上記した構成からなる補剛構造を施工する方法について説明する。
【0041】
図5(a)、図6(a)、図7(a)は鉄骨ブレース2を表す側面図であり、 図5(b)、図6(b)、図7(b)は鉄骨ブレース2を表す断面図である。
まず、図5(a)、図5(b)に示すように、既存の鉄骨ブレース2のフランジ間にある両側の凹部分にブロック体6,6をそれぞれ嵌合させる工程を行う。ブロック体6,6は、材軸方向に圧縮力を受けた場合に座屈が生じるおそれがある鉄骨ブレース2の中間部分に配置する。
【0042】
次に、鉄骨ブレース2やブロック体6,6の表面に粘着材7…を貼着させる工程を行う。具体的に説明すると、鉄骨ブレース2のフランジの幅方向の中央位置、フランジの両側の幅方向の側端面、及びブロック体6,6の高さ方向の中央位置(上下のフランジの中間位置)に、帯状の粘着材7…をそれぞれ長手方向に延在させて貼り付ける。この粘着材7…は、少なくとも袋体4が巻き付けられる補剛範囲Lに亘って貼り付ける。
【0043】
また、鉄骨ブレース2の補剛範囲Lのうちの下端位置、つまり、上記したブロック体6,6の下端部の位置に袋体支持部材9を取り付ける工程を行う。袋体支持部材9は、鉄骨ブレース2に巻き付けた袋体4が鉄骨ブレース2に沿って摺り落ちないように支持するための仮設材であり、鉄骨ブレース2に対して着脱可能に取り付けられている。
【0044】
図8(a),図8(b),図8(c)に示すように、袋体支持部材9は、鉄骨ブレース2を両側(両方のフランジ側)から挟み込むコ字形の板材22,23からなり、このコ字形の板材22,23同士は当て板24を介して接合されている。板材22,23にはスタッドボルト25…が突設されており、このスタッドボルト25…が当て板24に形成されたボルト孔にそれぞれ挿通させてナット26…でそれぞれ締め付けられている。また、コ字形の板材22,23の中央部分には、鉄骨ブレース2のフランジ面に重ねられる鍔部22a,23aが、板材22,23に対して垂直に突設されており、この鍔部22a,23aを鉄骨ブレース2のフランジに万力やCクランプなどの締結具27で固定させることで、袋体支持部材9が鉄骨ブレース2に固定されている。なお、上記した袋体支持部材9では、万力やCクランプなどの締結具27を用いて袋体支持部材9の板材22,23を鉄骨ブレース2に取り付けているが、本発明は、点溶接によって袋体支持部材9を鉄骨ブレース2に取り付けてもよい。その場合は、鍔部22a,23aは不要となる。また、袋体支持部材9には、後述する注入口10に連通する孔21が形成されている。
【0045】
次に、図6(a)、図6(b)に示すように、鉄骨ブレース2の補剛範囲Lに袋体4を巻き付ける工程を行う。具体的に説明すると、袋体4の両側端の合わせ目が鉄骨ブレース2のフランジ面の幅方向中央位置にくるように、袋体4を鉄骨ブレース2に巻き付ける。このとき、袋体4の下端面が袋体支持部材9によって支持されており、鉄骨ブレース2に巻き付けられた袋体4の摺り落ちが防止されている。また、筒状に巻かれた袋体4は、その内周面が粘着材7…を介して鉄骨ブレース2やブロック体6,6に接着されている。
【0046】
また、上記した袋体4の一端(下端)には、充填材5を充填させるための注入口10を形成しておき、また、袋体4の他端(上端)には、充填材5の充填時における空気抜きと充填材5の充填完了を確認するためのホース11を取り付けておく。詳しく説明すると、上記した注入口10は、袋体4が鉄骨ブレース2に巻き付けられて筒状に形成された状態において、袋体4の下端部のうち、鉄骨ブレース2の下フランジを被う部分に配設されている。一方、上記したホース11は、袋体4が鉄骨ブレース2に巻き付けられて筒状に形成された状態において、袋体4の上端部のうち、鉄骨ブレース2の上フランジを被う部分に配設されている。すなわち、マット状の袋体4が広げられた状態において、袋体4の一方側の部分の略中央部分の位置に注入口10が設けられ、袋体4の他方側の部分の隅部の位置にホース11が設けられている。
【0047】
次に、図7(a)、図7(b)に示すように、鉄骨ブレース2に巻き付けられた袋体4の外側に外側鋼管8を外装させる工程を行う。具体的に説明すると、鉄骨ブレース2に巻き付けられた袋体4を一対の半割り鋼管8a,8bで挟み込むように、両側から半割り鋼管8a,8bをそれぞれ被せて装着される。このとき、一方の半割り鋼管8aの端部に設けられた爪部12は、他方の半割り鋼管8bの端部に設けられた被掛止部13の内側に嵌め込まれるが、爪部12と被掛止部13との間には隙間があり、爪部12と被掛止部13とは緩く掛け合わされた状態になっている。
【0048】
図9は充填材5の充填状況を表した側面図である。
次に、図9に示すように、袋体4の中に充填材5を充填する工程を行う。具体的に説明すると、袋体4に設けられた注入口10と充填材5を圧送する圧送ポンプ14とを圧送用ホース15を介して接続する。そして、圧送ポンプ14によって充填材5を圧送し、注入口10から袋体4の中に充填材5を充填する。このとき、注入口10の反対側に設けられたホース11から袋体4内の空気を抜きつつ、袋体4内に充填材5が充填される。上記した注入口10は袋体4の下端部に設けられ、ホース11は袋体4の上端部に設けられているため、注入口10から圧入された充填材5が上方向に押し上げられながら袋体4内に充填され、袋体4の中に充填材5が密実に充填される。
【0049】
上記のように袋体4の中に充填材5を充填することによって袋体4が膨張する。そして、膨張した袋体4によって一対の半割り鋼管8a,8bがそれぞれ押圧され、一対の半割り鋼管8a,8b同士が互いに離間する方向へ押圧される。これにより、爪部12と被掛止部13とがかしめられて固定される。すなわち、膨張する袋体4により、一対の半割り鋼管8a,8bの間隔が押し広げられ、一対の半割り鋼管8a,8bの継手部分が引っ張られるようにして爪部12と被掛止部13とがかしめられる。
【0050】
そして、ホース11から充填材5が吐出した時点で、充填材5の充填が完了したとみて、圧送ポンプ14による充填材5の圧送を停止させる。充填材5の充填完了後、注入口10やホース11が設けられた袋体4の両端部を閉止して袋体4を閉塞させる。
【0051】
次に、袋体4内に充填された充填材5が硬化した後、袋体4の両端で硬化した不要な充填材5や、仮設のホース11や袋体支持部材9,9等を撤去する工程を行う。この撤去工程は、型枠のように十分強度が発現するまで待つ必要はなく、一般的な充填材5では翌日には行える。このため、現場施工期間を短縮することが可能となる。
【0052】
また、図10に示すように、補剛材3のずれ止め防止のためのずれ止め部材16を設置することが好ましい。このずれ止め部材16は、補剛材3の下側の位置に配設されて補剛材3を支持する部材であり、例えば鉄骨ブレース2に溶接されたアングル等からなる。なお、下側の袋体支持部材9が溶接等により鉄骨ブレース2に固定されている場合には、充填材5の硬化後に下側の袋体支持部材9を撤去せずにずれ止め部材として利用してもよい。
【0053】
上記した構成からなる鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法によれば、型枠の建て込みや解体、厚肉で重量のある鋼管の揚重や定置、鋼管組み立て時の現場溶接等の作業が不要であるため、比較的規模の小さい工事となり、容易且つ安全に施工することができる。
また、上記した補剛材3を形成する作業は騒音や振動が小さく、工事中における周辺環境への影響が少ないため、構造物を利用しながら工事することができる。
【0054】
また、充填材5と鉄骨ブレース2との間には袋体4が介在されるため、充填材5と鉄骨ブレース2とは切り離されて力学的に縁が切られた状態となるため、鉄骨ブレース2はその材軸方向に拘束されてなく、鉄骨ブレース2の材軸方向への変位を許容することができる。また、鉄骨ブレース2の材軸直交方向への圧縮歪に対しては、充填材5と鉄骨ブレース2との間にある袋体4の厚みで対応可能である。一方、地震などにより鉄骨ブレース2に材軸直交方向の変形が生じた場合、補剛材3や外側鋼管8により鉄骨ブレース2が拘束されて鉄骨ブレース2の座屈を防止することができ、これにより、構造物の耐震性能を向上させることができる。
【0055】
また、上記した補剛構造によれば、架構の開口部を塞ぐことがないため、建物の利用計画に与える影響は極めて小さくて済む。また、耐震壁等と比べて重量増加を抑えることができ、構造物の構造上有利である。また、上記した補剛構造は、架構内に耐震壁等を設置する場合に比べて工事規模が小さくなり、工期短縮及びコストダウンを図ることができる。
【0056】
また、補剛材3に外側鋼管8が外装されているため、鉄骨ブレース2を補剛する効果としての断面二次モーメントと断面係数(耐力と剛性)が確保される。これによって、鉄骨ブレース2の座屈を防止することができる。
【0057】
また、充填材5の充填により袋体4が膨張することを利用して、一対の半割り鋼管8a,8bの合わせ目部分を連結する爪部12と被掛止部13とがかしめる構成になっているため、現場で溶接作業を行わずに一対の半割り鋼管8a,8bを強固に連結させることができる。
【0058】
また、図12、図13に示すように、袋体4に繊維補強を施すことで、補剛材3の耐力と剛性を向上させることができる。これにより、補剛材3の耐力と剛性が向上し、鉄骨ブレース2の座屈によって補剛材3が変形したり破壊したりすることを防止することができる。
【0059】
また、鉄骨ブレース2の補剛範囲Lの下端位置に袋体支持部材9を設置し、この袋体支持部材9に、鉄骨ブレース2に巻き付けた袋体4を支持させているため、鉄骨ブレース2に巻き付けられた袋体4が鉄骨ブレース2に沿って摺り落ちることが防止され、補剛材3を形成する作業を効率良く行うことができる。
【0060】
また、袋体4を鉄骨ブレース2に巻き付ける際、粘着材7…を介して袋体4を鉄骨ブレース2に巻き付けているため、鉄骨ブレース2に巻き付けられた袋体4が鉄骨ブレース2から外れないように粘着材7…によって鉄骨ブレース2に仮固定される。これによって、補剛材3を形成する作業を効率良く行うことができる。
【0061】
以上、本発明に係る鉄骨ブレースの補剛構造およびその施工方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、耐震ブレースである鉄骨ブレース2に対する補剛構造について説明しているが、本発明に係る鉄骨ブレースは制震ダンパーも含み、制震ダンパーを補剛する補剛構造であってもよい。この場合、図11に示すように、鉄骨ブレース2´(制震ダンパー)と袋体4との間に緩衝材18を介在させることが好ましい。上述した実施の形態のように、鉄骨ブレース2が耐震ブレースである場合には、圧縮時の軸直交ひずみは0.1%以下と僅かであるため、充填材5と鉄骨ブレース2との間にある袋体4の材厚で上記したひずみに対応することができる。一方、上記したように、鉄骨ブレース2´が制震ダンパーである場合、圧縮時の軸直交ひずみは0.5%以上と大きいため、鉄骨ブレース2´と袋体4内の充填材5との間に鉄骨ブレース2´のフランジ幅の1%程度の伸縮に対応できる程度の隙間が必要となる。したがって、制震ダンパーを補剛する場合、鉄骨ブレース2´と袋体4との間に緩衝材18を介在させることが好ましく、これによって、上記した伸縮に対応できるだけの隙間を確保する。緩衝材18としては、発泡ウレタンシートやゴムシート等を使用することができる。緩衝材18を鉄骨ブレース2´と袋体4との間に介在させる方法としては、例えば、鉄骨ブレース2´に袋体4を巻き付ける前に、鉄骨ブレース2´に緩衝材18を巻き付け、この緩衝材18の上から袋体4を巻き付ける方法がある。勿論、シート状の緩衝材18を鉄骨ブレース2に貼り付けてもよく、或いは、袋体4の内面側に緩衝材18を貼り付けてもよい。
【0062】
なお、制震ダンパーを補剛する場合であっても、袋体4の材厚を厚くすることで緩衝材18を省略することも可能である。また、鉄骨ブレースが制震ダンパー以外である場合に、鉄骨ブレースと補剛材との間に緩衝材を介在させてもよく、これにより、鉄骨ブレースと充填材との間には、袋体の厚さと緩衝材の厚さを足した寸法の間隔があくことになるため、鉄骨ブレースと充填材との間隔寸法が適宜調整可能である。これによって、歪みが大きくなる鉄骨ブレースにも対応することができる。ここでは、外側鋼管8を2分割して鉄骨ブレース2のフランジ中央位置で接合する例を示したが、これと直交する面のウェブ中央位置で接合してもよい。
【0063】
また、上記した実施の形態では、補剛材3に、補剛材3の耐力と剛性を向上させるための外側鋼管8が外装されているが、本発明は、要求される耐力と剛性が補剛材自体で確保されている場合には外側鋼管を設けなくてもよい。
【0064】
また、上記した実施の形態では、外側鋼管8が2分割されており、一対の半割り鋼管8a,8b(分割体)を組み合わせて筒状の外側鋼管8が形成されているが、本発明は、外側鋼管が3分割以上になっていてもよく、例えば、4つの断面視く字形状(山形)の分割体を組み合わせて角筒形状の外側鋼管を形成することも可能である。
【0065】
また、上記した実施の形態では、充填材5が充填されることで袋体4が膨張することを利用して爪部12と被掛止部13とがかしめられ、一対の半割り鋼管8a,8b(分割体)の合わせ目部分が連結されているが、本発明は、分割体の合わせ目部分を他の機械式の継手構造によって連結させることも可能であり、或いは、分割体の合わせ目部分を溶接により接合させることも可能である。
【0066】
また、上記した実施の形態では、一対の半割り鋼管8a,8bの両側の合わせ目部分にそれぞれ設けられた両側のかみ合わせ継手構造(爪部12、被掛止部13)が、一対の半割り鋼管8a,8bの外周面側にそれぞれ配設されているが、本発明は、両側のかみ合わせ継手構造のうちの少なくとも一方が、一対の半割り鋼管8a,8bの内周面側に配設されていてもよい。具体的に説明すると、図14に示すように、一方の半割り鋼管8aには、一方の端部(図14における上側)の外周面に爪部12が設けられているとともに、他方の端部(図14における上側)の内周面に爪部12が設けられている。また、他方の半割り鋼管8bには、一方の端部(図14における上側)の外周面に被掛止部13が設けられているとともに、他方の端部(図14における上側)の内周面に被掛止部13が設けられている。上記した構成にすると、一対の半割り鋼管8a,8bをかみ合わせる際、まず、一方の半割り鋼管8aと他方の半割り鋼管8bとを図14における縦方向にずらして配置し、その後、一方の半割り鋼管8aと他方の半割り鋼管8bとを図14における縦方向に寄せて合体させることができる。
【0067】
また、上記した実施の形態では、鉄骨ブレース2の補剛範囲Lの下端位置に袋体支持部材9を設置し、この袋体支持部材9に、鉄骨ブレース2に巻き付ける袋体4を支持させているが、本発明は、鉄骨ブレース2の補剛範囲Lの上下両端位置に袋体支持部材9をそれぞれ設置してもよい。また、本発明は、上記したような袋体支持部材9を用いずに、袋体4を鉄骨ブレース2に単に巻き付けるだけでもよい。例えば、粘着材7…による粘着力だけで袋体4の摺り落ちを防止できるのならば上記した袋体支持部材9は不要であり、その他の手段により袋体4の摺り落ちを防止してもよい。
【0068】
また、上記した実施の形態では、袋体4を鉄骨ブレース2に巻き付ける際、粘着材7…を介して袋体4を鉄骨ブレース2に巻き付けているが、本発明は、上記したような粘着材7…を袋体4と鉄骨ブレース2との間に介在させずに、袋体4を鉄骨ブレース2に単に巻き付けるだけでもよい。
【0069】
また、上記した実施の形態では、既存の鉄骨ブレース2に対して補剛材3等を施工して既存の鉄骨ブレース2を補剛しているが、本発明は、新設する鉄骨ブレースを補剛してもよい。このように新設の鉄骨ブレースを補剛する場合、外側鋼管として半割りの鋼管を用いる必要はなく、例えば、鉄骨ブレースのブレース本体に袋体を予め巻き付けておき、そのブレース本体を筒状の外側鋼管の中に挿通させて外側鋼管の中に袋体を配置させ、充填材を注入し、その後、当該ブレース本体を架構内に組み込めばよい。
【0070】
また、上記した実施の形態では、鉄骨構造物の架構1内に組み込まれた鉄骨ブレース2を補剛する場合について説明しているが、本発明は、鉄骨ブレースが組み込まれる架構の構造は如何なる構造であってもよく、例えば、鉄筋コンクリート構造の架構であってもよく、その他の構造であってもよい。
また、本発明は、補剛構造の耐火性能を向上させるべく、補剛材や外側鋼管の周りに珪酸カルシウム板や耐火被覆等の耐火材を設置させてもよい。
【0071】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースが組み込まれた架構の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を説明するための外側鋼管の接合部を表す拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造の施工状況を表す図であり、(a)は鉄骨ブレースの側面図、(b)は鉄骨ブレースの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造の施工状況を表す図であり、(a)は鉄骨ブレースの側面図、(b)は鉄骨ブレースの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造の施工状況を表す図であり、(a)は鉄骨ブレースの側面図、(b)は鉄骨ブレースの断面図である。
【図8】本発明の実施の形態を説明するためのチューブ固定部材を表す図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図であり、(c)は平面図である。
【図9】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造の施工状況を表す側面図である。
【図10】本発明の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す部分側面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す断面図である。
【図12】本発明の他の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す側面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す断面図である。
【図14】本発明の他の実施の形態を説明するための鉄骨ブレースの補剛構造を表す断面図である。
【符号の説明】
【0073】
2,2´ 鉄骨ブレース
3 補剛材
4 袋体
5 充填材
7 粘着材
8 外側鋼管
8a,8b 半割り鋼管(分割体)
9 袋体支持部材
12 爪部
13 被掛止部
18 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨ブレースに補剛材が外装されることで前記鉄骨ブレースの座屈が防止される鉄骨ブレースの補剛構造において、
前記補剛材は、前記鉄骨ブレースに巻き付けられたマット状の袋体内に硬化性流動体からなる充填材が充填された構成からなることを特徴とする鉄骨ブレースの補剛構造。
【請求項2】
請求項1記載の鉄骨ブレースの補剛構造において、
前記補剛材に外側鋼管が外装されていることを特徴とする鉄骨ブレースの補剛構造。
【請求項3】
請求項2記載の鉄骨ブレースの補剛構造において、
前記外側鋼管は、該外側鋼管を周方向に分割した複数の分割体からなり、
隣り合う前記分割体同士は、一方の分割体に設けられた爪部と他方の分割体に設けられた被掛止部とが掛合することで連結されており、
前記爪部と前記被掛止部とは、前記充填材の充填によって前記袋体が膨張して隣り合う前記分割体同士が互いに離間する方向へ押圧されることでかしめられていることを特徴とする鉄骨ブレースの補剛構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか記載の鉄骨ブレースの補剛構造において、
前記袋体に繊維補強が施されていることを特徴とする鉄骨ブレースの補剛構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載の鉄骨ブレースの補剛構造において、
前記鉄骨ブレースと前記補剛材との間に緩衝材が介在されていることを特徴とする鉄骨ブレースの補剛構造。
【請求項6】
鉄骨ブレースに補剛材が外装されることで前記鉄骨ブレースの座屈が防止される鉄骨ブレース補剛構造の施工方法において、
前記鉄骨ブレースにマット状の袋体を巻き付けた後、該袋体内に硬化性流動体からなる充填材を充填することで、前記補剛材を形成することを特徴とする鉄骨ブレース補剛構造の施工方法。
【請求項7】
請求項6記載の鉄骨ブレース補剛構造の施工方法において、
前記鉄骨ブレースの補剛範囲のうちの少なくとも下端位置に、前記鉄骨ブレースに巻き付けた前記袋体を支持するための袋体支持部材を設置することを特徴とする鉄骨ブレース補剛構造の施工方法。
【請求項8】
請求項6または7記載の鉄骨ブレース補剛構造の施工方法において、
前記袋体を前記鉄骨ブレースに巻き付ける際、粘着材を介して前記袋体を前記鉄骨ブレースに巻き付けることを特徴とする鉄骨ブレース補剛構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−84795(P2009−84795A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252348(P2007−252348)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【Fターム(参考)】