説明

鉱物ケイ酸塩とジウレアとの混合物を含有するコーティング材料

本発明は、少なくとも1つのジウレア化合物と少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物との混合物を含有するコーティング組成物である。本組成物は、ウェット−オン−ウェット・ベースコート/クリアコート塗布におけるベースコート組成物用に特に有用であり、かつ、ウェット−オン−ウェット−オン−ウェット・プライマー/ベースコート/クリアコート塗布方法におけるベースコートとして有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物および自動車車体またはその部品上への多層コーティングフィルムの塗布方法に関する。特に、本発明は、プライマー、ベースコート、およびクリアコート層のウェット層を同時にベークすることによる多層コーティングフィルムの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の従来のコーティングシステムは典型的には、基材に塗布された多数のコーティング層を含む。例えば、基材は典型的には、防錆リン酸塩層、引き続き追加の防食のための陰極エレクトロコートプライマーの塗布で処理される。プライマーサーフェーサー(あるいはまた「耐チップ性プライマー」、「プライマー」、または「プライマーフィラー」として知られる)が、トップコーティング用に表面を平滑にするために、そしてまた通常の運転過程の間、耐石チップ性をコーティングシステムに与えるために次に使用され、それにトップコートシステムが続く。トップコートシステムは単一の着色コートであり得るが、さらに多くの場合にそれは、ソリッドカラーおよび/またはフレーク顔料を有する塗布ベースコート、引き続き車両上の仕上げの魅力的な美的品質を保護しそして保つために機能する透明な塗布保護クリアコートである。
【0003】
ベースコートおよびクリアコート組成物は、硬化し乾燥したプライマーの層に「ウェット−オン−ウェット」塗布として通常は塗布される。クリアコートが塗布される前に溶剤の一部をベースコートから除去することは任意であり得る。ベースコートおよびクリアコート層はその後同時にベークされて乾燥し硬化した仕上げを形成する。硬化プライマーは、トップコートを塗布するための平滑面を提供するためのみならず、界面ブリーディングまたは被覆ベースコートとの混合を防ぐためにも、そして全体トップコート仕上げの外観を損なわないようにするためにも使用されてきた。「ストライク−イン」抵抗と呼ばれることもある、混合への抵抗は、自動車およびトラックで人気がある魅力的なメタリック仕上げの外観にとって特に重要である。プライマーサーフェーサー上への塗布後のメタリックベースコートでのメタリック顔料フレーク配向のいかなる乱れも、仕上げのメタリック効果を損なうであろう。
【0004】
基材に塗布された塗料がメタリック効果顔料を含有する場合、乾燥し硬化した塗料のフロップインデックスは品質の重要な尺度である。メタリック効果顔料がフロップを最大限にするために下にある表面に平行に配向することが重要である。一般に、ベースコートは、下にある表面に平行なメタリックフレークの配向を容易にするのを助ける2つの薄い層で塗布される。メタリックフレークの大半が下にある表面に平行に配向しているときに、フロップ、または視角での輝度変化は最大にされ、極めて望ましい効果をもたらす。2つの薄い層を塗布するために、自動車塗装施設は典型的には、直続きに配置された一連の2つの別個のスプレーステーションを用いる。各スプレーステーションは幾つかのスプレーガンを用いることがあるので、ベースコートスプレーブースのための資本投資はかなりのものとなり得る。
【0005】
塗装ブースおよびベーキングオーブンの運転から発生するVOC(揮発性有機化合物)排出量およびCO2(二酸化炭素)排出量を低減することによって自動車組立工場の環境負荷を低減することは望ましいことであり得る。塗料中のより低い溶剤含有率の使用および3層湿式塗装システムの開発は、プライマーサーフェーサー、ベースコートおよびクリアコートを、それらが単一ベークで一度に硬化させられる前に「ウェット−オン−ウェット−オン−ウェット」で連続的に塗布することを可能にする。かかる簡略化「3−ウェット」塗布方法により、別個のプライマーオーブンをなくすことが可能である。しかしながら、本方法は問題がないわけではない。例えば、耐チップ性などのフィルム特性だけでなく、界面ブリーディングおよび美的外観が依然として重大な懸念である。
【0006】
前述の問題に取り組むための試みは、プライマーコーティング材料の調合を修正することによって行われてきた。例えば、Watanabeらの米国特許第6,863,929号明細書は、3層湿式塗装方法(「3−ウェット」または「3−コート−1−ベーク」方法とも呼ばれる)を用いる多層自動車コーティングフィルムの形成方法を記載している。
【0007】
しかしながら、ミクロ粒子の使用は混合を可能にし得るし、平滑さ、光沢、正面輝度、および/またはメタリック効果の損失などの美的外観に欠陥をもたらす。ドア、フェンダー、ロッカー・パネルなどのような、特に垂直パネル上での、これらのコーティングの垂れ下りが問題であり得る。フィルムの薄化は、下にある腐食保護電着塗装プライマー層を過度のUV光透過および劣化にさらすかもしれない。薄いフィルムまたは薄いフィルム領域はまた、全体仕上げの機械的特性および外観にとっても不適切である。
【0008】
プライマーサーフェーサー、ベースコート、およびクリアコート層を、層のいずれかが完全に乾燥してしまう前に基材に塗布することは望ましいことであり得る。商業的に実用的なコーティングを得るために、かかる方法においてプライマーサーフェーサーとベースコートとクリアコート層との混合を防ぐ必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、架橋性成分、架橋成分、少なくとも1つのジウレアおよび少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物を含むコーティング組成物である。
【0010】
別の態様では、本発明は、
a)プライマー組成物の層を基材に塗布する工程と、
b)場合により、溶剤の一部を除去するためにプライマー組成物の層をフラッシュする工程と、
c)ベースコート組成物の層を前記基材に塗布する工程と、
d)場合により、溶剤の一部を除去するためにベースコート組成物の層をフラッシュする工程と、
e)クリアコート組成物の層を前記ベースコート組成物上にウェット−オン−ウェット塗布する工程と、
f)実質的に乾燥し、硬化したコートされた基材を提供するために基材および塗布層を60℃〜約200℃の範囲の温度で60秒〜60分間加熱する工程と
を含む方法であって、
前記ベースコート組成物が架橋性成分、架橋成分、少なくとも1つのジウレア、および少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物を含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示では、多数の用語および省略形が用いられる。以下の定義が提供される。
【0012】
「ウェット−オン−ウェット」は、ベースコート層およびクリアコート層がベースコート層とクリアコート層との間に硬化工程なしに硬化プライマー層に引き続いて塗布されることを意味する。
【0013】
本明細書で「3−ウェット」、および「3−コート−1−ベーク」と同じ意味でまた用いられる「ウェット−オン−ウェット−オン−ウェット」は、プライマー層、ベースコート層、およびクリアコート層が各層の間に硬化工程なしで引き続いて塗布されることを意味する。
【0014】
コーティング組成物に関して「実質的に乾燥した」は、コーティング組成物が、組成物の総重量を基準として、1重量パーセント未満、好ましくはゼロ重量パーセントの溶剤を含有することを意味するものとする。
【0015】
「高固形分組成物」は、組成物の総重量を基準とした重量百分率で、少なくとも40パーセントの、好ましくは40〜90パーセントの範囲での総固形分含有率を塗布の時点で有する液体コーティング組成物を意味する。
【0016】
「総固形分」は、成分の一部は室温で固形分よりむしろ非揮発性液体であるかもしれないが、組成物中の非揮発性成分の総量に関する。
【0017】
本開示では、用語「バインダー」または「バインダー固形分」は、フィルム形成ポリマー、架橋剤、および全ての他の任意のフィルム形成成分に関する。バインダーには一般に、硬化組成物の固体有機部分に寄与するフィルム形成成分が全て含まれる。一般に、触媒、顔料、および本明細書で以下に記載される安定剤などの非ポリマー化学添加剤は、バインダー固形分の一部とは見なされない。顔料以外の非バインダー固形分は通常、合計して組成物の約5超〜15重量%に達しない。
【0018】
「アクリレート」は、本明細書で用いるところでは、一般に、メタクリレートならびに他のアクリレートを示すが、ただし、アクリレートまたはメタクリレートのいずれかへの具体的な言及が必要である場合、それは当業者に明らかであろう。
【0019】
「アクリルポリオール」は、50重量パーセント超のアクリレートモノマーを含有するモノマー混合物から生成されるポリマーを意味し、このポリマーは、1分子当たり平均して1.0個より多いヒドロキシル基を有する。
【0020】
「ポリエステル−延長アクリレート」モノマーは、式:
【化1】

(式中、各Xは独立して、基C(O)OおよびOC(O)から選択され、RはHまたはCH3であり、R1は、アルキル、アリール、アルキル芳香族、または芳香族アルキルであり、R2は、ヒドロキシ末端のアルキル、アリール、アルキル芳香族、または芳香族アルキルであり、nは1〜20の範囲の整数である)
のモノマーを意味する。好ましくは、ポリエステル−延長アクリルモノマーは2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートとカプロラクトンとの反応生成物である。かかる一生成物は、TONE M−100(登録商標)としてDow Carbideから商業的に入手可能である。
【0021】
「ポリエステル−延長ポリマー」は、ポリマー鎖当たり平均して少なくとも1つのポリエステル−延長モノマーを有するポリマーを意味する。
【0022】
本明細書で用いるところでは、用語「基材」は、金属、木材、樹脂、アスファルト、または任意の他の表面などの、任意の表面を意味する。基材は、電着プライマー、プライマー、プライマー/シーラー、または顔料入りコーティングなどの、しかしそれらに限定されない材料で予めコートされてもよい。
【0023】
「有機改質鉱物」または「鉱物ケイ酸塩」または「層状ケイ酸塩鉱物」は、アルカリ(土類)金属または遷移金属およびケイ酸塩部分を含む天然起源または人造鉱物を意味する。
【0024】
層状ケイ酸塩は「処理」または「非処理」であることができる。処理層状ケイ酸塩は、共有結合またはイオン結合する有機基を追加することによって表面を化学改質するためのプロセスを経たものである。好ましい一処理方法は、層状ケイ酸塩を第四級アミンと接触させることである。非処理ケイ酸塩は、この表面改質をしていない。
【0025】
「フロップ」または「フロップインデックス」は、それが視角の範囲中を回転させられるときのメタリックカラーの反射率の変化に関する測定値である。
【0026】
「架橋性成分」は、架橋成分と反応して架橋網状構造を形成することができる官能基が結合された成分を意味する。架橋性成分は、架橋成分と反応性である少なくとも1つの官能基を有する、化合物、オリゴマー、ポリマー、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、架橋性成分はアクリルポリオールを含む。架橋性成分中の官能基は、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシシラン、アルコシキシラン、エポキシ、カーバメート、カルボキシ、酸無水物、またはそれらの組み合わせから選択することができる。好ましい官能基はヒドロキシである。
【0027】
「架橋成分」は、架橋性成分上の官能基と反応して架橋網状構造を形成することができる成分を意味する。架橋成分は、メラミン、アミノ樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0028】
本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことによって、当業者に、より容易に理解されるであろう。明確にするために、別個の実施態様との関連で上におよび下に記載される、本発明のある種の特徴はまた単一の実施態様の組み合わせで提供されてもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために、単一の実施態様との関連で記載される本発明の様々な特徴はまた、別個にまたは任意の副次的な組み合わせで提供されてもよい。加えて、単数形での言及はまた、文脈が特に具体的に明記しない限り、複数形を含んでもよい(例えば、単数形(「a」および「an」)は、1つ、または1つ以上を意味してもよい)。
【0029】
本出願に明記される様々な範囲での数値の使用は、特に明記しない限り、あたかも記述される範囲内の最小値および最大値の前に「約」という用語があるかのように近似値として記述される。このように、記述される範囲の上下のわずかな変動は、範囲内の値と同じ結果を実質的に達成するために用いることができる。また、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間のあらゆる値を含む連続範囲として意図される。
【0030】
コーティング組成物でのチキソトロープ剤の使用は、塗布された未硬化のコーティング層が基材の表面から流れるかまたは垂れ下がることなく基材へのコーティング組成物の層の塗布を可能にすることを意図される。多くの化合物がコーティング組成物でのチキソトロープとして公知であり、使用されている。これらの物質の例は、架橋ポリマーミクロ粒子、様々な粘土、シリカ、またはポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、もしくはポリビニルピロリドンポリマーなどのイオン性もしくは会合性基を含有する合成ポリマーである。米国特許第6,652,915号明細書は、シリカとウレアおよび/またはウレア誘導体との混合物を有するコーティング材料を記載している。
【0031】
チキソトロープ剤の重要な特徴は、それらを使用して調製された塗料の粘度が流動履歴に依存することおよび/またはチキソトロープ剤が擬可塑性であること、すなわち、剪断応力が増加するにつれて塗料の粘度が低下することである。粘度は、ベースライン粘度から出発して、剪断応力を受けている間は低下し、そして剪断応力が止まって初めてその最初の粘度に徐々に戻る。チキソトロープゲルは、例えば、(撹拌によってなど)機械的エネルギーの入力によって液化し、エネルギー入力が止まって初めて徐々に再びゲル化する。擬可塑性またはチキソトロープ特性は、塗料処理にとって有利である。一方、チキソトロープ剤は、それらを使用して製造された仕上げコーティングの視覚的および化学的特性に悪影響を及ぼしてはならない。
【0032】
ジウレア化合物と層状ケイ酸塩鉱物との組み合わせは、未硬化コーティングの流れるまたは垂れ下がる傾向の減少を示すコーティング組成物につながることが分かった。それはまた、非常に平滑な層を提供し、そしてメタリック効果顔料が存在する場合に、高度のフロップを有する効果コーティングを生成するベースコート組成物を意外にも提供する。
【0033】
本開示のコーティング組成物は、架橋性成分、架橋成分、ジウレア化合物、および少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物を含む。本発明のコーティング組成物は好ましくは溶剤希釈型である。ジウレア化合物は、0.1パーセント〜3.0パーセントの範囲で、好ましくは0.5パーセント〜2.0パーセントの範囲で、最も好ましくは1.3パーセント〜1.8パーセントの範囲でコーティング組成物中に存在する。全ての百分率は、バインダー固形分の総重量を基準とする重量百分率である。
【0034】
ジウレア化合物は、当業者に公知の様々な方法によって製造することができる。例えば、好適なジウレアは、1当量のジイソシアネート化合物と2当量のモノアミンとを反応させることによって得ることができる。そのように製造されるジウレアは、対称であることが好ましい。
【0035】
使用することができるであろうモノアミンの例には、次のものが挙げられる:ベンジルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン,イソブチルアミン、第三ブチルアミン、ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、イソノナニルアミン、イソトリデシルアミン、n−デシルアミンおよびステアリルアミン。エーテル基を含有する第一級および第二級アミンを使用することもまた可能である。これらは、一般式:
【化2】

(式中、R3は、1〜20個の炭素のアルキル基であり、R4は、2〜4個の炭素のアルキル基であり、aは1または2である)
の物質である。
【0036】
ウレア誘導体を製造するのに好適なポリイソシアネートは、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を含有する。ジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートを使用することが好ましい。使用することができるポリイソシアネートの例には、次のものが挙げられる:テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、オメガ,オメガ’−ジプロピルエーテルジイソシアネート、シクロヘキシル1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−ジメチル−2,4−ジ(イソシアナトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジ(イソシアナトメチル)ベンゼン、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートのトリマー、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタン4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート。好適なポリイソシアネートおよびジイソシアネートのさらなる例は、以下に記載されそして架橋剤として使用されるイソシアネートである。
【0037】
あるいはまた、好適なジウレアは、ジアミンと2当量のモノイソシアネートとの反応によって製造することができる。当業者は、好適なウレアを形成するのに適切な試薬を選択することができるであろう。例えば、好ましい一ジウレアは、1,6−ヘキサメチレンジアミンと2当量のベンジルイソシアネートとの反応によって製造することができる。同じ生成物はまた、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2当量のベンジルアミンとの反応によって製造することができる。
【0038】
層状ケイ酸塩は、全ての重量百分率がバインダー固形分の総重量を基準としている、0.10〜3.0重量パーセント、好ましくは0.5〜1.5重量パーセント、より好ましくは0.6〜1.0重量パーセントの範囲でコーティング組成物中に存在する。
【0039】
本コーティング組成物に有用である層状ケイ酸塩は、当業者に公知の層状ケイ酸塩を含み、例えば、全てが層状構造の、ケイ酸アルミニウム−マグネシウム、ケイ酸ナトリウム−マグネシウムおよびケイ酸ナトリウム−マグネシウム−リチウムである。かかる層状ケイ酸塩の例は、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイトおよびヘクトライト型の層状ケイ酸塩である。天然起源の層状ケイ酸塩が使用されてもよいが、合成で製造した層状ケイ酸塩が好ましい。使用されてもよい、商業的に入手可能な層状ケイ酸塩の例は、GARAMITE(登録商標)製品(Southern Clay Products,Gonzales,Texas製)、OPTIGEL(登録商標)製品(Suedchemie Moosburg,Germany製)、LAPONITE(登録商標)RD(Solvay,Rheinberg,Germany製)またはBORCHIGEL(登録商標)層状ケイ酸塩(Borchers,Monheim,Germany製)である。
【0040】
層状ケイ酸塩鉱物は処理または非処理であることができる。処理層状ケイ酸塩は、共有結合またはイオン結合する有機基を追加することによって表面を化学改質するためのプロセスを経たものである。層状ケイ酸塩の一般的な一処理は、層状ケイ酸塩を1つ以上の第四級アミン化合物と接触させることである。これらの製品の多くが商業的に入手可能である。本発明において、好ましい層状ケイ酸塩鉱物は、少なくとも1つの第四級アミンで処理されたケイ酸アルミニウム・マグネシウムである。
【0041】
ジウレアおよび層状ケイ酸塩鉱物の使用は、金属フレーク顔料および雲母フレーク効果顔料を含有するコーティング組成物のフロップインデックスを高める。これらの材料はまた、比較的厚いコーティングが基材表面に塗布されることを可能にする、高められたレオロジー特性にも寄与する。これらの材料はまた、高いフロップインデックスをもたらす効果顔料を調整するのを助け、非常に平滑な層が形成される。
【0042】
ソリッドカラー顔料のみを含有するコーティング組成物では、非常に平滑な層が形成される。平滑な塗料層は、多くのコーティング用途で極めて望ましい。ジウレアおよび層状ケイ酸塩の添加は、現行の市販ベースコート組成物と比較してこの平滑なきめを促進するのを助ける。
【0043】
本開示のコーティング組成物を使用すると、非常に高いフロップインデックスを依然として達成しながら、車両製造業者が従来の2つの薄いコートではなく単一の厚いコート(1.5ミル以下)を塗布することを可能にすることができる。2つの比較的薄いコーティングではなく単一コーティングを塗布すると、半分量のベースコート塗装装置が必要とされるにすぎないので、基材を塗装するコストを著しく削減することができる。
【0044】
本コーティング組成物はまた、フィルム形成バインダーを含有する。フィルム形成バインダーは、架橋性成分および架橋成分から構成される。架橋性成分は好ましくはアクリルポリオールである。他の好適な例には、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、アルキド樹脂、またはそれらの組み合わせが挙げられる。架橋性成分は好ましくは、平均して、1分子当たり1.0超の、組成物の架橋成分と反応することができる官能基を含有する。架橋性成分のための好適な官能基には、ヒドロキシ、アミノ、ヒドロキシシラン、アルコシキシラン、エポキシ、カーバメート、カルボキシ、酸無水物、またはそれらの組み合わせが含まれ得るが、それらに限定されない。好ましくは、架橋性成分は、ヒドロキシ官能基を有するアクリルポリマーである。
【0045】
架橋性成分としての使用に好ましい一アクリルポリマーは、アクリルポリオールの総重量を基準として少なくとも40重量パーセントの、少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとTONE(登録商標)M−100などの、ポリエステル延長アクリレートモノマーである第2モノマーとの組み合わせを含むアクリルポリオールを含む。
【0046】
好適なC8以上アルキルアクリレートモノマーには、式:
【化3】

(式中、RはHまたはCH3であり、R3は、8個以上の炭素を有する線状または分岐アルキルである)のモノマーが含まれる。好ましくは、R3は10個より多い炭素を有し、より好ましくは、R3は12個より多い炭素を有する。R3は、炭素原子の上限に関して特に限定されない。しかしながら、30個より多い炭素では、モノマーは、製造において取り扱うのがより難しい固体である傾向があり、これらのモノマーを使用して製造されるポリマーのTgは、好適なコーティングを製造するには低すぎる傾向がある。
【0047】
好適な線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーの例には、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルアクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソトリデシルアクリレート、イソトリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、およびステアリルメタクリレートが挙げられる。それらの組み合わせもまた有用である。
【0048】
好ましくは、C8以上アルキルアクリレートモノマーは、アクリルポリオール中のモノマーの10重量パーセント〜60重量パーセントの範囲を占め、より好ましくは、C8以上アルキルアクリレートモノマーは、アクリルポリオール中のモノマーの26重量パーセント〜55重量パーセントの範囲を占め、最も好ましくは、C8以上アルキルアクリレートモノマーは、アクリルポリオール中のモノマーの39重量パーセント〜50重量パーセントの範囲を占める。
【0049】
好ましいアクリルポリオールが3−ウェット塗布方法のためのベースコートでフィルム形成バインダーとして使用されるとき、ポリ(メタ)アクリレートコポリマーにとって好ましい分子量は、約3,000〜約45,000である。3,000より下の重量平均分子量では、コーティングは幾らかのストライク−インを示し始めることが分かった。ストライク−インは、塗料の2つのウェット層の混合を意味する。分子量が45,000の分子量を超えると、表面外観は悪化し始め、フロップ測定値は下がる。
【0050】
好ましくは、アクリルポリオールは、少なくとも40重量パーセントの少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーと少なくとも1つのポリエステル延長アクリレートモノマーとを含む。C8以上アルキルアクリレートモノマーはアクリルポリオールの10重量パーセント〜60重量パーセントの範囲を占めることができるので、10重量パーセントのC8以上アルキルアクリレートモノマーを使用する場合、ポリエステル延長アクリレートモノマーは、少なくとも40パーセントを達成するためにアクリルポリオールの少なくとも30重量パーセントを占めなければならない。アクリルポリオールの残りの部分は、架橋性官能基を全く有さないモノマーおよび/またはポリマーに追加の架橋官能基を与えそして硬化コーティングの完全性を高めるための、アミノ基、カーバメート、トリメトキシシランなどのアルコキシシラン、エポキシ、カルボキシ基、酸無水物基、またはそれらの好適な組み合わせなどの架橋性官能基を有するモノマーをさらに含んでもよい。官能基の数は、所望の最終特性に依存して、変わってもよい。これらの官能基は、所望の基を含む官能性モノマーを重合プロセスに用いることによって、または当業者に明らかであろうように、所望の追加の官能基を導入するためのアクリルポリオールの後反応によって導入することができる。
【0051】
有用なアミン含有モノマーの例は、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレートである。
【0052】
有用なカーバメート含有モノマーの例には、脂肪族アルコールとイソシアネート含有アクリレートまたはメタクリレートとの付加体が挙げられる。カーバメート官能化アクリルの製造方法は当該技術分野でよく知られており、例えば、欧州特許第0 594 142 B1号明細書および欧州特許第0 719 795 B1号明細書に記載されており、それらの開示は本明細書に参照により本明細書によって援用される。
【0053】
かかる官能性モノマーの例は、シラン含有モノマー、特に、ガンマ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Crompton製のSILQUEST(登録商標)A−174)、およびガンマ−メタクリルオキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのアルコキシシランである。
【0054】
有用なエポキシ含有モノマーの例は、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレートならびにエピクロロヒドリンと反応してエポキシ基含有モノマーを生み出すことができるヒドロキシ基を有する任意のアクリルモノマーである。
【0055】
カルボキシまたは酸無水物含有モノマーの例は、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、およびフマル酸無水物である。
【0056】
架橋性官能基を全く有さないモノマーの例には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、プロピルアクリレート、フェニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、プロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのアルキルアクリレート;4−メチルスチレン、アルファ−メチルスチレンなどの、スチレンまたは置換スチレン;アクリロニトリル、およびメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
好ましい一アクリルポリオールは、スチレン、ブチルメタクリレート、TONE M−100(登録商標)、イソトリデシルメタクリレート、およびアクリル酸を含む。別の好ましいアクリルポリオールは、スチレン、イソデシルメタクリレート、TONE M−100(登録商標)、イソトリデシルメタクリレート、およびアクリル酸を含む。
【0058】
アクリルポリオールを製造するために使用されるモノマーは、当業者に知られる方法を用いて重合させることができる。好ましくは、アクリルポリオールは、モノマーが液体反応媒体、フリーラジカル重合開始剤、場合によりカプロラクトン変性モノマー、場合によりカプロラクトン用の重合触媒、および場合により連鎖移動剤とブレンドされ、ポリマーを形成するために75℃〜165℃に十分な時間、典型的には2〜8時間加熱される溶液重合法によって製造される。
【0059】
上記の架橋性成分に加えて、フィルム形成バインダーはまた、架橋剤を含む架橋成分を含有する。本発明の組成物に使用される架橋剤は、アミノプラスト樹脂、メラミン、ポリイソシアネートもしくはブロックトポリイソシアネート樹脂またはそれらの混合物である。メラミンホルムアルデヒド縮合物などのアミノプラスト樹脂が一般に好ましい。一般に、アミノプラスト樹脂は、メラミン、ウレア、ベンゾグアナミン、または類似の化合物のアルデヒド縮合生成物である。通常、用いられるアルデヒドはホルムアルデヒドであるが、有用な生成物は、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラールなどのような、他のアルデヒドから製造することができる。メラミンまたはウレアの縮合生成物が最も一般的であり好ましいが、少なくとも1つのアミン基が存在する他のアミンおよびアミドの生成物もまた用いることができる。
【0060】
アミノプラスト樹脂のうちで、部分または完全アルキル化されている低分子量のまたは高分子量のメラミンホルムアルデヒド縮合物樹脂が一般に好ましい。これらの好ましい樹脂は有機溶媒可溶性であり、Cytec Industries,Inc.,West Patterson,New Jerseyから商品名CYMEL(登録商標)で商業的に入手可能である。好ましい一架橋剤は、約1〜3の重合度を有するメチル化およびブチル化またはイソブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂である。一般に、このメラミンホルムアルデヒド樹脂は、約50パーセントのブチル化基またはイソブチル化基と50パーセントのメチル化基とを含有する。特性の良好なバランスのための、別の好ましいメラミンは、CYMEL303(登録商標)として知られる完全メチル化樹脂である。
【0061】
上記のアミノプラスト架橋剤は、高められたフィルム特性のために通常のブロックトポリイソシアネート架橋剤のいずれかと置き換えるかまたは場合により組み合わせることができる。典型的なブロッキング剤は、アルコール、ケチミン、オキシム、ピラゾールなどである。
【0062】
ウレアホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドおよびブロックトもしくは非ブロックトポリイソシアネートまたは前述の架橋剤のいずれかの相溶性混合物などの、他の架橋剤もまた使用することができる。
【0063】
ポリイソシアネートの典型的な例は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリデンジイソシアネートなどのような、1分子当たり2〜4個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物である。ポリイソシアネート縮合生成物もまた使用することができる。イソシアヌレート、ビウレット、イミノオキザジアジン、および/またはウレチジオン構造単位を有するポリイソシアネートは好適である。幾つかの例には、Pittsburgh,PennsylvaniaのBayer Corporation製のDESMODUR N−3300(登録商標)およびBayer Corporationから商品名DESMODUR Z−4470(登録商標)で入手可能であるイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート(イソシアヌレート)などが挙げられる。
【0064】
前述の有機ポリイソシアネートのいずれかとポリオールとから形成されるポリイソシアネート官能性付加体もまた使用することができる。トリメチロールプロパンまたはエタンのようなトリメチロールアルカンなどのポリオールを使用することができる。有用な一付加体は、テトラメチルキシリデンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応生成物であり、CYTHANE3160(登録商標)の商品名で入手可能である。本発明の架橋性樹脂が外部コーティングに使用されるとき、脂肪族または脂環式イソシアネートの使用が、耐候性および耐黄変性の観点から、芳香族イソシアネートの使用よりも好ましい。本発明のシステムに使用することができる好適なブロックトイソシアネートの例は、Bayer Corporationから入手可能である1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのピラゾールブロックトポリイソシアネートである。
【0065】
硬化時の組成物の架橋速度を上げるために、触媒を組成物に添加することができる。一般に、バインダーの重量を基準として、約0.1〜8重量パーセントの触媒が使用される。ブロックト酸触媒がかかる触媒の典型的なものである。有用なブロックト酸触媒は、アミノメチルプロパノールまたはジメチルオキサゾリンでブロックされた芳香族スルホン酸である。典型的に有用な芳香族スルホン酸は、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸である。好ましい一触媒は、アミノメチルプロパノールでブロックされたドデシルベンゼンスルホン酸である。
【0066】
本コーティング組成物は典型的には、石油ナフサまたはキシレンなどの、芳香族炭化水素;メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンまたはアセトンなどのケトン;酢酸ブチルまたは酢酸ヘキシルなどの、エステル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの、グリコールエーテルエステル;およびそれらの組み合わせから選択される有機溶媒などの1つ以上の溶媒を含む。本コーティング組成物は一般に、百分率が全てコーティング組成物の総重量を基準とする重量パーセント単位である、10パーセント〜60パーセント、好ましくは20パーセント〜50パーセント、より好ましくは30パーセント〜40パーセントの範囲で前記溶媒を含む。
【0067】
本発明のコーティング組成物はまた、顔料、顔料分散剤、安定剤、レオロジー調整剤、フロー剤、強化剤およびフィラーなどの、従来の添加剤を含有することができる。かかる追加の添加剤の選択は、コーティング組成物の意図される用途に明らかに依存するであろう。前述の添加剤は、コーティング組成物の意図される用途に依存して、架橋性成分か架橋成分かのどちらか、または両方に添加されてもよい。
【0068】
本コーティング組成物に使用することができる典型的な顔料は、タルク、陶土、バライト、炭酸塩、ケイ酸塩などのフィラー顔料と、二酸化チタン、酸化亜鉛および酸化鉄などの金属酸化物ならびにカーボンブラックなどのカラー顔料と有機着色顔料および染料とである。本組成物に添加することができる顔料としてまた有用であるものには、次のものが含まれる:二酸化チタン、酸化亜鉛、様々な色の酸化鉄などの金属酸化物、カーボンブラック;タルク、陶土、バライト、炭酸塩、ケイ酸塩などのフィラー顔料;およびキナクリドン、銅フタロシアニン、ペリレン、アゾ顔料、インダンスロンブルー、カルバゾールバイオレットなどのカルバゾール、イソインドリノン、イソインドロン、チオインジゴレッド、ベンゾイミダゾリノンなどの、多種多様な有機着色顔料;アルミニウムフレーク、雲母フレーク、真珠光沢フレークなどのメタリックフレーク顔料、またはそれらの組み合わせ。生じたコーティング組成物は、約1:100〜150:100の顔料対バインダー重量比を有する。
【0069】
本組成物の屋外耐候性を向上させ、そしてコートされた基材を早期の劣化から守るために、本組成物は典型的には、バインダーの重量を基準として、約0.01〜2重量パーセントの紫外線安定剤を含有し、その用語には、紫外線吸収剤、スクリーナーおよび消光剤が含まれる。典型的な紫外線安定剤には、ベンゾフェノン類、トリアジン、トリアゾール、ベンゾエート、ヒンダードアミンおよびそれらのブレンドが含まれる。
【0070】
本発明のコーティング組成物は、ベースコート/クリアコート・ウェット−オン−ウェット法で、ベースコートとして使用することができる。この方法では、本発明のコーティング組成物の層は、予めコートされたかまたは未コートの基材に吹き付け、静電気吹き付け、ローラーコーティング、浸漬、または刷毛塗りによってベースコートとして塗布される。本コーティング組成物は場合により、溶剤の少なくとも一部を除去するためにフラッシュされる。場合により、ベースコート組成物の別の層が塗布され、それに任意のフラッシュ工程が続く。ベースコート組成物の層は次にクリアコート組成物の層で上塗りされる。場合により、クリアコート層はフラッシュされる。場合により、クリアコートの2つ以上の層がベースコートに塗布されてもよく、各塗布に任意のフラッシュ工程が続く。組み合わせられたベースコート層とクリアコート層とは、塗布層を乾燥させ、硬化させるために約60℃〜200℃に10分間〜60分間加熱される。「乾燥させ、硬化させられる」または「硬化させられる」とは、溶剤の大部分(50パーセント超)が除去されてしまうこと、かつ、架橋性および架橋成分が実質的に架橋させられることを意味するが、幾らかの追加の架橋が硬化プロセス後に起こることがあることは理解される。
【0071】
好ましい実施態様では、本発明のコーティング組成物は、3−ウェット塗布方法に使用される。この方法では、プライマー組成物の層が、予めコートされたまたは未コートの基材に塗布され、それに任意のフラッシュ工程が続く。本発明コーティング組成物の層は、プライマー組成物の層上にベースコートとして塗布される。塗布されたベースコートは場合により、溶剤の少なくとも一部を除去するためにフラッシュされる。場合により、ベースコート組成物の多層をベースコートの第1層に塗布することができ、それぞれに場合によりフラッシュ工程が続く。クリアコート組成物の単層または多層が基材に塗布され、場合により、溶剤の一部を除去するために層の間にフラッシングが続く。多重被覆基材の塗布層は次に乾燥させ、硬化させられる。乾燥および硬化工程は、基材を60℃〜200℃の範囲の温度に1分間〜60分間加熱することによって行われる。
【0072】
ウェットプライマー組成物および被覆ベースコート組成物は十分なストライク−イン抵抗を有することが重要である。3−ウェット法で、特に有用な3−ウェットプライマー組成物は下に記載される。
【0073】
一有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの、その全てまたは一部が環状ラクトンと反応させられた、約1〜65重量パーセントのヒドロキシルおよび/またはカルボキシルモノマー含有率と約10,000〜150,000の重量平均分子量とを有するポリエステル−延長分岐アクリルポリマーを含み、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0074】
別の有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの、約1〜65重量パーセントのヒドロキシル、カルボキシル、および/または他の架橋性官能基モノマー含有率と約10,000〜150,000の重量平均分子量とを有する分岐アクリルポリマーを含み、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0075】
別の有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの、その全てまたは一部が環状ラクトンと反応させられた、約1〜90重量パーセントのヒドロキシルおよび/またはカルボキシルモノマー含有率と約10,000〜150,000の重量平均分子量とを有するポリエステル−延長線状アクリルポリマーを含み、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0076】
別の有用な3−ウェットプライマー組成物は、架橋性成分および架橋成分を含み、ここで、架橋性成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約40〜95重量パーセントの2つのアクリルポリマーを含むフィルム形成アクリルポリマーを含み、その第1はポリエステル−延長分岐アクリルポリマーであり、その第2はポリエステル−延長線状アクリルポリマーであり、これらのポリマーは約5:95〜95:5の重量比で提供され、そしてここで、架橋成分は、架橋性成分および架橋成分の総重量を基準として、約5〜60重量パーセントのアミノプラスト樹脂、ブロックトポリイソシアネート樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。
【0077】
上述の3−ウェットプライマー調合物において、分岐アクリルポリマーは、高温重合法によって形成される。この方法は、
(a)(i)少なくとも1つのモノアクリルモノマーと、
(ii)少なくとも1つのジアクリルまたはジメタクリルモノマーと、
(iii)モノメタクリルモノマーが全モノマー混合物の40重量パーセント以下を占めるという条件で、場合により少なくとも1つのモノメタクリルモノマーと、
(iv)少なくとも1つのフリーラジカル重合開始剤と、
(v)場合により、少なくとも1つの溶媒と
の反応混合物を形成する工程、および
(b)反応混合物を、重合条件下に、少なくとも130℃の高められた反応温度に、分岐アクリルポリマーが形成されるまで維持する工程
を含む。
【0078】
ポリエステル−延長分岐アクリルポリマーは、フリーラジカル開始重合中か重合後かのどちらかに、またはそれらの組み合わせで、分岐アクリルポリマーを環状ラクトンかまたは環状ラクトン延長モノマーで鎖延長することによって形成される。
【0079】
3−ウェット塗布方法では、クリアコート組成物の選択は特に重要であるわけではなく、商業的に入手可能なクリアコートのいずれが選択されてもよい。好ましいクリアコート組成物は、全てDuPont,Wilmington,DEから入手可能な、GEN IV ES(登録商標)クリアコート、IMRON(登録商標)クリアコート、CHROMACLEAR(登録商標)クリアコート、およびCHROMAPREMIER(登録商標)クリアコートである。
【0080】
好ましい基材は自動車車体、自動車下請供給業者によって製造され、塗装される任意のおよび全ての品目、フレームレール、飲料本体、多目的乗用車車体(utility body)、レディミックスコンクリート配送車両車体、廃棄物運搬車両車体、および消防車および救急車車体を含むがそれらに限定されない、商用トラックおよびトラック車体、ならびにかかるトラック車体の任意の潜在的な付属品または部品、バス、農場および建設用機器、トラックキャップおよびカバー、商業トレーラー、消費者トレーラー、トレーラーハウス、キャンピングカー、コンバージョンバン、バン、娯楽クラフトスノーモービル、全地形万能車、個人用水上バイク、オートバイ、ボートを含むがそれらに限定されない娯楽用車両、および航空機である。基材には、工業的および商業的新規構成物およびそのメンテナンス用品;セメントおよび木材床;オフィスビルおよび家などの、商業および居住構造物の壁;遊園地設備;駐車場およびドライブウェイなどのコンクリート表面;アスファルトおよびコンクリート道路表面、木材基材、海洋面;橋、塔などの、屋外構造物;コイルコーティング;鉄道車;プリント回路基板;機械;OEMツール;看板;ファイバーガラス構造物;スポーツ用品;およびスポーツ用具がさらに含まれる。
【実施例】
【0081】
特に明記しない限り、全ての化学薬品は、Aldrich Company,Milwaukee,WIから入手可能である。
【0082】
Cymel(登録商標)1168、完全にアルキル化された(50%メチル、50%イソブチル)低分子量のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、Cytec Industries Inc.,West Patterson,New Jerseyから入手可能である。
【0083】
Tinuvin(登録商標)079L(キシレン中41%)は、Ciba Specialty Chemicals Corp,Tarrytown,New Yorkから入手可能である。
【0084】
Nacure(登録商標)XP−221(芳香族スルホン酸)は、King Industries,Norwalk,Connecticutから入手可能である。
【0085】
Garamite(登録商標)2578(アクリルポリマー中7%)は、Southern Clay Products,Gonzales,Texasから入手可能である。
【0086】
Silberline Tufflake(登録商標)4615(アクリル樹脂中33%のアルミニウムペースト)は、Silberline MFG CO INC,Tamaqua,Pennsylvaniaから入手可能である。
【0087】
RAVEN(登録商標)5000 Ultra II Beadsは、Columbia Chemical Co.,Marietta,GAから入手可能である。
【0088】
GEN4ES(登録商標)クリアコートは、DuPont,Wilmington,DEから入手可能である。
【0089】
Shellsol(登録商標)製品は、Shell Chemicals LP,Houston,TXから入手可能である。
【0090】
ATA TCR2040Aアルミニウムペーストは、Toyal America,Inc.,Naperville,ILから入手可能である。
【0091】
以下の実施例で、省略形「NV」は非揮発分を意味し、理論値または実測値であることができる。
【0092】
ポリマーの分子量(数平均分子量および重量平均分子量の両方)は、Hewlett−Packard,Palo Alto,Californiaによって供給される高速液体クロマトグラフを用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、特に明記しない限り、使用した液相はテトラヒドロフランであり、使用した標準はポリスチレンである。
【0093】
「Tg」(ガラス転移温度)は、℃単位であり、示差走査熱量測定法によって測定するかまたはフォックス(Fox)方程式に従って計算する。
【0094】
フロップ値は、15°、45°、および110°角度から各パネルの輝度特性を測定する、X−Rite,Inc.,Grandville,MIから入手可能な、X−Rite(登録商標)機によって測定された測定値から計算する。3つの読みの平均値を各角度で取り、次式を用いてフロップを計算する。ここで、例えば、L15は15°角度で取られた輝度測定値を表す。
[(L15−L110)*10]/L45
【0095】
CF数は、外観が自動車品質のものであったかどうか、すなわち、コーティングが自動車仕上げの標準を満たす美的外観を有したかどうかの判定であり、BYK Gardner製のWaveScan DOI機器で採取された測定値によって判定された。この機器は、オレンジピールとして一般に知られる状態を示すより長い波長でだけでなく、「画像の明確さ」、またはDOIを定量化するのを助けるより低い波長でも仕上げの外観を測定する。組み合わせて採取されたパラメーター(WaveScan CF読みによる)は、車両仕上げの全体外観を定量化するために用いることができる。水平表面上で60の最小値および垂直表面上で50の最小値が自動車用途向けに望ましい。
【0096】
接着性−0〜5の接着性は、試験方法ASTM D3359に従って測定した−少なくとも4Bの格付けが受け入れられる最小値である。
【0097】
耐チップ性は、硬い物質、最も一般的には、通過する車の車輪によって車両に向かって投げられる、またはロッカー・パネルの場合には同じ車の車輪によって車に向かって投げ上げられる、石または砂利の衝撃からの物理的損傷に耐えるコーティングシステムの能力を測定する。耐チップ性は、グラベロメーターを用いて測定し、試験方法SAE J−400に記載される手順に従い、少なくとも5の格付けが受け入れられる最小値である。
【0098】
アクリルポリマー#1の製造
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えたガラスフラスコに、1347グラムの酢酸アミルおよび147.5グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。240グラムのスチレン、240グラムのブチルメタクリレート、960グラムのTONE(登録商標)M−100、936グラムのイソトリデシルメタクリレート、24グラムのアクリル酸、および36グラムのVAZO(登録商標)の混合物を4時間にわたって加えた。この添加が完了した後、次に混合物を30分間撹拌し、96グラムの酢酸アミル中12グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を20分間にわたって加えた。反応物を還流にさらに2時間保持し、次に室温に冷却した。
【0099】
分子量は13,854であるとGPCによって測定され、粘度は26℃で126センチポアズであり、全体固形分は60%であった。
【0100】
アクリルポリマー#2の製造
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、701.8グラムの酢酸アミルおよび82.6グラムのキシレンを加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。60.3グラムのキシレンおよび567.5グラムの酢酸アミルの混合物中の232.4グラムのスチレン、232.4グラムのイソブチルメタクリレート、907グラムのイソデシルアクリレート、930.2グラムのTONE(登録商標)M100モノマー、23.2グラムのアクリル酸および62.9グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を270分間にわたって加えた。この添加が完了した後、追加の112.9グラムの酢酸アミルを加えた。混合物を室温に冷却した。
【0101】
生じたポリマー溶液の重量固形分は59.0%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ(Gardner−Holdt)粘度はB+1/2であった。GPCによって測定したときに、ポリマーの重量平均分子量は11,190であり、多分散性は2.91であった。
【0102】
アクリルポリマー#3の製造
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、666グラムのSOLVESSO(登録商標)100を加えた。この混合物を攪拌し、加熱還流した。バッチを還流に維持しながら、31グラムのSOLVESSO(登録商標)100中の1473.8グラムのn−ブチルメタクリレートと982.5グラムのヒドロキシプロピルアクリレートとの混合物を180分間にわたって加えた。89.5グラムのSOLVESSO(登録商標)100中の15.9グラムの過酢酸t−ブチルの別個の添加を195分間にわたって同時に加えた。添加が完了した後、220.5グラムのSOLVESSO(登録商標)100を反応混合物に加えた。次に反応混合物を還流にさらに40分間保持した。生じたポリマー溶液の重量固形分は69.4%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はZであった。ポリスチレン標準を用いるGPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は6,485であり、多分散性は1.99であった。
【0103】
アクリルポリマー#4
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えたフラスコに、1758.6グラムのSOLVESSO(登録商標)100を加えた。溶媒を加熱還流した。703.4グラムのSOLVESSO(登録商標)100中の703.4グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、3033.6グラムのイソボルニルアクリレート、659.5グラムの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、および44グラムの過酢酸第三ブチルの混合物を、300分間にわたって加えた。添加が完了したとき、反応物を還流にさらに30分間保持し、次に885.3グラムのエプシロン−カプロラクトン、412.2グラムのSOLVESSO(登録商標)100、および3.0グラムのジブチルスズジラウレートの混合物を30分間にわたって加えた。反応物を次に還流にさらに3時間保持した。混合物を次に室温に冷却し、取り出した。生じたポリマー溶液の重量固形分は65.8%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度(ASTM D1545−98)はXであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は37,690であり、多分散性は11であった。
【0104】
アクリルポリマー#5の製造
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えたフラスコに、2963グラムの酢酸アミルおよび324.5グラムのキシレンを加えた。この混合物を加熱還流した。792グラムのスチレン、528グラムのブチルメタクリレート、2640グラムのTONE(登録商標)M−100、1214.4グラムのブチルアクリレート、105.6グラムのアクリル酸、および55グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を、4時間にわたって加えた。添加が完了したとき、反応物を還流にさらに30分間保持した。211.12グラムの酢酸アミル中17.6グラムのVAZO(登録商標)67の混合物を20分間にわたって加えた。添加が完了したとき、反応物を還流にさらに2時間保持した。混合物を室温に冷却し、取り出した。生じたポリマー溶液は無色透明のポリマー溶液であり、60%の固形分含有率および25℃で454センチポアズのブルックフィールド(Brookfield)粘度を有した。ポリマーは、49,173Mw(重量平均分子量)および5,866Mn(数平均分子量)を有した。
【0105】
ミクロゲル樹脂の製造
ポリ12−ヒドロキシステアリン酸の製造
攪拌機、温度計、充填塔、デカンター、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、1777グラムの12−ヒドロキシステアリン酸、250グラムのトルエンおよび5.1グラムのメタンスルホン酸を加えた。この混合物を攪拌し、180℃の最高温度に加熱した。水を、33〜35の酸価に達するまで除去した。この時点で、反応混合物を120℃に冷却した。次に1.8グラムの4−第三ブチルカテコール、9.5グラムのトルエン、214.7グラムのグリシジルメタクリレート、7.1グラムのN,N−ジメチルドデシルアミンおよび79.3グラムのSHELLSOL(登録商標)D38をフラスコに加えた。この混合物を加熱環流し、酸価が2より下になるまで保持した。生じたポリマー溶液の重量固形分は84.2%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はSであった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は3582であり、多分散性は1.52であった。
【0106】
ミクロゲル安定剤の製造
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた3リットルのガラスフラスコに、587.4グラムの酢酸ブチルを加えた。この混合物を攪拌し、96〜100℃に加熱した。バッチを96〜100℃に維持しながら、417グラムのメチルメタクリレート、39.2グラムのグリシジルメタクリレート、545グラムの上で製造したポリ12−ヒドロキシステアリン酸、297.2グラムの酢酸ブチル、24グラムのVAZO(登録商標)67および344.7グラムのSHELLSOL(登録商標)D38の混合物を180分間にわたって加えた。添加が完了した後、反応混合物を96〜100℃に90分間保持した。その後、3.3グラムの酢酸ブチルおよび0.12グラムの4−第三ブチルカテコールをフラスコに加えた。この添加の5分後に、8.1グラムのメタクリル酸、1.1グラムのN,N−ジメチルドデシルアミンおよび31グラムの酢酸ブチルを一挙に加えた。生じた混合物を加熱環流し、酸価が0.45未満になるまで保持した。生じたポリマー溶液の重量固形分は41.4%であり、25℃で測定されたガードナー−ホルツ粘度はG+1/4であった。GPCによって測定された、ポリマーの重量平均分子量は18155であり、多分散性は2.08であった。
【0107】
ミクロゲルの製造
攪拌機、温度計、水冷却器、窒素注入口および加熱マントルを備えた5リットルのガラスフラスコに、1.04グラムのVAZO(登録商標)67、16.3グラムのミクロゲル安定剤、33.87グラムのメチルメタクリレート、182グラムのn−ヘプタンおよび221グラムのSHELLSOL(登録商標)7ECを加えた。この混合物を攪拌し、窒素で30分間スパージし、加熱還流した。この最初の装入物を還流に30分間保持した。バッチを還流に維持しながら、648.6グラムのメチルメタクリレート、6.23グラムのグリシジルメタクリレート、6.23グラムのメタクリル酸、123.5グラムのミクロゲル安定剤、1.5グラムのN,N−ジメチルエタノールアミン、117.6グラムのn−ヘプタン、および221グラムのSHELLSOL(登録商標)7ECの混合物を120分間にわたって加えた。同時に、2.28グラムのVAZO(登録商標)67および89.1グラムのSolvesso100を120分間にわたって加えた。反応混合物を次に還流に120分間保持した。保持期間の後に、23.5グラムのn−ブタノールを加えた。その後、147.3グラムのヒドロキシプロピルアクリレート、221.1グラムのn−ブチルメタクリレート、30.9グラムのミクロゲル安定剤、26.93グラムの過オクタン酸第三ブチル、46.1グラムのn−ヘプタンおよび129グラムのn−ブタノールの混合物を120分間にわたって加えた。反応混合物を次に還流にさらに30分間保持し、次に周囲温度に冷却した。生じたポリマー溶液の重量固形分は50.7%であり、ブルックフィールド粘度計を使って25℃で測定された粘度は63センチポアズ(50rpmでの#1スピンドル)であった。ポリマー溶液の粒度は287ナノメートルであった。
【0108】
ジウレア分散系#1の製造
53グラムのベンジルアミンを3000グラムのアクリルポリマー#1に加えた、混合物を5分間撹拌した。41.7グラムのヘキサメチレンジイソシアネートを一度にこの混合物に加えた。添加が完了したとき、混合物を8分間撹拌し、そのまま使用した。
【0109】
ジウレア分散系#2の製造
53グラムのベンジルアミンを3000グラムのアクリルポリマー#2に加えた、混合物を5分間撹拌した。41.7グラムのヘキサメチレンジイソシアネートを一度にこの混合物に加えた。添加が完了したとき、混合物を8分間撹拌し、そのまま使用した。
【0110】
シリカ分散系#1の製造
9部のAEROSIL(登録商標)−R−805を91部のアクリルポリマー#3と混合した。混合物をサンドミルに入れ、サンドミルによって2回処理した。
【0111】
GARAMITE(登録商標)分散系の製造
プロピオン酸n−ブチル、54.40部を、窒素雰囲気下に混合ミルに加えた。7.60部のGARAMITE(登録商標)を撹拌しながら加えた。20分間撹拌した後、38.0部のアクリルポリマー#14を加えた。60分間撹拌した後、混合物を、ジルコニア媒体(0.8〜1.0mm)を用いてミルに3回通した。
【0112】
プライマー組成物#1の製造
以下の原料を、示される順番に好適な混合容器に加えた。全ての量は重量部単位である。
【0113】

【0114】
シルバーメタリックベースコート組成物1〜5の調製
シルバーメタリックベースコート組成物は、表1に示される原料を、示される順番に好適な混合容器中で一緒に混合することによって調製した。表1に示される全ての量は重量部単位である。
【0115】
表1

【0116】
コーティング実施例1〜5
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベース電着プライマー(DuPont Company,Wilmington,DE製のCormax(登録商標)6ED)でコートした。生じた電着下塗パネルを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0117】
これらのパネルを次にプライマー組成物、DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、Titanium Primer708A01244の層でコートした。各下塗パネルを次に周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中140℃で30分間硬化させた。パネルを次に周囲温度に冷却した。ベースコート組成物1〜5を次に、層の間に周囲温度での1分フラッシュありでパネルに2層で塗布した。パネルを次に周囲温度で3分間フラッシュした。GEN4ES(登録商標)クリアコート組成物の1層を各パネルに塗布し、パネルを周囲温度で1分間フラッシュした。GEN4ES(登録商標)クリアコート組成物の第2層を次に塗布し、パネルを次に周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間硬化させた。
【0118】
コーティング実施例6〜10
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベース電着プライマー(DuPont Company,Wilmington,DE製のCormax(登録商標)6ED)でコートした。生じた電着プライマーを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0119】
これらのパネルを次にプライマー組成物#1の層でコートし、周囲温度で3分間フラッシュした。ベースコート組成物1〜5を次に、層の間に周囲温度での1分フラッシュありでパネルに2層で塗布した。コートされたパネルを次に周囲温度で3分間フラッシュした。GEN4ES(登録商標)クリアコート組成物の1層を各パネルに塗布し、パネルを周囲温度で1分間フラッシュした。GEN4ES(登録商標)クリアコート組成物の第2層を次に塗布し、パネルを次に周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間硬化させた。
【0120】
パネルを次にCF数およびフロップについて分析した。試験結果を下の表2にまとめる。
【0121】
表2

【0122】
ソリッドカラーベースコート組成物の調製
次の原料を、示される順番に好適な混合容器に加えた。全ての量は重量部単位である。
【0123】

【0124】
コーティング実施例11
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベース電着プライマー(DuPont Company,Wilmington,DE製のCormax(登録商標)6ED)でコートした。生じた電着プライマーを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0125】
パネルを次にプライマー組成物、DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、Titanium Primer708A01244の層でコートした。下塗パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中140℃で30分間硬化させた。パネルを次に周囲温度に冷却した。Solid Color Basecoat組成物の1層をパネルに塗布し、パネルを周囲温度で1分間フラッシュした。Solid Color Basecoat組成物の第2層を次に塗布した。コートされたパネルを周囲温度で3分間フラッシュした。GEN4ESクリアコート組成物の1層をパネルに塗布し、パネルを周囲温度で1分間フラッシュした。GEN4ESクリアコート組成物の第2層を次に塗布し、パネルを周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間硬化させた。
【0126】
コーティング実施例12
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベース電着プライマー(DuPont Company,Wilmington,DE製のCormax(登録商標)6ED)でコートした。生じた電着プライマーを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0127】
パネルを次にプライマー組成物、DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、Titanium Primer708A01244の層でコートした。下塗パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中140℃で30分間硬化させた。パネルを次に周囲温度に冷却した。Ebony Black(DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、製品コード648S42728)の1層をパネルに塗布し、パネルを周囲温度で1分間フラッシュした。Ebony Blackの第2層を次に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。GEN4ESクリアコート組成物の1層をパネルに塗布し、パネルを周囲温度で1分間フラッシュした。GEN4ESクリアコート組成物の第2層を次に塗布し、パネルを周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間硬化させた。
【0128】
コーティング実施例13
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベース電着プライマー(DuPont Company,Wilmington,DE製のCormax(登録商標)6ED)でコートした。生じた電着プライマーを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0129】
リン酸塩処理パネルを次にプライマー組成物#1の層でコートし、周囲温度で3分間フラッシュした。パネルを次に、各層の間に1分周囲温度フラッシュありでSolid Color Basecoat組成物の2層でコートした。第2層を塗布した後、パネルを周囲温度で3分間フラッシュ乾燥させた。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュありでパネルに塗布した。パネルを次に5分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間ベークした。
【0130】
コーティング実施例14
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベース電着プライマー(DuPont Company,Wilmington,DE製のCormax(登録商標)6ED)でコートした。生じた電着プライマーを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0131】
リン酸塩処理パネルを次にプライマー組成物#1の層でコートし、周囲温度で3分間フラッシュした。パネルを次に、2層の間に1分周囲温度フラッシュありでEbony Black(DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、製品コード648S42728)の2層でコートした。Ebony Blackの2層でコートした後に、パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、層の間に周囲温度での1分フラッシュありでパネルに塗布した。パネルを次に周囲温度で5分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で30分間硬化させた。
【0132】
ソリッドカラーベースコート組成物についてのCF数測定の結果を表3にリストする。
【0133】
表3

【0134】
1コート対2コート処理
ベースコート組成物6
シルバーメタリックベースコート組成物は、原料を、示される順番に好適な混合容器中で一緒に混合することによって製造した。全ての量は重量部単位である。
【0135】

【0136】
コーティング実施例15〜18
市販のベーキングプライマー上のコーティング
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベースエレクトロコート(DuPont Company,Wilmington,DE製のCORMAX(登録商標)6ED)でコートした。生じたエレクトロコートを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。
【0137】
これらのパネルを次にプライマー組成物、DuPont,Wilmington,DEから入手可能な、Titanium Primer708A01244の層でコートした。各下塗パネルを次に周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中140℃で30分間硬化させた。パネルを次に周囲温度に冷却した。
【0138】
コーティング15(比較)
ベーキングプライマー上の単一コーティング
Silver Birchベースコート(647A0111としてDuPontから入手可能なポリエステルベースベースコート組成物)の単層を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上にスプレー塗布した。コーティング後に、パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0139】
コーティング16(対照)
ベーキングプライマー上の2層コーティング
Silver Birchベースコート組成物を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュし、Silver Birchベースコートの第2コートを塗布した。周囲温度での3分フラッシュ後に、クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0140】
コーティング17
ベースコート組成物6を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0141】
コーティング18
ベースコート組成物6を、予め下塗したスチールパネル(上で準備した)上に塗布した。パネルを周囲温度で3分間フラッシュし、ベースコート組成物6の第2コートを塗布した。周囲温度での3分フラッシュ後に、クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で10分間フラッシュし、乾燥オーブン中垂直位置で140℃で20分間硬化させた。
【0142】
3−ウェット下塗パネルの準備
リン酸塩処理スチールパネルを、陰極エポキシ樹脂ベースエレクトロコート(DuPont Company,Wilmington,DE製のCORMAX(登録商標)6ED)でコートした。生じたエレクトロコートを硬化させて23ミクロンのフィルム塗り厚を達成した。各パネルを次に3−ウェットプライマー組成物でコートし、溶剤の一部を除去するために周囲温度で3分間フラッシュした。
【0143】
コーティング19
3−ウェット下塗パネル(上で準備した)を、ベースコート組成物6の1コーティングでコートし、周囲温度で3分間フラッシュした。クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で2分間フラッシュし、93℃の乾燥オーブン中に垂直位置に置いた。乾燥オーブン中の温度を、8分間にわたって140℃に上げた。パネルを次に140℃に12分間保った。
【0144】
コーティング20
3−ウェット下塗パネル(上で準備した)を、塗布の間に周囲温度での3分フラッシュありでベースコート組成物6の2つのコートでコートした。パネルを次に3分間フラッシュし、クリアコート組成物(DuPont,Wilmington,DEから入手可能なGEN4ES(登録商標)クリアコート)の2層を、コートの間に周囲温度での1分フラッシュ期間ありでパネルに塗布した。パネルを周囲温度で2分間フラッシュし、93℃の乾燥オーブン中に垂直位置に置いた。乾燥オーブン中の温度を、8分間にわたって140℃に上げた。パネルを次に140℃に12分間保った。
【0145】
これらのパネルの結果を表4にまとめる。
【0146】
表4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋性成分、架橋成分、少なくとも1つのジウレア化合物および少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物を含むコーティング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物が、少なくとも1つの第四級アミンで処理されたケイ酸アルミニウム・マグネシウム鉱物を含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つのジウレア化合物がベンジルアミンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
溶剤希釈型コーティング組成物である請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記架橋性成分が、アクリルポリオールの総重量を基準として少なくとも40重量パーセントの少なくとも1つの線状または分岐C8以上アルキルアクリレートモノマーとポリエステル延長アクリレートモノマーである第2モノマーとの組み合わせを含むアクリルポリオールである請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記架橋成分が、メラミン、アミノプラスト樹脂、ポリイソシアネート、ブロックトポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
a)プライマー組成物の層を基材に塗布する工程と、
b)場合により、溶剤の一部を除去するためにプライマー組成物の層をフラッシュする工程と、
c)ベースコート組成物の層を前記基材に塗布する工程と、
d)場合により、溶剤の少なくとも一部を除去するためにベースコート組成物の層をフラッシュする工程と、
e)クリアコート組成物の層を前記ベースコート組成物上にウェット−オン−ウェット塗布する工程と、
f)実質的に乾燥し、硬化したコートされた基材を提供するために前記基材および塗布層を60℃〜約200℃の範囲の温度で60秒〜60分間加熱する工程と
を含む請求項1に記載のコーティング組成物の使用方法であって、
前記ベースコート組成物が架橋性成分、架橋成分、少なくとも1つのジウレア、および少なくとも1つの層状ケイ酸塩鉱物を含む方法。
【請求項8】
プライマー組成物の前記層を、ベースコート組成物の前記層を塗布する前に硬化させる工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。

【公表番号】特表2010−511776(P2010−511776A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540259(P2009−540259)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/024833
【国際公開番号】WO2008/070077
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】