説明

銀行システム

【課題】銀行口座を活用して、現実の貨幣・通貨と電子マネーやポイントとを相互に交換でき、また銀行口座を介することで仕様・規格が異なる電子マネー同士を相互に交換できる簡便なシステムを提供する。
【解決手段】マルチバリュー管理システム220は、銀行システムの利用者の識別情報にしたがって認証する認証手段(305)と、第2口座への預入処理および第2口座からの引出処理を行う預入引出手段(306)と、第2口座における残高の上限金額データと第2口座の残高の金額データとを比較していずれの金額データが大きいかを判断して、第1口座と第2口座との間で金額データを受け渡す利用上限判断手段(307)と、第2口座に預け入れまたは引き出される電子マネーまたはポイントを現実の貨幣・通貨に交換する際に、交換レートのデータをバリュー交換データベース(309)から読み出して交換処理を行う交換処理手段(308)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行システムに関し、より詳細には、親口座と関連付けられた子口座において複数のバリューを取り扱うことが可能な銀行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、小額決済や電子商取引等の分野において、ICチップやインターネットを活用した新しい電子的支払サービスが普及し始めている。このような電子的支払サービスの代表的なものとして「電子マネー」があげられる。電子マネーは、ICチップを搭載したカード(ICカード)等に記録される貨幣価値をデジタルデータで表現した情報である。ICカード等の所有者は、電子マネーの加盟店等において商品・サービスを購入する際の決済手段として電子マネーを利用している。
【0003】
また、加盟店によっては商品・サービスを購入する際に「ポイント」を付与するサービスもあわせて行っている。このようなポイントは、所定のポイントが貯まるとその加盟店が提供する商品・サービスと交換できるなど、擬似通貨としての役割を果たすものも登場してきている。
【0004】
このように電子マネーやポイントは、擬似通貨としての役割をますます強めつつあるが、金融機関が提供する既存の銀行口座は、現実の貨幣・通貨を扱う口座である。一方、相異なる複数の口座が存在する場合に、複数の口座を管理する方法は知られている(特許文献1参照)。
【0005】
図1は、従来技術である電子的支払サービスの概略の一例を説明する図である。利用者100は、電子的支払サービスを利用する際の決済手段としてパーソナルコンピュータ(PC)101、ICカード102、及び携帯電話103を利用する。ここでは、代表例としてICカード102、中でも、プリペイド(前払い)式ICカードを使用する実施形態について説明する。
【0006】
利用者100は、イシュア130との間で現金をやり取りすることでICカード102に電子マネーをチャージ(入金)することができる。利用者100は、加盟店110が提供する商品・サービスを購入する際に、チャージ済みのICカード102を利用して代金を支払う。加盟店110によっては、商品・サービスを購入するごとに一定のポイントを獲得できる場合もある。加盟店110は、電子マネーによる支払に関する決済データを電子マネー事業運営会社120に送信して、利用代金の支払を受ける。また、電子マネー事業運営会社120は、当該決済データを電子マネーの価値を発行するイシュア130に送信し、イシュア130から利用代金の支払を受ける。
【0007】
なお、ここで述べた実施形態以外にも、利用者100はパーソナルコンピュータ(PC)101または携帯電話103を利用してネットワーク140を介して商品・サービスを購入することも可能である。
【0008】
【特許文献1】特開2001−243350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電子マネーについて多くの事業運営会社が市場に参入してきており、一口に電子マネーといっても事業運営会社ごとに仕様・規格が異なるために、利用者は仕様・規格が異なる電子マネーを加盟店によって使い分ける必要がある。
【0010】
また、利用者が仕様・規格が異なる電子マネーを複数足し合わせて商品・サービスを購入しようと思っても、加盟店によっては決済手段として対応可能な電子マネーの仕様・規格は限られていて複数種類の仕様・規格の電子マネーを足し合わせて決済することが困難であり、ある電子マネーと別の電子マネーとを簡便に足し合わせる手段は存在していなかった。
【0011】
さらに、電子マネーやポイントが擬似通貨としての役割を果たすようになってきているため、現実の貨幣・通貨と電子マネーやポイントとを相互に交換でき、また仕様・規格が異なる電子マネー同士を相互に交換できる簡便な手段が求められるようになってきている。
【0012】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、銀行口座を活用して、現実の貨幣・通貨と電子マネーやポイントとを相互に交換でき、また銀行口座を介することで仕様・規格が異なる電子マネー同士を相互に交換できる簡便なシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明は、電子マネーまたはポイントと現実の貨幣・通貨とを相互に交換するための交換レートのデータを格納するバリュー交換データベース(309)と、第2口座における残高の上限金額データを格納する口座情報データベース(310)とを保持し、第1口座と関連付けられた第2口座を取り扱うことが可能な銀行システム(220)であって、銀行システムの利用者の識別情報にしたがって認証処理をする認証手段(305)と、第2口座への預入処理および第2口座からの引出処理を行う預入引出手段(306)と、第2口座における残高の上限金額データと第2口座の残高の金額データとを比較していずれの金額データが大きいかを判断して、第1口座と第2口座との間で金額データを受け渡す利用上限判断手段(307)と、第2口座に預け入れまたは引き出される電子マネーまたはポイントを現実の貨幣・通貨に交換する際に、交換レートのデータをバリュー交換データベース(309)から読み出して交換処理を行う交換処理手段(308)とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、利用上限判断手段(307)により、第2口座における残高の金額データの方が大きいと判断された場合に、第2口座の残高の金額データから第2口座における残高の上限金額データを引き算した結果の金額データを第2口座から第1口座に受け渡すことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の銀行システムであって、第1口座への金額データの受け渡しが、預入処理の直後に行われることを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の銀行システムであって、第1口座への金額データの受け渡しが、1日のうちの所定の時刻に行われることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、利用上限判断手段(307)により、第2口座における残高の金額データの方が小さいと判断された場合に、第2口座における残高の上限金額のデータから第2口座の残高の金額データを引き算した結果の金額データを第1口座から第2口座に受け渡すことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の銀行システムであって、第2口座への金額データの受け渡しが、1日のうちの所定の時刻に行われることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、利用者の識別情報が、第1口座と第2口座とで同一の識別情報が使用されることを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の銀行システムであって、第1口座と第2口座とで同一の識別情報が使用される場合に、第1口座に関連付けられた第2口座が存在するか否かを判断する第2口座有無判断手段(302)をさらに備えたことを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、利用者の識別情報は、第1口座と第2口座とで相異なる識別情報が使用されることを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、利用者の識別情報は、キャッシュカードおよび数値番号の組み合わせによって行われることを特徴とする。
【0023】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、利用者の識別情報は、キャッシュカード、数値番号、および手指の静脈パターンデータの組み合わせによって行われることを特徴とする。
【0024】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の銀行システムであって、銀行システムは、静脈パターンデータ読取装置(501)を備えたATM(500)からアクセス可能であり、手指の静脈パターンデータは、静脈パターンデータ読取装置(501)によって読み取られることを特徴とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、電子マネー及び/またはポイントの情報を格納するICカードの読取装置(502)を備えたATM(500)を介してアクセス可能であることを特徴とする。
【0026】
請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、電子マネー及び/またはポイントの情報を格納するICカードの読取装置(901)を備えたパーソナルコンピュータからインターネットバンキングにアクセスすることで利用可能なことを特徴とする。
【0027】
請求項15に記載の発明は、請求項1に記載の銀行システムであって、口座情報データベース(310)は、第2口座における取引の上限金額データをさらに格納し、取引の上限金額データを超える取引を行うことができない制限をかける取引制限手段(307)をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、銀行システムの利用者の識別情報にしたがって認証する認証手段(305)と、第2口座における残高の上限金額データと第2口座の残高の金額データとを比較していずれの金額データが大きいかを判断して、第1口座と第2口座との間で金額データに受け渡す利用上限判断手段(307)と、第2口座に預け入れまたは引き出される電子マネー及びポイントを現実の貨幣・通貨に交換する際に、交換レートのデータをバリュー交換データベース(309)から読み出して交換処理を行う交換処理手段(308)と、を備えたので、銀行口座を活用して、現実の貨幣・通貨と電子マネーやポイントとを相互に交換でき、また銀行口座を介することで仕様・規格が異なる電子マネー同士を相互に交換できる簡便なシステムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る銀行システム200の概略を示す構成図である。銀行システム200は、既存の勘定系システム210及びマルチバリュー管理システム220を含む。
【0030】
勘定系システム210は、従来から銀行において稼動しているシステムであり、A親口座211及びB親口座212間の振込処理、全銀ネットワークを介してA親口座211及び他行の預金口座213間の振込処理、及び利用者100によるA親口座211に対する入出金処理などを行うシステムである。さらに、勘定系システム210は、親口座211、212から、それぞれに対応する子口座221、222への振替処理も行う。
【0031】
マルチバリュー管理システム220は、A親口座211を親口座(第1口座)とした場合の子口座(第2口座)であるA子口座221や、B親口座212を親口座とした場合の子口座であるB子口座222などの複数の子口座を管理するシステムである。また、マルチバリュー管理システム220は、子口座221、222から親口座211、212への振替処理も行う。
【0032】
ここで、「親口座」及び「子口座」は、同一顧客(個人であっても、法人であっても構わない)が有する銀行口座であり、親口座は従来からある普通預金口座や当座預金口座などを意味し、子口座は親口座と口座番号が別であることから実質的には別口座であるが、後述する同一の契約者番号(ID)によって概念的には一体的に管理可能な口座を意味する。
【0033】
さらに、マルチバリュー管理システム220は、バリュー交換処理も行う。ここで、「バリュー」とは、現実の貨幣・通貨だけでなく、電子マネーやポイントなど擬似通貨として観念されるものが含まれることを意味する。また、「バリュー交換」とは、複数の規格の電子マネーやポイントを一定の交換レートで現実の貨幣・通貨に交換することを意味し、例えば、あるポイント100に交換レート0.1を乗算して現実の貨幣・通貨10に交換することを意味する。交換の結果、当該ポイントは銀行側が所有することとなる。なお、当該ポイントを交換する際に、当該ポイントに有効期限が付されている場合には、当該有効期限が到来していないことについてもマルチバリュー管理システム220によってチェックされ、当該有効期限が到来してしまったものについては交換されない。
【0034】
利用者100は、マルチバリュー管理システム220を利用することにより、子口座221や222などに対して複数種類の規格の電子マネー及び各企業体が発行するポイントについて預入/引出を行うことができる。
【0035】
図3は、本発明の一実施形態に係るマルチバリュー管理システム220の構成を示すブロック図である。マルチバリュー管理システム220は、インターフェース(I/F)301と、制御部302と、メモリ部303と、プログラム格納部304と、認証部305と、預入引出部306と、利用上限判断部307と、交換処理部308と、バリュー交換データベース(DB)309と、口座情報データベース(DB)310とを含み、上記構成要素301〜310はバス311を介して相互に接続されている。
【0036】
インターフェース301は、親口座を有する勘定系システム210との間でバス311を介してデータを送受信する際に使用されるインターフェースであり、また利用者100がネットワーク312を介してATMやインターネットバンキングによりバリューの預入/引出を行う際に使用されるインターフェースである。制御部302は、マルチバリュー管理システム220を全体的に制御するCPUを含み、本明細書全体において説明するマルチバリュー管理システム220の動作を制御する。例えば、ある子口座から別の子口座への振込処理を行ったり、親口座と子口座との間の振替処理を行ったり、バリュー交換処理などを制御することが可能である。
【0037】
メモリ部303は、各種データの編集及び加工処理を行い、勘定系システム210やATM、インターネットバンキングから受信したデータを一時的に格納する。プログラム格納部304は、マルチバリュー管理システム220において使用される各種プログラムが格納されており、当該プログラムは実行される処理内容にしたがって制御部302によってメモリ部303に読み出され、実行される。
【0038】
認証部305は、図2を参照しながら説明すると、利用者100がATMを使用する際、及びPCや携帯電話からインターネットバンキングを使用する際にユーザ認証を行う。本発明の銀行システム200においては、親口座と子口座で別々のキャッシュカード、暗証番号、および必要な場合には手指の静脈パターンデータによる認証を行うことも可能であり、親口座と子口座で同一のキャッシュカード、暗証番号、および必要な場合には手指の静脈パターンデータによる認証を行うことも可能である。なお、暗証番号は、数値(0〜9)だけを組み合わせてもよいし、数値とアルファベットを組み合わせてもよく、特に限定はされない。
【0039】
預入引出部306は、利用者100がバリューの預入/引出処理を行う際の預入及び引出に関する処理を行う。
【0040】
マルチバリュー管理システム220においては、子口座における残高の上限金額データおよび/または子口座における一日あたりの取引可能額を予め決定しておくことができる。利用上限判断部307は、子口座における残高の上限金額データを超えるか否かを判断して、親口座から子口座への振替処理や子口座から親口座への振替処理を行うことが可能であり、および/または一日あたりの取引可能額を超える金額の取引を自動的に制限することが可能である。
【0041】
交換処理部308は、本明細書において説明する現実の貨幣・通貨と電子マネーやポイントとを交換する処理、すなわちバリュー交換処理を行う。バリュー交換DB309は、現実の貨幣・通貨と電子マネーやポイントとを交換する際の交換レートの情報を格納する。口座情報DB310は、子口座における残高の上限金額データや子口座における一日あたりの取引可能額などの子口座に関する情報を格納する。子口座に関する情報の一例は図12に示す。
【0042】
バス311は、上記構成要素301〜310を相互に接続してデータ(情報)が送受信されるための伝送路である。ネットワーク312は、ATM、またはPC・携帯電話等からアクセス可能なインターネットバンキングと、インターフェース301とを接続する通信回線(例えば、専用回線、インターネットなど)である。
【0043】
以下、本発明の一実施形態であるマルチバリュー管理システム220をATM経由で使用する場合、及びインターネットバンキング経由で使用する場合について詳細に説明する。
【0044】
<ATM経由で使用する場合>
以下、図4〜図6を相互に参照しながら説明するが、説明の便宜上、親口座と子口座の両方を扱える1枚のキャッシュカードと、電子マネー及びポイントを格納できる機能がついたバリュー記録媒体とが別々のものである場合について説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態に限定されない。銀行口座のキャッシュカードは親口座と子口座の両方を扱えるカード以外にも、子口座のみを扱えるカードであってもよい。また、キャッシュカードとバリュー記録媒体とが一体となっていても構わない。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態であるマルチバリュー管理システム220をATM経由で使用する場合のフローを示す図である。図5(A)〜(C)は、銀行に設置してあるATMの一例を示す図である。図5(A)に示すように、ATM500には、手指の静脈認証用読取装置501と非接触ICカードに対応する読取装置502とが備え付けられている。また、図6(A)〜(C)はATMに表示される画面の一例を示す図である。
【0046】
ATM500では、図6(A)に示されているようなメニュー画面600が表示されている(ステップS401)。利用者100によって電子マネー/ポイントからの預入ボタン601が押下された場合にはステップS403に処理が進み、電子マネー/ポイントへの引出ボタン602が押下された場合にはステップS420に処理が進む。以下、ステップS403以降の処理を最初に説明し、その後ステップS420以降の処理を説明する。
【0047】
利用者100は、電子マネー/ポイントからの預入ボタン601を押下した後、キャッシュカードをATM500に挿入する。その後、図5(B)及び図5(C)に示すように、認証処理が行われる(ステップS403)。なお、図5(B)に示した手指の静脈認証用読取装置501を使用した生体認証処理は本発明において任意の処理であり、なくても構わない。また、当該認証処理の前後において、バリュー記録媒体が読取装置502に置かれる(または読み取り可能な距離までかざされる)。
【0048】
ステップS403において、ATM500は、ネットワーク312を介してマルチバリュー管理システム220に、手指の静脈認証用読取装置501によって読み取られた静脈パターンデータを送信する。認証部305は、当該静脈パターンのデータと、口座情報DB310に予め登録された利用者100の手指の静脈パターンデータとが合致するか否かを判断する(第1の認証処理)。利用者100の手指の静脈パターンのデータは、口座情報DB310に予め登録されているものとする。
【0049】
上記第1の認証処理によって合致すると判断されると、図5(C)に示す暗証番号入力画面520がATM500の画面に表示される。利用者100の暗証番号が画面上で入力されると、ATM500は、ネットワーク312を介してマルチバリュー管理システム220に当該暗証番号データを送信する。認証部305は、当該暗証番号データと、口座情報DB310に予め登録された利用者100の暗証番号データとが合致するか否かを判断する(第2の認証処理)。
【0050】
上記第1の認証処理及び第2の認証処理によって、共に合致する場合、すなわち認証処理がエラーなく完了した場合には、次のステップS404に処理が進み、合致しなかった場合には、処理エラーがATM500上に表示されて、最初から操作がやり直しとなる。
【0051】
なお、上述したように手指の静脈認証用読取装置501を使用する実施形態について任意であり、図5(C)に示すように暗証番号のみで認証処理を行うことも可能である。かかる場合には、第2の認証処理が完了すれば次のステップS404に処理が進む。
【0052】
ステップS404において、ATM500の画面上には図6(B)に示す第2口座への預入画面610が表示される。預入種類611は、預入の対象となるのが電子マネーであるのか、ポイントであるのかを判別するために使用される。バリュー種類612は、預け入れる電子マネーやポイントが複数ある場合に、どの電子マネーやポイントから第2口座へ預け入れるのかを指定するために使用される。預入バリュー指定613は、バリュー記録媒体に記録されている電子マネーまたはポイントのうち、全額を預け入れるのか、または一部を預け入れるのかを選択するために使用される。預入バリュー614は、預入バリュー指定613において「一部」が選択された場合に、具体的な預入バリューを指定するために使用される。預入バリュー614には、数字キー615及び訂正キー617を使用することによって具体的な数字が指定される(例えば、1000)。なお、預入バリュー指定613において「全額」が指定された場合には、バリュー記録媒体に記録されている電子マネー全額または全ポイント数が読取装置502を介して読み取られ、読み取られたデータが預入バリュー614に自動的に指定される。そして、ユーザ100によって預入バリュー614に指定された数字が確認された後に後続の処理が行われることとなる。
【0053】
ステップS405において、利用者100によって上記符号611〜614の指定が済んだ後、預け入れボタン616が押下されると、ATM500は、バリュー種類612にて指定された電子マネーまたはポイントを、読取装置502を介してバリュー記録媒体から読み出して、マルチバリュー管理システム220に対して、図7に例示するバリューデータ700を送信する。バリューデータ700は、少なくともバリュー種類701、預入バリュー702、および引出バリュー703を含む。
【0054】
ここで、預け入れボタン616が押下された場合に、読取装置502を介して行われるATM500とバリュー記録媒体との間の通信処理の一例について説明する。読取装置502とバリュー記録媒体とが一定の距離(例えば、5cm)以内にある場合に当該通信処理が開始される。当該通信処理において読取装置502からバリュー記録媒体に対して電源供給が行われ、サービスの特定が行われる(預入、引出など)。その後、読取装置502とバリュー記録媒体との間で暗号通信が行われ、バリュー記録媒体に対してデータの読み込み/書き込みが行われる。ATM500は、このような通信処理によってバリュー記録媒体から上記符号611〜614で指定された電子マネーまたはポイントについて、全額または指定された金額のデータを受け取り、マルチバリュー管理システム220に送信する。
【0055】
ステップS406において、マルチバリュー管理システム220は、受信したバリューデータ700を一時的にメモリ部303に格納する。交換処理部308は、バリューデータ700をメモリ部303から読み出し、バリュー種類701をキーにしてバリュー交換DB309に格納されている交換レート1104を読み出す。バリュー交換DB309の一例を図11に示す。バリュー交換DB309は、シーケンス番号1101、交換元バリュー1102、交換先バリュー1103、及び交換レート1104を少なくとも含む。シーケンス番号1101が「1」のデータは、電子マネーAを日本円に交換する際の交換レートが「1」であることを示している。
【0056】
ステップS407において、交換処理部308は、読み出した交換レート1104を使用して、受信したバリューデータ700の預入バリュー702に格納されているバリューの額を変換する計算を行う。上述の例に関して言えば、バリュー種類701に格納されているデータが電子マネーAである場合には、交換処理部308は、預入バリュー702に格納されている電子マネーAの金額に「1」を乗算して日本円に交換する処理を行う。
【0057】
ステップS408において、預入処理部306は、上記計算結果である現実の貨幣・通貨の額を子口座に預け入れる処理を行う。すなわち、図13に示すような子口座の残高額1304を預入後の残高に更新し、図14に示すような明細データを新規作成する処理を行う。
【0058】
ここで、図13及び図14について詳細に説明する。図13は、契約者番号別口座番号別の各バリューについての残高データを示す残高テーブル1300であり、口座情報DB310に格納されているテーブルの一つである。残高テーブル1300は、契約者番号(ID)1301、子口座番号1302、通貨種類1303、及び残高額1304を少なくとも有する。なお、契約者番号(ID)1301に格納されている契約者番号(ID)は親口座とも関連付けられており、同一顧客は同一の契約者番号(ID)を使用する。図13の例では、通貨種類1303(例えば、日本円)別に残高額のデータが格納されていることが示されている。
【0059】
一方、図14は、契約者番号(ID)別の取引明細データを示す明細テーブル1400であり、口座情報DB310に格納されているテーブルの一つである。明細テーブル1400は、契約者番号(ID)1401、子口座番号(第2口座)1402、取引年月日1403、通貨種類1404、預入額1405、引出額1406、残高1407、現金/振替などの処理を示すフラグエリア1408、バリュー種類1409、バリュー1410、換算率1411、摘要1412を少なくとも有する。
【0060】
図14に示す明細データについてさらに詳細に説明する。なお、以下の説明では第2口座の残高が0円であり、第2口座の残高の上限額が設定されていることを前提とする。
【0061】
まず、第2口座である子口座xxx−xxxxxxxに対して2007年3月8日に現金で60000円が預入される。子口座における残高上限金額が50000円であるとすると、10000円が親口座である第1口座xxx−xxxxxxxに自動的に振り替えられる。次に、2007年3月10日に第2口座から電子マネーAに交換するために2000円引き出すが、子口座の残高の範囲内の取引であるので、親口座との間の振替処理は行われない。また、同じく3月10日に第2口座にポイントaを1000ポイント預け入れると、バリュー交換DB309から読み出された交換レート0.1を乗算した100円が第2口座に預け入れられることとなる。次に、3月10日に第2口座から日本円で10000円が引き出されている。最後に、3月10日の所定の時間に第1口座から第2口座に残高上限に達するように、第2口座(子口座)における残高上限金額50000円と第2口座の残高38100円とを比較して、その差額である11900円が第1口座から第2口座へと自動的に振り替えられる。
【0062】
上記で説明した取引の一例では、第2口座の残高の上限額が設定されていることを前提として説明したが、本発明では、第2口座における1日あたりの取引可能額を設定しておくこともできる(例えば、1日あたりの取引可能額を5万円とする、など)。かかる場合には、1回の取引として、設定された1日あたりの取引可能額を超える預入や引出があるとすると、その取引自体を実行させずにエラー処理させてしまうこともできる。また、当該日に預入された金額データのみを図14に示すテーブルから読み出して、その預入金額の合計額が1日あたりの取引可能額を超える場合には、当該日にはさらなる預入をさせないように制限をかけることもできる。また、当該日に引き出された金額データのみを図14に示すテーブルから読み出して、その引出金額の合計額が1日あたりの取引可能額を超える場合には、当該日にはさらなる引出をさせないように制限をかけることもできる。さらに、当該日に預入された金額データ及び引き出された金額データを両方とも図14に示すテーブルから読み出して、その合計金額(預入であれば第2口座における「プラス(+)」のデータとして、引出であれば第2口座における「マイナス(−)」のデータとして計算する)が、1日あたりの取引可能額を超える場合には当該日にはさらなる預入および引出をさせないように制限をかけることもできるし、「プラス(+)」データとして1日あたりの取引可能額を超える場合には当該日にはさらなる預入をさせない(さらなる「プラス(+)」データを発生させない)ように制限をかけることもできるし、また「マイナス(−)」データとして1日あたりの取引可能額を超える場合には当該日にはさらなる引出をさせない(さらなる「マイナス(−)」データを発生させない)ように制限をかけることもできる。
【0063】
図4に戻って説明を続ける。上述したように、預入処理が行われると、預入引出部306は、残高テーブル1300の該当する通貨種類1303のデータ(例えば、日本円)の残高額1304を更新し、明細テーブル1400に当該預入処理の明細データを追加する。なお、バリュー種類1409に「電子マネー」や「ポイント」が記録される場合には、交換処理部308によって当該「電子マネー」や「ポイント」が日本円に変換されていることを示す。
【0064】
ステップS409において、利用上限判断部307は、口座情報DB310から子口座における残高の上限金額を読み出して、子口座の残高額1304が所定の上限残高額を超えたか否かを判断する。所定の上限残高額を超えた場合には、ステップS410に処理が進み、超えない場合にはステップS411に処理が進む。
【0065】
ステップS410において、制御部302は、所定の上限残高額を超えた金額(すなわち、残高額マイナス所定の上限残高額)について親口座に振り替える振替処理を行う。この振替処理によって、子口座の残高額1304が一定額に保たれる。
【0066】
ステップS411において、制御部302は、ATM500に対して上記預入処理が完了したことを示す処理完了メッセージを送信する。
【0067】
ステップS412において、ATM500は、当該メッセージを受信すると、バリュー記録媒体に記録されているバリューのデータを書き換える処理を行う。
【0068】
ステップS420においては、ステップS403と同様の認証処理が行われる。すなわち、ATM500は、ネットワーク312を介してマルチバリュー管理システム220に、手指の静脈認証用読取装置501によって読み取られた静脈パターンデータを送信する。認証部305は、当該静脈パターンのデータと、口座情報DB310に予め登録された利用者100の手指の静脈パターンデータとが合致するか否かを判断する(第1の認証処理)。利用者100の手指の静脈パターンのデータは、口座情報DB310に予め登録されているものとする。
【0069】
上記第1の認証処理によって合致すると判断されると、図5(C)に示す暗証番号入力画面520がATM500の画面に表示される。利用者100の暗証番号が画面上で入力されると、ATM500は、ネットワーク312を介してマルチバリュー管理システム220に当該暗証番号データを送信する。認証部305は、当該暗証番号データと、口座情報DB310に予め登録された利用者100の暗証番号データとが合致するか否かを判断する(第2の認証処理)。
【0070】
上記第1の認証処理及び第2の認証処理によって、共に合致する場合、すなわち認証処理がエラーなく完了した場合には、次のステップS421に処理が進み、合致しなかった場合には、処理エラーがATM500上に表示されて、最初から操作がやり直しとなる。
【0071】
なお、上述したように手指の静脈認証用読取装置501を使用する実施形態について任意であり、図5(C)に示すように暗証番号のみで認証処理を行うことも可能である。かかる場合には、第2の認証処理が完了すれば次のステップS421に処理が進む。
【0072】
ステップS421において、ATM500の画面上には図6(C)に示す引出画面620が表示される。引出種類621は、引出の対象となるのが電子マネーであるのか、あるいは現金であるのかを判別するために使用される。なお、図6(C)に示す実施形態以外にポイントとして引き出す実施形態も可能である。バリュー種類622は、対象となる電子マネーが複数ある場合に、どの電子マネーとして引き出すのかを指定するために使用される。引出バリュー623は、具体的な引出額を指定するために使用される。引出バリュー623には、数字キー624及び訂正キー626を使用することによって具体的な数字が指定される(例えば、1000)。引出種類621において現金が指定される場合は、従来のATM引出処理と同様であるので省略し、以後の説明では、引出種類621において電子マネーが指定されたものとして説明する。
【0073】
ステップS422において、利用者100によって、上記符号621〜623の指定が済んだ後、引き出しボタン625が押下されると、ATM500は、バリュー記録媒体に格納されている電子マネーの残高を確認し、引出バリュー623で指定した電子マネーの金額をバリュー記録媒体に追加することが可能であるか否かを判断する。バリュー記録媒体に追加可能であれば、ステップS423に処理が進み、そうでなければ、ATM500においてバリュー記録媒体に電子マネーをこれ以上記録できない旨のメッセージを表示して終了する。
【0074】
ステップS423において、ATM500は図7に例示するバリューデータ700をマルチバリュー管理システム220に送信する。このバリューデータ700の引出バリュー703には、引出バリュー623で指定された数値データが格納されている。
【0075】
ステップS424において、マルチバリュー管理システム220は、受信したバリューデータ700を一時的にメモリ部303に格納する。交換処理部308は、バリューデータ700をメモリ部303から読み出し、バリュー種類701をキーにしてバリュー交換DB309に格納されている交換レート1104を読み出す。例えば、バリュー種類701に格納されているのが「電子マネーA」である場合、日本円から電子マネーAに交換する際のレートである「1」を読み出すこととなる。交換処理部308は、メモリ部303上に格納されている引出バリュー703に相当する電子マネーAのバリューに1を乗算して、子口座から引き出す額を換算する。
【0076】
ステップS425において、利用上限判断部307は、バリューデータ700の引出バリュー703の交換レートによる換算後の金額が子口座における1日あたりの取引可能額を超えるか否かを、口座情報DB310に格納されている1日あたりの取引可能額をもとに判断する。1日あたりの取引可能額を超えた場合には、制御部302はATM500に対してエラー通知を行い、超えない場合には、ステップS426以降の処理を行う。
【0077】
ステップS426において、預入引出部306は、バリューデータ700の引出バリュー703に相当する額を引き出す処理を行う。すなわち、図13に示すような子口座の残高額1304を引出後の残高に更新し、図14に示すような明細データを新規作成する処理を行う。
【0078】
ステップS427において、制御部302はATM500に対して引出処理完了メッセージとともにバリューデータ700を送信する。
【0079】
ステップS428において、ATM500は、上記符号621〜623で指定されたように、電子マネーとして引出バリュー623の額をバリュー記録媒体に書き込む。
【0080】
<インターネットバンキング経由で使用する場合>
以下、図8〜図10を相互に参照しながら説明する。図8は、本発明の一実施形態であるマルチバリュー管理システム220をインターネットバンキング経由で使用する場合のフローを示す図である。インターネットバンキングのシステムを利用する場合には、図9(A)に示すような、PC900及び当該PCに接続する読取装置901が必要となる。以下に説明する本実施形態においては、読取装置901にバリュー記録媒体が読み取り可能な距離に近付けられているものとする。また、ここでは説明の便宜上、PC900からインターネットバンキングのシステムを利用して子口座(第2口座)にアクセスする実施形態について説明するが、本発明がPC利用時に限定されることはなく、携帯電話からもアクセス可能である。携帯電話からアクセスする場合には、読取装置901は不要である。図10は、インターネットバンキングのシステムにおいて表示される画面の一例を示す図である。さらに、上記携帯電話やPDA、モバイル用PCを含む携帯端末を利用する実施形態についても本発明を実施可能である。
【0081】
ステップS801において、PC900の画面上にインターネットバンキングのログイン画面910が表示される。ログイン画面910上で契約者番号(ID)及び暗証番号が入力され、ログインボタン911が押下されると、マルチバリュー管理システム220は、当該契約者番号(ID)及び暗証番号をPC900から受信し、メモリ部303に一時的に格納する。認証部305は、当該受信した契約者番号(ID)及び暗証番号と口座情報DB310に格納されている契約者番号(ID)及び暗証番号とが合致するか否かを判断する(第3の認証処理)。なお、上記契約者番号(ID)及び暗証番号は、親口座(第1口座)と子口座(第2口座)で共通のものであってもよいし、親口座と子口座とで別々のものであっても構わない。
【0082】
上記第3の認証処理によって合致すると判断されると、図10(A)に示すインターネットバンキングのメニュー画面1000が表示される。ここで、第2口座への預け入れメニュー1001が押下された場合にはステップS803に処理が進み、第2口座からの引き出しメニュー1002が押下された場合にはステップS820に処理が進む。以下、ステップS803以降の処理を最初に説明し、その後ステップS820以降の処理を説明する。
【0083】
ステップS803において、図10(B)に示す第2口座への預入画面1010が表示される。預入種類1011は、預入の対象となるのが電子マネーであるのか、ポイントであるのかを判別するために使用される。バリュー種類1012は、預け入れる電子マネーやポイントが複数ある場合に、どの種類の電子マネーやポイントを預け入れるのかを指定するために使用される。預入バリュー指定1013は、バリュー記録媒体に記録されている電子マネーまたはポイントのうち、全額を預け入れるのか、または一部を預け入れるのかを選択するために使用される。預入バリュー1014は、預入バリュー指定1013において「一部」が選択された場合に、具体的な預入バリューを指定するために使用される。預入バリュー1014には、数字キー1015及び訂正キー1017を使用することによって具体的な数字が指定される(例えば、1000)。なお、預入バリュー指定1013において「全額」が指定された場合には、バリュー記録媒体に記録されている電子マネー全額または全ポイント数が預入バリュー1014に自動的に指定される。
【0084】
ステップS804において、利用者100によって上記符号1011〜1014の指定が済んだ後、預け入れボタン1016が押下されると、PC500は、当該指定された電子マネーまたはポイントを、読取装置901を介してバリュー記録媒体から読み出して、マルチバリュー管理システム220に対して図7に例示するバリューデータ700を送信する。
【0085】
ステップS805において、マルチバリュー管理システム220は、受信したバリューデータ700を一時的にメモリ部303に格納する。交換処理部308は、バリューデータ700をメモリ部303から読み出し、バリュー種類701をキーにしてバリュー交換DB309に格納されている交換レート1104を読み出す。
【0086】
ステップS806において、交換処理部308は、読み出した交換レート1104を使用して、受信したバリューデータ700の預入バリュー702に格納されているバリューの額を現実の貨幣・通貨に変換する計算を行う。
【0087】
ステップS807において、預入処理部306は、計算結果である現実の貨幣・通貨の金額を子口座に預け入れる処理を行う。すなわち、図13に示すような子口座の残高額1304を預入後の残高に更新し、図14に示すような明細データを新規作成する処理を行う。
【0088】
ステップS808において、利用上限判断部307は、口座情報DB310から子口座における残高の上限金額を読み出して、子口座の残高額1304が所定の上限残高額を超えたか否かを判断する。所定の上限残高額を超えた場合には、ステップS809に処理が進み、超えない場合にはステップS810に処理が進む。
【0089】
ステップS809において、制御部302は、所定の上限残高額を超えた金額(すなわち、残高マイナス所定の上限残高額)について親口座に振り替える振替処理を行う。この振替処理によって、子口座の残高額1304が一定額に保たれる。
【0090】
ステップS810において、制御部302は、PC900に対して上記預入処理が完了したことを示す処理完了メッセージを送信する。
【0091】
ステップS811において、PC900は、当該メッセージを受信すると、バリュー記録媒体に記録されているバリューのデータを書き換える処理を行う。
【0092】
ステップS820において、PC900の画面上には図10(C)に示す引出画面1020が表示される。引出種類1021は、引出の対象となるのが電子マネーであることを示す。なお、他の実施形態においては、ポイントを引き出すことも可能であり、その場合には引出種類1021においてポイントも選択可能となる。バリュー種類1022は、対象となる電子マネーが複数ある場合に、どの種類の電子マネーとして引き出すのかを指定するために使用される。引出バリュー1023は、具体的な引出バリューを指定するために使用される。引出バリュー1023には、数字キー1024及び訂正キー1026を使用することによって具体的な数字が指定される(例えば、1000)。
【0093】
ステップS821において、利用者100によって、上記符号1021〜1023の指定が済んだ後、引き出しボタン1025が押下されると、PC900は、バリュー記録媒体に格納されている電子マネーの残高を確認し、引出バリュー1023で指定した電子マネーの金額をバリュー記録媒体に追加することが可能であるか否かを判断する。バリュー記録媒体に追加可能であれば、ステップS822に処理が進み、そうでなければ、PC900においてバリュー記録媒体に電子マネーをこれ以上記録できない旨のメッセージを表示して処理を終了する。
【0094】
ステップS822において、PC900は図7に例示するバリューデータ700をマルチバリュー管理システム220に送信する。このバリューデータ700の引出バリュー703には、引出バリュー1023で指定された数値データが格納されている。
【0095】
ステップS823において、マルチバリュー管理システム220は、受信したバリューデータ700を一時的にメモリ部303に格納する。交換処理部308は、バリューデータ700をメモリ部303から読み出し、バリュー種類701をキーにしてバリュー交換DB309に格納されている交換レート1104を読み出す。例えば、バリュー種類701に格納されているのが「電子マネーA」である場合、日本円から電子マネーAに交換する際のレートである「1」を読み出すこととなる。交換処理部308は、メモリ部303上に格納されている引出バリュー703に相当する電子マネーAのバリューに1を乗算して、子口座から引き出す額を換算する。
【0096】
ステップS824において、利用上限判断部307は、バリューデータ700の引出バリュー703の交換レートによる換算後の金額が子口座における1日あたりの取引可能額を超えるか否かを、口座情報DB310に格納されている1日あたりの取引可能額をもとに判断する。1日あたりの取引可能額を超えた場合には、制御部302はPC900に対してエラー通知を行い、超えない場合には、ステップS825以降の処理を行う。
【0097】
ステップS825において、預入引出部306は、バリューデータ700の引出バリュー703に相当する額を引き出す処理を行う。すなわち、図13に示すような子口座の残高額1304を引出後の残高に更新し、図14に示すような明細データを新規作成する処理を行う。
【0098】
ステップS826において、制御部302はPC900に対して引出処理完了メッセージとともにバリューデータ700を送信する。
【0099】
ステップS827において、PC900は、上記符号1021〜1023で指定されたように、電子マネーとして引出バリュー1023の額をバリュー記録媒体に書き込む処理を行う。
【0100】
<預入引出時以外のその他の処理>
上述したように、マルチバリュー管理システム220においては、子口座における残高の上限金額データおよび/または子口座における一日あたりの取引可能額を予め決定しておくことができる。利用上限判断部307は、子口座における残高の上限金額データを超えるか否かを判断して、親口座から子口座への振替処理や子口座から親口座への振替処理を行うことが可能であり、および/または一日あたりの取引可能額を超える金額の取引を自動的に制限することが可能である。子口座における残高の上限金額データおよび/または子口座における一日あたりの取引可能額データは、口座情報DB310に格納されるが、これらのデータは、例えば、インターネットバンキングのメニュー画面1000において子口座利用限度額設定メニュー1003を利用することによって設定することができる(例えば、子口座一つにつき5万円の残高上限や1日あたりの取引可能額を設定することができる)。
【0101】
以下、子口座における残高の上限金額データに基づいて親口座と子口座間で行われる振替処理について説明する。当該振替処理は、子口座への預入直後に行うこともできるが、1日のうちの所定の時間(例えば、午前0時)において行うこともできる。制御部302は、各子口座について口座情報DB310から残高の上限金額データに関するデータ(以下、限度額データという)と、その子口座の残高情報のデータ(以下、残高データという)とをメモリ部303に読み出す。制御部302は、限度額データと残高データとを比較して残高データの金額が大きい場合に、残高データと限度額データとの差(すなわち、残高データマイナス限度額データ)を勘定系システム210の親口座に振り替える処理を行う。振り替えられる親口座は子口座に対応する親口座である。
【0102】
一方、残高データの金額が小さい場合には、制御部302は、勘定系システム201に対して子口座の残高が限度額になる金額(すなわち、限度額データマイナス残高データで計算される金額)の振替依頼命令を送信する。勘定系システム210は、当該金額が子口座に対応する親口座に存在する場合には、親口座から当該金額を子口座に振替処理する。このようにして、子口座について、日々、限度額データと等しい金額の残高を維持しておくことが可能になる。
【0103】
さらに、子口座利用限度額設定メニュー1003を利用することによって、「1回あたりの取引可能額」を設定することも可能である。かかる場合には、1日に複数回の取引を第2口座(子口座)において行う場合には、1回の取引ごとに当該設定した「1回あたりの取引可能額」を超えるか否かが利用上限判断部307によって判断される。
【0104】
バリュー交換DB309は、上述のように、異なるバリューを交換する際のレートの情報(データ)が格納されている。この情報は、マルチバリュー管理システム220で取り扱うことが可能なバリューを指し示す。つまり、バリュー交換DB309に情報が格納されていないバリューは、マルチバリュー管理システム220で取り扱うことができず、例えば、利用者100が特定の種類の電子マネーやポイントを預け入れようとしても、預け入れることができない、というように制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】従来技術である電子的支払サービスの一例の概略を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る銀行システムの概略を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るマルチバリュー管理システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るマルチバリュー管理システムをATM経由で利用する場合のフロー図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るATMを示す図である。
【図6】ATMの画面上に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るマルチバリュー管理システムに送信されるデータの一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るマルチバリュー管理システムをインターネットバンキング経由で利用する場合のフロー図である。
【図9】インターネットバンキングのシステムを利用可能なPC及びPCに接続する読取装置、並びにインターネットバンキングのログイン画面を示す図である。
【図10】インターネットバンキングの画面の一例を示す図である。
【図11】バリュー交換DBの一例を示す図である。
【図12】口座情報DBの一例を示す図である。
【図13】口座情報DBの一例を示す図である。
【図14】口座情報DBの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
100 利用者
200 銀行システム
210 勘定系システム
211 A親口座
212 B親口座
213 他行の預金口座
220 マルチバリュー管理システム
221 A子口座
222 B子口座
301 インターフェース(I/F)
302 制御部
303 メモリ部
304 プログラム格納部
305 認証部
306 預入引出部
307 利用上限判断部
308 交換処理部
309 バリュー交換データベース(DB)
310 口座情報データベース(DB)
311 バス
312 ネットワーク
500 ATM
501 手指の静脈認証用読取装置
502、901 読取装置
520 暗証番号入力画面
600、1000 メニュー画面
601 電子マネー/ポイントからの預入ボタン
602 電子マネー/ポイントへの引出ボタン
610、1010 第2口座への預入画面
611、1011 預入種類
612、622、701、1012、1022、1409 バリュー種類
613、1013 預入バリュー指定
614、702、1014 預入バリュー
615、624、1015、1024 数字キー
616、1016 預け入れボタン
617、626、1017、1026 訂正キー
620、1020 引出画面
621、1021 引出種類
623、703、1023 引出バリュー
625、1025 引き出しボタン
700 バリューデータ
900 PC
910 ログイン画面
911 ログインボタン
1001 第2口座への預け入れメニュー
1002 第2口座からの引き出しメニュー
1003 子口座利用限度額設定メニュー
1101 シーケンス番号
1102 交換元バリュー
1103 交換先バリュー
1104 交換レート
1301、1401 契約者番号(ID)
1302、1402 子口座番号
1303 通貨種類
1304 残高額
1400 明細テーブル
1404 通貨種類
1405 預入額
1406 引出額
1407 残高
1408 フラグエリア
1410 バリュー
1411 換算率
1412 摘要

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーまたはポイントと現実の貨幣・通貨とを相互に交換するための交換レートのデータを格納するバリュー交換データベースと、第2口座における残高の上限金額データを格納する口座情報データベースとを保持し、第1口座と関連付けられた前記第2口座を取り扱うことが可能な銀行システムであって、
前記銀行システムの利用者の識別情報にしたがって認証処理をする認証手段と、
前記第2口座への預入処理および前記第2口座からの引出処理を行う預入引出手段と、
前記第2口座における残高の上限金額データと前記第2口座の残高の金額データとを比較していずれの金額データが大きいかを判断して、前記第1口座と前記第2口座との間で金額データを受け渡す利用上限判断手段と、
前記第2口座に預け入れまたは引き出される電子マネーまたはポイントを現実の貨幣・通貨に交換する際に、前記交換レートのデータをバリュー交換データベースから読み出して交換処理を行う交換処理手段と
を備えたことを特徴とする銀行システム。
【請求項2】
前記利用上限判断手段により、前記第2口座における残高の金額データの方が大きいと判断された場合に、前記第2口座の残高の金額データから前記第2口座における残高の上限金額データを引き算した結果の金額データを前記第2口座から前記第1口座に受け渡すことを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項3】
前記第1口座への金額データの受け渡しが、前記預入処理の直後に行われることを特徴とする請求項2に記載の銀行システム。
【請求項4】
前記第1口座への金額データの受け渡しが、1日のうちの所定の時刻に行われることを特徴とする請求項2に記載の銀行システム。
【請求項5】
前記利用上限判断手段により、前記第2口座における残高の金額データの方が小さいと判断された場合に、前記第2口座における残高の上限金額のデータから前記第2口座の残高の金額データを引き算した結果の金額データを前記第1口座から前記第2口座に受け渡すことを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項6】
前記第2口座への金額データの受け渡しが、1日のうちの所定の時刻に行われることを特徴とする請求項5に記載の銀行システム。
【請求項7】
前記利用者の識別情報が、前記第1口座と前記第2口座とで同一の識別情報が使用されることを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項8】
前記第1口座と前記第2口座とで同一の識別情報が使用される場合に、前記第1口座に関連付けられた前記第2口座が存在するか否かを判断する第2口座有無判断手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の銀行システム。
【請求項9】
前記利用者の識別情報は、前記第1口座と前記第2口座とで相異なる識別情報が使用されることを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項10】
前記利用者の識別情報は、キャッシュカードおよび数値番号の組み合わせによって行われることを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項11】
前記利用者の識別情報は、キャッシュカード、数値番号、および手指の静脈パターンデータの組み合わせによって行われることを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項12】
前記銀行システムは、静脈パターンデータ読取装置を備えたATMからアクセス可能であり、
前記手指の静脈パターンデータは、前記静脈パターンデータ読取装置によって読み取られることを特徴とする請求項11に記載の銀行システム。
【請求項13】
電子マネー及び/またはポイントの情報を格納するICカードの読取装置を備えたATMを介してアクセス可能であることを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項14】
電子マネー及び/またはポイントの情報を格納するICカードの読取装置を備えたパーソナルコンピュータからインターネットバンキングにアクセスすることで利用可能なことを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。
【請求項15】
前記口座情報データベースは、前記第2口座における取引の上限金額データをさらに格納し、前記取引の上限金額データを超える取引を行うことができない制限をかける取引制限手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の銀行システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−9315(P2009−9315A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169406(P2007−169406)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(397077955)株式会社三井住友銀行 (120)
【Fターム(参考)】