説明

銅張り積層基板

【課題】表面の滑り性および易滑性が改良され、外観が良好で屈曲性の高い銅張り積層基板を提供する。
【解決手段】ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を熱圧着により積層してなる銅張り積層基板において、ポリイミドフィルムは耐熱性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層とを有し、銅張り積層基板が耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を介して銅箔を熱圧着により積層してなるものであって、熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を分散してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミドフィルムに銅箔を積層してなる高屈曲性の銅張り積層基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性などに優れていることから積層板、フレキシブルプリント基板等に使用されてきた。
【0003】
例えばフレキシブルプリント配線板(FPC)としては、ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を積層してなる銅張り積層基板が使用されている(特許文献1〜3)。使用されるポリイミドフィルムは、通常、特許文献1〜3の実施例のように厚み25μm程度のものである。
【0004】
現在、電子部品用基板を始め、銅張り積層基板には優れた機械的特性、高い屈曲性が求められている。特に、銅張り積層基板をヒンジ部に適用する場合に高屈曲性が求められている。しかしながら、厚み25μm程度のポリイミドフィルムを使用した従来の銅張り積層基板は、十分な屈曲性を有するものではなかった。
【0005】
また、ポリイミドフィルムは接着性に問題がある。この接着性を改善する方法としては、アルカリ処理、コロナ処理、サンドブラスト、低温プラズマ処理などの表面処理を施す方法などが行われている。しかし、これらの方法は接着性の改善には効果があるが、接着剤としてポリイミド以外の接着剤、例えばエポキシ樹脂系接着剤を必要とし、フレキシブル基板全体としての耐熱性が低下する。
【0006】
このため、ポリイミドフィルムとして、熱可塑性ポリイミドの薄層を耐熱性ポリイミド層の両面に積層した熱圧着性多層ポリイミドフィルムが提案された。
【0007】
しかし、この熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、表面が平滑である場合には、巻取りロールに巻取るフィルム製造時や、銅箔とラミネートする際にロール等との摩擦が大きく、皺が入ったり、ロールに巻き付くというトラブルが生じることがあり、巻取りに制限を受ける。そのため、ポリイミドフィルムの表面滑性を改良する必要があった。
【0008】
ポリイミドフィルムの表面滑性を良くする方法としては、例えば、エンボス加工のような表面処理をする方法や、ポリイミドフィルム中にリン酸カルシウム(特許文献1)やシリカ(特許文献2)などの無機粉末を分散させ、フィルム表面に微細な突起を生じさせて、表面の摩擦係数を減らす方法が採用されてきた。また、微細無機フィラーを分散させた溶媒中で重合したポリアミック酸溶液を流延製膜してポリイミドフィルムを製造する方法が提案された(特許文献3)。
【0009】
しかしながら、表面処理をする第一の方法は、フィルム表面に過度の凹凸が生じてフィルムの外観が損なわれ易いという欠点があった。また第二の方法では、ポリアミック酸溶液に無機粉末を混合してポリイミドフィルムを製造するが、特別な分散装置を使用しないと無機粉末をポリアミック酸溶液中に均一に分散させることは難しい。そのため、この方法では、無機粉末が分散せずに塊となって残ったりして、得られるフィルム表面に大きな突起が形成される場合がある。第三の方法においても同様に、微粒子状の無機粉末を均一分散させることは困難であり、粒径の大きい無機粉末を使用すると第二の方法と同じ問題が生じることがある。
【0010】
このため、ファインパターンが求められるCOF用銅張り積層基板においては、これらの無機フィラーを添加する方法を適用すると、熱可塑性ポリイミド表面の突起が微細ピッチ形成の障害となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭62−68852号公報
【特許文献2】特開昭62−68853号公報
【特許文献3】特開平6−145378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、屈曲性の高い銅張り積層基板を提供することである。さらに、本発明の他の目的は、ポリイミドフィルム表面の滑り性および易滑性が改良され、外観が良好で屈曲性の高い銅張り積層基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の事項に関する。
【0014】
1. ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を熱圧着により積層してなる銅張り積層基板であって、
ポリイミドフィルムの厚みが5〜20μmであり、
銅箔の厚みが1〜18μmであることを特徴とする銅張り積層基板。
【0015】
2. ポリイミドフィルムは、耐熱性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層とを有し、
銅張り積層基板が、耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を介して、銅箔を熱圧着により積層してなる銅張り積層基板である上記1記載の銅張り積層基板。
【0016】
3. ポリイミドフィルムの厚みが5〜15μmである上記1記載の銅張り積層基板。
【0017】
4. 銅箔が、厚みが8〜18μmの圧延銅箔である上記1記載の銅張り積層基板。
【0018】
5. 銅箔が、厚みが10〜18μmの圧延銅箔である上記4記載の銅張り積層基板。
【0019】
6. 銅箔が、厚みが10〜12μmの圧延銅箔である上記5記載の銅張り積層基板。
【0020】
7. 銅箔が、熱処理前の引張強度が300N/mm以上であり、下記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比が33%以下の圧延銅箔である上記1記載の銅張り積層基板。
熱処理後の引張強度比(%)=熱処理後の引張強度/熱処理前の引張強度×100 (1)
【0021】
8. 銅箔がキャリア付き銅箔であり、
キャリアを剥離した銅箔の厚みが1〜5μmである上記1記載の銅張り積層基板。
【0022】
9. 上記8記載の銅張り積層基板からキャリアを剥離した後、銅メッキにより銅箔の厚みを5〜8μmに調整して得られる銅張り積層基板。
【0023】
10. MIT耐折性が約2000回以上である上記1記載の銅張り積層基板。
【0024】
11. MIT耐折性が約2000回以上である上記9記載の銅張り積層基板。
【0025】
12. ポリイミドフィルムが、耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を有する熱圧着性多層ポリイミドフィルムである上記1記載の銅張り積層基板。
【0026】
13. 熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子が分散されている上記12記載の銅張り積層基板。
【0027】
14. 熱可塑性ポリイミド層が、その表面から少なくとも0.5μm中に、メジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下であるポリイミド粒子を、ポリイミド表面層のポリイミドに対して約0.5〜10質量%の割合で分散してなるものであり、無機粉末を実質的に含有しておらず、
ポリイミドフィルムの摩擦係数が0.05〜0.7である上記13記載の銅張り積層基板。
【0028】
15. ポリイミド粒子が、ピロメリット酸成分とp−フェニレンジアミン成分とから得られるものである上記13記載の銅張り積層基板。
【0029】
16. ポリイミドフィルムが、厚み3〜18μmの耐熱性ポリイミド層の両面に厚み1〜6μmの熱可塑性ポリイミド層を有するものである上記12記載の銅張り積層基板。
【0030】
17. 熱圧着性多層ポリイミドフィルムと銅箔とを加圧下に熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度以上、400℃以下の温度で熱圧着してなる上記12記載の銅張り積層基板。
【0031】
18. 熱圧着性多層ポリイミドフィルムが、共押出し−流延製膜法によって耐熱性のポリイミド層の片面または両面に熱圧着性のポリイミド層を積層一体化して得られたものである上記12記載の銅張り積層基板。
【0032】
19. オールポリイミドのヒンジ部用である上記1記載の銅張り積層基板。
【0033】
20. 耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有し、熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を分散してなる厚みが5〜25μmの熱圧着性多層ポリイミドフィルムに、厚みが18μm以下の銅箔を積層してなる銅張り積層基板。
【0034】
21. 耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を有する厚み5〜20μmのポリイミドフィルムに、厚み1〜18μmの銅箔を熱圧着して積層する銅張り積層基板の連続的製造方法であって、
ポリイミドフィルムの熱可塑性ポリイミド層と銅箔とを重ね合わせるようにしてラミネート装置に連続的に供給し、加圧下に熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度以上、400℃以下の温度で熱圧着して積層する銅張り積層基板の連続的製造方法。
【0035】
ここで、MIT耐折性とは、JIS・C6471に準拠し、片面のみに同試験方法に規定された銅箔回路を形成し、曲率半径0.8mm、荷重4.9N、折り曲げ速度175回/分、左右折り曲げ角度135度で、初期電気抵抗値から20%以上上昇した時点での耐折回数を測定したものである。
【0036】
また、銅箔の引張強度は、JIS・C6515に準拠し、同試験方法に規定された試験片を作製し、クロスヘッド速度が2mm/分にて測定したものである。
【0037】
また、熱処理後の引張強度比(%)は、(1)式から算出した。
【0038】
熱処理後の引張強度比(%)=(熱処理後の引張強度)/(熱処理前の引張強度)×100(1)
【発明の効果】
【0039】
本発明の銅張り積層基板は、厚みが5〜20μmのポリイミドフィルムの片面または両面に厚みが1〜18μmの銅箔を熱圧着により積層したものである。ポリイミドフィルムの厚みは5〜15μmが好ましい。銅箔は、厚みが12μm以下、特に10〜12μmの圧延銅箔が好ましい。このようにポリイミドフィルムおよび銅箔の厚みを薄くすることにより、屈曲性が非常に高くなる。例えば、ポリイミドフィルムの厚みを25μmから15μmにすると、MIT耐折性が、MDおよびTDいずれにおいても約2倍以上になった。また、ポリイミドフィルムの厚みを変えずに、銅箔の厚みを18μmから12μmにしても、MIT耐折性がMDおよびTDいずれにおいても高くなった。
【0040】
特に、使用する銅箔が熱処理前の引張強度が300N/mm以上であり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比が33%以下である圧延銅箔の場合に、ポリイミドフィルムおよび銅箔の厚みを薄くすることによって、より顕著に屈曲性が向上する。
【0041】
本発明の銅張り積層基板は、MIT耐折性が好ましくはMDおよびTDのいずれにおいても約2000回以上であり、ポリイミドフィルムおよび銅箔の厚み、銅箔の種類を選択することで約3000回以上、さらには約3700回以上、さらには約4000回以上、さらには約5000回以上、さらには約7000回以上にすることもできる。
【0042】
一方で、銅箔およびポリイミドフィルムの厚みを小さくすると、長尺状の銅張り積層基板を得るためのラミネート法による工程中でローラー接触部分でしわが発生し、張り合わせ後に外観不良のため歩留まりが低下するという問題があった。特に、厚み25μm以下の薄いポリイミドフィルムでは、通紙性の面で連続的な銅張り積層基板の製造が困難であった。
【0043】
ポリイミドフィルムとして、耐熱性ポリイミド層の片面または両面に、ポリイミド粒子が分散されている熱可塑性ポリイミド層を有する熱圧着性多層ポリイミドフィルムを用いることにより、ポリイミドフィルム表面の易滑性が改良され、得られる銅張り積層基板は全長にわたる測定によりシワ等の外観不良がなくなる。特に、熱可塑性ポリイミド層が、その表面から少なくとも0.5μm中に、好適には表面から少なくとも0.7μm中に、メジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下であるポリイミド粒子を、ポリイミド表面層のポリイミドに対して約0.5〜10質量%の割合で分散してなるものであり、無機粉末を実質的に含有していないものであることが好ましく、厚み25μm以下の薄いポリイミドフィルムを用いても外観不良がない銅張り積層基板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、実施例1で得られたポリイミドフィルムの表面のSEM観察結果(2000倍)を示す図である。
【図2】図2は、参考例2で得られたポリイミドフィルムの表面のSEM観察結果(2000倍)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
1.本発明の銅張り積層基板に使用されるポリイミドフィルム
本発明において使用されるポリイミドフィルムは、厚みが5〜20μmのものである。ポリイミドフィルムの厚みは、5〜18μm、さらに5〜15μmであることが好ましい。ポリイミドフィルムの厚みを20μm以下、好ましくは18μm以下、特に15μm以下にまで薄くすることにより、銅張り積層基板の屈曲性が非常に向上する。これは特定のポリイミドフィルムに限られるものではなく、いずれのポリイミドフィルムに適用しても同様の効果が得られる。
【0046】
ポリイミドフィルムとしては特に限定されないが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルム、該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とから得られる、或いは該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とを含むポリイミドなどを挙げることができる。
【0047】
本発明において使用されるポリイミドフィルムは、以下の特性を少なくとも1つ以上有することが好ましい。
1)ガラス転移温度が300℃以上、好ましくはガラス転移温度が330℃以上、さらに好ましくは確認不可能であるもの。
2)線膨張係数(50〜200℃)(MD)が、ポリイミドフィルムに積層する銅箔などの金属箔の熱膨張係数に近いもの。具体的には、金属箔として銅箔を用いる場合、ポリイミドフィルムの熱膨張係数は5×10−6〜28×10−6cm/cm/℃であることが好ましく、9×10−6〜20×10−6cm/cm/℃であることがより好ましく、さらに12×10−6〜18×10−6cm/cm/℃であることが好ましい。
3)引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上、好ましくは500kg/mm以上、さらに700kg/mm以上であるもの。
【0048】
ポリイミドフィルムとしては、耐熱性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層とを有するもの、耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を有する熱圧着性多層ポリイミドフィルムが好ましい。熱可塑性ポリイミド層が銅箔を熱圧着する面であり、従って、両面銅張り積層基板には耐熱性ポリイミド層の両面に熱可塑性ポリイミド層を有するものが使用され、片面銅張り積層基板には耐熱性ポリイミド層の片面に熱可塑性ポリイミド層を有するものが使用される。
【0049】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドのガラス転移温度は、耐熱性ポリイミドより低いものであり、好ましくは170〜370℃であり、より好ましくは170〜320℃、特に好ましくは190〜300℃である。
【0050】
耐熱性ポリイミド層の厚みは、3〜18μm程度、熱可塑性ポリイミド層の厚みは1〜6μm程度にすることが好ましい。
【0051】
耐熱性ポリイミド層のポリイミドは、ガラス転移温度が熱可塑性ポリイミド層よりも高く、好ましくは300℃以上、より好ましくは320℃以上、特に好ましくは350℃以上の温度では観測されない耐熱性を有するポリイミドを用いることが好ましい。
【0052】
前述の通り、ポリイミドフィルムの厚みを薄くすると優れた屈曲性が得られるが、得られる銅張り積層基板にシワ等の外観不良が発生しやすくなる。ポリイミドフィルム表面の易滑性を向上させ、銅張り積層基板の外観を良好にするためには、ポリイミドフィルム表面あるいは熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子が分散されていることが好ましい。特に、ポリイミドフィルム表面あるいは熱可塑性ポリイミド層の表面から少なくとも0.5μm中に、好適には表面から少なくとも0.7μm中に、メジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下であるポリイミド粒子が、ポリイミド表面層のポリイミドに対して約0.5〜10質量%の割合で分散されていることが好ましい。また、ポリイミドフィルム表面あるいは熱可塑性ポリイミド層は無機粉末を含有してもよいし、実質的に含有していなくてもよい。
【0053】
熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を含む熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。まず、ガラス転移温度が170〜320℃である熱可塑性ポリイミドを与えるポリアミック酸と上記のようなポリイミド粒子を含有するポリアミック酸溶液組成物と、耐熱性ポリイミドからなるポリイミドコア層(耐熱性ポリイミド層)を与えるポリアミック酸を含有するポリアミック酸溶液とを、共押出−流延製膜法によって、全体の厚みが5〜20μmとなるように支持体上に流延し、乾燥して自己支持性フィルムを形成する。そして、得られた自己支持性フィルムを支持体から剥離し、加熱して溶媒除去およびイミド化することによって、ポリイミドフィルムを製造することができる。熱可塑性ポリイミド層用のポリアミック酸溶液組成物中のポリアミック酸の含有量は16〜22質量%、ポリイミド粒子の含有量はポリアミック酸に対して0.5〜10質量%、好適には0.5〜5質量%とすることができる。また、耐熱性ポリイミド層用のポリアミック酸溶液中のポリアミック酸の含有量は16〜22質量%とすることができる。
【0054】
あるいは、熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を含む熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、次のようにして製造することもできる。まず、耐熱性ポリイミドからなるポリイミドコア層(耐熱性ポリイミド層)を与えるポリアミック酸溶液を支持体上に流延、乾燥して自己支持性フィルムを形成する。その最終の厚みは3〜18μm程度が好ましい。次に、この自己支持性フィルムの少なくとも片面に、ガラス転移温度が170〜370℃である熱可塑性ポリイミドを与えるポリアミック酸と上記のようなポリイミド粒子をポリアミック酸に対して0.5〜10質量%、好適には0.5〜5質量%の割合で含有する表面層用ポリアミック酸溶液組成物を、乾燥後の厚みが約1μm以上となるように塗布、乾燥する。必要であれば更に他の面に前記の表面層用ポリアミック酸溶液組成物を乾燥後の厚みが約1μm以上となるように塗布する。その後、加熱して溶媒除去およびイミド化することによって、ポリイミドフィルムを製造することができる。
【0055】
なお、ポリイミド粒子を熱可塑性ポリイミド層中に含まない熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、上記の製造方法において、表面層用のポリアミック酸溶液組成物にポリイミド粒子を添加せず、ポリアミック酸の濃度を適宜調節して製造することができる。
【0056】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドとしては、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、TABテープ、COF基板等の電子部品のテープ素材又は耐熱性ポリイミドと銅箔との熱圧着性を有すること、又は加圧下熱圧着性を有することができる公知のポリイミドを用いることができる。
【0057】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドとしては、好ましくは熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度以上から400℃以下の温度で銅箔とはり合せることができる熱圧着性を有するポリイミドを用いることができる。
【0058】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドは、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物などの酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分と
から得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0059】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドを得ることができる酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及び2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンなどのジアミンより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分と
から得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0060】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に、本発明の特性を損なわない範囲で、
m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパンなどのジアミン成分を用いることができる。
【0061】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドの具体的一例として、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンおよび2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物との両成分の割合(モル比)が20/80〜80/20の割合で共重合して得られる熱融着性のポリイミド、あるいは4,4−ジアミノジフェニルエーテルおよび3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を重合して得られるポリイミドが挙げられる。
【0062】
また、熱可塑性ポリイミド層のポリイミドの具体的一例として、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物と1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンあるいは1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンなどの芳香族ジアミンとを重合、イミド化して得られるポリイミドが挙げられる。
【0063】
熱可塑性ポリイミド層のポリイミドは、以下の特性を少なくとも1つ以上有することが好ましい。
1)熱圧着性ポリイミド(S2)は、金属箔とポリイミド(S2)とのピール強度が0.7N/mm以上で、150℃で168時間加熱処理後でもピール強度の保持率が90%以上、さらに95%以上、特に100%以上であるポリイミドであること。
2)単独のポリイミドフィルムとして、引張弾性率が100〜700Kg/mmであること。
3)単独のポリイミドフィルムとして、線膨張係数(50〜200℃)(MD)が13〜30×10−6cm/cm/℃であること。
【0064】
耐熱性ポリイミド層は、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、TABテープ、COF基板等の電子部品のテープ素材として用いることができるベースフィルムを構成する耐熱性ポリイミドを用いることが好ましい。
【0065】
耐熱性ポリイミド層の耐熱性ポリイミドとしては、
(1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分、好ましくはこれらの酸成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む酸成分と、
(2)p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分、好ましくはこれらのジアミン成分を少なくとも70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上含むジアミン成分と
から得られるポリイミドなどを用いることができる。
【0066】
耐熱性ポリイミドを構成する酸成分とジアミン成分との組合せの一例としては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエーテル、
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル、
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4−ジアミノジフェニルエ−テル、
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものが、プリント配線板、フレキシブルプリント回路基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられている。これらは、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さく、難燃性に優れるために好ましい。
【0067】
耐熱性ポリイミド層の耐熱性ポリイミドを得ることができる酸成分として、上記に示す酸成分の他に、本発明の特性を損なわない範囲で、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフィド二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物などの酸二無水物成分を用いることができる。
【0068】
耐熱性ポリイミド層の耐熱性ポリイミドを得ることができるジアミン成分として、上記に示すジアミン成分の他に、本発明の特性を損なわない範囲で、
m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパンなどのジアミン成分を用いることができる。
【0069】
耐熱性ポリイミド層のポリイミドとしては、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下単にs−BPDAと略記することもある。)とパラフェニレンジアミン(以下単にPPDと略記することもある。)と場合によりさらに4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下単にDADEと略記することもある。)とから製造される。この場合、PPD/DADE(モル比)は100/0〜85/15であることが好ましい。
【0070】
また、他の耐熱性ポリイミド層のポリイミドとして、ピロメリット酸二無水物(以下単にPMDAと略記することもある。)、あるいは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物とである芳香族テトラカルボン酸二無水物と、ベンゼンジアミンあるいはビフェニルジアミンなどの芳香族ジアミンとから製造される。芳香族ジアミンとしては、パラフェニレンジアミン、あるいはPPD/DADEが90/10〜10/90である芳香族ジアミン、あるいはメタ−トリジンが好ましい。この場合、BPDA/PMDAは0/100〜90/10であることが好ましい。
【0071】
また、他の耐熱性ポリイミド層のポリイミドとして、ピロメリット酸二無水物とパラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとから製造される。この場合、DADE/PPDは90/10〜10/90であることが好ましい。
【0072】
耐熱性ポリイミド層のポリイミドとして、下記の特徴を少なくとも1つ有するもの、下記の特徴を少なくとも2つ有するもの[1)と2)、1)と3)、2)と3)の組合せ]、特に下記の特徴を全て有するものを用いることができる。
1)単独のポリイミドフィルムとして、ガラス転移温度が300℃以上、好ましくはガラス転移温度が330℃以上、さらに好ましくは確認不可能であるもの。
2)単独のポリイミドフィルムとして、線膨張係数(50〜200℃)(MD)が、好ましくはポリイミドフィルムに積層する銅箔などの金属箔の熱膨張係数に近いもの。具体的には、金属箔として銅箔を用いる場合、ポリイミドフィルムの熱膨張係数は5×10−6〜28×10−6cm/cm/℃であることが好ましく、9×10−6〜20×10−6cm/cm/℃であることがより好ましく、さらに12×10−6〜18×10−6cm/cm/℃であることが好ましい。
3)単独のポリイミドフィルムとして、引張弾性率(MD、ASTM−D882)は300kg/mm以上、好ましくは500kg/mm以上、さらに700kg/mm以上であるもの。
【0073】
耐熱性ポリイミドを与えるポリアミック酸溶液は、有機極性溶媒中で耐熱性ポリイミドを与える芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを定法によって重合することにより得ることができる。
【0074】
有機極性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホルアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、ピリジン、エチレングリコール等を挙げることができる。
【0075】
前記の方法において、ポリアミック酸溶液を、例えばステンレス鏡面、ベルト面等の平滑な支持体面上に流延塗布し、100〜200℃で半硬化状態またはそれ以前の乾燥状態とすることが好ましい。200℃を超えた高い温度で流延フィルムを処理すると、熱可塑性ポリイミドフィルムの製造において、接着性の低下などが起こる傾向にある。この半硬化状態またはそれ以前の状態とは、加熱および/または化学イミド化によって自己支持性の状態にあることを意味する。
【0076】
熱可塑性ポリイミド層を形成するためのポリアミック酸溶液組成物は、ガラス転移温度が170〜320℃、好適には190〜300℃である熱可塑性ポリイミドを与えるポリアミック酸溶液およびポリイミド粒子を含有する。ポリイミド粒子の割合は、ポリアミック酸に対して0.5〜10質量%、特に0.5〜5質量%が好ましい。ポリイミド粒子としては、ピロメリット酸成分とp−フェニレンジアミン成分とを80%以上含有し、メジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下である全芳香族ポリイミド粒子が好ましい。
【0077】
全芳香族ポリイミド粒子を得るには、前記の有機極性溶媒に、p−フェニレンジアミンおよびピロメリット酸二無水物がそれぞれ80%以上である芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸成分の等モル量の混合物を加え、必要であれば分散剤を加えて、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下に攪拌しながら160℃程度まで昇温し、この温度で2〜5時間程度加熱した後、冷却すると、全芳香族ポリイミド粒子を含有する溶液混合物として得られる。通常、混合物中のポリイミドが3〜10質量%となるように、極性溶媒に芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸成分を加えればよい。ポリイミド粒子としては、このようにして得られた溶液混合物をそのまま、あるいは必要であれば極性溶媒を除去または加えて使用することが好ましい。
【0078】
p−フェニレンジアミンおよびピロメリット酸二無水物が80%以上である芳香族ジアミンおよび芳香族テトラカルボン酸成分を使用すると、メジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下である全芳香族ポリイミド粒子を容易に得ることができる。また、ポリイミド粒子が前記の範囲内の粒径のものであると、熱可塑性ポリイミド層表面に微細な突起を形成することが容易であり、ファインパターンが求められる銅張り積層基板に好適である。
【0079】
ここで、メジアン径とは、累積分布曲線の50%累積値に相当する径を指す。
【0080】
従って、ポリイミド粒子は真球状のものであってもよいが、短径と長径との比が2〜10、特に3〜6程度の柱状、ダンベル状或いは楕円球状のものであってもよい。柱状、ダンベル状或いは楕円球状の場合、短径が0.05〜0.5μmで、長径が0.7〜1.5μmであるものが好ましい。
【0081】
また、銅張り積層基板としてファインパターンが求められない場合には、メジアン径が0.3〜10μmである全芳香族ポリイミド粒子を使用することができる。
【0082】
前記の構成により、ガラス転移温度が170〜320℃、特に190〜300℃である熱可塑性ポリイミドからなり無機粉末を実質的に含有しないポリイミド表面層を有し、静摩擦係数、動摩擦係数がともに0.05〜0.7、好適には0.1〜0.7であり、フィルム表面に大きな突起が形成されていない易滑性の改良された熱圧着性多層ポリイミドフィルムが得られる。
【0083】
本発明において使用される熱圧着性多層ポリイミドフィルムは、少なくとも片面が熱融着性を有し、厚みが5〜20μmである。この厚みが5〜20μmのポリイミドフィルムと厚みが18μm以下の銅箔とを組合わせることによって、MIT耐折性が、好適にはMDおよびTDのいずれにおいても約2000回以上である、良好な屈曲性を有する銅張り積層基板を得ることができる。
【0084】
さらに、熱圧着性多層ポリイミドフィルムが熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を含む場合、ポリイミドフィルム表面の易滑性が向上し、長尺で1m/分以上の速度で巻取りロールに良好に巻取ることができ、全長にわたる測定によりシワ等の外観不良がない銅張り積層基板を得ることができる。外観の良好な銅張り積層基板を得るためには、厚み20μm以下のものに限られず、熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を含む熱圧着性多層ポリイミドフィルムを用いることは有効である。
【0085】
2.本発明の銅張り積層基板に使用される銅箔
本発明において使用される銅箔は、厚みが1〜18μm、特に3〜18μmのものである。銅箔の厚みは12μm以下であることが好ましい。
【0086】
銅箔としては圧延銅箔、電解銅箔などが使用できるが、圧延銅箔を使用した場合により優れた銅張り積層基板が得られる。また、キャリア付き銅箔を使用することもできる。
【0087】
銅箔の厚みの好ましい範囲は、使用する銅箔によって異なる。圧延銅箔の場合、厚みは8〜18μmが好ましく、10〜18μmがより好ましく、10〜12μmが特に好ましい。電解銅箔の場合、厚みは7〜12μmが好ましく、9〜12μmがより好ましい。
【0088】
また、銅箔としては、表面粗度を示すRzが3μm以下、特にRzが2μm以下、特に0.5〜1.5μmであるものが好ましい。Rzが小さい場合には、銅箔表面を表面処理して使用してもよい。
【0089】
このような銅箔としては、圧延銅箔(マイクロハード社、VSBK、18μm)、圧延銅箔(マイクロハード社、VSRD、12μm)、圧延銅箔(日立電線社、HPF−ST12−E、12μm)、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−13H−T、18μm)、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−22B−T、12μm)、圧延銅箔(福田金属箔粉工業社、RCF−T4X、12μm)、圧延銅箔(日立電線社、HPF−ST10−E、10μm)、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−13H−HA、18μm)、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−22B−HA、12μm)、電解銅箔(日本電解社、HLB、12μm)、電解銅箔(日本電解社、HLB、9μm)、電解銅箔(日本電解社、HLS、9μm)などを挙げることができる。
【0090】
圧延銅箔の場合、熱処理前の引張強度が300N/mm以上であり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比が33%以下であるものが好ましい。このような圧延銅箔を使用した場合、高屈曲性の銅張り積層基板が得られるとともに、本発明のポリイミドおよび銅箔の薄層化による屈曲性向上の効果がより顕著に現れる。このような圧延銅箔としては、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−13H−HA)、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−22B−HA)などが挙げられる。
【0091】
一方、電解銅箔の場合は、熱処理前の引張強度が300N/mm以上であり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比が60%以下であるものが好ましい。
【0092】
キャリア付き銅箔としては、厚みが1〜5μmの極薄銅箔に金属系、セラミックス系等のキャリアが耐熱性を有する接合剤で接合されているものが好ましい。キャリアとしては、厚み12〜35μm程度、特に12〜18μmの銅箔などが挙げられる。キャリア付き極薄銅箔の具体例としては、キャリア付き電解銅箔(日本電解社、YSNAP−3B、薄銅厚み3μm、キャリア銅箔厚み18μm)などが挙げられる。
【0093】
キャリア付き銅箔の場合には、得られた銅張り積層基板からキャリアを剥離し、電解メッキにより所定の銅箔厚み、例えば5〜8μmに調整して使用される。
【0094】
3.本発明の銅張り積層基板およびその製造方法
本発明の銅張り積層基板は、上記のような厚みが5〜20μmのポリイミドフィルムの片面または両面に厚みが1〜18μmの銅箔を熱圧着により積層したものである。厚みが5〜20μmのポリイミドフィルムと厚みが1〜18μmの銅箔とを組合わせることにより、MIT耐折性が、好適にはMDおよびTDのいずれにおいても約2000回以上である、良好な屈曲性を有する銅張り積層基板を得ることができる。
【0095】
本発明の銅張り積層基板の全体厚みは、両面銅張り積層基板で51μm以下が好ましく、39μm以下が特に好ましい。片面銅張り積層基板では、33μm以下が好ましく、27μm以下が特に好ましい。
【0096】
本発明の銅張り積層基板は、例えば、ロールラミネートあるいはダブルベルトプレスなどの連続ラミネート装置を用い、熱圧着性多層ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を加圧下に熱圧着して、または加圧下に熱圧着−冷却して積層して得られる。
【0097】
熱圧着性多層ポリイミドフィルムのみ、あるいは熱圧着性多層ポリイミドフィルムと銅箔とを、連続ラミネート装置に導入する直前のインラインで150〜250℃程度、特に150℃より高く250℃以下の温度で2〜120秒間程度予熱することが好ましい。予熱には、熱風供給装置や赤外線加熱機などの予熱器が用いられる。インラインとは、原材料の繰り出し装置と連続ラミネート装置の圧着部との間に予熱装置を設置し、予熱直後に圧着できる装置配置になったものをいう。また、ラミネート時に、熱圧着性多層ポリイミドフィルムおよび/または銅箔とベルトまたはローラーとの間に保護材を介在させることも好ましい。このようにして耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に銅箔を熱圧着性のポリイミド層を介して積層して、製品外観不良がなく高寸法安定性(寸法安定性が0.1%以下である)の銅張り積層基板が得られる。
【0098】
前記のダブルベルトプレスは、加圧下に高温加熱−冷却を行うことができるものであって、熱媒を用いた液圧式のものが好ましい。
【0099】
インラインで予熱することによって、大気から吸水してポリイミドに含有されている水分によりラミネート後の積層体に発泡による外観不良が発生したり、電子回路形成時の半田浴浸漬時に発泡が生じたりして製品収率が悪化するのを防止することができる。ラミネート装置全体を炉の中に設置する方法も考えられるが、ラミネート装置がコンパクトなものに実質限定され、銅張り積層基板の形状に制限を受け実用的ではない。アウトラインで予熱処理しても、積層するまでに再度吸湿してしまい、発泡による外観不良や半田耐熱性の低下が生じる場合がある。
【0100】
本発明の銅張り積層基板は、好適にはロールラミネートまたはダブルベルトプレスの加熱圧着ゾーンの温度が熱圧着性ポリイミド(上記の多層ポリイミドフィルムでは、熱可塑性ポリイミド層のポリイミド)のガラス転移温度より20℃以上高く400℃以下の温度、特にガラス転移温度より30℃以上高く400℃以下の温度で加圧下に熱圧着し、ダブルベルトプレスの場合には引き続いて冷却ゾーンで加圧下に冷却して、好適には熱圧着性ポリイミドのガラス転移温度より20℃以上低い温度、特に30℃以上低い温度まで冷却して、ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を積層することによって製造することができる。
【0101】
製品が片面金属箔の銅張り積層基板である場合には、剥離容易な高耐熱性フィルム、例えばRzが2μm未満の高耐熱性フィルムまたは金属箔、好適にはポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製、ユーピレックスSなど)やフッ素樹脂フィルムなどの高耐熱性樹脂フィルムや、表面粗さが小さく表面平滑性の良好な圧延銅箔などの金属箔を保護材として用いることが出来、熱圧着性ポリイミド層とポリイミドフィルムの銅箔を積層していない面に保護材を積層させ、この保護材は積層後、積層体から除いて巻き取ってもよく、保護材を積層したままで巻き取って使用時に取り除いてもよい。
【0102】
特にダブルベルトプレスを用いて加圧下に熱圧着−冷却して積層することによって、好適には引き取り速度1m/分以上とすることができ、かつ、長尺で幅が約400mm以上、特に約500mm以上の幅広の、接着強度が大きく(90度ピール強度:0.7N/mm以上、特に1N/mm以上)、金属箔表面に皺が実質的に認められない程外観が良好な銅張り積層基板を得ることができる。また、ダブルベルトプレスを用いた場合、得られる銅張り積層基板は、好適には寸法変化率が、各幅方向のL、CおよびR(フィルムの巻き出し方向の左端、中心、右端)の平均で、MD、TDともに室温(エッチング後乾燥のみ)および150℃(エッチング後加熱処理)で0.1%以下となり、寸法変化の均一性が高くなる。
【0103】
本発明の一態様においては、ポリイミドフィルムおよび銅箔がロール巻きの状態でロールラミネートまたはダブルベルトプレスにそれぞれ供給され、銅張り積層基板はロール巻きの状態で得られる。
【0104】
本発明によって得られる銅張り積層基板は、ロール巻き、エッチング、および場合によりカール戻し等の各処理を行った後、所定の大きさに切断して、電子部品用基板として使用できる。例えば、FPC、多層FPC、フレックスリジッド基板の基板として好適に使用することができる。特に、銅箔の厚みが3〜18μmでポリイミドフィルム層の厚みが5〜20μmである片面銅張り積層基板(全体厚みが8〜38μm)あるいは両面銅張り積層基板(全体厚みが11〜56μm)を複数、例えば2〜10層、耐熱性ポリイミド系接着剤(厚み5〜12μm)で接着することによって、高耐熱性・低吸水・低誘電率・高電気特性を満足する多層基板を得ることができる。
【0105】
本発明の銅張り積層基板には、長尺状のものだけでなく、長尺状のものを所定の大きさ(幅を小さく、あるいは長さを短く)切断したものも含まれる。
【0106】
本発明の銅張り積層基板は、上記のラミネート法以外にも公知の方法で製造することができる。例えば、
(1)銅箔に、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸溶液を流延又は塗布し、必要に応じて乾燥及び/又はイミド化し、さらに必要に応じて加熱する方法、
(2)銅箔に、熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を流延又は塗布し、必要に応じて乾燥及び/又はイミド化し、熱可塑性ポリイミド層にさらに耐熱性ポリイミドの前駆体溶液を流延又は塗布し、イミド化し、さらに必要に応じて加熱する方法、
(3)銅箔に、熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を流延又は塗布し、必要に応じて乾燥及び/又はイミド化し、熱可塑性ポリイミド層にさらに耐熱性ポリイミドの前駆体溶液を流延又は塗布し、必要に応じて乾燥及び/又はイミド化し、耐熱性ポリイミド層にさらに熱可塑性ポリイミドの前駆体溶液を流延又は塗布し、必要に応じて乾燥及び/又はイミド化し、さらに必要に応じて加熱する方法
で製造することができる。上記(1)〜(3)より得られる片面積層ポリイミドフィルムにさらに銅箔をラミネートしたもの、上記(1)〜(3)より得られる2つの片面積層ポリイミドフィルム、一例として(1)と(2)、(1)と(1)、(2)と(2)などをラミネートして得られるものを用いることができる。
【0107】
この明細書において、ポリイミドフィルムの易滑性を表す摩擦係数の評価方法は次による。
【0108】
ASTM・D1894に記載の方法に従って、23℃、60%RH、24時間で保持、調湿したポリイミドフィルムの片面を基板とし、同じ面がすり合わさるようにスレッドメタル(6cm×6cm)に張り付け、ダイナミックスリップテスターを用いて(荷重:200g、滑り速度:150mm/min)摩擦係数を測定した。チャートの動き出したときの値を静摩擦係数、チャートの安定したときの値を動摩擦係数で表示する。
【0109】
この明細書において、ポリイミドフィルムおよび銅張り積層基板のMIT耐折性の評価方法は、特に記載のない限り、次による。
【0110】
MIT耐折性(銅張り積層基板)は、特に記載のない限り、JIS C6471に準拠し、片面のみに同試験方法に規定された銅箔回路を形成し、曲率半径0.8mm、荷重4.9N、折り曲げ速度175回/分、左右折り曲げ角度135度で、初期電気抵抗値から20%以上上昇した時点での耐折回数を測定したものである。サンプリングは全幅から、各10点の試験片を作製し、これらの平均値をMIT耐折性の値とした。
【0111】
加工性は、ポリイミドフィルムを2m/分の速度で繰り出した時の繰り出し機からプレス機までの通紙ライン間でのシワ発生の有無を目視により観察し、シワの発生が無い場合を○、シワの発生がある場合を×とした。
【0112】
銅張り積層基板の外観は、長尺状の銅張り積層基板を巻取りロール(心棒の外径:15cm)に2m/分の速度で巻取った全長についてシワ発生の有無をCCDカメラで検査し、シワ起因の外観不良が無い場合を○、シワ起因の外観不良が一部でも発生した場合を×とした。
【0113】
また、粒子状ポリイミドの大きさの分析は次による。
【0114】
分散溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを使用し、超音波で60分間分散させて、測定範囲0.02〜1000μmで、レーザー回折−散乱式粒度分布測定法によって、粒子径基準として体積基準で測定した。粒子状ポリイミドの作製により得られたスラリー溶液を超音波洗浄機により60分間分散させた。測定セルに分散媒を入れ、それに分散させたスラリー溶液をレーザー光・ランプの透過率が95〜75%になるように滴下、稀釈した。その後、マニュアルバッチ式セル測定により測定を行なった。機器:レーザー回折−散乱式粒度分布測定装置(形式:LA−910、堀場製作所株式会社製)、測定モード:マニュアルバッチ式セル測定。
【0115】
粒子状ポリイミドの形状分析は、ガラス板上の粒子状ポリイミドの形状をSEM観察によって確認した。
【0116】
その他のポリイミドフィルムの物性評価は以下の方法に従って行った。
1)ポリイミドフィルムのガラス転移温度(Tg):動的粘弾性法により、tanδのピーク値から求めた(引張り法、周波数6.28rad/秒、昇温速度10℃/分)。
2)ポリイミドフィルムの線膨張係数(50〜200℃):TMA法により、20〜200℃平均線膨張係数を測定した(引張り法、昇温速度5℃/分)。
3)ポリイミドフィルムの体積抵抗:ASTM・D257に準拠して測定した。
4)ポリイミドフィルムの機械的特性
・引張強度:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・伸び率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度50mm/分)。
・引張弾性率:ASTM・D882に準拠して測定した(クロスヘッド速度5mm/分)。
5)MIT耐折性(ポリイミドフィルム)は、JIS・C6471により、全幅に渡って幅15mmの試験片を切り出し、曲率半径0.38mm、荷重9.8N、折り曲げ速度175回/分、左右折り曲げ角度135度で、ポリイミドフィルムが破断するまでの回数を測定したものである。
【実施例】
【0117】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0118】
(参考例1)
粒子状ポリイミドの製造例
粒子状ポリイミドは、N,N’−ジメチルアセトアミド中にp−フェニレンジアミン、ピロメリット酸二無水物を溶解し、分散剤(デスパーサント:対モノマー0.5質量%)を添加し、窒素雰囲気下で撹拌(40rpm)しながら160℃まで徐々に昇温し、該温度に到達後3時間攪拌を行なって得られたものを使用した。得られた粒子状ポリイミドの粒度分布をレーザー回折−散乱式粒度分布測定装置にて測定した結果、メジアン径0.3μm、分布範囲0.1〜1μmであった。また、SEM観察において粒子状ポリイミドの形状を確認した結果、短径と長径の比が3〜6の柱状粒子であった。
【0119】
(参考例2)
易滑性の熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造例
N−メチル−2−ピロリドン中でパラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加え、50℃で3時間反応させて、25℃における溶液粘度が約1500ポイズのポリアミック酸溶液(耐熱性ポリイミド用ドープ)を得た。また、N−メチル−2−ピロリドン中で1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)とを1000:1000のモル比でモノマー濃度が22%になるように加え、またトリフェニルホスフェートをモノマー重量に対して0.1%加え、5℃で1時間反応させた。得られた25℃における溶液粘度が約2000ポイズであるポリアミック酸溶液に、参考例1で得られた粒子状ポリイミドを、モノマー濃度に対して4.0質量%となるように添加してドープ(表面層の熱可塑性ポリイミド用ドープ)を得た。得られた耐熱性ポリイミド用ドープと熱可塑性ポリイミド用ドープとを、三層押出し成形用ダイス(マルチマニホールド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、三層押出ダイスの厚みを変えて金属製支持体上に流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥し、固化フィルムを形成した。この固化フィルムを支持体から剥離した後、加熱炉で200℃から320℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行って、長尺状の三層押出しポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取った。得られた三層押出しポリイミドフィルムは、次のような物性を示した。
【0120】
熱圧着性多層ポリイミドフィルム、
厚み構成:3μm/9μm/3μm(合計15μm)、
静摩擦係数:0.37、
熱可塑性の芳香族ポリイミドのTg:260℃(動的粘弾性法、tanδピーク値、以下同じ)、
コア層の耐熱性ポリイミドのTg:340℃以上、
線膨張係数(50〜200℃):18ppm/℃(TMA法)、
引張強度、伸び率:460MPa、90%(ASTM D882)、
引張弾性率:7080MPa(ASTM D882)、
MIT耐折性:10万回まで破断せず、
体積抵抗:4×1016Ω・cm(ASTM D257)。
【0121】
また、図2に、得られたポリイミドフィルムの表面のSEM観察結果(2000倍)を示す。
【0122】
(参考例3)
熱圧着性多層ポリイミドフィルムの製造例
ポリイミド表面層の熱可塑性ポリイミド用ドープにポリイミド粒子を添加しなかった他は参考例2と同様にして、長尺状の三層押出しポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取った。得られた三層押出しポリイミドフィルムは、次のような物性を示した。
【0123】
熱圧着性多層ポリイミドフィルム、
厚み構成:3μm/9μm/3μm(合計15μm)、
静摩擦係数:1.00以上。
【0124】
(実施例1)
2つのロール巻きした圧延銅箔(タフピッチ銅、マイクロハード社、VSBK、厚み18μm)の1組と、予めダブルベルトプレス直前のインラインで200℃の熱風で30秒間加熱した、参考例2で得られた熱圧着性多層ポリイミドフィルム(厚み:15μm)を、加熱ゾーンの温度(最高加熱温度):330℃、冷却ゾーンの温度(最低冷却温度):180℃で、圧着圧力:40kg/cm(3.9MPa)、圧着時間2分で、連続的に熱圧着−冷却して積層して、ロール巻状両面銅箔の銅張積層基板(幅:540mm、長さ:1000m)を巻き取りロールに巻き取った。得られた銅張り積層基板についての評価結果を次に示す。
【0125】
MIT耐折性:MD/TD=2210回/2500回、
加工性:○、
製品外観:○。
【0126】
また、図1に、得られたポリイミドフィルムの表面のSEM観察結果(2000倍)を示す。
【0127】
(実施例2)
2つのロール巻きした圧延銅箔(タフピッチ銅、マイクロハード社、VSRD、厚み12μm)の1組に変えた他は実施例1と同様にして、ロール巻状両面銅箔の銅張積層基板を巻き取りロールに巻き取った。得られた銅張り積層基板についての評価結果を次に示す。
【0128】
MIT耐折性:MD/TD=3100回/3220回、
加工性:○、
製品外観:○。
【0129】
(実施例3)
2つのロール巻きした圧延銅箔(タフピッチ銅、日立電線社、HPF−ST10−E、厚み10μm)の1組に変えた他は実施例1と同様にして、ロール巻状両面銅箔の銅張積層基板を巻き取りロールに巻き取った。得られた銅張り積層基板についての評価結果を次に示す。
【0130】
MIT耐折性:MD/TD=3210回/3250回、
加工性:○、
製品外観:○。
【0131】
(実施例4)
2つのロール巻きした電解銅箔(日本電解社、HLB、厚み9μm)の1組に変えた他は実施例1と同様にして、ロール巻状両面銅箔の銅張積層基板を巻き取りロールに巻き取った。得られた銅張り積層基板についての評価結果を次に示す。
【0132】
MIT耐折性:MD/TD=3210回/3250回、
加工性:○、
製品外観:○。
【0133】
(実施例5)
2つのロール巻きしたキャリア銅箔付き電解銅箔(日本電解社、YSNAP−3B、キャリア銅箔厚み18μm、薄銅箔厚み3μm)の1組に変えた他は実施例1と同様にして、ロール巻状両面銅箔の銅張り積層基板を巻き取りロールに巻き取った。得られた銅張り積層基板についての評価結果を次に示す。MIT耐折性は、キャリア銅箔を剥離し、電解銅メッキにより薄銅箔の厚みを8μmにして得られた試験片について測定した。
【0134】
MIT耐折性:MD/TD=2120回/2160回、
加工性:○、
製品外観:○。
【0135】
(実施例6)
参考例3で得られた熱可塑性ポリイミド層がポリイミド粒子を含んでいない熱圧着性多層ポリイミドフィルム(厚み:15μm)を使用し、送り速度を半分にした他は実施例1と同様にして、ロール巻状両面銅箔の銅張積層基板を巻き取りロールに巻き取った。得られた銅張り積層基板は、MIT耐折性は実施例1と同等であったが、加工性および製品外観の評価結果は次に示す通りであった。
【0136】
加工性:×、
製品外観:×。
【0137】
(実施例7)
実施例4で得られた銅張積層基板から、90μmピッチのヒンジ部材を作製し、カバーレイ(ポリイミド層厚み:25μm、接着剤層厚み:25μm)を張り合わせて、MIT耐折性試験を行った。その結果、MD/TD=5000回/4000回であり、ヒンジ用部材として良好な特性を示すことが確認された。また、保持性に優れているため、はぜ折り実装する際に良好なヒンジ部材が得られた。
【0138】
MIT耐折性は、JIS C6471により、曲率半径0.38mm、荷重4.9N、折り曲げ速度175回/分、左右折り曲げ角度135度で測定したものである。
【0139】
(参考例4)
次のようにして実施例8〜14、比較例1〜6で使用するポリイミドフィルムを製造した。
【0140】
N−メチル−2−ピロリドン中でパラフェニレンジアミン(PPD)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:998のモル比でモノマー濃度が18%(重量%、以下同じ)になるように加え、50℃で3時間反応させて、25℃における溶液粘度が約1500ポイズのポリアミック酸溶液(耐熱性ポリイミド用ドープ)を得た。また、N−メチル−2−ピロリドン中で1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a−BPDA)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)とを1000:200:800のモル比で加え、モノマー濃度が18%になるように、またトリフェニルホスフェートをモノマー重量に対して0.5重量%加え、40℃で3時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液の25℃における溶液粘度は、約1680ポイズであった。参考例1で得られた粒子状ポリイミドを、モノマー濃度に対して4.0質量%となるように添加してドープ(表面層の熱可塑性ポリイミド用ドープ)を得た。得られた耐熱性ポリイミド用ドープと熱可塑性ポリイミド用ドープとを、三層押出し成形用ダイス(マルチマニホールド型ダイス)を設けた製膜装置を使用し、三層押出ダイスの厚みを変えて金属製支持体上に流延し、140℃の熱風で連続的に乾燥し、固化フィルムを形成した。この固化フィルムを支持体から剥離した後、加熱炉で200℃から320℃まで徐々に昇温して溶媒の除去、イミド化を行って、長尺状の三層押出しポリイミドフィルムを巻き取りロールに巻き取った。得られた三層押出しポリイミドフィルムは、次のような物性を示した。
【0141】
熱圧着性多層ポリイミドフィルム(15μm)、
厚み構成:3μm/9μm/3μm(合計15μm)、
静摩擦係数:0.37、
熱可塑性の芳香族ポリイミドのTg:240℃(動的粘弾性法、tanδピーク値、以下同じ)、
コア層の耐熱性ポリイミドのTg:340℃以上、
線膨張係数(50〜200℃):19ppm/℃(TMA法)、
引張強度、伸び率:460MPa、90%(ASTM D882)、
引張弾性率:7080MPa(ASTM D882)、
MIT耐折性:10万回まで破断せず、
体積抵抗:4×1016Ω・cm(ASTM D257)。
【0142】
熱圧着性多層ポリイミドフィルム(20μm)、
厚み構成:3.5μm/13μm/3.5μm(合計20μm)、
静摩擦係数:0.36、
熱可塑性の芳香族ポリイミドのTg:240℃、
コア層の耐熱性ポリイミドのTg:340℃以上、
線膨張係数(50〜200℃):18ppm/℃(TMA法)、
引張強度、伸び率:510MPa、100%(ASTM D882)、
引張弾性率:7140MPa(ASTM D882)、
MIT耐折性:10万回まで破断せず、
体積抵抗:3×1016Ω・cm(ASTM D257)。
【0143】
熱圧着性多層ポリイミドフィルム(25μm)、
厚み構成:4μm/17μm/4μm(合計25μm)、
静摩擦係数:0.39、
熱可塑性の芳香族ポリイミドのTg:240℃、
コア層の耐熱性ポリイミドのTg:340℃以上、
線膨張係数(50〜200℃):18ppm/℃(TMA法)、
引張強度、伸び率:520MPa、105%(ASTM D882)、
引張弾性率:7200MPa(ASTM D882)、
MIT耐折性:10万回まで破断せず、
体積抵抗:4×1016Ω・cm(ASTM D257)。
【0144】
(実施例8)
参考例4で得られた厚み15μmのポリイミドフィルムと、圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−13H−T、厚み18μm)とを次のようにして熱圧着して積層し、銅張積層基板を作製した。
【0145】
ダブルベルトプレス直前のインラインで200℃の熱風で30秒間加熱して予熱したポリイミドフィルムとロール巻きした銅箔とを、加熱ゾーンの温度(最高加熱温度):330℃、冷却ゾーンの温度(最低冷却温度):180℃、圧着圧力:3.9MPa、圧着時間2分で、連続的に熱圧着−冷却して積層して、ロール巻状両面銅箔の銅張積層基板(幅:540mm、長さ:1000m)を巻き取りロールに巻き取った。
【0146】
そして、得られた銅張積層基板のMIT耐折性を測定した。
【0147】
MIT耐折性は、JIS C6471に準拠し、片面のみに同試験方法に規定された銅箔回路を形成し、曲率半径0.8mm、荷重4.9N、折り曲げ速度175回/分、左右折り曲げ角度135度で、初期電気抵抗値から100%上昇した時点での耐折回数を測定したものである。サンプリングは全幅から、各10点の試験片を作製し、これらの平均値をMIT耐折性の値とした。
【0148】
使用した圧延銅箔は、熱処理前の引張強度がMDで450N/mm、TDで433N/mmであり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比がMDで43%、TDで40%であった。
【0149】
銅箔の引張強度は、JIS C6515に準拠し、同試験方法に規定された試験片を作製し、クロスヘッド速度が2mm/分にて測定したものである。5点の測定値の平均値を引張強度とした。また、熱処理後の引張強度比(%)は(1)式から算出した。
熱処理後の引張強度比(%)=熱処理後の引張強度/熱処理前の引張強度×100 (1)
【0150】
これらの結果を表1に示す。
【0151】
(比較例1)
使用するポリイミドフィルムを厚み25μmのものに変えた他は実施例8と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0152】
(実施例9)
使用する銅箔を圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−13H−HA、厚み18μm)に変えた他は実施例8と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0153】
使用した圧延銅箔は、熱処理前の引張強度がMDで421N/mm、TDで437N/mmであり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比がMDで22%、TDで20%であった。
【0154】
(比較例2)
使用するポリイミドフィルムを厚み25μmのものに変えた他は実施例9と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0155】
(実施例10)
使用する銅箔を圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−22B−T、厚み12μm)に変えた他は実施例8と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0156】
使用した圧延銅箔は、熱処理前の引張強度がMDで417N/mm、TDで420N/mmであり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比がMDで44%、TDで37%であった。
【0157】
(比較例3)
使用するポリイミドフィルムを厚み25μmのものに変えた他は実施例10と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0158】
(実施例11)
使用する銅箔を圧延銅箔(日鉱マテリアルズ、BHY−22B−HA、厚み12μm)に変えた他は実施例8と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0159】
使用した圧延銅箔は、熱処理前の引張強度がMDで461N/mm、TDで443N/mmであり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比がMDで21%、TDで19%であった。
【0160】
(比較例4)
使用するポリイミドフィルムを厚み25μmのものに変えた他は実施例11と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表1に示す。
【0161】
【表1】

表1から明らかなように、厚み15μmのポリイミドフィルムを用いた銅張積層基板は、厚み25μmのポリイミドフィルムを用いた銅張積層基板と比べて、MIT耐折性が非常に優れていた。また、厚み12μmのより薄い銅箔を用いた銅張積層基板の方がMIT耐折性が優れていた。
【0162】
また、熱処理前の引張強度が300N/mm以上であり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比が33%以下である圧延銅箔を用いた実施例9と実施例11の銅張積層基板は、MIT耐折性が非常に優れていた。
【0163】
(実施例12)
使用する銅箔を電解銅箔(日本電解社、HLB、厚み12μm)に変えた他は実施例8と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表2に示す。
【0164】
使用した電解銅箔は、熱処理前の引張強度がMDで504N/mm、TDで512N/mmであり、上記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比がMDで50%、TDで49%であった。
【0165】
(実施例13)
使用するポリイミドフィルムを厚み20μmのものに変えた他は実施例12と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表2に示す。
【0166】
(比較例5)
使用するポリイミドフィルムを厚み25μmのものに変えた他は実施例12と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表2に示す。
【0167】
(実施例14)
使用する銅箔を電解銅箔(日本電解社、HLB、厚み9μm)に変えた他は実施例8と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表2に示す。
【0168】
(比較例6)
使用するポリイミドフィルムを厚み25μmのものに変えた他は実施例14と同様にして銅張積層基板を作製し、MIT耐折性を測定した。その結果を表2に示す。
【表2】

【0169】
表2から明らかなように、より薄いポリイミドフィルムを用いた銅張積層基板の方がMIT耐折性が優れていた。また、厚み9μmのより薄い銅箔を用いた銅張積層基板の方がMIT耐折性が優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイミドフィルムの片面または両面に銅箔を熱圧着により積層してなる銅張り積層基板であって、
ポリイミドフィルムの厚みが5〜20μmであり、
銅箔の厚みが1〜18μmであることを特徴とする銅張り積層基板。
【請求項2】
ポリイミドフィルムは、耐熱性ポリイミド層と熱可塑性ポリイミド層とを有し、
銅張り積層基板が、耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を介して、銅箔を熱圧着により積層してなる銅張り積層基板である請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項3】
ポリイミドフィルムの厚みが5〜15μmである請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項4】
銅箔が、厚みが8〜18μmの圧延銅箔である請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項5】
銅箔が、厚みが10〜18μmの圧延銅箔である請求項4に記載の銅張り積層基板。
【請求項6】
銅箔が、厚みが10〜12μmの圧延銅箔である請求項5に記載の銅張り積層基板。
【請求項7】
銅箔が、熱処理前の引張強度が300N/mm以上であり、下記式(1)で定義される180℃、1時間熱処理後の引張強度比が33%以下の圧延銅箔である請求項1に記載の銅張り積層基板。
熱処理後の引張強度比(%)=熱処理後の引張強度/熱処理前の引張強度×100 (1)
【請求項8】
銅箔がキャリア付き銅箔であり、
キャリアを剥離した銅箔の厚みが1〜5μmである請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項9】
請求項8に記載の銅張り積層基板からキャリアを剥離した後、銅メッキにより銅箔の厚みを5〜8μmに調整して得られる銅張り積層基板。
【請求項10】
MIT耐折性が約2000回以上である請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項11】
MIT耐折性が約2000回以上である請求項9に記載の銅張り積層基板。
【請求項12】
ポリイミドフィルムが、耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を有する熱圧着性多層ポリイミドフィルムである請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項13】
熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子が分散されている請求項12に記載の銅張り積層基板。
【請求項14】
熱可塑性ポリイミド層が、その表面から少なくとも0.5μm中に、メジアン径が0.3〜0.8μmでかつ最大径が2μm以下であるポリイミド粒子を、ポリイミド表面層のポリイミドに対して約0.5〜10質量%の割合で分散してなるものであり、無機粉末を実質的に含有しておらず、
ポリイミドフィルムの摩擦係数が0.05〜0.7である請求項13に記載の銅張り積層基板。
【請求項15】
ポリイミド粒子が、ピロメリット酸成分とp−フェニレンジアミン成分とから得られるものである請求項13に記載の銅張り積層基板。
【請求項16】
ポリイミドフィルムが、厚み3〜18μmの耐熱性ポリイミド層の両面に厚み1〜6μmの熱可塑性ポリイミド層を有するものである請求項12に記載の銅張り積層基板。
【請求項17】
熱圧着性多層ポリイミドフィルムと銅箔とを加圧下に熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度以上、400℃以下の温度で熱圧着してなる請求項12に記載の銅張り積層基板。
【請求項18】
熱圧着性多層ポリイミドフィルムが、共押出し−流延製膜法によって耐熱性のポリイミド層の片面または両面に熱圧着性のポリイミド層を積層一体化して得られたものである請求項12に記載の銅張り積層基板。
【請求項19】
オールポリイミドのヒンジ部用である請求項1に記載の銅張り積層基板。
【請求項20】
耐熱性ポリイミド層の少なくとも片面に熱可塑性ポリイミド層を有し、熱可塑性ポリイミド層中にポリイミド粒子を分散してなる厚みが5〜25μmの熱圧着性多層ポリイミドフィルムに、厚みが18μm以下の銅箔を積層してなる銅張り積層基板。
【請求項21】
耐熱性ポリイミド層の片面または両面に熱可塑性ポリイミド層を有する厚み5〜20μmのポリイミドフィルムに、厚み1〜18μmの銅箔を熱圧着して積層する銅張り積層基板の連続的製造方法であって、
ポリイミドフィルムの熱可塑性ポリイミド層と銅箔とを重ね合わせるようにしてラミネート装置に連続的に供給し、加圧下に熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度以上、400℃以下の温度で熱圧着して積層する銅張り積層基板の連続的製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−173423(P2011−173423A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80680(P2011−80680)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【分割の表示】特願2007−511237(P2007−511237)の分割
【原出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】