説明

銅(I)ホルマート錯体

式:
nCu(HCOO)・xHCOOH
[但し、xが、0〜10の範囲にあり、
nが、1、2、3又は4を表し、そして
n個のリガンドLが、相互に独立して、それぞれ下記のリガンド:
式:R123Pで表されるホスファン;
式:(R1O)(R2O)(R3O)Pで表されるホスフィット;
式:R1−NCで表されるイソシアニド;
式:R12C=CR34で表されるアルケン;又は
式:R1C≡CR2で表されるアルキン;
{但し、R1、R2、R3及びR4が、相互に独立して、水素、直鎖又は分岐の、所望により部分的に又は完全にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ホスフィノアルキル又はアリール基を表し、各基の炭素原子数が1〜20である。}の1種を表す。]で表される銅(I)ホルマート錯体で、且つこの銅(I)ホルマート錯体から、トリフェニルホスフィン銅(I)ホルマート及び1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン銅(I)ホルマートを除いた銅(I)ホルマート錯体;を分解して、金属銅を析出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅(I)ホルマート錯体に関する。この錯体の、金属を析出しながら分解する性質のために、銅錯体は、例えば気相から析出させる(化学蒸着、即ちCVD)、又は溶液から析出させる(スピンコーティング法)等により銅導体トラック(track)を析出させるマイクロエレクトロニクスに使用される。このような析出(deposition)法は、銅の通常のスパッタリング(物理蒸着法、略称PVD、ここでは基板の変形、変質は起こらない)或いは続くスパッタリングによって形成される銅層の蒸着及び接着の改良をもたらす銅シード(seeds)の施与に代えて、用いられる。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1(T.T. Kodas and M.J. Hambden-Smith, The Chemical of Metal CVD (Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim, 1994, ISBN 3-527-29071-0), 239-302頁)には、銅を析出させる公知のCVD法及びそのための従来の出発材料について概括されている。このような材料としては、特に、銅(II)β−ケトナート錯体、銅(I)β−ケトナート錯体、銅(I)β−ケチミド錯体、銅(I)β−ジイミド錯体、シクロペンタジエニエル銅(I)錯体及び銅アルコキシドが挙げられる。これらの安定性、取扱い性、入手性及び価格の点から、ジケトナートが最も屡々使用されているが、その最大の不利は、さらなる還元剤を使用しないと、50%以下の比較的低収率しか得られないことである。これに代わる銅を析出させる方法は、スピン−コーティング法又はスピン−オン−コーティング法であり、ここでは、不揮発性しかし分解性の銅化合物の溶液又は銅分散液を、回転する基板に塗布し、回転により均一に広げ、これにより均一な銅層を析出させる。この方法は、例えば、非特許文献2(D.K. Sohn, S.C. Park, S.W. Kang and B.T. Ahn in J. Electrochem. Soc. 144(1977), 3592-3596)に記載されている。
【0003】
銅化合物、又はカルボキシラート又はアルコキシラートとの銅錯体は、一般に公知であり、金属銅を析出するために使用することもできる。非特許文献3(F.A. Cotton, E.V. Dikarev and M.A. Terukhina, Inorg. Chem. 39 (2000), 6072-6079)には、銅(I)及び銅(II)トリフルオロアセタートが記載されている。銅(I)トリフルオロアセタートは、昇華又は凝華が可能であり、このためCVDの出発材料として一般に好適である。非特許文献4(E. Iljima, A. Korjeva, N. Kuzmina, S. Troyanov, K. Dunaeva and L. Martynenko, Mater. Sci. Eng. B18 (1993), 234-236)には、揮発性の銅(I)ピバラートの製法及び結晶構造が記載されている。非特許文献5(S.A. Krupoder, V.S. Danilovich, A.O. Miller and G.G. Furin, J. Fluorine Chem. 73 (1995), 13-15)は、揮発性の銅(II)ビス(トリフルオロアセタート)錯体の合成法及び熱重量測定を報告している。非特許文献6(M.E. Gross, J. Electrochem. Soc. 138 (8) (1991), 2422-2426)には、(部分的に)フッ素化された銅(I)アルコキシドが記載されており、そしてその揮発性を(シクロペンタジエニル)(トリエチルホスフィノ)銅(I)及びカルボニル銅(I)tert−ブトキシド及び工業的に最も一般的なCVD出発材料であるビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銅(II)と比較している。特許文献1(CN1240689A)には、極微細な銅粉末を、カルボキシラートの熱分解により製造する方法が開示されている。特許文献2(JP06/184749)には、tert−ブトキシ銅カルボニルの分解により銅フィルムの製造する方法が記載されている。特許文献3(WO01/13426A1)には、銅(II)ビス(2−エチルヘキサノアート)、銅(II)ビス(2−エチルヘキサノアート)イソプロポキシド及び銅(II)ビス(2−エチルヘキサノアート)メトキシエトキシドを、銅析出に使用することが記載されている。特許文献4(DE4138722A1)には、銅(II)テトラメチルヘプタンジオナートをベンジルアルコールを用いて蒸発させる方法が開示されている。特許文献5(EP976847A2)には、銅(II)ビス(2−エチルヘキサノアート)から銅フィルムを製造する方法が記載されている。特許文献6(DE3922233A1)には、銅(II)カルボキシラートからレーザ照射により銅導体トラック(track)を製造する方法が記載されている。特許文献7(WO01/94291A1)には、タイプCu(OCCF31CH2NHR22の銅(II)錯体[但し、R1が、水素、C1〜C4−アルキル又はC1〜C4−ペルフルオロアルキルを表し、そして、R2が、C1〜C6−アルキル又はC1〜C6−アルケン(任意にフッ素、アルコキシ又はアルキルアミノ基で置換されていても良い)を表す。]、及びこれを銅フィルムの析出に使用することが記載されている。先願の独国特許出願(出願番号DE10325243.6;2003年6月3日出願)には、基板を銅(II)ホルマート及び式R1O(CH2nCHR2NH2[但し、R1がメチル又はエチルを表し、R2が水素又はメチルを表し、及びnが1、2、3又は4を表す]と接触させることにより基板上に銅層を析出させる方法が記載されている。非特許文献7(J. Eichhorn, F. Meyer and D. Vidovic, Organometallics 22 (2003), 4426-4432)は、アルキン又はアルケンリガンドとのジ銅(I)オキサラート錯体、及びこれを、溶液を分解させながらスピンコーティングにより又は噴霧することにより、溶液からの銅を析出させる(アエロジル補助CVD、略称AACVD)ために使用する方法を報告している。
【0004】
特に、銅(II)ホルマート及びこのような化合物の分解による金属銅の析出も公知である。非特許文献8(J.-K Kim, S.-K. Park and C. Lee, J., Korean Phys. Soc. 35(5) (1999), 426-430)には、銅(II)ホルマートテトラハイドレート(水和物)をレーザ誘導銅析出によりマイクロストラクチャーを製造するために使用する方法が記載されている。非特許文献9(M.-J. Mouche, J.L.Mermet, C. Mathon and R. Cimard, Adv. Sci. Technol. (Adv. Inorg. Films and Coatings) 5 (1995), 231-238)及び非特許文献10(M.-J. Mouche, L. Mermet, M. Romand and M.Charbonnier, Thin Solid Films 262 (1995), 1-6)は、キャリアガス中のCVDの出発材料として銅(II)ホルマートハイドレートを使用する方法を報告している。非特許文献11(R. Padiyath, M. David and S.V.Babu, Metallized Plastics 2 (1991), 113-120)には、水素プラズマ中で銅(II)ホルマートから銅フィルムを製造する方法が記載されている。非特許文献12(R. Padiyath, J. Seth, S.V. Babu and L.J. Matienzo, J. Appl. Phys. 73(5) (1993), 2326-2332)は、銅ホルマートの施与及び水素プラズマ中での還元によるシリコン上への銅の析出及び銅シリサイドの形成を報告している。J.-K. Kim and C. Lee が、1999年1月に、the SPIE Conference on Laser Applications in Microelectronic and Optoelectronic Manufacturing IV, San Jose, California, USAにおいて、銅(II)ホルマートからアルゴンレーザの照射により銅フィルムを製造する方法を報告している(参照、非特許文献13(Proceedings SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. 3618 (1999), 378-385))。特許文献8(EP1077084A2)の実施例24には、銅ホルマートの熱分解によりモルデナイト上に銅を析出させる方法が開示されている。特許文献9(EP368231A2)には、成形樹脂材料上に銅(II)ホルマートを熱分解させることにより銅を析出させる方法が記載されている。特許文献10(US5141602A)の方法においては、銅(II)ホルマートをレーザ照射により分解させて銅を析出させており、そして特許文献11(JP11/193461A)の方法では、再び、熱分解により銅を析出させている。
【0005】
非特許文献14(A. Keller and F. Koeroesy, Nature 162 (1948), 580-582)は、CuHCOOとして表され且つ銅(II)ホルマートの注意深い熱分解により製造される銅(I)ホルマートを、105℃で加熱して銅、二酸化炭素及び水素に分解する方法を報告している。非特許文献15(D.A. Edwards and R. Richards, J. Chem. Soc. Dalton Trans. (1973), 2463-2468)には、銅(II)ホルマートを、ギ酸中で金属銅と反応させることにより銅(I)ホルマート合成する方法が記載されている。或いは、銅(I)ホルマートは、特にリガンド−安定化錯体の形態で知られている。リガンド−安定化錯体は、通常、LnCu(HCOO)[但し、Lnが、少なくとも2座リガンドL(n=0)又は(n=2、3又は4)2、3又は4個の少なくとも1座リガンドLである]のタイプである。非特許文献16(B. Beguin, B. Denise and R.P.A. Sneeden, J. Organomet. Chem. 208 (1981), C18-C20)には、 [HCuPPh3]6、PPh3及びCO2 から製造される銅(I)ホルマート錯体(PPh32Cu(HCOO)が記載されている。非特許文献17(N. Marisch, A.Camus and G. Nardin, J. Organomet. Chem. 239 (1982), 429-437)は、(PPh32Cu(HCOO)の結晶構造、及びその200℃での熱分解により実質的に銅、CO2及びPPh3に分解することを報告している。非特許文献18(C. Bianchini, C.A. Ghilardi, A. Meli, S.Midollini and A. Orlandini, J. Organomet. Chem. 248 (1983), C13-C16)には、 (triphos) Cu(HCOO){但し、triphosは1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタンを表す}の合成及び構造が記載されている。この錯体は、(triphos) Cu(BH)4をCO2と反応させることにより製造される。非特許文献19(G. Doyle, K.A. Eriksen, M. Modrick and G. Ansell, Organometallics 1 (1982), 1613-1618)は、錯体塩[(tmeda)Cu2(CO)(HCOO)]+[BPh4-{tmeda=N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、Ph=フェニル}を、tmeda、酸化銅(I)、一酸化炭素、ギ酸及びナトリウムテトラフェニルボラナートから合成する方法を報告している。これら全ての銅(I)ホルマートは、純粋な化学的目的のために極めて少量製造された化合物であり、単に、製造が不便であることから、銅析出のためにこれらを分解することは経済的理由から議論の対象とならない。
【0006】
【特許文献1】CN1240689A
【特許文献2】JP06/184749
【特許文献3】WO01/13426A1
【特許文献4】DE4138722A1
【特許文献5】EP976847A2
【特許文献6】DE3922233A1
【特許文献7】WO01/94291A1
【特許文献8】EP1077084A2
【特許文献9】EP368231A2
【特許文献10】GB1048865
【特許文献11】WO03/035728
【非特許文献1】T.T. Kodas and M.J. Hambden-Smith, The Chemical of Metal CVD (Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim, 1994, ISBN 3-527-29071-0), 239-302頁
【非特許文献2】D.K. Sohn, S.C. Park, S.W. Kang and B.T. Ahn in J. Electrochem. Soc. 144 (1977), 3592-3596
【非特許文献3】F.A. Cotton, E.V. Dikarev and M.A. Terukhina, Inorg. Chem. 39(2000), 6072-6079
【非特許文献4】E. Iljima, A. Korjeva, N. Kuzmina, S. Troyanov, K. Dunaeva and L. Martynenko, Mater. Sci. Eng. B18 (1993), 234-236
【非特許文献5】S.A. Krupoder, V.S. Danilovich, A.O. Miller and G.G. Furin, J. Fluorine Chem. 73 (1995), 13-15
【非特許文献6】M.E. Gross, J. Electrochem. Soc. 138 (8) (1991), 2422-2426
【非特許文献7】J. Eichhorn, F. Meyer and D. Vidovic, Organometallics 22 (2003), 4426-4432
【非特許文献8】J.-K Kim, S.-K. Park and C. Lee, J., Korean Phys. Soc. 35(5) (1999), 426-430
【非特許文献9】M.-J. Mouche, J.L.Mermet, C. Mathon and R. Cimard, Adv. Sci. Technol. (Adv. Inorg. Films and Coatings) 5 (1995), 231-238
【非特許文献10】M.-J. Mouche, L. Mermet, M. Romand and M.Charbonnier, Thin Solid Films 262 (1995), 1-6
【非特許文献11】R. Padiyath, M. David and S.V.Babu, Metallized Plastics 2 (1991), 113-120
【非特許文献12】R. Padiyath, J. Seth, S.V. Babu and L.J. Matienzo, J. Appl. Phys. 73(5) (1993), 2326-2332
【非特許文献13】Proceedings SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. 3618 (1999), 378-385
【非特許文献14】A. Keller and F. Koeroesy, Nature 162 (1948), 580-582
【非特許文献15】D.A. Edwards and R. Richards, J. Chem. Soc. Dalton Trans. (1973), 2463-2468
【非特許文献16】B. Beguin, B. Denise and R.P.A. Sneeden, J. Organomet. Chem. 208 (1981), C18-C20
【非特許文献17】N. Marisch, A.Camus and G. Nardin, J. Organomet. Chem. 239 (1982), 429-437
【非特許文献18】C. Bianchini, C.A. Ghilardi, A. Meli, S.Midollini and A. Orlandini, J. Organomet. Chem. 248 (1983), C13-C16
【非特許文献19】G. Doyle, K.A. Eriksen, M. Modrick and G. Ansell, Organometallics 1 (1982), 1613-1618
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CVDにより金属銅を析出させるための出発材料として、公知の化合物より好適な銅化合物が必要であることには現在も変わりがない。実質的な要求は、高い銅含有量であり、容易に入手でき、低コストであり、取扱い及び貯蔵中に安定性が高く、にもかかわらず基板の被覆中に容易に分解することであり、また銅は別として、不揮発性の不純物は、基板に析出するであろうので、形成されるべきでないことである。
【0008】
本発明の目的は、このような銅化合物及びその製造方法、そしてその熱分解により銅を析出させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的が、式:
nCu(HCOO)・xHCOOH
[但し、xが、0〜10の範囲にあり、
nが、1、2、3又は4を表し、そして
n個のリガンドLが、相互に独立して、それぞれ下記のリガンド:
式:R123Pで表されるホスファン;
式:(R1O)(R2O)(R3O)Pで表されるホスフィット;
式:R1−NCで表されるイソシアニド;
式:R12C=CR34で表されるアルケン;又は
式:R1C≡CR2で表されるアルキン;
{但し、R1、R2、R3及びR4が、相互に独立して、水素、直鎖又は分岐の、所望により部分的に又は完全にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ホスフィノアルキル又はアリールの各基を表し、各基の炭素原子数が1〜20である。}
の1種を表し、且つトリフェニルホスフィン及び1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタンを除いたものである。]
で表される銅(I)ホルマート錯体
により達成されることが見いだした。
【0010】
また、本発明者等は、これらの新規な銅(I)ホルマート錯体の製造方法、これらの製造方法の1つのための出発材料・銅(I)ホルマート錯体の製造方法、そして新規な銅(I)ホルマート錯体を分解することにより銅を析出させる方法も見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
新規な銅(I)ホルマート錯体は、式LnCu(HCOO)・xHCOOHの錯体である。このような銅(I)ホルマート錯体は、多核錯体としても存在している;即ち、形式的にはオリゴマー[LnCu(HCOO)・xHCOOH]m{但し、mは整数で、少なくとも2である}して存在している。新規な錯体がさらなる反応を受けて多核錯体を形成するか否かは、実質的にリガンドLに依存している。
【0012】
上記式の数xは、0であっても良いが、一般に少なくとも0.1、好ましくは少なくとも0.5、特に好ましくは少なくとも1であり、一般に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは2以下である。xは1であることが極めて好ましい。
【0013】
上記式において、nは1、2、3又は4であり、nは2又は3であることが好ましい。
【0014】
Lが、nが1より大きい場合、相互に独立して選択される下記のリガンドの1種である:
式:R123Pで表されるホスファン;
式:(R1O)(R2O)(R3O)Pで表されるホスフィット;
式:R1−NCで表されるイソシアニド;
式:R12C=CR34で表されるアルケン;又は
式:R1C≡CR2で表されるアルキン;
{但し、R1、R2、R3及びR4が、相互に独立して、水素、又は
直鎖又は分岐の、所望により部分的に又は完全にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ホスフィノアルキル又はアリールの各基を表し、各基の炭素原子数が1〜20である。}。
【0015】
このような直鎖又は分岐のアルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル及び2−エチルヘキシル基;異性体ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル又はドデシル基;及び環式アルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル及びビシクロノニル基を挙げることができ、これらはさらにアルキル基を有していても良い。水素の代わりに、炭素原子は、他の置換基、例えばハロゲン置換基、特にフッ素を有していても良い。2個以上の基は、不飽和であっても良い閉鎖環を形成していても良い。このようなリガンドLの例としては、形式的にはR12C=CR34である、シクロペンタジエニルを挙げることができる。
【0016】
このようなアミノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル及びホスフィノアルキル基の例としては、1個以上のアミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ホスフィノアルキル基及び/又はアルキルホスフィノアルキル基で置換された上記アルキル基を挙げることができる。
【0017】
このようなアリール基の例としては、フェニル及びナフチル基を挙げることができ、これらは上記アルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル及びホスフィノアルキルで置換されていてもよい。
【0018】
リガンドLは、相互に独立して、それぞれ、式:R123Pで表されるホスファン、式:(R1O)(R2O)(R3O)Pで表されるホスフィット又は式:R1−NCで表されるイソシアニドであることが好ましい。
【0019】
好ましい基Rn(n=1、2又は3)は、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基である。
【0020】
特に好ましいリガンドは、トリアルキルホスフィン基、例えばトリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン又はトリシクロペンチルホスフィン;トリアルキルホスフィット基、例えばトリメトキシホスフィン、トリエトキシホスフィン、トリイソプロポキシホスフィン及びトリ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスフィン;そしてアルキルイソシアニド、例えばイソプロピルイソシアニド、n−ブチルイソシアニド、tert−ブチルイソシアニド及びシクロヘキシルイソシアニドである。トリ−n−ブチルホスフィンが特に極めて好ましいリガンドである。
【0021】
トリフェニルホスフィン及び1,1,1−トリ(ジフェニルホスフィノメチル)エタンが、新規な銅(I)ホルマート錯体の式から受け入れられる。
【0022】
新規な銅(I)ホルマート錯体を製造する3つの方法が見いだされた。
【0023】
このような第1の新規な方法は、銅(I)ホルマート錯体から出発する。銅(I)ホルマートの製造方法は公知である。乾燥、不活性溶剤において、所望の化学量論量のリガンド又は複数のリガンドLを添加することにより、銅(I)ホルマートを反応させ、新規な銅(I)ホルマート錯体を得る。全ての不活性溶剤は上記不活性溶剤として好適である。非プロトン性極性溶剤が特に好適である。好適な溶剤の例としては、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル又はtert−ブチルエチルエーテル;及びハロゲン化、特に塩素化アルカン溶剤、例えば塩化メチレン(メチレンクロリド)及びクロロホルムを挙げることができる。テトラヒドロフラン及び塩化メチレンの使用が好ましい。反応を行うために、銅(I)ホルマートを、便宜上、始めに溶液にとるか、又は懸濁液とし、そしてnモル当量の1種又は複数種のリガンドを撹拌しながら加える。その後、銅(I)ホルマート錯体は、例えば結晶化により、任意に溶剤の除去、例えば減圧下の蒸留、により、或いは溶剤の部分的除去後の結晶化により得ることができる。この方法により製造された錯体は、一般に、ギ酸(x=0)を含まないが、所望により対応する量のギ酸を合成中に添加しても良い。
【0024】
本発明では、新規な銅(I)ホルマート錯体の製造方法も見いだされている。この方法では、極めて安定であるとは言えないリガンド非含有銅(I)ホルマートを、物質として単離及び処理する必要は無い。この方法において、無水の銅(II)ホルマートを金属銅(通常化学量論量より過剰で使用される、例えばワイヤー、分散体、顆粒又は箔)及び任意に1モル当量のギ酸と不活性溶剤中で反応させる。全ての不活性溶剤が、この不活性溶剤として好適であり、特に非プロトン性極性溶剤が好適である。好適な溶剤の例としては、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル又はtert−ブチルエチルエーテル;ハロゲン化、特に塩素化アルカン溶剤、例えば塩化メチレン及びクロロホルム;及びアセトニトリルを挙げることができる。アセトニトリルの使用が好ましい。反応混合物を、反応が終了するまで反応させる。反応の終了は、一般に、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、特に好ましくは少なくとも4時間且つ一般に48時間以下、好ましくは36時間以下、特に好ましくは30時間以下の反応時間後である。その後、所望のリガンドLを、所望の化学量論量で添加し、反応混合物を錯体形成の終了までさらに反応させる。一般に、錯体形成を、少なくとも5分、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも30分、且つ一般に6時間以下、好ましくは4時間以下、特に好ましくは2時間以下の反応時間の後、完了させる。その後、固体(実質的に未反応の銅)を分離し、溶剤を除去し、そして生成物を得る。新規な銅(I)ホルマート錯体のこの製造の形態では、製造された錯体は、ギ酸を含んでおり、その量は選択されたリガンドL及びそのnの量に従って決定される。
【0025】
さらに、新規な銅(I)ホルマート錯体は、式LnCu(HCOO)、即ちそのハライド同族体、特にクロリド同族体:LnCuX{Xがハライド(ハロゲン化物)、例えばClを表す}は公知である錯体は、これらのハライド錯体をギ酸及び塩基と反応させることにより製造することができる。このために、所望の化学量論量のギ酸は、ハライド錯体の量と少なくとも同量である。新規なギ酸含有銅(I)ホルマート錯体(即ち、x>0)を製造する必要がある場合、化学量論量のギ酸が適宜選択される。好適な不活性溶剤は、特に、塩基及びハライドから形成される副生物が銅(I)ホルマート錯体より溶解するものであるか或いはその逆である不活性溶剤の全てである。非プロトン性極性溶剤が特に好適である。このような溶剤の例としては、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル又はtert−ブチルエチルエーテル;ハロゲン化、特に塩素化アルカン溶剤、例えば塩化メチレン及びクロロホルムを挙げることができる。エーテル類、特にtert−ブチルメチルエーテルを使用することが好ましい;このような場合、一般に銅(I)ホルマート錯体は、副生物より溶解性が良い。一般に、ハライドとホルマートとの交換は、少なくとも5分、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも30分の反応時間の後、そして一般に6時間以下、好ましくは4時間以下、特に好ましくは2時間以下の後、完了させる。その後、ハライドを、塩基を添加することにより析出させる。特に好適な塩基は、1級、2級又は3級アミンであり、例えば、トリエチルアミンが好ましい。反応混合物を、アミンの添加後、さらに反応させるが、一般に少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、特に好ましくは少なくとも4時間、且つ一般に12時間以下、好ましくは8時間以下、特に好ましくは6時間以下の反応時間反応させる。その後、生成物と副生物とを分離する。生成物が、使用する溶剤に副生物より溶解する場合、副生物をろ別し、その後溶剤を除去する。乾燥残さを、さらなる精製のために抽出剤に採取し、その後抽出剤を固体から再度除去する。好適な抽出剤は、新規な銅(I)ホルマート錯体は溶解するが、ハロゲン化水素と塩基との反応生成物(副生物として形成される)は溶解しない全ての溶剤である。非プロトン性又はわずかに極性の溶剤が特に好適である。好適な溶剤の例としては、アルカン又は芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ガソリン、石油、ベンゼン又はトルエンを挙げることができる。ヘキサンの使用が好ましい。抽出剤は固体除去後除去され、こうして生成物が得られる。一方、生成物が選択された溶剤に副生物より溶解しない場合、生成物は、必要により溶剤を一部蒸留したのち、ろ別される。
【0026】
同様にして、リガンド非含有銅(I)ホルマートも、ハロゲン化銅(I)、特に塩化銅(I)と、ギ酸及び塩基との反応により得ることができる。
【0027】
これらの反応中の反応温度、及び溶剤除去中の温度は、反応又は溶剤除去が満足できる速度で行われるように十分に高くするべきであるが、銅(I)ホルマートが分解するほど高くすべきではない。一般に、温度は、少なくとも−20℃、好ましくは少なくとも0℃、特に好ましくは少なくとも10℃で、そして一般に80℃以下、好ましくは60℃以下、特に好ましくは40℃以下に設定される。一般に、室温、即ち20〜25℃の範囲を問題なく使用することができ、そして溶剤の除去は、満足な速度を得るために、適宜減圧下で行われるべきである。
【0028】
全ての場合において、合成は、空気、特に酸素の非存在下に行うことが好ましい。従来の不活性ガス技術が使用される。適当な不活性ガスとしては、慣用の不活性ガス、特に窒素又はアルゴンを挙げることができる。可能な限り、無水環境で作業することも好ましい。
【0029】
新規な銅(I)ホルマート錯体は、公知の方法、例えばCVD、AACVD又はスピン−コーティングにより、基板に施され、そして熱分解され、これによって又はこの後、銅析出がもたらされる。凝集した銅フィルムが形成する。AACVD及びスピン−コーティングにおいて、銅(I)ホルマート錯体は、不活性溶剤の溶液の形で使用されることが好ましい。好適な不活性溶剤は、使用される新規な銅(I)ホルマート錯体を十分に溶解することができ、使用される条件下で、基板に対しても不活性である全ての溶剤である。これらはまた、極めて容易に蒸発し、従って容易に除去可能である。好適な溶剤の例としては、極性又は非極性の非プロトン性溶剤、例えば、エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル又はtert−ブチルエチルエーテル;ハロゲン化、特に塩素化アルカン溶剤、例えば塩化メチレン及びクロロホルム;アルカン又は芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ガソリン、石油、ベンゼン又はトルエンを挙げることができる。溶液中のホルマート錯体の濃度は、その粘度が取り扱いやすく、そして均一な銅フィルムが形成するように選択される。一般に、少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも3質量%、特に好ましくは少なくとも5質量%で、そして一般に40質量%以下、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下の量で銅(I)ホルマート錯体を含む溶液が、使用される。
【0030】
AACVDによる施与においては、錯体又は錯体の溶液を、通常、加熱した基板に噴霧するか、或いは噴霧した基板を、その後分解温度に加熱する。スピン−コーティングによる施与においては、錯体又は錯体の溶液を、通常、回転する基板に施し(塗布し)、これにより液体の均一層が、遠心力によって形成される。基板は、塗布中或いは塗布後分解温度に加熱される。
【0031】
新規な銅(I)ホルマート錯体の熱分解により基板上に銅層を析出させるために、基板を、錯体の施与中、又はその後直ぐに、錯体の分解温度より上の温度に加熱する。一般に、加熱は、少なくとも80℃、好ましくは少なくとも100℃、特に好ましくは少なくとも105℃、そして一般に300℃以下、好ましくは280℃以下、特に好ましくは250℃以下の温度で実施される。
【実施例】
【0032】
[実施例1:銅(I)ホルマートの製造]
0.92g(20ミリモル)のギ酸を20mlの塩化メチレンに溶解した液を、1.98g(20ミリモル)の塩化銅(I)(CuCl)を40mlの乾燥塩化メチレンに懸濁させた液に、室温で5分間に亘って、窒素存在下に撹拌しながら添加した。10分後、2.02g(20ミリモル)の無水トリエチルアミンを添加した。得られた混合物を、さらに4時間撹拌し、その後得られた薄緑色の銅(I)ホルマートの沈殿を、リバース・フリット上でろ別し、20mlの塩化メチレンで洗浄した。収率は95モル%であった。
【0033】
[実施例2:銅(I)ホルマート及びリガンドからの新規な錯体の製造]
n当量のリガンド(1当量は8.3ミリモル)を20mlの乾燥塩化メチレン又はテトラヒドロフランに溶解した液を、8.3ミリモルの銅(I)ホルマートを20mlの塩化メチレン又はTHFに懸濁させた液に、窒素存在下に撹拌しながらゆっくり添加した。各場合において、約1時間後、銅(I)ホルマートは完全に溶解していた。溶剤を減圧下に揮発させた後、銅(I)ホルマート錯体を無色の油又は固体として得た。
【0034】
[実施例3:塩化銅(I)錯体からの新規錯体の製造]
4.6g(0.1モル)のギ酸を、0.1モルの式LnCuClで表される塩化銅(I)を200mlのメチルtert−ブチルエーテルに溶解した液に0℃で撹拌しながら添加し、そして撹拌をさらに1時間続けた。その後、10.1g(0.1モル)の無水トリエチルアミンを添加し、そして撹拌を、室温で5時間行った。その後、溶剤を、減圧下、40℃で除去し、固体残さを100mlのヘキサンで2回抽出した。抽出物を集め、減圧下、40℃にてヘキサンを除去し、生成物を得た。
【0035】
[実施例4:中間体として形成される銅(I)ホルマートの単離無しでの新規錯体の製造]
1.53g(10ミリモル)の無水銅(II)ホルマートCu(HCOO)2、1.6gの98%濃度ギ酸及び2.7gの銅箔を、60mlの無水アセトニトリル中で窒素雰囲気下に24時間撹拌した。6.65g(40ミリモル)のトリエトキシホスファンを滴下した。反応混合物をさらに1時間撹拌し、その後銅箔をろ別した。ろ液を蒸発、濃縮することにより、生成物[(H3CH2CO)3P]2Cu(HCOO)・xHCOOHを、無色液体として得た。
【0036】
実施例としてこれらの方法により製造された銅(I)ホルマート錯体LnCu(HCOO)・xHCOOHを、31P−NMRのホスフィンリガンドの化学シフトδ及び13C−NMR及び1H−NMRのホルマート炭素及びホルマートプロトンの化学シフトδと共に下記の表に列挙する。
【0037】
【表1】

【0038】
[実施例5:[(H3CH2CO)3P]2Cu(HCOO)の熱重量測定]
錯体[(H3CH2CO)3P]2Cu(HCOO)の熱重量測定により、計算したように、14.4質量%の銅及び85.6質量%の有機成分から構成されていることが確認され、そして少なくとも150℃の加熱により元の質量の85.6質量%が正確に失われたことを示していた。これにより、錯体は分解して銅、及び、別に、これらの条件では、専ら他のガス状分解生成物をもたらすことが確認された。
【0039】
[実施例6:銅フィルムの析出]
10%濃度の[(H3CH2CO)3P]2Cu(HCOO)の塩化メチレン溶液を、200℃に加熱したガラスフラスコに噴霧した。銅フィルムがガラスフラスコの内面に生成した。
【0040】
[実施例7:銅フィルムの析出]
ガラスフラスコの内面に、10%濃度の[(H3CH2CO)3P]2Cu(HCOO)の塩化メチレン溶液で濡らした。注意深く溶剤を蒸発させることにより、ホルマート錯体の薄いフィルムがガラスフラスコの内面に生成した。その後、このフラスコを200℃に加熱した。銅フィルムがガラスフラスコの内面に生成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
nCu(HCOO)・xHCOOH
[但し、xが、0〜10の範囲にあり、
nが、1、2、3又は4を表し、そして
n個のリガンドLが、相互に独立して、それぞれ下記のリガンド:
式:R123Pで表されるホスファン;
式:(R1O)(R2O)(R3O)Pで表されるホスフィット;
式:R1−NCで表されるイソシアニド;
式:R12C=CR34で表されるアルケン;又は
式:R1C≡CR2で表されるアルキン;
{但し、R1、R2、R3及びR4が、相互に独立して、水素、直鎖又は分岐の、所望により部分的に又は完全にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ホスフィノアルキル又はアリールの基を表し、各基の炭素原子数が1〜20である。}
の1種を表す。]
で表される銅(I)ホルマート錯体で、且つ
この銅(I)ホルマート錯体から、トリフェニルホスフィン銅(I)ホルマート及び1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン銅(I)ホルマートを除いた銅(I)ホルマート錯体。
【請求項2】
nが2又は3である請求項1に記載の銅(I)ホルマート錯体。
【請求項3】
Lが、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエトキシホスフィン、トリイソプロポキシホスフィン、トリ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ホスフィン、イソプロピルイソシアニド、n−ブチルイソシアニド、tert−ブチルイソシアニド及びシクロヘキシルイソシアニドからなる群から選択される請求項1又は2に記載の銅(I)ホルマート錯体。
【請求項4】
Lがトリ−n−ブチルホスフィンである請求項3に記載の銅(I)ホルマート錯体。
【請求項5】
xが1である請求項4に記載の銅(I)ホルマート錯体。
【請求項6】
銅(I)ホルマートを、リガンドL及び所望によりギ酸と反応させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに1項に記載の銅(I)ホルマート錯体の製造方法。
【請求項7】
第1工程で、銅(II)ホルマート、金属銅及びギ酸から銅(I)ホルマートを得、且つ銅(I)ホルマートがリガンドLの添加前には単離されていない請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
式:LnCu(I)X
[但し、Xがハライドを表し、そしてnが請求項1と同義である。]
で表されるハロゲン化銅(I)錯体をギ酸と反応させ、その後塩基と反応させる請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅(I)ホルマート錯体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の銅(I)ホルマート錯体を基板に施し、そして銅(I)ホルマート錯体を少なくとも80℃の温度で熱分解させることを特徴とする金属銅を基板に析出させる方法。
【請求項10】
銅(I)ホルマート錯体を気相から析出させ、同時に分解させる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
銅(I)ホルマート錯体の溶液を基板に噴霧し、同時に又は続いて銅(I)ホルマート錯体を分解させる請求項9に記載の方法。
【請求項12】
銅(I)ホルマート錯体の溶液を回転する基板に塗布し、同時に又は続いて銅(I)ホルマート錯体を分解させる請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2007−514687(P2007−514687A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544327(P2006−544327)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014275
【国際公開番号】WO2005/058789
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】