説明

鋳物の穴内壁面への成膜工法

【課題】加圧ロッドと鋳物穴内面の間で摩擦熱を発生させ、鋳物内面を軟化、塑性流動を起こしながら鋳物穴内部に投入してある異種金属粉末の成膜材料を鋳物内面の塑性流動により巻き込み成膜をさせる工法を提供する。
【解決手段】鋳物の穴内に異種金属粉末の成膜材料を投入し、穴の径よりもやや大きい径の加圧ロッドを回転させながら穴に嵌合させると共に、所定送り速度で降下させて押圧し、穴内面を軟化させ、成膜材料を塑性流動させて巻き込んで成膜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳物の穴内壁面への成膜工法に関し、特に鋳物の穴内部に投入してある粉末の成膜材料を加圧ロッドの回転と鋳物内面の塑性流動により巻き込んで成膜させる鋳物の穴内壁面への成膜工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンは鋳鉄製とされており、シリンダの内面は主として熱処理によって特定の機能が付与されて来た。これに対し、近年自動車の軽量化の要請からアルミエンジンが用いられるようになって来ており、この場合、アルミ製のシリンダ内面、即ちその円柱穴内面に高温強度付与等、特定の機能を付与する手法として鋳鉄ライナの鋳込み、高機能アルミ合金シリンダスリーブの圧入が主として採用されている。また、その他シリンダ内面にメッキ、表面溶融合金化としての溶射、肉盛、更には表面処理として窒化、拡散浸透等が実用化されている。
【0003】
しかしながら、例えばスリーブ鋳込み及び圧入では膜を厚くする事で、シリンダ性能への悪影響の懸念がある。逆にメッキや拡散浸透では膜を薄くする事は可能なものの、1mm以上の膜厚にすることが困難で、耐久性に劣るといった問題がある。また、溶射や肉盛では成膜対象材料に欠陥があると密着性が悪くなるといった問題がある。
【0004】
近年、鉄やアルミの鋳物に関し、上記のような問題を解決する方法としては、ネジ穴を含めた穴類に機能性膜を埋め込むといった方法がある。
【特許文献1】特開平10−331970号公報
【特許文献2】特許3820414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開平10−331970号公報(特許文献1)には、ピストン(リング溝)に固体潤滑剤(ポリテトラフルオロエチレンなど)を含んだ樹脂焼成膜(ポリイミドなど)をコーティングする方法が開示されている。しかしながら、固体潤滑剤と樹脂焼成膜をそれぞれ準備する必要があり、成膜対象材料にSi粒子を埋め込むといった作業も必要である。また、特許文献1に記載の方法では、塗膜時に膜厚や焼成温度によってコーティングの意味を成さなくなる可能性があるという問題がある。更に、このように穴内に別の部材を埋め込む方法を採用した場合には、不良品の処理やリサイクルを行う場合に部品を分離する工程が必要となり、リサイクル処理の効率が悪化するという問題がある。
【0006】
一方、特許3820414号公報(特許文献2)に記載の成膜方法は、加圧ロッドやバックアップロッドと成膜材料を円柱穴内面に対して軸方向に相対的に前進移動させることで、円柱穴内面に成膜材料を前進方向と同方向に順次膜をコーティングするようにしている。即ち、図1に示すように、内径φの穴径を有するシリンダ100内に外径φ(<φ)の加圧ロッド101及びバックアップロッド102を挿入すると共に、バックアップロッド102上に粉末の成膜材料103を載置し、加圧ロッド101を回転させながら加圧ロッド101を降下させ、加圧ロッドの底面と成膜材料103を押圧することにより摩擦熱を発生させている。摩擦熱の発生は、成膜材料103と加圧ロッド101との間で発生されるので、加熱軟化した塑性流動性の成膜材料103がシリンダ100内面にコーティングされる。
【0007】
しかし、加圧ロッド101及びバックアップロッド102の径φはシリンダ100の穴径φよりも小さいため、成膜するための塑性流動化した成膜材料103が穴の内壁面に十分にコーティングされないといった問題点や、成膜部位によっては成膜材料103の塑性流動化及びバックアップロッド102の摩擦熱を抑えるなどといったことを考慮しなくてはならないのに、その考慮が全くされていない問題がある。
【0008】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、鋳物穴内径よりも大きな径の加圧ロッドを使用し、加圧ロッドと鋳物穴内壁面で摩擦熱を発生させて鋳物内壁面を軟化させ、成膜材料を加圧ロッドの回転と鋳物内壁面の塑性流動により巻き込んで成膜させる鋳物の穴内壁面への成膜工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は鋳物の穴内壁面への成膜工法に関し、鋳物の穴内に前記鋳物とは異なる金属粉末(異種金属粉末)から成る成膜材料を投入し、前記穴の径よりもやや大きい径の加圧ロッドを回転させながら前記穴に嵌合させると共に、所定送り速度で降下させて押圧し、前記穴内面を軟化させ、前記成膜材料を塑性流動させて巻き込んで成膜させることによって達成される。
【0010】
また、本発明の上記目的は、前記鋳物がアルミニウム合金材(以下「A1合金材」という。)であることにより、或いは前記成膜材料がアルミ合金粉末であることにより、或いは前記加圧ロッドの回転速度が5000〜10000rpmで、送り速度が5〜20mm/分であることにより、或いは前記穴の内壁面が前記成膜材料に対するNIP処理により成膜されることにより、或いは前記NIP処理により前記穴の内壁面に変質層を生じていることにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鋳物の穴内壁面への成膜工法によれば、成膜させる異種金属粉末の成膜材料と加圧ロッドとの間で摩擦熱を発生させているわけではないので、摩擦熱による成膜材料の変形やロッドに伝わる熱を考慮する必要もなく、成膜材料に特別な成形も必要ない。また、成膜させる材料を選ぶことも必要とせずに成膜が可能である。
【0012】
本発明で成膜させる鋳物の穴は、一端が塞がった穴(通称メクラ穴)に対して有効であるが、バックアップロッドを用いればシリンダのような貫通穴に対しても可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図2は本発明の基本原理を示しており、鋳物1に径φの底部が塞がった穴(メクラ穴)2が開けられており、穴2の底部に異種金属粉末の成膜材料3が投入されている。そして、穴2の径φよりも少し大きい径φの加圧ロッド4を回転させながら降下させ、穴2の開口部に嵌合させる。そして、更に加圧ロッド4を降下させると、図3に示すように穴2の内壁面と加圧ロッド4の摩擦熱によって変質層1Aが形成されると共に、摩擦熱によって成膜材料3が軟化して塑性流動化される。更に加圧ロッド4を降下させると、図4に示すように塑性流動化した成膜材料3が内壁面にコーティングされる。
【0015】
なお、本例では加圧ロッド4及び穴2の底面をそれぞれ平坦としているが、穴2の底面形状に丸みを付けたR形状であっても良く、この場合には加圧ロッド4の底面を同一のR形状にすれば良い。
【0016】
また、図5はシリンダのような貫通穴11を成膜する例を示しており、鋳物10の貫通穴11の径φよりやや小さい径φを有するバックアップロッド12を穴11内に配設すると共に、バックアップロッド12上に成膜材料13を載置する。そして、穴11の径φよりやや大きい径φの加圧ロッド14を回転しながら穴11に嵌合させ、降下させることによって上述の例と同様に、摩擦熱によって成膜材料13を塑性流動化させて内壁面にコーティングすることができる。
【0017】
以下に実施例を説明する。
【実施例】
【0018】
材料をAl合金材、異種金属粉末をアルミニウム合金粉末、本発明の鋳物の穴内壁面への鋳物の穴内壁面への成膜工法について、NIP(Non Impregnation Process(含浸不要工法)の略称であり、鋳物に形成された穴(特にネジ下穴)の内壁面を高速度に、かつ過熱にならないように処理することにより鋳物に特有な鋳巣を分断及び消失させ、鋳物に形成されている鋳巣から流体が洩れないように金属組織を改質する鋳物の穴の内壁面処理方法であり、詳細は特開2004−202578号公報を参照。)処理の応用として、穴の内面に異種金属の粉末を結合させて、効果を観察・解析することを目的として、穴及び内面への粉末結合の試験を行った。
【0019】
試験方法は、試験機器にNCフライス盤(OKK製MHA550)、試験機治具として加圧ロッド(SKD61)、試験材料にAl合金材、そして異種金属粉末にアルミニウム合金粉末ASCM20−5Feを用いた。
【0020】
Al合金材の穴径8.3mm、深さ15mmに対して、NIP処理径を9.9mmとし、異種金属粉末を下穴径に穴の1/3を覆う量だけ投入して成膜させた。この際、加圧ロッドの送り速度は14mm/分(以下、送り速度aとする)、7mm/分(以下送り速度bとする)、3.5mm/分(以下、送り速度cとする)の3種類で成膜を試みたが、送り速度cでは成膜に失敗したので、内部組織の観察を行わなかった。
【0021】
成膜処理後、内部組織を観察した。解析方法は、試料を適切な大きさに切断後、研磨粒度0.04μm(直径)まで研磨し、鏡面にした後に金属顕微鏡で内部組織を観察した。
【0022】
以下に詳細を、結果と共に説明する。
【0023】
図6は、直方体状の鋳物であるAl合金材20の上面に複数のメクラ穴21を、図7に示すようにキリ径8.3mm、深さ15mmの底面をR形状に開けた例を示している。そして、その中の穴21A〜21Cについて、異種金属成膜用のアルミニウム合金粉末ASCM20−5Feを深さ約1/3まで投入し、加圧ロッドで下記表1に示す条件でNIP処理した。
【0024】
【表1】

即ち、穴21Aに対しては加圧ロッドの回転数7000rpm(以下、回転数dとする)、送り速度aでNIP処理し、穴21Bに対しては加圧ロッドの回転数d、送り速度bでNIP処理し、穴21Cに対しては加圧ロッドの回転数d、送り速度cでNIP処理し、図8に示すよう加工面からの深さ0.0mm、2.5mm、5.0mm、7.5mm、10.0mm、12.5mm及び15.0mmの各位置で変質層を観測した。
【0025】
変質層は図9に示すように、ASCM結合層、混在層(ASCM+NIP改質層)及びNIP改質層の3層で構成されている。そして、各穴21A〜21Cについて、ASCM結合層の厚さを、事前及び試験後で計測した。計測結果は下記表2であった。
【0026】
【表2】

表2からも分かるように、送り速度が遅くなると変質層の厚みが増す。即ち、送り速度aでは穴径が8.33mmから9.78mmに変化し、送り速度bでは穴径が8.36mmから9.86mmに変化した。また、異種金属粉末の厚みは送り速度aでは0.33mm、送り速度bでは0.59mmであった。
【0027】
図10(A)〜(F)及び図11は送り速度aの粉末結合と変質層の組織図(×50倍)であり、加工面からの深さ0.0〜7.5mmでは、(ASCM+NIP改質)混在層とNIP改質層が確認されたが、異種金属層であるASCM結合層は確認されなかった。加工面からの深さ10.0mm(図10(E))では、図9に示すような3層構造になった。加工面からの深さ12.5mm(図10(F))及び15.0mm(図11)では、ASCM結合層のみが確認された。
【0028】
図12及び図13は送り速度aにおけるASCM粉末と鋳物材料との結合状況を、加工面からの深さ7.5mm(図12)及び10.0mm(図13)について拡大した電子顕微鏡拡大写真である。図12(A)は100倍の拡大写真であり、図12(B)はその一部の拡大(×400倍)写真である。同様に図13(A)は100倍の拡大写真であり、図13(B)はその一部の拡大(×400倍)写真である。
【0029】
また、図14は送り速度aで、穴底部(加工面から15.0mm)におけるASCM粉末と成膜材料との結合状況を示す組織図であり、(A)は100倍、(B)はその一部(クラック)を示す400倍の組織図である。ASCM粉末は試験時に底部形状に沿って圧縮されたが、加圧ロッドが離れると穴底部とASCMの層間にクラックが生じたと考えられる。また、NIP改質層は存在せず、穴底部には粉末結合による組織への影響は殆ど無いと考えられる。
【0030】
更に、図15(A)〜(F)及び図16は送り速度bの粉末結合と変質層の様子を示す組織図(×50倍)であり、加工面からの深さ0.0〜5.0mmでは、(ASCM+NIP改質)混在層とNIP改質層が確認されたが、異種金属層であるASCM結合層は確認されなかった。加工面からの深さ7.5mm(図15(D))では、図7に示すような3層構造になった。加工面からの深さ10.0mm(図15(E))、12.5mm(図15(F))及び15.0mm(図16)では、ASCM結合層のみが確認され、更に15.0mm(図16)の位置ではASCM結合層にクラックが生じていた。
【0031】
図17及び図18は送り速度bにおけるASCM粉末と成膜材料との結合状況を、加工面からの深さ7.5mm(図17)、10.0mm(図18)について拡大した電子顕微鏡拡大写真である。図17(A)は100倍の拡大写真であり、図17(B)はその一部の拡大(×400倍)写真である。同様に図18(A)は100倍の拡大写真であり、図18(B)はその一部の拡大(×400倍)写真である。図19は送り速度bで、穴底部におけるASCM粉末と成膜材料との結合状況を示す拡大組織図であり、送り速度aの場合(図14参照)同様にクラックが発生した。
【0032】
また、下記の表3は、内部組織観察によるASCM結合層とNIP結合層の測定結果を、送り速度a及びbについて、加工面からの深さ0.0mm、2.5mm、5.0mm、7.5mm、10.0mm、12.5mm、15.0mmを比較して示している。
【0033】
【表3】

図20は表2と表3の結果を図面化したものであり、送り速度毎による変質層の厚みを比較して示している。図20では変質層の内訳は考慮していないが、先ず送り速度aの場合は、加工面から深さ7.5mm(穴側面)までは深さが増すにつれて膜厚が大きくなっており、深さ7.5mmを境に12.5mm(R形状)まで膜厚が小さくなり、15.0mm(穴底部)で膜厚が大きくなる。また、送り速度bの場合は、加工面から深さ5.0mm(穴側面)までは深さが増すにつれて膜厚が大きくなっており、深さ5.0mmを境に10.0mm(穴側面)まで膜厚が小さくなり、12.5mm(R形状)部分で膜厚が大きくなり、15.0mm(穴底部)では膜厚が小さくなった。
【0034】
一方、図21は送り速度aにおける変質層の内訳を示す図であり、加工面及び深さ2.5〜7.5mm(穴側面)までは、(ASCM+NIP改質)混在層とNIP改質層の2層に分かれており、深さが増すにつれて、(ASCM+NIP改質)混在層の占める割合が大きくなっている。深さ10.0mm(穴側面)の位置で(ASCM+NIP改質)混在層、NIP改質層とASCM結合層の3層構造が確認された。しかし、深さ12.5mm(R形状)と深さ15.0mm(穴底部)では、ASCM結合層(金属層)のみであった。
【0035】
図22は送り速度bにおける変質層の内訳を示す図であり、加工面及び深さ5.0mm(穴側面)の位置では、(ASCM+NIP改質)混在層とNIP改質層の2層に分かれており、深さ2.5mm(穴側面)の位置ではNIP改質層のみであった。深さ7.5mm(穴側面)の位置で(ASCM+NIP改質)混在層とASCM結合層の2層構造が確認された。しかし、深さ10.0mm(穴側面)〜深さ15.0mm(穴底部)ではASCM結合層(金属層)のみであった。
【0036】
また、表4は、送り速度と試験穴内部組織内訳の相関を示している。
【0037】
【表4】

送り速度aの場合は、加工面から深さ5.0mmまでと深さ10.0mmの位置ではNIP改質層が膜の中で大きな比率を占め、深さ7.5mmの位置では(ASCM+NIP改質)混在層が膜の中で大きな比率を占めた。そして、深さ12.5〜15.0mmの位置ではASCM結合層が膜の中で大きな比率を占めた。対して、送り速度bの場合は、加工面から深さ2.5mmまでの位置ではNIP改質層が膜の中で大きな比率を占め、深さ5.0mmの位置では(ASCM+NIP改質)混在層が膜の中で大きな比率を占めた。そして、深さ7.5〜15.0mmの位置ではASCM結合層が膜の中で大きな比率を占めた。
【0038】
図21、図22及び表4から、加工面から深さ7.5mmの部分が送り速度に関わらず、最良の成膜状態を示すことが知見された。
【0039】
図23は、加工面より深さ7.5mmの内部組織比較図であり、送り速度a(図23(A))、送り速度b(図23(B))である。また、図24は、試験穴底部の内部組織比較図であり、送り速度a(図24(A))、送り速度b(図24(B))である。
【0040】
以上のことから、ASCM粉末とNIP処理の関係について、送り速度の相違に関わらず、ASCM結合層は試験穴側面に結合した。また、ASCM結合層に隣り合ってNIP処理によるNIP改質層が確認された。穴底部では、ASCM結合層とAl合金材層(成膜材料)との間にクラックが発生し、同じく底部にはNIP処理によるNIP改質層は存在しなかった。
【0041】
また、送り速度による相違点の比較例として、工具の送り速度毎のASCM結合層の結合度合いを観察した。まず、送り速度を7mm/分(b)としたときでは、ASCM結合層は試験穴側面へ均一に結合した。次に、送り速度を14mm/分(a)としたときでは、ASCM結合層は試験穴底部方向へ集中的に結合していた。そして、3.5mm/分(c)としたときでは、試験中に工具から異音が発生し、トルクがかからない状態となり結合はしなかった。このことから、送り速度の下限は7mm/分(b)が妥当であると確認された。
【0042】
送り速度bとaにおける変質層の厚みの平均はそれぞれ、1000μmと931μmであった。このことから、送り速度が遅いほど変質層の厚みが増すことが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】従来の機能性膜の成膜生成例を示す図である。
【図2】本発明の成膜原理を説明するための図(メクラ穴)である。
【図3】本発明の成膜原理を説明するための図(メクラ穴)である。
【図4】本発明の成膜原理を説明するための図(メクラ穴)である。
【図5】本発明の成膜原理を説明するための図(貫通穴)である。
【図6】Al(アルミニウム)合金材に加工したメクラ穴の配置例を示す図である。
【図7】メクラ穴の詳細を示す断面図である。
【図8】内部組織変質層の各部計測位置を示す図である。
【図9】変質層の詳細を示す図である。
【図10】送り速度a(14mm/分)における変質層の様子を示す組織図である。
【図11】送り速度aにおける変質層の様子を示す組織図である。
【図12】送り速度a、加工面からの深さ7.5mmにおけるASCM粉末と素材(Al合金材)との結合状況を示す拡大組織図である。
【図13】送り速度a、加工面からの深さ10mmにおけるASCM粉末と素材(Al合金材)との結合状況を示す拡大組織図である。
【図14】送り速度aで、穴底部におけるASCM粉末と素材(Al合金材)との結合状況を示す拡大組織図である。
【図15】送り速度b(7mm/分)の粉末結合と変質層の様子を示す断面写真である。
【図16】送り速度bの粉末結合と変質層の様子を示す断面写真である。
【図17】送り速度b、加工面からの深さ7.5mmにおけるASCM粉末と素材(Al合金材)との結合状況を示す電子顕微鏡拡大写真である。
【図18】送り速度b、加工面からの深さ10mmにおけるASCM粉末と素材(Al合金材)との結合状況を示す電子顕微鏡拡大写真である。
【図19】送り速度bで、穴底部におけるASCM粉末と素材(Al合金材)との結合状況を示す電子顕微鏡拡大写真である。
【図20】送り速度による変質層の厚み比較図である。
【図21】送り速度aの変質層の内訳を示す図である。
【図22】送り速度bの変質層の内訳を示す図である。
【図23】加工面より深さ7.5mmの内部組織比較図である。
【図24】試験穴底部の内部組織比較図である。
【符号の説明】
【0044】
1、10 鋳物
1A、3A 変質層
2、21、21A、21B、21C 穴(メクラ穴)
3、13、103 成膜材料
4、14、101 加圧ロッド
11 穴(貫通穴)
12、102 バックアップロッド
20 Al(アルミニウム)合金材
100 シリンダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物の穴内に前記鋳物とは異なる金属粉末から成る成膜材料を投入し、前記穴の径よりもやや大きい径の加圧ロッドを回転させながら前記穴に嵌合させると共に、所定送り速度で降下させて押圧し、前記穴内面を軟化させ、前記成膜材料を塑性流動させて巻き込んで成膜させることを特徴とする鋳物の穴内壁面への成膜工法。
【請求項2】
前記鋳物がアルミニウム合金材である請求項1に記載の鋳物の穴内壁面への成膜工法。
【請求項3】
前記成膜材料がアルミニウム合金粉末である請求項1に記載の鋳物の穴内壁面への成膜工法。
【請求項4】
前記加圧ロッドの回転速度が5000〜10000rpmで、送り速度が5〜20mm/分である請求項1乃至3のいずれかに記載の鋳物の穴内壁面への成膜工法。
【請求項5】
前記穴の内壁面が前記成膜材料に対するNIP処理により成膜される請求項1乃至4のいずれかに記載の鋳物の穴内壁面への成膜工法。
【請求項6】
前記NIP処理により前記穴の内壁面に変質層を生じている請求項5に記載の鋳物の穴内壁面への成膜工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−179857(P2009−179857A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20639(P2008−20639)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(507087122)株式会社フルチュウ (5)
【Fターム(参考)】