説明

鋼床版検査装置

【課題】鋼床版の欠陥検査を行う際に迅速に欠陥場所を非破壊検出することが可能な鋼床版検査装置を提供する。
【解決手段】一方の開口を鋼床版Pに対向して配置される円環状の励磁コイル、及び励磁コイルの環内に励磁コイルと同軸に配設された検出コイルを備えたプローブ10を複数個備えており、被検体である鋼床版Pの上面を走行自在な台車2と、台車2に搭載され、台車2の走行方向と垂直な方向に往復動するアクチュエータ9とを備え、各プローブ10は、アクチュエータ9上に搭載され、アクチュエータ9の往復動方向に縦列して設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や橋梁などにおいて路盤の基礎として設置された鋼床版の欠陥を検査するための鋼床版検査装置に関し、特に、励磁コイルの作る磁界により鋼床版を励磁し、その応答磁場波形を検出コイルにより検出することにより前記鋼床版の検査を行う鋼床版検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
励磁コイルの作る磁界により被検体を励磁し、その応答磁場波形を検出コイルにより検出する非破壊検査装置としては、特許文献1に記載のものが公知である。特許文献1に記載の非破壊検査装置は、磁性体粉が注入されたコンクリートクラックの検査を行うものである。
【0003】
特許文献1の図1に記載の非破壊検査装置では、空心に巻かれたソレノイドコイル(4)を励磁コイルとして使用し、当該ソレノイドコイル(4)の中心軸上の上端と下端の二カ所に同一の直径・同一の巻数の検出コイル(5a,5b)を差動的に接続したプローブを使用している。ソレノイドコイル(4)に瞬間的大電流を流し、瞬間強磁界を発生させる。この瞬間強磁界によりコンクリートクラックに注入された磁性体粉が磁化され、応答磁界が発生し、その結果、検出コイル(5a,5b)に鎖交する磁束の差による電圧が誘導される。検出コイル(5a,5b)は、差動的に接続されているので励磁磁界を打ち消して応答磁界のみによる電圧を出力する。そして、この検出コイル(5a,5b)の出力波形からコンクリートクラックの深さ等の検査を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−133442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の非破壊検査装置は、既にコンクリートクラックの場所が発見されており、そのコンクリートクラック内に磁性体粉を注入することによって、クラックの深さ等の検査を行うものであった。
【0006】
しかしながら、道路や橋梁などにおいて路盤の基礎として設置された鋼床版の欠陥検査では、鋼床版は路面下に埋設されており欠陥の場所が不明であるため、まず欠陥の位置を特定する必要がある。しかも、検査領域が広域にわたるため、迅速に欠陥場所を検出する必要がある。従って、上記従来の非破壊検査装置をそのまま適用することができない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、鋼床版の欠陥検査を行う際に迅速に欠陥場所を非破壊検出することが可能な鋼床版検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る鋼床版検査装置の第1の構成は、励磁コイルの作る磁界により鋼床版を励磁し、前記鋼床版からの応答磁場波形を検出コイルにより検出することにより前記鋼床版の検査を行う鋼床版検査装置であって、
一方の開口を前記鋼床版に対向して配置される円環状の前記励磁コイルと、
前記励磁コイルの環内に前記励磁コイルと同軸に配設された前記検出コイルと、
を有するプローブを複数個備えており、
前記検出コイルの出力する電圧波形の変化に基づいて、前記鋼床版の欠陥の有無を検出する欠陥検出手段と、
被検体である鋼床版の上面を走行自在な台車と、
前記台車に搭載され、前記台車の走行方向と垂直な方向に往復動するアクチュエータと、を備え、
前記各プローブは、前記アクチュエータ上に搭載され、前記アクチュエータの往復動方向に縦列して設けられていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、台車を走行させながらアクチュエータを往復動させ、各プローブにより鋼床版の検査を行うことによって、一度の台車の走行により鋼床版上の広い領域の検査を実施することが可能となり、迅速に鋼床版の欠陥場所の検出を行うことが可能となる。
【0010】
本発明に係る鋼床版検査装置の第2の構成は、前記第1の構成において、前記プローブは、
前記励磁コイルの環内に前記励磁コイルと同軸に、前記検出コイルと、前記鋼床版に対して検出コイルよりも遠位側に配設された温度補償コイルを備えており、
前記検出コイルの出力する電圧と、前記温度補償コイルの出力する電圧との差電圧を増幅する差動アンプを備え、
前記欠陥検出手段は、前記差動アンプの出力する電圧波形の変化に基づいて、前記鋼床版の欠陥の有無を検出することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、励磁コイルから出力される応答磁場により誘導された検出コイルの電圧波形と、温度補償コイルから出力された電圧波形との差電圧を差動アンプによって増幅すると共に、欠陥によって変調された搬送波(キャリア)の搬送波成分のみを減少させ欠陥による信号をより際立たせ、更に励磁周波数と同じ周波数で90度位相の異なる二つの信号を用いてその信号を同期検波し欠陥に応じた信号成分を取り出すことで、欠陥の検出が可能となる。
【0012】
本発明に係る鋼床版検査装置の第3の構成は、前記第1又は2の構成において、前記欠陥検出手段が前記鋼床版の欠陥を検出したとき、前記鋼床版上にマーキングする指示信号であるマーキング信号を出力するマーキング制御手段と、
前記台車に搭載され、前記マーキング制御手段が前記マーキング信号を出力したときに、前記鋼床版上又は前記鋼床版を覆う路面上にマーカを付すマーカ装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、台車を走行させながら、欠陥検出手段が鋼床版の欠陥を検出するたびにマーカ装置により鋼床版上又は鋼床版を覆う路面上にマーカが付されるので、検査後に欠陥の位置を見つけるのが容易となり、欠陥修理の作業効率が向上する。
【0014】
ここで、マーカ装置としては、鋼床版上又は鋼床版を覆う路面上に顔料を噴射してマーカを付す装置や、シールを貼ることによってマーカを付す装置等を使用することができる。
【0015】
本発明に係る鋼床版検査装置の第4の構成は、前記第1乃至3の何れかの構成において、前記鋼床版の欠陥の位置を記憶する欠陥位置記憶手段と、
前記台車の走行距離を検出する距離検出手段と、
前記欠陥検出手段が欠陥を検出したときに、前記距離検出手段が検出する走行距離を取得し、前記欠陥位置記憶手段に保存する欠陥位置記録手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、欠陥検出手段が欠陥を検出した位置が欠陥位置記憶手段に記憶されるため、台車を走行させた後で、欠陥位置記憶手段に記憶された情報から鋼床版の欠陥の位置を特定することができる。また、差動アンプの出力波形を同時に記憶させておけば、波形の分析によりその欠陥の大きさや深さなどの情報も知ることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係る鋼床版検査装置によれば、台車を走行させながらアクチュエータを往復動させ、縦配列された複数のプローブで同時に鋼床版の検査を行うことによって、一度の台車の走行により鋼床版上の広い領域の検査を実施することが可能となり、迅速に鋼床版の欠陥場所の検出を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る鋼床版検査装置の外観図である。
【図2】図1の台車2の斜視図(a)及び走行時の動作状態を示す平面図(b)である。
【図3】図2の各プローブ10の平面図(a)、横断面図(b)、及び鋼床版P上の配置関係を表す模式図(c)である。
【図4】鋼床版検査装置1の信号処理系の構成を表すブロック図である。
【図5】プローブ10及び探傷器5の回路構成を示すブロック図である。
【図6】制御コンピュータ8による欠陥検出の動作を説明する図である。
【図7】欠陥検査中に制御コンピュータ8に表示される測定経過表示画面を示す図である。
【図8】欠陥検査後に制御コンピュータ8に表示される欠陥ビューワ画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明に係る鋼床版検査装置の外観図である。図1において、鋼床版検査装置1は、台車2と走行装置3を備えている。台車2は、4つの車輪を備えており、鋼床版の上面を走行自在とされている。台車2には、後述するようにアクチュエータ9、プローブ10、距離検出器11、マーカ装置12等が搭載される(図2、図4参照)。また、走行装置3は、台車2を牽引して自走するための車輌であり、検査を行う鋼床版上又は鋼床版が埋設された道路上を、走行装置3で台車2を牽引しながら鋼床版の欠陥の検査を行う。
【0021】
走行装置3は、駆動部4、探傷器5、電源供給部6、入出力装置7、及び制御コンピュータ8を備えている。駆動部4は走行装置3のエンジン部分であり、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、電気モータなどにより構成することができる。探傷器5は、台車2に搭載されたプローブ10によって検出される応答磁場による電圧波形から、鋼床版の欠陥の有無を検出する装置である。入出力装置7は、スイッチ、プリンタ、プロッタなどによって構成され、探傷器5の検出結果を記録・出力したり、作業者が探傷器5に対して動作指示を入力したりする装置である。電源供給部6は、探傷器5や入出力装置7や制御コンピュータ8に対して電力を供給する電源である。制御コンピュータ8は、探傷器5が検出する欠陥の位置を記憶・表示したり、探傷器5から応答磁場による電圧波形を取り込んで記憶・表示したり、探傷器5やアクチュエータ9のコントローラ等に対する動作指示を入力するためのコンピュータである。
【0022】
図2は、図1の台車2の斜視図(a)及び走行時の動作状態を示す平面図(b)である。図2において、台車2及び走行装置3は図1と同様のものである。尚、走行装置3の構造については省略している。台車2は、アクチュエータ9及び4つのプローブ10を搭載している。尚、プローブ10の数については、2個以上であればとくに数は限定しない。アクチュエータ9は、台車2の走行方向と垂直な方向に往復動することができる。各プローブ10は、アクチュエータ9上に搭載されており、アクチュエータ9の往復動方向に縦に配列されている。従って、アクチュエータ9が往復動しながら台車2が走行装置3により牽引走行されると、各プローブ10は、図2(b)に示す如く一定のストロークでジグザク乃至サイン・カーブ状の軌跡を描いて移動する。
【0023】
図3は、図2の各プローブ10の平面図(a)、横断面図(b)、及び鋼床版P上の配置関係を表す模式図(c)である。プローブ10は、励磁コイル21、検出コイル22、及び温度補償コイル23を備えている。励磁コイル21は、円環状コイルであり、励磁電流が入力されることによって鋼床版Pに対して励磁を行うためのコイルである。励磁コイル21は、図3(c)に示すように、一方の開口を鋼床版Pに対向して配置される。
検出コイル22は、励磁コイル21の環内に励磁コイル21と同軸に配設された円環状コイルである。検出コイル22は、励磁コイル21の発生するパルス磁場又は振動磁場によって鋼床版P内に誘導される誘導渦電流により生ずる応答磁場を検出するために設けられたコイルである。温度補償コイル23は、励磁コイル21の環内に励磁コイル21と同軸に配設された円環状コイルである。温度補償コイル23は、図3(c)に示す如く、検出コイル22よりも、励磁コイル21の鋼床版Pに対向する開口より遠位側に配設されている。尚、温度補償コイル23は、励磁コイル21の鋼床版Pより遠位側の開口よりも鋼床版Pに接近した位置に設けられており、検出コイル22と温度補償コイル23との位置関係は、図3(b)に示す如く、励磁コイル21の上下方向の中心に対して対称ではない。
【0024】
図4は、鋼床版検査装置1の信号処理系の構成を表すブロック図である。鋼床版検査装置1の信号処理系は、台車2、探傷器5、制御コンピュータ8、及びパワーアンプ15で構成されている。また、台車2には、4つのプローブ10、アクチュエータ・コントローラ9a、距離検出器11、及びマーカ装置12を備えている。パワーアンプ15には、各プローブ10に一対一対応して4つのアンプ回路24が設けられている。また、探傷器5には、各プローブ10に一対一対応して4つの探傷回路25が設けられている。また、制御コンピュータ8は、入出力ボード16を備えている。
【0025】
アクチュエータ・コントローラ9aはアクチュエータ9の動作を制御する回路である。アクチュエータ・コントローラ9aは、入出力ボード16を介して制御コンピュータ8に接続されており、制御コンピュータ8の指令に従ってアクチュエータ9の制御を行う。距離検出器11は、ロータリーエンコーダ等の距離検出手段であり、入出力ボード16を介して制御コンピュータ8に接続されている。距離検出器11は、制御コンピュータ8に対して距離カウント信号を出力する。制御コンピュータ8は、距離カウント信号によって台車2の走行距離を取得する。各探傷回路25は、入出力ボード16を介して制御コンピュータ8に接続されている。制御コンピュータ8は、各探傷回路25から入力される欠陥検出信号に基づき鋼床版Pの欠陥の有無を検出する。また、制御コンピュータ8は、欠陥を検出したとき、距離カウント信号によって検出した台車2の走行距離を、内部に設けられた欠陥位置記憶手段に保存する。
【0026】
マーカ装置12は、鋼床版P上に顔料を吹き付けるスプレー式の装置である。マーカ装置12は、入出力ボード16を介して制御コンピュータ8に接続されている。制御コンピュータ8は、鋼床版の欠陥を検出したとき、マーカ装置12に対しマーキング信号を出力する。マーカ装置12は、マーキング信号が入力されたときに、鋼床版P上にマーカを付す。
【0027】
図5は、プローブ10及び探傷回路25の回路構成を示すブロック図である。図5において、プローブ10、探傷回路25、励磁コイル21、検出コイル22、及び温度補償コイル23は、図2,図3の同符号のものと同様である。また、台車2には、励磁コイル21に印加する電流を増幅するためのアンプ24aと、検出コイル22の出力する電圧と、温度補償コイル23の出力する電圧との差電圧を増幅する差動アンプ24bとを備えたアンプ回路24が搭載されている。
【0028】
探傷回路25は、発振器31、平衡回路32、増幅器33、同期検波器34、フィルタ35、及び出力増幅器36を備えている。
【0029】
発振器31は、励磁コイル21に印加する電流波形の発振を行う。アンプ24aは、発振器31で生成された電圧波形(発振器信号)を増幅し、励磁コイル21に対し電流を印加する。この振動電流により鋼床版Pに渦電流が励起され、その渦電流により作られる応答磁場が検出コイル22及び温度補償コイル23に入力される。検出コイル22及び温度補償コイル23において、応答磁場により誘導された検出電圧波形の差電圧は、差動アンプ24bで増幅され、検出信号として平衡回路32に入力される。
【0030】
平衡回路32には、前記差動アンプ24bから検出信号が入力されるとともに、発振器31から発振器信号が入力される。検出信号と発振器信号は、同一周波数であるが、検出信号は発振器信号よりも位相が遅れている。平衡回路32は、発振器信号の位相と振幅を調整し、検出信号に重ね合わせることにより搬送波(キャリア)を打ち消し、欠陥検出信号を生成する。すなわち、発振器信号を検出信号と同一振幅・逆位相となるように調整し、調整した発振器信号を検出信号に加算する。これにより、回路のダイナミックレンジが拡大し、鋼床版Pの欠陥に基づく欠陥検出信号に対する増幅率を上げ、S/N比を向上させることができる。ここで、「搬送波」とは、発振器信号と同一の周波数成分の波をいう。
【0031】
増幅器33は、平衡回路32から出力される欠陥検出信号を増幅する。同期検波器34は、増幅器33で増幅された欠陥検出信号を同期検波する。フィルタ35は、同期検波器34から出力される検波された欠陥検出信号の高周波成分又は低周波成分を除去しノイズを低減するためのバンドパス・フィルタである。出力増幅器36は、フィルタ35から出力される欠陥検出信号を増幅し、制御コンピュータ8に出力する。
【0032】
以上のように構成された本実施例の鋼床版検査装置1について、以下その動作を説明する。
【0033】
まず、作業者は、走行装置3に搭乗し、制御コンピュータ8からアクチュエータ・コントローラ9aに対しアクチュエータ9の起動指示を入力する。これにより、アクチュエータ9は往復動を始める。また、作業者は、制御コンピュータ8から探傷器5に対して探傷開始指示を入力する。これにより、探傷器5内の各探傷回路25の発振器31は、発振器信号の出力を開始する。これにより、各プローブ10の励磁コイル21からは発振器信号に同期した振動磁場が鋼床版Pに対して入力され始める。そして、鋼床版Pに誘導された渦電流による応答磁場が各プローブ10の検出コイル22及び温度補償コイル23に入力される。各プローブ10の検出コイル22及び温度補償コイル23の出力する検出電圧波形は、各アンプ回路24で増幅され、検出信号として各探傷回路25に入力され、各探傷回路25は、欠陥検出信号を制御コンピュータ8に出力する。
【0034】
作業者は、走行装置3を走行させて、鋼床版P上を走行する。これにより、各プローブ10は、図2(b)に示したように鋼床版P上をジグザグに走行し、鋼床版P上の広い領域での探傷が行われる。
【0035】
制御コンピュータ8は、欠陥検出信号から鋼床版の欠陥を検出したとき、そのときの位置を距離カウント信号によって検出し、内部に設けられた欠陥位置記憶手段に保存する。同時に、制御コンピュータ8は、マーカ装置12に対しマーキング信号を出力し、マーカ装置12は、鋼床版P上にマーカを付す。これにより、鋼床版P上の欠陥が検出された位置にマーキングがされ、後の補修作業時に欠陥の存在位置を容易に見つけることができる。
【0036】
尚、図6は、制御コンピュータ8による欠陥検出の動作を説明する図である。図6(a)は欠陥検出信号を示し、図6(b)はマーキング信号を示す。鋼床版Pに欠陥が存在する場合、図6(a)のように欠陥検出信号に大きな変化が生じる。制御コンピュータ8は、この欠陥検出信号の変化が閾値(欠陥閾値)を超えたとき、鋼床版Pに欠陥が存在すると判定し、マーキング信号を出力する。
【0037】
図7は、欠陥検査中に制御コンピュータ8に表示される測定経過表示画面を示す図である。図8は、欠陥検査後に制御コンピュータ8に表示される欠陥ビューワ画面を示す図である。
【0038】
鋼床版P上の欠陥検査中には、制御コンピュータ8に図7のような測定経過表示部として検査イメージ出力41が表示される。このイメージ出力では、欠陥が検出された距離と欠陥を検出したプローブのチャネルが、視覚的に分かりやすいようにグラフ表示される。尚、イメージ出力41に表示されたグラフは、横軸が走行距離を表し、上段からチャネル1,2,3,4のプローブ10を表す。イメージ出力41の各チャネルに表示された線(欠陥検出マーク42)は、欠陥が検出された位置を表している。
【0039】
鋼床版P上の欠陥検査が終了した後、制御コンピュータ8には図8のような欠陥検査結果表示部としてのイメージ出力43が表示され、欠陥が検出された距離と欠陥を検出したプローブのチャネルが、視覚的に分かりやすいようにグラフ表示される。これらは、図7と同様である。このように、欠陥の位置をグラフ上に表示することで、作業者は欠陥の位置を視覚的に即座に認識することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 鋼床版検査装置
2 台車
3 走行装置
4 駆動部
5 探傷器
6 電源供給部
7 入出力装置
8 制御コンピュータ
9 アクチュエータ
9a アクチュエータ・コントローラ
10 プローブ
11 距離検出器
12 マーカ装置
15 パワーアンプ
16 入出力ボード
21 励磁コイル
22 検出コイル
23 温度補償コイル
24 アンプ回路
24a アンプ
24b 差動アンプ
25 探傷回路
31 発振器
32 平衡回路
33 増幅器
34 同期検波器
35 フィルタ
36 出力増幅器
41 イメージ出力
42 欠陥検出マーク
43 イメージ出力
44 欠陥検出マーク
P 鋼床版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励磁コイルの作る磁界により鋼床版を励磁し、前記鋼床版からの応答磁場波形を検出コイルにより検出することにより前記鋼床版の検査を行う鋼床版検査装置であって、
一方の開口を前記鋼床版に対向して配置される円環状の前記励磁コイルと、
前記励磁コイルの環内に前記励磁コイルと同軸に配設された前記検出コイルと、
を有するプローブを複数個備えており、
前記検出コイルの出力する電圧波形の変化に基づいて、前記鋼床版の欠陥の有無を検出する欠陥検出手段と、
被検体である鋼床版の上面を走行自在な台車と、
前記台車に搭載され、前記台車の走行方向と垂直な方向に往復動するアクチュエータと、を備え、
前記各プローブは、前記アクチュエータ上に搭載され、前記アクチュエータの往復動方向に縦列して設けられていることを特徴とする鋼床版検査装置。
【請求項2】
前記プローブは、
前記励磁コイルの環内に前記励磁コイルと同軸に、前記検出コイルと、前記鋼床版に対して検出コイルよりも遠位側に配設された温度補償コイルを備えており、
前記検出コイルの出力する電圧と、前記温度補償コイルの出力する電圧との差電圧を増幅する差動アンプを備え、
前記欠陥検出手段は、前記差動アンプの出力する電圧波形の変化に基づいて、前記鋼床版の欠陥の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載の鋼床版検査装置。
【請求項3】
前記欠陥検出手段が前記鋼床版の欠陥を検出したとき、前記鋼床版上にマーキングする指示信号であるマーキング信号を出力するマーキング制御手段と、
前記台車に搭載され、前記マーキング制御手段が前記マーキング信号を出力したときに、前記鋼床版上にマーカを付すマーカ装置と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の鋼床版検査装置。
【請求項4】
前記鋼床版の欠陥の位置を記憶する欠陥位置記憶手段と、
前記台車の走行距離を検出する距離検出手段と、
前記欠陥検出手段が欠陥を検出したときに、前記距離検出手段が検出する走行距離を取得し、前記欠陥位置記憶手段に保存する欠陥位置記録手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の鋼床版検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−107919(P2012−107919A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255574(P2010−255574)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(505413255)阪神高速道路株式会社 (46)
【出願人】(508061549)阪神高速技術株式会社 (20)
【出願人】(399102323)日本電測機株式会社 (4)
【Fターム(参考)】