説明

鋼材の切断工法

【課題】 構造物天面(内面)の養生や、切断後の後処理が不要であり、構造物天面(内面)に近接した切断が可能で、作業も短時間で行うことができる鋼材の切断工法を提供すること。
【解決手段】 コンクリート製の中空構造物に一端部及び他端部が埋設されて設けられた鋼材の少なくともいずれか一方の端部と対応する構造物内面に近い部位を切断する工法であって、鋼材2に着脱可能に取り付けられる本体8と、該本体に鋼材に対して接離可能に取り付けられる可動体と、該可動体に取り付けられる円盤状の砥石からなる回転式切断刃33及び該切断刃を回転駆動する駆動部材22と、前記可動体を接離させる作動部材30とを具えた切断装置の前記本体を、前記切断刃の表面が構造物内面と平行に近接した位置となるように鋼材2に取り付けた後、駆動部材22で切断刃33を高速回転しながら作動部材30で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材2を構造物1内面から僅かに残して切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば道路下にコンクリート構造物(地下鉄駅、地下道、トンネルなど)を開削工法で構築する際に設けられる中間杭を切断するのに好適であり、そのほかのコンクリート構造物に用いる基礎杭など中間杭に相当する鋼材を切断するのにも利用可能な切断工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路下にコンクリート構造物を開削工法によって構築する際の一般的な概略手順としては、(1)開削部に共にH型鋼からなる側壁杭及び中間杭の打設、(2)桁受けの下面まで掘削して桁受けの溝型鋼を取り付けた後、桁受けに覆工桁を取り付けるとともに、覆工桁に覆工板を載せて路面覆工を完了する路面覆工、(3)土留支保工(壁面が倒れないように支える)を設置する位置まで掘削した後、支保工の受け金具(溝型鋼など)を取り付けるとともに、支保工を取り付ける掘削・土留支保工、(4)掘削・土留支保工の繰り返し、所定の位置まで掘削、(5)底版(床)コンクリートを打設した後、支保工を撤去し、壁、柱コンクリートを構築するとともに、支保工を撤去して頂板(天井)コンクリートを打設する躯体構築、(6)支保工の撤去と路面覆工の受け替え、(7)中間杭撤去、路面覆工下端までの埋め戻し、(8)路面覆工撤去、受け替え柱引き抜き、(9)埋め戻し、舗装、施工完了、という作業となる。
【0003】
ところで、前記(7)の中間杭撤去に際しては、コンクリート構造物の壁に囲まれた空間内に表出した中間杭の天井壁近くの上端部をガス切断するとともに、該杭の下端部を同様に切断したうえ、グラインダーで研削していた。すなわち、構造物天面の熱養生(樹脂系の保護材の塗布など)した後、中間杭の上端部を構造物天面から30〜50mmの位置で切断し、切断後にグラインダーによって中間杭の研削を構造物天面から3〜5mmの位置まで行い、養生材を撤去することで行っている。このように従来の切断においてはガス切断をベースとするものであるから切断位置が構造物天面に近いと、ガスによる熱が中間杭を伝わって、コンクリートの劣化等の悪影響を及ぼす懸念があった。また、ガス切断に伴う構造物天面の養生、後処理作業が必要であり、特にグラインダーによる研削は多大な時間を要し、作業に時間を要するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、前記従来の技術の問題点を解決し、構造物天面(内面)の養生や、切断後の後処理が不要であり、構造物天面(内面)に近接した切断が可能で、作業も短時間で行うことができる鋼材の切断工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、コンクリート製の中空構造物に一端部及び他端部が埋設されて設けられた鋼材の少なくともいずれか一方の端部と対応する構造物内面に近い部位を切断する工法であって、鋼材に着脱可能に取り付けられる本体と、該本体に鋼材に対して接離可能に取り付けられる可動体と、該可動体に取り付けられる円盤状の砥石からなる回転式切断刃及び該切断刃を回転駆動する駆動部材と、前記可動体を接離させる作動部材とを具えた切断装置の前記本体を、前記切断刃の表面が構造物内面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物内面から僅かに残して切断することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、鋼材が上下端部を構造物に埋設して立設されており、切断装置の本体を、切断刃の上面が構造物天面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物天面から僅かに残して切断することを特徴とする。請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、鋼材がH型鋼からなる中間杭であり、該中間杭の両フランジの一側間に第1の切断装置の本体を取り付けるとともに、対向する両フランジの他側間に第2の切断装置の本体を取り付け、第1の切断装置の切断刃で中間杭の両フランジの一側と中間ウェブを切断した後、第2の切断装置で残っている両フランジの他側を切断することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、切断刃の切断側でない外周略半部の底面及び側面を覆うように飛散防止カバー体が取り付けられ、切断時に切断刃の刃こぼれを受けることを特徴とする。請求項5に記載の発明は、請求項4において、切断時に飛散防止カバー体に設けた噴射ノズルから切断刃の外周縁の周囲に向けて水を噴射させることを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかにおいて、本体に対して可動体が上下に揺動可能になっており、構造物天面が傾斜した面のとき、可動体を揺動し、該傾斜面に合わせて切断刃の上面を平行にすることを特徴とする。請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかにおいて、切断刃は、駆動部材の駆動軸と同軸となった軸によって取り付けられ、該軸の上端は切断刃の上面より僅かしか突出しないか、あるいは上面より凹んだ状態になっていることを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の発明は、コンクリート製の中空構造物に側部の一部が埋設されて立設された鋼材の構造物側面に近い部位を切断する工法であって、鋼材に着脱可能に取り付けられる本体と、該本体に鋼材に対して接離可能に取り付けられる可動体と、該可動体に取り付けられる円盤状の砥石からなる回転式切断刃及び該切断刃を回転駆動する駆動部材と、前記可動体を接離させる作動部材とを具えた切断装置の前記本体を、前記切断刃の上面が構造物側面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物側面から僅かに残して切断することを特徴とする。
【0010】
請求項9に記載の発明は、請求項8において、鋼材がH型鋼からなる中間杭であり、該中間杭の一方のフランジが構造物の側壁に埋設され、該中間杭の中間ウェブの側壁近くを側面から僅かに残して切断することを特徴とする。請求項10に記載の発明は、請求項8において、鋼材がH型鋼からなる中間杭であり、該中間杭の両フランジの一側が構造物の側壁に埋設されており、該中間杭の埋設された両フランジの一側と中間ウェブの間の側壁近くを側面から僅かに残して切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、前記のようであって、切断装置の本体を、切断刃の表面が構造物内面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物内面から僅かに残して切断するので、構造物に設けられた鋼材を構造物内面に近接した位置で切断することができる。しかも、構造物内面の養生、切断後の後処理作業が不要であるため、作業を短時間で行うことができる。したがって、鋼材切断に関連する、例えば開削工事の工期も大幅に短縮することができるとともに、コスト削減も図れる。また、前記のように養生を行わないため、養生による構造物内面の汚損がない。従来のようなガス切断によらず、高熱を生じさせないため、構造物に悪影響を与えない。また、設備は手運搬が可能であり、大型の運搬機を必要としない。切断刃の砥石の大きさや切断装置の構成部材を変えることによって大断面の鋼材も切断可能であるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
この発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。この実施の形態は、道路下に開削工法によってコンクリート製の中空構造物を構築中に、該構造物に上下端部が埋設されて立設されたH型鋼からなる中間杭(鋼材)を撤去するためにその構造物天面に近い部位を切断する工法を例として示す。この中間杭は仮設のものである。
【0013】
図1は、開削工法によって中間杭撤去、路面覆工下端までの埋め戻し作業中の状態を示す。1はコンクリート製の中空構造物、2はH型鋼からなる中間杭(鋼材)、3はH型鋼からなる受け替え柱である。図2は、構造物1内での中間杭2の切断作業を示し、図3は、その上部拡大図を示すものであるが、中間杭2の切断に際しては高所作業車(又は足場)5を使用して第1の切断装置6aと第2の切断装置6bによって行う。第1の切断装置6aと第2の切断装置6bは同じ構造からなっている。そのため、以下には、第1の切断装置6aの構成について説明し、第2の切断装置6bは同じ符号を付し説明を省略する。
【0014】
第1の切断装置6aは図4〜9に示すように、ブロック状の本体8を有し、該本体の両側に形成した溝9を中間杭2の両フランジ2a,2bに嵌め込んだ上、ボルト10で締付固定して両フランジ2a,2bの一側間に取り付けられる。本体8の中央部には穴11付き起立部12が設けられており、該起立部にはガイド部材13の一端部に設けた取付部14が奥側から手前側に当接した上、該取付部に形成の図示しない穴を穴11に合わせ、ボルトナット16で締め付け固定されている。取付部14には1対のガイドロッド17が平行に突出して設けられ、その先端部には蓋部18が着脱可能に取り付けられている。蓋部18にはガイドロッド17の先端が挿入する図示しないサイド穴部とセンター穴20が形成されている。センター穴20はネジ穴となっている。尚、ガイドロッド17の先端に取り付けられる蓋部18の構成は着脱可能であれば前記以外の構成、例えばサイド穴部を貫通孔とし、これから突出するガイドロッド17の先端をナットで固定するようにしてもよい。
【0015】
ガイドロッド17には駆動モータ22を支持した可動体23が摺動可能に挿入され、本体8すなわち中間杭2に対して接離可能になっている。可動体23には取付部25が固定されており、該取付部にはガイドロッド17が挿通するサイド穴26とセンター穴27が形成されている。センター穴27はネジ穴となっている。取付部25のセンター穴27には蓋部18のセンター穴20にも螺合するネジ付き作動ハンドル30の先端部が螺合して固定されるようになっている。駆動モータ22の駆動軸31は可動体23から上方に突出し、その突出部には円盤状の砥石からなる高速回転式切断刃33が取り付けられるようになっている。すなわち、図10(A)に示すように切断刃33の取付用六角穴付きボルト34の軸35と駆動軸31が長ナット36によって同軸に装着される。37はナット、38はワッシャーで、該ワッシャーと切断刃33の下面は接着剤で固定されている。このようにボルト34の頭部を切断刃33の上面より僅かしか突出しないようにして、切断刃33の上面が構造物1の天面に可及的に近づけることが可能になっている。切断刃33の上面が構造物1の天面に可及的に近づけるための構造としては他の例を採用してもよく、図10(B)はその例を示している。この例では切断刃33の中心部を上面より凹んだ状態にして、該凹部に軸35の先端やナット39を収容している。
【0016】
また、図8,9に詳示するように切断刃33の切断側でない外周略半部の底面及び側面を覆うように飛散防止カバー体41が取り付けられていて、切断時に切断刃33の刃こぼれを受けるようになっている。カバー体41は略半円形状の底壁42と、該底壁の外周に沿って立設された側壁43からなっている。側壁43には図示しない噴射ノズルが装着され、該ノズルから切断刃33の外周縁の周囲に向けて水を噴射させることが可能になっている。
【0017】
切断作業の前作業として、第1の切断装置6aと第2の切断装置6bを中間杭2の上端部に取り付けるが、その取り付けは次のような手順にて行う。すなわち、まず本体8をその両側に形成した溝9が中間杭2の両フランジ2a,2bに嵌まるようにして挿し込み、ボルト10で締付固定する(図4)。本体8の固定後、ガイド部材13の取付部14を本体8の起立部12に当接し、両部に設けた穴に差し込んだボルトナット16で締付固定する。ガイド部材13の固定後、ガイド部材13から一旦、蓋部18を外し、ガイドロッド17の先端から可動体23をそのサイド穴26を利用して挿し込み、可動体23をガイドロッド17に沿って摺動可能な状態に保持する(図6)。しかる後、蓋部18を再びガイドロッド17の先端に取り付けるとともに、該蓋部のセンター穴20に作動ハンドル30を螺合し、その先端をさらに取付部25のセンター穴27にねじ込み固定する(図7)。
【0018】
次に、切断刃33の中心穴を駆動モータ22の駆動軸31に合わせたうえ、ボルト34を中心穴上から挿し込み、その軸35先端を長ナット36に螺合して固定する(図8,9,10)。図示していないが、ボルト34と切断刃33の相対的回転を防止するための手段を採ってもよい。さらに、カバー体41を取り付けて、切断刃33の切断側でない外周略半部の底面及び側面を覆う。これで中間杭2の両フランジ2a,2bの一側間に第1の切断装置6aが取り付けられた状態になる。同様にして、中間杭2の両フランジ2a,2bの他側間にも第1の切断装置6aと対応する位置に第2の切断装置6bを取り付ける。この取付け作業は5m位の高さとなる構造物1の天面近くの高所作業となるため、作業者が高所作業車5に乗って行うこととなる。この取付け状態では切断刃33の上面と構造物1の天面との間は3〜5mm程度の僅かな間隔となる。
【0019】
前記のような準備が整った後、切断作業を行う。まず、図11,12に示すように、例えば第1の切断装置6aを中間杭2から離れた待機位置のまま、第2の切断装置6bの駆動モータ22に通電して切断刃33を高速回転した状態で、作動ハンドル30を回して可動体23をガイドロッド17上を摺動させて中間杭2に接近させると、切断刃33が中間杭2の両フランジ2a,2bの他側を切断して行く。そして、中間ウェブ2cまで切断すると、そこで切断を終了する。そして作動ハンドル30を反対に回して可動体23をガイドロッド17上を摺動させて中間杭2から離間させ、元の待機位置に停止させる。待機位置に停止した後、同様に第1の切断装置6aの駆動モータ22に通電して切断刃33を高速回転した状態で、作動ハンドル30を回して可動体23をガイドロッド17上を摺動させて中間杭2に接近させると、切断刃33が中間杭2の両フランジ2a,2bの一側を切断して行く。そして、切断された中間ウェブ2c近くまで行くと、中間杭2は完全に切断される。切断後、同様に作動ハンドル30を反対に回して可動体23をガイドロッド17上を摺動させて中間杭2から離間させ、元の待機位置に停止させる。これで中間杭2は構造物1の天面から僅かに残して、その上端部が切断される。切断作業に際し、切断される中間杭2や切断刃33の刃こぼれなどが周囲に飛散することがあるが、この飛散物はカバー体41によって飛散が防止され、作業者の安全が図られる。しかも、飛散粉塵は前記ノズルからの水の噴射により同様に飛散が防止される。
【0020】
切断作業の終了後、第1の切断装置6a及び第2の切断装置6bとも中間杭2から取り外され、本体8、可動体23など必要な構成部材ごとに分解され、取付け前の状態に戻される。上端部が切断された中間杭2は、その後、下端部が図示しない別の切断装置で切断され、構造物1内から撤去される。
【0021】
前記のように中間杭2は構造物1の天面から僅か3〜5mm程度残して切断され、従来のように30〜50mmも残すことがないので、従来のように切断後にさらにグラインダーによる研削を行うという必要がなく、一回の切断で仕上げまで行うことができる。また、従来のようにガス切断を行うものではないから、構造物1の天面にガスによる熱での悪影響を及ぼすこともなくなり、養生が不要となる。したがって、短時間で仕上げまで完了することができる。また、第1の切断装置6a及び第2の切断装置6bを構成する部材も軽量で組立も簡易で取扱い易い。
【0022】
図13(A),(B)は、構造物1’の天面が前記のように水平ではなく、傾斜しているようなときにも対応できるようにしたものであり、切断装置6a,6bの本体8が中間杭2に取り付けられる本体部8aと揺動部8bに分割されて別体となっており、揺動部8bが本体部8aに対して矢印で示すように上下に揺動可能になっている。すなわち、本体部8aの両側内面に設けた枢軸46に分割部の両側外面に設けた孔部47が枢支されることにより、揺動部8bが本体部8aに対して揺動する。このような構成にすると、構造物1’の天面が傾斜面であっても、切断刃33の上面を該傾斜面と平行に、かつ近接して配置することができ、前記と同様に中間杭2を構造物1’の天面近くで切断することができる。
【0023】
図14(A),(B)は別の実施の形態を示し、前記実施の形態が専ら中間杭2の上端部を切断するのに対して、H型鋼からなる中間杭2の一方のフランジ2bが構造物1の側壁に埋設されているような場合にも、切断装置の切断刃33で中間杭2の中間ウェブ2cの側壁近くを側面から僅かに残して切断することができるようになっている。この場合には切断装置を中間杭2への取付けが若干異なるとともに、切断刃33による切断が中間杭2の長さ方向に沿う形となる。
【0024】
図15はさらに前記の変形例であって、H型鋼からなる中間杭2の両フランジの2a,2b一側が構造物1の側壁に埋設されているような場合に、中間杭2の埋設された両フランジ2a,2bの一側と中間ウェブ2cの間の側壁近くを側面から僅かに残して切断することができるようになっている。
【0025】
前記各実施の形態では鋼材として中間杭2を例示したが、中間杭2に限らず、基礎杭としての丸鋼管の切断にも適用できる。また、中間杭2をH型鋼とした例で説明したが、必ずしもH型鋼でなくともよい。また、切断装置として第1の切断装置6a及び第2の切断装置6bを挙げたが、これも必ずしも両装置を必要とするものでなく、いずれか一方のみで中間杭2の両フランジ2a,2bの一側を切断した後に他側に取付け替えして他側を切断するように代替え使用してもよいし、或いは切断刃33の径を大きくして一回の切断作業で一挙に切断完了することができれば、いずれか一方だけでもよい。また、切断装置を構成する部材は一例を示すものであって、例えば作動ハンドル30に代えてモータを採用してもよい等、細部の設計的なところは実施に際して任意に変更、修正することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施の形態である開削工法によって中間杭撤去、路面覆工下端までの埋め戻し作業中の状態を示す断面図である。
【図2】同上における構造物内での中間杭の切断作業を示す断面図である。
【図3】図2の切断している中間杭の上部付近を示す拡大図である。
【図4】第1の切断装置の本体を中間杭へ取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】同上の本体へガイド部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】同上のガイド部材へ可動体を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図7】同上の可動体へ作動ハンドルを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】同上の可動体へ切断刃及びカバーを取り付ける前の状況を示す斜視図である。
【図9】同上の可動体へ切断刃及びカバーを取り付けた後の状態を示す斜視図である。
【図10】(A)は、切断刃を六角穴付きボルトで駆動軸に取り付けた状態の部分図、(B)は、別の例を示す部分図である。
【図11】切断刃で中間杭を切断している状況を示す斜視図である。
【図12】(A)は、切断刃で中間杭の両フランジの他側を切断している状況を示す概略平面図、(B)は、同中間杭の両フランジの一側を切断している状況を示す概略平面図である。
【図13】構造物の天面が水平ではなく、傾斜しているようなときにも対応できるようにしたもので、(A)は、構造物内での中間杭の切断作業を示す断面図、(B)は、それに用いられる切断装置の本体の斜視図である。
【図14】別の実施の形態を示し、(A)は、構造物内での中間杭の切断作業を示す正面図、(B)は、平断面図である。
【図15】図14の変形例を示す平断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 コンクリート製の中空構造物 2 中間杭(鋼材)
2a,2b フランジ 3 受け替え柱
5 高所作業車 6a 第1の切断装置
6b 第2の切断装置 8 本体
10 ボルト 11 穴
12 起立部 13 ガイド部材
14,25 取付部 16 ボルトナット
17 ガイドロッド 18 蓋部
20 センター穴 22 駆動モータ
23 可動体 26 サイド穴
27 センター穴 30 作動ハンドル
31 駆動軸 33 切断刃
34 取付用六角穴付きボルト 35 軸
36 長ナット 37 ナット
38 ワッシャー 41 飛散防止カバー体
42 底壁 43 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の中空構造物に一端部及び他端部が埋設されて設けられた鋼材の少なくともいずれか一方の端部と対応する構造物内面に近い部位を切断する工法であって、鋼材に着脱可能に取り付けられる本体と、該本体に鋼材に対して接離可能に取り付けられる可動体と、該可動体に取り付けられる円盤状の砥石からなる回転式切断刃及び該切断刃を回転駆動する駆動部材と、前記可動体を接離させる作動部材とを具えた切断装置の前記本体を、前記切断刃の表面が構造物内面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物内面から僅かに残して切断することを特徴とする鋼材の切断工法。
【請求項2】
鋼材が上下端部を構造物に埋設して立設されており、切断装置の本体を、切断刃の上面が構造物天面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物天面から僅かに残して切断する請求項1記載の鋼材の切断工法。
【請求項3】
鋼材がH型鋼からなる中間杭であり、該中間杭の両フランジの一側間に第1の切断装置の本体を取り付けるとともに、対向する両フランジの他側間に第2の切断装置の本体を取り付け、第1の切断装置の切断刃で中間杭の両フランジの一側と中間ウェブを切断した後、第2の切断装置で残っている両フランジの他側を切断する請求項1又は2記載の鋼材の切断工法。
【請求項4】
切断刃の切断側でない外周略半部の底面及び側面を覆うように飛散防止カバー体が取り付けられ、切断時に切断刃の刃こぼれを受ける請求項1ないし3のいずれかに記載の鋼材の切断工法。
【請求項5】
切断時に飛散防止カバー体に設けた噴射ノズルから切断刃の外周縁の周囲に向けて水を噴射させる請求項4記載の鋼材の切断工法。
【請求項6】
本体に対して可動体が上下に揺動可能になっており、構造物天面が傾斜した面のとき、可動体を揺動し、該傾斜面に合わせて切断刃の上面を平行にする請求項2ないし5のいずれかに記載の鋼材の切断工法。
【請求項7】
切断刃は、駆動部材の駆動軸と同軸となった軸によって取り付けられ、該軸の上端は切断刃の上面より僅かしか突出しないか、あるいは上面より凹んだ状態になっている請求項2ないし6のいずれかに記載の鋼材の切断工法。
【請求項8】
コンクリート製の中空構造物に側部の一部が埋設されて立設された鋼材の構造物側面に近い部位を切断する工法であって、鋼材に着脱可能に取り付けられる本体と、該本体に鋼材に対して接離可能に取り付けられる可動体と、該可動体に取り付けられる円盤状の砥石からなる回転式切断刃及び該切断刃を回転駆動する駆動部材と、前記可動体を接離させる作動部材とを具えた切断装置の前記本体を、前記切断刃の上面が構造物側面と平行に近接した位置となるように鋼材に取り付けた後、駆動部材で切断刃を高速回転しながら作動部材で可動体を鋼材に接近させることにより鋼材を構造物側面から僅かに残して切断することを特徴とする鋼材の切断工法。
【請求項9】
鋼材がH型鋼からなる中間杭であり、該中間杭の一方のフランジが構造物の側壁に埋設され、該中間杭の中間ウェブの側壁近くを側面から僅かに残して切断する請求項8に記載の鋼材の切断工法。
【請求項10】
鋼材がH型鋼からなる中間杭であり、該中間杭の両フランジの一側が構造物の側壁に埋設されており、該中間杭の埋設された両フランジの一側と中間ウェブの間の側壁近くを側面から僅かに残して切断する請求項8に記載の鋼材の切断工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−138559(P2007−138559A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334056(P2005−334056)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000216025)鉄建建設株式会社 (109)
【Fターム(参考)】