鋼製主桁と下部工との接合構造
【課題】 施工性を向上させ、コストを削減させる。
【解決手段】 床版1と鋼製主桁2と橋台3とから構成される鋼ポータルラーメン橋の鋼製主桁2と橋台3との接合構造であって、鋼製主桁2の端部は、橋台3の上部に埋め込まれ、この橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2のフランジ21およびウェブ22には、複数の開孔部21a,22aが設けられている。また、橋台3において、鉛直方向に延びる複数の橋台主鉄筋31は、その上端部31aが橋軸方向に屈曲させられている。この上端部31aは、上部側の床版鉄筋11と下部側の床版鉄筋11との間に入れられる。
【解決手段】 床版1と鋼製主桁2と橋台3とから構成される鋼ポータルラーメン橋の鋼製主桁2と橋台3との接合構造であって、鋼製主桁2の端部は、橋台3の上部に埋め込まれ、この橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2のフランジ21およびウェブ22には、複数の開孔部21a,22aが設けられている。また、橋台3において、鉛直方向に延びる複数の橋台主鉄筋31は、その上端部31aが橋軸方向に屈曲させられている。この上端部31aは、上部側の床版鉄筋11と下部側の床版鉄筋11との間に入れられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製主桁と下部工との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、鋼・コンクリート合成桁橋では、鋼製主桁と鉄筋コンクリート床版との間に生じるずれを防止するために、ずれ止めを用いて鋼製主桁と鉄筋コンクリート床版を結合させている。このようなずれ止めとしては、鋼製主桁のフランジ上に取り付けられるスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルがある(非特許文献1参照)。
【0003】
また、下記特許文献1には、鋼製主桁の上下フランジおよびウェブに孔あき鋼板ジベルを溶接することや、鋼製主桁の上下フランジまたはウェブに開孔部を設けて、この開孔部に橋脚部主鉄筋または抵抗鋼材を挿通することによって、ずれ止め効果を向上させている。
【非特許文献1】「鋼・コンクリート複合構造の理論と設計(2)応用編:設計編」、土木学会、平成11年4月30日、第1版、第1刷、第9−14頁
【特許文献1】特許第3660826号公報(第8図、第10図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ずれ止めとして、鋼製主桁の上下フランジおよびウェブにスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルを取り付ける場合には、別部材として用意されたスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルを鋼製主桁に取り付ける工程が必要となるため、作業工程が煩雑になるとともにコスト増の要因になっていた。
【0005】
また、従来の孔明き鋼板ジベルは、主として押し抜きせん断耐力を考慮して(押し抜きせん断状態を想定して)開発や実施がなされている。この場合、せん断面に対して垂直方向に半無限に存在するコンクリート躯体によって拘束されることが想定されている。一方、この拘束力に関する研究も多く行なわれてきている。例えば、床版内に従来の孔明き鋼板ジベルの板の面を水平に配置することも考えられる。しかしながら、この場合には、片面方向すなわち床版の上面が自由面となるため、半無限的にあるコンクリートで両側から拘束されている場合に比べて、床版の上面側からの拘束力が弱く、ジベルによるずれ止め効果をあまり期待することができない。
【0006】
さらに、従来の鋼製主桁に設けられた開孔部は、この開孔部に橋脚部主鉄筋または抵抗鋼材を通すために設けられている。したがって、この場合には構造が複雑になり、コスト増の要因になっていた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、ずれ止め効果および施工性を向上させ、コストを削減させることができる鋼製主桁と下部工との接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造は、橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、鋼製主桁は、下部工の上部に埋め込まれ、下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁のフランジには、ずれ止めの開孔部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、鋼製主桁のフランジに開孔部が設けられているため、この鋼製主桁を下部工の上部に埋め込むときに、この開孔部に橋台を構築するためのコンクリートを充填させることができる。これにより、鋼製主桁と周囲のコンクリートとが一体化されるため、鋼製主桁と下部工との間のずれに対する抵抗力を増強させることができる。鋼製主桁本体に孔を開けることで、ずれ止め効果が得られるため、施工性を向上させることができるとともに、コストを削減することもできる。
【0010】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、床版主鉄筋および床版配力鉄筋は、上記下部工の上方では、床版主鉄筋が床版配力鉄筋の下側に配筋されていることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、床版配力鉄筋で床版主鉄筋を上方から抑えることができるため、床版主鉄筋の下部にあるコンクリートによる鋼製主桁の上フランジへの支圧力を大きくすることができる。すなわち、床版に配筋されている床版主鉄筋と床版配力鉄筋の一部の配置関係を入れ替えるだけで、床版と下部工との一体化をより強固にすることができる。これにより、コストを低く抑えつつ、結合部における耐力を増大させることができる。
【0012】
また、本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造は、橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、鋼製主桁は、下部工の上部に埋め込まれ、橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、床版主鉄筋および床版配力鉄筋は、下部工の上方では、床版主鉄筋が床版配力鉄筋の下側に配筋されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、床版配力鉄筋で床版主鉄筋を上方から抑えることができるため、床版主鉄筋の下部にあるコンクリートによる鋼製主桁の上フランジへの支圧力を大きくすることができる。すなわち、床版に配筋されている床版主鉄筋と床版配力鉄筋の一部の配置関係を入れ替えるだけで、床版と下部工との一体化をより強固にすることができる。これにより、コストを低く抑えつつ、結合部における耐力を増大させることができる。
【0014】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方を通過する床版主鉄筋のうち、いずれか複数の床版主鉄筋を上方から拘束するための橋軸方向の拘束筋を、鋼製主桁の両側に配筋することが好ましい。このようにすれば、下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁を、上方からより強固に拘束させることができる。
【0015】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方に配筋されている床版配力鉄筋を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を配筋することが好ましい。このようにすれば、下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁を、上方からより強固に拘束させることができる。
【0016】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記下部工は橋台であり、当該橋台には鉛直方向の橋台主鉄筋が複数配筋されており、橋台主鉄筋は、当該橋台主鉄筋の上端部が橋軸方向に屈曲させられて、当該上端部が、橋台の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方、かつ、床版主鉄筋および床版配力鉄筋の下方に位置することが好ましい。このようにすれば、橋梁床版と橋台とをより強固に一体化させることができる。
【0017】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記鋼製主桁の上方に位置する橋台主鉄筋の上端部を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を、橋台の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方に位置するように配筋することが好ましい。このようにすれば、橋台主鉄筋の上端部を、上方からより強固に拘束することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る鋼製主桁と下部工との接合構造によれば、ずれ止め効果および施工性を向上させ、コストを削減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る鋼製主桁と下部工との接合構造を有する橋梁の実施形態を図面に基づき説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1および図2を参照して、本発明の実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造を有する鋼ポータルラーメン橋について説明する。図1は、鋼ポータルラーメン橋の側面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。
【0021】
図1に示すように、鋼ポータルラーメン橋は、上部工を構成する床版1および鋼製主桁2と、下部工を構成する橋台3とに大別される。第1実施形態における鋼製主桁2は、I断面型であり、上下のフランジ21と、このフランジ間を連結するウェブ22とから構成される。なお、鋼製主桁は、I断面型には限定されず、箱断面型であってもよい。また、橋台3は、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート等のコンクリート製の構造物である。
【0022】
図3〜図5を参照して、第1実施形態における鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明する。図3は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図4は、図3のB−B断面図であり、図5は、図3のC−C断面図である。なお、図3は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等を省略している。
【0023】
図3および図4に示すように、鋼製主桁2の端部は、橋台3の上部に埋め込まれ、橋台3と一体化されている。鋼製主桁2の端部にある上下のフランジ21およびウェブ22には、複数の開孔部21a,22aが設けられている。すなわち、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上下のフランジ21およびウェブ22には、複数の開孔部21a,22aが設けられている。これらの開孔部21a,22aは、上部工と下部工との間のずれ止めとして機能する。具体的に説明すると、鋼製主桁2の上下のフランジ21やウェブ22に開孔部21a,22aを設けて、この開孔部21a,22aに、橋台3を構築するためのコンクリートを充填することによって、鋼製主桁2と周囲のコンクリートとが分離しないように一体化させることができる。これにより、鋼製主桁2と橋台3との間のずれに対する抵抗力を増強させることができる。なお、開孔部21a,22aは、必ずしも複数設けることを要さず、一の開孔部21a,22aを設けることとしてもよい。
【0024】
このように、鋼製主桁2本体に孔を開けることにより、従来の孔明き鋼板ジベルによって得られる効果を奏することができる。したがって、従来の孔明き鋼板ジベルのように、鋼製主桁2本体に孔あき鋼板ジベル等の他部材を取り付けることなく、同様の効果を得ることができる。これにより、コストを削減することができる。また、橋台3のコンクリートを鋼製主桁2の開孔部21a,22aに充填することによって鋼製主桁2を拘束するため、上述した背景技術のように開孔部に橋脚部主鉄筋や抵抗鋼材貫通鉄筋を挿通する必要がなく、構造を単純にすることができる。これにより、施工性を向上させることができるとともに、コストを削減することもできる。また、橋台3のコンクリートで鋼製主桁2と橋台3を一体化するため、鋼製主桁2の溶接欠陥に対して配慮する必要がない。
【0025】
また、第1実施形態における接合構造では、床版1の上面からの拘束力は期待できない。しかしながら、鋼製主桁2と橋台3の接合部では、鋼製主桁2に載荷される荷重P(自動車荷重等による活荷重や、自重による死荷重)によって、鋼製主桁2に曲げモーメントが働くため、この曲げモーメントによって接合部にある鋼製主桁2の上下のフランジ21面に支圧力PAがかかる(図18参照)。また、この曲げモーメントによって支圧力PA(圧縮力)がかかる上下のフランジ21部分の反対側に位置するフランジ21部分には引張力PBが働く(図19参照)。鋼製主桁2に載荷される荷重が大きくなればなるほど、この曲げモーメントは大きくなる。これに伴い、床版1に配筋されている後述する床版鉄筋による鋼製主桁2の上方にあるコンクリートを鋼製主桁2に押し付ける力が大きくなる。これにより、開孔部21a,22aによる抵抗力が大きくなる。つまり、鋼製主桁2に載荷される荷重が大きくなればなるほど、開孔部21a,22aによる抵抗力が大きくなり、安定する。したがって、特に、鋼製主桁2の上下のフランジ21に開孔部21aを設ける構造は、この力学的な機構を利用した合理的な構造であるといえる。
【0026】
図4および図5に示すように、床版1には、その上部と下部のそれぞれに床版鉄筋11が配筋されている。それぞれの床版鉄筋11は、橋軸直角方向に配筋された複数の床版主鉄筋11aと、橋軸方向に配筋された複数の床版配力鉄筋11bとで構成されている。床版鉄筋11は、橋台3の上方においては、床版主鉄筋11aの上部に床版配力鉄筋11bが位置するのに対し、橋台3の上方以外においては、床版主鉄筋11aの下部に床版配力鉄筋11bが位置する。すなわち、橋台3の上方とそれ以外とでは、床版主鉄筋11aと床版配力鉄筋11bの上下の位置関係が逆転する。このように、橋台3の上方で、床版主鉄筋11aを、床版配力鉄筋11bの下部に位置させることによって、床版配力鉄筋11bで床版主鉄筋11aを上方から抑えることができるため、床版主鉄筋11aの下部にあるコンクリートによる鋼製主桁2の上フランジ21への支圧力を大きくすることができる。これにより、鋼製主桁2に載荷された荷重(活荷重・死荷重)を、鋼製主桁2が組み込まれた橋台3と床版1とを一体化させるための力として有効に利用することができる。
【0027】
このように、床版1に配筋されている床版主鉄筋11aと床版配力鉄筋11bの一部の配置関係を入れ替えるだけで、床版1と橋台3との一体化をより強固にすることができる。これにより、コストを低く抑えつつ、結合部における耐力を増大させることができる。
【0028】
図3に示すように、橋台3には、鉛直方向に延びる複数の橋台主鉄筋31が配筋されている。図4および図5に示すように、橋台主鉄筋31は、その上端部31aが橋軸方向に屈曲させられている。この上端部31aは、上部側の床版鉄筋11と下部側の床版鉄筋11との間に入れられる。本発明における実施形態では、上端部31aを橋軸方向に屈曲させた橋台主鉄筋31のことを、その形状からL字筋31と呼ぶことにする。このようなL字筋31を設けることで、床版1と橋台3とをより強固に一体化させることができる。また、図5に示すように、L字筋31を、橋台3の上部以外にも設けることで、床版1と橋台3との一体化をより強固にすることができる。なお、図1〜図3に示すL字筋31は、内側と外側で2段に配筋されているが、L字筋31の配筋方法はこれに限られず、L字筋31を、1段だけ配筋することとしてもよいし、3段以上配筋することとしてもよい。
【0029】
このようなL字筋31を設けることによって、橋台3の上部に組み込まれている鋼製主桁2を上方からより強固に拘束することができる。これにより、結合部における橋台3と床版1とをより強固に一体化させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0030】
なお、上述した第1実施形態では、鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明しているが、下部工が橋台と橋脚によって構成されている場合には、鋼製主桁と橋脚との接合構造にも適用することができる。ただし、鋼製主桁と橋脚との接合構造の場合には、L字筋31は適用されない。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6および図7を参照して、第2実施形態における鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明する。図6は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図7は、図6のD−D断面図である。なお、図6は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(橋軸直角拘束筋12を除く)を省略している。
【0032】
図6および図7に示すように、第2実施形態における鋼製主桁と橋台の接合構造には、L字筋31の上端部31aを上方から拘束するための橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12がさらに配筋されている点で、第1実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造とは異なる。したがって、それ以外の構成については、第1実施形態における各構成と同様であるため、各構成要素には同一の符合を付してその説明を省略するとともに、以下においては第1実施形態との相違点について詳述する。
【0033】
図6および図7に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近上には、橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12が3本配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12は、コ字状に形成されており、L字筋31の上端部31aに当接して配筋されている。このような橋軸直角拘束筋12を、L字筋31の上端部31a先端付近に配筋することによって、L字筋31の上端部31aの先端を、上方からより強固に拘束することができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。なお、図6および図7に示す橋軸直角拘束筋12は、3本配筋されているが、橋軸直角拘束筋12の配筋本数はこれに限られず、2本以下の橋軸直角拘束筋12を配筋することとしてもよいし、4本以上の橋軸直角拘束筋12を配筋することとしてもよい。また、橋軸直角拘束筋12の両端部を、上フランジ21の開孔部21aに挿入することとしてもよい。
【0034】
[第2実施形態の変形例]
なお、上述した第2実施形態における橋軸直角拘束筋12は、L字筋31上に当接して配筋されているが、橋軸直角拘束筋12を配筋する位置は、これに限定されない。例えば、橋軸直角拘束筋12を、床版配力鉄筋11b上に当接して配筋させてもよい。
【0035】
図8〜図10を参照して、第2実施形態の第1変形例における橋軸直角拘束筋12の配筋位置について説明する。図8は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図9は、図8のE−E断面図であり、図10は、図8の橋軸直角拘束筋12付近Xを拡大した図である。なお、図8は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版配力鉄筋11bおよび橋軸直角拘束筋12を除く)を省略している。
【0036】
図8〜図10に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近上方にある床版鉄筋11の上には、3本の橋軸直角拘束筋12が配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12は、床版配力鉄筋11bに当接して配筋されている。このような橋軸直角拘束筋12を、L字筋31の上端部31a先端付近、かつ床版配力鉄筋11bの上に配筋することによって、床版配力鉄筋11bとともにL字筋31を上方から抑え込むことができる。したがって、L字筋31の先端部を、上方から拘束する力をより増強させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0037】
また、上述した第2実施形態または第2実施形態の第1変形例における橋軸直角拘束筋12は、L字筋31の上端部31a先端付近上方に配筋されているが、橋軸直角拘束筋12を配筋する位置は、これに限定されない。例えば、橋軸直角拘束筋12を、L字筋31の上端部31aの屈曲部寄りにさらに配筋してもよい。
【0038】
図11および図12を参照して、第2実施形態の第2変形例における橋軸直角拘束筋の配筋位置について説明する。図11は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図12は、図11のF−F断面図である。なお、図11は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版配力鉄筋11bおよび橋軸直角拘束筋12a,12bを除く)を省略している。
【0039】
図11および図12に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近上方にある床版鉄筋11の上には、橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12aが3本配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12aは、床版配力鉄筋11bに当接して配筋されている。また、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2のフランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31aの上記先端付近よりも屈曲部寄りの上方にある床版鉄筋11の上には、橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12bが3本配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12aは、床版配力鉄筋11bに当接して配筋されている。このように、橋軸直角拘束筋12を複数の位置に配筋することによって、L字筋31を上方から拘束する力をより増強させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0040】
また、第2変形例では、L字筋31を1段だけ配筋している。これは、橋台によっては、橋台主鉄筋を1段のみ配筋することもあるため、このような場合の例示として挙げたものである。
【0041】
なお、この第2実施形態の第2変形例では、鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明しているが、下部工として橋脚が用いられている場合には、鋼製主桁と橋脚との接合構造にも適用することができる。ただし、鋼製主桁と橋脚との接合構造の場合には、L字筋31は適用されない。
【0042】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図13および図14を参照して、第3実施形態における鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明する。図13は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図14は、図13のG−G断面図である。なお、図13は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版主鉄筋11aおよび橋軸拘束筋13を除く)を省略している。
【0043】
図13および図14に示すように、第3実施形態における鋼製主桁と橋台の接合構造には、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上方に配筋されている床版主鉄筋11aのうち、L字筋31の上端部31aの先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aを上方から拘束するための橋軸方向の橋軸拘束筋13が、鋼製主桁2の両側に配筋されている点で、第1実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造とは異なる。したがって、それ以外の構成については、第1実施形態における各構成と同様であるため、各構成要素には同一の符合を付してその説明を省略するとともに、以下においては第1実施形態との相違点について詳述する。
【0044】
図15は、図13の橋軸拘束筋13付近Yを拡大した図である。図13〜図15に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aを上方から拘束するための橋軸拘束筋13が、配筋されている。この橋軸拘束筋13は、鋼製主桁2の両側に1本ずつ配筋されている。これらの橋軸拘束筋13は、床版主鉄筋11aに当接して配筋されている。このような橋軸拘束筋13を設けることによって、L字筋31の上端部31a先端を、上方からより強固に拘束することができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0045】
[第3実施形態の変形例]
なお、上述した第3実施形態における橋軸拘束筋13は、L字筋31の上端部31a先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aを上方から拘束する位置に配筋されているが、橋軸拘束筋13を配筋する位置は、これに限定されない。例えば、橋軸拘束筋13を、L字筋31の上端部31aの屈曲部寄りにさらに配筋してもよい。
【0046】
図16および図17を参照して、第3実施形態の変形例における橋軸拘束筋の配筋位置について説明する。図16は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図17は、図16のH−H断面図である。なお、図16は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版主鉄筋11aおよび橋軸拘束筋13a,13b)を省略している。
【0047】
図16および図17に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aの上には、橋軸方向の橋軸拘束筋13aが配筋されている。この橋軸拘束筋13aは、鋼製主桁2の両側に1本ずつ配筋されている。これらの橋軸拘束筋13aは、床版主鉄筋11aに当接して配筋されている。また、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31aの上記先端付近よりも屈曲部寄りを通過する複数の床版主鉄筋11aの上には、橋軸方向の橋軸拘束筋13bが配筋されている。この橋軸拘束筋13bは、鋼製主桁2の両側に1本ずつ配筋されている。これらの橋軸拘束筋13bは、床版主鉄筋11aに当接して配筋されている。このように、橋軸拘束筋13を複数の位置に配筋することによって、L字筋31を上方から拘束する力をより増強させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0048】
また、本変形例では、L字筋31を1段だけ配筋している。これは、橋台によっては、橋台主鉄筋を1段のみ配筋することもあるため、このような場合の例示として挙げたものである。
【0049】
なお、この第3実施形態の変形例では、鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明しているが、下部工として橋脚が用いられている場合には、鋼製主桁と橋脚との接合構造にも適用することができる。ただし、鋼製主桁と橋脚との接合構造の場合には、L字筋31は適用されない。
【0050】
さらに、上述した各実施形態およびその変形例における接合構造は、適宜自由に組み合わせることができる。また、上述した各実施形態およびその変形例における接合構造と、従来のスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルを用いた接合構造とを併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】各実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造を有する鋼ポータルラーメン橋の側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1実施形態における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】第2実施形態における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図7】図6のD−D断面図である。
【図8】第2実施形態の第1変形例における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図9】図8のE−E断面図である。
【図10】図8に示す橋軸直角拘束筋付近を拡大した図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図12】図11のF−F断面図である。
【図13】第3実施形態における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図14】図13のG−G断面図である。
【図15】図13に示す橋軸拘束筋付近を拡大した図である。
【図16】第3実施形態の変形例における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図17】図16のH−H断面図である。
【図18】荷重により働く曲げモーメントで支圧力がかかる仕組みを説明するための図である。
【図19】荷重により働く曲げモーメントによって支圧力および引張力がかかる仕組みを説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・床版、2・・・鋼製主桁、3・・・橋台、11・・・床版鉄筋、11a・・・床版主鉄筋、11b・・・床版配力鉄筋、12,12a,12b・・・橋軸直角拘束筋、13,13a,13b・・・橋軸拘束筋、21・・・フランジ、22・・・ウェブ、21a,22a・・・開孔部、31・・・橋台主鉄筋(L字筋)、31a・・・上端部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製主桁と下部工との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、鋼・コンクリート合成桁橋では、鋼製主桁と鉄筋コンクリート床版との間に生じるずれを防止するために、ずれ止めを用いて鋼製主桁と鉄筋コンクリート床版を結合させている。このようなずれ止めとしては、鋼製主桁のフランジ上に取り付けられるスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルがある(非特許文献1参照)。
【0003】
また、下記特許文献1には、鋼製主桁の上下フランジおよびウェブに孔あき鋼板ジベルを溶接することや、鋼製主桁の上下フランジまたはウェブに開孔部を設けて、この開孔部に橋脚部主鉄筋または抵抗鋼材を挿通することによって、ずれ止め効果を向上させている。
【非特許文献1】「鋼・コンクリート複合構造の理論と設計(2)応用編:設計編」、土木学会、平成11年4月30日、第1版、第1刷、第9−14頁
【特許文献1】特許第3660826号公報(第8図、第10図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ずれ止めとして、鋼製主桁の上下フランジおよびウェブにスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルを取り付ける場合には、別部材として用意されたスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルを鋼製主桁に取り付ける工程が必要となるため、作業工程が煩雑になるとともにコスト増の要因になっていた。
【0005】
また、従来の孔明き鋼板ジベルは、主として押し抜きせん断耐力を考慮して(押し抜きせん断状態を想定して)開発や実施がなされている。この場合、せん断面に対して垂直方向に半無限に存在するコンクリート躯体によって拘束されることが想定されている。一方、この拘束力に関する研究も多く行なわれてきている。例えば、床版内に従来の孔明き鋼板ジベルの板の面を水平に配置することも考えられる。しかしながら、この場合には、片面方向すなわち床版の上面が自由面となるため、半無限的にあるコンクリートで両側から拘束されている場合に比べて、床版の上面側からの拘束力が弱く、ジベルによるずれ止め効果をあまり期待することができない。
【0006】
さらに、従来の鋼製主桁に設けられた開孔部は、この開孔部に橋脚部主鉄筋または抵抗鋼材を通すために設けられている。したがって、この場合には構造が複雑になり、コスト増の要因になっていた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するために、ずれ止め効果および施工性を向上させ、コストを削減させることができる鋼製主桁と下部工との接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造は、橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、鋼製主桁は、下部工の上部に埋め込まれ、下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁のフランジには、ずれ止めの開孔部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、鋼製主桁のフランジに開孔部が設けられているため、この鋼製主桁を下部工の上部に埋め込むときに、この開孔部に橋台を構築するためのコンクリートを充填させることができる。これにより、鋼製主桁と周囲のコンクリートとが一体化されるため、鋼製主桁と下部工との間のずれに対する抵抗力を増強させることができる。鋼製主桁本体に孔を開けることで、ずれ止め効果が得られるため、施工性を向上させることができるとともに、コストを削減することもできる。
【0010】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、床版主鉄筋および床版配力鉄筋は、上記下部工の上方では、床版主鉄筋が床版配力鉄筋の下側に配筋されていることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、床版配力鉄筋で床版主鉄筋を上方から抑えることができるため、床版主鉄筋の下部にあるコンクリートによる鋼製主桁の上フランジへの支圧力を大きくすることができる。すなわち、床版に配筋されている床版主鉄筋と床版配力鉄筋の一部の配置関係を入れ替えるだけで、床版と下部工との一体化をより強固にすることができる。これにより、コストを低く抑えつつ、結合部における耐力を増大させることができる。
【0012】
また、本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造は、橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、鋼製主桁は、下部工の上部に埋め込まれ、橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、床版主鉄筋および床版配力鉄筋は、下部工の上方では、床版主鉄筋が床版配力鉄筋の下側に配筋されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、床版配力鉄筋で床版主鉄筋を上方から抑えることができるため、床版主鉄筋の下部にあるコンクリートによる鋼製主桁の上フランジへの支圧力を大きくすることができる。すなわち、床版に配筋されている床版主鉄筋と床版配力鉄筋の一部の配置関係を入れ替えるだけで、床版と下部工との一体化をより強固にすることができる。これにより、コストを低く抑えつつ、結合部における耐力を増大させることができる。
【0014】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方を通過する床版主鉄筋のうち、いずれか複数の床版主鉄筋を上方から拘束するための橋軸方向の拘束筋を、鋼製主桁の両側に配筋することが好ましい。このようにすれば、下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁を、上方からより強固に拘束させることができる。
【0015】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方に配筋されている床版配力鉄筋を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を配筋することが好ましい。このようにすれば、下部工の上部に埋め込まれている鋼製主桁を、上方からより強固に拘束させることができる。
【0016】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記下部工は橋台であり、当該橋台には鉛直方向の橋台主鉄筋が複数配筋されており、橋台主鉄筋は、当該橋台主鉄筋の上端部が橋軸方向に屈曲させられて、当該上端部が、橋台の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方、かつ、床版主鉄筋および床版配力鉄筋の下方に位置することが好ましい。このようにすれば、橋梁床版と橋台とをより強固に一体化させることができる。
【0017】
本発明の鋼製主桁と下部工との接合構造において、上記鋼製主桁の上方に位置する橋台主鉄筋の上端部を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を、橋台の上部に埋め込まれている鋼製主桁の上方に位置するように配筋することが好ましい。このようにすれば、橋台主鉄筋の上端部を、上方からより強固に拘束することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る鋼製主桁と下部工との接合構造によれば、ずれ止め効果および施工性を向上させ、コストを削減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る鋼製主桁と下部工との接合構造を有する橋梁の実施形態を図面に基づき説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1および図2を参照して、本発明の実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造を有する鋼ポータルラーメン橋について説明する。図1は、鋼ポータルラーメン橋の側面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。
【0021】
図1に示すように、鋼ポータルラーメン橋は、上部工を構成する床版1および鋼製主桁2と、下部工を構成する橋台3とに大別される。第1実施形態における鋼製主桁2は、I断面型であり、上下のフランジ21と、このフランジ間を連結するウェブ22とから構成される。なお、鋼製主桁は、I断面型には限定されず、箱断面型であってもよい。また、橋台3は、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリート等のコンクリート製の構造物である。
【0022】
図3〜図5を参照して、第1実施形態における鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明する。図3は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図4は、図3のB−B断面図であり、図5は、図3のC−C断面図である。なお、図3は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等を省略している。
【0023】
図3および図4に示すように、鋼製主桁2の端部は、橋台3の上部に埋め込まれ、橋台3と一体化されている。鋼製主桁2の端部にある上下のフランジ21およびウェブ22には、複数の開孔部21a,22aが設けられている。すなわち、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上下のフランジ21およびウェブ22には、複数の開孔部21a,22aが設けられている。これらの開孔部21a,22aは、上部工と下部工との間のずれ止めとして機能する。具体的に説明すると、鋼製主桁2の上下のフランジ21やウェブ22に開孔部21a,22aを設けて、この開孔部21a,22aに、橋台3を構築するためのコンクリートを充填することによって、鋼製主桁2と周囲のコンクリートとが分離しないように一体化させることができる。これにより、鋼製主桁2と橋台3との間のずれに対する抵抗力を増強させることができる。なお、開孔部21a,22aは、必ずしも複数設けることを要さず、一の開孔部21a,22aを設けることとしてもよい。
【0024】
このように、鋼製主桁2本体に孔を開けることにより、従来の孔明き鋼板ジベルによって得られる効果を奏することができる。したがって、従来の孔明き鋼板ジベルのように、鋼製主桁2本体に孔あき鋼板ジベル等の他部材を取り付けることなく、同様の効果を得ることができる。これにより、コストを削減することができる。また、橋台3のコンクリートを鋼製主桁2の開孔部21a,22aに充填することによって鋼製主桁2を拘束するため、上述した背景技術のように開孔部に橋脚部主鉄筋や抵抗鋼材貫通鉄筋を挿通する必要がなく、構造を単純にすることができる。これにより、施工性を向上させることができるとともに、コストを削減することもできる。また、橋台3のコンクリートで鋼製主桁2と橋台3を一体化するため、鋼製主桁2の溶接欠陥に対して配慮する必要がない。
【0025】
また、第1実施形態における接合構造では、床版1の上面からの拘束力は期待できない。しかしながら、鋼製主桁2と橋台3の接合部では、鋼製主桁2に載荷される荷重P(自動車荷重等による活荷重や、自重による死荷重)によって、鋼製主桁2に曲げモーメントが働くため、この曲げモーメントによって接合部にある鋼製主桁2の上下のフランジ21面に支圧力PAがかかる(図18参照)。また、この曲げモーメントによって支圧力PA(圧縮力)がかかる上下のフランジ21部分の反対側に位置するフランジ21部分には引張力PBが働く(図19参照)。鋼製主桁2に載荷される荷重が大きくなればなるほど、この曲げモーメントは大きくなる。これに伴い、床版1に配筋されている後述する床版鉄筋による鋼製主桁2の上方にあるコンクリートを鋼製主桁2に押し付ける力が大きくなる。これにより、開孔部21a,22aによる抵抗力が大きくなる。つまり、鋼製主桁2に載荷される荷重が大きくなればなるほど、開孔部21a,22aによる抵抗力が大きくなり、安定する。したがって、特に、鋼製主桁2の上下のフランジ21に開孔部21aを設ける構造は、この力学的な機構を利用した合理的な構造であるといえる。
【0026】
図4および図5に示すように、床版1には、その上部と下部のそれぞれに床版鉄筋11が配筋されている。それぞれの床版鉄筋11は、橋軸直角方向に配筋された複数の床版主鉄筋11aと、橋軸方向に配筋された複数の床版配力鉄筋11bとで構成されている。床版鉄筋11は、橋台3の上方においては、床版主鉄筋11aの上部に床版配力鉄筋11bが位置するのに対し、橋台3の上方以外においては、床版主鉄筋11aの下部に床版配力鉄筋11bが位置する。すなわち、橋台3の上方とそれ以外とでは、床版主鉄筋11aと床版配力鉄筋11bの上下の位置関係が逆転する。このように、橋台3の上方で、床版主鉄筋11aを、床版配力鉄筋11bの下部に位置させることによって、床版配力鉄筋11bで床版主鉄筋11aを上方から抑えることができるため、床版主鉄筋11aの下部にあるコンクリートによる鋼製主桁2の上フランジ21への支圧力を大きくすることができる。これにより、鋼製主桁2に載荷された荷重(活荷重・死荷重)を、鋼製主桁2が組み込まれた橋台3と床版1とを一体化させるための力として有効に利用することができる。
【0027】
このように、床版1に配筋されている床版主鉄筋11aと床版配力鉄筋11bの一部の配置関係を入れ替えるだけで、床版1と橋台3との一体化をより強固にすることができる。これにより、コストを低く抑えつつ、結合部における耐力を増大させることができる。
【0028】
図3に示すように、橋台3には、鉛直方向に延びる複数の橋台主鉄筋31が配筋されている。図4および図5に示すように、橋台主鉄筋31は、その上端部31aが橋軸方向に屈曲させられている。この上端部31aは、上部側の床版鉄筋11と下部側の床版鉄筋11との間に入れられる。本発明における実施形態では、上端部31aを橋軸方向に屈曲させた橋台主鉄筋31のことを、その形状からL字筋31と呼ぶことにする。このようなL字筋31を設けることで、床版1と橋台3とをより強固に一体化させることができる。また、図5に示すように、L字筋31を、橋台3の上部以外にも設けることで、床版1と橋台3との一体化をより強固にすることができる。なお、図1〜図3に示すL字筋31は、内側と外側で2段に配筋されているが、L字筋31の配筋方法はこれに限られず、L字筋31を、1段だけ配筋することとしてもよいし、3段以上配筋することとしてもよい。
【0029】
このようなL字筋31を設けることによって、橋台3の上部に組み込まれている鋼製主桁2を上方からより強固に拘束することができる。これにより、結合部における橋台3と床版1とをより強固に一体化させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0030】
なお、上述した第1実施形態では、鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明しているが、下部工が橋台と橋脚によって構成されている場合には、鋼製主桁と橋脚との接合構造にも適用することができる。ただし、鋼製主桁と橋脚との接合構造の場合には、L字筋31は適用されない。
【0031】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図6および図7を参照して、第2実施形態における鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明する。図6は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図7は、図6のD−D断面図である。なお、図6は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(橋軸直角拘束筋12を除く)を省略している。
【0032】
図6および図7に示すように、第2実施形態における鋼製主桁と橋台の接合構造には、L字筋31の上端部31aを上方から拘束するための橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12がさらに配筋されている点で、第1実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造とは異なる。したがって、それ以外の構成については、第1実施形態における各構成と同様であるため、各構成要素には同一の符合を付してその説明を省略するとともに、以下においては第1実施形態との相違点について詳述する。
【0033】
図6および図7に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近上には、橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12が3本配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12は、コ字状に形成されており、L字筋31の上端部31aに当接して配筋されている。このような橋軸直角拘束筋12を、L字筋31の上端部31a先端付近に配筋することによって、L字筋31の上端部31aの先端を、上方からより強固に拘束することができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。なお、図6および図7に示す橋軸直角拘束筋12は、3本配筋されているが、橋軸直角拘束筋12の配筋本数はこれに限られず、2本以下の橋軸直角拘束筋12を配筋することとしてもよいし、4本以上の橋軸直角拘束筋12を配筋することとしてもよい。また、橋軸直角拘束筋12の両端部を、上フランジ21の開孔部21aに挿入することとしてもよい。
【0034】
[第2実施形態の変形例]
なお、上述した第2実施形態における橋軸直角拘束筋12は、L字筋31上に当接して配筋されているが、橋軸直角拘束筋12を配筋する位置は、これに限定されない。例えば、橋軸直角拘束筋12を、床版配力鉄筋11b上に当接して配筋させてもよい。
【0035】
図8〜図10を参照して、第2実施形態の第1変形例における橋軸直角拘束筋12の配筋位置について説明する。図8は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図9は、図8のE−E断面図であり、図10は、図8の橋軸直角拘束筋12付近Xを拡大した図である。なお、図8は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版配力鉄筋11bおよび橋軸直角拘束筋12を除く)を省略している。
【0036】
図8〜図10に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近上方にある床版鉄筋11の上には、3本の橋軸直角拘束筋12が配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12は、床版配力鉄筋11bに当接して配筋されている。このような橋軸直角拘束筋12を、L字筋31の上端部31a先端付近、かつ床版配力鉄筋11bの上に配筋することによって、床版配力鉄筋11bとともにL字筋31を上方から抑え込むことができる。したがって、L字筋31の先端部を、上方から拘束する力をより増強させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0037】
また、上述した第2実施形態または第2実施形態の第1変形例における橋軸直角拘束筋12は、L字筋31の上端部31a先端付近上方に配筋されているが、橋軸直角拘束筋12を配筋する位置は、これに限定されない。例えば、橋軸直角拘束筋12を、L字筋31の上端部31aの屈曲部寄りにさらに配筋してもよい。
【0038】
図11および図12を参照して、第2実施形態の第2変形例における橋軸直角拘束筋の配筋位置について説明する。図11は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図12は、図11のF−F断面図である。なお、図11は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版配力鉄筋11bおよび橋軸直角拘束筋12a,12bを除く)を省略している。
【0039】
図11および図12に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近上方にある床版鉄筋11の上には、橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12aが3本配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12aは、床版配力鉄筋11bに当接して配筋されている。また、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2のフランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31aの上記先端付近よりも屈曲部寄りの上方にある床版鉄筋11の上には、橋軸直角方向の橋軸直角拘束筋12bが3本配筋されている。これらの橋軸直角拘束筋12aは、床版配力鉄筋11bに当接して配筋されている。このように、橋軸直角拘束筋12を複数の位置に配筋することによって、L字筋31を上方から拘束する力をより増強させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0040】
また、第2変形例では、L字筋31を1段だけ配筋している。これは、橋台によっては、橋台主鉄筋を1段のみ配筋することもあるため、このような場合の例示として挙げたものである。
【0041】
なお、この第2実施形態の第2変形例では、鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明しているが、下部工として橋脚が用いられている場合には、鋼製主桁と橋脚との接合構造にも適用することができる。ただし、鋼製主桁と橋脚との接合構造の場合には、L字筋31は適用されない。
【0042】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図13および図14を参照して、第3実施形態における鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明する。図13は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図14は、図13のG−G断面図である。なお、図13は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版主鉄筋11aおよび橋軸拘束筋13を除く)を省略している。
【0043】
図13および図14に示すように、第3実施形態における鋼製主桁と橋台の接合構造には、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上方に配筋されている床版主鉄筋11aのうち、L字筋31の上端部31aの先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aを上方から拘束するための橋軸方向の橋軸拘束筋13が、鋼製主桁2の両側に配筋されている点で、第1実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造とは異なる。したがって、それ以外の構成については、第1実施形態における各構成と同様であるため、各構成要素には同一の符合を付してその説明を省略するとともに、以下においては第1実施形態との相違点について詳述する。
【0044】
図15は、図13の橋軸拘束筋13付近Yを拡大した図である。図13〜図15に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aを上方から拘束するための橋軸拘束筋13が、配筋されている。この橋軸拘束筋13は、鋼製主桁2の両側に1本ずつ配筋されている。これらの橋軸拘束筋13は、床版主鉄筋11aに当接して配筋されている。このような橋軸拘束筋13を設けることによって、L字筋31の上端部31a先端を、上方からより強固に拘束することができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0045】
[第3実施形態の変形例]
なお、上述した第3実施形態における橋軸拘束筋13は、L字筋31の上端部31a先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aを上方から拘束する位置に配筋されているが、橋軸拘束筋13を配筋する位置は、これに限定されない。例えば、橋軸拘束筋13を、L字筋31の上端部31aの屈曲部寄りにさらに配筋してもよい。
【0046】
図16および図17を参照して、第3実施形態の変形例における橋軸拘束筋の配筋位置について説明する。図16は、鋼製主桁2と橋台3との接合部付近を真上から見た平面図であり、図17は、図16のH−H断面図である。なお、図16は、図面を見やすくするために、鋼製主桁2の上フランジ21面の上部に位置する各部材等(床版主鉄筋11aおよび橋軸拘束筋13a,13b)を省略している。
【0047】
図16および図17に示すように、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31a先端付近を通過する複数の床版主鉄筋11aの上には、橋軸方向の橋軸拘束筋13aが配筋されている。この橋軸拘束筋13aは、鋼製主桁2の両側に1本ずつ配筋されている。これらの橋軸拘束筋13aは、床版主鉄筋11aに当接して配筋されている。また、橋台3の上部に埋め込まれている鋼製主桁2の上フランジ21の上方に位置するL字筋31の上端部31aの上記先端付近よりも屈曲部寄りを通過する複数の床版主鉄筋11aの上には、橋軸方向の橋軸拘束筋13bが配筋されている。この橋軸拘束筋13bは、鋼製主桁2の両側に1本ずつ配筋されている。これらの橋軸拘束筋13bは、床版主鉄筋11aに当接して配筋されている。このように、橋軸拘束筋13を複数の位置に配筋することによって、L字筋31を上方から拘束する力をより増強させることができるとともに、図19に示す引張力PBを、小さくする、または圧縮力に変えることができる。
【0048】
また、本変形例では、L字筋31を1段だけ配筋している。これは、橋台によっては、橋台主鉄筋を1段のみ配筋することもあるため、このような場合の例示として挙げたものである。
【0049】
なお、この第3実施形態の変形例では、鋼製主桁2と橋台3との接合構造について説明しているが、下部工として橋脚が用いられている場合には、鋼製主桁と橋脚との接合構造にも適用することができる。ただし、鋼製主桁と橋脚との接合構造の場合には、L字筋31は適用されない。
【0050】
さらに、上述した各実施形態およびその変形例における接合構造は、適宜自由に組み合わせることができる。また、上述した各実施形態およびその変形例における接合構造と、従来のスタッドジベルや孔あき鋼板ジベルを用いた接合構造とを併用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】各実施形態における鋼製主桁と橋台との接合構造を有する鋼ポータルラーメン橋の側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1実施形態における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】図3のC−C断面図である。
【図6】第2実施形態における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図7】図6のD−D断面図である。
【図8】第2実施形態の第1変形例における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図9】図8のE−E断面図である。
【図10】図8に示す橋軸直角拘束筋付近を拡大した図である。
【図11】第2実施形態の第2変形例における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図12】図11のF−F断面図である。
【図13】第3実施形態における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図14】図13のG−G断面図である。
【図15】図13に示す橋軸拘束筋付近を拡大した図である。
【図16】第3実施形態の変形例における鋼製主桁と橋台との接合部付近を真上から見た平面図である。
【図17】図16のH−H断面図である。
【図18】荷重により働く曲げモーメントで支圧力がかかる仕組みを説明するための図である。
【図19】荷重により働く曲げモーメントによって支圧力および引張力がかかる仕組みを説明するための図である。
【符号の説明】
【0052】
1・・・床版、2・・・鋼製主桁、3・・・橋台、11・・・床版鉄筋、11a・・・床版主鉄筋、11b・・・床版配力鉄筋、12,12a,12b・・・橋軸直角拘束筋、13,13a,13b・・・橋軸拘束筋、21・・・フランジ、22・・・ウェブ、21a,22a・・・開孔部、31・・・橋台主鉄筋(L字筋)、31a・・・上端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、
前記鋼製主桁は、前記下部工の上部に埋め込まれ、
前記下部工の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁のフランジには、ずれ止めの開孔部が設けられていることを特徴とする鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項2】
前記橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、
前記床版主鉄筋および前記床版配力鉄筋は、前記下部工の上方では、前記床版主鉄筋が前記床版配力鉄筋の下側に配筋されていることを特徴とする請求項1記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項3】
橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、
前記鋼製主桁は、前記下部工の上部に埋め込まれ、
前記橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、
前記床版主鉄筋および前記床版配力鉄筋は、前記下部工の上方では、前記床版主鉄筋が前記床版配力鉄筋の下側に配筋されていることを特徴とする鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項4】
前記下部工の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方を通過する前記床版主鉄筋のうち、いずれか複数の前記床版主鉄筋を上方から拘束するための橋軸方向の拘束筋を、前記鋼製主桁の両側に配筋することを特徴とする請求項2または3記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項5】
前記下部工の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方に配筋されている前記床版配力鉄筋を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を配筋することを特徴とする請求項2または3記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項6】
前記下部工は橋台であり、当該橋台には鉛直方向の橋台主鉄筋が複数配筋されており、
前記橋台主鉄筋は、当該橋台主鉄筋の上端部が橋軸方向に屈曲させられて、当該上端部が、前記橋台の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方、かつ、前記床版主鉄筋および前記床版配力鉄筋の下方に位置することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項7】
前記鋼製主桁の上方に位置する前記橋台主鉄筋の上端部を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を、前記橋台の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方に位置するように配筋することを特徴とする請求項6記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項1】
橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、
前記鋼製主桁は、前記下部工の上部に埋め込まれ、
前記下部工の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁のフランジには、ずれ止めの開孔部が設けられていることを特徴とする鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項2】
前記橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、
前記床版主鉄筋および前記床版配力鉄筋は、前記下部工の上方では、前記床版主鉄筋が前記床版配力鉄筋の下側に配筋されていることを特徴とする請求項1記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項3】
橋梁床版の下面に配置される鋼製主桁とコンクリート製の下部工とを接合する接合構造であって、
前記鋼製主桁は、前記下部工の上部に埋め込まれ、
前記橋梁床版には、橋軸直角方向の床版主鉄筋および橋軸方向の床版配力鉄筋が複数配筋されており、
前記床版主鉄筋および前記床版配力鉄筋は、前記下部工の上方では、前記床版主鉄筋が前記床版配力鉄筋の下側に配筋されていることを特徴とする鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項4】
前記下部工の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方を通過する前記床版主鉄筋のうち、いずれか複数の前記床版主鉄筋を上方から拘束するための橋軸方向の拘束筋を、前記鋼製主桁の両側に配筋することを特徴とする請求項2または3記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項5】
前記下部工の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方に配筋されている前記床版配力鉄筋を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を配筋することを特徴とする請求項2または3記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項6】
前記下部工は橋台であり、当該橋台には鉛直方向の橋台主鉄筋が複数配筋されており、
前記橋台主鉄筋は、当該橋台主鉄筋の上端部が橋軸方向に屈曲させられて、当該上端部が、前記橋台の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方、かつ、前記床版主鉄筋および前記床版配力鉄筋の下方に位置することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【請求項7】
前記鋼製主桁の上方に位置する前記橋台主鉄筋の上端部を上方から拘束するための橋軸直角方向の拘束筋を、前記橋台の上部に埋め込まれている前記鋼製主桁の上方に位置するように配筋することを特徴とする請求項6記載の鋼製主桁と下部工との接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−231583(P2007−231583A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53590(P2006−53590)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(506045118)株式会社ドーユー大地 (6)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り
【出願人】(506045118)株式会社ドーユー大地 (6)
【出願人】(505398963)西日本高速道路株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
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