説明

録音再生装置

【課題】録音再生時の失敗にも関わらず十分な音量で録音再生動作を行うことのできる録音再生装置を提供する。
【解決手段】動画撮影モードの撮影中、第一タッチパネル12に反応があれば、接触領域よりマイク穴11の遮蔽部の遮蔽度合いを識別する。この遮蔽度合いに応じて電子ボリュームのゲインを上げて、マイクから音声データを取り込んでメモリーカード10に記録する。また、マイク穴11の周囲全体が遮蔽されている場合、LCDに警告のメッセージを表示して、音声データの記録は行わない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、十分な音量で録音及び再生を行う手段を備えた録音再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、技術の進歩とともに電子機器の小型化が進んでいる。小型化は、需要者にとって購買意欲を向上させる重要な要素である反面、機器の操作にあたってはマイナスの面も持ち合わせている。例えば、カメラの場合、フラッシュ装置やレンズなどの部位に操作者の手指が接触しやすくなり、その状態で撮影を行ったために撮影が失敗することがある。
【0003】
これに対し、特許文献1では、カメラのフラッシュ部の前面プロテクターにタッチパネルを設けてフラッシュ部に手指が掛かったことを検知し、プロテクターを振動させて操作者に警告することで失敗撮影を防止するカメラが提案されている。また、特許文献2では、ビデオカメラのマイクのカバー部材をタッチスイッチで構成し、撮影時に手などがカバー部材に接触したことを検知して、ファインダに警告を表示することで失敗撮影を防止するビデオカメラが提案されている。
【特許文献1】特開2004―294819号公報
【特許文献2】特開2000―206602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記何れの文献も操作者に警告を与える機能を備えることで大概の失敗撮影もしくは失敗録音を防止することはできるものの、操作者が警告に気が付かなければ結局のところ失敗撮影あるいは失敗録音となってしまう。このような失敗撮影などは、折角の撮影チャンスなどを逃すのみならず、極端な場合、操作者の機器そのものに対する興味を失わせかねない可能性がある。とりわけ、特許文献2のようなビデオカメラにおける長時間の録画動作で失敗録音(失敗録画)となってしまった場合の操作者の失望感は計り知れない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、録音再生時の失敗にも関わらず十分な音量で録音再生動作を行うことのできる録音再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る録音再生装置では、外装に設けたマイク穴を通して集音し音声信号として出力するマイクと、この音声信号を記録する記録手段とを備えた上で、前記マイク穴の近傍にその周囲を取り囲むように前記外装の表面に露呈して設けられ、操作者の手指による接触領域を検知するための接触領域検知手段と、設定したゲインに基づいて前記音声信号の大きさを調節するための電子ボリュームと、前記接触領域検知手段で検知された接触領域に基づいて操作者の手指による前記マイク穴の遮蔽度合いを識別し、この遮蔽度合いに応じて前記電子ボリュームのゲインを設定することで、前記音声信号を増幅する電子ボリューム制御手段とを設けた。なお、前記接触領域検知手段で検知した接触領域が前記マイク穴の周囲全体である場合に、操作者に警告する警告通知手段を設けてもよい。
【0007】
また、記録手段から再生された音声信号に基づき、外装に設けたスピーカー穴を通して音声を出力するスピーカーを備えた録音再生装置においては、前記スピーカー穴の近傍にその周囲を取り囲むように前記外装の表面に露呈して設けられ、操作者の手指による接触領域を検知するための接触領域検知手段と、設定したゲインに基づいて前記音声信号の大きさを調節するための電子ボリュームと、前記接触領域検知手段で検知された接触領域に基づいて操作者の手指による前記スピーカー穴の遮蔽度合いを識別し、この遮蔽度合いに応じて前記電子ボリュームのゲインを設定することで、前記音声信号を増幅する電子ボリューム制御手段とを設ける。なお、前記接触領域検知手段で検知した接触領域が前記スピーカー穴の周囲全体である場合に、操作者に警告する警告通知手段を設けてもよい。
【0008】
上記何れの録音再生装置においても、前記領域検知手段としては、接触を検知するタッチパネル、もしくは反射光を検知するフォトセンサを用いることができる。
【発明の効果】
【0009】
このような録音再生装置によって、操作者の指がマイク穴もしくはスピーカー穴の一部に掛かっていても正常に録音動作あるいは再生動作を行うことができる。また、操作者の指がマイク穴もしくはスピーカー穴を完全に覆っている場合は、警告を与えることで操作者に注意を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図2のように、本発明に係る録音再生装置の例としてのデジタルカメラ1の前面には被写体を撮影するための撮影レンズ3とフラッシュ装置2などが備えられ、上面には電源のオン・オフを行うための電源スイッチ4と、撮影時に押下するレリーズスイッチ5と、つまみをスライドさせてその位置によって選択的に動作モードを切り替えるモード切替スイッチ6とが備えられている。レリーズスイッチ5は、半押しで自動焦点調節(AF:Automatic Focus)及び自動露光調整(AE:Automatic Exposure)が行われ、全押下しで撮影が実行される。また、操作者はモード切替スイッチ6によって、静止画の撮影を行う静止画撮影モードと、動画の撮影を行う動画撮影モードと、撮影した任意の静止画または動画を背面のLCD8に再生表示する再生モードとのうち、何れかの動作モードを選択することができる。
【0011】
さらに、デジタルカメラ1の上面の外装には略楕円形状のマイク穴11が設けられており、動画撮影時、このマイク穴11を通して内部に設けたマイクから集音することができるようになっている。マイク穴11の近傍には、その周囲を取り囲むように外装表面に露呈して矩形状の第一タッチパネル12が配設されており、操作者の手指がマイク穴11に触れたときに、その接触領域を検知できるようになっている。後述するように、この接触領域に応じてマイクから出力される音声信号を増幅することができる。
【0012】
デジタルカメラ1の背面にはLCD8が配置されており、静止画もしくは動画撮影モード時にスルー画を表示したり、再生モードに選択された静止画及び動画を表示したり、設定時のメニュー等を表示することができる。さらにLCD8は、後述するように、動画撮影又は動画再生時において、マイク穴11周辺もしくスピーカー穴13周辺の全領域で手指の接触が検知された場合、操作者に対する警告を表示する警告通知手段としても機能する。LCD8の隣には4つの押しボタンから構成される操作キー7が配置されており、メニューの選択や、カメラのズームの調整や、画像の画素数や露光等の撮影設定等の様々な操作を行うことができる。さらに操作キー7により、フラッシュ装置2を強制的に発光させる発光モードと強制的に発光禁止にする非発光モードとAE及びAFの結果から自動的に発光するか否かを決定する自動発光モードとを切り替えることができる。
【0013】
デジタルカメラ1の撮影方向に対する右側面には撮影した静止画や動画のデータを記録するためのメモリーカード10と、このメモリーカード10を収容してカメラ内部の回路と電気的に接続するためのコネクタを持つメモリーカードスロット9とが備えられている。このメモリーカード10は、汎用的にデジタルカメラに使用されるSDメモリカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)等のメディアである。
【0014】
また、操作キー7の上部の外装にはスリット状にスピーカー穴13が設けられており、再生モードにおいて動画像を再生する際、内部に設けたスピーカーから録音した音声を再生出力することができるようになっている。マイク穴11と同様に、スピーカー穴13近傍には、その周囲を取り囲むように外装表面に矩形状の第二タッチパネル14が配設されており、操作者の手指がスピーカー穴13に触れたときに、その接触領域を検知できるようになっている。後述するように、この接触領域に応じてスピーカーへ出力する音声信号を増幅することができる。
【0015】
次にデジタルカメラ1の構成と機能を説明する。図3のように、デジタルカメラ1の前面には、周知のように撮影レンズ3が配置されている。この撮影レンズ3は、モータ、モータドライバ、駆動機構等を含むレンズ駆動部20によって光軸方向に移動される。このレンズ駆動部20は、操作キー7からの入力等に基づいた動作制御部26からの指示信号により駆動される。撮影レンズ3の光軸方向の背後には、撮影光路を開閉するメカニカルシャッター21が配置されている。動作制御部26はレリーズスイッチ5の押下を検出した時、このメカニカルシャッター21を適当なタイミングで開閉する。
【0016】
メカニカルシャッター21の光軸方向の背後には、撮像素子として、CCD22が配置されている。このCCD22は、撮影レンズ3を透過して受光面上に結像された被写体光を電気的な撮像信号に変換し、駆動回路24から供給される転送パルスに基づいてCDS(相関二重サンプリング)回路23に出力する。なお、撮像素子には、CCD22に代えてCMOSセンサを用いてもよい。
【0017】
CDS回路23は、駆動回路24から出力された駆動パルスに基づいて駆動され、CCD22から出力された撮像信号のノイズを低減してA/D変換回路25へ出力する。なお、この駆動回路24の駆動パルスは動作制御部26からのパルス信号に同期している。A/D変換回路25は、入力されたアナログの撮像信号をデジタルの画像データに変換し、動作制御部26へ出力する。画像データは各種画像処理を施されて圧縮伸長部28へ出力される。圧縮伸長部28は、入力された画像データを圧縮してJPEGやMPEG等のデータ形式に変換し、動作制御部26がこの圧縮済みの画像データを読み出して、画像ファイルとしてメモリーカード10に記録する。メモリーカード10は、画像ファイルを格納するための外部メモリであり、動作制御部26とコネクタ(図示せず)を介して電気的に接続されている。なお、再生モード時、動作制御部26はメモリーカード10に記録された画像データを読み出してLCD8に再生表示する。
【0018】
モード切替スイッチ6は、動作モードを切り替えるためのスイッチであり、動作制御部26はこの動作モードに応じたカメラ全体の動作制御を行う。操作キー7は、デジタルカメラ1の各種設定操作等を行うためのもので、動作制御部26に対して操作に応じた信号を出力し、これを受信した動作制御部26は、レンズ駆動部20へ駆動の指示信号を出力したり、LCD8へのメニューの表示や設定等の適当な処理を実行する。
【0019】
LCD8は、動作制御部26からLCD駆動回路27を介して様々な画像が出力される。例えば、静止画及び動画撮影モード時にはスルー画が出力され、再生モード時には選択された静止画像及び動画像が表示され、動作設定時には、設定のためのメニューが表示される。また、第一又は第二タッチパネル12、14がそれぞれマイク穴11周辺又はスピーカー穴13周辺の全領域で接触を検知した場合、LCD8は動作制御部26からの指示により操作者に対する警告を表示する。
【0020】
マイク15とスピーカー16は、複数の機能ブロックから構成されたオーディオ信号処理部29を介して動作制御部26に接続されている。マイク15は、動画撮影時に録音を行うために設けられている。マイク15から出力された電気的な音声信号は、オーディオ信号処理部29にあるアンプ部(AMP)33にて増幅された後、自動レベル制御部(ALC)32にて所定レベルよりも高い音声を該所定レベルに補正する処理が施される。さらに、音声信号は、入力側の電子ボリューム(EVR)31において設定されたゲインに基づいて大きさの調節が施される。後述するように、ゲインは、動作制御部26が第一タッチパネル12の検知した接触領域に応じて随時決定し、電子ボリューム31に設定するものである。電子ボリューム31から出力された音声信号は、アナログ/デジタル変換部(ADC)30にてデジタルの音声データに変換されて動作制御部26に入力される。動作制御部26は、音声データを撮像した画像データとともに圧縮伸張部28にてMPEGファイル等に変換した後、動画像ファイルとしてメモリーカード10に記録する。
【0021】
スピーカー16は、再生モードにおいて動画像ファイルを再生する際に音声を出力するためのものである。操作キー7によってLCD8上で再生する動画像ファイルが選択されると、動作制御部26は該ファイルをメモリーカード10から読み出した後、圧縮伸張部28にて圧縮を解除する。そして、動作制御部26は、該ファイルのデータを画像データと音声データに分離して、随時、画像データをLCD駆動回路27へ出力して画像をLCD8に表示する一方で、これに同期するように音声データを、電気的な音声信号としてオーディオ信号処理部29を介してスピーカー16から音を出力する。オーディオ信号処理部29に入力された音声データは、オーディオ信号処理部29のデジタル/アナログ信号変換部(DAC)34にてアナログの音声信号に変換される。さらに、音声信号は、出力側の電子ボリューム(EVR)35においてゲインに基づいて大きさの調節が施される。後述するように、ゲインは、動作制御部26が第二タッチパネル14の検知した接触領域に応じて随時決定し、電子ボリューム35に設定するものである。電子ボリューム35から出力された音声信号は、アンプ部(AMP)36にて増幅されてスピーカー16へ出力される。
【0022】
第一タッチパネル12は、操作者の手指がマイク穴11に掛かっている場合に、その接触領域を検知するための接触領域検知手段として設けられている。第一タッチパネル12は、図4のようにマイク穴11周辺の領域を縦横に区分した6つの領域(図4の「領域a」〜「領域f」参照)のそれぞれについて接触の有無を検知することができる。具体的には、動作制御部26は、第一タッチパネルの指40との接触領域43に含まれる領域a〜fの組合せを認識して、予めデータ検索メモリ37に格納されたデータから該当する適当なゲイン比を検索した上で電子ボリューム31に設定する。このデータは例えば、以下に示す表のように構成することができる。
【0023】
【表1】

【0024】
この表に基づくと、図4(A)の場合、接触領域43は領域d、e、fからなるためゲイン比は2.5となる。また、図4(B)の場合、接触領域43は領域a、b、c、fからなるためゲイン比は3となる。この表は、領域a〜fの接触の有無に基づいて、指40で遮蔽されているマイク穴11の遮蔽部41の大きさ(遮蔽度合い)をおおそよ識別し、この大きさに応じて最適なゲイン比を決定したものである。ここで、遮蔽部41の大きさは、接触領域43と接するマイク穴11の外周線の一部と、この外周線の一部の端点同士(図4の「○」印参照)を結んだ線とで囲まれた領域(図4の左下方斜線部分を参照)であるものと識別する。また、遮蔽部41の大きさは、接触領域43に含まれる隣接した領域a〜fの組合せに依存するため値のパタンが限られており、これを上記の表のようなデータとして検索することで、カメラシステムに負担をかけることなく、効率良く最適なゲインを決定することができる。なお、このデータを格納するデータ検索メモリ37はSRAM(Static Random Access Memory)のような不揮発性メモリで構成されている。
【0025】
このように、接触領域43、つまりマイク穴11の遮蔽度合いに応じて録音する音声信号のレベルを増幅することで、マイク穴11に手指が掛かっていても十分な音量で録音を行うことができる。なお、ゲインの決定は上記の方式に限られず、例えば接触領域43の大きさと音声信号のレベルが比例関係となるように制御するなど、設計に応じて最適な方式で制御を行うようにすればよい。
【0026】
また、マイク穴11の周囲全体が指40で覆われた場合、つまり、接触領域43に領域a〜fの全領域が含まれている場合には、ゲインを大きくしても効果がないため、動作制御部26の指示により、例えば図5のようにLCD8にメッセージ42を表示して操作者に警告を与える。これにより、ユーザーに指40をマイク穴11から離すように注意を促すことができる。なお、警告通知手段としてはLCD8に限られるものではなく、例えばファインダ窓内に表示したり、LEDを別途設けた上で発光させて警告してもよい。
【0027】
第二タッチパネル14は、操作者の手指がスピーカー穴13に掛かっている場合に、その接触領域を検知するための接触領域検知手段として設けられている。動作制御部26は、図4を用いて前述した方式と同一方式で電子ボリューム35のゲインを制御して、スピーカー16へ出力する音声信号を増幅する。この時、データ検索用メモリ37には、上記の表と同様に、接触領域からスピーカー16の電子ボリューム35に設定する最適なゲイン比を決定するためのデータが予め格納されている。これにより、スピーカー穴13に手指が掛かっていても十分な音量で再生を行うことができる。また、スピーカー穴13の全てが手指で覆われた場合、図5と同様にLCD8にメッセージを表示して操作者に警告を与え、ユーザーに注意を促すことができる。
【0028】
動作制御部26は、カメラシステムが行う各処理において一連の流れを統括制御するものであり、適宜判定処理を行いつつ、各部に順次適当な出力処理を、もしくは各部からの入力処理を行うものである。動作制御部26は、静止画及び動画撮影モードにおいて、操作キー7からの入力に基づきレンズ駆動部20を制御し、LCD8にスルー画を出力する。また、動作制御部26は、レリーズスイッチ5の半押を検出してAE及びAFの処理を行い、その後、レリーズスイッチ5の全押を検出してメカニカルシャッター21を制御して撮影処理を行う。
【0029】
さらに、動作制御部26は、画像の撮影後、A/D変換回路25から入力される画像データを圧縮伸張部28へ出力して圧縮し、メモリーカード10に記録する。動画撮影モードの場合、マイク15からオーディオ信号処理部29を介して音声信号も取り込んで画像データとともに圧縮してメモリーカード10に記録する。この時、第一タッチパネル12で検知した指40の接触領域43に基づいてゲインを決定し、電子ボリューム31に随時設定する。
【0030】
一方、再生モードにおいては、動作制御部26は、メモリーカード10より画像データを読み込み、圧縮伸張部28へ出力して圧縮解除した上でLCD8にそれぞれ出力する。動画像データを再生する場合、同時にメモリーカード10から音声データを読み込んで圧縮解除した上で、オーディオ信号処理部29を介してスピーカー16へ出力する。この時、第二タッチパネル14で検知した指40の接触領域に基づいてゲインを決定し、電子ボリューム35に随時設定する。
【0031】
次にデジタルカメラ1の作用効果を説明する。図6のように、動画撮影モードにおいて、動作制御部26は、レリーズボタン5が押下されたことを検知すると動画撮影を開始する(st1)。撮影中、第一タッチパネル12に反応があれば(st2)、第一タッチパネル12に含まれる領域a〜fごとに接触の有無を検出する(st3)。ここで、領域a〜fの全領域で接触が検知されている場合(st4)、穴の周囲全体が遮蔽されていると判断し、LCD8に警告のメッセージ42を表示して(st8)、音声データの記録は行わない。そうでない場合、領域a〜fのうち接触領域43に含まれる領域を基にデータ検索メモリ37から最適なゲインを検索して電子ボリューム31に設定し(st5)、マイク15から音声データを取り込んでメモリーカード10に記録する(st6)。一方、第一タッチパネル12に反応がなければ(st2)、ゲインの調整は行わずに音声データを記録する(st6)。これは録音が終了するか、もしくは中断されるまで繰り返される(st7)。
【0032】
また、図7のように、再生モードにおいて動作制御部26は、操作キー7で選択した動画像ファイルの再生の指示が入力されると、再生動作を開始する(st11)。再生中、第二タッチパネル14に反応があれば(st12)、第二タッチパネル14に含まれる領域a〜fごとに接触の有無を検出する(st13)。ここで、領域a〜fの全領域で接触が検知されている場合(st14)、穴の周囲全体が遮蔽されていると判断して、LCD8に警告のメッセージを表示して(st18)、音声データの再生は行わない。そうでない場合、領域a〜fのうち接触領域に含まれる領域を基にデータ検索メモリ37から最適なゲインを検索して電子ボリューム31に設定し(st15)、メモリーカード10から読み込んだ音声データをスピーカー16へ出力して再生する(st16)。一方、第二タッチパネル14に反応がなければ(st12)、ゲインの調整は行わずに音声データを再生する(st16)。これは再生が終了するか、もしくは中断されるまで繰り返される(st17)。
【0033】
このような実施形態のデジタルカメラ1により、動画撮影において操作者が誤ってマイク穴11に手指を掛けた状態においても正常に録音が可能であるとともに、動画再生において操作者が誤ってスピーカー穴13に手指を掛けた状態においても正常に再生が可能となる。なお、マイク穴11やスピーカー穴13、並びに第一及び第二タッチパネル12、14の形状は本実施形態に限られるものではなく、円形などの他の形状でもよい。
【0034】
また、本実施形態では接触領域検知手段としてタッチパネルを用いたが、代わりにフォトセンサを用いてもよい。この場合、図8のようにマイク穴11を取り囲むように複数のフォトセンサ46を設けたうえで、その表面をカバープレート45で一体に覆い、フォトセンサ46ごとに受光の有無を検知することで指40の接触を検知する。あるいは、反射型のフォトセンサを用いて、フォトセンサの発した光の反射光を検知することで指40の接触を検知してもよい。
【0035】
この実施形態において、マイク穴11の遮蔽部47は、図8(A)のように遮光を検知したフォトセンサ46のうち両端にあるもの同士(図8(A)のフォトセンサg及びhを参照)を結んだ線とマイク穴11の外周線とで囲まれる部分であって、接触を検知したフォトセンサ46がある側の領域と識別することができる。ここで、フォトセンサ46は所定位置にあるために、この遮蔽部47の大きさ(遮蔽度合い)は、両端のフォトセンサ46の組合せによって決定される。したがって、前述したタッチパネルを用いた実施形態と同様に、予めSRAMなどに2つのフォトセンサ46の組合せとゲイン比のデータを記録しておけば、動作制御部26は効率的にゲイン設定を行うことができる。
【0036】
なお、図8(B)のような場合では、実際にマイク穴11に指40が掛かっていても、接触を検知したフォトセンサ46のうち両端にあるもの同士(図8(B)のフォトセンサi及びjを参照)を結んだ線とマイク穴11の外周線とが交差しないため、マイク穴11の遮蔽部47がないものとみなされてしまうが、このようなケースにおいてマイク穴11が実際に覆われている部分の大きさは微小であるため現実的に問題はない。したがって、この実施形態においても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
なお、この実施形態におけるフォトセンサ46をタッチパネルの小片に置き換えても、同様の作用効果を得ることができる。また、上記実施形態はデジタルカメラを例として挙げたが、ICレコーダーのような携帯型録音再生機器や、ビデオカメラや、カメラ付き携帯電話などの電子機器についても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る録音再生装置としてのデジタルカメラの前面側斜視図である。
【図2】本発明に係る録音再生装置としてのデジタルカメラの背面側斜視図である。
【図3】デジタルカメラの電気的構成である。
【図4】マイク穴に指掛かりが発生した場合の遮蔽部の概念図である(タッチパネル使用時)。
【図5】マイク穴を全て覆った場合の警告表示画面である。
【図6】録音動作のフローである。
【図7】再生動作のフローである。
【図8】マイク穴に指掛かりが発生した場合の遮蔽部の概念図である(フォトセンサ使用時)。
【符号の説明】
【0039】
1 デジタルカメラ
5 レリーズスイッチ
6 モード切替スイッチ
7 操作キー
8 LCD
10 メモリーカード
11 マイク穴
12 第一タッチパネル
13 スピーカー穴
14 第二タッチパネル
15 マイク
16 スピーカー
29 オーディオ信号処理部
31,35 電子ボリューム
37 データ検索メモリ
40 指
41,47 遮蔽部
46 フォトセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装に設けたマイク穴を通して集音し音声信号として出力するマイクと、この音声信号を記録する記録手段とを備えた録音再生装置において、
前記マイク穴の近傍にその周囲を取り囲むように前記外装の表面に設けられ、接触領域を検知するための接触領域検知手段と、
設定したゲインに基づいて前記音声信号の大きさを調節するための電子ボリュームと、
前記接触領域検知手段で検知された接触領域に基づいて前記マイク穴の遮蔽度合いを識別し、この遮蔽度合いに応じて前記電子ボリュームのゲインを設定することで、前記音声信号を増幅する電子ボリューム制御手段とを設けたことを特徴とする録音再生装置。
【請求項2】
前記接触領域検知手段で検知した接触領域が前記マイク穴の周囲全体である場合に、警告する警告通知手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の録音再生装置。
【請求項3】
記録手段から再生された音声信号に基づき、外装に設けたスピーカー穴を通して音声を出力するスピーカーを備えた録音再生装置において、
前記スピーカー穴の近傍にその周囲を取り囲むように前記外装の表面に設けられ、接触領域を検知するための接触領域検知手段と、
設定したゲインに基づいて前記音声信号の大きさを調節するための電子ボリュームと、
前記接触領域検知手段で検知された接触領域に基づいて前記スピーカー穴の遮蔽度合いを識別し、この遮蔽度合いに応じて前記電子ボリュームのゲインを設定することで、前記音声信号を増幅する電子ボリューム制御手段とを設けたことを特徴とする録音再生装置。
【請求項4】
前記接触領域検知手段で検知した接触領域が前記スピーカー穴の周囲全体である場合に、警告する警告通知手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の録音再生装置。
【請求項5】
前記接触領域検知手段は、タッチパネルであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の録音再生装置。
【請求項6】
前記接触領域検知手段は、フォトセンサであることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の録音再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−182555(P2008−182555A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15116(P2007−15116)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】