説明

録音通信システム、録音通信装置、録音通信方法および録音通信プログラム

【課題】保存すべき音声を特別な操作をすることなく確実に保存することができる。
【解決手段】電話機200に接続され、ネットワーク1を介して管理サーバ装置400と電話機300に接続され、判定情報記憶部110は登録人物の声紋データを記憶し、音声記憶部120は電話機200と電話機300との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶し、判定部103は、電話機300から送信された音声が登録人物の音声か否かを判定情報記憶部110に記憶された声紋データを用いて判定し、送信情報生成部104は、電話機300から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、音声記憶部120に記憶された音声データと、電話機200と電話機300との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成し、送受信部101は送信情報を管理サーバ装置400に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、録音通信システム、録音通信装置、録音通信方法および録音通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストーカー規制法等の法律が制定され様々な対策が取られているが、いたずら電話等の迷惑電話の被害は後を絶たず、そのような被害を受けている人々は多く存在する。警察の保護を受け、法的措置を取ることによって、平穏な生活を守り迷惑行為がエスカレートすることを防ぐためには、被害者自身が被害状況を立証するための証拠を収集する必要がある。具体的に、被害者は証拠として迷惑電話の通話音声を録音機能付き電話機によってカセットテープに録音するとともに、通話音声と通話日時などの情報を対応付けたリストの作成を行うことになる。
【0003】
しかし、このような作業は、被害者が迷惑電話を判断し緊張状態のなか電話機に対する操作を順番通り間違うことなく行う必要があるため、精神的な負担は大きい。そこで、本願出願人は、そのような被害者の負担を軽減するために、通話音声を通話開始から終了まで録音しておき、通話相手の電話番号が予め登録された電話番号であった場合には、通話音声を通話日時情報とともにサーバに送信する迷惑電話監視システムを開示している(特許公報1参照)。かかる技術により、被害者が何ら特別な作業を行うことなく、通話音声を確実に保存管理することができるため、被害者の負担を大幅に軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−199128号公報(特許第4088034号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術では、迷惑電話の相手が既に登録された電話番号ではなく異なる電話番号を使用した場合や、不特定多数の人が利用する電話番号の電話からかける場合、電話番号を非通知にして電話をかける場合に、迷惑電話か否かを電話番号で判断することができず、証拠となる通話音声を漏れなく収集することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、保存すべき音声を特別な操作をすることなく確実に保存することができる録音通信システム、録音通信装置、録音通信方法および録音通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の通話装置に接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置と第2の通話装置に接続される録音通信装置であって、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定手段と、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、携帯電話機と接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置に接続される録音通信装置であって、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記携帯電話機によって送受信される音声を音声データとして記憶する音声記憶手段と、前記携帯電話機から送受信される音声を取得し、取得された前記音声を前記音声記憶手段に記憶する音声取得手段と、前記携帯電話機に送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定手段と、前記携帯電話機に送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記携帯電話機の回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、管理サーバ装置とネットワークを介して接続されている録音通信装置であって、登録人物の声紋データと、前記登録人物を識別する登録人物識別情報とを対応付けて記憶する判定情報記憶手段と、発言者の音声を取得する音声取得手段と、前記音声取得手段によって取得された音声を音声データとして記憶する音声記憶手段と、前記音声取得手段によって取得された音声が前記判定情報記憶手段に記憶された前記登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された前記声紋データを用いて判定する判定手段と、前記音声取得手段によって取得された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記声紋データに対応する前記登録人物識別情報を前記判定情報記憶手段から取得し、取得された前記登録人物識別情報と、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記音声データを前記音声記憶手段に記憶した日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、第1の通話装置に接続された録音通信装置と、ネットワークを介して前記録音通信装置と第2の通話装置に接続された管理サーバ装置とからなる録音通信システムであって、前記録音通信装置は、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定手段と、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、を備え、前記管理サーバ装置は、前記録音通信装置から送信された前記送信情報を受信し、受信された前記送信情報を記憶部に記憶する受信手段、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、第1の通話装置に接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置と第2の通話装置に接続された、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、を備える録音通信装置で実行される録音通信方法であって、判定手段が、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定ステップと、送信情報生成手段が、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成ステップと、送信手段が、前記送信情報生成ステップによって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、第1の通話装置に接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置と第2の通話装置に接続された、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、を備えたコンピュータに、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定ステップと、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成ステップと、前記送信情報生成ステップによって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、登録人物の声紋データを記憶し、通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定し、登録人物であると判定された場合に、音声データと、通話回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成し、生成された送信情報を管理サーバ装置に送信することにより、保存すべき音声を特別の操作をすることなく管理サーバ装置で保存管理することができるため、音声による証拠を容易に収集することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1にかかる録音通信システム10の構成を示すブロック図である。
【図2】録音通信システム10が行なう録音通信処理手順を示すフローチャートである。
【図3】録音通信システム10が行なう他の録音通信処理手順を示すフローチャートである。
【図4】判定情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図5】判定情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図6】実施例2にかかる録音通信システム20の構成を示すブロック図である。
【図7】実施例3にかかる録音通信システム30の構成を示すブロック図である。
【図8】録音通信システム30が行なう録音通信処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明にかかる録音通信システム、録音通信装置、録音通信方法および録音通信プログラムの実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は本発明の実施の形態の一例であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1にかかる録音通信システム10の構成を示すブロック図である。録音通信システム10は、録音通信装置100に電話機200が接続されている。録音通信装置100は、公衆電話網やIP(Internet Protocol)電話網、インターネットなどの1または複数のネットワークからなるネットワーク1を介して電話機300と管理サーバ400に通信可能に接続されている。図1には、説明を簡便にするために1台の電話機300のみを記載しているが、実際には複数の電話機300がネットワーク1に接続され、録音通信装置100は複数の電話機300それぞれと通信可能である。電話機300は、有線で接続された固定電話をはじめ、無線基地局との間で無線通信を利用する携帯電話やスマートフォン等のさまざまな通話装置を含む。
【0017】
次に、録音通信システム10を構成する録音通信装置100、電話機200、電話機300、管理サーバ400それぞれの機能、構成について説明する。まず、録音通信装置100は、送受信部101と、タイマ部102と、判定部103と、送信情報生成部104と、操作表示制御部105と、操作表示部106と、判定情報生成部107と、音声記憶部110と、判定情報記憶部120とを備えている。
【0018】
音声記憶部110は、電話機200と電話機300との回線が接続されてから切断されるまでの、送受信部101が受信した電話機300からの音声と電話機200から入力された音声を音声データとして記憶する。音声記憶部110は、後述する処理に応じて、電話機200の音声と電話機300の音声を、1つの音声ファイルとして記憶する場合と別々の音声ファイルとして記憶する場合がある。
【0019】
判定情報記憶部120は、電話機300から送信された音声に基づいて管理サーバ400で保管管理すべき音声であるか否かを判定するための情報を記憶する。判定情報としては、具体的には迷惑電話をかける人物の声紋データを記憶する。ここで、声紋とは、音声を周波数分析した結果をグラフ化したものであり、指紋のように人それぞれで異なるため個人を特定することができる。声紋データは、声紋そのもの、または声紋から算出された判定データであり、録音通信装置100の使用者が迷惑電話と判断した音声から判定情報生成部107によって予め生成し、判定情報記憶部120に記憶する。
【0020】
送受信部101は、電話機300から送信された通話音声を受信し、受信した通話音声を音声記憶部110に記憶するとともに、通話音声を電話機200に送信する。また、電話機200から受信した通話音声を音声記憶部110に記憶するとともに、通話音声を電話機300に送信する。また、送受信部101は、電話機200と電話機300との間で回線が接続されたときに、音声記憶部110に電話機200から送信された通話音声と電話機300から送信された通話音声の録音を開始し、音声データとして音声記憶部110に記憶する。電話機200と電話機300との接続が切断されたときに録音を終了する。なお、音声記憶部110は、管理サーバ400に通話音声を送信するまでの一時記憶手段であるので、通話音声の録音を上書き可能にして装置の小型化を図ることができる。
【0021】
タイマ部102は、現在の時刻や通話音声録音開始時からの経過時間等を計時する。タイマ部102は、送受信部101が音声記憶部110に回線接続時刻すなわち通話音声の録音を開始した時刻と、回線切断時刻すなわち録音を終了した時刻を計時し、通話日時情報を生成する。通話日時情報は、電話機200と電話機300との回線が接続されてから切断されるまでの日時(すなわち年月日および時刻)であり、回線接続時刻および回線切断時刻のいずれか一方としても両方としてもよい。
【0022】
判定部103は、判定情報記憶部120に記憶された判定情報を用いて音声データを管理サーバ400に送信するべきか否かを判定する。具体的には、送受信部101によって受信された音声の声紋データが判定情報記憶部120に記憶された声紋データと一致するか否か、すなわち受信した音声が登録人物の音声か否かを判定する。
【0023】
送信情報生成部104は、管理サーバ400に送信する送信情報を生成する。ここで、送信情報とは、音声記憶部110に記憶された音声データとタイマ部102によって計時された通話日時情報とを含む情報である。送信情報生成部104では、音声データを暗号化してもよい。
【0024】
操作表示制御部105は、送受信部101から送信された各種情報や判定部103による判定結果を操作表示部106に表示するように制御する。操作表示制御部105は、操作表示部106から入力された各種情報を受付け、受付けた情報に応じた処理を実行するよう各部を制御する。
【0025】
操作表示部106は、操作表示制御部105の制御に応じて各種情報を表示し、各種情報の入力を受付ける。具体的には、操作表示部106は受信した音声が登録人物の音声であるか否かを表示する。また、操作表示部106は通話音声である音声データを管理サーバ400に送信するか否かの指示を受付ける。
【0026】
判定情報生成部107は、操作表示制御部105が操作表示部106から受付けた指示に応じて、音声記憶部110に記憶された音声データから声紋データを生成し、生成された声紋データを判定情報記憶部120に記憶する。
【0027】
電話機200は、さまざまな通信経路を通じて他の通話装置と通話可能な通話装置である。電話機200は、録音通信装置100に接続され、録音通信装置100は、ネットワーク1を介して他の電話機、例えば電話機300と通話可能に接続されている。なお、電話機300は、固定電話、携帯電話をはじめ通話可能な通信装置すべてを含む。
【0028】
管理サーバ400は、録音通信装置100とネットワーク1を介して接続され、録音通信装置100から送信された送信情報を送受信部401によって受信し、受信した送信情報を記憶部410に記憶する。これにより、管理サーバ400は、電話機200と電話機300との間の通話音声を記憶部410で保管管理する。管理サーバ400は、送信情報に含まれる通話日時情報や、電話機200の電話番号または使用者識別情報、IPアドレス等の種々の情報によって記憶部410に記憶された音声データを管理する。
【0029】
なお、図1に示した録音通信システム10では、録音通信装置100に1台の電話機200を接続し、管理サーバ400は、電話機200の電話番号や使用者識別情報、IPアドレスごとに通話音声並びに通話日時情報を含んだ送信情報を管理するが、例えば、交換機を用いた代表電話のような場合には、内線番号ごとに管理してもよい。また、ISDN(Integrated Services Digital Network)などを用いて複数の電話番号を有する場合には、電話番号ごとまたはサブアドレスごとに管理してもよい。
【0030】
次に、上述のように構成された録音通信システム10での録音通信処理について説明する。図2は、録音通信システム10が行なう録音通信処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
まず、録音通信装置100の処理を説明する。送受信部101は、電話機200と電話機300の回線が接続したか否かを判断する(ステップS201)。電話機200と電話機300の回線が接続していないと判断した場合は(ステップS201:No)、ステップS201に戻り、回線が接続されるまで処理を繰り返す。
【0032】
電話機200と電話機300の回線が接続したと判断した場合は(ステップS201:Yes)、タイマ部102は計時を開始する(ステップS202)。送受信部101は、電話機300からの音声および電話機200からの音声を録音し、音声データとして音声記憶部110に記憶する(ステップS203)。
【0033】
送受信部101は、電話機200と電話機300の回線が切断したか否かを判断する(ステップS204)。電話機200と電話機300の回線が切断していないと判断した場合は(ステップS204:No)、ステップS203に戻り、音声を録音する。電話機200と電話機300の回線が切断したと判断した場合は(ステップS204:Yes)、送受信部101は音声の録音を終了する(ステップS205)。タイマ部102は、計時を終了する(ステップS206)。
【0034】
判定部103は、判定情報記憶部120に記憶された声紋データを取得する(ステップS207)。判定部103は、声紋データを用いて電話機300から送信された音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声か否かを判定する(ステップS208)。電話機300から送信された音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声でないと判定した場合は(ステップS208:No)、処理を終了する。
【0035】
電話機300から送信された音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声であると判定した場合は(ステップS208:Yes)、送信情報生成部104は音声記憶部110に記憶している音声データを暗号化する(ステップS209)。音声データを暗号化する場合には、パスワード(または鍵)を発行し、操作表示部106に表示する。パスワードが付与することによって、管理サーバ400に送信された音声データは管理担当者であっても容易に聴くことができないため、録音通話装置100の使用者のプライバシーを保護することができる。送信情報生成部104は、暗号化した音声データにタイマ部102が計時した通話日時情報を付加し、送信情報を生成する(ステップS210)。なお、通話日時情報も音声データとともに暗号化してもよい。送受信部101は、送信情報を管理サーバ400に送信する(ステップS211)。
【0036】
次に、管理サーバ400での処理について説明する。送受信部401は、録音通信装置100から送信された送信情報を受信する(ステップS212)。送受信部401は、送信情報を記憶部410に記憶する(ステップS213)。
【0037】
このように、通話音声を保存して管理したい人物の声紋データを予め記憶しておき、声紋データを用いて通話音声が登録人物の音声か否かを判断することによって、通話時や通話後に特別な操作をすることなく確実に音声データと通話日時情報を管理サーバ400に送信することができる。これによって、迷惑電話の相手が電話番号を変えて電話してきた場合や非通知で電話してきた場合であっても証拠となる通話音声を確実に保存管理することができる。また、特別な操作をすることなく音声データと通話時刻を保存管理できるため、使用者の精神的負担を軽減することができる。
【0038】
また、本実施例は、通話相手と直接会話する場合だけでなく、留守番電話機能で受信した音声についても管理サーバ400に送信することができるため、被害者が不在の際の迷惑電話についても証拠として保存管理することができる。
【0039】
なお、声紋データによって登録人物か否かであるか否かを判定する処理(ステップS207およびステップS208)は、通話回線が切断されるまで待つ必要はなく、音声データを記憶する処理と並列に処理してよい。
【0040】
図3は、録音通信システム10が行なう他の録音通信処理手順を示すフローチャートである。ステップS301〜ステップS307の処理は、図2にステップS201〜ステップS207と同様であるため、上述したステップS201〜ステップS207の説明を参照する。
【0041】
判定部103は、声紋データを用いて電話機300から送信された音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声か否かを判定する(ステップS308)。電話機300から送信された音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声であると判定した場合は(ステップS308:Yes)、操作表示制御部105は登録人物の音声である旨を操作表示部106に表示する(ステップS309)。電話機300から送信された音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声でないと判定した場合は(ステップS308:No)、操作表示制御部105は登録人物の音声でない旨を操作表示部106に表示する(ステップS310)。
【0042】
操作表示制御部105は、音声データを管理サーバ400に送信するか否かの入力を操作表示部106から受付ける(ステップS311)。音声データを管理サーバ400に送信する旨の入力を操作表示部106から受付けた場合は(ステップS311:Yes)、図2のステップS209〜ステップS213と同様の処理を行う(ステップS312〜ステップS316)。処理の説明は、上述のステップS209〜ステップS213の説明を参照する。音声データを管理サーバ400に送信しない旨の入力を操作表示部106から受付けた場合は(ステップS311:No)、処理を終了する。
【0043】
このように、予め記憶された声紋データと一致するか否かの判定結果を表示したうえで管理サーバ400に送信するか否かを入力することができるため、通話相手が登録人物であると確認したうえで、使用者が保存対象とする音声データを選別することが可能となる。
【0044】
音声データを管理サーバ400に送信するか否かの入力に代えてまたは送信する旨の入力に加えて、操作表示部106から音声データに対する重要度や緊急度を示すレベル情報を入力することにしてもよい。例えば、レベル情報として“最重要”、“重要”、“至急対応要”等である旨を入力する。レベル情報が入力された場合に、送信情報にレベル情報を含め、管理サーバ400に送信する。このように、音声データにレベル情報を付加することにより、管理サーバ400で音声データを管理する場合にレベル情報に応じた管理や、レベル情報に応じた対応が可能となる。
【0045】
なお、音声データを管理サーバ400に送信する旨の入力を操作表示部106から受付けた場合で、かつ、判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声ではないと判定された場合は、通話音声を保存管理したい人物であるにも関わらずまだ声紋データが判定情報記憶部120に記憶されていないという状態であるため、音声記憶部110に記憶された音声データから判定情報生成部107によって声紋データを生成し、判定情報記憶部120に記憶するようにしてもよい。
【0046】
次に、上述した処理に追加する処理について説明する。図4は、判定情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。判定情報記憶部120は、声紋データと電話番号とを対応付けて記憶する。ここで、電話番号は、通話回線が接続された際に送受信部101によって取得された電話番号であり、操作表示部106から登録指示が入力された場合に、通話音声から生成した声紋データに対応付けて判定情報記憶部120に記憶する。
【0047】
上述した図2と図3のフローチャートにおいて、ステップS207またはステップS307を実行する前に、通話した電話番号が判定情報記憶部120に記憶された電話番号と一致するか否かを判断し、電話番号と一致しないと判断した場合に声紋データによる判定処理(ステップS207またはステップS307以降の処理)を実行してもよい。電話番号と一致したと判断した場合には、ステップS209〜ステップS211(またはステップS312〜ステップS314)の処理を実行する。これにより、迷惑電話として登録している電話番号であれば、声紋データが一致するか否かを判定することなく、迷惑電話と判断することができる。なお、電話番号と一致しないと判断した場合で、かつ判定情報記憶部120に記憶した声紋データに音声の声紋データが一致したと判定した場合は、音声を送信した電話機の電話番号を一致した声紋データに対応付けて判定情報記憶部120に記憶することにより、登録人物が新たに使用し始めた電話番号を取得することができる。
【0048】
また、音声記憶部110に記憶する音声データは、可逆圧縮方式または不可逆圧縮方式で圧縮することによってデータ量の削減したうえで、音声記憶部110に記憶してもよい。また、圧縮音声データを送信情報に含めてもよい。
【0049】
他の実施例として、上述した処理に、音声データからテキストデータを生成する処理を加える場合について説明する。送受信部101は、音声データを音声記憶部110に記憶する際に、電話機300から録音通信装置100に送信された音声データと電話機200から録音通信装置100に送信された音声データとをそれぞれ別の音声ファイルに記憶する。
【0050】
送信情報生成部104は、音声記憶部110に記憶された2つの音声ファイルそれぞれに記憶された音声データを発言ごとに音声認識処理を用いてテキストデータに変換するとともに、発言ごとのテキストデータを発話した時刻に応じて時系列に並べかえた対話テキストデータを生成する。対話テキストデータには、電話機200から送信された音声と電話機300から送信された音声の別が判別できるような発言者識別情報を加えて記述する。例えば、電話機200から送信された音声の発言者識別情報を“自分”、電話機300から送信された音声の発言者識別情報を“相手”とした場合、“相手:もしもし、Aさんのお宅ですか。自分:はいそうです。相手:・・・・”のように、発言者と発言内容が明確になる対話テキストデータを生成する。生成された対話テキストデータは、暗号化して送信情報に追加する。
【0051】
このように、本実施例では、電話機200から送信された音声と電話機300から送信された音声を2つの音声ファイルに別々に記憶し、2つの音声ファイルの音声データそれぞれからテキストデータを生成するため、通話相手の音声と自分の音声が1つのファイルに記憶されている場合とは異なり、通話相手と自分の音声を判断する必要もなく、それぞれの音声が重なることもないため、音声データからテキストデータを簡易な構成で精度高く生成することができる。
【0052】
なお、自分が発言した内容をテキストデータにしたくない場合は、対話テキストデータに代えて、電話機300から送信された音声データのみからテキストデータを生成してもよい。
【0053】
また、音声データからテキストデータの生成処理は、録音通信装置100で実行するほか、ネットワーク1を介して接続されている図示していないアプリケーションサービスを提供するサーバ(以下、APサーバという)で実行させてもよい。この場合には、2つの音声ファイルをAPサーバに送信し、APサーバでは音声認識処理を実行して音声データから変換したテキストデータを生成し、生成されたテキストデータをAPサーバから録音通信装置100に送信する。これにより、録音通信装置100で備える機能を限定することができ、より安価な装置を提供することができる。なお、判定情報生成部107で生成する声紋データについても同様に声紋データを生成するAPサーバに音声データを送信し、APサーバで音声データから声紋データを生成し、生成された声紋データをAPサーバから録音通信装置100に送信し、判定情報記憶部120に格納するようにしてもよい。
【0054】
また、他の実施例として、判定部103が声紋データに代え、または声紋データに加えてキーワードで音声データを管理サーバ400に送信するか否かを判定する場合について説明する。まず、判定情報記憶部120は、声紋データに代え、または声紋データに加えてキーワードを記憶する。例えば、迷惑電話や詐欺、脅迫等で使用される文言をキーワードとして記憶しておく。キーワードは、予め判定情報記憶部120に記憶されたもののほか、操作表示部106から入力されたキーワードを判定情報記憶部120に記憶してもよい。
【0055】
判定部103は、電話機300から受信した音声に、判定情報記憶部120に記憶されたキーワードを含むか否かを判定する。具体的には、電話機300から受信した音声に対して音声認識処理を実行することにより、音声からテキストデータを生成し、生成されたテキストデータにキーワードが含まれるか否かを判断する。キーワードが含まれると判断した場合には、送信情報生成部104は、音声データ、通話日時情報およびキーワードを含む送信情報を生成し、送受信部101は送信情報を管理サーバ400に送信する。
【0056】
また、他の実施例として、判定部103において声紋データに代え、または声紋データに加えて所定の時間に音声の音量が変化する割合(以下、音声変化量という)で音声データを管理サーバ400に送信するか否かを判定する場合について説明する。まず、判定情報記憶部120は、声紋データに代え、または声紋データに加えて許容可能な音声変化量の範囲(以下、許容範囲という)を記憶する。例えば、迷惑電話や詐欺、脅迫等では、急に大きな声を出して被害者を威嚇する場合に音声変化量が許容範囲を超えて大きくなり、無言でいやがらせをする場合には、ほぼ無音なので音声変化量が許容範囲(通常の通話で音量が変化する範囲)未満となる。なお、通話音声の音量が所定の音量の範囲か否かで判定することも考えられるが、音量自体で判断すると、電話機の音量設定や通話相手の地声により適切な判断ができない場合があるため、音声変化量によって通話相手の意図を判断する構成とした。
【0057】
判定部103は、電話機300から受信した音声が判定情報記憶部120に記憶された音声変化量が許容範囲であるか否かを判定する。具体的には、電話機300から受信した音声の音量を所定の時間ごとに測定し、前回との音量の変化量を算出する。算出された変化量が判定情報記憶部120に記憶された音声変化量の許容範囲内であるか否かを判断する。音声変化量の許容範囲内でないと判断した場合には、送信情報生成部104は、音声データ、通話日時情報および、許容範囲を超えている(すなわち威嚇)または許容範囲未満である(すなわち無言)の別を含む送信情報を生成し、送受信部101は送信情報を管理サーバ400に送信する。
【0058】
他の実施例として、声紋データを登録された人物を識別する情報を音声データに付加する場合について説明する。図5は、判定情報記憶部120のデータ構成の一例を示す説明図である。図5に示すように、判定情報記憶部120には声紋データに対応付けて登録人物識別情報を記憶する。判定部103は、判定情報記憶部120に記憶された声紋データを用いて登録人物であると判断した場合には、送信情報生成部104は、声紋データに対応付けられた登録人物識別情報を判定情報記憶部120から取得し、取得した登録人物識別情報、音声データおよび通話日時情報を送信情報に含める。
【0059】
これにより、迷惑電話をかけてくる人物が複数人存在しても、音声データを登録人物ごとに識別することができる。また、企業では、登録人物識別情報として所属や氏名を記憶させておくことによって、電話で種々の報告や連絡が行われた場合、音声データ、通話日時情報、登録人物識別情報を保存することができる。これにより、報告者と報告時刻が明確となるとともに、音声による報告が可能となるため、報告書作成の時間を大幅に削減することができる。また、緊急のトラブルに対する報告や連絡もタイムリーに行うことができ、通話時間や通話者がシステムによって保証されるため、事後の検証が容易になる。また、報告や連絡の事実を証拠として残すことができる。
【0060】
また、上述した実施例では、電話機200と録音通信装置100とが別々に形成される場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、録音通信装置100を電話機200と一体に形成することもできる。
【実施例2】
【0061】
図6は、実施例2にかかる録音通信システム20の構成を示すブロック図である。実施例2として、固定電話に代えて携帯電話やスマートフォン等と無線基地局との間で送受信された通話音声を保存管理する場合について説明する。録音通信システム20は、録音通信装置500と携帯電話機600とが接続されている。録音通信装置500は、ネットワーク1を介して電話機300と管理サーバ400に通信可能に接続されている。実施例1と同一の符号を付した各部は、実施例1と同様の機能、構成であるため、上述した説明を参照し、異なる点を説明する。
【0062】
録音通信装置500は、送受信部101と、タイマ部102と、判定部103と、送信情報生成部104と、操作表示制御部105と、操作表示部106と、判定情報生成部107と、音声取得部508と、音声入出力部509と、音声記憶部110と、判定情報記憶部120とを備えている。
【0063】
音声取得部508は、音声入出力部509から入力された携帯電話機600の通話音声を受付け、受付けた通話音声を音声記憶部110に記憶する。音声入出力部509と携帯電話機600は、有線または無線(例えばBluetooth(登録商標)通信やWiFi(登録商標)通信等)で接続することによって携帯電話機600の通話音声を音声取得部508から取得する。音声入出力部509は、一例としては携帯電話機600からの音声受信部と携帯電話機600への音声送信部、マイクロフォン、スピーカを備え、有線または無線で携帯電話機600から送信された通話相手の音声を音声受信部で受信し、受信した音声をスピーカから出力し、マイクロフォンから入力した音声を音声送信部によって携帯電話機600に送信するとともに、音声取得部508は音声入出力部509から送出された2つの音声それぞれを取得する。このほか、携帯電話機600から有線または無線で2つの音声それぞれを音声入出力部509に送信し、送信された音声を音声取得部508が取得するようにしてもよい。携帯電話機600は、携帯電話やスマートフォンのような、無線基地局との間で無線通信する通話装置である。
【0064】
これにより、携帯電話機600から取得した通話音声に関しても、実施例1および他の実施例として上述した処理を実行することができる。従って、携帯電話機600の通話音声も録音通信装置500によって受付け、受付けられた音声を音声記憶部110に記憶する。さらに、通話音声が登録人物の音声と判定された場合は、音声データを管理サーバ400に送信することができるため、携帯電話機600の通話音声についても固定電話の場合と同様に簡便に一元管理することができる。
【実施例3】
【0065】
図7は、実施例3にかかる録音通信システム30の構成を示すブロック図である。実施例3では、固定電話や携帯電話ではなく、マイクロフォンから入力された音声を保存管理する場合について説明する。録音通信システム30は、録音通信装置700にネットワーク1を介して電話機300と管理サーバ400に通信可能に接続されている。実施例1と同一の符号を付した各部は、実施例1と同様の機能、構成であるため、上述した説明を参照し、異なる点を説明する。
【0066】
録音通信装置700は、送受信部101と、タイマ部102と、判定部103と、送信情報生成部104と、操作表示制御部105と、操作表示部106と、判定情報生成部107と、音声取得部708と、音声入力部709と、音声記憶部110と、判定情報記憶部120とを備えている。
【0067】
音声取得部708は、音声入力部709から入力された音声を受付け、受付けた音声を音声データとして音声記憶部110に記憶する。音声入力部709は、具体的にはマイクロフォンであり、さらにスピーカを備えてもよい。マイクロフォンは、複数の会話者の音声を1つのマイクロフォンで集音しても、会話者ごとにマイクロフォンを備え、会話者ごとの音声を取得し、取得した音声を会話者ごとの音声データとして音声記憶部110に記憶するようにしてもよい。
【0068】
図8は、録音通信システム30が行なう録音通信処理手順を示すフローチャートである。
【0069】
まず、録音通信装置700の処理を説明する。音声取得部708は、会議が開始したか否かを判断する(ステップS801)。具体的には、音声入力部709からの音声の入力、または操作表示部106から入力された会議を開始する旨を操作表示制御部105が受付けたか否かで判断する。会議が開始していないと判断した場合は(ステップS801:No)、ステップS801に戻り、会議が開始されるまで処理を繰り返す。
【0070】
会議が開始したと判断した場合は(ステップS801:Yes)、タイマ部102は計時を開始する(ステップS802)。音声取得部708は、音声入力部709からの音声を録音し、音声データとして音声記憶部110に記憶する(ステップS803)。
【0071】
音声取得部708は、会議が終了したか否かを判断する(ステップS804)。具体的には、音声入力部709からの音声の入力の終了、または操作表示部106から入力された会議を終了する旨を操作表示制御部105が受付けたか否かで判断する。会議が終了していないと判断した場合は(ステップS804:No)、ステップS803に戻り、音声を録音する。会議が終了したと判断した場合は(ステップS804:Yes)、音声取得部708は音声の録音を終了する(ステップS805)。タイマ部102は、計時を終了する(ステップS806)。
【0072】
判定部103は、判定情報記憶部120に記憶された声紋データを取得する(ステップS807)。判定部103は、声紋データを用いて音声入力部709から受付けた音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声か否かを判定する(ステップS808)。音声入力部709から受付けた音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声であると判定した場合は(ステップS808:Yes)、声紋データに対応する登録人物識別情報を判定情報記憶部120から取得する(ステップS809)。音声入力部709から受付けた音声が判定情報記憶部120に記憶された登録人物の音声でないと判定した場合は(ステップS808:No)、登録人物以外の人物数をカウントする(ステップS810)。ステップS808〜ステップS810の処理は、声紋データが異なる音声すべてについて行う。
【0073】
送信情報生成部104は、音声記憶部110に記憶している音声データを暗号化する(ステップS811)。音声データを暗号化する場合には、パスワード(または鍵)を発行してもよい。送信情報生成部104は、暗号化した音声データにタイマ部102が計時した通話日時情報と会議参加者情報(登録人物識別情報および未登録人物数)を付加し、送信情報を生成する(ステップS812)。なお、通話日時情報、会議参加者情報も音声データとともに暗号化してもよい。送受信部101は、送信情報を管理サーバ400に送信する(ステップS813)。
【0074】
次に、管理サーバ400での処理について説明する。送受信部401は、録音通信装置700から送信された送信情報を受信する(ステップS814)。送受信部401は、送信情報を記憶部410に記憶する(ステップS815)。
【0075】
このように、本実施例では固定電話や携帯電話等からの通話音声ではなく、会議音声を記憶し、管理サーバ400に送信することができるため、会議記録等を音声データとして保存管理することができる。また、音声から会議参加者を特定し会議参加者の氏名や所属等の登録人物識別情報を取得し、会議時間も録音通信装置700が計時して記録することができるため、会議参加者は特別の作業を行うことなしに、会議を開催した証拠を管理することができる。
【0076】
また、本実施例においても、実施例1の他の実施例と同様に音声データから発言者を特定したテキストデータを生成することによって、会議議事録を作成することができる。その際、発言者ごとのマイクロフォンで発言者ごとに音声を取得する場合は、マイクロフォンで取得した音声ごとに判定情報記憶部120に記憶された声紋データを用いて1の発言者を特定する。また、複数の発言者の音声を1つのマイクロフォンで集音した場合は、音声から発言ごとに判定情報記憶部120に記憶された声紋データを用いて発言者それぞれを特定する。
【0077】
他の実施例として、さらにネットワーク1を介して接続された電話機300から送信された音声を送受信部101によって受信し、受信された音声をマイクロフォンから入力された音声に加えて音声記憶部110に記憶してもよい。これにより、遠隔地から電話で会議に参加する発言者の音声も記憶することができる。また、電話機300は、1に限らず複数であってもよい。
【0078】
次に、上述した実施例の録音通信装置100、500、700(以下、録音通信装置100等という)のハードウェア構成について説明する。録音通信装置100等は、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置と、外部記憶装置と、表示装置と、入力装置と、他の装置と通信を行う通信インタフェースとこれらを接続するバス等を備えたコンピュータである。また、管理サーバ400も、同様のハードウェア構成を備えた通常のコンピュータである。
【0079】
上述した実施例では、各部を備える録音通信装置100等が本発明にかかる録音通信装置として動作する。録音通信装置100等と管理サーバ400が本発明にかかる録音通信システムとして動作する。また、録音通信装置100等が本発明にかかる録音通信方法を実行する。
【0080】
また、録音通信装置100等のCPUが録音通信プログラムをROMから読み出して実行することにより、各種デバイスを動作させることによって上述した実施例を実現する。録音通信装置100で実行される録音通信プログラムは、上述した各部(送受信部101、タイマ部102、判定部103、送信情報生成部104、操作表示制御部105、判定情報生成部107等)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUがROMから録音通信プログラムを読み出して実行することにより上述した各部が主記憶装置上にロードされ、送受信部101、タイマ部102、判定部103、送信情報生成部104、操作表示制御部105、判定情報生成部107が主記憶装置上に生成される。録音通信装置500、700も同様である。
【0081】
なお、音声記憶部110と、判定情報記憶部120は、主記憶装置上に構成するほか、HDD、光ディスク、メモリカードなどの一般的に利用されているあらゆる記憶媒体によって構成することもできる。
【0082】
また、録音通信プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0083】
さらに、録音通信プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、録音通信プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0084】
なお、本発明は、上述した実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述した実施例に開示されている複数の構成要素は適宜組み合わせてもよく、実施例に示される構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 ネットワーク
10 20 30録音通信システム
100 500 700 録音通信装置
101 送受信部
102 タイマ部
103 判定部
104 送信情報生成部
105 操作表示制御部
106 操作表示部
107 判定情報生成部
508 708 音声取得部
509 音声入出力部
709 音声入力部
200 電話機
300 電話機
400 管理サーバ
401 送受信部
410 記憶部
600 携帯電話機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通話装置に接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置と第2の通話装置に接続される録音通信装置であって、
登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、
前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、
前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定手段と、
前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする録音通信装置。
【請求項2】
前記判定手段によって前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声と判定されたか否かを表示する表示手段と、
前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信するか否かの入力を受付ける受付手段と、をさらに備え、
前記送信手段は、前記受付手段によって前記送信情報を送信する旨を受付けた場合に、前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信すること、を特徴とする請求項1に記載の録音通信装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記第2の通話装置から送信された音声に対する重要度または緊急度を示すレベル情報の入力を受付け、
前記送信情報生成手段は、前記受付手段によって受付けられた前記レベル情報を前記送信情報に含むこと、を特徴とする請求項2に記載の録音通信装置。
【請求項4】
前記判定情報記憶手段は、前記声紋データに対応付けて前記登録人物を識別する登録人物識別情報を記憶し、
前記送信情報生成手段は、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、さらに前記声紋データに対応する前記登録人物識別情報を前記判定情報記憶手段から取得し、取得された前記登録人物識別情報を前記送信情報に含むこと、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の録音通信装置。
【請求項5】
前記送信情報生成手段は、さらに前記第2の通話装置から送信された音声をテキストデータに変換し、変換された前記テキストデータを前記送信情報に含むこと、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の録音通信装置。
【請求項6】
前記送信情報生成手段は、前記第1の通話装置から送信された音声および前記第2の通話装置から送信された音声それぞれを発言ごとにテキストデータに変換するとともに、前記発言ごとの発話した時刻に基づいて、前記第1の通話装置から送信された音声と前記第2の通話装置から送信された音声の別と、前記テキストデータとを時系列に並べた対話テキストデータを生成し、生成された前記対話テキストデータを前記送信情報に含むこと、を特徴とする請求項5に記載の録音通信装置。
【請求項7】
前記判定情報記憶手段は、前記声紋データに代えて、保存すべき音声か否かを判定するためのキーワードを記憶し、
前記判定手段は、前記第2の通話装置から送信された音声に、前記判定情報記憶手段に記憶された前記キーワードが含まれているか否かを判定し、
前記送信情報生成手段は、前記第2の通話装置から送信された音声に前記キーワードが含まれていると判定した場合には、前記音声データと前記日時情報と前記音声に含まれていたキーワードとを含む送信情報を生成すること、を特徴とする請求項1乃至3、請求項5、請求項6のいずれか1つに記載の録音通信装置。
【請求項8】
前記判定情報記憶手段は、前記声紋データに代えて、所定の時間に音声の音量が変化する割合である音声変化量の許容範囲を記憶し、
前記判定手段は、前記第2の通話装置から送信された音声から求めた前記音声変化量が、前記許容範囲内であるか否かを判定し、
前記送信情報生成手段は、前記第2の通話装置から送信された音声から求めた前記音声変化量が、前記許容範囲内でないと判定した場合には、前記音声データと前記日時情報と前記許容範囲を超えていたか前記許容範囲未満であったかの別とを含む送信情報を生成すること、を特徴とする請求項1乃至3、請求項5、請求項6のいずれか1つに記載の録音通信装置。
【請求項9】
前記第1の通話装置と一体に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載の録音通信装置。
【請求項10】
携帯電話機と接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置に接続される録音通信装置であって、
登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、
前記携帯電話機によって送受信される音声を音声データとして記憶する音声記憶手段と、
前記携帯電話機から送受信される音声を取得し、取得された前記音声を前記音声記憶手段に記憶する音声取得手段と、
前記携帯電話機に送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定手段と、
前記携帯電話機に送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記携帯電話機の回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする録音通信装置。
【請求項11】
管理サーバ装置とネットワークを介して接続されている録音通信装置であって、
登録人物の声紋データと、前記登録人物を識別する登録人物識別情報とを対応付けて記憶する判定情報記憶手段と、
発言者の音声を取得する音声取得手段と、
前記音声取得手段によって取得された音声を音声データとして記憶する音声記憶手段と、
前記音声取得手段によって取得された音声が前記判定情報記憶手段に記憶された前記登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された前記声紋データを用いて判定する判定手段と、
前記音声取得手段によって取得された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記声紋データに対応する前記登録人物識別情報を前記判定情報記憶手段から取得し、取得された前記登録人物識別情報と、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記音声データを前記音声記憶手段に記憶した時刻を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする録音通信装置。
【請求項12】
前記ネットワークを介して接続された通話装置から送信される音声を受信する受信手段、をさらに備え、
前記判定手段は、前記受信手段によって受信された音声が前記判定情報記憶手段に記憶された前記登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された前記声紋データを用いて判定し、
前記送信情報生成手段は、前記受信手段によって受信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に前記声紋データに対応する前記登録人物識別情報を前記判定情報記憶手段から取得し、取得された前記登録人物識別情報と、前記受信手段によって受信された音声を前記音声記憶手段に記憶した音声データとを含む送信情報を生成すること、を特徴とする請求項11に記載の録音通信装置。
【請求項13】
第1の通話装置に接続された録音通信装置と、ネットワークを介して前記録音通信装置と第2の通話装置に接続された管理サーバ装置とからなる録音通信システムであって、
前記録音通信装置は、
登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、
前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、
前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定手段と、
前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成手段と、
前記送信情報生成手段によって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信手段と、を備え、
前記管理サーバ装置は、
前記録音通信装置から送信された前記送信情報を受信し、受信された前記送信情報を記憶部に記憶する受信手段、を備えることを特徴とする録音通信システム。
【請求項14】
第1の通話装置に接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置と第2の通話装置に接続された、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、を備える録音通信装置で実行される録音通信方法であって、
判定手段が、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定ステップと、
送信情報生成手段が、前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成ステップと、
送信手段が、前記送信情報生成ステップによって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信ステップと、
を含むことを特徴とする録音通信方法。
【請求項15】
第1の通話装置に接続され、ネットワークを介して管理サーバ装置と第2の通話装置に接続された、登録人物の声紋データを記憶する判定情報記憶手段と、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの音声データを記憶する音声記憶手段と、を備えたコンピュータに、
前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声か否かを、前記判定情報記憶手段に記憶された声紋データを用いて判定する判定ステップと、
前記第2の通話装置から送信された音声が登録人物の音声であると判定された場合に、前記音声記憶手段に記憶された音声データと、前記第1の通話装置と前記第2の通話装置との回線が接続されてから切断されるまでの日時を示す日時情報とを含む送信情報を生成する送信情報生成ステップと、
前記送信情報生成ステップによって生成された前記送信情報を前記管理サーバ装置に送信する送信ステップと、
を実行させることを特徴とする録音通信プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−124550(P2012−124550A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271164(P2010−271164)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【特許番号】特許第4769904号(P4769904)
【特許公報発行日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(505259376)
【Fターム(参考)】