説明

閉経後の女性および下等動物における脂溶性ビタミンの腸吸収を増進する際の方法

【課題】閉経後の女性において脂溶性ビタミンの腸吸収、細胞濃度、胆汁分泌、肝貯蔵および/または肝臓濃度を増進する方法の提供。更には動物において同じように脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させる方法の提供。
【解決手段】有効量のL‐カルニチンの経口投与。L−カルニチンは、閉経後の女性でビタミンA,DおよびEなどの脂溶性ビタミン類の腸(リンパ)吸収を増進する。結果として、L‐カルニチンは抗酸化防御メカニズムを亢進し、閉経後の女性において冠状動脈性心疾患、加齢性黄斑変性症、骨粗鬆症、ガンおよびアルツハイマー症などのある種の変性症の危険度を低減させる。この方法は動物において同じように脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させる方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンを投与することにより閉経後の女性または下等動物における脂溶性ビタミンの腸吸収、細胞濃度、胆汁分泌、肝貯蔵および/または肝臓濃度を増進させる際の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L‐カルニチンは長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックスへの移行およびそれらの続いて起こる酸化を調節し、組織のエネルギー供給において重要な役割を果たす。そのような代謝での役割と共に、L‐カルニチンは血清中の抗じゅく腫形成性の高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを増進させる一方で、コレステロール、トリグリセリドおよび遊離脂肪酸を低下させるのに効果があることが示された。参照Pola,P.ほか、“脂肪血異常症患者の治療におけるカルニチン”Curr Ther Res27:208から16(1980);Lacour,Bほか、“カルニチンは血液透析患者における脂質異常を改善する”、Lancet12:763〜4(1980);Avogaro,P.,“ヒトにおけるFFAおよびベータ‐ヒドロキシ‐ブチレートへのL‐カルニチンの急性効果”、Pharmacol Res Commun 13:433‐50(1981);およびVacha,G.M.ほか“血液透析患者における高トリグリセリド血症に対するL‐カルニチン治療の有効な効果:低レベルの高濃度リポタンパク質コレステロールの決定的な役割”、Am J Clin Nutr 38:532〜40(1983)。現存する証拠では、L‐カルニチンおよびそのエステルは、酸化的損傷を受けた膜リン脂質の再アシル化(修復)に参加して赤血球膜の安定性および無傷状態を亢進する。参照Arduini,Aほか、“糖尿病ラット赤血球における膜リン脂質脂肪酸交替へのプロピオニル‐L‐カルニチン処置の効果”、Mol Cell Biochem 152:31〜7(1995);Arduini,A.ほか、“カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼおよびアシル‐CoA結合タンパク質:ヒト赤血球の膜リン脂質脂肪酸交替におけるもう二つのプレーヤーなのか?”、Biochem J 325:811〜4(1997);およびArduini,Aほか、“4℃で保存した添加溶液‐懸濁赤血球へのL‐カルニチンの添加は生物外での溶血作用を減少させ、生物内の生存を改善する”、Trandfusion 37:166〜74(1997)。ミトコンドリアが存在しない赤血球においてL‐カルシニンおよびそのエステルがそのような作用を示すことに気が付いたことは興味深いことである。年老いたラットへのL‐カルシニン補充が、L‐カルニチンの膜安定化効果に関連するミトコンドリア機能での加齢性衰退を逆転させることを示した。参照Hagen,T.M.ほか、“老年ラットに与えたアセチル‐L‐カルニチンは部分的にミトコンドリアの機能および歩行活動を回復させる”Proc Natl Acad Sci USA 95:9562〜6(1998)。この発見は、細胞性代謝および機能の損傷を導く加齢で顕著に増進するミトコンドリアDNAの酸化的損傷において特に重要である。参照Hagen,T.M.ほか、“年老いたラットから得た肝細胞におけるミトコンドリアの衰弱”:膜電位の衰退、異質性およびオキシダントの増大“、Proc Natl Acad Sci USA 94:3064〜9(1997)。
【0003】
工業化された国では全人口の15%より多くを閉経後の女性が占めている。2030年には閉経後の女性の比率が全人口の23%まで増加することが予測されている。参照Hill,K.,“更年期の人口統計研究”、Maturitas23:113〜127(1996)。これに加え、数多くの疫学的研究は、更年期におけるエストロゲンの減少がその後の人生における原因特定な罹患率および死亡率に影響することを示した。栄養的見地からは、更年期は体の栄養を吸収、同化および代謝する能力が衰え始める時である。結局、体の栄養状況が更年期および更年期後では易感染性となり、やがて特定栄養の欠損徴候を示すようになる。
【0004】
閉経後の女性は冠状動脈性心疾患、加齢性黄斑変性症、骨粗鬆症、ガンおよびアルツハイマー症に実質的に罹りやすいことがよく書かれている。参照Hill,K.,“更年期の人口統計研究”、Maturitas23:113〜127(1996)。これは部分的に加齢の経過および体の機能と免疫系の低下に関係するが、疫学的な証拠では、ある慢性的病気の危険度(発生率)と閉経後の女性における特定の栄養の不足または欠乏の間には有意の関連が存在することを物語っている。最新の証拠は、ビタミンA,DおよびEのような脂溶性ビタミンの易感染性体調は当該病気の開始または発生に影響または寄与する重要な因子であることを強く示唆している。例えば、冠状動脈心疾患の危険度は閉経後および卵巣摘出した女性において出産可能年齢の女性と比べて劇的に上昇する。ビタミンE補強は血清リポタンパク質の酸化の低減および血管平滑筋細胞の増殖を阻害して冠状動脈性心疾患の危険度を顕著に減少させることを示した。参照Chan,A.C.,“ビタミンEとアテローム性動脈硬化症”、J Nutr 128:1593〜6(1998);Motoyama,T.ほか、“ビタミンE投与は冠状動脈痙攣性狭心症の患者における内皮依存性血管拡張の悪化を改善する”、J Am Coll Cardiol32:1672〜9(1998);およびMeydani,M.ほか、“長期の抗酸化剤入り食物補助物の効果”、Ann NY Acad Sci 854:352〜60(1998)。同様に、骨損失および骨粗鬆症に関し危険度が増大している閉経後の女性におけるビタミンD不足が広まっていることが認められている。参照WHO Scientific Group,“1990年代における更年期についての研究”、WHO Technical Report, Series 866,1996,WHO,Geneva,スイス。同様に、研究では閉経後の女性における加齢性黄斑変性症の発生率はプロビタミンA(カロチノイド類)およびビタミンEの摂取と逆相関することが示された。参照Seddon,J.M.ほか、“食物のカロチノイド類、ビタミンA,CとEおよび進行した加齢性黄斑変性症。眼疾患例‐対照研究群”、JAMA 272:1413〜20(1994);West,S.ほか、“抗酸化剤または補助剤は加齢性黄斑変性症に対し防御的か?”、Arch Opthalmol 112:222〜7(1997);Van der Hagen,A.M.,ほか、“フリーラジカルおよび抗酸化剤補助:それらの加齢性黄斑変性症における役割の概説”、J Am Optom Assoc 64:871〜8(1993);およびGolberg,J.ほか、“加齢性黄斑変性症に関する因子。最初のNational Health and Nutrition Examination Surveyからのデータの解析”、Am J Epidemiol 128:700〜10(1988)。更に、最近の証拠では酸化ストレスがアルツハイマー病の発生に重要な役割を果たし、補助的ビタミンEは当該病気の危険度を低下させることを示唆している。参照Sinclair,A.J.ほか、“アルツハイマー病および血管性痴呆症の患者における変化した血清抗酸化剤の状況”、Int J Geriatr Psychiatry 13:840〜5(1998);Morris,M.C.ほか、“ビタミンEとビタミンC補助剤使用およびアルツハイマー病発生の危険度”、Alzheimer Dis Assoc Disord 12:121〜6(1998);Subramaniam,R.ほか、“フリーラジカル抗酸化剤ビタミンEは皮質性シナプトソーム膜をアミロイド性ベータ‐ペプチド(25〜35)毒性からは防御するが、ヒドロキシノネナール毒性からは防御しない:アルツハイマー病のフリーラジカル仮説に関して”、Neurochem Res 23:1403〜10(1998)。
【0005】
イヌの病死の47%はガンが原因で、次いで心臓病(12%)および腎臓病(7%)であることが知られている。ネコでは、上位に位置する病気にはガン(32%)、腎臓/泌尿器疾患(23%)および心臓病(9%)が含まれる。参照Morris Animal Foundation Animal Health Survey 1997.動物でのこれらの病気はある種のビタミン類、特にビタミンEおよびビタミンCと共にビタミンAのような抗酸化剤の不適切なレベルと結び付いている。
【0006】
そこで、特に一般的に加齢による栄養吸収の効率低下および腸吸収機能の衰退を考慮に入れ、閉経後の女性での脂溶性ビタミン類の栄養的状況を改善する必要がある。同様に特に一般的な加齢による腸吸収機能の衰退を考慮に入れ、下等動物における脂溶性ビタミン類の栄養的状況を改善する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Pola,P.ほか、“脂肪血異常症患者の治療におけるカルニチン”Curr Ther Res27:208から16(1980)
【非特許文献2】Lacour,Bほか、“カルニチンは血液透析患者における脂質異常を改善する”、Lancet12:763〜4(1980)
【非特許文献3】Avogaro,P.,“ヒトにおけるFFAおよびベータ‐ヒドロキシ‐ブチレートへのL‐カルニチンの急性効果”、Pharmacol Res Commun 13:433‐50(1981)
【非特許文献4】Vacha,G.M.ほか“血液透析患者における高トリグリセリド血症に対するL‐カルニチン治療の有効な効果:低レベルの高濃度リポタンパク質コレステロールの決定的な役割”、Am J Clin Nutr 38:532〜40(1983)
【非特許文献5】Arduini,Aほか、“糖尿病ラット赤血球における膜リン脂質脂肪酸交替へのプロピオニル‐L‐カルニチン処置の効果”、Mol Cell Biochem 152:31〜7(1995)
【非特許文献6】Arduini,A.ほか、“カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼおよびアシル‐CoA結合タンパク質:ヒト赤血球の膜リン脂質脂肪酸交替におけるもう二つのプレーヤーなのか?”、Biochem J 325:811〜4(1997)
【非特許文献7】Arduini,Aほか、“4℃で保存した添加溶液‐懸濁赤血球へのL‐カルニチンの添加は生物外での溶血作用を減少させ、生物内の生存を改善する”、Trandfusion 37:166〜74(1997)
【非特許文献8】Hagen,T.M.ほか、“老年ラットに与えたアセチル‐L‐カルニチンは部分的にミトコンドリアの機能および歩行活動を回復させる”Proc Natl Acad Sci USA 95:9562〜6(1998)
【非特許文献9】Hagen,T.M.ほか、“年老いたラットから得た肝細胞におけるミトコンドリアの衰弱”:膜電位の衰退、異質性およびオキシダントの増大“、Proc Natl Acad Sci USA 94:3064〜9(1997)。
【非特許文献10】Hill,K.,“更年期の人口統計研究”、Maturitas23:113〜127(1996)
【非特許文献11】Chan,A.C.,“ビタミンEとアテローム性動脈硬化症”、J Nutr 128:1593〜6(1998)
【非特許文献12】Motoyama,T.ほか、“ビタミンE投与は冠状動脈痙攣性狭心症の患者における内皮依存性血管拡張の悪化を改善する”、J Am Coll Cardiol32:1672〜9(1998)
【非特許文献13】Meydani,M.ほか、“長期の抗酸化剤入り食物補助物の効果”、Ann NY Acad Sci 854:352〜60(1998)
【非特許文献14】WHO Scientific Group,“1990年代における更年期についての研究”、WHO Technical Report, Series 866,1996,WHO,Geneva,スイス
【非特許文献15】Seddon,J.M.ほか、“食物のカロチノイド類、ビタミンA,CとEおよび進行した加齢性黄斑変性症。眼疾患例‐対照研究群”、JAMA 272:1413〜20(1994)
【非特許文16】
【0008】
West,S.ほか、“抗酸化剤または補助剤は加齢性黄斑変性症に対し防御的か?”、Arch Opthalmol 112:222〜7(1997)
【非特許文献17】Van der Hagen,A.M.,ほか、“フリーラジカルおよび抗酸化剤補助:それらの加齢性黄斑変性症における役割の概説”、J Am Optom Assoc 64:871〜8(1993)
【非特許文献18】Golberg,J.ほか、“加齢性黄斑変性症に関する因子。最初のNational Health and Nutrition Examination Surveyからのデータの解析”、Am J Epidemiol 128:700〜10(1988)
【非特許文献19】Sinclair,A.J.ほか、“アルツハイマー病および血管性痴呆症の患者における変化した血清抗酸化剤の状況”、Int J Geriatr Psychiatry 13:840〜5(1998)
【非特許文献20】Morris,M.C.ほか、“ビタミンEとビタミンC補助剤使用およびアルツハイマー病発生の危険度”、Alzheimer Dis Assoc Disord 12:121〜6(1998)
【非特許文献21】Subramaniam,R.ほか、“フリーラジカル抗酸化剤ビタミンEは皮質性シナプトソーム膜をアミロイド性ベータ‐ペプチド(25〜35)毒性からは防御するが、ヒドロキシノネナール毒性からは防御しない:アルツハイマー病のフリーラジカル仮説に関して”、Neurochem Res 23:1403〜10(1998)
【非特許文献22】Morris Animal Foundation Animal Health Survey 1997
【発明の概要】
【0009】
本発明の要約
出願者らは,L‐カルニチンが閉経後の女性においてビタミンA、DやEの如き脂溶性ビタミン類の腸(リンパ)吸収を増進させることを発見した。結果として、L‐カルニチンは抗酸化防御メカニズムを高め、閉経後の女性における冠動脈性心疾患、加齢性黄斑変性症、骨粗鬆症、ガンおよびアルツハイマー症の如きある種の変性疾患の危険度を低下させる。
【0010】
本発明は、閉経後の女性における脂溶性ビタミン類の腸吸収、細胞濃度、胆汁分泌、肝貯蔵および/または肝臓濃度を増進する際の方法を提供する。当該方法は、脂溶性ビタミンを必要とする閉経後の女性に対して脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進するのに効果的な量のL‐カルニチンの経口投与を含む。
【0011】
本発明は同時に閉経後の女性における、冠動脈性心疾患、加齢性黄斑変性症、骨粗鬆症、ガンおよびアルツハイマー症から選択する病気の一つ以上の危険度を低減するまたは防御する方法を提供する。当該方法は、脂溶性ビタミンを必要とする閉経後の女性に脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させるのに効果的な量のL‐カルニチンの経口投与を含む。
【0012】
本発明は動物において脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させる方法を提供する。当該方法は、脂溶性ビタミンを必要とする当該動物に脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる効果的量のL‐カルニチンの経口投与を含む。
【0013】
本発明は同じように動物における冠状動脈性心疾患を含む心臓病;腎臓病;泌尿器疾患およびガンから選択された1つ以上の病気の危険度または防御の方法を提供する。当該方法は脂溶性ビタミンを必要とする動物に、脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンの経口投与を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は時間間隔で8時間におけるα‐トコフェロール(αTP)の胆汁分泌の説明図である。当該対照群は−CN(即ちカルニチンなし)で表している。当該カルニチン含有群は+CNで表している。全ての値は平均±標準偏差(SD)で表現している。時間時点当たり5匹のラットで試験を行った(即ちn=5)。
【図2】図2は1時間間隔で8時間におけるα‐トコフェロール(αTP)の積算胆汁分泌の説明図である。当該対照群は−CN(即ちカルニチンなし)で表している。当該カルニチン含有群は+CNで表している。全ての値は平均±標準偏差(SD)で表現している。時間時点当たり5匹のラットで試験を行った(即ちn=5)。アステリスク()はp<0.05で有意差を意味する。
【図3】図3は1時間間隔で8時間におけるα‐トコフェロール(αTP)のリンパ吸収の説明図である。当該対照群はSNで表している。カルニチン含有群はCKで表している。全ての値は平均±標準偏差(SD)で表現している。時間時点当たり5匹のラットで試験を行った(即ちn=5)。アステリスク()はp<0.05で有意差を意味する。
【図4】図4は1時間間隔で8時間におけるα‐トコフェロール(αTP)の積算リンパ吸収の説明図である。当該対照群はSNで表している。カルニチン含有群はCKで表している。全ての値は平均±標準偏差(SD)で表現している。時間時点当たり5匹のラットで試験を行った(即ちn=5)。アステリスク()はp<0.05で有意差を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
本発明は、閉経後の女性において脂溶性ビタミンの腸の吸収、細胞濃度、胆汁分泌、肝貯蔵および肝臓濃度を増進させる方法を提供する。当該方法は脂溶性ビタミンを必要とする閉経後の女性に、脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンの経口投与を含む。
【0016】
同じように、脂溶性ビタミンを必要とする下等動物に脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンの経口投与を行い、ネコまたはイヌのような下等動物において脂溶性ビタミンの腸吸収、細胞濃度、胆汁分泌、肝貯蔵および肝臓濃度を増進することができる。
【0017】
適したL‐カルニチンには、これに限らないがL‐カルニチン;アセチルL‐カルニチン、プロピオニル‐L‐カルニチン、ブタニル‐L‐カルニチン、バレニル‐L‐カルニチンおよびイソバレニル‐L‐カルニチンなどのアシル‐L‐カルニチン類;それらの医薬品として許容される塩;および上述のいずれかの組合せが含まれる。L‐カルニチンの適した医薬品として許容される塩には、これに限らないが酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、塩化物、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコースリン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化物、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、2‐ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3‐フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩とウンデカン酸塩およびL‐カルニチンの酸添加塩類が含まれる。好ましくは、L‐カルニチンは低吸湿性である。好ましいL‐カルニチン塩には、これに限らないがL‐カルニチンL‐酒石酸塩、L‐カルニチンフマル酸塩、L‐カルニチンアジピン酸塩およびL‐カルニチンクエン酸マグネシウム塩が含まれる。
【0018】
閉経後の女性にとって、脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量とは閉経後の女性において当該脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させるL‐カルニチンの量である。閉経後の女性では、1日当たり典型的には約10mgから約2gのL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩、好ましくは1日当たり約250から約750mgのL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩を投与する。より好ましくは、閉経後の女性に1日当たり約400から約600mgのL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩を投与する。一般的には、閉経後の女性に規定食1,000キロカロリー当たり約50から約800mgおよび好ましくは約100から約400mgのL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩を投与する。閉経後の女性に関して本明細書で使用する用語“規定食”は、1人の女性が1日当たり消費する食物(カロリーで)の量と定義する。
【0019】
例えば哺乳類などの下等動物については、脂溶性ビタミン吸収増進させる有効量とは、動物にて脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させるL‐カルニチンの量である。下等動物に投与するL‐カルニチンの量は動物の年齢または病気の状態によって変動する。一般的に、下等動物にはL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩を約1から約100mg/体重kg、好ましくは約5から約75mg/体重kg、より好ましくは約5から約25mg/体重kgで投与する。一般的に、下等動物にはL‐カルニチンまたはその医薬許容塩を約25から約5000mg/規定食kg、好ましくは約50から約1000mg/規定食kg、そしてより好ましくは約75から約500mg/規定食kgを投与する。ヒトでない(または下等)動物につき本明細書で使用する用語“規定食”は当該動物が1日当たり消費する食物量(重量で)と定義する。
【0020】
適切な脂溶性ビタミン類には、これに限らないがビタミンA;ビタミンD;ビタミンE(および特にα‐トコフェロール);ビタミンEアセテートのようなそれらの前駆体;ビタミンEパルミテートおよびビタミンEアセテートのような1から約20の炭素原子を有するエステル類;および上述物のいずれかの組合せが含まれる。本発明の1つの態様によれば、当該脂溶性ビタミンはビタミンEである。本明細書で使用する用語“ビタミンE”には、α‐、β‐、δ‐およびγ‐トコフェロールおよびそれらの相当するアシルエステル類が含まれる。閉経後の女性に毎日投与する特定の脂溶性ビタミンの量はNational Academy of Scienceが発行したU.S.RDAで推奨している量である。典型的には、毎日約8から約800mgのビタミンEを閉経後の女性に投与する。好ましくは、毎日約8から約400mgのビタミンEを閉経後の女性に投与する。
【0021】
下等動物の毎日投与する特定の脂溶性ビタミンの量は、様々の動物組織が推奨している量でよい。投与する脂溶性ビタミンの量は当該動物の年齢および病気の状態および補助する当該ビタミンにより変動する。一般的に、下等動物には約30から約5,000国際単位(IU)/規定食kgおよび好ましくは約100から約1,000IU/規定食kgのビタミンEを投与する。一般的に、下等動物には約5,000から約1,000,000国際単位(IU)/規定食kgおよび好ましくは約10、000から約500,000IU/規定食kgのビタミンAを投与する。一般的に、下等動物には約250から約10,000国際単位(IU)/規定食kgおよび好ましくは約500から約3,000IU/規定食kgのビタミンDを投与する。
【0022】
当該下等動物とはネコまたはイヌなどの家庭用ペットである。好ましくは、当該動物は卵巣除去または去勢動物で、特には卵巣除去または去勢したネコまたはイヌである。
好ましくは、当該L‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンは閉経後の女性または下等動物へ同時に、より好ましくは同じ服用量単位剤形で投与する。当該L‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンを好ましくは食事中または食事後に投与する。
【0023】
エストロゲンは同じように閉経後の女性の抗酸化系を更に増強するために閉経後の女性にL‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンと共に投与するのがよい。エストロゲンの量は、エストロゲン補充療法の技術で知られている方法で決定する。一般的には、閉経後の女性には約300から約600μgのエストロゲンをL‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンと共に投与する。
【0024】
L‐カルニチンと脂溶性ビタミンの組合せは抗酸化メカニズムを高めるので、閉経後の女性につき冠状動脈性心疾患、加齢性黄斑変性症、骨粗鬆症、ガンおよびアルツハイマー症などの変性疾患の危険度を低下させまたは防ぐためにL‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンを投与する。本発明の方法は長期治療、即ち数ヶ月、数年または人生の残りの間に使うことができ、前述の病気をもたらす危険度を減少させる。
【0025】
同じようにして、L‐カルニチンを下等動物に投与でき、冠状動脈性心疾患を含む心臓病、腎臓病、泌尿器疾患およびガンのような一定の変性疾患の危険度を低減するか防御する。本発明の方法は長期治療、即ち数ヶ月、数年または動物の残りの生涯に亘って使い、前述の病気をもたらす危険度を減少させる。
【0026】
当該L‐カルニチン、脂溶性ビタミンおよび場合によりエストロゲンを当技術分野で知られている方法で、例えばこれに限らないがカプセル、錠剤および粉体や分包のような粒子を含む閉経後の女性用の経口服用量単位剤形に処方できる。閉経後の女性用の服用量単位剤形は液体または固体状にすることができるが、好ましくは固体状である。服用量単位剤形は更に添加剤として、これに限らないがpH調整剤、保存剤、風味料、味マスキング剤、香料、湿潤剤、等張化剤、着色剤、界面活性剤、可塑剤、滑沢剤、投薬賦形剤、可溶化剤、医薬品添加物、希釈剤、崩壊剤または上述物のいずれかの組合せを含む。
【0027】
同様に、下等動物に関してL‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンは当技術分野で知られている方法で、これに限らないが動物の餌のような食物;カプセル;錠剤および粉末と分包のような粒子を含む経口服用量単位剤形に処方することができる。当該L‐カルニチンおよび脂溶性ビタミンは食物、水、動物の餌、錠剤またはカプセルにして動物に投与できる。下等動物用の服用量単位剤形は液体または固形状にできる。服用量単位剤形は更に前述の添加剤のいずれを含んでもよい。
好ましい態様の説明
以下の実施例は本発明を例示するが制限するものではない。全ての部およびパーセントは、他に示さなければ重量で表す。
【実施例】
【0028】
実施例1
規定食のカルニチンは卵巣摘出したラットにおけるα‐トコフェロールの肝臓レベルおよび胆汁分泌を増進させる
本試験は卵巣摘出したラットにおいて、規定食のカルニチンがα‐トコフェロールの肝臓濃度および胆汁分泌に影響を与えるかどうかを測定した。
材料および方法
32匹の10週齢メスのSprague‐Dawleyラットで体重214±6g(Harlan Sprague Dawley,Indianapolis,IN)を、約23℃で調整した温度の窓なしの部屋内のステンレススチール線底のプラスチックケージ中に個別に収容し、明期間午後3:30から午前3:30および暗期間午前3:30から午後3:30の明暗周期に置いた。当該ラットは脱イオン水を自由摂取およびDyets,Inc.(Bethlehem,PA,USA)が処方した脂肪源として7%大豆油を入れた亜鉛が充分なAIN‐3G規定食(Reevesほか、J Nutr 1993;123:1939〜1951)を任意に食べさせて馴致した。望ましい亜鉛レベルを供するのに炭酸亜鉛を加えた。最初の週末、16時間断食後に平均体重230±12gの当該ラットをハロタン麻酔下で卵巣摘出を行った。最初の血液試料(0週)は無作為に選んだ5匹のラットから採取した。
【0029】
1週間の手術回復期間後、体重を調和させながらラットを以下の2実験群に分けた:ラットの一群にはα‐トコフェロールを除いた大豆油;Degussa Corporation,Ridgefield,NJから入手できるシリカ水和物Sipernat登録商標を150ppm含有し;および150mg/kgのカルニチンを補った、亜鉛が充分なAIN93G食餌を与えた。対照群には、150mg/kgのカルニチンを150ppmのα‐D‐グルコースで置き換えた他は同じである規定食を与えた。両方の群に対する標準食物摂取は約15g/日/ラットであった。血液試料は各群において無作為に選んだ5匹のラットから1,3,5,8週の始めに採取した。
【0030】
第8週の終わりに、約340±15gの体重を持つ両群のラットにつき胆汁管カニューレ挿入を実施した。以前に記述(Nohほか、J Nutr Biochem 1999;10:110〜117)した如く、16時間食物遮断に引き続いて当該総胆汁管のカニューレ挿入を行った。簡単に言えば、正中腹腔切開を行った後、ハロタン麻酔(2.0l酸素/分の中に2.0%ハロタン)下で総胆汁管にPE‐10管(Clay Adams,Sparks,MD)をカニューレした。シリコン製栄養補給カテーテル(Silastic medical grade tubing,Dow Corning,Midland,MI)を胃基底部領域に挿入した。当該注入カテーテルは右側腹部を通して胆汁カニューレに沿って体外露出させた。カニューレ挿入したラットは個々拘束ケージに入れ、約30℃に保った暖かい回復室中で少なくとも20時間回復させた。手術の後、直ちにグルコース‐リン酸塩緩衝食塩水(PBS)(mモル/l:277グルコース,6.75NaHPO,16.5NaHPO,115NaClおよび5KCl;pH6.7)を連続して注射器ポンプ(Harvard Apparatus,Model935,South Natick,MA)を介して3.0ml/hで十二指腸カニューレを通して注入した。
【0031】
手術後回復の後、ラットに24mlのPBS中に565μモルのトリオレイン(95%、Sigma Chemical,St.Louis,MO)および396μモルのタウロコール酸ナトリウムを含有する脂肪乳化液を注入した。氷で満たしたビーカ中に入れた30μgの没食子酸n‐プロピルを含む秤量済みコニカル遠心管に胆汁を1時間ごとに8時間集めた。胆汁を集めた後、当該ラットを頚部脱臼で屠殺し、当該肝臓を切除した。当該試料は分析まで約−70℃で保存した。
【0032】
脂肪はFolchの方法(Folchほか、J Biol Chem1957;226:497〜509)で抽出した。α‐トコフェロールの含量はZaspelほかが記述した如くに測定した(Anal.Biochem.1983;130:140〜150)。簡単に言うと、150μLの胆汁および一定量の酢酸α‐トコフェロール(内部標準として)をガラス試験管にピペットで入れた。アセトン抽出後、硫酸ナトリウムで乾燥、そして1000×gで遠心分離し、上層をPTFE注射器ろ過器(0.45μm,Alltech Associates,Inc.,Deerfield,IL)でろ過し、Nガス下で乾燥してクロロホルム‐メタノール(1:3,v/v)の規定量に再溶解した。当該抽出物はSystem Goldソフトウエア(Beckman Instruments,Inc.,Fullerton,CA)を有し、C‐18逆相カラム(Alltima C18,5μm、4.6×150mm,Alltech Associates,Inc.,Deerfield,IL)を備えたBeckman HPLCシステムで分離した。脱ガスしたメタノールを移動相として2ml/分で使用した。典型的な保持時間はα‐トコフェロールで4.1分、酢酸α‐トコフェロールで5.3分であった。検出は292nm(Module 166 UV検出器、Beckman Instruments)で観測した。α‐トコフェロール標準曲線範囲は47.6から190.5ngであった。
【0033】
統計的分析はExcel97(Microsoft Inc,1997)およびPCSAS(SAS Institute,1996)を用いて行った。Student’s t‐testおよび一元ANOVAを用いて群平均を比較した。差はP<0.05にて有意とした。
【0034】
結果
胆汁の流れでは差異は認められなかった(カルニチン群7.9±1.4ml/8時間に対して対照群8.9±1.8ml/8時間)しかしながら、α‐トコフェロールの8時間での胆汁分泌はカルニチン群(53.1±9.3nmol)が対照群(41.3±7.3nmol)より高く有意であった(P<0.05).図1および2では、α‐トコフェロールの産出速度および積算産出につき其々図で例示している。α‐トコフェロールの肝臓濃度は同じようにカルニチン群(129.6±19.5nモル/g)は対照群(100.7±20.2nモル/g)と比較すると有意に上昇していた。同じように、当該全脂肪100mg当たりのα‐トコフェロール濃度はカルニチン補強規定食を与えられたラットでは有意により高かった。肝臓α‐トコフェロール/リン脂質の比は対照群(3.3±0.4nモル/μモル)におけるよりカルニチン群(4.8±0.6nモル/μモル)の方が有意(P=0.001)により高かった。これらの結果は、規定食のカルニチンが卵巣摘出ラットにおいてα‐トコフェロールの肝臓状況を改善することの証拠を提供する。
【0035】
実施例2
規定食のカルニチンは卵巣摘出したラットにおけるα‐トコフェロールのリンパ吸収を増進する
本実験は、規定食のカルニチンが卵巣摘出したラットにおけるα‐トコフェロールの腸吸収を改善するかどうかを測定するために行った
材料および方法
32匹の10週齢メスのSprague‐Dawleyラットで体重208±8g(Harlan Sprague Dawley,Indianapolis,IN)を収容し実施例1で説明したように飼育した。第2週目の末に、平均体重240±9gの当該ラットを16時間の断食後にハロタン麻酔下で卵巣摘出した。最初(0週)の血液試料は無作為に選択した6匹のラットから採取した。
【0036】
手術後直ちにラットを実施例1で説明したように2つの試験群、即ち1群はカルニチン補強の規定食で飼育し、1群は対照である。両群での通常の食物摂取は約15〜16g/日/ラットであった。第5週の最後に、平均体重340±15gの各群につきリンパ管にカニューレ挿入を行った。以前の記述(Nohほか、前述)の如く16時間の食物遮断に次いで腸間膜リンパ管のカニューレ挿入を行った。簡単に言えば、正中腹腔切開を行った後、ハロタン麻酔(2.0l酸素/分の中に2.0%ハロタン)下でシアノアクリレート系接着剤(Krazy Glue,Columbus,OH)の滴下で安全確保しながら腸管膜リンパ管にポリエチレン管(SV 31 tubing,Dural Plastics,Auburn,オーストラリア)をカニューレ挿入をした。シリコン製栄養補給カテーテル(Silastic medical grade tubing,Dow Corning,Midland,MI)を胃基底部領域に挿入した。当該注入カテーテルは右側腹部を通してリンパカニューレに沿って体外露出させた。カニューレ挿入したラットを個々拘束ケージに入れ、約30℃に保った暖かい回復室中で少なくとも20時間回復させた。外科手術の後、直ちにグルコース‐リン酸塩緩衝食塩水(PBS)(mモル/l:277グルコース,6.75NaHPO,16.5NaHPO,115NaClおよび5KCl;pH6.7)を連続して注射器ポンプ(Harvard Apparatus,Model935,South Natick,MA)を介して3.0ml/hで十二指腸カニューレを通して注入した。
【0037】
手術後の回復後、ラットは24mlのPBS中に、1μCiの[カルボキシ‐14C]‐トリオレイン(比活性112.0mCi/mモル,DupontNEN,Boston,MA),565μモルのトリオレイン(95%、Sigma Chemical,St.Louis,MO),3.56μモルのα‐トコフェロール(全rac‐α‐トコフェロール,97%,Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)および396μモルのタウロコール酸ナトリウムを含有する脂肪乳化液を注入した。氷で満たしたビーカの中に入れた30μgの没食子酸n‐プロピルおよび4mgのNaEDTAを含む秤量済みコニカル遠心管にリンパ液を1時間ごとに8時間集めた。リンパ液を集めた後、当該ラットを頚部脱臼で屠殺し、当該肝臓を集めた。当該試料は分析まで約−70℃で保存した。
【0038】
抽出した脂肪から(Folchほか、前述)組織全リン脂質はRehejaほか(J Lipid Res 1973;14:695〜697)の方法の比色法で測定した。組織全コレステロールはRudelほか(J Lipid Res1973;21:364〜366)が記述した如く定量した。α‐トコフェロールはZaspelほか(前述)および上記実施例1に記述した如く測定した。統計的解析は実施例1に記述した如く実施した。
【0039】
結果
リンパの流れでは差を示さなかった(カルニチン群では22.6±4.2ml/8時間:対照群では24.5±2.5ml/8時間)。8時間でのα‐トコフェロールのリンパ吸収はカルニチン群(899±200nモル/8h)が対照群(587±92nモル/8時間)より有意(P<0.05)に高かった。図3および図4ではα‐トコフェロールの時間毎の吸収速度および積算吸収を図で例示する。14C‐トリオレインの吸収はカルニチン群(53.5±4.0%服用量)が対照群(47.6±5.0%服用量)と比較して僅かに増進(P<0.05)した。リンパα‐トコフェロール/リン脂質の比(カルニチン群では46.9±8.8nモル/μモル:対照群36.3±6.2nモル/μモル)およびリンパα‐トコフェロール/コレステロール(カルニチン群では82.7±17.1nモル/μモル:対照群では60.8±6.0nモル/μモル)では有意な差が認められた。これらの結果は規定食カルニチンがα‐トコフェロールのリンパ吸収を増進させることの初めての証明を提示する。
【0040】
以上に述べた全ての特許、出願、論文、公報および試験法は参照により本明細書中に援用される。
上で詳しく述べた記述に照らせば、本発明の多くの変形は当事者に対しそれらにつき示唆するだろう。そのような明らかな変形は付加した請求項の意図する範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂溶性ビタミンを必要としている閉経後の女性への脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる効果的な量のL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩の経口投与を含む、閉経後の女性における脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させる方法。
【請求項2】
当該脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンEおよびそれらのいずれの組合せからなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項3】
当該脂溶性ビタミンがビタミンEである、請求項2の方法。
【請求項4】
脂溶性ビタミンを必要としている閉経後の女性への1日当たりL‐カルニチンまたはその医薬許容塩約10mgから約2gおよびビタミンE約8から約800mgの経口投与を含む、閉経後の女性における脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させる方法。
【請求項5】
当該L‐カルニチンがL‐カルニチンL酒石酸塩、L‐カルニチンフマル酸塩、L‐カルニチンアジピン酸塩またはL‐カルニチンクエン酸マグネシウム塩である、請求項4の方法。
【請求項6】
1日当たりL‐カルニチンを約250から約750mg投与する、請求項4の方法。
【請求項7】
1日当たりビタミンEを約8から約400mg投与する、請求項4の方法。
【請求項8】
L‐カルニチンまたはその医薬許容塩およびビタミンEと組合せたエストロゲンの経口投与を更に含む、請求項4の方法。
【請求項9】
脂溶性ビタミンを必要としている閉経後の女性への脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩の経口投与を含む、閉経後の女性における脂溶性ビタミンの胆汁分泌を増進させる方法。
【請求項10】
脂溶性ビタミンを必要としている閉経後の女性への脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩の経口投与を含む、閉経後の女性における脂溶性ビタミンの肝臓濃度を増進させる方法。
【請求項11】
脂溶性ビタミンを必要としている閉経後の女性への脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩の経口投与を含む、閉経後の女性における冠状動脈性心疾患、加齢性黄斑変性症、骨粗鬆症、ガンおよびアルツハイマー症から選択された1つ以上の病気の危険度を減らす方法。
【請求項12】
脂溶性ビタミンを必要とする動物への脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩の経口投与を含む、動物における脂溶性ビタミンの腸吸収を増進させる方法。
【請求項13】
1日に体重1キログラム当たり約1から約100mgのL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩を投与する、請求項12の方法。
【請求項14】
1日に規定食の1キログラム当たり約25から約5000mgのL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩を投与する、請求項12の方法。
【請求項15】
1日に規定食の1キログラム当たり約30から約5,000IU.のビタミンEを投与する、請求項12の方法。
【請求項16】
1日に規定食1キログラム当たり約5,000から約1,000,000IU.のビタミンAを投与する、請求項12の方法。
【請求項17】
1日に規定食の1キログラム当たり約250から約10,000IU.のビタミンDを投与する、請求項12の方法。
【請求項18】
服用量単位剤形の形状で脂溶性ビタミンおよびL‐カルシニンまたはその医薬品として許容される塩を投与する、請求項12の方法。
【請求項19】
服用量単位剤形がカプセル、錠剤、粉末または分包である、請求項18の方法。
【請求項20】
当該動物が家庭用ペットである、請求項12の方法。
【請求項21】
当該動物がネコまたはイヌである、請求項20の方法。
【請求項22】
当該動物は卵巣除去または中性化されたものである、請求項20の方法。
【請求項23】
脂溶性ビタミンを必要とする動物への脂溶性ビタミンおよび脂溶性ビタミン吸収を増進させる有効量のL‐カルニチンまたはその医薬品として許容される塩の経口投与を含む、動物において心疾患、腎臓疾患、泌尿器疾患およびガンから選択する1つ以上の病気に罹る危険度を減少させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−162537(P2012−162537A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−60336(P2012−60336)
【出願日】平成24年3月16日(2012.3.16)
【分割の表示】特願2001−566639(P2001−566639)の分割
【原出願日】平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【出願人】(391003864)ロンザ リミテッド (36)
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
【出願人】(502330573)カンザス・ステート・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデーション (2)
【Fターム(参考)】