説明

開放弁及びこれを用いた消火システム

【課題】低流量では流量に応じて開度が変化し、作動流量以上の流量が流れると弁体を全開でき、圧力損失を極小に抑える開放弁及びこれを用いた消火システムを提供する。
【解決手段】開放弁10の弁体11は有底円筒形状で、底部が開閉弁11aをなすとともに通水孔11eが設けられ、円筒部の外周部に第1円環壁11b、第2円環壁11c及び第3円環壁11dが設けられ、第2円環壁11cを第1,第3円環壁11b、11dより外径を大きくし、シリンダ室9は、第1、第2、第3円環壁11b、11c、11dが各々摺動可能に形成された第1シリンダ室9aと、第2シリンダ室9bと、第3シリンダ室9cとからなり、第3円環壁11dが第3シリンダ室9c内を弁体11の開方向に所定長さAを摺動すると、第3シリンダ室9c内面とのシール性を失うように、第3シリンダ室9c内に拡径するテーパ部13bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開放弁及びこれを用いた消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、スプリンクラヘッドの誤作動による不時放水を、スプリンクラヘッドの作動検知手段からの信号と、スプリンクラヘッドの近傍に設けられた火災感知器の信号とによって判断し、これらの信号により制御される給水遮断手段を有する流水検知装置において、調圧装置が制御室(シリンダ室)と二次側との間に設けられ二次側の圧力を調整している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−040312号公報(段落0019〜0041、図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の減圧開方式の湿式流水検知装置を用いた消火システムは、火災感知器が作動すると通電閉止弁を開放し、制御室の消火水を2次側に通水することで弁体が全開する。この場合はシリンダ圧が即座に無圧になるので圧力損失が小さく抑えられるが、弁体の開閉を機械的に検知して流水信号として使用することができないという問題があった。
一方、上記従来例の課題を解決するために、監視時の2次側圧力と1次側圧力を加圧水で同圧に設定し、シリンダ室の水が2次側配管へ流れる構成として、スプリンクラヘッドが作動していないときはシリンダ圧と2次側圧力が同圧であるために、シリンダ室が減圧されないために弁体は開放せずに流水信号が発生しないが、スプリンクラヘッドが作動したときは2次圧が減圧して、シリンダの加圧水が2次側へ排出されるために弁体が開放して流水信号が発信される、としたものがある。
【0005】
ただし、この場合はシリンダ室が即座に無圧にならす、流水時の2次圧と同程度の圧力が残り、圧力損失増大の要因となっていた。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、弁体の開閉を流水信号として使用でき、かつ、圧力損失を極小に抑えることができる減圧開方式の開放弁とこれを用いた消火システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る開放弁は、内部を1次側室と2次側室とに仕切る仕切壁に設けられた貫通孔及び前記貫通孔と同一軸上に開口部を有する本体と、前記開口部を覆う有底円筒形状の蓋体と、前記開口部と前記蓋体で構成されるシリンダ室と、このシリンダ室に摺動可能に設けられ前記貫通孔を開閉する開閉弁を有する弁体とを備えた開放弁において、前記弁体は有底円筒形状で、底部が前記開閉弁をなすとともに通水孔が設けられ、円筒部の外周部に第1円環壁、第2円環壁及び第3円環壁が設けられ、前記第2円環壁を前記第1,第3円環壁より外径を大きくし、前記シリンダ室は、前記第1、第2、第3円環壁が各々摺動可能に形成された第1シリンダ室と、第2シリンダ室と、第3シリンダ室とからなり、前記第3円環壁が前記第3シリンダ室内を前記弁体の開方向に所定長さを摺動すると、前記第3シリンダ室内面とのシール性を失うように、前記第3シリンダ室内に拡径するテーパ部を設けたものである。
【0007】
また、この発明に係る消火システムは、火災を検知して火災信号を出力する火災感知器と、火災による熱で開放するスプリンクラヘッドと、請求項1記載の前記開放弁と、前記開放弁の前記第2シリンダ室の排水管に設けられた遠隔起動弁と、前記火災信号を受信したときに前記遠隔起動弁を開放する制御盤とを備えた消火システムにおいて、前記開放弁は、前記制御盤からの起動信号により前記遠隔起動弁が開放すると、前記第2シリンダ室の加圧水が排水されるとともに、前記スプリンクラヘッドの開放によって前記第1シリンダ室の加圧水が前記通水孔を通って前記2次側室に排水されて前記開閉弁が開き始め、前記1次室側の加圧水により前記第2円環壁が押されて前記開閉弁が一定の開度になると、前記第3シリンダ室のテーパ部から前記第3シリンダ室に浸入した加圧水により、前記第2シリンダ室の加圧水が排水された分だけ前記第2円環壁が押されて前記開閉弁が開放状態となるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る開放弁において、弁体は有底円筒形状で、底部が開閉弁をなすとともに通水孔が設けられ、円筒部の外周部に第1円環壁、第2円環壁及び第3円環壁が設けられ、第2円環壁を第1,第3円環壁より外径を大きくし、シリンダ室は、第1、第2、第3円環壁が各々摺動可能に形成された第1シリンダ室と、第2シリンダ室と、第3シリンダ室とからなり、第3円環壁が第3シリンダ室内を弁体の開方向に所定長さを摺動すると、第3シリンダ室内面とのシール性を失うように、第3シリンダ室内に拡径するテーパ部を設けたので、第3シリンダ室のテーパ部により、開閉弁が微小開状態から開放状態までの作動流量で第3シリンダ室に浸入した加圧水により、第2シリンダ室の加圧水が排水された分だけ第2円環壁が押されて開閉弁を即座に全開することができる。また、圧力損失を極小に抑えることができる。
【0009】
また、この発明の消火システムにおいて、開放弁は、制御盤からの起動信号により遠隔起動弁が開放すると、第2シリンダ室の加圧水が排水されるとともに、スプリンクラヘッドの開放によって第1シリンダ室の加圧水が通水孔を通って2次側室に排水されて開閉弁が開き始め、1次室側の加圧水により第2円環壁が押されて開閉弁が一定の開度になると、第3シリンダ室のテーパ部から第3シリンダ室に浸入した加圧水により、第2シリンダ室の加圧水が排水された分だけ第2円環壁が押されて開閉弁が開放状態となるので、火災発生時に開放弁を即座に全開でき、また圧力損失を極小に抑えることができるので、初期消火を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1、図2はこの発明の開放弁を備えた消火システムを示す図であり、それぞれ監視時の状態と火災時の状態を示す。図3は消火システムに用いられる開放弁の断面図であり、監視時の状態を示す。図4、図5は開放弁を備えた消火システムを示す図(一部省略)であり、それぞれ監視時と火災時の状態を示す。
【0011】
図1、図2において、消火システムは、火災を検知して火災信号を出力する火災感知器1と、閉鎖型で熱検知により開放するスプリンクラヘッド2と、火災感知器1が作動することにより後述の各種装置を起動する制御盤3と、1次側室4と2次側室5とに貫通孔6を有する仕切壁7に仕切られ後述の第1〜第3シリンダ室9a,9b,9cを有する本体8と、貫通孔6を開閉する弁体11とを備えた開放弁10と、開放弁10の2次側室5とスプリンクラヘッド2に給水する2次配管15と、1次側室4に接続される1次配管(図示せず)と、1次側室4と第2シリンダ室9bの間に設けられた導入管16と、2次側室5と導入管16の間に設けられたバイパス管17と、第2シリンダ室9bに設けられた第2シリンダ室9b、第3シリンダ室9c及びバイパス管17に接続された排水管18と、常時OFFで弁体11が一定距離移動するとONとなり流水検知信号を制御盤3に送るリミットスイッチLSと、が設けられている。
【0012】
導入管16には、1次側室4側から第2シリンダ室9bにかけて、常時開でメンテナンス時の止水弁として使用される制水弁23、1次側の圧力を表示する圧力計24、管路内の異物を除去するストレーナ25、2次側の減圧警報用圧力スイッチPS、2次側の圧力を表示する圧力計27及び第2シリンダ室9bへの給水時の流量調整用のオリフィス28が順次設けられている。バイパス管17には、1次側(高圧)から2次側(低圧)のみ通水が可能とする逆止弁32と、常時開でメンテナンス時の止水弁として使用する制水弁33が設けられている。第2シリンダ室9bからの排水管18には常時閉で火災感知器1の作動時に制御盤3により開かれる遠隔起動弁21と、遠隔起動弁21と並列接続された手動起動弁30が設けられ、第3シリンダ室9cからの排水管18には流量調整用のオリフィス31が設けられ、バイパス管17には常時閉でスプリンクラヘッド2の作動テスト時および排水時に開放される手動テスト弁34(排水弁兼用)が設けられている。
【0013】
図3において、開放弁10は、内部を1次側室4と2次側室5とに仕切る仕切壁7に貫通孔6を設け、貫通孔6と同一軸心上に開口部13を有する本体8と、開口部13を覆い、一端に凸部14aを有する底面及び他端に開口部14bを有する有底円筒形状の蓋体14とが設けられ、シリンダ室9が開口部13と蓋体14の各々の内側で構成されている。
本体の開口部13にフランジ13c、蓋体14の開口部14にフランジ14cが各々設けられ、蓋体14の開口部14のフランジ14cが本体8の開口部13のフランジ13cに固定されている。
【0014】
また、シリンダ室9内を摺動し、シリンダ室9の圧力により貫通孔6を開閉する開閉弁11aを有する弁体11が設けられており、弁体11は一端に開口部、他端に底部を有する有底円筒形状であり、底部が開閉弁11aをなすとともに、通水孔11eが設けられ、弁体11の円筒部の周縁部において、円筒部の開口部側から開閉弁11a側にかけて、第1円環壁11b、第2円環壁11c及び第3円環壁11dが設けられている。第1,第3円環壁11b,11dの間の第2円環壁11cの外径は、シリンダ室9内の加圧水の受圧面積を大きくするため、第1,第3円環壁11b,11dの各々の外径より大きくしている。また、開閉弁11aから開口部に向けて突設されたロッド11fが設けられ、このロッド11fの外周に弁体11を閉じる方向に付勢するスプリング12が設けられている。
【0015】
シリンダ室9において、第1の円環壁11bが摺動する蓋体14の凸部14aの内側を第1シリンダ室9aとし、第2円環壁11cが摺動する蓋体14の開口部14bの内側を第2シリンダ室9bとし、第3円環壁11dが摺動する本体8の開口部13の内側を第3シリンダ室9cとしている。
なお、各円環壁の側面には図示しないシール部品が設けられ、各シリンダ室毎にシール性を保っている。
また、第3シリンダ室9cには、第3円環壁11dが所定長さAを弁体11が開く方向に平行部13aを摺動すると、第3シリンダ室9cの内面とのシール性を失うように、第3シリンダ室9cの内面がフランジ13cに向かって拡径する長さBのテーパ部13bを設けている。
【0016】
次に、この発明の実施の形態の動作について説明する。
監視時の動作では、図1、図4に示すように、まず、開放弁10の1次側室4に一次配管(図示せず)を介して給水されると、導入管16の常時開の制水弁23を介して第2シリンダ室9bが充水され、また、バイパス管17の常時開の制水弁33を介して2次側室5が充水され、2次側室5から通水孔11eを介して第1シリンダ室9aが充水される。一方、第3シリンダ室9cは充水されない。
また、2次側室5を介してスプリンクラヘッド2の2次配管15も充水される。
【0017】
このとき、第2シリンダ室9b内の水圧による力が弁体11の閉止方向に作用しているため、第2シリンダ室9bが無圧の場合よりも弁体11の閉止力が大きい。
なお、第2シリンダ室9bが無圧となるのは、メンテナンス時などに、導入管16の制水弁23を閉じ、第2シリンダ室9bが充水されないときであり、2次側室5の水圧とスプリング12が弁体11を押す力とが釣り合っており、弁体11の開放弁11aにより貫通孔6が閉じられている。また、遠隔起動弁21は常時閉の状態にあり、シリンダ室9の第2シリンダ室9b内の圧力は保持されており弁体11は閉止している。
【0018】
火災時の動作では、図2、図5に示すように、火災が発生すると、まず火災感知器1が作動し、制御盤3が遠隔起動弁21を開放する。これにより、第2シリンダ室9bの水が排水管18を介して排水され、第2シリンダ室9bが減圧され、スプリング12が弁体11を押す力のみとなり、弁体11はいつでも開放可能な待機状態となる。
この状態でスプリンクラヘッド2が作動して2次側室5の圧力が低下すると、連通孔11eを介して連通している第1シリンダ室9aも同様に減圧するため、1次側室4の水圧が第3円環壁11dを押して弁体11が開方向へ動作し始める。
なお、第2シリンダ室9bの減圧の程度はオリフィス28で調整可能である。
【0019】
そして、弁体11の第3円環壁11dが第3シリンダ室9cの所定長さAを弁体11が開く方向に摺動し、テーパ部13bに達すると第3シリンダ室9cの内面とのシール性を失い、1次側室4より、第3シリンダ室9c及び第2シリンダ室9bの第2円環壁11cから第3シリンダ室9c側に流水して水圧が発生し、この水圧による力が第2円環壁11cを弁体11の開方向へ押すため、この力が発生しない場合と比べて弁体11の開度をより大きくして、弁体11を即座に全開し、開放弁10の圧力損失を低減する。
このとき、弁体11の開放によって、弁体11のロッド11fがリミットスイッチLSを作動させ、流水検知信号を発する。
【0020】
非火災時の動作では、火災感知器1のみ作動した場合、遠隔起動弁21が開放するため第2シリンダ室9bの加圧水が排水され、弁体11が待機状態となるが、第1シリンダ室9aの庄力とスプリング12の力によって弁体11は閉止状態を保つ。
また、スプリンクラヘッド2のみ作動した場合、2次側室5の圧力が低下するため、それに通水孔11eを介して連通している第1シリンダ室9bの圧力も低下するが、第2シリンダ室9bの圧力が保たれているため弁体11は閉じたままである。
【0021】
以上のように、内部を1次側室4と2次側室5とに仕切る仕切壁7に設けられた貫通孔6及び貫通孔6と同一軸上に開口部13を有する本体8と、開口部13を覆う有底円筒形状の蓋体14と、開口部13と蓋体14で構成されるシリンダ室9と、このシリンダ室9に摺動可能に設けられ貫通孔6を開閉する開閉弁11aを有する弁体11とを備えた開放弁10において、弁体11は有底円筒形状で、底部が開閉弁11aをなすとともに通水孔11eが設けられ、円筒部の外周部に第1円環壁11b、第2円環壁11c及び第3円環壁11dが設けられ、第2円環壁11cを第1,第3円環壁11b、11dより外径を大きくし、シリンダ室9は、第1、第2、第3円環壁11b、11c、11dが各々摺動可能に形成された第1シリンダ室9aと、第2シリンダ室9bと、第3シリンダ室9cとからなり、第3円環壁11dが第3シリンダ室9c内を弁体11の開方向に所定長さAを摺動すると、第3シリンダ室9c内面とのシール性を失うように、第3シリンダ室9c内に拡径するテーパ部13bを設けたので、テーパ部13bにより、開閉弁11aが閉止状態から微小開状態までは弁体11のシール性を維持して、開閉弁11aが微小開状態から開放状態までの作動流量で流水時に第3シリンダ室9cに浸入した加圧水により第2円環壁11cが押されて開閉弁11aを即座に全開することができる。
【0022】
また、弁体の開閉を機械的に検知して流水信号として使用することができる。
また、1次側室4と2次側室5の圧力差が0.05MPa程度にでき、圧力損失が低減される。
また、第2円環壁11cは受圧面を十分大きくしているので、開閉弁11aの閉鎖時は開けにくくでき、開閉弁11aの開放時は閉めにくくできる。
【0023】
また、火災を検知して火災信号を出力する火災感知器1と、火災による熱で開放するスプリンクラヘッド2と、開放弁10と、開放弁10の第2シリンダ室9bの排水管18に設けられた遠隔起動弁21と、火災信号が入力したときに遠隔起動弁21を開放することにより、開放弁10を開放する制御盤3とを備えた消火システムにおいて、開放弁10は、制御盤3からの起動信号により遠隔起動弁21が開放すると、第2シリンダ室9bの加圧水が排水されるとともに、スプリンクラヘッド2の開放によって第1シリンダ室9aの加圧水が通水孔11eを通って2次側室5に排水されて開閉弁11aが開き始め、1次室側4の加圧水により第3円環壁11dが押されて開閉弁10が一定の開度になると、第3シリンダ室9cのテーパ部13bから第3円環壁11dを超えて第3シリンダ室9c側に浸入した加圧水により、第2シリンダ室9bの加圧水が排水された分だけ第2円環壁11cが押されて開閉弁10が開放状態となるので、火災時に開閉弁11aを即座に全開することができ、また圧力損失を極小に抑えることができるので、初期消火を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態を示す開放弁を備えた消火システムを示す図(監視時)である。
【図2】この発明の実施の形態を示す開放弁を備えた消火システムを示す図(火災時)である。
【図3】この発明の実施の形態を示す開放弁の断面図である。
【図4】この発明の実施の形態を示す開放弁の断面図(監視時)である。
【図5】この発明の実施の形態を示す開放弁の断面図(火災時)である。
【符号の説明】
【0025】
1 火災感知器、2 スプリンクラヘッド、3 制御盤、4 1次側室、5 2次側室、6 貫通孔、7 仕切壁、8 本体、9 シリンダ室、9a 第1シリンダ室、9b 第2シリンダ室、9c 第3シリンダ室、10 開放弁、11 弁体、11a 開閉弁、11b 第1円環壁 、11c 第2円環壁、11d第3円環壁、11e 通水孔、13 開口部、13a 平行部、13b テーパ部、14 蓋体、14a 凸部、14b 開口部、15 2次配管、16 導入管、17 バイパス管、18 排水管、21 遠隔起動弁、PS 減圧警報用圧力スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を1次側室と2次側室とに仕切る仕切壁に設けられた貫通孔及び前記貫通孔と同一軸上に開口部を有する本体と、前記開口部を覆う有底円筒形状の蓋体と、前記開口部と前記蓋体で構成されるシリンダ室と、このシリンダ室に摺動可能に設けられ前記貫通孔を開閉する開閉弁を有する弁体とを備えた開放弁において、
前記弁体は有底円筒形状で、底部が前記開閉弁をなすとともに通水孔が設けられ、
円筒部の外周部に第1円環壁、第2円環壁及び第3円環壁が設けられ、
前記第2円環壁を前記第1,第3円環壁より外径を大きくし、
前記シリンダ室は、前記第1、第2、第3円環壁が各々摺動可能に形成された第1シリンダ室と、第2シリンダ室と、第3シリンダ室とからなり、
前記第3円環壁が前記第3シリンダ室内を前記弁体の開方向に所定長さを摺動すると、前記第3シリンダ室内面とのシール性を失うように、前記第3シリンダ室内に拡径するテーパ部を設けたことを特徴とする開放弁。
【請求項2】
火災を検知して火災信号を出力する火災感知器と、火災による熱で開放するスプリンクラヘッドと、請求項1記載の前記開放弁と、前記開放弁の前記第2シリンダ室の排水管に設けられた遠隔起動弁と、前記火災信号を受信したときに前記遠隔起動弁を開放する制御盤とを備えた消火システムにおいて、
前記開放弁は、前記制御盤からの起動信号により前記遠隔起動弁が開放すると、前記第2シリンダ室の加圧水が排水されるとともに、前記スプリンクラヘッドの開放によって前記第1シリンダ室の加圧水が前記通水孔を通って前記2次側室に排水されて前記開閉弁が開き始め、前記1次室側の加圧水により前記第2円環壁が押されて前記開閉弁が一定の開度になると、前記第3シリンダ室のテーパ部から前記第3シリンダ室に浸入した加圧水により、前記第2シリンダ室の加圧水が排水された分だけ前記第2円環壁が押されて前記開閉弁が開放状態となることを特徴とする消火システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−245779(P2008−245779A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88763(P2007−88763)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】