開閉ロック装置
【課題】左右一対の摺動部材が同期してスムーズに動き、リッドを開いたときに挿入部の開口を広くとれるようにした開閉ロック装置を提供する。
【解決手段】開閉ロック装置10は、リッド前面の凹部に取付けられる本体ハウジング11と、本体ハウジングの両側から所定長さ出没可能に取付けられる第1摺動部材13及び第2摺動部材14と、外周の対向する2箇所に、両摺動部材の内端が回動可能に連結されるロータ15と、両摺動部材を本体ハウジングから突出する方向に付勢する付勢手段16と、本体ハウジングの前面に上下方向に回動可能に取付けられ、上方への回動によりカム面に当接して該摺動部材を本体ハウジングの内側に引き込ませる突起を有する操作ノブ12と、両摺動部材にそれぞれ連結され、リッドの両側から出没動作するロッドとを備えており、ロータが、その回転支軸を上下方向に向けて、本体ハウジングの下面に設置されている。
【解決手段】開閉ロック装置10は、リッド前面の凹部に取付けられる本体ハウジング11と、本体ハウジングの両側から所定長さ出没可能に取付けられる第1摺動部材13及び第2摺動部材14と、外周の対向する2箇所に、両摺動部材の内端が回動可能に連結されるロータ15と、両摺動部材を本体ハウジングから突出する方向に付勢する付勢手段16と、本体ハウジングの前面に上下方向に回動可能に取付けられ、上方への回動によりカム面に当接して該摺動部材を本体ハウジングの内側に引き込ませる突起を有する操作ノブ12と、両摺動部材にそれぞれ連結され、リッドの両側から出没動作するロッドとを備えており、ロータが、その回転支軸を上下方向に向けて、本体ハウジングの下面に設置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のインストルメントパネルなどに設けられた凹所に、開閉可能に取付けられる、例えばグローブボックスなどのリッドの開閉ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような開閉ロック装置として、リッドの両側から出没可能に突出し、凹所の両側内面に設けた係止孔に嵌入されるロッドを有し、リッドの前面に取付けられた操作ノブの回動動作によって、上記ロッドを引き込ませてロックを解除できるようにした、いわゆるサイドロックと呼ばれるロック装置が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ドアに回動可能に取付けられるノブと、係止爪をそれぞれ備えた第1摺動部材及び第2摺動部材とを具備する開閉ロック装置において、前記ノブが突起を有し、前記第1摺動部材及び第2摺動部材がそれぞれラックを有し、これらラックがピニオンギヤに互いに径方向の反対側の位置で歯合し、前記第2摺動部材がカム部を有し、前記ノブを回動させると、前記ノブの突起がカム部と係合して前記第2摺動部材を移動せしめると同時に前記ピニオンギヤを介して前記第1摺動部材を反対方向に移動させ、それによって開扉可能状態になるようにしたことを特徴とする開閉ロック装置が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、縦断面において長寸下部と屈曲してこれに連続する短寸上部とを有するリッドを開閉するサイドロック装置であって、該リッドの短寸上部の裏面側に固定されるハウジングと、該ハウジングに回転可能に軸支される円盤状のロータと、該ロータの回転と連動して進退動作する左右一対のロッドとを備え、ハウジングは、リッドの短寸上部に沿って縦方向に設けられたロータの軸受部と、該軸受部とは空間を画して対向する第一壁・第二壁とを有し、ロータは、その円盤形状をリッドの短寸上部の壁厚方向と水平となるように上記軸受部に軸支され、左右一対のロッドは、上記空間を画成する第一壁と第二壁の間に互いに逆方向へスライド可能に支持される一方、ハウジングは、ロータの円盤状外周面を摺接支持する円筒部を更に有することを特徴とするサイドロック装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3896028号公報
【特許文献2】特開2007−170031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の開閉ロック装置においては、第1摺動部材と第2摺動部材とを、それぞれに形成されたラックと、このラックの間に配置されたピニオンギヤとを介して連動させる構造をなすため、組付けに際して一対のラックの同期化が頗る困難で組立作業性が悪く、左右一対のロッド間に作動上のズレが生じる可能性があった。また、歯面の成形精度が悪いと、操作時にゴリゴリした感触が出て不安感を与えることがあり、成形精度を高めようとすると、製造コストが増大してしまうという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2のサイドロック装置においては、ロータがハウジングの上面に配置されるため、操作ノブをハウジングの上部に回動可能に取付けて手で引き上げるようにして回動させる構造としたとき、回動させたときに操作ノブの上部がロータに干渉しないように、ロータと操作ノブとの間に比較的大きなスペースを設ける必要があり、ロック装置が前後に厚くなってしまうという問題があった。このため、リッドを開いて上方開口部から収納物を出し入れするとき、上記ロック装置が内側に出っ張っているため、挿入部の開口が狭められてしまうという問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、左右一対の摺動部材が同期してスムーズに動き、前後方向の厚さを比較的薄くして、リッドを開いたときに挿入部の開口を広くとれるようにした開閉ロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、凹所に対して開閉可能に取付けられるリッドの開閉ロック装置において、
前記リッド前面の凹部に取付けられる本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの両側から所定長さ出没可能に取付けられる第1摺動部材及び第2摺動部材と、
前記本体ハウジングに回転可能に取付けられ、外周の対向する2箇所に、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の内端が回動可能に連結されるロータと、
前記第1摺動部材と前記第2摺動部材を前記本体ハウジングから突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記本体ハウジングの前面に、下縁部を引き上げるように上下方向に回動可能に取付けられ、上方への回動により前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられたカム面に当接して該摺動部材を本体ハウジングの内側に引き込ませる突起を有する操作ノブと、
前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材にそれぞれ連結され、前記リッドの両側から出没動作して、前記凹所の内側壁に形成された係止孔に係脱可能に挿入されるロッドとを備え、
前記ロータが、その回転支軸を上下方向に向けて、前記本体ハウジングの下面に設置されていることを特徴とする開閉ロック装置を提供するものである。
【0009】
上記発明によれば、左右一対の摺動部材をロータを介して連動させるようにしたので、同期させてスムーズに動かすことができると共に、操作ノブを引き上げて上方に回動させたとき、操作ノブの上縁部や突起がロータに干渉することがないので、装置全体の前後方向の厚さを比較的薄くすることができ、リッドへの取付けスペース(凹部の深さ)を小さくして、リッドを開いたときの開口部を広くすることができる。
【0010】
本発明の第2は、上記第1の発明において、前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、前記本体ハウジングには、平面方向から見たとき、中央部に前記ロータが配置され、片側に前記キーシリンダの挿入部が配置され、前記ロータを挟んで前記キーシリンダと反対側に前記操作ノブの突起の挿入部が配置されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0011】
上記発明によれば、操作ノブの片側にキーシリンダが配置されるので、操作ノブの裏側に手が入るスペースを作りやすくなり、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の摺動支持部を長くとることができ、装置を全体としてコンパクトにすることができる。
【0012】
本発明の第3は、上記第1又は第2の発明において、前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、該キーシリンダは、キー操作によって回転する突起を裏面側に有し、該突起の回転位置によって前記第1摺動部材及び/又は前記第2摺動部材に干渉してその移動を制止するように構成されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0013】
上記発明によれば、キーシリンダの突起によって、前記第1摺動部材及び/又は前記第2摺動部材の移動が直接制止されるので、ロック時において、例えばリッドと凹所との隙間から何らかの手段によってロッドを動かして開こうとしても開くことができず、安全性を高めることができる。
【0014】
本発明の第4は、上記第1〜3の発明のいずれかにおいて、前記操作ノブの裏面と、前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材との間には、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材を通常の可動範囲を超えて、前記本体ハウジングの更に内側に押し込んだ位置で、前記操作ノブを回動させることにより、互いに係合して、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の前記本体ハウジングから突出する方向への移動を制止する係合面が設けられている開閉ロック装置を提供するものである。
【0015】
上記発明によれば、本体ハウジング内に第1摺動部材又は第2摺動部材が没した状態に保持できるので、リッドの凹部に本体ハウジングを取付ける際に、第1摺動部材又は第2摺動部材が凹部内周に引っ掛かることなく、本体ハウジングをスムーズに挿入することができる。また、操作ノブと本体ハウジングとの隙間から、係合状態を確認できるので、作業性がよい。更に、面どうしで係合させることにより、係合部の強度が高くなり、破損しにくくなる。
【0016】
本発明の第5は、上記第4の発明において、前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられた係合面は、該摺動部材の基端部に挿入凹部を介して配置された板の内側面で構成され、該板は前記挿入凹部に配置された柱又はリブにより該摺動部材の本体部に連結されており、前記操作ノブの裏面に設けられた係合面は、前記挿入凹部に挿入されるように前記操作ノブの裏面から突設された係合片の片面からなり、該係合片には、前記柱又はリブを受け入れる凹溝が形成されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0017】
上記発明によれば、操作ノブを回動させると、操作ノブの係合片が、第1摺動部材又は第2摺動部材に設けられた挿入凹部に挿入され、係合片の凹溝に挿入凹部に配置された柱又はリブが入り込み、係合片の片面と、板の内側面とが係合して、該摺動部材の前記本体ハウジングから突出する方向への移動が制止される。そして、板が柱又はリブで摺動部材の本体部に連結されているので、比較的薄くても十分な強度が得られ、摺動部材を短くできると共に、係合片の凹溝に柱又はリブを入り込ませることによって確実に係合させることができる。
【0018】
本発明の第6は、前記第5の発明において、前記操作ノブの係合片の凹溝内周は、前記操作ノブの回動によって移動するとき、前記摺動部材の柱又はリブと一部が干渉して、前記柱又はリブがクリック感を伴って前記凹溝に嵌入するように構成されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0019】
上記発明によれば、操作ノブを回動させて、操作ノブの係合片を摺動部材の挿入凹部に挿入するとき、係合片の凹溝に挿入溝に配置された柱又はリブが嵌入するので、クリック感を伴って係合させることができ、係合の確認がしやすくなると共に、自動車組立工場などへの配送中に、両者の係合状態が解除されて前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材が前記本体ハウジングから突出しまうことを防止できる。その結果、自動車組立工場などで開閉ロック装置をそのままリッドの凹所に挿入して取付けることが可能となり、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の開閉ロック装置によれば、左右一対の摺動部材をロータを介して連動させるようにしたので、同期させてスムーズに動かすことができると共に、操作ノブを引き上げて上方に回動させたとき、操作ノブの上縁部や突起がロータに干渉することがないので、装置全体の前後方向の厚さを比較的薄くすることができ、リッドへの取付けスペース(凹部の深さ)を小さくして、リッドを開いたときの開口部を広くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明による開閉ロック装置の一実施形態について説明する。
【0022】
図1〜4に示すように、この開閉ロック装置10は、本体ハウジング11と、この本体ハウジング11の前面に回動可能に取付けられる操作ノブ12と、本体ハウジング11の両側部に出没可能に挿入される第1摺動部材13及び第2摺動部材14と、これらの第1摺動部材13及び第2摺動部材14を連動させ、同期させて出没動作させるロータ15と、前記第1摺動部材13及び第2摺動部材14の間に介装されて、これらを突出方向に付勢するスプリング16とを備えている。また、操作ノブ12にはキーシリンダ17が装着され、第1摺動部材13及び第2摺動部材14には、それぞれロッド18が連結されるようになっている。
【0023】
以下、各部材について詳細に説明する。まず、本体ハウジング11について説明すると、本体ハウジング11は、前壁19、後壁20、天壁21、底壁22、及び、両側の側壁23,23で構成された、全体として直方体状をなしている。
【0024】
前壁19は、一方の側壁23から他方の側壁23に向けて、途中まで伸びており、他方の側壁23との間に、キー収容空間25を設けて配置された中間側壁24に連結されている。なお、上記キー収容空間25が、本発明における「キーシリンダの挿入部」をなしている。本体ハウジング11の両側壁23の前面側には、両側外方に向けて支軸26がそれぞれ突設されており、この支軸26は、操作ノブ12の両側壁27に形成された軸孔28に嵌入されて、操作ノブ12を回動可能に支持する。
【0025】
操作ノブ12は、その下縁部に手を挿入し、上方に引き上げるように回動されるようになっている。本体ハウジング11の一方の側壁23には、第1挿入孔29が形成され、他方の側壁23には、第2挿入孔30が形成されている。また、後壁20の第1挿入孔29に近接した位置には、第1摺動部材13の第1抜け止め片31が係合する、第1長孔32が形成されている。
【0026】
第1摺動部材13は、第1挿入孔29に挿入され、第1抜け止め片31の爪部が、第1長孔32に嵌入することにより、本体ハウジング11の側壁23から所定長さ出没可能な状態で抜け止め保持される。同様に、後壁20の第2挿入孔30に近接した位置には、第2摺動部材14の第2抜け止め片33が係合する、第2長孔34が形成されている。第2摺動部材14は、他方の側壁23の第2挿入孔30から挿入され、第2抜け止め片33が第2長孔34に嵌入することにより、他方の側壁23から所定長さ出没可能な状態で抜け止め保持される。
【0027】
本体ハウジング11の前壁19及び天壁21の角部であって、第2挿入孔30に近接した位置には、操作ノブ12の背面上部に突設された突起35が挿入される、第3挿入孔36が形成されている。なお、この第3挿入孔36が、本発明における「操作ノブの突起の挿入部」をなしている。突起35は、後述する第2摺動部材14のカム面63に当接し、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の突出位置を規制するようになっている。また、本体ハウジング11の前壁19と、天壁21と、中間側壁24とが交わる角部には、操作ノブ12の裏面上部中央から突設された係合片50が挿入される、第4挿入孔37が形成されている。
【0028】
更に、本体ハウジング11の前面には、一対のバネ板59が形成されており、このバネ板59は、リッドを閉める途中で、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が本体ハウジング11の内側に引き込まれ、操作ノブ12に負荷がなくなったときに、操作ノブ12を内面側から押して、操作ノブ12がふらつくのを防止する。
【0029】
また、本体ハウジング11の天壁21の内面側には、ロータ15の回転軸38の先端に形成された係止部39が嵌入される係合孔40が形成されている。更に、本体ハウジング11の底壁22には、ロータ15が装着される開口41が形成されている。なお、底壁22のキー収容空間25に相当する部分は、大部分を切り欠かれて下方に抜ける空間となっている。そして、後壁20の下部両側には、後述するリッドに固定するための取付孔42が形成されている。
【0030】
次に、ロータ15について説明すると、ロータ15は、円盤状の本体77と、この本体77の上面中心部から突設された回転軸38と、この回転軸38の先端に形成された係止部39と、本体77の上面の周方向に対向する部分から突設された一対のピン53,53とを有している。また、本体77の外周には環状溝51が形成されており、この環状溝51にOリング52が嵌着されるようになっている。
【0031】
ロータ15は、回転軸38の先端の係止部39を、前述した本体ハウジング11の天壁21の内面に形成された係合孔40に嵌合されて、回転軸38を中心に回動可能に本体ハウジング11に装着される。このとき、環状溝51に装着されたOリング52が、本体ハウジング11の開口41内周に圧接され、ロータ15の回転に適度な制動力を付与するようになっている。
【0032】
次に、第1摺動部材13について説明する。第1摺動部材13は、全体として直線状の角柱部材で構成されており、その基端部にはスプリング16の一端を受ける支軸54が突設されている。また、本体ハウジング11から出没動作する他端部には、ロッド連結部55が形成されている。図4に示すように、ロッド18は、その基端部に丸軸をなす柄部80と、柄部80に対して直交する方向に伸びる軸状の頭部82とを有している。そして、この柄部80及び頭部82をロッド連結部55に嵌入されて、各摺動部材13,14の端部に連結されるようになっている。
【0033】
第1摺動部材13の支軸54側の下面には、ロータ15のピン53が嵌入される係合凹部56が形成されている。したがって、第1摺動部材13は、係合凹部56にピン53を嵌入されて、ロータ15に枢着される。また、第1摺動部材13の中間部下面には、キーシリンダ17の突起48が収容される凹所57が形成されている。そして、この凹所57の中間下部に係合突部58が形成されている。キーシリンダ17の突起48は、この係合突部58の図2における上方に配置された状態と、右側に配置された状態とで回動するようになっている。
【0034】
次に、第2摺動部材14について説明する。第2摺動部材14は、第1摺動部材13と同軸的に配置される同軸部60と、第1摺動部材13に対して偏心して配置される偏心部61とを、連結した形状をなしている。同軸部60の外側端部には、ロッド18の柄部80及び頭部82が、前述した態様で嵌入されて連結される、ロッド連結部55が形成されている。また、偏心部61の基端部下面には、ロータ15のピン53が嵌入される係合凹部64が形成されている。
【0035】
偏心部61の外側の端部には、操作ノブ12の突起35が挿入される挿入凹部62が設けられている。そして、この挿入凹部62の基端側には、突起35が当接されるカム面63が形成されている。カム面63は、基端側に向けて次第に高くなる傾斜面で構成され、突起35を上方から圧接させると、スプリング16の付勢力に抗して、第2摺動部材14が本体ハウジング11内に引き込むように摺動するようになっている。また、操作ノブ12を本体ハウジング11に装着した状態では、リッドを閉めるときの途中状態を除いて、突起35がカム面63に常時当接し、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の突出位置を規制するようになっている。
【0036】
偏心部61の基端部の前記係合凹部64と対向する上面には、操作ノブ12の係合片50が挿入される、挿入凹部65が形成されている。挿入凹部65の基端部には、板66が配置され、この板66とそれに対向する壁部(本発明における「摺動部材の本体部」に相当する)との間に、柱67が連結されている。そして、操作ノブ12を上方に回動させたとき、係合片50は挿入凹部65に挿入され、係合片50に設けた凹溝44に柱67が嵌入するようになっている。このとき、係合片50に設けた凹溝44の一部が柱67に干渉するようになっているので、係合片50は柱67にこすられながら、クリック感を伴って嵌入する。更に同軸部60の基端面は、スプリング16の他端を受けるスプリング受け部68をなしている。
【0037】
次に、図5及び図6を参照して、第1摺動部材13と、第2摺動部材14と、スプリング16と、ロータ15との連結構造について説明する。
【0038】
前述したように、ロータ15は、回転軸38を上下方向に向けて、本体77を、本体ハウジング11の底壁22の開口41に挿入されて、回転可能に支持されている。そして、このロータ15の一つのピン53に、第1摺動部材13の係合凹部56が嵌合して、そのピン53を中心に第1摺動部材13は、ロータ15に対して回動可能に連結されている。同様に、第2摺動部材14の係合凹部64に、他方のピン53が嵌合して、第2摺動部材14は、そのピン53を中心にして、ロータ15に対して回動可能に連結されている。そして、スプリング16は、その一端を第1摺動部材13の支軸54に支持され、他端を第2摺動部材14のスプリング受部68に当接されて、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の間に介装され、両部材を常時外側方向に向けて付勢している。
【0039】
図6(a)は、操作ノブ12を上方に回動させて、突起35により第2摺動部材14のカム面63を押圧し、第2摺動部材14を本体ハウジング11内に引き込めるように移動させるときの状態を示している。図中矢印で示すように、第2摺動部材14が引き込み方向に移動すると、ロータ15を介して第1摺動部材13も、本体ハウジング11内に引き込む方向に移動する。
【0040】
図6(b)は、その状態から操作ノブ12を離して、下方に回動させた状態を示している。このとき、スプリング16の付勢力により、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が外方に押出されるが、操作ノブ12の突起35がカム面63に当接すると、それ以上は外方に移動できなくなり、所定長さ突出した位置で停止する。このように、第1摺動部材13と第2摺動部材14とは、ロータ15を介して同期して、本体ハウジング11の側壁23からの出没動作を行う。
【0041】
次に、図7を参照して、キーシリンダ17の動作について説明する。キーシリンダ17は、鍵穴47に図示しない鍵を挿入し、鍵を回動させることによって、回転部49が回転し、それに一緒に突起48が回転する。図7(a)は施錠していない状態での、突起48の位置を示している。すなわち、施錠していない状態では、突起48は、第1摺動部材13の凹所57の係合突部58の上方に位置している。このため、第1摺動部材13が本体ハウジング11内に引き込むように図中矢印方向に移動しても、突起48が係合突部58と干渉することがなく、第1摺動部材13を本体ハウジング11内に引き込むことができる。
【0042】
次に、鍵穴47に鍵を差し込み、回転部49を回転させて、突起48を施錠位置に配置した状態を、図7(b)に基づいて説明する。このとき、突起48は、係合突部58の図中、右側に配置されている。このため、第1摺動部材13を本体ハウジング11内に引き込ませるように移動させようとしても、係合突部58が突起48に衝突して移動することができない。このため、第1摺動部材13が本体ハウジング11内に引き込むことができず、操作ノブ12を押し上げようとしても、第1摺動部材13及びロータ15を介して連動する第2摺動部材14が共に動かないため、ロック状態を解除できないことになる。
【0043】
次に、操作ノブ12の係合片50と、第2摺動部材14の板66との係合動作について、図8を参照して説明する。図8(a)に示すように、本体ハウジング11内に、第1摺動部材13及び第2摺動部材14を、通常の動作範囲より更に深く本体ハウジング11内に挿入し、その状態で操作ノブ12を上方に引き上げると、操作ノブ12の係合片50が、第2摺動部材14の第3挿入孔36に挿入される。このとき、図8(b)に示すように、係合片50の凹溝44の下端部が柱67に干渉するように移動し、柱67に擦られながら柱67を凹溝44に嵌入させる。こうしてクリック感を伴って、係合片50を柱67に嵌合させることができる。
【0044】
次いで、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の、本体ハウジング11への押し込みを止めて手を離すと、スプリング16の付勢力によって、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が、本体ハウジング11の両側壁23から突出しようとする。しかしながら、このとき、操作ノブ12の係合片50が、第2摺動部材14の板66に係合し、第2摺動部材14の移動が制止される。こうして、第2摺動部材14の移動が制止されると、ロータ15を介して第1摺動部材13の移動も制止され、両摺動部材が本体ハウジング11内に引き込んだ状態に保持されることになる。
【0045】
次に、この開閉ロック装置10を、自動車のインストルメントパネルに装着された開閉ロック装置に適用した例を、図9〜11を参照して説明する。
【0046】
図11に示すように、インストルメントパネル70には、凹所71が形成され、この凹所71にグローブボックス72が開閉可能に取付けられている。グローブボックス72の前面の上縁中央には、開閉ロック装置10を装着するための凹部73が形成されている。なお、この実施形態では、グローブボックス72の前面パネルが、本発明における「リッド」を構成している。ただし、本発明における「リッド」としては、凹所に対して蓋だけが開閉可能に取付けられたものであってもよい。開閉ロック装置10は、図8に示したように、第1摺動部材13及び第2摺動部材14を、本体ハウジング11内に引き込めた状態に保持させ、その状態で凹部73に挿入し、図4に示した取付孔42を通して、ネジ止めすることにより、グローブボックス72に容易に装着することができる。
【0047】
グローブボックス72の両側壁には、左右一対のロッド18を挿通させるための挿通孔75がそれぞれ形成されている。前述した方法で、グローブボックス72に装着した開閉ロック装置10の操作ノブ12を下方に回動させて、通常状態に戻すと、操作ノブ12の係合片50と、第2摺動部材14の板66との係合が解除され、第1摺動部材13及び第2摺動部材14がスプリング16の付勢力によって、本体ハウジング11の両側壁23から突出する。そして、図4に示すように、ロッド18の柄部80及び頭部82を、それぞれ対応する摺動部材のロッド連結部55に嵌合させることにより、ロッド18が第1摺動部材13及び第2摺動部材14にそれぞれ連結される。
【0048】
ロッド18には、その先端に係止爪74が形成されており、この係止爪74は、グローブボックス72の両側の挿通孔75を通して、両側に突出する。一方、インストルメントパネル70の凹所71の両側内壁には、ロッド18の係止爪74が嵌入する係止孔76が形成されている。
【0049】
図9に示すように、ロッド18の係止爪74には、インストルメントパネル70側に向けてテーパ面74aが形成されている。このため、図11に示すグローブボックス72を開いた状態から、グローブボックス72を凹所71に向けて押し込むと、ロッド18の係止爪74のテーパ面74aが、凹所71の縁部に当たって、グローブボックス72内に押圧され、開閉ロック装置10のスプリング16を圧縮させて、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が本体ハウジング11内に引き込むことにより、係止爪74の先端がグローブボックス72内に引き込んで、凹所71内に挿入される。
【0050】
そして、グローブボックス72が完全に閉まった状態になると、係止爪74が凹所71の係止孔76に整合し、スプリング16の付勢力により、ロッド18が再び外方に押し出されて、係止爪74が係止孔76に嵌入する。こうして、グローブボックス72を閉じた状態に保持することができる。図9は、グローブボックス72を閉じて、係止爪74が係止孔76に嵌入した状態を示している。
【0051】
次に、グローブボックス72を開く場合には、開閉ロック装置10の操作ノブ12の下縁部に手を挿入し、操作ノブ12を上方に引き上げる。それによって、操作ノブ12の突起35が第2摺動部材14のカム面63に押圧され、第2摺動部材14がスプリング16の付勢力に抗して、本体ハウジング11内に引き込まれる。この動作は、ロータ15を介して第1摺動部材13においても同期してなされ、第1摺動部材13も本体ハウジング11内に引き込まれる。その結果、両摺動部材に連結された左右のロッド18が、グローブボックス72内に引き込まれ、図10に示すように、係止爪74が凹所71の係止孔76から抜き出されて係合が解除され、グローブボックス72を開くことができる。
【0052】
なお、この実施形態においては、キーシリンダ17を操作ノブ12の側方に配置したことにより、操作ノブ12の裏側に手を挿入するスペースを比較的広くとることができる。また、操作ノブ12を回動させたとき、その上縁部が本体ハウジング11の天壁21に近接することになるが、図2に示すように、天壁21の前面側に段部21aを設けて、上縁部が本体ハウジング11に干渉しないようにすることができる。
【0053】
本発明においては、ロータ15が本体ハウジング11の底壁22に取付けられているため、上記のように、天壁21の幅を狭くして段部21aを設けることが可能となり、それによって、本体ハウジング11の前後方向の幅を狭くし、装置全体をコンパクト化することができる。その結果、本発明においては、図11に示すグローブボックス72の前面パネルの厚さを比較的薄くすることができ、開口部78を広く取って、収容物を出し入れしやすくすることができる。
【0054】
次にキーシリンダ17によって、グローブボックス72を閉じた状態にロックする操作について説明する。グローブボックス72を閉じた状態において、キーシリンダ17の鍵穴47に図示しないキーを挿入し、キーを回転させることにより、回転部49を回転させ、突起48を図7(b)に示した位置に移動させる。これによって前述したように、第2摺動部材14の本体ハウジング11内への移動が制止され、ロータ15を介して第1摺動部材13の本体ハウジング11内への移動も制止される。その結果、操作ノブ12を引き上げようとしても、両摺動部材が動かないため、ロッド18も動かず、係止爪74を係止孔76から引き抜けないことになる。こうして、グローブボックス72を閉じた状態にロックすることができる。
【0055】
更に、キーシリンダ17による施錠を解除する場合には、鍵穴47にキーを挿入し、前記とは反対方向に回転部49を回転させ、突起48を図7の(a)に示す位置に移動させる。これによって、第2摺動部材14は本体ハウジング11内への引き込みが可能となるため、操作ノブ12を引き上げることによって、前述したようにグローブボックス72を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による開閉ロック装置の一実施形態を示す正面斜め上方から見た斜視図である。
【図2】同開閉ロック装置の正面斜め上方から見た分解斜視図である。
【図3】同開閉ロック装置の背面斜め下方から見た斜視図である。
【図4】同開閉ロック装置の背面斜め下方から見た分解斜視図である。
【図5】同開閉ロック装置における摺動部材とスプリングとロータとの組付け構造を示す説明図である。
【図6】同開閉ロック装置における摺動部材とロータとの動作を示し、(a)は摺動部材が内方に移動した状態を示す説明図、(b)は摺動部材が外方に突出した状態を示す説明図である。
【図7】同開閉ロック装置におけるキーシリンダの作動を示し、(a)は施錠が解除された状態の、キーシリンダの突起の位置を示す説明図、(b)は施錠した状態のキーシリンダの突起の位置を示す説明図である。
【図8】同開閉ロック装置において、操作ノブの係合片と、第2摺動部材の挿入凹部との係合により、第1摺動部材及び第2摺動部材を本体ハウジング内に引き込んだ状態に保持させた状態を示し、(a)は正面斜め上方から見た斜視図、(b)は係合片の凹溝に挿入凹部の柱を嵌合させる状態を示す説明図である。
【図9】同開閉ロック装置を適用したグローブボックスの閉じた状態を示す説明図である。
【図10】同開閉ロック装置を開くため、操作ノブを引き上げた状態を示す説明図である。
【図11】同グローブボックスの斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10 開閉ロック装置
11 本体ハウジング
12 操作ノブ
13 第1摺動部材
14 第2摺動部材
15 ロータ
16 スプリング
17 キーシリンダ
18 ロッド
44 凹溝
50 係合片
65 挿入凹部
66 板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のインストルメントパネルなどに設けられた凹所に、開閉可能に取付けられる、例えばグローブボックスなどのリッドの開閉ロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような開閉ロック装置として、リッドの両側から出没可能に突出し、凹所の両側内面に設けた係止孔に嵌入されるロッドを有し、リッドの前面に取付けられた操作ノブの回動動作によって、上記ロッドを引き込ませてロックを解除できるようにした、いわゆるサイドロックと呼ばれるロック装置が知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、ドアに回動可能に取付けられるノブと、係止爪をそれぞれ備えた第1摺動部材及び第2摺動部材とを具備する開閉ロック装置において、前記ノブが突起を有し、前記第1摺動部材及び第2摺動部材がそれぞれラックを有し、これらラックがピニオンギヤに互いに径方向の反対側の位置で歯合し、前記第2摺動部材がカム部を有し、前記ノブを回動させると、前記ノブの突起がカム部と係合して前記第2摺動部材を移動せしめると同時に前記ピニオンギヤを介して前記第1摺動部材を反対方向に移動させ、それによって開扉可能状態になるようにしたことを特徴とする開閉ロック装置が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、縦断面において長寸下部と屈曲してこれに連続する短寸上部とを有するリッドを開閉するサイドロック装置であって、該リッドの短寸上部の裏面側に固定されるハウジングと、該ハウジングに回転可能に軸支される円盤状のロータと、該ロータの回転と連動して進退動作する左右一対のロッドとを備え、ハウジングは、リッドの短寸上部に沿って縦方向に設けられたロータの軸受部と、該軸受部とは空間を画して対向する第一壁・第二壁とを有し、ロータは、その円盤形状をリッドの短寸上部の壁厚方向と水平となるように上記軸受部に軸支され、左右一対のロッドは、上記空間を画成する第一壁と第二壁の間に互いに逆方向へスライド可能に支持される一方、ハウジングは、ロータの円盤状外周面を摺接支持する円筒部を更に有することを特徴とするサイドロック装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3896028号公報
【特許文献2】特開2007−170031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の開閉ロック装置においては、第1摺動部材と第2摺動部材とを、それぞれに形成されたラックと、このラックの間に配置されたピニオンギヤとを介して連動させる構造をなすため、組付けに際して一対のラックの同期化が頗る困難で組立作業性が悪く、左右一対のロッド間に作動上のズレが生じる可能性があった。また、歯面の成形精度が悪いと、操作時にゴリゴリした感触が出て不安感を与えることがあり、成形精度を高めようとすると、製造コストが増大してしまうという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2のサイドロック装置においては、ロータがハウジングの上面に配置されるため、操作ノブをハウジングの上部に回動可能に取付けて手で引き上げるようにして回動させる構造としたとき、回動させたときに操作ノブの上部がロータに干渉しないように、ロータと操作ノブとの間に比較的大きなスペースを設ける必要があり、ロック装置が前後に厚くなってしまうという問題があった。このため、リッドを開いて上方開口部から収納物を出し入れするとき、上記ロック装置が内側に出っ張っているため、挿入部の開口が狭められてしまうという問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、左右一対の摺動部材が同期してスムーズに動き、前後方向の厚さを比較的薄くして、リッドを開いたときに挿入部の開口を広くとれるようにした開閉ロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1は、凹所に対して開閉可能に取付けられるリッドの開閉ロック装置において、
前記リッド前面の凹部に取付けられる本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの両側から所定長さ出没可能に取付けられる第1摺動部材及び第2摺動部材と、
前記本体ハウジングに回転可能に取付けられ、外周の対向する2箇所に、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の内端が回動可能に連結されるロータと、
前記第1摺動部材と前記第2摺動部材を前記本体ハウジングから突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記本体ハウジングの前面に、下縁部を引き上げるように上下方向に回動可能に取付けられ、上方への回動により前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられたカム面に当接して該摺動部材を本体ハウジングの内側に引き込ませる突起を有する操作ノブと、
前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材にそれぞれ連結され、前記リッドの両側から出没動作して、前記凹所の内側壁に形成された係止孔に係脱可能に挿入されるロッドとを備え、
前記ロータが、その回転支軸を上下方向に向けて、前記本体ハウジングの下面に設置されていることを特徴とする開閉ロック装置を提供するものである。
【0009】
上記発明によれば、左右一対の摺動部材をロータを介して連動させるようにしたので、同期させてスムーズに動かすことができると共に、操作ノブを引き上げて上方に回動させたとき、操作ノブの上縁部や突起がロータに干渉することがないので、装置全体の前後方向の厚さを比較的薄くすることができ、リッドへの取付けスペース(凹部の深さ)を小さくして、リッドを開いたときの開口部を広くすることができる。
【0010】
本発明の第2は、上記第1の発明において、前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、前記本体ハウジングには、平面方向から見たとき、中央部に前記ロータが配置され、片側に前記キーシリンダの挿入部が配置され、前記ロータを挟んで前記キーシリンダと反対側に前記操作ノブの突起の挿入部が配置されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0011】
上記発明によれば、操作ノブの片側にキーシリンダが配置されるので、操作ノブの裏側に手が入るスペースを作りやすくなり、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の摺動支持部を長くとることができ、装置を全体としてコンパクトにすることができる。
【0012】
本発明の第3は、上記第1又は第2の発明において、前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、該キーシリンダは、キー操作によって回転する突起を裏面側に有し、該突起の回転位置によって前記第1摺動部材及び/又は前記第2摺動部材に干渉してその移動を制止するように構成されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0013】
上記発明によれば、キーシリンダの突起によって、前記第1摺動部材及び/又は前記第2摺動部材の移動が直接制止されるので、ロック時において、例えばリッドと凹所との隙間から何らかの手段によってロッドを動かして開こうとしても開くことができず、安全性を高めることができる。
【0014】
本発明の第4は、上記第1〜3の発明のいずれかにおいて、前記操作ノブの裏面と、前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材との間には、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材を通常の可動範囲を超えて、前記本体ハウジングの更に内側に押し込んだ位置で、前記操作ノブを回動させることにより、互いに係合して、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の前記本体ハウジングから突出する方向への移動を制止する係合面が設けられている開閉ロック装置を提供するものである。
【0015】
上記発明によれば、本体ハウジング内に第1摺動部材又は第2摺動部材が没した状態に保持できるので、リッドの凹部に本体ハウジングを取付ける際に、第1摺動部材又は第2摺動部材が凹部内周に引っ掛かることなく、本体ハウジングをスムーズに挿入することができる。また、操作ノブと本体ハウジングとの隙間から、係合状態を確認できるので、作業性がよい。更に、面どうしで係合させることにより、係合部の強度が高くなり、破損しにくくなる。
【0016】
本発明の第5は、上記第4の発明において、前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられた係合面は、該摺動部材の基端部に挿入凹部を介して配置された板の内側面で構成され、該板は前記挿入凹部に配置された柱又はリブにより該摺動部材の本体部に連結されており、前記操作ノブの裏面に設けられた係合面は、前記挿入凹部に挿入されるように前記操作ノブの裏面から突設された係合片の片面からなり、該係合片には、前記柱又はリブを受け入れる凹溝が形成されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0017】
上記発明によれば、操作ノブを回動させると、操作ノブの係合片が、第1摺動部材又は第2摺動部材に設けられた挿入凹部に挿入され、係合片の凹溝に挿入凹部に配置された柱又はリブが入り込み、係合片の片面と、板の内側面とが係合して、該摺動部材の前記本体ハウジングから突出する方向への移動が制止される。そして、板が柱又はリブで摺動部材の本体部に連結されているので、比較的薄くても十分な強度が得られ、摺動部材を短くできると共に、係合片の凹溝に柱又はリブを入り込ませることによって確実に係合させることができる。
【0018】
本発明の第6は、前記第5の発明において、前記操作ノブの係合片の凹溝内周は、前記操作ノブの回動によって移動するとき、前記摺動部材の柱又はリブと一部が干渉して、前記柱又はリブがクリック感を伴って前記凹溝に嵌入するように構成されている開閉ロック装置を提供するものである。
【0019】
上記発明によれば、操作ノブを回動させて、操作ノブの係合片を摺動部材の挿入凹部に挿入するとき、係合片の凹溝に挿入溝に配置された柱又はリブが嵌入するので、クリック感を伴って係合させることができ、係合の確認がしやすくなると共に、自動車組立工場などへの配送中に、両者の係合状態が解除されて前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材が前記本体ハウジングから突出しまうことを防止できる。その結果、自動車組立工場などで開閉ロック装置をそのままリッドの凹所に挿入して取付けることが可能となり、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の開閉ロック装置によれば、左右一対の摺動部材をロータを介して連動させるようにしたので、同期させてスムーズに動かすことができると共に、操作ノブを引き上げて上方に回動させたとき、操作ノブの上縁部や突起がロータに干渉することがないので、装置全体の前後方向の厚さを比較的薄くすることができ、リッドへの取付けスペース(凹部の深さ)を小さくして、リッドを開いたときの開口部を広くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明による開閉ロック装置の一実施形態について説明する。
【0022】
図1〜4に示すように、この開閉ロック装置10は、本体ハウジング11と、この本体ハウジング11の前面に回動可能に取付けられる操作ノブ12と、本体ハウジング11の両側部に出没可能に挿入される第1摺動部材13及び第2摺動部材14と、これらの第1摺動部材13及び第2摺動部材14を連動させ、同期させて出没動作させるロータ15と、前記第1摺動部材13及び第2摺動部材14の間に介装されて、これらを突出方向に付勢するスプリング16とを備えている。また、操作ノブ12にはキーシリンダ17が装着され、第1摺動部材13及び第2摺動部材14には、それぞれロッド18が連結されるようになっている。
【0023】
以下、各部材について詳細に説明する。まず、本体ハウジング11について説明すると、本体ハウジング11は、前壁19、後壁20、天壁21、底壁22、及び、両側の側壁23,23で構成された、全体として直方体状をなしている。
【0024】
前壁19は、一方の側壁23から他方の側壁23に向けて、途中まで伸びており、他方の側壁23との間に、キー収容空間25を設けて配置された中間側壁24に連結されている。なお、上記キー収容空間25が、本発明における「キーシリンダの挿入部」をなしている。本体ハウジング11の両側壁23の前面側には、両側外方に向けて支軸26がそれぞれ突設されており、この支軸26は、操作ノブ12の両側壁27に形成された軸孔28に嵌入されて、操作ノブ12を回動可能に支持する。
【0025】
操作ノブ12は、その下縁部に手を挿入し、上方に引き上げるように回動されるようになっている。本体ハウジング11の一方の側壁23には、第1挿入孔29が形成され、他方の側壁23には、第2挿入孔30が形成されている。また、後壁20の第1挿入孔29に近接した位置には、第1摺動部材13の第1抜け止め片31が係合する、第1長孔32が形成されている。
【0026】
第1摺動部材13は、第1挿入孔29に挿入され、第1抜け止め片31の爪部が、第1長孔32に嵌入することにより、本体ハウジング11の側壁23から所定長さ出没可能な状態で抜け止め保持される。同様に、後壁20の第2挿入孔30に近接した位置には、第2摺動部材14の第2抜け止め片33が係合する、第2長孔34が形成されている。第2摺動部材14は、他方の側壁23の第2挿入孔30から挿入され、第2抜け止め片33が第2長孔34に嵌入することにより、他方の側壁23から所定長さ出没可能な状態で抜け止め保持される。
【0027】
本体ハウジング11の前壁19及び天壁21の角部であって、第2挿入孔30に近接した位置には、操作ノブ12の背面上部に突設された突起35が挿入される、第3挿入孔36が形成されている。なお、この第3挿入孔36が、本発明における「操作ノブの突起の挿入部」をなしている。突起35は、後述する第2摺動部材14のカム面63に当接し、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の突出位置を規制するようになっている。また、本体ハウジング11の前壁19と、天壁21と、中間側壁24とが交わる角部には、操作ノブ12の裏面上部中央から突設された係合片50が挿入される、第4挿入孔37が形成されている。
【0028】
更に、本体ハウジング11の前面には、一対のバネ板59が形成されており、このバネ板59は、リッドを閉める途中で、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が本体ハウジング11の内側に引き込まれ、操作ノブ12に負荷がなくなったときに、操作ノブ12を内面側から押して、操作ノブ12がふらつくのを防止する。
【0029】
また、本体ハウジング11の天壁21の内面側には、ロータ15の回転軸38の先端に形成された係止部39が嵌入される係合孔40が形成されている。更に、本体ハウジング11の底壁22には、ロータ15が装着される開口41が形成されている。なお、底壁22のキー収容空間25に相当する部分は、大部分を切り欠かれて下方に抜ける空間となっている。そして、後壁20の下部両側には、後述するリッドに固定するための取付孔42が形成されている。
【0030】
次に、ロータ15について説明すると、ロータ15は、円盤状の本体77と、この本体77の上面中心部から突設された回転軸38と、この回転軸38の先端に形成された係止部39と、本体77の上面の周方向に対向する部分から突設された一対のピン53,53とを有している。また、本体77の外周には環状溝51が形成されており、この環状溝51にOリング52が嵌着されるようになっている。
【0031】
ロータ15は、回転軸38の先端の係止部39を、前述した本体ハウジング11の天壁21の内面に形成された係合孔40に嵌合されて、回転軸38を中心に回動可能に本体ハウジング11に装着される。このとき、環状溝51に装着されたOリング52が、本体ハウジング11の開口41内周に圧接され、ロータ15の回転に適度な制動力を付与するようになっている。
【0032】
次に、第1摺動部材13について説明する。第1摺動部材13は、全体として直線状の角柱部材で構成されており、その基端部にはスプリング16の一端を受ける支軸54が突設されている。また、本体ハウジング11から出没動作する他端部には、ロッド連結部55が形成されている。図4に示すように、ロッド18は、その基端部に丸軸をなす柄部80と、柄部80に対して直交する方向に伸びる軸状の頭部82とを有している。そして、この柄部80及び頭部82をロッド連結部55に嵌入されて、各摺動部材13,14の端部に連結されるようになっている。
【0033】
第1摺動部材13の支軸54側の下面には、ロータ15のピン53が嵌入される係合凹部56が形成されている。したがって、第1摺動部材13は、係合凹部56にピン53を嵌入されて、ロータ15に枢着される。また、第1摺動部材13の中間部下面には、キーシリンダ17の突起48が収容される凹所57が形成されている。そして、この凹所57の中間下部に係合突部58が形成されている。キーシリンダ17の突起48は、この係合突部58の図2における上方に配置された状態と、右側に配置された状態とで回動するようになっている。
【0034】
次に、第2摺動部材14について説明する。第2摺動部材14は、第1摺動部材13と同軸的に配置される同軸部60と、第1摺動部材13に対して偏心して配置される偏心部61とを、連結した形状をなしている。同軸部60の外側端部には、ロッド18の柄部80及び頭部82が、前述した態様で嵌入されて連結される、ロッド連結部55が形成されている。また、偏心部61の基端部下面には、ロータ15のピン53が嵌入される係合凹部64が形成されている。
【0035】
偏心部61の外側の端部には、操作ノブ12の突起35が挿入される挿入凹部62が設けられている。そして、この挿入凹部62の基端側には、突起35が当接されるカム面63が形成されている。カム面63は、基端側に向けて次第に高くなる傾斜面で構成され、突起35を上方から圧接させると、スプリング16の付勢力に抗して、第2摺動部材14が本体ハウジング11内に引き込むように摺動するようになっている。また、操作ノブ12を本体ハウジング11に装着した状態では、リッドを閉めるときの途中状態を除いて、突起35がカム面63に常時当接し、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の突出位置を規制するようになっている。
【0036】
偏心部61の基端部の前記係合凹部64と対向する上面には、操作ノブ12の係合片50が挿入される、挿入凹部65が形成されている。挿入凹部65の基端部には、板66が配置され、この板66とそれに対向する壁部(本発明における「摺動部材の本体部」に相当する)との間に、柱67が連結されている。そして、操作ノブ12を上方に回動させたとき、係合片50は挿入凹部65に挿入され、係合片50に設けた凹溝44に柱67が嵌入するようになっている。このとき、係合片50に設けた凹溝44の一部が柱67に干渉するようになっているので、係合片50は柱67にこすられながら、クリック感を伴って嵌入する。更に同軸部60の基端面は、スプリング16の他端を受けるスプリング受け部68をなしている。
【0037】
次に、図5及び図6を参照して、第1摺動部材13と、第2摺動部材14と、スプリング16と、ロータ15との連結構造について説明する。
【0038】
前述したように、ロータ15は、回転軸38を上下方向に向けて、本体77を、本体ハウジング11の底壁22の開口41に挿入されて、回転可能に支持されている。そして、このロータ15の一つのピン53に、第1摺動部材13の係合凹部56が嵌合して、そのピン53を中心に第1摺動部材13は、ロータ15に対して回動可能に連結されている。同様に、第2摺動部材14の係合凹部64に、他方のピン53が嵌合して、第2摺動部材14は、そのピン53を中心にして、ロータ15に対して回動可能に連結されている。そして、スプリング16は、その一端を第1摺動部材13の支軸54に支持され、他端を第2摺動部材14のスプリング受部68に当接されて、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の間に介装され、両部材を常時外側方向に向けて付勢している。
【0039】
図6(a)は、操作ノブ12を上方に回動させて、突起35により第2摺動部材14のカム面63を押圧し、第2摺動部材14を本体ハウジング11内に引き込めるように移動させるときの状態を示している。図中矢印で示すように、第2摺動部材14が引き込み方向に移動すると、ロータ15を介して第1摺動部材13も、本体ハウジング11内に引き込む方向に移動する。
【0040】
図6(b)は、その状態から操作ノブ12を離して、下方に回動させた状態を示している。このとき、スプリング16の付勢力により、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が外方に押出されるが、操作ノブ12の突起35がカム面63に当接すると、それ以上は外方に移動できなくなり、所定長さ突出した位置で停止する。このように、第1摺動部材13と第2摺動部材14とは、ロータ15を介して同期して、本体ハウジング11の側壁23からの出没動作を行う。
【0041】
次に、図7を参照して、キーシリンダ17の動作について説明する。キーシリンダ17は、鍵穴47に図示しない鍵を挿入し、鍵を回動させることによって、回転部49が回転し、それに一緒に突起48が回転する。図7(a)は施錠していない状態での、突起48の位置を示している。すなわち、施錠していない状態では、突起48は、第1摺動部材13の凹所57の係合突部58の上方に位置している。このため、第1摺動部材13が本体ハウジング11内に引き込むように図中矢印方向に移動しても、突起48が係合突部58と干渉することがなく、第1摺動部材13を本体ハウジング11内に引き込むことができる。
【0042】
次に、鍵穴47に鍵を差し込み、回転部49を回転させて、突起48を施錠位置に配置した状態を、図7(b)に基づいて説明する。このとき、突起48は、係合突部58の図中、右側に配置されている。このため、第1摺動部材13を本体ハウジング11内に引き込ませるように移動させようとしても、係合突部58が突起48に衝突して移動することができない。このため、第1摺動部材13が本体ハウジング11内に引き込むことができず、操作ノブ12を押し上げようとしても、第1摺動部材13及びロータ15を介して連動する第2摺動部材14が共に動かないため、ロック状態を解除できないことになる。
【0043】
次に、操作ノブ12の係合片50と、第2摺動部材14の板66との係合動作について、図8を参照して説明する。図8(a)に示すように、本体ハウジング11内に、第1摺動部材13及び第2摺動部材14を、通常の動作範囲より更に深く本体ハウジング11内に挿入し、その状態で操作ノブ12を上方に引き上げると、操作ノブ12の係合片50が、第2摺動部材14の第3挿入孔36に挿入される。このとき、図8(b)に示すように、係合片50の凹溝44の下端部が柱67に干渉するように移動し、柱67に擦られながら柱67を凹溝44に嵌入させる。こうしてクリック感を伴って、係合片50を柱67に嵌合させることができる。
【0044】
次いで、第1摺動部材13及び第2摺動部材14の、本体ハウジング11への押し込みを止めて手を離すと、スプリング16の付勢力によって、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が、本体ハウジング11の両側壁23から突出しようとする。しかしながら、このとき、操作ノブ12の係合片50が、第2摺動部材14の板66に係合し、第2摺動部材14の移動が制止される。こうして、第2摺動部材14の移動が制止されると、ロータ15を介して第1摺動部材13の移動も制止され、両摺動部材が本体ハウジング11内に引き込んだ状態に保持されることになる。
【0045】
次に、この開閉ロック装置10を、自動車のインストルメントパネルに装着された開閉ロック装置に適用した例を、図9〜11を参照して説明する。
【0046】
図11に示すように、インストルメントパネル70には、凹所71が形成され、この凹所71にグローブボックス72が開閉可能に取付けられている。グローブボックス72の前面の上縁中央には、開閉ロック装置10を装着するための凹部73が形成されている。なお、この実施形態では、グローブボックス72の前面パネルが、本発明における「リッド」を構成している。ただし、本発明における「リッド」としては、凹所に対して蓋だけが開閉可能に取付けられたものであってもよい。開閉ロック装置10は、図8に示したように、第1摺動部材13及び第2摺動部材14を、本体ハウジング11内に引き込めた状態に保持させ、その状態で凹部73に挿入し、図4に示した取付孔42を通して、ネジ止めすることにより、グローブボックス72に容易に装着することができる。
【0047】
グローブボックス72の両側壁には、左右一対のロッド18を挿通させるための挿通孔75がそれぞれ形成されている。前述した方法で、グローブボックス72に装着した開閉ロック装置10の操作ノブ12を下方に回動させて、通常状態に戻すと、操作ノブ12の係合片50と、第2摺動部材14の板66との係合が解除され、第1摺動部材13及び第2摺動部材14がスプリング16の付勢力によって、本体ハウジング11の両側壁23から突出する。そして、図4に示すように、ロッド18の柄部80及び頭部82を、それぞれ対応する摺動部材のロッド連結部55に嵌合させることにより、ロッド18が第1摺動部材13及び第2摺動部材14にそれぞれ連結される。
【0048】
ロッド18には、その先端に係止爪74が形成されており、この係止爪74は、グローブボックス72の両側の挿通孔75を通して、両側に突出する。一方、インストルメントパネル70の凹所71の両側内壁には、ロッド18の係止爪74が嵌入する係止孔76が形成されている。
【0049】
図9に示すように、ロッド18の係止爪74には、インストルメントパネル70側に向けてテーパ面74aが形成されている。このため、図11に示すグローブボックス72を開いた状態から、グローブボックス72を凹所71に向けて押し込むと、ロッド18の係止爪74のテーパ面74aが、凹所71の縁部に当たって、グローブボックス72内に押圧され、開閉ロック装置10のスプリング16を圧縮させて、第1摺動部材13及び第2摺動部材14が本体ハウジング11内に引き込むことにより、係止爪74の先端がグローブボックス72内に引き込んで、凹所71内に挿入される。
【0050】
そして、グローブボックス72が完全に閉まった状態になると、係止爪74が凹所71の係止孔76に整合し、スプリング16の付勢力により、ロッド18が再び外方に押し出されて、係止爪74が係止孔76に嵌入する。こうして、グローブボックス72を閉じた状態に保持することができる。図9は、グローブボックス72を閉じて、係止爪74が係止孔76に嵌入した状態を示している。
【0051】
次に、グローブボックス72を開く場合には、開閉ロック装置10の操作ノブ12の下縁部に手を挿入し、操作ノブ12を上方に引き上げる。それによって、操作ノブ12の突起35が第2摺動部材14のカム面63に押圧され、第2摺動部材14がスプリング16の付勢力に抗して、本体ハウジング11内に引き込まれる。この動作は、ロータ15を介して第1摺動部材13においても同期してなされ、第1摺動部材13も本体ハウジング11内に引き込まれる。その結果、両摺動部材に連結された左右のロッド18が、グローブボックス72内に引き込まれ、図10に示すように、係止爪74が凹所71の係止孔76から抜き出されて係合が解除され、グローブボックス72を開くことができる。
【0052】
なお、この実施形態においては、キーシリンダ17を操作ノブ12の側方に配置したことにより、操作ノブ12の裏側に手を挿入するスペースを比較的広くとることができる。また、操作ノブ12を回動させたとき、その上縁部が本体ハウジング11の天壁21に近接することになるが、図2に示すように、天壁21の前面側に段部21aを設けて、上縁部が本体ハウジング11に干渉しないようにすることができる。
【0053】
本発明においては、ロータ15が本体ハウジング11の底壁22に取付けられているため、上記のように、天壁21の幅を狭くして段部21aを設けることが可能となり、それによって、本体ハウジング11の前後方向の幅を狭くし、装置全体をコンパクト化することができる。その結果、本発明においては、図11に示すグローブボックス72の前面パネルの厚さを比較的薄くすることができ、開口部78を広く取って、収容物を出し入れしやすくすることができる。
【0054】
次にキーシリンダ17によって、グローブボックス72を閉じた状態にロックする操作について説明する。グローブボックス72を閉じた状態において、キーシリンダ17の鍵穴47に図示しないキーを挿入し、キーを回転させることにより、回転部49を回転させ、突起48を図7(b)に示した位置に移動させる。これによって前述したように、第2摺動部材14の本体ハウジング11内への移動が制止され、ロータ15を介して第1摺動部材13の本体ハウジング11内への移動も制止される。その結果、操作ノブ12を引き上げようとしても、両摺動部材が動かないため、ロッド18も動かず、係止爪74を係止孔76から引き抜けないことになる。こうして、グローブボックス72を閉じた状態にロックすることができる。
【0055】
更に、キーシリンダ17による施錠を解除する場合には、鍵穴47にキーを挿入し、前記とは反対方向に回転部49を回転させ、突起48を図7の(a)に示す位置に移動させる。これによって、第2摺動部材14は本体ハウジング11内への引き込みが可能となるため、操作ノブ12を引き上げることによって、前述したようにグローブボックス72を開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による開閉ロック装置の一実施形態を示す正面斜め上方から見た斜視図である。
【図2】同開閉ロック装置の正面斜め上方から見た分解斜視図である。
【図3】同開閉ロック装置の背面斜め下方から見た斜視図である。
【図4】同開閉ロック装置の背面斜め下方から見た分解斜視図である。
【図5】同開閉ロック装置における摺動部材とスプリングとロータとの組付け構造を示す説明図である。
【図6】同開閉ロック装置における摺動部材とロータとの動作を示し、(a)は摺動部材が内方に移動した状態を示す説明図、(b)は摺動部材が外方に突出した状態を示す説明図である。
【図7】同開閉ロック装置におけるキーシリンダの作動を示し、(a)は施錠が解除された状態の、キーシリンダの突起の位置を示す説明図、(b)は施錠した状態のキーシリンダの突起の位置を示す説明図である。
【図8】同開閉ロック装置において、操作ノブの係合片と、第2摺動部材の挿入凹部との係合により、第1摺動部材及び第2摺動部材を本体ハウジング内に引き込んだ状態に保持させた状態を示し、(a)は正面斜め上方から見た斜視図、(b)は係合片の凹溝に挿入凹部の柱を嵌合させる状態を示す説明図である。
【図9】同開閉ロック装置を適用したグローブボックスの閉じた状態を示す説明図である。
【図10】同開閉ロック装置を開くため、操作ノブを引き上げた状態を示す説明図である。
【図11】同グローブボックスの斜視図である。
【符号の説明】
【0057】
10 開閉ロック装置
11 本体ハウジング
12 操作ノブ
13 第1摺動部材
14 第2摺動部材
15 ロータ
16 スプリング
17 キーシリンダ
18 ロッド
44 凹溝
50 係合片
65 挿入凹部
66 板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹所に対して開閉可能に取付けられるリッドの開閉ロック装置において、
前記リッド前面の凹部に取付けられる本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの両側から所定長さ出没可能に取付けられる第1摺動部材及び第2摺動部材と、
前記本体ハウジングに回転可能に取付けられ、外周の対向する2箇所に、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の内端が回動可能に連結されるロータと、
前記第1摺動部材と前記第2摺動部材を前記本体ハウジングから突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記本体ハウジングの前面に、下縁部を引き上げるように上下方向に回動可能に取付けられ、上方への回動により前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられたカム面に当接して該摺動部材を本体ハウジングの内側に引き込ませる突起を有する操作ノブと、
前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材にそれぞれ連結され、前記リッドの両側から出没動作して、前記凹所の内側壁に形成された係止孔に係脱可能に挿入されるロッドとを備え、
前記ロータが、その回転支軸を上下方向に向けて、前記本体ハウジングの下面に設置されていることを特徴とする開閉ロック装置。
【請求項2】
前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、
前記本体ハウジングには、平面方向から見たとき、中央部に前記ロータが配置され、片側に前記キーシリンダの挿入部が配置され、前記ロータを挟んで前記キーシリンダと反対側に前記操作ノブの突起の挿入部が配置されている請求項1記載の開閉ロック装置。
【請求項3】
前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、該キーシリンダは、キー操作によって回転する突起を裏面側に有し、該突起の回転位置によって前記第1摺動部材及び/又は前記第2摺動部材に干渉してその移動を制止するように構成されている請求項1又は2記載の開閉ロック装置。
【請求項4】
前記操作ノブの裏面と、前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材との間には、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材を通常の可動範囲を超えて、前記本体ハウジングの更に内側に押し込んだ位置で、前記操作ノブを回動させることにより、互いに係合して、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の前記本体ハウジングから突出する方向への移動を制止する係合面が設けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の開閉ロック装置。
【請求項5】
前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられた係合面は、該摺動部材の基端部に挿入凹部を介して配置された板の内側面で構成され、該板は前記挿入凹部に配置された柱又はリブにより該摺動部材の本体部に連結されており、前記操作ノブの裏面に設けられた係合面は、前記挿入凹部に挿入されるように前記操作ノブの裏面から突設された係合片の片面からなり、該係合片には、前記柱又はリブを受け入れる凹溝が形成されている請求項4記載の開閉ロック装置。
【請求項6】
前記操作ノブの係合片の凹溝内周は、前記操作ノブの回動によって移動するとき、前記摺動部材の柱又はリブと一部が干渉して、前記柱又はリブがクリック感を伴って前記凹溝に嵌入するように構成されている請求項5記載の開閉ロック装置。
【請求項1】
凹所に対して開閉可能に取付けられるリッドの開閉ロック装置において、
前記リッド前面の凹部に取付けられる本体ハウジングと、
前記本体ハウジングの両側から所定長さ出没可能に取付けられる第1摺動部材及び第2摺動部材と、
前記本体ハウジングに回転可能に取付けられ、外周の対向する2箇所に、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の内端が回動可能に連結されるロータと、
前記第1摺動部材と前記第2摺動部材を前記本体ハウジングから突出する方向に付勢する付勢手段と、
前記本体ハウジングの前面に、下縁部を引き上げるように上下方向に回動可能に取付けられ、上方への回動により前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられたカム面に当接して該摺動部材を本体ハウジングの内側に引き込ませる突起を有する操作ノブと、
前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材にそれぞれ連結され、前記リッドの両側から出没動作して、前記凹所の内側壁に形成された係止孔に係脱可能に挿入されるロッドとを備え、
前記ロータが、その回転支軸を上下方向に向けて、前記本体ハウジングの下面に設置されていることを特徴とする開閉ロック装置。
【請求項2】
前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、
前記本体ハウジングには、平面方向から見たとき、中央部に前記ロータが配置され、片側に前記キーシリンダの挿入部が配置され、前記ロータを挟んで前記キーシリンダと反対側に前記操作ノブの突起の挿入部が配置されている請求項1記載の開閉ロック装置。
【請求項3】
前記操作ノブには、キーシリンダが取付けられており、該キーシリンダは、キー操作によって回転する突起を裏面側に有し、該突起の回転位置によって前記第1摺動部材及び/又は前記第2摺動部材に干渉してその移動を制止するように構成されている請求項1又は2記載の開閉ロック装置。
【請求項4】
前記操作ノブの裏面と、前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材との間には、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材を通常の可動範囲を超えて、前記本体ハウジングの更に内側に押し込んだ位置で、前記操作ノブを回動させることにより、互いに係合して、前記第1摺動部材及び前記第2摺動部材の前記本体ハウジングから突出する方向への移動を制止する係合面が設けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の開閉ロック装置。
【請求項5】
前記第1摺動部材又は前記第2摺動部材に設けられた係合面は、該摺動部材の基端部に挿入凹部を介して配置された板の内側面で構成され、該板は前記挿入凹部に配置された柱又はリブにより該摺動部材の本体部に連結されており、前記操作ノブの裏面に設けられた係合面は、前記挿入凹部に挿入されるように前記操作ノブの裏面から突設された係合片の片面からなり、該係合片には、前記柱又はリブを受け入れる凹溝が形成されている請求項4記載の開閉ロック装置。
【請求項6】
前記操作ノブの係合片の凹溝内周は、前記操作ノブの回動によって移動するとき、前記摺動部材の柱又はリブと一部が干渉して、前記柱又はリブがクリック感を伴って前記凹溝に嵌入するように構成されている請求項5記載の開閉ロック装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−180028(P2009−180028A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21175(P2008−21175)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000124096)株式会社パイオラックス (331)
【Fターム(参考)】
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