説明

開閉体駆動装置および車両用自動開閉装置

【課題】開閉体の移動方向で異なる駆動力を発生させるとともに、開閉体の開閉速度を制御によらず移動方向で異ならせる。
【解決手段】出力軸44と最終出力軸91との間に開放側および閉塞側ギヤ列60,70を設け、各ギヤ列60,70を、第1および第2のワンウェイクラッチ63,73によりアーマチュア(回転駆動体)の回転方向に応じて個別に動作させるようにした。各ギヤ列60,70の減速比をそれぞれ任意に設定することができるので、リヤハッチの移動方向で駆動力を異ならせて無駄なエネルギーの消費を抑制することができる。制御によらずリヤハッチの移動方向に応じて開閉速度を異ならせることができ、アーマチュアの作動音を大きくすることなく開閉動作を行うことが可能となり、種々のニーズに容易に対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放方向と閉塞方向とで開閉操作力が異なる開閉体を開閉駆動する開閉体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両を形成する車体の後端部には、車体の上下方向に揺動する上下開閉式の開閉体、つまり、セダン車にあってはトランクリッド、ハッチバック車にあってはリヤハッチが設けられており、これらの開閉体を全閉位置から全開位置に移動させることにより、ラゲージスペースへの荷物の積載作業または搬出作業を行うようにしている。
【0003】
このような上下開閉式の開閉体は、車体の後端部に形成される比較的大きな開口部を開閉するようになっているため、その寸法が大きいばかりか重量が嵩み、さらには車体の上下方向に揺動させる必要があるため、その開閉操作を手動で行うことは容易ではない。そこで、車体と開閉体との間に反発力を発生するトーションバーやガスステー等の操作力補助装置を併設し、この操作力補助装置により開閉体の開放方向への操作力を軽減し、かつ、開閉体を全開位置において保持することが行われている。このような操作力補助装置が併設される場合には、開放方向への操作力を軽減できる一方で、開閉体を閉塞するときに操作力補助装置の反発力に抗する大きな負荷が必要となり、ひいては、開閉体の閉塞方向に大きな操作力が必要となる。
【0004】
そこで、このような開閉体の開閉操作を自動的に行い、操作者への負担を軽減するために、正方向または逆方向に回転する電動モータを有する開閉体駆動装置を車体に装着し、この開閉体駆動装置を駆動することにより上下開閉式の開閉体を開閉駆動できるようにした車両が開発されている。このような開閉体駆動装置としては、例えば、特許文献1に記載された技術が知られている。特許文献1に記載された開閉体駆動装置は、電動モータにより回転駆動される回転軸と、トランクリッド(開閉体)を開閉する揺動アーム(リンク機構)の端部が接続された出力軸とを備え、回転軸と出力軸との間に設けられた減速機構によって、回転軸の回転を減速して高トルク化された回転を出力軸に伝達するようになっている。
【特許文献1】特開2004−268758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された開閉体駆動装置によれば、回転軸と出力軸との間に設けられた一つの減速機構により回転軸の回転を減速するようにしているため、開閉体の開放方向と閉塞方向とでその減速比が一定となっている。ここで、特許文献1に記載された開閉体駆動装置は、操作力補助装置としてのトーションバーを有しており、上述のように開閉体を駆動させるためには開放方向への移動よりも閉塞方向への移動のほうが大きな操作力が必要となる。そのため、特許文献1に記載された開閉体駆動装置においては、閉塞方向への操作力に必要な出力(トルク)に応じて減速比が設定されている。
【0006】
また、開閉体の開放方向と閉塞方向とでは、開閉体の開閉速度は異なるように設定されている。例えば、荷物の車体への積載や搬出を迅速に行うべく開閉体を速やかに開放方向に移動させる一方で、開閉体付近にいる作業者への安全性等から開閉体をゆっくりと閉塞方向へ移動させる制御を行っている。その際に、電動モータの回転軸は開閉体を閉塞方向へ移動させるときよりも開放方向へ移動させるときのほうが高速で回転駆動される。しかし、モータを高速で回転させることにより、モータの作動音が大きくなるという課題を有する。
【0007】
本発明の目的は、開閉体の移動方向で異なる駆動力および移動速度を発生させるとともに、モータの作動音を低減させることができる開閉体駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の開閉体駆動装置は、開放方向と閉塞方向とで開閉操作力が異なる開閉体を開閉駆動する開閉体駆動装置であって、正方向または逆方向に回転する回転駆動体と、前記回転駆動体により回転駆動される第1の回転軸と、前記第1の回転軸により回転駆動され、前記開閉体にリンク機構を介して接続される第2の回転軸と、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する開放側ギヤ列と、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する閉塞側ギヤ列と、前記開放側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第1のワンウェイクラッチと、前記閉塞側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第2のワンウェイクラッチとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の開閉体駆動装置は、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する一方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置するとともに、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する他方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置し、前記第1および第2のワンウェイクラッチを前記各ギヤ列の一方側または他方側のギヤにそれぞれ設けることを特徴とする。
【0010】
本発明の開閉体駆動装置は、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する一方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置するとともに、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する他方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置し、前記第1のワンウェイクラッチを前記開放側ギヤ列の一方側のギヤに設け、前記第2のワンウェイクラッチを前記閉塞側ギヤ列の他方側のギヤに設けることを特徴とする。
【0011】
本発明の開閉体駆動装置は、前記回転駆動体と前記第1の回転軸との間に、前記回転駆動体の回転を前記第1の回転軸に対して断続して伝達可能な電磁クラッチを設けることを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用自動開閉装置は、車体にヒンジ軸を介して上下方向に開閉自在に装着され、操作力補助装置により開放方向への操作力を軽減するようにした開閉体を自動的に開閉する車両用自動開閉装置であって、正方向または逆方向に回転する回転駆動体と、前記回転駆動体により回転駆動される第1の回転軸と、前記第1の回転軸により回転駆動され、前記開閉体にリンク機構を介して接続される第2の回転軸と、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する開放側ギヤ列と、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する閉塞側ギヤ列と、前記開放側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第1のワンウェイクラッチと、前記閉塞側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第2のワンウェイクラッチとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の回転軸と第2の回転軸との間に開放側および閉塞側ギヤ列を設け、これらの開放側および閉塞側ギヤ列を、第1および第2のワンウェイクラッチにより回転駆動体の回転方向に応じて個別に動作させて、第1の回転軸の回転を第2の回転軸に伝達するので、各ギヤ列の減速比をそれぞれ任意に設定することができる。すなわち、開閉体の閉塞方向への移動時には操作力を大きく設定するように減速比を設定し、開閉体の開放方向への移動時は移動速度を速く設定するように減速比を設定することができるため、回転駆動体の回転速度を高速回転させず、各ギヤ列の減速比によって開閉体の移動速度を開放方向と閉塞方向で調整できる。したがって、回転駆動体の作動音を大きくすることなく、開閉体の開閉動作を行なうことができる。
【0014】
本発明によれば、同一の軸上に配置される開放側および閉塞側ギヤ列を形成する一方側または他方側のギヤに、第1および第2のワンウェイクラッチを設けるので、各ワンウェイクラッチを同一の軸上に集約することができ、グリスアップ等のメンテナンス性を向上させることができる。
【0015】
本発明によれば、第1のワンウェイクラッチを開放側ギヤ列の一方側のギヤに、また、第2のワンウェイクラッチを閉塞側ギヤ列の他方側のギヤにそれぞれ設けるので、各ワンウェイクラッチを異なる軸上にそれぞれ分けて配置することができ、開閉体駆動装置の厚み寸法の増大を抑制して小型化を図ることができる。
【0016】
本発明によれば、回転駆動体と第1の回転軸との間に、回転駆動体の回転を第1の回転軸に対して断続して伝達可能な電磁クラッチを設けるので、電磁クラッチを接続状態とすることにより開閉体を自動的に開閉することができ、電磁クラッチを遮断状態とすることにより開閉体を手動操作で開閉することができる。
【0017】
本発明によれば、第1の回転軸と第2の回転軸との間に開放側および閉塞側ギヤ列とを設け、各開放側および閉塞側ギヤ列を、第1および第2のワンウェイクラッチにより回転駆動体の回転方向に応じて個別に動作させて、第1の回転軸の回転を第2の回転軸に伝達するので、各ギヤ列の減速比をそれぞれ任意に設定することができる。すなわち、操作力補助装置により開放方向への操作力を軽減するようにした開閉体において、開閉体の閉塞方向への移動時の減速比と、開閉体の開放方向への移動時の減速比をそれぞれ個別に設定することができる。したがって、開閉体の移動方向によって回転駆動体の回転数を変えることなく開閉体の移動速度の制御を行なうことができるため、回転駆動体の作動音を大きくすることなく開閉体の開閉動作を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1(a),(b)は第1実施の形態に係る開閉体駆動装置が搭載された車体の後端部を示す側面図を、図2は図1の開閉体駆動装置を拡大して示す拡大図を、図3は図2の開閉体駆動装置を側面から見た側面図を、図4は開放側駆動ギヤの断面を示す断面図を、図5は閉塞側駆動ギヤの断面を示す断面図を、図6(a),(b)は図4に示すワンウェイクラッチの動作を説明する説明図を、図7(a),(b)は図5に示すワンウェイクラッチの動作を説明する説明図をそれぞれ表している。
【0020】
図1に示すように、車体10は所謂ハッチバック車であり、この車体10の後端部には開閉体としてのリヤハッチ11(テールゲートとも言う)が設けられている。このリヤハッチ11は、一端側が車体10におけるルーフ部10aの後端側に設けられたヒンジ軸12を介して車体10に装着され、ヒンジ軸12を中心に、全閉位置と全開位置との間の約80度(deg)の範囲で上下方向に揺動自在となっている。つまり、リヤハッチ11は上下開閉式の開閉体となっている。
【0021】
車体10とリヤハッチ11との間には、操作力補助装置としてのガスステー13が設けられており、このガスステー13は、図1(a)に示す縮小状態からリヤハッチ11の開放方向に所定の大きさの反発力を発生して伸張するようになっている。ガスステー13は、リヤハッチ11を手動操作で開放する際にその操作力を軽減するとともにリヤハッチ11を全開位置で保持(図1(b)参照)するようになっており、ガスステー13が併設されるリヤハッチ11においては、その開放方向と閉塞方向とで開閉操作力が異なっている。つまり、リヤハッチ11を開放方向へ移動させる場合には、ガスステー13の反発力が開放方向に作用するため小さな負荷を掛ければ良く、リヤハッチ11を閉塞方向へ移動させる場合には、ガスステー13の反発力に抗する比較的大きな負荷を掛ける必要がある。
【0022】
車体10とリヤハッチ11の他端側(図中下側)との間には、リヤハッチ11を閉塞状態でロックする電磁式のロック機構14が設けられており、このロック機構14は、インストルメントパネル等に設けられた図示しない解除スイッチを操作することによりロック解除されるようになっている。
【0023】
車体10の後端部におけるリヤピラー10bの内側には、ヒンジ軸12に近接して開閉体駆動装置(車両用自動開閉装置)20が装着されており、この開閉体駆動装置20とリヤハッチ11との間には、第1のリンク部材15aおよび第2のリンク部材15bよりなるリンク機構15が設けられている。開閉体駆動装置20は、操作者により図示しない開閉スイッチを開操作または閉操作することにより駆動され、これにより、図1(a)および(b)に示すように、ガスステー13と協働してリンク機構15を介してリヤハッチ11を開閉駆動するようになっている。
【0024】
図2および図3に示すように、開閉体駆動装置20は、駆動源としての電動モータ30と、電動モータ30のモータケース31に接続されて内部に減速機構41を収容する第1のギヤケース40と、第1のギヤケース40に接続されて複数のギヤ列60,70,80を収容する第2のギヤケース50(詳細図示せず)とを備えている。ただし、図中二点鎖線に示す第2のギヤケース50は、第1のギヤケース40と別体に形成しなくとも、第1のギヤケース40と一体に形成することもできる。
【0025】
電動モータ30は、磁路を形成するヨークとして機能する有底状のモータケース31を備えており、このモータケース31の内部には一対の永久磁石32が固定されている。各永久磁石32の内側には、コイル(図示せず)が巻装される回転駆動体としてのアーマチュア33が所定の隙間を介して回転自在に設けられており、このアーマチュア33の回転中心にはアーマチュア軸34が貫通して固定されている。アーマチュア軸34のアーマチュア33寄りには、整流子35が固定されており、この整流子35には一対のブラシ36が摺接するようになっている。このように、電動モータ30は、所謂、ブラシ付きの直流モータとなっており、図示しないコントローラから各ブラシ36に駆動電流を供給することにより、アーマチュア33が正方向または逆方向に回転して、その回転がアーマチュア軸34を介して第1のギヤケース40内の減速機構41に向けて出力される。
【0026】
第1のギヤケース40の内部には、アーマチュア軸34の回転を減速する減速機構41が収容されている。この減速機構41は、アーマチュア軸34の先端側(図中下側)に一体的に設けられたウォーム42と、このウォーム42に噛み合うウォームホイール43とから構成されている。そして、アーマチュア軸34の回転は減速機構41によって減速され(第1減速)、この減速されて高トルク化された出力は、ウォームホイール43の回転中心に設けられる出力軸(第1の回転軸)44を介して外部に出力されるようになっている。
【0027】
第1のギヤケース40の内部には、上記減速機構41に加え、出力軸44と同軸上に動力断続機構として機能する電磁クラッチ45が収容されており、この電磁クラッチ45は、ウォームホイール43と出力軸44との間に配置、つまり、回転駆動体としてのアーマチュア33と第1の回転軸としての出力軸44との間に配置されている。
【0028】
電磁クラッチ45は、コントローラ(図示せず)により接続状態または遮断状態とされ、接続状態においてはウォームホイール43と出力軸44とが一体回転可能となり、ウォームホイール43の回転が出力軸44に伝達される。また、遮断状態においてはウォームホイール43と出力軸44とが相対回転可能となり、ウォームホイール43の回転が出力軸44に伝達されなくなる(非伝達状態)。
【0029】
第2のギヤケース50の内部には、図2および図3に示すように、それぞれ一対のギヤよりなる開放側ギヤ列60,閉塞側ギヤ列70および出力ギヤ列80が収容されており、第2のギヤケース50の厚み寸法はt1に設定されている。
【0030】
開放側ギヤ列60は、開放側駆動ギヤ(一方側のギヤ)61とこれに噛み合う開放側従動ギヤ(他方側のギヤ)62とを備えており、開放側駆動ギヤ61は、図4に示す第1のワンウェイクラッチ63を介して出力軸44に装着され、開放側従動ギヤ62は、第2のギヤケース50に回動自在に支持された中間軸90に固定されている。開放側駆動ギヤ61は開放側従動ギヤ62よりも小径に形成されており、これにより、開放側駆動ギヤ61の回転、つまり出力軸44の回転は、所定の減速比で減速されて高トルク化されるようになっている(第2減速(開放側))。ここで、開放側駆動ギヤ61は第1のワンウェイクラッチ63を有する分、開放側従動ギヤ62よりも肉厚に形成されている。
【0031】
閉塞側ギヤ列70は、図3に示すように開放側ギヤ列60の図中下側に並ぶようにして設けられており、閉塞側ギヤ列70は、閉塞側駆動ギヤ(一方側のギヤ)71とこれに噛み合う閉塞側従動ギヤ(他方側のギヤ)72とを備えている。閉塞側駆動ギヤ71は、図5に示す第2のワンウェイクラッチ73を介して出力軸44に装着され、閉塞側従動ギヤ72は、中間軸90に固定されている。閉塞側駆動ギヤ71は閉塞側従動ギヤ72よりも小径に形成されており、これにより、閉塞側駆動ギヤ71の回転、つまり出力軸44の回転は、所定の減速比で減速されて高トルク化されるようになっている(第2減速(閉塞側))。ここで、閉塞側駆動ギヤ71は第2のワンウェイクラッチ73を有する分、閉塞側従動ギヤ72よりも肉厚となっている。
【0032】
出力ギヤ列80は、中間軸90の開放側従動ギヤ62の図中上側に同軸上に固定された小径のピニオンギヤ81と、これに噛み合う大径の略扇形形状に形成されたセクタギヤ82とを備えている。セクタギヤ82は、第2のギヤケース50に回動自在に支持された第2の回転軸としての最終出力軸91に固定されており、ピニオンギヤ81の回転を減速するようになっている(第3減速)。このように、出力軸44と最終出力軸91との間には、各ギヤ列60,70,80が相互に動力伝達可能に設けられており、これにより、アーマチュア33(図2参照)の回転が出力軸44から各ギヤ列60,70,80を介して最終出力軸91に伝達されるようになっている。
【0033】
開放側ギヤ列60の開放側駆動ギヤ61は、図4に示すように第1のワンウェイクラッチ63を備えている。第1のワンウェイクラッチ63は、出力軸44にキー溝64を介して固定されるリング部材65と、リング部材65とギヤ本体66との間で、周方向に等間隔で3組配置される棒状のクラッチローラ67およびクラッチスプリング68を備えている。さらに、第1のワンウェイクラッチ63は、ギヤ本体66の内径側に形成され、反時計方向(図中左側)に向けて徐々に溝の深さが浅くなるクラッチ溝69を備えており、このクラッチ溝69内にクラッチローラ67およびクラッチスプリング68が装着されている。クラッチローラ67は、クラッチスプリング68の弾性力によってクラッチ溝69の溝の深さが浅い側(図中左側)に常時押圧されており、リング部材65とギヤ本体66との間に嵌り込めるようになっている。
【0034】
第1のワンウェイクラッチ63は、図4に示すように出力軸44の正転(図中矢印A方向)時に、出力軸44の回転をギヤ本体66に伝達する一方で、逆転(図中矢印B方向)時に、出力軸44の回転をギヤ本体66に非伝達とするようになっている。すなわち、第1のワンウェイクラッチ63は、出力軸44の正転時にのみ開放側ギヤ列60を作動させるようになっている。
【0035】
出力軸44が正転した場合には、図6(a)に示すように、出力軸44の矢印A方向への回転力とクラッチスプリング68の弾性力とによって、クラッチローラ67が図中矢印に示すようにクラッチ溝69の溝の深さが浅い側に移動される。これにより、クラッチローラ67がリング部材65とギヤ本体66との間に嵌り込んで、ギヤ本体66がリング部材65の回転に伴い一体回転するようになる。一方、出力軸44が逆転した場合には、図6(b)に示すように、出力軸44の矢印B方向への回転に伴い、クラッチローラ67がクラッチスプリング68の弾性力に抗して図中矢印に示すようにクラッチ溝69の溝の深さが深い側に移動される。これにより、クラッチローラ67がリング部材65とギヤ本体66との間から抜け出て、リング部材65の逆方向への回転がギヤ本体66に伝達されなくなる。つまり、ギヤ本体66は出力軸44の逆転に伴って図中時計方向に回転することは無い(非回転)。
【0036】
閉塞側ギヤ列70の閉塞側駆動ギヤ71は、図5に示すように第2のワンウェイクラッチ73を備えている。第2のワンウェイクラッチ73は、出力軸44にキー溝74を介して固定されるリング部材75と、リング部材75とギヤ本体76との間で、周方向に等間隔で3組配置される棒状のクラッチローラ77およびクラッチスプリング78を備えている。さらに、第2のワンウェイクラッチ73は、ギヤ本体76の内径側に形成され、時計方向(図中右側)に向けて徐々に溝の深さが浅くなるクラッチ溝79を備えており、このクラッチ溝79内にクラッチローラ77およびクラッチスプリング78が装着されている。クラッチローラ77は、クラッチスプリング78の弾性力によってクラッチ溝79の溝の深さが浅い側(図中右側)に常時押圧されており、リング部材75とギヤ本体76との間に嵌り込めるようになっている。
【0037】
第2のワンウェイクラッチ73は、図5に示すように出力軸44の逆転(図中矢印B方向)時に、出力軸44の回転をギヤ本体76に伝達する一方で、正転(図中矢印A方向)時に、出力軸44の回転をギヤ本体76に非伝達とするようになっている。すなわち、第2のワンウェイクラッチ73は、出力軸44の逆転時にのみ閉塞側ギヤ列70を作動させるようになっている。
【0038】
出力軸44が逆転した場合には、図7(a)に示すように、出力軸44の矢印B方向への回転力とクラッチスプリング78の弾性力とによって、クラッチローラ77が図中矢印に示すようにクラッチ溝79の溝の深さが浅い側に移動される。これにより、クラッチローラ77がリング部材75とギヤ本体76との間に嵌り込んで、ギヤ本体76がリング部材75の回転に伴い一体回転するようになる。一方、出力軸44が正転した場合には、図6(b)に示すように、出力軸44の矢印A方向への回転に伴い、クラッチローラ77がクラッチスプリング78の弾性力に抗して図中矢印に示すようにクラッチ溝79の溝の深さが深い側に移動される。これにより、クラッチローラ77がリング部材75とギヤ本体76との間から抜け出て、リング部材75の逆方向への回転がギヤ本体76に伝達されなくなる。つまり、ギヤ本体76は出力軸44の正転に伴って図中反時計方向に回転することは無い(非回転)。
【0039】
図3に示すように最終出力軸91の端部は、第2のギヤケース50の外部に延出されており、この最終出力軸91の延出された部分には、ナット92によって第1のリンク部材15aの一端側(図中左側)が固定されている。したがって、第1のリンク部材15aは、図1に示すように最終出力軸91の回転に伴って一体回転するようになっている。ここで、第1のリンク部材15aの他端側(図中右側)には、第2のリンク部材15bの一端側が回動ピン93を介して連結されており、最終出力軸91は、リンク機構15を介してリヤハッチ11に接続されることになる。これにより、図1に示すように最終出力軸91の回転に伴いリンク機構15が作動し、リヤハッチ11を開閉駆動できるようになっている。
【0040】
次に、以上のように構成した開閉体駆動装置20の動作について、図面を用いて詳細に説明する。図8はアーマチュアの正転時における開放側ギヤ列の動作を示す動作説明図を、図9はアーマチュアの逆転時における閉塞側ギヤ列の動作を示す動作説明図を、図10は電動モータの正逆回転による最終出力軸の出力を示すフロー図をそれぞれ表している。
【0041】
リヤハッチ11(図1参照)を開放方向へ移動させる場合には、まず、操作者により開閉スイッチを開操作する。すると、コントローラによりロック機構14(図1参照)がロック解除されるとともに電磁クラッチ45(図3参照)が接続状態となる。その後、電動モータ30の各ブラシ36に所定の大きさの駆動電流が供給されて、アーマチュア33が図8の矢印に示すように反時計方向に正転駆動される。ここで、図10に示すようにアーマチュア33は、例えば、回転数[50],トルク[50]で回転される。
【0042】
アーマチュア33の正転駆動に伴い、アーマチュア軸34の回転がウォーム42およびウォームホイール43よりなる減速機構41により減速されて(第1減速)、この減速されて高トルク化された回転が出力軸44に伝達される。
【0043】
出力軸44が所定の回転数で図中矢印に示すように反時計方向に回転すると、第1のワンウェイクラッチ63(図4参照)を介して出力軸44とともに開放側駆動ギヤ61が回転し、その回転が開放側従動ギヤ62を介して減速されてピニオンギヤ81に伝達される(第2減速(開放側))。なお、図8においては開放側ギヤ列60のみを示しており、図示しない閉塞側ギヤ列70は、第2のワンウェイクラッチ73(図5参照)によって空回りした状態(非作動状態)となっている。
【0044】
ピニオンギヤ81の回転に伴いセクタギヤ82が減速されて図中矢印の方向に回転され(第3減速)、最終出力軸91からは、図10に示すように減速比[1:10],回転数[5]およびトルク[500]の出力が出力される。そして、ガスステー13(図1参照)の反発力とともに電動モータ30の駆動力がリヤハッチ11の開放方向に作用し、その結果、リヤハッチ11が開放方向に移動する。ここで、最終出力軸91から出力されるトルクの大きさは、リヤハッチ11を開放方向に移動させるのに十分な大きさに設定されている。
【0045】
その後、リヤハッチ11が全開位置に移動した場合には、コントローラにより電動モータ30の正転駆動が停止され、ガスステー13の反発力によりリヤハッチ11がその状態で保持される。なお、コントローラによる電動モータ30の停止制御は、例えば、図示しない回転検出センサ(ホールIC等)によって電動モータ30の回転数を検出することにより実現できる。
【0046】
リヤハッチ11を閉塞方向へ移動させる場合には、まず、操作者により開閉スイッチを閉操作する。すると、コントローラにより電磁クラッチ45が接続状態となり、さらに電動モータ30の各ブラシ36に所定の大きさの駆動電流が供給されて、アーマチュア33が図9の矢印に示すように時計方向に逆転駆動される。ここで、アーマチュア33は、正転時と同様に回転数[50],トルク[50]で回転される(図10参照)。
【0047】
アーマチュア33の逆転駆動に伴い、アーマチュア軸34の回転がウォーム42およびウォームホイール43よりなる減速機構41により減速されて(第1減速)、この減速されて高トルク化された回転が出力軸44に伝達される。
【0048】
出力軸44が所定の回転数で図中矢印に示すように時計方向に回転すると、第2のワンウェイクラッチ73(図5参照)を介して出力軸44とともに閉塞側駆動ギヤ71が回転し、その回転が閉塞側従動ギヤ72を介して減速されてピニオンギヤ81に伝達される(第2減速(閉塞側))。なお、図9においては閉塞側ギヤ列70のみを示しており、図示しない開放側ギヤ列60は、第1のワンウェイクラッチ63(図4参照)によって空回りした状態(非作動状態)となっている。
【0049】
ピニオンギヤ81の回転に伴いセクタギヤ82が減速されて図中矢印の方向に回転され(第3減速)、最終出力軸91からは、図10に示すように減速比[1:20],回転数[2.5]およびトルク[1000]の出力が出力される。そして、ガスステー13の反発力に抗して電動モータ30の駆動力がリヤハッチ11を閉塞方向に移動させる。ここで、最終出力軸91からは、出力軸44の正転時に比して大きなトルクでゆっくりとした回転が出力されるので、リヤハッチ11を十分な駆動力で閉塞方向に移動させることができるとともに、リヤハッチ11の付近にいる作業者への安全性等を十分に確保することができるようになっている。
【0050】
その後、リヤハッチ11が全閉位置に移動した場合には、コントローラにより電動モータ30の逆転駆動が停止されるとともにロック機構14がロック状態とされ、これによりリヤハッチ11の閉塞動作が終了する。
【0051】
ここで、リヤハッチ11の開閉操作を、開閉体駆動装置20を備えない通常の車両と同様に手動操作で行う場合には、操作者により図示しない解除スイッチを操作するようにする。これにより、ロック機構14のロックが解除されるとともに電磁クラッチ45が遮断状態とされて、リヤハッチ11を手動操作によって開閉操作できるようになる。
【0052】
以上のように構成した第1実施の形態に係る開閉体駆動装置20によれば、出力軸44と最終出力軸91との間に開放側および閉塞側ギヤ列60,70を設け、各開放側および閉塞側ギヤ列60,70を、第1および第2のワンウェイクラッチ63,73によりアーマチュア33の回転方向に応じて個別に動作させて、出力軸44の回転を最終出力軸91に伝達するようにしたので、各ギヤ列60,70の減速比をそれぞれ任意に設定することができる。したがって、リヤハッチ11の移動方向で駆動力を異ならせて無駄なエネルギーの消費を抑制することができる。さらに、制御によらずリヤハッチ11の移動方向に応じてリヤハッチ11の開閉速度を異ならせることができ、アーマチュア33の作動音、つまり電動モータ30の作動音を大きくすることなく、リヤハッチ11の開閉動作を行うことが可能となり種々のニーズに容易に対応することができる。
【0053】
また、第1実施の形態に係る開閉体駆動装置20によれば、出力軸44上に配置される開放側および閉塞側ギヤ列60,70を形成する開放側および閉塞側駆動ギヤ61,71に、第1および第2のワンウェイクラッチ63,73を設けたので、各ワンウェイクラッチ63,73を出力軸44上に集約することができる。よって、グリスアップ等を第2のギヤケース50の一部を開けることにより実施することができ、開閉体駆動装置20のメンテナンス性を向上させることができる。
【0054】
さらに、第1実施の形態に係る開閉体駆動装置20によれば、ウォームホイール43(アーマチュア33)と出力軸44との間に、アーマチュア33の回転を出力軸44に対して断続して伝達可能な電磁クラッチ45を設けたので、電磁クラッチ45を接続状態とすることによりリヤハッチ11を自動的に開閉することができ、電磁クラッチ45を遮断状態とすることによりリヤハッチ11を手動操作で開閉することができる。
【0055】
次に、本発明の第2実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。なお、上述した第1実施の形態に係る開閉体駆動装置20と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0056】
図11は第2実施の形態に係る開閉体駆動装置を側面から見た側面図を、図12は図11の閉塞側駆動ギヤにおけるワンウェイクラッチの構造を説明する説明図を、図13は図11の開放側従動ギヤにおけるワンウェイクラッチの構造を説明する説明図を、図14は第2実施の形態における電動モータの正逆回転による最終出力軸の出力を示すフロー図をそれぞれ表している。
【0057】
図11に示すように、第2実施の形態に係る開閉体駆動装置100は、出力軸44と最終出力軸91との間に、上記第1実施の形態とは逆に閉塞側ギヤ列110を図中上側に、開放側ギヤ列120を図中下側に配置している。
【0058】
閉塞側ギヤ列110は、出力軸44に装着される肉厚の閉塞側駆動ギヤ(他方側のギヤ)111と、中間軸90に固定される閉塞側従動ギヤ112(一方側のギヤ)とを備えている。閉塞側駆動ギヤ111には、図12に示すように第2のワンウェイクラッチ113が設けられており、この第2のワンウェイクラッチ113は、第1実施の形態における第2のワンウェイクラッチ73と同様の構成で、かつ同様の動作を行うよう形成されている。
【0059】
ここで、閉塞側駆動ギヤ111は閉塞側従動ギヤ112よりも大径に形成されており、最終出力軸91の出力特性は、例えば、図14に示すように減速比[3:1],回転数[150],トルク[17]に設定されている。したがって、開閉体駆動装置100の閉塞方向への出力特性は、第1実施の形態に比して高回転/低トルクとなっている。
【0060】
一方、開放側ギヤ列120は、出力軸44に装着される開放側駆動ギヤ(他方側のギヤ)121と、中間軸90に固定される肉厚の開放側従動ギヤ122(一方側のギヤ)とを備えている。開放側従動ギヤ122には、図13に示すように第1のワンウェイクラッチ123が設けられており、この第1のワンウェイクラッチ123は、第1実施の形態に比して中間軸90に固定される以外、第1のワンウェイクラッチ63と同様の構成で、かつ同様の動作を行うよう形成されている。
【0061】
ここで、開放側駆動ギヤ121は開放側従動ギヤ122よりも小径に形成されており、最終出力軸91の出力特性は、例えば、図14に示すように減速比[1:15],回転数[3.3],トルク[750]に設定されている。したがって、開閉体駆動装置100の開放方向への出力特性は、第1実施の形態に比して低回転/高トルクとなっている。
【0062】
開閉体駆動装置100においては、上記のように開放側と閉塞側とでそれぞれ減速比を設定しているので、例えば、ガスステー等の操作力補助装置を備えず、開閉体を開放方向に向けて比較的大きな駆動力で駆動する必要がある一方で、開閉体の自重で速やかに閉塞させたいような場合に適用して有効となる。
【0063】
以上のように構成した第2実施の形態に係る開閉体駆動装置100によれば、第1のワンウェイクラッチ123を開放側ギヤ列120の開放側従動ギヤ122に、また、第2のワンウェイクラッチ113を閉塞側ギヤ列110の閉塞側駆動ギヤ111にそれぞれ設けたので、各ワンウェイクラッチ123,113を異なる軸上にそれぞれ分けて配置することができる。したがって、肉厚の各ギヤ122,111を第2のギヤケース50の内部に分けて配置して、第2のギヤケース50の厚み寸法t2を第1実施の形態に比して小さくすることができ(t2<t1)、ひいては、開閉体駆動装置100の厚み寸法の増大を抑制して小型化を図ることができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、出力軸44と最終出力軸91との間に、それぞれ一対の駆動ギヤと従動ギヤとを有する開放側ギヤ列および閉塞側ギヤ列を設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、開閉体の開閉方向や開閉操作力に応じて、駆動ギヤと従動ギヤとの間に中間ギヤとして他のギヤを設けることもできる。
【0065】
また、上記実施の形態においては、出力軸44の開放側駆動ギヤ61および閉塞側駆動ギヤ71にそれぞれ第1および第2のワンウェイクラッチ63,73を設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、中間軸90の開放側従動ギヤ62および閉塞側従動ギヤ72にそれぞれ第1および第2のワンウェイクラッチ63,73を設けるようにしても良い。
【0066】
さらに、上記実施の形態においては、開閉体として車体10の後端部に設けられるリヤハッチ11としたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、セダン車等の車体に設けられるトランクリッド等、他の開閉体にも適用することができる。要は、開放方向と閉塞方向とで開閉操作力が異なる開閉体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(a),(b)は、第1実施の形態に係る開閉体駆動装置が搭載された車体の後端部を示す側面図である。
【図2】図1の開閉体駆動装置を拡大して示す拡大図である。
【図3】図2の開閉体駆動装置を側面から見た側面図である。
【図4】開放側駆動ギヤの断面を示す断面図である。
【図5】閉塞側駆動ギヤの断面を示す断面図である。
【図6】(a),(b)は、図4に示すワンウェイクラッチの動作を説明する説明図である。
【図7】(a),(b)は、図5に示すワンウェイクラッチの動作を説明する説明図である。
【図8】アーマチュアの正転時における開放側ギヤ列の動作を示す動作説明図である。
【図9】アーマチュアの逆転時における閉塞側ギヤ列の動作を示す動作説明図である。
【図10】電動モータの正逆回転による最終出力軸の出力を示すフロー図である。
【図11】第2実施の形態に係る開閉体駆動装置を側面から見た側面図である。
【図12】図11の閉塞側駆動ギヤにおけるワンウェイクラッチの構造を説明する説明図である。
【図13】図11の開放側従動ギヤにおけるワンウェイクラッチの構造を説明する説明図である。
【図14】第2実施の形態における電動モータの正逆回転による最終出力軸の出力を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0068】
10 車体
10a ルーフ部
10b リヤピラー
11 リヤハッチ(開閉体)
12 ヒンジ軸
13 ガスステー(操作力補助装置)
14 ロック機構
15 リンク機構
15a 第1のリンク部材
15b 第2のリンク部材
20 開閉体駆動装置(車両用自動開閉装置)
30 電動モータ
31 モータケース
32 永久磁石
33 アーマチュア(回転駆動体)
34 アーマチュア軸
35 整流子
36 ブラシ
40 第1のギヤケース
41 減速機構
42 ウォーム
43 ウォームホイール
44 出力軸(第1の回転軸)
45 電磁クラッチ
50 第2のギヤケース
60 開放側ギヤ列
61 開放側駆動ギヤ(一方側のギヤ)
62 開放側従動ギヤ(他方側のギヤ)
63 第1のワンウェイクラッチ
64 キー溝
65 リング部材
66 ギヤ本体
67 クラッチローラ
68 クラッチスプリング
69 クラッチ溝
70 閉塞側ギヤ列
71 閉塞側駆動ギヤ(一方側のギヤ)
72 閉塞側従動ギヤ(他方側のギヤ)
73 第2のワンウェイクラッチ
74 キー溝
75 リング部材
76 ギヤ本体
77 クラッチローラ
78 クラッチスプリング
79 クラッチ溝
80 出力ギヤ列
81 ピニオンギヤ
82 セクタギヤ
90 中間軸
91 最終出力軸(第2の回転軸)
92 ナット
93 回動ピン
100 開閉体駆動装置(車両用自動開閉装置)
110 閉塞側ギヤ列
111 閉塞側駆動ギヤ(他方側のギヤ)
112 閉塞側従動ギヤ(一方側のギヤ)
113 第2のワンウェイクラッチ
120 開放側ギヤ列
121 開放側駆動ギヤ(他方側のギヤ)
122 開放側従動ギヤ(一方側のギヤ)
123 第1のワンウェイクラッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放方向と閉塞方向とで開閉操作力が異なる開閉体を開閉駆動する開閉体駆動装置であって、
正方向または逆方向に回転する回転駆動体と、
前記回転駆動体により回転駆動される第1の回転軸と、
前記第1の回転軸により回転駆動され、前記開閉体にリンク機構を介して接続される第2の回転軸と、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する開放側ギヤ列と、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する閉塞側ギヤ列と、
前記開放側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第1のワンウェイクラッチと、
前記閉塞側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第2のワンウェイクラッチとを備えることを特徴とする開閉体駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の開閉体駆動装置において、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する一方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置するとともに、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する他方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置し、前記第1および第2のワンウェイクラッチを前記各ギヤ列の一方側または他方側のギヤにそれぞれ設けることを特徴とする開閉体駆動装置。
【請求項3】
請求項1記載の開閉体駆動装置において、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する一方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置するとともに、前記開放側および閉塞側ギヤ列を形成する他方側のギヤをそれぞれ同一の軸上に配置し、前記第1のワンウェイクラッチを前記開放側ギヤ列の一方側のギヤに設け、前記第2のワンウェイクラッチを前記閉塞側ギヤ列の他方側のギヤに設けることを特徴とする開閉体駆動装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉体駆動装置において、前記回転駆動体と前記第1の回転軸との間に、前記回転駆動体の回転を前記第1の回転軸に対して断続して伝達可能な電磁クラッチを設けることを特徴とする開閉体駆動装置。
【請求項5】
車体にヒンジ軸を介して上下方向に開閉自在に装着され、操作力補助装置により開放方向への操作力を軽減するようにした開閉体を自動的に開閉する車両用自動開閉装置であって、
正方向または逆方向に回転する回転駆動体と、
前記回転駆動体により回転駆動される第1の回転軸と、
前記第1の回転軸により回転駆動され、前記開閉体にリンク機構を介して接続される第2の回転軸と、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する開放側ギヤ列と、
前記第1の回転軸と前記第2の回転軸との間に設けられ、前記第1の回転軸の回転を前記第2の回転軸に伝達する少なくとも一対のギヤを有する閉塞側ギヤ列と、
前記開放側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第1のワンウェイクラッチと、
前記閉塞側ギヤ列を形成する一のギヤに設けられ、前記第1の回転軸の逆転時に前記第2の回転軸に回転を伝達し、前記第1の回転軸の正転時に前記第2の回転軸に回転を非伝達とする第2のワンウェイクラッチとを備えることを特徴とする車両用自動開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−79408(P2009−79408A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249005(P2007−249005)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】