関節駆動装置
【課題】人工筋肉アクチュエータを動力源とする筋骨格型ロボット等の関節駆動装置において、装置全体を大型化することなく、可動範囲の広範化及び所定の可動範囲での高出力化が可能な関節駆動装置を提供すること。
【解決手段】支持軸32に回転自在に支持されるプーリ4と、支持軸32に回動自在に支持されるリンク部6と、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bを有し、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの拮抗筋運動による収縮量の差により、プーリ4を回転させる人工筋肉アクチュエータ2と、を備えた関節駆動装置1において、リンク部6の回転角度を検出する原点センサと、リンク部6をプーリ4に接続させて、回転駆動力を伝達する接続クラッチ7と、を備え、人工筋肉アクチュエータ2により所定の回転角度に回転されたプーリ4と所定の回動位置に位置するリンク部6とを接続して、リンク部6のプーリに対する相対的な回動範囲を切り替える。
【解決手段】支持軸32に回転自在に支持されるプーリ4と、支持軸32に回動自在に支持されるリンク部6と、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bを有し、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの拮抗筋運動による収縮量の差により、プーリ4を回転させる人工筋肉アクチュエータ2と、を備えた関節駆動装置1において、リンク部6の回転角度を検出する原点センサと、リンク部6をプーリ4に接続させて、回転駆動力を伝達する接続クラッチ7と、を備え、人工筋肉アクチュエータ2により所定の回転角度に回転されたプーリ4と所定の回動位置に位置するリンク部6とを接続して、リンク部6のプーリに対する相対的な回動範囲を切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋骨格構造を有するロボット等の関節を駆動する関節駆動装置に関し、特に人工筋肉アクチュエータを駆動源とする関節駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットアーム、ロボットハンド、脚式ロボット等の関節部に人工筋肉アクチュエータを駆動源としたロボットが開発されている。人工筋肉アクチュエータには、空気圧式(特許文献1参照)、電圧素子式、形状記憶合金等を用いたものなど様々なタイプがあるが、昨今においては、合成樹脂等の高分子を用いた人工筋肉アクチュエータが注目を集めている(特許文献2参照)。
【0003】
例えば、モータ等を駆動源とする関節駆動装置では、入力されたエネルギをそのまま物理運動として出力するため、駆動範囲内にある物理的な制限等と接触すると、装置自体や対象物を破壊したり損傷させるおそれがある。一方、合成樹脂等の高分子を用いた人工筋肉アクチュエータは人工筋肉が柔らかいため、上述の制限等と接触した場合においても、人工筋肉が余剰なエネルギを吸収して装置自体や対象物の破壊や損傷を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−121783号公報
【特許文献2】特開2007−159222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生体の筋肉及び骨に相当する人工筋肉及びリンクを備えた筋骨格型ロボットは、2つの人工筋肉を拮抗筋運動させて、それぞれの収縮量の差で関節部を駆動させる。例えば、空気圧式の人工筋肉アクチュエータの場合、圧縮した空気を筋形状の弾性体に供給し、一方側の人工筋肉を径方向に膨らませて長手方向に収縮させる。このとき、拮抗する他方側の人工筋肉は、一方側の人工筋肉の空気圧よりも低い状態となり全体として伸ばされた状態となる。つまり、拮抗配置される人工筋肉アクチュエータの場合、一対の人工筋肉の収縮率(収縮量)の差で関節部を駆動させ、関節角度を決定する。
【0006】
ここで、空気圧式の人工筋肉アクチュエータの収縮率は、通常、10〜30%程度であるため、人工筋肉の収縮動作のみでは、関節部の可動範囲が限定される。また、関節部の可動範囲を大きくするためには、可動範囲に比例する大きな人工筋肉の収縮量を必要とするため、人工筋肉アクチュエータが長くなり、装置自体が大型化してしまう。
【0007】
更に、人工筋肉アクチュエータは、一般的に収縮初期において発生力(収縮力)が最も高く、収縮率が大きくなるに従って発生力が小さくなる特性がある。そのため、物理運動として出力したい関節角度や各姿勢において、出力の伝達効率が高い状態で使用することができない場合がある。つまり、関節の角度によっては必要とする発生力が得られない場合がある。これは、空気圧式の人工筋肉だけでなく、他の方式の人工筋肉アクチュエータにおいても同様である。
【0008】
そこで、本発明は、人工筋肉アクチュエータを駆動源とする筋骨格型ロボット等の関節駆動装置において、装置全体を大型化することなく、可動範囲の広範化及び所定の可動範囲での高出力化が可能な関節駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持軸に回転自在に支持される回転手段と、前記回転手段と同軸上で前記支持軸に回動自在に支持されるリンク部と、第1アクチュエータ及び該第1アクチュエータと拮抗する第2アクチュエータを有し、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの拮抗筋運動による収縮量の差により、前記回転手段を所定の回転範囲内で回転させる人工筋肉アクチュエータと、を備えた関節駆動装置において、前記リンク部の回転角度を検出する検出手段と、前記リンク部を前記回転手段に接続させて、前記リンク部に前記回転手段の回転駆動力を伝達するクラッチ部と、を備え、前記人工筋肉アクチュエータにより所定の回転角度に回転された前記回転手段と所定の回動位置に位置する前記リンクとを接続して、前記リンク部の前記回転手段に対する相対的な回動範囲を切り替える、ことを特徴とする関節駆動装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人工筋肉アクチュエータを駆動源とする関節駆動装置において、装置全体を大型化することなく、可動範囲の広範化及び所定の可動範囲での高出力化が可能な関節駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置を示す図であり、(b)は、(a)に示すA−A矢視断面図である。
【図2】(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置の中立状態におけるプーリと原点位置に位置するリンク部とが接続された状態を示す図であり、(b)は、リンク部が原点位置から±45度回動した状態を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置の+45度回転したプーリと原点位置に位置するリンク部とが接続された状態を示す図であり、(b)は、リンク部が原点位置から−90度回動した状態を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、人工筋肉アクチュエータが収縮した状態を示す図であり、(b)は、空気圧式の人工筋肉アクチュエータの発生力と収縮率との関係を示す図である。
【図7】(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲を−45度から+45度とした場合における発生トルクを示す図である。(b)は、第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲を0度から−90度とした場合における発生トルクを示す図である。(c)は、第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲を0度から+90度とした場合における発生トルクを示す図である。
【図8】第1実施形態に係る関節駆動装置の空気供給制御システムを説明するための図である。
【図9】(a)は、本発明の第2実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダを示す平面図であり、(b)は、(a)のB−B矢視断面図である。
【図10】(a)は、本発明の第3実施形態に係る関節駆動装置を示す図であり、(b)は、(a)に示すC−C矢視断面図である。
【図11】第3実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【図12】(a)は、本発明の第4実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダを示す図であり、(b)は、(a)のD−D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る関節駆動装置は、拮抗した一対の人工筋肉を有する人工筋肉アクチュエータを駆動源とする人工筋肉関節駆動装置(以下、「関節駆動装置」という)である。以下の実施形態においては、空気圧式の人工筋肉アクチュエータを駆動源とする関節駆動装置を用いて説明する。
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置1について、図1(a)から図8を参照しながら説明する。まず、関節駆動装置1の全体構造について、図1(a)及び図1(b)を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置1を示す図である。図1(b)は、図1(a)に示すA−A矢視断面図である。
【0014】
図1(a)及び図1(b)に示すように、関節駆動装置1は、人工筋肉アクチュエータ2と、本体部3と、回転手段としてのプーリ4と、リンク部6と、プーリ4とリンク部6とを接続させるクラッチ部としての接続クラッチ7と、を備えて構成されている。
【0015】
人工筋肉アクチュエータ2は、マッキベン型の1対2筋の人工筋肉アクチュエータであり、第1人工筋肉2a及び第1人工筋肉2aと拮抗する第2人工筋肉2bと、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bと、を備える。第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bは、弾性材料により筋形状の袋体に形成されており、長手方向における一方側の端部に圧縮空気を供給するための空気供給部20a,20bが設けられている。第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bは、圧縮空気を空気供給部20a,20bから供給することにより筋の径方向に膨らみ、筋の長手方向に収縮するように形成されている。第1ワイヤ5aは、一端が第1人工筋肉2aの他方側の端部に接続されている。第2ワイヤ5bは、一端が第2人工筋肉2bの他方側の端部に接続されている。なお、第1人工筋肉2a及び第1ワイヤ5aは、第1アクチュエータを構成し、第2人工筋肉2b及び第2ワイヤ5bは、第2アクチュエータを構成している。
【0016】
本体部3は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bを固定する本体ボディ30と、本体ボディ30に連結される板状の本体アーム31と、本体アーム31に固定される支持軸32と、を備えて構成されている。
【0017】
本体ボディ30は、ヒンジ部33a,33bを備えており、ヒンジ部33a,33bは、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの長手方向における一方側の端部を固定する。本体アーム31は、第1人工筋肉2aと第2人工筋肉2bとの間に配置されており、長手方向における一方側の端部が本体ボディ30に連結され、他方側の端部に支持軸32を固定する固定部が設けられている。支持軸32は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが収縮する方向と直交する方向に延びるように固定部に固定されている。
【0018】
プーリ4は、支持軸32に回転自在に支持されている。また、プーリ4には、第1ワイヤ5aの他端と第2ワイヤ5bの他端とが接続されている。つまり、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bは、一方側の端部がヒンジ部33a,33bにより本体ボディ30に固定され、他方側の端部同士がプーリ4を介してワイヤ5a,5bで接続されることにより拮抗筋を構成する。そして、プーリ4は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが拮抗筋運動することにより所定の回転範囲内(収縮量の差の範囲内)で回転するように構成されている。本実施形態においては、プーリ4は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの拮抗筋運動により後述の0度位置(0°位置)を中心に±45度の範囲内で回転する。
【0019】
リンク部6は、プーリ4と同軸上で支持軸32を中心に回動自在に支持されている。また、リンク部6は、不図示の板バネによりプーリ4と一定距離離間するように付勢されており、プーリ4の回転駆動力がリンク部6に伝達されないように構成されている。また、リンク部6は、検出手段としての原点センサ(図示せず)を備えており、本体アーム31に対する原点位置を検知可能に構成されている。関節駆動装置1は、この原点センサを基準として人工筋肉アクチュエータ2への圧縮空気の供給制御を行ってリンク部6の回動角度を推定する。
【0020】
接続クラッチ7は、回転部70と、コイル部71と、回動摩擦部72と、固定摩擦部73と、を備えて構成されている。回転部70は、プーリ4に固定されており、プーリ4と共に支持軸32を中心に回転する。コイル部71は、回転部70と対向するようにリンク部6に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回動する。また、コイル部71は、通電時には、コイル部71と回転部70との間に磁束を生じさせ、コイル部71が固定されたリンク部6を回転部70が固定されたプーリ4に接続させる。つまり、コイル部71を通電することにより、プーリ4とリンク部6とが接続してプーリ4の回転駆動力がリンク部6に伝達され、リンク部6がプーリ4に従動する構成となっている。
【0021】
回動摩擦部72は、リンク部6のコイル部71が固定される側と反対側に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回転する。固定摩擦部73は、回動摩擦部72と対向するように本体アーム31に固定されている。コイル部71が励磁されていないときは、回動摩擦部72が上述の不図示の板バネにより固定摩擦部73に押し付けられ、リンク部6が本体アーム31に保持されるように構成されている。
【0022】
次に、リンク部6の回転動作について、図2(a)から図5を参照しながら説明する。まず、0度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させた場合におけるリンク部6の回動範囲について、図2(a)及び図2(b)を参照しながら説明する。図2(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1の中立状態におけるプーリ4と原点位置に位置するリンク部6とが接続された状態を示す図である。図2(b)は、リンク部6が原点位置から+45度回動した状態を示す図である。
【0023】
図2(a)に示すように、第1人工筋肉2aの空気供給部20aと第2人工筋肉2bの空気供給部20bに同じ量の圧縮空気を供給すると、第1人工筋肉2aと第2人工筋肉2bとが拮抗した状態(以下、この状態を「中立状態」という)となる。第1人工筋肉2aと第2人工筋肉2bとが拮抗した中立状態でのプーリ4の位置を「0度位置」とする。
【0024】
この状態で、コイル部71を通電すると、コイル部71と回転部70との間に磁束が生じ、コイル部71が固定されたリンク部6が回転部70が固定されたプーリ4に引き付けられる。リンク部6がプーリ4に引き付けられると、不図示の板バネにより固定摩擦部73に押し付けられていた回動摩擦部72が固定摩擦部73から離間し、リンク部6がプーリ4に接続される。つまり、リンク部6が所定の角度(プーリ4に対する相対角度が0度の状態)で保持される。リンク部6がプーリ4に接続されると、リンク部6がプーリ4に従動可能となる。
【0025】
0度位置のプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、図2(b)に示すように、リンク部6の可動範囲は、原点位置を中心に−45から+45度となる。具体的には、第1人工筋肉2aを最大収縮させ、第2人工筋肉2bを弛緩させると、プーリ4が原点位置から+45度の位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6が原点位置から+45°の位置まで回動する。また、第2人工筋肉2bを最大収縮させ、第1人工筋肉2aを弛緩させると、プーリ4が原点位置から−45度の位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6が原点位置から−45度の位置まで回動する。このように、0度位置のプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、原点位置を中心とした±45度の範囲において、リンク部6が回動可能になる。
【0026】
次に、0度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させる設定動作について図3を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定をするには、まず、リンク部6が原点位置にあるか否かを判断する(ステップST10)。なお、リンク部6が原点位置にあるか否かは、不図示の原点センサが原点位置を検知するか否かにより判断され、原点センサが原点位置を検知すると原点位置にあると判断される。
【0028】
リンク部6が原点位置にある場合には、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になるように空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST11)。第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になると、プーリ4が0度位置に位置する(ステップST12)。プーリ4が0度位置に位置すると、次に、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST13)。これにより、リンク部6は、原点位置を中心に±45度の範囲において回動可能になる(ステップST14)。
【0029】
一方、原点センサが原点位置を検知しない場合(リンク部6が原点位置にない)には、一旦、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST15)。リンク部6とプーリ4とが接続すると、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの空気圧のバランスを制御し、リンク部6を回動させ、原点センサがリンク部6の原点位置を検出するまで連結と解除を繰り返す(ステップST16〜ST19)。原点センサがリンク部6の原点位置を検出すると、ステップST11に進み、リンク部6とプーリ4の接続動作に入る。
【0030】
次に、+45度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させた場合におけるリンク部6の回動範囲について、図4(a)及び図4(b)を参照しながら説明する。図4(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1の+45度回転したプーリ4と原点位置に位置するリンク部6とが接続された状態を示す図である。図4(b)は、プーリ4と従動するリンク部6が原点位置から−90度回動した状態を示す図である。
【0031】
図4(a)に示すように、第1人工筋肉2aの空気供給部20aに圧縮空気を供給すると、第1人工筋肉2aが収縮し、第2人工筋肉2bが弛緩する。第1人工筋肉2aが最大収縮するまで圧縮空気を供給すると、プーリ4が第1ワイヤ5aに引っ張られ、0度位置から+45度位置までプーリ4が回転する(リンク部6に対して相対的に+45度回転)。例えば、第1人工筋肉2aに空気圧0.4(Mpa)を供給し、第2人工筋肉2bに空気圧0.1(Mpa)を供給して、プーリ4を回転させる。
【0032】
この状態で、コイル部71を通電すると、コイル部71と回転部70との間に磁束が生じ、コイル部71が固定されたリンク部6が回転部70が固定されたプーリ4に引き付けられる。リンク部6がプーリ4に引き付けられると、不図示の板バネにより固定摩擦部73に押し付けられていた回動摩擦部72が固定摩擦部73から離間し、リンク部6がプーリ4に接続される。つまり、リンク部6が所定の角度(プーリ4に対する相対角度が−45度の状態)で保持されると共に、リンク部6がプーリ4に従動する。
【0033】
+45度位置に位置するプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、図4(b)に示すように、リンク部6の可動範囲は、原点位置から−90度となる。具体的には、第2人工筋肉2bを最大収縮させ、第1人工筋肉2aを弛緩させると、プーリ4が+45度位置から−45度位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6も原点位置から−90度の位置まで回動する。次に、第1人工筋肉2aを最大収縮させ、第2人工筋肉2bを弛緩させると、プーリ4が−45度位置から+45度位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6も−90度位置から原点位置まで回動する。このように、+45度位置のプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、原点位置から−90度位置の範囲内において、リンク部6が回動可能になる。
【0034】
次に、+45度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させる設定動作について図5を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【0035】
図5に示すように、関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定をするには、まず、リンク部6が原点位置にあるか否かを判断する(ステップST20)。なお、リンク部6が原点位置にあるか否かは、不図示の原点センサが原点位置を検知するか否かにより判断され、原点センサが原点位置を検知すると原点位置にあると判断される。
【0036】
リンク部6が原点位置にある場合には、プーリ4が+45度位置に位置するように、空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST21)。例えば、第1人工筋肉2aに空気圧0.4(Mpa)を供給し、第2人工筋肉2bに空気圧0.1(Mpa)を供給する。プーリ4が+45度位置に位置する(ステップST22)と、次に、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST23)。これにより、リンク部6は、プーリと相対的に+45度ずれた状態で接続され、原点位置から−90度位置の範囲内において回動可能になる(ステップST24)。
【0037】
一方、原点センサが原点位置を検知しない場合(リンク部6が原点位置にない)には、一旦、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST25)。リンク部6とプーリ4とが接続すると、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの空気圧のバランスを制御し、リンク部6を回動させ、原点センサがリンク部6の原点位置を検出するまで連結と解除を繰り返す(ステップST26〜ST29)。原点センサがリンク部6の原点位置を検出すると、ステップST21に進み、リンク部6とプーリ4の連結動作を行う。
【0038】
ここで、空気圧式の人工筋肉2aの収縮特性について、図6を参照しながら説明する。図6(a)は、人工筋肉2aが収縮した状態を示す図である。図6(b)は、空気圧式の人工筋肉2aの発生力(N)と収縮率(%)との関係を示す図である。
【0039】
図6(a)に示す人工筋肉2aは、長さL=300(mm)、直径D=10(mm)のゴムチューブによる筋形状の袋体から形成されており、一方側の端部から圧縮空気を供給することで筋の径方向に膨らみ、筋の長手方向に収縮するように形成されたものである。
【0040】
図6(b)に示すように、人工筋肉2aの収縮の初期段階においては、収縮率ΔLが小さい方が発生力が大きく、収縮率ΔLが大きくなるにつれて発生力が小さくなる特性を有している。具体的には、図6(a)に示す人工筋肉2aは、収縮率が0(%)近傍において、収縮力(=発生力)は、約50(N)であるが、収縮率が約30(%)になると、収縮力は、ほぼ0となる。そのため、この人工筋肉2aの収縮特性における高出力領域(図6(b)に示す斜線領域)を選択すると、人工筋肉アクチュエータ2の駆動において大きなトルクを得ることが可能となる。結果として、ロボットシステムとしてもエネルギ伝達効率の高いロボット制御が可能となる。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲と発生トルクの関係について、図7(a)から図7(c)を参照しながら説明する。図7(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲を−45度から+45度とした場合における発生トルクを示す図である。図7(b)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲を0度から−90度とした場合における発生トルクを示す図である。図7(c)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲を0度から+90度とした場合における発生トルクを示す図である。
【0042】
図7(a)に示すように、プーリ4を相対的に0度回転した位置で連結(0度位置で連結)してリンク部6の回動範囲を−45度から+45度とした場合、リンク部6の回転角度が0度(プーリ4の中立状態)において、リンク部6の発生トルクが最大となる。また、発生トルクは、リンク部6が回転するに従い低くなるが、リンク部6の回転角度が±20度までは人工筋肉アクチュエータ2の発生トルクが高い範囲であることを示している。
【0043】
図7(b)に示すように、プーリ4を相対的に+45度回転した位置で連結して、リンク部6の回動範囲を0度から−90度とした場合、リンク部6の回転角度が−45度において、リンク部6の発生トルクが最大となる。また、発生トルクは、リンク部6がさらに回転するに従い低くなるが、リンク部6の回転角度が−45度の位置を中心とした±20°までは人工筋肉アクチュエータ2の発生トルクが高い範囲であることを示している。
【0044】
図7(c)に示すように、プーリ4を相対的に−45度回転した位置で連結して、リンク部6の回動範囲を0度から+90度とした場合、リンク部6の回転角度が+45度において、リンク部6の発生トルクが最大となる。また、発生トルクは、リンク部6がさらに回転するに従い低くなるが、リンク部6の回転角度が+45度を中心とした±20度の位置までは人工筋肉アクチュエータ2の発生トルクが高い範囲であることを示している。
【0045】
このように、プーリ4をリンク部6に対して相対的に0度、+45度、−45度回転させた状態でプーリ4とリンク部6とを連結することで、リンク部6を原点位置から±90度の範囲内で回動させることができる。また、リンク部6の原点位置から±90度の回動範囲において、高い発生トルクを好適に発生させることができる。
【0046】
次に、第1実施形態に係る関節駆動装置1の空気供給制御システムについて、図8を参照しながら説明する。図8は、第1実施形態に係る関節駆動装置1の空気供給制御システムを説明するための図である。なお、本実施形態においては、制御回路121は、目標とするリンク部6の回動範囲に応じて連結角度を決定し、決定した連結角度信号をD/A変換回路122を介して接続クラッチ7へ電圧信号を送り接続させる。
【0047】
図8に示すように、関節駆動装置1の空気供給制御システム100は、関節駆動装置1と、高圧空気圧源110と、電空レギュレータ111,112と、2ポート電磁弁113,114と、3ポート方向制御電磁弁115,116と、制御部120と、を備える。
【0048】
高圧空気圧源110は、コンプレッサ等であり、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bに圧縮空気を供給する。電空レギュレータ111,112は、高圧空気圧源110の下流側に接続されており、高圧空気圧源110から供給される圧縮空気の空気圧の調整を行う。2ポート電磁弁113,114は、電空レギュレータ111,112の下流側に接続されており、圧縮空気の流量を調整する。3ポート方向制御電磁弁115,116は、2ポート電磁弁113,114の下流側に接続されており、空気の圧縮と吸引の方向の調整行う。また、3ポート方向制御電磁弁115,116の下流側は、第1人工筋肉2aの空気供給部10a及び第2人工筋肉2bの空気供給部10bに接続されている。
【0049】
制御部120は、制御回路121と、所定の制御信号を変換するD/A変換回路122と、を備える。制御回路121は、D/A変換回路122で変換された制御信号に基づいて、電空レギュレータ111,112等に流れる空気圧や流量の制御を行う。つまり、電空レギュレータ111,112の空気圧、2ポート電磁弁113,114の流量及び3ポート方向制御電磁弁115,116の流量方向の制御は、制御回路121により、D/A変換回路122を介して電圧制御される。
【0050】
高圧空気圧源110により供給される圧縮空気は、圧縮空気の空気圧の調整を行なう電空レギュレータ111,112により、例えば、0.1〜0.4(MPa)の圧力に調整され、圧縮空気の流量を制御する2ポート電磁弁113,114へ供給される。2ポート電磁弁113,114へ供給された圧縮空気は、さらに空気の圧縮と吸引の方向制御行う3ポート方向制御電磁弁115,116へ供給される。
【0051】
3ポート方向制御電磁弁115,116へ圧縮空気が供給されると、制御回路121により、D/A変換回路122から電空レギュレータ111へ空気圧0.4(MPa)、電空レギュレータ112へ空気圧0.1(MPa)が入力される。そして、2ポート電磁弁113,114で圧縮空気の流量を同じにし、3ポート方向制御電磁弁115,116を供給側にした場合には、図8に示すように、第1人工筋肉2aが収縮し、拮抗している第2人工筋肉2bが伸長する。これにより、プーリ4は、図8に示すCW方向に回動する。
【0052】
次に、制御回路121により、D/A変換回路122から電空レギュレータ112へ空気圧0.4(MPa)、電空レギュレータ111へ空気圧0.1(MPa)が入力される。そして、2ポート電磁弁113,114で圧縮空気の流量を同じにし、3ポート方向制御電磁弁115,116を供給側にした場合には、第2人工筋肉2bが収縮し、拮抗している第1人工筋肉2aが伸長する。これにより、プーリ4は、図8に示すCW方向と反対方向のCCW方向に回動する。
【0053】
また、電空レギュレータ111,112への駆動方法や時間的な遅れ、2ポート電磁弁113,114の動作タイミングを変化させたり、3ポート方向制御電磁弁115,116の排気量を制御したりすることにより、精密な安定したリンク動作が可能となる。なお、本実施形態においては、2ポート電磁弁と3ポート方法制御電磁弁を用いた空気供給制御システムを用いて説明したが、例えば、5ポート3ポジション式等の電磁弁を使用してもよい。
【0054】
以上のような構成を有する第1実施形態に係る関節駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。第1実施形態に係る関節駆動装置1は、所定範囲を回転するプーリ4とリンク部6とを接続させる接続クラッチ7を備える。また、空気供給駆動制御と目標とするリンク部の回動範囲を組み合わせて、リンク部6の回動操作を行う。そのため、人工筋肉とリンク等で構成された筋骨格型のロボットにおいても、人工筋肉アクチュエータの収縮率の限界に影響されず、関節の可動範囲を広げることが可能となる。また、関節の角度、姿勢にかかわらず、人工筋肉アクチュエータの発生力の高い領域を選択することが可能となる。
【0055】
例えば、ロボットアームに本実施形態に係る関節駆動装置を設けた場合には、関節を曲げた状態でも高いトルクを得ることができる。また、例えば、脚型ロボットに関節駆動装置を設けた場合には、歩行動作のような関節角度が比較的小さくゆっくりした動作においても、人工筋肉を大型化することなく、ダイナミック動作が可能な、小型で軽量な関節駆動装置を提供できる。同様に、跳躍動作等の関節折り曲げ角度が大きく短時間で大きな出力を必要とする動作においても、人工筋肉を大型化することなく、ダイナミック動作が可能な、小型で軽量な関節駆動装置を提供できる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る関節駆動装置1Aについて、図1(a)を援用すると共に、図9(a)及び図9(b)を参照しながら説明する。図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダ8を示す平面図である。図9(b)は、図9(a)のB−B矢視断面図である。
【0057】
第2実施形態に係る関節駆動装置1Aは、プーリ4とリンク部6の回転位置を検出する検出手段としての第1及び第2ロータリエンコーダ8,9を備えることにおいて、第1実施形態に係る関節駆動装置1と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と相違する点、すなわち、第1及び第2ロータリエンコーダ8,9を中心に説明する。
【0058】
なお、第2実施形態において、第1実施形態に係る関節駆動装置1と同様の構成のものについては、図1(a)を援用すると共に、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
図9(a)及び図9(b)に示すように、関節駆動装置1Aは、人工筋肉アクチュエータ2と、本体部3と、プーリ4と、リンク部6と、接続クラッチ7と、第1ロータリエンコーダ8と、第2ロータリエンコーダ9と、を備えて構成されている。
【0060】
第1ロータリエンコーダ8は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第1スリット板80と、光を発光する第1発光ダイオード81と、第1発光ダイオード81から発光された光を受光する第1受光センサ82と、を備えて構成されている。第1スリット板80は、プーリ4に固定されており、プーリ4と共に支持軸32を中心に回転する。また、第1スリット板80には、円周部に沿って複数のスリット状の目盛部が形成されており、目盛部は、光を透過可能に形成されている。第1発光ダイオード81は、第1受光センサ82に向かって光を照射する。第1受光センサ82は、第1スリット板80を介して第1発光ダイオード81と対向配置されており、第1スリット板80の目盛部を通過した光を受光する。第1ロータリエンコーダ8は、第1発光ダイオード81から発光され、第1スリット板80の目盛部を通過して第1受光センサ82が受光した光のパルス値からプーリ4の角度位置を検出する。
【0061】
第2ロータリエンコーダ9は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第2スリット板90と、光を発光する第2発光ダイオード91と、第2発光ダイオード91から発光された光を受光する第2受光センサ92と、を備えて構成されている。第2スリット板90は、リンク部6に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回転する。また、第2スリット板90には、円周部に沿って複数のスリット状の目盛部が形成されており、目盛部は、光を透過可能に形成されている。第2発光ダイオード91は、第2受光センサ92に向かって光を照射する。第2受光センサ92は、第2スリット板90を介して第2発光ダイオード91と対向配置されており、第2スリット板90の目盛部を通過した光を受光する。第2ロータリエンコーダ9は、第2発光ダイオード91から発光され、第2スリット板90の目盛部を通過して第2受光センサ92が受光した光のパルス値からリンク部6の角度位置を検出する。
【0062】
プーリ4が支持軸32を中心に回転すると、プーリ4に固定された第1スリット板80も回転する。ここで、第1発光ダイオード81から発光され、第1スリット板80の目盛部を通過した光を第1受光センサ82が受光すると、受光した光のパルス値からプーリ4の回転角度を検出する。
【0063】
同様に、リンク部6が支持軸32を中心に回動すると、リンク部6に固定された第2スリット板90も回転する。ここで、第2発光ダイオード91から発光され、第2スリット板90の目盛部を通過した光を第2受光センサ92が受光すると、受光した光のパルス値からリンク部6の回転角度を検出する。
【0064】
以上のような構成を有する第2実施形態に係る関節駆動装置1Aによれば、第1実施形態に係る効果に加え、以下のような効果を奏する。第2実施形態に係る関節駆動装置1Aは、第1ロータリエンコーダ8及び第2ロータリエンコーダ9を備えることにより、プーリ4とリンク部6の回動位置を正確に検出することができる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る関節駆動装置1Bついて、図10(a)から図11を参照しながら説明する。図10(a)は、本発明の第3実施形態に係る関節駆動装置1Bを示す図である。図10(b)は、図10(a)に示すC−C矢視断面図である。
【0066】
第3実施形態に係る関節駆動装置1Bは、第1実施形態に係る人工筋肉アクチュエータ2を2組(2対4筋関節)備えることにおいて、第1実施形態に係る関節駆動装置1と相違する。そのため、第3実施形態においては、第1実施形態と相違する点、すなわち、2組の人工筋肉アクチュエータ2Aの作用を中心に説明する。
【0067】
なお、第3実施形態において、第1実施形態に係る関節駆動装置1と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
図10(a)及び図10(b)に示すように、関節駆動装置1Bは、人工筋肉アクチュエータ2Aと、本体部3と、プーリ4,4と、リンク部6と、接続クラッチ7Aと、を備えて構成されている。
【0069】
人工筋肉アクチュエータ2Aは、人工筋肉アクチュエータ2が上下方向に略平行に配置されている。具体的には、人工筋肉アクチュエータ2Aは、一対の人工筋肉2a,2bが上下方向に配置されており、いわゆる2対4筋関節を構成している。なお、以下においては、上方側に配置された人工筋肉アクチュエータ2を第1人工筋肉アクチュエータ200といい、第1人工筋肉アクチュエータ200の下方側に配置された人工筋肉アクチュエータ2を第2人工筋肉アクチュエータ210という。
【0070】
接続クラッチ7Aは、一対の回転部70,70と、一対のコイル部71,71と、を備えて構成されている。一対の回転部70,70は、プーリ4,4に固定されており、プーリ4,4と共に支持軸32を中心に回転する。一対のコイル部71,71は、一対の回転部70,70と対向するようにリンク部6に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回動する。また、一対のコイル部71,71は、通電時には、対向する回転部70,70との間に磁束を生じさせ、コイル部71,71が固定されたリンク部6を対向する回転部70,70が固定されたプーリ4に接続させる。つまり、いずれか一方のコイル部71,71を通電することにより、プーリ4とリンク部6とが接続してプーリ4の回転駆動力がリンク部6に伝達され、リンク部6がプーリ4に従動する構成となっている。
【0071】
次に、0度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを連結させる設定動作について図11を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る関節駆動装置1Bのリンク部6の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【0072】
図11に示すように、関節駆動装置1Bのリンク部6の回動範囲の設定をするには、まず、リンク部6が原点位置にあるか否かを判断する(ステップST30)。なお、リンク部6が原点位置にあるか否かは、不図示の原点センサが原点位置を検知するか否かにより判断され、原点センサが原点位置を検知すると原点位置にあると判断される。
【0073】
リンク部6が原点位置にある場合には、第1人工筋肉アクチュエータ200の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になるように空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST31)。第1人工筋肉アクチュエータ200の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になると、第1人工筋肉アクチュエータ200のプーリ4(以下、「第1プーリ」という)が0度位置に位置する(ステップST32)。第1プーリ4が0度位置に位置すると、次に、接続クラッチ7Aの上方側のコイル部71(以下、「第1コイル部」ともいう)を通電(励磁)してリンク部6と第1プーリ4とを接続させる(ステップST33)。これにより、リンク部6は、原点位置を中心に±45度の範囲において回動可能になる(ステップST34)。
【0074】
ここで、例えば、第1プーリ4が0度位置から+45度に位置するように、空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST35)。例えば、第1人工筋肉2aに空気圧0.4(Mpa)を供給し、第2人工筋肉2bに空気圧0.1(Mpa)を供給する。これにより、リンク部6も従動し、原点位置から+45度の位置に移動する。
【0075】
リンク部6が原点位置から+45度の位置に移動すると、次に、第2人工筋肉アクチュエータ210の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になるように空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST36)。第2人工筋肉アクチュエータ210の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になると、第2人工筋肉アクチュエータ210のプーリ4(以下、「第2プーリ」という)が0度位置に位置する。第2プーリ4が0度位置に位置すると、次に、接続クラッチ7Aの下方側のコイル部71(以下、「第2コイル部」ともいう)を通電(励磁)してリンク部6と第2プーリ4とを接続させる(ステップST37)。つまり、リンク部6と第1プーリ4との接続が解除され、リンク部6と第2プーリ4とが接続される。これにより、リンク部6は、回転角度+45度の位置を中心に±45度の範囲において回動可能になる(ステップST38)。つまり、リンク部6は、原点位置から+90度の位置まで回動可能になる。なお、リンク部6を、例えば、0度から−90度の範囲で回動させる場合については、0度から+90度間の回動動作の逆の空気供給制御を行えばよいので省略する。
【0076】
上述において、原点センサが原点位置を検知しない場合には、一旦、接続クラッチ7Aのコイル部71,71のいずれか一方を通電(励磁)してリンク部6と第1又は第2人工筋肉アクチュエータ200,210のプーリ4とを接続させる(ステップST39)。リンク部6とプーリ4とが接続すると、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの空気圧のバランスを制御し、リンク部6を回動させ、原点センサがリンク部6の原点位置を検出するまで連結と解除を繰り返す(ステップST40〜ST43)。原点センサがリンク部6の原点位置を検出すると、ステップST31に進み、リンク部6とプーリ4の連結動作を行うる。
【0077】
関節駆動装置1Bの空気供給制御システムについては、第1実施形態1に用いられる回路が2対筋分で構成される点のみで構成されるため、ここではその説明は省略する。
【0078】
以上のような構成を有する第3実施形態に係る関節駆動装置1Bによれば、第1実施形態に係る効果に加え、以下のような効果を奏する。第3実施形態に係る関節駆動装置1Bは、第1人工筋肉アクチュエータ200及び第2人工筋肉アクチュエータ210を有する、いわゆる2対4筋の人工筋肉を構成している。そのため、例えば、第1人工筋肉アクチュエータ200と第2人工筋肉アクチュエータ210の切り替えを行うことにより、リンク部6の回動範囲を原点位置から±90度の範囲に容易に切り替え可能になる。
【0079】
例えば、1対2筋の場合は、リンク部6の回動範囲を切り替える際、プーリ4を中立位置に戻す動作が必要となる。しかし、関節駆動装置1Bは、第1及び第2人工筋肉アクチュエータ200,210を交互に動作させることができるので、1対2筋の構成に比べ中立位置に戻す動作が不要になる。そのため、回動範囲の切り替え動作を連続的に行うことが可能になり、より滑らかな速い回動範囲の切り替えが可能となる。
【0080】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る関節駆動装置1Cについて、図10(a)及び図10(b)を援用すると共に、図12(a)及び図12(b)を参照しながら説明する。図12(a)は、本発明の第4実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダ8を示す図である。図12(b)は、図12(a)のD−D矢視断面図である。
【0081】
第4実施形態に係る関節駆動装置1Cは、プーリ4,4とリンク部6の回転位置を検出する第1及び第2ロータリエンコーダ8,8,9が設けられたことにおいて、第3実施形態と相違する。そのため、第4実施形態においては、第3実施形態と相違する点、すなわち、第1及び第2ロータリエンコーダ8,8,9を中心に説明する。
【0082】
なお、第4実施形態において、第1から第3実施形態に係る関節駆動装置1,1A,1Bと同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第1から第3実施形態と同様の構成のものについては、第1から第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0083】
図12(a)及び図12(b)に示すように、関節駆動装置1Cは、人工筋肉アクチュエータ2Aと、本体部3と、プーリ4と、リンク部6と、接続クラッチ7と、一対の第1ロータリエンコーダ8,8と、第2ロータリエンコーダ9と、を備えて構成されている。
【0084】
第1ロータリエンコーダ8,8は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第1スリット板80と、光を発光する第1発光ダイオード81と、第1発光ダイオード81から発光された光を受光する第1受光センサ82と、を備えて構成されている。プーリ4が支持軸32を中心に回転すると、プーリ4に固定された第1スリット板80も回転する。ここで、第1発光ダイオード81から発光され、第1スリット板80の目盛部を通過した光を第1受光センサ82が受光すると、受光した光のパルス値からプーリ4の回転角度を検出する。
【0085】
第2ロータリエンコーダ9は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第2スリット板90と、光を発光する第2発光ダイオード91と、第2発光ダイオード91から発光された光を受光する第2受光センサ92と、を備えて構成されている。同様に、リンク部6が支持軸32を中心に回動すると、リンク部6に固定された第2スリット板90も回転する。ここで、第2発光ダイオード91から発光され、第2スリット板90の目盛部を通過した光を第2受光センサ92が受光すると、受光した光のパルス値からリンク部6の回転角度を検出する。なお、検出したそれぞれの回転角度の情報は、制御回路121で目標値との比較を行いリンク部6の位置を決定する。
【0086】
以上のような構成を有する第4実施形態に係る関節駆動装置1Cによれば、第1から第3実施形態に係る効果に加え、以下のような効果を奏する。第4実施形態に係る関節駆動装置1Cは、第1ロータリエンコーダ8,8及び第2ロータリエンコーダ9を備える。そのため、より正確な関節角度情報を得ることができ、リンク部6の位置決め精度や応答性をさらに高くすることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0088】
例えば、本実施形態においては、プーリ4の連結角度として、0°、+45°、−45°を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。連結角度としては、0°から±90°間における任意の連結角度を設定してもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、プーリ4の回転位置を検出する第1ロータリエンコーダ8と、リンク部6の回転位置を検出する第2ロータリエンコーダ9を設けたが、本発明においてはこれに限定されない。第1ロータリエンコーダ8及び第2ロータリエンコーダ9は、リンク部6の位置決めの精度レベルに応じて第1ロータリエンコーダ8又は第2ロータリエンコーダ9のいずれか一方のみを用いる構成であってもよい。また、例えば、本実施形態においては、光電方式のロータリエンコーダを用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、プーリ4及びリンク部6の回動位置が検出できるものであればよい。例えば、磁気方式や静電容量方式等であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1、1A、1B、1C 関節駆動装置
2、2A 人工筋肉アクチュエータ
2a 第1人工筋肉(第1アクチュエータ)
2b 第2人工筋肉(第2アクチュエータ)
4 プーリ(回転手段)
5a 第1連結ワイヤ(第1アクチュエータ)
5b 第2連結ワイヤ(第2アクチュエータ)
6 リンク部
7 接続クラッチ
8 第1ロータリエンコーダ(検出手段)
9 第2ロータリエンコーダ(検出手段)
32 支持軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋骨格構造を有するロボット等の関節を駆動する関節駆動装置に関し、特に人工筋肉アクチュエータを駆動源とする関節駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットアーム、ロボットハンド、脚式ロボット等の関節部に人工筋肉アクチュエータを駆動源としたロボットが開発されている。人工筋肉アクチュエータには、空気圧式(特許文献1参照)、電圧素子式、形状記憶合金等を用いたものなど様々なタイプがあるが、昨今においては、合成樹脂等の高分子を用いた人工筋肉アクチュエータが注目を集めている(特許文献2参照)。
【0003】
例えば、モータ等を駆動源とする関節駆動装置では、入力されたエネルギをそのまま物理運動として出力するため、駆動範囲内にある物理的な制限等と接触すると、装置自体や対象物を破壊したり損傷させるおそれがある。一方、合成樹脂等の高分子を用いた人工筋肉アクチュエータは人工筋肉が柔らかいため、上述の制限等と接触した場合においても、人工筋肉が余剰なエネルギを吸収して装置自体や対象物の破壊や損傷を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−121783号公報
【特許文献2】特開2007−159222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生体の筋肉及び骨に相当する人工筋肉及びリンクを備えた筋骨格型ロボットは、2つの人工筋肉を拮抗筋運動させて、それぞれの収縮量の差で関節部を駆動させる。例えば、空気圧式の人工筋肉アクチュエータの場合、圧縮した空気を筋形状の弾性体に供給し、一方側の人工筋肉を径方向に膨らませて長手方向に収縮させる。このとき、拮抗する他方側の人工筋肉は、一方側の人工筋肉の空気圧よりも低い状態となり全体として伸ばされた状態となる。つまり、拮抗配置される人工筋肉アクチュエータの場合、一対の人工筋肉の収縮率(収縮量)の差で関節部を駆動させ、関節角度を決定する。
【0006】
ここで、空気圧式の人工筋肉アクチュエータの収縮率は、通常、10〜30%程度であるため、人工筋肉の収縮動作のみでは、関節部の可動範囲が限定される。また、関節部の可動範囲を大きくするためには、可動範囲に比例する大きな人工筋肉の収縮量を必要とするため、人工筋肉アクチュエータが長くなり、装置自体が大型化してしまう。
【0007】
更に、人工筋肉アクチュエータは、一般的に収縮初期において発生力(収縮力)が最も高く、収縮率が大きくなるに従って発生力が小さくなる特性がある。そのため、物理運動として出力したい関節角度や各姿勢において、出力の伝達効率が高い状態で使用することができない場合がある。つまり、関節の角度によっては必要とする発生力が得られない場合がある。これは、空気圧式の人工筋肉だけでなく、他の方式の人工筋肉アクチュエータにおいても同様である。
【0008】
そこで、本発明は、人工筋肉アクチュエータを駆動源とする筋骨格型ロボット等の関節駆動装置において、装置全体を大型化することなく、可動範囲の広範化及び所定の可動範囲での高出力化が可能な関節駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、支持軸に回転自在に支持される回転手段と、前記回転手段と同軸上で前記支持軸に回動自在に支持されるリンク部と、第1アクチュエータ及び該第1アクチュエータと拮抗する第2アクチュエータを有し、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの拮抗筋運動による収縮量の差により、前記回転手段を所定の回転範囲内で回転させる人工筋肉アクチュエータと、を備えた関節駆動装置において、前記リンク部の回転角度を検出する検出手段と、前記リンク部を前記回転手段に接続させて、前記リンク部に前記回転手段の回転駆動力を伝達するクラッチ部と、を備え、前記人工筋肉アクチュエータにより所定の回転角度に回転された前記回転手段と所定の回動位置に位置する前記リンクとを接続して、前記リンク部の前記回転手段に対する相対的な回動範囲を切り替える、ことを特徴とする関節駆動装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、人工筋肉アクチュエータを駆動源とする関節駆動装置において、装置全体を大型化することなく、可動範囲の広範化及び所定の可動範囲での高出力化が可能な関節駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置を示す図であり、(b)は、(a)に示すA−A矢視断面図である。
【図2】(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置の中立状態におけるプーリと原点位置に位置するリンク部とが接続された状態を示す図であり、(b)は、リンク部が原点位置から±45度回動した状態を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置の+45度回転したプーリと原点位置に位置するリンク部とが接続された状態を示す図であり、(b)は、リンク部が原点位置から−90度回動した状態を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、人工筋肉アクチュエータが収縮した状態を示す図であり、(b)は、空気圧式の人工筋肉アクチュエータの発生力と収縮率との関係を示す図である。
【図7】(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲を−45度から+45度とした場合における発生トルクを示す図である。(b)は、第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲を0度から−90度とした場合における発生トルクを示す図である。(c)は、第1実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲を0度から+90度とした場合における発生トルクを示す図である。
【図8】第1実施形態に係る関節駆動装置の空気供給制御システムを説明するための図である。
【図9】(a)は、本発明の第2実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダを示す平面図であり、(b)は、(a)のB−B矢視断面図である。
【図10】(a)は、本発明の第3実施形態に係る関節駆動装置を示す図であり、(b)は、(a)に示すC−C矢視断面図である。
【図11】第3実施形態に係る関節駆動装置のリンク部の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【図12】(a)は、本発明の第4実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダを示す図であり、(b)は、(a)のD−D矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る関節駆動装置は、拮抗した一対の人工筋肉を有する人工筋肉アクチュエータを駆動源とする人工筋肉関節駆動装置(以下、「関節駆動装置」という)である。以下の実施形態においては、空気圧式の人工筋肉アクチュエータを駆動源とする関節駆動装置を用いて説明する。
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置1について、図1(a)から図8を参照しながら説明する。まず、関節駆動装置1の全体構造について、図1(a)及び図1(b)を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置1を示す図である。図1(b)は、図1(a)に示すA−A矢視断面図である。
【0014】
図1(a)及び図1(b)に示すように、関節駆動装置1は、人工筋肉アクチュエータ2と、本体部3と、回転手段としてのプーリ4と、リンク部6と、プーリ4とリンク部6とを接続させるクラッチ部としての接続クラッチ7と、を備えて構成されている。
【0015】
人工筋肉アクチュエータ2は、マッキベン型の1対2筋の人工筋肉アクチュエータであり、第1人工筋肉2a及び第1人工筋肉2aと拮抗する第2人工筋肉2bと、第1ワイヤ5a及び第2ワイヤ5bと、を備える。第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bは、弾性材料により筋形状の袋体に形成されており、長手方向における一方側の端部に圧縮空気を供給するための空気供給部20a,20bが設けられている。第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bは、圧縮空気を空気供給部20a,20bから供給することにより筋の径方向に膨らみ、筋の長手方向に収縮するように形成されている。第1ワイヤ5aは、一端が第1人工筋肉2aの他方側の端部に接続されている。第2ワイヤ5bは、一端が第2人工筋肉2bの他方側の端部に接続されている。なお、第1人工筋肉2a及び第1ワイヤ5aは、第1アクチュエータを構成し、第2人工筋肉2b及び第2ワイヤ5bは、第2アクチュエータを構成している。
【0016】
本体部3は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bを固定する本体ボディ30と、本体ボディ30に連結される板状の本体アーム31と、本体アーム31に固定される支持軸32と、を備えて構成されている。
【0017】
本体ボディ30は、ヒンジ部33a,33bを備えており、ヒンジ部33a,33bは、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの長手方向における一方側の端部を固定する。本体アーム31は、第1人工筋肉2aと第2人工筋肉2bとの間に配置されており、長手方向における一方側の端部が本体ボディ30に連結され、他方側の端部に支持軸32を固定する固定部が設けられている。支持軸32は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが収縮する方向と直交する方向に延びるように固定部に固定されている。
【0018】
プーリ4は、支持軸32に回転自在に支持されている。また、プーリ4には、第1ワイヤ5aの他端と第2ワイヤ5bの他端とが接続されている。つまり、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bは、一方側の端部がヒンジ部33a,33bにより本体ボディ30に固定され、他方側の端部同士がプーリ4を介してワイヤ5a,5bで接続されることにより拮抗筋を構成する。そして、プーリ4は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが拮抗筋運動することにより所定の回転範囲内(収縮量の差の範囲内)で回転するように構成されている。本実施形態においては、プーリ4は、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの拮抗筋運動により後述の0度位置(0°位置)を中心に±45度の範囲内で回転する。
【0019】
リンク部6は、プーリ4と同軸上で支持軸32を中心に回動自在に支持されている。また、リンク部6は、不図示の板バネによりプーリ4と一定距離離間するように付勢されており、プーリ4の回転駆動力がリンク部6に伝達されないように構成されている。また、リンク部6は、検出手段としての原点センサ(図示せず)を備えており、本体アーム31に対する原点位置を検知可能に構成されている。関節駆動装置1は、この原点センサを基準として人工筋肉アクチュエータ2への圧縮空気の供給制御を行ってリンク部6の回動角度を推定する。
【0020】
接続クラッチ7は、回転部70と、コイル部71と、回動摩擦部72と、固定摩擦部73と、を備えて構成されている。回転部70は、プーリ4に固定されており、プーリ4と共に支持軸32を中心に回転する。コイル部71は、回転部70と対向するようにリンク部6に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回動する。また、コイル部71は、通電時には、コイル部71と回転部70との間に磁束を生じさせ、コイル部71が固定されたリンク部6を回転部70が固定されたプーリ4に接続させる。つまり、コイル部71を通電することにより、プーリ4とリンク部6とが接続してプーリ4の回転駆動力がリンク部6に伝達され、リンク部6がプーリ4に従動する構成となっている。
【0021】
回動摩擦部72は、リンク部6のコイル部71が固定される側と反対側に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回転する。固定摩擦部73は、回動摩擦部72と対向するように本体アーム31に固定されている。コイル部71が励磁されていないときは、回動摩擦部72が上述の不図示の板バネにより固定摩擦部73に押し付けられ、リンク部6が本体アーム31に保持されるように構成されている。
【0022】
次に、リンク部6の回転動作について、図2(a)から図5を参照しながら説明する。まず、0度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させた場合におけるリンク部6の回動範囲について、図2(a)及び図2(b)を参照しながら説明する。図2(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1の中立状態におけるプーリ4と原点位置に位置するリンク部6とが接続された状態を示す図である。図2(b)は、リンク部6が原点位置から+45度回動した状態を示す図である。
【0023】
図2(a)に示すように、第1人工筋肉2aの空気供給部20aと第2人工筋肉2bの空気供給部20bに同じ量の圧縮空気を供給すると、第1人工筋肉2aと第2人工筋肉2bとが拮抗した状態(以下、この状態を「中立状態」という)となる。第1人工筋肉2aと第2人工筋肉2bとが拮抗した中立状態でのプーリ4の位置を「0度位置」とする。
【0024】
この状態で、コイル部71を通電すると、コイル部71と回転部70との間に磁束が生じ、コイル部71が固定されたリンク部6が回転部70が固定されたプーリ4に引き付けられる。リンク部6がプーリ4に引き付けられると、不図示の板バネにより固定摩擦部73に押し付けられていた回動摩擦部72が固定摩擦部73から離間し、リンク部6がプーリ4に接続される。つまり、リンク部6が所定の角度(プーリ4に対する相対角度が0度の状態)で保持される。リンク部6がプーリ4に接続されると、リンク部6がプーリ4に従動可能となる。
【0025】
0度位置のプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、図2(b)に示すように、リンク部6の可動範囲は、原点位置を中心に−45から+45度となる。具体的には、第1人工筋肉2aを最大収縮させ、第2人工筋肉2bを弛緩させると、プーリ4が原点位置から+45度の位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6が原点位置から+45°の位置まで回動する。また、第2人工筋肉2bを最大収縮させ、第1人工筋肉2aを弛緩させると、プーリ4が原点位置から−45度の位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6が原点位置から−45度の位置まで回動する。このように、0度位置のプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、原点位置を中心とした±45度の範囲において、リンク部6が回動可能になる。
【0026】
次に、0度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させる設定動作について図3を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定をするには、まず、リンク部6が原点位置にあるか否かを判断する(ステップST10)。なお、リンク部6が原点位置にあるか否かは、不図示の原点センサが原点位置を検知するか否かにより判断され、原点センサが原点位置を検知すると原点位置にあると判断される。
【0028】
リンク部6が原点位置にある場合には、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になるように空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST11)。第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になると、プーリ4が0度位置に位置する(ステップST12)。プーリ4が0度位置に位置すると、次に、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST13)。これにより、リンク部6は、原点位置を中心に±45度の範囲において回動可能になる(ステップST14)。
【0029】
一方、原点センサが原点位置を検知しない場合(リンク部6が原点位置にない)には、一旦、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST15)。リンク部6とプーリ4とが接続すると、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの空気圧のバランスを制御し、リンク部6を回動させ、原点センサがリンク部6の原点位置を検出するまで連結と解除を繰り返す(ステップST16〜ST19)。原点センサがリンク部6の原点位置を検出すると、ステップST11に進み、リンク部6とプーリ4の接続動作に入る。
【0030】
次に、+45度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させた場合におけるリンク部6の回動範囲について、図4(a)及び図4(b)を参照しながら説明する。図4(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1の+45度回転したプーリ4と原点位置に位置するリンク部6とが接続された状態を示す図である。図4(b)は、プーリ4と従動するリンク部6が原点位置から−90度回動した状態を示す図である。
【0031】
図4(a)に示すように、第1人工筋肉2aの空気供給部20aに圧縮空気を供給すると、第1人工筋肉2aが収縮し、第2人工筋肉2bが弛緩する。第1人工筋肉2aが最大収縮するまで圧縮空気を供給すると、プーリ4が第1ワイヤ5aに引っ張られ、0度位置から+45度位置までプーリ4が回転する(リンク部6に対して相対的に+45度回転)。例えば、第1人工筋肉2aに空気圧0.4(Mpa)を供給し、第2人工筋肉2bに空気圧0.1(Mpa)を供給して、プーリ4を回転させる。
【0032】
この状態で、コイル部71を通電すると、コイル部71と回転部70との間に磁束が生じ、コイル部71が固定されたリンク部6が回転部70が固定されたプーリ4に引き付けられる。リンク部6がプーリ4に引き付けられると、不図示の板バネにより固定摩擦部73に押し付けられていた回動摩擦部72が固定摩擦部73から離間し、リンク部6がプーリ4に接続される。つまり、リンク部6が所定の角度(プーリ4に対する相対角度が−45度の状態)で保持されると共に、リンク部6がプーリ4に従動する。
【0033】
+45度位置に位置するプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、図4(b)に示すように、リンク部6の可動範囲は、原点位置から−90度となる。具体的には、第2人工筋肉2bを最大収縮させ、第1人工筋肉2aを弛緩させると、プーリ4が+45度位置から−45度位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6も原点位置から−90度の位置まで回動する。次に、第1人工筋肉2aを最大収縮させ、第2人工筋肉2bを弛緩させると、プーリ4が−45度位置から+45度位置まで回動する。すなわち、プーリ4に接続されたリンク部6も−90度位置から原点位置まで回動する。このように、+45度位置のプーリ4と原点位置のリンク部6とを接続した状態においては、原点位置から−90度位置の範囲内において、リンク部6が回動可能になる。
【0034】
次に、+45度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを接続させる設定動作について図5を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【0035】
図5に示すように、関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲の設定をするには、まず、リンク部6が原点位置にあるか否かを判断する(ステップST20)。なお、リンク部6が原点位置にあるか否かは、不図示の原点センサが原点位置を検知するか否かにより判断され、原点センサが原点位置を検知すると原点位置にあると判断される。
【0036】
リンク部6が原点位置にある場合には、プーリ4が+45度位置に位置するように、空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST21)。例えば、第1人工筋肉2aに空気圧0.4(Mpa)を供給し、第2人工筋肉2bに空気圧0.1(Mpa)を供給する。プーリ4が+45度位置に位置する(ステップST22)と、次に、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST23)。これにより、リンク部6は、プーリと相対的に+45度ずれた状態で接続され、原点位置から−90度位置の範囲内において回動可能になる(ステップST24)。
【0037】
一方、原点センサが原点位置を検知しない場合(リンク部6が原点位置にない)には、一旦、接続クラッチ7のコイル部71を通電(励磁)してリンク部6とプーリ4とを接続させる(ステップST25)。リンク部6とプーリ4とが接続すると、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの空気圧のバランスを制御し、リンク部6を回動させ、原点センサがリンク部6の原点位置を検出するまで連結と解除を繰り返す(ステップST26〜ST29)。原点センサがリンク部6の原点位置を検出すると、ステップST21に進み、リンク部6とプーリ4の連結動作を行う。
【0038】
ここで、空気圧式の人工筋肉2aの収縮特性について、図6を参照しながら説明する。図6(a)は、人工筋肉2aが収縮した状態を示す図である。図6(b)は、空気圧式の人工筋肉2aの発生力(N)と収縮率(%)との関係を示す図である。
【0039】
図6(a)に示す人工筋肉2aは、長さL=300(mm)、直径D=10(mm)のゴムチューブによる筋形状の袋体から形成されており、一方側の端部から圧縮空気を供給することで筋の径方向に膨らみ、筋の長手方向に収縮するように形成されたものである。
【0040】
図6(b)に示すように、人工筋肉2aの収縮の初期段階においては、収縮率ΔLが小さい方が発生力が大きく、収縮率ΔLが大きくなるにつれて発生力が小さくなる特性を有している。具体的には、図6(a)に示す人工筋肉2aは、収縮率が0(%)近傍において、収縮力(=発生力)は、約50(N)であるが、収縮率が約30(%)になると、収縮力は、ほぼ0となる。そのため、この人工筋肉2aの収縮特性における高出力領域(図6(b)に示す斜線領域)を選択すると、人工筋肉アクチュエータ2の駆動において大きなトルクを得ることが可能となる。結果として、ロボットシステムとしてもエネルギ伝達効率の高いロボット制御が可能となる。
【0041】
次に、本発明の第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲と発生トルクの関係について、図7(a)から図7(c)を参照しながら説明する。図7(a)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲を−45度から+45度とした場合における発生トルクを示す図である。図7(b)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲を0度から−90度とした場合における発生トルクを示す図である。図7(c)は、第1実施形態に係る関節駆動装置1のリンク部6の回動範囲を0度から+90度とした場合における発生トルクを示す図である。
【0042】
図7(a)に示すように、プーリ4を相対的に0度回転した位置で連結(0度位置で連結)してリンク部6の回動範囲を−45度から+45度とした場合、リンク部6の回転角度が0度(プーリ4の中立状態)において、リンク部6の発生トルクが最大となる。また、発生トルクは、リンク部6が回転するに従い低くなるが、リンク部6の回転角度が±20度までは人工筋肉アクチュエータ2の発生トルクが高い範囲であることを示している。
【0043】
図7(b)に示すように、プーリ4を相対的に+45度回転した位置で連結して、リンク部6の回動範囲を0度から−90度とした場合、リンク部6の回転角度が−45度において、リンク部6の発生トルクが最大となる。また、発生トルクは、リンク部6がさらに回転するに従い低くなるが、リンク部6の回転角度が−45度の位置を中心とした±20°までは人工筋肉アクチュエータ2の発生トルクが高い範囲であることを示している。
【0044】
図7(c)に示すように、プーリ4を相対的に−45度回転した位置で連結して、リンク部6の回動範囲を0度から+90度とした場合、リンク部6の回転角度が+45度において、リンク部6の発生トルクが最大となる。また、発生トルクは、リンク部6がさらに回転するに従い低くなるが、リンク部6の回転角度が+45度を中心とした±20度の位置までは人工筋肉アクチュエータ2の発生トルクが高い範囲であることを示している。
【0045】
このように、プーリ4をリンク部6に対して相対的に0度、+45度、−45度回転させた状態でプーリ4とリンク部6とを連結することで、リンク部6を原点位置から±90度の範囲内で回動させることができる。また、リンク部6の原点位置から±90度の回動範囲において、高い発生トルクを好適に発生させることができる。
【0046】
次に、第1実施形態に係る関節駆動装置1の空気供給制御システムについて、図8を参照しながら説明する。図8は、第1実施形態に係る関節駆動装置1の空気供給制御システムを説明するための図である。なお、本実施形態においては、制御回路121は、目標とするリンク部6の回動範囲に応じて連結角度を決定し、決定した連結角度信号をD/A変換回路122を介して接続クラッチ7へ電圧信号を送り接続させる。
【0047】
図8に示すように、関節駆動装置1の空気供給制御システム100は、関節駆動装置1と、高圧空気圧源110と、電空レギュレータ111,112と、2ポート電磁弁113,114と、3ポート方向制御電磁弁115,116と、制御部120と、を備える。
【0048】
高圧空気圧源110は、コンプレッサ等であり、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bに圧縮空気を供給する。電空レギュレータ111,112は、高圧空気圧源110の下流側に接続されており、高圧空気圧源110から供給される圧縮空気の空気圧の調整を行う。2ポート電磁弁113,114は、電空レギュレータ111,112の下流側に接続されており、圧縮空気の流量を調整する。3ポート方向制御電磁弁115,116は、2ポート電磁弁113,114の下流側に接続されており、空気の圧縮と吸引の方向の調整行う。また、3ポート方向制御電磁弁115,116の下流側は、第1人工筋肉2aの空気供給部10a及び第2人工筋肉2bの空気供給部10bに接続されている。
【0049】
制御部120は、制御回路121と、所定の制御信号を変換するD/A変換回路122と、を備える。制御回路121は、D/A変換回路122で変換された制御信号に基づいて、電空レギュレータ111,112等に流れる空気圧や流量の制御を行う。つまり、電空レギュレータ111,112の空気圧、2ポート電磁弁113,114の流量及び3ポート方向制御電磁弁115,116の流量方向の制御は、制御回路121により、D/A変換回路122を介して電圧制御される。
【0050】
高圧空気圧源110により供給される圧縮空気は、圧縮空気の空気圧の調整を行なう電空レギュレータ111,112により、例えば、0.1〜0.4(MPa)の圧力に調整され、圧縮空気の流量を制御する2ポート電磁弁113,114へ供給される。2ポート電磁弁113,114へ供給された圧縮空気は、さらに空気の圧縮と吸引の方向制御行う3ポート方向制御電磁弁115,116へ供給される。
【0051】
3ポート方向制御電磁弁115,116へ圧縮空気が供給されると、制御回路121により、D/A変換回路122から電空レギュレータ111へ空気圧0.4(MPa)、電空レギュレータ112へ空気圧0.1(MPa)が入力される。そして、2ポート電磁弁113,114で圧縮空気の流量を同じにし、3ポート方向制御電磁弁115,116を供給側にした場合には、図8に示すように、第1人工筋肉2aが収縮し、拮抗している第2人工筋肉2bが伸長する。これにより、プーリ4は、図8に示すCW方向に回動する。
【0052】
次に、制御回路121により、D/A変換回路122から電空レギュレータ112へ空気圧0.4(MPa)、電空レギュレータ111へ空気圧0.1(MPa)が入力される。そして、2ポート電磁弁113,114で圧縮空気の流量を同じにし、3ポート方向制御電磁弁115,116を供給側にした場合には、第2人工筋肉2bが収縮し、拮抗している第1人工筋肉2aが伸長する。これにより、プーリ4は、図8に示すCW方向と反対方向のCCW方向に回動する。
【0053】
また、電空レギュレータ111,112への駆動方法や時間的な遅れ、2ポート電磁弁113,114の動作タイミングを変化させたり、3ポート方向制御電磁弁115,116の排気量を制御したりすることにより、精密な安定したリンク動作が可能となる。なお、本実施形態においては、2ポート電磁弁と3ポート方法制御電磁弁を用いた空気供給制御システムを用いて説明したが、例えば、5ポート3ポジション式等の電磁弁を使用してもよい。
【0054】
以上のような構成を有する第1実施形態に係る関節駆動装置1によれば、以下のような効果を奏する。第1実施形態に係る関節駆動装置1は、所定範囲を回転するプーリ4とリンク部6とを接続させる接続クラッチ7を備える。また、空気供給駆動制御と目標とするリンク部の回動範囲を組み合わせて、リンク部6の回動操作を行う。そのため、人工筋肉とリンク等で構成された筋骨格型のロボットにおいても、人工筋肉アクチュエータの収縮率の限界に影響されず、関節の可動範囲を広げることが可能となる。また、関節の角度、姿勢にかかわらず、人工筋肉アクチュエータの発生力の高い領域を選択することが可能となる。
【0055】
例えば、ロボットアームに本実施形態に係る関節駆動装置を設けた場合には、関節を曲げた状態でも高いトルクを得ることができる。また、例えば、脚型ロボットに関節駆動装置を設けた場合には、歩行動作のような関節角度が比較的小さくゆっくりした動作においても、人工筋肉を大型化することなく、ダイナミック動作が可能な、小型で軽量な関節駆動装置を提供できる。同様に、跳躍動作等の関節折り曲げ角度が大きく短時間で大きな出力を必要とする動作においても、人工筋肉を大型化することなく、ダイナミック動作が可能な、小型で軽量な関節駆動装置を提供できる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る関節駆動装置1Aについて、図1(a)を援用すると共に、図9(a)及び図9(b)を参照しながら説明する。図9(a)は、本発明の第2実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダ8を示す平面図である。図9(b)は、図9(a)のB−B矢視断面図である。
【0057】
第2実施形態に係る関節駆動装置1Aは、プーリ4とリンク部6の回転位置を検出する検出手段としての第1及び第2ロータリエンコーダ8,9を備えることにおいて、第1実施形態に係る関節駆動装置1と相違する。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と相違する点、すなわち、第1及び第2ロータリエンコーダ8,9を中心に説明する。
【0058】
なお、第2実施形態において、第1実施形態に係る関節駆動装置1と同様の構成のものについては、図1(a)を援用すると共に、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
図9(a)及び図9(b)に示すように、関節駆動装置1Aは、人工筋肉アクチュエータ2と、本体部3と、プーリ4と、リンク部6と、接続クラッチ7と、第1ロータリエンコーダ8と、第2ロータリエンコーダ9と、を備えて構成されている。
【0060】
第1ロータリエンコーダ8は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第1スリット板80と、光を発光する第1発光ダイオード81と、第1発光ダイオード81から発光された光を受光する第1受光センサ82と、を備えて構成されている。第1スリット板80は、プーリ4に固定されており、プーリ4と共に支持軸32を中心に回転する。また、第1スリット板80には、円周部に沿って複数のスリット状の目盛部が形成されており、目盛部は、光を透過可能に形成されている。第1発光ダイオード81は、第1受光センサ82に向かって光を照射する。第1受光センサ82は、第1スリット板80を介して第1発光ダイオード81と対向配置されており、第1スリット板80の目盛部を通過した光を受光する。第1ロータリエンコーダ8は、第1発光ダイオード81から発光され、第1スリット板80の目盛部を通過して第1受光センサ82が受光した光のパルス値からプーリ4の角度位置を検出する。
【0061】
第2ロータリエンコーダ9は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第2スリット板90と、光を発光する第2発光ダイオード91と、第2発光ダイオード91から発光された光を受光する第2受光センサ92と、を備えて構成されている。第2スリット板90は、リンク部6に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回転する。また、第2スリット板90には、円周部に沿って複数のスリット状の目盛部が形成されており、目盛部は、光を透過可能に形成されている。第2発光ダイオード91は、第2受光センサ92に向かって光を照射する。第2受光センサ92は、第2スリット板90を介して第2発光ダイオード91と対向配置されており、第2スリット板90の目盛部を通過した光を受光する。第2ロータリエンコーダ9は、第2発光ダイオード91から発光され、第2スリット板90の目盛部を通過して第2受光センサ92が受光した光のパルス値からリンク部6の角度位置を検出する。
【0062】
プーリ4が支持軸32を中心に回転すると、プーリ4に固定された第1スリット板80も回転する。ここで、第1発光ダイオード81から発光され、第1スリット板80の目盛部を通過した光を第1受光センサ82が受光すると、受光した光のパルス値からプーリ4の回転角度を検出する。
【0063】
同様に、リンク部6が支持軸32を中心に回動すると、リンク部6に固定された第2スリット板90も回転する。ここで、第2発光ダイオード91から発光され、第2スリット板90の目盛部を通過した光を第2受光センサ92が受光すると、受光した光のパルス値からリンク部6の回転角度を検出する。
【0064】
以上のような構成を有する第2実施形態に係る関節駆動装置1Aによれば、第1実施形態に係る効果に加え、以下のような効果を奏する。第2実施形態に係る関節駆動装置1Aは、第1ロータリエンコーダ8及び第2ロータリエンコーダ9を備えることにより、プーリ4とリンク部6の回動位置を正確に検出することができる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る関節駆動装置1Bついて、図10(a)から図11を参照しながら説明する。図10(a)は、本発明の第3実施形態に係る関節駆動装置1Bを示す図である。図10(b)は、図10(a)に示すC−C矢視断面図である。
【0066】
第3実施形態に係る関節駆動装置1Bは、第1実施形態に係る人工筋肉アクチュエータ2を2組(2対4筋関節)備えることにおいて、第1実施形態に係る関節駆動装置1と相違する。そのため、第3実施形態においては、第1実施形態と相違する点、すなわち、2組の人工筋肉アクチュエータ2Aの作用を中心に説明する。
【0067】
なお、第3実施形態において、第1実施形態に係る関節駆動装置1と同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成のものについては、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0068】
図10(a)及び図10(b)に示すように、関節駆動装置1Bは、人工筋肉アクチュエータ2Aと、本体部3と、プーリ4,4と、リンク部6と、接続クラッチ7Aと、を備えて構成されている。
【0069】
人工筋肉アクチュエータ2Aは、人工筋肉アクチュエータ2が上下方向に略平行に配置されている。具体的には、人工筋肉アクチュエータ2Aは、一対の人工筋肉2a,2bが上下方向に配置されており、いわゆる2対4筋関節を構成している。なお、以下においては、上方側に配置された人工筋肉アクチュエータ2を第1人工筋肉アクチュエータ200といい、第1人工筋肉アクチュエータ200の下方側に配置された人工筋肉アクチュエータ2を第2人工筋肉アクチュエータ210という。
【0070】
接続クラッチ7Aは、一対の回転部70,70と、一対のコイル部71,71と、を備えて構成されている。一対の回転部70,70は、プーリ4,4に固定されており、プーリ4,4と共に支持軸32を中心に回転する。一対のコイル部71,71は、一対の回転部70,70と対向するようにリンク部6に固定されており、リンク部6と共に支持軸32を中心に回動する。また、一対のコイル部71,71は、通電時には、対向する回転部70,70との間に磁束を生じさせ、コイル部71,71が固定されたリンク部6を対向する回転部70,70が固定されたプーリ4に接続させる。つまり、いずれか一方のコイル部71,71を通電することにより、プーリ4とリンク部6とが接続してプーリ4の回転駆動力がリンク部6に伝達され、リンク部6がプーリ4に従動する構成となっている。
【0071】
次に、0度位置に位置するプーリ4と、原点位置に位置するリンク部6とを連結させる設定動作について図11を参照しながら説明する。図11は、第3実施形態に係る関節駆動装置1Bのリンク部6の回動範囲の設定動作を示すフローチャートである。
【0072】
図11に示すように、関節駆動装置1Bのリンク部6の回動範囲の設定をするには、まず、リンク部6が原点位置にあるか否かを判断する(ステップST30)。なお、リンク部6が原点位置にあるか否かは、不図示の原点センサが原点位置を検知するか否かにより判断され、原点センサが原点位置を検知すると原点位置にあると判断される。
【0073】
リンク部6が原点位置にある場合には、第1人工筋肉アクチュエータ200の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になるように空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST31)。第1人工筋肉アクチュエータ200の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になると、第1人工筋肉アクチュエータ200のプーリ4(以下、「第1プーリ」という)が0度位置に位置する(ステップST32)。第1プーリ4が0度位置に位置すると、次に、接続クラッチ7Aの上方側のコイル部71(以下、「第1コイル部」ともいう)を通電(励磁)してリンク部6と第1プーリ4とを接続させる(ステップST33)。これにより、リンク部6は、原点位置を中心に±45度の範囲において回動可能になる(ステップST34)。
【0074】
ここで、例えば、第1プーリ4が0度位置から+45度に位置するように、空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST35)。例えば、第1人工筋肉2aに空気圧0.4(Mpa)を供給し、第2人工筋肉2bに空気圧0.1(Mpa)を供給する。これにより、リンク部6も従動し、原点位置から+45度の位置に移動する。
【0075】
リンク部6が原点位置から+45度の位置に移動すると、次に、第2人工筋肉アクチュエータ210の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になるように空気供給部20a及び空気供給部20bに供給する空気圧の供給制御を行う(ステップST36)。第2人工筋肉アクチュエータ210の第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bが中立状態になると、第2人工筋肉アクチュエータ210のプーリ4(以下、「第2プーリ」という)が0度位置に位置する。第2プーリ4が0度位置に位置すると、次に、接続クラッチ7Aの下方側のコイル部71(以下、「第2コイル部」ともいう)を通電(励磁)してリンク部6と第2プーリ4とを接続させる(ステップST37)。つまり、リンク部6と第1プーリ4との接続が解除され、リンク部6と第2プーリ4とが接続される。これにより、リンク部6は、回転角度+45度の位置を中心に±45度の範囲において回動可能になる(ステップST38)。つまり、リンク部6は、原点位置から+90度の位置まで回動可能になる。なお、リンク部6を、例えば、0度から−90度の範囲で回動させる場合については、0度から+90度間の回動動作の逆の空気供給制御を行えばよいので省略する。
【0076】
上述において、原点センサが原点位置を検知しない場合には、一旦、接続クラッチ7Aのコイル部71,71のいずれか一方を通電(励磁)してリンク部6と第1又は第2人工筋肉アクチュエータ200,210のプーリ4とを接続させる(ステップST39)。リンク部6とプーリ4とが接続すると、第1人工筋肉2a及び第2人工筋肉2bの空気圧のバランスを制御し、リンク部6を回動させ、原点センサがリンク部6の原点位置を検出するまで連結と解除を繰り返す(ステップST40〜ST43)。原点センサがリンク部6の原点位置を検出すると、ステップST31に進み、リンク部6とプーリ4の連結動作を行うる。
【0077】
関節駆動装置1Bの空気供給制御システムについては、第1実施形態1に用いられる回路が2対筋分で構成される点のみで構成されるため、ここではその説明は省略する。
【0078】
以上のような構成を有する第3実施形態に係る関節駆動装置1Bによれば、第1実施形態に係る効果に加え、以下のような効果を奏する。第3実施形態に係る関節駆動装置1Bは、第1人工筋肉アクチュエータ200及び第2人工筋肉アクチュエータ210を有する、いわゆる2対4筋の人工筋肉を構成している。そのため、例えば、第1人工筋肉アクチュエータ200と第2人工筋肉アクチュエータ210の切り替えを行うことにより、リンク部6の回動範囲を原点位置から±90度の範囲に容易に切り替え可能になる。
【0079】
例えば、1対2筋の場合は、リンク部6の回動範囲を切り替える際、プーリ4を中立位置に戻す動作が必要となる。しかし、関節駆動装置1Bは、第1及び第2人工筋肉アクチュエータ200,210を交互に動作させることができるので、1対2筋の構成に比べ中立位置に戻す動作が不要になる。そのため、回動範囲の切り替え動作を連続的に行うことが可能になり、より滑らかな速い回動範囲の切り替えが可能となる。
【0080】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る関節駆動装置1Cについて、図10(a)及び図10(b)を援用すると共に、図12(a)及び図12(b)を参照しながら説明する。図12(a)は、本発明の第4実施形態に係る関節駆動装置のロータリエンコーダ8を示す図である。図12(b)は、図12(a)のD−D矢視断面図である。
【0081】
第4実施形態に係る関節駆動装置1Cは、プーリ4,4とリンク部6の回転位置を検出する第1及び第2ロータリエンコーダ8,8,9が設けられたことにおいて、第3実施形態と相違する。そのため、第4実施形態においては、第3実施形態と相違する点、すなわち、第1及び第2ロータリエンコーダ8,8,9を中心に説明する。
【0082】
なお、第4実施形態において、第1から第3実施形態に係る関節駆動装置1,1A,1Bと同様の構成のものについては、同じ符号を付してその説明を省略する。また、第1から第3実施形態と同様の構成のものについては、第1から第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0083】
図12(a)及び図12(b)に示すように、関節駆動装置1Cは、人工筋肉アクチュエータ2Aと、本体部3と、プーリ4と、リンク部6と、接続クラッチ7と、一対の第1ロータリエンコーダ8,8と、第2ロータリエンコーダ9と、を備えて構成されている。
【0084】
第1ロータリエンコーダ8,8は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第1スリット板80と、光を発光する第1発光ダイオード81と、第1発光ダイオード81から発光された光を受光する第1受光センサ82と、を備えて構成されている。プーリ4が支持軸32を中心に回転すると、プーリ4に固定された第1スリット板80も回転する。ここで、第1発光ダイオード81から発光され、第1スリット板80の目盛部を通過した光を第1受光センサ82が受光すると、受光した光のパルス値からプーリ4の回転角度を検出する。
【0085】
第2ロータリエンコーダ9は、支持軸32を中心に回転する円盤状の第2スリット板90と、光を発光する第2発光ダイオード91と、第2発光ダイオード91から発光された光を受光する第2受光センサ92と、を備えて構成されている。同様に、リンク部6が支持軸32を中心に回動すると、リンク部6に固定された第2スリット板90も回転する。ここで、第2発光ダイオード91から発光され、第2スリット板90の目盛部を通過した光を第2受光センサ92が受光すると、受光した光のパルス値からリンク部6の回転角度を検出する。なお、検出したそれぞれの回転角度の情報は、制御回路121で目標値との比較を行いリンク部6の位置を決定する。
【0086】
以上のような構成を有する第4実施形態に係る関節駆動装置1Cによれば、第1から第3実施形態に係る効果に加え、以下のような効果を奏する。第4実施形態に係る関節駆動装置1Cは、第1ロータリエンコーダ8,8及び第2ロータリエンコーダ9を備える。そのため、より正確な関節角度情報を得ることができ、リンク部6の位置決め精度や応答性をさらに高くすることができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
【0088】
例えば、本実施形態においては、プーリ4の連結角度として、0°、+45°、−45°を用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。連結角度としては、0°から±90°間における任意の連結角度を設定してもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、プーリ4の回転位置を検出する第1ロータリエンコーダ8と、リンク部6の回転位置を検出する第2ロータリエンコーダ9を設けたが、本発明においてはこれに限定されない。第1ロータリエンコーダ8及び第2ロータリエンコーダ9は、リンク部6の位置決めの精度レベルに応じて第1ロータリエンコーダ8又は第2ロータリエンコーダ9のいずれか一方のみを用いる構成であってもよい。また、例えば、本実施形態においては、光電方式のロータリエンコーダを用いて説明したが、本発明においてはこれに限定されない。例えば、プーリ4及びリンク部6の回動位置が検出できるものであればよい。例えば、磁気方式や静電容量方式等であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1、1A、1B、1C 関節駆動装置
2、2A 人工筋肉アクチュエータ
2a 第1人工筋肉(第1アクチュエータ)
2b 第2人工筋肉(第2アクチュエータ)
4 プーリ(回転手段)
5a 第1連結ワイヤ(第1アクチュエータ)
5b 第2連結ワイヤ(第2アクチュエータ)
6 リンク部
7 接続クラッチ
8 第1ロータリエンコーダ(検出手段)
9 第2ロータリエンコーダ(検出手段)
32 支持軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持軸に回転自在に支持される回転手段と、
前記回転手段と同軸上で前記支持軸に回動自在に支持されるリンク部と、
第1アクチュエータ及び該第1アクチュエータと拮抗する第2アクチュエータを有し、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの拮抗筋運動による収縮量の差により、前記回転手段を所定の回転範囲内で回転させる人工筋肉アクチュエータと、を備えた関節駆動装置において、
前記リンク部の回転角度を検出する検出手段と、
前記リンク部を前記回転手段に接続させて、前記リンク部に前記回転手段の回転駆動力を伝達するクラッチ部と、を備え、
前記人工筋肉アクチュエータにより所定の回転角度に回転された前記回転手段と所定の回動位置に位置する前記リンクとを接続して、前記リンク部の前記回転手段に対する相対的な回動範囲を切り替える、
ことを特徴とする関節駆動装置。
【請求項2】
前記リンクを回動させる前記所定の回動範囲に基づいて、前記回転手段と前記リンク部とを接続させる、前記回転手段の前記回転角度及び前記リンク部の前記回動位置を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節駆動装置。
【請求項3】
前記回転手段の回転角度を検出する検出手段を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の関節駆動装置。
【請求項1】
支持軸に回転自在に支持される回転手段と、
前記回転手段と同軸上で前記支持軸に回動自在に支持されるリンク部と、
第1アクチュエータ及び該第1アクチュエータと拮抗する第2アクチュエータを有し、前記第1アクチュエータ及び前記第2アクチュエータの拮抗筋運動による収縮量の差により、前記回転手段を所定の回転範囲内で回転させる人工筋肉アクチュエータと、を備えた関節駆動装置において、
前記リンク部の回転角度を検出する検出手段と、
前記リンク部を前記回転手段に接続させて、前記リンク部に前記回転手段の回転駆動力を伝達するクラッチ部と、を備え、
前記人工筋肉アクチュエータにより所定の回転角度に回転された前記回転手段と所定の回動位置に位置する前記リンクとを接続して、前記リンク部の前記回転手段に対する相対的な回動範囲を切り替える、
ことを特徴とする関節駆動装置。
【請求項2】
前記リンクを回動させる前記所定の回動範囲に基づいて、前記回転手段と前記リンク部とを接続させる、前記回転手段の前記回転角度及び前記リンク部の前記回動位置を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の関節駆動装置。
【請求項3】
前記回転手段の回転角度を検出する検出手段を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の関節駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−125847(P2012−125847A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276857(P2010−276857)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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