説明

閾値マトリクス作成装置及び閾値マトリクスの作成方法

【課題】ムラが目立ちにくいFMスクリーンの閾値マトリクスを提供する。
【解決手段】閾値マトリクス作成装置は、ドットが任意に配置された初期ドットパターンをコンボリューションフィルタ処理し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度を求め、前記ドット密度が最大の画素から前記ドット密度が最小の画素にドットを移動する処理を繰り返して、基本ドットパターンを得る基本ドットパターン作成部と、前記基本ドットパターンからドットを増加又は減少させ、当該ドットを増加又は減少させた画素に閾値を設定する処理を繰り返し、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する閾値設定部と、を備え、前記閾値マトリクスは、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閾値マトリクス作成装置及び閾値マトリクスの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FMスクリーンと称される、ストキャステッィクなドットパターンによって擬似階調を表現する技法には、例えばアニール法、VAC(Void And Cluster)法、BIPPSMA法、DBS法が提案されている。これらの方法は、DBS法を除いて、M×N画素のサイズの閾値マトリクスを作成するための方法であり、作成された閾値マトリクスを用いて実際に2値化された画像を作成する手法はディザ法である。これらの閾値マトリクスの作成方法によって作成された閾値マトリクスは正方形又は長方形の形状を有し、ディザ法によるスクリーン処理の際にはタイル状に並べられて、スクリーン処理の対象となる画像と比較される。
【0003】
上記例示した方法によって作成された閾値マトリクスを用いてスクリーン処理したとき、処理された画像には主走査方向や副走査方向に筋が現れることがある。筋はM×N画素の閾値マトリクスを並べたときの各閾値マトリクスの境界付近で現れる。例えば、境界付近において、隣り合う閾値マトリクス間で明るさ(ドット密度)がわずかに異なっていたり、ドットが同じ方向に並んでいたりということが原因となって現れる。
【0004】
筋のようなムラが生じるか否かは、閾値マトリクスをどう作成するかに左右されるため、根本的なムラの解消方法としては閾値マトリクスを作成する過程を見直す必要がある。 一般的に、閾値マトリクスのサイズが小さいとムラが発生しやすいため、例えば256×256画素の比較的大きな閾値マトリクスを使用することが推奨されている。しかしながら、そのようにサイズだけ大きくしたとしても依然として閾値マトリクスの境界付近にムラが発生することがある。
【0005】
そこで、閾値マトリクスを左右上下に逆転させて複数の閾値マトリクスを準備し、ディザ法によるスクリーン処理時に、これら複数の閾値マトリクスの中からランダムに選択した閾値マトリクスを用いることにより、ムラが目立ちにくいようにする方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、閾値配列が異なる小さな閾値マトリクスを複数種類張り合わせて作成した大きな閾値マトリクスによりスクリーン処理を行う方法も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−163361号公報
【特許文献2】特開2008−227924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の方法は、従来の閾値マトリクスの作成方法によって作成された、もともとムラのある閾値マトリクスを回転させて、閾値配列を変えた閾値マトリクスをランダムに併用することにより、巨視的には閾値マトリクスにより得られるドットパターンが均一に見えるような効果を目的としている。しかしながら、ドットパターンそのもののムラを取り除いているわけではないため、ムラが目立つ閾値マトリクスが作成された場合、やはりそのムラは目立ってしまう。従って、特許文献1の方法はムラの少ない閾値マトリクスが作成された場合の利用となる。また、関連性の無い閾値マトリクスや、左右又は上下対称の閾値マトリクスをランダムに貼り合わせると、境界付近のムラがかえって大きくなる場合もある。
【0008】
上記特許文献2の方法は、小さな閾値マトリクスが、1つの均一なドットパターンを生成する閾値マトリクスであることを前提としている。この小さな閾値マトリクスからスクリーン処理によってある階調におけるドットパターンを生成し、これを例えばチェッカーボード状や桂馬飛び状に配置し、隙間はドットパターンの平均値で埋めてこれをフーリエ変換する。フーリエ変換面において小さな閾値マトリクスのサイズに起因する周波数成分がなるべく小さくなるようにバンドパスフィルタ処理し、その後、逆フーリエ変換することでドットパターンを生成することができる。このドットパターンからシームレスな大きな閾値マトリクスを作成することができる。
【0009】
しかしながら、この方法によって取り除くことができるのは、小さな閾値マトリクスの周期で発生するムラのパターンである。例えば、小さな閾値マトリクスのムラのパターンの中にその半分や1/3等の周期で発生するムラのパターンが存在していた場合、そのムラを取り除くことはできない。また、同じ閾値マトリクスをチェックボード状(主走査方向、副走査方向ともに1つずつシフトして配置した状態)や桂馬飛び状(主走査方向に1つ、副走査方向に2つずつシフトして配置した状態)に並べたとしても、主走査方向又は副走査方向に1つ飛び又は2つ飛びで同じドットパターンが繰り返されるので、ムラの周期が大きくなり、換えって目立ちやすくなることもある。よって、特許文献2の方法の場合も、最初に用いる小さな閾値マトリクスをいかに作成するかが重要となる。
【0010】
上述した方法の他にも、画像と同じ大きさの閾値マトリクスを用いてスクリーン処理が行われることもある。この場合、閾値マトリクスの境界自体が無くなるため、上述のような境界付近にムラが生じるという問題は無い。しかし、閾値マトリクスのサイズを通常の画像程度の大きさにしようとすると、閾値マトリクスの作成に要する時間は膨大なものとなり、作成された閾値マトリクスをメモリ等の記憶媒体に格納して保存するための記憶容量も膨大な量が求められる。記憶媒体に記憶できたとしても、スクリーン処理の計算時間が長時間となり、実用的ではない。
【0011】
本発明の課題は、ムラが目立ちにくいFMスクリーンの閾値マトリクスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、
ドットが任意に配置された初期ドットパターンをコンボリューションフィルタによりフィルタ処理し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度を求め、前記ドット密度が最大の画素から前記ドット密度が最小の画素にドットを移動する処理を繰り返して、基本ドットパターンを得る基本ドットパターン作成部と、
前記基本ドットパターンからドットを増加又は減少させ、当該ドットを増加又は減少させた画素に閾値を設定する処理を繰り返し、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する閾値設定部と、を備え、
前記閾値マトリクスは、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する閾値マトリクス作成装置が提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、
前記基本ドットパターン作成部は、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する初期ドットパターンを用いて、当該形状を有する基本ドットパターンを得て、
前記閾値設定部は、前記得られた基本ドットパターンを用いて、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する閾値マトリクスを作成する請求項1に記載の閾値マトリクス作成装置が提供される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、
前記基本ドットパターン作成部は、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する初期ドットパターンのサイズ及び角度を元に、当該初期ドットパターンの形状を矩形に変換するとともに矩形の閾値マトリクスのシフト量を算出し、当該矩形に変換された初期ドットパターンを用いて矩形の基本ドットパターンを得て、
前記閾値設定部は、前記得られた基本ドットパターンを用いて、矩形の閾値マトリクスであって前記算出されたシフト量だけシフトさせて用いる閾値マトリクスを作成する請求項1に記載の閾値マトリクス作成装置が提供される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、
前記コンボリューションフィルタは、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタのコンボリューションフィルタである請求項1〜3の何れか一項に記載の閾値マトリクス作成装置が提供される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、
ドットが任意に配置された初期ドットパターンをコンボリューションフィルタ処理し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度を求め、前記ドット密度が最大の画素から前記ドット密度が最小の画素にドットを移動する処理を繰り返して、基本ドットパターンを得る工程と、
前記基本ドットパターンからドットを1つずつ又は複数ずつ増加又は減少させ、当該ドットを増加又は減少させた画素に閾値を設定する処理を繰り返し、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する工程と、を含み、
前記閾値マトリクスは、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する閾値マトリクスの作成方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、均一にドットが分布した基本ドットパターンを得ることができ、当該基本ドットパターンから閾値マトリクスを作成することにより、ムラの少ないドットパターンを生成する閾値マトリクスを提供することができる。また、閾値マトリクスは角度をもって斜め方向に配置される形状を有するので、画像に配置されたとき、隣り合う閾値マトリクス間の境界付近でムラが生じたとしても、ムラが一方向に連続することは無く、分断されるため、ムラが筋のようになって目立つことを防ぐことができる。従って、ムラが目立ちにくい閾値マトリクスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】MFPの機能的構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る閾値マトリクス作成装置を含む画像処理部の構成の一部を示す図である。
【図3】閾値マトリクスの配置例を示す図である。
【図4】基本ドットパターンの作成処理を示すフローチャートである。
【図5】斜め方向に角度をもって配置される形状の設計方法を説明する図である。
【図6】(a)初期ドットパターンにおけるドットの配置例を示す図である。(b)基本ドットパターンにおけるドットの配置例を示す図である。
【図7】閾値マトリクスの長さを説明する図である。
【図8】(a)ドットパターンにおいて特定されたボイドとクラスタの一例を示す図である。(b)ドットが移動された後のドットパターンにおいて特定されたボイドとクラスタの一例を示す図である。
【図9】ドットを増加させて閾値を設定する処理を示すフローチャートである。
【図10】ドットを減少させて閾値を設定する処理を示すフローチャートである。
【図11】ドットを増加させて得られる各ドットパターンと、その階調値を示す図である。
【図12】ドットを減少させて得られる各ドットパターンと、その階調値を示す図である。
【図13】(a)斜め方向に角度をもって配置される形状の閾値マトリクスと、当該形状を矩形に変換した閾値マトリクスとを示す図である。(b)矩形に変換された閾値マトリクスをシフトさせて配置した例を示す図である。
【図14】矩形への変換方法を説明する図である。
【図15】矩形に変換された閾値マトリクスをシフトさせて配置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
図1は、MFP(Multi Function Peripheral)100の機能的構成を示す。MFP100は、複写機能、印刷機能等の複数の機能を備えた複合型の画像形成装置である。
図1に示すように、MFP100はコントローラ20に接続されている。コントローラ20は、PC(パーソナルコンピュータ)等から印刷対象として送信されるPDL(Page Description Language)形式のデータをラスタライズ処理し、ビットマップ形式の画像
データを生成する。生成された画像データは通信部19に送信され、MFP100に入力される。MFP100に入力された画像データは画像メモリ17に保存される。なお、コントローラ20はMFP100に内蔵される構成であってもよい。
【0021】
MFP100は、図1に示すように、画像処理部10、制御部11、読取部12、操作部13、表示部14、記憶部15、メモリ制御部16、画像メモリ17、印刷装置18、通信部19を備えて構成されている。
【0022】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部11は、記憶部15に記憶されている各種処理プログラムとの協働によって各種演算を行い、MFP100の各部を集中制御する。
【0023】
読取部12は、光学系やCCD(Charge Coupled Device)を有するスキャナを備え、原稿を光走査してアナログ画像信号を生成する。生成された画像信号は画像処理部10に出力される。
【0024】
操作部13は、オペレータの指示を入力するために用いられ、各種キーや表示部14と一体に構成されるタッチパネル等を備えて構成されている。操作部13は、入力操作に応じた操作信号を生成して制御部11に出力する。
表示部14は、制御部11の制御に従ってディスプレイ上に操作画面等を表示する。
記憶部15は、各種処理プログラムの他、処理に必要なパラメータや設定データ等を記憶している。記憶部15としてはハードディスクを用いることができる。
【0025】
メモリ制御部16は、画像メモリ17に対する画像データの入出力を制御する。例えば、メモリ制御部16は通信部19や画像処理部10から入力される画像データを画像メモリ17に保存する。また、メモリ制御部16は制御部11により印刷が指示された画像データを画像メモリ17から読み出して画像処理部10に出力する。
画像メモリ17は、画像データを記憶する。画像メモリ17としてはDRAM(Dynamic RAM)を用いることができる。
【0026】
印刷装置18は、画像処理部10から入力される印刷用の画像データに基づいて印刷を行う。
印刷装置18は、電子写真方式による印刷を行い、例えば給紙部、露光部、現像部、転写部、定着部等からなる。印刷時には、画像データがPWM(Pulse Width Modulation)変換されて得られたPWM信号に従って、露光部が感光ドラム上にレーザ光を照射し静電潜像を形成する。これを現像部がトナーを用いて現像処理し、感光ドラム上にトナー像を形成すると、給紙部から給紙された用紙上に転写部がトナー像を転写させ、定着部がトナー像の定着処理を行う。
【0027】
通信部19は、通信用のインターフェイスを備え、コントローラ20と通信を行う。通信部19は、コントローラ20から印刷対象の画像データを受信し、メモリ制御部16に出力する。
【0028】
次に、図2を参照して画像処理部10について説明する。
画像処理部10は読取部12から入力されたアナログ画像信号に輝度補正等の各種補正処理や色変換処理を施す。また、画像処理部10はアナログ画像信号をデジタル変換し、デジタル画像データを生成してメモリ制御部16に出力する。画像データはメモリ制御部16によって画像メモリ17に保存される。
【0029】
その後、制御部11により印刷指示があると画像メモリ17に保存されている画像データが読み出されて画像処理部10に出力される。画像処理部10は当該画像データに印刷に必要な画像処理、例えば画像の濃度を補正するγ補正処理や、画像の画素値を2値に変換するスクリーン処理を施し、印刷用の画像データを生成する。図2は、印刷用の画像データの生成時に主に機能する画像処理部10の構成部分を示している。
【0030】
図2に示すように、画像処理部10はγ補正部1、スクリーン処理部2、メモリ3、閾値マトリクス作成装置4を含む。
γ補正部1は、入力された画像データにγ補正処理を施す。γ補正処理は入力画素値に対し補正後の出力画素値を定めたLUT(ルックアップテーブル)を用いて、入力された画像データの各画素の画素値を補正後の画素値に変換する。γ補正処理された画像データは、スクリーン処理部2に出力される。
【0031】
スクリーン処理部2は、γ補正部1から入力された画像データに対し、メモリ3に記憶されているFMスクリーンの閾値マトリクスを用いて、ディザ法によるスクリーン処理を実行し、各画素値の2値化を行う。スクリーン処理において、スクリーン処理部2は画像を走査して閾値マトリクスを配置し、画像の各画素の画素値と閾値マトリクスに設定された閾値とを比較し、閾値以上か否かによって画素値を2値化する。
【0032】
メモリ3は、閾値マトリクス作成装置4により作成された閾値マトリクスを記憶する。
【0033】
閾値マトリクス作成装置4は、基本ドットパターン作成部41、閾値設定部42を備えて構成され、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する。作成された閾値マトリクスは画像に配置されたときに斜め方向に角度をもって配置される形状を有する。図3は、そのような閾値マトリクスを配置した例を示している。図3においてxは画像の主走査方向、yは副走査方向を示している。また、閾値マトリクスの各画素には、画素位置を示す1〜9、aの記号を付している。
【0034】
図3では、説明の簡略化のため、サイズが10画素と比較的小さいサイズの閾値マトリクスを例示したが、閾値マトリクスのサイズがあまり小さいとストキャスティックスなドットの配置が得られない。閾値マトリクスのサイズつまり全画素数をSで表すと、S≧256程度のサイズが好ましく、Sが256よりも小さいと、斜め方向に配置された閾値マトリクスの周期で発生するムラが目立つことが考えられる。よって、実際には図3に示すようなサイズ10の閾値マトリクスを例えば30倍等した大きなサイズの閾値マトリクスが作成される。
【0035】
以下、閾値マトリクス作成装置4による閾値マトリクスの作成方法を説明する。
閾値マトリクスはVAC(Void And Cluster)法により作成する。VAC法は、R.Ulichneyにより提唱された手法であり、種になるドットパターンを繰り返し処理することによって、ドットの分布の偏りを解消していく方法である。
【0036】
最初に、基本ドットパターン作成部41は、均一にドットが分布する基本ドットパターンを作成する。図4は、基本ドットパターン作成部41による基本ドットパターンの作成処理を示すフローチャートである。
図4に示すように、基本ドットパターン作成部41は任意にドットが配置されたドットパターンを作成する(ステップS11)。作成されたドットパターンを初期ドットパターンという。
【0037】
初期ドットパターンは作成する閾値マトリクスと同じサイズ、同じ形状を有している。つまり、初期ドットパターンの形状は、画像に配置されたときに斜め方向に角度をもって配置される形状である。このような形状はAMスクリーンで一般的に用いられる形状であり、AMスクリーンの閾値マトリクスの形状を設計する場合と同様に、閾値マトリクスを配置する斜め方向の角度と、閾値マトリクスのサイズ(つまり初期ドットパターンのサイズ)とによって設計することができる。
【0038】
例えば、図3に示す閾値マトリクスを設計する場合、図5に示すように、角度θの斜め方向に並ぶ正方形のセルを直線rx、ryにより形成する。直線rx、ryは、その交点が各画素の頂点に位置するように決定される。また、セル内の画素の数が目的とする閾値マトリクスのサイズとなるように直線rx、ryの位置が決定される。このようにして形成されたセル内の画素が、閾値マトリクスを構成する。
この方法によれば、セルの角度θ、サイズを調整することによって、閾値マトリクスが角度をもって斜め方向に配置される形状として、様々な形状の閾値マトリクスを設計することができる。
【0039】
初期ドットパターンに配置するドットは、乱数を発生させ、この乱数が発生した画素位置にドットを配置するように決定してもよい。或いは、ある階調の画像を誤差拡散処理することによってドットを任意に配置した初期ドットパターンを作成してもよい。また、クラスタドットやベイヤー型のスクリーンパターンをメモリ3に記憶しておき、これを読み出して初期ドットパターンとして用いてもよい。図6(a)は、初期ドットパターンにおけるドット配置例を示す。初期ドットパターンの主走査方向はx、副走査方向はyにより表している。
【0040】
次に、基本ドットパターン作成部41は初期ドットパターンを走査し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度を求め、ドット密度が最大の画素(これをクラスタという)と、ドット密度が最小の画素(これをボイドという)とを探索する。探索のため、閾値マトリクス作成装置4は、初期ドットパターンをローパスフィルタ処理し(ステップS12)、処理後の初期ドットパターンにおいて最大値を持つ画素をクラスタ、最小値を持つ画素をボイドとして特定する(ステップS13)。なお、ローパスフィルタ処理ではなく、特定の周波数に係るバンドパスフィルタ処理であってもよい。ローパスフィルタを用いた場合、1画素から1ドットが得られるが、バンドパスフィルタを用いることにより、数画素分から1ドットが得られ、ドット径を大きくすることができる。
【0041】
初期ドットパターンをローパスフィルタ処理するとき、閾値マトリクスの周期性を考慮し、下記式1に示すように、修正されたコンボリューションフィルタを用いる。
【数1】

上記式1において、p(x,y)はドットパターンを示し、p(x,y)はフィルタ処理されたドットパターンを示す。Ψ(x,y)はローパスフィルタのフィルタ関数を示す。Mx、Myは閾値マトリクスの長さを示し、図7に示すように、閾値マトリクスを矩形に変換したときのx方向の長さがMx、y方向の長さがMyである。閾値マトリクスの矩形への変換方法は後述する変換方法と同じである。
【0042】
また、式1において、(m,n)は閾値マトリクスにおける位置座標を示し、m′、n′は下記式2、3により表される。式中のmodは剰余演算子であり、(a)mod(b)は(a)を(b)で除算した余りを求めることを示す。
【数2】

つまり、フィルタ処理においてドットパターンのx方向、y方向を走査するときに、ドットパターンp(x,y)内で繰り返し走査されるように、いいかえれば閾値マトリクスの周期(Mx,My)で繰り返し走査されるように修正される。
【0043】
ローパスフィルタとしては、下記式4により示されるようなGaussianタイプのフィルタ関数を用いることが好ましい。
【数3】

【0044】
初期ドットパターンにおいて1対のボイドとクラスタが特定されると、基本ドットパターン作成部41は特定されたボイドから特定されたクラスタへ、ドットを移動する(ステップS14)。例えば、図8(a)に示すように1対のボイドv1とクラスタc1が特定されている場合、ボイドv1に配置されていたドットがクラスタc1に移動される。その結果、図8(b)に示すようにボイドv1はドットが配置されていない白点となり、クラスタc1はドットが配置された黒点となる。
【0045】
基本ドットパターン作成部41は、ドットを移動させて得られたドットパターンに対し、ローパスフィルタ処理によってボイドとクラスタを特定し、ドットを移動させるステップS12〜S14の処理を繰り返す(ステップS15;N)。例えば、図8(b)に示すように、ボイドv1からクラスタc1にドットが移動されて得られたドットパターンにおいて、さらにボイドv2、クラスタc2が特定され、ボイドv2からクラスタc2へドットが移動される。
【0046】
ステップS12〜S14の処理が繰り返された結果、ドットパターン上にボイドとクラスタが探索されない、つまりドットの分布の偏りが無い状態にドットパターンが収束すると(ステップS15;Y)、基本ドットパターン作成部41は最後に得られたドットパターンを基本ドットパターンとしてメモリ3に保存させ、図4に示す処理を終了する。なお、閾値マトリクス作成装置4が内部メモリを備えて、基本ドットパターンを保存することとしてもよい。
図6(b)は図6(a)に示す初期ドットパターンから得られた基本ドットパターンのドット配置例を示している。図6(b)に示すように、基本ドットパターンは初期ドットパターンに比較してドットの分布が均一となっている。
【0047】
以上のようにして基本ドットパターンが得られると、閾値設定部42が当該基本ドットパターンからドットを1つずつ又は複数ずつ増減し、閾値を設定する。図9はドットを増加させて閾値を設定する処理を示すフローチャートであり、図10はドットを減少させて閾値を設定する処理を示すフローチャートである。
【0048】
図9に示すように、閾値設定部42はメモリ3から基本ドットパターンを読み出し、入力する(ステップS21)。
閾値設定部42は基本ドットパターンをローパスフィルタ処理し(ステップS22)、ボイドを特定する(ステップS23)。ローパスフィルタ処理の内容やボイドの特定方法は、上述した通りである。
【0049】
閾値マトリクス作成装置4は、特定されたボイドに新たにドットを配置し(ステップS24)、ドットを増加させる。このとき、ボイドは1つだけでなく複数特定し、特定された1つ又は複数のボイドに、ドットを1つずつ又は複数ずつ増加させてもよい。次いで、閾値設定部42はドットを増加させる直前のドットパターンに含まれるドット数を元に、ドットを増加させた画素に対応する閾値を算出し、設定する(ステップS25)。
【0050】
例えば、閾値マトリクスにより256階調を表現し、基本ドットパターンの階調値が128、基本ドットパターンの全画素数が1000、基本ドットパターンに含まれるドット数が500である場合、ドットを増加する直前のドットパターンに含まれるドット数が750であれば、ドットを増加させた画素の閾値は128×750/500=192と算出される。
【0051】
次いで、閾値設定部42は、全画素についてドットを配置したか否かを判断する(ステップS26)。まだドットパターンの全画素にドットが配置されておらず、ボイドが存在する場合(ステップS26;N)、閾値設定部42はステップS24においてドットを増加させて得られたドットパターンを対象として、ステップS22〜S25の処理を繰り返し実行し、ドットを増加させる毎に当該ドットを増加させた画素に閾値を設定する。
【0052】
ステップS22〜S25の処理を繰り返すことによって、図11に示すように、基本ドットパターンを種としてドットが増加していく。最終的に全画素についてドットが配置されたドットパターン(図11中に示す階調255のドットパターン)が得られると(ステップS26;Y)、図9の処理を終了する。上述の例の場合、基本ドットパターンに含まれるドット数は500であったので、ドットが配置されていない残り500の画素について閾値が設定されることとなる。
【0053】
図10に示す処理では、上述した処理と同様の処理が、逆にドットを減少させながら行われる。
図10に示すように、閾値設定部42は、基本ドットパターンを入力すると(ステップS31)、ローパスフィルタ処理を施すことによって(ステップS32)、基本ドットパターン中のクラスタを特定する(ステップS33)。ローパスフィルタ処理の内容や、クラスタの特定方法は、前述した通りである。
【0054】
閾値設定部42は、特定されたクラスタに配置されているドットを削除し(ステップS34)、ドットを減少させる。このとき、クラスタは1つだけでなく複数特定し、特定された1つ又は複数のクラスタから、ドットを1つずつ又は複数ずつ減少させてもよい。次いで、閾値設定部42はドットを減少させる直前のドットパターンに含まれるドット数を元に、ドットを減少させた画素に対応する閾値を算出し、設定する(ステップS35)。
【0055】
例えば、閾値マトリクスにより256階調を表現し、基本ドットパターンの階調値が128、基本ドットパターンの全画素数が1000、基本ドットパターンに含まれるドット数が500である場合、ドットを減少させる直前のドットパターンに含まれるドット数が125であれば、当該画素の閾値は128×125/500=64と算出される。
【0056】
次いで、閾値設定部42は、全画素についてドットを削除したか否かを判断する(ステップS36)。ドットパターンの全画素のドットが削除されておらず、クラスタが存在する場合(ステップS36;N)、閾値設定部42はドットが削除されて得られたドットパターンを対象として、ステップS32〜S35の処理を繰り返し実行し、ドットを減少させる毎に当該ドットを減少させた画素に閾値を設定する。
【0057】
ステップS32〜S35の処理を繰り返すことによって、図12に示すように、基本ドットパターンを種としてドットが減少していく。最終的に全画素のドットが削除されたドットパターン(図12中に示す階調0のドットパターン)が得られると(ステップS36;Y)、図10の処理を終了する。上述の例の場合、基本ドットパターンに含まれるドット数は500であるので、このドットが配置されていた500の画素について閾値が設定されることとなる。
以上のようにして各画素に閾値が設定され、作成された閾値マトリクスはメモリ3に出力され、保存される。
【0058】
なお、Thomas.M.Holladayのアルゴリズム(米国特許4149194参照)によれば、スクリーン処理において、図3に示すような形状の閾値マトリクスをそのまま画像に用いるのではなく、矩形の閾値マトリクスに置き換えて用いることができる。例えば、図13(a)に示すように、斜め方向に角度をもって配置される、矩形でない形状の閾値マトリクスg1を、矩形の閾値マトリクスg2に変換する。図13(b)に示すように、変換された閾値マトリクスg2を所定のシフト量αだけシフトさせながら画像に配置することにより、閾値マトリクスg1と同じ閾値配列を実現することができる。閾値マトリクスg2のように矩形の方がスクリーン処理の処理効率が良いうえ、処理結果も閾値マトリクスg1を画像に用いた場合と同じ処理結果を得ることができる。
【0059】
このように、矩形の閾値マトリクスに置き換える場合、置き換えた閾値マトリクスの形状、つまり矩形の初期パターンを用いて閾値マトリクスを作成すればよい。矩形の方が閾値マトリクス作成時の演算が容易であり、処理効率が向上する。なお、上記図13(a)、図13(b)では説明の簡略化のため、全10画素の小さな閾値マトリクスの例を挙げたが、前述のようにサイズS≧256であることが好ましいため、実際にはS≧256のサイズの閾値マトリクスを作成する。
【0060】
以下、図13(a)に示した閾値マトリクスg1、g2を例に、閾値マトリクスg1を矩形の閾値マトリクスg2に変換する方法について説明する。この変換方法は、Thomas.M.Holladayのアルゴリズム(米国特許4149194参照)によるものである。
Holladayのアルゴリズムによれば、まず閾値マトリクスg1のサイズS及び閾値マトリクスg1が配置されたときの角度θを元に、矩形の閾値マトリクスg2の長さLx、Ly、シフト量αを算出する。
【0061】
図14に示すように、閾値マトリクスg1に対応する面積S(画素数で表す)の正方形ABEDを求める。A→Bの方向の直線をベクトルg(x,y)、B→Eの方向の直線をベクトルh(u,v)で表すと、面積Sは下記式7により求めることができる。
S=x^2+y^2 ・・・(7)
【0062】
次に、xとyを最も小さな整数比で表す。そのときの整数をa,bとすると、閾値マトリクスg2の長さLxは下記式8により求めることができる。
Lx=ax+by ・・・(8)
ここで、b/a=y/xであり、b/aは有理数である。
【0063】
次に、yとxの最大公約数を、閾値マトリクスg2の長さLyとして求める。
最後に、シフト量αを下記式9により求める。
α=Lx−(k・S+x・Ly)/y ・・・(9)
ここで、kは整数である。
【0064】
図14に示すように、正方形ABEDの一辺は√10であり、角度θはtanθ=b/a=3/1、θ=72°であるので、x=√10cos72°=1、y=√10sin72°=3、Lx=1×1+3×3=10、Ly=1と求めることができる。シフト量αは、α=10−(k×10+1×1)/3であり、αが整数となるように例えばk=2とすれば、α=3と求めることができる。
【0065】
変換前後の閾値マトリクスg1、g2の閾値の位置関係は、次のように求めることができる。図13(a)に示すように、矩形の閾値マトリクスg2の閾値の配置位置を1〜9、aの記号で示し、図13(b)に示すように、シフト量αずつ閾値マトリクスg2をシフトさせて配置する。これを、図14に示すように正方形ABEDのセルで区切ると、繰り返し同じ閾値配列で並ぶ閾値マトリクスg1が現れるので、この閾値マトリクスg1の画素位置を示す記号から、閾値マトリクスg2との閾値の位置関係を特定することができる。
【0066】
図4に示す基本ドットパターンの作成処理において初期ドットパターンを作成する際、基本ドットパターン作成部41は上述した矩形への変換方法によって、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する初期ドットパターンの形状を、矩形に変換するとともに矩形の閾値マトリクスのシフト量αを算出し、変換された矩形の初期ドットパターンから矩形の基本ドットパターンを作成する。閾値設定部42は当該基本ドットパターンから、矩形の閾値マトリクスであって算出されたシフト量αでシフトして用いる閾値マトリクスを作成すればよい。
【0067】
なお、変換された矩形の初期パターンを用いて閾値マトリクスを作成する場合、式2、3で表したm′、n′は、下記式5、6に置き換える。矩形の閾値マトリクスはシフトしながら配置されることを考慮するためである。
m′=(Lx+x−(y×α)/Ly)mod Lx ・・・(5)
n′=y mod Ly ・・・(6)
上記式5、6において、Lx、Lyは矩形の閾値マトリクスの長さを示し、Lxはx方向、Lyはy方向の長さである。
【0068】
上述の矩形への変換方法によれば、様々なサイズ、角度を持つ閾値マトリクスを矩形に変換することができる。例えば、一辺が約130画素程度の正方形ABEDに対応し、角度θがtanθ=b/a=3/1となる閾値マトリクスを矩形に変換するとき、θ=atan2=72°であり、x=130cos72°=40、y=130sin72°=120と求めることができる。a:b=1:3、x=40、y=120であるから、変換後の矩形の閾値マトリクスは、Lx=1×40+3×120=400、Ly=40と求めることができる。また、S=400×40=16000であるので、シフト量αはα=400−(k×16000+40×40)/120であり、αが整数となるように例えばk=2とすれば、α=400−840/3=120と求めることができる。
【0069】
スクリーン処理部2は、図15に示すように矩形に変換されたサイズ400×40の閾値マトリクスを、x方向に隣り合わせになるように配置して画像を走査しながら、閾値と画像の画素値とを比較し、画素値を2値化する。x方向1行分の走査が終了すると、閾値マトリクスをy方向にシフトし、さらにシフト量α=120だけx方向に閾値マトリクスをシフトさせた位置からx方向への走査を開始する。このように、x方向の走査を終えてy方向にシフトする毎に、シフト量αだけx方向に閾値マトリクスをシフトさせることで、矩形に変換する前の閾値マトリクスを画像に用いたのと同様のスクリーン処理を実行することができる。
【0070】
以上のように、本実施形態によれば、基本ドットパターン作成部41が、ドットが任意に配置された初期ドットパターンを、コンボリューションフィルタによりローパスフィルタ処理し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度が最大のクラスタからドット密度が最小のボイドへ、ドットを移動する処理を繰り返して基本ドットパターンを作成する。閾値設定部42は、作成された基本ドットパターンからドットを増加又は減少させ、増加又は減少させる毎に当該ドットを増加又は減少させた画素に閾値を設定する処理を繰り返して、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する。
【0071】
均一にドットが分布した基本ドットパターンを得ることができ、当該基本ドットパターンから閾値マトリクスを作成することにより、ムラの少ないドットパターンを生成する閾値マトリクスを提供することができる。また、閾値マトリクスは角度をもって斜め方向に配置される形状を有するので、画像に配置されたとき、閾値マトリクスは主走査方向又は副走査方向の一方向に並ぶことはない。隣り合う閾値マトリクス間の境界付近でムラが生じたとしても、ムラが一方向に連続することは無く、分断されるため、ムラが筋のようになって目立つことを防ぐことができる。従って、ムラが目立ちにくい閾値マトリクスを提供することができる。
【0072】
AMスクリーンの場合、閾値マトリクスによって形成されたドットの集合体が周期的に配列されるため、モアレ(干渉縞)が生じやすい。そこで、閾値マトリクスの形状を、角度をもって斜め方向に配置される形状に設計し、モアレを軽減している。一方、FMスクリーンはドットの配列に方向性や周期性が無いため、AMスクリーンのようなモアレの問題は生じなかった。そのため、FMスクリーンを斜め方向に配置される形状とすることは行われていなかった。しかしながら、従来のようにFMスクリーンの閾値マトリクスを主走査方向又は副走査方向の一方向に配置した場合、閾値マトリクス間の境界付近に生じるムラが連続し、筋となって目立つ場合がある。また、閾値マトリクス自体にムラが多い場合、周期的にムラが現れることになる。これに対し、本実施形態によれば、上述のように閾値マトリクス内のムラを極力小さくし、さらに閾値マトリクスを斜め方向に配置するように設計することによって、ムラが目立にくいようにすることが可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されない。
上記実施形態では、MFP100に閾値マトリクス作成装置4を搭載し、閾値マトリクス作成装置4によって作成された閾値マトリクスをスクリーン処理部2に提供する例を示した。しかし、作業の効率化のため、コントローラ20において生成した画像データにスクリーン処理を施し、MFP100はコントローラ20から入力された画像データをそのまま印刷するような場合がある。このような場合には、コントローラ20に閾値マトリクス作成装置4を搭載すればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、VAC法により閾値マトリクスを生成しているが、斜めに配置される閾値マトリクスを生成するのであれば、VAC法に限らず、アニール法、BIPPSMA法や、これらに類似した方法を使ってもよい。これらの方法によっても、同様の効果が得られることは当業者にとって十分予測可能である。
【0075】
或いは、PC等の情報処理装置に、本発明に係る閾値マトリクス作成装置を搭載してもよい。情報処理装置において閾値マトリクスを作成し、MFP100に作成した閾値マトリクスのデータを転送することが可能となる。
また、本発明に係る閾値マトリクス作成装置による閾値マトリクスの作成の処理をプログラム化し、PC等の情報処理装置にインストールすることとしてもよい。プログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としては、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、当該プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【符号の説明】
【0076】
100 MFP
10 画像処理部
2 スクリーン処理部
3 メモリ
4 閾値マトリクス作成装置
41 基本ドットパターン作成部
42 閾値設定部
11 制御部
12 読取部
13 操作部
17 画像メモリ
18 印刷装置
20 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドットが任意に配置された初期ドットパターンをコンボリューションフィルタによりフィルタ処理し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度を求め、前記ドット密度が最大の画素から前記ドット密度が最小の画素にドットを移動する処理を繰り返して、基本ドットパターンを得る基本ドットパターン作成部と、
前記基本ドットパターンからドットを増加又は減少させ、当該ドットを増加又は減少させた画素に閾値を設定する処理を繰り返し、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する閾値設定部と、を備え、
前記閾値マトリクスは、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する閾値マトリクス作成装置。
【請求項2】
前記基本ドットパターン作成部は、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する初期ドットパターンを用いて、当該形状を有する基本ドットパターンを得て、
前記閾値設定部は、前記得られた基本ドットパターンを用いて、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する閾値マトリクスを作成する請求項1に記載の閾値マトリクス作成装置。
【請求項3】
前記基本ドットパターン作成部は、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する初期ドットパターンのサイズ及び角度を元に、当該初期ドットパターンの形状を矩形に変換するとともに矩形の閾値マトリクスのシフト量を算出し、当該矩形に変換された初期ドットパターンを用いて矩形の基本ドットパターンを得て、
前記閾値設定部は、前記得られた基本ドットパターンを用いて、矩形の閾値マトリクスであって前記算出されたシフト量だけシフトさせて用いる閾値マトリクスを作成する請求項1に記載の閾値マトリクス作成装置。
【請求項4】
前記コンボリューションフィルタは、バンドパスフィルタ又はローパスフィルタのコンボリューションフィルタである請求項1〜3の何れか一項に記載の閾値マトリクス作成装置。
【請求項5】
ドットが任意に配置された初期ドットパターンをコンボリューションフィルタ処理し、初期ドットパターンに含まれるドットのドット密度を求め、前記ドット密度が最大の画素から前記ドット密度が最小の画素にドットを移動する処理を繰り返して、基本ドットパターンを得る工程と、
前記基本ドットパターンからドットを1つずつ又は複数ずつ増加又は減少させ、当該ドットを増加又は減少させた画素に閾値を設定する処理を繰り返し、FMスクリーンの閾値マトリクスを作成する工程と、を含み、
前記閾値マトリクスは、斜め方向に角度をもって配置される形状を有する閾値マトリクスの作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−45043(P2011−45043A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129779(P2010−129779)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】