説明

防振ブッシュ及び防振ブッシュ組付体

【課題】取付部材の筒部内からの樹脂製の外筒部材の抜けが長期的に確実に防止され得る防振ブッシュを提供する。
【解決手段】軸部材11に対して、その周りに離間配置された状態で本体ゴム弾性体14にて連結された外筒部材12に金属スリーブ20を外挿して、該外筒部材22のうち、金属スリーブ20の内径の小なる拘束部の内側に位置する部分を縮径部22とする一方、該縮径部22と軸方向に隣り合う部分を拡径部24とした。そして、それら縮径部22と拡径部24との境界部分を、金属スリーブ20の内周面側に周設された係合角部26に係合せしめることで、該外筒部材12の該拡径部24側から該縮径部22側への該金属スリーブ20に対する軸方向の相対変位が規制されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ブッシュ及び防振ブッシュ組付体に係り、特に、軸部材と、その周りに離間配置された樹脂製の外筒部材とをゴム弾性体で連結してなる防振ブッシュの改良された構造と、そのような防振ブッシュを取付部材に組み付けてなる防振ブッシュ組付体とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、軸部材と、この軸部材の周りに、径方向外方に離間して配置された外筒部材とをゴム弾性体で連結してなる防振ブッシュ(筒型防振装置)が知られており、例えば、エンジンマウントやサスペンションブッシュ(サスペンションマウント)、デフマウント、ボデーマウント等に用いられている。
【0003】
ところで、近年、このような防振ブッシュにおいて、軽量化等を目的として、外筒部材の樹脂化が検討されてきているが、それには、以下の如き問題が、内在していた。即ち、防振ブッシュは、通常、外筒部材が、振動伝達系を構成する二種の部材のうちの一方に取り付けられるブラケット等の取付部材に設けられた筒部(ブラケット全体が筒形状とされたものも含む)に圧入等により固定されて、使用に供される。然るに、外筒部材が樹脂製のものであると、使用の初期段階では、樹脂弾性による復元力に基づいて、取付部材の筒部に対する固定状態が十分に維持され得るものの、使用期間が長くなると、周囲の環境の温度変化等に起因した樹脂弾性による復元力の低下によって、外筒部材の取付部材筒部からの抜けに抵抗する力、所謂耐抜け力が低下するといった問題が、存していたのである。
【0004】
かかる状況下、下記特許文献1及び2等には、取付部材の筒部の内周面に、かかる筒部の軸方向一方側の部分を、内径が小さな小径部とする一方、他方側の部分を、内径が大なる大径部とする段付部を設け、そして、この段付部を有する取付部材の筒部に、樹脂製の外筒部材を圧入することで、取付部材の筒部の小径部の内側に位置する外筒部材部分を、かかる小径部にて縮径せしめると共に、取付部材の筒部の大径部の内側に位置する外筒部材部分を、樹脂弾性による復元力により、徐々に拡径させて、それら外筒部材の縮径部分と拡径部分との境界部分を、段付部の内側角部に係合させるようにした防振ブッシュが、開示されている。このような防振ブッシュにあっては、外筒部材の縮径部分と拡径部分との境界部分が、段付部の内側角部に係合せしめられているため、たとえ、長期使用により、樹脂弾性による復元力が多少低下しても、外筒部材の拡径部分側から縮径部分側に向かう方向への取付部材の筒部内からの抜けが防止され得るのである。
【0005】
ところが、かくの如き防振ブッシュにおいては、取付部材の筒部の内周面に段付部が設けられることで、始めて、取付部材の筒部内からの樹脂製の外筒部材の抜け防止対策が実現されるようになっているのであって、防振ブッシュ自体には、外筒部材の抜け防止対策が、何等講じられてはいかなった。それ故、このような防振ブッシュを用いる場合には、取付部材の筒部内からの樹脂製の外筒部材の抜け防止の実現のために、取付部材の筒部に対する余分な加工を行うことが余儀なくされていたのである。
【0006】
【特許文献1】特許第3767545号公報
【特許文献2】特開2004−211810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、上述せる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、取付部材の筒部に対する余分な加工を何等行うことなく、かかる筒部内からの樹脂製の外筒部材の抜けが、確実に且つ長期に亘って安定的に確保され得るように改良された防振ブッシュの構造と、そのような構造を有する防振ブッシュが取付部材に組み付けられてなる防振ブッシュ組付体とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明にあっては、防振ブッシュに係る課題の解決のために、その要旨とするところは、軸部材と、該軸部材の周りに、その径方向外方に離間して位置せしめられた状態で、剛性の取付部材の筒部内に挿入、固定される樹脂製の外筒部材とを、本体ゴム弾性体で連結してなる防振ブッシュであって、前記外筒部材に外挿されて、前記取付部材の筒部内に挿入、固定される金属スリーブを更に有し、該金属スリーブの該外筒部材への外挿状態下で、該外筒部材の外径よりも内径が小さくされた該金属スリーブの拘束部の内側に位置する外筒部材部分が、該拘束部にて縮径された縮径部とされる一方、該縮径部と軸方向に隣り合う外筒部材部分が、該縮径部側とは反対の側に向かって徐々に拡径する拡径部とされて、該外筒部材が、該縮径部において、該金属スリーブの該拘束部にて拘束されると共に、該外筒部材における該縮径部と該拡径部との境界部分が、該金属スリーブにおける該拘束部の軸方向端縁部位の内周面側に周設された係合角部に係合せしめられて、該外筒部材の該拡径部側から該縮径部側への該金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制されるようになっていることを特徴とする防振ブッシュにある。
【0009】
なお、このような本発明に従う防振ブッシュの好ましい態様の一つによれば、前記外筒部材の軸方向中間部が前記縮径部とされる一方、該外筒部材の軸方向一方の端部側部分が前記拡径部とされ、更に、該外筒部材の軸方向他方側の端部に、外フランジ部が一体的に周設されて、前記金属スリーブの該外筒部材への外挿状態下で、該外フランジ部が、該金属スリーブの前記拘束部の前記係合角部側とは反対側の端面に係合せしめられることにより、該外筒部材の該縮径部側から該拡径部側への該金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制されるように構成される。
【0010】
また、本発明に従う防振ブッシュの望ましい態様の一つによれば、前記外筒部材の軸方向中間部が前記縮径部とされる一方、該外筒部材の軸方向両端部側の部分が、それぞれ前記拡径部とされ、更に、かかる軸方向両端部側の拡径部とそれらの間に位置する該縮径部とのそれぞれの境界部分が、該金属スリーブにおける前記拘束部の軸方向両側の端縁部位の内周面側に各々周設された前記係合角部に係合せしめられて、該外筒部材の該金属スリーブに対する軸方向両側への相対変位が規制されるように構成される。
【0011】
そして、本発明にあっては、前記せる防振ブッシュ組付体に係る課題の解決のために、軸部材と、該軸部材の周りに、その径方向外方に離間して位置せしめられた樹脂製の外筒部材とが本体ゴム弾性体で連結されて、防振ブッシュが構成されると共に、該防振ブッシュの該外筒部材が、剛性の取付部材の筒部内に挿入、固定されてなる防振ブッシュ組付体であって、前記防振ブッシュが、前記外筒部材に外挿される金属スリーブを更に有し、該金属スリーブの該外筒部材への外挿状態下で、該外筒部材の外径よりも内径が小さくされた該金属スリーブの該拘束部の内側に位置する外筒部材部分が、該拘束部にて縮径された縮径部とされる一方、該縮径部と軸方向に隣り合う外筒部材部分が、該縮径部側とは反対の側に向かって徐々に拡径する拡径部とされて、該外筒部材が、該縮径部において、該金属スリーブの該拘束部にて拘束されると共に、該外筒部材における該縮径部と該拡径部との境界部分が、該金属スリーブにおける該拘束部の軸方向端縁部位の内周面側に周設された係合角部に係合せしめられて、該外筒部材の該拡径部側から該縮径部側への該金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制されるように構成され、そして、かかる防振ブッシュの該金属スリーブが前記取付部材の筒部内に圧入されることにより、該外筒部材が該取付部材の筒部に挿入、固定されていることを特徴とする防振ブッシュ組付体をも、その要旨とするものである。
【発明の効果】
【0012】
すなわち、本発明に従う防振ブッシュにあっては、樹脂製の外筒部材と、それに外挿される金属スリーブとの間に、外筒部材の金属スリーブに対する軸方向一方側への相対変位を規制する構造が付与され、それによって、外筒部材の金属スリーブ内からの抜け防止が図られている。そして、かかる金属スリーブは、例えば、金属製の外筒部材が取付部材の筒部内に挿入、固定される場合と同様に、取付部材の筒部内に、単に、圧入等されることにより、挿入、固定されるようになっている。
【0013】
これによって、本発明に係る防振ブッシュでは、取付部材の筒部に対する金属スリーブの耐抜け力が、金属製の外筒部材を取付部材の筒部内に、直接に挿入、固定した従来品における筒部に対する外筒部材の耐抜け力と同等な大きさにおいて、十分に確保され得る。また、金属スリーブに対する樹脂製の外筒部材の耐抜け力が、樹脂製の外筒部材を取付部材の筒部内に挿入して、かかる筒部の内周面に設けられた段付部に、外筒部材を係合させるようにした従来品における取付部材の筒部に対する外筒部材の耐抜け力と同等な大きさにおいて、有利に確保され得る。
【0014】
それ故、このような本発明に係る防振ブッシュにおいては、取付部材の筒部の内周面に設けられた段付部に、樹脂製の外筒部材の内周面が係合することで、取付部材の筒部内からの外筒部材の抜け防止が図られてなる従来品とは異なって、取付部材の筒部の内周面に、段付部等の特別の部位を何等設けることなく、金属スリーブが、取付部材の筒部内に、例えば、単に、圧入される等して、固定されることで、外筒部材が、金属スリーブを介して、取付部材の筒部内に、かかる筒部からの抜けが有利に防止された状態で、挿入、固定されるようになる。
【0015】
従って、かくの如き本発明に従う防振ブッシュにあっては、取付部材の筒部に対する余分な加工を何等行うことなく、それ故にそのような加工に手間や費用を掛けることなしに、取付部材の筒部内からの樹脂製の外筒部材の抜けが、確実に且つ長期に亘って安定的に防止され得る。そして、その結果、振動伝達系を構成する部材間への介装状態下において、優れた防振性能が、より長期に亘って安定的に発揮され得るのであり、しかも、そのような優れた特徴が、振動伝達系を構成する部材間への防振ブッシュの介装作業における作業性の向上とコストの低下とを図りつつ、極めて有利に確保され得るのである。
【0016】
また、本発明に従う防振ブッシュにおいて、外筒部材に外フランジ部が設けられて、金属スリーブの外筒部材への外挿状態下で、かかる外フランジ部が金属スリーブの端面に係合せしめられることにより、外筒部材の縮径部側から拡径部側への金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制される場合には、金属スリーブ内、更には取付部材の筒部内からの外筒部材の軸方向両側方向への抜け出しが、有利に防止され得るようになる。そして、それによって、振動伝達系を構成する部材間への介装状態下で、優れた防振性能が、更に一層長期に亘って安定的に発揮され得るのである。
【0017】
さらに、本発明に従う防振ブッシュにおいて、外筒部材の縮径部を間に挟んだ軸方向両端部側部分が、それぞれ拡径部とされて、それら各拡径部が、金属スリーブの軸方向両側の内周面部分に各々設けられた係合角部に係合されることにより、外筒部材の金属スリーブに対する軸方向両側への相対変位が規制される場合にあっても、金属スリーブ内、更には取付部材の筒部内からの外筒部材の軸方向両側方向への抜け出しが有利に防止され得、以て、振動伝達系を構成する部材間への介装状態下で、優れた防振性能が、更に一層長期に亘って安定的に発揮され得ることとなるのである。
【0018】
そして、本発明に従う防振ブッシュ組付体にあっては、上述せる如き優れた特徴を有する防振ブッシュの金属スリーブが、取付部材の筒部内に圧入されることで、外筒部材が、金属スリーブを介して、取付部材の筒部に挿入、固定されてなるものであるところから、本発明に係る防振ブッシュにおいて奏される、前述せる如き優れた作用・効果と実質的に同一の作用・効果が、極めて有利に享受され得ることとなる。また、防振ブッシュ組付体全体の製造コストの低下と製造作業における作業性の向上とが、共に有利に図られ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0020】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する防振ブッシュの一例として、自動車のトーションビーム式リヤサスペンションにおけるトレーリングアームと車体フレームとの間に介装されるサスペンションブッシュが、その縦断面形態と側面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、サスペンションブッシュ10は、軸部材としての内筒部材11と外筒部材12とを有している。これら内筒部材11と外筒部材12は、互いに径方向に所定距離を隔てて、同軸的に配されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体14にて一体的に連結されている。そして、かかるサスペンションブッシュ10にあっては、内筒部材11が、トレーリングアーム側に、外筒部材12が車体フレーム側に、それぞれ取り付けられることにより、トレーリングアームを車体フレームに対して防振支持せしめるようになっている。なお、このような装着状態下では、主たる振動荷重が、内外筒部材11,12間に、それらの軸直角方向に入力されるようになる。
【0021】
より詳細には、内筒部材11は、金属製で、全体として、所定の長さ(高さ)を有する厚肉の円筒形状を呈している。外筒部材12は、合成樹脂製で、全体として、薄肉の円筒形状を呈し、内筒部材11の長さよりも所定寸法短い軸方向長さ(高さ)と、内筒部材11の外径よりも十分に大きな内径とを有している。
【0022】
なお、かかる外筒部材12を形成する合成樹脂材料の種類は、特に限定されるものではなく、円筒状に成形された状態で樹脂弾性を発揮するものであれば、熱可塑性樹脂材料と熱硬化性樹脂材料の何れもが用いられ、それらの中でも、振動入力に対する耐衝撃強度や成形性に優れた熱可塑性樹脂が、好適に使用される。また、そのような熱可塑性樹脂材料のうちで好適に使用されるものとして、具体的には、ポリアミド(芳香族ポリアミドや変性ポリアミドを含む)、ポリエステル(変性ポリエステルを含む)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、変性ポリフェニレンエーテル等が例示される。そして、それらの中でも、強度や充填材による補強効果、コストのバランスに優れるポリアミドが、特に好適に用いられる。
【0023】
また、上記例示した樹脂材料は、単独で、或いは補強のための各種の充填材が、適当な量において配合乃至は混合せしめられた状態で、外筒部材12の形成材料として使用されることとなるが、かかる樹脂材料に配合乃至は混合される充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、金属繊維、炭化珪素繊維、ガラスビーズ、ウィスカー、ワラスナイト、カオリナイト、タルク、マイカ、カーボンナノチューブの他、珪酸マグネシウム若しくは珪酸アルミニウムの層で形成される層状フィロ珪酸塩、例えばモンモリロナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、ハロサイト等が挙げられる。そして、その中でも、補強効果の高さやコストの点から、ガラス繊維が、特に好適に用いられることとなる。
【0024】
そして、このような樹脂材料からなる外筒部材12にあっては、軸方向の一方側(図1中、左側)の端部に、外フランジ部16が、一体的に周設されている。つまり、この外フランジ部16は、外筒部材12の軸方向一端部の外周面に対して、径方向外方に所定高さ突出し且つ周方向に連続して延びる薄肉の円環板形態を有して、一体形成されているのである。なお、以下からは、便宜上、サスペンションブッシュ10における外筒部材12の外フランジ部16側を左側と言い、その反対側を右側と言うこととする。
【0025】
一方、本体ゴム弾性体14は、全体として、略厚肉円筒形状を呈しており、その内周面に内筒部材11が、その外周面に外筒部材12が、それぞれ加硫接着されてなる一体加硫成形品として構成されている。また、かかる本体ゴム弾性体14にあっては、内筒部材11を間に挟んで径方向の両側に位置する部分に、軸方向(左右方向)に、その全長に亘って連続して延びるすぐり部(空所)18が、それぞれ一つずつ設けられている。これによって、ここでは、本体ゴム弾性体14が、二つのすぐり部18,18の間に挟まれて、内筒部材11の周囲を取り囲む内側ゴム部分と、二つのすぐり部18のそれぞれを隔てて、内側ゴム部分とは反対側に位置せしめられた二つの外側ゴム部分とに、実質的に三分割された構造とされている。そうして、本体ゴム弾性体14全体の軸直角方向のばね特性が、比較的に柔らかくされている。
【0026】
而して、このような構造とされた本実施形態のサスペンションブッシュ10にあっては、特に、外筒部材12に対して、金属スリーブ20が、外挿、固定されている。この金属スリーブ20は、全体として、外筒部材12の厚さと略同じか又はそれよりも厚い一定の肉厚と一定の内径をもって軸方向に延びる円筒形状を呈している。これによって、樹脂製の外筒部材12よりも十分に大きな剛性が具備せしめられている。
【0027】
また、かかる金属スリーブ20においては、内外周面が平滑面とされると共に、軸方向長さ(高さ)が、外筒部材11の長さよりも所定寸法小さくされている。更に、内径が、外筒部材11の外径よりも所定寸法だけ小さくされている一方、外径が、外筒部材11の外径よりも所定寸法大きくされている。そして、このような金属スリーブ20が、左側の端面を、外筒部材11の外フランジ部16の厚さ方向両側側面のうちで外筒部材11の外周面に連続する右側の側面に当接させた状態で、外筒部材11に外挿配置されている。
【0028】
ここで、本実施形態のサスペンションブッシュ10にあっては、図3に示されるように、金属スリーブ20が外筒部材12に外挿固定される前の状態、つまり、本体ゴム弾性体14が、その内周面と外周面とに、内筒部材11と外筒部材12とがそれぞれ加硫接着されてなる一体加硫成形品21として構成された状態において、外筒部材12が、一定の肉厚と、金属スリーブ20の内径よりも所定寸法大きな一定の外径とをもって、軸方向に延びる円筒形状とされている。そして、白抜きの矢印で示されるように、かかる外筒部材12を有する一体加硫成形品21が、右側の端部から、金属スリーブ20の内孔内に、その左側開口部を通じて圧入されて、外フランジ部16が金属スリーブ20の左側端面に当接するまで押し込まれることで、上記の如き金属スリーブ20の外筒部材11に対する外挿状態が実現されて、図1に示される構造を備えたサスペンションブッシュ10が形成されるようになっている。
【0029】
そして、そのようにして形成されたサスペンションブッシュ10にあっては、図1及び図4に示されるように、外筒部材12における外フランジ部16と外フランジ部16側とは反対の右側の端部とが、金属スリーブ20の両端開口部から軸方向外方に突出位置せしめられる一方、それら外フランジ部16と右側端部との間の外筒部材12の軸方向中間部分が、金属スリーブ20の内側に位置せしめられ(金属スリーブ20に内挿配置され)ている。なお、ここでは、金属スリーブ20の肉厚が、外フランジ部16の径方向外方への突出高さよりも所定寸法小さくされており、それによって、金属スリーブ20の左側開口部から軸方向外方に突出する外フランジ部16の先端側部分が、金属スリーブ20の外周面よりも径方向外方に、所定寸法延び出すように位置せしめられている。また、金属スリーブ20の外径が、外筒部材12の外径よりも所定寸法大きくされていることで、金属スリーブ20の外筒部材12への外挿状態において、外筒部材12の外周面が、金属スリーブ20の外周面の延長線よりも径方向内方に位置せしめられている。
【0030】
かくして、ここでは、金属スリーブ20の外筒部材12への外挿状態下、換言すれば、金属スリーブ20内への外筒部材12(一体加硫成形品21)の圧入状態下で、金属スリーブ20の内側に位置する外筒部材12の軸方向中間部分が、樹脂弾性に基づいて、金属スリーブ20にて縮径せしめられた縮径部22とされており、また、金属スリーブ20の軸方向一方側の開口部から軸方向外方に突出する外筒部材12の右側端部のうちの先端部位を除く、縮径部22と軸方向に隣り合う部分が、外筒部材12の樹脂弾性による復元力により、軸方向外方に向かって(右側に向かって)徐々に拡径するテーパ筒状の拡径部24とされている。更に、そのような外筒部材12の縮径部22と拡径部24との境界に位置する屈曲部分が、金属スリーブ20の外フランジ部16との当接側とは反対の右側の端部に周設される内側角部26、つまり、金属スリーブ20の右側端面と内周面とにて形成される内側角部26と接触して、係合する係合屈曲部28とされている。
【0031】
そして、これによって、本実施形態のサスペンションブッシュ10においては、外筒部材12の縮径部22の外周面の全面が、金属スリーブ20の内周面の全面に圧接されて、外筒部材12の縮径部22が金属スリーブ20にて拘束され、以て、外筒部材12が金属スリーブ20に固定されている。また、かかる外筒部材12の金属スリーブ20への固定状態下において、外筒部材12の係合屈曲部28が、金属スリーブ20の内側角部26に係合せしめられていることで、拡径部24の金属スリーブ20内への入り込みが阻止されて、外筒部材12の金属スリーブ20に対する軸方向左方(拡径部24側から縮径部22側に向かう方向)への相対変位が規制されるようになっている。更に、外筒部材12の外フランジ部16が、金属スリーブ20の左側端面に当接位置せしめられていることで、外筒部材12の金属スリーブ20に対する軸方向右方への相対変位も規制されるようになっている。その結果、外筒部材12の金属スリーブ20内からの軸方向両側方向への抜け出しが阻止されるように構成されているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、金属スリーブ20の内側角部26にて、係合角部が構成されており、また、金属スリーブ20の全体が拘束部として構成されている。
【0032】
而して、かくの如き構造とされたサスペンションブッシュ10にあっては、トレーリングアームと車体フレームとの間に介装されるのに際して、図5に示されるように、車体フレームに取り付けられる取付部材30に一体的に設けられた取付筒部32内に、金属スリーブ20が挿入、固定されることにより、換言すれば、取付部材30の取付筒部32が、金属スリーブ20に外挿、固定されることにより、取付部材30が組み付けられてなるサスペンションブッシュ組付体34として、構成されるようになっている。なお、図5中、33は、取付筒部32から一体的に延び出すアームである。
【0033】
より詳細には、取付部材30の取付筒部32は、全体として、円筒形状を呈し、内周面が、金属スリーブ20の外周面に対応した平滑面とされている。そして、金属スリーブ20よりも十分に厚い肉厚を有していることで、金属スリーブ20よりも更に高い剛性が具備せしめられている。
【0034】
また、かかる取付筒部32においては、その軸方向長さ(高さ)が、金属スリーブ20の軸方向長さよりも大きく、且つ外筒部材12の軸方向長さから外フランジ部16の厚さを差し引いた分の長さと略同じか、それよりも僅かに大きな大きさとされている。更に、内径が、金属スリーブ20の外径よりも所定寸法だけ小さくされている。
【0035】
そして、このような取付筒部32の内孔内に、その左側開口部を通じて、大径の金属スリーブ20が、右側の端部から圧入されて、外フランジ部16が取付筒部32のの左側端面に当接するまで押し込まれている。
【0036】
かくして、金属スリーブ20の外周面の全面が、取付筒部32の内周面の全面に対して圧接されて、金属スリーブ20が、それよりも剛性の高い取付筒部32にて拘束されている。また、取付筒部32の左側の端面が、金属スリーブ20に圧入、固定された外筒部材12の外フランジ部16に当接せしめられていることで、金属スリーブ20の取付筒部32からの軸方向右方への抜け出しが阻止されている。更に、金属スリーブ20から軸方向外方に突出した外筒部材12の右側端部が、取付筒部32から軸方向外方に突出することなく、取付筒部32の径方向内側に位置せしめられている。それによって、サスペンションブッシュ10やサスペンションブッシュ組付体34の車両への装着状態下で、取付筒部32の右側端部が、金属スリーブ20から軸方向外方に突出した外筒部材12の右側端部を保護する保護部として機能して、かかる外筒部材12の右側端部が、他部材と接触して、干渉したり、或いは破損せしめられたりするようなことが、効果的に防止され得るようになっている。
【0037】
そうして、取付部材30が、取付筒部32においてサスペンションブッシュ10に固定状態で組み付けられて、上記せるサスペンションブッシュ組付体34が形成されている。そして、例えば、かかるサスペンションブッシュ組付体34の取付部材30のアーム33が車体フレーム等に固定される一方、内筒部材11に挿通された取付ボルトがトレーリングアームに締付固定されること等により、サスペンションブッシュ組付体34、更にはサスペンションブッシュ10が、車体フレームとトレーリングアームとの間に介装されるようになっているのである。
【0038】
なお、ここでは、取付部材30として、薄肉の取付筒部32を有するものが用いられている。具体的には、例えば、内筒部材11と樹脂製の外筒部材12とそれら両筒部材11,12を連結する本体ゴム弾性体14とのみからなり、外筒部材12に金属スリーブ20が何等外挿されていない従来のサスペンションブッシュの外筒部材12が直接に圧入される取付筒部12に比して、金属スリーブ20の厚さ分だけ肉厚が薄くされた取付筒部12を有する取付部材30が使用されている。これによって、サスペンションブッシュ組付体34の全体重量が、外筒部材12への金属スリーブ20の外挿のない従来のサスペンションブッシュ組付体の全体重量と略同一の大きさとされている。つまり、本実施形態のサスペンションブッシュ組付体34においては、従来のサスペンションブッシュ組付体とは異なって、金属スリーブ20が追加されているにも拘わらず、外筒部材12を樹脂製としたことによる軽量化のメリットが、有効に確保されている。また、前述せるように、外筒部材12の外周面が金属スリーブ20の外周面の径方向内方に位置せしめられているため、金属スリーブ20の取付筒部32内への圧入時に、金属スリーブ20内に圧入された外筒部材12が邪魔となるようなことはない。
【0039】
このように、本実施形態においては、外筒部材12に外挿、固定された金属スリーブ20の内側角部26に対して、外筒部材12の係合屈曲部28が係合せしめられると共に、外筒部材12の外フランジ部16が、金属スリーブ20の左側端面に係合されていることで、外筒部材12の金属スリーブ20内からの軸方向両側への抜け出しが阻止されるようになっている。また、かかる金属スリーブ20が、外筒部材12に外挿、固定された状態下で(外筒部材12の金属スリーブ20内への圧入、固定状態下で)、取付部材30の取付筒部32の内周面に対応した外周面を有して、かかる取付筒部32内に圧入、固定されていることで、取付筒部32の内周面への金属スリーブ20の外周面の圧接によって生ずる摩擦抵抗力に基づいて、金属スリーブ20の取付筒部32内からの軸方向両側への抜け出しが阻止されるようになっている。
【0040】
それ故、かかる本実施形態にあっては、取付部材30の取付筒部32の内周面に、外筒部材12や金属スリーブ20の取付筒部32からの抜け防止を図るための、例えば係合部等の特別な部位を何等設けることなく、金属スリーブ20に対する外筒部材12の耐抜け力と、取付筒部32に対する金属スリーブ20の耐抜け力と、何れも十分に確保され得る。
【0041】
従って、かくの如き本実施形態のサスペンションブッシュ10にあっては、取付部材30の取付筒部32に対して、余分な費用や手間を掛けた特別な加工を何等施すことなく、取付筒部32内からの樹脂製の外筒部材12の抜けが確実に且つ長期に亘って安定的に防止可能な状態で、車体フレームとトレーリングアームとの間に介装され得る。そして、その結果、優れた防振性能が、面倒で高コストな作業を何等行うことなしに、より長期に亘って安定的に発揮され得るのである。
【0042】
また、本実施形態においては、金属スリーブ20の内外周面が平滑面とされて、金属スリーブ20に対して、外筒部材12の係合屈曲部28に係合させるための凸部や凹部、段付部等の特別な部位が何等形成されることがなく、金属スリーブ20における軸方向一方側の端面と内周面との間に形成される内側角部26が、外筒部材12の係合屈曲部28と係合する係合部位として利用されている。それ故、サスペンションブッシュ10の構成部品として、金属スリーブ20が追加されているにも拘わらず、サスペンションブッシュ10の構成部品の作製工程、ひいてはサスペンションブッシュ10の作製から車体等への組付に至るまでの工程の煩雑化が可及的に回避され、むしろ、取付部材30の取付筒部32に特別な凹部や段付部の形成が必須となる従来のサスペンションブッシュ10よりも、その作製から車体等への組付に至るまでの工程が、有利に簡素化され得ることなる。
【0043】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0044】
例えば、前記実施形態では、外筒部材12の軸方向一端部(図1中、左側端部)に外フランジ部16が設けられる一方、外筒部材12の金属スリーブ20内への圧入により、かかる外筒部材12の軸方向他端部(図1中、右側端部)に係合屈曲部26が形成されて、金属スリーブ20の軸方向一方側の端面への外フランジ部16の係合と、金属スリーブ20の内側角部26に対する係合屈曲部28の係合とによって、外筒部材12の金属スリーブ20に対する軸方向両側への相対変位(抜け出し)が規制乃至は阻止されるようになっていたが、例えば、外筒部材12の軸方向一端部に、外フランジ部16に代えて、係合屈曲部28を形成するように為すことも可能である。
【0045】
すなわち、その場合には、図6に示されるように、外筒部材12が、軸方向中間部において、外筒部材12の外径よりも小なる内径を有する金属スリーブ20内に圧入、固定されて、かかる外筒部材12の軸方向中間部が縮径部22とされる一方、金属スリーブ20の両側開口部からそれぞれ軸方向外方に突出する外筒部材12の軸方向両側の端部側部分が、それぞれ拡径部24とされる。また、かかる二つの拡径部24,24と、それらの間に位置する縮径部22とのそれぞれの境界部分が、係合屈曲部28とされる。そして、金属スリーブ20の軸方向両側の端面と内周面との間にそれぞれ形成される各内側角部26に対して、二つの係合屈曲部28,28が各々係合せしめられる。かくして、外筒部材12の金属スリーブ20に対する軸方向両側への相対変位(抜け出し)が規制乃至は阻止されるようになるのである。
【0046】
これによっても、前記実施形態と同様な優れた作用・効果が有効に享受され得る。そして、それに加えて、外筒部材12に対して外フランジ部16を形成する工程が省かれ得るため、外筒部材12、ひいてはサスペンションブッシュ10の製作性の向上と製作コストの低下とが、有利に図られ得ることとなる。
【0047】
また、前記実施形態では、金属スリーブ20の軸方向端部の内側角部26にて、係合角部が構成されていたが、例えば、金属スリーブ20の内周面に、軸方向一方側を他方側よりも薄肉乃至は大なる内径とする段付部を設けたり、或いは周方向に連続的に又は非連続に延びる突条を設けたりして、それら段付部や突条の角部部位にて、係合角部を形成することも出来る。なお、そうした場合、拡径部24も、金属スリーブ20の内側に位置せしめられるようになる。
【0048】
さらに、金属スリーブ20の外周面形状は、例示された平滑面に決して限定されるものではなく、取付部材30の取付筒部32の内周面形状に対応した形状とされる。それ故、例えば、取付筒部32の内周面に凹部や凸部、段差部等が設けられる場合には、それらに対応して、金属スリーブ20の外周面に、凸部や凹部、段差部等が形成されることとなる。
【0049】
更にまた、取付筒部32の全体形状も、特に限定されるものではない。例えば、金属スリーブ20の軸方向長さよりも短い軸方向長さを有する二つの取付筒部32,32が、金属スリーブ20の軸方向両側から外挿されて、金属スリーブ20に固定されるようになっていても、何等差し付かない。
【0050】
また、軸部材としての内筒部材11や取付部材30は、十分な剛性を有するものであれば、金属製のものに、特に限定されるものではない。
【0051】
さらに、軸部材は、内筒部材11に限定されるものではなく、中実の形態、例えばボルト部材等であっても良い。
【0052】
また、前記実施形態では、金属スリーブ20の全体にて拘束部が構成されていたが、例えば、金属スリーブ20の一部に、外筒部材12の外径よりも内径が小さくされた部分を設け、この部分のみを拘束部とすることも出来る。
【0053】
さらに、前記実施形態においては、外筒部材12が金属スリーブ20に圧入されていたが、例えば、外筒部材12を金属スリーブ20内に挿入した状態で、金属スリーブ20に対して、絞り加工等の縮径加工を施すことにより、金属スリーブ20の内側に位置する外筒部材12部分を、樹脂弾性に基づいて縮径せしめられた縮径部22とする一方、金属スリーブ20の開口部から軸方向外方に突出位置せしめられた、縮径部22と軸方向に隣り合う外筒部材12部分を、金属スリーブ20にて、何等縮径力が作用せしめられることなく、そのために、縮径部22側とは反対の側に向かって徐々に拡径せしめられた拡径部24とし、更に、それら縮径部22と拡径部24との境界部分を係合屈曲部28と為すように、金属スリーブ20を外筒部材12に外挿、固定しても良い。
【0054】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車の車体フレームとトレーリングアームとの間に介装されるサスペンションブッシュとサスペンションブッシュ組付体とに適用したものの具体例を示したが、本発明は、自動車の他のサスペンションブッシュとサスペンションブッシュ組付体や、自動車のサスペンションブッシュとサスペンションブッシュ組付体以外の防振ブッシュと防振ブッシュ組付体、更には自動車以外の車両の防振ブッシュと防振ブッシュ組付体の何れに対しても、有利に適用されるものであることは勿論である。
【0055】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に従う構造を有する防振ブッシュの一例を示す縦断面説明図である。
【図2】図1におけるII矢視説明図である。
【図3】図1に示された防振ブッシュを構成する一体加硫成形品と金属スリーブとを、前者が後者に圧入される前の状態を示す説明図である。
【図4】図1におけるIV 部拡大説明図である。
【図5】図1に示される防振ブッシュに対して、取付部材の取付筒部が外挿、固定されてなる防振ブッシュ組付体の縦断面説明図である。
【図6】本発明に従う構造を有する防振ブッシュの別の例を示す図1に対応する図である。
【符号の説明】
【0057】
10 サスペンションブッシュ 11 内筒部材
12 外筒部材 14 本体ゴム弾性体
16 外フランジ部 18 すぐり部
20 金属スリーブ 21 一体加硫成形品
22 縮径部 24 拡径部
26 内側角部 28 係合屈曲部
30 取付ブラケット 32 取付筒部
33 アーム 34 サスペンションブッシュ組付体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、該軸部材の周りに、その径方向外方に離間して位置せしめられた状態で、剛性の取付部材の筒部内に挿入、固定される樹脂製の外筒部材とを、本体ゴム弾性体で連結してなる防振ブッシュであって、
前記外筒部材に外挿されて、前記取付部材の筒部内に挿入、固定される金属スリーブを更に有し、該金属スリーブの該外筒部材への外挿状態下で、該外筒部材の外径よりも内径が小さくされた該金属スリーブの拘束部の内側に位置する外筒部材部分が、該拘束部にて縮径された縮径部とされる一方、該縮径部と軸方向に隣り合う外筒部材部分が、該縮径部側とは反対の側に向かって徐々に拡径する拡径部とされて、該外筒部材が、該縮径部において、該金属スリーブの該拘束部にて拘束されると共に、該外筒部材における該縮径部と該拡径部との境界部分が、該金属スリーブにおける該拘束部の軸方向端縁部位の内周面側に周設された係合角部に係合せしめられて、該外筒部材の該拡径部側から該縮径部側への該金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制されるようになっていることを特徴とする防振ブッシュ。
【請求項2】
前記外筒部材の軸方向中間部が前記縮径部とされる一方、該外筒部材の軸方向一方の端部側部分が前記拡径部とされ、更に、該外筒部材の軸方向他方側の端部に、外フランジ部が一体的に周設されて、前記金属スリーブの該外筒部材への外挿状態下で、該外フランジ部が、該金属スリーブの前記拘束部の前記係合角部側とは反対側の端面に係合せしめられることにより、該外筒部材の該縮径部側から該拡径部側への該金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制されるようになっている請求項1に記載の防振ブッシュ。
【請求項3】
前記外筒部材の軸方向中間部が前記縮径部とされる一方、該外筒部材の軸方向両端部側の部分が、それぞれ前記拡径部とされ、更に、かかる軸方向両端部側の拡径部とそれらの間に位置する該縮径部とのそれぞれの境界部分が、該金属スリーブにおける前記拘束部の軸方向両側の端縁部位の内周面側に各々周設された前記係合角部に係合せしめられて、該外筒部材の該金属スリーブに対する軸方向両側への相対変位が規制されるようになっている請求項1に記載の防振ブッシュ。
【請求項4】
軸部材と、該軸部材の周りに、その径方向外方に離間して位置せしめられた樹脂製の外筒部材とが本体ゴム弾性体で連結されて、防振ブッシュが構成されると共に、該防振ブッシュの該外筒部材が、剛性の取付部材の筒部内に挿入、固定されてなる防振ブッシュ組付体であって、
前記防振ブッシュが、
前記外筒部材に外挿される金属スリーブを更に有し、該金属スリーブの該外筒部材への外挿状態下で、該外筒部材の外径よりも内径が小さくされた該金属スリーブの拘束部の内側に位置する外筒部材部分が、該拘束部にて縮径された縮径部とされる一方、該縮径部と軸方向に隣り合う外筒部材部分が、該縮径部側とは反対の側に向かって徐々に拡径する拡径部とされて、該外筒部材が、該縮径部において、該金属スリーブの該拘束部にて拘束されると共に、該外筒部材における該縮径部と該拡径部との境界部分が、該金属スリーブにおける該拘束部の軸方向端縁部位の内周面側に周設された係合角部に係合せしめられて、該外筒部材の該拡径部側から該縮径部側への該金属スリーブに対する軸方向の相対変位が規制されるように構成され、
そして、かかる防振ブッシュの該金属スリーブが前記取付部材の筒部内に圧入されることにより、前記外筒部材が、該取付部材の筒部に挿入、固定されていることを特徴とする防振ブッシュ組付体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−223920(P2008−223920A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64380(P2007−64380)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】