防振架台
【課題】ガスエンジン等の振動発生源を内蔵する重量機器の設置に好適な防振架台を提供する。
【解決手段】防振架台1は、振動発生源を有する機器8を固定する上部架台2と、コンクリート土間に配設される基礎架台3と、上部架台2の四隅それぞれに配設され、機器8からの振動を吸収する吸振部材4と、上部架台2の一定以上の変動を抑止して転倒を防止する転倒防止部材5と、基礎架台3の上面の縁部周囲に配設され上部架台2と基礎架台3の間に形成される空間をシール可能とするシール部材6と、を主要構成として備えている。上部架台2の下面四隅には、それぞれ吸振部材4を収容するための吸振部材収容孔2cが設けられている。転倒防止部材5は、アンカーブラケット7を介して基礎架台3に固定されるため、上部架台2に接触することがなく、振動伝達が遮断される。
【解決手段】防振架台1は、振動発生源を有する機器8を固定する上部架台2と、コンクリート土間に配設される基礎架台3と、上部架台2の四隅それぞれに配設され、機器8からの振動を吸収する吸振部材4と、上部架台2の一定以上の変動を抑止して転倒を防止する転倒防止部材5と、基礎架台3の上面の縁部周囲に配設され上部架台2と基礎架台3の間に形成される空間をシール可能とするシール部材6と、を主要構成として備えている。上部架台2の下面四隅には、それぞれ吸振部材4を収容するための吸振部材収容孔2cが設けられている。転倒防止部材5は、アンカーブラケット7を介して基礎架台3に固定されるため、上部架台2に接触することがなく、振動伝達が遮断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防振架台に関し、特に、ガスエンジン等の振動発生源を内蔵する重量機器の設置に好適な防振架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防振架台に関しては、搬送の困難性、機器振動による長期使用時の締付具緩みによるガタツキ発生等の問題が指摘されていた。これを解消する防振架台として、金属製の上枠と下枠の間に吸振部材(バネ)を介装し、さらに転倒防止を兼ねる連結部材により上枠と下枠を接続する技術が開示されている(例えば特許文献1)。しかし、特許文献1の防振架台では、現場組み立ての困難性、構造上から来る運転時の反響音拡大、防振部材の外気露出による耐久性の点で課題があった。
本願発明者らは、このような課題を解決するための防振架台を提案している(特許文献2)。図11に示すように特許文献2の防振架台100は、既設の設置基礎105の上に、吸振部材102を介して載置される架台本体101により構成されている。吸振部材102の上端部は架台本体101の底面凹部101aに収容され、下端部は設置基礎105上面の貫通孔105aに嵌合され保持される。振動発生源である機器108は、固定用部材108aにより架台本体101上に固定設置される。機器108は、設置基礎105の両端部に取り付けられた転倒防止部材103により、架台本体101と一体に位置変動が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−19890号公報
【特許文献2】特開2010−112389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の防振架台100によれば、従来の防振架台と比較して、
(a)(汎用ベースや犬走り等の既存の基礎を利用することができるため、設置の自由度が増加する。
(b)防振架台の心臓部である吸振部材の取り付けに際して調整が不要で、設置が容易となる。
(c)機器本体の底面が上部架台と近接して設置されるため騒音が拡大しない、
等の長所を備えている。
本願発明者は、特許文献2による防振架台の長所を確保しつつ、さらに設置性、遮音性の向上と、吸振部材の長期性能担保を図るべく鋭意研究を進め、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための技術であって、以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る防振架台は、
(1)基礎架台と、基礎架台の上部に配置され、振動発生源を有する機器を固定する上部架台と、基礎架台と上部架台の間に介装され、機器の振動を吸収するための吸振部材と、上部架台に固定されることなく基礎架台の両端部に固定され、かつ、上部架台の一定以上の変位を抑止するように構成した転倒防止部材と、基礎架台の上面縁部周囲に配設されるシール部材と、を備えた防振架台であって、
吸振部材は、吸振体と、基礎架台上面に取り付けられ吸振体を位置固定するための位置固定部材と、を備え、
上部架台は、上面に機器を固定するための取付部と、下面に吸振体を収容可能とする吸振体収容孔と、を備え、
シール部材は、吸振部材の介装により形成される空間を密閉して、吸振部材を外気から遮断可能に構成した、ことを特徴とする。
【0006】
(2)上記(1)において、前記吸振部材収容孔は、表面部が底面部より大径の円錐台形状に構成され、かつ、該底面部は、前記吸振部材の上面部を遊びを以って収容可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上部架台と基礎架台の間に形成される空間がシール部材により密閉されるため、遮音性が更に向上するという効果がある。
また、防振部材が上記密閉空間に収容されるため、外気に直接晒されることがなく耐久性が向上するという効果がある。
また、防振部材収容空間へのごみ等の侵入を防ぐことができ、これらの噛みこみ等による性能劣化を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一の実施形態に係る防振架台1の側断面構成を示す図である。
【図2】上部架台2の構成を示す図である。
【図3】基礎架台3の構成を示す図である。
【図4】吸振部材4の詳細展開図である。
【図5】転倒防止部材5の詳細構成を示す図である。
【図6】防振架台1の設置工程を示す図である。
【図7】防振架台1の機器設置状態を示す図である。
【図8】転倒防止部材5の設置形態の詳細を示す図である。
【図9】吸振部材4の収容形態の詳細を示す図である。
【図10】第二の実施形態の設置状態を示す図である。
【図11】従来の防振架台100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る防振架台の実施形態について、図1乃至10を参照してさらに詳細に説明する。重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0010】
(第一の実施形態)
本実施形態は、既設のコンクリート土間に本発明に係る防振架台を設置する態様に係る。
図1、7を参照して防振架台1は、振動発生源を有する機器(例えばガスエンジン発電機)8を固定する上部架台2と、コンクリート土間に配設される基礎架台3と、上部架台2の四隅それぞれに配設され、機器8からの振動を吸収する吸振部材4と、上部架台2の一定以上の変動を抑止して転倒を防止する転倒防止部材5と、基礎架台3の上面の縁部周囲に配設されるシール部材6と、を主要構成として備えている。
図2を参照して、上部架台2はコンクリート製で薄板状に形成され、下面の四隅には、それぞれ吸振部材4を収容するための4個の吸振部材収容孔2cが設けられている。吸振部材収容孔2cは、吸振部材4が常に正立状態で収容されるように、円錐台形状に刳り貫かれている。上面2aの四隅には、機器8固定のための取付孔2dが穿けられており、それぞれ不図示の固定用アンカープラグが打ち込まれている。側面2eの中央には、十分な遊びを以って転倒防止部材5の爪部5bを収容可能とする、転倒防止部材収容孔2fが設けられている。なお、上部架台2は、曲げ強度、引っ張り強度を増すために、内部に鉄筋を配することもできる(基礎架台3についても同様)。
【0011】
図3を参照して、基礎架台3は上部架台2と同一寸法に構成され、その上面3aの四隅には、吸振部材4を嵌入するためのセンターピン取付孔3cが穿けられている。取付孔3cには、不図示のアンカープラグが嵌入されている。センターピン取付孔3cは、上部架台2の吸振部材収容孔2cと機器設置状態において、中心軸が共通となる位置に設けられている。左右の側面3eには、転倒防止部材5固定のための一対の取付孔3dが穿けられている。
【0012】
基礎架台上面3aの縁部周囲には、シール部材6が接着固定されている。後述するように機器設置状態において、上部架台2と基礎架台3の間に形成される空間を密閉可能とするように配設されている。シール部材6の材質としては、例えばエプトシーラー(登録商標)等の耐候性吸音シートを用いることができ、
【0013】
図4を参照して、吸振部材4は、吸振機能を備えた円柱形状の吸振体41と、吸振体41の上部突起部41dに嵌合し、かつ収容孔2cの底面に当接して防振機能を強化するゴムリング42と、基礎架台3の取付孔3cに螺合固定されるセンターピン44と、吸振体41の内側筒状空間41cとセンターピン44の間に介装される振動緩衝用保護スリーブ43と、により構成されている。保護スリーブ43材質としては、例えば塩ビエラストマーを用いることができる。
吸振体41は、弾性体(バネ)41aをサージング防止機能を有する粘弾性材料41bでモールドした構造を備えている。吸振体41の粘弾性材料41b及びゴムリング42材料としては、それぞれ例えばNBR,EPDMを用いることができる。
なお、本実施形態では、吸振体41の上部にゴムリング42を被せる構成としたが、吸振体の頂部が収容孔2cの底面に当接する構成としてもよい。
【0014】
図5を参照して、転倒防止部材5は、基礎架台3の両端部に設けた取付孔3dに固定される基礎架台固定部5aと、転倒防止部材5の収容孔2fに遊嵌される爪部5bと、がアングル形状に構成されている。
なお、本実施形態では、転倒防止部材5は90度回転させることにより、後述するアンカーブラケット7としても用いられる。そのため、固定部5a及び爪部5bには、基礎架台3又はコンクリート土間9への固定用ボルト挿通のための一対のボルト孔5c、5dがそれぞれ設けられている。
【0015】
防振架台1は以上のように構成されており、次に、防振架台1及び機器8をコンクリート土間上に設置する場合の設置方法について説明する。図6を参照して、
(a)設置に先行して、水平に調整したコンクリート土間9の所定位置に、基礎架台3を固定するための取付孔9aを穿け、アンカープラグ(図示せず)を打ち込んで置く。
(b)次いで、取付孔9aにアンカーブラケット7をボルト7aで仮固定する。
(c)基礎架台3をコンクリート土間9に配置し、ボルト5dで転倒防止部材5を基礎架台3に仮固定する。その際、スペーサーとして、アンカーブラケット7を基礎架台3と転倒防止部材5の間に介在させる。次いで、基礎架台3上面に、センターピン44を取り付ける。
(d)次に、吸振部材4をセンターピン44に差し込む。
【0016】
図7を参照して、次いで吸振部材4が収容孔2cに収容されるように、上部架台2を基礎架台3の上に載置する。載置後に、転倒防止部材5の爪部5bが上部架台2の転倒防止部材収容孔2f内に遊びを以って挿入する位置で、転倒防止部材5を基礎架台3に固定する。最後に機器8を上部架台2上に載置し、固定ボルト8bにより機器脚部8aを上部架台2に固定して設置が完了する。
【0017】
図8を参照して、転倒防止部材5はアンカーブラケット7を介して基礎架台3に固定されるため、転倒防止部材5が上部架台2に直接接触することはない。これにより、上部架台2を介しての機器8からの振動が直接、基礎架台3に伝わることなく、吸振部材4に吸収されて減衰する。このため、機器振動の影響を大幅に減少させることが可能となる。
【0018】
また、図9を参照して、上部架台2の吸振部材収容孔2cは上述のように円錐台形状に構成されており、表面口径d1>底面口径d2である。また、吸振部材4のゴムリング42の上面外径は、収容孔2cの底面口径d2より僅かに大きい程度(1〜2mm程度)であるため、振動により上部架台2が左右に変位しても速やかに、ゴムリング42の上面全体が底面2gに当接した状態に復帰保持される。これにより、吸振部材4の吸振機能を常に保持することができる。
【0019】
なお、本実施形態では上部架台2を基礎架台3の四隅に配設した4個の吸振部材4で支持する例を示したが、さらに多くの吸振部材を吸振部材で支持して、吸振性能を向上させる態様とすることもできる。
【0020】
(第二の実施形態)
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は防振架台をコンクリート土間ではなく、地面上に直接設置する態様に係る。防振架台本体の構成は第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図9は、本実施形態における防振架台20設置状態の側面端部詳細構成を示す図である。本実施形態では、地表面を僅かに削って水平面21aを形成し、アンカーブラケットを用いることなく、水平面21a上に基礎架台3を配置する。転倒防止部材5は、スペーサー22を介してボルト23により基礎架台3に固定される。スペーサー22の介装により、転倒防止部材5が上部架台2に接触することなく基礎架台3に固定することができる。転倒防止部材収容孔2fへの爪部5bの遊嵌の態様については、上述の実施形態と同一である。その他の構成についても、吸振部材4の収容状態、機器固定態様等を含め上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明はガスエンジン発電機に限らず、振動発生源を内蔵する重量機器用の防振架台として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・・防振架台
2・・・・上部架台
2c・・・吸振部材収容孔
2f・・・転倒防止部材収容孔
3・・・・基礎架台
4・・・・吸振部材
5・・・・転倒防止部材
6・・・・シール部材
7・・・・アンカーブラケット
8・・・・振動機器
【技術分野】
【0001】
本発明は防振架台に関し、特に、ガスエンジン等の振動発生源を内蔵する重量機器の設置に好適な防振架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防振架台に関しては、搬送の困難性、機器振動による長期使用時の締付具緩みによるガタツキ発生等の問題が指摘されていた。これを解消する防振架台として、金属製の上枠と下枠の間に吸振部材(バネ)を介装し、さらに転倒防止を兼ねる連結部材により上枠と下枠を接続する技術が開示されている(例えば特許文献1)。しかし、特許文献1の防振架台では、現場組み立ての困難性、構造上から来る運転時の反響音拡大、防振部材の外気露出による耐久性の点で課題があった。
本願発明者らは、このような課題を解決するための防振架台を提案している(特許文献2)。図11に示すように特許文献2の防振架台100は、既設の設置基礎105の上に、吸振部材102を介して載置される架台本体101により構成されている。吸振部材102の上端部は架台本体101の底面凹部101aに収容され、下端部は設置基礎105上面の貫通孔105aに嵌合され保持される。振動発生源である機器108は、固定用部材108aにより架台本体101上に固定設置される。機器108は、設置基礎105の両端部に取り付けられた転倒防止部材103により、架台本体101と一体に位置変動が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−19890号公報
【特許文献2】特開2010−112389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の防振架台100によれば、従来の防振架台と比較して、
(a)(汎用ベースや犬走り等の既存の基礎を利用することができるため、設置の自由度が増加する。
(b)防振架台の心臓部である吸振部材の取り付けに際して調整が不要で、設置が容易となる。
(c)機器本体の底面が上部架台と近接して設置されるため騒音が拡大しない、
等の長所を備えている。
本願発明者は、特許文献2による防振架台の長所を確保しつつ、さらに設置性、遮音性の向上と、吸振部材の長期性能担保を図るべく鋭意研究を進め、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するための技術であって、以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る防振架台は、
(1)基礎架台と、基礎架台の上部に配置され、振動発生源を有する機器を固定する上部架台と、基礎架台と上部架台の間に介装され、機器の振動を吸収するための吸振部材と、上部架台に固定されることなく基礎架台の両端部に固定され、かつ、上部架台の一定以上の変位を抑止するように構成した転倒防止部材と、基礎架台の上面縁部周囲に配設されるシール部材と、を備えた防振架台であって、
吸振部材は、吸振体と、基礎架台上面に取り付けられ吸振体を位置固定するための位置固定部材と、を備え、
上部架台は、上面に機器を固定するための取付部と、下面に吸振体を収容可能とする吸振体収容孔と、を備え、
シール部材は、吸振部材の介装により形成される空間を密閉して、吸振部材を外気から遮断可能に構成した、ことを特徴とする。
【0006】
(2)上記(1)において、前記吸振部材収容孔は、表面部が底面部より大径の円錐台形状に構成され、かつ、該底面部は、前記吸振部材の上面部を遊びを以って収容可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上部架台と基礎架台の間に形成される空間がシール部材により密閉されるため、遮音性が更に向上するという効果がある。
また、防振部材が上記密閉空間に収容されるため、外気に直接晒されることがなく耐久性が向上するという効果がある。
また、防振部材収容空間へのごみ等の侵入を防ぐことができ、これらの噛みこみ等による性能劣化を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一の実施形態に係る防振架台1の側断面構成を示す図である。
【図2】上部架台2の構成を示す図である。
【図3】基礎架台3の構成を示す図である。
【図4】吸振部材4の詳細展開図である。
【図5】転倒防止部材5の詳細構成を示す図である。
【図6】防振架台1の設置工程を示す図である。
【図7】防振架台1の機器設置状態を示す図である。
【図8】転倒防止部材5の設置形態の詳細を示す図である。
【図9】吸振部材4の収容形態の詳細を示す図である。
【図10】第二の実施形態の設置状態を示す図である。
【図11】従来の防振架台100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る防振架台の実施形態について、図1乃至10を参照してさらに詳細に説明する。重複を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いて示している。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0010】
(第一の実施形態)
本実施形態は、既設のコンクリート土間に本発明に係る防振架台を設置する態様に係る。
図1、7を参照して防振架台1は、振動発生源を有する機器(例えばガスエンジン発電機)8を固定する上部架台2と、コンクリート土間に配設される基礎架台3と、上部架台2の四隅それぞれに配設され、機器8からの振動を吸収する吸振部材4と、上部架台2の一定以上の変動を抑止して転倒を防止する転倒防止部材5と、基礎架台3の上面の縁部周囲に配設されるシール部材6と、を主要構成として備えている。
図2を参照して、上部架台2はコンクリート製で薄板状に形成され、下面の四隅には、それぞれ吸振部材4を収容するための4個の吸振部材収容孔2cが設けられている。吸振部材収容孔2cは、吸振部材4が常に正立状態で収容されるように、円錐台形状に刳り貫かれている。上面2aの四隅には、機器8固定のための取付孔2dが穿けられており、それぞれ不図示の固定用アンカープラグが打ち込まれている。側面2eの中央には、十分な遊びを以って転倒防止部材5の爪部5bを収容可能とする、転倒防止部材収容孔2fが設けられている。なお、上部架台2は、曲げ強度、引っ張り強度を増すために、内部に鉄筋を配することもできる(基礎架台3についても同様)。
【0011】
図3を参照して、基礎架台3は上部架台2と同一寸法に構成され、その上面3aの四隅には、吸振部材4を嵌入するためのセンターピン取付孔3cが穿けられている。取付孔3cには、不図示のアンカープラグが嵌入されている。センターピン取付孔3cは、上部架台2の吸振部材収容孔2cと機器設置状態において、中心軸が共通となる位置に設けられている。左右の側面3eには、転倒防止部材5固定のための一対の取付孔3dが穿けられている。
【0012】
基礎架台上面3aの縁部周囲には、シール部材6が接着固定されている。後述するように機器設置状態において、上部架台2と基礎架台3の間に形成される空間を密閉可能とするように配設されている。シール部材6の材質としては、例えばエプトシーラー(登録商標)等の耐候性吸音シートを用いることができ、
【0013】
図4を参照して、吸振部材4は、吸振機能を備えた円柱形状の吸振体41と、吸振体41の上部突起部41dに嵌合し、かつ収容孔2cの底面に当接して防振機能を強化するゴムリング42と、基礎架台3の取付孔3cに螺合固定されるセンターピン44と、吸振体41の内側筒状空間41cとセンターピン44の間に介装される振動緩衝用保護スリーブ43と、により構成されている。保護スリーブ43材質としては、例えば塩ビエラストマーを用いることができる。
吸振体41は、弾性体(バネ)41aをサージング防止機能を有する粘弾性材料41bでモールドした構造を備えている。吸振体41の粘弾性材料41b及びゴムリング42材料としては、それぞれ例えばNBR,EPDMを用いることができる。
なお、本実施形態では、吸振体41の上部にゴムリング42を被せる構成としたが、吸振体の頂部が収容孔2cの底面に当接する構成としてもよい。
【0014】
図5を参照して、転倒防止部材5は、基礎架台3の両端部に設けた取付孔3dに固定される基礎架台固定部5aと、転倒防止部材5の収容孔2fに遊嵌される爪部5bと、がアングル形状に構成されている。
なお、本実施形態では、転倒防止部材5は90度回転させることにより、後述するアンカーブラケット7としても用いられる。そのため、固定部5a及び爪部5bには、基礎架台3又はコンクリート土間9への固定用ボルト挿通のための一対のボルト孔5c、5dがそれぞれ設けられている。
【0015】
防振架台1は以上のように構成されており、次に、防振架台1及び機器8をコンクリート土間上に設置する場合の設置方法について説明する。図6を参照して、
(a)設置に先行して、水平に調整したコンクリート土間9の所定位置に、基礎架台3を固定するための取付孔9aを穿け、アンカープラグ(図示せず)を打ち込んで置く。
(b)次いで、取付孔9aにアンカーブラケット7をボルト7aで仮固定する。
(c)基礎架台3をコンクリート土間9に配置し、ボルト5dで転倒防止部材5を基礎架台3に仮固定する。その際、スペーサーとして、アンカーブラケット7を基礎架台3と転倒防止部材5の間に介在させる。次いで、基礎架台3上面に、センターピン44を取り付ける。
(d)次に、吸振部材4をセンターピン44に差し込む。
【0016】
図7を参照して、次いで吸振部材4が収容孔2cに収容されるように、上部架台2を基礎架台3の上に載置する。載置後に、転倒防止部材5の爪部5bが上部架台2の転倒防止部材収容孔2f内に遊びを以って挿入する位置で、転倒防止部材5を基礎架台3に固定する。最後に機器8を上部架台2上に載置し、固定ボルト8bにより機器脚部8aを上部架台2に固定して設置が完了する。
【0017】
図8を参照して、転倒防止部材5はアンカーブラケット7を介して基礎架台3に固定されるため、転倒防止部材5が上部架台2に直接接触することはない。これにより、上部架台2を介しての機器8からの振動が直接、基礎架台3に伝わることなく、吸振部材4に吸収されて減衰する。このため、機器振動の影響を大幅に減少させることが可能となる。
【0018】
また、図9を参照して、上部架台2の吸振部材収容孔2cは上述のように円錐台形状に構成されており、表面口径d1>底面口径d2である。また、吸振部材4のゴムリング42の上面外径は、収容孔2cの底面口径d2より僅かに大きい程度(1〜2mm程度)であるため、振動により上部架台2が左右に変位しても速やかに、ゴムリング42の上面全体が底面2gに当接した状態に復帰保持される。これにより、吸振部材4の吸振機能を常に保持することができる。
【0019】
なお、本実施形態では上部架台2を基礎架台3の四隅に配設した4個の吸振部材4で支持する例を示したが、さらに多くの吸振部材を吸振部材で支持して、吸振性能を向上させる態様とすることもできる。
【0020】
(第二の実施形態)
さらに、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態は防振架台をコンクリート土間ではなく、地面上に直接設置する態様に係る。防振架台本体の構成は第一の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
図9は、本実施形態における防振架台20設置状態の側面端部詳細構成を示す図である。本実施形態では、地表面を僅かに削って水平面21aを形成し、アンカーブラケットを用いることなく、水平面21a上に基礎架台3を配置する。転倒防止部材5は、スペーサー22を介してボルト23により基礎架台3に固定される。スペーサー22の介装により、転倒防止部材5が上部架台2に接触することなく基礎架台3に固定することができる。転倒防止部材収容孔2fへの爪部5bの遊嵌の態様については、上述の実施形態と同一である。その他の構成についても、吸振部材4の収容状態、機器固定態様等を含め上述の実施形態と同一であるので、重複説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明はガスエンジン発電機に限らず、振動発生源を内蔵する重量機器用の防振架台として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・・防振架台
2・・・・上部架台
2c・・・吸振部材収容孔
2f・・・転倒防止部材収容孔
3・・・・基礎架台
4・・・・吸振部材
5・・・・転倒防止部材
6・・・・シール部材
7・・・・アンカーブラケット
8・・・・振動機器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎架台と、
基礎架台の上部に配置され、振動発生源を有する機器を固定する上部架台と、
基礎架台と上部架台の間に介装され、機器の振動を吸収するための吸振部材と、
上部架台に固定されることなく基礎架台の両端部に固定され、かつ、上部架台の一定以上の変位を抑止するように構成した転倒防止部材と、
基礎架台の上面縁部周囲に配設されるシール部材と、
を備えた防振架台であって、
吸振部材は、吸振体と、基礎架台上面に取り付けられ吸振体を位置固定するための位置固定部材と、を備え、
上部架台は、上面に機器を固定するための取付部と、下面に吸振体を収容可能とする吸振体収容孔と、を備え、
シール部材は、吸振部材の介装により形成される空間を密閉して、吸振部材を外気から遮断可能に構成した、
ことを特徴とする防振架台。
【請求項2】
前記吸振部材収容孔は、表面部が底面部より大径の円錐台形状に構成され、かつ、
該底面部は、前記吸振部材の上面部を遊びを以って収容可能としたことを特徴とする請求項1に記載の防振架台。
【請求項1】
基礎架台と、
基礎架台の上部に配置され、振動発生源を有する機器を固定する上部架台と、
基礎架台と上部架台の間に介装され、機器の振動を吸収するための吸振部材と、
上部架台に固定されることなく基礎架台の両端部に固定され、かつ、上部架台の一定以上の変位を抑止するように構成した転倒防止部材と、
基礎架台の上面縁部周囲に配設されるシール部材と、
を備えた防振架台であって、
吸振部材は、吸振体と、基礎架台上面に取り付けられ吸振体を位置固定するための位置固定部材と、を備え、
上部架台は、上面に機器を固定するための取付部と、下面に吸振体を収容可能とする吸振体収容孔と、を備え、
シール部材は、吸振部材の介装により形成される空間を密閉して、吸振部材を外気から遮断可能に構成した、
ことを特徴とする防振架台。
【請求項2】
前記吸振部材収容孔は、表面部が底面部より大径の円錐台形状に構成され、かつ、
該底面部は、前記吸振部材の上面部を遊びを以って収容可能としたことを特徴とする請求項1に記載の防振架台。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−202476(P2012−202476A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67399(P2011−67399)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]