説明

防振装置

【課題】外筒部材に縮径方向への絞り加工を施して、防振基体の耐久性の向上を図りつつ、外筒部材の軸方向端部における接着界面の破壊を抑制することができる防振装置を提供すること。
【解決手段】外筒部材20が、小径筒部21と、その小径筒部21よりも大径に形成される大径筒部22とを備え、絞り加工が大径筒部22のみに施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振装置に関し、特に、外筒部材に縮径方向への絞り加工を施して、防振基体の耐久性の向上を図りつつ、外筒部材の軸方向端部における接着界面の破壊を抑制することができる防振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状の内筒部材と、その内筒部材を同軸状に取り囲む筒状の外筒部材と、それら内筒部材および外筒部材を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体とを備えた防振装置が、例えば、自動車のサスペンション装置に用いられる。
【0003】
このように、内筒部材と外筒部材との間を防振基体により連結する防振装置では、防振基体の加硫成形後の収縮を取り除く、さらには、予備圧縮を付与して、耐久性を向上させるために、絞り金型を用いて外筒部材に縮径方向への絞り加工を施すことが行われる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−232195号公報(図12、段落[0020]など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の防振装置では、耐久性の向上を十分に図るために、外筒部材に大きな絞り率の絞り加工を施すと、外筒部材の軸方向端部のひずみが大きくなり、その外筒部材の軸方向端部において接着界面が破壊されるという問題点があった。軸方向端部の接着界面が破壊されると、外筒部材に発生した錆が接着界面へ進行して、接着剥離を招く。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、外筒部材に縮径方向への絞り加工を施して、防振基体の耐久性の向上を図りつつ、外筒部材の軸方向端部における接着界面の破壊を抑制することができる防振装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
請求項1記載の防振装置によれば、外筒部材は、軸方向両端に位置する筒状の小径筒部と、その小径筒部の間に位置し小径筒部よりも大径に形成される筒状の大径筒部と、それら大径筒部および小径筒部を連結し大径筒部から小径筒部へ向けて漸次縮径する傾斜筒部とを備え、防振基体は、少なくとも前記防振基体の大径筒部、傾斜筒部および小径筒部の内周面に加硫接着されて、内筒部材と外筒部材とを連結し、絞り金型を用いた絞り加工が外筒部材の傾斜筒部および小径筒部を除き大径筒部のみに施されているので、防振基体の耐久性の向上を図りつつ、外筒部材の軸方向端部における接着界面の破壊を抑制することができるという効果がある。
【0008】
即ち、外筒部材の大径筒部に比較的大きな絞り率の絞り加工が施されることで、外筒部材の大径筒部の内周面に加硫接着されている防振基体部分の加硫成形後の収縮を取り除いてその耐久性の向上を図りつつ、外筒部材の小径筒部のひずみは低減して、その小径筒部の内周面に加硫接着されている防振基体部分の接着界面の破壊を抑制することができるという効果がある。
【0009】
一方で、大径筒部に比較的大きな絞り率の絞り加工が施されると、その大径筒部の塑性変形が傾斜筒部によって緩衝されつつ、外筒部材の小径筒部にも伝達され、小径筒部も比較的小さな絞り率で縮径される。これにより、外筒部材の小径筒部の内周面に加硫接着されている防振基体部分の加硫成形後の収縮を緩和して、その耐久性の向上も図ることができるという効果がある。
【0010】
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、防振基体は、外筒部材の小径筒部の内周面に加硫接着された防振基体部分に連なり少なくとも小径筒部の軸方向端面に加硫接着される膜部を備えるので、内筒部材が外筒部材に対して軸方向へ相対的に大変位した場合でも、膜部の端部に引張力が作用することを抑制することができ、その結果、膜部の端部と小径筒部との間の接着剥離を抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
【0011】
また、防振基体に連なる膜部が小径筒部の軸方向端部まで延設されることで、その分、接着面積を拡大することができる。よって、仮に膜部の端部から接着剥離が発生した場合でも、接着面積が拡大されている分、接着剥離が防振基体まで到達することを抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の防振装置によれば、請求項2記載の防振装置の奏する効果に加え、防振基体の膜部は、外筒部材の小径筒部の内周面に加硫接着された防振基体部分に連なりつつ小径筒部の軸方向端面および小径筒部の外周面に加硫接着されるので、耐久性のより一層の向上を図ることができるという効果がある。
【0013】
即ち、防振基体の膜部は、小径筒部の内周面に加硫接着された防振基体部分から、小径筒部の軸方向端面を越え、小径筒部の外周面まで延設されるので、内筒部材が外筒部材に対して軸方向へ相対的に大変位した場合でも、膜部の端部に引張力が作用することをより確実に抑制することができる。その結果、膜部の端部と小径筒部との間の接着剥離を抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
【0014】
また、防振基体に連なる膜部が小径筒部の軸方向端部を越えて外周面まで延設されることで、その分、接着面積をより拡大することができる。よって、仮に膜部の端部から接着剥離が発生した場合でも、接着面積が拡大されている分、接着剥離が防振基体まで到達することを抑制して、耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の防振装置によれば、請求項3記載の防振装置の奏する効果に加え、外筒部材の傾斜筒部は、切削加工が施されることで軸方向に直交し軸方向視円環状に形成される平坦面部を備えるので、防振基体を加硫金型により加硫成形する際には、傾斜筒部の平坦面部を加硫金型に当接させるシール面として利用して、加硫成形時のシール性の向上を図ることができるという効果がある。これにより、膜部を外筒部材の外周面側まで延設させた場合でも、外筒部材の大径筒部の外周面へのゴム載り(ゴムバリの付着)を抑制できるので、外筒部材を相手部材へ圧入する際の圧入荷重の増加あるいは圧入後の抜け荷重の減少を抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施の形態における防振装置の車両への装着状態を示す断面図である。
【図2】(a)は、防振装置の上面図であり、(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における防振装置の断面図である。
【図3】内筒部材および外筒部材が設置されて型締めされた加硫金型の断面図である。
【図4】絞り金型および第1成形体の断面図である。
【図5】(a)は、第2実施の形態における防振装置の上面図であり、(b)は、図5(a)のVb−Vb線における防振装置の断面図である。
【図6】図5(b)の一部を部分的に拡大した防振装置の部分拡大断面図である。
【図7】(a)は、切削加工が施される前の状態における外筒部材の断面図であり、(b)は、切削加工が施された後の状態における外筒部材の断面図である。
【図8】内筒部材および外筒部材が設置されて型締めされた加硫金型の断面図である。
【図9】図8の一部を部分的に拡大した加硫金型の部分拡大断面図である。
【図10】(a)から(c)は、第3実施の形態から第5実施の形態における防振装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における防振装置1の車両への装着状態を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、防振装置1は、自動車のサスペンション機構(懸架機構、図示せず)に装着されるブッシュであり、筒状に形成される内筒部材10と、その内筒部材10の外周側を取り囲む筒状に形成される外筒部材20と、それら内筒部材10及び外筒部材20を連結する防振基体30とを備え、本実施の形態では、サスペンションアームSAと車体側の一対の取付板MPとの間に介在する。
【0019】
即ち、防振装置1は、サスペンションアームSAの圧入部に外筒部材20を軸方向に圧入固定すると共に、一方の取付板MP(図1右側)の挿通孔から内筒部材10の内部にボルトBを挿通し、他方の取付板MP(図1左側)の挿通孔から突出されたボルトBのおねじ部にナットNを螺合させて締め付け、一対の取付板MP間に軸方向(図1左右方向)両側から挟持された状態で内筒部材10を締結固定することで、サスペンション機構に装着される。
【0020】
次いで、図2を参照して、防振装置1の詳細構成について説明する。図2(a)は、防振装置1の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における防振装置1の断面図である。なお、図2では、外筒部材20の大径筒部22に絞り加工が施された後の状態(即ち、完成状態における防振装置1)が図示される。
【0021】
図2に示すように、防振装置1は、鉄鋼材料から軸Oを有する筒状に形成される内筒部材10と、鉄鋼材料から軸Oを有する筒状に形成され内筒部材10と同軸状に配置される外筒部材20と、それら内筒部材10の外周面および外筒部材20の内周面の間を連結すると共にゴム状弾性体から形成される防振基体30とを備える。なお、内筒部材10の軸方向端面には、セレーション状の突起が突設される。
【0022】
なお、内筒部材10と外筒部材20とが同軸状に配置されるとは、少なくとも両部材10,20の軸が平行となる状態であれば足り、両部材10,20の軸が一致していることを要求する趣旨ではない。請求項に記載した同軸状についても同様の趣旨である。
【0023】
外筒部材20は、軸方向両端にそれぞれ位置する筒状の小径筒部21と、それら小径筒部21の間に位置し小径筒部よりも大径に形成される筒状の大径筒部22と、それら大径筒部22及び小径筒部21の間をそれぞれ連結し大径筒部22から小径筒部21へ向けて漸次縮径される円錐筒状の傾斜筒部23とを備え、これら各筒部21〜23が同軸に配置される。
【0024】
なお、傾斜筒部23は、小径筒部21との連結部分および大径筒部22との接続部分のそれぞれが断面円弧状に湾曲して滑らかに連結される。本実施の形態では、小径筒部21の外周面の外径寸法は、大径筒部22の内周面の内径寸法よりも大きくされる。これは、大径筒部22に絞り加工を施す前後において同様である。
【0025】
防振基体30は、軸O周りに全周にわたって、内筒部材10の外周面と外筒部材20の内周面とに加硫接着される。なお、防振基体30は、外筒部材20の小径筒部21、大径筒部22及び傾斜筒部23のそれぞれの内周面に加硫接着される。また、防振基体30と内筒部材10との加硫接着領域は、外筒部材20を内筒部材10の外周面に軸直角方向に投影して形成される領域よりも大きくされる。
【0026】
防振基体30の軸方向端面(図2(b)上側および下側の面)には、断面円弧状の凹部として形成されると共に軸O周りに全周にわたって連続するすぐり部31が凹設される。すぐり部31は、本実施の形態では、外筒部材20の大径筒部22と傾斜筒部23との連結部分に略一致する位置まで凹設される。これにより、外筒部材20の大径筒部22の内周面と内筒部材10の外周面との間が全て防振基体30により連結される。
【0027】
また、防振基体30のすぐり部31は、内筒部材10側の側面が傾斜して形成され、これにより、防振基体30のすぐり部31よりも内筒部材10側の部分が、内筒部材10の軸方向端面へ向けて厚み寸法(図2(b)左右方向寸法)が漸次小さくなる断面三角形状に形成される。
【0028】
一方、防振基体30のすぐり部31は、外筒部材20側の側面が軸Oに沿って平行に形成され、これにより、防振基体30のすぐり部31よりも外筒部材20側の部分(特に、外筒部材20の小径筒部21の内周面に加硫接着される部分)が、軸方向に沿って一定の厚み寸法(図2(b)左右方向寸法)を有する膜状に形成される。
【0029】
次いで、図3及び図4を参照して、防振装置1の製造方法について説明する。防振装置1の製造は、まず、加硫工程を行い、第1成形体FBを成形し、次いで、絞り工程へ移行し、第1成形体FBの外筒部材20に絞り加工を施すことで、行われる。
【0030】
まず、図3を参照して、加硫工程について説明する。図3は、内筒部材10及び外筒部材20が設置されて型締めされた加硫金型50の断面図であり、キャビティ内にゴム状弾性体が注入される前の状態が図示される。
【0031】
なお、図3では、加硫金型50に形成される注入孔の図示が省略される。また、図3に示す内筒部材10及び外筒部材20の断面は、図2(b)に示す断面に対応する。但し、図3に示す外筒部材20は絞り加工が施される前の状態が図示される。
【0032】
図3に示すように、加硫金型50は、第1成形体FBを加硫成形するための金型であり、上下(図3上下方向であって内筒部材10及び外筒部材20の軸方向)に型締めされる上型51及び下型52を備え、加硫工程において、型締めにより形成されたキャビティ内に注入孔(図示せず)から注入されて充填されたゴム状弾性体を加硫することで、第1成形体FB(図4参照)を成形する。
【0033】
上型51は、第1成形体FBの軸方向一側(図3下側)の外形を形成するための部位であり、内筒部材10の内周に挿入される上型ピン51aと、その上型ピン51aの周囲に正面視円環状の溝として凹設され内筒部材10の軸方向端部(図3上側)が内嵌される上側内周溝51bと、その上型内周溝51bと同軸で大径の正面視円環状の溝として凹設され外筒部材20の小径筒部21の軸方向端部(図3上側)が内嵌される上型外周溝51cとを備える。
【0034】
なお、下型52は、下型ピン52aと、下型内周溝52bと、下型外周溝52cとを備える。これら下型ピン52a、下型内周溝52b及び下型外周溝52cは、上型ピン51a、上側内周溝51b及び上型外周溝51cと同一の構成であるので、その説明を省略する。
【0035】
加硫金型50が型締めされた状態では、内筒部材10の軸方向端部(図3上側および下側)における外周面が上型内周溝51b及び下型内周溝52bによりシールされると共に、外筒部材20の小径筒部21における軸方向端面(図3上側面および下側面)及び内周面が上型外周溝51c及び下型外周溝52cによりシールされる。その結果、密閉された空間であるキャビティが内筒部材10と外筒部材20との間に形成される。
【0036】
即ち、加硫工程では、まず、加硫金型50の下型52に内筒部材10及び外筒部材20(絞り加工が施される前のもの)を設置し、次いで、上型51を下降移動させて、型締めする。これにより、図3に示すように、防振基体30(図2参照)を加硫成形するための空間であるキャビティが形成されるので、図示しない注入孔からキャビティ内にゴム状弾性体を注入して充填する。そして、加硫金型50を加圧・加熱した状態で所定時間保持することで、ゴム状弾性体が加硫され、第1成形体FB(防振基体30)が成形される。
【0037】
第1成形体FBを成形した後は、第1成形体FBに対し、絞り金型SMを用いた絞り加工を施し、外筒部材20の大径筒部22を縮径させる絞り工程を行う。ここで、図4を参照して、絞り工程について説明する。
【0038】
図4は、絞り金型SM及び第1成形体FBの断面図である。なお、図4では、第1成形体FBの軸方向長さの中央位置において絞り金型SMを断面視している。但し、第1成形体FBについては断面視せずに図示する。
【0039】
図4に示すように、絞り工程は、加硫工程により成形された第1成形体FBにおける外筒部材20の大径筒部22に縮径方向への絞り加工を施す工程であり、中央部から放射状に分割された複数(本実施の形態では周方向等間隔に配置される12個)の分割片Mdvを持つ絞り金型SMを用いて行われる。
【0040】
絞り金型SMは、下型および上型の間に複数の分割片Mdvが移動可能に装着され、下型および上型がプレス装置の圧力により上下方向に駆動されると、その駆動力を利用して、各分割片Mdvが径方向内方(第1成形体FB側)へ向けて変位されるように構成される。
【0041】
分割片Mdvは、外筒部材20の大径筒部22の外周面に当接する内周面を備えると共に、その分割片Mdvの内周面は、図4に示す軸方向視において、外筒部材20の大径筒部22の外周面に対応する円弧状に湾曲して形成される。
【0042】
なお、各分割片Mdvの内周面は、円筒の内周面形状に形成され、それぞれ同軸となる位置に配置される。即ち、各分割片Mdvの内周面を連ねると円筒の内周面形状が形成されると共に、その内周面形状の内径寸法は、軸方向(図4紙面垂直方向)に沿って一定とされる。また、各分割片Mdvの内周面の軸方向長さは、外筒部材20の大径筒部22の軸方向長さよりも大きくされる。
【0043】
このように構成された絞り金型SMが駆動され、各分割片Mdvが径方向内方へ向けて変位されると、各分割片Mdvの内周面が外筒部材20の大径筒部22の外周面のみに当接されると共に、各分割片Mdvの内周面により外筒部材20の大径筒部22の外周面のみが径方向内方へ向けて押圧される。即ち、各分割片Mdvの内周面は、外筒部材20の小径筒部21及び傾斜筒部23の外周面には当接されない。
【0044】
絞り行程では、絞り金型SMの中央部(各分割片Mdvの内周面に取り囲まれた空間内)へ第1成形体FBを設置し、型締めした後、プレス装置により上下方向に押圧して、各分割片Mdvを径方向内方へ向けて移動させる。これにより、外筒部材20の大径筒部22の外周面が各分割片Mdvの内周面により径方向内方へ押圧され、かかる径方向内方への押圧により、大径筒部22全体が径方向へ均等に縮径される。その結果、防振装置1(図2参照)の製造が完了する。
【0045】
なお、外筒部材20の大径筒部22には、比較的大きな絞り率(本実施の形態では略6%)が付与される。絞り率は、大径筒部22の内周面における内径寸法を基準とし、「絞り率=(絞り加工前の内径寸法−絞り加工後の内径寸法)×100/(絞り加工前の内径寸法)」により算出される。
【0046】
このように、第1成形体FBには、絞り金型SMを用いた絞り加工が、外筒部材20の大径筒部22のみに施される(即ち、外筒部材20の傾斜筒部23及び小径筒部21は絞り金型SMの各分割片Mdvによって径方向内方へ向けて押圧されない)ので、防振基体30の耐久性の向上を図りつつ、外筒部材20の軸方向端部(小径筒部21)における接着界面の破壊を抑制することができる。
【0047】
即ち、外筒部材20の大径筒部22に比較的大きな絞り率の絞り加工が施されることで、外筒部材20の大径筒部22の内周面に加硫接着されている防振基体部分(大径部材22と内筒部材10との対向間に位置する防振基体30の円環状の部分、図2参照)の加硫成形後の収縮を取り除くと共に予備圧縮を付与して、その耐久性の向上を図りつつ、外筒部材20の小径筒部21のひずみは低減して、その小径筒部21の内周面に加硫接着されている防振基体部分(小径筒部21の内周側に加硫接着され軸方向に沿って一定の厚みを有する膜状に形成される防振基体30の部分、図2参照)の接着界面の破壊を抑制することができる。
【0048】
一方で、大径筒部22に比較的大きな絞り率(本実施の形態では略6%)の絞り加工が施されると、その大径筒部22の塑性変形が、傾斜筒部23によって緩衝されつつ、小径筒部21にも伝達され、小径筒部21も比較的小さな絞り率で縮径される。これにより、外筒部材20の小径筒部21の内周面に加硫接着されている防振基体部分(上述した一定の厚みを有する膜状に形成される部分)の加硫成形後の収縮を緩和して、その耐久性の向上も図ることができる。
【0049】
ここで、外筒部材20の大径筒部22に付与する絞り率は、2%以上かつ10%以下とすることが好ましい。10%以上の絞り率を付与した場合には、大径筒部22における化成皮膜が破壊される一方、2%以下の絞り率の付与では、防振基体30の加硫成形後の収縮を十分に取り除くことできないからである。
【0050】
なお、絞り率の下限は、3%としても良く、より好ましくは、4%としても良い。一方、絞り率の上限は、9%としても良く、より好ましくは、8%としても良い。収縮を取り除く効果と化成皮膜の破壊を防止する効果とをより確実に両立することができるからである。
【0051】
次いで、図5及び図6を参照して、第2実施の形態における防振装置201について説明する。第1実施の形態では、外筒部材20の小径筒部21における内周面側のみに防振基体30が加硫接着される場合を説明したが、第2実施の形態では、外筒部材220の小径筒部221における軸方向端面および外周面まで防振基体230の一部(膜部232)が連なる。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
図5(a)は、第2実施の形態における防振装置201の上面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における防振装置201の断面図である。また、図6は、図5(b)の一部を部分的に拡大した防振装置201の部分拡大断面図である。なお、図5及び図6では、外筒部材220の大径筒部22に絞り加工が施された後の状態(即ち、完成状態における防振装置1)が図示される。
【0053】
図5及び図6に示すように、防振装置201は、第1実施の形態の場合と同様に、鉄鋼材料から軸Oを有する筒状に形成される外筒部材220が、内筒部材10と同軸状に配置され、それら内筒部材10及び外筒部材220の間が、ゴム状弾性体から形成される防振基体230により連結される。
【0054】
外筒部材220は、第1実施の形態の場合と同様に、小径筒部221、大径筒部22及び傾斜筒部223を備える。なお、第2実施の形態における外筒部材220は、第1実施の形態における外筒部材20に切削加工を施して一部を切除することで形成される。ここで、図7を参照して、外筒部材220に施される切削加工について説明する。
【0055】
図7(a)は、切削加工が施される前の状態における外筒部材220の断面図であり、図7(b)は、切削加工が施された後の状態における外筒部材220の断面図である。なお、図7(a)には切削加工により切除される領域が、図7(b)には切削加工が施される前の状態における外筒部材220の外形形状が、それぞれ2点差鎖線を用いて図示される。
【0056】
図7(a)に示すように、外筒部材220は、小径筒部221、大径筒部22及び傾斜筒部223を備える。なお、切削加工が施される前の状態においては、これら各筒部221,22,223は、第1実施の形態における外筒部材20の各筒部21〜23とそれぞれ同一の形状であるので、その説明を省略する。
【0057】
外筒部材220には、加硫工程を行う前に、小径筒部221及び傾斜筒部223の外周面側(図7(a)に2点鎖線で示す領域)を軸O(図5参照)周りに全周にわたって切除する切削加工が施される。なお、この切削加工は、外筒部材220の軸方向両端の同一の領域にそれぞれ施される。
【0058】
図7(b)に示すように、外筒部材220には、切削加工が施されることで、外周切除面221aと平坦切除面223aとが全周にわたって連続して形成される。外周切除面221aは、小径筒部221の外周側および傾斜筒部223の一部の外周側に位置し、軸O(図5参照)に平行な円筒面として形成される。平坦切除面223aは、外周切除面221aに連なると共に軸Oに垂直な平坦面として形成される。よって、平坦切除面223aは、軸方向視円環形状に形成される。
【0059】
図5及び図6に戻って説明する。第2実施の形態における防振基体230は、膜部232を備える点を除き、他の構成は、第1実施の形態における防振基体30と同一であるので、その説明を省略する。
【0060】
膜部232は、ゴム状弾性体から防振基体230の一部として構成される。即ち、膜部232は、外筒部材220の小径筒部221の内周面に加硫接着されている防振基体部分(小径筒部221の内周側に加硫接着され軸方向に沿って一定の厚みを有する膜状に形成される防振基体230の部分)に一端側が連なると共に、その一端側から延設された途中部分が外筒部材220の小径筒部221における軸方向端面で折り返した後に小径筒部221の外周側を通過し、他端側が平坦切除面223aに連結される。
【0061】
なお、膜部232は、小径筒部221における内周面および軸方向端面と外周切除面221aと平坦切除面232aとにそれぞれ加硫接着される。また、膜部232の厚み寸法は延設方向に沿って一定の厚み寸法とされ、小径筒部221の内周面に加硫接着されている防振基体部分の厚み寸法(図6左右寸法)と同一とされる。
【0062】
次いで、図8及び図9を参照して、第2実施の形態における防振装置201の製造方法について説明する。防振装置201の製造は、第1実施の形態の場合と同様に、加硫工程により第1成形体FBを成形した後、絞り工程により第1成形体FBの外筒部材20に絞り加工を施すことで行われる。絞り工程については、第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0063】
図8は、内筒部材10及び外筒部材220が設置されて型締めされた加硫金型250の断面図である。また、図9は、図8の一部を部分的に拡大した加硫金型250の部分拡大断面図である。
【0064】
なお、図8及び図9では、キャビティ内にゴム状弾性体が注入される前の状態が図示されると共に、加硫金型250に形成される注入孔の図示が省略される。また、図8及び図9に示す内筒部材10及び外筒部材220の断面は、図5(b)に示す断面に対応する。但し、図8及び図9に示す外筒部材220は絞り加工が施される前の状態(即ち、図7(b)の状態)が図示される。
【0065】
図8及び図9に示すように、第2実施の形態における加硫金型250は、上下に型締めされる上型251及び下型252を備える。上型251は、上型ピン51aと、上側内周溝51bと、その上型内周溝51bと同軸で大径の正面視円環状の溝として凹設され外筒部材220の小径筒部221の軸方向端部が配置される上型外周溝251cと、その上型外周溝251cの外周側に連なる正面視円環状の平坦面として形成され外筒部材220の平坦切除面232aに当接される上型段部251dとを備える。
【0066】
なお、下型252は、下型ピン52aと、下型内周溝52bと、下型外周溝252cと、下型段部252dとを備える。下型外周溝252c及び下型段部251dは、上型外周溝251c及び上型段部251dと同一の構成であり、また、各ピン51a,52a及び各内周溝51b,52bは、第1実施の形態の場合と同一の構成であるので、これらの説明を省略する。
【0067】
上型外周溝251cは、防振基体230の膜部232(図5及び図6参照)の外形を形成するための部位であり、その上型外周溝251cの内壁は、小径筒部221の内周面および軸方向端面と外周切除面221aとから所定の間隔だけ離間した位置に配設される。上型段部251dは、軸方向(型締め方向、図8及び図9上下方向)に垂直な平坦面として形成される。
【0068】
加硫金型250が型締めされた状態では、内筒部材10の軸方向端部(図8上側および下側)における外周面が上型内周溝51b及び下型内周溝52bによりシールされると共に、外筒部材220の平坦切除面232aが上型段部251d及び下型段部252dによりシールされる。その結果、密閉された空間であるキャビティが内筒部材10と外筒部材20との間および外筒部材20の軸方向端部に形成される。
【0069】
即ち、加硫工程では、まず、加硫金型250の下型252に内筒部材10及び外筒部材220(絞り加工が施される前のもの)を設置し、次いで、上型251を下降移動させて、型締めする。これにより、図8及び図9に示すように、防振基体230(図5参照)を加硫成形するための空間であるキャビティが形成されるので、第1実施の形態の場合と同様に、第1成形体FB(防振基体)を加硫成形する。
【0070】
ここで、第2実施の形態では、外筒部材220の傾斜筒部223に平坦切除面223aを設け、防振基体230を加硫金型251により加硫成形する際には、平坦切除面223aを各段部251c,252cに当接させるシール面として利用するので、加硫成形時のシール性の向上を図ることができる。
【0071】
これにより、膜部232を外筒部材220の外周面側(即ち、外周切除面221a側)まで延設させた場合でも、各段部251c,252cによる平坦切除面223aのシールにより、外筒部材220の大径筒部22の外周面へのゴム載り(ゴムバリの付着)を抑制できるので、外筒部材22をサスペンションアームSA(図1参照)へ圧入する際の圧入荷重の増加および圧入後の抜け荷重の減少を抑制することができる。
【0072】
加硫工程において第1成形体FBを成形した後は、その第1成形体FBに対し、絞り金型SMを用いた絞り加工を施し、外筒部材220の大径筒部22を縮径させることで、防振装置201(図5参照)の製造が完了する。
【0073】
以上のように、第2実施の形態では、防振基体230が膜部232を備え、その膜部232は、小径筒部221の内周面に加硫接着された防振基体部分から、小径筒部221の軸方向端面を越え、小径筒部221の外周面(即ち、外周切除面221a)まで延設されるので、内筒部材10(図5参照)が外筒部材220に対して軸方向へ相対的に大変位した場合でも、膜部232の端部に引張力が作用し難くすることができる。その結果、膜部232の端部と小径筒部221との間の接着剥離を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
【0074】
また、防振基体230に連なる膜部232が小径筒部221の軸方向端面を越えて外周面(外周切除面221a)まで延設されることで、その分、接着面積を拡大することができる。よって、仮に膜部232の端部(平坦切除面223a側の端部)から接着剥離が発生した場合でも、接着面積が拡大されている分、接着剥離が防振基体230まで到達することを抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
【0075】
更に、本実施の形態では、膜部232が、小径筒部221の軸方向端面を越えて外周面(外周切除面221a)まで延設される構成において、その膜部232の端部が平坦切除面223aに加硫接着される。即ち、膜部232は、小径筒部221の内周面および軸方向端面と外周切除面221aとにそれぞれ加硫接着されるだけでなく、端部が平坦切除面223aにも加硫接着される。よって、その分、接着面積をさらに拡大させることができるので、接着剥離が防振基体230まで到達することの抑制効果を高め、耐久性の一層の向上を図ることができる。
【0076】
次いで、図10を参照して、第3実施の形態から第5実施の形態における防振装置301〜501について説明する。第1実施の形態では、外筒部材20の小径筒部21における内周面側のみに防振基体30が加硫接着される場合を説明したが、第3実施の形態から第5実施の形態では、防振基体330〜530の一部(膜部332〜532)が外筒部材20の小径筒部21における軸方向端面まで少なくとも延設される。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0077】
なお、第3実施の形態から第5実施の形態における防振装置301〜501は、膜部332〜532を備える点を除き、その他の構成は、第1実施の形態における防振装置1と同一であるので、その説明を省略する。
【0078】
図10(a)から図10(c)は、第3実施の形態から第5実施の形態における防振装置301〜501の部分拡大断面図であり、それぞれ図2(b)に対応する。膜部332〜532は、ゴム状弾性体から防振基体330〜530の一部として構成される。
【0079】
図10(a)に示すように、第3実施の形態における膜部332は、外筒部材20の小径筒部21の内周面に加硫接着されている防振基体部分(小径筒部21の内周側に加硫接着され軸方向に沿って一定の厚みを有する膜状に形成される防振基体330の部分)に一端側が連なると共に、その一端側から小径筒部21の軸方向端面まで延設される。なお、膜部332は、小径筒部21の内周面および軸方向端面に加硫接着される。
【0080】
図10(b)に示すように、第4実施の形態における膜部432は、第3実施の形態における膜部332に対し、その延設長さが、小径筒部21における軸方向端面と外周面との稜線部分まで延長され、小径筒部21の軸方向端面の全域を覆う。なお、膜部432は、小径筒部21の内周面および軸方向端面に加硫接着される。
【0081】
図10(c)に示すように、第5実施の形態における膜部532は、第4実施の形態における膜部432に対し、小径筒部21における軸方向端面と外周面との稜線部分で折り返し、小径筒部21の外周側を通過し、他端側が傾斜筒部23の外周面に連結される位置まで延設される。なお、膜部532は、小径筒部21の内周面、軸方向端面及び外周面と傾斜筒部23の外周面とに加硫接着される。
【0082】
ここで、膜部332〜532の厚み寸法は延設方向に沿って一定の厚み寸法とされ、小径筒部21の内周面に加硫接着されている防振基体部分の厚み寸法(図10(a)上下寸法)とそれぞれ同一とされる。
【0083】
これら第3実施の形態から第5実施の形態における防振装置301〜501を加硫成形する場合、第3実施の形態における防振装置301では外筒部材20の小径筒部21の軸方向端面(又は、小径筒部21の軸方向端面および外周面)を、第4実施の形態における防振装置401では、外筒部材20の小径筒部21の外周面(又は、小径筒部21の外周面および大径筒部22の外周面)を、第5実施の形態における防振装置501では、外筒部材20の傾斜筒部23の外周面(又は、傾斜筒部23の外周面および大径筒部22の外周面)を、それぞれ加硫金型の内壁面でシールする。
【0084】
このように、第3実施の形態から第5実施の形態における防振措置301〜501では、外筒部材20の小径筒部21の内周面に加硫接着された防振基体部分に連なり少なくとも小径筒部21の軸方向端面まで延設される膜部332〜532を設けたので、内筒部材10(図2参照)が外筒部材20に対して軸方向(図10左右方向)へ相対的に大変位した場合でも、膜部332〜532の端部(防振基体部分に連なる部分と反対側の端部)に引張力が作用することを抑制することができる。その結果、膜部332〜532の端部と小径筒部21又は傾斜筒部23との間の接着剥離を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
【0085】
また、このように、防振基体部分に連なる膜部332〜532が少なくとも小径筒部21の軸方向端部まで延設されることで、その分、接着面積を拡大することができる。よって、仮に膜部332〜532の端部(防振基体部分に連なる部分と反対側の端部)から接着剥離が発生した場合でも、接着面積が拡大されている分、接着剥離が防振基体部分まで到達することを抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
【0086】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0087】
上記各実施の形態で説明した数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0088】
上記各実施の形態では、外筒部材20,220の形状として、小径筒部21,221の外周面の外径寸法が大径筒部22の内周面の内径寸法よりも大きくされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。即ち、外筒部材20,220は、絞り金型SMによる絞り加工(図4参照)及び切削加工(図7(a)参照)が施される前において、小径筒部21,221の外周面の外径寸法が大径筒部22の内周面の内径寸法よりも小さくされていても良い。
【0089】
上記各実施の形態では説明を省略したが、外筒部材20,220の製造方法には種々の製造方法が適用できる。この製造方法としては、例えば、軸Oに沿って同径のストレートパイプの軸方向両端に絞り加工を施して径方向内方へ縮径させ、その縮径させた部分を小径筒部21,221とすることで、外筒部材20,220を製造する方法や、軸Oに沿って同径のストレートパイプの軸方向中央部を液圧などにより径方向外方へ拡径させ、その拡径させた部分を大径筒部22とすることで、外筒部材20,220を製造する方法などが例示される。
【0090】
上記各実施の形態では、すぐり部31が外筒部材20,220の大径筒部22と傾斜筒部23,223との連結部分に略一致する位置まで凹設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、すぐり部31が、大径筒部22と傾斜筒部23,223との連結部分を越えて凹設されていても良く、或いは、大径筒部22と傾斜筒部23,223との連結部分まで達していなくても良い。
【0091】
上記各実施の形態では、すぐり部31が全周にわたって凹設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、周方向の一部のみに凹設されていても良く、その場合には、軸方向に貫通して形成されていても良い。或いは、すぐり部31の凹設を省略して構成しても良い。いずれの場合であっても、上記各実施の形態で説明した効果を奏することができる。
【0092】
上記第2実施の形態では、膜部232の他端側(図6下側)を平坦切除面223aに加硫接着する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、膜部232の他端側を平坦切除面223aに加硫接着せずに構成することは当然可能である。この場合には、平坦切除面223aへの接着剤の塗布を省略できるので、平坦切除面223aに当接してシールする各段部251d,252dへの接着剤の付着を抑制して、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0093】
上記第2実施の形態では、外周切除面221aが傾斜筒部223だけでなく小径筒部221にも形成される(即ち、小径筒部221の外周面にも切削加工が施される)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、外周切除面221aが傾斜筒部223のみに形成される(即ち、小径筒部221の外周面には切削加工が施されず、傾斜筒部223のみに切削加工が施される)構成であっても良い。第2実施の形態における構成では、平坦切除面223aの面積を十分に確保して、加硫成形時のシール性の向上を図ることができ、本変形例の場合には、外筒部材220の切削加工による切除量を最小限として、外筒部材220の強度を確保できる。
【符号の説明】
【0094】
1,201,301,401,501 防振装置
10 内筒部材
20,220 外筒部材
21,221 小径筒部
22 大径筒部
23,223 傾斜筒部
223a 平坦切除面(平坦面部)
30,230,330,430,530 防振基体
232,332,432,532 膜部
SM 絞り金型
Mdv 分割片(絞り金型の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の内筒部材と、前記内筒部材を同軸状に取り囲む筒状の外筒部材と、前記内筒部材および外筒部材を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体と、を備え、前記防振基体の成形後に前記外筒部材に絞り金型を用いた縮径方向への絞り加工が施された防振装置において、
前記外筒部材は、軸方向両端に位置する筒状の小径筒部と、前記小径筒部の間に位置し前記小径筒部よりも大径に形成される筒状の大径筒部と、前記大径筒部および小径筒部を連結し前記大径筒部から小径筒部へ向けて漸次縮径する傾斜筒部と、を備え、
前記防振基体は、少なくとも前記防振基体の大径筒部、傾斜筒部および小径筒部の内周面に加硫接着されて、前記内筒部材と外筒部材とを連結し、
前記絞り金型を用いた絞り加工が前記外筒部材の傾斜筒部および小径筒部を除き大径筒部のみに施されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記防振基体は、前記外筒部材の小径筒部の内周面に加硫接着された防振基体部分に連なり少なくとも前記小径筒部の軸方向端面に加硫接着される膜部を備えることを特徴とする請求項1記載の防振装置。
【請求項3】
前記防振基体の膜部は、前記外筒部材の小径筒部の内周面に加硫接着された防振基体部分に連なりつつ前記小径筒部の軸方向端面および小径筒部の外周面に加硫接着されることを特徴とする請求項2記載の防振装置。
【請求項4】
前記外筒部材の傾斜筒部は、切削加工が施されることで軸方向に直交し軸方向視円環状に形成される平坦面部を備えることを特徴とする請求項3記載の防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−202460(P2012−202460A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66468(P2011−66468)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】