説明

防曇性物品及びその製造法、並びに防曇性被膜形成用塗布剤

【課題】本発明では、防曇性、耐磨耗性等を満足させつつ、レベリング工程の時間短縮を図れる防曇性被膜を得るための塗布剤、及び防曇性物品、並びにその製造方法を提供すること課題とする。
【解決手段】基材上に形成される防曇性被膜を得るための塗布剤で、以下の(A)〜(D)の混合物及び溶媒からなるものとすること。
(A)有機イソシアネート、(B)吸水性ポリオール、(C)アクリルポリオール、
(D)活性水素基含有界面活性剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用、洗面所用等の防曇鏡、車両用、建築用等の防曇窓ガラス又は防曇鏡、レンズ、ディスプレー等各種用途に用いることが可能な防曇性被膜形成用塗布剤、及び防曇性物品、並びにその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスやプラスチック等の透明基材は、基材を挟んで内面と外面の温湿度の差により、一方の表面が露点以下になった場合、又は、基材に対して急激な温湿度変化が起こった場合(沸騰水蒸気が基材に接触した場合、低温部から高温多湿の環境に移った場合等)に雰囲気中の水分が水滴として付着し、基材表面は結露する。その結果、結露した水滴により光の散乱が起こる。いわゆる「曇り」が発生することで、視界が妨げられ、一般的な窓ガラス、自動車や航空機のフロントガラス、反射鏡、眼鏡、サングラス等では、安全性が著しく損なわれる。
【0003】
上記「曇り」の発生を防止する方法として、基材上に防曇性被膜が形成された各種防曇性物品が検討されている。そして、得られる膜の防曇性と耐磨耗性の両立のため、界面活性剤の親水性とウレタン樹脂の弾性による耐磨耗性を利用した防曇性物品が検討されている。例えば、特許文献1では、ウレタン樹脂の3次元架橋構造中に界面活性剤を含有させた防曇性被膜が開示されている。しかし、該公報で開示された内容物は、界面活性剤が3次元架橋構造中に担持されているにすぎず、界面活性剤が経時とともに樹脂から流出するので、防曇性が劣化するという問題が生じる。
【0004】
特許文献2では、イソシアネート基を有するイソシアネートと吸水性のポリビニルピロリドンとの2液硬化型樹脂に、イソシアネート基と反応する官能基を有する界面活性剤を導入することで、樹脂の3次元架橋に界面活性剤を結合させた防曇性被膜が開示されている。
【0005】
又、特許文献3では、イソシアネート基を有するイソシアネートと親水性のポリオールとの2液硬化型樹脂に、イソシアネート基と反応する官能基を有する界面活性剤を導入することで、樹脂の3次元架橋に界面活性剤を結合させた防曇性被膜が開示されている。
【0006】
上記特許文献1乃至2の各公報で開示され防曇性被膜が形成された防曇性物品は、界面活性剤が弾性のある樹脂の3次元架橋と結合しているので、防曇持続性と他の樹脂と比較して良好な耐磨耗性の両方を兼ね備えている。
【0007】
しかし、他の樹脂と比べて良好な耐磨耗性であっても、建築用や車両用の窓ガラスや鏡へ、これら防曇性被膜形成用塗布剤から防曇性被膜を形成して得られる防曇性物品は、耐磨耗性はまだ十分ではなく、長期使用に耐えることができない等の問題があった。そして、これら問題を克服すべく、本出願人は、例えば、特許文献4に開示されているような被膜の吸水性と親水性とを適切に制御した防曇性物品を提供してきた。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−85939号公報
【特許文献2】特表昭61−502762号公報
【特許文献3】特表2000−515572号公報
【特許文献4】国際公開2004/13063号のパンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記ような優れた防曇性物品を低コストで提供するために安定的な生産体制の確立は必須である。この防曇性物品の防曇性被膜は、被膜の吸水性を十分発揮させるために、5μm〜40μmの比較的厚い膜厚の膜を形成する必要がある。又、防曇性物品は、光透過や光反射等の物品の本来の特性を保持させる必要があるため、防曇性被膜はこれら光学特性を損なうことがないように形成されなければならない。
【0010】
そのためには、塗布剤の基材への塗布後に塗布された液を基材上にて膜厚偏差を均一にするためのレベリング工程を行い、塗布厚みを均質にする必要がある。なぜなら、不十分のレベリングは、防曇性物品の光学歪をもたらすからである。このことは、上記ような比較的厚い膜厚の膜を形成する場合や基材のサイズが大きい場合、基材が曲面を有している場合に特に顕著となる。
【0011】
そして、このレベリング工程の時間短縮は、防曇性物品を低コストで提供するためには欠かせない課題である。この時間短縮のために塗布剤に、例えば、特開2003−20442号公報のようにシリコーン系レベリング剤を導入することが行われている。しかしながら、シリコーン系レベリング剤は、防曇性物品の吸水性、親水性の阻害要因となり、物品の防曇性を低下させる等の問題が生じる。
【0012】
本発明では、防曇性、耐磨耗性等を満足させつつ、レベリング工程の時間短縮を図れる防曇性被膜を得るための塗布剤、及び防曇性物品の製造方法を提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために、ウレタン系防曇性被膜を得るための塗布剤について検討し、膜厚偏差を均一化するレベリング工程を短縮させることが可能な塗布剤を見出すに至った。
【0014】
すなわち本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、以下の(A)〜(D)の混合物及び溶媒からなることを特徴とする。
(A)有機イソシアネート
(B)吸水性ポリオール
(C)アクリルポリオール
(D)活性水素基含有界面活性剤
【0015】
(A)成分の有機イソシアネートは、硬化剤の役割をし、(B)〜(D)成分中の水酸基、アミノ基、メルカプト基等の活性水素基と反応し、ウレタン架橋を生じせしめる。
【0016】
(B)成分の吸水性ポリオールは、被膜となったときに主として被膜に吸水性の機能を発揮させるもので、それ自体は水溶性のもの、非水溶性のものを使用できるが、被膜の硬度、耐磨耗性等を考慮するとポリオキシアルキレン系のポリオールを使用することが好ましい。その中でも、平均分子量400〜5000のオキシエチレン鎖を有するポリオキシアルキレン系のポリオールが好ましい。そして、さらには、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等を有するポリオールを使用できる。
【0017】
この中で、このオキシエチレン鎖は、水を結合水として吸収する機能を有し、防曇性被膜に吸水性による防曇性を発現させることを可能とする。かくして、雰囲気温度が5℃以下となる冬季等の低温環境での防曇性を考慮するとオキシエチレン鎖を有するポリオールを使用することが特に好ましい。そして、防曇性被膜の吸水性、耐磨耗性、硬度等を考慮し、該ポリオキシアルキレン中のオキシエチレン単位[−CHCHO−]は、有機イソシアネート、ポリオール、及び活性水素基含有界面活性剤の総量(以下、ウレタン成分総量)に対して10重量%〜15重量%とすることが好ましい。又、同様の主旨で、吸水性ポリオールを、ウレタン成分総量に対して、5重量%〜30重量%、好ましくは、10重量%〜20重量%とすることが好ましい。
【0018】
又、前記ポリオキシアルキレン系のポリオールの平均分子量は、400〜5000とすることが好ましい。平均分子量が400未満の場合、水を結合水として吸収する能力が低くなる傾向となり、平均分子量が5000を超える場合は、塗布剤の硬化不良や膜強度の低下等の不具合が生じやすくなる。吸水性や膜強度等を鑑み、該平均分子量は、400〜4500がより好ましい。
【0019】
特に前記ポリオキシアルキレン系のポリオールが、ポリエチレングリコールの場合、水を吸水する能力、硬化不良や膜強度を考慮すると、平均分子量を400〜2000とすることが好ましい。又、オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオールの場合、平均分子量を1500〜5000とすることが好ましい。
【0020】
(C)成分のアクリルポリオールは、防曇性被膜の耐摩耗性、耐水性、及び塗布剤を基材に塗布した際の膜厚偏差を均一化するレベリング工程を短縮化させることに奏功する。本出願人は、特許文献4のように吸水性ポリオール、疎水性ポリオールが適正化することにより、長期使用に耐えうる親水性と吸水性を有するウレタン系防曇性被膜を提供している。そして、この疎水性ポリオールとして、アクリルポリオールを使用することにより、新たにレベリング工程を短縮化させる塗布剤を提供することに成功した。
【0021】
又、このアクリルポリオールは、防曇性被膜の表面摩擦係数を下げる効果、すなわち、膜表面にスリップ性を付与する効果をも有する。防曇性被膜は、使用中に膜表面に多種多様の付着物が付着し、外観及び品質を阻害することは容易に想定され、それらの付着物を除去するために、通常では、布等での払拭が行なわれる。その際、表面のスリップ性が不足している場合は、払拭作業において、除去時間の増加、拭きムラによる外観不良等の不具合が発生する。払拭作業中は、付着物を膜表面に擦りつけるため、スリップ性が悪い場合は、付着物が膜表面に引っかかりやすく、擦り傷も多々発生することや、払拭作業に使用する布等が逆に膜表面に貼り付く等、悪影響を与える場合がある。膜表面のスリップ性が高いと、膜の耐磨耗性、防汚性が向上するので、スリップ性は実用的な観点から非常に重要な物性である。
【0022】
通常、耐久性を向上させる成分を導入すると、防曇性被膜の防曇性が低下し、特には、冬季等の低温環境での防曇性の発現は難しくなる。しかしながら、アクリルポリオールは、被膜の防曇性の低下させることなく、防曇性被膜表面にスリップ性、被膜の耐磨耗性、耐水性の向上等をもたらす。
【0023】
該アクリルポリオールは、平均分子量を2000〜4000とすることが好ましい。2000未満の場合、被膜の耐磨耗性が低下する傾向にあり、4000超では、塗布剤の塗布性が悪くなり、被膜の形成が難しくなる傾向にある。又、得られる被膜の緻密性、硬度を考慮すると、該ポリオールの水酸基数は3又は4とすることが好ましい。
【0024】
そして、該ポリオールはウレタン成分総量に対して、10重量%〜20重量%とすることが好ましい。10重量%未満では、得られる被膜の耐磨耗性、耐水性の向上に効果が少なく、20重量%超では、得られる被膜の防曇性が低下する傾向にあるからである。
【0025】
(D)成分の活性水素基含有界面活性剤は、主として得られる被膜の防曇性の持続性に寄与する。本発明の塗布剤から得られる防曇性被膜は吸水性を有するので、防曇性発現の初期では水が膜中に吸水される。この吸水が主として防曇性の発現に寄与する。この吸水が飽和に達した段階では、界面活性剤の高い水膜形成能によって、防曇性が持続する。
【0026】
膜に高い水膜形成能を付与する界面活性剤にイソシアネートと反応性する活性水素基を設けることによって、該界面活性剤は、塗布剤が硬化後に界面活性剤がウレタン架橋と結合する。従って、膜から界面活性剤が溶出することがないので、防曇性被膜の高耐久化、防曇性の持続性に奏功する。
【0027】
該界面活性剤は、ウレタン成分総量に対して、15重量%〜20重量%とすることが好ましい。15重量%未満では、前記した防曇性の持続に対する効果が少なく、20重量%超では、膜強度が低下する傾向があるからである。
【0028】
ポリオール成分には、吸水性ポリオール及び疎水性ポリオールに加えて、平均分子量60〜200の短鎖ポリオールを加えることが好ましい。鎖長延長剤としての短鎖ポリオールは、鎖長延長剤として機能するので、成膜後の膜の弾性を阻害させずに硬化性を高めることができる。短鎖ポリオールの平均分子量が60未満では、形成される膜の弾性が劣り、200超では形成される膜の硬化性が悪くなる。
【0029】
防曇性物品は、上記塗布剤を基材上に塗布し、防曇性被膜を形成させることができ、該被膜は、アクリル成分、及び吸水成分(好ましくはオキシエチレン鎖)、並びに界面活性剤とを含有するウレタン樹脂系の防曇性被膜であり、アクリルポリオール(疎水性ポリオール)由来のアクリル成分、吸水性ポリオール由来の吸水成分、及び活性水素基含有界面活性剤由来のウレタン樹脂架橋と結合した界面活性剤とが適切に含有されることにより各種特性に優れる防曇性被膜及び基材とからなる防曇性物品を得ることができる。
【0030】
そして、前記各種特性に優れる防曇性物品は、少なくとも上記(B)乃至(D)成分のポリオール成分、及び活性水素基含有界面活性剤の混合物、上記(A)成分の有機イソシアネート、及び溶媒を混合することで得られる塗布剤を基材に塗布し、室温で放置又は170℃まで、好ましくは80℃以上の熱処理で被塗布剤を硬化させることによって効率的に得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、基材の塗布した後の膜厚偏差を均一化するレベリング工程を短縮化することが可能なので、防曇性物品の生産性の向上に効果を奏する。又、本発明の防曇性物品は、防曇性に優れ、且つ耐磨耗性、耐水性が高く、被膜表面のスリップ性が良好なので防汚性が高く、優れた防曇機能を有する防曇性物品を長期に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤は、基材に防曇性被膜を形成するための防曇性被膜形成用塗布剤であって、前記防曇性被膜形成用塗布剤が、ウレタン樹脂系の塗布剤であり、有機イソシアネート、ポリオール成分、及び活性水素基含有界面活性剤の混合物、及び溶媒とからなる塗布剤である。
【0033】
有機イソシアネートには、有機ジイソシアネート、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット及び/又はイソシアヌレート構造を有する3官能の有機ポリイソシアネートを使用できる。当該物質は、耐候性、耐薬品性、耐熱性があり、特に耐候性に対して有効である。又、当該物質以外にも、ジイソフォロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチルシクロヘキシル)ジイソシアネート及びトルエンジイソシアネート等も使用することができる。
【0034】
前記有機イソシアネートに存在するイソシアネート基の数を、ポリオール成分、及び界面活性剤等各成分に存在する水酸基及びメルカプト基並びにアミノ基等の活性水素基の数に対して、0.8倍量〜2倍量、より好ましくは0.9倍量〜1.3倍量となるように調整することが好ましい。0.8倍量未満の場合は、塗布剤の硬化性が悪化するとともに、形成された膜は未反応界面活性剤が膜表面に溶出するので、膜のべたつき感が出る等の不具合が生じやすくなる。一方、2倍量を超える場合は、過剰硬化により、防曇性が低下しやくなる。
【0035】
界面活性剤は塗布剤から形成される膜に親水性を付与して防曇性を発現させる成分であり、水酸基、メルカプト基、アミノ基等のイソシアネート基と反応し結合する官能基の活性水素基を有する。前記界面活性剤としては、陽イオン系、陰イオン系、両性イオン系、非イオン系を使用できる。
【0036】
活性水素基含有陰イオン系界面活性剤としてはひまし油モノサルフェート、ひまし油モノホスフェート、ソルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ソルビタン脂肪酸エステルホスフェート、ソルビトール脂肪酸エステルサルフェート、ソルビトール脂肪酸エステルホスフェート、ショ糖脂肪酸エステルサルフェート、ショ糖脂肪酸エステルホスフェート、ポリオキシアルキレンひまし油エーテルモノサルフェート、ポリオキシアルキレンひまし油エーテルモノホスフェート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルサルフェート、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルホスフェート、ポリオキシアルキレングリセリンエーテルモノサルフェート、ポリオキシアルキレングリセリンエーテルモノホスフェート等が挙げられる。
【0037】
活性水素基含有陽イオン系界面活性剤としてはジアルカノールアミン塩、トリアルカノールアミン塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミンエーテル塩、脂肪酸トリアルカノールアミンエステル塩、ポリオキシアルキレンジアルカノールアミンエーテル塩、ポリオキシアルキレントリアルカノールアミンエーテル塩、ジ(ポリオキシアルキレン)アルキルベンジルアルキルアンモニウム塩、アルキルカルバモイルメチルジ(ポリオキシアルキレン)アンモニウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルアンモニウム塩、ポリオキシアルキレンジアルキルアンモニウム塩、リシノレアミドプロピルエチルジモニウムエトスルファート等が挙げられる。
【0038】
活性水素基含有両性イオン系界面活性剤としては、N,N−ジ(β−ヒドロキシアルキル)N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシアルキルアンモニウムベタイン、N−β−ヒドロキシアルキル−N,N−ジポリオキシアルキレン−N−カルボキシアルキルアンモニウムベタイン、N−アルキル−N,N−ジ(ポリオキシアルキレン)アミンとジカルボン酸のモノエステル、N−(ポリオキシプロピレン)−N′,N′−ジ(ポリオキシエチレン)アミノアルキル−N−アルキル−N−スルホアルキルアンモニウムベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)−N−アルキル−N−スルホアルキルアンモニウムベタイン、N−(β−ヒドロキシアルキルアミノエチル)−N−(β−ヒドロキシアルキル)アミノエチルカルボン酸、N,N′−ビス(2−ヒドロキシアルキル)−N,N′−ビス(カルボキシエチル)エチレンジアミン塩、N−(β−ヒドロキシアルキル)−N′,N′−ジ(ポリオキシエチレン)−N−カルボキシエチルエチレンジアミン塩等が挙げられる。
【0039】
活性水素基含有非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ塘脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油エーテル、ポリオキシアルキ レンアルキルアミンポリオキシアルキレンアルキルアミド等が挙げられる。
【0040】
活性水素基含有界面活性剤には、上記に挙げた界面活性剤を単種又は複種使用することができる。
【0041】
ポリオール成分中のアクリルポリオールは、得られる被膜の防曇性を低下させることなく、耐磨耗性、及び耐水性の向上に効果を奏し、且つ膜厚偏差を均一化するレベリング工程の短縮化に効果を発揮する。
【0042】
アクリルポリオールは、市中より入手可能であり、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、N−メチロールアクリルアミド等の水酸基含有モノマーを、スチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸第3ブチル、アクリロにトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸第3ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等と共重合することに得られたものを使用できる。
【0043】
又、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸第3ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミノ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸等の酸基含有モノマー、又は、フマル酸エステル、イタコン酸エステル等を上記水酸基含有モノマーと共重合させて得られるものでもよい。
【0044】
さらにポリオール成分には、吸水性ポリオール、及びアクリルポリオールの他に、必要に応じて、平均分子量60〜200の短鎖ポリオール、又はジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンを加えることができる。該ポリオールの水酸基数は、2又は3であることが好ましい。水酸基が2未満の場合は、該短鎖ポリオールが膜の骨格成分とならないため膜がもろくする傾向があり、3を超えた場合は、反応性が活性過ぎて、塗布剤が不安定となる傾向がある。
【0045】
短鎖ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,2'−チオジエタノール等が挙げられ、それらを単独、又は混合物、若しくはそれらの共重合体等を使用することができる。
【0046】
又、塗布剤には、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化ニオブ、酸化タンタル等の金属酸化物の前駆体であるエトキシド化合物、メトキシド化合物等のアルコキシド化合物、オキシハロゲン化合物、アセチル化合物、又は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、平均粒径が5nm〜50nmのコロイダルシリカ等のシリカ、チタニア、ジルコニア、アルミナ、酸化ニオブ、酸化タンタル等の金属酸化物の微粒子を必要に応じて添加してもよい。
【0047】
ポリオール成分、活性水素基含有界面活性剤を混合後に、有機イソシアネを添加混合することで、イソシアネート基と水酸基及びメルカプト基並びにアミノ基とが反応し、ウレタン結合が生じ、ウレタン樹脂が形成され始める。
【0048】
防曇性被膜形成用塗布剤の各形成原料、又は、混合物に溶媒を添加することができる。溶媒としては、イソシアネート基に対して活性のない溶媒でなければならず、防曇性被膜形成用塗布剤の各形成原料、又は、調製された防曇性被膜形成用塗布剤の相溶性から、メチルプロピレングリコール、ジアセトンアルコールが好ましい。
【0049】
次いで、防曇性被膜形成用塗布剤を基材へ塗布する。塗布手段としてはディップコート、フローコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷等の公知手段を採用できる。塗布後、約20℃の室温で放置又は170℃までの熱処理で、防曇性被膜形成用塗布剤を硬化させ、基材に防曇性被膜を形成する。熱処理の温度が170℃を超えると、ウレタン樹脂の炭化が起こり、膜強度が低下する等の不具合が生じる。塗布剤の硬化反応を促進させるためには、80℃〜170℃で熱処理を行うことがより好ましい。
【0050】
防曇性被膜の膜厚は、防曇性被膜形成用塗布剤の硬化反応後において5μm〜40μm程度にするのが望ましい。5μm未満であると、耐久性が劣る傾向にあり、40μmを超えると外観品質において光学歪みが発生する等の不具合が生じやすくなる。
【0051】
本発明の防曇性被膜形成用塗布剤を塗布する基材としては、代表的なものとしてはガラスが用いられる。そのガラスは自動車用、建築用等に通常用いられている板ガラスであり、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等による板ガラスであって、製法は特に問わない。
【0052】
ガラス種としては、クリアをはじめグリーン、ブロンズ等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、合わせガラスのほか複層ガラス、銀引き法、あるいは真空成膜法により作製された鏡、さらには平板、曲げ板等各種ガラス製品を使用できる。板厚は特に制限されないが、1.0mm以上10mm以下が好ましく、車両用としては1.0mm以上5.0mm以下が好ましい。基材への防曇性被膜の形成は、基材の片面だけであってもよいし、両面に行ってもよい。又、防曇性被膜の形成は基材面の全面でも一部分であってもよい。
【0053】
加えて、本発明の防曇性被膜形成用塗布剤を塗布する基材は、ガラスに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、ポリカーボネート等の樹脂、金属(特には金属鏡)、セラミックス等も使用することができる。又、物品の耐アルカリ性を向上するために、基材上に耐アルカリ性を向上させるプライマー層を形成させてもよい。これは、基材がガラス基材の場合特に好ましい。
【0054】
本発明の防曇性物品の使用用途としては、建築用には、屋内用鏡、浴室用、洗面所用等の鏡、窓ガラス等、車両、船舶、航空機等には、窓ガラスあるいは鏡、具体的にはルームミラー、ドアミラー等があげられ、その他に眼鏡やカメラ等のレンズ、ゴーグル、ヘルメットシールド、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、試験機、精密機器ケース等の開口部やのぞき窓、道路反射鏡、携帯電話等の移動通信体のディスプレー等があげられる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例および比較例で得られた防曇性物品は、以下に示す方法により品質評価を行った。
【0056】
〔外観評価〕:防曇性物品の外観、透過性、クラックの有無を目視で評価し、問題ないものを合格(○)、問題のあったものを不合格(×)とした。
【0057】
〔繰返防曇性〕:"JIS S 4030(1983年)「眼鏡用くもり止め剤試験法」"に準拠して43℃に設定した温水の水蒸気中に3分保持した時の曇り具合と、保持後に常温(23℃、湿度63%)中に取り出したときの呼気による曇り具合を観察する。この操作を1サイクルとして10サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生しないものを合格(〇)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。該評価項目は防曇性の持続性の指標とすることができる。
【0058】
〔低温防曇性〕:4℃に設定した冷蔵庫内に30分保持した後、常温(23℃、湿度63%)中に取り出したときの外観、曇り具合、呼気による曇りを観察する。この操作を1サイクルとして10サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生にしないものを合格(○)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。
【0059】
〔耐トラバース磨耗性〕:膜表面に荷重4.9N/4cm2でネル(綿300番)を5000往復させた時の外観と呼気防曇性を測定し、異常なきものを合格(○)、異常があったものを不合格(×)とした。
【0060】
〔鉛筆硬度〕:"JIS K 5600(1999年)「塗料一般試験方法」"に準拠して、荷重1kgが付加された鉛筆で膜表面を5回引っ掻き、膜の破れが2回未満であった鉛筆を鉛筆硬度とした。該鉛筆硬度は耐擦傷性の指標とすることができる。
【0061】
〔耐水性〕:23±2℃の水中に1時間浸漬させ、浸漬後に外観に異常がないもの、及び呼気によって曇りが発生しなかったもの、並びに鉛筆硬度の低下が1ランク以内であるものを(〇)、2ランク以上低下するものを不合格(×)とした。
【0062】
〔スリップ性評価〕:"JIS K 7125(1999年)「プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」"に準拠して、接触面積40cm2(一辺の長さ6.3cm)の正方形の滑り片を200g荷重で防曇性被膜上に乗せ、スリップ性を測定した。尚、滑り片の底面(供試体との接地面)には、実使用での布払拭を想定してネル(綿300番)で覆った。
【0063】
ここで、測定値より導かれた静摩擦係数が0.8以下のものを合格(○)、0.8を超えるものを不合格(×)とした。スリップ性付与による膜の耐久性向上のために前記静摩擦係数は低いほど好ましいが、防曇性との両立の観点から、実際上は0.4以上0.8以下の範囲で使用することができる。
【0064】
[レベリング性評価]レベリング性の評価は、生産性の面、及び、ウェット状態で長期間静置した場合は、リント付着などにより、外観不良の要因となるために極力短時間で完了させる必要がある。塗布剤の塗布処理後の基材(100mm×100mm)が静置されてから、目視観測にて、塗布処理体の光学歪、スジ等が消え、基材上の被塗布剤が平滑になるまでの時間が1分以内の塗布剤を合格(〇)、1分を超えるものを不合格(×)とした。
【0065】
実施例1
(防曇性被膜形成用塗布剤の調製)
有機イソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネート(商品名「N3200」住友バイエルウレタン製)を準備し、これを塗布剤Aとした。
【0066】
「63重量部のイソシアネート反応性基を有する界面活性剤であるスルフォン酸アミン塩、及び37重量部の吸水性ポリオールである平均分子量2100〜4500のエチレンオキサイド/プロピレングオキサイドの共重合体ポリオール」を27重量%有する溶液1(「VISGARD−A」;Film Specialties社製)、及び吸水性ポリオールである平均分子量1000のポリエチレングリコール、並びにアクリルポリオールを50重量%有する溶液2(「デスモフェンA450MPA/X」;住化バイエルウレタン社製)を準備した。
【0067】
スルフォン酸アミン塩及びエチレンオキサイド/プロピレングオキサイドの共重合体ポリオールが60重量部、ポリエチレングリコールが10重量部、アクリルポリオールが30重量部となるように前記溶液1、前記溶液2及びポリエチレングリコールを混合し、これを塗布剤Bとした。
【0068】
100gの塗布剤Bに対し、25gの塗布剤Aを添加混合し、ウレタン成分総量が35重量%となるように塗布剤A及び塗布剤Bの混合物に希釈溶媒としてジアセトンアルコールを添加混合し、防曇性被膜形成用塗布剤を調製した。
【0069】
(防曇性被膜の形成)
フロート法によって得られた100mm×100mm(2mm厚)のガラス基材上に上記で得られた塗布剤をスピンコートにより塗布し、スピンコート直後に水平を保った状態で、目視で歪がなくなるまで静置しておく。レベリング中の外観観察においてスピンコートによる放射状のスジが消えるまでの時間で求めたところ、1分以内にスジは無くなり、その後の約150℃約30分間の熱処理で、膜厚16μmの防曇性被膜を形成後も良好な外観を維持していた。
【0070】
尚、ガラス基材上には、物品の耐アルカリ性を向上させるために、プライマー層を形成している。そして、プライマ−層は、次ぎの手順で得られたものである。
【0071】
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(LS−3150、信越シリコーン社製)を、90重量%のエタノールと10重量%のイソプロピルアルコールからなる変性アルコール(エキネン F−1、日本アルコール販売製)で1重量%となるように調製し、これに加水分解性ジルコニウム化合物であるオキシ塩化ジルコニウム8水和物を、前記ケイ素化合物のケイ素量に対し、前記ジルコニウム化合物のジルコニウム量が、重量比で0.0008倍量となるように添加し、pH値が1.5であるプライマー層を得るための液が得られる。
【0072】
そして、該液を吸収したセルロース繊維からなるワイパー(商品名「ベンコット」、型式M−1、50mm×50mm、小津産業製)で、フロートガラス基材表面を払拭することで該溶液を塗布し、室温状態にて乾燥後、水道水を用いてワイパーで被塗布面を水洗することで、プライマー層が得られる。
【0073】
上記方法で得られた防曇性物品は、表1に示すように、各種防曇性能、各種磨耗性、耐水性が優れた防曇性被膜であることが確認された。
【0074】
【表1】

【0075】
実施例2
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の混合割合をスルフォン酸アミン塩及びエチレンオキサイド/プロピレングオキサイドの共重合体ポリオールを50重量部、ポリエチレングリコールを15重量部、アクリルポリオールを35重量部とし、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を43gとした以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚18μmの防曇性被膜を形成した。尚、本実施例の塗布剤は、1分以内にレベリングが完了し、実施例1と同様に優れたものであった。得られた防曇性物品は、表1に示すように、各種防曇性能、各種磨耗性、耐水性が優れた防曇性被膜であることが確認された。
【0076】
実施例3
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の混合割合をスルフォン酸アミン塩及びエチレンオキサイド/プロピレングオキサイドの共重合体ポリオールを75重量部、ポリエチレングリコールを5重量部、アクリルポリオールを25重量部とし、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を44gとした以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚21μmの防曇性被膜を形成した。尚、本実施例の塗布剤は、1分以内にレベリングが完了し、実施例1と同様に優れたものであった。得られた防曇性物品は、表1に示すように、各種防曇性能、各種磨耗性、耐水性が優れた防曇性被膜であることが確認された。
【0077】
比較例1
塗布剤Bの内、アクリルポリオールのみを使用し、100gの塗布剤Bに対し、34gの塗布剤Aを添加混合量した以外は実施例1と同様の操作で行い、膜厚25μmの被膜を形成した。本比較例の塗布剤は、レベリング性は良好であったが、得られた物品は、表1に示すように、防曇性をまったく示さないものであった。
【0078】
比較例2
塗布剤Bにアクリルポリオールを加えず、スルフォン酸アミン塩及びエチレンオキサイド/プロピレングオキサイドの共重合体ポリオールが80重量部、ポリエチレングリコールが20重量部となるように、前記溶液1、及びポリエチレングリコールを混合し、これを塗布剤Bとした。
【0079】
100gの塗布剤Bに対し、46gの塗布剤Aを添加混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、膜厚19μmの防曇性被膜を形成した。尚、本比較例の塗布剤は、レベリング完了に、約6分要し、レベリング性が劣っていた。また、得られた防曇性物品は、表1に示すように、耐トラバース磨耗性試験において布が膜面に付着し外観不良となると共に、スリップ性が劣っており、膜表面には、べとつき感があった。
【0080】
比較例3
塗布剤Bに吸水性ポリオールであるポリエチレングリコール、及び疎水性ポリオールのアクリルポリオールを加えず、「VISGARD−A」だけとしたものを塗布剤Bとした。100gの塗布剤Bに対して、40gの塗布剤Aを添加混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、膜厚22μmの防曇性被膜を形成した。尚、本比較例の塗布剤は、レベリング完了にレベリング性については、約4分間要し、レベリング性が劣っていた。また、得られた防曇性物品は、表1に示すように、耐トラバース磨耗性試験において布が膜面に付着し外観不良となると共に、耐水性が劣っていた。
【0081】
比較例4
塗布剤Bにアクリルポリオールを加えず、代りに平均分子量1250のポリカプロラクトンジオールが5重量部、短鎖ポリオールの1,4ブタンジオールが5重量部となるようにし、100gの塗布剤Bに対し、46gの塗布剤Aを添加混合した以外は、実施例1と同様の操作を行い、膜厚24μmの防曇性被膜を形成した。本比較例の塗布剤は、レベリング完了に約5分間要し、レベリング性が劣っていた。
【0082】
比較例5
比較例4組成に対して、レベリング剤として、ポリエーテル変性シリコーン(商品名「L−7607N」日本ユニカー製)を塗布剤に対して、0.05重量%となるように加え、その後は、実施例1と同様な操作を行い、膜厚18μmの防曇性被膜を形成した。本比較例の塗布剤は、1分以内でレベリングが完了したが、得られた防曇性物品は、防曇性評価において、曇りが発生した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に形成される防曇性被膜を得るための塗布剤で、以下の(A)〜(D)の混合物及び溶媒からなることを特徴とする防曇性被膜形成用塗布剤。
(A)有機イソシアネート
(B)吸水性ポリオール
(C)アクリルポリオール
(D)活性水素基含有界面活性剤
【請求項2】
吸水性ポリオールがポリオキシアルキレン系のポリオールであることを特徴とする請求項1に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
【請求項3】
ポリオキシアルキレン系のポリオールが、平均分子量400〜2000のポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項2に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
【請求項4】
ポリオキシアルキレン系のポリオールが、平均分子量400〜2000のポリエチレングリコール、及び平均分子量1500〜5000のオキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオールとの混合物であることを特徴とする請求項2に記載の防曇性被膜形成用塗布剤。
【請求項5】
吸水性ポリオール由来の吸水成分、アクリルポリオール由来のアクリル成分、及び架橋に結合した界面活性剤を有するウレタン系防曇性被膜と基材からなる防曇性物品。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の塗布剤を基材に塗布後、被塗布剤を硬化することを特徴とする防曇性被膜と基材とからなる防曇性物品の製造法。

【公開番号】特開2006−169440(P2006−169440A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366551(P2004−366551)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】