説明

防水コネクタ

【課題】導電部材がハウジング内に収容される際及び収容された状態において、この導電部材を十分に保護することができる防水コネクタを提供する。
【解決手段】嵌合孔11が形成されたベースハウジング4には、被覆電線100の一端101を収容した複数のソケットハウジング31が嵌合される。ソケットハウジング31に収容されたソケットコンタクト(32a、32b)は、被覆電線(100a、100h)の電線(103、103)に電気的に接続されている。ベースハウジング4に保持された接続部材(5a、5b)は、複数のソケットコンタクト32同士を電気的に接続する。ソケットハウジング31とベースハウジング4との間は、第1封止部材33によって液密的に封止される。ソケットハウジング31と被覆電線(100a、100h)の被覆部(102、102)との間は、第2封止部材(34a、34b)によって液密的に封止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線同士を電気的に接続する、防水コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、防水構造を有し、複数の電線を電気的に接続する防水タイプのコネクタが知られている。特許文献1に開示されたジョイントコネクタ(11)は、第1開口(9)が形成されたハウジング(3)と、このハウジング(3)内に配置された接続用導体(5)と、を備えている。そして、第1開口(9)に複数の電線(50)を差し込み、これらの電線(50)の先端に固定された端子(51)が接続用導体(5)にそれぞれ接触するように構成されている。これにより、複数の電線(50)が電気的に接続される。
【0003】
また、ハウジング(3)は、第1開口(9)に加え、第1開口(9)とは反対方向に開放された第2開口(11)を有しており、この第2開口(11)から端子(51)と接続用導体(5)との接続状態を視認できるように構成されている。
【0004】
上記の電線(50)の周囲には、防水用のゴム栓(57)が取り付けられており、ゴム栓(57)と電線(50)とによって、ハウジング(3)の第1開口(9)が塞がれている。また、第2開口(11)は、栓部材(7)によって塞がれている。上記の構成により、特許文献1に開示されたコネクタは、第1開口(9)及び第2開口(11)から水分がハウジング(3)内に侵入することが防止されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−40263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたコネクタは、端子(51)が、むき出しの状態でハウジング(3)に直接差し込まれる構成であるので、端子(51)を接続用導体(5)へ向けて案内する部材が無い。このため、特許文献1に開示のコネクタは、端子(51)が第1開口(9)に挿入される際、端子(51)が接続用導体(5)のうち本来の接触箇所と異なる箇所に接触してしまい、端子(51)の変形、損傷、或いは、端子(51)の引抜が行えない等の不具合を招き易くなっている。特に、防水用の栓部材(7)が電線(50)に取り付けられた構成では、端子(51)がハウジング(3)の第1開口(9)に挿入される際に、栓部材(7)が抵抗となってしまうので、端子(51)の挿入に比較的大きな力が必要であり、端子(51)が接続用導体(5)に強く当たって上記の変形、損傷等が生じやすい。また、電線(50)を介して端子(51)に外力が作用したとき、この外力の多くが、端子(51)と接続用導体(5)との接続部に作用し、この接続部の変形を招いてしまう。この場合、端子(51)を接続用導体(5)から引き抜くことができなくなる虞がある。よって、接続用導体(5)及び端子(51)として設けられた導電部材が、ハウジング(3)に収容される際及び収容された状態において、この導電部材を十分に保護することができる防水コネクタの実現が望まれる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、導電部材がハウジング内に収容される際及び収容された状態において、この導電部材を十分に保護することができる防水コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1発明に係る防水コネクタは、嵌合孔が形成されたベースハウジングと、被覆電線の一端を収容し、前記嵌合孔に嵌合される複数のソケットハウジングと、前記被覆電線の前記一端において前記被覆電線の電線に電気的に接続され、複数の前記ソケットハウジングに挿入される複数のソケットコンタクトと、前記ベースハウジングに保持され、複数の前記ソケットコンタクト同士を電気的に接続する接続部材と、複数の前記ソケットハウジングと前記ベースハウジングとの間を液密的に封止する第1封止部材と、複数の前記ソケットハウジングと前記被覆電線の被覆部との間を液密的に封止する第2封止部材と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
この発明によると、ソケットハウジングは、ソケットコンタクトを収容して保護することになる。このため、ベースハウジングへのソケットコンタクトの挿入を、ソケットハウジングで案内できる。これにより、ソケットコンタクトが接続部材の意図しない箇所に接触して損傷が生じることを防止することができる。特に、防水コネクタでは、防水用の封止部材が設けられており、ベースハウジングとの間で摩擦抵抗が生じるので、ソケットコンタクトを比較的大きい力でベースハウジングに挿入する必要がある。このことに起因して、ソケットコンタクトを接続部材に接続する際に、ソケットコンタクトを接続部材の意図しない箇所に強い力で接触させてしまい、接続部材に損傷を与える可能性がある。しかしながら、この発明によると、ベースハウジングへのソケットコンタクトの挿入を、ソケットハウジングによって案内できるので、このような不具合を防ぐことができる。その上、ソケットコンタクトをベースハウジングに挿入する前の状態において、ソケットコンタクトの取り扱い時の作業者の不注意によってソケットコンタクトに異物が接触してしまうことを防止することができる。このため、ソケットコンタクトの変形や損傷を防止することができる。また、被覆電線等を介してソケットコンタクトに外力が作用したとき、この外力を、ソケットハウジングで受けることができ、接続部材に伝わる力を小さくすることができる。このため、ソケットコンタクトから接続部材に過大な負荷が作用することを抑制でき、接続部材の変形及び損傷、ソケットコンタクトの接続部材への固着を抑制することができる。
【0010】
従って、本発明によると、導電部材としてのソケットコンタクト及び接続部材がハウジング内に収容される際及び収容された状態において、この導電部材を十分に保護することができる防水コネクタを提供することができる。
【0011】
第2発明に係る防水コネクタは、第1発明の防水コネクタにおいて、前記ソケットハウジングに前記ソケットコンタクトが収容された構成を備えるソケットコネクタが複数設けられ、少なくとも2つの前記ソケットコネクタは、前記ベースハウジングに取り付けられているとき、前記ソケットハウジングから突出する箇所における前記被覆電線の向きが互いに異なるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
この発明によると、少なくとも2つのソケットコネクタにおいて、ソケットハウジングから被覆電線が突出する向きが互いに異なっており、これにより、被覆電線の取り回しの自由度を増すことができる。
【0013】
第3発明に係る防水コネクタは、第2発明の防水コネクタにおいて、少なくとも2つの前記ソケットコネクタは、前記ベースハウジングに取り付けられているとき、前記ソケットハウジングから突出する箇所における前記被覆電線の向きが互いに平行で且つ逆向きとなるように配置されていることを特徴とする。
【0014】
この発明によると、2つのソケットコネクタから被覆電線が突出する方向は、平行且つ逆向きとなっており、このような直列的な配置にすることで、被覆電線及びベースハウジングが占めるスペースを小さくすることができる。
【0015】
第4発明に係る防水コネクタは、第1発明乃至第3発明のいずれかの防水コネクタにおいて、前記ソケットハウジングを前記ベースハウジングにロックするためのロック機構を更に備え、前記ロック機構は、前記ソケットハウジングにおいて前記ソケットコンタクトを収容するソケットハウジング本体から延びる弾性片部と、前記弾性片部に設けられたロック爪と、前記ベースハウジングに設けられ前記ロック爪を係止可能な係止部と、を有していることを特徴とする。
【0016】
この発明によると、ロック機構が設けられているので、ソケットハウジングが勝手にベースハウジングから外れないようにすることができる。更に、ソケットハウジングをベースハウジングに差し込むことで、ロック爪を係止部に係止することができる。これにより、ソケットハウジングをベースハウジングに容易にロックすることができる。
【0017】
第5発明に係る防水コネクタは、第1発明乃至第4発明のいずれかの防水コネクタにおいて、前記ベースハウジングは、複数の前記ソケットハウジングに嵌合可能な嵌合孔を複数有し、複数の前記嵌合孔のうち、前記ソケットハウジングが嵌合されていない前記嵌合孔を液密的に封止するためのキャップ部材を更に備えていることを特徴とする。
【0018】
この発明によると、キャップ部材によって、ベースハウジングが嵌合されていない状態の嵌合孔を塞ぐことができる。これにより、嵌合孔の数よりも少ないソケットコンタクトしか使用しない場合でも、ベースハウジング内への液体の侵入を抑制できる。これにより、防水コネクタのソケットコンタクトの数に拘らず、防水コネクタを使用することができるので、防水コネクタの汎用性を高くすることができる。
【0019】
尚、前記ロック機構が更に備えられている場合において、前記ベースハウジングは、前記ソケットハウジングを挟んで対向する2つの壁部を含み、前記2つの壁部の一方にのみ前記係止部が設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成によると、ソケットハウジングをベースハウジングに挿入する向きを間違えているとき、ロック爪は係止部に係止されず、ロック機構が機能しない。このため、挿入の向きを間違えたことを作業者に気付かせることができ、ソケットハウジングをベースハウジングに挿入する方向を間違えないようにすることができる。
【0021】
前記係止部が備えられている場合において、更に、前記弾性片部は、前記ベースハウジングから突出するように配置される操作部を含み、当該操作部の変位操作に伴って前記ロック爪と前記係止部との係合が解除可能とされていれば、より好ましい。
【0022】
このような構成によると、ソケットコンタクトを、容易に取り外し可能にベースハウジングに固定することができる。
【0023】
前記ロック機構が備えられている場合において、更に、前記弾性片部は、前記第1封止部材及び前記第2封止部材の間の位置で前記ソケットハウジング本体に接続されていることが、好ましい。
【0024】
このような構成によると、ロック爪からの力が第1封止部材及び第2封止部材に偏りなく作用するので、封止部材による封止効果がロック機構によって邪魔されることを、抑制することができる。
【0025】
また、前記ベースハウジングは合成樹脂製であり、樹脂成形時に前記接続部材と一体成形されることが、好ましい。
【0026】
このような構成によると、ベースハウジングと接続部材との密着性(液密性)を向上できる。
【0027】
また、前記ベースハウジングは、複数の前記ソケットハウジングに嵌合可能な嵌合孔を複数有しており、隣接する前記嵌合孔が隔壁によって仕切られた構成を有していることが、好ましい。
【0028】
このような構成によると、目標とする嵌合孔へのソケットハウジングの挿入を隔壁によって案内することができる。また、隔壁と第1封止部材とを接触させることにより、隔壁と第1封止部材との間を封止することができる。
【0029】
また、前記接続部材は、前記ベースハウジングに保持されるベース部と、当該ベース部から延び複数の前記ソケットコンタクトに接触するための複数の接続部とを有し、複数の前記接続部は、前記ベース部から延びる向きの互いに異なる第1接続部と第2接続部とを有していることが、好ましい。
【0030】
このような構成によると、接続部材を中心としてコンパクトに多くの接続部を配置することができる。
【0031】
この場合において、更に、前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記ベース部に対して反対方向に延びていれば、より好ましい。
【0032】
このような構成によると、狭いスペースにおいても第1接続部及び第2接続部の配置スペースを十分に確保することができる。
【0033】
この場合において、更に、前記第1接続部及び前記第2接続部の少なくとも一方は、複数設けられており、前記第1接続部及び前記第2接続部は、前記ベース部の延びる方向に沿って交互に配置されていることが、好ましい。
【0034】
このような構成によると、第1接続部及び第2接続部を、ベース部の延びる方向に短いピッチで配置できる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、導電部材がハウジング内に収容される際及び収容された状態において、この導電部材を十分に保護することができる防水コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態に係る防水コネクタを示す斜視図であり、分解された状態で図示されている。
【図2】本発明の一実施の形態に係る防水コネクタを示す斜視図であり、防水コネクタの各部材が結合された状態で図示されている。
【図3】防水コネクタの断面図であり、図2に対応して示す図である。
【図4】ベースコネクタ及びソケットコネクタの斜視図であり、ベースコネクタ及びソケットコネクタの一部を切断して図示している。
【図5】ベースコネクタをソケットコネクタ側から見た側面図である。
【図6】ソケットコネクタの断面図であり、図3に対応する図である。
【図7】ソケットコネクタの斜視図であり、ベースハウジングの一部も併せて示している。
【図8】被覆電線、第2封止部材、及びソケットコンタクトを示す斜視図であり、ソケットコンタクトがソケットハウジングの収容孔に収容される前の状態を示している。
【図9】ソケットコネクタをベースコネクタに着脱させる作動を説明するための側面図であって、ソケットコネクタは、断面で示し、ベースコネクタは、側面を示している。
【図10】ソケットコネクタをベースコネクタに着脱させる作動を説明するための断面図であって、ソケットハウジングがベースハウジングに嵌合された状態を示している。
【図11】変形例に係る防水コネクタのキャップ部材を示す斜視図である。
【図12】変形例に係る防水コネクタのキャップ部材がベースハウジングに挿入された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、被覆電線同士を電気的に接続する、防水構造の電気コネクタとして、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0038】
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係る防水コネクタ1を示す斜視図である。尚、防水コネクタ1は、図1において、分解された状態で図示されており、図2において、防水コネクタ1の各部材が結合された状態で図示されている。図3は、防水コネクタ1の断面図であり、図2に対応して示す図である。
【0039】
図1及び図2に示すように、防水コネクタ1は、当該防水コネクタ1に備えられる導電部材への外部からの液体の浸入が防止される防水コネクタとして設けられている。また、防水コネクタ1は、回路基板(図示せず)等から延びる複数の被覆電線100(100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、及び100h、100i、100j、100k、100l、100m、100n)の電線を短絡させる短絡コネクタとして設けられている。防水コネクタ1は、例えば、回路基板に設けられた電源回路(図示せず)に接続された1つの被覆電線100aからの電力を他の被覆電線(100b〜100g)に供給し、更に、回路基板に設けられた電源回路(図示せず)に接続された1つの被覆電線100hからの電力を他の被覆電線(100i〜100n)に供給するように構成された電源コネクタとして設けられる。即ち、防水コネクタ1は、複数の被覆電線(100a〜100g同士、100h〜100n同士)をそれぞれ並列接続する並列接続コネクタとして設けられる。
【0040】
防水コネクタ1は、上記した回路基板の近傍や、回路基板によって制御される油圧機械等の近傍や、屋外に配置されることがある。このため、防水コネクタ1は、防水構造を有しており、防水コネクタ1の周囲に存在する水分や油分等の液体分が、防水コネクタ1の導電部分に浸入することを抑制する構成を有している。
【0041】
図1に示すように、防水コネクタ1は、ベースコネクタ2と、複数のソケットコネクタ3(3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g)とを備えて構成されている。ベースコネクタ2は、ソケットコネクタ(3a〜3g)同士を接続するベースコネクタとして設けられており、ソケットコネクタ(3a〜3g)のそれぞれと電気的且つ機械的に接続される。
【0042】
図4は、ベースコネクタ2及びソケットコネクタ(3a、3g)の斜視図であり、ベースコネクタ2及びソケットコネクタ3aの一部を切断して図示している。図3及び図4に示すように、ベースコネクタ2は、ベースハウジング4と、接続部材5(5a、5b)とを備えて構成されている。ベースハウジング4は、導電部材である接続部材(5a、5b)を保持するとともに、ベースハウジング4に挿入されたソケットコネクタ(3a〜3g、図1参照)を保持する保持部材として設けられている。
【0043】
ベースハウジング4は、絶縁性材料である樹脂材料製の、中空のブロック状の部材として設けられている。ベースハウジング4を形成するための樹脂材料としては、例えば、LCP(液晶ポリマー、Liquid Crystal Polymer)、PA(ポリアミド、polyamide)、等の材料を用いることができる。また、ベースハウジング4の成形時、接続部材(5a、5b)を一体化する同時成形が行われる。これにより、ベースハウジング4には、接続部材(5a、5b)が一体に組み込まれて保持されている。
【0044】
図1及び図4に示すように、ベースハウジング4は、ソケットコネクタ(3a〜3g)が差し込まれる方向と平行な方向に延びている。ベースハウジング4は、ソケットコネクタ(3a〜3g)が差し込まれる方向と平行な長さ方向に長く、且つ、長さ方向と直交する幅方向に長く、且つ幅方向及び長さ方向と直交する高さ方向に短い偏平な形状に構成されている。
【0045】
ベースハウジング4の外周部は、板状の第1外壁部6、第2外壁部7、第3外壁部8、第4外壁部9、等を備えて構成されており、ベースハウジング4の長さ方向から見たとき、矩形状に形成されている。第1外壁部6の外側面の中央部には、凹部6aが形成されており、第1外壁部6の一部の厚みが薄くされている。
【0046】
図2に示すように、第2外壁部7及び第4外壁部9からは、一対のフランジ部(10、10)が突出している。一対のフランジ部(10、10)は、第2外壁部7の外側面及び第4外壁部9の外側面に設けられた突起状の部分である。一対のフランジ部(10、10)には、防水コネクタ1を保持する針金(図示せず)等の保持部材を通すための挿通孔が形成されている。
【0047】
図5は、ベースコネクタ2をソケットコネクタ(3a〜3d)側から見た側面図である。図4及び図5に示すように、ベースハウジング4の内部には、複数の嵌合孔11(11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g)が形成されている。嵌合孔11は、ソケットコネクタ3が嵌合される嵌合部として設けられており、少なくとも、ベースコネクタ2に結合されるソケットコネクタ3の数と同じかそれ以上の数が設けられている。嵌合孔11は、ソケットコネクタ3が挿入される方向と平行な方向、即ち、ベースハウジング4の長手方向に延びており、ソケットコネクタ3が挿入される方向と反対方向側に向かって、ベースハウジング4の外側に開放されている。
【0048】
図1及び図4に示すように、嵌合孔(11a〜11g)は、ベースハウジング4の外周部(第1外壁部6、第2外壁部7、第3外壁部8、第4外壁部9)、当該外周部の内側に設けられた第1隔壁12、第2隔壁13(13a、13b、13c)及び第3隔壁14(14a、14b、14c、14d)によって、形成されている。第1隔壁12は、ベースハウジング4の長さ方向の中間部に配置されて、ベースハウジング4の幅方向に延びており、接続部材5を保持する接続部材保持部として設けられている。この第1隔壁12は、ベースハウジング4のうち、長さ方向の中間部を塞ぐことにより、ベースハウジング4の内部空間を、長さ方向に2分割している。
【0049】
第2隔壁13は、第1隔壁12でベースハウジング4の長さ方向に分割されたベースハウジング4の内部空間を、更にベースハウジング4の幅方向に分割して仕切るように構成されている。第2隔壁13(13a、13b、13c)は、複数(本実施形態では3個)設けられており、第1隔壁12から嵌合孔11の開口まで延びている。第2隔壁13は、ベースハウジング4の幅方向に等間隔に配置されており、ベースハウジング4の長さ方向に延びている。3個の第2隔壁13(13a、13b、13c)、第1外壁部6、第2外壁部7、第3外壁部8及び第4外壁部9によって、4つの嵌合孔(11a、11b、11c、11d)が形成されている。
【0050】
第3隔壁14は、第1隔壁12で2分割された、ベースハウジング4の内部空間のうち、第2隔壁13が配置されているのと反対側の内部空間に配置されており、第1隔壁12で分割されたベースハウジング4の内部空間を、更にベースハウジング4の幅方向に分割して仕切るように構成されている。第3隔壁14(14a、14b、14c、14d)は、複数(本実施形態では4個)設けられており、第1隔壁12から嵌合孔11の開口まで延びている。第3隔壁14は、ベースハウジング4の幅方向に等間隔に配置されており、ベースハウジング4の長さ方向に延びている。第3隔壁14のうち、ベースハウジング4の幅方向の両端の2つの第3隔壁(14a、14d)は、第2外壁部7及び第4外壁部9とは離間して配置されている。4個の第3隔壁14(14a、14b、14c、14d)、第1外壁部6及び第3外壁部8によって、3つの嵌合孔(11e、11f、11g)が形成されている。
【0051】
図4及び図5に示すように、嵌合孔(11a、11b、11c、11d)は、第2隔壁13で複数に区分けされた第1嵌合孔として設けられている。また、嵌合孔(11e、11f、11g)は、第3隔壁14で複数に区分けされた第2嵌合孔として設けられている。尚、本実施形態では、第1嵌合孔と第2嵌合孔の数が異なっているが、同じでもよい。嵌合孔(11a、11b、11c、11d)と、嵌合孔(11e、11f、11g)は、互いに平行で且つ反対向きに開口されている。
【0052】
また、嵌合孔(11a、11b、11c、11d)の中心位置と、嵌合孔(11e、11f、11g)の中心位置とは、ベースハウジング4の幅方向にずれるように配置されている。詳細には、ベースハウジング4の幅方向に沿って、嵌合孔11aの中心、嵌合孔11eの中心、嵌合孔11bの中心、嵌合孔11fの中心、嵌合孔11cの中心、嵌合孔11gの中心、嵌合孔11dの中心の順に配置されており、ベースハウジング4の幅方向において、第2隔壁13側の嵌合孔11と第3隔壁14側の嵌合孔11とが交互に配列されている。
【0053】
各嵌合孔11の内部形状は、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される嵌合孔(11a〜11g)のうちの1つの嵌合孔11aについて説明し、他の嵌合孔(11b〜11g)についての説明を省略する。
【0054】
図3及び図5に示すように、嵌合孔11aの内面は、主に、ソケットコネクタ3が差し込まれる方向と平行に延びる面によって形成されている。嵌合孔11aには、奥側部15と、開口側部16とが設けられている。奥側部15は、ソケットコネクタ3のうち、先端側部分が挿入される部分として設けられており、第1外壁部6と連続している。奥側部15は、ベースハウジング4の長さ方向から見たときの形状が、ベースハウジング4の高さ方向に細長い長孔形状とされており、ソケットコネクタ3の後述する第1封止部材33を収容可能に構成されている。
【0055】
開口側部16は、奥側部15に対して、嵌合孔11aの開口側に配置されており、ベースハウジング4の外部空間に連続している。開口側部16は、ベースハウジング4の長さ方向から見たときに、奥側部15よりも大きい矩形状に形成されている。開口側部16には、ソケットコネクタ3が挿入される方向における中間部に、段部16aが形成されている。段部16aは、嵌合孔11において、ベースハウジング4の幅方向の両側に配置されており、ベースハウジング4の長さ方向と直交する面として設けられている。嵌合孔11aの開口面積(ベースハウジング4の長さ方向から見た面積)は、嵌合孔11aにおける段部16aの奥側と比べて手前側が大きくなっている。また、開口側部16の開口には、面取り部16bが形成されており、ソケットコネクタ3の挿入が容易となるように構成されている。
【0056】
また、開口側部16には、嵌合孔11aの開口から奥側に向けて延びる切り欠き部(16c、16c)が形成されている。切り欠き部(16c、16c)は、第1外壁部6の内側面を切り欠くことで形成されており、ベースハウジング4の幅方向における嵌合孔11aの両側に配置されている。この切り欠き部(16c、16c)には、ソケットコネクタ3aの後述する保護壁(36、37)が挿入される。
【0057】
接続部材5(5a、5b)は、複数のソケットコネクタ3の後述するソケットコンタクト同士を電気的に接続するための導電接続部材として設けられている。接続部材5は、金属材料等で構成された板状の導電部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、接続部材5の表面には、例えば、すずめっき又は金めっき、等のめっき処理が施されている。接続部材5は、1または複数(本実施形態においては、(5a、5b)の2個)設けられている。接続部材5aは、被覆電線(100a〜100g)同士を電気的に接続する第1接続部材として設けられている(図1乃至図4を参照)。また、接続部材5bは、被覆電線(100h〜100n)同士を電気的に接続する第2接続部材として設けられている。
【0058】
接続部材(5a、5b)は、ベースハウジング4の厚み方向に並んで平行に配置されており、接続部材5aは第1外壁部6に隣接して配置され、接続部材5bは第3外壁部8に隣接して配置されている。接続部材(5a、5b)は、互いに同様の構成を有している。このため、以下の説明では、同様に構成される接続部材(5a、5b)のうちの1つの接続部材5aの構成について説明し、他の接続部材5bの構成についての説明を省略する。
【0059】
図3及び図4に示すように、接続部材5aは、ベースハウジング4の樹脂成形時(射出成形時)にベースハウジング4と一体成形されており、ベースハウジング4の内側に配置されている。接続部材5aは、ベース部19と、接続部20とを備えて構成されている。ベース部19は、ベースハウジング4の幅方向沿って直線状に延びる細長い棒状部分であり、第1隔壁12に埋設されてベースハウジング4に保持されている。
【0060】
接続部20は、第1接続部21と、第2接続部22とを備えて構成されている。第1接続部21(21a、21b、21c、21d)は、嵌合孔(11a、11b、11c、11d)に嵌合されたソケットコネクタ3にそれぞれ接触して電気的且つ機械的に接続される接続要素として設けられている。第1接続部(21a〜21d)は、嵌合孔(11a〜11d)と同じ数設けられており、それぞれ、細長い矩形状でベース部19から嵌合孔(11a〜11d)に向けて延びている。第1接続部21は、嵌合孔11の奥側部15を通って開口側部16まで延びている。第1接続部21の先端部は、段部16aよりは、嵌合孔11の奥側に位置している。
【0061】
第2接続部22(22a、22b、22c)は、嵌合孔(11e〜11g)に嵌合されたソケットコネクタ3にそれぞれ接触して電気的且つ機械的に接続される接続要素として設けられている。第2接続部(22a、22b、22c)は、嵌合孔(11e〜11g)と同じ数設けられており、それぞれ、細長い矩形状でベース部19から嵌合孔(11e〜11g)に向けて延びている。第2接続部22は、嵌合孔11の奥側部15を通って開口側部16まで延びており、第2接続部22の先端部は、段部16aよりは、嵌合孔11の奥側に位置している。
【0062】
第1接続部21がベース部19から延びる方向と、第2接続部22がベース部19から延びる方向とは、異なっており、本実施形態では、ベースコネクタ2の長さ方向と平行で且つ互いに反対な方向である。また、第1接続部21と第2接続部22とは、ベース部19の延びる方向に沿って交互に配置されている。
【0063】
次に、ソケットコネクタ3について説明する。図1に示すように、ソケットコネクタ3は、前述したように、回路基板等に接続された被覆電線100の一端に設けられており、本実施形態では、複数(7個)設けられている。ソケットコネクタ(3a〜3g)は、ベースコネクタ2に接続されるように構成されており、これにより、ソケットコネクタ(3a〜3g)が電気的に接続される。
【0064】
ソケットコネクタ(3a〜3g)は、同様に構成されている。そして、ソケットコネクタ(3a〜3g)は、それぞれ、ベースコネクタ2に対して、同様の形態で実装される。このため、以下の説明では、同様に構成されるソケットコネクタ(3a〜3g)のうちの1つのソケットコネクタ3aの構成について説明し、他のソケットコネクタ(3b〜3g)の構成についての説明を省略する。
【0065】
図6は、ソケットコネクタ3aの断面図であり、図3に対応する図である。図3及び図6に示すように、ソケットコネクタ3aは、ソケットハウジング31、導電部材であるソケットコンタクト32(32a、32b)、第1封止部材33、第2封止部材34(34a、34b)、等を備えて構成されている。
【0066】
ソケットハウジング31は、ソケットコンタクト32(32a、32b)及び被覆電線100(100a、100h)の一端101(101a、101h)を収容し、且つ第1封止部材33及び第2封止部材(34a、34b)を保持する保持部材として設けられており、ベースハウジング4に対して着脱可能に構成されている。
【0067】
ソケットハウジング31は、絶縁性材料である樹脂材料によって、細長いブロック状の部材として設けられている。ソケットハウジング31を形成するための樹脂材料としては、例えば、ベースハウジング4と同様の材料を挙げることができる。
【0068】
ソケットハウジング31は、嵌合孔11に向けて挿入されることにより、大部分がベースハウジング4に収容され、且つ、ベースハウジング4にロックされる。図7は、ソケットコネクタ3の斜視図であり、ベースハウジング4の一部も併せて示している。図6及び図7に示すように、ソケットハウジング31は、ソケットコネクタ3がベースコネクタ2に挿入される方向(ベースハウジング4の長さ方向)を長手方向として、細長く形成されている。
【0069】
ソケットハウジング31は、ソケットハウジング本体35と、保護壁(36、37)と、弾性片部38とを備えて構成されている。ソケットハウジング本体35は、外周部39と、内部40とを備えて構成されている。外周部39に囲まれるように内部40が形成されている。外周部39は、ソケットハウジング31の長手方向に沿って配置された、先部39a、中間部39b及び基部39cを備えて構成されている。
【0070】
先部39aは、ベースハウジング4の高さ方向に長い縦長の形状を有しており、互いに向かい合う半円の円弧状の面の端部同士を、平行な2つの面で接続した構成となっている。先部39aの先端には、ベースハウジング4にソケットハウジング31が挿入されたときの受け部材として、鍔部39dが設けられている。鍔部39dは、ソケットハウジング31の内部40に対してソケットハウジング31の長手方向に突出するように形成されている。この鍔部39dに隣接して、先部39aには、保持溝39eが形成されている。保持溝39eは、鍔部39dの外周面に対して窪んだ形状に形成されており、第1封止部材33を保持している。鍔部39dに隣接して、中間部39bが配置されている。
【0071】
中間部39bは、弾性片部38及び保護壁(36、37)を支持する支持部として設けられている。中間部39bは、ソケットハウジング31の長手方向から見たときに、先部39aと比べて大きな形状の略矩形の形状に形成されている。また、ソケットハウジング31の長手方向において、中間部39bの長さは、先部39aの長さと略同じに構成されている。中間部39bのうちの1つの側面から、弾性片部38及び保護壁(36、37)が突出している。中間部39bと並ぶようにして、基部39cが配置されている。
【0072】
基部39cは、中間部39bとともに保護壁(36、37)を支持する支持部として設けられている。基部39cは、ソケットハウジング31の長手方向から見たときに、中間部39bと比べて大きな形状の略矩形の形状に形成されている。基部39cは、ソケットハウジング31の高さ方向(ベースハウジング4の高さ方向に相当)の長さが、中間部39bと同じに構成されている一方、ソケットハウジング31の幅方向(ベースハウジング4の幅方向に相当)の長さが、中間部39bよりも長くされている。尚、ソケットハウジング31の高さ方向、幅方向及び長手方向は、それぞれ、ベースハウジング4の高さ方向、幅方向及び長さ方向に相当する。
【0073】
基部39cの一側面から、保護壁(36、37)が突出している。外周部39の内側に、内部40が配置されている。内部40は、被覆電線(100a、100h)の一端(101a、101h)、ソケットコンタクト(32a、32b)及び第2封止部材(34a、34b)を保持する保持部として設けられている。内部40は、ソケットハウジング31の長手方向に沿って内部40を貫通して形成された収容室(41a、41b)を有している。収容室(41a、41b)の数は、ソケットコネクタ3aに接続される接続部材5の数と同じに構成されており、本実施形態では、2つ設けられている。収容室(41a、41b)は、ソケットハウジング31の高さ方向に並んでいる。
【0074】
収容室(41a、41b)は、同様に構成されており、更には、収容室(41a、41b)に配置されるソケットコンタクト(32a、32b)、被覆電線(100a、100h)及び第2封止部材(34a、34b)は、それぞれ、同様に構成されている。このため、以下の説明では、同様に構成される収容室(41a、41b)のうちの一方の収容室41aの構成について説明し、他方の収容室41bの構成についての説明を省略する。また、同様に構成されるソケットコンタクト(32a、32b)、被覆電線(100a、100h)及び第2封止部材(34a、34b)のうちのそれぞれの一方のソケットコンタクト32a、被覆電線100a及び第2封止部材34aの構成について説明し、他方のソケットコンタクト32b、被覆電線100h及び第2封止部材34bの構成についての説明を省略する。
【0075】
収容室41aのうち、外周部39の先部39a及び中間部39bに取り囲まれている部分は、断面積(ソケットハウジング31の長手方向から見た面積)が比較的小さく構成されている。この部分には、収容室41aの内面から収容室41aの内部に向けて延びる抜け止め突起としてのランス42が配置されている。ランス42は、収容室41aに挿入されたソケットコンタクト32が収容室41aから抜け出ることを抑制するための小片部材として設けられている。ランス42は、外周部39の中間部39bに囲まれており、収容室14aの内壁面から、ソケットハウジング31がベースハウジング4に向けて挿入される方向に向けて延びている。収容室41aのうち、基部39cに取り囲まれている部分は、断面積が比較的大きくされた、円筒状の部分であり、第2封止部材34aを収容している。
【0076】
図8は、被覆電線100a、第2封止部材34a、及びソケットコンタクト32aを示す斜視図であり、ソケットコンタクト32aがソケットハウジング35の収容孔41aに収容される前の状態を示している。図6及び図8に示すように、ソケットコンタクト32aには、被覆電線100aが接続されている。被覆電線100aは、被覆部102と、電線103とを備えて構成されている。被覆部102は、電線103に水分や油分等が付着することを防ぐための絶縁部材として設けられており、電線103の周囲を取り囲みつつ電線103に接合されている。被覆部102を形成するための絶縁性材料としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル、Polyvinyl Chloride)、等の材料を用いることができる。
【0077】
被覆電線100aの一端101aにおいては、被覆部102から、電線103が露出している。電線103は、導電性材料である金属線で形成されている。電線103の他端は、図示しない回路基板の導電部等に電気的に接続されるように構成されている。被覆電線100aの一端101aに、ソケットコンタクト32が配置されている。ソケットコンタクト32aは、電線103と、ベースコネクタ2の接続部材5aの第1接続部21(図3参照)とを電気的に接続する接続部材として設けられており、被覆電線100aの一端101aにおいて、電線103に電気的に接続されている。また、ソケットコンタクト32は、被覆電線100aに第2封止部材34aを固定する固定部材として設けられている。
【0078】
第2封止部材34aは、ソケットハウジング31と被覆電線100aの被覆部102との間を液密的に封止するための封止部材として設けられている。第2封止部材34aは、弾力性を有する弾性材料で形成された筒状の部材として設けられている。第2封止部材34aは、弾性材料で形成された弾性部材として設けられ、ゴム部材、或いは、ガラス繊維を含むパッキン、等として設けられる。第2封止部材34aの内周面は、被覆部102の一端の外周面に液密的に嵌合しており、被覆部102と第2封止部材34aとの間での液体の通過を阻止している。
【0079】
また、第2封止部材34aは、円筒部43と、蛇腹部44とを備えて構成されている。円筒部43は、ソケットコンタクト32によって固定される部分として設けられており、被覆部102を取り囲んでいる。円筒部43と隣り合うようにして蛇腹部44が配列されている。蛇腹部44は、円筒部43よりも厚みのある筒状の部分であり、ソケットハウジング31との間を封止する封止部分として設けられている。蛇腹部44は、円筒部43に対して被覆電線100aの他端側に延びており、直径(外径)の大きい山部分と直径の小さい谷部分とが、交互に配列された構成を有している。
【0080】
蛇腹部44の山部分は、ソケットハウジング31の収容室41aのうち、基部39cで取り囲まれた円筒状の内壁面に接触しており、この内壁面に圧縮されて弾性変形している。これにより蛇腹部44の山部分は、ソケットハウジング31の上記内壁面に圧接され、第2封止部材34aとソケットハウジング31との間が液密的に封止される。即ち、蛇腹部44は、ソケットハウジング31と一端101aとの間を液密的に封止する第2封止部材34aに隣接して、ソケットコンタクト32aが配置されている。
【0081】
ソケットコンタクト32aは、電線103と、ベースコネクタ2の接続部材5a(図3参照)とを電気的に接続するための導電接続部材として設けられた、電線103とは別体の金属部材である。このソケットコンタクト32は、金属材料で構成された板状の部材が加工されることで形成されており、例えば、銅合金を素材として構成されている。そして、ソケットコンタクト32の表面には、例えば、すずめっき、等のめっき処理が施されている。
【0082】
ソケットコンタクト32には、一体に形成された、本体部分32c、第1固定部32d、第2固定部32e、及び接続部32fが設けられている。本体部分32cは、第1固定部32d、第2固定部32e、及び接続部32fを支持する支持部として設けられている。本体部分32cは、平板状に形成されており、電線103の一端から電線103の一端と平行に、且つ電線103から離間する方向に延びている。本体部分32cは、細長い板状に形成されており、電線103の一端に隣接する部分がくびれている。
【0083】
第1固定部32dは、第2封止部材34aを被覆電線100に固定する固定部として設けられている。第1固定部32dは、本体部分32cから第2封止部材34aの円筒部43に向けて延びる一対の部分として構成されており、これら一対の部分の先端が本体部分32c側に折り返された形状を有している。第1固定部32dのこれら一対の折り返された部分は、それぞれ、第2封止部材34aの円筒部43に押し当てられている。これにより、第1固定部32dは、円筒部43及び被覆部102の一端を本体部分32c側に押圧しており、第2封止部材34aを被覆電線100に固定している。
【0084】
第2固定部32eは、電線103に機械的且つ電気的に接続されるように構成されている。第2固定部32eは、電線103の一端に隣接する位置において本体部分32cから電線103の一端に向けて延びる一対の部分として構成されており、これら一対の部分の先端が本体部分32c側に折り返された形状を有している。第2固定部32eのこれら一対の折り返された部分は、それぞれ、電線103に押し当てられている。これにより、第2固定部32eは、電線103を本体部分32c側に押圧しており、電線103に結合されている。
【0085】
図3及び図8に示すように、接続部32fは、ベースコネクタ2の接続部材5aの接続部20(第1接続部21)に接触することにより当該接続部材5に機械的且つ電気的に接続されるように構成されている。接続部32fは、本体部分32cのうち電線103から離間した位置において、本体部分32cから延びる平板状の部分と、この平板状の部分から延びる一対の部分とを備えて構成されており、これら一対の部分が平板状の部分側に折り返された形状を有している。これにより、接続部32fには、接続部材5aの接続部20(第1接続部21)が差し込まれる空間が形成されており、この空間に、第1接続部21が差し込まれる。これにより、接続部32fは、接続部材5の第1接続部21に接触し、接続部材5aと電線103とを電気的に接続する。
【0086】
また、接続部32fは、ランス42に対してソケットハウジング31の鍔部39d側に配置されており、第1封止部材33に取り囲まれるように配置されている。そして、接続部32fとランス42とは、向かい合うように配置されている。ソケットコンタクト32aがソケットハウジング31から引き抜かれる方向の力を受けたとき、接続部32fは、ランス42に引っ掛かり、ソケットハウジング31から抜けない構成となっている。
【0087】
また、ソケットコンタクト32aをソケットハウジング31に組み付ける際、接続部32fの一対の部分は、ランス42に接触しランス42を通過して先部39a側に進む。一方で、接続部32fを収容室41aに挿入する向きが上下逆向きになっているときは、接続部32fの平板状の部分がランス42に引っ掛かり、その結果、ソケットコンタクト32aを収容室41aに挿入することができない。これにより、収容室41aに対するソケットコンタクト32aの組み付け方向を間違えることが防止されている。
【0088】
図3及び図7に示すように、第1封止部材33は、ソケットハウジング31の外周部39の先部39aと、ベースハウジング4の嵌合孔11(嵌合孔11a)の奥側部15との間を液密的に封止する封止部材として設けられている。第1封止部材33は、弾性材料で形成された筒状の部材として設けられている。第1封止部材33を形成するための弾性材料として、ゴム、或いは、ガラス繊維を例示することができる。第1封止部材33の内周面の形状は、ソケットハウジング31の保持溝39eの外周面の形状に沿った形状とされており、半円の円弧面状の部分を2つ有し、これらの部分が平行な一対の平面状の部分で接続された形状とされている。この第1封止部材33の内周面は、保持溝39eの底部において保持溝39eの周方向全域に接触しており、第1封止部材33とソケットハウジング31の外周部39との間を液密的に封止している。
【0089】
また、第1封止部材33の外周部には、環状の凸部(33c、33c)が設けられている。凸部(33c、33c)は、第1封止部材33の全周に延びており、ベースハウジング4の奥側部15の内壁面の全周に液密的に接触することで、第1封止部材33とこの奥側部15との間を液密的に封止している。これにより、第1封止部材33は、ベースハウジング4とソケットハウジング31との間を液密的に封止している。凸部(33c、33c)は、1個、又は、ソケットハウジング31の長手方向に離間して複数個設けられており、本実施形態では2個設けられている。
【0090】
次に、ソケットハウジング31をベースハウジング4に取り外し可能にロックするためのロック機構45について説明する。ロック機構45は、弾性片部38と、操作部46と、ロック爪47と、係止部48と、を備えて構成されている。
【0091】
弾性片部38は、ソケットハウジング31の長手方向に延びるレバー部材として設けられている。弾性片部38の基端は、ソケットハウジング本体35の外周部39の中間部39bに接続されており、即ち、ソケットハウジング31の長手方向に関して、第1封止部材33と第2封止部材(34a、34b)との間の位置で、ソケットハウジング本体35に接続されている。弾性片部38は、中間部39bから、基部39c側に向けて延びつつ、外周部39から離間する方向に延びている。このように、弾性片部38は、ソケットハウジング本体35の外周部39のうち、弾性片部38と対向する側面に対して傾斜するように延びており、弾性片部38が弾性変形に伴って変位可能な量を十分に大きくしている。また、弾性片部38は、その基部側の一部が切り欠かれた形状を有しており、基端から先端に向かう途中部分が、2つに分かれた形状を有している。
【0092】
弾性片部38の先端部には、操作部46が設けられている。操作部46は、弾性片部38を作業者の指等で変位操作するための操作部として設けられている。操作部46は、弾性部材38の先端部に対して、ソケットハウジング本体35から離間する方向に突出し、ソケットハウジング本体35の基部39cと並ぶように配置されている。また、操作部46は、ソケットコネクタ3がベースハウジング4に挿入されているとき、ベースハウジング4の開口側部16から突出するように配置される。
【0093】
また、弾性片部38の中間部には、ロック爪47(47a、47b)が配置されている。ロック爪47は、ベースハウジング4の係止部48に係合することにより、弾性片部38がベースハウジング4から抜けることを防止する抜け止め部材として設けられている。ロック爪47は、弾性片部38の中間部のうち、ベースハウジング4の係止部48側を向く一側面に形成された、小片状部材である。ロック爪47は、弾性片部38に、1または複数(本実施形態においては、2個)設けられている。ロック爪47は、ソケットハウジング31がベースハウジング4に挿入される方向と反対方向に進むに従い、厚みが増すように、構成されている。
【0094】
ソケットハウジング31がベースハウジング4の嵌合孔11aに挿入される際、弾性片部38は、撓まされて弾性変形する。このとき、ロック爪47は、ベースハウジング4の第1外壁部6の内側面に押圧されて擦れつつ、ベースハウジング4内を奥側に向けて進む。そして、ロック爪47が係止部48に嵌まる。これにより、ロック機構45によるロックが完了し、ソケットハウジング31がベースハウジング4から引き抜かれる方向の力が作用したときには、ロック爪47が係止部48の内壁面に係止し、ソケットハウジング31の脱落が防止される。
【0095】
係止部48は、ベースハウジング4の第1外壁部6に形成されており、嵌合孔11aに1つ設けられている。詳細には、係止部48は、ソケットハウジング31を挟んで対向するベースハウジング4の第1外壁部6と第3外壁部8のうちの第1外壁部6にのみ形成されており、ソケットハウジング31がベースハウジング4に対して間違えた向きに挿入された場合、ロック爪47が係止部48に係合しないように構成されている。これにより、ベースハウジング4に対するソケットハウジング31の挿入の向きを間違えることを防止できる。係止部48は、ベースハウジング4の嵌合孔11の開口側部16の近傍に配置された矩形状の孔部として設けられており、ベースハウジング4の第1外壁部6をその厚み方向に貫通している。係止部48は、例えば、1つの嵌合孔11に対して1または複数(本実施形態では、1つ)設けられている。
【0096】
ロック機構45の弾性片部38は、保護壁(36、37)によって保護されている。保護壁(36、37)は、弾性片部38に異物が接触することを防ぐための保護部材として設けられている。保護壁(36、37)は、ソケットハウジング本体35の中間部39b及び基部39cから延びる部分として設けられており、弾性片部38をソケットハウジング本体35の幅方向に挟むように配置されている。詳細には、保護壁(36、37)は、弾性部材38の基端、中間部及び先端をソケットハウジング31の幅方向に挟むように配置されており、ソケットハウジング本体35の中間部39b側の端部に面取りが形成され、基部39c側の端部は、操作部46に隣接している。
【0097】
また、保護壁(36、37)は、中間部39bに設けられている部分の高さと比べて、基部39cに設けられている部分の高さが高くなっている。弾性片部38は、保護壁(36、37)に挟まれており、操作部46は、保護壁(36、37)からソケットハウジング31の高さ方向の一方に突出している。これにより、作業者は、保護壁(36、37)に邪魔されずに操作部46を押圧操作することができる。また、保護壁(36、37)のうち、操作部46と並んでいる箇所には、弾性片部38に向けて突出する突出部(36a、37a)が設けられている。弾性片部38は、突出部(36a、37a)の下方に向けて延びるとともに側方に突出する突起状の部分が設けられており、突出部(36a、37a)及び基部39aによって挟まれている。そして、上記の突起状の部分が突出部(36a、37b)と当接することにより、弾性片部38は、保護壁(36、37)間からソケットハウジング31の高さ方向に突出することが防止されている。
【0098】
次に、上述した防水コネクタ1の作動について説明する。図9は、ソケットコネクタ3をベースコネクタ2に着脱させる作動を説明するための側面図であって、ソケットコネクタ3は、断面で示し、ベースコネクタ2は、側面を示している。図10は、ソケットコネクタ3をベースコネクタ2に着脱させる作動を説明するための断面図であって、ソケットハウジング31がベースハウジング4に嵌合された状態を示している。
【0099】
図9に示すように、ソケットコネクタ3(3a)をベースコネクタ2に機械的且つ電気的に接続する際には、まず、作業者が、ソケットコネクタ3aの操作部46を指等で押圧し、弾性片部38を撓み変位させる。これに伴い、弾性片部38は、その基端を支点にして先端側がソケットハウジング本体35側に変位し、ロック爪47がソケットハウジング本体35側に変位する。この状態で、ソケットハウジング31をベースハウジング4の嵌合孔11aに向かい合わせ、ソケットハウジング31を挿入方向(ソケットハウジング31の長手方向)に変位させる。これにより、ソケットハウジング本体35のうち、基部39cの一部を除く部分は、図10に示すように、ベースハウジング4の嵌合孔11aに挿入され、且つ、弾性片部38は、嵌合孔11aに挿入される。更に、保護壁(36、37、保護壁37は図示せず)は、嵌合孔11aの切り欠き部16cに挿入される。このとき、操作部46は、嵌合孔11aの外側に配置される。
【0100】
このとき、ロック爪47は、嵌合孔11aの内部に進入する。また、ソケットハウジング本体35の先部39aが嵌合孔11の第1隔壁12に当接すると、ソケットハウジング31がそれ以上ベースハウジング4内に進入することが規制される。この状態で、操作部46の操作を解除すると、弾性片部38は、その中間部及び先端がソケットハウジング本体35から離間する方向に変位し、図3に示すように、ロック爪47がベースハウジング4の係止部48に挿入される。これにより、ロック爪47は、ソケットハウジング31がベースハウジング4に挿入される挿入方向と反対の方向に向かって、係止部48の内壁面に対向配置される。このため、ソケットハウジング31がベースハウジング4に対して上記反対の方向に変位したときには、ロック爪47が係止部48の内壁面に接触することとなり、ベースハウジング4からのソケットハウジング31の脱落が防止されている。
【0101】
ベースハウジング4へのソケットハウジング31の挿入が完了したとき、第1封止部材33は、その凸部(33c、33c)がベースハウジング4の奥側部15の内周面に全周に亘って圧縮状態で接触しており、奥側部15の内周面に液密的に接触している。また、第1封止部材33の内周面は、ソケットハウジング31の外周部39の保持溝39eの外周面と全周に亘って液密的に接触している。これにより、第1封止部材33は、ベースハウジング4とソケットハウジング31との間を液密的に封止している。更に、第2封止部材(34a、34b)の内周面は、被覆電線(100a、100h)の被覆部(102、102)と全周に亘って液密的に接触し、且つ、第2封止部材(34a、34b)の蛇腹部(44、44)の山部は、ソケットハウジング31の収容室(41a、41b)と全周に亘って液密的に接触している。これにより、第2封止部材(34a、34b)は、ソケットハウジング31と被覆電線(100a、100h)の被覆部(102、102)との間を液密的に封止している。
【0102】
ベースハウジング4のうち、嵌合孔11a以外の嵌合孔(11b〜11g)には、同様にして、ソケットコネクタ3のソケットハウジング31が嵌合され、全ての嵌合孔(11a〜11g)に、ソケットコネクタ(3a〜3g)が嵌合される。そして、ソケットコネクタ(3a〜3g)のソケットハウジング31のロック爪47が、係止部48に嵌め込まれる。ソケットコネクタ(3a〜3g)のそれぞれにおいて、第1封止部材33は、ソケットハウジング31の先部39aとベースハウジング4の嵌合孔11の奥側部15との間を液密的に封止する。
【0103】
上記により、嵌合孔11は、ソケットコネクタ3と接続され、嵌合孔11の奥側部15が、ソケットハウジング31、第1封止部材33、及び第2封止部材(34a、34b)によって液密的に封止される。これにより、防水コネクタ1の外部から水分等の異物が、ベースハウジング4内の接続部材5や、ソケットコンタクト32に浸入することが防止されている。
【0104】
また、図2に示すように、複数のソケットコネクタ(3a〜3g)がベースハウジング4に取り付けられているとき、ソケットコネクタ(3a〜3d)から被覆電線(100a〜100d及び100h〜100k)が突出する向きと、ソケットコネクタ(3e〜3g)から被覆電線(100e〜100g及び100l〜100n)が突出する向きとが、互いに異なるように配置されている。詳細には、ソケットコネクタ(3a〜3d)から被覆電線(100a〜100d及び100h〜100k)が突出する向きと、ソケットコネクタ(3e〜3g)から被覆電線(100e〜100g及び100l〜100n)が突出する向きとが、互いに平行で且つ逆向きとなっている。
【0105】
次に、ベースコネクタ2に嵌合されたソケットコネクタ3(例えば、コネクタ3a)を取り外す場合には、作業者は、ソケットコネクタ3aの操作部46を押圧する。これにより、弾性片部38は、図10に示すように、その先端がソケットハウジング本体35の基部39cに近接するように撓み変位し、ロック爪47とベースハウジング4の係止部48との係合が解除される。そして、ソケットハウジング31を、ベースハウジング4から挿入方向と反対方向に向けて引っ張る。これにより、ソケットハウジングは、図9に示すように、ベースハウジング4の嵌合孔11aから引き抜かれる。このとき、ロック爪47は、第1外壁部6の内側面の近傍をスライドしつつ、嵌合孔11aの外部に変位される。また、第1封止部材33は、嵌合孔11aの奥側部15から開口側部16を通って嵌合孔11aの外部に変位される。複数のソケットコネクタ(3a〜3g)のそれぞれについて、上記したように、ベースハウジング4から取り外すことにより、ベースコネクタ2からのソケットコネクタ3の取り外し作業が完了する。
【0106】
以上説明したように、防水コネクタ1によると、ソケットハウジング31は、ソケットコンタクト32を収容して保護することになる。このため、ベースハウジング4の嵌合孔11へのソケットコンタクト32の挿入を、ソケットハウジング31で案内することができる。これにより、ソケットコンタクト32が接続部材5の意図しない箇所に接触して損傷が生じることを防止できる。特に、防水コネクタ1では、防水用の第1封止部材33及び第2封止部材34が設けられており、ベースハウジング4との間で摩擦抵抗が作用するので、ソケットコンタクト32を比較的大きな力でベースハウジング4に挿入する必要がある。このことに起因して、ソケットコンタクト32を接続部材5に接続する際に、ソケットコンタクト32を接続部材5の意図しない箇所に強い力で接触させてしまい、接続部材5に損傷を与える可能性が考えられる。しかしながら、防水コネクタ1によると、ベースハウジング4へのソケットコンタクト32の挿入を、ソケットハウジング31によって案内できるので、このような不具合を防ぐことができる。その上、ソケットコンタクト32をベースハウジング4に挿入する前の状態において、ソケットコンタクト32の取り扱い時の作業者の不注意によってソケットコンタクト32に異物が接触してしまうことを防止することができる。このため、ソケットコンタクト32の変形や損傷を防止することができる。また、被覆電線100等を介してソケットコンタクト32に外力が作用したとき、この外力を、ソケットハウジング31で受けることができ、接続部材5に伝わる力を小さくすることができる。このため、ソケットコンタクト32から接続部材5に過大な負荷が作用することを抑制でき、接続部材5の変形や損傷やソケットコンタクト32の接続部材5への固着を抑制することができる。
【0107】
従って、導電部材としての接続部材5及びソケットコンタクト32がベースハウジング4内に収容される際及び収容された状態において、この導電部材を十分に保護することができる防水コネクタ1を提供することができる。
【0108】
また、防水コネクタ1によると、ソケットコネクタ(3a〜3g)がベースコネクタ2に取り付けられているとき、ソケットコネクタ(3a〜3d)と、ソケットコネクタ(3e〜3g)との間において、ソケットハウジング31から被覆電線100が突出する向きが互いに異なっており、これにより、被覆電線100の取り回しの自由度を増すことができる。
【0109】
詳細には、ソケットコネクタ(3a〜3d)において、ソケットハウジング31から被覆電線100が突出する方向と、ソケットコネクタ(3e〜3g)においてソケットハウジング31から被覆電線100が突出する方向とが、平行且つ逆向きとなっている。このような直列的な配置にすることで、被覆電線100及びベースハウジング4が占めるスペースを小さくすることができる。
【0110】
また、防水コネクタ1によると、ロック機構45が設けられているので、ソケットハウジング31が勝手にベースハウジング4から外れないようにすることができる。更に、ソケットハウジング31をベースハウジング4に差し込むことで、ロック爪47を係止部48に係止することができる。これにより、ソケットハウジング31をベースハウジング4に容易にロックすることができる。
【0111】
また、防水コネクタ1によると、ベースハウジング4の第1外壁部6及び第3外壁部8のうちの第1外壁部6にのみ係止部48が設けられている。このような構成であれば、ソケットハウジング31をベースハウジング4に挿入する向きを間違えているとき、ロック爪47は係止部48に係止されず、ロック機構45が機能しない。このため、挿入の向きを間違えたことを作業者に気付かせることができ、ソケットハウジング31をベースハウジング4に挿入する方向を間違えないようにすることができる。
【0112】
また、防水コネクタ1によると、弾性片部38に設けられた操作部46の変位操作に伴ってロック爪47と係止部48との係合を解除することができ、これにより、ソケットコンタクト32を、容易に取り外し可能にベースハウジング4に固定することができる。
【0113】
また、防水コネクタ1によると、弾性片部38の基端は、ソケットハウジング31をベースハウジング4に挿入する方向に関して、第1封止部材33及び第2封止部材34間の位置でソケットハウジング本体35に接続されている。このような構成によると、ロック爪47からの力が第1封止部材33及び第2封止部材34に偏りなく作用するので、第1封止部材33及び第2封止部材34による封止効果がロック機構45によって邪魔されることを、抑制することができる。
【0114】
また、防水コネクタ1によると、ベースハウジング4は合成樹脂製であり、樹脂成形時に接続部材5と一体成形される。これにより、ベースハウジング4と接続部材5との密着性(液密性)を向上することができる。
【0115】
また、防水コネクタ1によると、ベースハウジング4の隣接する嵌合孔11は、第2隔壁13又は第3隔壁14によって仕切られている。これにより、目標とする嵌合孔11へのソケットハウジング31の挿入を第2隔壁13又は第3隔壁14によって案内することができる。また、第2隔壁13又は第3隔壁14と、第1封止部材33とを接触させることにより、第2隔壁13又は第3隔壁14と、第1封止部材33との間を封止することができる。
【0116】
また、防水コネクタ1によると、接続部材5の第1接続部21及び第2接続部22は、ベース部19から延びる向きが互いに異なっている。これにより、接続部材5を中心としてコンパクトに多くの第1接続部21及び第2接続部22を配置することができる。
【0117】
また、防水コネクタ1によると、接続部材5の第1接続部21及び第2接続部22は、ベース部19に対して反対方向に延びている。このような配置により、狭いスペースにおいても、第1接続部21及び第2接続部22の配置スペースを十分に確保することができる。
【0118】
また、防水コネクタ1によると、第1接続部21及び第2接続部22は、複数設けられており、第1接続部21及び第2接続部22は、ベース部19の延びる方向に沿って交互に配置されている。このような構成によると、第1接続部21及び第2接続部22を、ベース部19の延びる方向に短いピッチで配置することができる。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0120】
(1)前述の実施形態では、複数のソケットコネクタがベースハウジングに取り付けられているとき、ソケットハウジングから突出している箇所における被覆電線の向きが互いに異なるように配置される少なくとも2つのソケットコネクタを有する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、複数のソケットコネクタがベースハウジングに取り付けられているとき、ソケットハウジングから突出している箇所における被覆電線の向きが互いに同じソケットコネクタのみを有していてもよい。このとき、接続部材の第1接続部及び第2接続部は、ベース部から同じ向きに延びることとなる。
【0121】
(2)また、前述の実施形態では、複数のソケットコネクタがベースハウジングに取り付けられているとき、ソケットハウジングから突出している箇所における被覆電線の向きが互いに平行で且つ逆向きとなるように配置される少なくとも2つのソケットコネクタを有する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、複数のソケットコネクタがベースハウジングに取り付けられているとき、ソケットハウジングから突出している箇所における被覆電線の向きが互いに直交又は傾斜するように配置される少なくとも2つのソケットコネクタを有していてもよい。このとき、接続部材の第1接続部及び第2接続部は、接続部材のベース部に対して互いに直交する方向又は傾斜する方向に延びることとなる。
【0122】
(3)また、前述の実施形態では、ベースハウジングの複数の嵌合孔の全てにベースコネクタを接続する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、複数の嵌合孔のうちの一部にのみソケットコネクタを嵌合しておき、ソケットコネクタが嵌合されていない嵌合孔にはキャップ部材を嵌合させ、これにより、全ての嵌合孔を液密的に封止してもよい。詳細には、例えば、図11及び図12の変形例に示すキャップ部材50を用いてもよい。
【0123】
図11及び図12に示す変形例に係る防水コネクタ1aは、防水コネクタ1と同様に構成されているが、一部の嵌合孔11(11a)にキャップ部材50が取り付けられている点において、防水コネクタ1と異なっている。尚、図11及び図12では、防水コネクタ1と同様の構成については図面において同一の符号を付して説明を省略する。
【0124】
図11及び図12に示す変形例に係るキャップ部材50は、ソケットハウジング31と同様に構成されているが、キャップ部材50に形成された収容室410a及び収容室420aが、基部39c側に開放されておらずに閉じられており、ソケットコンタクト32及び被覆電線100(図3参照)を収容していない点において、ソケットコネクタ3と異なっている。
【0125】
キャップ部材50は、ソケットハウジング本体35aと、弾性片部38と、保護壁(36、37)とを備えて構成されている。ソケットハウジング本体35aは、外周部39と、内部40aとを備えて構成されている。内部40aは、接続部材5aの第1接続部21を収容する収容室410a及び接続部材5bの第1接続部21を収容する収容室420aを有しており、収容室410a及び収容室420aは、ソケットハウジング本体35の基部39c側が閉じられた形状を有している。このため、液体が内部40aに浸入することが防止されている。上記の構成により、キャップ部材50がベースハウジング4の嵌合孔11(例えば嵌合孔11a)に取り付けられているとき、キャップ部材50は、ソケットハウジング本体35aで嵌合孔11を塞ぎ、且つ、第1封止部材33によって、ソケットハウジング本体35aの先部39aの外周面と嵌合孔11の奥側部15の内周面との間を液密的に封止している。
【0126】
ベースハウジング4の他の嵌合孔11のうち、ソケットコネクタ3が挿入されない嵌合孔11には、上記と同様にして、キャップ部材50のソケットハウジング31が嵌合され、全ての嵌合孔11に、ソケットコネクタ3又はキャップ部材50が取り付けられる。これにより、防水コネクタ1aの外部から水分等の異物が、ベースハウジング4内の接続部材5や、ソケットコネクタ3のソケットコンタクト32に浸入することを防止することができる。
【0127】
このような防水コネクタ1aにおいても、防水コネクタ1と同様の効果を奏することができる。また、防水コネクタ1aによると、キャップ部材50によって、ベースハウジング4が嵌合されていない状態の嵌合孔11を塞ぐことができる。これにより、嵌合孔11の数よりも少ないソケットコネクタ3しか使用しない場合でも、ベースハウジング4内において、接続部材5の周辺への液体の浸入を抑制できる。これにより、ソケットコネクタ3の数に拘らず、防水コネクタ1aを使用することができるので、防水コネクタ1aの汎用性を高くすることができる。
【0128】
(4)また、前述の実施形態では、ベースハウジングの第1外壁部及び第3外壁部の一方にのみロック機構の係止部が設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第3外壁部にも係止部を設け、更に、ソケットハウジングに、第3外壁部の係止部に係止するためのロック爪を設けてもよい。このロック爪は、ソケットハウジングから第3外壁部側に突出する弾性片部に設けられることになる。
【0129】
(5)また、前述の実施形態では、接続部材が上下2列に配列される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。接続部材は、1つのみ配置されていてもよいし、上下に3列以上配列されていてもよい。
【0130】
(6)ベースハウジング、接続部材、ソケットハウジング、ソケットコンタクト、第1封止部材、第2封止部材のそれぞれの形状については、前述の実施形態で例示した形状に限らず、種々変更して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、電線同士を電気的に接続する防水コネクタとして、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0132】
1 防水コネクタ
3 ソケットコネクタ
4 ベースハウジング
5 接続部材
11 嵌合孔
31 ソケットハウジング
32 ソケットコンタクト
33 第1封止部材
34 第2封止部材
100 被覆電線
101 一端
102 被覆部
103 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合孔が形成されたベースハウジングと、
被覆電線の一端を収容し、前記嵌合孔に嵌合される複数のソケットハウジングと、
前記被覆電線の前記一端において前記被覆電線の電線に電気的に接続され、複数の前記ソケットハウジングに挿入される複数のソケットコンタクトと、
前記ベースハウジングに保持され、複数の前記ソケットコンタクト同士を電気的に接続する接続部材と、
複数の前記ソケットハウジングと前記ベースハウジングとの間を液密的に封止する第1封止部材と、
複数の前記ソケットハウジングと前記被覆電線の被覆部との間を液密的に封止する第2封止部材と、
を備えていることを特徴とする、防水コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の防水コネクタであって、
前記ソケットハウジングに前記ソケットコンタクトが収容された構成を備えるソケットコネクタが複数設けられ、
少なくとも2つの前記ソケットコネクタは、前記ベースハウジングに取り付けられているとき、前記ソケットハウジングから突出する箇所における前記被覆電線の向きが互いに異なるように配置されていることを特徴とする、防水コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の防水コネクタであって、
少なくとも2つの前記ソケットコネクタは、前記ベースハウジングに取り付けられているとき、前記ソケットハウジングから突出する箇所における前記被覆電線の向きが互いに平行で且つ逆向きとなるように配置されていることを特徴とする、防水コネクタ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の防水コネクタであって、
前記ソケットハウジングを前記ベースハウジングにロックするためのロック機構を更に備え、
前記ロック機構は、
前記ソケットハウジングにおいて前記ソケットコンタクトを収容するソケットハウジング本体から延びる弾性片部と、
前記弾性片部に設けられたロック爪と、
前記ベースハウジングに設けられ前記ロック爪を係止可能な係止部と、
を有していることを特徴とする、防水コネクタ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の防水コネクタであって、
前記ベースハウジングは、複数の前記ソケットハウジングに嵌合可能な嵌合孔を複数有し、
複数の前記嵌合孔のうち、前記ソケットハウジングが嵌合されていない前記嵌合孔を液密的に封止するためのキャップ部材を更に備えていることを特徴とする、防水コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−4257(P2013−4257A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133103(P2011−133103)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】