説明

防犯警報装置

【課題】 簡単な構成で低価格でありながら高い防犯効果を発揮し得て、簡単に設置可能な防犯警報装置を実現すること。
【解決手段】 本体内に、バッテリーと、人間の言葉からなる警告音声を音声データとして記憶している音声メモリと、振動センサの所定レベル以上の出力信号レベルを閾値として設定する閾値設定手段と、上記閾値と上記振動センサの出力信号レベルとを比較し閾値以上の出力信号レベルが所定時間以上継続した場合に検出信号を出力する比較手段と、比較手段からの検出信号に基づいて音声メモリから上記音声データを読み出して人間の言葉からなる警告音声信号を生成し増幅手段への送出を行なう制御手段とを具備し、上記増幅手段にて増幅された上記警告音声信号を放音するスピーカを、その接続コードを介して上記本体に着脱自在に設け、上記制御手段は上記警告音声信号の上記増幅手段への送出を複数回繰り返し行なうように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動センサの振動検知機能により、自動車の車上荒し、農作物の盗難等を防止する防犯警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車盗難防止装置としては、イモビライザ装置の装着が一般的に普及してきており、その他ハンドルロック等による装置も実用化されている(特許文献1)。
【0003】
また、車上荒らし等の防犯用としては、イモビライザ装置において振動センサを内臓し、一定時間以上の振動を検出すると警報音を鳴らすようにした装置が提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、振動センサにより振動を検出すると車のホーンを鳴らしたり、ストロボ、回転灯、及びスピーカからの警告音を発して警告を行なう装置が提案されている(特許文献3)。
【0005】
さらに、振動センサに加えて赤外線センサを設け、振動センサによる振動検出の後に赤外線センサにより人体を検出したときに警告音を発するように構成したものも提案されている(特許文献4)。
【0006】
【特許文献1】特開平8−30873号(明細書「0019」欄、図1参照)
【特許文献2】特開2004−276760号(明細書「0033」欄、図6参照)
【特許文献3】特開平8−108826号(明細書「0017」欄、「0018」欄、図1参照)
【特許文献4】特開2004−189132号(明細書「0019」欄、「0020」欄、「0024」欄、図1、図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1のようなイモビライザ装置やハンドルロックを施してある自動車であっても、窃盗犯が防犯設備を目視確認できれば防犯設備を撤去したり、車両自体をレッカー移動されると警報装置が発動しない等の問題があった。
【0008】
また、特許文献2のようなイモビライザ装置は、メーカサイドで車両に予め組み込まれるものであるため、新車には対応が可能であっても既に所有している車に後付することは難しいという課題がある。
【0009】
また、特許文献3のような装置は後付対応が可能であるが、装置の車両への設置の際に、車両のバッテリへの接続コード、ルームランプへの接続コード、キースイッチのACCへの接続コード、車両のホーンへの接続コード、アースコード等に本体装置を接続しなければならず、当該装置自体の車両への設置が素人には容易でないという課題がある。
【0010】
また、特許文献4のような装置は、車両への設置が比較的簡単であるが、防犯センサとして振動センサと赤外線センサの2種類のセンサを使用する必要があること、及び特性の異なる2つのセンサにより不審者の侵入等を確実に検出する必要があるため、その制御が複雑となり、装置価格が高価になってしまうという課題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で低価格でありながら高い防犯効果を発揮し得て、しかも素人でも車両等に簡単に設置し得る防犯警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、
第1に、本体内に内蔵した振動センサの振動検出に基づいて警報を発する防犯警報装置において、上記本体内には、本体内各部に電源を供給するバッテリと、予め人間の言葉からなる警告音声を音声データとして記憶している音声メモリと、上記振動センサの所定レベル以上の出力信号レベルを閾値として設定する閾値設定手段と、上記閾値と上記振動センサの出力信号レベルとを比較し、上記閾値以上の上記出力信号レベルが所定時間以上継続した場合に検出信号を出力する比較手段と、上記比較手段からの上記検出信号に基づいて音声メモリから上記音声データを読み出して人間の言葉からなる警告音声信号を生成し増幅手段への送出を行なう制御手段とを具備し、かつ上記増幅手段にて増幅された上記警告音声信号を放音するスピーカを、その接続コードのコネクタ部を介して上記本体内の上記増幅手段に着脱自在に設け、上記制御手段は上記警告音声信号の上記増幅手段への送出を複数回繰り返し行なうものであることを特徴とする防犯警報装置により構成されるものである。
【0013】
このように構成すると、例えば自動車の防犯警報装置として使用する際には、本体を自動車内適所に載置すると共にスピーカを例えばフロントグリル内側に外側を向けて設置し、スピーカの接続コードと本体とコネクタ部を以って接続するだけで良い。本体の制御手段は振動センサの閾値以上の出力信号レベルが所定時間以上継続した場合にのみ警告音声信号の放音動作を繰り返し行なう。よって、設置が極めて簡単であると共に、振動センサのみで誤動作の少ない効果的な防犯警報装置を実現し得る。
【0014】
第2に、本体内に内蔵した振動センサの振動検出に基づいて警報を発する防犯警報装置において、上記本体内には、本体内各部に電源を供給するバッテリと、予め人間の言葉からなる警告音声を音声データとして記憶している音声メモリと、上記振動センサの所定レベル以上の出力信号レベルを閾値として設定する閾値設定手段と、上記閾値と上記振動センサの出力信号レベルとを比較し、上記閾値以上の上記出力信号レベルが所定時間以上継続した場合に検出信号を出力する比較手段と、上記比較手段からの上記検出信号に基づいて音声メモリから上記音声データを読み出して人間の言葉からなる警告音声信号を生成する制御手段と、上記制御手段にて生成された警告音声信号により特定周波数の搬送波を変調し、当該搬送波を無線送信する送信手段とを具備し、かつ上記本体とは別にスピーカ筐体を設け、該スピーカ筐体には、上記特定周波数の搬送波を受信して上記警告音声信号を復調検波し得る受信手段と、該受信手段により検波された警告音声信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅された警告音声信号を放音するスピーカとを具備し、上記本体の制御手段は上記警告音声信号の上記送信手段への送出を複数回繰り返し行なうものであることを特徴とする防犯警報装置により構成されるものである。
【0015】
このように構成すると、スピーカ筐体が本体と別体であるため、簡単な構成でありながら、スピーカ筐体の設置の自由度の高い効果的な防犯警報装置を実現し得る。
【0016】
第3に、上記警告音声信号は、周囲の人に注意喚起を促す言葉からなる音声データと、周囲の人に警察への連絡を促す言葉からなる音声データとの組み合わせを1サイクルとする音声データからなるものであることを特徴とする上記第1又は2に記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0017】
第4に、上記制御手段は上記1サイクルの警告音声信号の送出を複数回行なうものであることを特徴とする上記第3記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0018】
よって、上記注意喚を促す言葉からなる音声データ及び警察への連絡を促す言葉からなる音声データを1サイクルとする警告音声を使用するため、単なるホーン等の警報音と比較して、周囲の人への注意喚起効果を高めることができる。
【0019】
第5に、上記比較手段は、上記閾値以上の上記出力信号レベルが5秒以上継続した場合に上記検出信号を出力するものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0020】
よって、所定レベル以上の大きな振動が5秒以上継続したときに初めて警告動作を行なうものであるから、振動センサのみの簡単な構成であるにもかかわらず精度の高い振動検出動作を行なうことができる。
【0021】
第6に、同一の上記特定周波数の搬送波を受信して上記警告音声信号を復調検波し得る受信手段を具備したスピーカ筐体を、1台の上記本体に対して複数台設けたものであることを特徴とする上記第2〜5の何れかに記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0022】
従って、電波の到達範囲内においてスピーカ筐体を複数設置することができ、非常に簡単な構成でありながら、効果的な防犯警戒網を構成することができる。
【0023】
第7に、上記本体を複数台設けると共に、本体から送信される搬送波の特定周波数を全て同一周波数とし、かつ上記特定周波数の搬送波を受信して上記警告音声信号を復調検波し得る受信手段を具備したスピーカ筐体を複数の上記本体に対して1台又は複数台設けたものであることを特徴とする上記第2〜5の何れかに記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0024】
よって、防犯警戒の必要なエリアが複数存在する場合は、本体を各エリア毎に設置することにより、非常に簡単な構成でありながら、広範囲に亙って効果的な防犯警戒網を極めて簡単に構成することができる。
【0025】
第8に、本体を自動車の車内に載置すると共に、上記スピーカを該自動車のフロントグリル内側にその放音部を自動車外側に向けて設置したものであることを特徴とする上記第1又は2に記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0026】
第9に、上記本体をビニールハウスの出入口扉に固定すると共に、複数の上記スピーカ筐体を、そのスピーカの放音部をビニールハウス外側に向けた状態で、該ビニールハウスの長手方向に沿ってその骨格パイプ部分に所定間隔毎に固定したものであることを特徴とする上記第6記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【0027】
第10に、上記本体を複数台設けて、これらの本体の各々を果樹園における樹木の幹又は枝に固定すると共に、1台の上記スピーカ筐体を上記果樹園における上記本体からの送信電波の受信エリア内に設置したものであることを特徴とする上記第7記載の防犯警報装置により構成されるものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は上述のように、振動センサのみを使用して、所定レベル以上でかつ所定時間以上の振動の継続を検出した場合にのみ警報動作を行うものであるから、装置構成が非常に簡単であって警戒対象物への設置方法も非常に簡単でありながら、誤動作の少ない効果的な防犯警報装置を実現することができるものである。
【0029】
また、警告音声信号を無線で送信し、本体とは別体のスピーカ筐体により無線信号を受信して当該スピーカ筐体によって警告音声を放音し得る構成であるから、警戒対象物への設置がきわめて簡単であり、専門的な知識も必要とせず素人でも簡単に誤動作の少ない効果的な防犯警報装置を実現することができる。
【0030】
また、従来使用のブザー音や自動車のホーンを用いず、注意喚起を促す言葉及び警察への連絡を促す言葉を1サイクルとする人間の言葉からなる警告音声を複数回放音することにより、周囲の人々に対して警報であることの認識度を飛躍的に高め、窃盗犯等に対する警報への危険認識度を向上することができるものである。
【0031】
また、人間の言葉による警告音声を1サイクルとし、かかる1サイクルの警告音声を繰り返し行なうことにより、警告音に対する注意喚起効果を高めることができるものである。
【0032】
また、1台の本体に対して警告音声信号を受信可能な複数のスピーカ筐体を受信電波到達範囲内にて任意に設置して警戒網を構築することができ、素人でも極めて容易に効果的な防犯警戒網を構築することが可能となる。
【0033】
また、本体を複数台設けることにより、さらに広範囲な警戒網を構築することができ、専門的な知識がなくても極めて効果的かつ広範囲の防犯警戒網を簡易に構築することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明に係る防犯警報装置(第1の実施形態)の外観構成を示す全体構成図である。同図において、本体1はプラスチック等の樹脂により形成されており、たばこケース程度の大きさを有する。この本体1と外部スピーカ2は長い接続コード3(接続コード3の長さは例えば3m〜5m)でつながれている。このスピーカ2の接続コード3はその端部にピンプラグ3aを有しており、上記本体1のピンジャック3bに着脱自在となっている。尚、上記ピンプラグ3aと上記ピンジャック3bをコネクタ部3’という。よって、例えば本体1を自動車内部に設置した場合、上記スピーカ2は本体1の設置場所とは離れた場所、例えば自動車フロントのラジエータグリル内側等に車両外部に向けて設置し(図14参照)、その接続コード3のピンプラグ3aを自動車内部に引き込んで本体1のピンジャック3bと容易に接続することができる。
【0036】
上記本体1はバッテリ12を内蔵し(図2参照)、本体1の前面に備え付けられた電源スイッチ4により装置の上記本体1の電源オンオフを行う。5は電源電池の電池残量を示すLED等からなるインジケータである。尚、本体1のバッテリ12には例えば単三電池を使用することが好ましい。
【0037】
図2に本発明に係る防犯装置の電気的構成を示す。同図において、6は振動センサであり、圧電セラミックデバイス等を使用し、本体1の電源オン時には常時振動の感知を行う。この振動センサ6は振動センサ検出部7の比較回路7aに接続されている。この振動センサ6は本体設置位置において、xyz方向の何れかの方向の振動を検出すると振動の大きさに応じたレベルの信号を出力するものである(図3(a)参照)。
【0038】
7は振動センサ検出部であり、上記振動センサ6が接続される比較回路7a、該比較回路7aに接続され振動の検出レベル(閾値)L1(図3(a))を設定する閾値設定回路(閾値設定手段)7b、上記比較回路7aに接続されオンディレイ時間(図3(b))を検出するためのタイマ7c、上記比較回路7aからの出力信号に基づいて制御回路9に振動検出信号(検出信号)を送出する検出信号生成回路7dから構成されている。
【0039】
上記比較回路7aは、上記振動センサ6から出力される振動の大きさに比例した信号レベル(出力信号レベル)と上記閾値設定回路7bで設定された設定閾値L1とを比較し、出力信号レベルが上記閾値L1を超えるとタイマ7cを作動して5秒間(所定時間)の計時を開始し、上記出力信号レベルが5秒以上上記閾値L1を超えた場合、即ち、所定レベル以上の強い振動が5秒以上継続した場合、次段の検出信号生成回路7dに検出信号を送出するものである。上記検出信号生成回路7dは上記検出信号の入力に基づいて音声信号発生回路9にパルス状の振動検出信号(検出信号(図3(b))を送出するものである。尚、上記比較回路7aと上記検出信号生成回路7dにより比較手段が構成されている。
【0040】
従って、図3(a)t1に示すように上記振動センサ6の閾値L1以上の出力信号レベルが5秒間継続しない場合は、車上荒し等の盗難行為ではないと判断し、検出信号を送出しない。よって、この場合は警報動作は行なわれない。これは、防犯警報装置本体1を自動車内に載置し警戒状態に設定した上でドアを閉めたとき、ドアの閉鎖時の振動が発生するが、通常この振動は5秒以内で収まるため、このような自動車の持ち主がドアを閉めたことに基づく振動により誤動作しないようにするためである。
【0041】
上記振動レベルの検出時間である「5秒」(いわゆるオンディレイ時間)は任意に設定変更可能であり、より短い時間3〜4秒、より長い時間6秒〜10秒とすることもできる。しかしながら、上述のように自動車の持ち主が自動車から離れる場合の時間を考慮しつつ、検出精度を考慮すると5秒乃至5秒前後が好ましい。
【0042】
9は制御回路(制御手段)であり、D/Aコンバータ等の音声合成機能を内臓したワンチップマイコン等を使用している。この制御回路9のROMに格納された動作プログラムの動作手順を図4に示す。この制御回路9は、通常は電源オン時の警戒状態にあり(図4P1)、その状態において上記検出信号生成回路7dから上記振動検出信号が入力すると、当該入力に基づいて音声メモリ10からデジタル音声データを読み込み(読み出し)(図4P2、P3)、当該デジタル信号を内臓するD/Aコンバータによりアナログ音声信号(警告音声信号)に変換した後(図4P4)、次段の増幅回路11に送出するという動作を複数回(本実施形態では2回)繰り返し行なう(図4P5〜P7)。よって、この制御回路9の動作により「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」等の肉声による1サイクルの警報音声が複数回(本実施形態では2回)繰り返し出力されることになる。そして、上記電源オフされない場合は、上記警戒状態に戻り、電源オフされた場合は処理を終了する(図4P8)。
【0043】
上記音声メモリ10は、デジタル音声データを記憶するものであり、当該メモリ10内には予め「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」などの人間の言葉(1サイクル)をデジタル録音したものを使用する。この警告音声信号は、図15に示すように、周囲の人に注意喚起を促す言葉からなる音声データD1(例えば、「ドロボー!ドロボー!」等)と、周囲の人に警察への連絡を促す言葉からなる音声データD2(例えば、「誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」)との組み合わせを1サイクルとする音声データであり、人間の肉声を録音してデジタル化したものを音声データとして使用することが好ましい。
【0044】
11は増幅回路(増幅手段)であり、制御回路9から送出された音声信号を適切音量に増幅し、コネクタ部3’を介して接続コード3により接続されたスピーカ2へ送出するものである。上記バッテリ12は上記電源スイッチ4のオンに基づいて制御回路9、増幅回路11及び振動センサ検出部7等の本装置の主要部に電源を供給するものである。
【0045】
本発明は上述のように構成されるものであるから、本発明に係る防犯警報装置を自動車に設定する場合は、まず本体1を車両内のシート下等の目立たない任意の場所に載置する。尚、このとき、本体1と自動車内の電気系接続コードとの接続は一切必要ないため、設置にあたっては本体1をシート下等の場所に単に載置すればよい。
【0046】
一方、スピーカ2を自動車のフロントグリル裏面等に放音部を車両外部に向けた状態で設定し(図14参照)、接続コード3を車両内に引き込み、その一端のピンプラグ3aを上記シート下に載置した上記本体1のピンジャック3bに接続する。その後、本体1の電源スイッチ4をオンにして自動車から出れば良い。尚、スピーカ2の固定方法は任意であるが弾力のあるゴムバンド等を用いることができる。
【0047】
上記電源スイッチ4をオンにすると、バッテリ12から装置各部に電源が供給されることにより、振動センサ6を含む本体内各部が動作状態に設定され、警戒状態となる。また、制御回路9も上記電源の供給に基づいて警戒状態となる(図4P1)。
【0048】
従って、自動車の持ち主が同車を出てドアを閉めるときには既に警戒状態となっているため、ドアを閉めた振動を上記振動センサ6が検出し、出力信号が比較回路7aに入力する。このとき、当該出力信号レベルが閾値L1を超えたとすると、比較回路7aはタイマ7cに基づいて5秒間の計時を開始する(図3(a))。しかしながら、ドアを閉めたときの振動は5秒以上継続しないので、上記タイマ7cが5秒間の計時を終了する前に信号レベルが閾値L1を下回ってしまう(図3(a)t1参照)。よって、比較回路7aは検出信号を出力しない。このように、自動車の持ち主が電源スイッチ4をオンにしてドアを閉めて車から出ても警告音が鳴ることはない。
【0049】
次に、車上荒し等の泥棒がドアをこじ開ける等により自動車が振動する場合は、泥棒がドアをこじ開けて自動車内に進入する等により5秒以上自動車が振動するので、振動センサ6の出力信号レベルが閾値L1を超えて5秒以上継続する。或は、車内に侵入することはできても車内を物色する等して車両が振動し、それにより振動センサ6の出力信号レベルが閾値L1を超えて5秒以上継続する。この場合は、比較回路7aは検出信号を検出信号生成回路7dに出力する(図3(a))。
【0050】
上記検出信号生成回路7dは、上記検出信号の入力に基づいて制御回路9に振動検出信号を送出する(図3(b))。制御回路9は上記振動検出信号の入力に基づいて音声メモリ10から音声データを読み込み(図4P2,P3)、該音声データをアナログの音声信号に変換し(図4P4)、変換後のアナログ音声信号(警告音声信号)を増幅回路11に送出する(図4P5)。
【0051】
該増幅回路11は上記アナログの音声信号を増幅してスピーカ2に送出する。すると、スピーカ2から「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」という肉声による警告音が自動車のフロントグリルから外側に向けて発せられる。
【0052】
上記制御回路9は上記音声信号の送出の終了を検出すると(図4P6)、音声信号の送出動作が2回終了したか否かを検出し(図4P7)、この場合未だ2回終了していないので、再度ステップP3〜P6の動作を繰り返し、再び上記音声信号を増幅回路11に送出する。従って、上記スピーカ2から「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」という人間の肉声に近い言葉による1サイクルの警告音の放音が2回繰り返し行なわれる。
【0053】
この警告音声は、上述のように車両のフロントグリル内に設置されたスピーカ2から車両外部に向けて放出されるため(図14)、極めて効果的に車両外部の不特定多数の者に対して警告を発することができる。勿論、上記警告音声の送出回数の2回は設定変更可能であり、3回以上であっても良い。また、警告音声は周囲の人に注意喚起を促す言葉(例えば「ドロボー!」等)と、警察への連絡を促す言葉(例えば「警察を呼んで下さい!」等)を1サイクルとする音声からなり、かかる警告音声が複数回繰り返し放音されるものであるから、自動車の周囲の人々への注意喚起効果を飛躍的に高めることができる。
【0054】
上記制御回路9はその後、電源スイッチ4が切られたか否かを検出し、電源スイッチ4がオフされていない場合は再びステップP1に戻って警戒状態となる(図4P8)。
【0055】
このように本発明によると、極めて簡単な構成であるにもかかわらず、自動車に載置するだけで、誤動作を防止しつつ非常に効果的な警報装置を低価格で提供することができる。
【0056】
また、本体1は乾電池等のバッテリ12により駆動され、自動車本体のバッテリを使用する必要がなく、その他の自動車の電気系統と接続する必要もなく、本体1は車内に置くだけで良いため、本体1の車両への設定が極めて簡単である。
【0057】
また、スピーカ2は長い接続コードを介して本体1のピンジャック3bと着脱自在に構成されているため、例えば本体1とは別途スピーカ2のみを例えば自動車フロントのラジエータグリル内側、或はバンパー内側等に車両外部に向けて設置することができ、その接続コード3は自動車のボンネット内部から室内へ、或は自動車下側を介してフロントドアの隙間或はサイドガラスの隙間を介して車内に引き込み、そのピンプラグ3aを本体1のピンジャック3bに差し込むだけでよい。このように本体1を含めてスピーカ2の設定に際し、車両の電気系統には一切手を加える必要がなく設定が極めて容易であるため、車両電気系統に詳しくない素人においても簡単に設定を行なうことができる。
【0058】
さらに、このように簡単に設定できるにもかかわらず、警報動作は、検出レベルL1以上の出力信号レベルの信号が所定時間(例えば5秒)以上継続することが条件となるため、誤動作を防止し得て精度の高い検出を行なうことができる。
【0059】
また、周囲の人に注意喚起を促す言葉と、警察への連絡を促す言葉を1サイクルとする警告音声が複数回繰り返し放音されるものであるから、自動車の周囲の人々への周囲喚起効果を飛躍的に高めることができる。
【0060】
上記第1の実施形態において、上記振動センサ検出部7の機能をもワンチップマイコン等の制御回路9’にて行なうように構成しても良い。かかる構成の電気的ブロック図を図5に、上記制御回路9’のROMに格納される動作プログラムの動作手順を図6に示す。尚、図5中の制御回路9’はその機能をブロック化して示している(図5の実施形態を第2の実施形態という)。
【0061】
次に、図5における制御回路9’の動作を説明する。尚、図5において第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して便宜上それらの説明を省略する。振動センサ6からの振動レベルに対応した出力信号が制御回路9’に入力すると、制御回路9’(比較手段9a)はこれを検出し(図6P1,P2)、出力信号レベルが閾値L1を超えたか否かを検出する(図6P3)。ここで出力信号レベルが閾値を超えない場合はステップP1に戻って警戒状態を続行する(図6P3)。出力信号レベルが閾値L1を超えた場合は、制御回路9’(比較手段9a)は計時手段9bによる5秒間の計時を開始し(図6P4)、閾値L1を超える信号レベルが5秒以上継続するか否かを判断する(図6P5)。その結果、閾値L1を超える出力信号レベルが5秒以上継続しない場合は、車上荒し等の犯罪行為ではないと判断しステップ1の警戒状態に戻る(図6P5)。
【0062】
閾値L1を超える出力信号レベルが5秒以上継続した場合は(図6P5)、制御手段9’(振動検出手段9d)は、D/Aコンバータ等の音声合成手段9eにその旨通知を行い、音声合成手段9eは当該通知に基づいて音声メモリ10から音声データを読み込んで(読み出して)(図6P6)、アナログ信号に変換し(図6P7)、変換後のアナログ信号を増幅回路11に送出する(図6P8)。その結果、図1の場合(第1の実施形態)と同様に、「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」の1サイクルの警告音をスピーカ2から発することができる。
【0063】
上記音声合成手段9eは信号の送出を検出すると(図6P9)、音声信号の送出が複数回(例えば2回)終了しているか否かを判断し(図6P10)、この場合未だ2回終了していないので、ステップP6に戻って再度ステップP6〜P9までの動作を繰り返す。よって、上記1サイクルの警告音声の放出が2回繰り返される。
【0064】
制御回路9’(音声合成手段9e)は2回目の音声信号の送出を行なった後(図6P9)、この時点で2回送出が終了することになるため(図6P10)、制御回路9’は、電源スイッチ4がオフされていない場合はステップP1に戻って警戒状態を継続する(図6P11)。電源スイッチ4がオフされた場合は処理を終了する(図6P11)。尚、9cは振動の検出レベルを設定する閾値を設定する閾値設定手段であり、予め閾値L1に設定しておく。
【0065】
このように、図5の第2の実施形態によっても上記第1の実施形態(図2)と同様の作用効果を奏し得る。また、第2の実施形態によると、振動に対応する信号の検出から警告音声の送出までをソフトウェアによって設定できるため、例えば閾値の設定レベル、オンディレイ時間(5秒)等の設定変更を容易に行うことができる。
【0066】
尚、上記t1(図3)のように閾値L1を超えるが5秒以上継続しない振動を検出した場合は(図6P3)、当該検出に基づいて例えば「誰ですか、誰ですか」等の警報に至る前の予備的な注意音声を発するように構成しても良い。即ち、図6のステップP3において閾値L1以上のレベルを検知した時点で、上記注意音声を発するように構成する。このように構成すると、当該注意音声で予備的な防犯効果を得ることができる。この場合、閾値L1を超える出力信号レベルが5秒以上継続しない場合は、注意音声を中止して警戒状態(図6P1)に戻る。
【0067】
図7は本発明に係る防犯警報装置の第3の実施形態を示すものであり、上記第1の実施形態(図1)と同一部分は同一符号を付して便宜上その説明を省略する。この実施形態では、本体1’において音声信号を以って特定周波数f1の搬送波を変調し、上記音声信号を無線信号によって本体1’とは別体のスピーカ筐体15に送信するように構成したものである。かかる第3の実施形態の電気的ブロック図を図8に示す。
【0068】
図8において、13は送信回路であり制御回路9から送出された警告音に係る音声信号に基づいて特定周波数f1の搬送波を変調し、当該搬送波信号を無線信号としてアンテナ14から送信するものである。
【0069】
15はスピーカ筐体であり、上記無線信号の特定周波数f1の上記無線信号をアンテナ16で受信し、その搬送波に含まれる上記音声信号を復調検波する受信回路17、当該受信回路17により検波された音声信号を増幅してスピーカ19に送出する増幅回路18、当該増幅回路18から送出された音声信号を放音するスピーカ19から構成されている。当該スピーカ筐体15において12’はバッテリ、4’は電源スイッチであり、電源スイッチ4’をオンすることで、上記受信回路17及び増幅回路18に電源が供給される。尚、上記バッテリ12’は例えば単三乾電池を使用することが好ましい。また、このスピーカ筐体15もたばこケース程度の大きさに形成される。また、図8の第3の実施形態における制御回路9の動作は警告音声信号を送信回路13に送出する以外は第1の実施形態の制御回路9の動作と同様であるため、同制御回路9の動作を図4に基づいて説明する(図4P5参照)。
【0070】
第3の実施形態(図8)は上述のように構成されるものであるから、本体1の設置は上記第1の実施形態と同じであるが、スピーカ筐体15が本体1と別体でありコードレスであるため、電波の届く範囲で自由に設定することができる。例えば上記第1の実施形態と同様に、自動車のフロントグリルの内側等に設置する場合は、接続コードが存在しないため、極めて容易に設置することができ、接続コードの配線作業を必要としない。
【0071】
かかる状態において車上荒し等の泥棒の侵入により閾値L1以上のレベルの振動が5秒以上継続した場合は、制御回路9は振動検出信号の入力に基づいて(図4P2)、上記第1の実施形態と同様の動作によって音声データをアナログ音声信号に変換し(図4P3、P4)、アナログ音声信号を送信回路13に送出する(図4P5)。
【0072】
すると、送信回路13では特定周波数f1の搬送波を上記音声信号で変調し、変調後の搬送波信号を無線信号としてアンテナ14から無線送信する。
【0073】
上記スピーカ筐体15においては、アンテナ16を介して上記無線信号を受信し、当該信号は受信回路17で同調され、音声信号が復調検波された後、増幅回路18に送出され、増幅された後スピーカ19から放音される。よって、当該スピーカ19から「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」という人間の言葉による1サイクルの警告音声の放音が行なわれる。
【0074】
上記制御回路9は全ての音声信号の送出の終了を検出した後(図4P6)、複数回(例えば2回)終了したか否かを検出し(図4P7)、この時点では未だ2回を終了していないので、ステップP3に戻って、ステップP3からP6の動作を繰り返す。即ち、再び音声データを読み出してアナログ信号に変換し、当該変換後の音声信号を送信回路13に送出する。よって、送信回路13から音声信号が再度無線送信され、当該無線信号はスピーカ筐体15にて受信復調され、2回目の警告音声「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」がスピーカ19から発せられる。
【0075】
このように第3の実施形態によると、本体1’から警告音声を無線で送信し、受信部としてのスピーカ筐体15で受信検波して当該警告音声を当該スピーカ19により発する構成としたので、接続コードの取り回し配線が必要なく、電波の到達範囲内において任意の位置にスピーカ筐体15を設置することができ、自動車等の防犯対象物への装置のセッティングがより簡単となるという効果を奏するものである。
【0076】
尚、図8において、40は、本体1’の電源スイッチ4のオンオフをリモコンで行なうための電源オンオフ用のリモコン信号送信部であり、バッテリ41と、電源スイッチ42と、リモコン信号送信回路43とから構成されている。このリモコン信号送信部40を使用する場合は、本体1’内には当該リモコン信号送信回路43からの赤外線オンオフ信号を受信して、電源スイッチ4のオンオフを行なうリモコン信号受信回路44を内臓する。このリモコン信号送信部40を使用する場合は、本体1’を自動車内に設置してドアを閉めてから自動車外部からリモコン信号送信部40の電源スイッチ42をオンすることにより上記本体1’の電源スイッチ4をオンすることができる。このように構成すると、ドアを閉めるときの振動による誤動作を確実に防止することができる。尚、本体1’は上述のように、振動レベルの閾値設定機能及び5秒間のオンディレイ機能等の、誤動作を防止する機構を有しているので、当該リモコン信号送信部40及び本体1’側のリモコン信号受信回路44は必ずしも必要としない。
【0077】
図9に示すものは、第3の実施形態(図8)において、同一の搬送周波数f1を受信復調可能な受信回路17を有するスピーカ筐体15を複数設けたものである。このように構成すると、本体1’で振動検出が行なわれ、当該本体1’から送信された搬送周波数f1の無線信号は、電波の到達距離内に設置された全てのスピーカ筐体15において受信復調され、全てのスピーカ筐体15のスピーカ19において人間の言葉による警報音声が放音される。
【0078】
よって、例えば本体1’を自動車内部に設置し、スピーカ筐体15の1つを自動車前部のフロントグリル内にスピーカ19を外部に向けて設置し(図14)、他のスピーカ部15を例えば電波の届く範囲において、自らのバッグ等に入れておくことによって、複数個所において一度に警報音を発することができ、極めて効果的な防犯警報装置を実現することができる。
【0079】
このように、スピーカ筐体15はバッテリ12’を内蔵しており、本体1’との通信も無線によるものであるため、本体1’から送信される無線信号を受信可能な距離の範囲以内であれば設置場所を選ばず、駐車場の屋根裏、自動車所有者の屋内等にも設置が可能である。
【0080】
さらに図10に示すものは、第3の実施形態(図8)において、同一の搬送周波数f1の電波を無線送信可能な本体1’を複数台設け、かつ上記搬送周波数f1の無線信号を受信復調可能な受信回路17を有するスピーカ筐体15を複数台設けたものである。
【0081】
このように構成すると、複数の本体1’における何れか一において閾値L1以上であって5秒以上の振動を検出すると、同一の搬送周波数f1の搬送波によって警報音声信号が無線送信され、電波の届くエリア内に設置されている全てのスピーカ筐体15において受信復調されるため、警告信号を発し得るエリアを拡大し得ると共に複数のスピーカ筐体15において人間の言葉による警報音声を発することができ、広範囲に亘る警戒網を低コストで構築することができる。
【0082】
さらに図11に示すものは、第3の実施形態(図8)において、同一の搬送周波数f1の電波を無線送信可能な本体1’を複数台設け、上記搬送周波数f1の無線信号を受信復調可能な受信回路17を有するスピーカ筐体15を複数の本体1’に対して1台設けたものである。このように構成すると、図9とは逆に、泥棒等の進入の検出エリアとしての振動検出エリアを広範囲に設定することができ、泥棒等の検知を1箇所にて集中的に管理することができ防犯システムを低価格で実現し得る。
【0083】
以下、本発明に係る防犯警報装置(図9、図10、図11)の具体的適用事例を説明する。図12に示すものは1台の本体1’と複数のスピーカ筐体15をビニールハウス20に設置した事例である。
【0084】
ビニールハウス20の通用扉(出入口扉)21上部もしくは間口付近の骨格等に本体1’を固定設置し、複数のスピーカ筐体15をビニールハウス20のアーチパイプ(骨格パイプ部分)22に所定間隔ごとに、ビニールハウス20の外部に向けてベルトB等で固定設置する。即ち、上記本体をビニールハウス20の通用扉21に固定すると共に、複数の上記スピーカ筐体15を、そのスピーカ19の放音部をビニールハウス外側に向けた状態で、該ビニールハウス20の長手方向に沿ってそのアーチパイプ22に所定間隔毎に固定する。
【0085】
尚、上記スピーカ筐体15は本体1’からの電波の到達エリア内に設置する。このように構成することで、不当な侵入者が通用扉21の鍵を抉じ開ける際に発生する大きな振動(閾値L1以上で5秒間以上継続する振動)を本体1’が検出し、特定搬送周波数f1で警告音声信号を無線で送信すると、全ての複数のスピーカ筐体15が上記特定周波数f1の無線電波を受信し、これに基づいて複数の全てのスピーカ筐体15において、一斉に警報音声「ドロボー!ドロボー!誰か警察を呼んでください!誰か警察を呼んでください!」を2回繰り返し放音することが可能である。
【0086】
また同一の搬送周波数f1で音声信号を無線送信可能な本体1’を複数台用意し、これら複数台の本体1を上記通用扉21の他、ビニールハウス20の側面部分のアーチパイプ22に追加設置することもできる(図12(b))。この場合、ビニールハウス20の側面部から泥棒がビニールシートを破って侵入しようとした場合、ビニールシートを破る際のアーチパイプ22の振動(閾値L1以上で5秒以上継続する振動)を本体1’で検出して、複数のスピーカ筐体15で警報音を発することで、複数個所からの泥棒の侵入をより効果的に検知して高い防犯効果を得ることができる。
【0087】
図13は複数台の本体1’と1台のスピーカ筐体15による果樹園内に実る果実の防犯の例を示すものである。
【0088】
果樹園内の複数の樹木30の幹31及若しくは複数の樹木30の枝32の付け根等に各々本体1’を設置し、設置した本体1’から電波の届く範囲にスピーカ筐体15を設置し警報網を構築する。本体1’の固定方法はゴムベルト等により固定することができる。尚、スピーカ筐体15は柱33の高い位置に設置することが好ましい。窃盗犯が上記本体1’を設置した樹木から果実をもぎ取る際に、樹木の幹31の振動、或は枝32の振動が5秒以上継続した場合、これを当該樹木に設置した本体1’で検出し警報音を無線送信し、警報網の範囲内に設置されたスピーカ筐体15から音声による警報が発せられ窃盗を防犯するものである。
【0089】
本発明は以上のように、振動センサ6のみを使用して、所定レベル以上でかつ所定時間以上の振動の継続を検出した場合にのみ警報動作を行うものであるから、装置構成が非常に簡単であって警戒対象物への設置も非常に簡単でありながら、誤動作の少ない効果的な防犯警報装置を低価格で実現することができる。
【0090】
また、警告音声信号を無線で送信し、本体1’とは別体のスピーカ筐体15により受信して当該スピーカ筐体15によって警告音声を放音し得る構成であるから、警戒対象物への設置がきわめて簡単であり、専門的な知識も必要とせず素人でも簡単に誤動作の少ない効果的な防犯警報装置を低価格で実現することができる。
【0091】
また、従来使用のブザー音や自動車のホーンを用いず、例えば「ドロボー!」のような周囲の人に注意喚起を促す言葉からなる音声データと、「警察を呼んで下さい!」等の警察への連絡を促す言葉からなる音声データにより構成される1サイクルの警告音声を複数回繰り返し放音するように構成したので、周囲の人々や他の車の運転者への警報認識レベルを飛躍的に高めることができ、窃盗犯に対する警報への危険認識度をも飛躍的に向上することができるものである。
【0092】
また、振動センサ検出部においてタイマ等により遅延回路を形成し、ある一定の振動レベルが5秒以上継続した場合にのみ検出信号を送出する回路構成をとることにより、警報発生に至る誤動作を減少させることができるものである。
【0093】
また、人間の肉声による警告音声を1サイクルとし、かかる1サイクルの警告音声を繰り返し行なうことにより、警告音に対する注意喚起を高めることができるものである。
【0094】
また、1台の本体1’に対して警告音声信号を受信可能な複数のスピーカ筐体15を受信電波到達範囲内にて任意に設置して警戒網を構築することができ、素人でも極めて容易に効果的な防犯警戒網を構築することが可能となるし、そのような警報装置を低価格で実現できる。
【0095】
さらに、本体1’を複数台設けることにより、さらに広範囲な警戒網を構築することができ、専門的な知識がなくても極めて効果的かつ広範囲の防犯警戒網を構築することが可能となるし、そのような警報装置を低価格で実現できる。
【0096】
また、複数のスピーカ筐体15の受信回路17はすべて同じ特定周波数f1を同調受信するように設定したので、警報の範囲を拡散及び分散して警告音声を放出可能であり、限定した防犯警戒箇所からの振動を検知し、多数のエリアにて音声による警告を行なうことができ、このような広範囲な警戒網を簡単に素人でも構築することが可能となる。
【0097】
さらに、多数の本体1’に対し、1台のスピーカ筐体15で警報システムを構築する場合は、同一搬送周波数f1を用い、多数の上記本体1’から送信される信号を1台の上記スピーカ筐体15で一括受信することで、警報を一括管理し、広範囲の防犯エリア内での振動を検知し、警報放出場所を一箇所に集束することで防犯を集中的に管理し得る簡易な警報システムを実現し得る。
【0098】
また、ビニールハウス20の骨格に振動センサ6を内蔵した本体1’を複数個設置することにより、窃盗犯がビニールハウスに侵入する際に発生する振動を複数個所にて検知し、周囲若しくはビニールハウス所有者宅等に無線接続されたスピーカ筐体15を設置して、音声による警報で知らせる事が可能である。
【0099】
また、農園に実った果実の枝32等に上記本体1’を設置し、窃盗犯が果実を盗む際に発生する振動を検知し農園の周囲若しくは、農園所有者宅に無線接続されたスピーカ筐体15を用いて音声による警報で知らせる事が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の防犯警報装置は、自動車用の防犯、ビニールハウス、果樹園等の農作物の盗難防止等に限らず、ドアのピッキング防止、窓から侵入する泥棒の侵入阻止等、振動を検知して警報を発することにより犯罪を阻止し得る多くの状況において広範囲に適用が可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る防犯警報装置(第1の実施形態)の全体構成図である。
【図2】同上装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は同上装置の振動センサの出力信号の波形図、(b)は検出信号を示す波形図である。
【図4】同上装置の制御回路の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】同上装置の防犯警報装置の第2の実施形態を示す電気的ブロック図である。
【図6】図5の装置の制御回路の動作手順を示すフローチャートである。
【図7】同上装置の第3の実施形態の全体構成図である。
【図8】図7の装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図9】図8の装置の設置パターンを示すブロック図である。
【図10】図8の装置の設置パターンを示すブロック図である。
【図11】図8の装置の設置パターンを示すブロック図である。
【図12】(a)は図8の装置をビニールハウスに適用した場合を示すビニールハウスの斜視図、(b)はビニールハウスのアーチパイプ近傍の拡大図である。
【図13】図8の装置を果樹園に適用した場合を示す図である。
【図14】図1の装置のスピーカの設置状況を示す自動車フロント近傍の斜視図である。
【図15】音声データの構成の概略図である。
【符号の説明】
【0102】
1,1’ 本体
2,19 スピーカ
3 接続コード
3’ コネクタ部
6 振動センサ
7a 比較回路
7c タイマ
7d 検出信号生成回路
9 制御回路
10 音声メモリ
11,18 増幅回路
12,12’ バッテリ
13 送信回路
15 スピーカ筐体
17 受信回路
20 ビニールハウス
21 通用扉
22 アーチパイプ
30 樹木
31 幹
32 枝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に内蔵した振動センサの振動検出に基づいて警報を発する防犯警報装置において、
上記本体内には、本体内各部に電源を供給するバッテリと、
予め人間の言葉からなる警告音声を音声データとして記憶している音声メモリと、
上記振動センサの所定レベル以上の出力信号レベルを閾値として設定する閾値設定手段と、
上記閾値と上記振動センサの出力信号レベルとを比較し、上記閾値以上の上記出力信号レベルが所定時間以上継続した場合に検出信号を出力する比較手段と、
上記比較手段からの上記検出信号に基づいて音声メモリから上記音声データを読み出して人間の言葉からなる警告音声信号を生成し増幅手段への送出を行なう制御手段とを具備し、
かつ上記増幅手段にて増幅された上記警告音声信号を放音するスピーカを、その接続コードのコネクタ部を介して上記本体内の上記増幅手段に着脱自在に設け、
上記制御手段は上記警告音声信号の上記増幅手段への送出を複数回繰り返し行なうものであることを特徴とする防犯警報装置。
【請求項2】
本体内に内蔵した振動センサの振動検出に基づいて警報を発する防犯警報装置において、
上記本体内には、本体内各部に電源を供給するバッテリと、
予め人間の言葉からなる警告音声を音声データとして記憶している音声メモリと、
上記振動センサの所定レベル以上の出力信号レベルを閾値として設定する閾値設定手段と、
上記閾値と上記振動センサの出力信号レベルとを比較し、上記閾値以上の上記出力信号レベルが所定時間以上継続した場合に検出信号を出力する比較手段と、
上記比較手段からの上記検出信号に基づいて音声メモリから上記音声データを読み出して人間の言葉からなる警告音声信号を生成する制御手段と、
上記制御手段にて生成された警告音声信号により特定周波数の搬送波を変調し、当該搬送波を無線送信する送信手段とを具備し、
かつ上記本体とは別にスピーカ筐体を設け、
該スピーカ筐体には、上記特定周波数の搬送波を受信して上記警告音声信号を復調検波し得る受信手段と、
該受信手段により検波された警告音声信号を増幅する増幅手段と、
該増幅手段により増幅された警告音声信号を放出するスピーカとを具備し、
上記本体の制御手段は上記警告音声信号の上記送信手段への送出を複数回繰り返し行なうものであることを特徴とする防犯警報装置。
【請求項3】
上記警告音声信号は、周囲の人に注意喚起を促す言葉からなる音声データと、周囲の人に警察への連絡を促す言葉からなる音声データとの組み合わせを1サイクルとする音声データからなるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の防犯警報装置。
【請求項4】
上記制御手段は上記1サイクルの警告音声信号の送出を複数回行なうものであることを特徴とする請求項3記載の防犯警報装置。
【請求項5】
上記比較手段は、上記閾値以上の上記出力信号レベルが5秒以上継続した場合に上記検出信号を出力するものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の防犯警報装置。
【請求項6】
同一の上記特定周波数の搬送波を受信して上記警告音声信号を復調検波し得る受信手段を具備したスピーカ筐体を、1台の上記本体に対して複数台設けたものであることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の防犯警報装置。
【請求項7】
上記本体を複数台設けると共に、本体から送信される搬送波の特定周波数を全て同一周波数とし、
かつ上記特定周波数の搬送波を受信して上記警告音声信号を復調検波し得る受信手段を具備したスピーカ筐体を複数の上記本体に対して1台又は複数台設けたものであることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の防犯警報装置。
【請求項8】
本体を自動車の車内に載置すると共に、上記スピーカを該自動車のフロントグリル内側にその放音部を自動車外側に向けて設置したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の防犯警報装置。
【請求項9】
上記本体をビニールハウスの出入口扉に固定すると共に、
複数の上記スピーカ筐体を、そのスピーカの放音部をビニールハウス外側に向けた状態で、該ビニールハウスの長手方向に沿ってその骨格パイプ部分に所定間隔毎に固定したものであることを特徴とする請求項6記載の防犯警報装置。
【請求項10】
上記本体を複数台設けて、これらの本体の各々を果樹園における樹木の幹又は枝に固定すると共に、
1台の上記スピーカ筐体を上記果樹園における上記本体からの送信電波の受信エリア内に設置したものであることを特徴とする請求項7記載の防犯警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−53881(P2009−53881A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219271(P2007−219271)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(507288578)
【Fターム(参考)】