説明

防眩性ハードコートフィルム及びそれを用いた偏光板

【課題】有機微粒子を含むハードコート層が設けられた防眩性ハードコートフィルムであって、外部ヘイズ値及び60°グロス値を所望の値に制御し得ると共に、膜厚による外部ヘイズ値の変動が少なく、安定生産可能な表面硬度に優れた防眩性ハードコートフィルム、及び偏光板を提供する。
【解決手段】透明プラスチックフィルムの表面に、(A)活性エネルギー線感応型組成物、及び(B)有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記(A)成分の比重が、(B)成分の比重よりも0.25以上大きく、かつ前記ハードコート層の厚さが、前記(B)有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルム、及びこのハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩性ハードコートフィルム及びそれを用いた偏光板に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機微粒子を含むハードコート層が設けられた防眩性ハードコートフィルムであって、外部ヘイズ値及び60°グロス値を所望の値に制御し得ると共に、膜厚による外部ヘイズ値の変動が少なく、安定生産可能な表面硬度に優れた防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラウン管(CRT)や液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)などのディスプレイにおいては、画面に外部から光が入射し、この光が反射して表示画像を見難くすることがあり、特に近年ディスプレイの大型化に伴い、上記問題を解決することが、ますます重要な課題となってきている。この問題を解決する手段の一つとして防眩性ハードコート層を有する部材を用いることが挙げられる。そして該防眩性ハードコート層の形成手法は、(1)ハードコート層を形成するための硬化時に物理的手法で表面を粗面化する方法、(2)ハードコート層形成用のハードコート剤にフィラーを混入する方法、(3)ハードコート層形成用のハードコート剤に非相溶な2成分を混入し、それらの相分離を利用した方法、の3種類に大別することができる。これらはいずれも表面に微細凹凸を形成することにより、外光の正反射を抑え、蛍光灯などの外光の写り込みを防止している。これらの中でも(2)のハードコート剤にフィラーを混入する方法が主流である。フィラーとしては元来シリカに代表される無機微粒子を用いるのが一般的であった。シリカ粒子が使用される理由としては、得られたハードコートフィルムの白色度を低く抑えることができる上、硬化不足による耐擦傷性の低下をもたらさないことなどが挙げられる。
【0003】
一方、透明基板上に、屈折率1.40〜1.60の樹脂ビーズと電離放射線硬化型組成物から構成される防眩層が形成された防眩性フィルムが提案されている。例えば、特許文献1では、防眩性を発現する凹凸を形成するために塗膜の膜厚以上の粒径の有機フィラーによる防眩性フィルムが提案されているが、防眩性を高めるために凹凸を大きくするとヘイズ値が上昇し、透過鮮明度が下がるという問題があった。それを改善するために、特許文献2では、防眩性を発現する凹凸形成用の塗膜の膜厚以上の粒径の有機フィラー添加量を低減し、塗膜の膜厚以下の粒径の有機フィラーを添加することで、バランスのとれた防眩性フィルムを作製することが提案されている。
しかしながら、実際には上記のような方法では光学物性的なバランスをとることはできても、使用微粒子の粒径のばらつきにより、凹凸が存在しない箇所が現れ、全面で防眩性が得られなくなる。また、膜厚による外部ヘイズ値の変動が大きいことにより安定生産性に劣るという問題があった。また、これらの系は膜厚が微粒子のサイズによって決定され、表面硬度のような膜厚によってその性能が変わる物性の調整が困難になる。
【特許文献1】特開平6−18706号公報
【特許文献2】特許第3515401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで、有機微粒子を含むハードコート層が設けられた防眩性ハードコートフィルムであって、外部ヘイズ値及び60°グロス値を所望の値に制御し得ると共に、膜厚による外部ヘイズ値の変動が少なく、安定生産可能な表面硬度に優れた防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、活性エネルギー線感応型組成物、好ましくはシリカ系微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物と、該組成物に対して特定の比重差を有する有機微粒子とを含有するハードコート層形成材料を用いてハードコート層を形成し、かつその厚さを、前記有機微粒子の平均粒径よりも大きくしてなる防眩性ハードコートフィルムにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]透明プラスチックフィルムの表面に、(A)活性エネルギー線感応型組成物、及び(B)有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記(A)成分の比重が、(B)成分の比重よりも0.25以上大きく、かつ前記ハードコート層の厚さが、前記(B)有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルム、
[2](A)成分が、(a)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーと、(b)シリカ系微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物である、上記[1]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、
[3](b)シリカ系微粒子が、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ微粒子である、上記[1]又は[2]項に記載の防眩性ハードコートフィルム、及び
[4]上記[1]〜[3]項のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、有機微粒子を含むハードコート層が設けられた防眩性ハードコートフィルムであって、外部ヘイズ値及び60°グロス値を所望の値に制御し得ると共に、膜厚による外部ヘイズ値の変動が少なく、安定生産可能な表面硬度に優れた防眩性ハードコートフィルム、及びこの防眩性ハードコートフィルムを用いた偏光板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に設けられるハードコート層の形成に、下記の組成を有するハードコート層形成材料が用いられる。
[ハードコート層形成材料]
本発明におけるハードコート層形成材料は、(A)活性エネルギー線感応型組成物、及び(B)有機微粒子を含有する。
((A)活性エネルギー線感応型組成物)
前記ハードコート層形成材料において、(A)成分として用いられる活性エネルギー線感応型組成物としては、(a)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーと、(b)シリカ系微粒子を含むものを好ましく用いることができる。
なお、本発明において、活性エネルギー線とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線や電子線などを指す。
【0008】
<(a)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマー>
本発明においては、(A)活性エネルギー線感応型組成物として、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーが用いられる。
前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのモノマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0009】
一方、前記(メタ)アクリレート系プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。ここで、ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系プレポリマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。さらに、ポリオールアクリレート系プレポリマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。これらのプレポリマーは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、前記多官能性(メタ)アクリレート系モノマーと併用してもよい。
【0010】
<(b)シリカ系微粒子>
本発明においては、(b)シリカ系微粒子として、コロイド状シリカ微粒子及び/又は表面官能基を有するシリカ微粒子を用いることができる。
コロイド状シリカ微粒子は、平均粒径が1〜400nm程度のものであり、また、表面官能基を有するシリカ微粒子としては、例えば表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ微粒子(以下、反応性シリカ微粒子と称することがある。)を挙げることができる。
上記反応性シリカ微粒子は、例えば、平均粒径0.005〜1μm程度のシリカ微粒子表面のシラノール基に、該シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物を反応させることにより、得ることができる。重合性不飽和基としては、例えばラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
前記シラノール基と反応し得る官能基を有する重合性不飽和基含有有機化合物としては、例えば一般式(I)
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2はハロゲン原子又は
【化2】

で示される基である。)
で表される化合物などが好ましく用いられる。
【0011】
このような化合物としては、例えばアクリル酸、アクリル酸クロリド、アクリル酸2−イソシアナートエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2,3−イミノプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど及びこれらのアクリル酸誘導体に対応するメタクリル酸誘導体を用いることができる。これらのアクリル酸誘導体やメタクリル酸誘導体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようにして得られた重合性不飽和基含有有機化合物が結合したシリカ微粒子は、活性エネルギー線硬化成分として、活性エネルギー線の照射により架橋、硬化する。
この反応性シリカ微粒子は、得られるハードコートフィルムの耐擦傷性を向上させる効果を有している。
このようなシリカ微粒子に重合性不飽和基を有する有機化合物を結合させてなる化合物を含む活性エネルギー線感応型組成物(A)として、例えばJSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」、「オプスターZ7524」、「オプスターTU4086」などが上市されている。
本発明においては、この(b)成分のシリカ系微粒子の含有量は、(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物の固形分中に、通常5〜90質量%程度、好ましくは10〜70質量%である。
なお、この(b)成分のシリカ系微粒子におけるシリカ粒子の平均粒径は、レーザ回折・散乱法で測定することができる。この方法では、粒子を分散した液にレーザ光を当てた際に回折・散乱する光の強度変化により、平均粒径を測定する。
【0012】
((B)有機微粒子)
本発明におけるハードコート層形成材料において、(B)成分として用いられる有機微粒子としては、例えばシリコーン系微粒子、メラミン系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子(例えば、ポリメチルメタクリレート系微粒子(以下、PMMA系微粒子と称することがある)などが挙げられる)、アクリル−スチレン系共重合体微粒子、ポリカーボネート系微粒子、ポリエチレン系微粒子、ポリスチレン系微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子などが挙げられる。また、本発明に用いられる有機微粒子の形状は何ら制限されるものではないが、防眩性能の再現性を上げる観点から、球状のものが光の散乱状態を均質化するため好ましい。さらに同様の観点から有機微粒子は、粒度分布の狭いものが特に好ましい。この有機微粒子の平均粒径は、防眩性能の観点から、1〜10μmであることが好ましく、2〜5μmであることが特に好ましく、また、同様の観点から、粒度分布はコールターカウンター法で測定したピークトップ値の粒径の±50%以上の粒径の質量分率が全体の70%以上であるものが好ましい。
本発明においては、この(B)成分の有機微粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、防眩性能の観点から、前述した(A)成分である活性エネルギー線感応型組成物の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。
【0013】
本発明においては、前記(B)成分の有機微粒子を、ハードコート層の表面近傍に偏在させて防眩性能を向上させるために、温度25℃において、前記(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物の比重が、前記(B)成分の有機微粒子の比重よりも、0.25以上大きいことを要する。この比重差が0.25未満であれば、該有機微粒子がハードコート層の表面近傍に存在する割合が低くなり、所望の防眩性能が得られない。該比重差は、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上である。また、この比重差が大きすぎると、ハードコート層の表面近傍に存在する有機微粒子の量が過多となって、ハードコート層の耐擦傷性が低下するおそれが生じる。したがって該比重差は1以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.70以下がさらに好ましい。
なお、温度25℃における(A)活性エネルギー線感応型組成物の比重は、エネルギー線照射によって硬化をする前のものであって、JIS Z 8804の比重びんによる比重測定方法に準じて測定した値である。また、温度25℃における(B)有機微粒子の比重はJIS Z 8807−1976の比重びんによる比重測定方法に準じて測定した値である。
【0014】
(光重合開始剤)
本発明におけるハードコート層形成材料には、所望により光重合開始剤を含有させることができる。この光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステルなどが挙げられる。
これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その配合量は、全活性エネルギー線感応型化合物100質量部に対して、通常0.2〜10質量部の範囲で選ばれる。なお、ここで全活性エネルギー線硬化型化合物とは、(b)シリカ系微粒子として、反応性シリカ微粒子を用いる場合は、それを含むものを表す。
【0015】
(ハードコート層形成材料の調製)
本発明で用いるハードコート層形成材料は、必要に応じ、適当な溶媒中に、前述した(A)成分の活性エネルギー線感応型組成物、(B)成分の有機微粒子、及び所望により用いられる光重合開始剤や各種添加成分、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、シラン系カップリング剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤などを、それぞれ所定の割合で加え、溶解又は分散させることにより、調製することができる。
この際用いる溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
このようにして調製されたハードコート層形成材料の濃度、粘度としては、コーティング可能なものであればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。
【0016】
[透明プラスチックフィルム]
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、前述のようにして調製したハードコート層形成材料を用いて、ハードコート層を形成する。
前記の透明プラスチックフィルムについては特に制限はなく、従来光学用ハードコートフィルムの基材として公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
【0017】
これらのプラスチックフィルムは、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。例えば液晶表示体の保護用として用いる場合には、無色透明のフィルムが好適である。
これらのプラスチックフィルムの厚さは特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常15〜300μm、好ましくは30〜200μmの範囲である。また、このプラスチックフィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー層を設けることもできる。
【0018】
[ハードコート層の形成]
前記透明プラスチックフィルムの少なくとも片面に、前記ハードコート層形成材料を、従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、コーティングして塗膜を形成させ、乾燥後、これに活性エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、ハードコート層が形成される。
活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cm2であり、一方電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
このようにして形成されたハードコート層の厚さは、本発明においては、使用した有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを要し、したがって、下限は2μm程度であり、上限はハードコート層の硬化収縮によってハードコートフィルムがカールすることを防止する観点から20μm程度である。好ましい厚さは5〜15μmの範囲であり、特に好ましい厚さは、8〜12μmである。
【0019】
[防眩性ハードコートフィルム]
(光学特性)
このようにして形成された本発明の防眩性ハードコートフィルムの光学特性は、そのタイプによって好ましい値が異なる場合がある。
高コントラストタイプの場合、通常内部ヘイズ値が0〜10%である。内部ヘイズ値がこの範囲にあってぎらつきが発生するものであっても、高コントラストを達成できるのでディスプレイの種類(設計思想)によっては十分適用できる。内部ヘイズ値が10%を超えると高コントラストが得られない(汎用タイプになる)。また、汎用タイプの場合、通常内部ヘイズ値が5〜40%である。内部ヘイズ値が5%未満ではぎらつきを抑える性能が不十分であり、40%を超えると視認性が低下する。汎用タイプの防眩性ハードコートフィルムの好ましい内部ヘイズ値は、通常10〜30%であり、15〜25%であることが好ましい。
また、外部ヘイズ値は、高コントラストタイプ、汎用タイプともに視認性の観点から、20%以下が好ましく、防眩性の観点から5%以上であることが好ましい。外部ヘイズ値は、防眩性ハードコートフィルムのトータルヘイズ値と内部ヘイズ値を測定し、トータルヘイズ値から内部ヘイズ値との差によって得られる値である。
さらに、60°グロス値は、高コントラストタイプ、汎用タイプともに20〜120が好ましく、20〜80がさらに好ましい。60°グロス値が120を超えると表面光沢度が大きく(光の反射が大きい)、防眩性に悪影響を及ぼす。60°グロス値が20未満ではしろ茶けが発生しやすくなる。また、防眩性ハードコートフィルムの全光線透過率は88%以上が好ましく、より好ましくは90%以上である。全光線透過率が88%未満では透明性が不十分となるおそれがある。
なお、前記光学的特性値の測定方法については、後で説明する。
【0020】
(効果)
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、下記の効果を奏する。
(1)活性エネルギー線感応型組成物と、有機微粒子との比重差を規定することにより、ハードコート層の表面近傍に有機微粒子が偏在し、所望の防眩性能が発揮される。該比重差を制御することにより、外部ヘイズ値及び60°グロス値を所望の値に制御することが可能となる。
(2)有機微粒子の平均粒径よりも大きい膜厚においても、ハードコート層表面近傍に有機微粒子が存在し、防眩性が向上すると共に、塗工ムラが低減される。また、必然的に膜厚が大きくなるので同程度の平均粒径の有機微粒子を用いて作製した従来の防眩性ハードコートフィルムと比較し、鉛筆硬度の向上が見込める。
(3)シリカ系微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物を用いることにより、硬化収縮度が低く、カールの少ない防眩性ハードコートフィルムを得ることができる。また、シリカ系微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物を用いると、有機微粒子との比重差を大きくする設計が可能となる。
【0021】
(その他機能層)
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、必要により、最上層に、反射防止性を付与させるなどの目的で反射防止層、例えばシロキサン系被膜、フッ素系被膜などを設けることができる。この場合、該反射防止層の厚さは、0.05〜1μm程度が適当である。この反射防止層を設けることにより、太陽光、蛍光灯などによる反射から生じる画面の映り込みが解消され、また、表面の反射率を抑えることで、全光線透過率が上がり、透明性が向上する。なお、反射防止層の種類によっては、帯電防止性の向上を図ることができる。
【0022】
(粘着剤層)
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいては、プラスチックフィルムのハードコート層とは反対側の面に、液晶表示体などの被着体に貼着させるための粘着剤層を形成させることができる。この粘着剤層を構成する粘着剤としては、光学用途に適した、例えばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤が好ましく用いられる。この粘着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
さらに、この粘着剤層の上に、必要に応じて剥離シートを設けることができる。この剥離シートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどの各種プラスチックフィルムに、シリコーン樹脂などの剥離剤を塗付したものなどが挙げられる。この剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0023】
このような粘着剤層を形成した防眩性ハードコートフィルムは、CRT、LCD、PDPなどのディスプレイに対して、防眩性能や耐擦傷性能などを付与する部材として好適に用いられ、特にLCDなどにおける偏光板貼付用として好適である。
[偏光板]
本発明はまた、前述した本発明の防眩性ハードコートフィルムを偏光子に貼合してなる偏光板をも提供する。
LCDにおける液晶セルは一般に配向層を形成した2枚の透明電極基板を、その配向層を内側にして、スペーサにより所定の間隙になるように配置し、その周辺をシールして該間隙に液晶材料を挟持させると共に、上記2枚の透明電極基板の外側表面に、それぞれ粘着剤層を介して偏光板が配設された構造を有している。
図1は、上記偏光板の1例の構成を示す斜視図である。この図で示されるように、該偏光板10は、一般的には、ポリビニルアルコール系偏光子1の両面に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム2及び2'を貼り合わせた3層構造の基材を有しており、そして、その片面には液晶セルなどの光学部品に貼着するための粘着剤層3が形成され、さらに、この粘着剤層3には、剥離シート4が貼着されている。また、この偏光板の該粘着剤層3と反対側の面には、通常表面保護フィルム5が設けられている。
本発明の偏光板は、偏光子1の両面に設けられたTACフィルム2、2'のうち、一方のTACフィルムに上述した本発明に係わるハードコート層が設けられたものである。偏光板に粘着剤層3、剥離シート4及び表面保護フィルム5が設けられている場合は、特に表面保護フィルム5側のTACフィルム2'側に本発明に係わるハードコート層が設けられる。
【0024】
本発明の偏光板を製造する方法としては、例えば以下に示す操作を行うことでできる。
なお、図2は、本発明の偏光板の1例の構成を示す断面模式図である。
まず、基材の透明プラスチックフィルムとしてTACフィルムのような光学異方性のないフィルム12'を用い、その一方の面に本発明に係わるハードコート層13を形成し、防眩性ハードコートフィルム14とする。次に、偏光子11の片面にハードコート層13の形成されていないTACフィルム12を、反対面に前記防眩性ハードコートフィルム14を接着剤層15、15'を用いて積層する。透明プラスチックフィルムにTACフィルムを使用する場合、接着剤による積層で密着性を向上させるには、前述した表面処理の他けん化処理なども行うことができる。
これにより、防眩性能と耐擦傷性能に優れる偏光板20が得られる。偏光板20も必要に応じて、ハードコート層13の設けられる面に、前記図1に示す剥離可能な表面保護フィルム5や、その反対面に液晶セル等の光学部品に貼付するための粘着剤層16や剥離シート17が設けられてもよい。
本発明の偏光板は、LCDにおける液晶セル用を始め、光量調整用、偏光干渉応用装置用、光学的欠陥検出器用などとして用いることができる。
【実施例】
【0025】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例により、なんら限定されるものではない。
なお、有機微粒子の平均粒径及び比重、活性エネルギー線感応型組成物の比重、並びにハードコートフィルムの性能は、下記の方法に従って求めた。
<有機微粒子>
(1)平均粒径
コールターカウンター法により測定。
(2)温度25℃における比重
JIS Z 8807−1976の比重びんによる比重測定。
<活性エネルギー線感応型組成物>
(3)温度25℃における比重
活性エネルギー線照射前の活性エネルギー線感応型組成物についてJIS Z 8804の比重びんによる比重測定。
<ハードコートフィルム>
(4)全光線透過率及びトータルヘイズ値
日本電色工業(株)製ヘイズメーター「NDH−2000」を用い、JIS K 7136に準拠して、実施例及び比較例で作製した防眩性ハードコートフィルムについて全光線透過率及びトータルヘイズ値を測定する。なお、トータルヘイズ値は、内部に起因するヘイズ値(内部ヘイズ値)と表面の凹凸に起因する外部ヘイズ値との合計値を示す。
(5)内部ヘイズ値及び外部ヘイズ値
アクリル系粘着剤[日本カーバイド社製、商品名「PE−121」]100質量部に、イソシアナート架橋剤[東洋インキ社製、商品名「BHS−8515」]2質量部、及びトルエン100質量部を加えて粘着剤溶液を作製した。厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート[東洋紡績社製、商品名「A4300」]フィルムに、乾燥後の厚さが20μmになるように粘着剤溶液を塗布し、100℃で3分間乾燥して粘着シートを作製した。作製した粘着シートをハードコートフィルムのハードコート層に貼付して内部ヘイズ判定用試料とした。該粘着シートと内部ヘイズ判定用試料のヘイズ値を測定し、内部ヘイズ判定用試料のヘイズ値から粘着シートのヘイズ値を引いた値をハードコートフィルムの内部ヘイズ値とする。なお、実施例及び比較例で用いた基材フィルム(トリアセチルセルロースフィルム)及びポリエチレンテレフタレートフィルムの内部ヘイズ値を同様にして測定したところ0.01%未満であり無視できる値であった。ヘイズ値の測定は、上記(4)と同様である。
【0026】
(6)防眩性の評価
ハードコートフィルムをアクリル樹脂黒板[住友化学(株)製]にアクリル系粘着剤を介して貼り付けたサンプルを蛍光灯下にて目視にて観察し、下記の判定基準で防眩性を評価する。
○:蛍光灯の映り込み防止性が十分であり、かつ白茶けが少ない
×:蛍光灯の映り込み防止性が不十分である、又は蛍光灯の映り込み防止性は十分であるが、白茶けが大きく視認性に劣るもの
(7)60°グロス値
日本電色工業(株)製グロスメーター「VG2000」を使用し、JIS K 7105に準拠して測定する。
(8)鉛筆硬度
JIS K 5400に準拠して、(株)安田精機製作所の鉛筆引掻塗膜硬さ試験機「No553−M1」を用いて測定する。
(9)塗工ムラ
ハードコート層表面を目視観察し、下記の判定基準に従って、塗工ムラを評価した。
○:塗工面全体が均一に見える
×:塗工面上に防眩性の高い部分と低い部分が混在しており全体的に不均一に見える
(10)膜厚
実施例及び比較例で作製した防眩性ハードコートフィルム、及び該防眩性ハードコートフィルムの作製に使用する透明プラスチックフィルムであるTAC(トリアセチルセルロース)フィルムの夫々について、定圧厚さ計[ニコン社製、「MH−15M」]にて厚みを測定し、その差を取ることによりハードコート層の膜厚を算出する。
【0027】
調製例1 ハードコート層用コート剤1
(A)活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」:反応性シリカ微粒子(42質量%)と、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマー(28質量%)からなる活性エネルギー線感応型組成物(合計:70質量%、比重1.65)、光重合開始剤(3質量%)、及びメチルエチルケトン(27質量%);固形分濃度(73質量%)]100質量部、(B)有機微粒子として球状のポリメチルメタクリレート(PMMA)系微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径3μm、比重1.19]3.75質量部、及び希釈溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量部を均一に混合し、固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤1を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
【0028】
調製例2 ハードコート層用コート剤2
(B)有機微粒子として、球状のPMMA系微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径3μm、比重1.19]7.5質量部に変更した以外は調製例1と同様にして固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤2を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
調製例3 ハードコート層用コート剤3
(B)有機微粒子として、球状のPMMA系微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径3μm、比重1.19]11.25質量部に変更した以外は調製例1と同様にして固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤3を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
【0029】
調製例4 ハードコート層用コート剤4
(A)活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」:反応性シリカ微粒子(42質量%)と、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマー(28質量%)からなる活性エネルギー線感応型組成物(合計:70質量%、比重1.65)、光重合開始剤(3質量%)、及びメチルエチルケトン(27質量%);固形分濃度(73質量%)]80質量部、及び反応性シリカ微粒子を含まない活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[大日精化工業(株)製、商品名「セイカビームEXF−L203(CS−1)」:多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーからなる活性エネルギー線感応型組成物(65質量%、比重1.33)、光重合開始剤(5質量%)、プロピレングリコールモノメチルアセテート(30質量%);固形分濃度(70質量%)]20質量部を混合し、活性エネルギー線感応型組成物の固形分の比重が1.59となるよう(A)成分を調製した。それ以外は調製例2と同様にして固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤4を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
【0030】
調製例5 ハードコート層用コート剤5
(A)活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」:反応性シリカ微粒子(42質量%)と、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマー(28質量%)とからなる活性エネルギー線感応型組成物(合計:70質量%、比重1.65)、光重合開始剤(3質量%)、及びメチルエチルケトン(27質量%);固形分濃度(73質量%)]10質量部、及び反応性シリカ微粒子を含まない活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[大日精化工業(株)製、商品名「セイカビームEXF−L203(CS−1)」:多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマー(65質量%、比重1.33)、光重合開始剤(5質量%)、及びプロピレングリコールモノメチルアセテート(30質量%);固形分濃度(70質量%)]90質量部を混合することにより活性エネルギー線感応型組成物の固形分の比重を1.36に調製した。次に、(B)有機微粒子として、球状のポリスチレン系微粒子[綜研化学(株)製、平均粒径3.5μm、比重1.09]3.75質量部、希釈溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル90質量部を均一に混合し、固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤5を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
【0031】
調製例6 ハードコート層用コート剤6
(A)活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[JSR(株)製、商品名「オプスターZ7530」:反応性シリカ微粒子(42質量%)と、多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマー(28質量%)からなる活性エネルギー線感応型組成物(合計:70質量%、比重1.65)、光重合開始剤(3質量%)、及びメチルエチルケトン(27質量%);固形分濃度(73質量%)]30質量部、及び反応性シリカ微粒子を含まない活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[大日精化工業(株)製、商品名「セイカビームEXF−L203(CS−1)」:多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーからなる活性エネルギー線感応型組成物(65質量%、比重1.33)、光重合開始剤(5質量%)、及びプロピレングリコールモノメチルアセテート(30質量%);固形分濃度(70質量%)]70質量部を混合し、活性エネルギー線感応型組成物の固形分の比重が1.43となるよう(A)成分を調製した。それ以外は調製例2と同様にして固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤6を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
【0032】
調製例7 ハードコート層用コート剤7
(A)反応性シリカ微粒子を含まない活性エネルギー線感応型組成物を含有するハードコート剤[大日精化工業(株)製、商品名「セイカビームEXF−L203(CS−1)」:多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び(メタ)アクリレート系プレポリマーからなる活性エネルギー線感応型組成物(65質量%、比重1.33)、光重合開始剤(5質量%)、及びプロピレングリコールモノメチルアセテート(30質量%);固形分濃度(70質量%)]100質量部用いた以外は調製例1と同様にして固形分濃度約40質量%であるハードコート層用コート剤7を調製した。このコート剤の配合を第1表に示す。
【0033】
実施例1
厚さ80μmのTAC(トリアセチルセルロース)フィルム[富士フィルム(株)製]の表面に、調製例1で得たコート剤1を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した。70℃のオーブンで1分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫外線を照射し防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
実施例2
調製例1で得たコート剤1を硬化膜厚が約9μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
【0034】
実施例3
調製例2で得たコート剤2を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
実施例4
調製例3で得たコート剤3を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
【0035】
実施例5
調製例4で得たコート剤4を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
実施例6
調製例5で得たコート剤5を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
【0036】
比較例1
調製例6で得たコート剤6を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
比較例2
調製例7で得たコート剤7を硬化膜厚が約2.5μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
【0037】
比較例3
調製例7で得たコート剤7を硬化膜厚が約3μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
比較例4
調製例7で得たコート剤7を硬化膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗工した以外は、実施例1と同様の操作を行い防眩性ハードコートフィルムを作製した。
このハードコートフィルムの性能を第2表に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
[注]
1)(A)成分である活性エネルギー線感応型組成物(固形分)中の反応性シリカ微粒子の含有割合を示す。
2)(A)成分である活性エネルギー線感応型組成物(固形分)に対する(B)成分である有機微粒子の添加量の割合を示す。
【0040】
【表2】

【0041】
実施例1〜6は、いずれも(A)成分−(B)成分比重差が0.25を超えており、防眩性、鉛筆硬度、塗工ムラのいずれも良好である。
比較例1〜4は、いずれも(A)成分−(B)成分比重差が0.25未満であり、防眩性、鉛筆硬度及び塗工ムラのいずれか一つ以上が不十分である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、有機微粒子を含むハードコート層が設けられた防眩性ハードコートフィルムであって、外部ヘイズ値及び60°グロス値を所望の値に制御し得ると共に、膜厚による外部ヘイズ値の変動が少なく、安定生産が可能であり、CRT、LCD、PDPなどのディスプレイに対して、防眩性能や耐擦傷性能などを付与する部材として好適に用いられ、特にLCDなどにおける偏光板用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】偏光板の1例の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の偏光板の1例の構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ポリビニルアルコール系偏光子
2 TACフィルム
2' TACフィルム
3 粘着剤層
4 剥離シート
5 表面保護フィルム
10 偏光板
11 偏光子
12 TACフィルム
12' TACフィルム
13 ハードコート層
14 防眩性ハードコートフィルム
15 接着剤層
15' 接着剤層
16 粘着剤層
17 剥離シート
20 偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明プラスチックフィルムの表面に、(A)活性エネルギー線感応型組成物、及び(B)有機微粒子を含有するハードコート層形成材料を用いて形成されたハードコート層を有し、温度25℃において、前記(A)成分の比重が、(B)成分の比重よりも0.25以上大きく、かつ前記ハードコート層の厚さが、前記(B)有機微粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。
【請求項2】
(A)成分が、(a)多官能性(メタ)アクリレート系モノマー及び/又は(メタ)アクリレート系プレポリマーと、(b)シリカ系微粒子を含む活性エネルギー線感応型組成物である、請求項1に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項3】
(b)シリカ系微粒子が、表面官能基として(メタ)アクリロイル基を含む基を有するシリカ微粒子である、請求項1又は2に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の防眩性ハードコートフィルムのハードコート層形成面の反対側の面を偏光子に貼合してなる偏光板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−97011(P2010−97011A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−268192(P2008−268192)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】