説明

院内自動取引システム

【課題】 院内でのキャッシュカードの盗難による不正利用の防止。
【解決手段】 認証情報が入力されると保持された登録認証情報及び認証情報を比較し、入院患者の認証を行う認証手段を有する院内自動取引システムで院内発行され入院患者を識別するための患者識別情報と入院患者のみでの取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者との補助要取引許可情報のいずれかを保持した患者カードと入院患者毎に入院患者の認証情報と入院患者及び院内許可者の認証情報とのいずれかが格納された記憶部とを含み、院内自動取引装置は患者カードから得られるいずれかの取引許可情報に基づく入力を指示し、取引許可情報に基づく認証情報が入力されると認証情報を認証手段に出力し、補助要取引許可情報に基づく認証情報のみが入力されると取引処理を中止し、入院患者及び院内許可者の認証情報が入力されると、両認証情報を認証手段に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、院内に設けられ、入院患者の所望の出金処理を行う院内自動取引システムに関し、特に、院内で発行された患者カードを用いて出金処理を行うことが可能な院内自動取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院内で利用される院内自動取引システムは、金融機関において利用される自動取引装置と同一の装置が院内に設置され、金融機関と接続されているに過ぎなかった。このため、入院患者が該装置を利用する場合も通常と同じく金融機関のキャッシュカードを携帯していた。
【特許文献1】特開2003−22485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記したような院内自動取引システムには、次のような解決すべき課題があった。即ち、入院患者は定期的に診療を受ける必要がある等、キャッシュカードの保管場所である病室を離れる機会が多いことから、第三者によりキャッシュカードが盗難されてしまう虞があった。このため、キャッシュカードが盗難されると、第三者により院外で不正利用されてしまう問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
認証情報が入力されると、予め保持された登録認証情報及び前記認証情報を比較して、入院患者の本人認証を行う認証手段を有する院内自動取引装置を備える院内自動取引システムにおいて、院内で使用するために発行され、入院患者を識別するための患者識別情報と、前記入院患者のみでの単独取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者との補助要取引許可情報のいずれかを保持した患者カードと、入院患者毎に、入院患者の認証情報と、入院患者及び前記院内許可者の認証情報とのいずれかが格納された記憶部とを含み、前記院内自動取引装置は、前記患者カードが挿入されると、前記患者カードから得られる前記いずれかの取引許可情報に基づいて、認証情報の入力を指示する指示制御手段と、前記単独取引許可情報に基づいて、入院患者の認証情報が入力されると、前記認証情報を前記認証手段に出力し、前記補助要取引許可情報に基づいて、入院患者の認証情報のみが入力されると取引処理を中止し、入院患者及び前記院内許可者の両認証情報が入力されると、前記両認証情報を前記認証手段に出力する取引制御手段とを有することを特徴とする。
〈構成2〉
構成1の院内自動取引システムにおいて、前記患者識別情報毎に、入院患者が所定の金額以上に出金することを防止するための出金可能な金額を示す出金可能情報が格納された出金可能情報記憶部とを有し、前記院内自動取引装置は、前記認証手段が有効と判定し、入院患者の所望する出金額を示す出金情報が入力されると、前記患者識別情報に基づいて、前記出金可能情報記憶部を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、前記出金情報が前記出金可能情報より大きいか否かを比較して、出金の可否を判定する出金可否判定手段と、前記出金可否判定手段が出金可と判定すると、前記出金情報に基づいて出金処理を開始し、前記出金可否判定手段が出金不可と判定すると、出金処理を終了する出金制御手段とを備えることを特徴とする。
〈構成3〉
構成1乃至2の院内自動取引システムにおいて、前記患者識別情報は、入院患者の患者ID、氏名、年齢、病名から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の院内自動取引システムによれば、院内で発行され、入院患者毎に患者識別情報と、入院患者のみでの単独取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者との補助要取引許可情報のいずれかが登録された患者カードを用いて取引を行うことから、患者カードが盗難された場合であっても、第三者は、院外の自動取引システムにて該患者カードを用いて取引することができず、不正利用されるのを防止できる。また、患者カードから得られる単独取引許可情報及び補助要取引許可情報のいずれかに基づいて、入院患者毎に認証方式が異なることから、入院患者以外の第三者が容易に認証処理を完了することができず、第三者により不正利用されるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0007】
〈実施例1の構成〉
図1は、本発明の院内自動取引システムを示すブロック構成図である。
【0008】
図1に示すように、本実施例の院内自動取引システムは、院内に設けられた院内管理サーバ200及び院内自動取引装置100から構成されている。
【0009】
院内自動取引装置100は、病院内で現金の入出金処理を行うための装置であり、制御手段1、入力手段2、表示手段3、読取手段4、指示制御手段5、取引制御手段6、出金制御手段7を有している。
【0010】
制御手段1は、いわゆるCPUとして院内自動取引装置100を統括的に制御する手段であり、入院患者の操作で起動されると、図示しないメモリの取引選択プログラムを実行し、入院患者に対して入金または出金の取引を選択されるべく、液晶等の表示手段3に取引選択画面を表示させる。
【0011】
入力手段2は、タッチパネル方式にて、入院患者が暗証番号等の取引に必要な情報を入力する手段であり、表示手段3に選択入力可能に表示された取引選択画面にしたがって入院患者が所望の取引を選択入力すると、選択された取引を示す取引指示情報を制御手段1に出力する。
【0012】
制御手段1は、入力手段2より取引指示情報を受けると、入院患者に患者カードを図示しないカード挿入部に挿入させるために、図示しないメモリのカード挿入指示プログラムを実行し、表示手段3にカード挿入指示画面を表示させる。この患者カードは、一般のキャッシュカードとは情報内容及びフォーマットが相違しており、入院患者の入院時に院内でのみ使用するために発行されるカードであり、入院患者を識別するための患者識別情報と、入院患者のみでの取引を許可する単独取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者の承認があったときのみ取引を許可する補助要取引許可情報のいずれかを取引許可情報として保持している。本実施例において、患者識別情報は入院患者の患者ID、氏名、年齢、病名から構成されていることとする。
【0013】
読取手段4は、患者カードから患者識別情報と、取引許可情報として単独取引許可情報及び補助要取引許可情報のいずれかを読み取る手段であり、カード挿入指示画面にしたがって、図示しないカード挿入部に患者カードが挿入されると、該患者カードから上記した情報を読み取る。
【0014】
指示制御手段5は、入院患者に認証情報としての暗証番号の入力を指示する手段であり、読取手段4により患者識別情報と、単独取引許可情報及び補助要取引許可情報のいずれかが読み取られると、該いずれかの取引許可情報に基づいて、入院患者に対して暗証番号の入力を指示する。即ち、単独取引許可情報が読み取られると、表示手段3に入院患者のみの暗証番号の入力を指示する入力画面を表示させ、補助要取引許可情報が読み取られると、入院患者及び院内許可者の両暗証番号の入力を指示する入力画面を表示させる。
【0015】
取引制御手段6は、取引処理を制御する手段であり、単独取引許可情報に基づいて、入院患者から暗証番号が入力されると、患者識別情報及び暗証番号を院内管理サーバ200に送信し、補助要取引許可情報に基づいて、入院患者及び院内許可者の両暗証番号が入力されると、患者識別情報及び両暗証番号を院内管理サーバ200に送信し、入院患者の暗証番号のみが入力されると、取引処理を中止すると共に、入力不備のため取引を中止した内容を示す画面を表示手段3に表示させる
【0016】
また、取引制御手段6は、後述するように、院内管理サーバ200より本人認証不可を示す認証無効信号を受信すると、表示手段3を制御して、認証無効を示す認証結果画面を表示させて取引を中止する。
【0017】
本人認証可を示す認証有効信号を受信すると、取引指示情報が出金取引を示している場合、図示しないメモリの取引処理プログラムを起動し、表示手段3を介して入院患者から所望の出金額を示す出金情報の入力を受け付ける入力画面を表示させ、入院患者が所望の出金情報の入力を完了すると、出金情報を図示しないメモリに保持すると共に、出金情報を院内管理サーバ200に送信する。
【0018】
取引指示情報が入金取引を示している場合、図示しない貨幣投入部を制御して、入院患者より貨幣を受け付けると共に、投入された貨幣額を算出し、算出された貨幣額を示す入金情報を生成し、入金情報を院内管理サーバ200に送信する。
【0019】
出金制御手段7は、入院患者の出金処理を制御する手段であり、後述するように、院内管理サーバ200より出金許可信号を受信すると、図示しないメモリに保持された出金情報に基づいて出金処理を行うと共に、出金情報を院内管理サーバ200に送信する。出金不許可信号を受信すると、入院患者に対して、所望の出金額が出金可能額を超えているので出金できない内容を示す画面を表示手段3に表示させる。この際に患者カードが図示しないカード挿入部より排出される。
【0020】
院内管理サーバ200は、入院患者の取引を管理するサーバであり、制御手段21、記憶部22、出金可能情報記憶部23、認証手段24、出金可否判定手段25、更新手段26を有している。
【0021】
記憶部22は、患者識別情報毎に入院患者の登録暗証番号と、入院患者及び院内許可者の登録暗証番号とのいずれかが格納された記憶部である。また、記憶部22には、患者識別情報毎に入金されている金額の合計を示す院内残高情報も格納されている。
【0022】
出金可能情報記憶部23は、患者識別情報毎に入院患者が所定日数内に所定の金額以上出金することを防止するための出金可能な金額を示す出金可能情報が格納された記憶部である。本実施例において、出金可能情報は、入院患者が1日に出金可能な金額を示す情報であることとする。
【0023】
制御手段21は、いわゆるCPUとして院内管理サーバ200を統括制御する手段である。この制御手段21は、院内自動取引装置100より患者識別情報と、暗証番号及び両暗証番号のいずれかを受信すると、患者識別情報と、暗証番号及び両暗証番号のいずれかを認証手段24に転送する。
【0024】
認証手段24は、入院患者の本人認証を行う手段であり、患者識別情報及び暗証番号を受けると、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する登録暗証番号を取得すると共に、入力された暗証番号と取得した登録暗証番号とを比較し、一致すると、本人認証を有効と判定し、不一致であると、本人認証を無効と判定する。また、患者識別情報及び両暗証番号を受けると、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する入院患者及び院内許可者の登録暗証番号をそれぞれ取得すると共に、まず、入力された入院患者の暗証番号と取得された入院患者の登録暗証番号を比較し、不一致であると、本人認証を無効と判定し、一致すると、次に、入力された院内許可者の暗証番号と取得された院内許可者の登録暗証番号とを比較し、不一致であると、本人認証を無効と判定し、一致すると、本人認証を有効と判定する。即ち、認証手段24は、入院患者のみの暗証番号を受け取るか、入院患者及び院内許可者両方の暗証番号を受け取るかによって、当該入院患者が単独で取引可能か補助要かを知ることができる。
【0025】
制御手段21は、認証手段24が有効と判定すると、認証有効信号を院内自動取引装置100に送信し、無効と判定すると、認証無効信号を院内自動取引装置100に送信する。
【0026】
さらに、制御手段21は、院内自動取引装置100より入院患者の所望する出金額を示す出金情報を受信すると、出金情報を出金可否判定手段25に転送し、入金情報を受信すると、入金情報を更新手段26に転送する。
【0027】
出金可否判定手段25は、入院患者の所望する出金額が出金可能か否かを判定する手段であり、出金情報を受けると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金情報が出金可能情報より大きいか否かを比較して、出金の可否を判定する。即ち、出金情報が出金可能情報より小さいと、出金許可信号を院内自動取引装置100に送信し、出金情報が出金可能情報より大きいと、出金不可信号を院内自動取引装置100に送信する。
【0028】
更新手段26は、出金可能情報記憶部23の出金可能情報及び記憶部22の院内残高情報を更新する手段であり、上述したように、院内自動取引装置100より出金情報を受信すると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金可能情報を図示しないメモリに保持された出金可能残額算出式=T−U(但し、T:出金可能情報、U:出金情報)に基づいて更新する。
【0029】
また、更新手段26は、上述したように、院内自動取引装置100より入金情報を受けると、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する院内残高情報を取得すると共に、院内残高情報を図示しないメモリに保持された院内残高算出式=V+X(但し、V:院内残高情報、X:入金情報)に基づいて更新する。
【0030】
〈実施例1の動作〉
実施例1における院内自動取引システムの動作について説明を行う。
【0031】
図2は、実施例1の院内自動取引システムの動作フローチャートである。
【0032】
院内自動取引装置100の制御手段1は、入院患者の操作で起動されると、図示しないメモリの取引選択プログラムを実行し、入院患者に対して入金、出金等の取引を選択されるべく、表示手段3に取引選択画面を表示させる(ステップS1)。
【0033】
表示手段3に選択入力可能に表示された取引選択画面にしたがって、入院患者が所望の取引を選択入力すると、選択された取引を示す取引指示情報を制御手段1に出力する(ステップS2)。
【0034】
制御手段1は、入力手段2より取引指示情報を受けると、入院患者に患者カードを図示しないカード挿入部に挿入させるために、図示しないメモリのカード挿入指示プログラムを実行し、表示手段3にカード挿入指示画面を表示させる(ステップS3)。
【0035】
読取手段4は、カード挿入指示画面にしたがって、図示しないカード挿入部に患者カードが挿入されると、患者カードから患者識別情報と、取引許可情報として単独取引許可情報及び補助要取引許可情報のいずれかを読み取る(ステップS4)。
【0036】
まず、患者カードから患者識別情報及び単独取引許可情報が読み取られた場合について説明する。
【0037】
指示制御手段5は、読取手段4により患者識別情報及び単独取引許可情報が読み取られると、表示手段3に入院患者のみの暗証番号の入力を指示する入力画面を表示させる。
【0038】
取引制御手段6は、単独取引許可情報に基づいて、入院患者から暗証番号が入力されると、患者識別情報及び暗証番号を院内管理サーバ200に送信する(ステップS5)。
【0039】
院内管理サーバ200の制御手段21は、院内自動取引装置100より患者識別情報及び暗証番号を受信すると、患者識別情報及び暗証番号を認証手段24に転送する。
【0040】
認証手段24は、患者識別情報及び暗証番号を受けると、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する登録暗証番号を取得すると共に、入力された暗証番号と登録暗証番号とを比較し、不一致であると、本人認証を無効と判定し、一致すると、本人認証を有効と判定する(ステップS6)。
【0041】
次に、患者カードから患者識別情報及び補助要取引許可情報が読み取られた場合について説明する。
【0042】
読取手段4により患者識別情報及び補助要取引許可情報が読み取られると、入院患者及び院内許可者の両暗証番号の入力を指示する入力画面を表示させる。
【0043】
入院患者及び院内許可者の両暗証番号が入力されると、患者識別情報及び両暗証番号を院内管理サーバ200に送信する(ステップS5)。この際に、入院患者の暗証番号だけが入力された場合、取引処理を中止すると共に、入力不備のため取引を中止した事を示す画面を表示手段3に表示させる(ステップS11)。
【0044】
院内管理サーバ200の制御手段21は、院内自動取引装置100より患者識別情報及び両暗証番号を受信すると、患者識別情報及び両暗証番号を認証手段24に転送する。
【0045】
認証手段24は、患者識別情報及び両暗証番号を受けると、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する入院患者及び院内許可者の登録暗証番号をそれぞれ取得すると共に、まず、入力された入院患者の暗証番号と取得された入院患者の登録暗証番号を比較し、不一致であると、本人認証を無効と判定し、一致すると、次に、入力された院内許可者の暗証番号と取得された院内許可者の登録暗証番号とを比較し、不一致であると、本人認証を無効と判定し、一致すると、本人認証を有効と判定する(ステップS6)。
【0046】
引き続き、本人認証が実施されて以降の動作を説明する。
【0047】
制御手段21は、認証手段24が有効と判定すると、認証有効信号を院内自動取引装置100に送信し、無効と判定すると、認証無効信号を院内自動取引装置100に送信する。
【0048】
院内自動取引装置100の取引制御手段6は、認証無効信号を受信すると、表示手段3を制御して認証無効を示す認証結果画面を表示させて取引を中止する(ステップS13)。
【0049】
取引制御手段6は、認証有効信号を受信し、取引指示情報が出金取引を示している場合、図示しないメモリの取引処理プログラムを起動し、表示手段3を介して入院患者から所望の出金額を示す出金情報の入力を受け付ける入力画面を表示させ、入院患者が所望の出金情報の入力を完了すると、出金情報を図示しないメモリに保持すると共に、出金情報を院内管理サーバ200に送信する(ステップS7&8)。
【0050】
院内管理サーバ200の制御手段21は、院内自動取引装置100より出金情報を受信すると、出金情報を出金可否判定手段25に転送する。
【0051】
出金可否判定手段25は、出金情報を受けると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金情報が出金可能情報より大きいか否かを比較して、出金情報が出金可能情報より小さいと、出金許可信号を院内自動取引装置100に送信し、大きいと、出金不可信号を院内自動取引装置100に送信する(ステップS10)。
【0052】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、出金不可信号を受信すると、表示手段3を制御して、所望の出金額が出金可能額を超えているので出金できない内容を示す画面を表示手段3に表示させて取引を中止する(ステップS13)。
【0053】
出金許可信号を受信すると、図示しないメモリに保持された出金情報に基づいて出金処理を行うと共に、出金情報を院内管理サーバ200に送信する(ステップS11)。この際に患者カードが図示しないカード挿入部より排出される。
【0054】
更新手段26は、院内自動取引装置100より出金情報を受信すると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金可能情報を図示しないメモリに保持された出金可能残額算出式=T−U(但し、T:出金可能情報、U:出金情報)に基づいて更新する(ステップS12)。
【0055】
また、取引制御手段6は、認証有効信号を受信し、取引指示情報が入金取引を示している場合、図示しない貨幣投入部を制御して、入院患者より貨幣を受け付けると共に、投入された貨幣額を算出し、算出された貨幣額を示す入金情報を生成し、入金情報を院内管理サーバ200に送信する(ステップS7&9)。
【0056】
院内管理サーバ200の制御手段21は、院内自動取引装置100より入金情報を受信すると、入金情報を更新手段26に転送する。
【0057】
更新手段26は、入金情報を受けると、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する院内残高情報を取得すると共に、院内残高情報を図示しないメモリに保持された院内残高算出式=V+X(但し、V:院内残高情報、X:入金情報)に基づいて更新する(ステップS12)。
【0058】
〈実施例1の効果〉
実施例1の院内自動取引システムによれば、院内で発行され、入院患者毎に患者識別情報と、入院患者のみでの単独取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者との補助要取引許可情報のいずれかが登録された患者カードを用いて取引を行うことから、患者カードが盗難された場合であっても、第三者は、院外の自動取引システムにて該患者カードを用いて取引することができず、不正利用されるのを防止できる。また、患者カードから得られる単独取引許可情報及び補助要取引許可情報のいずれかに基づいて、入院患者毎に認証方式が異なることから、入院患者以外の第三者が容易に認証処理を完了することができず、第三者により不正利用されるのを防止できる。さらに、入院患者毎に出金可能な金額を示す出金可能情報よりも入院患者が所望する出金情報が大きいと、出金処理を中止するようにしたので、入院患者が不要な出金処理を実施するのを防止できる。
【実施例2】
【0059】
〈実施例2の構成〉
図3は、本実施例の院内自動取引システムを示すブロック構成図である。
【0060】
図3に示すように、本実施例の院内自動取引システムは、院内に設けられた院内管理サーバ200及び院内自動取引装置100から構成されている。院内管理サーバ200は、更に金融機関のセンタに設けられたホストコンピュータ300にネットワークを介して接続されている。
【0061】
本実施例の記憶部22には、患者識別情報毎に入院患者が口座を有する銀行の口座番号及び該口座から現金を出金するために必要な銀行暗証番号が保持されている。
【0062】
ホストコンピュータ300は、入院患者の銀行口座から所望金額の出金制御を行うコンピュータであり、後述するように、院内管理サーバ200より、入院患者の口座番号、銀行暗証番号及び出金情報が送信されると、入院患者が所有する銀行口座から出金情報が示す金額の決済が可能か否かを判定し、決済可能であると、決済可信号を院内管理サーバ200に送信し、残高不足等により決済不可能であると、決済不可信号を院内管理サーバ200に送信する。また、ホストコンピュータ300は、院内管理サーバ200より出金処理が完了したことを示す出金完了信号を受信すると、該口座番号に対応する銀行残高情報を更新する。
【0063】
本実施例の制御手段1は、入院患者の操作で起動されると、図示しないメモリの取引選択プログラムを実行し、入院患者に対して、院内での入出金または入院患者が所有する銀行口座から出金の取引を選択されるべく、表示手段3に取引選択画面を表示させる。
【0064】
表示手段3に選択入力可能に表示された取引選択画面にしたがって、入院患者が銀行出金を選択入力すると、銀行出金を示す取引指示情報を制御手段1に出力する。以降、院内での認証処理が完了し、入力された出金情報より出金可否が判定されるまで実施例1と同様に動作する。
【0065】
本実施例の出金可否判定手段25は、出金情報を受けると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金情報が出金可能情報より大きいか否かを比較して、出金情報が出金可能情報より小さいと、図示しないメモリに保持された出金情報に基づいて銀行口座から出金処理を行うべく、患者識別情報に基づいて記憶部22を参照し、対応する口座番号及び銀行暗証番号を取得すると共に、出金情報、口座番号及び銀行暗証番号をホストコンピュータ300に送信し、出金情報が出金可能情報より大きいと、出金不可信号を院内自動取引装置100に送信する。
【0066】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、出金不許可信号を受信すると、入院患者に対して、所望の出金額が出金可能額を超えているので出金できない内容を示す画面を表示手段3に表示させる。
【0067】
ホストコンピュータ300は、院内管理サーバ200より入院患者の口座番号、銀行暗証番号及び出金情報が送信されると、入院患者が所有する銀行口座から出金情報が示す金額の決済が可能か否かを判定し、決済可能であると、決済可信号を院内管理サーバ200に送信し、残高不足等により決済不可能であると、決済不可信号を院内管理サーバ200に送信する。
【0068】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、ホストコンピュータ300から院内管理サーバ200を介して決済不可信号を受信すると、残高不足等により決済不可能である内容を示す画面を表示手段3に表示させる。
【0069】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、ホストコンピュータ300から院内管理サーバ200を介して決済可信号を受信すると、出金情報に基づいて出金処理を行い、出金完了信号及び口座番号をホストコンピュータ300に送信し、患者識別情報及び出金情報を院内管理サーバ200に送信する。この際に患者カードが図示しないカード挿入部より排出される。
【0070】
ホストコンピュータ300は、院内自動取引装置100から院内管理サーバ200を介して出金完了信号及び口座番号を受信すると、該口座番号に対応する銀行残高情報を出金情報に基づいて更新し、院内管理サーバ200の更新手段26は、患者識別情報及び出金情報を受信すると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金可能情報及び出金情報を図示しないメモリの出金可能残額算出式=T−U(但し、T:出金可能情報、U:出金情報)に基づいて更新する。
【0071】
〈実施例2の動作〉
実施例2における院内自動取引システムの動作について説明を行う。
【0072】
図4は、実施例2の院内自動取引システムの動作フローチャートである。
【0073】
制御手段1は、入院患者の操作で起動されると、図示しないメモリの取引選択プログラムを実行し、入院患者に対して、院内での入出金または入院患者が所有する銀行口座から出金の取引を選択されるべく、表示手段3に取引選択画面を表示させる(ステップS1)。
【0074】
表示手段3に選択入力可能に表示された取引選択画面にしたがって、入院患者が銀行出金を選択入力すると、銀行出金を示す取引指示情報を制御手段1に出力する。以降、院内での認証処理が完了し、入力された出金情報より出金可否が判定されるまで実施例1と同様に動作する。
【0075】
出金可否判定手段25は、出金情報を受けると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金情報が出金可能情報より大きいか否かを比較して、出金情報が出金可能情報より小さいと、図示しないメモリに保持された出金情報に基づいて銀行口座から出金処理を行うべく、患者識別情報に基づいて、記憶部22を参照し、対応する口座番号及び銀行暗証番号を取得すると共に、出金情報、口座番号及び銀行暗証番号をホストコンピュータ300に送信し、出金情報が出金可能情報より大きいと、出金不可信号を院内自動取引装置100に送信する(ステップS10)。
【0076】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、出金不許可信号を受信すると、入院患者に対して、所望の出金額が出金可能額を超えているので出金できない内容を示す画面を表示手段3に表示させる(ステップS14)。
【0077】
ホストコンピュータ300は、院内管理サーバ200より入院患者の口座番号、銀行暗証番号及び出金情報が送信されると、入院患者が所有する銀行口座から出金情報が示す金額の決済が可能か否かを判定し、決済可能であると、決済可信号を院内管理サーバ200に送信し、残高不足等により決済不可能であると、決済不可信号を院内管理サーバ200に送信する(ステップS11)。
【0078】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、ホストコンピュータ300から院内管理サーバ200を介して決済不可信号を受信すると、残高不足等により決済不可能である内容を示す画面を表示手段3に表示させる(ステップS14)。
【0079】
院内自動取引装置100の出金制御手段7は、ホストコンピュータ300から院内管理サーバ200を介して決済可信号を受信すると、出金情報に基づいて出金処理を行い(ステップS12)、口座番号及び出金完了信号をホストコンピュータ300に送信し、患者識別情報及び出金情報を院内管理サーバ200に送信する。この際に患者カードが図示しないカード挿入部より排出される。
【0080】
ホストコンピュータ300は、院内自動取引装置100から院内管理サーバ200を介して口座番号及び出金完了信号を受信すると、口座番号に対応する銀行残高情報を出金情報に基づいて更新し、院内管理サーバ200の更新手段26は、出金情報を受信すると、患者識別情報に基づいて、出金可能情報記憶部23を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、出金可能情報及び出金情報を図示しないメモリの出金可能残額算出式=T−U(但し、T:出金可能情報、U:出金情報)に基づいて更新する(ステップS13)。
【0081】
〈実施例2の効果〉
実施例2の院内自動取引システムによれば、院内で発行され、入院患者毎に患者識別情報と、入院患者のみでの単独取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者との補助要取引許可情報のいずれかが登録された患者カードを用いて取引を行うことから、患者カードが盗難された場合であっても、第三者は、院外の自動取引システムにて患者カードを用いて取引することができず、不正利用されるのを防止できる。また、患者識別情報毎に入院患者が有する銀行の口座番号、銀行暗証番号も保持されていることから、院内管理サーバでの認証が成功すれば自動的に患者識別情報に対応した口座番号及び銀行暗証番号に基づいた銀行口座からの出金処理が可能となる。また、患者カードから得られる単独取引許可情報及び補助要取引許可情報のいずれかに基づいて、入院患者毎に認証方式が異なることから、入院患者以外の第三者が容易に認証処理を完了することができず、第三者により不正利用されるのを防止できる。また、入院患者毎に出金可能な金額を示す出金可能情報よりも入院患者が所望する出金情報が大きいと、出金処理を中止するようにしたので、入院患者が不要な出金処理を実施するのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
上記したいずれの実施例においても、予め入金すべき基準金額を示す基準院内残高情報及びFAX等の連絡先情報を設定しておき、院内残高情報が基準院内残高情報より小さくなると、自動的に入院患者の親族に対して、FAX、またはメイルにより入金指示を行うように通知する機能を追加してもよい。
【0083】
上記したいずれの実施例においても、出金可能情報は、入院患者が1日に出金可能な金額を示す情報としたがこれに限られず、例えば、1週間に出金可能な金額を示す情報としてもよい。
【0084】
上記したいずれの実施例においても、院内従業員を識別するための従業員識別情報が保持された従業員カード、上記した院内管理サーバ200に従業員識別情報毎に登録従業員暗証番号と、勤務実績情報、給与支払状況情報が格納された従業員情報記憶部、該記憶部を更新するための更新部、及び従業員の操作で給与の支払を制御する支払制御部を設ける構成としてもよい。これにより、院内従業員の給与支払いに関する人的作業が軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の院内自動取引システムを示すブロック構成図。
【図2】実施例1の院内自動取引システムの動作フローチャート。
【図3】実施例2の院内自動取引システムを示すブロック構成図。
【図4】実施例2の院内自動取引システムの動作フローチャート。
【符号の説明】
【0086】
100 院内自動取引装置
1 制御手段
2 入力手段
3 表示手段
4 読取手段
5 指示制御手段
6 取引制御手段
7 出金制御手段
200 院内管理サーバ
21 制御手段
22 記憶部
23 出金可能情報記憶部
24 認証手段
25 出金可否判定手段
26 更新手段
300 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証情報が入力されると、予め保持された登録認証情報及び前記認証情報を比較して、入院患者の本人認証を行う認証手段を有する院内自動取引装置を備える院内自動取引システムにおいて、
院内で使用するために発行され、入院患者を識別するための患者識別情報と、前記入院患者のみでの単独取引許可情報及び取引補助が許可された院内許可者との補助要取引許可情報のいずれかを保持した患者カードと、
入院患者毎に、入院患者の認証情報と、入院患者及び前記院内許可者の認証情報とのいずれかが格納された記憶部とを含み、
前記院内自動取引装置は、前記患者カードが挿入されると、前記患者カードから得られる前記いずれかの取引許可情報に基づいて、認証情報の入力を指示する指示制御手段と、
前記単独取引許可情報に基づいて、入院患者の認証情報が入力されると、前記認証情報を前記認証手段に出力し、前記補助要取引許可情報に基づいて、入院患者の認証情報のみが入力されると取引処理を中止し、入院患者及び前記院内許可者の両認証情報が入力されると、前記両認証情報を前記認証手段に出力する取引制御手段とを有することを特徴とする院内自動取引システム。
【請求項2】
前記患者識別情報毎に、入院患者が所定の金額以上に出金することを防止するための出金可能な金額を示す出金可能情報が格納された出金可能情報記憶部とを有し、
前記院内自動取引装置は、前記認証手段が有効と判定し、入院患者の所望する出金額を示す出金情報が入力されると、前記患者識別情報に基づいて、前記出金可能情報記憶部を参照し、対応する出金可能情報を取得すると共に、前記出金情報が前記出金可能情報より大きいか否かを比較して、出金の可否を判定する出金可否判定手段と、
前記出金可否判定手段が出金可と判定すると、前記出金情報に基づいて出金処理を開始し、前記出金可否判定手段が出金不可と判定すると、出金処理を終了する出金制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の院内自動取引システム。
【請求項3】
前記患者識別情報は、入院患者の患者ID、氏名、年齢、病名から構成されることを特徴とする請求項1乃至2記載の院内自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−25873(P2007−25873A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204263(P2005−204263)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】