説明

除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置

【課題】 窒素ガスに関しては、食品関係でも多方面で使用されているが、安全という点では、菌に対して最も関心を払わなければならなにも係らず、除菌という発想は全く無かった。
【解決手段】 圧縮空気から窒素ガスを分離することを目的とする窒素ガス製造装置50、60を経由し、更に各種の菌を除菌することを目的とする除菌装置70を経由するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置に関する技術であって、更に詳細に述べると、特に食品関係に有効な粗完全に除菌及び殺菌された状態の窒素ガスを製造する技術について述べたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、窒素ガスを製造する技術と、圧縮空気を除菌する技術は有った(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
この場合、窒素ガスを製造する技術に関しては数多くの特許出願がみられるが、特許文献1に見られるように、圧縮空気を鉄粉に接触させ酸化鉄にして酸素を除去することで窒素ガスを製造する技術が、また圧縮空気を一旦中空糸膜を経由させて後鉄粉に接触させ酸化鉄にして酸素を除去することで窒素ガスを製造する技術が示されている。
【特許文献1】特開2003−119009
【0004】
また、圧縮空気を除菌する技術に関しては、特許文献2に見られるように、エヤードライヤーと除塵フィルターと除菌フィルターを経由して圧縮空気中の菌を軽減させる技術が示されている。
【特許文献2】特開平7−185245
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術に関しては、以下に示すような課題があった。
【0006】
即ち、窒素ガスに関しては、食品関係でも多方面で使用されているが、安全という点では、菌に対して最も関心を払わなければならなにも係らず、除菌という発想は全く無かった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置に於いて、圧縮空気から窒素ガスを分離することを目的とする窒素ガス製造装置50、60を経由し、更に各種の菌を除菌することを目的とする除菌装置70を経由することを特徴とし、更には、前記除菌装置70は、非常に乾燥した流体が流れる所に位置させた除菌フィルター70より構成されているものであることを特徴とし、更には、前記窒素ガス製造装置50、60は、中空糸膜分離方式による装置50、または、PSA方式による装置60によるものであることを特徴とし、更には、前記窒素ガス製造装置50、60の上流には、冷却によるエアードライヤ20と、単数または複数の各種の異物の除去を目的とするフィルター30、40を経由したものであることを特徴とし、更には、前記除菌装置70の下流に、各種の細菌を殺菌することを目的とする殺菌装置を配設することを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明によって、以下に示すような効果をあげることが出来る。
【0009】
第一に、圧縮空気から窒素ガスを分離することを目的とする窒素ガス製造装置を経由し、更に各種の菌を除菌することを目的とする除菌装置を経由させることで、食品に関係する場所で使用しても、安全に関する懸念を解消出来るようになった。
【0010】
第二に、除菌装置の下流に、各種の菌を殺菌することを目的とする殺菌装置を配設することで、食品に関係する場所で使用しても、安全に関する懸念を確実に解消出来るようになった。
【0011】
第三に、非常に乾燥した流体が流れる所に位置させた除菌フィルターによって、菌の繁殖が少ない状態を前提にして、除菌や殺菌を行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
ここで、図1は、本願発明の全体を示した図であり、図2は、本願発明の除菌フィルターを示したであり、図3は、図本願発明のPSA方式の装置を示した図である。
【0013】
図1に見られるように、10はエアーコンプレッサであり、具体的に図示していないが、電動モーターと圧縮機本体より構成され、電動モーターの回転をベルトを介して圧縮機本体に伝えることで、大気を吸引して圧縮空気を作り出し、具体的には図示していない空気タンクに貯蔵するようになっている。 この場合、空気タンクは、エアーコンプレッサ10に一体に構成しないで、圧縮空気配管101、102、103、104の途中の何れかの場所に配置しても構わない。
【0014】
ここで、エアーコンプレッサ10を構成している空気タンクに貯蔵された圧縮空気は、圧縮空気配管101と、圧縮空気を冷却することで乾燥させるエアードライヤ20と、圧縮空気配管102と、圧縮空気内の比較的大きな異物を除去するフィルター30であるダストフィルター30と、圧縮空気配管103と、圧縮空気内の小さな異物を除去するフィルター40であるミストフィルター40と、圧縮空気配管104を経由して窒素ガス発生装置50、60に送り込まれるように構成されている。 この場合、窒素ガス発生装置50、60としては、酸素ガスと窒素ガスの混合気体である空気より酸素ガスを分離除去して窒素ガスを取り出すものが考えられる。 例えば、中空糸膜分離方式による装置50またはPSA方式による装置60である。
【0015】
尚、エアーコンプレッサ10を構成している空気タンクとエアードライヤ20とダストフィルター30とミストフィルター40で発生したドレン水は、ドレン配管111、121、131、141と、手動で開閉することが可能な弁18、28、38、48と、ドレン配管112、122、132、142と、一定の時間毎にまたはドレン水を発生する各々の機器の特定の地点でドレン水の存在を確認したら作動するドレントラップ19、29、39、49と、ドレン配管113、123、133、143を経由してドレン水を排出する構成になっている。
【0016】
この場合、ダストフィルター30は、圧縮空気内に存在する3μm以上の大きい物を除去する能力としたときに、ミストフィルター40は、圧縮空気内に存在する0.01μm以上の小さい異物を除去する能力が考えられ、場合によっては、ミストフィルター40の下流に圧縮空気内の臭いを除去する能力のある活性炭フィルターを配設しても良い。 但し、フィルター30、40の能力に関しては、前述の記載された能力に限定される訳ではないが複数のフィルターを配設する場合には、上流に粗い目のフィルターを配設する必要が条件である。
【0017】
ところで、中空糸膜分離方式による装置50の場合には、ポリエステル製で孔径300μm程度の何千ものストロー状の中空糸を一つに束ねたものより構成されていて、その中空糸の内部に圧縮空気等の各種の気体が混合したものを通すことにより、それぞれの気体が固有にもっている中空糸の膜の透過するスピードの違いを利用して、混合している各々の気体を分離することが出来るのである。
【0018】
この場合、圧縮空気を構成している各気体の成分が、分離膜である中空糸の膜に対する(放出という視点から見た場合に)透過量の差を利用して早く放出する気体と放出しにくい気体がある中で、放出しにくくて残った気体が下流の方に流れていくことになるのである。
【0019】
特に、分離膜である中空糸の膜がポリエステル製の場合には、水蒸気が一番透過しやすく、次に続いて水素ガスやヘリウムガスが透過しやすく、最後に酸素ガスとアルゴンガスと窒素ガスが一番透過しにくい気体として残り、その中でも窒素ガスが最も透過しにくい気体ということで、窒素ガス配管122に高濃度の窒素ガスを排出することになるのである。
【0020】
従って、図1に記載している通り、排気管261から早い時点に透過した酸素ガスを多く含んだ酸素富化ガス198を放出している。 ここでは、酸素富化ガス198に於いては、酸素ガスと同時に水蒸気も排出されることで、窒素ガスを乾燥させる役目も果たしているのである。
【0021】
尚、中空糸の膜としては、ポリエステルの他に、ポリイミドやポリオレフィンやポリプロピレン等の樹脂も考えられる。
【0022】
また、PSA方式による装置60の場合には、図3に記載している通り、高圧力下で特定のガスを吸着し低圧力下で特定のガスを吐き出す吸着材を収納した第一吸着槽61と第二吸着槽62から構成されていて、加えて開閉の動作を定められた順序で自動的に行なう第一電磁弁93、第二電磁弁94、第三電磁弁95、第四電磁弁96、第五電磁弁97、第六電磁弁98、第七電磁弁99と、第一吸着槽61の下流に位置して流量を変化させる第一絞り弁91と第二吸着槽62の下流に位置して流量を変化させる第二絞り弁92と、第一装置内配管241、第二装置内配管242、第三装置内配管243、第四装置内配管244、第五装置内配管245、第六装置内配管246、第七装置内配管247、第八装置内配管248、第九装置内配管249、第十装置内配管250、第十一装置内配管251、第十二装置内配管252、第十三装置内配管253、第十四装置内配管254、第十五装置内配管255、第十六装置内配管256、第十七装置内配管257、第十八装置内配管258、第十九装置内配管259、第二十装置内配管と260と、酸素富化ガスを排出する排気管261より構成されている。
【0023】
更に詳細に述べるなら、圧縮空気配管104に続いて第一装置内配管241と第五装置内配管245が分岐しているのである。 また第十四装置内配管254と第十九装置内配管259が合流して窒素ガス配管105に接続しているのである。
【0024】
その中で、第一装置内配管241は、第一電磁弁93と第二装置内配管242と第三装置内配管243と第一吸着槽61と第十一装置内配管251と第一絞り弁91と第十二装置内配管252と第十三装置内配管253と第六電磁弁98と第十四装置内配管254に、記載の順に接続している。
【0025】
また、第五装置内配管245は、第二電磁弁94と第七装置内配管247と第八装置内配管248と第二吸着槽62と第十六装置内配管256と第二絞り弁92と第十七装置内配管257と第十八装置内配管258と第七電磁弁99と第十九装置内配管259に、記載の順に接続している。
【0026】
更には、第二装置内配管242と第三装置内配管243の接続部に第四装置内配管244を接続し、第七装置内配管247と第八装置内配管248の接続部に第九装置内配管249を接続し、第四装置内配管244は、第三電磁弁95と第六装置内配管246と第十装置内配管250と第四電磁弁96と第九装置内配管249に、記載の順に接続し、第六装置内配管246と第十装置内配管250の接続部に酸素富化ガス198を排出する排気管261を接続しているのである。
【0027】
一方、第十二装置内配管252と第十三装置内配管253の接続部に第十五装置内配管255を接続し、第十七装置内配管257と第十八装置内配管258の接続部に第二十装置内配管260を接続し、第十五装置内配管255は、第五電磁弁97と第二十装置内配管260に、記載の順に接続しているのである。
【0028】
尚、第一吸着槽61と第二吸着槽62には、酸素吸着容量及び酸素と窒素の吸着速度差が大きく、加圧下において短時間のうちに酸素を優先的に吸収することで空気より窒素ガスを分離出来、常圧に戻すことにより吸着した酸素を容易に脱着することが出来る活性炭の一種を収納しているのである。
【0029】
但し、窒素ガス発生装置50、60に関しては、圧縮空気を作り出すエアーコンプレッサ10を包括している中空糸膜分離方式による装置50またはPSA方式による装置60に限定する必要は無く、窒素ガスボンベを必要に応じて加圧したものを使用するものでも構わない。
【0030】
ここで、窒素ガス発生装置50、60によって作り出された窒素ガスは、窒素ガス配管105を経由して除菌装置70としての除菌フィルター70に送り込むように構成している。 この段階で、窒素ガスはエアーコンプレッサ10を構成している空気タンクで圧縮空気からドレン水を発生させ、エアードライヤ20で冷却し、乾燥させることでドレン水を発生させ、ダストフィルター30やミストフィルター40でドレン水を発生させ、窒素ガス発生装置50、60、特に中空糸膜分離方式による装置50で水蒸気を分離しているのである。
【0031】
この場合、除菌装置70である除菌フィルター70は、図2に記載している通り、ボディ71と、このボディ71の下方に着脱自在に螺合によって結合されたハウジング72より成り、このハウジング72内には、通口74aを有する円筒状のフィルター支持体74が下方に位置させ、このフィルター支持体74の周りに円筒状のメンブランフィルターエレメント73が挿脱自在に配設されている。
【0032】
尚、ボディ71には、円筒状のメンブランフィルターエレメント73の外側域に連なる圧縮空気の流入口71aが形成されていると共に、メンブランフィルターエレメント73の内側に位置している円筒状のフィルター支持体74の内側に連なる流出口71bが形成されている。 また、ハウジング72の底部内側には、ドレン溜り72aが形成されている。
【0033】
即ち、流入口71aは、円筒状のメンブランフィルターエレメント73の外側域に連なるものであり、且つドレン溜り72aは、メンブランフィルターエレメント73を介してのみ流出口71bに連なっているのである。
【0034】
一方、円筒状のメンブランフィルターエレメント73を円筒のフィルター支持体74によって挿脱自在にする手段としては、ボディ71に螺着出来るボルト77と、フィルター支持体74の端末74bを下方から保持している板75とナット76による構成を、図2に一つの例として示している。
【0035】
尚、除菌装置70としての除菌フィルター70を通過する窒素ガスは非常に乾燥したガスであるのでドレン水が発生することはないが、何等かの対応のために、ドレン配管171と手動で開閉する弁78とドレン配管72を構成しているが、全く構成させないという事も考えられる。
【0036】
さて、メンブランフィルターエレメント73としては、通常0.1〜5μm程度の能力であるが、一般の細菌やカビや酵母等の真菌類の除菌を可能にする為、0.1〜0.4μm程度の能力のものを用いている。 ここで、このメンブランフィルターエレメント73の材料としては、再生セルロースやニトロセルロース等が考えられる。
【0037】
ところで、除菌装置70としては、前述のメンブランフィルターエレメント73による除菌フィルター70を使用しているために、非常に小さい細菌に関しては僅かではあるが捕捉されない場合もある。 そこで、図1には具体的に示していないが、更に完全な細菌の除去を目ざして、除菌装置70の直後に殺菌装置を設けることも考えられる。 この場合、殺菌装置としては、容器の中に紫外線を発する殺菌灯を点灯させたり、殺菌用薬液やオゾン水中を通過させることも考えられる。
【0038】
この様にして、ほぼ完全に細菌が取り除かれた窒素ガス199は、窒素ガス配管106を経由して最終製品80に送り込むことが出きるように構成している。 この場合、最終製品80としては、一つの例として食品や飲料の酸化を防止し鮮度を保持したい製品に使用するのが望ましく、具体的にはヨーグルトやジャムやお茶やコーヒーや餅や菓子の保存に使用している。
【0039】
本発明による、除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置は前述したように構成されており、以下にその動作について説明する。
【0040】
先ず、エアーコンプレッサ10を構成している電動モーターを作動させると、その回転がベルトを介して圧縮機本体に伝達され、大気を吸引することで圧縮空気を作り出し、具体的には図示していないが、エアーコンプレッサ10を構成している空気タンクに貯蔵するようになっている。 この場合、一つの例として示すと、圧縮空気の圧力が0.7MPaで温度が50℃位に上昇すると大気圧に於ける露点温度は10℃とかなり高い値となる。従って、エアーコンプレッサ10を構成している空気タンクにはドレン水が発生して溜まるので、必要に応じてドレン配管111と弁18とドレン配管112とドレントラップ19とドレン配管113を経由してドレン水は排出されるようになっている。
【0041】
一方、エアーコンプレッサ10を構成している空気タンクに貯蔵された圧縮空気は、圧縮空気配管101を経由してエアードライヤ20に送り込まれるようになっている。 この場合、エアードライヤ20は圧縮空気を冷却することで乾燥させているが、中空糸分離膜によって水分を分離するものや、その他の方法による乾燥方法でも構わない。 この場合、圧縮空気の圧力が0.7MPaで温度が10℃に下げることが出来たとすると大気圧に於ける露点温度は−17℃とかなり低い値となる。 ここでも、エアードライヤ20にはドレン水が発生して溜まるので、必要に応じてドレン配管121と弁28とドレン配管122とドレントラップ29とドレン配管123を経由してドレン水は排出されるようになっている。
【0042】
更に、エアードライヤ20に送り込まれた圧縮空気は、圧縮空気配管102と、フィルター30であるダストフィルター30と、圧縮空気配管103と、フィルター40であるミストフィルター40と、圧縮空気配管104を経由して窒素ガス製造装置50、60に送り込まれるようになっている。 尚、ダストフィルター30とミストフィルター40では上流では大きい異物を下流では小さい異物を分離している。 そして、溜まったドレン水は、必要に応じてドレン配管131、141と弁38、48とドレン配管132、142とドレントラップ39、49とドレン配管133、143を経由してドレン水は排出されるようになっている。
【0043】
ここで、窒素ガス製造装置50、60に送り込まれた圧縮空気のうち、中空糸膜分離方式による装置50の場合には、圧縮空気を通すことで、排気管261から酸素富化ガス198を放出し、窒素ガス配管105に99%位の濃度の高い窒素ガスを排出している。但し、具体的に図示していないが、中空糸膜分離方式による装置50の上流に絞り弁を配設して流量を調節すれば、違う濃度の窒素ガスを得ることも可能である。
【0044】
一方、窒素ガス製造装置50、60に送り込まれた圧縮空気のうち、PSA方式による装置60の場合にも、圧縮空気を通すことで、排気管261から酸素富化ガス198を放出し、窒素ガス配管105に99%前後の濃度の高い窒素ガスを排出することが可能に構成している。
【0045】
この場合、PSA方式による装置60では、酸素吸着容量及び酸素と窒素の吸着速度が大きい活性炭の一種である吸着材を収納した第一吸着槽61と第二吸着槽62を構成することで、高圧下では酸素ガスを吸着し低圧下では酸素ガスを吐き出すという吸着材の特性を利用して圧縮空気から窒素ガスを分離抽出している。
【0046】
従って、吸着材を収納した第一吸着槽61と第二吸着槽62において、電磁弁93、94、95、96、97、98、99の働きによって加圧作業(高圧化)と減圧作業(低圧化)を交互に繰り返し運転することで、圧縮空気から窒素ガスだけを高濃度に分離抽出して供給することが出きるのである。
【0047】
ここで、第一吸着槽61は圧縮空気を供給することによって加圧し、第二吸着槽62は常圧下まで減圧することで、第一吸着槽61の吸着材では、吸着初期に多量の酸素ガスを吸着する特性と高圧力下で吸着量が大きい特性によって、高濃度の窒素ガスを窒素ガス配管105に送り出し、第二吸着槽62の吸着材では、吸着されている酸素ガスを分離離脱させることによって、酸素ガスを中心とする気体を排気管261から排出するようになっている。
【0048】
この様にして、第一吸着槽61と第二吸着槽62を交互に加圧と減圧の運転を繰り返すことによって、連続的に大量の窒素ガスを供給することが出来るようになっているのである。 尚、交互に加圧と減圧の運転をするには、装置内配管241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260の途中に配設された電磁弁93、94、95、96、97、98、99を開閉することによって成されるが、周知の技術であるので、ここでは詳細については省略する。
【0049】
また、第一吸着槽61と第二吸着槽62の直ぐ下流には第一絞り弁91と第二絞り弁92を配設しているが、その目的とする所は、第一吸着槽61と第二吸着槽62を流れる圧縮空気の流量を変化させ調整することによって、季節的な要因や配管抵抗や第一吸着槽61と第二吸着槽62の大きさの違い等の装置の微妙な違いによる窒素ガス濃度の違いやばらつきを、窒素ガスの濃度が高くなりばらつきが小さいように調整することで濃度の高い窒素ガスを得るために設けたものである。 但し、第一絞り弁91と第二絞り弁92の位置に関しては、第一吸着槽61と第二吸着槽62の下流に位置している必要は無く、上流に位置させても構わない。
【0050】
この様にして、濃度の高い窒素ガスは、窒素ガス製造装置50、60から、窒素ガス配管105を経由して除菌装置70である除菌フィルター70に送り込まれる。 その際、圧縮空気の圧力が0.7MPaで温度が10℃のもとで大気圧に於ける露点温度は−60〜−70℃と非常に低い値となっている。
【0051】
最後に、この乾燥した窒素ガスは、除菌装置70である除菌フィルター70に送り込まれ、かなり微小な細菌でも大半のものは除去される。 また、除菌装置70である除菌フィルター70では窒素ガスは非常に乾燥した状態となるので、細菌は繁殖する心配も殆ど無い。 また、必要に応じて細菌を殺す殺菌装置を通過させることで、より完全に細菌を取り除くことも可能である。
【0052】
ところで、概ね完全に細菌を取り除いた窒素ガス199は、最終製品80に充填することが可能となっている。 この場合、概ね完全に細菌を取り除いた状態の窒素ガス199となっているので、壜詰めや袋詰め等の食品関係に使用しても全く問題は無い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
この発明は、除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置に関するものであり、特に食品関係に使用することを目的として除菌を含めた技術を一体にして述べたものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】 本願発明の全体を示した図
【図2】 本願発明の除菌フィルターを示した図
【図3】 本願発明のPSA方式の装置を示した図
【符号の説明】
【0055】
10・・・・・・エアーコンプレッサ
18・・・・・・弁
19・・・・・・ドレントラップ
20・・・・・・エアードライヤ
28・・・・・・弁
29・・・・・・ドレントラップ
30・・・・・・ダストフィルター(フィルター)
38・・・・・・弁
39・・・・・・ドレントラップ
40・・・・・・ミストフィルター(フィルター)
48・・・・・・弁
49・・・・・・ドレントラップ
50・・・・・・中空糸膜分離方式による装置(窒素ガス製造装置)
60・・・・・・PSA方式による装置(窒素ガス製造装置)
61・・・・・・第一吸着槽
62・・・・・・第二吸着槽
70・・・・・・除菌フィルター(除菌装置)
71・・・・・・ボデイ
71a・・・・・流入口
71b・・・・・流出口
72・・・・・・ハウジング
72a・・・・・ドレン溜り
73・・・・・・メンブランフィルターエレメント
74・・・・・・フィルター支持体
74a・・・・・通口
74b・・・・・端末
75・・・・・・板
76・・・・・・ナット
77・・・・・・ボルト
78・・・・・・弁
80・・・・・・最終製品
91・・・・・・第一絞り弁
92・・・・・・第二絞り弁
93・・・・・・電磁弁
94・・・・・・電磁弁
95・・・・・・電磁弁
96・・・・・・電磁弁
97・・・・・・電磁弁
98・・・・・・電磁弁
99・・・・・・電磁弁
101・・・・・圧縮空気配管
102・・・・・圧縮空気配管
103・・・・・圧縮空気配管
104・・・・・圧縮空気配管
105・・・・・窒素ガス配管
106・・・・・窒素ガス配管
111・・・・・ドレン配管
112・・・・・ドレン配管
113・・・・・ドレン配管
121・・・・・ドレン配管
122・・・・・ドレン配管
123・・・・・ドレン配管
131・・・・・ドレン配管
132・・・・・ドレン配管
133・・・・・ドレン配管
141・・・・・ドレン配管
142・・・・・ドレン配管
143・・・・・ドレン配管
171・・・・・ドレン配管
172・・・・・ドレン配管
198・・・・・酸素富化ガス
199・・・・・窒素ガス
241・・・・・装置内配管
242・・・・・装置内配管
243・・・・・装置内配管
244・・・・・装置内配管
245・・・・・装置内配管
246・・・・・装置内配管
247・・・・・装置内配管
248・・・・・装置内配管
249・・・・・装置内配管
250・・・・・装置内配管
251・・・・・装置内配管
252・・・・・装置内配管
253・・・・・装置内配管
254・・・・・装置内配管
255・・・・・装置内配管
256・・・・・装置内配管
257・・・・・装置内配管
258・・・・・装置内配管
259・・・・・装置内配管
260・・・・・装置内配管
261・・・・・排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置に於いて、圧縮空気から窒素ガスを分離することを目的とする窒素ガス製造装置(50、60)を経由し、更に各種の菌を除菌することを目的とする除菌装置(70)を経由することを特徴とする除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置。
【請求項2】
前記除菌装置(70)は、非常に乾燥した流体が流れる所に位置させた除菌フィルター(70)より構成されているものであることを特徴とする請求項1に記載の除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置。
【請求項3】
前記窒素ガス製造装置(50、60)は、中空糸膜分離方式による装置(50)、または、PSA方式による装置(60)によるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置。
【請求項4】
前記窒素ガス製造装置(50、60)の上流には、冷却によるエアードライヤ(20)と、単数または複数の各種の異物の除去を目的とするフィルター(30、40)を経由したものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置。
【請求項5】
前記除菌装置(70)の下流に、各種の細菌を殺菌することを目的とする殺菌装置を配設することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の除菌された濃度の高い窒素ガスを製造する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−201657(P2008−201657A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65790(P2007−65790)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000154521)株式会社フクハラ (87)
【Fターム(参考)】