説明

陽イオン性活性成分を有する口腔用組成物

1つ以上の陽イオン性活性成分及び陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である多孔質表面を有する陽イオン適合性無機微粒子を包含する口腔用組成物が提供される。本口腔用組成物はまた、陽イオン適合性界面活性剤系及び陽イオン性活性成分の存在下で安定なキャリアを有する。本口腔用組成物は、希望するなら二重チューブまたは単一チューブ形態で提供されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野及び背景技術】
【0001】
歯垢または歯垢生体膜は、歯の表面に形成され、歯肉炎及び他の形態の歯周病の発生に関係する軟質の堆積物である。様々な陽イオン性抗菌剤が、細菌の成長を遅らせる臨床上の能力を有し、従って、歯垢形成、口腔感染及びこれらに関連した歯科疾患を最小にする能力を有することが見い出された。多くの陽イオン性活性成分は、口中に存在する細菌細胞の表面の負に帯電したタンパク質部分と結合する能力が理由となって、抗菌作用を有すると理論付けられている。例えば、塩化セチルピリジニウム(CPC)は、このようにして機能すると考えられており、口腔用組成物のための有効な抗菌性/抗歯垢活性成分とみなされている。他の陽イオン性活性物質は、エナメル質の表面エネルギーを修正することによってエナメル質の歯の表面への細菌の付着を防ぐ抗付着化合物として機能すると理論付けられている。このような活性物質は、抗菌性アミノ酸誘導体エステル、例えばエチルラウロイルアルギニンを含む。従って、こうした陽イオン性活性成分の機能の効力は、歯垢、歯肉炎、及びくぼみの形成を防ぐためにインビボでの陽イオン性特性を維持することに依存する。
【0002】
しかしながら、陽イオン性活性成分の陽イオン性の性質、並びにその生物学的利用率及び効力を維持する安定な口腔用ケア組成物を提供することに関連した困難が存在する。このことは、多くの従来の口腔用ケア成分、例えば無機微粒子研磨材及び界面活性剤が、陰イオン性(負)の性質を有するので、特に困難である。陽イオン性活性成分は、このような負に帯電した成分に引きつけられ、結合する可能性があり、従ってその意図された機能を実行することを妨げられる。陽イオン性活性材料成分、例えば、抗菌性アミノ酸エステル化合物は、インビトロで有効な抗菌剤であるが、こうした成分はしばしば、口腔用組成物によってインビボで適用される場合に所望の効力を示さないことが観察されてきた。
【発明の開示】
【0003】
様々な具体例においては、本発明は、陽イオン性活性成分及び陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である表面を有する陽イオン適合性無機微粒子を含む口腔用組成物を提供する。本口腔用組成物はまた好ましくは、陽イオン適合性界面活性剤系を含む。
【0004】
1態様においては、本発明は、
(a)式(I)
【化1】

[式中、R及びRはアルキル基であり、Xは陰イオンである。]
によって表される化合物を含む口腔用組成物を提供する。好適な具体例においては、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル鎖であり、Rは、6〜30個の炭素原子のアルキル鎖である。本口腔用組成物はまた、陽イオン性抗菌性エステルに対して実質的に不活性である表面を有する陽イオン適合性無機微粒子を含む。陽イオン適合性界面活性剤系は、好ましくは、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、コカミドプロピルベタイン、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(ポロキサマー)、及びナトリウムメチルココイルタウレートからなる群から選択される界面活性剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明は、1つ以上の陽イオン性活性成分を含む組成物を提供する。このような陽イオン性成分は、陽イオン性(正に帯電した)部分を含む任意の材料を含む。陽イオン性活性成分は、例えば、水性組成物中にある場合、陰イオン性歯磨き剤成分(例えば、従来の研磨材、陰イオン性活性成分、または陰イオン界面活性剤)と化学的に反応し、その結果、成分の効力は実質的に低減するものである。
【0006】
本明細書において有用なものの中の陽イオン性活性成分は、障害を治療若しくは防ぐためにまたは美容上の利益を提供するために使用できる材料を含む。様々な具体例においては、活性物質は、全部または部分的に口腔の障害ではない障害を治療または防ぐために使用できる“全身性活性物質”である。様々な具体例においては、活性物質は、口腔内部で(例えば、口腔の歯、歯肉のまたは他の硬若しくは軟部組織のために)障害を治療若しくは防ぐためにまたは美容上の利益を提供するために使用できる“口腔用ケア活性物質”である。
【0007】
本明細書において有用なものの中の口腔用ケア活性物質は、抗菌剤、抗炎症剤、う蝕予防薬、歯石制御剤、抗歯垢剤、歯周用活性物質、息新鮮化剤、悪臭制御剤、歯の減感剤、唾液刺激薬、及びこれらの組合せを含む。活性物質の上記の範疇の各々の一般的な特性は異なるかもしれないが、幾つかの共通の特性が存在するかもしれず、任意の与えられた材料は、活性物質のこのような範疇のうちの2つ以上の範囲内で多数の目的に役立つかもしれないことは理解される。
【0008】
好適な具体例においては、活性成分のうちの少なくとも1つは、抗菌性及び/または抗歯垢口腔ケアの利益を有する。1具体例においては、陽イオン性活性材料は、抗付着機構を有する。
【0009】
本発明の口腔用組成物において使用するのに適した陽イオン性抗菌剤は、例えば以下のものを含む:
(i)第四級アンモニウム化合物、例えば第四級窒素上の置換基のうちの1つまたは2つは、8〜20個、好ましくは10〜18個の炭素原子を有し、好ましくはアルキル基であり、所望によりアミド、エステル、酸素、硫黄、または複素環によって割り込まれてよく、一方、残りの置換基は、より低い数の炭素原子、例えば1〜7個を有し、好ましくはアルキル、例えばメチル若しくはエチル、またはベンジルであるものである。このような化合物の例は、塩化ベンザルコニウム、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンゼトニウム(ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド)及び塩化メチルベンゼトニウムを含む;
(ii)ヘキサデシルピリジニウムクロリド及びアルキルイソキノリニウムブロミドを含むピリジニウム及びイソキノリニウム化合物;
(iii)ピリミジン誘導体の例えばヘキセチジン(5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチル−ヘキサヒドロピリミジン);
(iv)アミジン誘導体の例えばイセチオン酸ヘキサミジン(4,4’−ジアミジノ−αω−ジフェノキシ−ヘキサンイセチオネート);
(v)ビスピリジン誘導体の例えばオクテニジンジヒドロチオリド(N,N’[1,10−デカンジイルジ−1(4H)−ピリジニル−4−イリデン]−ビス(1−オクテナミン)ジヒドロクロリド);
(vi)グアニド、例えば、モノ−ビグアニドの例えばp−クロロベンジル−ビグアニド及びN’(4−クロロベンジル)−N”−(2,4−ジクロロベンジル)ビグアニド、ポリ(ビグアニド)の例えばポリヘキサ−メチレンビグアニドヒドロクロリド及び一般式(1):
【化2】

[式中、A及びAは各々、(i)所望により(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ニトロ、またはハロゲンで置換されるフェニル基、(ii)(C1−12)アルキル基、または(iii)(C4−12)脂環式基を表し;X及びXは各々、(C1−3)アルキレンを表し;R及びRは各々、水素、(C1−12)アルキル、またはアリール(C1−6)アルキルを表し;Z及びZ1は各々0または1であり;nは2〜12の整数であり;ポリメチレン鎖(CHは、所望により、酸素または硫黄または芳香(例えばフェニルまたはナフチル)核によって割り込まれてよい。]
のビス−ビグアニド;並びに口腔に許容されるこれらの酸付加塩;このようなビス−ビグアニドの例は、クロルヘキシジン及びアレキシジンを含む。一般式(1)のビス−ビグアニドの適切な酸付加塩は、ジアセテート、ジヒドロクロリド及びジグルコネートを含む。クロルヘキシジンの適切な酸付加塩は、20℃での水溶性として少なくとも0.005%w/vを有し、ジグルコネート、ジホーメート、ジアセテート、ジプロピオナート、ジヒドロクロリド、ジヒドロアイオダイド、ジラクテート、ジナイトレート、サルフェート、及びタルタレート塩を含むものである。好ましくは、塩は、クロルヘキシジンのジヒドロチオリド、ジアセテートまたはジグルコネート塩である。アレキシジンの適切な酸付加塩は、ジヒドロフルオリド及びジヒドロチオリド塩を含む;並びに
(vii)Nα−アシルアミノ酸アルキルエステル及び塩、より詳細には、Nα−アシルアルギニンアルキルエステル及び塩は、一般に、下記の式(2)、
【化3】

[式中、R及びRの両方はアルキル基である。特に、Rは好ましくは1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜3個の炭素原子、最も好ましくは3個の炭素原子のアルキル鎖であり;Rは、6〜30個の炭素原子、好ましくは10〜12個の炭素原子、これらの混合物のアルキル鎖であり;Xは陰イオンである。]
によって表される。様々な具体例においては、RCO部分は、天然脂肪酸残基の例えばヤシ油脂肪酸からなる群から選択される天然脂肪酸、タロー脂肪酸残基、または例えばラウロイル(C12)、ミリスチル(C14)、ステアロイル(C18)脂肪酸残基、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノ−脂肪酸残基を含む。1具体例においては、RCO部分はラウロイル脂肪酸残基を含む。Xは、水中の妥当な程度の溶解度(好ましくは1Lの水中に少なくとも約Ig)を提供する任意の対陰イオンとしてよい。上記に特定した式の抗菌性エステル塩を形成するX対陰イオンの例は、無機酸塩、例えばハロゲン原子を含むもの{例えば、塩化物または臭化物)若しくは二水素リン酸塩、または有機塩の例えば(酢酸塩、タウタレート、クエン酸塩、またはピロリドン−カルボキシラート(PCA)を含む。塩化物塩が好ましい。
【0010】
本発明の実施において好ましい抗菌性エステル化合物の例は、上記に特定した式の抗菌性エステル化合物を含み、ここで、式中のnは3に等しい。このような化合物は、Nα−アシルアルギニンアルキルエステル及びこの塩、例えばNα−ココイル−L−アルギニンメチルエステル、Nα−ココイル−L−アルギニンエチルエステル、Nα−ココイル−L−アルギニンプロピルエステル、Nα−ステアロイル−L−アルギニンメチルエステル、Nα−ステアロイル−L−アルギニンエチルエステルヒドロクロリドを含む。1具体例においては、アルギニン誘導体化合物は、エチルラウロイルアルギニン(ELAH)の塩化水素塩である。
【0011】
本発明の特定の具体例においては、本口腔用組成物中に含まれる陽イオン性活性成分は、以下のうちの1つ以上から選択される:塩化ベンゼトニウム、オクテニジン、ヘキセチジン、ヘキサミジン、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、アレキシジン、及びNα−アシルアルギニンアルキルエステル塩。1具体例においては、陽イオン性活性成分は、塩化セチルピリジニウム(CPC)を含む。別の具体例においては、陽イオン性活性成分は、エチルラウロイルアルギニンエステルヒドロクロリド(ELAH)を含む。さらに他の具体例においては、陽イオン性活性成分は、多数の活性化合物を含んでよい。例えば、1具体例においては、陽イオン性活性成分は、塩化セチルピリジニウム(CPC)及びエチルラウロイルアルギニンエステルヒドロクロリド(ELAH)の両方を含む。当業者であれば認識できるように、陽イオン性活性成分の他の組合せは、本発明のために予測されている。同様に、下記により詳細に説明するように、本口腔用組成物は、上記に説明した陽イオン性活性成分に悪影響を及ぼすことがない追加の活性成分をさらに含んでよい。
【0012】
有利に、陽イオン性抗菌性活性成分は、約0.005〜約10重量%の範囲内で存在する。様々な具体例においては、陽イオン性抗菌性活性成分は、本口腔用組成物中に約0.005〜約5%、より好ましくは約0.05〜約3%存在する。
【0013】
本発明の様々な具体例においては、陽イオン適合性無機微粒子を、陽イオン性活性成分と共に口腔用ケア組成物において使用する。本発明の組成物、方法または有用性を限定するものではなく、様々な具体例においては、無機微粒子成分は、陽イオン性活性化合物と無機微粒子との間に減少した相互作用を与え、従って、陽イオン性活性化合物の生物学的利用率を増大すると考えられている。
【0014】
本発明の様々な具体例においては、本口腔用組成物は、陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である表面を有する陽イオン適合性無機微粒子を含む。本明細書において使用する“実質的に不活性”は、陽イオン性活性成分との最小の望ましくない相互作用を有する陽イオン適合性無機微粒子の表面を指す。実質的に不活性な表面は、様々な方法によって定量化できる。表面の不活性を任意の様式で実現してよく、多孔質表面、コーティング済み表面、及び/または特定の組織を持った表面(textured surface)を有することを含む。
【0015】
例えば、従来の無機微粒子にまさる、本発明の実質的に不活性な多孔質表面を有する陽イオン適合性無機微粒子の改良された適合性を、例えば、本発明の組成物の様々な抗菌性陽イオン性試剤の利用可能性のインビトロ測定から示すことができる。1つのこのような例は、水溶液中で陽イオン性活性物質を微粒子と組み合わせ、“%回収値”として溶液からの活性成分の回収の%として表すことができる回収された陽イオン性活性物質の量を決定することによる。%回収は、陽イオン性活性物質のどれくらい多くが望ましくない程微粒子に結合したかを示すので、この方法は、陽イオン適合性を評価する実験的方法を提供する。
【0016】
様々な具体例においては、本発明と共に使用するための多孔質無機微粒子の実質的に不活性な表面は、陽イオン性活性成分の場合、好ましくは少なくとも約50%、特に60%を超え、特に70%を超え、より詳細には80%を超え、さらに詳細には90%を超える%回収値を有する。このような試験手順は、陽イオン性活性物質、例えばCPCを用いて行うことができる。例えば、1手順においては、CPCの0.3%溶液が27グラムで提供され、3グラムの試験すべき無機微粒子(例えば、シリカまたはリン酸二カルシウム)と混合される。混合物を10分間振とうし、次に60℃のエージングオーブン中に7日間置く。7日後に、試料を遠心分離し、微細ろ過し(micro-filter)、次に20倍に希釈する。上澄み中の利用可能なCPCの分析を、吸光度(例えば、268nmで)を測定し、このデータを、ミキサー中に置いた最初の量から回収したCPCの量を関係付けることによって行う。%回収値は、混合物中に置いたCPCの最初の量と回収したCPCの量との間の差を、CPCの最初の量で割ったものである。
【0017】
任意の特定の理論によって限定されることを望むわけではないが、特定の具体例においては、陽イオン性、中性、またはごくわずかに陰イオン性である表面電荷を有する無機微粒子の多孔質表面は、陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性であると考えられている。特定の具体例においては、無機微粒子は、低い表面積及び吸収の油を有し、陽イオン性活性成分との減少した相互作用を有する表面改質済みシリカ製品を含む。シリカ微粒子のこのような表面改質は、多孔質表面の吸着性特性を減少させる及び/または陽イオン性活性成分が単数または複数の帯電した表面に近づき、これと相互作用する可能性を減少させると理論付けられている。
【0018】
背景的情報として、表面電荷密度(σ)を、以下のものとして表すことができる:
【数1】

これは、単位面積(A)当りの電荷の全量(q)を反映する。しばしば、表面電荷は、微粒子の場合、ゼロ電荷の箇所(pHpzc)として表され、これは、表面電荷σが0C/mに等しいpH条件と一致し、微粒子の表面の負及び正電荷のバランスを反映する。表面電荷に影響する他のファクターは、例えば、結晶構造、任意のエッジ、キンク、または構造上の特徴、表面積、孔径、及びその他同様なものを含む。
【0019】
口腔用ケア組成物において使用するための典型的なシリカに基づく微粒子は、沈降アモルファスシリカ(SiO)であり、これは、ケイ酸ナトリウム(NaSiO)を、酸、例えば硫酸(HSO)と組み合わせることによって形成できる。この反応において形成される沈降シリカ微粒子の表面は、ヒドロキシル基(Si−O−H)、及び場合によってはシランジオール(−Si−(OH))、シラントリオール(−Si−(OH))、表面結合水、及びその他同様なものを含むことができる。このようなヒドロキシル種は、陰イオンのまたは負の電荷を粒子の表面に与える傾向がある。シリカ粒子の表面電荷を決定する1例は、内容を本明細書において参考のために引用するPerselloに付与された米国特許第5,616,316号において提供されている。
【0020】
好ましくは、このような粒子は、直径が最高20ミクロンまでの平均粒度を有する。様々な具体例においては、陽イオン適合性無機微粒子は、BET(ブルナウアーエメット及びテラー方法)表面積約100m/g未満を有する多孔質表面を有することが好ましい。他の具体例においては、陽イオン適合性無機微粒子は、約150g/100g未満の粒子の構造(または形態)を反映する吸収のDBP(フタル酸ジブチル)油を有する。他の具体例においては、陽イオン適合性無機微粒子は、BET表面積約100m/g未満を有し、DBP構造約150ml/100g未満をさらに有する。
【0021】
1具体例においては、本口腔用組成物は、低い表面電荷を有する無機微粒子を含み、好ましくは5〜7のpHpzcを有し、例えば、リン酸二カルシウム、より詳細にはリン酸二カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)を含むリン酸カルシウム微粒子を有する。リン酸二カルシウム微粒子は、典型的な表面積約1.7m/g未満及び吸収のDPB油約50ml/100g未満を有する。
【0022】
他の具体例においては、陽イオン適合性多孔質無機ホスフェートは、低表面積または表面改質済みのシリカ微粒子である。特定の具体例においては、表面改質済み沈降シリカ製品は、メジアン直径1〜100マイクロメートルを有する表面処理済みシリカ微粒子を含む。本明細書における目的のために、“シリカ微粒子”という用語は、微細に分割したシリカを意味し、用語は、シリカ一次粒子、シリカアグリゲート(すなわち、複数のシリカ一次粒子の単一のクラスター)、シリカアグロメレート(すなわち、複数のシリカアグリゲートの単一のクラスター)を、単独でまたはこれらの組合せで包含する。
【0023】
こうしたシリカ微粒子は、比較的により緻密なアモルファス“活性”シリカ材料の堆積を支持する。シリカ材料は、シリカ表面を陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性にするのに有効な量であるBET比表面積1〜50平方m/g、好ましくは1〜40m/g、より好ましくは30m/g未満を提供するのに有効な量で堆積する。1特定の態様においては、シリカ微粒子は、シリカ粒子で形成されるシリカアグリゲートまたはアグロメレートの形態である。従って、特定の具体例においては、低表面積改質済み研磨材は、メジアン直径約100マイクロメートル未満及びBET表面積約50m/g未満を有する。
【0024】
シリカ微粒子は予備成形済み材料であるかまたはインシトゥで形成され、続いて活性シリカは、本明細書において他の場所で説明する比表面積及び低減された陽イオン性活性物質付着要件を満足するのに有効なシリカ微粒子表面に沈降するプロセスによって、改質済み低表面積シリカ製品を製造してよい。シリカ微粒子表面に堆積したより緻密なシリカ材料は、主に、これは、下にあるシリカ微粒子の細孔の開口部の中に浸透する及び/またはこれを塞いで、シリカ微粒子基体の表面積を有効に低減するという意味で、下にあるシリカ基体微粒子を“コーティングする”。比表面積値の測定可能な低減によって示すように、シリカ基体微粒子の表面の活性シリカの堆積の前後に行う定量的BET表面積測定を比較して、より多孔質でない(すなわち、より緻密な)微粒子が生成したかを定性的に決定することができる。陽イオン適合性であるこのような改質済み低表面積シリカ微粒子は、例えば、本明細書において参考のために引用するGallis et al.に付与された米国特許出願公開第2004/0161389号において開示されている。
【0025】
陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である陽イオン適合性無機微粒子として本発明において使用するのに適した別の適切な改質済み低表面積シリカは、本明細書において参考のために引用するGallis et al.に付与された米国特許出願公開第2004/0616390号において説明されている。1具体例においては、改質済み低表面積シリカ製品を、多孔質シリカ基体粒子を上記に説明したのと同じように提供することによって製造できる。緻密なシリカ材料は、シリカ基体粒子表面の細孔開口部の少なくとも一部分の中に浸透する及び/またはこれを塞いで、約500Aを超えるサイズを有する細孔を低減するのに有効なシリカ基体粒子の上に堆積し、その結果として、表面処理済みシリカ表面のその大きな直径の細孔の累積表面積(cumulative surface area)を、水銀圧入ポロシメトリー(mercury intrusion porosimetry)によって測定して約8m/g未満に制限する。約500Aを超える孔径、すなわち、大きな直径の細孔は、より小さなサイズを有する細孔と比較して、特定の陽イオン性活性化合物、例えばCPCにより近付けるようである。従って、約500Aを超えるサイズを有するシリカ粒子表面の細孔を低減することは、陽イオン性活性成分とシリカ粒子の表面の細孔との相互作用を有効に制限するようである。
【0026】
様々な具体例においては、改質済み低表面積シリカ微粒子は、好ましくは、少なくとも50%、特に60%を超え、より詳細には70%を超え、さらに詳細には80%を超える%CPC回収値を有し、これは一般に約55%〜約95%の範囲にわたる。こうした%CPC回収値は、約500Aを超えるサイズを有する表面細孔を低減するのに有効なシリカ基体粒子の処理が理由となって達成でき、その結果、そのサイズの細孔の累積表面積は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定して、好ましくは約8m/g未満、好ましくは約7m/g未満、より好ましくは約6m/g未満である。
【0027】
本具体例におけるこのようなシリカ製品を一般的なプロセススキームによって製造でき、ここで:1)アモルファスシリカ粒子のスラリーは、乾燥し微細に分割した形態で、または、他に、新しい沈降シリカは今までに粉末形態に乾燥されていないスラリー若しくは湿潤したケーク形態である進行中の製造ランから得られる予め製造したシリカ材料をスラリーにすることによって提供され、続いて:2)約500Aを超える〜約8m/g未満のサイズを有する全ての細孔の累積表面積を低減するのに有効な基体シリカ粒子表面に、活性シリカを沈降させる。BET表面積を測定する目的で、N物理吸着が一般に使用される。しかしながら、窒素ガスのサイズが理由となって、従来のBET測定において使用されるガス状Nに近付けるが、より大きな陽イオン性活性物質、例えばCPCには容易には近付けないシリカ粒子標面の全表面積に寄与する細孔が存在する。ミクロ細孔から生じる表面積は、ガス状窒素に近付けるかもしれないが(N物理吸着によって測定して)、CPCの水性スラリーには容易には近付けない。従って、BETN表面積測定自体を使用して、約55%を超える%CPC回収値を得るために本明細書において説明する好都合な孔径分布を有するシリカ粒子を特定することは可能ではない。その代わりに、特定された重要な孔径値でのシリカ粒子の累積表面積を測定する方法として、水銀圧入ポロシメトリーを好ましくは本発明の具体例において使用する。
【0028】
一般に周知のように、水銀圧入法技術は、厳しく制御された圧力下での多孔質構造中への水銀の圧入に基づく。圧力対圧入データから、器械は、ウオッシュバーンの式(Washburn equation)を使用して体積及び粒度分布を生成する。水銀は大部分の物質を濡らさず、毛管作用によって自然に細孔に浸透しないだろうから、外圧を加えることによってこれを細孔中に押さなければならない。必要とする圧力は細孔のサイズに反比例し、大きなマクロ細孔中に圧入するにはごくわずかな圧力が必要であるが、水銀をミクロ細孔中に押すにははるかに大きな圧力が必要である。本発明のシリカ製品の表面に存在するミクロ細孔の孔径及び表面積を測定するには、より高い圧力が必要である。本発明のために水銀圧入ポロシメトリーを使用してミクロ細孔サイズ及び表面積を測定するのに適した器械は、ノークロス、ジョージアのマイクロメリティクス・インスツルメント・コーポレーション(Micromeritics Instrument Corporation of Norcross, Georgia)から入手可能なマイクロメリティクス(登録商標)オートポア II 9220(MICROMERITICS(登録商標) Autopore II 9220)シリーズ自動化水銀ポロシメーターである。
【0029】
本口腔用組成物中の陽イオン適合性研磨材の全量は、約1〜約65%、好ましくは約3〜約60%とすることができる。陽イオン適合性研磨材をリン酸二カルシウムであるように選択する具体例においては、本口腔用組成物中に存在する研磨材の量は、約35〜約60%の範囲にわたる。陽イオン適合性研磨材を改質済み低表面積微粒子であるように選択する具体例においては、これは好ましくは約3〜約25%存在する。
【0030】
他の具体例においては、陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である多孔質表面を有する陽イオン適合性無機微粒子を、エトキシル化水素化ひまし油、例えば、内容を本明細書において参考のために引用する2004年6月23日に出願された米国特許出願第10/875,063号において説明されているものを用いてさらに予めコーティングするかまたは封じ込めることができる。
【0031】
増粘剤として機能する無機陽イオン適合性微粒子化合物を本発明の実施において使用してよく、これは、例えば陽イオン適合性適合性コロイドシリカ無機微粒子化合物である。さらに、本発明の口腔用組成物は、陽イオン適合性無機微粒子、例えば研磨材とコロイド増粘剤との混合物を含むことができる。加えて、口腔用ケア組成物中での安全な使用のための任意の適切な陽イオン適合性無機微粒子が、本発明において使用するために予測されている。
【0032】
1つ以上の陽イオン性活性成分を含む本発明の口腔用組成物を好ましくは、界面活性剤系(すなわち、安定化界面活性剤系)によって水溶液中で安定化する。“安定化界面活性剤系”とは、活性成分化合物の陽イオン性部分の任意の潜在的な加水分解または中和を実質的に制限することを含めて、陽イオン性活性成分の生物学的利用率を維持するかまたは大幅に減少しない1つ以上の界面活性剤を本口腔用組成物中に含めることを意味する。従って、本発明の特定の好適な具体例においては、本口腔用組成物は、水性であり、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される陽イオン適合性界面活性剤を有する安定化された界面活性剤系を含む。特定の具体例においては、下記により詳細に検討するように、陽イオン性活性成分の生物学的利用率に対する妨害が存在しない限りは、穏和でわずかに陰イオン性の界面活性剤を本発明において用いてよい。従って、このような好ましいクラスの界面活性剤のうちの1つ以上を、陽イオン適合性界面活性剤系中に含める。
【0033】
非イオン性界面活性剤は、イオン電荷を有しない分子を生じる化学的成分で製造されている。従って、非イオン性界面活性剤は、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤と区別される。好適な具体例においては、非イオン性界面活性剤の親水性部分は、ポリオキシアルキレン構造に基づく。ポリオキシアルキレン構造は、開環重合によって重合する広く様々な環状エーテルの重合生成物を形式上表すポリエーテルタイプポリマーである。
【0034】
本発明において有用な非イオン性界面活性剤を通常、このような環状エーテルの重合によって合成する。本発明において有用な適切な非イオン性界面活性剤は、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマーを含む。このようなコポリマーは、商標登録されていない名称であるポロキサマーによって商業的に周知であり、名称は、各コポリマーの個々の識別を示すために数字の添字と共に使用される。ポロキサマーは、広範囲の化学構造及び分子量を有するポロキサマーを生じる様々な含量のエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを有してよい。好ましいポロキサマーは、ポロキサマー407であり、パーシッパニー、ニュージャージーのBASF、Inc.(BASF, Inc. of Parsippany, New Jersey)によってプルロニック(登録商標) F 127(PLURONIC(登録商標) F 127)という商品名で販売されている。
【0035】
本発明において有用な非イオン性界面活性剤の好ましい群は、脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキシドの縮合物(ポリソルベート)の例えばソルビタンモノ−オレアートと約20〜約60モルのエチレンオキシド(例えば、トゥイーン(登録商標)(TWEEN(登録商標))、ロンドン、イギリスのICIグループ・オブ・カンパニーズ(ICI Group of Companies of London, England)の商標)を含む。特に好ましいポリソルベートは、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、例えばポリソルベート20(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノラウラート、トゥイーン(登録商標)20)及びポリソルベート80(ポリオキシエチレン20ソルビタンモノオレアート、トゥイーン(登録商標)80)である。特定の具体例においては、ポリソルベート20が特に好ましい。
【0036】
本発明の実施において有用な双性イオン界面活性剤、特にベタインは、内容を本明細書において参考のために引用するPolefka, et al.に付与された米国特許第5,180,577号において開示されている界面活性剤を含む。典型的なジメチルグリシン誘導体は、アルキルジエチルベタイン、例えば、デカルベタイン2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタインまたは2−(N−コク−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン、及びその他同様なものを含む。アミドベタインは、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン及びその他同様なものによって例示される。1つの好ましいベタインは、コカミドプロピルベタインである。
【0037】
本発明においては、非イオン性及び双性イオン界面活性剤が特に好ましい。しかしながら、陰イオン界面活性剤も、特にこれが穏和でごくわずかに陰イオン性の界面活性剤である場合、陽イオン性活性成分化合物と適合させた場合に有用としてよい。1つのこのような好ましい陰イオン界面活性剤の例は、アシル化アミノスルホン酸、例えばタウラノール(tauranol)としても周知のナトリウムメチルココイルタウレートである。
【0038】
従って、様々な好適な具体例においては、陽イオン適合性界面活性剤系は、ソルビタンエステルのポリオキシエチレン誘導体、ジメチルグリシン誘導体、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ブロックコポリマー、アシル化アミノスルホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む。より詳細には、特定の具体例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20)、コカミドプロピルベタイン(CAPベタイン)、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(ポロキサマー、例えば、ポロキサマー407)、ナトリウムメチルココイルタウレート(タウラノール)、またはこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を有する安定化界面活性剤系を含む。特定の具体例においては、特に有効な安定化界面活性剤系は、コカミドプロピルベタイン(CAPベタイン)の第1の界面活性剤及び(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)ポロキサマー、好ましくはポロキサマー407の第2の界面活性剤の両方を含む。このような具体例においては、第1の界面活性剤対第2の界面活性剤の好ましい比は、重量ベースで約1:0〜約10:1の範囲にわたる。
【0039】
本発明の様々な具体例においては、陽イオン適合性安定化界面活性剤系の単数または複数の界面活性剤は、本口腔用組成物中に約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.6〜約3重量%の範囲で存在する。
【0040】
本発明の様々な具体例においては、本口腔用ケア組成物は、送達ビヒクルまたはキャリアを有し、追加の成分をさらに含む。好ましくは、キャリアは、本口腔用組成物の陽イオン性活性成分または他の活性材料の効力を低減しない。本発明に従う許容されるビヒクルまたはキャリアは、口腔において使用するのに毒性学的に適した任意のキャリアとすることができる。このような口腔に許容されるキャリアは、練り歯磨き、歯磨き粉、予防用ペースト、マウスリンス、ロゼンジ、ガム及びその他同様なものの通常の成分を含み、下文でより十分に説明される。特定のキャリア成分の選択は、歯磨き剤、リンス、ゲル、及びペイントを含む所望の製品形態に依存する。本発明の好適な具体例は、歯磨き剤口腔用組成物を含む。
【0041】
本口腔用組成物のキャリアのpHは、好ましくは約4.5〜約9の範囲内にある。陽イオン性活性成分が抗菌性エステル、例えばELAHを含む特定の具体例においては、pHは酸性であり、約7.3未満、好ましくは約6.8未満、より好ましくは約6.5未満であることが好ましい。pHを、界面活性剤及び成分選択によってか、或いは酸(例えば、クエン酸または安息香酸)若しくは塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を用いてキャリアを変更するか、または(例えば、クエン酸ナトリウム、安息香酸塩、炭酸塩、または重炭酸塩、リン酸水素二ナトリウム、またはリン酸二水素ナトリウムを用いて)緩衝化することによって制御できる。
【0042】
様々な具体例においては、本口腔用組成物を製造するために使用されるキャリアは、水、好ましくは脱イオン水を含む。本発明の組成物は所望により、他の材料の例えば接着剤、粘度調整剤、希釈剤、発泡調節剤、pH調整剤、湿潤剤、陽イオン適合性増粘剤、口腔感触剤、甘味料、香味料、着色剤、保存剤、及びこれらの組合せを含む。材料の上記の範疇の各々の一般的な特性は異なるかもしれないが、幾つかの共通の特性が存在するかもしれず、任意の与えられた材料は、材料のこのような範疇のうちの2つ以上の範囲内で多数の目的に役立つかもしれないことは理解される。当業者であれば認識できるように、好ましくは、このようなキャリア材料を、本組成物の陽イオン性活性材料及び他の成分との適合性のために選択する。従来の模範的な口腔用組成物成分は、各々の内容を本明細書において参考のために引用するDurga et al.に付与された米国特許第6,290,933号及びLawlorに付与された米国特許第6,685,921号において説明されている。
【0043】
例えば、本発明の組成物は好ましくは、湿潤剤、例えばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、200〜1,000の範囲内の分子量のポリエチレングリコール及び/またはプロピレングリコールを含む。湿潤剤濃度は典型的に、本口腔用組成物の約5〜約70重量%になる。本発明の特定の好適な具体例においては、本口腔用組成物は、約8〜約40%存在するグリセリン及びソルビトールから選択される湿潤剤を含む。
【0044】
上記に検討した陽イオン適合性シリカ増粘剤以外の本発明の組成物において使用される増粘剤は、好ましくは陽イオン適合性の天然及び合成ガム、コロイド、並びに他の不活性材料の例えばポリエチレン及び架橋済みPVPを含む。適切な増粘剤は、天然に存在するポリマーの例えばカラギーナン、キサンタンガム、合成増粘剤の例えば様々な分子量のポリグリコール、セルロースポリマー、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキスプロピルセルロースを含む。増粘剤は、本発明の口腔用組成物中に約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約4.0重量%の量で存在する。特定の好適な具体例においては、本発明において使用する増粘剤は、陽イオン適合性シリカ増粘剤を別として、所望により約0〜約5%存在するヒドロキシエチルセルロース(HEC)及び所望により約0〜約3%存在するキサンタンガムを含む。
【0045】
本発明の口腔用組成物はまた、当分野において周知の香味剤を含んでよい。適切な香味料は、精油並びに様々な着香アルデヒド、エステル、アルコール及び同様の材料を含む。精油の例は、スペアミント、ペパーミント、ウインターグリーン、サッサフラス、丁字、セージ、ユーカリ、マヨラナ、シナモン、レモン、ライム、グレープフルーツ及びオレンジの油を含む。また有用なものは、メントール、カルボン、及びアネトールのような化学薬品である。こうしたもののうち、最も一般に用いられるのは、ペパーミント及びスペアミントの油である。香味剤を、約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の濃度で歯磨き剤組成物中に取り入れる。
【0046】
本発明の特定の具体例においては、本口腔用組成物中の多数の活性成分が好ましく、というのは、これらは、本口腔用組成物の活性成分(例えば、抗菌性)効力を改良することが観察されているからである。本発明の組成物は所望により追加の活性材料を含み、これは、口腔の硬若しくは軟部組織の状態または障害の予防または治療のために、生理学的障害または状態の予防または治療のために、或いは美容上の利益を提供するために使用でき、その機能を、陽イオン性活性成分に関連して先に上記に説明した。こうした活性物質は、単数または複数の陽イオン性活性成分と適合性があるかまたは多数の成分の口腔用組成物中の単数または複数の陽イオン性活性成分から分かれて維持される。
【0047】
本明細書において有用なものの中の口腔用ケア活性物質は、増白剤、抗菌剤、抗菌物質、抗炎症剤、う蝕予防薬、歯石制御剤、抗歯垢剤、歯周用活性物質、研磨材、息新鮮化剤、悪臭制御剤、歯の減感剤、唾液刺激薬、及びこれらの組合せを含む。活性物質の上記の範疇の各々の一般的な特性は異なるかもしれないが、幾つかの共通の特性が存在するかもしれず、任意の与えられた材料は、活性物質のこのような範疇のうちの2つ以上の範囲内で多数の目的に役立つかもしれないことは理解される。陽イオン性活性成分と同じ相で加えた場合、追加の活性成分は、陽イオン性活性成分と反応するべきではなく、陽イオン性活性成分の効力及び生物学的利用率を減じるべきでもない;好ましくは、追加の成分は、陽イオン性または非イオン性である。本明細書において有用なものの中の活性物質は、各々の内容を本明細書において参考のために引用する2003年11月6日に公開されDoyle et al.に付与された米国特許公開第2003/0206874号、並びにLawlorに付与された米国特許第6,290,933号及び同第6,685,921号において開示されている。
【0048】
1具体例においては、本口腔用組成物は、追加の非陽イオン性抗菌剤を含む。このような抗菌剤は、フェノール及びビスフェノール化合物に基づくものを含み、例えば、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル、トリクロカルバン(triclocarban)(3,4,4−トリクロロカルバニリド)を含むハロゲン化ジフェニルエーテル、並びに2−フェノキシエタノール、安息香酸エステル、及びカルバニリドである。このような追加の抗菌剤は、口腔用ケア組成物中に口腔用組成物の約0.01〜約5重量%の量で存在することができる。
【0049】
例えば、多数の活性成分が本口腔用組成物中に含まれる1具体例においては、抗菌性エステルの例えばELAHは陽イオン性活性成分であり、追加の活性成分はトリクロサンであり、ここで、本口腔用組成物は、単一のまたは多数の成分の形態で提供される。
【0050】
本発明の歯磨き剤組成物はまた、フッ化物イオンの源またはフッ素提供成分を、約25ppm〜5,000ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分な量でう蝕予防薬または抗歯石剤として含んでよく、無機フッ化物塩、例えば可溶のアルカリ金属塩を含んでよい。例えば、本組成物における好ましいフッ化物源は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ナトリウムフルオロシリケート、アンモニウムフルオロシリケート、並びにフッ化スズ、例えばフッ化第一スズである。フッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムが好ましい。
【0051】
フッ化物化合物に加えて、第一スズイオン源抗歯石剤の例えばフッ化第一スズ、塩化第一スズ、及びスタナスピロホスフェートもまた含んでよい。
【0052】
特定の具体例においては、抗歯石剤は、陽イオン性活性成分と適合性がある塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、及び亜鉛グルコネートを含む亜鉛塩のような亜鉛イオン源を含む。抗歯石剤を本口腔用組成物中に含める場合、これは、約0.5〜約5重量%の濃度であることが好ましい。
【0053】
本発明の特定の具体例においては、本口腔用組成物は、陽イオン性活性成分に加えて非イオン性生薬抽出物を含む。好ましくは、このような非イオン性生薬抽出物は、天然源、好ましくは植物源に由来する1つ以上の活性化合物を含む。生薬抽出物という用語は、このような抽出物若しくはその中に含まれる活性成分の合成または半合成の同等物を含む。本発明において使用するのに適した抽出物は、葉、茎、樹皮、パルプ、種子、肉、ジュース、根及びこれらの混合物を含む植物の任意の部分から得ることができる。抽出物を、葉、パルプ及び種子、より好ましくは葉、花または樹皮から得ることが好ましい。
【0054】
非イオン性生薬抽出物の適切な非限定例は、ホップ植物またはCannabaceae科からの植物の他の部分から、特にHumulus lupulus植物からのホップ酸抽出物を含む。マグノリア皮層(Magnolia officinalisの樹皮)の抽出物は、マグノロール(magnolol)、ホノキオール、テトラヒドロマグノロール、及びテトラヒドロホノキオールを含む活性化合物を含み、これらは、本発明において使用するのに適している。他の抗菌性天然抽出物は、緑茶またはウーロン茶(Camellia sinensis)、ミツバオウレン(以下の植物の科のいずれにでも由来する:バンレイシ科(Annonaceae)、メギ科(Berberidaceae)、ツヅラフジ科(Menispermaceae)、ケシ科(Papaveraceae)、キンポウゲ科(Ranunculaceae)、ミカン科(Rutaceae)、ショウガ科(Zingiberaceae)、ナディナ(Nadina)、ヒイラギナンテン属(Mahonia)、カラマツソウ属(Thalictrum)spp.)、クランベリー及び他のツツジ科(Ericaceae)の植物、スイカズラ属(Lonicera ceprifolium)、ブドウの種子(Vitis vinifera)、ミロバラン(Terminalia bellerica)、ローズマリー{Rosmarinus officinalis)、ビルマネムノキ(Albizia lebbek)、インドセンタン(neemまたはmargosa plant)(Melia azadirachta)、ニルリ(niruri)(Phyllanthus niruri)、及びマツの樹皮、好ましくはカイガンショウ(Pinus pinaster)から単離したものを含む。ツツジ科(Ericaceae)は、広く、100を超える属及び4,000を超える関連した種、例えばSanker, et al.に付与された米国特許第5,980,869号において開示されているものを指す。特定の具体例においては、スノキ属における植物からの抽出物は天然抽出物として有用であり、これは例えばクランベリー(Vaccinium macrocarpon)である。
【0055】
抗菌物質及び/または抗炎症剤としてよい他の天然抽出物は、the International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, Tenth Ed., 2004, page 2183に列記されているものである。様々な具体例においては、本発明の口腔用組成物に加えられる追加の非イオン性生薬抽出物は、陽イオン性活性化合物の濃度及び本口腔用組成物の形態に依存して、好ましくは約0.0001%〜約10%、好ましくは約0.001%〜約5%、より好ましくは約0.01%〜約3%存在する。
【0056】
様々な具体例においては、本口腔用組成物は、陽イオン性活性成分に加えて、以下の群から選択される1つ以上の追加の活性成分をさらに含む:トリクロサン、第一スズイオン源、フッ化物イオン源、亜鉛イオン源、非イオン性生薬抽出物、及びこれらの混合物。
【0057】
本発明の口腔用組成物を、別個に維持される多数の相を有する多成分形態で提供してよい。例えば、多数の成分の組成物を、適切な吐出容器中に包装し、この中に、第1及び第2の成分を別個に維持し、これから、別個の成分を、歯ブラシに適用するために合わせたリボンとして同時に吐出してよい。このような状況では、各成分を同様のレオロジカル特性を有するように配合し、その結果、多数に区画化されたチューブまたはポンプ装置中に別個に収容された場合、2つの成分は所望の予め定められた量で同時に共押出しできることが好ましいことがある。このような容器は当分野において周知である。このような容器の例は、圧潰性の側壁を有する2区画室吐出容器、例えばポンプまたはチューブであり、これは、Dixit, et al.に付与された米国特許第6,447,756号、Kiozpeoplouに付与された同第4,487,757号、及びSchaefferに付与された同第4,687,663号において開示されている通りであり、ここで、チューブ本体は、圧潰性のプラスチックウェブの例えばポリエチレンまたはポリプロピレンから形成され、別個の区画室を規定する容器本体内部の仕切りが提供され、この区画室の中に、物理的に別個の成分を貯蔵し、これから、これらを適切な吐出出口を通して吐出する。
【0058】
本発明の多数の成分の口腔用組成物においては、第1の成分は、好ましくは、1つ以上の陽イオン性活性成分を含む。様々な具体例においては、先に上記に説明したように、第1の成分は、陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である多孔質表面を有する陽イオン適合性無機微粒子、陽イオン適合性界面活性剤系、及び陽イオン性活性成分の存在下で安定なキャリアを含む。
【0059】
多数の成分の具体例の第2の成分は、好ましくは、単数または複数の陽イオン性活性成分と適合しない1つ以上の成分を含む。例えば、特定の界面活性剤は、望ましい発泡特性を提供するが、陽イオン性活性成分と共に貯蔵するには過度に陰イオン性である。このような陰イオン界面活性剤の1例は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)である。このような成分の別の例は、陽イオン性活性成分と適合しないと一般に認識されている特定の抗歯石剤であり、これは例えばピロホスフェート及びポリリン酸塩である。同様に、こうした成分を第2の成分中に含めてよい。他の例は、陰イオンに帯電した従来の研磨材を含む。
【0060】
多成分口腔用組成物の第2の成分において使用してよいこのような従来の研磨材は、従来のシリカ研磨材の例えば最高約20ミクロンまでの平均粒度を有する沈降シリカ、例えばヒューバー・エンジニアド・マテリアルズ(Huber Engineered Materials)によって販売されているゼオデンド(登録商標)115(ZEODENT(登録商標) 115)を含む。他の有用な陰イオン性歯磨き剤研磨材は、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、二水和リン酸二カルシウム、ケイ酸アルミニウム、か焼したアルミナ、ベントナイト若しくは他のシリカ質材料、またはこれらの組合せを含む。
【0061】
本発明の他の具体例においては、歯磨き剤組成物を製造するために有用な研磨材は、100g/100gのシリカ未満、好ましくは約45g/100g〜約70g/100gのシリカ未満の範囲内の油吸収値を有するシリカゲル及び沈降アモルファスシリカを含む。こうしたシリカコロイド粒子は、約3ミクロン〜約12ミクロン、より好ましくは約5〜約10ミクロンの範囲にわたる平均粒径を有する。
【0062】
本発明の様々な具体例と共に有用なさらに適切な研磨材は、低吸収の油シリカ研磨材または高清浄化研磨材の例えばデヴィソン・ケミカル・ディビジョン・オブ・W.R.グレース&Co.、ボルチモア、メリーランド(Davison Chemical Division of W. R. Grace & Co., Baltimore, Maryland)によってシロデント(登録商標)XWA(SYLODENT(登録商標) XWA)またはシロデント(登録商標)783という取り引き上の名称で販売されているものである。29%の水分を有し、平均して直径約7〜約10ミクロンになり、70g/100gのシリカ未満の油吸収を有するコロイドシリカの粒子で構成されるシリカヒドロゲルであるシロデント(登録商標)650 XWAは、本発明の実施において有用な低油吸収シリカ研磨材の好ましい例である。当業者であれば認識できるように、任意の他の適切な口腔用ケア研磨材も本発明の第2の成分において使用することができる。研磨材は、本発明の歯磨き剤組成物の第2の成分中に約10〜約40%の濃度で存在する。
【0063】
従って、陽イオン性活性成分と適合しない成分を、本口腔用組成物の第2の成分中に別個に維持することができる。二重成分口腔用組成物系においては、第1の成分は陽イオン性活性成分を含み、第2の成分は適合しない活性成分を含む。第1及び第2の成分を、口腔に適用するために分散させるまで、互いに別個に維持する。他に、このような非適合性活性成分剤をまた、当業者であれば認識できる適合化技術によって、例えば低濃度の水を提供して、非適合性成分を物理的に別個にし、拡散を防ぎ、従ってこれらの間の接触を減少させることによって、単一相歯磨き剤組成物中に含めてよい。
【0064】
同様に、特定の活性成分は、陽イオン性活性成分を不安定にする可能性のある成分と共に送達され、貯蔵されるかまたは送達される場合、改良された生物学的利用率または効力を有することができる。1つのこのような例はトリクロサンであり、これは、陰イオン性ポリカルボキシラート及びラウリル硫酸ナトリウムと共に送達された場合に非常に有効である。しかしながら、SLS及び陰イオン性ポリカルボキシラートは、陽イオン性活性成分と適合しない。
【0065】
合成陰イオン性ポリカルボキシラートはしばしば、本口腔用組成物内部の抗菌性、抗歯石または他の活性剤を含む特定の活性成分のための効力増強剤として歯磨き剤組成物において使用される。このような陰イオン性ポリカルボキシラートは一般に、その遊離酸の形態で用いられるか、または、好ましくは部分的に若しくはより好ましくは十分に中和された水溶性アルカリ金属{例えば、カリウム、好ましくはナトリウム)またはアンモニウム塩である。好ましいコポリマーは、分子量(M.W.)約30,000〜約1,000,000を有する、無水マレイン酸または酸と別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくはメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1コポリマーである。1つの好ましいコポリマーは、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸である。こうしたコポリマーの例は、ISPコーポレーション(ISP Corporation)からガントレズ(登録商標)(GANTREZ(登録商標))という商品名で入手可能であり、例えば、AN 139(M.W.1,100,000)、AN 119(M.W.200,000);S−97医薬等級(M.W.1,500,000)、AN 169(M.W.2,000,000)、及びAN 179(M.W.2,400,000)であり;ここで、好ましいコポリマーは、S−97医薬等級(M.W.1,500,000)である。
【0066】
特定の具体例においては、口腔表面に適用するための多成分口腔用ケア組成物は、1つ以上の陽イオン性活性成分を有する第1の相または成分を含み、ここで、陽イオン性成分のうちの少なくとも1つは、エチルラウロイルアルギニンエステル(ELA)である。第1の相はまた、陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である多孔質表面を有する陽イオン適合性無機微粒子、陽イオン適合性界面活性剤系、及びpH約7未満を有するキャリアを含む。第2の相または成分は、陽イオン性抗菌性成分と適合しない1つ以上の口腔用ケア成分を含む。特定の具体例においては、第2の相は、陰イオン界面活性剤、陰イオン性活性成分、及び陽イオン性活性成分と適合しない微粒子のうちの1つ以上を含む。第1及び第2の相を、貯蔵の最中に、互いに別個に維持する。1特定の具体例においては、第2の相は、ラウリル硫酸ナトリウム及び陽イオン性活性成分と適合しない微粒子のうちの1つ以上を含む。別の具体例においては、第2の相は、トリクロサン並びにメチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマーを含む。第2の相は、陽イオン性活性成分と適合しない微粒子をさらに含んでよい。
【0067】
1具体例においては、本発明は、陽イオン性口腔用ケア活性成分の増強した利用可能性及び安定性を有する歯磨き剤の製造方法を提供する。歯磨き剤の製造は、当分野において周知である。
【0068】
特に、本発明の歯磨き剤の1つの模範的な製造方法は、一般に、成分の例えば、ナトリウムサッカリン(sodium saccharin)、モノフルオロホスフェート、及び従来のミキサー中で撹拌下で混合される任意の他の塩を含む水溶性化合物を水中に分散させることを含む。湿潤剤の例えばグリセリン及びソルビトールを、従来のミキサー中で撹拌下で水中に分散させる。有機増粘剤、例えばキサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロース、及び任意のポリマーを加える。生成した混合物を、均一なゲル相を形成するまで撹拌する。ゲル相中に、顔料の例えばTiO、及びpHを6〜7に調節するのに必要な任意の酸または塩基を加える。混合物を次に高速真空ミキサーに移し、ここで、陽イオン適合性無機微粒子研磨材及び/または増粘剤、例えば改質済み低表面積シリカまたはリン酸二カルシウムを加える。混合物を次に高速で5〜30分間、約20〜50mmのHg、好ましくは約30mmHgの真空下で混合する。香味油を量り分け、次に混合物に加える。最後に、安定化界面活性剤系の界面活性剤(ナトリウムメチルココイルタウレート、すなわち、タウラノール、トゥイーン(登録商標)20、コカミドベタイン、すなわち、CAPベタイン、プルロニック(登録商標)127、すなわち、ポロキサマー407)、香味料、及び陽イオン性活性成分(すなわち、ELAH)並びに任意の他の活性成分を混合物に加え、さらに10分間混合する。生成した製品は、均一で半固体の押出し可能なペーストまたはゲル製品である。
【0069】
以下の実施例は、本発明の範囲内の好適な具体例をさらに説明し、証明する。
【実施例】
【0070】
実施例1
【表1】

【0071】
水溶性塩及び化合物、ナトリウムサッカリンナトリウム並びにモノフルオロホスフェート(MFP)を、従来のミキサー中で撹拌下で分散させることによって、表1における各歯磨き剤配合物を作製する。湿潤剤の例えば、グリセリン及びソルビトールを、従来のミキサー中で撹拌下で水中に分散させる。有機増粘剤、例えばキサンタンガム及びヒドロキシエチルセルロースを加える。混合物を、均一なゲル相を形成するまで撹拌する。ゲル相中に、二酸化チタン顔料、例えばTiO、及びpHを約7未満に調節するのに必要な任意の酸または塩基(NaOH)を加える。混合物を次に高速真空ミキサーに移し、ここで、陽イオン適合性無機微粒子研磨材及び/または増粘剤、例えば改質済み低表面積シリカまたはリン酸二カルシウムを加える。混合物を次に高速で5〜30分間、約20〜50mmのHg、好ましくは約30mmHgの真空下で混合する。香味油を量り分け、次に混合物に加える。最後に、安定化界面活性剤系の界面活性剤(ナトリウムメチルココイルタウレート、すなわち、タウラノール、トゥイーン(登録商標)20、コカミドベタイン、すなわち、CAPベタイン、プルロニック(登録商標)127、すなわち、ポロキサマー407)、香味料、及び陽イオン性活性成分(すなわち、ELAH)を混合物に加え、さらに10分間混合する。生成した製品は、均一で半固体の押出し可能なペーストまたはゲル製品である。
実施例2
【表2】

【表3】

【0072】
多成分歯磨き剤組成物を、表2に示すように作製する。第1の成分または相を、実施例1において説明したように作製した。第2の成分を、水溶性化合物、例えばMFP及びナトリウムサッカリンを水に加え、混合することによって作製する。フッ化物イオン源を、第1及び第2の成分の両方に加えることができることに注意されたい。次に湿潤剤を加え、撹拌下で混合する。分散系中に、増粘剤、例えばキサンタンガム及び/またはヒドロキシエチルセルロースを加える。次に、ガントレズ(登録商標)を水酸化ナトリウムと共に加える。生成した混合物を、均一なゲル相を形成するまで撹拌する。ゲル相中に、二酸化チタン(TiO)及び緩衝剤を加える。こうした成分を、均一な相が得られるまで混合する。混合物を次に高速/真空ミキサーに移し;ここで、トリクロサン、ガントレズ(登録商標)、及び従来の研磨材化合物、例えばゼオデンド(登録商標)115、ゼオデンド(登録商標)165、高清浄化シリカ、シロデント(登録商標)XWA 650を加え、高速で25分間、約30mmHgの真空下で混合する。最後に、陰イオン界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む単数または複数の界面活性剤、次に香味料を混合物に加え、さらに10分間混合する。生成した製品は、均一で半固体の押出し可能なペーストまたはゲル製品である。第1及び第2の成分を別個に、多成分貯蔵装置、例えば先に上記に説明したものの中に貯蔵する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)陽イオン性活性成分と;
(b)前記陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である表面を有する陽イオン適合性無機微粒子と;
(c)陽イオン適合性界面活性剤系と;を含む口腔用組成物。
【請求項2】
陽イオン適合性無機微粒子成分は、BET表面積約100m/g未満を有するシリカ微粒子を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、吸収のDBP油約150g/100g未満を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、メジアン直径約100マイクロメートル未満を有する改質済み低表面積シリカ微粒子を含み、前記BET表面積は約50m/g未満である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記陽イオン適合性無機微粒子はリン酸二カルシウム微粒子を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
前記陽イオン性活性成分は、塩化ベンゼトニウム、オクテニジン、ヘキセチジン、ヘキサミジン、クロルヘキシジン、アレキシジン、及びNα−アシルアルギニンアルキルエステル塩から選択される、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
前記陽イオン性活性成分は塩化セチルピリジニウムを含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
前記陽イオン性活性成分は、エチルラウロイルアルギニンエステルヒドロクロリド(ELAH)を含む、請求項5に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
前記口腔用組成物は、トリクロサン、第一スズイオン源、フッ化物イオン源、亜鉛イオン源、及び非イオン性生薬抽出物からなる群から選択される追加の活性成分をさらに含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
前記陽イオン性活性成分は、口腔用ケア組成物の約0.05〜約5重量%の濃度で存在する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項11】
前記陽イオン適合性界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項12】
前記陽イオン適合性界面活性剤系は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、コカミドプロピルベタイン、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(ポロキサマー)、ソルビタンジイソステアラート、アルキルポリグルコシド、及びナトリウムメチルココイルタウレートからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項13】
前記陽イオン適合性界面活性剤系は、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(ポロキサマー)407の第1の界面活性剤及びコカミドプロピルベタインの第2の界面活性剤を含み、前記第1の界面活性剤対前記第2の界面活性剤の比は、重量ベースで約1:0〜約10:1の範囲にわたる、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項14】
湿潤剤、界面活性剤、陽イオン適合性増粘剤、水、香味剤、及び保存剤からなる群から選択される歯磨き剤成分をさらに含む、請求項1に記載の口腔用組成物
【請求項15】
(a)式(I)
【化1】

[式中、R及びRはアルキル基であり、Xは陰イオンである。]
によって表される化合物と;
(b)陽イオン性抗菌性エステルに対して実質的に不活性である多孔質表面を有する陽イオン適合性無機微粒子と;
(c)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、コカミドプロピルベタイン、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(ポロキサマー)、及びナトリウムメチルココイルタウレートからなる群から選択される界面活性剤を含む陽イオン適合性界面活性剤系と;を含む口腔用組成物。
【請求項16】
は、1〜8個の炭素原子のアルキル鎖であり、Rは、6〜30個の原子のアルキル鎖である、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項17】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、BET表面積約100m/g未満を有する低表面積シリカ微粒子を含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項18】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、吸収のDBP油約150g/100g未満を含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項19】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、500オングストロームを超える直径を有する大きな直径の細孔を有する改質済み低表面積シリカ微粒子を含み、前記大きな直径の細孔は、水銀圧入によって測定して累積表面積約8m/g未満を有する、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項20】
前記陽イオン適合性無機微粒子はリン酸二カルシウム微粒子を含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項21】
前記陽イオン性抗菌性エステルは、エチルラウロイルアルギニンエステルヒドロクロリド(ELAH)を含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項22】
前記口腔用組成物は、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、第一スズイオン源、フッ化物イオン源、亜鉛イオン源、及び生薬抽出物から選択される追加の活性成分をさらに含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項23】
前記陽イオン適合性界面活性剤系は、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート、コカミドプロピルベタイン、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)(ポロキサマー)、及びナトリウムメチルココイルタウレートからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項24】
トリクロサンをさらに含む、請求項15に記載の口腔用組成物。
【請求項25】
口腔表面に適用するための口腔用ケア組成物であって:
(a)陽イオン性活性成分、該陽イオン性活性成分に対して実質的に不活性である表面を有する陽イオン適合性無機微粒子、及び陽イオン適合性界面活性剤系を含む第1の相と;
(b)陽イオン性抗菌性成分と適合しない1つ以上の口腔用ケア成分を含む第2の相と;を含む組成物において、前記第2の相は、陰イオン界面活性剤、陰イオン性活性成分、及び前記陽イオン性活性成分と適合しない微粒子のうちの1つ以上を含み、前記第1及び前記第2の相は、貯蔵中に、互いに分離される、組成物。
【請求項26】
前記第2の相は、ラウリル硫酸ナトリウム及び前記陽イオン性活性成分と適合しない微粒子のうちの1つ以上を含む、請求項25に記載の口腔用ケア組成物。
【請求項27】
前記第2の相は、トリクロサン並びにメチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマーを含む、請求項25に記載の口腔用ケア組成物。
【請求項28】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、BET表面積約100m/g未満を有するシリカ微粒子を含む、請求項25に記載の口腔用ケア組成物。
【請求項29】
前記陽イオン適合性無機微粒子成分は、吸収のDBP油約150g/100g未満を含む、請求項25に記載の口腔用ケア組成物。

【公表番号】特表2009−501225(P2009−501225A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521455(P2008−521455)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/026512
【国際公開番号】WO2007/011552
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】