説明

障害物検出装置

【課題】意匠性を向上し、且つ、所望の指向性を確保することができる障害物検出装置を提供する。
【解決手段】壁部材140の内面141aに超音波振動子121を含む超音波センサ120を取り付けてなり、壁部材140を介して、超音波の送波又は受波をなす障害物検出装置100であって、超音波センサ120の振動部位122aとの接触部位142を除く壁部材140の内面141aに、接触部位142に対する離反方向において、隣接する内側と壁部材140の剛性を異ならせる複数の剛性変化部143,144を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁部材の内面に超音波振動子を含む超音波センサを取り付けてなり、壁部材を介して、超音波の送波及び/又は受波をなす障害物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば超音波センサを用いて車両周辺に位置する障害物を検出する障害物検出装置が公知である。例えば特許文献1に記載の超音波センサを備えた障害物検出装置では、車両のバンパに孔が設けられ、当該孔からバンパの外面と同一平面となるよう超音波センサの頭部が露出される。しかしながら、このような構成の障害物検出装置は、超音波センサの頭部が車両外部に露出するため、意匠性の点で好ましいものではない。
【0003】
この問題に対し、例えば特許文献2の障害物検出装置においては、車両のバンパの裏側に凹部を設け、当該凹部に超音波振動式のセンサを収容して、センサを外部から見えなくすることで、意匠性を向上するようにしている。
【特許文献1】特開2004−264264号公報
【特許文献2】特開平10−123236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献2に記載の障害物検出装置においては、金属ベースに円形板状のセラミック(超音波振動子)を積層一体化してなる超音波センサを、バンパの平面方向において、セラミックよりも大きく設けられた凹所の底部に、セラミックの外面を直接接触させて取り付けている。したがって、バンパにおける超音波センサ(セラミック)との接触部位の周辺に振動(所謂不要振動)が伝達されやすく、バンパの振動が広範囲に及んで、指向性が不規則となる。これは、振動が広範囲に及ぶことにより、各部位での位相が異なって干渉することによるものと考えられる
本発明は、上記した点に鑑みてなされたもので、意匠性を向上し、且つ、所望の指向性を確保することができる障害物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、壁部材の内面に超音波振動子を含む超音波センサを取り付けてなり、壁部材を介して、超音波の送波又は受波をなす障害物検出装置であって、壁部材は、超音波センサの振動部位との接触部位を除く内面に、接触部位に対する離反方向において、隣接する内側(接触部位側)と壁部材の剛性を異ならせる複数の剛性変化部を有することを特徴とする。
【0006】
このように本発明によれば、壁部材の内面に超音波センサを取り付けており、壁部材を介して超音波の送波又は受波をなすように構成されている。したがって、超音波センサが壁部材の外部から見えないので、意匠性を向上することができる。なお、超音波の送波又は受波とは、超音波の送波及び受波の少なくとも一方(送波のみ、受波のみ、送波及び受波のいずれか)という意味である。
【0007】
また、超音波センサの振動部位が接触する部位(接触部位)を除く壁部材の内面に剛性変化部を設けることで、剛性変化部を有する壁部材の部位の剛性を、隣接する内側(接触部位側)と異ならせている。このように剛性差を設けると、高いほうが振動しにくく、低いほうが振動しやすくなる。したがって、剛性変化部よりも外側(接触部位に対して離反側)への振動(以下、不要振動と示す)の伝達を低減することができる。特に本発明においては、剛性変化部を、接触部位に対する離反方向において複数設けているので、不要振動を効果的に低減することができる。このように、壁部材における超音波(振動)の主要な伝達範囲を、剛性変化部によって絞る(所定の範囲に規定する)ことができるので、所望の指向性を確保することができる。
【0008】
なお、壁部材に取り付けられる超音波センサの個数は特に限定されるものではない。個々のセンサに対応して剛性変化部が設けられれば良い。壁部材に対して複数の超音波センサが並設される構成において、剛性変化部は隣接する超音波センサからの不要振動を低減することもできる。
【0009】
超音波センサとしては、請求項2に記載のように、超音波振動子が収容部としての筐体の底面部内面に接触固定され、底面部の外面が前記壁部材と接触する構成(筐体の底面部の少なくとも一部が、壁部材と接する超音波センサの振動部位として機能する構成)を採用することができる。また、請求項3に記載のように、超音波振動子が、筐体に収容されず、壁部材と接触する構成を採用することもできる。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、例えば請求項4に記載のように、底面部の外面の一部に、壁部材との接触部として凸状の超音波伝達部が設けられた構成とすることが好ましい。これによれば、底面部の外面の一部に設けられた凸状の超音波伝達部(すなわち突起)によって、超音波振動子と壁部材との間で超音波(振動)の伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)ことができる。したがって、剛性変化部との効果と相俟って、所望の指向性をより確保しやすくすることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明においては、請求項5に記載のように、壁部材の平面方向において、超音波伝達部の接触面の形状が底面部の形状と異なる構成としても良い。これによれば、超音波伝達部の形状によって、種々の指向性に対応が可能となる。
【0012】
また、請求項2又は請求項3に記載の発明においては、例えば請求項6に記載のように、壁部材のうち、超音波センサとの接触部として凸状の超音波伝達部(すなわち突起)が設けられ、接触部位としての超音波伝達部の接触面と超音波センサの接触面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なる構成としても良い。このように、壁部材側に凸状の超音波伝達部を設けることによっても、超音波振動子と壁部材との間で超音波(振動)の伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)ことができる。したがって、剛性変化部との効果と相俟って、所望の指向性をより確保しやすくすることができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明においては、請求項7に記載のように、筐体の底面部の一部に、壁部材及び超音波振動子と接触し、壁部材の音響インピーダンスと超音波振動子の音響インピーダンスとの中間の音響インピーダンスを有する材料からなる超音波伝達部が設けられ、超音波伝達部及び壁部材を介して、超音波が伝達される構成としても良い。
【0014】
超音波は、音響インピーダンスの異なる部材間においては、インピーダンスの差が大きいほど部材間における反射量が増加する特性を有している。これに対し、請求項7に記載の発明によれば、底面部の一部に超音波伝達部を設けるので、音響インピーダンスを適宜設定することができる。また、筐体は、超音波振動子を固定したり、壁部材に取り付けられるために求められる剛性等の特性を満足する必要があるため、超音波を伝達する上で最適な材料を選択することが困難である。その結果、超音波伝達部の周囲の筐体材質からなる底面部では、超音波の伝達量が超音波伝達部よりも低下する。したがって、筐体の底面部における超音波(振動)の主要な伝達範囲を、超音波伝達部に対応する範囲に絞ることができる。そして、剛性変化部との効果と相俟って、所望の指向性をより確保しやすくすることができる。なお、請求項4,5に記載の超音波伝達部において、請求項7に記載の構成を適用しても良い。
【0015】
請求項7に記載の発明においては、請求項8に記載のように、超音波伝達部の音響インピーダンスが、超音波伝達部の周囲にある筐体の底面部の音響インピーダンスよりも、超音波振動子の音響インピーダンスと壁部材の音響インピーダンスとの中間値に近い構成とすると良い。これによれば、超音波伝達部における超音波の伝達量を、その周囲の筐体部分(底面部)における超音波伝達量よりも確実に大きくすることができる。
【0016】
なお、請求項4〜8いずれか1項に記載の発明においては、請求項9に記載のように、超音波伝達部を、壁部材の平面方向において、直交する2軸方向の長さが互いに異なる構成としても良い。これによれば、例えば地面に対する水平方向と垂直方向とで指向性が異なるもの(偏指向性を有するもの)であっても、所望の指向性を確保することができる。
【0017】
剛性変化部として、例えば請求項10に記載のように、接触部位を除く内面に設けられた溝部を含むことが好ましい。溝部を有する部位の壁部材の剛性は、溝部周辺の壁部材の剛性よりも低い。したがって、溝部から溝部の外周側(接触部位に対して離反側)へ伝達される不要振動が低減され、壁部材において振動しやすい範囲を規定することができる。例えば請求項11に記載のように、溝部として、接触部位に対して凹状であり、接触部位の外周に隣接して設けられた溝部を含む構成とすると、溝部のない構成に比べて、接触部位を振動しやすくすることができる。その結果、接触部位の周辺に伝達される不要振動を低減することができる。
【0018】
また、剛性変化部として、請求項12に記載のように、接触部位を除く内面に設けられた突起部を含む構成としても良い。突起部を有する部位の壁部材の剛性は突起部周辺の壁部材の剛性よりも高い。したがって、少なくとも剛性向上による拘束効果によって、突起部よりも外周側(接触部位に対して離反側)へ伝達される不要振動を低減することができる。なお、突起部は、突起部を有する部位の壁部材の剛性を高めるだけでなく、構成によっては、突起部自体が弾性変形して不要振動のエネルギーを吸収し、不要振動を低減する機能を果たすこともできる。
【0019】
請求項12に記載の発明においては、例えば請求項13に記載のように、剛性変化部として、突起部を複数含む構成としても良い。好ましくは請求項14に記載のように、複数の突起部が、振動面に対する離反方向において、互いに近接して設けられた構成とすると良い。所定範囲に1つの大きな突起部を設ける場合、複数の突起部を設けるよりも所定範囲における壁部材の剛性を高める(拘束効果を高める)ことができる。しかしながら、体積が大きいため、例えば射出成形によって壁部材と一体的に突起部を設ける場合、壁部材の外面からわかる程度のひけが生じる恐れがある。これに対し、請求項14に記載の構成とすれば、所定範囲に複数の突起部を設けるので、個々の突起部の体積が小さくなり、ひけが生じる恐れ、及び/又は、ひけの程度を低減することができる。また、1つの大きな突起部には劣るものの、複数の突起部を設けるので、所定範囲における壁部材の剛性を高めることができる。また、壁部材の平面方向において、1つの突起部と比べて各突起部の厚さが薄いので、弾性変形による効果を期待することができる。
【0020】
請求項13又は請求項14に記載の発明においては、請求項15に記載のように、複数の突起部において、壁部材の厚さ方向(面方向の直交方向)における少なくとも1つの突起部の厚さ(すなわち突起高さ)が、他の突起部の厚さ(突起高さ)と異なる構成としても良い。複数の突起部の突起高さが全て等しい場合、所定周波数の不要振動に対して各突起部が共振し、不要振動を効率よく低減することができる。しかしながら、例えば温度変化によって壁部材の物性(例えばヤング率)が変化すると、超音波振動子への印加電圧が同じでも、不要振動の波長が変化することとなる。例えば、低温となると、ヤング率が上昇して壁部材が硬くなり、不要振動の波長が長くなる。これに対し、請求項15に記載のように、少なくとも1つの突起部の突起高さを他と異なるものとする(すなわち、突起部の共振周波数をずらしておく)と、温度変化によって不要振動の周波数が変化しても、いずれかの突起部によって不要振動を低減することができる。また、周波数の異なる複数の超音波を送信、及び/又は、受信するような場合においても、それぞれの不要振動を効率よく低減することができる。
【0021】
請求項12〜15いずれか1項に記載の発明においては、請求項16に記載のように、突起部の厚さ(突起高さ)が、突起部を有する部分の突起部を除いた厚さ(すなわち壁部材の基部の厚さ)以上とされた構成とすると良い。これによれば、共振長を確保しやすくなり、不要振動を効率よく低減することができる。
【0022】
請求項12〜16いずれか1項に記載の発明においては、請求項17に記載のように、壁部材の平面方向における突起部の厚さ(すなわち幅)が、壁部材の厚さ方向における突起部を有する部分の突起部を除いた厚さ(壁部材の基部の厚さ)以下とされた構成とすると良い。これによれば、突起部自身の剛性が低下し、不要振動の伝達時に、突起部が弾性変形しやすくなる。また、ひけが生じる恐れ、及び/又は、ひけの程度を低減することができる。
【0023】
請求項12〜17いずれか1項に記載の発明においては、請求項18に記載のように、突起部が壁部材と同一材料を用いて一体的に構成されても良い。これによれば、製造工程を簡素化することができる。
【0024】
請求項1〜18いずれか1項に記載の発明においては、請求項19に記載のように、複数の剛性変化部のうち、少なくとも1つが接触部位を囲んで環状に設けられた構成とすると良い。不要振動は接触部位からその周辺に放射状に広がるが、これによれば不要振動の逃げ部位を無くし、不要振動を低減することができる。
【0025】
請求項20に記載の発明においては、請求項19に記載のように、複数の剛性変化部のうち、少なくとも1つが接触部位の外周形状に沿って環状に設けられた構成とすることが好ましい。これによれば、接触部位と剛性変化部までの間隔が一様であるので、例えば上述した超音波伝達部のように、接触部位の形状に応じた指向性を確保しやすくすることができる。
【0026】
請求項19又は請求項20に記載の発明においては、請求項21に記載のように、接触部位に最も近い位置の剛性変化部が、環状に設けられた構成とすると良い。接触部位に近い方が、不要振動のエネルギーが大きく、剛性変化部による不要振動の低減効果が大きい。したがって、請求項21に記載の発明によれば、壁部材における超音波(振動)の主要な伝達範囲をより絞ることができる。さらに好ましくは、請求項22に記載のように、接触部位に最も近い位置の剛性変化部を、接触部位の外周に隣接するように設けると、より効果的である。
【0027】
請求項19〜22いずれか1項に記載の発明において、請求項23に記載のように、複数の剛性変化部が接触部位に対して同心状に設けられ、接触部位が複数の剛性変化部によって多重に囲まれた構成とすると、不要振動をより低減することができる。
【0028】
なお、請求項19〜23いずれか1項に記載の発明においては、請求項24に記載のように、全ての剛性変化部が、環状に設けられた構成としても良い。
【0029】
また、請求項1〜24いずれか1項に記載の発明においては、請求項25に記載のように、超音波センサとの接触部位を除く壁部材の内面に、壁部材よりも減衰係数の大きい材料からなる減衰部材が積層配置された構成としても良い。これによれば、減衰部材によって不要振動のエネルギーを吸収し、減衰部材の配置位置よりも周辺に伝達される不要振動を低減することができる。
【0030】
なお、減衰部材の配置は、請求項25に記載の条件を満たす範囲であれば特に限定されるものではないが、減衰部材は減衰係数が大きいため、狭い範囲には配置しにくい。そこで、請求項26に記載のように、剛性変化部よりも外周側(接触部位に対して離反側)に設けると良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る障害物検出装置の概略構成を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のI−I線に沿う断面図である。図2は、溝部による不要振動低減を説明するための模式図である。図3は、溝部による効果を示す図である。図4は、突起部による不要振動低減を説明するための模式図である。図5は、FEMによるシミュレーション結果を示す図である。図6は、突起部の効果を示す図である。なお、図1(a)においては、便宜上、超音波センサについて、筐体の底面部外面の外周端のみを破線で図示している。また、図1(b)においては、壁部材における剛性の変化点を、便宜上超音波センサとの接触部位に対して一方の領域のみ、一点鎖線の矢印で示している。
【0032】
図1(b)に示すように、本実施形態に係る障害物検出装置100は、壁部材140の内面141aに超音波センサ120を取り付けてなり、壁部材140を振動伝達経路として含むものである。超音波センサ120は、要部として、超音波を送波し、及び/又は、障害物にて反射された超音波を受波する超音波振動子121と、超音波振動子121を収容する筐体122とを含んでいる。
【0033】
超音波振動子121としては、例えばPZTやチタン酸バリウムなどの圧電セラミックスを焼結体とした圧電振動子を採用することができる。本実施形態においては、駆動信号が印加されると誘電分極によって歪みが生じ、縦方向(厚み方向)に振動して超音波を発生するPZTからなる圧電振動子を採用している。なお、本実施形態においては、1つの超音波振動子121が、超音波の送受信を兼ねるように構成されている。
【0034】
超音波振動子121の表面には電極(図示略)が形成され、当該電極にリード123が電気的に接続されている。本実施形態においては、図1(b)に示すように、一方のリード123が電極と電気的に接続された筐体122の内面に接続されている。そして、リード123は、超音波振動子121を振動させて超音波を発生するための駆動信号を出力したり、超音波振動子121に超音波が伝達されて、超音波振動子121に歪みが生じた場合に、圧電効果によって生じる電圧信号を入力する処理回路が形成された回路基板124と電気的に接続されている。すなわち、超音波センサ120を含む障害物検出装置100は、例えば超音波の送信から受信までの時間や受信信号の位相差などに基づいて、車両の周囲に存在する障害物までの距離や方位を算出することができる。
【0035】
筐体122は、それぞれ1つの超音波振動子121を収容すべく、例えばアルミニウムや合成樹脂を構成材料(本実施形態においては合成樹脂の筒内面を金属コーティング)として、有底筒状に設けられている。そして、図1(b)に示すように、底面部122aの内面に超音波振動子121が設置(例えば接着固定)されている。すなわち、超音波振動子121の配置された底面部122aが振動板としての役割を果たし、底面部122aの外面が振動面(特許請求の範囲に示す超音波センサ120の振動部位)となっている。なお、本実施形態においては、振動面としての底面部122aの外面が、図1(a)に破線で示すように、壁部材140の平面方向(地面に対して直交方向)において、地面に対して水平方向よりも垂直方向に長い平面矩形状となっている。しかしながら、本実施形態においては、壁部材140に、指向性を規定するための凸状の超音波伝達部142(詳細は後述)を設けている。このように、超音波伝達部142を有する構成においては、指向性を規定する上で、底面部122aの外面の形状は特に限定されるものではない。
【0036】
また、筐体122内において、超音波振動子121の周囲には、図1(b)に示すように、底面部122aの内面との接触部位を除いて吸音材125が配置されている。この吸音材125は、超音波振動子121が伸縮し、筐体122の底面部122aが振動することによって筐体122内に放射される不要な超音波を吸収するためのものであり、例えばシリコンスポンジ等の吸音性能に優れた材質よって構成されている。なお、図1(b)に示す符号122bは、吸音材125や回路基板124を固定するために、筐体122内に設けられたストッパ、符号126は、回路基板124と外部(例えば車室内に設けられている報知処理制御や走行制御等を行う制御部)とを接続するコネクタ、符号127は、筐体122内を気密に封止する封止材である。
【0037】
このように、本実施形態に係る超音波センサ120は、筐体122が気密に封止されているので、超音波振動子121が外気に晒されることはなく、リード123等の腐食を防ぐことができる。なお、超音波センサ120の壁部材140の内面141aへの固定構造は、壁部材140の外面141bに露出しない構造であれば採用が可能である。本実施形態においては、その一例として、壁部材140の内面141aに対して底面部122aの外面が接着固定されている。
【0038】
壁部材140は、特に限定されるものではない。超音波(振動)の伝達に適したもの(材質及び厚さ)であれば適用が可能である。本実施形態においては、壁部材140として車両のバンパを採用している。すなわち、本実施形態に係る障害物検出装置100は、車両周囲の障害物を検出する車両用障害物検出装置として構成されている。なお、バンパはウレタンやポリプロピレン等の合成樹脂成形品であるが、車両用障害物検出装置として構成されるに当たり、壁部材140として車両ボディ等を構成する金属板を採用することも可能である。
【0039】
壁部材140を構成する合成樹脂からなる基材141の内面141aには、超音波センサ120の振動部位(筐体122の底面部122aの外面)に対応して、凸状の超音波伝達部142(図1(b)に示す破線は基材141との境界)が設けられている。すなわち、超音波伝達部142を介して、超音波センサ120(超音波振動子121及び筐体122の底面部122a)と壁部材140との間で超音波(振動)が伝達される構成となっている。
【0040】
超音波伝達部142は、基材141の内面141aから突起した柱状部位であり、壁部材140の平面方向において、超音波伝達部142の接触面と筐体122の底面部122aの外面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なるように構成されている。すなわち、超音波センサ120と壁部材140との間を伝達される超音波(振動)の主要な伝達範囲を、超音波伝達部142にて絞る(所定の範囲に規定する)ように構成されている。本実施形態に係る超音波伝達部142は、図1(a)に示すように、底面部122aの外面に対し、底面部122aの外面よりも面積が小さく、且つ、超音波伝達部142の接触面全面が底面部122aの外面との接触範囲に全て含まれるように、水平方向よりも垂直方向に長い矩形状の接触面をもつ構成となっている。なお、超音波伝達部142の接触面の形状は、底面部122aの外面と略同一となっている。また、超音波伝達部142は、壁部材140と同一材料を用いて一体的に形成(一体成形)されている。
【0041】
また、基材141の内面141aであって、超音波センサ120の振動部位との接触部位(超音波伝達部142の形成部位)を除く部位には、接触部位から離反する方向(接触部位周辺への振動の伝達する任意の一方向)において、壁部材140の剛性を隣接する内側(接触部位側)との間で異ならせる剛性変化部が複数設けられている。このように、剛性変化部(周辺と剛性が異なる部分)を設けると、剛性差によって、剛性の高いほうが振動しにくく、剛性の低いほうが振動しやすくなる。したがって、壁部材140において、剛性変化部(周辺と剛性が異なる部分)よりも外周側へ伝達される振動(不要振動)を低減することができる。特に剛性変化部を、接触部位に対する離反方向において複数設けると、不要振動を効果的に低減することができる。本実施形態においては、複数の剛性変化部として、溝部143と突起部144とを含んでいる。
【0042】
剛性変化部の配置は、基材141の内面141aであって、超音波センサ120の振動部位との接触部位を除く部位であれば、それ以外は特に限定されるものではない。好ましくは、複数の剛性変化部のうち、少なくとも1つが接触部位を囲んで環状に設けられた構成とすると良い。このような構成とすると、接触部位からその周辺に放射状に広がる不要振動の逃げ部位を無くし、効果的に不要振動を低減することができる。より好ましくは、接触部位の外周形状に沿って環状に設けられた構成とすると良い。このような構成とすると、接触部位と剛性変化部までの間隔が一様であるので、接触部位(超音波伝達部142)の形状に応じた指向性を確保しやすくすることができる。より好ましくは、剛性変化部のうち、接触部位に最も近い位置の剛性変化部が環状に設けられた構成とすると良い。接触部位に近い方が、不要振動のエネルギーが大きく、剛性変化部による不要振動の低減効果が大きい。したがって、このような構成とすると、壁部材140における超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞ることができる。さらに好ましくは、接触部位の外周に隣接して設けられた構成とすると、主要な伝達範囲を剛性変化部によってより効果的に絞ることができる。
【0043】
溝部143は、壁部材140を構成する基材141形成時に形成されたものであっても良いし、形成された基材141に対して、加工を施して形成されたものであっても良い。本実施形態に係る溝部143は、樹脂からなる基材141形成時に同時に形成されたものである。
【0044】
溝部143の設けられた部位の壁部材140(基材141)の剛性は、溝部143の周囲の剛性に比べて低いので、溝部143の設けられた部位は、他の部位よりも変形しやすい。例えば図2に示すように、壁部材140の平面方向において、溝部143を、超音波センサ120との接触部位を含む基材141の部分を間に挟むように設けると、溝部143の外側(接触部位に対して離反側)の剛性は溝部143よりも高いので、超音波の送信又は受信時において、溝部143が所謂節となり、溝部143によって挟まれた基材141の部位が振動しやすくなる(振動に費やされるエネルギーが増加する)。したがって、溝部143によって挟まれた基材141の部位の振動が例えば一点鎖線で示すように大きくなり、結果的に溝部143よりも外側に伝達される不要振動のエネルギーが減少して、不要振動が低減されるものと考えられる。または、溝部143の外側(接触部位に対して離反側)の剛性が溝部143よりも高いので、溝部143の外側の部位に不要振動が伝達されにくく、不要振動のエネルギーが反射される。したがって、溝部143の外側の部位によって挟まれた溝部143及び接触部位を含む基材141の部位の不要振動のエネルギーが大きくなり、図2に例えば一点鎖線で示すように振動が大きくなるものと考えられる。いずれにしても、溝部143を設けると、壁部材140において振動しやすい範囲(壁部材140における超音波(振動)の主要な伝達範囲)を絞る(所定の範囲に規定する)ことができるので、所望の指向性を確保することができる。
【0045】
本実施形態においては、溝部143として、図1(b)に示すように、接触部位に対する離反方向において、内側(接触部位側)の側面(内側の剛性変化点)が接触部位の外周に隣接する環状の溝部を1つ有している。また、接触部位の外周に隣接する内側面だけでなく、その対向面である外側面(外側の剛性変化点)の平面形状を接触部位の外周に沿う形状(すなわち溝部143を一定幅)としている。すなわち、溝部143によって規定される振動しやすい範囲を極力狭くするとともに、振動しやすい範囲を超音波伝達部142と同一の形状としている。
【0046】
なお、接触部位を含む部位を間に挟んで溝部143を設けた構成においては、溝部143の外側面を境として、溝部143を含む部位が振動するものと考えられるので、少なくとも外側面の形状を指向性に応じた所定形状とすることが好ましい。例えば、内側面を平面円形状とし、外側面を超音波伝達部142と同一の平面矩形状としても、本実施形態に示す構成に準ずる効果を期待することができる。
【0047】
溝部143の個数は1つに限定されるものではない。環状の溝部143を複数設けることで、接触部位を多重に囲んだ構成としても良い。しかしながら、上述したように、溝部143の特徴は、溝部143を設けることにより壁部材140の一部に剛性が低い部位を作り、それによって振動しやすい範囲を規定する点にある。したがって、剛性の低い箇所が複数存在すると、振動しやすい範囲がかえって広くなり、指向性が不規則となることも考えられる。したがって、本実施形態に示すように、接触部位から離反する方向において設けられる溝部143の個数は1つとすると良い。また、底面部122aの外面に対し、底面部122aの外面よりも面積が小さく、且つ、超音波伝達部142の接触面全面が底面部122aの外面との接触範囲に全て含まれるように、超音波伝達部142が構成されているので、接触部位の近傍には、突起部144よりも溝部143のほうが構成しやすい。したがって、本実施形態に示すように、接触部位の外周に隣接する剛性変化部として、溝部143を採用すると良い。
【0048】
溝部143の深さT1及び幅W1も、特に限定されるものではない。図2に示すように、基材141の厚さTに対して溝部143の深さT1が深いほど、溝部143を有する部位の肉厚が薄くなり、剛性が低くなり、変形しやすくなる。また、幅W1が広いほど、剛性の低い部位が広くなり、変形しやすくなる。したがって、溝部143に挟まれる部位を振動しやすくする点では、溝部143の深さT1が深く、幅W1が広いほうが好ましい。しかしながら、その反面、壁部材140としての構造を維持しにくくなる。また、樹脂材料による射出成形によって溝部143を基材141と一体的に成形する場合には、ひけが生じやすくなる。したがって、上述した点及びその他の剛性変化部との不要振動低減のバランスを考慮して、溝部143の深さT1及び幅W1が適宜設定されれば良い。
【0049】
なお、図3に示すように、本実施形態に係る構成の溝部143の効果は、本発明者によって確認されている。図3においては、比較対象としての溝部143のない(剛性変化部のない)構成の、送受波時の接触部位における振動の大きさを振動レベル1とし、溝部143のある構成(ただし、突起部144はなし)の振動レベルを示している。図3に示すように、溝部143を設けることで、溝部143に挟まれた部位である接触部位の振動レベルが1.3倍程度に大きくなっている。また、溝部143よりも外側の振動レベルは、溝部143のない構成と比べて減少している。すなわち、接触部位とその周辺部位(溝部よりも外側の部位)との振動レベルの差が、溝部143を設けることで大きくなっている。
【0050】
突起部144は、壁部材140を構成する基材141形成時に形成されたものであっても良いし、基材141形成後に、基材141に対して固定されたものであっても良い。基材141と同じ材料によって構成されたものでも良いし、異なる材料によって構成されたものでも良い。本実施形態に係る突起部144は、基材141と同一材料を用いて一体的に形成されている。このような構成とすると、製造工程を簡素化することができる。
【0051】
図4に示すように、突起部144の突起高さT2及び幅W2は、特に限定されるものではない。突起部144の設けられた部位の壁部材140(基材141)の剛性は、少なくとも突起部144の周辺の剛性に比べて高いので、突起部144の設けられた部位は、他の部位よりも変形しにくい。例えば図4に示すように、突起部144を超音波センサ120との接触部位を含む基材141の部位を間に挟むように設けると、超音波の送信又は受信時において、突起部144を有する部位が剛性の高い拘束部位となり、突起部144を有する部位を通して突起部144よりも外側(接触部位に対する離反側)に不要振動が伝達されにくくなる。したがって、突起部144によって、不要振動のエネルギーが反射されたような状態となり、突起部144を節として突起部144によって挟まれた基材141の部位が振動しやすくなる(振動に費やされるエネルギーが増加する)。図4に示すように、基材141の厚さTに対して突起部144の突起高さT2が高いほど、突起部144を有する部位の剛性が高くなる。また、幅W2が広いほど、剛性の高い部位が広くなり、変形しにくくなる。拘束による効果を高める上では、突起部144の幅W2が広く、突起高さT2が高いほうが好ましい。
【0052】
しかしながら、突起部144の体積が大きいほど、壁部材140の外面141bからわかる程度のひけが生じる恐れがある。これに対し、本実施形態においては、1つの大きな突起部144を構成することで、拘束による効果を増して不要振動を低減させるのではなく、1つの大きな突起部144を構成する範囲において、複数の突起部144を連続して設けることで、1つの大きな突起部144よりは劣るものの剛性を高くするようにしている。また、各突起部144を、不要振動を受けて弾性変形可能な構成としている。すなわち、拘束による効果と弾性変形による効果により、不要振動を低減するようにしている。具体的には、拘束による効果によって、突起部144よりも接触部位に対して離反方向に伝達される不要振動のエネルギーが減少し、突起部144によって挟まれた基材141の部位の振動が、例えば図4に一点鎖線で示すように大きくなる。また、突起部144に伝達された不要振動は、弾性変形による効果によって、不要振動のエネルギーが減少する。以上により、不要振動を効果的に低減することができる。このように、突起部144を設けることによっても、壁部材140において振動しやすい範囲(壁部材140における超音波(振動)の主要な伝達範囲)を絞る(所定の範囲に規定する)ことができる。
【0053】
なお、突起部144の突起高さT2及び幅W2は、特に限定されるものではない。突起部144を設けることで、少なからず拘束による効果を発揮することができる。また、構成材料、突起部144の突起高さT2及び幅W2を適宜設定することで、突起部144を弾性変形可能な構成とすることができる。弾性変形可能な構成において、好ましくは、超音波(振動)の周波数λにおいて共振する構成とする(n・λ/4(nは自然数)を共振長とする)と良い。このような構成とすると、不要振動を受けて突起部144が大きく変形し、不要振動を効果的に低減することができる。本実施形態においては、突起高さT2を、基材141の厚さT以上の厚さとし、共振長(本実施形態においてλ/4)を確保している。このような構成とすると、共振長を確保しやすくなり、不要振動を効率よく低減することができる。また、複数の突起部144の突起高さT2を全て等しくすることで、所定周波数の不要振動に対して各突起部144が共振し、不要振動を効率よく低減するようにしている。また、幅W2を、基材141の厚さT以下の厚さとしている。このような構成とすると、突起部144自身の剛性が低下し、不要振動の伝達時に、突起部144が弾性変形しやすくなる。また、ひけが生じる恐れ、及び/又は、ひけの程度を低減することができる。
【0054】
なお、本実施形態に示す突起部144の弾性変形による効果は、図5に示すように、FEM(有限要素法)によるシミュレーションでも明らかとなっている。図5に示すように、超音波の送受波時において、変位最大時振動モードと変位最小時(速度最大時)振動モードを繰り返しているが、突起部144が接触部位からの不要振動を受けて、弾性変形していることが明らかである。
【0055】
また、本実施形態においては、突起部144として、接触部位に対する離反方向において、接触部位及び溝部143を取り囲むように、連側して設けられた4つの環状の突起部144を有している。また、各突起部144の幅W2を一定とし、各突起部144の形状を、接触部位(超音波伝達部142)の外周に沿う形状としている。したがって、接触部位の周辺に伝達された不要振動を、4連の突起部144によって確実に低減することができる。また、超音波伝達部142の効果及び溝部143の効果と相俟って、所望の指向性をより確保しやすくすることができる。なお、接触部位を含む部位を間に挟んで突起部144を設けた構成においては、突起部144の内側(接触部位側)の側面(剛性変化点)を境として、突起部144の間の部位が振動するものと考えられるので、少なくとも内側面の平面形状を指向性に応じた所定形状とすることが好ましい。例えば、内側面を超音波伝達部142と同一の平面矩形状とし、外側面を円形状としても、本実施形態に示す構成に準ずる効果を期待することができる。本実施形態においては、内側面だけでなく、外側面も平面矩形状(すなわち一定幅)としている。また、壁部材140の平面方向において、突起部144の内側面(及び外側面)の形状を、超音波センサ120の底面部122の外面の略同一としているので、超音波センサ120を壁部材140に固定する際に、突起部144(特に一番内側のもの)を目印として位置決めしやすいという効果もある。
【0056】
突起部144の個数は4つに限定されるものではない。1つでも良いし4つ以外の複数でも良い。しかしながら、上述したように、突起部144の特徴は、拘束による効果、又は、拘束による効果と弾性変形による効果とを併せた効果によって、振動しやすい範囲を規定する点にある。したがって、複数存在すると、少なくとも拘束力がより高まって、不要振動をより低減することができる。なお、基材141と異なる材料として、基材141の構成材料よりも減衰係数の大きい材料を用いて突起部144を構成すると、突起部144が変形して振動を吸収し、不要振動を低減することができる。
【0057】
なお、図6に示すように、本実施形態に示す突起部144の効果は、本発明者によって確認されている。図6においては、突起部144のない構成(図3の溝部ありと同じ)を比較対象とし、図3に示した溝部なし構造の接触部位における振動の大きさを振動レベル1として、突起部144のある構造(図1(b)に示す本実施形態の構造)の振動レベルを示している。図6に示すように、溝部143とともに突起部144を設けることで、溝部143よりも離反方向における部位の振動レベルは、溝部143のみ(突起部144なし)の構造と比べて減少している。特に突起部144よりも離反方向における部位の振動レベルは、溝部143のみ(突起部144なし)の構造と比べて減少している。すなわち、接触部位とその周辺部位との振動レベルの差が、突起部144を設けることで大きくなっている。
【0058】
このように本実施形態に係る障害物検出装置100によれば、壁部材140の内面141aに超音波センサ120を取り付けており、壁部材140を介して超音波の送波及び/又は受波をなすように構成されている。したがって、超音波センサ120が壁部材140の外部から見えないので、意匠性を向上することができる。
【0059】
また、超音波センサ120の振動部位(底面部122aの外面)の接触する部位(超音波伝達部142の形成部位)を除く壁部材140の内面141aに、剛性変化部としての溝部143と突起部144を設けることで、剛性変化部を有する壁部材140の部位の剛性を、隣接する内側(接触部位側)と異ならせている。したがって、接触部位からその周辺へ伝達される不要振動を、複数の剛性変化部によって、効果的に低減することができる。このように、接触部位の周辺へ伝達される不要振動が低減すると、例えば送波時において、接触部位の周辺から送波される位相のずれた超音波による干渉が低減される。また、複数の超音波センサ120が並設された構成においては、隣接する超音波センサ120への不要振動の伝達量が低減される。したがって、所望の指向性を確保することができる。
【0060】
また、壁部材140の平面方向において、超音波伝達部142は、水平方向よりも垂直方向に長い平面矩形状とされ、溝部143及び突起部144も同一の形状とされている。したがって、障害物検出装置100の指向性は、垂直方向に狭く、水平方向に広いものとなっており、車両用の障害物検出装置として好適である。
【0061】
なお、本実施形態においては、基材141を基準として厚さの異なる溝部143及び突起部144を剛性変化部として示した。しかしながら、接触部位に対する離反方向において、隣接する内側の部位と剛性が異なれば、上述したいずれかの効果によって、不要振動を低減することができる。すなわち、本実施形態に係る障害物検出装置100においては、溝部143及び突起部144だけが剛性変化部ではなく、厳密に言うと、溝部143と突起部144との間の部位や各突起部144間の部位も剛性変化部である。
【0062】
また、本実施形態においては、超音波センサ120が壁部材140に対して接着固定される例を示した。これに対し、例えば、図7に示すように、突起部144の一部を、筐体122を固定するホルダ145とし、ホルダ145と筐体122とを嵌合させて、超音波センサ120を壁部材140に固定するようにしても良い。図7は、変形例を示す断面図であり、図1(b)に対応している。図7に示す符号122cは、筐体122の外周側面に設けられた嵌合用突起であり、符号145aはホルダ145に設けられた嵌合用溝である。このような構成を採用すると、不要振動を低減しつつ、壁部材140に対する超音波センサ120の接続信頼性を向上することができる。なお、接着固定と嵌合固定を併用しても良い。また、図7においては、複数の突起部144のうち、一番内側(接触部位側)の突起部144をホルダ145とする例を示した。しかしながら、突起高さを調整することで、それ以外の突起部144をホルダ145として採用することもできる。また、嵌合以外にも、突起部144の突起先端に板状部材を配置し、ネジ締め等によって板状部材と突起先端及び/又は筐体122を固定することで、押圧により板状部材と壁部材140との間で超音波センサ120を挟持する構成としても良い。
【0063】
また、本実施形態においては、全ての剛性変化部が環状であり、接触部位を中心とした同心状に配置される例を示した。しかしながら、環状に限定されるものではない。例えば図8に示すように、スリット状の分割部146によって環状を分割した構成としても良い。なお、複数の剛性変化部に分割部146を設ける場合には、図8に示すように、分割部146の位置を離反方向に対して一直線とならないようにすると良い。このような構成とすると、不要振動が外側へ逃げにくくなる。なお、図8においては、外側から2つの突起部144のみを分割構造としている。環状の場合、外側ほど周囲長が長くなり、弾性変形しにくくなるので、分割部146を有する構造とすると、効果的である。図8は変形例を示す平面図であり、図1(a)に対応している。また、複数の剛性変化部を点在(分散)させた構成としても良い。環状でなくとも、壁部材140の平面方向において、溝部143(又は突起部144)を、接触部位を間に挟むように設けることで、壁部材140の振動しやすい範囲を規定することができる。
【0064】
また、本実施形態においては、不要振動を低減するために、剛性変化部として溝部143及び突起部144を備える例を示した。しかしながら、溝部143のみ、突起部144のみの構成としても良い。また、図9に示すように、超音波センサ120の振動部位(底面部122aの外面)との接触部位を除く壁部材140の内面141aに、壁部材140よりも減衰係数の大きい材料からなる減衰部材160が積層配置された構成としても良い。これによれば、減衰部材160によって不要振動のエネルギーを吸収し、減衰部材160よりも外側(接触部位に対して離反方向)に伝達される不要振動を低減することができる。減衰部材160としては、例えばねんど状のゴム等を採用することができる。なお、減衰部材160の積層状態によっては、積層部位の周辺部位とに壁部材140の剛性差が生じることとなるので、剛性変化による効果(例えば突起部144としての拘束による効果)を期待することもできる。しかしながら、減衰部材160は、その自身が不要振動を吸収することで、不要振動を低減するものである。したがって、隣接する内側との剛性が同じであっても、不要振動を低減することができる。なお、減衰部材160の配置は、特に限定されるものではない。例えば、溝部143内に配置しても良い。しかしながら、減衰係数が大きく、狭い範囲には配置しにくいので、図9に示すように、剛性変化部よりも外側に設けると良い。図9は変形例を示す断面図であり、図1(b)に対応している。
【0065】
また、本実施形態においては、壁部材140に対して1つの超音波伝達部142が形成される例を示した。しかしながら、壁部材140に対して複数の超音波伝達部142が形成され、複数の超音波伝達部142を介して、超音波(振動)が伝達される構成としても良い。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を、図10に基づいて説明する。図10は、本実施形態に係る障害物検出装置100の概略構成を示す断面図であり、図1(b)に対応している。
【0067】
第2実施形態に係る障害物検出装置100は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0068】
第1実施形態においては、複数の突起部144において、全ての突起高さが等しく設定される例を示した。これに対し、本実施形態においては、少なくとも1つの突起部144の突起高さが、他の突起部144の突起高さと異なる高さとされている点を特徴とする。
【0069】
例えば本実施形態に示す樹脂からなる壁部材140のように、温度変化によって壁部材140の物性(例えばヤング率)が変化する場合、超音波振動子121への印加電圧が同じでも、温度によって振動(不要振動)の波長が変化することとなる。例えば、低温となると、ヤング率が上昇して壁部材140が硬くなり、振動(不要振動)の波長が長くなる。これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、第1実施形態同様に連続して設けられた4つの突起部144の突起高さを、それぞれ異なる突起高さとしている。換言すれば、各突起部144の共振周波数が互いに異なるように、突起高さが設定されている。
【0070】
このように、本実施形態に係る障害物検出装置100によれば、複数の突起部144において、互いの共振周波数をずらしているので、温度変化によって不要振動の周波数が変化しても、いずれかの突起部144によって不要振動を低減することができる。
【0071】
また、このような構成は、温度変化による壁部材140の物性変化に限らず、例えば、周波数の異なる複数の超音波を送信、及び/又は、受信するような構成においても、それぞれの不要振動を効率よく低減することができる。
【0072】
なお、図10においては、複数の突起部144のうち、一番内側(接触部位側)の突起部144aの突起高さを、一番高くしている。換言すれば、低温対策用に、共振長を長くしている。このような構成を採用すると、温度条件として最も厳しい低温下での不要振動を、接触部位に近い位置で効率よく低減することができる。
【0073】
また、図10においては、接触部位から遠ざかるにつれて、突起高さが順に低くなる構成を示したが、突起高さの順番は上記例に限定されるものではない。
【0074】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を、図11に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係る障害物検出装置100の概略構成を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のII−II線に沿う断面図である。なお、図11(a)においては、便宜上、超音波センサ120について、筐体122の底面部122a外面の外周端と超音波伝達部の接触面の外周端を破線で図示している。また、図11(b)においては、壁部材140における剛性の変化点を、便宜上超音波センサ120との接触部位に対して一方の領域のみ、一点鎖線の矢印で示している。
【0075】
第3実施形態に係る障害物検出装置100は、第1実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0076】
第1実施形態においては、壁部材140に凸状の超音波伝達部142を設けることで、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)例を示した。これに対し、本実施形態においては、超音波センサ120を構成する筐体122に凸状の超音波伝達部を形成し、当該超音波伝達部により、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)ようにした点を特徴とする。したがって、本実施形態に係る超音波伝達部の形成範囲は、筐体122の壁部材140に対する対向面内に限定される(すなわち、必然的に筐体122の接触面に対し、筐体122の接触面よりも面積が小さく、且つ、超音波伝達部の接触面全面が筐体122の接触面との接触範囲に全て含まれる)ものの、機能としては、壁部材140の超音波伝達部142と同様である。
【0077】
超音波センサ120の基本的な構成は第1実施形態に示したものと同様である。図11(a),(b)に示すように、筐体122の底面部122aの外面に、凸状の超音波伝達部128(本実施形態において、特許請求の範囲に示す超音波センサ120の振動部位)が形成されている。そして、この超音波伝達部128が壁部材140の内面141aに接触された状態で、超音波センサ120が壁部材140に固定されている。本実施形態に係る超音波伝達部128も、第1実施形態に示した超音波伝達部142と同様、接触面として地面に対して水平方向よりも垂直方向に長い平面矩形状を有する柱状部分として、筐体122と同一材料を用いて一体的に形成されている。
【0078】
壁部材140の基本的な構成も第1実施形態に示したものと同様である。第1実施形態に示した超音波伝達部142の形成部位及びその周囲に隣接して設けられた溝部143の形成部位が、図11(a),(b)に示すように、1つの溝部147に置き換えられている。そして、溝部147の底面に、超音波センサ120の超音波伝達部128が接着固定されている。なお、溝部147の深さは、第1実施形態に示した溝部143と同じであり、まさに超音波伝達部142を超音波伝達部128に置き換えた構成となっている。
【0079】
このように本実施形態に係る障害物検出装置100によれば、超音波センサ120を構成する筐体122の底面部122aの外面に超音波伝達部128を設けている。すなわち、超音波伝達部128を介して、超音波センサ120(超音波振動子121及び筐体122の底面部122a)と壁部材140との間で超音波(振動)が伝達される構成となっている。また、超音波伝達部128は、底面部122aの外面の一部に設けられるものであり、超音波振動子121が固定された筐体122の底面部122aとは、面方向における面積が少なくとも異なる。したがって、超音波(振動)の主要な伝達範囲を、超音波伝達部128にて絞る(所定の範囲に規定する)ことができる。また、第1実施形態に示したように、剛性変化部によって不要振動を低減することができる。そして、これらの効果によって、所望の指向性を確保することができる。
【0080】
なお、図11(b)に示すように、溝部147においては、超音波伝達部128との接触部位が溝部147の底面の一部であるため、一番接触部位に近い剛性変化点は、溝部147の外側面となる。しかしながら、一番接触部位に近い剛性変化部は、溝部147と突起部144との間の基材141の部分(溝部147に隣接する外側の基材141の部位)であり、当該部位を拘束部位として、接触部位を含む溝部147が振動しやすくなるので、不要振動を低減する効果は、第1実施形態に示す構造(図1参照)と実質的に同じである。
【0081】
なお、本実施形態においては、超音波伝達部128が、筐体122と同一材料を用いて一体的に形成(一体成形)されている。したがって、音響インピーダンスの差に基づいて、異なる材料の境界面で生じる反射ロスを低減することができる。しかしながら、超音波伝達部128を壁部材140と一体成形されない構成としても良いし、さらには壁部材140とは異なる材料を用いた構成としても良い。
【0082】
また、本実施形態においては、超音波伝達部128の、壁部材140の内面141aに接触する接触面の形状が、面方向における底面部122aの形状と一致するように構成されている。しかしながら、その形状は、面積とともに、要求される検知エリア、超音波の送受信周波数に応じて任意で設定することができる。
【0083】
また、本実施形態においては、筐体122に対して1つの超音波伝達部128が形成される例を示した。しかしながら、筐体122に対して複数の超音波伝達部128が形成され、複数の超音波伝達部128を介して、超音波(振動)が伝達される構成としても良い。
【0084】
また、本実施形態においては、溝部147の底面に超音波センサ120の超音波伝達部128が接触する例を示した。しかしながら、図12に示すように、第1実施形態同様、接触部位に隣接して環状の溝部143が設けられ、溝部143に囲まれた基材141(すなわち、第1実施形態に示す壁部材140において、凸状の超音波伝達部142のない構成)に対して、超音波センサ120の超音波伝達部128が接触する構成としても良い。このような構成としても、上述の構成と同様の効果を期待することができる。図12は、変形例を示す断面図であり、図11(b)に対応している。
【0085】
また、本実施形態に示す構成は、第1実施形態に示す変形構成(図7〜図9参照)や第2実施形態に示す構成と組み合わせることも可能である。
【0086】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を、図13に基づいて説明する。図13は、本実施形態に係る障害物検出装置100の概略構成を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のIII−III線に沿う断面図である。なお、図13(a)においては、便宜上、超音波センサ120について、筐体122の底面部122a外面の外周端と超音波伝達部の接触面の外周端を破線で図示している。また、図13(b)においては、壁部材140における剛性の変化点を、便宜上超音波センサ120との接触部位に対して一方の領域のみ、一点鎖線の矢印で示している。
【0087】
第4実施形態に係る障害物検出装置100は、第3実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0088】
第3実施形態においては、超音波センサ120を構成する筐体122の底面部122aの外面に凸状の超音波伝達部128を設けることで、超音波(振動)の主要な伝達範囲を絞る(所定の範囲に規定する)例を示した。すなわち、超音波伝達部として、伝達範囲を絞る上で形状的な要素が強い例を示した。これに対し、本実施形態においては、筐体122の底面部122aの一部に、壁部材140及び超音波振動子121と接触し、壁部材140(基材141)の音響インピーダンスと超音波振動子121の音響インピーダンスとの中間の音響インピーダンスを有する材料からなる超音波伝達部を設ける点を特徴とする。すなわち、超音波伝達部として、伝達範囲を絞る上で材料的な要素が強い例を示す。
【0089】
具体的には、図13(a),(b)に示すように、底面部122aの中央には、筐体122の他の部位とは異なる材質(例えば樹脂)によって形成された超音波伝達部129が、壁部材140及び超音波振動子121の両方と接触するように設けられている。ここで、筐体122の材質と異なる材質とは、例えば本実施形態に示すように筐体122の構成材料(樹脂)と超音波伝達部129の構成材料(樹脂)とが異なる場合は勿論のこと、例えば同じ樹脂材料であっても、一方にはガラスクロスが含有され、他方には含まれていない場合も含む概念である。
【0090】
この超音波伝達部129は、その音響インピーダンスが、超音波振動子121の音響インピーダンスと壁部材140の音響インピーダンスとのほぼ中間となり、かつ、超音波センサ120が所望の指向性を示すように、その材質や形状等が設定されている。
【0091】
超音波は、音響インピーダンスの異なる部材間において、その音響インピーダンスの変化が大きいほど、その部材間で伝達されずに反射される反射量が増加する特性を有している。超音波伝達部129は、上述したように、その音響インピーダンスが、超音波振動子121の音響インピーダンスと壁部材140の音響インピーダンスとのほぼ中間となっている。したがって、超音波振動子121と超音波伝達部129間、さらには超音波伝達部129と壁部材140間における超音波反射量を効率的に低減して、超音波の伝達量を増加することができる。
【0092】
一方、筐体122は、超音波振動子121等を固定したり、壁部材140に取り付けたりするために求められる剛性等の特性を満足する必要がある。そのため、筐体122の材質として、超音波を伝達する上で最適なものを採用することは非常に困難である。その結果、超音波伝達部129の周囲の筐体122の形成材質からなる底面部122aの音響インピーダンスは、超音波振動子121の音響インピーダンスと壁部材140の音響インピーダンスとの間の範囲から外れたり、その間に含まれていたとしても、超音波振動子121と壁部材140の音響インピーダンスの一方に近い値となり、他方の音響インピーダンスとの差が大きくなる。このため、超音波伝達部129に比較して、超音波の反射量が増加するので、筐体122の形成素材からなる底面部122aでは、超音波伝達部129よりも超音波の伝達量が低下する。
【0093】
したがって、超音波振動子121による超音波の送受信時において、筐体122の底面部122aにおける超音波の伝達が、主に超音波伝達部129を介して行われることになる。その結果、壁部材140における超音波の主要な伝達範囲を、超音波伝達部129に対応する範囲に絞ることができる。
【0094】
また、本実施形態においても、第3実施形態に示した構成同様、壁部材140の接触部位を除く内面141aに剛性変化部を設けている。具体的には、図13(a),(b)に示すように、複数の突起部144が第1実施形態同様に設けられ、複数の突起部144よりも内側の、溝部143及び超音波伝達部142の設けられていない基材141の平坦部位に、超音波センサ120が、筐体122の底面部122aの外面及び超音波伝達部129を接触面として接着固定されている。したがって、突起部144による拘束の効果と弾性変形の効果によって、不要振動を低減することができる。
【0095】
このように本実施形態に係る障害物検出装置100によれば、超音波伝達部129の効果と剛性変化部の効果によって、所望の指向性を確保することができる。
【0096】
また、本実施形態においても、壁部材140の平面方向において、図13(a)に示すように、超音波伝達部129の接触面が、地面に対して水平方向よりも垂直方向に長い平面矩形状とされており、剛性変化部も、超音波伝達部129の外周端形状に対応した平面形状とされている。したがって、車両用の障害物検出装置として好適である。
【0097】
なお、剛性変化部は、超音波センサ120の振動部位(本実施形態においては超音波伝達部129)との接触部位を除く壁部材140の内面であれば設けることができる。例えば、図14に示すように、接触部位の外周に隣接して溝部143を設けた構成としても良い。このような構成とすると、溝部143の効果によって、振動しやすい部位を狭くするとともに不要振動をより低減することができる。また、底面部122aの超音波伝達部129の周辺部位が壁部材140と接触しないので、底面部122aを介して伝達される不要振動を低減することができる。したがって、所望の指向性を得ることができる。しかしながら、このような構成とすると、超音波センサ120と壁部材140との接着面積が、図13(a),(b)に示す構成よりも減少するので、第1実施形態の変形構成(図7及びそれに応じた記載)を採用することが好ましい。図14は変形例を示す断面図であり、図13(b)に対応している。
【0098】
また、本実施形態においては、超音波伝達部129が筐体122の底面部122aの外面と面一である例を示した。しかしながら、図15に示すように、超音波伝達部129の一部が底面部122aの外面から突出し、超音波伝達部129のみが、壁部材140と接触する構成としても良い。これによれば、底面部122aの超音波伝達部129の周辺部位が壁部材140と接触しないので、底面部122aを介して伝達される不要振動を低減することができる。図15は、変形例を示す断面図であり、図13(b)に対応している。なお、図15にしめす構成に対して、図14に示すように、接触部位の外周に隣接して溝部143を設けた構成としても良い。これによれば、不要振動をより低減することができる。しかしながら、本構成においても、図14に示す構成同様、超音波センサ120と壁部材140との接着面積が、図13(a),(b)に示す構成よりも減少するので、第1実施形態の変形構成(図7及びそれに応じた記載)を採用することが好ましい。
【0099】
また、本実施形態に示す構成は、第1実施形態に示す変形構成(図7〜図9参照)や第2実施形態に示す構成と組み合わせることも可能である。
【0100】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0101】
本実施形態に示した剛性変化部の構成はその一例にすぎない。超音波センサ120の振動部位との接触部位を除く壁部材140の内面141aに、接触部位に対する離反方向において、複数の剛性変化部が設けられた構成であれば採用することができる。
【0102】
本実施形態においては、超音波センサ120として、筐体122内に超音波振動子121が収容された構成例を示した。しかしながら、例えば図16に示すように、超音波振動子121が筐体122内に収容されず、壁部材140と接触する構成としても良い。このような構成においても、第1実施形態に示した構成及びその変形構成と第2実施形態に示した構成を適用することができる。なお、図16においては、第1実施形態(図1(a),(b)参照)の構成を示している。図16は、その他変形例を示す断面図であり、図1(b)に対応している。
【0103】
本実施形態においては、壁部材140の平面方向において、超音波センサ120の振動部位の外周形状と、剛性変化部の平面形状を一致させる例を示した。しかしながら、例えば図17(a),(b)に示すように、剛性変化部の平面形状を、超音波センサ120の振動部位の外周形状と異なる形状としても良い。図17(a),(b)においては、超音波センサ120の振動部位としての、筐体122の底面部122aの外面が平面円形であり、底面部122aの外面と接触する接触部位の外周に隣接して設けられた溝部143の外側面が、地面に対して水平方向よりも垂直方向に長い平面矩形状とされている。また、突起部144も、溝部143の外側面と同様に平面矩形状とされている。このように、壁部材140及び超音波センサ120に、超音波の伝達範囲を絞る超音波伝達部142,128,129を有さない構成であっても、剛性変化部のみによって、振動しやすい範囲を規定しつつ不要振動を低減して、所望の指向性を得ることも可能である。図17は、その他変形例を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のIV−IV線に沿う断面図である。なお、図17においては、超音波振動子121が筐体122内に収容された構成の超音波センサ120を示したが、図16に示したように、超音波振動子121が筐体122内に収容されず、壁部材140と直接接する構成の超音波センサ120においても同様である。
【0104】
本実施形態では、1つの超音波振動子121によって、超音波を送受信する例を示した。しかしながら、超音波送信用の振動子と超音波受信用の振動子とを分けた構成を採用することもできる。
【0105】
本実施形態においては、筐体122内に、超音波振動子121とともに、回路基板124等が収容される例を示した。しかしながら、少なくとも筐体122内に超音波振動子121が収容されたものであれば良い。
【0106】
本実施形態においては、壁部材140が車両のバンパであり、障害物検出装置100が車両用障害物検出装置として構成される例を示した。しかしながら、上述したように、壁部材140としてバンパ以外にも車両ボディを採用することもできるし、車両構成部材以外の部材を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1実施形態に係る障害物検出装置の概略構成を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図2】溝部による不要振動低減を説明するための模式図である。
【図3】溝部の効果を示す図である。
【図4】突起部による不要振動低減を説明するための模式図である。
【図5】シミュレーション結果を示す図である。
【図6】突起部の効果を示す図である。
【図7】変形例を示す断面図である。
【図8】変形例を示す平面図である。
【図9】変形例を示す断面図である。
【図10】第2実施形態に係る障害物検出装置の概略構成を示す断面図である。
【図11】第3実施形態に係る障害物検出装置の概略構成を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のII−II線に沿う断面図である。
【図12】変形例を示す断面図である。
【図13】第4実施形態に係る障害物検出装置の概略構成を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のIII−III線に沿う断面図である。
【図14】変形例を示す断面図である。
【図15】変形例を示す断面図である。
【図16】その他変形例を示す断面図である。
【図17】その他変形例を示す図であり、(a)は、内面側から見た平面図、(b)は(a)のIV−IV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0108】
100・・・障害物検出装置
120・・・超音波センサ
121・・・超音波振動子
122・・・筐体
122a・・・(筐体の)底面部
140・・・壁部材
141a・・・(壁部材の)内面
142・・・超音波伝達部
143・・・溝部(剛性変化部)
144・・・突起部(剛性変化部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部材の内面に超音波振動子を含む超音波センサを取り付けてなり、前記壁部材を介して、超音波の送波又は受波をなす障害物検出装置であって、
前記壁部材は、前記超音波センサの振動部位との接触部位を除く内面に、前記接触部位に対する離反方向において、隣接する内側の部位と前記壁部材の剛性を異ならせる複数の剛性変化部を有することを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記超音波振動子は、収容部としての筐体の底面部内面に接触固定され、
前記底面部の外面が前記壁部材と接触していることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記超音波振動子が、前記壁部材と接触していることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置
【請求項4】
前記底面部の外面の一部に、前記壁部材との接触部として凸状の超音波伝達部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記壁部材の平面方向において、前記超音波伝達部の接触面の形状が、前記底面部の形状と異なることを特徴とする請求項4に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記壁部材のうち、前記超音波センサとの接触部として凸状の超音波伝達部が設けられ、
前記接触部位としての前記超音波伝達部の接触面と前記超音波センサの接触面とで、形状及び面積の少なくとも一方が異なることを特徴とする請求項2,4,5いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項7】
前記筐体の底面部の一部に、前記壁部材及び前記超音波振動子と接触し、前記壁部材の音響インピーダンスと前記超音波振動子の音響インピーダンスとの中間の音響インピーダンスを有する材料からなる超音波伝達部が設けられ、
前記超音波伝達部及び前記壁部材を介して、前記超音波が伝達されることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の障害物検出装置。
【請求項8】
前記超音波伝達部の音響インピーダンスが、前記超音波伝達部の周囲にある前記筐体の底面部の音響インピーダンスよりも、前記超音波振動子の音響インピーダンスと前記壁部材の音響インピーダンスとの中間値に近いことを特徴とする請求項7に記載の障害物検出装置。
【請求項9】
前記超音波伝達部は、前記壁部材の平面方向において、直交する2軸方向の長さが互いに異なることを特徴とする請求項4〜8いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項10】
前記剛性変化部として、前記接触部位を除く内面に設けられた溝部を含むことを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項11】
前記溝部として、前記接触部位に対して凹状であり、前記接触部位の外周に隣接して設けられた溝部を含むことを特徴とする請求項10に記載の障害物検出装置。
【請求項12】
前記剛性変化部として、前記接触部位を除く内面に設けられた突起部を含むことを特徴とする請求項1〜11いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項13】
前記剛性変化部として、前記突起部を複数含むことを特徴とする請求項12に記載の障害物検出装置。
【請求項14】
複数の前記突起部は、前記振動面に対する離反方向において、互いに近接して設けられていることを特徴とする請求項13に記載の障害物検出装置。
【請求項15】
複数の前記突起部において、前記壁部材の厚さ方向における少なくとも1つの前記突起部の厚さが、他の前記突起部の厚さと異なることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の障害物検出装置。
【請求項16】
前記突起部の厚さは、前記突起部を有する部分の前記突起部を除いた厚さ以上であることを特徴とする請求項12〜15いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項17】
前記壁部材の平面方向における前記突起部の厚さは、前記壁部材の厚さ方向における前記突起部を有する部分の前記突起部を除いた厚さ以下であることを特徴とする請求項12〜16いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項18】
前記突起部の少なくとも1つが、前記壁部材と同一材料を用いて一体的に構成されていることを特徴とする請求項12〜17いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項19】
複数の前記剛性変化部のうち、少なくとも1つが前記接触部位を囲んで環状に設けられていることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項20】
複数の前記剛性変化部のうち、少なくとも1つが前記接触部位の外周形状に沿って環状に設けられていることを特徴とする請求項19に記載の障害物検出装置
【請求項21】
前記接触部位に最も近い位置の前記剛性変化部が、環状に設けられていることを特徴とする請求項19又は請求項20に記載の障害物検出装置。
【請求項22】
前記接触部位に最も近い位置の前記剛性変化部が、前記接触部位の外周に隣接して設けられていることを特徴とする請求項21に記載の障害物検出装置。
【請求項23】
複数の前記剛性変化部が、前記接触部位に対して同心状に設けられ、
前記接触部位は、複数の前記剛性変化部によって多重に囲まれていることを特徴とする請求項19〜22いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項24】
全ての前記剛性変化部が、環状に設けられていることを特徴とする請求項19〜23いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項25】
前記壁部材の、前記超音波センサとの接触部位を除く内面に、前記壁部材よりも減衰係数の大きい材料からなる減衰部材が積層配置されていることを特徴とする請求項1〜24いずれか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項26】
前記減衰部材は、前記剛性変化部よりも外周側に設けられていることを特徴とする請求項25に記載の障害物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−96113(P2008−96113A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274416(P2006−274416)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】