障害物検知システム及びこのシステムの障害物センサ診断方法
【課題】障害物検知システムに用いられる障害物センサの異常を容易に検出できるようにする。
【解決手段】各障害物センサのそれぞれについて、送信部21から送信され、受信部22に直接廻り込む超音波信号23の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識する。
【解決手段】各障害物センサのそれぞれについて、送信部21から送信され、受信部22に直接廻り込む超音波信号23の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けられた障害物検知用の障害物検知システムおよびこのシステムの障害物センサ診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
障害物センサを移動体の複数個所に設け、これら障害物センサの信号の送受信により移動体の周辺に存在する障害物を検知するシステムが知られている。このようなシステムの例として、例えば、特許文献1記載の車両用障害物検知装置が知られている。この装置は、各障害物センサをいわゆるディジーチェーン接続するとともに、各障害物センサに識別情報としてIDを持たせ、これらIDに基づいて各障害物センサの動作を制御する。ディジーチェーン接続を採用していることにより、この装置は、各障害物センサと制御部との間の通信線を減らすことができるという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の障害物センサを有する従来の障害物検知システムは、各障害物センサの送受信が相互に干渉しないように、各障害物センサを1つずつ順番に動作させる必要がある。このため、障害物の検知に時間がかかり、移動体の移動に支障を生じることがある。
【0004】
その上、移動体を安全に移動させるためには、各障害物センサが正常に動作していることが必要であるが、前記特許文献1に記載された障害物検知装置のように、移動体に設けられた障害物検知用の障害物検知システムにおいては、障害物センサの異常を検出する手段が確立されておらず、障害物センサの異常により障害物検知の信頼性を失うおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、各障害物センサの送受信の相互干渉を生じることなく、障害物を効率よく検知できるとともに、障害物センサの異常を容易に検出することができ、信頼性にすぐれた障害物検知システムおよびこのシステムの障害物センサ診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、制御部に、各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段と、各障害物センサのそれぞれについて、送信部から送信され、受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
かかる手段を講じた本発明によれば、各障害物センサの送受信の相互干渉を生じることなく、障害物を効率よく検知できるとともに、障害物センサの異常を容易に検出することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1及び第3の実施形態における移動体及びこの移動体に設けられる超音波センサの構成を示す図。
【図2】本発明の第1及び第3の実施形態における制御回路のブロック図。
【図3】本発明の第1乃至第3の実施形態で用いる超音波センサの構成を概略的に示す図。
【図4】本発明の第1乃至第3の実施形態における作用を説明するためのタイムチャート。
【図5】本発明の第1乃至第3の実施形態における障害物検知方法を説明するための信号波形図。
【図6】本発明の第1及び第2の実施形態における超音波センサの廻り込み波検出方法を説明するための信号波形図。
【図7】本発明の第1の実施形態において、超音波センサ制御部が全超音波センサ診断シーケンス開始命令を受信したときの制御手順を示す流れ図。
【図8】本発明の第2の実施形態における移動体及びこの移動体に設けられる超音波センサの構成を示す図。
【図9】図8に示す移動体の正面図。
【図10】本発明の第2の実施形態において、超音波センサ制御部が異常個所特定シーケンス開始命令を受信したときの制御手順を示す流れ図。
【図11】本発明の第3の実施形態において、超音波センサ制御部が全超音波センサ診断シーケンス開始命令を受信したときの制御手順を示す流れ図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
初めに、第1の実施形態について、図1〜図7を用いて説明する。第1の実施形態は、図1に示す移動体1に設けられる障害物検知システムである。
【0011】
図1において、移動体1は、操舵輪2,2および駆動輪3,3を備え、これら操舵輪2,2および駆動輪3,3の回転により移動する。移動体1の前後左右の4箇所には、それぞれ障害物センサとして能動型距離センサである超音波センサ4a,4b,4c,4dが設けられている。超音波センサ4a,4b,4c,4dは、超音波信号を送受信することにより、周囲における障害物の有無およびその障害物までの距離をそれぞれ検知する。
【0012】
また、移動体1は、図2に示すように、走行制御用の中央制御部10と、この中央制御部10に通信信号ケーブル11を介して接続された超音波センサ制御部12とを有している。そして、この超音波センサ制御部12に、バスライン13を介して前記超音波センサ4a,4b,4c,4dを接続している。バスライン13は、超音波センサを追加した場合でも信号線を増加しないですむように、シリアルバスラインであることが望ましい。障害物検知システムは、超音波センサ制御部12と、バスライン13と、各超音波センサ4a,4b,4c,4dとによって構成される。
【0013】
中央制御部10は、超音波センサ制御部12に超音波センサ4a,4b,4c,4dの送受信制御ルーチンの開始命令やデータ収集を行なわせ、収集したデータのフィルタリングや判断などの比較的高度な処理を行う。このような中央制御部10は、例えばパーソナルコンピュータや組込み用コンピュータなどで構成される。
【0014】
ここで、複数の超音波センサを組とした組情報として[表1]に示すものを考える。
【表1】
【0015】
すなわち、超音波センサ4a,4dがそれぞれ送受信モードの第1の組と、超音波センサ4b,4cがそれぞれ送受信モードの第2の組とを設定する。超音波センサ制御部12の内部メモリ14には、第1の組および第2の組のそれぞれの動作タイミングを決定するための時間情報(動作時間情報)を記憶している。組み分けと時間情報との関係を[表2]に示す。
【表2】
【0016】
超音波センサ制御部12は、中央制御部10から送受信制御ルーチンの開始命令を受信すると、内部タイマ(図示しない)による計時を開始する。そして、その計時が1m秒のときに第1の組の超音波センサ4a,4dに対する障害物検知開始タイミング信号として動作開始のトリガ信号を出力する。また、その計時が100m秒のときに第2の組の超音波センサ4b,4cに対する動作開始のトリガ信号を出力する。トリガ信号を出力する周期、つまり組ごとの検知周期は、150m秒である。
【0017】
そして、超音波センサ制御部12は、組み分けが第2の組までしかないことを確認すると、超音波センサ4a,4b,4c,4dに距離データ収集命令を送信し、超音波センサ4a,4b,4c,4dが保持している最新の距離データを収集して内部メモリに更新記憶する。
【0018】
ここに、超音波センサ制御部12は、各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段として機能する。
【0019】
超音波センサ4a,4b,4c,4dは、図3に示すように、制御回路部20、送信部21、受信部22を有する。制御回路部20は、超音波センサ制御部12からの指令に応じて、送信部21から超音波信号(所定数の超音波パルスからなる信号)を送信し、その超音波信号の反射波を受信部22で受信する。送信部21は、送信用超音波素子と送信回路とからなる。受信部22は、受信用超音波素子と受信回路とからなる。
【0020】
制御回路部20は、当該超音波センサを他の超音波センサと区別するために、当該超音波センサに固有の識別情報であるID(番号等)を有している。また、制御回路部20は、書き換え可能なメモリ23を有している。このメモリ23には、超音波信号の送信用パラメータであるパルス数情報(1発の超音波信号を形成する超音波パルスの数を定める情報)の他に、送受信を行うか否かの動作パターンを超音波センサ制御部12からのトリガ信号(障害物検知開始タイミング信号)の数(トリガ回数)に応じて組別に決定するための制御情報が格納されている。この制御情報を[表3]に示す。
【表3】
【0021】
すなわち、第1の組である超音波センサ4a及び4dの場合は、トリガ回数が1回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が2回目のときは送受信を実行しない。第2の組である超音波センサ4b及び4cの場合は、トリガ回数が1回目のときは超音波信号の送受信を実行せず、トリガ回数が2回目のときは送受信を実行する。
【0022】
さらに、制御回路部20は、超音波センサ制御部2からの距離データ収集命令を受信すると、それまでのトリガ回数をリセットし、次のトリガ信号の受信を1回目のトリガ回数として捕らえる。
【0023】
ここで、超音波センサ4a,4b,4c,4dによる障害物検知の原理を、図3及び図5を用いて簡単に説明する。
先ず、制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号30を送出する。送信部21は、送信パルス信号30に応じて送信用超音波素子を動作させる。これにより、送信部21から超音波信号30が発信される。超音波信号30は、その進行方向に障害物があると、その障害物で反射する。その反射波は、反射波信号31として受信部22で受信される。受信部22は、受信信号を制御回路部20に出力する。制御回路部20は、受信信号の電圧レベルを監視する。そして、電圧レベルが所定のしきい値レベルSHLを超えたならば、超音波信号の反射波を受信したものとみなす。制御回路部20は、超音波を送信した時刻t1から反射波を受信した時刻t2までの時間差ΔTを計測する。この時間差ΔTは、超音波信号の飛行時間である。この超音波信号の飛行時間と音速から、障害物までの距離を算出することができる。
【0024】
ただし、受信部22で受信される信号には、反射波信号31以外に、送信部21から直接入射する廻り込み波の信号32が存在する。この廻り込み波信号32は、超音波信号30を送信すると常に発生し、障害物がない場合でも受信部22に入射して検出される。このため、障害物検出を行う際には、この廻り込み波信号32の影響を除去する必要がある。
【0025】
送信部21から受信部22直接入射する廻り込み波は、送信部21から発信される超音波のごく一部である。このため、図5に示すように、廻り込み波信号32の電圧レベルは、反射波信号31の電圧レベルと比較してかなり小さい。そこで、制御回路部20は、受信信号と比較するしきい値レベルSHLを、廻り込み波信号32の電圧レベルより大きく、反射波信号31の最大電圧レベルより小さい値となるように予め設定している。こうすることにより、制御回路部20は、受信信号から反射波信号31を検出するが、廻り込み波信号32は検出しない。
【0026】
次に、図4を参照しながら、本実施形態における障害物検知システムの障害物検知動作について説明する。
通常の障害物検知動作を行う際、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に、障害物検知シーケンスの開始命令を送信する。この指令を受けた超音波センサ制御部12は、タイマ(図示せず)の計時を開始する。そして、受信から1m秒後に1発目のトリガ信号を発し、受信から100m秒後に2発目のトリガ信号を発する。1発目のトリガ信号が発せられると、第1の組の超音波センサ4a,4dが動作する。すなわち、移動体1の前方および後方に対する障害物検知が実行される。このとき、第2の組の超音波センサ4b,4cは動作しない。2発目のトリガ信号が発せられると、第2の組の超音波センサ4b,4cが動作する。すなわち、移動体1の右方向および左方向の障害物検知が実行される。このとき、第1の組の超音波センサ4a,4dは動作しない。
【0027】
1回目のトリガで動作する第1の組の超音波センサ4aは前方検知、超音波センサ4dはそれと正反対の後方検知である。よって、第1の組の超音波センサ4a,4dの超音波信号の送受信が同時に実行されても、その超音波信号の相互間の干渉を回避できる。この場合、例えば移動体1の前方に障害物が存在すれば、その障害物の存在および障害物までの距離を超音波センサ4aによって検知することができる。
【0028】
2回目のトリガで動作する第2の組の超音波センサ4bは右方検知、超音波センサ4cはそれと正反対の左方検知である。よって、第2の組の超音波センサ4b,4cの超音波信号の送受信が同時に実行されても、その超音波信号の相互間の干渉を回避できる。この場合、例えば移動体1の左方に障害物が存在すれば、その障害物の存在および障害物までの距離を超音波センサ4cによって検知することができる。
【0029】
超音波センサ制御部12は、3発目のトリガ信号出力の時間情報がないことを確認すると、超音波センサ4a,4b,4c,4dに保持されている障害物の検知データ(障害物の有無と距離に関するデータ)を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a,4b,4c,4dからのデータ取得を行う。この際、超音波センサ4a,4b,4c,4dにおいて、トリガ回数が零にリセットされる。
【0030】
続いて、中央制御部10は、超音波センサ制御部12によるデータ取得処理の終了を確認した後、その取得データを超音波センサ制御部12から収集する。中央制御部10は、収集した距離データに対してノイズ除去・平均化などの処理を行い、処理後のデータから障害物回避の必要性があるかなどの判断を行い、その判断に従って操舵輪2,2の操舵および駆動輪3,3の駆動を制御する。
【0031】
以降、同様の制御が繰り返されることにより、移動体1は障害物を回避しながら走行を続けることができる。
【0032】
このように、超音波センサ4a,4b,4c,4dを2組に分けてその組ごとに異なるタイミングで動作させることにより、超音波センサ4a,4b,4c,4dからのデータ取得の時間間隔を短くすることができる。したがって、従来のように複数の障害物センサを1つずつ順番に動作させるものに比べ、障害物を速やかに効率よく検知することができる。これにより、移動体1の常に安全な移動が可能となる。しかも、超音波センサ4a,4b,4c,4dの組み分けをそれぞれの検知方向を考慮して定めているので、超音波センサ4a,4b,4c,4dの送受信の相互干渉を生じることなく、移動体1の周囲の障害物を的確に検知することができる。
【0033】
ところで、移動体1の周囲の障害物を的確に検知するためには、各超音波センサ4a,4b,4c,4dが正常に動作していることが必要である。本実施形態の障害物検知システムは、各超音波センサ4a,4b,4c,4dが正常に動作しているか否かを診断するセンサ診断手段を備えている。そこで次に、このセンサ診断手段について、図6及び図7を用いて説明する。
【0034】
各超音波センサ4a,4b,4c,4dの診断を行う際、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を送信する。この開始命令は、本実施形態の障害物検知システムを、障害物を検知するための検知モードから、各障害物センサの異常を診断する診断モードへの切替を指令する制御信号として機能する。
【0035】
超音波センサ制御部12は、図7のST(ステップ)1に示すように、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を受信すると、ST2としてバスライン接続された全ての超音波センサ4a,4b,4c,4dに、診断モード切替信号を送信する。また、ST3として組数カウンタmを“1”に初期化する。
【0036】
次に、超音波センサ制御部12は、ST4としてタイマ(図示せず)の計時を開始する。また、ST5として第m(mは組数カウンタのカウント値)の組のトリガ信号出力時間情報が設定されているか否かを判断する。設定されている場合(ST5のYES)、超音波センサ制御部12は、ST6としてタイマがそのトリガ信号出力時間情報の時間を計時するのを待機し、計時されたならば(ST6のYES)、ST7としてトリガ信号を発する。次いで、ST8として組数カウンタmを“1”だけカウントアップし、ST5に戻って、第mの組のトリガ信号出力時間情報が設定されているか否かを判断する。設定されている場合には、タイマがそのトリガ信号出力時間情報の時間を計時したタイミングでトリガ信号を発する。
【0037】
この実施形態では、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの組み分けと時間情報との関係が[表2]のようになっている。したがって、タイマの計時が1m秒になると、超音波センサ制御部12から各超音波センサ4a,4b,4c,4dに1回目のトリガ信号が送信され、100m秒になると2回目のトリガ信号が送信される。
【0038】
一方、診断モード切替信号を受信した超音波センサ4a,4b,4c,4dは、診断モードに切り替る。診断モードに切り替った超音波センサは、前記[表3]に示す制御情報に従って動作する。すなわち、第1の組である超音波センサ4a及び4dは、1回目のトリガ信号を受信すると、超音波信号の送受信を実行するが、2回目のトリガ信号を受信しても送受信を実行しない。第2の組である超音波センサ4b及び4cは、1回目のトリガ信号を受信しても送受信を実行せず、2回目のトリガ信号を受信すると、超音波信号の送受信を実行する。
【0039】
ここで、診断モードに切り替った各超音波センサ4a,4b,4c,4dの制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号40を送出するが、このときのパルス数は、図6に示すように、障害物検知時の送信パルス信号30と比較して多くなっている。送信パルス数が多いと、送信部21から出力される超音波信号30の強度は、障害物検知時と比較して強くなる。超音波信号30の強度が強くなると、送信部21から受信部22に直接入射する廻り込み波が増加する。廻り込み波が増加すると、この廻り込み波を受信した信号41の電圧レベルが大きくなる。そして、しきい値レベルSHLを超えると、制御回路部20は、受信信号41を検出する。制御回路部20は、超音波を送信した時刻t1から、受信信号41を検出した時刻t3までの時間差T0を計測する。この時間差T0が、障害物からの反射波信号31でなく送信部21からの廻り込み波信号41であると区別可能な充分に短い時間(T0<ΔT)以下であるとき、制御回路部20は、メモリ23に廻り込み波検出情報を記憶する。
【0040】
超音波センサ制御部12は、第mの組のトリガ信号出力時間情報が設定されていないことを確認すると(ST5のNO)、ST9として各超音波センサ4a,4b,4c,4dに保持されている廻り込み波検出情報を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a,4b,4c,4dからのデータ取得を行う。そして、超音波センサ制御部12は、ST10として廻り込み波検出情報を取得した超音波センサを正常センサとして認識し、廻り込み波検出情報を取得していない超音波センサを異常センサとして認識する。その後、超音波センサ制御部12は、ST11として内部メモリ14で記憶した正常センサ及び異常センサの判定結果を示す情報を、中央制御部10に送出する。
【0041】
このように、本実施形態の障害物検知システムにおいては、障害物を検知するための検知モードとは別に、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの異常を診断する診断モードとを設けている。そして、診断モードが選択されると、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの送信部21から送信される超音波信号の強度を、検知モードのときに送信される超音波信号より強めることで、送信部21から送信され、受信部22に直接廻り込む超音波信号、いわゆる廻り込み波信号41を、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの制御回路部20が検出できるようにしている。
【0042】
かかる構成において、超音波センサ制御部12は、診断モード時も検知モード時と同様に、各超音波センサ4a,4b,4c,4dを2つの組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる。そして、超音波センサ4a,4b,4c,4d毎に廻り込み波信号41の検出有無を判断し、検出有の障害物センサは正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサは異常センサとして認識する。
【0043】
今、超音波センサ4a,4b,4c,4dのうち、超音波センサ4cが壊れていたと仮定する。この状態で、診断モードが実施されると、先ず、超音波センサ制御部12からの1回目のトリガ信号で、第1の組である超音波センサ4aと超音波センサ4dが動作する。これらの超音波センサ4a,4dは、送信部21から送信された超音波信号が直接受信部22に入射する廻り込み波の受信信号41がしきい値レベルSHLを超えるので、メモリ23に廻り込み波検出情報が記憶される。
【0044】
次に、2回目のトリガ信号で、第2の組である超音波センサ4bと超音波センサ4cが動作する。そのうち、超音波センサ4bは、送信部21から送信された超音波信号が直接受信部22に入射する廻り込み波の受信信号41がしきい値レベルSHLを超えるので、メモリ23に廻り込み波検出情報が記憶されるが、超音波センサ4cは、超音波信号が発せられない(送信部21の異常)、あるいは超音波信号を受信できない(受信部22の異常)ので、廻り込み波検出情報が記憶されない。
【0045】
超音波センサ制御部12は、各超音波センサ4a,4b,4c,4dから廻り込み波検出情報を収集する。この場合、超音波センサ4a,4b,4dからは廻り込み波検出情報を取得できるが、超音波センサ4cからは廻り込み波検出情報を取得できない。したがって、超音波センサ制御部12は、超音波センサ4a,4b,4dを正常センサとして認識し、超音波センサ4cを異常センサとして認識する。この認識結果は、超音波センサ制御部12から中央制御部10に通知される。
【0046】
このように、超音波センサ4cだけが異常センサとして認識された場合、すなわち、超音波センサ4cが廻り込み波検出情報を記憶していない場合は、超音波センサ制御部12と各超音波センサ4a,4b,4c,4dとを結ぶバスライン13は正常であると診断できる。つまり、異常は、超音波センサ4cそのものに起因するもの、例えばバスライン13との接続不良や制御回路部20の故障等と考えられる。
【0047】
一方、超音波センサ4cに加え、超音波センサ4dも異常センサとして認識された場合、すなわち、超音波センサ4cと超音波センサ4dとが廻り込み波検出情報を記憶していない場合は、超音波センサ4bと超音波センサ4cとの間でバスライン13が断線しているとも考えられる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、中央制御部10から超音波センサ制御部12に、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を送信させるだけで、バスライン13に接続されている各超音波センサ4a,4b,4c,4dの故障やバスライン13の断線等の異常を速やかに特定することができる。したがって、障害物検知システムの信頼性を高め得ることができ、ひいては移動体1の移動に対する安全性を向上させることができる。
【0049】
しかも、本実施形態では、超音波センサの診断モードの際も前後左右の4つのセンサを前後の1組目と左右の2組目と組み分けし、組毎に異なるタイミングで超音波の送受信を行うようにしている。したがって、超音波信号の相互間の干渉を回避できる上、同時に同じ組に属する2つの超音波センサの診断を行えるので、センサの異常を効率よく検知できる効果も奏し得る。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図8〜図10を用いて説明する。第2の実施形態は、図8及び図9に示す移動体50に設けられる障害物検知システムである。なお、第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0051】
図8において、移動体50の前後左右の4箇所には、それぞれ障害物センサとしての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2が2個ずつ設けられている。超音波センサ4a1と4a2,超音波センサ4b1と4b2,超音波センサ4c1と4c2,超音波センサ4d1と4d2は、図9の正面図(超音波センサ4a1,4a2のみ示す)に示すように、上下に並んで設けられている。そして、上下に並んでいる各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2の対応関係を示すデータは、超音波センサ制御部12のメモリ14で記憶されている。
【0052】
各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、それぞれ送信部21から超音波信号を送信し、この超音波信号の障害物からの反射波を受信部22で受信することにより、移動体1の移動に対する障害物を検知する。これらの超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、第1の実施形態と同様に、バスライン13を介して超音波センサ制御部12に接続される。超音波センサ制御部12は、通信信号ケーブル11を介して中央制御部10に接続される。
【0053】
第2の実施形態では、複数の超音波センサを組とした組情報として[表4]に示すものを考える。
【表4】
【0054】
また、組み分けと時間情報との関係を[表5]に示す。
【表5】
【0055】
さらに、送受信を行うか否かの動作パターンを超音波センサ制御部12からのトリガ信号(障害物検知開始タイミング信号)の数(トリガ回数)に応じて組別に決定するための制御情報を[表6]に示す。なお、[表6]において、トリガ回数が1回目と2回目のときは、超音波センサ4a2,4b2,4c2,4d2は、全て送受信しない設定となっており、トリガ回数が3回目と4回目のときは、超音波センサ超音波センサ4a1,4b1,4c1,4d1は、全て送受信しない設定となっている。
【表6】
【0056】
超音波センサ制御部12は、中央制御部10から障害物検知シーケンスの開始命令を受信すると、第1の実施形態と同様に作用する。すなわち、第1の組である超音波センサ4a1及び4d1の場合は、トリガ回数が1回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が2〜4回目のときは送受信を実行しない。第2の組である超音波センサ4b1及び4c1の場合は、トリガ回数が2回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が1回目及び3〜4回目のときは送受信を実行しない。第3の組である超音波センサ4a2及び4d2の場合は、トリガ回数が3回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が1〜2回目及び4回目のときは送受信を実行しない。第4の組である超音波センサ4b2及び4c2の場合は、トリガ回数が4回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が1〜3回目のときは送受信を実行しない。したがって、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2の送受信の相互干渉を生じることなく、移動体1の周囲の障害物を的確に検知することができる。
【0057】
また、超音波センサ制御部12は、中央制御部10から全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を受信したときも、第1の実施形態と同様に作用する。その結果、超音波センサ制御部12は、廻り込み波検出情報を取得した超音波センサを正常センサとして認識し、廻り込み波検出情報を取得していない超音波センサを異常センサとして認識する。そして、この認識結果は、中央制御部10に通知される。
【0058】
さて、第2の実施形態では、超音波センサの異常が検出されたとき、その異常がセンサの送信部21に起因するものか、あるいは受信部22に起因するものかをそれぞれ特定する送信部診断手段及び受信部診断手段を備えている。そこで次に、これらの送信部診断手段及び受信部診断手段について、図10を用いて説明する。
【0059】
障害物検知シーケンスの実行により超音波センサの異常が検出されると、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に異常個所特定シーケンスの開始命令を送信する。
【0060】
異常個所特定シーケンスの開始命令を受信すると(ST21のYES)、超音波センサ制御部12は、バスライン接続された全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、異常特定モード切替信号を送信する(ST22)。この異常特定モード切替信号を受信した各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、受信モードとなる。
【0061】
次に、超音波センサ制御部12は、異常センサとして認識された1つの超音波センサ(説明の便宜上、異常センサ4xとする)に対し、送信モード切替信号を送信する(ST23)。この送信モード切替信号を受信した異常センサ4xは、受信モードから送信モードに切り替る。
【0062】
次に、超音波センサ制御部12は、全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、トリガ信号を送信する(ST23)。このトリガ信号を受信した異常センサ4xの制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号40を送出する。このときのパルス数も、図6に示すように、障害物検知時の送信パルス信号30と比較して多くなっている。
【0063】
一方、トリガ信号を受信した異常センサ4x以外の超音波センサの制御回路部20は、受信部22で受信した信号を検出する。その結果、しきい値レベルSHLより高い受信信号を検出すると、制御回路部20は、トリガ信号を受信してから受信信号を検出するまでの時間差を計測する。この時間差が、「障害物からの反射波信号31でなく、移動体1の同一面にて上下に隣接する他方の超音波センサからの廻り込み波による受信信号である」と区別可能な充分に短い時間以下であるとき、制御回路部20は、メモリ23に廻り込み波検出情報を記憶する。
【0064】
超音波センサ制御部12は、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に保持されている廻り込み波検出情報を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2からのデータ取得を行う(ST25)。
【0065】
超音波センサ制御部12は、廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがあるか否かを判断する(ST26)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがある場合は(ST26のYES)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの送信部21は正常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST27)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがない場合は(ST26のNO)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの送信部21は異常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST28)。
【0066】
次に、超音波センサ制御部12は、全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、異常特定モード切替信号を再度送信する(ST29)。これにより、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、全て受信モードとなる。
【0067】
次に、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xに隣接して配置されている正常な超音波センサ(説明の便宜上、隣接センサ4yと称する)に対し、送信モード切替信号を送信する(ST30)。この送信モード切替信号を受信した隣接センサ4yは、受信モードから送信モードに切り替る。
【0068】
次に、超音波センサ制御部12は、全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、トリガ信号を送信する(ST31)。このトリガ信号を受信した隣接センサ4yの制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号40を送出する。このときのパルス数も、図6に示すように、障害物検知時の送信パルス信号30と比較して多くなっている。
【0069】
一方、トリガ信号を受信した隣接センサ4y以外の超音波センサの制御回路部20は、受信部22で受信した信号を検出する。その結果、しきい値レベルSHLより高い受信信号を検出すると、制御回路部20は、トリガ信号を受信してから受信信号を検出するまでの時間差を計測する。この時間差が、「障害物からの反射波信号31でなく、移動体1の同一面にて上下に隣接する他方の超音波センサからの廻り込み波による受信信号である」と区別可能な充分に短い時間以下であるとき、制御回路部20は、メモリ23に廻り込み波検出情報を記憶する。
【0070】
超音波センサ制御部12は、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に保持されている廻り込み波検出情報を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2からのデータ取得を行う(ST32)。
【0071】
超音波センサ制御部12は、廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがあるか否かを判断する(ST33)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがある場合は(ST33のYES)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの受信部22は正常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST34)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがない場合は(ST33のNO)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの受信部22は異常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST34)。
【0072】
その後、超音波センサ制御部12は、内部メモリ14で記憶した認識情報を、中央制御部10に送出する(ST36)。
【0073】
なお、同時に2以上の超音波センサの異常が認識された場合は、それぞれの異常センサについて、ST22〜ST36の処理を実行すればよい。
【0074】
例えば、今、図9に示すように、移動体1の正面側に隣接して設けられる2つの超音波センサ4a1,4a2のうち、センサ4a1が異常センサとして認識されたとする。この場合、異常個所特定シーケンスの実行により、先ず、超音波センサ4a1が送信モードとなり、その他の超音波センサ4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2が受信モードとなる。そして、超音波センサ制御部12からのトリガ信号により、超音波センサ4a1は送信動作を、その他の超音波センサ4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は受信動作を行う。このとき、超音波センサ4a1の送信部21が正常であったならば、超音波信号が送信される。
【0075】
超音波信号が送信されると、この信号の一部は、超音波センサ4a1に隣接する超音波センサ4a2の受信部22に直接入射する。このとき、超音波信号の強度が障害物検知モード時よりも強いので、超音波センサ4a2では、受信信号レベルがしきい値レベルSHLを超え、廻り込み波信号として検出される。これに対し、超音波センサ4a1の送信部21が異常で、超音波信号が送信されない場合には、超音波センサ4a2を含む全てのセンサで廻り込み波信号を検出することはない。すなわち、超音波センサ制御部12は、廻り込み波信号を検出したセンサが有る場合は異常センサ4xの送信部21が正常であると特定でき、廻り込み波信号を検出したセンサがない場合は異常センサ4xの送信部21が異常であると特定できる。
【0076】
次に、超音波センサ4a1に隣接する超音波センサ4a2が送信モードとなり、その他の超音波センサ4a1,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2が受信モードとなる。そして、超音波センサ制御部12からのトリガ信号により、超音波センサ4a2は送信動作を、その他の超音波センサ4a1,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は受信動作を行う。このとき、超音波センサ4a2の送信部21は正常なので、超音波センサ4a2からは、超音波信号が送信される。
【0077】
超音波信号が送信されると、この信号の一部は、超音波センサ4a2に隣接する超音波センサ4a1の受信部22に直接入射する。このとき、超音波信号の強度が障害物検知モード時よりも強いので、超音波センサ4a1では、受信部22が正常であれば、受信信号レベルがしきい値レベルSHLを超え、廻り込み波信号として検出される。すなわち、超音波センサ制御部12は、廻り込み波信号を検出したセンサがある場合は異常センサ4xの受信部22が正常であると特定でき、廻り込み波信号を検出したセンサがない場合は異常センサ4xの受信部22が異常であると特定できる。
【0078】
このように、第2の実施形態によれば、異常センサとして特定された超音波センサの送信部21と受信部22のどちらに異常があるのか、あるいは送信部21と受信部22の両方が異常であるのかを、容易に特定することができる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図11を用いて説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態の移動体1に適用された障害物検知システムにおけるセンサ診断手段を、他の実施形態としたものである。移動体1の移動に対する障害物検知方法については、第1の実施形態と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0080】
各超音波センサ4a,4b,4c,4dの診断を行う際、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を送信する。
【0081】
全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を受信すると(ST41のYES)、超音波センサ制御部12は、先ず、センサ数カウンタnを“1”に初期化する(ST42)。次に、n番目(nはセンサ数カウンタのカウント値)の超音波センサの固有の識別情報であるIDを取得する(ST43)。各超音波センサ4a,4b,4c,4dのIDは、内部メモリ14で記憶している。
【0082】
n番目超音波センサのIDを取得すると、超音波センサ制御部12は、このIDが設定された制御回路部20を有するn番目超音波センサ4nに、呼出し命令を発信する(ST44)。この呼出し命令を受けて、同一IDが設定されたn番目超音波センサ4nは、通常、超音波センサ制御部12に応答を返す。
【0083】
そこで超音波センサ制御部12は、n番目超音波センサ4nからの応答を待機する(ST45)。そして、応答があったならば(ST45のYES)、超音波センサ制御部12は、n番目超音波センサ4nが正常に動作していると判定する。そして、その判定結果を示す情報を内部メモリ14で記憶する(ST46)。これに対し、呼出し命令を発信した後、一定時間を経過しても応答がなかった場合には(ST45のNO)、超音波センサ制御部12は、n番目超音波センサ4nが異常であると判定する。そして、その判定結果を示す情報を内部メモリ14で記憶する(ST47)。
【0084】
次に、超音波センサ制御部12は、前記カウンタnをさらに“1”だけカウントアップする(ST48)。そして、このカウンタnが、超音波センサの数(図1では超音波センサ4a,4b,4c,4dの“4”)を超えたか否かを判断する(ST49)。越えていない場合には(ST49のNO)、ST43の処理に戻る。すなわち、n番目超音波センサのIDを取得し、このIDが設定された制御回路部20を有する超音波センサ4nに、呼出し命令を発信する。
【0085】
これに対し、カウンタnが、超音波センサの数を越えた場合には(ST49のYES)、超音波センサ制御部12は、内部メモリ14で記憶した判定結果を示す情報を、中央制御部10に送出する(ST50)。
【0086】
今、説明の便宜上、各超音波センサ4a,4b,4c,4dのIDを“1”,“2”,“3”,“4”と仮定する。この場合、中央制御部10から超音波センサ制御部12に全超音波センサ診断シーケンスの開始命令が発信されると、先ず、超音波センサ制御部12から超音波センサ4aに呼出し命令が発信される。この呼出し命令に対し、超音波センサ4aから超音波センサ制御部12に応答が返されると、超音波センサ制御部12では、超音波センサ4aは正常であると判定される。これに対し、超音波センサ4aから応答が返されなかった場合は、その超音波センサ4aは異常であると判定される。
【0087】
次に、超音波センサ制御部12から超音波センサ4bに呼出し命令が発信される。この呼出し命令に対し、超音波センサ4bから超音波センサ制御部12に応答が返されると、超音波センサ制御部12では、超音波センサ4bは正常であると判定される。超音波センサ4aから応答が返されなかった場合は、その超音波センサ4aは異常であると判定される。
【0088】
こうして、超音波センサ4c,4dの順に超音波センサ制御部12から呼出し命令が発信され、この命令に対して超音波センサ4c,4dが応答すると正常であると判定され、応答が返されないと異常であると判定される。これらの判定結果は、中央制御部10でも確認される。
【0089】
このように、第3の実施形態によれば、バスライン13に接続されている各超音波センサ4a,4b,4c,4dの呼出し・応答を自動的に行うだけで、超音波センサの故障やバスライン13の断線等の異常を特定できるので、制御が簡単である。また、各超音波センサ4a,4b,4c,4dから超音波信号を送信する必要もない。
【0090】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0091】
例えば、前記第2の実施形態では、異常センサを特定する際に、第1の実施形態のセンサ診断手段を用いるものとして説明したが、他の診断方法により特定された異常センサに対し、送信部診断手段及び受信部診断手段を実行するようにしてもよい。
【0092】
また、前記各実施形態では、送信用超音波素子を備えた送信部21と受信用超音波素子を備えた受信部22とをそれぞれ設けた超音波センサを例示したが、1つの超音波素子で超音波信号の送受信が可能な超音波センサを用いた障害物検知システムにも、本発明を適用することができる。
【0093】
また、本発明の障害物検知システムを構成する超音波センサの数は、前記各実施形態のものに限定されるものではなく、障害物検知システムが適用される移動体1,50の形状も前記各実施形態のものに限定されないのは言うまでもないことである。
【0094】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,50…移動体、2…操舵輪、3…駆動輪、4a,4b,4c,4d,4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2…超音波センサ、10…中央制御部、12…超音波センサ制御部、13…バスライン、2…制御回路部、21…送信部、22…受信部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特許第3565200公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に設けられた障害物検知用の障害物検知システムおよびこのシステムの障害物センサ診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
障害物センサを移動体の複数個所に設け、これら障害物センサの信号の送受信により移動体の周辺に存在する障害物を検知するシステムが知られている。このようなシステムの例として、例えば、特許文献1記載の車両用障害物検知装置が知られている。この装置は、各障害物センサをいわゆるディジーチェーン接続するとともに、各障害物センサに識別情報としてIDを持たせ、これらIDに基づいて各障害物センサの動作を制御する。ディジーチェーン接続を採用していることにより、この装置は、各障害物センサと制御部との間の通信線を減らすことができるという利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、複数の障害物センサを有する従来の障害物検知システムは、各障害物センサの送受信が相互に干渉しないように、各障害物センサを1つずつ順番に動作させる必要がある。このため、障害物の検知に時間がかかり、移動体の移動に支障を生じることがある。
【0004】
その上、移動体を安全に移動させるためには、各障害物センサが正常に動作していることが必要であるが、前記特許文献1に記載された障害物検知装置のように、移動体に設けられた障害物検知用の障害物検知システムにおいては、障害物センサの異常を検出する手段が確立されておらず、障害物センサの異常により障害物検知の信頼性を失うおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、各障害物センサの送受信の相互干渉を生じることなく、障害物を効率よく検知できるとともに、障害物センサの異常を容易に検出することができ、信頼性にすぐれた障害物検知システムおよびこのシステムの障害物センサ診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、制御部に、各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段と、各障害物センサのそれぞれについて、送信部から送信され、受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
かかる手段を講じた本発明によれば、各障害物センサの送受信の相互干渉を生じることなく、障害物を効率よく検知できるとともに、障害物センサの異常を容易に検出することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1及び第3の実施形態における移動体及びこの移動体に設けられる超音波センサの構成を示す図。
【図2】本発明の第1及び第3の実施形態における制御回路のブロック図。
【図3】本発明の第1乃至第3の実施形態で用いる超音波センサの構成を概略的に示す図。
【図4】本発明の第1乃至第3の実施形態における作用を説明するためのタイムチャート。
【図5】本発明の第1乃至第3の実施形態における障害物検知方法を説明するための信号波形図。
【図6】本発明の第1及び第2の実施形態における超音波センサの廻り込み波検出方法を説明するための信号波形図。
【図7】本発明の第1の実施形態において、超音波センサ制御部が全超音波センサ診断シーケンス開始命令を受信したときの制御手順を示す流れ図。
【図8】本発明の第2の実施形態における移動体及びこの移動体に設けられる超音波センサの構成を示す図。
【図9】図8に示す移動体の正面図。
【図10】本発明の第2の実施形態において、超音波センサ制御部が異常個所特定シーケンス開始命令を受信したときの制御手順を示す流れ図。
【図11】本発明の第3の実施形態において、超音波センサ制御部が全超音波センサ診断シーケンス開始命令を受信したときの制御手順を示す流れ図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
初めに、第1の実施形態について、図1〜図7を用いて説明する。第1の実施形態は、図1に示す移動体1に設けられる障害物検知システムである。
【0011】
図1において、移動体1は、操舵輪2,2および駆動輪3,3を備え、これら操舵輪2,2および駆動輪3,3の回転により移動する。移動体1の前後左右の4箇所には、それぞれ障害物センサとして能動型距離センサである超音波センサ4a,4b,4c,4dが設けられている。超音波センサ4a,4b,4c,4dは、超音波信号を送受信することにより、周囲における障害物の有無およびその障害物までの距離をそれぞれ検知する。
【0012】
また、移動体1は、図2に示すように、走行制御用の中央制御部10と、この中央制御部10に通信信号ケーブル11を介して接続された超音波センサ制御部12とを有している。そして、この超音波センサ制御部12に、バスライン13を介して前記超音波センサ4a,4b,4c,4dを接続している。バスライン13は、超音波センサを追加した場合でも信号線を増加しないですむように、シリアルバスラインであることが望ましい。障害物検知システムは、超音波センサ制御部12と、バスライン13と、各超音波センサ4a,4b,4c,4dとによって構成される。
【0013】
中央制御部10は、超音波センサ制御部12に超音波センサ4a,4b,4c,4dの送受信制御ルーチンの開始命令やデータ収集を行なわせ、収集したデータのフィルタリングや判断などの比較的高度な処理を行う。このような中央制御部10は、例えばパーソナルコンピュータや組込み用コンピュータなどで構成される。
【0014】
ここで、複数の超音波センサを組とした組情報として[表1]に示すものを考える。
【表1】
【0015】
すなわち、超音波センサ4a,4dがそれぞれ送受信モードの第1の組と、超音波センサ4b,4cがそれぞれ送受信モードの第2の組とを設定する。超音波センサ制御部12の内部メモリ14には、第1の組および第2の組のそれぞれの動作タイミングを決定するための時間情報(動作時間情報)を記憶している。組み分けと時間情報との関係を[表2]に示す。
【表2】
【0016】
超音波センサ制御部12は、中央制御部10から送受信制御ルーチンの開始命令を受信すると、内部タイマ(図示しない)による計時を開始する。そして、その計時が1m秒のときに第1の組の超音波センサ4a,4dに対する障害物検知開始タイミング信号として動作開始のトリガ信号を出力する。また、その計時が100m秒のときに第2の組の超音波センサ4b,4cに対する動作開始のトリガ信号を出力する。トリガ信号を出力する周期、つまり組ごとの検知周期は、150m秒である。
【0017】
そして、超音波センサ制御部12は、組み分けが第2の組までしかないことを確認すると、超音波センサ4a,4b,4c,4dに距離データ収集命令を送信し、超音波センサ4a,4b,4c,4dが保持している最新の距離データを収集して内部メモリに更新記憶する。
【0018】
ここに、超音波センサ制御部12は、各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段として機能する。
【0019】
超音波センサ4a,4b,4c,4dは、図3に示すように、制御回路部20、送信部21、受信部22を有する。制御回路部20は、超音波センサ制御部12からの指令に応じて、送信部21から超音波信号(所定数の超音波パルスからなる信号)を送信し、その超音波信号の反射波を受信部22で受信する。送信部21は、送信用超音波素子と送信回路とからなる。受信部22は、受信用超音波素子と受信回路とからなる。
【0020】
制御回路部20は、当該超音波センサを他の超音波センサと区別するために、当該超音波センサに固有の識別情報であるID(番号等)を有している。また、制御回路部20は、書き換え可能なメモリ23を有している。このメモリ23には、超音波信号の送信用パラメータであるパルス数情報(1発の超音波信号を形成する超音波パルスの数を定める情報)の他に、送受信を行うか否かの動作パターンを超音波センサ制御部12からのトリガ信号(障害物検知開始タイミング信号)の数(トリガ回数)に応じて組別に決定するための制御情報が格納されている。この制御情報を[表3]に示す。
【表3】
【0021】
すなわち、第1の組である超音波センサ4a及び4dの場合は、トリガ回数が1回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が2回目のときは送受信を実行しない。第2の組である超音波センサ4b及び4cの場合は、トリガ回数が1回目のときは超音波信号の送受信を実行せず、トリガ回数が2回目のときは送受信を実行する。
【0022】
さらに、制御回路部20は、超音波センサ制御部2からの距離データ収集命令を受信すると、それまでのトリガ回数をリセットし、次のトリガ信号の受信を1回目のトリガ回数として捕らえる。
【0023】
ここで、超音波センサ4a,4b,4c,4dによる障害物検知の原理を、図3及び図5を用いて簡単に説明する。
先ず、制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号30を送出する。送信部21は、送信パルス信号30に応じて送信用超音波素子を動作させる。これにより、送信部21から超音波信号30が発信される。超音波信号30は、その進行方向に障害物があると、その障害物で反射する。その反射波は、反射波信号31として受信部22で受信される。受信部22は、受信信号を制御回路部20に出力する。制御回路部20は、受信信号の電圧レベルを監視する。そして、電圧レベルが所定のしきい値レベルSHLを超えたならば、超音波信号の反射波を受信したものとみなす。制御回路部20は、超音波を送信した時刻t1から反射波を受信した時刻t2までの時間差ΔTを計測する。この時間差ΔTは、超音波信号の飛行時間である。この超音波信号の飛行時間と音速から、障害物までの距離を算出することができる。
【0024】
ただし、受信部22で受信される信号には、反射波信号31以外に、送信部21から直接入射する廻り込み波の信号32が存在する。この廻り込み波信号32は、超音波信号30を送信すると常に発生し、障害物がない場合でも受信部22に入射して検出される。このため、障害物検出を行う際には、この廻り込み波信号32の影響を除去する必要がある。
【0025】
送信部21から受信部22直接入射する廻り込み波は、送信部21から発信される超音波のごく一部である。このため、図5に示すように、廻り込み波信号32の電圧レベルは、反射波信号31の電圧レベルと比較してかなり小さい。そこで、制御回路部20は、受信信号と比較するしきい値レベルSHLを、廻り込み波信号32の電圧レベルより大きく、反射波信号31の最大電圧レベルより小さい値となるように予め設定している。こうすることにより、制御回路部20は、受信信号から反射波信号31を検出するが、廻り込み波信号32は検出しない。
【0026】
次に、図4を参照しながら、本実施形態における障害物検知システムの障害物検知動作について説明する。
通常の障害物検知動作を行う際、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に、障害物検知シーケンスの開始命令を送信する。この指令を受けた超音波センサ制御部12は、タイマ(図示せず)の計時を開始する。そして、受信から1m秒後に1発目のトリガ信号を発し、受信から100m秒後に2発目のトリガ信号を発する。1発目のトリガ信号が発せられると、第1の組の超音波センサ4a,4dが動作する。すなわち、移動体1の前方および後方に対する障害物検知が実行される。このとき、第2の組の超音波センサ4b,4cは動作しない。2発目のトリガ信号が発せられると、第2の組の超音波センサ4b,4cが動作する。すなわち、移動体1の右方向および左方向の障害物検知が実行される。このとき、第1の組の超音波センサ4a,4dは動作しない。
【0027】
1回目のトリガで動作する第1の組の超音波センサ4aは前方検知、超音波センサ4dはそれと正反対の後方検知である。よって、第1の組の超音波センサ4a,4dの超音波信号の送受信が同時に実行されても、その超音波信号の相互間の干渉を回避できる。この場合、例えば移動体1の前方に障害物が存在すれば、その障害物の存在および障害物までの距離を超音波センサ4aによって検知することができる。
【0028】
2回目のトリガで動作する第2の組の超音波センサ4bは右方検知、超音波センサ4cはそれと正反対の左方検知である。よって、第2の組の超音波センサ4b,4cの超音波信号の送受信が同時に実行されても、その超音波信号の相互間の干渉を回避できる。この場合、例えば移動体1の左方に障害物が存在すれば、その障害物の存在および障害物までの距離を超音波センサ4cによって検知することができる。
【0029】
超音波センサ制御部12は、3発目のトリガ信号出力の時間情報がないことを確認すると、超音波センサ4a,4b,4c,4dに保持されている障害物の検知データ(障害物の有無と距離に関するデータ)を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a,4b,4c,4dからのデータ取得を行う。この際、超音波センサ4a,4b,4c,4dにおいて、トリガ回数が零にリセットされる。
【0030】
続いて、中央制御部10は、超音波センサ制御部12によるデータ取得処理の終了を確認した後、その取得データを超音波センサ制御部12から収集する。中央制御部10は、収集した距離データに対してノイズ除去・平均化などの処理を行い、処理後のデータから障害物回避の必要性があるかなどの判断を行い、その判断に従って操舵輪2,2の操舵および駆動輪3,3の駆動を制御する。
【0031】
以降、同様の制御が繰り返されることにより、移動体1は障害物を回避しながら走行を続けることができる。
【0032】
このように、超音波センサ4a,4b,4c,4dを2組に分けてその組ごとに異なるタイミングで動作させることにより、超音波センサ4a,4b,4c,4dからのデータ取得の時間間隔を短くすることができる。したがって、従来のように複数の障害物センサを1つずつ順番に動作させるものに比べ、障害物を速やかに効率よく検知することができる。これにより、移動体1の常に安全な移動が可能となる。しかも、超音波センサ4a,4b,4c,4dの組み分けをそれぞれの検知方向を考慮して定めているので、超音波センサ4a,4b,4c,4dの送受信の相互干渉を生じることなく、移動体1の周囲の障害物を的確に検知することができる。
【0033】
ところで、移動体1の周囲の障害物を的確に検知するためには、各超音波センサ4a,4b,4c,4dが正常に動作していることが必要である。本実施形態の障害物検知システムは、各超音波センサ4a,4b,4c,4dが正常に動作しているか否かを診断するセンサ診断手段を備えている。そこで次に、このセンサ診断手段について、図6及び図7を用いて説明する。
【0034】
各超音波センサ4a,4b,4c,4dの診断を行う際、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を送信する。この開始命令は、本実施形態の障害物検知システムを、障害物を検知するための検知モードから、各障害物センサの異常を診断する診断モードへの切替を指令する制御信号として機能する。
【0035】
超音波センサ制御部12は、図7のST(ステップ)1に示すように、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を受信すると、ST2としてバスライン接続された全ての超音波センサ4a,4b,4c,4dに、診断モード切替信号を送信する。また、ST3として組数カウンタmを“1”に初期化する。
【0036】
次に、超音波センサ制御部12は、ST4としてタイマ(図示せず)の計時を開始する。また、ST5として第m(mは組数カウンタのカウント値)の組のトリガ信号出力時間情報が設定されているか否かを判断する。設定されている場合(ST5のYES)、超音波センサ制御部12は、ST6としてタイマがそのトリガ信号出力時間情報の時間を計時するのを待機し、計時されたならば(ST6のYES)、ST7としてトリガ信号を発する。次いで、ST8として組数カウンタmを“1”だけカウントアップし、ST5に戻って、第mの組のトリガ信号出力時間情報が設定されているか否かを判断する。設定されている場合には、タイマがそのトリガ信号出力時間情報の時間を計時したタイミングでトリガ信号を発する。
【0037】
この実施形態では、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの組み分けと時間情報との関係が[表2]のようになっている。したがって、タイマの計時が1m秒になると、超音波センサ制御部12から各超音波センサ4a,4b,4c,4dに1回目のトリガ信号が送信され、100m秒になると2回目のトリガ信号が送信される。
【0038】
一方、診断モード切替信号を受信した超音波センサ4a,4b,4c,4dは、診断モードに切り替る。診断モードに切り替った超音波センサは、前記[表3]に示す制御情報に従って動作する。すなわち、第1の組である超音波センサ4a及び4dは、1回目のトリガ信号を受信すると、超音波信号の送受信を実行するが、2回目のトリガ信号を受信しても送受信を実行しない。第2の組である超音波センサ4b及び4cは、1回目のトリガ信号を受信しても送受信を実行せず、2回目のトリガ信号を受信すると、超音波信号の送受信を実行する。
【0039】
ここで、診断モードに切り替った各超音波センサ4a,4b,4c,4dの制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号40を送出するが、このときのパルス数は、図6に示すように、障害物検知時の送信パルス信号30と比較して多くなっている。送信パルス数が多いと、送信部21から出力される超音波信号30の強度は、障害物検知時と比較して強くなる。超音波信号30の強度が強くなると、送信部21から受信部22に直接入射する廻り込み波が増加する。廻り込み波が増加すると、この廻り込み波を受信した信号41の電圧レベルが大きくなる。そして、しきい値レベルSHLを超えると、制御回路部20は、受信信号41を検出する。制御回路部20は、超音波を送信した時刻t1から、受信信号41を検出した時刻t3までの時間差T0を計測する。この時間差T0が、障害物からの反射波信号31でなく送信部21からの廻り込み波信号41であると区別可能な充分に短い時間(T0<ΔT)以下であるとき、制御回路部20は、メモリ23に廻り込み波検出情報を記憶する。
【0040】
超音波センサ制御部12は、第mの組のトリガ信号出力時間情報が設定されていないことを確認すると(ST5のNO)、ST9として各超音波センサ4a,4b,4c,4dに保持されている廻り込み波検出情報を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a,4b,4c,4dからのデータ取得を行う。そして、超音波センサ制御部12は、ST10として廻り込み波検出情報を取得した超音波センサを正常センサとして認識し、廻り込み波検出情報を取得していない超音波センサを異常センサとして認識する。その後、超音波センサ制御部12は、ST11として内部メモリ14で記憶した正常センサ及び異常センサの判定結果を示す情報を、中央制御部10に送出する。
【0041】
このように、本実施形態の障害物検知システムにおいては、障害物を検知するための検知モードとは別に、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの異常を診断する診断モードとを設けている。そして、診断モードが選択されると、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの送信部21から送信される超音波信号の強度を、検知モードのときに送信される超音波信号より強めることで、送信部21から送信され、受信部22に直接廻り込む超音波信号、いわゆる廻り込み波信号41を、各超音波センサ4a,4b,4c,4dの制御回路部20が検出できるようにしている。
【0042】
かかる構成において、超音波センサ制御部12は、診断モード時も検知モード時と同様に、各超音波センサ4a,4b,4c,4dを2つの組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる。そして、超音波センサ4a,4b,4c,4d毎に廻り込み波信号41の検出有無を判断し、検出有の障害物センサは正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサは異常センサとして認識する。
【0043】
今、超音波センサ4a,4b,4c,4dのうち、超音波センサ4cが壊れていたと仮定する。この状態で、診断モードが実施されると、先ず、超音波センサ制御部12からの1回目のトリガ信号で、第1の組である超音波センサ4aと超音波センサ4dが動作する。これらの超音波センサ4a,4dは、送信部21から送信された超音波信号が直接受信部22に入射する廻り込み波の受信信号41がしきい値レベルSHLを超えるので、メモリ23に廻り込み波検出情報が記憶される。
【0044】
次に、2回目のトリガ信号で、第2の組である超音波センサ4bと超音波センサ4cが動作する。そのうち、超音波センサ4bは、送信部21から送信された超音波信号が直接受信部22に入射する廻り込み波の受信信号41がしきい値レベルSHLを超えるので、メモリ23に廻り込み波検出情報が記憶されるが、超音波センサ4cは、超音波信号が発せられない(送信部21の異常)、あるいは超音波信号を受信できない(受信部22の異常)ので、廻り込み波検出情報が記憶されない。
【0045】
超音波センサ制御部12は、各超音波センサ4a,4b,4c,4dから廻り込み波検出情報を収集する。この場合、超音波センサ4a,4b,4dからは廻り込み波検出情報を取得できるが、超音波センサ4cからは廻り込み波検出情報を取得できない。したがって、超音波センサ制御部12は、超音波センサ4a,4b,4dを正常センサとして認識し、超音波センサ4cを異常センサとして認識する。この認識結果は、超音波センサ制御部12から中央制御部10に通知される。
【0046】
このように、超音波センサ4cだけが異常センサとして認識された場合、すなわち、超音波センサ4cが廻り込み波検出情報を記憶していない場合は、超音波センサ制御部12と各超音波センサ4a,4b,4c,4dとを結ぶバスライン13は正常であると診断できる。つまり、異常は、超音波センサ4cそのものに起因するもの、例えばバスライン13との接続不良や制御回路部20の故障等と考えられる。
【0047】
一方、超音波センサ4cに加え、超音波センサ4dも異常センサとして認識された場合、すなわち、超音波センサ4cと超音波センサ4dとが廻り込み波検出情報を記憶していない場合は、超音波センサ4bと超音波センサ4cとの間でバスライン13が断線しているとも考えられる。
【0048】
このように、本実施形態によれば、中央制御部10から超音波センサ制御部12に、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を送信させるだけで、バスライン13に接続されている各超音波センサ4a,4b,4c,4dの故障やバスライン13の断線等の異常を速やかに特定することができる。したがって、障害物検知システムの信頼性を高め得ることができ、ひいては移動体1の移動に対する安全性を向上させることができる。
【0049】
しかも、本実施形態では、超音波センサの診断モードの際も前後左右の4つのセンサを前後の1組目と左右の2組目と組み分けし、組毎に異なるタイミングで超音波の送受信を行うようにしている。したがって、超音波信号の相互間の干渉を回避できる上、同時に同じ組に属する2つの超音波センサの診断を行えるので、センサの異常を効率よく検知できる効果も奏し得る。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図8〜図10を用いて説明する。第2の実施形態は、図8及び図9に示す移動体50に設けられる障害物検知システムである。なお、第1の実施形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0051】
図8において、移動体50の前後左右の4箇所には、それぞれ障害物センサとしての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2が2個ずつ設けられている。超音波センサ4a1と4a2,超音波センサ4b1と4b2,超音波センサ4c1と4c2,超音波センサ4d1と4d2は、図9の正面図(超音波センサ4a1,4a2のみ示す)に示すように、上下に並んで設けられている。そして、上下に並んでいる各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2の対応関係を示すデータは、超音波センサ制御部12のメモリ14で記憶されている。
【0052】
各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、それぞれ送信部21から超音波信号を送信し、この超音波信号の障害物からの反射波を受信部22で受信することにより、移動体1の移動に対する障害物を検知する。これらの超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、第1の実施形態と同様に、バスライン13を介して超音波センサ制御部12に接続される。超音波センサ制御部12は、通信信号ケーブル11を介して中央制御部10に接続される。
【0053】
第2の実施形態では、複数の超音波センサを組とした組情報として[表4]に示すものを考える。
【表4】
【0054】
また、組み分けと時間情報との関係を[表5]に示す。
【表5】
【0055】
さらに、送受信を行うか否かの動作パターンを超音波センサ制御部12からのトリガ信号(障害物検知開始タイミング信号)の数(トリガ回数)に応じて組別に決定するための制御情報を[表6]に示す。なお、[表6]において、トリガ回数が1回目と2回目のときは、超音波センサ4a2,4b2,4c2,4d2は、全て送受信しない設定となっており、トリガ回数が3回目と4回目のときは、超音波センサ超音波センサ4a1,4b1,4c1,4d1は、全て送受信しない設定となっている。
【表6】
【0056】
超音波センサ制御部12は、中央制御部10から障害物検知シーケンスの開始命令を受信すると、第1の実施形態と同様に作用する。すなわち、第1の組である超音波センサ4a1及び4d1の場合は、トリガ回数が1回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が2〜4回目のときは送受信を実行しない。第2の組である超音波センサ4b1及び4c1の場合は、トリガ回数が2回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が1回目及び3〜4回目のときは送受信を実行しない。第3の組である超音波センサ4a2及び4d2の場合は、トリガ回数が3回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が1〜2回目及び4回目のときは送受信を実行しない。第4の組である超音波センサ4b2及び4c2の場合は、トリガ回数が4回目のときは超音波信号の送受信を実行し、トリガ回数が1〜3回目のときは送受信を実行しない。したがって、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2の送受信の相互干渉を生じることなく、移動体1の周囲の障害物を的確に検知することができる。
【0057】
また、超音波センサ制御部12は、中央制御部10から全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を受信したときも、第1の実施形態と同様に作用する。その結果、超音波センサ制御部12は、廻り込み波検出情報を取得した超音波センサを正常センサとして認識し、廻り込み波検出情報を取得していない超音波センサを異常センサとして認識する。そして、この認識結果は、中央制御部10に通知される。
【0058】
さて、第2の実施形態では、超音波センサの異常が検出されたとき、その異常がセンサの送信部21に起因するものか、あるいは受信部22に起因するものかをそれぞれ特定する送信部診断手段及び受信部診断手段を備えている。そこで次に、これらの送信部診断手段及び受信部診断手段について、図10を用いて説明する。
【0059】
障害物検知シーケンスの実行により超音波センサの異常が検出されると、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に異常個所特定シーケンスの開始命令を送信する。
【0060】
異常個所特定シーケンスの開始命令を受信すると(ST21のYES)、超音波センサ制御部12は、バスライン接続された全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、異常特定モード切替信号を送信する(ST22)。この異常特定モード切替信号を受信した各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、受信モードとなる。
【0061】
次に、超音波センサ制御部12は、異常センサとして認識された1つの超音波センサ(説明の便宜上、異常センサ4xとする)に対し、送信モード切替信号を送信する(ST23)。この送信モード切替信号を受信した異常センサ4xは、受信モードから送信モードに切り替る。
【0062】
次に、超音波センサ制御部12は、全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、トリガ信号を送信する(ST23)。このトリガ信号を受信した異常センサ4xの制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号40を送出する。このときのパルス数も、図6に示すように、障害物検知時の送信パルス信号30と比較して多くなっている。
【0063】
一方、トリガ信号を受信した異常センサ4x以外の超音波センサの制御回路部20は、受信部22で受信した信号を検出する。その結果、しきい値レベルSHLより高い受信信号を検出すると、制御回路部20は、トリガ信号を受信してから受信信号を検出するまでの時間差を計測する。この時間差が、「障害物からの反射波信号31でなく、移動体1の同一面にて上下に隣接する他方の超音波センサからの廻り込み波による受信信号である」と区別可能な充分に短い時間以下であるとき、制御回路部20は、メモリ23に廻り込み波検出情報を記憶する。
【0064】
超音波センサ制御部12は、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に保持されている廻り込み波検出情報を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2からのデータ取得を行う(ST25)。
【0065】
超音波センサ制御部12は、廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがあるか否かを判断する(ST26)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがある場合は(ST26のYES)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの送信部21は正常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST27)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがない場合は(ST26のNO)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの送信部21は異常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST28)。
【0066】
次に、超音波センサ制御部12は、全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、異常特定モード切替信号を再度送信する(ST29)。これにより、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は、全て受信モードとなる。
【0067】
次に、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xに隣接して配置されている正常な超音波センサ(説明の便宜上、隣接センサ4yと称する)に対し、送信モード切替信号を送信する(ST30)。この送信モード切替信号を受信した隣接センサ4yは、受信モードから送信モードに切り替る。
【0068】
次に、超音波センサ制御部12は、全ての超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に、トリガ信号を送信する(ST31)。このトリガ信号を受信した隣接センサ4yの制御回路部20は、メモリ23で記憶したパルス数情報に従い、送信部21に送信パルス信号40を送出する。このときのパルス数も、図6に示すように、障害物検知時の送信パルス信号30と比較して多くなっている。
【0069】
一方、トリガ信号を受信した隣接センサ4y以外の超音波センサの制御回路部20は、受信部22で受信した信号を検出する。その結果、しきい値レベルSHLより高い受信信号を検出すると、制御回路部20は、トリガ信号を受信してから受信信号を検出するまでの時間差を計測する。この時間差が、「障害物からの反射波信号31でなく、移動体1の同一面にて上下に隣接する他方の超音波センサからの廻り込み波による受信信号である」と区別可能な充分に短い時間以下であるとき、制御回路部20は、メモリ23に廻り込み波検出情報を記憶する。
【0070】
超音波センサ制御部12は、各超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2に保持されている廻り込み波検出情報を取得するコマンドを送信し、超音波センサ4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2からのデータ取得を行う(ST32)。
【0071】
超音波センサ制御部12は、廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがあるか否かを判断する(ST33)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがある場合は(ST33のYES)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの受信部22は正常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST34)。廻り込み波検出情報を取得した超音波センサがない場合は(ST33のNO)、超音波センサ制御部12は、異常センサ4xの受信部22は異常であると認識して、その認識情報をメモリ14で記憶する(ST34)。
【0072】
その後、超音波センサ制御部12は、内部メモリ14で記憶した認識情報を、中央制御部10に送出する(ST36)。
【0073】
なお、同時に2以上の超音波センサの異常が認識された場合は、それぞれの異常センサについて、ST22〜ST36の処理を実行すればよい。
【0074】
例えば、今、図9に示すように、移動体1の正面側に隣接して設けられる2つの超音波センサ4a1,4a2のうち、センサ4a1が異常センサとして認識されたとする。この場合、異常個所特定シーケンスの実行により、先ず、超音波センサ4a1が送信モードとなり、その他の超音波センサ4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2が受信モードとなる。そして、超音波センサ制御部12からのトリガ信号により、超音波センサ4a1は送信動作を、その他の超音波センサ4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は受信動作を行う。このとき、超音波センサ4a1の送信部21が正常であったならば、超音波信号が送信される。
【0075】
超音波信号が送信されると、この信号の一部は、超音波センサ4a1に隣接する超音波センサ4a2の受信部22に直接入射する。このとき、超音波信号の強度が障害物検知モード時よりも強いので、超音波センサ4a2では、受信信号レベルがしきい値レベルSHLを超え、廻り込み波信号として検出される。これに対し、超音波センサ4a1の送信部21が異常で、超音波信号が送信されない場合には、超音波センサ4a2を含む全てのセンサで廻り込み波信号を検出することはない。すなわち、超音波センサ制御部12は、廻り込み波信号を検出したセンサが有る場合は異常センサ4xの送信部21が正常であると特定でき、廻り込み波信号を検出したセンサがない場合は異常センサ4xの送信部21が異常であると特定できる。
【0076】
次に、超音波センサ4a1に隣接する超音波センサ4a2が送信モードとなり、その他の超音波センサ4a1,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2が受信モードとなる。そして、超音波センサ制御部12からのトリガ信号により、超音波センサ4a2は送信動作を、その他の超音波センサ4a1,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2は受信動作を行う。このとき、超音波センサ4a2の送信部21は正常なので、超音波センサ4a2からは、超音波信号が送信される。
【0077】
超音波信号が送信されると、この信号の一部は、超音波センサ4a2に隣接する超音波センサ4a1の受信部22に直接入射する。このとき、超音波信号の強度が障害物検知モード時よりも強いので、超音波センサ4a1では、受信部22が正常であれば、受信信号レベルがしきい値レベルSHLを超え、廻り込み波信号として検出される。すなわち、超音波センサ制御部12は、廻り込み波信号を検出したセンサがある場合は異常センサ4xの受信部22が正常であると特定でき、廻り込み波信号を検出したセンサがない場合は異常センサ4xの受信部22が異常であると特定できる。
【0078】
このように、第2の実施形態によれば、異常センサとして特定された超音波センサの送信部21と受信部22のどちらに異常があるのか、あるいは送信部21と受信部22の両方が異常であるのかを、容易に特定することができる。
【0079】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図11を用いて説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態の移動体1に適用された障害物検知システムにおけるセンサ診断手段を、他の実施形態としたものである。移動体1の移動に対する障害物検知方法については、第1の実施形態と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0080】
各超音波センサ4a,4b,4c,4dの診断を行う際、中央制御部10は、超音波センサ制御部12に、全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を送信する。
【0081】
全超音波センサ診断シーケンスの開始命令を受信すると(ST41のYES)、超音波センサ制御部12は、先ず、センサ数カウンタnを“1”に初期化する(ST42)。次に、n番目(nはセンサ数カウンタのカウント値)の超音波センサの固有の識別情報であるIDを取得する(ST43)。各超音波センサ4a,4b,4c,4dのIDは、内部メモリ14で記憶している。
【0082】
n番目超音波センサのIDを取得すると、超音波センサ制御部12は、このIDが設定された制御回路部20を有するn番目超音波センサ4nに、呼出し命令を発信する(ST44)。この呼出し命令を受けて、同一IDが設定されたn番目超音波センサ4nは、通常、超音波センサ制御部12に応答を返す。
【0083】
そこで超音波センサ制御部12は、n番目超音波センサ4nからの応答を待機する(ST45)。そして、応答があったならば(ST45のYES)、超音波センサ制御部12は、n番目超音波センサ4nが正常に動作していると判定する。そして、その判定結果を示す情報を内部メモリ14で記憶する(ST46)。これに対し、呼出し命令を発信した後、一定時間を経過しても応答がなかった場合には(ST45のNO)、超音波センサ制御部12は、n番目超音波センサ4nが異常であると判定する。そして、その判定結果を示す情報を内部メモリ14で記憶する(ST47)。
【0084】
次に、超音波センサ制御部12は、前記カウンタnをさらに“1”だけカウントアップする(ST48)。そして、このカウンタnが、超音波センサの数(図1では超音波センサ4a,4b,4c,4dの“4”)を超えたか否かを判断する(ST49)。越えていない場合には(ST49のNO)、ST43の処理に戻る。すなわち、n番目超音波センサのIDを取得し、このIDが設定された制御回路部20を有する超音波センサ4nに、呼出し命令を発信する。
【0085】
これに対し、カウンタnが、超音波センサの数を越えた場合には(ST49のYES)、超音波センサ制御部12は、内部メモリ14で記憶した判定結果を示す情報を、中央制御部10に送出する(ST50)。
【0086】
今、説明の便宜上、各超音波センサ4a,4b,4c,4dのIDを“1”,“2”,“3”,“4”と仮定する。この場合、中央制御部10から超音波センサ制御部12に全超音波センサ診断シーケンスの開始命令が発信されると、先ず、超音波センサ制御部12から超音波センサ4aに呼出し命令が発信される。この呼出し命令に対し、超音波センサ4aから超音波センサ制御部12に応答が返されると、超音波センサ制御部12では、超音波センサ4aは正常であると判定される。これに対し、超音波センサ4aから応答が返されなかった場合は、その超音波センサ4aは異常であると判定される。
【0087】
次に、超音波センサ制御部12から超音波センサ4bに呼出し命令が発信される。この呼出し命令に対し、超音波センサ4bから超音波センサ制御部12に応答が返されると、超音波センサ制御部12では、超音波センサ4bは正常であると判定される。超音波センサ4aから応答が返されなかった場合は、その超音波センサ4aは異常であると判定される。
【0088】
こうして、超音波センサ4c,4dの順に超音波センサ制御部12から呼出し命令が発信され、この命令に対して超音波センサ4c,4dが応答すると正常であると判定され、応答が返されないと異常であると判定される。これらの判定結果は、中央制御部10でも確認される。
【0089】
このように、第3の実施形態によれば、バスライン13に接続されている各超音波センサ4a,4b,4c,4dの呼出し・応答を自動的に行うだけで、超音波センサの故障やバスライン13の断線等の異常を特定できるので、制御が簡単である。また、各超音波センサ4a,4b,4c,4dから超音波信号を送信する必要もない。
【0090】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0091】
例えば、前記第2の実施形態では、異常センサを特定する際に、第1の実施形態のセンサ診断手段を用いるものとして説明したが、他の診断方法により特定された異常センサに対し、送信部診断手段及び受信部診断手段を実行するようにしてもよい。
【0092】
また、前記各実施形態では、送信用超音波素子を備えた送信部21と受信用超音波素子を備えた受信部22とをそれぞれ設けた超音波センサを例示したが、1つの超音波素子で超音波信号の送受信が可能な超音波センサを用いた障害物検知システムにも、本発明を適用することができる。
【0093】
また、本発明の障害物検知システムを構成する超音波センサの数は、前記各実施形態のものに限定されるものではなく、障害物検知システムが適用される移動体1,50の形状も前記各実施形態のものに限定されないのは言うまでもないことである。
【0094】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,50…移動体、2…操舵輪、3…駆動輪、4a,4b,4c,4d,4a1,4a2,4b1,4b2,4c1,4c2,4d1,4d2…超音波センサ、10…中央制御部、12…超音波センサ制御部、13…バスライン、2…制御回路部、21…送信部、22…受信部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特許第3565200公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段と、
前記各障害物センサのそれぞれについて、前記送信部から送信され、前記受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項2】
前記組動作制御手段を機能させて前記障害物を検知するための検知モードと、前記センサ診断手段を機能させて前記各障害物センサの異常を診断する診断モードとを備え、
前記診断モードのときに前記各超音波センサの送信部から送信される超音波信号の強度を、前記検知モードのときに前記各超音波センサの送信部から送信される超音波信号より強めたことを特徴とする請求項1記載の障害物検知システム。
【請求項3】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサのうち、異常が検出された第1の障害物センサと異常が検出されていない第2の障害物センサとの組において、前記第1の障害物センサの送信部から送信され、前記第2の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの送信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの送信部が異常と認識する送信部診断手段と、
前記第2の障害物センサの送信部から送信され、前記第1の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの受信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの受信部が異常と認識する受信部診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項4】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサのそれぞれについて、前記送信部から送信され、前記受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段と、
このセンサ診断手段により異常センサとして認識された第1の障害物センサと正常センサとして認識された第2の障害物センサとの組において、前記第1の障害物センサの送信部から送信され、前記第2の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの送信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの送信部が異常と認識する送信部診断手段と、
前記第2の障害物センサの送信部から送信され、前記第1の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの受信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの受信部が異常と認識する受信部診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項5】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段と、
前記バスラインを介して、前記各障害物センサに対して個々に呼出し信号を送信し、この呼出し信号に対して応答信号を返した障害物センサを正常センサとして認識し、前記応答信号を返さない障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項6】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムの前記障害物センサの異常を診断する障害物センサ診断方法であって、
前記各障害物センサのそれぞれについて、前記送信部から送信され、前記受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断ステップと、
このセンサ診断ステップにより異常センサとして認識された第1の障害物センサと正常センサとして認識された第2の障害物センサとの組において、前記第1の障害物センサの送信部から送信され、前記第2の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの送信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの送信部が異常と認識する送信部診断ステップと、
前記第2の障害物センサの送信部から送信され、前記第1の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの受信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの受信部が異常と認識する受信部診断ステップと、
を具備することを特徴とする障害物検知システムの障害物センサ診断方法。
【請求項1】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段と、
前記各障害物センサのそれぞれについて、前記送信部から送信され、前記受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項2】
前記組動作制御手段を機能させて前記障害物を検知するための検知モードと、前記センサ診断手段を機能させて前記各障害物センサの異常を診断する診断モードとを備え、
前記診断モードのときに前記各超音波センサの送信部から送信される超音波信号の強度を、前記検知モードのときに前記各超音波センサの送信部から送信される超音波信号より強めたことを特徴とする請求項1記載の障害物検知システム。
【請求項3】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサのうち、異常が検出された第1の障害物センサと異常が検出されていない第2の障害物センサとの組において、前記第1の障害物センサの送信部から送信され、前記第2の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの送信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの送信部が異常と認識する送信部診断手段と、
前記第2の障害物センサの送信部から送信され、前記第1の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの受信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの受信部が異常と認識する受信部診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項4】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサのそれぞれについて、前記送信部から送信され、前記受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段と、
このセンサ診断手段により異常センサとして認識された第1の障害物センサと正常センサとして認識された第2の障害物センサとの組において、前記第1の障害物センサの送信部から送信され、前記第2の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの送信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの送信部が異常と認識する送信部診断手段と、
前記第2の障害物センサの送信部から送信され、前記第1の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの受信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの受信部が異常と認識する受信部診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項5】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムにおいて、
前記制御部は、
前記各障害物センサを複数組に分けて組ごとに異なるタイミングで動作させる組動作制御手段と、
前記バスラインを介して、前記各障害物センサに対して個々に呼出し信号を送信し、この呼出し信号に対して応答信号を返した障害物センサを正常センサとして認識し、前記応答信号を返さない障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断手段と、
を具備することを特徴とする障害物検知システム。
【請求項6】
移動体に、制御部と、この制御部にバスラインで接続され、前記移動体の移動に対する障害物を、送信部から超音波信号を送信し、この超音波信号の前記障害物からの反射波を受信部で受信することにより検知する複数の障害物センサとを設けてなる障害物検知システムの前記障害物センサの異常を診断する障害物センサ診断方法であって、
前記各障害物センサのそれぞれについて、前記送信部から送信され、前記受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有の障害物センサを正常センサとして認識し、検出無しの障害物センサを異常センサとして認識するセンサ診断ステップと、
このセンサ診断ステップにより異常センサとして認識された第1の障害物センサと正常センサとして認識された第2の障害物センサとの組において、前記第1の障害物センサの送信部から送信され、前記第2の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの送信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの送信部が異常と認識する送信部診断ステップと、
前記第2の障害物センサの送信部から送信され、前記第1の障害物センサの受信部に直接廻り込む超音波信号の検出有無を判断し、検出有のときには前記第1の障害物センサの受信部が正常と認識し、検出無しのときには前記第1の障害物センサの受信部が異常と認識する受信部診断ステップと、
を具備することを特徴とする障害物検知システムの障害物センサ診断方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−210412(P2010−210412A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56843(P2009−56843)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト(サービスロボット分野)ロボット搬送システム委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト(サービスロボット分野)ロボット搬送システム委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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