説明

障害物検知装置

【課題】 設置の自由度がより高い障害物検知装置を提供すること。
【解決手段】 障害物検知装置1において、車体表面に取り付けられており、自らが放射した放射波の反射波を受信可能な送受信部101と、送受信部101により放射波が放射された第1の時刻と、反射波が受信された第2の時刻とに基づいて、障害物の存在を少なくとも検出する信号処理部102と、信号処理部の検出結果に基づいて、車両の周囲に障害物が存在することを出力する出力部104とを備える。ここで、出力部104は、車両をスケールダウンした車両モデル105と、車両モデル105において、送受信部101の取り付け位置に相当する箇所に取り付けられており、信号処理部102による検出結果に基づいて発光する発光素子を有する発光部106とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検知装置に関し、より特定的には、車両に搭載され、車両の周囲に存在する障害物を検知して、その存在を運転者に通知する障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記のような障害物検知装置は、例えばレーザレーダ又はカメラのセンシング結果に基づいて、車両に対する周囲の障害物の位置を視覚的に表す画像情報を作成する。このような画像情報は、車両内に設置される液晶ディスプレイのような表示装置に表示される。表示装置に表示されるのは、具体的には、上方向から見下ろした車両の周囲画像に障害物のマークを重畳したものであったり、車両の斜め上方から見た時の車両の周囲画像に、障害物のマークを重畳したものであったりする。
【特許文献1】特開平8−48198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述から明らかなように、従来の障害物検知装置では、画像を表示する表示装置が必要となる。しかしながら、車両の室内は相対的に狭いので、表示装置を設置する位置は制限される。その結果、視線をかなり移動させなければ、画像情報を観ることができないという問題点があった。
【0004】
それ故に、本発明の目的は、設置の自由度がより高い障害物検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の第1の局面は、車両の周囲に存在しうる障害物を検知する障害物検知装置であって、車体表面に取り付けられており、自らが放射した放射波の反射波を受信可能な送受信部と、送受信部により放射波が放射された第1の時刻と、反射波が受信された第2の時刻とに基づいて、障害物の存在を少なくとも検出する信号処理部と、信号処理部の検出結果に基づいて、車両の周囲に障害物が存在することを出力する出力部とを備える。ここで、出力部は、車両をスケールダウンした車両モデルと、車両モデルにおいて、送受信部の取り付け位置に相当する箇所に取り付けられており、信号処理部による検出結果に基づいて発光する発光素子を有する発光部とを含む。
【0006】
また、発光部は好ましくは、送受信部の取り付け位置を基準として、車両モデルの周囲へと向かって配列される複数の発光素子からなる発光素子アレイを有する。また、信号処理部はさらに、障害物までの距離を算出し、算出した距離に基づいて、発光素子アレイを構成するいずれかの発光素子に第1の駆動信号を与える。さらに、発光素子は、信号処理部から第1の駆動信号が与えられると発光する。
【0007】
また、障害物検知装置はさらに、車両の現在の方位を検出する方位検出部と、車両が現在前進しているか後退しているかを検出する進行方向検出部と、車両モデルを回転させる回転部とを備える。信号処理部は、送受信部が反射波を受信した場合、方位検出部及び進行方向検出部の検出結果に基づいて、車両モデルの回転量を算出して、回転部に第2の駆動信号を与える。回転部は、信号処理部から第2の駆動信号が与えられると、算出された回転量だけ回転する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両障害物検知装置によれば、発光部が取り付けられた車両モデルから出力部が構成されるので、出力部の設置に関する自由度が向上し、これによって、より運転者が見やすい位置で障害物の存在を通知することが可能となる。
【0009】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、以下に述べる本発明の詳細な説明を添付の図面とともに理解したとき、より明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる障害物検知装置1の全体構成を示すブロック図である。図1において、障害物検知装置1は、送受信部101と、信号処理部102と、制御部103と、出力部104とを備えている。
【0011】
送受信部101は、車両周囲に存在しうる障害物を検知するために、好ましくは複数個の送受信ユニットを含む。このような送受信ユニットは、典型的には超音波センサ、レーザレーダ、電波レーダ及びパルスレーダに含まれるが、本実施形態では例示的に、送受信ユニットはパルスレーダに含まれるものとして説明を続ける。パルスレーダは、パルス状の電波(以下、パルス電波と称する)の送受信するために、大略的には、送信機、アンテナ及び受信機を含む。この送信機は、パルス電波を生成し、このアンテナは、生成されたパルス電波を空間に放射する。このように放射されたパルス電波の一部がターゲットに照射される。照射されたパルス電波は四方八方に反射するが、反射パルス電波の一部が再びアンテナまで戻ってきて受信される。以上のような送受信ユニットが車体の表面に設置される。本実施形態では例示的に、図2Aに示すように、6個の送受信ユニットが送受信部101として車両に取り付けられる。具体的には、第1の送受信ユニットは、車両のフロントバンパの左端辺りに取り付けられ、車両の左前方に向けてパルス電波を放射する。第2の送受信ユニットは、車両のフロントバンパの中央辺りに取り付けられ、車両の真正面方向に向けてパルス電波を放射する。第3の送受信ユニットは、車両のフロントバンパの右端辺りに取り付けられ、車両の右前方に向けてパルス電波を放射する。第4の送受信ユニットは、車両のリアバンパの左端辺りに取り付けられ、車両の左後方に向けてパルス電波を放射する。第5の送受信ユニットは、車両のリアバンパの中央辺りに取り付けられ、車両の真後ろの方向に向けてパルス電波を放射する。第6の送受信ユニットは、車両のリアバンパの右端辺りに取り付けられ、車両の右後方に向けてパルス電波を放射する。
【0012】
信号処理部102は、送受信部101に含まれる送受信ユニットからパルス電波が放射された後、同じ送受信ユニットが反射パルス電波を受信するか否かを判断する。そして、信号処理部102は、反射パルス電波を受信した場合、対象となる送受信ユニットがパルス電波を放射する方向に、障害物が存在することを認識し、対象となる送受信ユニットに割り当てられた発光素子(図2Bを参照)に駆動信号を与える。
【0013】
制御部103は、予め定められたタイミングで、送受信部101に対してパルス電波を放射するよう指示するとともに、パルス電波の放射タイミングを信号処理部102に通知する。このような指示に応じて、送受信部101に含まれる各送受信ユニットはパルス電波を放射する。また、信号処理部102は、制御部103からの通知に応答して、各送受信ユニットから反射パルス電波の受信が通知されることを待機する。
【0014】
出力部104は、図2Bに示すように、車両モデル105と、発光部106とを含む。車両モデル105は、本障害物検知装置1を搭載する車両のスケールモデルである。ここで、車両モデル105のサイズは、設置スペースを考慮して適切な大きさを有する。本実施形態では、車両のダッシュボード上に設置することが可能な程度の大きさ(例えば、車両の1/50スケール)として説明を続ける。また、車両モデル105は、例えば加工のし易さ、製造コスト又は発光状態の視認性を考慮して、好ましくは透明樹脂からなる。
【0015】
発光部106は、車両周囲に存在しうる障害物が車両に対してどの方向に存在するかを運転者の通知するために、上述の送受信ユニットの数に相当する個数の発光素子を含む。発光素子は典型的にはLED(Light−Emitting Diode)であり、前述の駆動信号が与えられると、発光する。以上のような発光素子は、車両モデル105の表面に取り付けられる。本実施形態では例示的に、図2Bに示すように、6個の発光素子が発光部106として車両モデル105に取り付けられる。具体的には、6個の発光素子は、車両モデル105において、6個の送受信ユニットの設置位置に相当する位置に取り付けられる。さらに具体的には、第1の発光素子は車両モデル105のフロントバンパの左端辺りに、第2の発光素子は車両モデル105のフロントバンパの中央辺りに、第3の発光素子は車両モデル105のフロントバンパの右端辺りに、第4の発光素子は車両モデル105のリアバンパの左端辺りに取り付けられ、第5の発光素子は車両モデル105のリアバンパの中央辺りに、第6の発光素子は車両モデル105のリアバンパの右端辺りに取り付けられる。
【0016】
以上のような構成の障害物検知装置1では、図2Cに示すように、ある送受信ユニットが反射パルス電波を受信すると、信号処理部102は、その送受信ユニットの設置位置に相当する位置に取り付けられている発光素子に対して駆動信号を与えて発光させる。これによって、障害物検知装置1は、運転者に対して車両の周囲に障害物Bがあることに対して注意を促し、運転者は、車両に対してどの方向に障害物Bがあるかを認識することが可能となる。
【0017】
次に、図3のフローチャートを参照して、以上のような障害物検知装置1の動作について説明する。まず、制御部103は、パルス電波の放射タイミングが来ると、いずれかの送受信ユニットに対して、パルス電波を放射するよう指示し、さらに、信号処理部102にその旨を通知する。対象となる送受信ユニットは、制御部103からの指示に応答して、パルス電波を放射する(ステップS301)。また、信号処理部102は、制御部103からの通知された時のパルス電波の放射時刻Ttrとして記憶し、放射時刻Ttrから所定時間の間、対象となる送受信ユニットから、反射パルス電波を受信したことが通知されることを待機する。
【0018】
所定時間内に、対象となる送受信ユニットが反射パルス電波を受信すると(ステップS302)、信号処理部102には、対象となる送受信ユニットから反射パルス電波を受信したことが通知されるので、信号処理部102は、この通知時刻を反射パルス電波の受信時刻Treとして記憶する。
【0019】
その後、信号処理部102は、現在記憶しているTtrとTreに基づいて障害物Bまでの距離Dを算出する(ステップS303)。具体的には、距離Dは次式(1)によって算出される。なお、次式(1)において、cは光速である。
【0020】
D=(Tre−Ttr)×c/2 …(1)
次に、信号処理部102は、対象となる送受信ユニットに割り当てられている発光素子を発光させるか否かを判断する(ステップS304)。具体的には、ステップS303で算出された距離Dが、予め設定された距離に関する閾値Dthよりも小さいか否かが判断される。ここで、Dthは、障害物Bが車両の近くに存在するか否かを示す指標である。
【0021】
D<Dthでない場合、障害物Bは車両に対して遠い位置にあるとみなして、信号処理部102は、駆動信号を生成することなく、ステップS306を行う。逆に、D<Dthである場合、信号処理部102は、対象となる発光素子を発光させるために駆動信号を生成して、その発光素子に与える。これによって、発光素子は発光し(ステップS305)、障害物検知装置1は、運転者に対して車両の周囲に障害物Bがあることに対して注意を促し、運転者は、車両に対してどの方向に障害物Bがあるかを認識することが可能となる。
【0022】
次に、制御部103は、車両障害物検知装置1の処理を終了するか否かを判断し(ステップS306)、処理を継続する場合には、ステップ301に戻って、上述した処理を続ける。そうでない場合には、制御部103は処理を終了する。ここで、ステップS306の判断は、車両のエンジンが動作しているか否か、又は車両障害物検知装置1のオン/オフを設定するスイッチ(図示せず)の状態に基づいて行われる。
【0023】
なお、以上のステップS301−S306は、1個の送受信ユニットについての処理であるが、本実施形態では6個の送受信ユニットが備わるため、残りの5個の送受信ユニットについても同様の処理が行われる。
【0024】
以上説明したように、本障害物検知装置1によれば、発光部106が取り付けられた車両モデル105から出力部104が構成されるので、出力部104の設置に関する自由度が向上するという技術的効果が得られる。
【0025】
なお、以上の説明では、1個の閾値Dthだけが規定されていたが、これに限らず、複数の閾値を規定して、障害物検知装置1は、3通り以上の検知結果を出力するようにしてもよい。例えば、閾値Dth1及びDth2(ただしDth1<Dth2)の2つ用意し、互いに発光色(赤、黄及び緑)の異なる3種の発光素子を車両モデル105の略同一場所に設置する。そして、障害物検知装置1は、D<Dth1ならば赤色発光素子を、Dth1≦D<Dth2ならば黄色発光素子を、D≧Dth2ならば緑色発光素子を発光させる。
【0026】
また、設置の自由度をより向上させる観点から、信号処理部は、無線通信により駆動信号を発光素子に与えることが好ましい。
【0027】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る障害物検知装置2の全体構成を示すブロック図である。図4において、障害物検知装置2は、構成面について、前述の障害物検知装置1と比較すると、出力部104の代わりに出力部201を備える点で相違する。それ以外に、両障害物検知装置2及び1の間に相違点は無い。それ故、図4において、図1に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
【0028】
出力部201は、図5に示すように、車両モデル202と、ケーシング203と、発光部204とを含む。
車両モデル202は、前述の車両モデル105と同様であるため、その説明を省略する。
ケーシング203は、透明樹脂からなり、上述の車両モデル202の全体を包んで内部に収容する。
【0029】
発光部204は、車両周囲に存在しうる障害物Bが車両に対してどの方向にどの程度離れて存在するかを運転者の通知するために、送受信ユニット(第1の実施形態を参照)の数に相当する数の発光素子アレイ205を含む。各発光素子アレイ205は、略一直線上に配列された複数の発光素子を含んでおり、各発光素子は、前述の駆動信号が与えられると発光する。以上のような発光素子アレイ205は、上述のケーシング203の所定位置に収容される。本実施形態では例示的に、図5に示すように、6個の発光素子アレイ205a−205fが発光部204としてケーシング203に収容される。具体的には、第1の発光素子アレイ205aは、車両モデル202のフロントバンパの左端辺りから、車両モデル202の左前方に伸びる直線に沿って配置される。第2の発光素子アレイ205bは、車両モデル202のフロントバンパの中央辺りから、車両モデル202の真正面方向に伸びる直線に沿って配置される。第3の発光素子アレイ205cは、車両モデル202のフロントバンパの右端辺りから、車両モデル202の右前方に伸びる直線に沿って配置される。第4の発光素子アレイ205dは、車両モデル202のリアバンパの左端辺りから、車両モデル202の左後方に伸びる直線に沿って配置される。第5の発光素子アレイ205eは、車両モデル202のリアバンパの中央辺りから、車両モデル202の真後ろ方向に伸びる直線に沿って配置される。また、第6の発光素子アレイ205fは、車両モデル202のリアバンパの右端辺りから、車両モデル202の右後方に伸びる直線に沿って配置される。
【0030】
また、本実施形態において、各発光素子アレイ205は例示的に、10個の発光素子2061 −20610を有する。発光素子2061 が車両モデル202の最も近くに配され、以降、参照符号「206」の添え字が大きくなるにつれて、発光素子2062 −20610は車両モデル202からより離れた位置に配置される。以上のような発光素子2061 −20610には、互いに異なる距離の範囲R1−R10が割り当てられている。ここで、R1は0≦R1<Dth1であり、R2はDth1≦R2<Dth2であり、R3はDth2≦R3<Dth3であり、R4はDth3≦R4<Dth4であり、R5はDth4≦R5<Dth5であり、R6はDth5≦R6<Dth6であり、R7はDth6≦R7<Dth7であり、R8はDth7≦R8<Dth8であり、R9はDth8≦R9<Dth9であり、R10はDth9≦R10<Dth10である。Dth1−Dth10は、本障害物検知装置2の設計仕様に応じて適切な値に選ばれる。なお、図示の都合上、発光素子への参照符号は、発光素子アレイ205fが有するものにのみ付されているが、他の発光素子アレイ205a−205eも、発光素子アレイ205fと同様の発光素子を有する。
【0031】
以上のような構成の障害物検知装置2では、図6に示すように、ある送受信ユニットが反射パルス電波を受信すると、信号処理部102は、車両から障害物Bまでの距離を算出した後、その送受信ユニットに対応する発光素子アレイ206において、算出した距離が割り当てられている発光素子に対して駆動信号を与えて発光させる。これによって、障害物検知装置2は、障害物Bが車両からみてどのような方向でどの程度の距離にあるかを、運転者に対して通知することができる。
【0032】
次に、図7のフローチャートを参照して、以上のような障害物検知装置2の動作について説明する。図7は、図4と比較すると、ステップS304及びS305の代わりに、ステップS501−S520を含む点で相違する。それ以外に両フローチャートに相違点は無いので、図7において、図4に示すステップに相当するものには同一のステップ番号を付け、それぞれの説明を省略する。
【0033】
信号処理部102は、ステップS303で障害物Bまでの距離Dを算出した後、算出した距離Dが上述の範囲R1−R10のいずれに含まれるかを判断する(ステップS501−S510)。ステップS501−S510のいずれかでYESと判断した場合、信号処理部102は、対象となる範囲R1−R10に割り当てられた発光素子206を発光させ(S511−S520)、その後、ステップS306を行う。また、ステップS501−S510のいずれにおいてもNOと判断した場合にも、ステップS306が行われる。
【0034】
なお、以上の図7の処理は、1個の送受信ユニットについてのものであるが、本実施形態では6個の送受信ユニットが備わるため、残りの5個の送受信ユニットについても同様の処理が行われる。
【0035】
以上説明したように、本障害物検知装置2によれば、障害物検知装置1と同様の技術的効果に加え、車両に対して障害物が存在する方向及び障害物Bまでの距離を直感的に、運転者に通知することが可能となる。
【0036】
なお、発光素子アレイ205において、発光素子は直線上に配列されるとして説明したが、これに限らず、車両により多くの高分解能の送受信ユニットを設置可能な場合には、車両モデル202の周囲に、より多くの発光素子を配列しても構わない。これによって、運転者は、さらに正確に車両と障害物Bとの空間的な位置関係を認識することが可能となる。
【0037】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る障害物検知装置3の全体構成を示すブロック図である。図8において、障害物検知装置3は、構成面について、前述の障害物検知装置2と比較すると、方位検出部301と、進行方向検出部302と、回転部303とをさらに備える点で相違する。それ以外に、両障害物検知装置2及び3の間に相違点は無いので、図8において、図4に示す構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
【0038】
方位検出部301は、例示的にはジャイロセンサを含んでおり、予め定められた基準方向に対する車両の現在の方位を検出して、検出結果を信号処理部102に与える。
【0039】
進行方向検出部302は、車両が現在前進方向に移動しているか、後退方向に移動しているかを検出して、検出結果を信号処理部102に与える。例示的には、進行方向検出部302は、車両のシフト位置センサを含んでおり、シフト位置センサは、車両のシフトレバー又はギアが「後退」の位置であればONを示す後退信号を、そうでないならばOFFとなる後退信号を出力する。このような後退信号を進行方向検出部302は、信号処理部102に与える。なお、進行方向検出部302としては、代替的に、加速度センサを応用
することもできる。
【0040】
回転部303は、車両モデル202を水平面内で回転するように、信号処理部102の制御下でケーシング203を回転させる。具体的には、図9に示すように、回転部303は、固定部304と、回転軸305とを含む。固定部304は、出力部201を車両に対して固定するための部材であって、ケーシング203を回転させるための駆動力を発生する駆動装置を内蔵する。
【0041】
回転軸305は、回転部303の上面から垂直に突出する。このような回転軸305の先端は、ケーシング203の底面に固定される。なお、より好ましくは、回転軸305は、車両モデル202の中心軸と一直線上に並ぶようにケーシング203の底面に固定される。ここで、車両モデル202の中心軸とは、車両モデル202の縦中心線及び横中心線の交点から鉛直方向に伸びる線である。また、回転軸305は、上述のモータにより発生された駆動力に従って1軸周り回転し、これによって、出力部201全体が車両モデル202のヨー軸周りに回転する。なお、出力部201の回転範囲は0°から360°と仮定する。
【0042】
以上のような回転部303、つまり出力部201は、図10に示すような状態で、車両に設置される。具体的には、回転部303の固定部304は、車両のダッシュボード上に固定される。このように固定された状態における車両モデル202の中心点をCmとする。ここで、運転者の顔の中心点Cdの空間的な位置を厳密に特定することは難しいが、それを簡素化するために、運転席の前後方向への位置及び背もたれの角度の組毎に、中心点Cdの大まかな空間位置がデータベースとして予め登録しておく。このようなデータベースを参照することで、ある程度の精度で中心点Cdを特定することが可能となる。
【0043】
ここで、以下の説明では、車両モデル202の中心点Cmと中心点Cdとを結ぶ線を基準線Lrefと称する。また、車両モデル202のフロント側が運転者に向いている場合において、車両モデル202の縦中心線が基準線Lrefに平行である時の出力部201の位置を前進時初期位置と称する。また、車両モデル202のリア側が運転者に向いている場合において、車両モデル202の縦中心線が基準線Lrefに平行である時の出力部201の位置を後退時初期位置と称する。
【0044】
次に、図11のフローチャートを参照して、以上のような構成を有する障害物検知装置3の動作について説明する。図11において、信号処理部102は、本障害物検知装置3の起動直後、前進フラグ及び後退フラグのそれぞれを0に設定する(ステップS901)。ここで、前進フラグは、車両が現在前進しているか否かを示し、本実施形態では例示的に、前進フラグとしての0は、車両が現在前進していないことを示し、1は、車両が現在前進していることを示す。後退フラグは、車両が現在後退しているか否かを示し、本実施形態では例示的に、後退フラグの0は、車両が現在後退していないことを示し、1は車両が現在後退していることを示す。
【0045】
信号処理部102は、所定の駆動信号を回転部303に与えることにより、出力部201を前進時初期位置に仮に位置決めする(ステップS902)。なお、本ステップS902において、出力部201は、後退時初期位置に位置決めされても構わない。
【0046】
次に、信号処理部102は、障害物Bの検知処理及び発光素子の発光処理を行う(ステップS903)。本ステップS903の処理については、図7に示すものと同様であるため、その説明を省略する。これによって、障害物Bが車両の周辺に存在する場合には、いずれかの発光素子206が発光する。
【0047】
次に、信号処理部102は、方位検出部301からの検出結果、つまり車両の角速度を時間軸上で積分することにより、車両の相対方位Dirを算出する(ステップS904)。なお、本実施形態では、車両及び車両モデル202を上方向から見て、前進時初期位置から時計回りの方向の方位を正とし、反時計回りの方向の方位を負とする。
【0048】
次に、信号処理部102は、進行方向検出部302の検出結果に基づいて、車両の現在の進行方向を特定する(ステップS905)。
【0049】
次に、信号処理部102は、ステップS905で得られた検出結果から、車両が現在前進しているか否かを判断する(ステップS906)。YESの場合、信号処理部102は、後退フラグを0に更新した後(ステップS907)、前進フラグが1か否かを判断する(ステップS908)。NOと判断した場合、信号処理部102は、直前まで車両が後退していたことになるので、出力部102を前進時初期位置に位置決めし(ステップS909)、その後、前進フラグを1に更新する(ステップS910)。
【0050】
また、ステップS908でYESと判断した場合、車両が継続的に前進していることになるので、ステップS909及びS910をスキップする。
【0051】
ステップS910の後、又はステップS908でYESと判断した場合、信号処理部102は、ステップS904で算出した相対方位Dirだけ正方向に出力部201を回転させるために、駆動信号を回転部303に与える(ステップS911)。
【0052】
また、信号処理部102は、ステップS911の次に、又はステップS906でNOと判断した場合、ステップS905で得られた検出結果から、車両が現在後退しているか否かを判断する(ステップS912)。YESの場合、信号処理部102は、前進フラグを0に更新した後(ステップS913)、後退フラグが1か否かを判断する(ステップS914)。NOと判断した場合、信号処理部102は、直前まで車両が前進していたことになるので、出力部102を後退時初期位置に位置決めし(ステップS915)、その後、後退フラグを1に更新する(ステップS916)。
【0053】
また、ステップS914でYESと判断した場合、車両が継続的に後退していることになるので、ステップS915及びS916をスキップする。
【0054】
ステップS916の後、又はステップS914でYESと判断した場合、信号処理部102は、ステップS904で算出した相対方位Dirだけ負方向に出力部201を回転させるために、駆動信号を回転部303に与える(ステップS917)。
【0055】
以上のステップS917の後、又はステップS912でNOと判断した場合、信号処理部102は、動作終了するか否かを判断して、YESと判断した場合には、図11の処理を終了するが、NOと判断した場合には、ステップS903に戻って、引き続き処理を行う。
【0056】
以上のような処理により、例えば、図12Aに示すように、前進する車両の真正面に子供(つまり、障害物B)が居る場合、車両のフロントバンパの中央に設置された送受信ユニットが反射波を受信することになる。また、この時、車両モデル202は前進時初期位置に位置している。このような場合、信号処理部102は、発光素子アレイ205bにおいて、障害物Bまでの距離に相当する位置に配置された発光素子206を発光させる。
【0057】
また、図12Aの状態で、運転者が車両のステアリングホイールを左回りに操作し、さらに車両が若干前進すると、図12Bに示すように、今度は車両のフロントバンパの右端辺りに設置された送受信ユニットが障害物Bからの反射波を受信することになる。このときさらに、信号処理部102は、方位検出部301で検出された相対方位Dirだけ車両モデル202を負方向に回転させる。また、信号処理部102は、発光素子アレイ205eにおいて、障害物Bまでの距離に相当する位置に配置された発光素子206を発光させる。
【0058】
一方、図12Cに示すように、後退する車両の真後ろに子供(つまり、障害物B)が居る場合、車両のリアバンパの中央に設置された送受信ユニットが反射波を受信することになる。また、この時、車両モデル202は後退時初期位置に位置していると仮定する。このような場合、信号処理部102は、発光素子アレイ205bにおいて、障害物Bまでの距離に相当する位置に配置された発光素子206を発光させる。
【0059】
また、図12Cの状態で、運転者が車両のステアリングホイールを左回りに操作し、さらに車両が若干後退すると、図12Dに示すように、今度は車両のリアバンパの右端辺りに設置された送受信ユニットが障害物Bからの反射波を受信することになる。このときさらに、信号処理部102は、方位検出部301で検出された相対方位Dirだけ車両モデル202を正方向に回転させる。また、信号処理部102は、発光素子アレイ205eにおいて、障害物Bまでの距離に相当する位置に配置された発光素子206を発光させる。
【0060】
以上説明したように、本障害物検知装置3によれば、回転部303により出力部201を回転させることにより、運転者が発光素子の発光を見やすくなるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る障害物検知装置は、設置に関しより高い自由度が得られるという技術的効果を奏する車載用途などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る障害物検知装置1の全体構成を示すブロック図
【図2A】図1に示す送受信部101及び出力部104の設置例を示す模式図
【図2B】図1に示す出力部104の詳細な構成を示す模式図
【図2C】図1に示す障害物検知装置1の出力例を示す模式図
【図3】図1に示す障害物検知装置1の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態に係る障害物検知装置2の全体構成を示すブロック図
【図5】図4に示す出力部201の詳細な構成を示す模式図
【図6】図4に示す障害物検知装置2の出力例を示す模式図
【図7】図4に示す障害物検知装置2の動作を示すフローチャート
【図8】本発明の第3の実施形態に係る障害物検知装置3の全体構成を示すブロック図
【図9】図8に示す回転部303の詳細な構成を示す模式図
【図10】図8に示す回転部303の車両への設置例を示す模式図
【図11】図8に示す障害物検知装置3の動作を示すフローチャート
【図12A】図8に示す障害物検知装置3の第1の出力例を示す模式図
【図12B】図8に示す障害物検知装置3の第2の出力例を示す模式図
【図12C】図8に示す障害物検知装置3の第3の出力例を示す模式図
【図12D】図8に示す障害物検知装置3の第4の出力例を示す模式図
【符号の説明】
【0063】
1,2,3 障害物検知装置
101 送受信部
102 信号処理部
103 制御部
104,201 出力部
105,202 車両モデル
203 ケーシング
106,204 発光部
205 発光素子アレイ
206 発光素子
301 方位検出部
302 進行方向検出部
303 回転部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲に存在しうる障害物を検知する障害物検知装置であって、
車体表面に取り付けられており、自らが放射した放射波の反射波を受信可能な送受信部と、
前記送受信部により放射波が放射された第1の時刻と、反射波が受信された第2の時刻とに基づいて、前記障害物の存在を少なくとも検出する信号処理部と、
前記信号処理部の検出結果に基づいて、前記車両の周囲に障害物が存在することを出力する出力部とを備え、
前記出力部は、
前記車両をスケールダウンした車両モデルと、
前記車両モデルにおいて、前記送受信部の取り付け位置に相当する箇所に取り付けられており、前記信号処理部による検出結果に基づいて発光する発光素子を有する発光部とを含む、障害物検知装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記送受信部の取り付け位置を基準として、前記車両モデルの周囲へと向かって配列される複数の発光素子からなる発光素子アレイを有しており、
前記信号処理部はさらに、前記障害物までの距離を算出し、算出した距離に基づいて、前記発光素子アレイを構成するいずれかの発光素子に第1の駆動信号を与え、
前記発光素子は、前記信号処理部から第1の駆動信号が与えられると発光する、請求項1に記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記障害物検知装置はさらに、
前記車両の現在の方位を検出する方位検出部と、
前記車両が現在前進しているか後退しているかを検出する進行方向検出部と、
前記車両モデルを回転させる回転部とを備え、
前記信号処理部は、前記送受信部が反射波を受信した場合、前記前記方位検出部及び進行方向検出部の検出結果に基づいて、前記車両モデルの回転量を算出して、前記回転部に第2の駆動信号を与え、
前記回転部は、前記信号処理部から第2の駆動信号が与えられると、算出された回転量だけ回転する、請求項1又は2に記載の障害物検知装置。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【公開番号】特開2006−1469(P2006−1469A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181418(P2004−181418)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】