説明

障害監視判定装置、障害監視判定方法、及びプログラム

【課題】信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害部位等を特定する。
【解決手段】障害監視判定装置において、複数のレーン集合体のうちの1つのレーン集合体である検知レーン集合体におけるレーン単位の障害情報を取得する障害情報取得手段と、前記検知レーン集合体の各レーンと、他の各レーン集合体の各レーンとを対応付けた対応情報を格納する対応情報格納手段と、前記障害情報取得手段により取得された前記障害情報と、前記対応情報格納手段に格納された対応情報とに基づき、前記障害情報を取得した前記検知レーン集合体のレーンに対応する他のレーン集合体のレーンの障害判定を行い、当該障害判定の結果に基づいて、障害が発生した部位を判定する障害判定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送路監視技術に関するものであり、特に、40/100Gbpsイーサネット(「イーサネット」は登録商標)のようにマルチレーン分配技術を用いた伝送方式を実装した通信システムの障害部位等を特定するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
40Gbpsおよび100Gbpsイーサネット(40/100GbEなどと表記する)がIEEE802.3baとして標準化されている。IEEE802.3baにて標準化された40/100GbEでは、イーサネット信号(以下、ETH信号などと表記する)を複数のビットストリームに分けてマルチレーン分配(MLD:Multi−Lane Distribution)を行うとともに、波長多重方式により信号伝送を行う。また、複数の光ファイバに分けて信号伝送を行う方式もある。以下では、一例として、波長多重方式を用いる場合について説明する。
【0003】
図1を参照して、例として100GbEの伝送方式を説明する。送信側では、ETH信号を、64/66B符号化で66ビット毎のブロックにして20レーンに振り分ける。このレーンはPCS(Physical Coding Sublayer)レーンと呼ばれる。なお、40GbEの場合は、4つのPCSレーンに振り分けられる。その後、ビット多重(2bit−MUX)を行う。ここまでの処理はMACチップを含むラインカードで行われる。
【0004】
その後、ラインカードとPluggable光モジュール(以下、"光モジュール"と呼ぶ)とのインタフェースであるCAUI(40GbEではXLAUI)を介して、信号がラインカードから光モジュールに送られ、光モジュールにてビット多重を行い、4つの波長を多重して光ファイバで信号伝送を行う。受信側では、送信側と逆の処理が行われて、ETH信号が生成される。ここで、各PCSレーンの各波長λへの収容(マッピング)は任意に設定可能である。
【0005】
上記のような複数レーンに分配する並列伝送では、伝送中にブロックの位置がずれてしまうスキュー(Skew)が発生する。そこで、40/100GbEでは、図1及び図2に示すように、送信側でアラインメントマーカー(AM:Alignment Marker)を一定間隔で各PCSレーンに対して挿入し、受信側で各PCSレーンのスキューを調整している。
【0006】
また、PCSレイヤでは、レーン単位の障害検出およびAMによるレーン単位のBIP(bit interleaved parity)エラー検出、レーン間Skew調整エラーの監視が可能である。なお、レーン間Skew調整の状態はPCS同期状態とも呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-018159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、40/100GbEに実装されるPCSレイヤ監視機能では、レーン単位の障害検出およびレーン間Skew調整エラーは検出可能である。しかしながら、このPCSレイヤ監視機能では、各PCSレーンの障害有無等を判定することができるものの、例えば、その障害は、伝送路障害に起因するのか、それとも波長λの障害に起因するのかなどを特定できない。すなわち、検出された障害が、ラインカード障害、光モジュール障害、伝送路障害のどれかを特定できない。このように、従来のPCSレイヤ監視機能では、PCSレイヤ以外の障害検出を行うことができないので、40/100GbEを実装する通信システムにおける障害部位や障害状態を特定することはできない。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害部位や障害状態を特定するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害状態を判定するための障害監視判定装置であって、
前記複数のレーン集合体のうちの1つのレーン集合体である検知レーン集合体におけるレーン単位の障害情報を取得する障害情報取得手段と、
前記検知レーン集合体の各レーンと、他の各レーン集合体の各レーンとを対応付けた対応情報を格納する対応情報格納手段と、
前記障害情報取得手段により取得された前記障害情報と、前記対応情報格納手段に格納された対応情報とに基づき、前記障害情報を取得した前記検知レーン集合体のレーンに対応する他のレーン集合体のレーンの障害判定を行い、当該障害判定の結果に基づいて、障害が発生した部位を判定する障害判定手段とを備えたことを特徴とする障害監視判定装置として構成される。
【0011】
前記障害監視判定装置において、前記障害情報取得手段は、前記障害情報の1つとして伝送品質情報を前記検知レーン集合体におけるレーン単位に取得し、前記障害判定手段は、前記検知レーン集合体における各レーンの伝送品質情報を用いて、他の各レーン集合体の各レーンの伝送品質情報を算出し、当該算出した伝送品質情報に基づいて、他の各レーン集合体の各レーンの伝送品質劣化有無を判定することにより前記障害判定を行うこととしてもよい。
【0012】
前記障害監視判定装置において、前記階層的に接続された複数のレーン集合体は、上位の階層から順番に、前記検知レーン集合体、及び最下位のレーン集合体を少なくとも含み、前記障害判定手段は、前記最下位のレーン集合体から上位の階層のレーン集合体に向けて順番に各レーン集合体の各レーンの前記障害判定の結果を確認し、最初に障害有りと確認された階層のレーン集合体の該当レーンを障害部位と判定することとしてもよい。前記障害判定手段は、前記障害部位と判定されたレーンにおける障害情報に伝送品質劣化有の情報が含まれるとともに、当該障害情報に、警報による障害が発生したことを示す情報が含まれない場合に、当該障害部位の障害状態を伝送品質劣化であると判定することとしてもよい。
【0013】
また、本発明は、信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害状態を判定するための障害監視判定装置が実行する障害監視判定方法であって、
前記障害監視判定装置は、前記複数のレーン集合体のうちの1つのレーン集合体である検知レーン集合体の各レーンと、他の各レーン集合体の各レーンとを対応付けた対応情報を格納する対応情報格納手段を備えており、
前記検知レーン集合体におけるレーン単位の障害情報を取得する障害情報取得ステップと、
前記障害情報取得ステップにより取得された前記障害情報と、前記対応情報格納手段に格納された対応情報とに基づき、前記障害情報を取得した前記検知レーン集合体のレーンに対応する他のレーン集合体のレーンの障害判定を行い、当該障害判定の結果に基づいて、障害が発生した部位を判定する障害判定ステップとを備えたことを特徴とする障害監視判定方法として構成することもできる。
【0014】
また、本発明は、コンピュータを、前記障害監視判定装置の各手段として機能させるためのプログラムとして構成することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害部位や障害状態を特定するための技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】100GbEの伝送方式を説明するための図である。
【図2】アラインメントマーカーによるスキュー調整を説明するための図である。
【図3】100GbE−LR4/ER4の階層構成を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る障害監視判定装置の機能構成図である。
【図5】処理手順例1を説明するためのフローチャートである。
【図6】処理手順例1を説明するための図である。
【図7】処理手順例2を説明するための図である。
【図8】処理手順例3を説明するための図である。
【図9】処理手順例4を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態では、一例として100GbEを対象としているが、本発明は100GbEに限定されない。100GbEと同様に標準化された40GbEに適用できることはもちろん、これら以外でも、40/100GbEと同様に、光ファイバ等の物理媒体よりも上位の階層でマルチレーン分配を行って信号伝送を行う方式であれば本発明を適用できる。
【0018】
図3に、一例として、本実施の形態で用いる100GbE−LR4/ER4の階層構成を示す。この図は、実質的に図1と同様の図であるが、階層構造をより分かりやすく示した図である。図3に示すように、PCSレイヤにてイーサネット信号が20レーンに分配され、PMA(Physical Medium Attachment)レイヤにおいて、CAUIインタフェースとの接続のための20レーンから10レーンへのビット多重化、及び、PHY(物理)レイヤとの接続のための10レーンから4レーンへのビット多重化が行われ、PHY(物理)レイヤにて、上記4つのレーンに対応する4つの波長が多重されSMF(シングルモード光ファイバ)にて伝送される。
【0019】
100GbEを実装する通信装置は、ラインカードと光モジュールを備え、上記の処理のうち、20レーンへの分配及び20レーンから10レーンへのビット多重化がラインカードにより処理され、10レーンから4レーンへのビット多重化及び波長多重光伝送が光モジュールにより処理される。ラインカードと光モジュールとの間の電気インタフェースがCAUIである。
【0020】
なお、"レーン"とは、信号が流れる通路のことであるが、当該通路は論理的な通路もしくは物理的な通路のいずれかに限定されない。また、検知レーンとは障害情報を検知するレーンであり、本実施の形態では、PCSレーンの障害情報を検知し、当該障害情報を用いて障害部位等の判定を行っているので、PCSレーンを検知レーンとも呼ぶ。なお、PCSレーンを検知レーンとすることは一例に過ぎない。
【0021】
また、PCS、CAUI等のインタフェース、波長λ、伝送路は、それぞれ1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体であり、これらレーン集合体は、PCSレーンから伝送路に向けて、上位の階層から下位の階層に順番で接続されている。
【0022】
また、本実施の形態において、「障害」の意味は、伝送品質劣化と、警報により検知される障害(警報障害と呼ぶ)を含むものとする。
【0023】
(装置構成)
図4に本実施の形態に係る障害監視判定装置100の機能構成図を示す。図4に示すように、障害監視判定装置100は、100GbEの通信機能を備えた通信装置200から後述する各種の情報を取得可能なように通信装置200と接続、もしくは通信装置200に内蔵される。すなわち、障害監視判定装置100は、通信装置200とネットワークを介して接続されたNWオペレーション装置として実現してもよいし、通信装置200の中の一機能部として実現してもよい。
【0024】
本実施の形態における通信装置200は、PCSレーン単位のBIPエラー数をカウントする機能、各波長の光パワーレベルを測定する機能、PCSレーン単位のPCSレイヤの障害発生状態を把握する機能を少なくとも備えている。また、通信装置200はラインカード、光モジュールを備え、光モジュールにて伝送路(光ファイバ)と接続し、信号送受信を行う。ここで、通信装置200と伝送路を含む構成を通信システムと呼ぶ。
【0025】
図4に示すように、障害監視判定装置100は、NW品質ポリシー入力部1、測定間隔入力部2、PCSレーンポジション管理テーブル3、BIPエラー数管理部4、障害発生状態管理部5、伝送路品質劣化カウンタ閾値算出部6、エラー判定部7、障害発生状態判定部8、警報通知処理部9、冗長化管理部への実行指示部10、伝送品質状態表示部11を備える。なお、障害監視判定装置100が通信装置200の中に実装される形態では、警報通知処理部9、冗長化管理部への実行指示部10、伝送品質状態表示部11のいずれか又は全部を障害監視判定装置100(通信装置200)に備えず、オペレーションシステム側に備えることとしてもよい。
【0026】
NW品質ポリシー入力部1は、障害判定の基準となるNW品質ポリシーを入力するための機能部である。本実施の形態でのNW品質ポリシーは、予め定めた測定間隔(判定時間)におけるエラー数等の測定値に異常があるかどうかを判定するための閾値である。
【0027】
測定間隔入力部2は、測定間隔、すなわち伝送品質劣化や警報障害を測定する時間間隔を入力するための機能部である。例えば、測定間隔を10msとした場合、10ms毎のエラー数(10ms間に発生したエラー数)や光パワーレベルが取得される。なお、時間間隔と判定精度は関数の関係にある。
【0028】
PCSレーンポジション管理テーブル3は、監視対象の通信装置200において設定されているPCSレーンポジションを格納するテーブル(データベース)である。当該テーブルには、波長λ、CAUIインタフェース、PCSレーンの関係が保持される。
【0029】
BIPエラー数管理部4は、通信装置200からPCSレーン単位のBIPエラー数カウンタ値を取得することにより、PCSレーン単位の測定間隔時間あたりのエラー数を算出してメモリ等の記憶手段に保持する機能部である。なお、測定間隔時間あたりのエラー数を取得するために、例えば、通信装置200に対してカウンタ値取得時にカウンタリセットを行うこととして、測定間隔時間毎に通信装置200からカウンタ値を取得してもよいし、前回取得時のカウンタ値を保持し、測定間隔時間後に取得した今回の取得値との差分を計算することとしてもよい。また、通信装置200が、リードクリア方式カウンタを具備した装置であってもよい。
【0030】
障害発生状態管理部5は、通信装置200からPCSレーン単位の警報障害発生状態、及び各波長の光パワーレベルを定期的に取得して記憶手段に保持する機能部である。測定間隔で発生した障害情報を取得するために、例えば、通信装置200に対して情報取得時にラッチした障害発生情報をクリアする機能を備える。通信装置200が、リードクリア方式のラッチ情報を具備した装置であってもよい。また、障害発生状態管理部5はPCS同期状態を通信装置200から取得して保持してもよい。
【0031】
伝送路品質劣化カウンタ閾値算出部6は、伝送品質劣化と判定されるPCSレーン単位の閾値(エラー数)を算出する機能部である。
【0032】
エラー判定部7は、4レイヤ(PCSレイヤ、CAUIレイヤ、波長λレイヤ、伝送路レイヤ)の障害判定を行う。すなわち、エラー判定部7は、PCSn(100GbEであればn=0〜19、40GbEであればn=0〜3)単位の「伝送品質劣化有無」および「警報障害有無」を判定し、判定結果をPCSn単位に管理保持するとともに、PCSn単位の判定結果(BIPエラー及び警報)及び波長λレイヤの光パワーレベルを用いて、CAUIレイヤ、波長λレイヤ、伝送路レイヤの「伝送品質劣化有無」および「警報障害有無」を判定する。ただし、本発明に係る技術においては、波長λレイヤの光パワーレベルを用いることは必須ではない。
【0033】
障害発生状態判定部8は、エラー判定部7の判定結果を用いて、障害部位及び障害状態を判定する機能部である。障害発生状態判定部8による処理の詳細は後述する。
【0034】
警報通知処理部9は、障害発生状態判定部8により判定された障害部位と障害状態を警報としてオペレータ等に通知する機能部である。
【0035】
冗長化管理部への実行指示部10は、障害部位と障害状態に応じて、通信装置200が備えるLAG等の冗長化管理部に対して、「ACT/SBY選択系切替」および「LAGメンバダウン処理」の実行を指示する機能部である。
【0036】
伝送品質状態表示部11は、オペレータからの伝送品質に関する情報取得依頼に対して応答表示する機能部である。また、伝送品質状態表示部11は、伝送品質以外の障害情報を表示することもできる。
【0037】
上記障害監視判定装置100における機能部の区分は一例にすぎない。全体として同じ機能を発揮できるのであれば、他の機能構成としてもよい。例えば、障害監視判定装置100は、信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害状態を判定するための障害監視判定装置であって、前記複数のレーン集合体のうちの1つのレーン集合体である検知レーン集合体におけるレーン単位の障害情報を取得する障害情報取得手段(BIPエラー数管理部4、障害発生状態管理部5に対応)と、前記検知レーン集合体の各レーンと、他の各レーン集合体の各レーンとを対応付けた対応情報を格納する対応情報格納手段(テーブルを格納するメモリ等)と、前記障害情報取得手段により取得された前記障害情報と、前記対応情報格納手段に格納された対応情報とに基づき、前記障害情報を取得した前記検知レーン集合体のレーンに対応する他のレーン集合体のレーンの障害判定を行い、当該障害判定の結果に基づいて、障害が発生した部位を判定する障害判定手段(エラー判定部7、障害発生状態判定部8に対応)とを備えて構成することができる。
【0038】
障害監視判定装置100は、コンピュータ(CPU、メモリ等を含む構成を有する通信装置200を含む)に、障害監視判定装置100の各機能の処理に対応するプログラムを実行させることにより実現できる。当該プログラムは可搬メモリ等の記録媒体からコンピュータにインストールすることとしてもよいし、ネットワーク上のサーバからダウンロードすることとしてもよい。また、障害監視判定装置100の各機能部をハードウェア回路で実装することも可能である。
【0039】
以下、障害監視判定装置が実行する処理手順の各例を説明する。
【0040】
(処理手順例1)
まず、処理手順例1として、波長λのみに障害が発生した時の障害判定に係る処理手順例を図5のフローチャートに示す手順に沿って説明する。なお、前述したように、「障害」は「伝送品質劣化」および「警報障害」を包含する意味を有する。
【0041】
また、処理手順例1の説明では図6も参照する。図6は、処理手順例1における収容状態、収集される情報、判定結果等をまとめて示した図である。本実施の形態では、図6に示す情報は、障害監視判定装置100が処理を行うにあたっての処理情報を順次格納するメモリの内容を示すテーブル情報であるものとする。他の処理手順例でも同様である。また、図6に示すテーブル情報は、PCSレーンポジション管理テーブルに、取得した情報や判定結果を追加したテーブル情報としてもよい。ただし、障害監視判定装置100が実行する処理において、図6に示すテーブル情報を用いることは一例に過ぎない。図6に示すテーブル情報に相当するデータ間の関連付けを行うことができれば、図6のようなテーブル情報を用いないで処理を行うこともできる。以下、処理手順例1を説明する。
【0042】
ステップ101)NW品質ポリシー入力部1により、NW品質ポリシーに関するパラメータを入力する。本実施の形態では、伝送品質(本例では、伝送したビット数のうち何ビットの誤りが発生したかを示すビット誤り率)の劣化判定閾値「1.0E−6」と、波長単位パワーレベルの低下判定閾値「−6.0dBm」を入力する。なお、本実施の形態で示される具体的数値は一例に過ぎない。
【0043】
ステップ102)測定間隔入力部2により、障害発生状態の測定間隔を入力する。本実施の形態では、一例として測定時間を「10ms」とする。
【0044】
ステップ103)PCSレーンポジション管理テーブル3に波長λ、CAUIレーン、及びPCSレーンの関係を示すポジション情報を入力する。ここでの入力は、オペレータが行ってもよいし、上位OpSもしくは通信装置200から自動取得することとしてもよい。
【0045】
PCSレーンポジション情報から、CAUI(40GであればXLAUI)レーンメンバとPCSレーン番号との関係、λレーンメンバとPCSレーン番号との関係を示す情報が得られ、PCSレーンポジション管理テーブル3に格納される。
【0046】
上記関係を示す情報は、図6のテーブルに保持され、図6におけるPCSn(PCSレーン番号)と収容状態(CAUIn、λp)の情報に相当する。この情報は、例えば、波長λにCAUIとCAUIが収容され、CAUIにPCSとPCSが収容され、CAUIにPCSとPCSが収容されていることを示している。なお、図6におけるPCS〜PCS19として示されるPCSレーン集合体が本実施形態における検知レーン集合体である。
【0047】
ステップ104)BIPエラー数管理部4が、測定間隔入力部2で入力された測定間隔に基づき、通信装置200からPCSレーン単位のBIPエラー数カウンタ値を測定間隔毎に取得し、図6のテーブルにおける「BIPエラー数」の該当PCSレーンの欄に記録する。つまり、この欄に記録された情報は、測定間隔毎に更新される。測定間隔に取得する他の情報についても同様である。
【0048】
ステップ105)障害発生状態管理部5が、測定間隔入力部2で入力された測定間隔に基づき、通信装置200から「PCSレーン単位の警報障害情報」、「波長λ単位のパワーレベル」を測定間隔毎に取得し、それぞれ図6のテーブルにおけるPCS故障およびλパワーレベルの該当欄に記録する。なお、本例では、「PCS同期状態」も取得し、記録している。
【0049】
ステップ106)伝送路品質劣化カウンタ閾値算出部6が、NW品質ポリシー入力部1により入力された品質ポリシーと測定間隔入力部2から入力された測定間隔とから、PCSレーン単位で伝送品質劣化と判定するエラー数を算出し、エラー判定部7に入力する。ここでは、品質ポリシー=1.0E−6、測定間隔=10msに基づいて、1PCSレーンあたりの伝送品質劣化と判定するエラー数を算出する。本例では、全てのPCSレーン(つまり光ファイバー)あたり200個と算出され、1PCSレーンあたりでは10個となる。
【0050】
ステップ107)エラー判定部7が、ステップ106までに取得した情報をもとに、以下の手順例に従って各レイヤ(図6ではA〜Bで示す)の障害判定を実施する。
【0051】
ステップ107−1)PCSレイヤの障害判定
PCSn単位に、障害有無を記録する。また、BIPエラー数に従った伝送路廃棄率を記録してもよい。例えば、図6における障害判定のPCSnのPCSに対応する欄に、BIPエラー数に従ったエラー率として1.1E−6が記録されるとともに、BIPエラー数11は、NW品質ポリシーに基づく閾値「10」を超えているので、障害有り(具体的には伝送品質劣化有り)を示す×が記録される。なお、図6〜図8において、○の欄は、障害無し、すなわち伝送品質劣化及び警報障害のいずれも無しであることを意味する。また、伝送品質劣化無し、及び警報障害有りの判定結果が得られた場合は、障害有りを意味する×とその原因である"警報有り"が記録される。つまり、各欄には、障害の有無を示す○/×と、×の場合にその要因(伝送品質劣化を示すエラー率、警報有り)が記録される。
【0052】
ステップ107−2)CAUI/XLAUIレイヤの障害判定
検知レーン集合体であるPCS〜PCS19のうち、CAUI/XLAUI(本実施の形態ではCAUI)の各レーンに包含されるPCSnを対象とし、当該対象となるPCSn単位の警報障害有無のAND条件から判定した警報障害有無を決定するとともに、対象のPCSnのBIPエラー数合算に従ったエラー率及び伝送品質劣化の判定を行う。例えば、図6における障害判定のCAUInのCAUIに対応する欄に関して、CAUIのレーンに包含されるPCSとPCSの警報障害有無について両方とも警報無しであるから、CAUIについては警報無しとなる。また、BIPエラー数の合計は22個であり、CAUIについてはPCSレーンの2倍の伝送速度になるので、エラー率は1.1E−6となり、1.1E−6はNW品質ポリシーを満たさないので、障害有り(具体的には伝送品質劣化有り)で×となる。なお、仮に、PCSが警報無しで、PCSが警報有りの場合、CAUIについては警報無しとなる。CAUIについて障害があるとすれば、包含される全てのPCSで障害が検出されると考えられるからである。つまり、PCSとPCSの両方が警報無有りの場合、CAUIについては警報有りとなる。
【0053】
ステップ107−3)波長λレイヤの障害判定
波長λの各レーンに包含されるPCSnを対象とし、当該対象となるPCSn単位の警報障害有無のAND条件から判定した警報障害有無を決定するとともに、対象のPCSnのBIPエラー数合算に従ったエラー率及び伝送品質劣化の判定を行う。例えば、図6における障害判定の波長λに対応する欄に関して、包含されるPCS〜PCSの警報障害有無について全部警報なしであるから、波長λについては警報障害無しとなる。また、包含されるPCS〜PCSのBIPエラー数の合計は56個であり、波長λについてはPCSレーンの5倍の伝送速度になるので、エラー率は1.1E−6となり、この1.1E−6はNW品質ポリシーを満たさないので、障害有り(具体的には伝送品質劣化有り)で×となる。なお、仮に、対象のPCS〜PCSのうち1つだけが警報障害なしで、他が警報障害有りである場合でも、波長λについては警報障害無しとする。波長λについて障害があるとすれば、包含される全てのPCSで警報障害が検出されると考えられるからである。
【0054】
ステップ107−4)伝送路の障害判定
次に、伝送路単位の障害情報として、伝送路(本実施の形態では1レーン)に包含されるPCSnを対象とし、当該対象となるPCSn単位の警報障害有無のAND条件から判定した警報障害有無を決定するとともに、対象のPCSnのBIPエラー数合算に従ったエラー率及び伝送品質劣化の判定を行う。これらの判定による障害判定結果記録方法は、これまでの説明と同様である。ただし、対象が全PCSレーンとなる。本例では、伝送路について警報障害なしで、かつ伝送品質劣化なし(エラー率は0.28E−6)と判定されるから、図6に示すとおり障害無しで○が記録される。
【0055】
ステップ108)次に、ステップ107で記録された情報に基づいて、障害発生状態判定部8が障害部位及び障害状態の判定を行う。ここで、本実施の形態において、障害部位とは、伝送路、特定の波長、特定のCAUI、特定のPCS等のことである。これらが特定できれば、物理的な故障の場所(ラインカード、光モジュール等)を推定できる。また、障害状態は、伝送品質劣化有無(エラー率を含む)、警報障害有無である。
【0056】
ここでは、A(PCS)<B(CAUI)<C(波長)<D(伝送路)の優先判定を実施し、C:波長λに障害有りと判定する。すなわち、大きな単位の部位(伝送路等)に障害があればその配下に収容される全ての部位が影響を受けるから、本実施の形態では、障害発生状態判定部8は、最も大きな単位(最下位の階層)である伝送路から、波長、CAUI、PCSの順番に障害有無(伝送品質劣化もしくは警報障害の有無)をチェックし、障害が最初に検出された階層の該当部位に障害有りと判定する。本例では、伝送路に障害はなく、波長のレイヤでは波長λのみにて障害(伝送品質劣化)が検出されるので、波長λに障害有りと判定する。また、波長λ以外の各波長に包含されるCAUIとPCSも障害有無チェックされ、障害がないので、上記のように波長λが障害部位として特定される。
【0057】
また、波長λには警報障害はないから、障害発生状態は、伝送品質劣化(1.1E−6)と特定できる。また、図3を用いて説明したように、波長λに障害有りと判定された場合、物理的な故障部位として、光モジュールもしくは伝送路(光ファイバ)を特定できるので、光モジュールもしくは伝送路に障害がある旨の情報を記録し、後述する通知情報に含めてもよい。
【0058】
ステップ109)障害発生状態判定部8は、ステップ108での判定結果である波長λにて伝送品質劣化が発生したことを示す情報(1.1E−6を含めてよい)を警報通知処理部9、冗長化処理部への実行指示部10、及び伝送品質状態表示部11に通知する。
【0059】
ステップ110)判定結果を受信した警報通知処理部9が警報通知を行い、冗長化処理部への実行指示部10がLAG冗長管理部に対して切替通知を指示する。
【0060】
また、伝送品質状態表示部11は、波長λにて伝送品質劣化が発生したことを示す情報を表示する。なお、伝送品質状態表示部11は、以下の情報を表示可能である。
【0061】
・PCSn単位の伝送品質および障害発生状況
・CAUIm単位(40Gの場合はXLAUI単位)の伝送品質および障害発生状況
・波長λp単位の伝送品質および障害発生状況
・伝送路品質
また、伝送品質状態表示部11は、障害判定に至らないケースにおいても上記の情報を表示することができる。表示のための情報は図6のテーブルから読み出され、障害発生状態判定部8から通知される。
【0062】
上記の例の他、例えば、伝送路と各波長に障害がなく、特定のCAUIで障害が有りと判定された場合、ラインカードと光モジュールのいずれか又は両方に故障があると推定できる。
【0063】
なお、上記の例における自動障害判定ロジックでは、PCS同期状態とλパワーレベルは使用していない。これらは、例えば、伝送品質状態表示部11からオペレータに表示され、オペレータは、自動判定結果に加えてPCS同期状態やλパワーレベルの情報により障害の原因を分析できる。また、PCS同期状態とλパワーレベルのいずれか又は両方を自動障害判定の中で用いてもよい。例えば、障害発生状態判定部8は、上述した手順で障害部位と障害状態の判定を行った後に、テーブルでPCS同期状態のOK/NGを確認する。そして、上述した手順での障害部位と障害状態の判定で障害が全くないと判定された場合であって、PCS同期状態がNGである場合には、障害部位としてPCSレイヤ、障害状態としてスキュー調整異常を示す情報を警報通知処理部9、冗長化処理部への実行指示部10、及び伝送品質状態表示部11に通知する。λパワーレベルを用いる例については後述する処理手順例4で説明する。
【0064】
(処理手順例2)
次に、処理手順例2として、特定のPCSであるPCSのみに障害が発生した時の障害判定に係る処理手順を図7に基づいて説明する。なお、基本的な処理手順は、図5にフローチャートで示した処理手順例1と同じであるので、以下では、処理手順例1と異なる点を中心に説明する。
【0065】
ステップ201〜207)処理手順例1のステップ101〜107(ポリシー入力から各レイヤの障害判定まで)と同じである。ただし、処理手順例2では、図7に示すとおりの測定結果及び判定結果が得られている。すなわち、処理手順例2では、PCSレーンの障害判定において、PCSのみに障害有り(警報有り)との結果が得られている。
【0066】
ステップ208)ステップ207で記録された情報に基づいて、障害発生状態判定部8が障害部位及び状態の判定を行う。
【0067】
ここでもA<B<C<Dの優先判定を実施し、A:PCSに障害有りと判定する。また、障害状態については、PCSに警報障害があるので、PCSの警報障害発生と判定する。なお、図3から、特定のPCSレーンに障害が発生した場合は、ラインカードに故障があると推定できるので、通知情報の中に、障害部位として"ラインカード"を含めてもよい。
【0068】
ステップ209)障害発生状態判定部8は、ステップ208での判定結果であるPCSにて障害が発生したことを示す情報("ラインカード障害"を含めてよい)を警報通知処理部9、冗長化処理部への実行指示部10、及び伝送品質状態表示部11に通知する。
【0069】
ステップ210)ステップ110と同様に、判定結果を受信した警報通知処理部9が警報通知を行い、冗長化処理部への実行指示部10がLAG冗長管理部に対して切替通知を指示する。また、伝送品質状態表示部11は、PCSにて障害が発生したことを示す情報を表示する。
【0070】
(処理手順例3)
次に、処理手順例3として、伝送路の品質が劣化したと推定される事象が発生した時の判定に係る処理手順を図8に基づいて説明する。基本的な処理手順は、図5にフローチャートで示した処理手順例1と同じであるので、以下では、処理手順例1と異なる点を中心に説明する。
【0071】
ステップ301〜307)処理手順例1のステップ101〜107(ポリシー入力から各レイヤの障害判定まで)と同じである。ただし、処理手順例3では、図8に示すとおりの測定結果及び判定結果が得られている。すなわち、処理手順例3は、処理手順例1と同様に波長λに包含される各PCSnで伝送品質劣化の判定結果が得られていることに加えて、PCSやCAUIに包含される各PCSnで伝送品質劣化の判定結果が得られている。
【0072】
ステップ308)ステップ207で記録された情報に基づいて、障害発生状態判定部8が障害部位及び状態の判定を行う。
【0073】
ここでも、A<B<C<Dの優先判定を実施する。処理手順例3では、まず、処理手順例1と同様に、波長λに伝送品質劣化があると判定されるが、波長λに包含されるPCS、及び波長λに包含されるCAUIにも伝送品質劣化があると判定される。この場合、一例として、障害発生状態判定部8は、判定で得られたそれぞれの部位と状態を障害部位及び障害状態としてこれまでの例と同様に通知してもよい。
【0074】
ただし、複数の障害部位が検出される場合、特定の部位を決定できないので、本例においては障害部位及び障害状態を"不明"と判定する。
【0075】
ステップ309)障害発生状態判定部8は、ステップ308での判定結果である障害部位及び障害状態がともに不明であることを示す情報を伝送品質状態表示部11に通知する。このとき、障害部位及び障害状態がともに不明であることを示す情報に加えて、図8の障害判定結果の情報も通知する。
【0076】
ステップ310)判定結果を受信した伝送品質状態表示部11は、障害発生状態判定部8から通知された情報を表示する。オペレータは、例えば、複数PCSnに対してランダムエラーが発生していると認識し、伝送路障害が発生していると判断し、必要な措置を行う。
【0077】
(処理手順例4)
次に、処理手順例4として、波長λのパワーレベルの劣化が発生した時の障害判定に係る処理手順を図9に基づいて説明する。なお、基本的な処理手順は、図5にフローチャートで示した処理手順例1と同じであるので、以下では、処理手順例1と異なる点を中心に説明する。
【0078】
ステップ401〜407)処理手順例1のステップ101〜107(ポリシー入力から各レイヤの障害判定まで)と同じである。ただし、処理手順例4では、図9に示すとおりの測定結果及び判定結果が得られている。すなわち、処理手順例4では、PCSレーンの障害判定において、PCS〜PCSに障害有り(警報有り)との結果が得られている。
【0079】
ステップ408)ステップ407で記録された情報に基づいて、障害発生状態判定部8が障害部位及び状態の判定を行う。
【0080】
ここでもA<B<C<Dの優先判定を実施し、C:波長λに障害有りと判定する。また、障害状態については、波長λの警報障害発生と判定する。処理手順例4では、障害発生状態判定部8は、波長λに障害があると判定した場合に、更に、当該波長λについてのパワーレベルの低下判定を行うこととしている。すなわち、本例では、波長λのパワーレベルは低下判定閾値に達していないから、障害状態として、波長λのパワーレベル低下が発生したと判定する。この場合、障害部位は、光モジュールもしくは中継装置であると推定できるので、通知情報の中に、障害部位として"光モジュールもしくは中継装置"を含めてもよい。
【0081】
ステップ409)障害発生状態判定部8は、ステップ408での判定結果である波長λにてパワーレベル低下の障害が発生したことを示す情報を警報通知処理部9、冗長化処理部への実行指示部10、及び伝送品質状態表示部11に通知する。
【0082】
ステップ410)ステップ110と同様に、判定結果を受信した警報通知処理部9が警報通知を行い、冗長化処理部への実行指示部10がLAG冗長管理部に対して切替通知を指示する。また、伝送品質状態表示部11は、波長λにてパワーレベル低下の障害が発生したことを示す情報を表示する。
【0083】
上記のように、本発明の実施の形態によれば、信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおいて、特定のレイヤ(本実施形態ではPCSレイヤ)の監視機能を用いるだけで障害部位や障害状態を特定することが可能となる。
【0084】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 障害監視判定装置
200 通信装置
1 NW品質ポリシー入力部
2 測定間隔入力部
3 PCSレーンポジション管理テーブル
4 BIPエラー数管理部
5 障害発生状態管理部
6 伝送路品質劣化カウンタ閾値算出部
7 エラー判定部
8 障害発生状態判定部
9 警報通知処理部
10 冗長化管理部への実行指示部
11 伝送品質状態表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害状態を判定するための障害監視判定装置であって、
前記複数のレーン集合体のうちの1つのレーン集合体である検知レーン集合体におけるレーン単位の障害情報を取得する障害情報取得手段と、
前記検知レーン集合体の各レーンと、他の各レーン集合体の各レーンとを対応付けた対応情報を格納する対応情報格納手段と、
前記障害情報取得手段により取得された前記障害情報と、前記対応情報格納手段に格納された対応情報とに基づき、前記障害情報を取得した前記検知レーン集合体のレーンに対応する他のレーン集合体のレーンの障害判定を行い、当該障害判定の結果に基づいて、障害が発生した部位を判定する障害判定手段と
を備えたことを特徴とする障害監視判定装置。
【請求項2】
前記障害情報取得手段は、前記障害情報の1つとして伝送品質情報を前記検知レーン集合体におけるレーン単位に取得し、
前記障害判定手段は、前記検知レーン集合体における各レーンの伝送品質情報を用いて、他の各レーン集合体の各レーンの伝送品質情報を算出し、当該算出した伝送品質情報に基づいて、他の各レーン集合体の各レーンの伝送品質劣化有無を判定することにより前記障害判定を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の障害監視判定装置。
【請求項3】
前記階層的に接続された複数のレーン集合体は、上位の階層から順番に、前記検知レーン集合体、及び最下位のレーン集合体を少なくとも含み、
前記障害判定手段は、前記最下位のレーン集合体から上位の階層のレーン集合体に向けて順番に各レーン集合体の各レーンの前記障害判定の結果を確認し、最初に障害有りと確認された階層のレーン集合体の該当レーンを障害部位と判定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の障害監視判定装置。
【請求項4】
前記障害判定手段は、前記障害部位と判定されたレーンにおける障害情報に伝送品質劣化有の情報が含まれるとともに、当該障害情報に、警報による障害が発生したことを示す情報が含まれない場合に、当該障害部位の障害状態を伝送品質劣化であると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の障害監視判定装置。
【請求項5】
信号を伝送する1つ又は複数のレーンからなるレーン集合体を階層的に複数個接続して構成された伝送方式を用いて信号伝送を行う通信システムにおける障害状態を判定するための障害監視判定装置が実行する障害監視判定方法であって、
前記障害監視判定装置は、前記複数のレーン集合体のうちの1つのレーン集合体である検知レーン集合体の各レーンと、他の各レーン集合体の各レーンとを対応付けた対応情報を格納する対応情報格納手段を備えており、
前記検知レーン集合体におけるレーン単位の障害情報を取得する障害情報取得ステップと、
前記障害情報取得ステップにより取得された前記障害情報と、前記対応情報格納手段に格納された対応情報とに基づき、前記障害情報を取得した前記検知レーン集合体のレーンに対応する他のレーン集合体のレーンの障害判定を行い、当該障害判定の結果に基づいて、障害が発生した部位を判定する障害判定ステップと
を備えたことを特徴とする障害監視判定方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の障害監視判定装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58943(P2013−58943A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196578(P2011−196578)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(399035766)エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (321)
【Fターム(参考)】