説明

集光型太陽電池モジュール

【課題】 集光型太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セルの裏面電極全面を導電性ペーストにより電極板に固定する際、セル外側にはみ出した導電性ペーストが太陽電池セル側面に付着することによるセルリーク発生を防止する。
【解決手段】 太陽電池セル裏面電極と接合される電極板の接合面周囲を、太陽電池セルが固定される電極板面より低くする。この構造によれば、太陽電池セル裏面電極と電極板を導電性ペーストにより接合する際、太陽電池セルに圧力を加えて導電性ペーストが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により電極板の低部に導かれ、太陽電池セル側面に付着することが無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光型太陽電池モジュールの技術に関し、より具体的には集光型太陽電池セルの固定および裏面電極接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源枯渇の問題や大気中のCO2増加のような地球環境問題などからクリーンなエネルギーの開発が望まれており、特に太陽電池を用いた太陽光発電が新しいエネルギー源として開発、実用化されている。太陽光発電システムは、更なる普及のため低コスト化が望まれている。集光型太陽光発電システムは、太陽光発電システムにおいて最も高価な構成物である太陽電池セルの使用量を減らし、システム全体のコストを低減するシステムとして有望である。
【0003】
集光型太陽電池モジュールの従来例を図を用いて説明する。図10は、従来の集光型太陽電池モジュールの概略図である。図10に示すように、太陽電池モジュールは直方体形状のケース11の太陽光入射側に固定されたフレネルレンズ12に太陽光が常に垂直に入射する様に設計されている。太陽光がフレネルレンズ12に垂直に入射するように設計するためには、ケース11全体が常に太陽方向を向くように追尾する必要がある。一般的には、ケース11とシステム設置面の間に2つの回転軸を設け、モータあるいは油圧駆動によりその2軸を回転駆動させ太陽追尾を行う。太陽方位、太陽高度が、太陽軌道の理論式と設置場所の緯度、経度、時刻により計算され、前記駆動系を制御することにより太陽追尾が行われる。
図11は、フレネルレンズ12側から見た集光型太陽電池モジュールであり、図12は、図11の2a−2bで切断した断面図を示す。フレネルレンズ12に入射した太陽光は、フレネルレンズ12により集光され、フレネルレンズ12と対向するケース11の支持板部11aに設置された太陽電池セル23に照射される。集光倍率は数十倍〜数百倍であり、太陽電池セル23上には大きなエネルギー密度の太陽光が照射され、太陽電池セル23の温度が上昇する。
太陽電池セル23は温度上昇に伴って、発電効率が低下するため、放熱機構が必要である。一般には、支持板部11aの材質に金属等の熱伝導率の大きな材質を用いて太陽電池セル23の裏面を通じて支持板部11aにより放熱する構造や、さらに放熱効率を上げるため、支持板部11aの裏側の表面積が大きくなる様に放熱用フィンを設けた構造が採られる。太陽電池セルは表面と裏面に電極を有しており、裏面電極はセル裏面略全面に形成されている。この裏面電極からの配線取り出しは、前述の放熱機能も兼ねる構造が採られている。
【0004】
特許文献1には、集光型太陽光発電システムにおける太陽電池セル固定に関して、金属箔を太陽電池セルの裏面電極全面に半田付けし、この金属箔により電極を取り出し、前記金属箔を熱伝導性フィラーを含有するエポキシ樹脂接着剤からなる放熱層により座板に接着することによって、太陽電池セルの固定と放熱を実現する構造が開示されている。この構造によると、非常に薄い金属箔を使用しているため裏面電極と金属箔を半田付けした際の、太陽電池セル基板と前記金属箔間の熱膨張係数の違いによる応力の発生を軽減できる。また、金属箔、前記放熱層および座板を介して太陽電池セルの放熱が十分に行われ、エポキシ樹脂により接着するため耐久性、長期信頼性が確保できるという効果を得られることが開示されている。さらに、効率的な放熱のためには、金属箔の幅は太陽電池セルの幅より大きい方が好ましいといった記述がある。
【特許文献1】特開2003−174179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の太陽電池セル固定においては、セル裏面電極全面に金属箔を接合するため、十分な量の半田を使用し、半田接合時に太陽電池セルにある程度の圧力を加える必要があり、その際に、半田が太陽電池セルの裏面からはみ出し、表面張力により太陽電池セルの側面に付着し、太陽電池セルにリークが生じるといった問題がある。さらに、放熱特性を向上させる目的で前記金属箔の幅を大きくすると前記の半田のはみ出しによる太陽電池セルのリークが生じ易くなるという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、特に太陽電池セルの温度上昇が問題となる集光型太陽電池モジュールにおける太陽電池セルの固定に関し、裏面電極の半田付け時に半田が太陽電池セル側面に付着することがなく、太陽電池セルのリークが発生せず、かつ太陽電池セルの放熱特性が十分に確保された集光型太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、表面と裏面に電極を有する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの裏面電極と導電性ペーストによって電気的に接合される電極板と、放熱電気絶縁層を介して前記電極板を支持する支持板とを備えた太陽電池モジュールであって、前記電極板は、前記太陽電池セルと接合される接合面と、前記接合面の周囲が前記接合面より低い低部を有する構造とした。本発明において、導電性ペーストは金属,カーボン等の導電性材料を含有するペーストであり、半田を含むものとする。また、放熱電気絶縁層は電気絶縁性を有し、かつ熱伝導率が大きい程望ましく、電気絶縁性を有する樹脂に熱伝導率の大きな添加剤を添加したものとする。また、支持板は電極板を支持するため機械的な強度を有し、かつ熱伝導性が優れたものが好ましく、金属板等が挙げられる。
この構造によれば、太陽電池セル裏面電極と前記電極板を導電性ペーストにより接合する際に、太陽電池セルに圧力を加えて導電性ペーストが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により電極板の接合面周囲に設けられた低部に導かれるため太陽電池セル側面に付着することが無く、太陽電池セルのリークが生じない。
【0007】
また、本発明は、前記接合面が、前記電極板に設けられた凸部により構成されている。
この構造によれば、太陽電池セル裏面電極と前記電極板を導電性ペーストにより接合する際に、太陽電池セルに圧力を加えて導電性ペーストが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により電極板に設けた低部に導かれるため太陽電池セル側面に付着することが無く、太陽電池セルのリークが生じない。
【0008】
また、本発明では、前記低部は、前記接合面の周囲に設けられた溝により構成されている。
この構造によれば、太陽電池セル裏面電極と前記電極板を導電性ペーストにより接合する際に、太陽電池セルに圧力を加えて導電性ペーストが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により電極板に設けた溝に導かれるため太陽電池セル側面に付着することが無く、太陽電池セルのリークが生じない。
【0009】
また、本発明は、前記溝の少なくとも一部に熱伝導性のよい材料を挿入した構造である。熱伝導性の良い材料は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂に金属、金属酸化物、カーボン、ガラス繊維、窒化ホウ素、窒化アルミニウムのうち一つ以上を含むもの、あるいは半田である。
この構造によれば、電極板の太陽電池セル裏面電極との接合面周囲に設けた溝における熱伝導率が向上するため、前記電極板の平面方向の熱伝導特性が向上し、放熱特性がさらに向上する。
【0010】
また、本発明は、前記熱伝導性のよい材料はエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛を含む金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムを添加剤として混入した熱伝導性と電気絶縁性を有する材料であることが望ましい。
この構造によれば、電極板の太陽電池セル裏面電極との接合面周囲に設けた溝における熱伝導率が向上すると共に、電気絶縁性を有するため、太陽電池セル側面に前記材料が付着した場合でも太陽電池セルのリークが発生しない。
また、本発明では、前記電極板の主材料が金属であることが望ましい。
この構成によれば、前記電極板の導電率が大きく電極として好適であると同時に熱伝導率が大きいため、太陽電池セルの熱を電極板全体に拡散し、前記放熱電気絶縁層の熱抵抗低減が可能となる。
【0011】
また、本発明では、前記放熱電気絶縁層がエポキシ樹脂またはシリコーンを主材料とし、添加剤として金属、金属酸化物、カーボン、ガラス繊維、窒化ホウ素、窒化アルミニウムの何れかまたはそれらの内の2つ以上が添加されている。
この構成によれば、前記放熱電気絶縁層の電気絶縁特性の維持と同時に熱伝導性の向上が可能となる。
また、本発明では、前記支持板の主材料が金属であることが望ましい。
この構成によれば、前記支持板の熱伝導率が大きく、前記放熱電気絶縁層から伝導した熱を前記支持板他面より効率よく放熱することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構造によれば、太陽電池セル裏面電極と前記電極板を導電性ペーストにより接合する際に、太陽電池セル上方より圧力を加えることにより導電性ペーストが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により電極板に設けられた低部に導かれるため太陽電池セル側面に付着することが無く、太陽電池セルのリークを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第一発明に係る実施の形態を図に基づき説明する。図1は本発明の実施の形態に係る集光型太陽電池モジュールの断面図である。直方体形状をしたケース11の一端面は開口しており、前記開口部に非結像系フレネルレンズ12が固定される。ケース11の材質としては軽量で熱伝導性の良いアルミニウムが適しているが、ステンレス板、鋼板、あるいは鋼板に亜鉛、アルミニウム、シリコン等の合金をめっきしたものを用いても良い。また、フレネルレンズ12の材質としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、UV硬化樹脂、ガラス等の透光性材料が挙げられる。
図1において、ケース11のフレネルレンズ12と対向する面である支持板部11aには太陽電池セル23が固定され、フレネルレンズ12により集光された太陽光が照射される。太陽光の集光倍率は最大で700倍程度である。太陽電池セル23としては、Si、GaAs、CuInGaSe、CdTe等からなる無機太陽電池セルや、色素増感太陽電池セル等の有機太陽電池セルが用いられ、また、太陽電池セルの構造は、単一接合型セルや、モノリシック多接合型セルや、感度領域の異なる種々太陽電池セルを繋げたメカニカルスタックセル等が用いられる。
【0014】
図2は支持板部11aに太陽電池セル23を固定した部分の拡大図である。太陽電池セル23を固定する支持板部11aの上面に、電気絶縁性を有しかつ熱伝導率が大きな材料からなる放熱電気絶縁層41を設け、その上部の電極板42の下面と接する構造とする。放熱電気絶縁層の材質としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の主剤に添加剤として金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ステンレス等の金属や、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボン等を1つ以上混合したものを使用する。この放熱絶縁層の熱伝導率は、前記主剤と添加剤の材料あるいは比率によって調整できるが、本実施形態において十分な電気絶縁性を有するためには、熱伝導率は最大でも10W/m・K程度であり、長期間の耐候性を考えるとさらに低くなる。
電極板42の上面に図示するように凸部42aを設ける。凸部42aの頂部には接合面42bを設け、接合面42bの形状は太陽電池セル23の外周と同一形状とするが、太陽電池セル23より小さな形状としても良い。凸部42aの断面形状は、接合面42bおよび接合面42b外周から平坦面に向けて下方向に傾斜する形状であれば良い。前記傾斜する部分の形状は直線のみを組み合わせた形状、円弧のみを組み合わせた形状またはそれらを組み合わせた形状の何れでも良い。接合面42bの周辺には低部42eが設けられ、接合面42bより低ければ良い。電極板42の材質は熱伝導率の大きな金属あるいは合金を主材料としたものが望ましい。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、錫、ステンレス等の金属単体や、それらの合金とすることができる。
【0015】
電極板42の接合面42bに太陽電池セル23の裏面電極を導電性ペースト43により、接合面42bが太陽電池セル23の外側にはみ出さないように固定する。導電性ペーストとしては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、錫、ステンレス等の金属やカーボンの内の1種類以上を有機材料等に含有したものあるいは半田が挙げられる。この導電性ペーストを焼成あるいはろう付けすることにより太陽電池セルが固着される。この際、電極板の接合面42bは略水平に保持することが望ましい。
【0016】
以上の構造とすることで、太陽電池セル23の裏面電極と電極板42の接合面42bを導電性ペースト43により接合する際に、太陽電池セル23に上方より圧力を加えることにより導電性ペースト43aが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により電極板凸部の側面42cに沿って電極板42の方に導かれるため、太陽電池セル側面23aに付着することが無く、太陽電池セルのリークを防ぐことができる。
【0017】
また、フレネルレンズ12により集光された太陽光が、太陽電池セルに照射されるため、太陽電池セルの温度が上昇するが、前記構造の金属製の電極板により、太陽電池セルで発生する熱を太陽電池セル外側方向に拡散でき、その後、電極板から放熱電気絶縁層、支持板を通して放熱することができる。電極板により一旦熱を太陽電池セル外側に拡散することにより、電極板あるいは支持板と比較して熱伝導率が小さな放熱電気絶縁層の熱伝導時の断面積を大きくし熱抵抗を低減できるため、放熱効率が向上する。
【0018】
太陽電池セル電流の表面電極から外部への取り出しは、電極板上面に設けたアクリル、ナイロン、PET、ポリイミド等の電気絶縁層上に、金、銀、銅、錫等の金属箔をパターニングし、その金属箔を太陽電池セル表面電極にスポット溶接することにより行う。太陽電池セル表面および金属箔電極は透光性の樹脂等でラミネートし、耐候性を向上させる。ラミネート用の材料としては、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリ3フッ化エチレン、ポリフッ化ビニルなどのフッ素樹脂フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、PETなどの透明な樹脂が使用できる。
【0019】
本発明の第2発明に係る実施形態を図3を用いて説明する。第2発明の実施形態は前記第1発明と全体構成は同様であるが、電極板42の形状が異なる。図3は、太陽電池セル固定部分の拡大断面図である。電極板42表面の太陽電池セルとの接合面の周囲に溝42dを設け、その断面形状を円弧形状とした。溝42dの断面形状は円弧形状に限るものではなく直線を組み合わせた形状、円弧を組み合わせた形状またはそれら両方を組み合わせた形状としても良い。この溝42dにより低部42eが構成されている。前記構造とすることで、太陽電池セル裏面電極と前記電極板を導電性ペーストにより接合する際に、太陽電池セルに上方より圧力を加えることにより導電性ペーストが太陽電池セル外側にはみ出した場合でも、重力により前記溝42dに導かれ、太陽電池セル側面に付着すること無く、太陽電池セルのリークが生じない。
【0020】
さらに前記構造において、溝42dに熱伝導性の良い材料を挿入することで前記溝42dを設けたことにより低下した電極板の平面方向の熱伝導率を改善することができる。熱伝導性の良い材料としては、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂に金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ステンレス等の金属や、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボン等を1つ以上混合したものや、半田を用いることができる。さらに好ましくは、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の導電性を有しない熱伝導性の高い微粉末を添加したエポキシ樹脂やシリコーン樹脂を使用する。導電性を有しない材料を使用することで、それらが太陽電池セルの側面に付着した場合でも、太陽電池デバイスのセルリークを防ぐことができる。上記の熱伝導率の良い材料は、前記放熱絶縁層と略同等の熱伝導率である。この構造により、太陽電池セル裏面から放熱した熱が、前記電極板を平面方向に拡散し易くなり、放熱特性が向上する。
【0021】
本実施の形態では、集光手段と太陽電池セルを対として、ケース内に一組だけ設けた例を示したが、1つのケース内にそれらを複数設けた構成としても良い。ケースを大型化すれば更に多数の太陽電池セルを設置可能である。
また、電極板の太陽電池セル接合部周囲に溝を設けた構造において、前記溝以外の部分の平面は同一面内になくても良い。電極板に溝加工をした場合、溝以外の部分の平面は同一面内となるが、加工が容易になるといった利点がある。
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施例1について図を基に説明する。基本的な構成は、図1および図2と同じである。直方体形状をしたアルミニウムを材料とするケース11の一端面は開口しており、前記開口部にアクリル樹脂からなる非結像系フレネルレンズ12がエポキシ樹脂製接着剤により固着される。フレネルレンズ12の外形は200mm×200mmで厚さは2mm、焦点距離を200mmとした。ケース11の外形は、200mm×200mm×190mmであり、厚さを3mmとした。ケース11のフレネルレンズ12と対向する面(支持板部)11aには太陽電池セル23が固定され、フレネルレンズ12により集光された太陽光が照射される。
この構成により、集光した光が太陽電池セル全面に当たるように設定すると、集光倍率は約300倍となる。太陽電池セル23としては、InGaP/InGaAs/Geの3接合型化合物太陽電池を使用した。支持板部11aの厚さは3mmとした。支持板部11aの上面に、エポキシ樹脂接着剤を主成分とし、添加剤として酸化アルミニウムを含有する放熱電気絶縁層41を設け、その上部の電極板42の下面と接着した。放熱電気絶縁層41の熱伝導率は1.0W/m・Kであり、厚さは0.2mmとなるようにした。電極板42の最大厚さは2mmとし、電極板上面に図示するように凸部42aを設けた。凸部42aの段差は1mmとした。電極板42の厚さは、電極板面方向への熱拡散が十分に行われる厚さであれば良く、電極板の形状、熱伝導率、太陽電池セルから生じる熱量、太陽電池セル設定温度および重量を考慮して決定されるが、本発明の実施形態においては0.5mmから10mm程度の範囲であれば良い。
【0023】
図4は電極板42を上面から見た図である。電極板42の外形は50mm×50mmの正方形としたが、この形状に限るものではなく多角形、円弧あるいはそれらを組み合わせた形状でも良い。電極板42の外形サイズは、放熱特性の面からは大きい程良いが、モジュールの軽量化の関係から、本発明の実施形態においては数十mmとした。また、接合面42bの形状は太陽電池セルサイズと同サイズの10mm角とした。
【0024】
電極板42の材質は熱伝導率の大きな金属が望ましく、本実施例においては銅を用いた。凸部の頂部の接合面42bの形状は太陽電池セル23の外周と同一形状とした。接合面42bに太陽電池セル23の裏面電極を半田付けにより固定し、接合面42bが太陽電池セル23の外周からはみ出さないように固定した。使用した太陽電池セルのサイズは10mm角とした。太陽電池セルの形状は、加工容易性、材料の有効利用性から矩形形状が一般的であるが、円形、楕円形、多角形等の形状でも良い。また、太陽電池セルのサイズはフレネルレンズのサイズと所望の集光倍率から決定されるものであり、どのような大きさでも良い。
【0025】
上記、支持板、放熱電気絶縁層、電極板および太陽電池セルのサイズと材質は、太陽電池セルへの入射光エネルギーと太陽電池セル温度の所望値から、3次元放熱シミュレーションソフト(COSMOSDesignSTAR4.0)により決定した。本実施例においては、フレネルレンズ面が受光する直達日射光エネルギーを850W/m2とし、フレネルレンズの面積から計算したエネルギー量から太陽電池セル発電エネルギーを除いたエネルギー量が太陽電池表面に与えられるとしてシミュレーションを行った。また、支持板裏面の大気温度は25℃で対流するものとし、太陽電池セル温度が約65℃となるように設計した。
【0026】
本実施例で用いたInGaP/InGaAs/Geの3接合型化合物太陽電池の製造方法を以下に説明する。図5には本実施例で用いた3接合型化合物太陽電池の構造を示す。前記3接合型化合物太陽電池を作製するために、約50mm径、厚さ150μmのp型Ge基板を縦型MOCVD装置に投入し、層構造を順次エピタキシャル成長する。
まず、Gaをドープしたp型Ge基板上面にバッファ層73としてn+型InGaAs[Si]層を形成し、前記n+型InGaAs[Si]層のAsがGe基板に拡散することでn型Ge層が形成される。この工程によりGeボトムセル72が形成される。
【0027】
その後、前記n+型InGaAs[Si]層上にトンネル接合層74としてn++型InGaP[Si]層と前記n++型InGaP[Si]層上にp++型AlGaAs[C]層を形成し、前記p++型AlGaAs[C]層上にInGaAsミドルセル75を形成していく。前記[Si]および[C]はn型またはp型ドーピングのための不純物を示しており、以降も同様に記述する。
以下に、InGaAsミドルセル75の形成工程について説明する。前記p++型AlGaAs[C]層上にp+型InGaP[Zn]層を形成し、前記p+型InGaP[Zn]層上にp型InGaAs[Zn]層を形成し、前記p型InGaAs[Zn]層上にn+型InGaAs[Si]層を形成し、前記n+型InGaAs[Si]層上にn+型AlInP[Si]層を形成する。この工程によりInGaAsミドルセル75が形成される。
【0028】
続いて、前記n+型AlInP[Si]層上にn++型InGaP[Si]層を形成し、前記n++型InGaP[Si]層上にp++型AlGaAs[C]層を形成することで、トンネル接合層76が形成される。前記p++型AlGaAs[C]層上にInGaPトップセル77を形成する。
以下に、InGaPトップセル77の形成工程について説明する。前記p++型AlGaAs[C]層上にp型AlInP[Zn]層を形成し、前記p型AlInP[Zn]層上にp型InGaP[Zn]層を形成し、前記p型InGaP[Zn]層上にn+InGaP[Si]層を形成し、前記n+InGaP[Si]層上にn+AlInP[Si]層を形成する。この工程によりInGaPトップセル77が形成される。
【0029】
続いて、前記n+AlInP[Si]層上にキャップ層79としてn+InGaAs層を形成した構造である。
上記エピタキシャル成長において、成長温度は700℃とする。InGaAs層形成においては原料としてトリメチルインジウム(TMI)、トリメチルガリウム(TMG)およびアルシン(AsH3)を用いた。また、InGaP層形成においては原料としては、TMI、TMGおよびホスフィン(PH3)を用いた。また、AlGaAs層形成においては、トリメチルアルミニウム(TMA)、TMGおよびAsH3を用いた。また、AlInP層形成においては、TMA、TMIおよびPH3を用いた。
【0030】
上記InGaAs、InGaPおよびAlInP層において、n型ドーピングのために不純物としてモノシラン(SiH4)を用い、p型ドーピングのために不純物としてジエチル亜鉛(DEZn)を用いた。
上記トンネル接合層のAlGaAs層のp型ドーピングのための不純物として四臭化炭素(CBr4)を用いた。
【0031】
上記MOCVD法を用いたエピタキシャル成長により太陽電池構造を形成した後、前記太陽電池の表面に、フォトリソグラフィー法により表面電極パターンにレジストパターンを形成する。レジストを形成した基板上にGeを12%含むAuからなる層を抵抗加熱蒸着法により形成する。前記Au層の膜厚は100nmとした。次いで、前記Au層上にNi層およびAu層をそれぞれ厚さ約20nmおよび約5000nmとしてEB蒸着法により形成する。その後、リフトオフ法により所望のパターンの表面電極80とする。
次いで、上記表面電極80をマスクとして、前記マスクが形成されていない部分のキャップ層n+InGaAs層をアルカリ水溶液によりエッチングする。
続いて、フォトリソグラフィー法により、メサエッチングパターンの領域をあけたレジストを前記太陽電池表面に形成し、前記レジストが形成されていない領域のエピタキシャル層をアルカリ水溶液および酸水溶液にてエッチングしてGe基板を露出させる。
【0032】
次に、太陽電池裏面に、裏面電極71としてAg層を約1000nmの厚さでEB蒸着法により形成する。その後、太陽電池表面側に反射防止膜78としてTiO2膜およびAl23膜を約50nmおよび約85nmの厚さでEB蒸着法により形成する。
続いて、表面電極のシンタリングと、裏面電極71および反射防止膜78のアニーリングを兼ねて窒素雰囲気中で380℃で熱処理を行う。その後、メサエッチングライン上をダイシングしセルを切断する。本実施例においてはセルサイズを10mm×10mmとした。
トップセル、ミドルセルとボトムセルは電気的に直列接続されており、各々の吸収波長帯が300〜600nm、600〜900nm、900〜1800nmと異なり、広い波長域の太陽光を吸収できるため、高い変換効率が得られる。
【0033】
太陽電池セルと電極板の半田付けは、略水平に設置したホットプレート上に電極板を置き、温度を190℃に保持した。続いて電極板の平坦面に半田を置いて溶かし、1kgf/cm2の圧力で太陽電池セルを上方より押しつけた。この際、プリフォーム半田を用いると、太陽電池裏面電極と電極板平坦部を全面において接合し、かつ太陽電池セル外側への半田のはみ出しを最小限に抑えることが出来る。その後、太陽電池への押圧を保持したまま、電極板と共に室温まで自然冷却し、太陽電池と電極板を接合した。図6には電極板接合面42bに太陽電池セル23を半田付けした後の断面図を示した。太陽電池セル23に圧力を加えることで、半田が太陽電池外側にはみ出すが、電極板42の凸部の側面42cに沿って半田が電極板側に落ちるため、太陽電池セル側面23aに半田が付着することなく、太陽電池セルのリークが生じない。特に、太陽電池セルの直列抵抗低減によるセル特性向上、または、基板材料の量の低減によるコスト削減のため、太陽電池基板の厚さを薄くすることが行われており、厚さが薄い場合には、太陽電池セルの側面に半田が付着する現象が起こり易く、セル特性低下を招き易い。本実施例の構造によれば、前述の問題が発生することなく、太陽電池セルの半田付けが可能となる。
【0034】
太陽電池表面電極の取り出しは、電極板上に25μm厚のポリイミドフィルムを用いて電気絶縁層を設け、その電気絶縁層上に銀リボンを置き、表面電極と銀リボンをスポット溶接により接合した。このようにして、電極を取り出した後、透光性のエポキシ樹脂により電極板上の太陽電池を封止した。封止用の材料は透光性材料であれば良く、本構造においては、太陽電池裏面からの放熱効果が大きいため、封止用材料には、放熱機能すなわち熱伝導性が必要なく、より透光性、耐候性に優れる樹脂を使用できるといった利点がある。
以上のような工程で電極板上に太陽電池セルを固定、封止した後、電極板裏面を支持板に放熱電気絶縁層を介して固定した。放熱電気絶縁層は、エポキシ樹脂接着剤に酸化アルミニウムを添加したもので、1.0W/m・Kの熱伝導率を有するものを使用した。
【0035】
本構造とすることで、太陽電池部分で発生した熱が裏面電極に半田付けした電極板を通じて電極板面方向すなわち太陽電池セル外側方向に拡散し、その後、放熱電気絶縁層、支持板を通じて外気に放熱することが可能となる。電極板の面積を大きくすることで、熱伝導率が電極板に比べて小さな放熱電気絶縁層部分の伝導断面積が大きくなり、放熱する際の熱抵抗を小さくすることが可能となるため、良好な放熱特性が確保できる。
上記構造において実際に850W/m2の太陽光を集光し前記太陽電池に照射した場合、太陽電池セル裏面温度は65℃程度に抑えることができた。
また、太陽電池セル裏面電極一面を半田付けにより金属板に固定した場合、その熱膨張係数の差によりセルに応力が掛かり、セル割れあるいはセル特性低下といった問題が懸念されるが、本実施例の構造において、液体窒素温度(−約195℃)から120℃までの熱サイクル試験を行った結果、30サイクルにおいても、セル割れ、特性低下等の問題は生じなかった。
【実施例2】
【0036】
以下、本発明の実施例2について図に基づき説明する。基本的な構造は実施例1と同様であり、電極板の形状が異なる。図3はケースに太陽電池セルを固定した部分の拡大図である。図3に示すように厚さ2mmの電極板42の表面に溝42dが接合面42bの周囲に位置するように設けた。溝42dの断面形状は半径1mmの円弧形状とし、太陽電池セルは接合面42bのみで電極板と接合する構造とした。
【0037】
図7は電極板42を上面から見た図である。点線は太陽電池セル23の外周が設置される位置を示す。溝42dは太陽電池セル23の外周に沿って設けられ、溝42dの端部で太陽電池セル内側に当たる部分が太陽電池セル裏面の外周から0.5mm内側に入るように設けた。この構成により、電極板42の太陽電池セルとの接合面42bのサイズは、太陽電池セルサイズより1mm小さくなるが、この接合面42bのサイズは太陽電池セルサイズと同一あるいは小さければ良い。
【0038】
また、溝42dは、電極板の上面から見た場合に、少なくとも接合面42bの周囲に設けられる。加工容易性等のため他の部分に溝を設けても良い。例えば、図7に示す溝42dの部分に溝を設けるために、電極板一辺から対向する一辺まで溝加工しても良い。
太陽電池セル裏面電極は、溝42dで囲まれた接合面42bと実施例1と同様の方法により半田付けして固定した。
【0039】
本実施例の構造も実施例1と同様に、3次元放熱シミュレーションソフトにより決定した。本実施例においては、照射エネルギー等の条件は実施例1の場合と同一とし、太陽電池セル温度が約63℃となるように設計した。
【0040】
図8には電極板接合面42bに太陽電池セル23を半田付けする際の断面図を示した。実施例1の場合と同様に、太陽電池セル23に上方より圧力を加えることで、半田が太陽電池外側にはみ出すが、電極板42の溝42dに沿って半田43aが電極板側に導かれるため、太陽電池セル側面23aに半田が付着することなく、太陽電池セルのリークが生じない。本実施例の構造によれば、実施例1の場合と同様に太陽電池セルの側面に半田が付着しないため、太陽電池セルリークの問題が発生せず、特性低下を起こすことなく、電極板と太陽電池セルの半田付けが可能となる。
太陽電池セル表面電極の取り出し、ラミネートは実施例1と同じ構造とした。
上記構造において実際に850W/m2の太陽光を集光し前記太陽電池に照射した場合、太陽電池セル裏面温度は63℃程度に抑えることができた。
また、実施例1と同様の温度サイクル試験の結果、セル割れ、特性低下等の問題は生じなかった。
【実施例3】
【0041】
以下、本発明の実施例3について図に基づき説明する。図9は電極板に太陽電池セルを固定した部分の拡大図である。基本的な構造は実施例2と同様であり、実施例2の方法で太陽電池セルを電極板に固定した後、電極板42の上面に設けられた溝42dに熱伝導性の良い物質44を添加した。熱伝導性の良い物質44としては、エポキシ樹脂に酸化マグネシウムを分散したものを使用した。この場合の熱導電率は、5.0W/m・Kである。熱伝導性の良い物質としては他に、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂に添加剤として金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ステンレス等の金属や、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボン等を1種類以上混合したものが使用できる。より好ましくは、それらの添加剤の内、導電性を有しないものがよい。導電性を有する添加剤は、太陽電池セルの側面に付着した場合にセルリークを起こす可能性があり、太陽電池セル特性を低下させる可能性がある。
【0042】
上記構造において実際に850W/m2の太陽光を集光し前記太陽電池に照射した場合、太陽電池セル裏面温度は60℃程度に抑えることができた。
また、実施例2と同様の温度サイクル試験の結果、セル割れ、特性低下等の問題は生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係る集光型太陽電池モジュールの断面図である。
【図2】本発明第1発明の実施の形態に係る太陽電池セル固定部分の拡大断面図である。
【図3】本発明第2発明の実施の形態に係る太陽電池セル固定部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施例1に係る電極板を上方より見た図である。
【図5】本発明の実施例で使用した化合物太陽電池の構造を示す図である。
【図6】実施例1に係る太陽電池セル固定部分の拡大断面図である。
【図7】本発明の実施例2に係る電極板を上方より見た図である。
【図8】実施例2に係る太陽電池セル固定部分の拡大断面図である。
【図9】実施例3に係る太陽電池セル固定部分の拡大断面図である。
【図10】従来の集光型太陽電池モジュールを示す概略図である。
【図11】フレネルレンズ側から見た集光型太陽電池モジュール。
【図12】図11の2a−2bで切断した断面図である。
【符号の説明】
【0044】
11 ケース
12 フレネルレンズ
11a 支持板部
23 太陽電池セル
23a 太陽電池セルの側面
41 放熱電気絶縁層
42 電極板
42a 電極板の凸部
42b 電極板の接合面
42c 電極板の凸部の側面
42d 電極板に設けられた溝
42e 低部
43 導電性ペースト
43a はみ出した導電性ペースト
44 熱伝導性の良い物質
71 裏面電極
72 ボトムセル
73 バッファ層
74 トンネル接合層
75 ミドルセル
76 トンネル接合層
77 トップセル
78 反射防止膜
79 キャップ層
80 表面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面に電極を有する太陽電池セルと、前記太陽電池セルの裏面電極と導電性ペーストによって電気的に接合される電極板と、放熱電気絶縁層を介して前記電極板を支持する支持板とを備えた太陽電池モジュールであって、
前記電極板は、前記太陽電池セルと接合される接合面と、前記接合面の周囲が前記接合面より低い低部を有することを特徴とする集光型太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記接合面は、前記電極板に設けられた凸部であることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記低部は、前記接合面の周囲に設けられた溝であることを特徴とする請求項1に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記溝の少なくとも一部に熱伝導性のよい材料を挿入したことを特徴とする請求項3に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記熱伝導性のよい材料は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛を含む金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラス繊維の1つ以上を添加剤として混入した熱伝導性と電気絶縁性を有する材料から成ることを特徴とする請求項4に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記電極板が金属を主材料とすることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記放熱電気絶縁層がエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂を主材料とし、添加剤として金属、金属酸化物、カーボン、ガラス繊維、窒化ホウ素、窒化アルミニウムの1つ以上が添加されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の集光型太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記支持板が金属を主材料とすることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の集光型太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−332532(P2006−332532A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157533(P2005−157533)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】