説明

集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサ

集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサ用の方法及び装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はイメージセンサに関し、より詳細には、集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
固体イメージセンサは、広範囲にわたる用途が見出されており、最も顕著なのはデジタルカメラシステムにおける用途である。一般に、固体イメージセンサは、スイッチング及び増幅素子と直列に存在する感光性素子のマトリクスから構成される。感光性素子は、例えば、光受容器、フォトダイオード、フォトトランジスタ、電荷結合素子(CCD)、又は同様のものとすることができる。各感光性素子は、撮像されている光景の一部分のイメージを受け取る。感光性素子は、これに付属する電子機器と併せて画素又はピクセルと呼ばれる。イメージを取得する感光性素子は、イメージの光強度を示す電気信号を生成する。感光性素子の電気信号は通常電流であり、その感光性素子に当たる電磁放射線(光)の量に比例する。
【0003】
一部のイメージセンサは、図1に示されるイメージセンサのように金属酸化膜半導体(MOS)技術を用いて作製される。これらのイメージセンサに関して、パッシブピクセルを有するイメージセンサとアクティブピクセルを有するイメージセンサ(アクティブピクセルセンサ、APS)とは区別される。これらの2つのタイプのピクセル構造の違いは、APSがピクセルの感光性素子上に収集された電荷を増幅することである。パッシブピクセルは信号増幅を行わず、ピクセルと一体化されていない電荷増幅器を必要とする。
【0004】
MOS技術イメージセンサの性能を評価するのに使用される1つの基準は、「量子効率」(QE)と「フィルファクタ」(FF)との積であり、この積は「QE*FF」として知られる。この式において、フィルファクタは、ピクセルの総面積に対するピクセルの感光面積の比として定義され、量子効率は、衝突フォトン当たりのピクセルで有効に発生した光電子の数の比として定義される。量子効率及びフィルファクタが改善されるにつれて、イメージセンサのQE*FFの値は1に近づく。
【0005】
残念なことに、APSのQE*FFは、量子効率又はフィルファクタの個々の限界によって制限される。APS14(図1を参照)の量子効率は、誘電体12の反射によりフォトン10が変換されずに失われる場合、フォトン10が捕捉層で吸収されない場合、発生電子が収集領域に到達する前に再結合する場合、或いは、電子がイメージセンサの他の特徴部によって吸収されたことにより収集されなかった場合、といった幾つかの影響によって制限される可能性がある。APS14のフィルファクタも同様に、ピクセルの回路素子に関連するメタライゼーション16又はシリサイドによる不明瞭化、ピクセルの不感接合部によるフォトン10の収集、或いは多数キャリアと光生成キャリの再結合、といった幾つかの影響によって制限される可能性がある。
【0006】
MOS技術APSのフィルファクタ及び/又は量子効率を向上させることによってQE*FFを改善する幾つかの解決法が提案されてきた。例えば、製造業者は、FF及びQEを劣化させる最も重要な要因の一部を排除するため、イメージセンサの裏面薄化及び裏面からの照射を提案している。
【0007】
全く異なる理由から(レンズとイメージャを組み合わせてウェーハレベルのカメラにする)、設計者らは、シェルケース(イスラエルのShellcase Inc製)パッケージ又は他のウェーハスケールパッケージ(WSP)204(ドイツのShott Electronics GMBHで製造されたものなど)において、集積レンズスタック(ILS)200をCMOSイメージセンサ(CIS)202に接合することを提案した。
【0008】
一部のMOS技術APS設計者によって提案された別の解決法は、図3に示されるようなAPS14の基板の裏面薄化である。APS14の基板の裏面薄化(BST)は、APS14の裏面を通過するフォトン10の検出を容易にする。BST APS14は、デバイスのフィルファクタ及び量子効率の両方を極めて向上させ、場合によってはQE*FFにおいて3倍の改善がもたらされる。
【0009】
BSTは性能の強化をもたらすが、APSのBSTウェーハの作製には課題がある。BSTは複雑な処理段階であり、生産コストの増大及び収率低下につながる。加えて、BSTは、ウェーハの基板の奥行きを5〜10マイクロメートル未満にまで低下させる。標準的なウェーハは、数百マイクロメートル厚の基板層によって機械的に支持される。その結果、ウェーハは極めて脆弱であり、そのため個々のAPSの作製及びパッケージ中のウェーハハンドリングが問題となる。
【0010】
ある刊行物では、あるタイプの集積レンズスタックと組み合わせた裏面薄化ウェーハから構成されるイメージセンサの作製が記載されている(WALORI EU project no.:IST−2001−35366を参照)。組み合わせ技術の概念的な応用にも拘わらず、この組み合わせ技術の商業的開発を妨げる製造上の大きな障害がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を添付図面の各図において限定でなく例証として説明する。
【0012】
以下の説明において、本発明の実施形態を完全に理解するために、特定の指図、指定された構成要素、接続部、集積レンズスタック、MOS技術作製ステップ、その他といった、多数の特定の詳細事項が記載される。しかしながら、本発明の実施形態がこれらの特定の詳細事項なしでも実施することができる点は、当業者であれば明らかであろう。場合によっては、本発明を不必要に曖昧にするのを避けるために、公知の構成要素及び方法は、詳細には記載されず、ブロック図で示されている。従って、記載される特定の詳細事項は例証に過ぎない。この特定の詳細事項は異なることができるが、それでも尚、本発明の精神及び範囲内にあることが企図される。本明細書で使用される用語「結合される」は、直接結合されるか、或いは1つ又はそれ以上の介在構成要素を介して結合されることを意味することができる。
【0013】
集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの方法及び装置が説明される。折に触れ、集積レンズスタックが取付られたCMOSイメージセンサに関して論議されるが、本明細書で論じられる方法及び装置はまた、様々な構成で共に結合された種々のレンズ配列を使用する他の技術による裏面薄化イメージセンサを形成するのにも使用することができる。
【0014】
CMOSイメージセンサ(CIS)の前面のイメージ感知回路は、入射光をデジタル信号に変換する。1つの実施形態では、CISの基板の裏面を薄化し、基板の裏面を照射する光をCISが検知可能にすることによって、こうしたCISの性能を向上させることができる。CISの裏面を通る光を検知可能にするのに十分に薄い基板では、CISに対する十分な機械的支持を提供するほどの厚みがもはやない。従って、CISは、ハンドリング及びパッケージングによる損傷を受けやすい。そのような損傷を回避するため、透明ハンドリング層を薄化CISの裏面に接合することができる。透明ハンドリング層は、CISのハンドリング手段と、CISの機械的支持部の両方を提供する。1つの実施形態において、裏面薄化デバイスは、レンズスタックを集積せずに透明ハンドル層と共に使用することができる。
【0015】
図4A−図4Iは、集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示している。製造工程は、基板402から開始する。1つの実施形態において、基板402はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)である。或いは、基板402は、シリコン・オン・サファイア(SOS)、或るエピタキシャルウェーハの他の何らかのタイプ、又はある深さで具現化された薄化制御層を有するウェーハなど、特殊なエピタキシャルウェーハとすることができる。こうしたウェーハの製造技術は当業者には公知であり、従って、本明細書では詳細には説明しない。製造工程の最初のステップの間に、回路特徴部が基板402上に作製される。これらの製造ステップの次に、図4Aに示されるように、半導体ウェーハ401は、ピクセルアレイ406、バックエンドスタック400、及び基板402を含む。ピクセルアレイ406は、バックエンドスタック400の下に配置された金属酸化膜半導体技術(MOS−技術)イメージ感知回路(「ピクセル」)のアレイを含む。MOS−技術イメージセンサは、当該技術分野において既知であり、従って、詳細には説明しない。バックエンドスタック400は、半導体ウェーハ401の信号ルーティング層を含む。
【0016】
1つの実施形態において、半導体ウェーハ401は、基板402にインプラントされた薄化制御層408含む。薄化制御層408は、後の製造ステップで基板402の一部を除去するのに使用されるエッチング加工用のための化学ストップ部を提供する。1つの実施形態において、薄化制御層408は、サイモックス(Separatin by IMplantation of OXygen:SIMOX)層である。SIMOX層を形成する1つの方法は、酸素イオンビームインプラント法を使用した後、高温アニーリングを行い、埋込SiO2層を生成するものである。例えば、アルカリ水溶液中でSiO2に対するSiのエッチング選択性に基づいて、このSiO2層は、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)材料の調製におけるエッチング停止部として利用される。代替の実施形態において、薄化制御層408はカーボンインプラント・エッチング停止部のような別のタイプのエッチング停止部とすることができる。或いは、他のエッチング停止技術は、材料間、又は異なるドーパントタイプもしくはドーパント濃度レベル間の選択的エッチング速度差に基づくことができ、又はジャンクション上の電気化学エッチング停止によるか、或いは部分的機械研削、研磨又はCMPによることができる。こうしたエッチング停止技術は、当業者には公知であり、従って、詳細な論議は行わない。
【0017】
1つの実施形態において、製造工程における次のステップの間、図4Bに示されるように、ハンドルウェーハ410が半導体ウェーハ401に接合される(剥離可能な方式で)。ハンドルウェーハ410は、半導体ウェーハ401をハンドリングし、後続の製造ステップ中の半導体ウェーハ401の機械的支持部を提供するのに使用される。ハンドルウェーハ410は、バックエンドスタック400を覆い、そのためバックエンドスタック400に直接電気接続を行うことができない点に留意されたい。
【0018】
製造工程の次のステップの間、図4Cに示されるように、半導体ウェーハ401の基板402から材料が除去される。1つの実施形態において、当該材料は、基板402から研削、ラッピング、又はエッチングによって除去される。例えば、研削を用いて、基板402から材料の大部分を除去することができ、材料の残りの部分は薄化制御層408までエッチングによって除去される。次いで、薄化制御層408もまた、露出されエッチングされる。或いは、エッチング又は研削を用いて、基板402から全ての材料を除去することができる。別の実施形態において、多孔質Si内へのウォータジェットによるウォータ切断のような技術を用いて、基板402から材料を除去する。
【0019】
基板402からの材料の除去に続いて、基板402は半導体ウェーハ401の裏側表面を通るピクセルアレイ406におけるピクセルによる光の検知を容易にする程十分に薄い。前側表面とは異なり、裏側表面は、入射光を反射又は吸収する回路特徴部がなく、よって、ピクセルアレイ406に到達する光の量が有意に増大する。加えて、入射光によって遊離された電子は基板402内部でより短い距離を移動した後、ピクセルの収集領域上に侵入する。そのため、所定のピクセルの下で散乱された電子は、当該ピクセルによって収集される可能性が高い。これは、ピクセルアレイ406内のピクセル間の光クロストークの量を低減させる。1つの実施形態において、可視光の検出を容易にするために、基板402は、約5−10マイクロメートル厚に作製される。或いは、より薄い又はより厚い基板を用いて、選択波長の電磁波を検出することができる。例えば、僅かに厚い基板を用いて、赤外光を検出することができる。
【0020】
基板402がこのように薄いので、半導体ウェーハ401は、後続の製造ステップ中のハンドリングによる損傷を極めて受けやすい可能性がある。しかしながら、ハンドリングウェーハ410は、半導体ウェーハ401を保護するのに必要なハンドリング手段と機械的支持部とを提供する。
【0021】
1つの実施形態において、浅いp型インプラント412が、図4Dに示されるように基板402の裏面に配置される。p型インプラント412は、基板内部からの電子が基板402の裏側表面に集まるのを防止する。裏側表面での集結が許容された場合、これらの電子は、入射光の一部を反射させるようにする可能性があり、ピクセルアレイ406上に入射する光の量が減少する。別の実施形態において、図4Eに示されるように、カラーフィルタアレイ414が基板402の裏面上に配置される。カラーフィルタアレイ414は、光が基板402の裏面を照射する前に光をフィルタリングする。1つの実施形態において、反射防止層を基板402上に配置することができる。反射防止層は更に、基板の裏側表面からの入射光の反射を低減させる。或いは、反射防止層は、例えばイメージセンサと透明層416との間、及び/又は透明層416と集積レンズスタック418との間の他の領域内に配置してもよい。
【0022】
製造工程の次のステップの間、図4Fに示されるように、透明層(例えばウェーハ又はプレート)416が半導体ウェーハ401に接合される。透明層416は、ウェーハをハンドリングする手段と後続の製造ステップ中の機械的支持部との両方を提供する。
【0023】
製造工程の次のステップの間、図4Gに示されるように、ハンドリングウェーハ410が半導体ウェーハ401から除去される。透明層416は、半導体ウェーハ401用のハンドリング手段及び機械的支持部を提供するので、ハンドリングウェーハ401はもはや必要ではない。ハンドリングウェーハ410を除去することにより、バックエンドスタック400が露出され、半導体ウェーハ401のメタルルーティング層への直接電気接続が容易になる。その結果、外部電気接続部を半導体ウェーハ401の前面に直接配置することができ、半導体ウェーハ401上の回路のウェーハ試験が容易になる。
【0024】
製造工程の次のステップの間、図4Hに示されるように、集積レンズスタック418が透明層(例えばウェーハ又はプレート)416に接合される。集積レンズスタック418は、光の集束、光の減衰、或いは半導体ウェーハ401の裏面上での1つの波長の光を集中させることなど、多くの目的に役立つことができる。集積レンズスタック418は、コリメータレンズ、集束レンズ、スペーサ、及びミラー層などの層を含むことができる。1つの実施形態において、集積レンズスタック418の層は、熱硬化性樹脂を使用して共に接合される。或いは、集積レンズスタック418の層は、UV硬化接合加工又は別のタイプの接合加工を用いて共に結合される。集積レンズスタック418はまた、付加的な機械的支持部を提供する。5つのレンズ層又は2つのレンズ層を備えた集積レンズスタック418の実施形態は、オランダのAnteryon BVから商業的に入手することができる。或いは、他のレンズ製造業者が提供する様々な数のレンズ層を備えた集積レンズスタック418が使用される。
【0025】
1つの実施形態において、集積レンズスタック418は、間に空隙が無い状態で透明層416に接合される。或いは、集積レンズスタック418は、集積レンズスタック418と透明層416との間に空隙を残すスペーサ又は別のタイプのレンズ層を備えて透明層416に接合することができる。
【0026】
製造工程の最終ステップにおいて、図4Iに示されるように、バンプボンド420が半導体ウェーハ401に付加される。このステップに続いて、半導体ウェーハ401は、個々のイメージセンサモジュールにダイシングできる状態となる。1つの実施形態において、個々のセンサモジュールは、すぐに使用できるイメージングモジュールである。そのため、イメージセンサモジュールは、追加のレンズ又は外部調節装置なしでイメージ感知アプリケーションにおいて配置することができる。
【0027】
図5は、集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造の実施形態のフローチャートを示す。ステップ500で、前面にイメージ感知回路を備えた半導体ウェーハが受けられる。ステップ502で、半導体ウェーハの裏面が薄化される。ステップ504で、半導体ウェーハの裏面に透明層が付加される。ステップ506で、集積レンズスタックが透明層に結合される。
【0028】
図6は、集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサ・デバイス650の1つの実施形態の拡大図を示す。デバイス650は、イメージセンサ600と、イメージセンサ600に結合された透明層620と、透明層620に結合された集積レンズスタック616とを含むことができる。1つの実施形態において、イメージセンサ600は、基板614に結合されたバックエンドスタック612を含む。基板614は、イメージ感知回路606のアレイを含む。基板614の裏面は、イメージ感知回路606が基板614の裏側表面を通る光を検出することができるように薄化されている。
【0029】
1つの実施形態において、基板614は、可視光の検出を容易にするために約5−10マイクロメートル厚であるように作製される。或いは、基板614は、選択波長の電磁波を検出するように薄く又は厚く作製することができる。例えば、僅かに厚い基板を使用して赤外光を検知することができる。
【0030】
バックエンドスタック612は、イメージセンサ600のためのメタルルーティング層を含む。バックエンドスタック612の前面に設置された電気接続部608は、イメージセンサ600のための外部電気接続部である。
【0031】
1つの実施形態において、カラーフィルタ604が、基板614の裏側表面に配置される。カラーフィルタアレイ604は、特定の色の光だけが選択されたピクセルに達することができるようにする。
【0032】
ハンドル構成要素610は、デバイス650の製造中に使用して、製造工程の初期段階で機械的支持部及びイメージセンサ600のハンドリング手段を提供することができる。製造工程の中間段階において、透明層620が基板614の薄化された裏側表面に接合され、同様にイメージセンサ600のためのハンドリング手段及び機械的支持部を提供する。透明層620の接合に続いて、ハンドル構成要素610はもはや必要とされず、後続の製造ステップにおいて除去される(且つ廃棄される)。
【0033】
集積レンズスタック616は、透明層620に接合される。1つの実施形態において、集積レンズスタック616は、コリメータレンズ、集束レンズ、ミラー層、スペーサ、又は基板614の裏面を照射する光のタイプの制御を支援する他の層を含む、一連のレンズ618を含む。集積レンズスタック616もまた、イメージセンサ600のための追加の機械的支持部を提供する。
【0034】
裏面照明602は、イメージセンサ600に入射する例示的な光線である。裏面照明602が様々なレンズ618を通過すると、光は集束してイメージセンサ600の感光領域に向かって導かれる。
【0035】
裏面薄化は、QE*EEにおける2〜3倍増大(光クロストークの付帯的低減による)と同じであり、集積レンズスタック616は優れた製造技術を提供する。これらの改良の価値があるにもかかわらず、透明層620を含むことなくこれらの技術の組み合わせを使用するイメージセンサ600は、製造が困難になる可能性がある。1つの実施形態において、透明層620を使用することにより、イメージセンサ600のハンドリング手段と機械的支持部の両方を提供することに基づいて、ハンドリング及びパッケージングの問題を克服する。透明層620が必要な機械的支持部を提供するので、イメージセンサ600の前面にハンドリング層を取り付ける必要がない。その結果、バックエンドスタック612が覆われないので、電気接続部608を介したイメージ回路のウェーハレベルの試験が容易になる。試験の容易性に加え、透明層620への集積レンズスタック616の直接接合は、光学素子と受像器との間の空隙をなくし、光学的一様性を向上させる。更に、イメージセンサ600上のイメージ感知回路は、標準CMOSイメージ感知回路であり、特別な組立加工技術を必要としない。従って、ダイスカットされたイメージセンサ600は、極めて薄いフォームファクタの既成のデジタルカメラセンサとすることができる。
【0036】
図7は、イメージセンサ・ウェーハ、光学ハンドルウェーハ、及び集積レンズスタックの1つの実施形態を示す。イメージセンサ・ウェーハ700は、前側表面(図7でのイメージセンサ・ウェーハ700の下向き面)に作製されたイメージセンサダイス702のアレイを有する半導体ウェーハである。イメージセンサ・ウェーハ700の裏側表面(図7での上向き面)は、イメージセンサ・ウェーハ700の裏側表面から材料を除去することによって薄化されている。イメージセンサ・ウェーハ700の裏側表面を照射する光の検出を容易にするのに十分な材料が、裏側表面から除去されている。
【0037】
1つの実施形態において、裏側表面は、イメージセンサ・ウェーハの基板が約1〜10マイクロメートル厚になるまで薄化され、可視光の検出が容易になる。代替の実施形態において、イメージセンサ・ウェーハ700の裏面は、赤外光などの選択波長の電磁放射線の検出を容易にする適切な奥行きがある。
【0038】
裏側表面を通る光の検出を可能にするように裏側表面から十分な材料が除去された状態では、イメージセンサ・ウェーハ700は薄く極めて脆弱である。その結果、イメージセンサ・ウェーハ700は、ハンドリング及びパッケージングの間に容易に損傷する可能性がある。これを防ぐために、透明層706がイメージセンサ・ウェーハ700に接合される。透明層706は、イメージセンサ・ウェーハ700のためのハンドリング手段及び機械的支持部を提供する。
【0039】
集積レンズスタック704が透明層706に接合される。集積レンズスタック704は、光を透明層706を通して1つ又はそれ以上のイメージセンサ・ダイ702の裏面の感光性領域上に合焦する。加えて、集積レンズスタック704は、イメージセンサ・ウェーハ700のための付加的な機械的支持部を提供する。
【0040】
図8は、集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの1つの実施形態を示す。ダイ800は、ピクセルアレイ804及び電子機器802を含む。ダイ800の1つの実施形態において、ピクセルアレイ804は、できる限りダイ800のほぼ中心に位置し、電子機器802は、ピクセル804を囲む。或いは、ピクセルアレイ804は、ダイ800上に中心外に位置し、電子機器802はダイ800の残りの部分に分散される。
【0041】
本明細書で論議された集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサが様々な用途に使用できる点を留意されたい。1つの実施形態において、集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサは、図9に示されるように、例えば、汎用写真手段(例えばカメラ付携帯電話、スチールカメラ、ビデオカメラ)又は特殊用途写真手段である、デジタルカメラシステムに使用することができる。デジタルカメラ900は、バス905を介して結合された、ディスプレイ902、デバイス650、及びサブシステム906を含むことができる。サブシステム906は、例えば、カメラシステム900の記憶、制御、及びインターフェースオペレーションのためのハードウェーハ、ファームウェーハ及び/又はソフトウェアを含むことができ、これらは当業者には公知であり、従って、詳細な説明は提供されない。或いは、イメージセンサ600は、例えば、マシンビジョン、文書スキャン、顕微鏡、セキュリティ、バイオメトリックス、その他の他のタイプの用途で使用することができる。
【0042】
本発明の特定の実施形態が示されたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に記載された特定の実施形態によって限定されず、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】イメージセンサを示す図である。
【図2】集積レンズスタックを示す図である。
【図3】裏面照射型イメージセンサを示す図である。
【図4A】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4B】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4C】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4D】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4E】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4F】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4G】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4H】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図4I】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの製造工程の実施形態を示す図である。
【図5】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの作製の実施形態のフローチャートを示す図である。
【図6】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの1つの実施形態の拡大図である。
【図7】イメージセンサ・ウェーハ、光学ハンドルウェーハ及び集積レンズスタックの1つの実施形態を示す図である。
【図8】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサの1つの実施形態を示す図である
【図9】集積レンズスタックを備えた裏面薄化イメージセンサを有するカメラシステムの1つの実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にイメージ感知回路を備え、薄化裏側表面を有するイメージセンサと、
前記イメージセンサの薄化裏側表面上に配置された透明構成要素と、
前記透明構成要素上に配置された集積レンズスタックと、
を含む装置。
【請求項2】
前記透明構成要素が光学ハンドル構成要素である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記透明構成要素が透明ウェーハ又は透明プレートである、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記イメージセンサと前記透明構成要素との間に配置されたカラーフィルタを更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記イメージセンサと前記透明構成要素との間、又は前記透明構成要素と前記集積レンズスタックとの間の少なくとも一方に配置された反射防止層を更に含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記イメージセンサと前記透明構成要素との間の前記イメージセンサの裏側表面に配置されたp型インプラントを更に含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記イメージセンサが、シリコン・オン・インシュレータに基づく技術を用いて作製される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記イメージセンサが、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスとして構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、フリップチップ構成の電気接続部を有する、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記集積レンズスタックが、複数のレンズ層を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記集積レンズスタックが、少なくとも1つの波長の光を前記イメージセンサ上に合焦させる、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前面に複数のイメージ感知回路を有するウェーハの裏側表面を薄化する段階と、 前記ウェーハの薄化裏側表面上に透明層を配置する段階と、
前記透明層上にウェーハスケールの集積レンズスタックを配置する段階と、
を含む方法。
【請求項13】
製作中に前記透明層を光学ハンドリング層として使用する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ウェーハと前記透明層との間の前記ウェーハの裏面にカラーフィルタアレイを結合する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ウェーハ、前記透明層、又は前記ウェーハスケール集積レンズスタックのうちの少なくとも1つの上に反射防止層を配置する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ウェーハと前記透明層との間の前記ウェーハの裏側表面上にp型インプラントをインプラントする段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
製作中に前記ウェーハをハンドリングするのに使用するハンドリングウェーハを前記ウェーハの前面に配置する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記制作中の前記ウェーハをハンドリングした後に、前記ウェーハの前側表面から前記ハンドリングウェーハを除去する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記イメージ感知回路をウェーハ試験する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記ウェーハの前面にバンプボンドを配置する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記ウェーハをダイスカットする段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
シリコン・オン・インシュレータベース技術を用いて前記ンウェーハを作製する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項23】
薄化裏側表面を備えた、前記薄化裏側表面上に透明構成要素が配置され且つ前記透明構成要素上に集積レンズスタックが配置されるイメージセンサを準備する段階と、
入射光を前記集積レンズスタックを通して前記イメージセンサの裏面上に合焦させる段階と、
裏面照射された前記イメージセンサによって生成される電気信号を処理する段階と、
を含む方法。
【請求項24】
前記電気信号を処理する段階が、前記電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する段階、又は前記電気信号を調整する段階のうちの少なくとも一方を更に含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
入射光を合焦させる段階が、特定の波長の入射光を前記イメージセンサの裏面上に合焦させる段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前面に複数のイメージ感知回路を有し且つ薄化裏側表面を有する前記半導体ウェーハと、
前記半導体ウェーハの薄化裏側表面上に配置された透明層と、
前記透明層に結合されたウェーハスケール集積レンズスタックと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項27】
前記透明層が光学ハンドリングウェーハである、
ことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記半導体ウェーハと前記透明層との間に配置されたカラーフィルタアレイを更に備える、
ことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項29】
前記半導体ウェーハと前記透明層との間に配置された反射防止層を更に備える、
ことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記半導体ウェーハと前記透明層との間の前記半導体ウェーハの裏側表面上に配置されたp型インプラントを更に備える、
ことを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記ウェーハスケール集積レンズスタックが複数のレンズ層を含む、
ことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記半導体ウェーハがシリコン・オン・インシュレータ型ウェーハとして構成される、
ことを特徴とする請求項26に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−507392(P2009−507392A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529989(P2008−529989)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029480
【国際公開番号】WO2007/030226
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(301020237)サイプレス セミコンダクター コーポレイション (18)
【Fターム(参考)】