説明

集積回路、及び光ディスク装置

【課題】光ディスク装置の小型化及びコスト低減を図る。
【解決手段】集積回路106は、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスアクチュエータ118の駆動信号を生成するフォーカス制御を行うフォーカス制御部134と、フォーカス制御の異常の有無を判定するマイクロコンピュータ133と、複数の回転角度に対応するフォーカス制御異常時に用いる異常時制御信号を記憶する記憶回路125とを備え、フォーカス制御部134は、マイクロコンピュータ133によってフォーカス制御の異常が有ると判定された半径位置では、フォーカス制御を停止して記憶回路125に記憶された異常時制御信号に基づいてフォーカスアクチュエータ118の駆動信号を回転角度に応じて生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱又は光によって変色する変色層を有する光ディスクにレーザ光を照射することにより可視画像を描画する光ディスク装置、及び当該光ディスク装置に設けられる集積回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録可能な光ディスクのデータ記録層にレーザ光を照射し、データ記録層の可視光特性を変化させて任意の絵、文字等の画像を描画する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、光ディスクのレーベル面に変色層を形成し、この変色層に光ディスクのレーベル面側よりレーザ光を照射し、変色層の可視光特性を変化させて任意の絵、文字等の画像を描画する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献3に開示された光ディスク装置は、データ記録層や変色層にフォーカス制御がかかり難い場合を想定し、フォーカス制御を行わない状態で、フォーカスアクチュエータに振動信号を印可して対物レンズをその光軸方向に振動させることにより、光ビームの焦点が描画対象の変色層を繰り返し通過するようにして可視光特性を変化させる。また、特許文献3の光ディスク装置には、光ディスクにおけるレーザ光の照射位置において、ディスク面がレーザ光の光軸方向へ変位する量を光学的手法、機械的手法等で計測する面振れ追従信号発生装置が設けられている。この面振れ追従信号発生装置は、光ディスクの面振れに大まかに追従するため、上記振動信号に合わせて面振れ追従信号をフォーカスアクチュエータに印可する。
【0004】
特許文献4に開示された光ディスク装置は、トラッキング制御を行わない状態でトラッキング方向変位部(トラッキングアクチュエータ)により対物レンズを光ディスクの半径方向に所定の設定周波数で振動させながら画像を描画する。これによって、周回毎のレーザ光の走査間隔が埋められて、隙間のない画像が得られる。また、前記設定周波数は、トラッキング方向変位部に固有の共振周波数以外の周波数に設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−283470号公報
【特許文献2】特開2002−203321号公報
【特許文献3】特開2006−085849号公報
【特許文献4】特開2007−179633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献3では、面振れ追従信号発生装置を設けるので、光ディスク装置の大型化やコスト増大の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、光ディスク装置の小型化及びコスト低減を目的とする。
【0008】
また、上記特許文献4では、駆動電流によってトラッキング方向変位部が発熱し、破損するおそれがある。この問題は、特に、レーベル面全体に描画を行う場合に顕著である。また、破損を防止するため、光ヘッドやトラッキング方向変位部の耐熱性を高めると、光ヘッドのコスト増大や光ディスク装置の大型化の問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑み、光ヘッドのコスト増大や光ディスク装置の大型化の問題を生じさせることなく光ヘッドやトラッキング方向変位部の発熱による破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、熱又は光によって変色する変色層を有する光ディスクに可視画像を描画する光ディスク装置に設けられる集積回路であって、前記光ディスク装置は、レーザ光を集束させて前記光ディスクの変色層に照射する集束部と、前記集束部を前記光ディスクの変色層に垂直な方向へ駆動信号に応じた量変位させるフォーカス方向変位部とを備え、前記レーザ光を照射した状態で前記光ディスクを所定回転数回転させる毎にレーザ光の照射位置を光ディスクの径方向に所定幅移動させることにより可視画像を描画するものであり、前記集積回路は、フォーカスエラー信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を生成するフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、前記フォーカス制御の異常の有無を判定するフォーカス制御異常判定部と、複数の回転角度に対応するフォーカス制御異常時に用いる異常時制御信号を記憶する記憶部とを備え、前記フォーカス制御部は、前記フォーカス制御異常判定部によってフォーカス制御の異常が有ると判定された半径位置では、前記フォーカス制御を停止して前記記憶部に記憶された異常時制御信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を回転角度に応じて生成することを特徴とする。
【0011】
この態様によると、フォーカス制御の異常が有ると判定された半径位置では、前記記憶部に記憶された異常時制御信号に基づく駆動信号によりフォーカス方向変位部が駆動する。したがって、光ディスクの変色層にレーザ光の焦点を位置させるための適切な異常時制御信号を記憶部に記憶させておくことにより、面振れ追従信号発生装置を設けることなく、光ディスクの変色層にレーザ光の焦点位置を追従させながらの描画を可能にできる。
【0012】
また、本発明の一態様は、熱又は光によって変色する変色層を有する光ディスクにレーザ光を照射することにより可視画像を描画する光ディスク装置に設けられる集積回路であって、前記光ディスク装置は、前記レーザ光を集束して前記変色層に照射する集束部と、前記集束部を駆動電流に応じて前記光ディスクの径方向に設定周波数で変位させるものであり、2次系の伝達特性を有するトラッキング方向変位部とを備え、前記集積回路は、前記可視画像の描画中、前記トラッキング方向変位部のゲインがDCゲインよりも高くなる周波数範囲に前記設定周波数を設定する設定部を備えていることを特徴とする。
【0013】
この態様によると、トラッキング方向変位部のゲインがDCゲインよりも高くなるので、トラッキング方向変位部が小さい駆動電流で集束部を変位させることができる。したがって、駆動電流を小さくしてトラッキング方向変位部の発熱を抑えられるので、トラッキング方向変位部の耐熱性を高めるための光ヘッドのコスト増大や光ディスク装置の大型化の問題を生じさせることなく、トラッキング方向変位部の発熱による破損を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、面振れ追従信号発生装置を設けることなく、光ディスクの変色層にレーザ光の焦点位置を追従させながらの描画を可能にできる。
【0015】
本発明により、トラッキング方向変位部の耐熱性を高めるための光ヘッドのコスト増大や光ディスク装置の大型化の問題を生じさせることなく、トラッキング方向変位部の発熱による破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る光ディスクの一部断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るマイクロコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係る記憶回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る光ディスク装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形態1に係るマイクロコンピュータの動作を示すフローチャートである。
【図7】光ディスクに付着物がある場合の反射光量を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施形態1の変形例に係る異常判定回路の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施形態2に係るトラッキングアクチュエータのゲイン特性を示すボード線図である。
【図11】本発明の実施形態2に係る光ディスク装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態2に係るトラッキングアクチュエータの駆動電流とレンズ変位信号との関係を示すグラフである。
【図13】(a)は、本発明の実施形態2に係るステップ信号発生回路によって出力されるステップ信号に応じたトラッキングアクチュエータの駆動電流を示すタイミングチャートである。(b)は、レンズ変位信号を示すタイミングチャートである。
【図14】(a)は、光ビームのスポットがトラックを横断した場合のレンズ変位信号を示すタイミングチャートである。(b)は、トラック横断信号を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
《実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る光ディスク装置100を示す。
【0019】
光ディスク装置100は、光ディスク101に対して記録再生を行う。光ディスク101は、レーベル面側に光によって変色する変色層201(後述する)を有しており、レーベル面には画像の描画が可能になっている。なお、変色層201として熱によって変色するものを用いてもよい。
【0020】
光ディスク装置100は、ディスクモータ102、FG発生回路103、光ヘッド104、レーザ駆動回路105、集積回路106、電力増幅回路107〜109、及び移送モータ110を備えている。
【0021】
ディスクモータ102には、光ディスク101が取り付けられ、ディスクモータ102は、光ディスク101を所定の回転数で回転させる。本実施形態では、レーベル面側からレーザ光121が照射されるように光ディスク101がディスクモータ102に取り付けられている。
【0022】
FG発生回路103は、ディスクモータ102が回転する時に生じる逆起電圧に基づいて、ディスクモータ102の回転速度に対応した周波数のFG信号を生成する。FG発生回路103は、ディスクモータ102の1回転あたり6パルスのFG信号を生成する。なお、ディスクモータ102の1回転あたりのFG信号のパルス数は6パルスに限らない。
【0023】
光ヘッド104は、レーザ111、カップリングレンズ112、偏光ビームスプリッタ113、1/4波長板114、光検出器115、検出レンズ116、円筒レンズ117、フォーカスアクチュエータ(フォーカス方向変位部)118、トラッキングアクチュエータ119、及び対物レンズ(集束部)120を備えている。
【0024】
レーザ111は、レーザ光121を発生し、発生されたレーザ光121はカップリングレンズ112で平行光にされ、その後、偏光ビームスプリッタ113及び1/4波長板114を通過する。対物レンズ120は、1/4波長板114を通過したレーザ光121を集束させて光ディスク101のレーベル面の変色層201上に照射する。
【0025】
光ディスク101のレーベル面により反射された反射光は、対物レンズ120、1/4波長板114、偏光ビームスプリッタ113、検出レンズ116、及び円筒レンズ117を通過して光検出器115に入射する。光検出器115は、入射する反射光を検出する。
【0026】
なお、光ディスク101の記録面(レーベル面と反対の面)にデータを記録する際、及び記録面のデータを再生する際は、記録面側からレーザ光121が照射されるように光ディスク101をディスクモータ102に取り付ける。この場合、光ディスク101の記録面により反射された反射光は、レーベル面により反射される反射光と同様に、対物レンズ120、1/4波長板114、偏光ビームスプリッタ113、検出レンズ116、及び円筒レンズ117を通過して光検出器115に入射する。
【0027】
レーザ駆動回路105は、レーザ111を駆動する。再生時のレーザパワーや記録時のレーザパワーが、後述するマイクロコンピュータ133によってレーザ駆動回路105に設定される。
【0028】
フォーカスアクチュエータ118は、フォーカス用コイル118aと、永久磁石(図示せず)とにより構成されている。またフォーカスアクチュエータ118の可動部には、上記対物レンズ120が取り付けられている。フォーカスアクチュエータ118のフォーカス用コイル118aには、後述する電力増幅回路107により出力された電圧に応じた電流が流れる。また、フォーカス用コイル118aは、永久磁石から磁気力を受け、これにより対物レンズ120が、光ディスク101のレーベル面及び記録面(レーベル面と反対の面)と垂直な方向(図では上下方向)に移動する。
【0029】
トラッキングアクチュエータ119は、トラッキング用コイル119aと、永久磁石(図示せず)とにより構成されている。トラッキングアクチュエータ119のトラッキング用コイル119aには、電力増幅回路108により出力された電圧に応じた電流が流れる。また、トラッキング用コイル119aは、永久磁石から磁気力を受け、これにより対物レンズ120が、光ディスク101の径方向(図では左右方向)に変位する。
【0030】
集積回路106は、フォーカスエラー信号生成回路(以下、FE生成回路と記す)122、位相補償回路123、加算回路124、記憶回路125、加算回路126、トラッキングエラー信号生成回路(以下、TE生成回路と記す)127、位相補償回路128、加算回路129、反射光量検出回路130、振動信号発生回路131、振動信号発生回路132、及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンと記す)133を備えている。
【0031】
FE生成回路122は、光検出器115によって検出された反射光に基づいて、レーザ光121の焦点と、光ディスク101の変色層201とのずれを示すフォーカスエラー信号(以下、FE信号と記す)を生成する。
【0032】
位相補償回路123は、フォーカス制御系を安定させるために、FE生成回路122により生成されたFE信号の位相を進めて出力するフィルタである。位相補償回路123は、フォーカス制御の停止中、ゼロを出力する。
【0033】
記憶回路125は、フォーカス制御異常時に位相補償回路123の出力の代わりに用いる異常時制御信号を、光ディスク101の複数の回転角度について記憶する。
【0034】
前記位相補償回路123、加算回路124、記憶回路125、及び加算回路126でフォーカス制御部134が構成されている。このフォーカス制御部134は、FE生成回路122により生成されたフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスアクチュエータ118の駆動信号を生成するフォーカス制御を行う。このフォーカス制御はフィードバック制御である。このフォーカス制御により生成される駆動信号は、レーザ光121の焦点が常に変色層201上に位置するように対物レンズ120を変位させるよう、フォーカスアクチュエータ118を駆動する。
【0035】
TE生成回路127は、レーベル面の内周に予めトラックが形成された領域においては、トラックとレーザ光121のビームスポットのずれを示すトラッキングエラー信号(以下、TE信号と記す)を生成する。TE信号は、一般にプッシュプル法と呼ばれる検出方式の場合、レーザ光121の光ディスク101からの反射光を受光する2分割光検出器の出力の差信号に基づいて算出される。前記トラックが形成された領域には、描画のためのコントロールデータが記録されている。
【0036】
位相補償回路128は、トラッキング制御系を安定させるために、TE生成回路127により生成されたTE信号の位相を進めて出力するフィルタである。位相補償回路128は、トラッキング制御の停止中、ゼロを出力する。
【0037】
反射光量検出回路130は、光検出器115により検出された反射光の光量を検出し、マイコン133に出力する。
【0038】
振動信号発生回路131は、振動信号を発生する。この振動信号は、対物レンズ120を光ディスク101の記録面と垂直な方向に所定の周期及び振幅で変位するように発生される。
【0039】
振動信号発生回路132は、レーベル面への画像の描画の際、振動信号を発生する。この振動信号は、レーザ光121のビームスポットが光ディスク101の変色層201上において径方向に所定の周期及び振幅で変位するように発生される。
【0040】
電力増幅回路107は、加算回路124により出力された電力を増幅してフォーカスアクチュエータ118のフォーカス用コイル118aに電流を供給する。
【0041】
電力増幅回路108は、加算回路129により出力された電力を増幅してトラッキングアクチュエータ119のトラッキング用コイル119aに電流を供給する。前記位相補償回路128及び電力増幅回路108により、TE信号に応じて対物レンズ120が駆動され、レーザ光121の焦点が常にトラック上に位置するよう制御される。なお、このトラッキング制御系は、光ディスク101の記録面にデータを記録する際、及び記録面のデータを再生する際にも用いられる。
【0042】
電力増幅回路109は、マイコン133によって出力されたディスクモータ102の制御信号を増幅してディスクモータ102に出力する。
【0043】
移送モータ110は、例えばステッピングモータであり、光ヘッド104を光ディスク101の径方向に移動させる。移送モータ110は、マイコン133によって制御される。
【0044】
図2は、光ディスク101の断面を示す。光ディスク101は、DVD−Rディスクである。なお、光ディスク101として、他の種類の光ディスクを用いてもよい。
【0045】
光ディスク101のレーベル面側は、ポリカーボネート等の第1の基板200の片面に変色層201、反射層202を順次成膜した構成となっている。また、記録面側の構成は、第2の基板206の片面に色素層205、反射層204を順次成膜した構成となっている。反射層202と反射層204との間は、レーベル面側と記録面側を貼り合わせるための貼り合わせ接着層203で構成されている。第1の基板200及び第2の基板206の厚さは、約0.6mmである。また、変色層201、反射層202、204、貼り合わせ接着層203、色素層205の厚さは、第1の基板200の厚さに比べ無視できる厚さである。したがって、レーベル面側から変色層201に光ビームを照射した場合のFE信号と記録面側から色素層205に光ビームを照射した場合のFE信号とは、ほぼ同じ特性を有する。すなわち、レーベル面に描画する際のフォーカス制御は、記録面にデータを記録する際のフォーカス制御と同様に行うことができる。
【0046】
次に、上記のように構成された光ディスク装置100におけるマイコン133の動作を図3を参照して説明する。
【0047】
コンピュータ等により光ディスク装置100へ描画を指示されると、マイコン133は、ディスクモータ102を制御するための信号を出力することにより、所定の回転数で光ディスク101を回転させる(S300)。次に、マイコン133が、レーザ駆動回路105を制御することによりレーザ111を再生パワーで発光させ(S301)、フォーカス制御を動作状態とする(S302)。そして、マイコン133が移送モータ110を制御することにより光ヘッド104を移送させてレーザ光121のビームスポットをコントロールデータ領域へ移動させる(S303)。次に、マイコン133がトラッキング制御を動作状態とするとともに(S304)コントロールデータを取得し(S305)、描画時のレーザパワー等を描画のために設定する。次に、マイコン133はトラッキング制御の動作を停止させ(S306)、移送モータ110を制御することによりレーザ光121のビームスポットを描画開始半径位置へ移動させる(S307)。そして、振動信号発生回路132を動作させる(S308)。
【0048】
光ディスク装置100は、光ディスク101がN回転する期間同一の描画データを重ね書きする(S309)。光ディスク101がN回転すると、(S310)において、描画終了半径位置まで描画が完了したかを判断し、完了している場合は(S311)に進み、完了していない場合には(S315)に進む。(S315)では、光ヘッド104を外周方向へLμm移送して(S309)に戻る。(S311)では、振動信号発生回路132の動作を停止し、その後、フォーカス制御を停止(S312)し、レーザ111をオフ(S313)し、ディスクモータ102をオフ(S314)して描画を完了する。
【0049】
図4は、記憶回路125の構成を示す。
【0050】
記憶回路125は、端子400、401、402、403、A/D変換器404、カウンタ405、メモリ406、及びD/A変換器407を備えている。
【0051】
端子400は位相補償回路123に接続され、端子401はFG発生回路103に接続され、端子402は加算回路126に接続され、端子403はマイコン133に接続される。
【0052】
A/D変換器404は、位相補償回路123の出力信号をデジタル値に変換してメモリ406のデータバスに出力する。
【0053】
カウンタ405は、FG信号の立上がりエッジをカウントし、カウント値をメモリ406のアドレスバスへ送る。カウンタ405は、カウント値が5になると次の立上がりエッジでゼロにリセットされる構成になっている。従って、アドレスバスの値は、0から5の値となる。
【0054】
メモリ406は、マイコン133によってライトのモードが設定されている状態では、FG信号の立下りエッジで、アドレスバスの値により指定されたアドレスに、データバスの値を記憶する。一方、メモリ406は、マイコン133によってリードのモードが設定されている状態では、FG信号の立下りエッジで、アドレスバスの値により指定されたアドレスに記憶している値をデータバスに出力する。
【0055】
D/A変換器407は、データバスの値をアナログ値に変換して出力する。なお、D/A変換器407は、ライトのモードが設定されている状態では、ゼロレベルの信号を出力する。
【0056】
次に、図5を参照して記憶回路125の動作を説明する。波形(a)は、FG信号を示す。波形(b)は、A/D変換器404の入力信号を示す。(c)は、各タイミングに対応するメモリのアドレスを示す。
【0057】
まず、ライトモードでの動作を説明する。カウンタ405は、波形(a)の立上がりエッジをカウントする。従って、t0、t2、t4、t6、t8、t10でカウント値が増える。t10でカウント値が5になり、t12でカウント値はリセットされ、ゼロとなる。メモリ406は、波形(a)の立下りエッジでA/D変換器404の出力値を記憶する。t1では、カウント値がゼロであるのでアドレス0に波形(b)のt1のレベルであるV0が記憶される。t3では、カウント値が1であるのでアドレス1に波形(b)のt3のレベルであるV1が異常時制御信号として記憶される。同様に、t5、t7、t9、t11で波形(b)のレベルであるV2、V3、V4、V5が異常時制御信号として記憶される。
【0058】
一方、リードモードでは、カウンタ405のカウント値に応じたアドレスに記憶された異常時制御信号が呼び出される。ディスクの面振れ量は、光ディスク101の回転角度が同じであればほぼ同じになる。従って、メモリのアドレスが光ディスク101の回転角度に対応し、異常時制御信号の値がその回転角度での面振れ量に相当する。フォーカス制御をオフして、記憶回路125に記憶された異常時制御信号をカウンタ405のカウント値に応じて読み出してフォーカスアクチュエータ118を駆動すれば、レーザ光121の焦点はおおよそ変色層201に位置する。
【0059】
なお、振動信号発生回路131により発生される振動信号の値は、対物レンズ120の変位が、フォーカス制御をオフした状態で記憶回路125に記憶された値によってフォーカスアクチュエータ118を駆動する際に発生するデフォーカス以上となるように設定されている。
【0060】
次に、レーベル面上に付着物等があり光ディスク101でレーザ光121が正常に反射しない場合の動作を説明する。付着物が大きい場合には、正常なFE信号が長期間得られなくなる。このために、デフォーカスが増大し、光ディスク101の変色層201とレーザ光121の焦点位置との間隔がFE信号を検出可能な範囲から外れ、フォーカス制御を一旦オフして再度オンする必要が生じる。しかしながら、付着物のある同一の半径位置で再度フォーカス制御をオンしても再度同様の状態になる。
【0061】
そこで、マイコン133は、反射光量検出回路130によって検出された反射光量が所定時間以上、所定レベルより低くなっていることを検出すると、フォーカス制御をオフし、記憶回路125をリードモードにして振動信号発生回路131を動作させる。
【0062】
フォーカス制御をオフした半径位置から所定区間は、フォーカスアクチュエータ118は、記憶回路125に記憶されている異常時制御信号により駆動されるとともに、マイコン133によりフォーカス制御をオフした状態で描画が行われる。従って、上記所定区間の描画中、レーザ光121の焦点は、おおよそ変色層201に位置する。所定区間の描画が完了すると、マイコン133は、振動信号発生回路131をオフし、記憶回路125をライトモードにして再度フォーカス制御をオンする。
【0063】
次に、図6のフローチャートを用いて動作を説明する。フォーカス制御の異常検出は、描画動作に並行して実行される。
【0064】
マイコン133は、異常検出を開始する際、タイマーをスタートさせる(S500)。次に、描画が描画終了半径位置まで完了しているか、すなわち、描画が完了しているかを判断する(S501)。描画が完了していない場合には、(S502)に進む一方、描画が完了している場合には、異常検出を終了する。(S502)では異常を検出してフォーカス制御がオフ状態であるか否かを判断し、フォーカス制御がオン状態である場合は(S503)に進む一方、フォーカス制御がオフ状態である場合は(S511)に進む。 (S503)では、反射光量が所定のレベルPdより低いか否かを判断し、低くない場合には、(S504)でタイマーをクリアして(S501)へ戻る。付着物等によって反射光量が低下すると(S503)で反射光量が所定のレベルPdより低いと判断され、(S505)の処理が行われる。(S505)では、タイマー値が基準Tdより大きいか否かを判断し、タイマー値が基準Tdより小さい場合には再度(S501)へ戻る一方、タイマー値が基準Tdより大きい場合には(S506)に進む。(S506)では、この時点での光ヘッド104の半径位置Rdを取得する。そして、フォーカス制御(フィードバック制御)をオフし(S507)、記憶回路125をリードモードに設定し(S508)、振動信号発生回路131をオンする(S509)。次に、タイマーを停止して(S510)、再度(S501)へ戻る。
【0065】
(S502)でフォーカス制御がオフ状態になると判断した場合、(S511)において、現時点での光ヘッド104の半径位置Rnを取得し、(S512)においてフォーカス制御をオフしてから所定区間描画したか否かを判断する。図6中の式において、所定区間をRkとする。所定区間を描画していない場合には(S501)へ戻る一方、所定区間を描画している場合には振動信号発生回路131をオフし(S513)、記憶回路125をライトモードに設定する(S514)。そして、フォーカス制御を再度オンして(S515)、(S500)へ戻る。
【0066】
図7は、光ディスク101に付着物がある場合の反射光量の変化を例示する。
【0067】
図7では、付着物によって反射光量が低下し、t10で基準のレベルであるPdより小さくなっている。t10でタイマーがスタートして、Td時間経過後のt11でフォーカス制御の異常が検出される。
【0068】
本実施形態によると、フォーカス制御の異常が有ると判定された半径位置では、記憶回路125に記憶された異常時制御信号に基づく駆動信号によりフォーカスアクチュエータ118が駆動する。したがって、光ディスク101の変色層201にレーザ光の焦点を位置させるための適切な異常時制御信号を記憶回路125に記憶させておくことにより、面振れ追従信号発生装置を設けることなく、光ディスク101の変色層201にレーザ光の焦点位置を追従させながらの描画を可能にできる。
【0069】
なお、フォーカス制御をオフした状態では、記憶回路125に記憶された値によってフォーカスアクチュエータ118が駆動されるが、フォーカス制御がオンの状態に比べてデフォーカスが増大する。デフォーカスが増大すると、描画された画像が薄くなるおそれがある。そこで、図6の(S510)の後、すなわち記憶回路125に記憶された異常時制御信号が用いられている場合に、フォーカス制御の実行中よりもレーザパワーを高くするようにしてもよい。同様に、図6の(S510)の後、すなわち記憶回路125に記憶された異常時制御信号が用いられている場合に、フォーカス制御の実行中よりも図3の(S309)での回転数N、つまり重ね書きの回数を大きくしてもよい。さらに、図6の(S510)の後、すなわち記憶回路125に記憶された異常時制御信号が用いられている場合に、フォーカス制御の実行中よりも図3の(S315)における光ヘッドの移送量Lμmを小さくしてもよい。これらの方法により、デフォーカスの増大により画像が薄くなることを防止できる。なお、これらの方法を採用する場合には、図6の(S515)で設定値を初期値に戻すようにする。
【0070】
また、本実施形態では、FG発生回路103が、ディスク1回転で6パルスを出力するとしたが、1回転あたりのパルス数はこれに限らず、1回転あたりのパルス数を増やすことにより精度を向上させることができる。また、FG信号に代えて、FG信号を逓倍した信号を記憶回路125に入力してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、フォーカス制御の異常の有無を反射光量に基づいて判定したが、位相補償回路123の出力信号、すなわちフォーカス制御部134のフォーカス制御により生成された駆動信号の絶対値が所定レベルよりも高くなっているか否かに基づいて判定してもよい。付着物によってデフォーカスが増大し、光ディスク101の変色層201とレーザ光121の焦点位置との間隔がFE信号を検出可能な範囲を逸脱してフォーカス制御が正常に行われなくなると、位相補償回路123の出力値が正側または負側に増大する。
【0072】
例えば、光ディスク装置100に、図8に示すような異常判定回路を設けてもよい。図8の異常判定回路は、端子600、絶対値回路601、LPF(Low Pass Filter)602、及び端子603を備えている。端子600は位相補償回路123の出力端子に接続され、端子603はマイコン133に接続される。絶対値回路601は、入力信号の絶対値を出力する。LPF602は、絶対値回路601によって出力された絶対値から高い周波数のノイズ成分を除去して出力する。マイコン133は、LPF602の出力信号のレベルが、所定時間、所定レベルより大きくなった場合にフォーカス制御の異常と判断する。
【0073】
《実施形態2》
図9は、本発明の実施形態2に係る光ディスク装置700を示す。なお、実施形態1と同じ符号を付した構成要素は、実施形態1と同様の動作を行うので、再度の説明を省略する。
【0074】
光ディスク装置700は、実施形態1の光ヘッド104に代えて光ヘッド704を備え、実施形態1の集積回路106に代えて集積回路706を備えている。
【0075】
光ヘッド704は、実施形態1の光ヘッド104の構成に加え、温度センサ701を備えている。温度センサ701は、トラッキング用コイル119aの付近に取り付けられ、トラッキングアクチュエータ119の温度を検出する。
【0076】
集積回路706は、FE生成回路122、位相補償回路123、TE生成回路727、位相補償回路128、加算回路129、振動信号発生回路732、ステップ信号発生回路702、加算回路703、及びマイクロコンピュータ(以下、マイコンと記す)733を備えている。
【0077】
振動信号発生回路732は、マイコン733により設定される設定周波数及び振幅の正弦波を発生する。
【0078】
ステップ信号発生回路702は、マイコン733からの指令に応じてステップ信号を発生する。
【0079】
TE生成回路727は、レーベル面の内周に予めトラックが形成された領域においては、トラックとレーザ光121のビームスポットとのずれを示すTE信号を生成する。また、トラックのない描画領域では、対物レンズ120の中立位置からの変位を示すレンズ変位信号を生成する。
【0080】
レーベル面に画像を描画する際は、マイコン733がトラッキング制御を停止させ、振動信号発生回路732の出力が加算回路129を介して電力増幅回路108へ送られる。これにより、レーザ光121のビームスポットが、光ディスク101の変色層201上において径方向に所定の設定周波数(所定の周期)及び所定の振幅で変位する。トラッキング制御の停止中、位相補償回路128の出力はゼロになっている。また、レーベル面に画像を描画する間、ステップ信号発生回路702の出力もゼロになっている。
【0081】
駆動電流を入力とし、対物レンズ120の光ディスク101の径方向への変位量を出力とするトラッキングアクチュエータ119は、振動的な2次系の伝達特性を有している。図10は、トラッキングアクチュエータ119の駆動電流の振幅を一定にして設定周波数を変えながら対物レンズ120の径方向の変位量をプロットしたものである。図10において、横軸は設定周波数を示し、縦軸はトラッキングアクチュエータ119により駆動される対物レンズ120の変位量のゲインを示す。なお、横軸、縦軸は、共に対数軸である。周波数f0が、トラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数である。周波数f0でゲインが最も高くなり、f0より若干高い周波数f1以上の周波数では一定の傾きでゲインは低くなる。また、f0より若干低い周波数f2以下でゲインは一定となる。周波数f1、f2でのゲインをDCゲインと記す。対物レンズ120を光ディスク101の径方向に所定の振幅で振動させる場合、周波数f0で振動させることにより、駆動電流を低減することができる。
【0082】
次に、上記のように構成された光ディスク装置700におけるマイコン733の動作を図11を参照して説明する。実施形態1の図3に示す動作と同じ動作は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
マイコン733は、(S800)において描画状態での振動信号発生回路732の設定周波数fwと振幅Hwを決定する。この設定周波数fwは、トラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数f0である。一方、振幅Hwは、対物レンズ120を所定量変位させるための値であり、トラッキングアクチュエータ119の設定周波数を周波数fwにした場合のゲインに基づいて算出される。設定周波数fw及び振幅Hwの決定方法については後述する。次に、(S801)において、マイコン733は、(S800)で決定した設定周波数fwと振幅Hwを振動信号発生回路732に設定し、振動信号発生回路732を動作状態とする。
【0084】
マイコン733は、描画が完了すると、(S802)において振動信号発生回路732の動作を停止させる。
【0085】
次に、(S800)における設定周波数fw及び振幅Hwの決定方法について説明する。
【0086】
図12は、レーザ光121がトラックのない描画領域に照射されている場合のトラッキングアクチュエータ119の駆動電流に対するTE生成回路708の出力信号の関係を示す。このとき、TE生成回路708の出力信号は、対物レンズ120の光ディスク101の径方向への変位量を示すレンズ変位信号である。マイコン733は、トラッキングアクチュエータ119のDCゲインを予め内部のメモリに記憶しており、レンズ変位信号に基づいて対物レンズ120が光ディスク101の径方向に何μm変位しているかを認識することができる。
【0087】
設定周波数fw及び振幅Hwの決定時におけるマイコン733の動作を、図13を参照して説明する。
【0088】
マイコン733は、ステップ信号発生回路702をt50で動作させる。これにより、トラッキングアクチュエータ119にステップ波形の駆動電流が流れ、対物レンズ120が光ディスク101の径方向に変位し、レンズ変位信号が、図13(b)に示すように変化する。図13(b)において、Lsは、応答が整定した状態でのレンズ変位信号のレベルを示す。レンズ変位信号は、t50から増加してt51で最大値となり、t53で極小値となり、t55で極大値となる。トラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数は、t51からt55までの時間Taの逆数に略等しい。したがって、マイコン733は、時間Taの逆数を算出する。また、マイコン733は、固有の共振周波数におけるゲインを、t51のレンズ変位信号のレベルとレベルLsとに基づいて求めることができる。なぜならば、図10に示した固有な共振周波数でのゲインの増加量であるMpとLsの関係は伝達特性に応じて決まるからである。
【0089】
マイコン733は、振動信号発生回路732の設定周波数fwとして1/Taを設定し、固有の共振周波数におけるゲインに基づいて、所定の変位をさせるための振幅Hwを算出して設定する。
【0090】
また、トラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数が温度変化に応じて変化することがある。したがって、マイコン733は、所定時間毎に温度センサ701によって検出された温度を前回検出した温度と比較し、前記所定時間で所定値以上の温度変化があった場合に、(S800)の動作、すなわち設定周波数fw及び振幅Hwの決定及び設定を行う。
【0091】
本実施形態によると、トラッキングアクチュエータ119のゲインがDCゲインよりも高くなるので、トラッキングアクチュエータ119が小さい駆動電流で対物レンズ120を変位させることができる。したがって、駆動電流を小さくしてトラッキングアクチュエータ119の発熱を抑えられるので、トラッキングアクチュエータ119の耐熱性を高めるための光ヘッド704のコスト増大や光ディスク装置700の大型化の問題を生じさせることなく、トラッキングアクチュエータ119の発熱による破損を防止できる。
【0092】
なお、トラッキングアクチュエータ119の温度による共振周波数の変化が小さい場合は、マイコン733が(S800)の処理を行わず、固定された設定周波数fwと振幅Hwの値がマイコン733のメモリに予め記録され、これらの値が用いられるようにしてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、マイコン733が、レンズ変位信号に基づいてトラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数及びゲインを算出した。しかし、レーベル面の内周のトラックが形成されたコントロールデータ領域におけるTE信号を用いて算出してもよい。
【0094】
図14(a)は、レーザ光121のビームスポットがトラックを横断した場合のTE生成回路127の出力信号(TE信号)の例を示す。横軸は時刻、縦軸はTE信号のレベルを示す。TE信号は、正弦波となり、立下りのゼロクロス点がトラックの中心に対応している。なお、光ディスク101の溝部がトラックとなる。
【0095】
図14(b)は、ビームスポットがトラックを横断したことを示すトラック横断信号を示す。
【0096】
図13(b)に示したt51、t53、t55では、ビームスポットの移動速度が遅いので1トラックピッチを移動する時間が長くなる。すなわち、トラック横断信号の周期が長くなる。逆に、t52、t54では、ビームスポットの移動速度が早いので1トラックピッチを移動する時間が短くなる。すなわち、トラック横断信号の周期が短くなる。
【0097】
したがって、トラック横断信号の周期の変化に基づいて、t51、t52、t53、t54、t55を特定することができる。また、図13(b)のLaは、t51からt52の期間のトラック横断信号の立上がりエッジを計数することによって求めることができる。
【0098】
また、レーベル面の内周のトラックが予め形成された領域のTE信号を用いずに、データを記録する記録面のトラックのデータを再生する際に、(S800)の処理、すなわち設定周波数fw及び振幅Hwを決定してマイクロコンピュータ733のメモリに記憶する処理を行い、描画する際にそれらを用いてもよい。
【0099】
また、本実施形態では、トラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数とゲインとを求めるために、ステップ波形の駆動電流でトラッキングアクチュエータ119を駆動させた。しかし、振動信号発生回路732の出力信号の振幅を一定にして周波数を変化させながらトラッキングアクチュエータ119を駆動させる等、振動信号発生回路732の設定周波数を複数種類の周波数に設定してトラッキングアクチュエータ119を駆動させ、レンズ変位信号の振幅が最大になる周波数を設定周波数fwとしてもよい。なお、このようにして設定周波数fwを求める場合、ゲインの算出は、振動信号発生回路732の出力信号の振幅とレンズ変位信号の振幅の比率に基づいて行う。また、この場合でも、トラックが形成された領域で、TE信号に基づくトラック横断信号を用いて対物レンズ120の変位量を求め、求めた変位量をレンズ変位信号の代わりに用いてもよい。この場合、対物レンズ120の変位が最大のポイントでビームスポットの移動速度が最低になり、トラック横断信号の周期が最大となる。
【0100】
また、本実施形態では、振動信号発生回路732が正弦波を発生したが、正弦波の代わりに三角波を発生するようにしてもよい。トラッキングアクチュエータ119は、f0以上の周波数では周波数が高くなるとゲインが低下するためである。
【0101】
また、本実施形態では、振動信号発生回路732の設定周波数をトラッキングアクチュエータ119の固有の共振周波数としたが、トラッキングアクチュエータ119のゲインがDCゲインより高くなる周波数範囲に含まれる周波数とすれば同様の効果が得られる。
【0102】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る集積回路、及び光ディスク装置は、熱又は光によって変色する変色層を有する光ディスクにレーザ光を照射することにより可視画像を描画する光ディスク装置、及び当該光ディスク装置に設けられる集積回路として有用である。
【符号の説明】
【0104】
100 光ディスク装置
101 光ディスク
104 光ヘッド
106 集積回路
118 フォーカスアクチュエータ (フォーカス方向変位部)
119 トラッキングアクチュエータ (トラッキング方向変位部)
120 対物レンズ (集束部)
121 レーザ光
125 記憶回路(記憶部)
133 マイクロコンピュータ(フォーカス制御異常判定部、レーザパワー制御部、回転数制御部、移動量制御部)
134 フォーカス制御部
201 変色層
700 光ディスク装置
701 温度センサ
706 集積回路
733 マイクロコンピュータ(設定部、変位特性特定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱又は光によって変色する変色層を有する光ディスクに可視画像を描画する光ディスク装置に設けられる集積回路であって、
前記光ディスク装置は、
レーザ光を集束させて前記光ディスクの変色層に照射する集束部と、
前記集束部を前記光ディスクの変色層に垂直な方向へ駆動信号に応じた量変位させるフォーカス方向変位部とを備え、
前記レーザ光を照射した状態で前記光ディスクを所定回転数回転させる毎にレーザ光の照射位置を光ディスクの径方向に所定の移送量移動させることにより可視画像を描画するものであり、
前記集積回路は、
フォーカスエラー信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を生成するフォーカス制御を行うフォーカス制御部と、
前記フォーカス制御の異常の有無を判定するフォーカス制御異常判定部と、
複数の回転角度に対応するフォーカス制御異常時に用いる異常時制御信号を記憶する記憶部とを備え、
前記フォーカス制御部は、前記フォーカス制御異常判定部によってフォーカス制御の異常が有ると判定された半径位置では、前記フォーカス制御を停止して前記記憶部に記憶された異常時制御信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を回転角度に応じて生成することを特徴とする集積回路。
【請求項2】
請求項1の集積回路において、
前記フォーカス制御異常判定部は、前記レーザ光の光ディスクからの反射光量が所定レベルよりも低くなっているか否かに基づいて、前記フォーカス制御の異常の有無を判定することを特徴とする集積回路。
【請求項3】
請求項1の集積回路において、
前記フォーカス制御異常判定部は、前記フォーカス制御部のフォーカス制御により生成された駆動信号の絶対値が所定レベルよりも高くなっているか否かに基づいて、前記フォーカス制御の異常の有無を判定することを特徴とする集積回路。
【請求項4】
請求項1の集積回路において、
前記フォーカス制御部がフォーカス制御を停止して記憶部に記憶された異常時制御信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を生成する場合に、前記フォーカス制御の実行中よりも前記レーザ光のレーザパワーを高くするレーザパワー制御部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項5】
請求項1の集積回路において、
前記フォーカス制御部がフォーカス制御を停止して記憶部に記憶された異常時制御信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を生成する場合に、前記フォーカス制御の実行中よりも前記所定回転数を大きくする回転数制御部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項6】
請求項1の集積回路において、
前記フォーカス制御部がフォーカス制御を停止して記憶部に記憶された異常時制御信号に基づいて前記フォーカス方向変位部の駆動信号を生成する場合に、前記フォーカス制御の実行中よりも前記所定の移送量を小さくする移動量制御部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の集積回路が設けられた前記光ディスク装置。
【請求項8】
熱又は光によって変色する変色層を有する光ディスクにレーザ光を照射することにより可視画像を描画する光ディスク装置に設けられる集積回路であって、
前記光ディスク装置は、
前記レーザ光を集束して前記変色層に照射する集束部と、
前記集束部を駆動電流に応じて前記光ディスクの径方向に設定周波数で変位させるものであり、2次系の伝達特性を有するトラッキング方向変位部とを備え、
前記集積回路は、
前記可視画像の描画中、前記トラッキング方向変位部のゲインがDCゲインよりも高くなる周波数範囲に前記設定周波数を設定する設定部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項9】
請求項8の集積回路において、
前記設定周波数を複数種類の周波数に設定して前記トラッキング方向変位部を駆動させた際の各周波数に対応する前記集束部の変位量を、前記集束部により照射されたレーザ光のスポットのトラック横断タイミングを示すトラック横断信号に基づいて算出し、各周波数に対応する前記集束部の変位量に基づいて前記可視画像の描画中の設定周波数を決定する変位特性決定部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項10】
請求項8の集積回路において、
前記設定周波数を複数種類の周波数に設定して前記トラッキング方向変位部を駆動させた際の各周波数に対応する前記集束部の変位量を、前記集束部により照射されたレーザ光の光ディスクからの反射光を受光する2分割光検出器の差信号に基づいて算出し、各周波数に対応する前記集束部の変位量に基づいて前記可視画像の描画中の設定周波数を決定する変位特性決定部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項11】
請求項8の集積回路において、
ステップ波形の駆動電流により前記トラッキング方向変位部を駆動させた際の前記集束部の変位量を、前記集束部により照射されたレーザ光のスポットのトラック横断タイミングを示すトラック横断信号に基づいて算出し、算出した前記集束部の変位量に基づいて前記可視画像の描画中の設定周波数を決定する変位特性決定部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項12】
請求項8の集積回路において、
ステップ波形の駆動電流により前記トラッキング方向変位部を駆動させた際の前記集束部の変位量を、前記集束部により照射されたレーザ光の光ディスクからの反射光を受光する2分割光検出器の出力の差信号に基づいて算出し、算出した前記集束部の変位量に基づいて前記可視画像の描画中の設定周波数を決定する変位特性決定部を備えていることを特徴とする集積回路。
【請求項13】
請求項9〜12の集積回路において、
前記光ディスク装置はトラッキング方向変位部の温度を検出する温度センサを備え、
前記温度センサにより検出された温度が所定時間で所定値以上変化した場合に、前記変位特性特定部が前記設定周波数の決定を行い、決定した設定周波数の設定を前記設定部が行うことを特徴とする集積回路。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか1項の集積回路が設けられた前記光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−119003(P2011−119003A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277318(P2009−277318)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】