説明

雌ねじの有効径測定装置

【課題】精度良く雌ねじの有効径を測定することのできる有効径測定装置を提供する。
【解決手段】この装置は、雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部26,27を備える。二つの係合部26,27は、互いの間隔を変更可能に設けられており、コイルスプリング25の付勢力によって互いに離間する方向に付勢されている。二つの係合部26,27の間隔を検出するための距離センサ31と、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度を検出するための距離センサ32とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雌ねじの形成に際しては、製造公差などに起因して、その有効径に誤差が生じることが避けられない。そのため、雌ねじの有効径を測定するための装置が提案されている。
そうした装置としては、特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、間隔を置いて設けられた二本のアームを備えている。それらアームは、互いの間隔を変更可能に設けられており、スプリングによって互いに離間する方向に常時付勢されている。また各アームにはそれぞれ凸部が固定されており、それら凸部は、各別に雌ねじの歯溝に係合する位置に設けられている。
【0003】
上記装置では、雌ねじの有効径の測定に際して、スプリングの付勢力に抗して二本のアームの距離が強制的に近づけられるとともに、その状態で各アームが雌ねじの内部に挿入された後、二本のアームの距離を強制的に近づける力が解除される。これにより、各凸部が雌ねじの歯溝に押し付けられた状態で同歯溝に係合するようになる。そして、このときの各アームの間隔が雌ねじの有効径に相当する値として測定される。
【特許文献1】特開2000−275001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した有効径測定装置にあっては、各凸部の配設位置が、雌ねじのピッチやピッチ角が予め定められた一定の値である場合において有効径を精度良く測定することのできる位置に設定されている。そのため、上記有効径測定装置では、ピッチやピッチ角の異なる雌ねじについてはその有効径を精度良く測定することができない。
【0005】
ここで、雌ねじの形成に際しては、前述した有効径の他にも、例えばピッチやピッチ角に誤差が生じることが避けられない。そのため上記有効径測定装置は、そうしたピッチやピッチ角の誤差によって雌ねじの有効径の測定値が異なる値となってしまう構造であり、これに起因する有効径の測定精度の低下が避けられない構造であると云える。
【0006】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、精度良く雌ねじの有効径を測定することのできる有効径測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置であって、互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられてなるものであって、前記雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部と、それら係合部の間隔を検出する間隔検出手段と、前記二つの係合部を繋ぐ仮想線と前記雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度を検出する角度検出手段とを備えることをその要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、二つの係合部をそれぞれ雌ねじの歯溝に押し付けた状態にすることができる。そして、二つの係合部を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度を検出するとともに、間隔検出手段により検出した各係合部の間隔を上記角度に基づいて補正することにより、同間隔を雌ねじの半径方向における値、すなわち雌ねじの有効径に相当する値に変換することができる。したがって、雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して上記角度が変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0009】
なお、前記二つの係合部の配設態様としては、請求項2によるように、雌ねじの中心軸と平行ではない方向に延びる軸を揺動中心として装置本体に対して揺動可能に設けられたシリンダ部と同シリンダ部に出没可能に設けられたピストン部とを備えた有効径測定装置にあって、二つの係合部のうちの一方をシリンダ部に固定するとともに他方をピストン部に固定する、といった配設態様を採用することができる。前記「平行ではない方向に延びる軸」としては、雌ねじの中心軸と交差する方向に延びる軸や、雌ねじの半径と平行に延びる軸など挙げることができる。
【0010】
また、このように二つの係合部が配設された装置にあっては、請求項3によるように、前記角度検出手段としてシリンダ部の揺動位置を検出するセンサを装置本体に設けることにより、同センサを通じて前記角度を検出することができるようになる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置であって、互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられてなるものであって、前記雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部と、それら係合部のうちの一方が固定されてなるとともに、他方が前記雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ同雌ねじの中心軸および半径を含む平面と平行な方向に限って移動可能な状態で設けられてなる装置本体と、該装置本体に設けられて前記二つの係合部の前記雌ねじの半径方向における間隔を検出する半径方向間隔検出手段とを備えることをその要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、前記他方の係合部が雌ねじの中心軸方向に移動可能に設けられているために、雌ねじの中心軸に対して装置本体を傾けることなく二つの係合部をそれぞれ雌ねじの歯溝に押し付けて係合させることができる。そのため、装置本体に設けられた半径方向間隔検出手段により、二つの係合部の上記雌ねじの半径方向における間隔を精度良く検出することができる。したがって、二つの係合部を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度が上記雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0013】
なお、請求項5によるように、前記半径方向間隔検出手段として前記他方の係合部の前記半径方向における位置を検出するセンサを設けることにより、同センサによって上記半径方向における間隔に相当する値を検出することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の雌ねじの有効径測定装置において、前記装置本体に設けられて前記他方の係合部の前記中心軸方向における位置を検出するセンサを更に備えることをその要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、前記二つの係合部の前記中心軸方向における間隔を検出することができ、同間隔と前記半径方向における間隔とに基づいて雌ねじのピッチ角やリードを求めることができる。
【0016】
請求項7に記載の発明は、雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置であって、互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられてなるものであって、前記雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部と、それら係合部が共に前記雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ同雌ねじの中心軸および半径を含む同一の平面と平行な方向に限って移動可能な状態で設けられてなる装置本体と、該装置本体に設けられて前記二つの係合部の前記雌ねじの半径方向における間隔を検出する半径方向間隔検出手段とを備えることをその要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、二つの係合部が共に雌ねじの中心軸方向に移動可能に設けられているため、雌ねじの中心軸に対して装置本体を傾けることなく二つの係合部をそれぞれ雌ねじの歯溝に押し付けて係合させることができる。そのため、装置本体に設けられた半径方向間隔検出手段により、二つの係合部の上記雌ねじの半径方向における間隔を精度良く検出することができる。したがって、二つの係合部を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度が上記雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項4および5および7のいずれか一項に記載の雌ねじの有効径測定装置において、前記二つの係合部の前記中心軸方向における間隔を検出する軸方向間隔検出手段を更に備えることをその要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、軸方向間隔検出手段によって検出した雌ねじの中心軸方向における間隔と前記半径方向間隔検出手段によって検出した雌ねじの半径方向における間隔とに基づいて、雌ねじのピッチ角やリードを求めることができる。
【0020】
請求項9に記載の発明は、請求項2〜8のいずれか一項に記載の雌ねじの有効径測定装置において、前記雌ねじが形成された被測定物が固定されてなるとともに同雌ねじの内部への前記装置本体の着脱が可能な態様で同装置本体が設けられてなる基台を更に備え、前記装置本体は、前記雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持する機構を介して、前記基台に取り付けられてなることをその要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、雌ねじの内部に装置本体を取り付ける際に、同雌ねじの中心軸に対する装置本体の姿勢を一定に保つことができる。そのため、装置本体が傾いた状態で雌ねじの有効径が測定されることを回避することができ、有効径を精度良く測定することができる。
【0022】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の雌ねじの有効径測定装置において、前記二つの係合部は共に前記雌ねじの歯溝に係合する部分が球面形状に形成されてなることをその要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、雌ねじの歯溝と各係合部との係合態様を一定にすることができ、雌ねじの有効径をより精度良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる雌ねじの有効径測定装置を具体化した第1の実施の形態について説明する。
【0025】
ここでは先ず、本実施の形態にかかる有効径測定装置の概略構成について、図1を参照しつつ説明する。
図1に示すように、基台10には被測定物であるワーク11を固定する固定部12が設けられている。なおワーク11は、その内部に雌ねじが形成された円筒形状のものである。基台10には、上記ワーク11の雌ねじの有効径を測定するために、上記ワーク11の内部に挿入される検出部20が取り付けられている。本実施の形態では、この検出部20が装置本体として機能する。
【0026】
検出部20は、アーム13および送り機構14を介して上記基台10に取り付けられている。具体的には、アーム13は基台10を始点に延設されており、送り機構14は同アーム13に取り付けられている。また検出部20は上記送り機構14に取り付けられている。
【0027】
この送り機構14は、次のように機能する。
すなわち先ず、ワーク11の雌ねじの中心軸に対する検出部20の姿勢を一定に維持したまま、雌ねじの中心軸と平行な方向への同検出部20の移動を許容する。こうした検出部20の中心軸と平行な方向への移動を通じて、雌ねじの内部への検出部20の着脱(具体的には、ワーク11内部への検出部20の取り付けとワーク11内部からの検出部20の取り外しと)が可能になる。
【0028】
また、ワーク11の雌ねじの中心軸に対する検出部20の姿勢を一定に維持したまま、雌ねじの半径と平行な方向への同検出部20の移動を許容する。そうした検出部20の半径と平行な方向への移動を通じて、検出部20(詳しくは、後に詳述する二つの係合部)が雌ねじの歯溝に確実に係合するようになる。
【0029】
次に、上記検出部20の具体的な構造について、図2を参照しつつ詳細に説明する。
図2に示すように、検出部20は円筒形状に形成されたボディ21を備えている。ボディ21の内部にはシャフト22が取り付けられている。このシャフト22は、円筒形状のボディ21の半径方向において直線状に延びるように設けられている。また、ボディ21の内部にはシリンダ部23が設けられている。このシリンダ部23は略筒形状に形成されており、同シリンダ部23にはピストン部24が出没可能に設けられている。シリンダ部23の内部にはコイルスプリング25が設けられている。このコイルスプリング25の付勢力は、ピストン部24をシリンダ部23から脱出させるように作用している(図中の矢印A参照)。
【0030】
また、検出部20はワーク11の雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部26,27を備えている。一方の係合部26はシリンダ部23に固定されており、他方の係合部27はピストン部24に固定されている。また、それら係合部26,27は共にボディ21の外方に突出するように設けられている。さらに、二つの係合部26,27の突出部分の先端、すなわちワーク11の雌ねじの歯溝に各別に係合する部分はそれぞれ球面形状に形成されている。
【0031】
上記シリンダ部23は、シャフト22の軸心を揺動中心として揺動可能な態様で、同シャフト22に設けられている。これにより、シリンダ部23に設けられたピストン部24および各係合部26が、シリンダ部23ともどもボディ21に対して揺動可能な構造になっている(図中の矢印B参照)。
【0032】
検出部20には、二つの係合部26,27の間隔を検出するための距離センサ31が設けられている。この距離センサ31としては近接センサが採用されている。詳しくは、シリンダ部23には上記距離センサ31が固定されており、ピストン部24には上記距離センサ31の検出面に対向する位置まで突出する形状の凸部28が設けられている。二つの係合部26,27の間隔が変化すると、これに伴って上記凸部28と距離センサ31の検出面との間隔が変化して、同距離センサ31の出力信号が変化する。この点をふまえて、本実施の形態では、二つの係合部26,27の間隔に相当する値として、距離センサ31の出力信号が検出される。
【0033】
また検出部20には、そのボディ21に、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線とワーク11の雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面との角度を検出するための距離センサ32が固定されている。この距離センサ32としても近接センサが採用されている。距離センサ32は具体的には、シリンダ部23の揺動に伴って同シリンダ部23と距離センサ32の検出面との間隔が変化する位置に設けられている。シリンダ部23の揺動位置が変化して上記角度が変化すると、これに伴って上記シリンダ部23と距離センサ32の検出面との間隔が変化して、同距離センサ32の出力信号が変化する。本実施の形態では、上記角度に相当する値として、距離センサ32の出力信号が検出される。ちなみに、この出力信号に基づいて、ワーク11の雌ねじのピッチ角やリードを求めることができる。
【0034】
本実施の形態の装置は、例えばマイクロコンピュータなどからなる電子制御装置30を備えている。この電子制御装置30には、各距離センサ31,32の出力信号が取り込まれている。そして、電子制御装置30は、各距離センサ31,32の出力信号に基づいて、以下のような考えをもとに、ワーク11の雌ねじの有効径を算出する。
【0035】
ワーク11の雌ねじに対する二つの係合部26,27の係合位置と同ワーク11の雌ねじの有効径との関係は、図3に例示するような直角三角形により表すことができる。
すなわち、検出部20の二つの係合部26の係合位置が直角三角形の直角ではない角の頂点K1,K2に相当し、ワーク11の雌ねじの有効径が直角を形成する二つの辺のうちの一方の長さLxに相当する。
【0036】
本実施の形態では、各距離センサ31,32を通じて、二つの係合部26,27の間隔(斜辺の長さLs)に相当する値と、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線とワーク11の雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度(θ)に相当する値が検出されている。
【0037】
そして、上記長さLx(雌ねじの有効径に相当する値)は、斜辺の長さLsおよび上記角度θに基づいて余弦関数(具体的には、関係式「Lx=Ls×(cosθ)」)から、求めることができる。
【0038】
この点をふまえて、本実施の形態では、各距離センサ31,32の出力信号とワーク11の雌ねじの有効径との関係が求められて電子制御装置30に記憶されている。そして、電子制御装置30は、そうした関係と各距離センサ31,32の出力信号とに基づいて演算を行い、雌ねじの有効径を算出する。
【0039】
本実施の形態の有効径測定装置では、ワーク11の雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度が変化するために、図4や図5に示すように、二つの係合部26,27の間隔に相当する値(距離センサ31の出力信号)とワーク11の雌ねじの有効径との関係が変化する。なお図4は雌ねじのピッチ角が小さい例を示しており、図5は雌ねじのピッチ角が大きい例を示している。
【0040】
本実施の形態では、上述した余弦関数に基づく関係式を通じて、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度に相当する値(距離センサ32の出力信号)によって上記間隔に相当する値を補正するといったように、同間隔に相当する値を上記雌ねじの半径方向における値、すなわち雌ねじの有効径に相当する値に変換することができる。したがって、ワーク11の雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して上記角度が変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0041】
ここで、本実施の形態にかかる有効径測定装置は、ワーク11の雌ねじの中心軸に対する検出部20の姿勢が所定の姿勢(詳しくは、雌ねじの中心軸と検出部20(略円筒形状のボディ21の中心軸)とが平行となる姿勢)から傾いた状態になってしまうと、測定精度が低下してしまう構造である。
【0042】
この点、本実施の形態では、前述したように検出部20が送り機構14を介して基台10に設けられており、同送り機構14によって、ワーク11の雌ねじの中心軸に対する検出部20の姿勢が一定(上記所定の態勢)に維持される。そのため、検出部20が所定の姿勢から傾いた状態でワーク11に係合することが抑制されるようになる。したがって、同状態でワーク11の雌ねじの有効径が測定されることを回避することができ、有効径を精度良く測定することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、コイルスプリング25によって二つの係合部26,27が互いに離間する方向に付勢されており、また送り機構14によってワーク11の雌ねじの半径と平行な方向への検出部20の移動が許容されている。これにより、検出部20をワーク11の内部に挿入するに際して、二つの係合部26,27が共に雌ねじの歯溝に押し付けられた状態になる位置まで、検出部20が雌ねじの半径と平行な方向に自動的に移動するようになる。そのため、二つの係合部26,27が雌ねじの歯溝に確実に係合するようになり、これによって雌ねじの有効径の精度の良い測定が可能になる。
【0044】
さらに、本実施の形態にかかる有効径測定装置では、ワーク11の雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して、同雌ねじの歯溝に対する各係合部26の接触角度が異なる角度になってしまう。この点、本実施の形態では、二つの係合部26,27の先端部分、すなわちワーク11の雌ねじの歯溝に係合する部分が球面形状に形成されている。そのため各係合部26の接触角度によることなく、ワーク11の雌ねじの歯溝と各係合部26との係合態様を一定にすることができ、雌ねじの有効径をより精度良く測定することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)二つの係合部26,27の間隔を検出するとともに、それら係合部26,27を繋ぐ仮想線と前記雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度を検出するようにした。そのため、ワーク11の雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して上記角度が変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、ワーク11の雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0046】
(2)円筒形状のボディ21の半径方向に延びる軸、言い換えれば、ワーク11の雌ねじの半径と平行に延びる軸を揺動中心としてボディ21に対して揺動可能なようにシリンダ部23およびピストン部24を設け、一方の係合部26をシリンダ部23に固定し、他方の係合部26をピストン部24に固定した。さらに、シリンダ部23の揺動位置を検出するための距離センサ32をボディ21に設けるようにした。そのため、距離センサ32を通じて前記角度を検出することができるようになる。
【0047】
(3)基台10に、ワーク11を固定するとともに送り機構14を介して検出部20を取り付けるようにした。そのため、検出部20が傾いた状態で雌ねじの有効径が測定されることを回避することができ、有効径を精度良く測定することができる。
【0048】
(4)二つの係合部26,27における上記雌ねじの歯溝に係合する部分を球面形状に形成するようにした。そのため、ワーク11の雌ねじの歯溝と各係合部26,27との係合態様を一定にすることができ、雌ねじの有効径をより精度良く測定することができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかる雌ねじの有効径測定装置を具体化した第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0050】
本実施の形態にかかる有効径測定装置は、検出部の構造が第1の実施の形態にかかる有効径測定装置と異なる。
図6に、本実施形態にかかる検出部の具体構成を示す。
【0051】
同図6に示すように、本実施の形態にかかる検出部40は円筒形状に形成されたボディ41を備えている。また、検出部40はワーク11の雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部42,43を備えている。それら係合部42,43は共にボディ41の内部から外方に向けて突出するように設けられている。
【0052】
それら係合部42,43のうちの一方(係合部42)はボディ41に固定されている。
また、二つの係合部42,43のうちの他方(係合部43)は、ボディ41の中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ、ワーク11の雌ねじの中心軸および半径を含む平面と平行な方向に限って移動可能な状態で同ボディ41に取り付けられている。具体的には、上記雌ねじの中心軸と平行な方向に限って移動可能なように第1プレート44がボディ41に設けられるとともに、上記雌ねじの半径方向に限って移動可能なように上記第1プレート44に第2プレート45が設けられており、さらに同第2プレート45に係合部43が固定されている。
【0053】
二つの係合部42,43の間にはコイルスプリング46が設けられている。このコイルスプリング46の付勢力により、各係合部42,43が互いに離間する方向に常時付勢されている。
【0054】
また、二つの係合部42,43の上記ボディ41外方への突出部分の先端、すなわちワーク11の雌ねじの歯溝に係合する部分はそれぞれ球面形状に形成されている。
検出部40には、二つの係合部42,43の上記雌ねじの半径方向における間隔を検出するための距離センサ51が設けられている。この距離センサ51としては近接センサが採用されている。詳しくは、一方の係合部42には上記距離センサ51の検出面が上記雌ねじの半径方向に指向するように同距離センサ51が固定されており、他方の係合部43には距離センサ51の検出面に対向する位置にまで突出する形状の凸部47が設けられている。係合部43の上記雌ねじの半径方向における位置が変化して同方向における二つの係合部42,43の間隔が変化すると、これに伴って上記凸部47と距離センサ51の検出面との間隔が変化して、同距離センサ51の出力信号が変化する。この点をふまえて、本実施の形態では、二つの係合部42,43の上記雌ねじの半径方向における間隔に相当する値として、距離センサ51の出力信号が検出される。
【0055】
また検出部20には、そのボディ41に、二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔を検出するための距離センサ52が固定されている。この距離センサ52としても近接センサが採用されている。この距離センサ52は、具体的には、その検出面が上記係合部43の凸部47に対向する位置であって、上記中心軸方向における間隔の変化に伴って上記係合部43の凸部47との間隔が変化する位置に設けられている。係合部43の上記雌ねじの中心軸方向における位置が変化して同方向における二つの係合部42,43の間隔が変化すると、これに伴って上記凸部47と距離センサ52の検出面との間隔が変化して、同距離センサ52の出力信号が変化する。この点をふまえて、本実施の形態では、二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔に相当する値として、距離センサ52の出力信号が検出される。
【0056】
各距離センサ51,52の出力信号は電子制御装置30に取り込まれている。
そして、電子制御装置30は、距離センサ51の出力信号に基づいて演算を行い、ワーク11の雌ねじの有効径を算出する。
【0057】
ここで、本実施の形態にかかる有効径測定装置は、ワーク11の雌ねじの中心軸に対する検出部40の姿勢が所定の姿勢(詳しくは、雌ねじの中心軸と検出部40(円筒形状のボディ41の中心軸)とが平行となる姿勢)から傾いた状態になると、二つの係合部42,43を繋ぐ仮想線と雌ねじの半径とが一致しなくなり、測定精度が低下してしまう構造である。
【0058】
また、本実施の形態にかかる有効径測定装置では、各係合部42,43とワーク11の雌ねじとの係合位置は同雌ねじのピッチやピッチ角によって定まる。そのため仮に、二つの係合部が共にボディの中心軸方向に移動しない構造の検出部を用いるようにすると、雌ねじのピッチやピッチ角によっては、図10に示すように、雌ねじの中心軸に対する検出部の姿勢が所定の姿勢から傾いた状態で同雌ねじの有効径が測定されることとなる。そしてこの場合には、測定精度の低下を招いてしまう。
【0059】
この点、本実施の形態では、係合部43がボディ41の中心軸方向、言い換えれば、ワーク11の雌ねじの中心軸方向に移動可能に設けられているために、図7や図8に示すように、同係合部43が移動することにより、雌ねじの中心軸に対してボディ41を傾けることなく二つの係合部42,43をそれぞれワーク11の雌ねじの歯溝に押し付けて係合させることができる。なお図7は雌ねじのピッチ角が小さい場合を示しており、図8は雌ねじのピッチ角が大きい場合を示している。
【0060】
そのため、ボディ41に設けられた距離センサ51によって、二つの係合部42,43の上記雌ねじの半径方向における間隔を精度良く検出することができる。このように本実施の形態の装置によれば、二つの係合部42,43を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面のなす角度が雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0061】
また、本実施の形態にかかる有効径測定装置にあっては、各距離センサ51,52の出力信号に基づいて、ワーク11の雌ねじのピッチ角やリードを測定することもできる。以下、ピッチ角やリードの測定方法について説明する。
【0062】
二つの係合部42,43の上記雌ねじの半径方向における間隔(雌ねじの有効径に相当する値)と、二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔と、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度(雌ねじのピッチ角やリードに相当する値)と、の関係は図9に例示するような直角三角形により表すことができる。
【0063】
具体的には、二つの係合部42,43の上記雌ねじの半径方向における間隔が直角を形成する二つの辺のうちの一方(辺H1)の長さL1に相当し、二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔が直角を形成する二つの辺のうちの他方(辺H2)の長さL2に相当し、二つの係合部42,43を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度が上記辺H1と斜辺H3とのなす角度θに相当する。
【0064】
本実施の形態では、距離センサ51,52を通じて、二つの係合部26,27の上記雌ねじの半径方向における間隔に相当する値と、二つの係合部26,27の上記雌ねじの中心軸方向における間隔に相当する値とが検出されている。
【0065】
そして、上記角度θ(雌ねじのピッチ角やリードに相当する値)は、辺H1の長さL1および辺H2の長さL2に基づいて逆正接関数(具体的には、関係式「θ=tan−1(L2/L1)」)から、求めることができる。
【0066】
この点をふまえて、本実施の形態では、各距離センサ51,52の出力信号と雌ねじのピッチ角との関係が求められて電子制御装置30に記憶されている。そして、電子制御装置30は、そうした関係と各距離センサ51,52の出力信号とに基づいて演算を行い、ワーク11の雌ねじのピッチ角やリードを算出する。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態によれば、前述した(3)および(4)に準じた効果に加えて、以下の(5)および(6)に記載する効果が得られるようになる。
(5)検出部40のボディ41に、一方の係合部42を固定するとともに、他方の係合部43を上記ワーク11の雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ同雌ねじの中心軸および半径を含む平面と平行な方向に限って移動可能な状態で設けるようにした。さらに検出部40のボディ41に、二つの係合部42,43の上記ワーク11の雌ねじの半径方向における間隔を検出するための距離センサ51を取り付けるようにした。そのため、二つの係合部42,43を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度が上記雌ねじのピッチやピッチ角の誤差に起因して変化するとはいえ、同角度の相違による精度低下を的確に抑えて、雌ねじの有効径を精度良く測定することができる。
【0068】
(6)検出部40のボディ41に、係合部43の上記雌ねじの中心軸方向における位置を検出するための距離センサ52を設けるようにした。そのため、距離センサ52によって二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔を検出することができ、同間隔と距離センサ51によって検出した前記半径方向における間隔とに基づいてワーク11の雌ねじのピッチ角やリードを求めることができる。
【0069】
なお、上記各実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・第1の実施の形態において、距離センサ31として近接センサを設けることに代えて、超音波センサなどの他の非接触式のセンサや、ポテンショメータなどの接触式のセンサを設けるようにしてもよい。要は、二つの係合部26,27の間隔を検出することができるものであれば、距離センサ31として採用することができる。
【0070】
・第1の実施の形態において、距離センサ32として近接センサを設けることに代えて、超音波センサなどの他の非接触式のセンサや、ポテンショメータなどの接触式のセンサを設けるようにしてもよい。また、距離センサ32に代えて、シリンダ部23の揺動角を検出する角度センサを設けるようにしてもよい。要は、二つの係合部26,27を繋ぐ仮想線と雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度、あるいは同角度に相当する値を検出することができればよい。
【0071】
・第1の実施の形態において、シリンダ部23の揺動中心軸は、ワーク11の雌ねじの半径と平行に延びる軸に限らず、例えば雌ねじの中心軸と交差する方向に延びる軸など、雌ねじの中心軸と平行ではない方向に延びる軸であれば任意に変更可能である。
【0072】
・第1の実施の形態において、二つの係合部26,27の配設態様は、互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられ、且つワーク11の内部に挿入されて雌ねじの歯溝に各別に係合する態様であれば、任意に変更可能である。
【0073】
・第2の実施の形態において、係合部42を、係合部43と同様に、検出部40のボディ41の中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ、ワーク11の雌ねじの中心軸および半径を含む平面と平行な方向に限って移動可能な状態で同ボディ41に取り付けるようにしてもよい。
【0074】
なお同構成にあって、ワーク11の雌ねじのピッチ角やリードを算出するためには、係合部42の上記雌ねじの中心軸方向における位置を検出するための位置センサを設けるようにすればよい。同位置センサの出力信号と距離センサ52の出力信号とに基づいて、二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔を算出することができ、同間隔に基づいて雌ねじのピッチ角やリードを算出することができる。
【0075】
また、それら位置センサおよび距離センサ52を設けることに代えて、一方の係合部42に距離センサ(例えば近接センサ)をその検出面が上記雌ねじの中心軸方向に指向するように固定するとともに、他方の係合部43に同距離センサの検出面に対向する位置にまで突出する形状の凸部を設けるようにしてもよい。同構成によれば、距離センサを通じて、二つの係合部42,43の上記雌ねじの中心軸方向における間隔を検出することができる。
【0076】
・第2の実施の形態において、距離センサ51として近接センサを設けることに代えて、超音波センサなどの他の非接触式のセンサや、ポテンショメータなどの接触式のセンサを設けるようにしてもよい。要は、二つの係合部26,27の上記雌ねじの半径方向における間隔を検出することができるものであれば、距離センサ51として採用することができる。
【0077】
・第2の実施の形態において、距離センサ52として近接センサを設けることに代えて、超音波センサなどの他の非接触式のセンサや、ポテンショメータなどの接触式のセンサを設けるようにしてもよい。要は、二つの係合部26,27の上記雌ねじの中心軸方向における間隔を検出することができるものであれば、距離センサ52として採用することができる。
【0078】
・第2の実施の形態において、必ずしもワーク11の雌ねじのピッチ角やリードを算出しなくてもよい。なお、ワーク11の雌ねじのピッチ角やリードの算出を実行しない場合には、距離センサ52を省略することができる。
【0079】
・各実施の形態において、各係合部の突出部分の先端形状は、球面形状に限らず、任意に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明を具体化した第1の実施の形態についてその概略構成を示す略図。
【図2】第1の実施の形態にかかる検出部についてその内部構造を示す断面図。
【図3】雌ねじの有効径の算出についての考え方を説明するための略図。
【図4】第1の実施の形態にかかる検出部の作動状態の一例を示す断面図。
【図5】第1の実施の形態にかかる検出部の作動状態の他の例を示す断面図。
【図6】第2の実施の形態にかかる検出部についてその内部構造を示す断面図。
【図7】第2の実施の形態にかかる検出部の作動状態の一例を示す断面図。
【図8】第2の実施の形態にかかる検出部の作動状態の他の例を示す断面図。
【図9】雌ねじのピッチ角やリードの算出についての考え方を説明するための略図。
【図10】比較例の有効径測定装置の検出部の作動態様を示す側面図。
【符号の説明】
【0081】
10…基台、11…ワーク、12…固定部、13…アーム、14…送り機構、20…検出部、21…ボディ、22…シャフト、23…シリンダ部、24…ピストン部、25…コイルスプリング、26,27…係合部、28…凸部、30…電子制御装置、31…距離センサ(間隔検出手段)、32…距離センサ(角度検出手段)、40…検出部、41…ボディ、42,43…係合部、44…第1プレート、45…第2プレート、46…コイルスプリング、47…凸部、51…距離センサ(半径方向間隔検出手段)、52…距離センサ(軸方向間隔検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置であって、
互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられてなるものであって、前記雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部と、
それら係合部の間隔を検出する間隔検出手段と、
前記二つの係合部を繋ぐ仮想線と前記雌ねじの中心軸に直交する方向に延びる仮想面とのなす角度を検出する角度検出手段と
を備えることを特徴とする雌ねじの有効径測定装置。
【請求項2】
前記雌ねじの中心軸と平行ではない方向に延びる軸を揺動中心として装置本体に対して揺動可能に設けられたシリンダ部と、同シリンダ部に出没可能に設けられたピストン部とを更に備え、
前記二つの係合部のうちの一方は前記シリンダ部に固定されてなるとともに、他方は前記ピストン部に固定されてなる
請求項1に記載の雌ねじの有効径測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の雌ねじの有効径測定装置において、
前記角度検出手段は、前記装置本体に設けられて前記シリンダ部の揺動位置を検出するセンサである
ことを特徴とする雌ねじの有効径測定装置。
【請求項4】
雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置であって、
互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられてなるものであって、前記雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部と、
それら係合部のうちの一方が固定されてなるとともに、他方が前記雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ同雌ねじの中心軸および半径を含む平面と平行な方向に限って移動可能な状態で設けられてなる装置本体と、
該装置本体に設けられて前記二つの係合部の前記雌ねじの半径方向における間隔を検出する半径方向間隔検出手段と
を備えることを特徴とする雌ねじの有効径測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の雌ねじの有効径測定装置において、
前記半径方向間隔検出手段は、前記他方の係合部の前記半径方向における位置を検出するセンサである
ことを特徴とする雌ねじの有効径測定装置。
【請求項6】
前記装置本体に設けられて前記他方の係合部の前記中心軸方向における位置を検出するセンサを更に備える
請求項4または5に記載の雌ねじの有効径測定装置。
【請求項7】
雌ねじの有効径を測定する有効径測定装置であって、
互いに離間する方向に付勢されるとともに互いの間隔を変更可能に設けられてなるものであって、前記雌ねじの内部に挿入されて同雌ねじの歯溝に各別に係合する二つの係合部と、
それら係合部が共に前記雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持しつつ同雌ねじの中心軸および半径を含む同一の平面と平行な方向に限って移動可能な状態で設けられてなる装置本体と、
該装置本体に設けられて前記二つの係合部の前記雌ねじの半径方向における間隔を検出する半径方向間隔検出手段と
を備えることを特徴とする雌ねじの有効径測定装置。
【請求項8】
前記二つの係合部の前記中心軸方向における間隔を検出する軸方向間隔検出手段を更に備える
請求項4および5および7のいずれか一項に記載の雌ねじの有効径測定装置。
【請求項9】
前記雌ねじが形成された被測定物が固定されてなるとともに同雌ねじの内部への前記装置本体の着脱が可能な態様で同装置本体が設けられてなる基台を更に備え、
前記装置本体は、前記雌ねじの中心軸に対する姿勢を一定に維持する機構を介して、前記基台に取り付けられてなる
請求項2〜8のいずれか一項に記載の雌ねじの有効径測定装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の雌ねじの有効径測定装置において、
前記二つの係合部は共に前記雌ねじの歯溝に係合する部分が球面形状に形成されてなる
ことを特徴とする雌ねじの有効径測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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