説明

雨滴検出装置

【課題】
雨滴量を検出する雨滴検出装置において、降雨などによる付着水滴と、外気に含まれる水蒸気の結露とを判別可能にすることを目的とする。
【解決手段】
ワイパの払拭操作によりウインドシールド7に付着した水滴を払拭するワイパ装置に用いられ、ウインドシールド7に付着した水滴量を検出し、その付着水滴量に基づいてワイパの払拭操作モードを選択する選択信号を出力する雨滴検出装置において、ワイパの払拭周期内において水滴検出器5で検出された各所定の周期間の付着水滴量の変化率を変化率算出手段44で算出し、ウインドシールド7への付着水滴量の変化率つまり水滴の変化パターンを把握する。算出した変化率に基づいてウインドシールド7への水滴の付着状態を結露判定手段45にて判定するので、降雨によるウインドシールド7へ付着する雨滴の状態と外気に含まれる水蒸気の結露とを判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨滴検出装置に関し、特に車両などのウインドガラスに付着した雨滴をワイパの払拭操作で払拭するワイパ装置での払拭操作を自動制御するため、ウインドガラスに付着した雨滴を検出する雨滴検出装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイパ装置は、ウインドガラス上に付着した雨滴量に適したワイパの払拭速度、あるいは予め所定の速度範囲に設定された払拭モード(例えば、間欠運転モード、低速運転モード、高速運転モード、および停止モード。)を選択し、ワイパ払拭操作を制御するワイパ制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この種のワイパ制御装置には、払拭操作を自動制御するため、ウインドガラスの検出対象部に付着した雨滴を検出する雨滴検出装置が設けられている。雨滴検出装置は、発光ダイオード(以下、LEDと呼ぶ)などの発光素子と、フォトダイオード(以下、PDと呼ぶ)などの受光素子とを用いて、所定の短い制御周期ごとに、ウインドガラスの検出対象部に向かって光を発光させてその反射光を受光し、発光量に対する受光量の低下量または低下率から、付着雨滴量を判定するものである。
【0004】
なお、例えば、晴天時を基準としたLEDの通電発光に対するPDの出力電圧と、検出対象部を観測中のPDの出力電圧を用いて、晴天時を基準とした受光量の低下量または低下率が求められる。
【0005】
なお、検出対象部に向けて発光させたLEDの反射光を、PDの受光する光として集光させるプリズムが検出対象部に配置されており、プリズムの結露防止のためにプリズムに近接させたヒータとヒータ加熱用回路、およびプリズムの温度を検出するプリズム温度センサを備えている雨滴検出装置もある。
【特許文献1】特開2002−283968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
雨滴の付着量が増えていくとともに、例えば、ワイパの払拭操作モードを、間欠作動(以下、INTモードと呼ぶ)、低速作動(以下、LOモードと呼ぶ)、高速作動(以下、HIモードと呼ぶ)へ、払拭操作速度を切換えて対応している。しかしながら、従来技術では、車両がトンネルに進入するなどでウインドガラスに結露が生じる場合において、結露によっても受光量が低下するため、結露を降雨による雨滴付着と判定するおそれがある。結露量によっては比較的激しい降雨状態の雨滴量と判定し、払拭操作モードをHIモードに切換える可能性がある。
【0007】
また、トンネルを走行する場合、トンネル内部は比較的暗いため、運転者の視覚がその暗さに慣れてウインドガラスへの雨滴の付着や結露などによる曇りを感じる速さに比べて、雨滴検出装置がウインドガラスの結露を検出する速さの方が速い。そのため、運転者にとってHIモードなどのワイパ操作を煩わしく感じる可能性がある。場合によってはその煩わしさのレベルが運転者に不快感を与えてしまうおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮されたものであり、雨滴量を検出する雨滴検出装置において、降雨などによる付着水滴と、外気等雰囲気に含まれる水蒸気の結露とを判別可能にすることを目的とする。
【0009】
また、別の目的は、雨滴量を検出する雨滴検出装置において、ウインドガラスに付着する、降雨などによる水滴付着と、外気等雰囲気に含まれる水蒸気の結露とを判別可能にするとともに、結露が生じたときに運転者に不快感を与えないワイパ操作が可能な雨滴検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の雨滴検出装置は、ワイパと、駆動手段とを備え、前記駆動手段の駆動力により前記ワイパの払拭操作を形成することによりウインドガラスに付着した水滴を払拭するワイパ装置に用いられ、前記ワイパの払拭範囲内の前記ウインドガラスに付着した水滴量を検出し、該付着水滴量に基づいて前記ワイパの払拭操作モードを選択する選択信号を出力する雨滴検出装置において、前記ワイパの払拭周期内において、前記付着水滴量を所定の周期ごとに検出可能な水滴検出手段と、前記水滴検出手段で検出された各所定の周期間の前記付着水滴量の変化率を算出する変化率算出手段と、算出した前記変化率に基づいて前記ウインドガラスへの水滴の付着状態を判定する判定手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
これによると、ワイパの払拭操作によりウインドガラスに付着した水滴を払拭するワイパ装置に用いられ、ワイパの払拭範囲内のウインドガラスに付着した水滴量を検出し、その付着水滴量に基づいてワイパの払拭操作モードを選択する選択信号を出力する雨滴検出装置において、ワイパの払拭周期内において水滴検出手段で検出された各所定の周期間の付着水滴量の変化率を算出する変化率算出手段を備えるので、例えば発光素子と受光素子とを備え、従来の外気と水滴の屈折率に違いを利用した発光素子の発光量に対する受光量の低下量などから付着水滴量を判定するものに比べて、付着水滴の情報として、付着水滴量の変化率つまり水滴の変化パターンを把握することが可能である。
【0012】
さらに、算出した変化率に基づいてウインドガラスへの水滴の付着状態を判定する判定手段とを備えるので、付着水滴量の変化率つまり水滴の変化パターンに基づいて、降雨によるウインドガラスへ付着する雨滴の状態と、外気等雰囲気に含まれる水蒸気の結露とを判別することが可能である。
【0013】
請求項2の記載によると、前記判定手段は、前記払拭周期内に算出される前記変化率が所定の増加率以上である場合には、水滴が前記ウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定することを特徴とする。
【0014】
結露が発生した場合には、外気に臨む側のウインドガラスのほぼ一面にわたって比較的細かな水滴が付着するため、水滴検出手段で検出される付着水滴量は、ほぼ一定の割合で増加する。一方、降雨により水滴がウインドガラスに付着する場合には、その降雨量に応じて付着水滴量は少なくとも降雨初期において増加する。
【0015】
しかしながら、降雨による水滴の大きさは一般に結露による水滴よりも大きいため、降雨によりウインドガラスに衝突した雨滴自身、あるいは複数の雨滴の表面張力などにより集合して大粒化した雨滴の自重によって、ウインドガラス面を流れ落ちて排出されるので、水滴検出手段で検出される付着水滴量が減少する可能性がある。
【0016】
また、降雨によりウインドガラスに衝突した直後は雨滴がウインドガラス面に沿って拡がり、その後、雨滴の表面張力によりほぼ半球体に近づこうとするので結果的に雨滴が小粒化する可能性があり、雨滴の衝突前後で水滴検出手段で検出される付着水滴量が増減するおそれがある。
【0017】
これに対して、本発明の請求項2に記載の雨滴検出装置では、判定手段は、払拭周期内に算出される変化率が所定の増加率以上である場合、つまり付着水滴量の増加率に着目してそれを監視し、その増加率が所定値以上である場合に、水滴がウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定するので、水滴検出手段の検出する付着水滴量に係わる情報の後処理方法を変更する程度で、結露を検出するための検出装置などを追加することなく、簡易に降雨によるウインドガラスへ付着する雨滴の状態と、外気等雰囲気に含まれる水蒸気の結露とを判別することができる。
【0018】
請求項3に記載の雨滴検出装置は、付着水滴量に基づいて払拭操作モードを選択する選択手段を備えており、判定手段は、結露状態であると判定する場合には、選択手段が最も速い払拭操作モードを選択することを禁止する禁止手段を有することを特徴とする。
【0019】
雨滴検出装置が、水滴検出手段によりワイパの払拭範囲内のウインドガラスに付着した水滴量を検出し、その付着水滴量に基づいてワイパの払拭操作モードを選択する選択信号を出力する場合において、選択された選択信号は、直ちに駆動手段へ出力され、駆動手段によって、選択された払拭操作モードに応じたワイパの払拭動作が行われることが好ましい。しかしながら、ウインドガラスに結露が生じた場合には、雨滴の付着状態と結露による曇り状態とで運転者の感じる視界の良否などが異なるおそれがある。
【0020】
これに対して、本発明の請求項3に記載の雨滴検出装置では、判定手段により結露状態であると判定される場合には、選択手段が最も速い払拭操作モードを選択することを禁止するので、運転者に最も速いワイパ払拭動作を煩わしく感じさせ、不快感を運転者に与えてしまうことを防止できる。
【0021】
請求項4に記載の雨滴検出装置は、付着水滴量に基づいて払拭操作モードを選択する選択手段を備えており、判定手段が結露状態であると判定する場合には、選択手段が選択する払拭操作モードを、モードダウンさせる制限手段を有することを特徴とする。
【0022】
これによると、選択手段は、水滴検出手段により検出された付着水滴量に基づいて払拭操作モードを選択するときに、判定手段により結露状態であると判定されている場合には、選択手段が選択する払拭操作モードを、モードダウンさせるので、運転者にワイパ払拭動作を煩わしく感じさせ、不快感を運転者に与えてしまうことを防止できる。
【0023】
請求項5に記載の雨滴検出装置は、判定手段は、水滴がウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定した後、次回以降の払拭周期内においても結露状態であると判定しない場合には、結露状態の判定を取消すことを特徴とする。降雨による雨滴であっても、降り始めに降雨する霧雨などの雨滴は結露よりは大きいが、比較的小さい水滴になる可能性がある。一時的に霧雨などの雨滴が結露のような挙動を示すおそれがある。
【0024】
これに対して、本発明の請求項5に記載の雨滴検出装置では、判定装置は、水滴がウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定した後、次回以降の払拭周期内においても結露状態であると判定しない場合には、結露状態の判定を取消すことが好ましい。これにより、一時的に結露のような挙動を示す霧雨などの降雨状態に対して、結露状態の判定を取消すことができる。
【0025】
なお、降り始めの霧雨などの雨滴の状態などによって万が一に1回の払拭周期内で結露状態であると判定される場合があったとしても、一度の結露状態判定によるフェールセーフ処理として例えば雨滴であると判定されるまでの期間あるいは結露発生による予め決められた所定時間が経過する期間などは結露判定の情報が維持されることはない。
【0026】
請求項6に記載の雨滴検出装置は、各所定の周期間の付着水滴量を比較する比較手段を備え、比較手段は、経時的にほぼ同じまたは減少していると判断する場合には、変化率算出手段による算出を中止することを特徴とする。
【0027】
これによると、各所定の周期間の付着水滴量を比較する比較手段を備え、比較手段は、経時的にほぼ同じまたは減少していると判断する場合には、変化率算出手段による算出を中止することが好ましい。これにより、結露状態と疑わしい水滴のウインドガラスへの付着状態は、払拭周期内での次回以降の各所定の周期ごとで再判定される。さらに、水滴の付着状態が、例えば降雨による雨滴の特徴であると判るような所定の周期間の付着水滴量が経時的にほぼ同じまたは減少しているものである場合には、結露状態を判定するための内部演算処理などの無駄時間を省くことができる。
【0028】
請求項7に記載の雨滴検出装置は、ウインドガラスを液滴で清浄するための外部信号を受信すると、ウインドガラスが液滴により清浄されている状態であると認知する認知手段を備え、認知手段が検出した外部信号に基づいてワイパの払拭操作モードが選択される場合には、判定手段による判定を中止することを特徴とする。
【0029】
運転者がウインドガラスの汚れなどにより視界の良否が劣ると感じた場合には、降雨の有無に拘らず、意図的にウインドウォッシャなどのウインドガラス清浄手段によってウインドガラスへ清浄のための液滴を吹付ける場合がある。
【0030】
これに対して、本発明の請求項7に記載の雨滴検出装置では、雨滴検出による自動的なワイパ制御とするための判定手段による判定動作よりも、運転者の要求を優先する。これにより、運転者が快適に感じる雨滴検出による自動的なワイパ制御のための雨滴検出装置が提供できる。
【0031】
請求項8に記載の雨滴検出装置は、水滴検出手段は、水滴検出の対象となる対象物に向かって光を発光する発光素子を有する発光手段と、発光手段から発光されて対象物により反射された光を受光し、受光量に略比例した出力値を出力する受光手段とを備えていることを特徴とする。これによると、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の雨滴検出装置は、水滴検出の対象となる対象物に向かって光を発光する発光素子を有する発光手段と、発光手段から発光されて対象物により反射された光を受光し、受光量に略比例した出力値を出力する受光手段とを有する水滴検出手段を備える雨滴検出装置に適用して好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の雨滴検出装置を、車両などのウインドガラスに付着した雨滴をワイパの払拭操作で払拭するワイパ制御装置の払拭操作を自動制御するための雨滴を検出する雨滴検出装置に適用して、具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0033】
図1は、本実施形態の雨滴検出装置を、車両用のワイパ制御装置に適用した一実施例を示す構成図である。図2は、図1中に示す制御装置の主な機能を手段で表すブロック図である。なお、図6は、雨滴がウインドガラス表面に付着する過程の一例を示す模式図である。図6(a)、図6(b)、および図6(c)は、ウインドガラス表面へ雨滴が衝突する前後の過程を示す模式的断面図である。図7は、外気に含まれる水蒸気がウインドガラス表面に結露する過程の一例を示す模式図である。図7(a)、図7(b)、および図7(c)は、時間経過の順に示す模式的断面図である。図8は、ワイパの払拭操作中のウインドガラスの検出対象部において水滴検出器が検出する付着水滴量を示すグラフである。図8(a)は降雨によりウインドガラスへ付着した付着水滴量の過程、図8(b)は外気に含まれる水蒸気の結露によりウインドガラスへ付着した付着水滴量の過程を示すグラフである。
【0034】
図1に示すように、ワイパ制御装置は、雨滴検出装置10と、ワイパ装置(以下、ワイパ駆動装置と呼ぶ)20とを含んで構成されている。雨滴検出装置10は、水滴としての雨滴検出対象物であるフロントウインドガラスなどのウインドガラス(以下、ウインドシールドと呼ぶ)7に付着した雨滴を検出するものである。なお、ウインドシールド7は、フロントウインドシールドに限らず、リアウインドシールドであってもよい。以下、本実施形態で説明するウインドシールド7はフロントウインドシールドとする。ワイパ駆動装置20は、ウインドシールド7に雨滴が付着している場合にウインドシールド7に配設されたワイパ1a、1bを駆動するものである。
【0035】
ワイパ駆動装置20は、ワイパ1a、1bを各払拭操作モードに対応したワイパ操作速度で駆動するためのワイパモータ2と、モータ駆動回路3とを含んで構成されている。ワイパ1a、1bは、運転席側と助手席側のワイパブレードを有しており、このワイパブレードはウインドシールド7表面を払拭可能に配備されている。ワイパ1a、1bは図示しない周知のリンク機構を介してワイパモータ2の駆動力によって駆動される。
【0036】
モータ駆動回路3は、ワイパスイッチ6などからの外部信号またはマイクロコンピュータ4から出力される駆動信号を受信すると、これら信号に基づいてワイパモータ2へ電力を供給する。ワイパ1a、1bは、ウインドシールド7の払拭範囲をワイパモータ2の駆動力により図1の点線範囲に略扇状に揺動動作などさせて、払拭操作する。なお、ここで、ワイパモータ2とモータ駆動回路3は、ワイパ1a、1bの払拭操作を形成する駆動手段を構成する。
【0037】
ワイパスイッチ6は、ワイパ1a、1bの払拭操作の停止(以下、OFFモードと呼ぶ)、自動制御(以下、AUTOモードと呼ぶ)、低速作動(以下、LOモードと呼ぶ)、および高速作動(以下、HIモードと呼ぶ)を運転者の手動操作などにより切換えるスイッチ機能を有する。ワイパスイッチ6は、例えば4つの作動位置に回動操作することで、上記4つのモードを選択する選択信号(以下、運転者選択信号と呼ぶ)を、制御手段としてのマイクロコンピュータ4、あるいはモータ駆動回路3へ出力するものである。なお、本実施形態では、マイクロコンピュータ4へ運転者選択信号を出力するものとする。なお、運転者の操作によりワイパスイッチ6がAUTOモードに選択されると、ワイパ1a、1bの払拭操作はマイクロコンピュータ4により自動制御される。
【0038】
雨滴検出装置10は、水滴検出器5とマイクロコンピュータ4とを含んで構成されている。水滴検出器5は、赤外線を発光する発光ダイオードなどの発光素子(以下、LEDと呼ぶ)51と、赤外線を受光可能なフォトダイオードなどの受光素子(以下、PDと呼ぶ)52とを備えており、雨滴を光学的に検出する。なお、LED51とPD52の組は、図1において1組のものとして図示されているが、1組に限らず、複数組設けてもよい。ウインドシールド7の払拭範囲内に複数組配置することで、ウインドシールド7に付着する水滴量(以下、付着水滴量と呼ぶ)の検出精度の向上が図れる。以下、本実施形態での説明では、説明の簡便のために、LED51とPD52の組は1組として説明する。
【0039】
LED51にはLED駆動回路53が接続されており、LED51はLED駆動回路53を介してマイクロコンピュータ4により点灯、消灯制御される。PD52には検波・増幅回路54が接続されており、PD52は検波・増幅回路54を介してマイクロコンピュータ4へ水滴量に係わる水滴検出信号を出力する。なお、ここで、LED51とLED駆動回路53は発光手段を構成する。PD52と検波・増幅回路54は受光手段を構成する。発光手段51、53は水滴検出の対象となる対象部7r(本実施形態ではウインドシールド7)に向かって光を発光する。受光手段52、54は発光手段51、53から発光されてウインドシールド7により反射された光を受光し、例えば受光に略比例した出力値を有する水滴検出信号を出力する。
【0040】
水滴検出器5には、LED51から発光される光をPD52の受光する光として集光させるための周知のプリズム(図示せず)が、ウインドシールド7の内面の検出対象部7rに配設されている。なお、そのプリズムには、図示しないプリズムの結露防止のための周知のヒータ、ヒータ回路、およびプリズムの温度を測定するプリズム温度センサが配置されている。なお、ヒータ、ヒータ回路、およびプリズム温度センサは省略してもよい。
【0041】
なお、ここで、水滴検出器5は、ワイパ1a、1bの払拭範囲内のウインドシールド7(詳しくは検出対象部7r)に付着した付着水滴量を検出する水滴検出手段を構成する。この水滴検出手段は、その付着水滴量に係わる水滴検出信号を出力する。
【0042】
マイクロコンピュータ4は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムやデータを保存する記憶装置(ROM、RAMなどのメモリ)、入力回路、出力回路、および電源回路などの周知の機能を含んで構成されている。
【0043】
マイクロコンピュータ4には、ウインドシールド7の外表面の検出対象部7rに雨滴、結露などの水滴が付着している場合に水滴検出器5から出力される水滴検出信号、ワイパスイッチ6の各運転者の選択信号、ウインドウォッシャスイッチ8などの信号が入力される。
【0044】
また、マイクロコンピュータ4は、ワイパスイッチ6の各運転者選択信号のうちAUTOモードの信号が入力されると、メモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、水滴検出信号の出力値またはその出力値を平均化などした出力代表値から、ワイパ1a、1bの払拭操作モードを決定する。そして、マイクロコンピュータ4は、その払拭操作モードに対応した選択信号をモータ駆動回路3へ出力し、その信号に応じて駆動手段2、3を駆動制御する。
【0045】
なお、ウインドウォッシャスイッチ8は、運転者がウインドシールド7の汚れなどにより視界の良否が劣ると感じるなどした場合、ウインドシールド7を清浄するための液滴をウインドシールド7へ噴霧する指令を行うスイッチ機能であり、このスイッチ機能がONされると、マイクロコンピュータ4へその情報信号が出力される。
【0046】
なお、詳しくは、マイクロコンピュータ4は、メモリ内に記憶されたプログラム(以下、結露判定ありのワイパ自動制御と呼ぶ)を実行することで実現する主な機能を手段で表すと、図2に示されるブロック図のように、付着水滴量算出手段41と、比較手段43と、変化率算出手段44と、結露判定手段45と、払拭操作モードの制限手段(以下、HIモード禁止手段と呼ぶ)47と、払拭操作モードの選択手段(以下、選択信号決定手段と呼ぶ)48と、検出期間設定手段49とを備えている。
【0047】
付着水滴量算出手段41は、所定の周期(以下、サンプリング周期と呼ぶ)ごとに水滴検出器5からの水滴検出信号の出力値に基づいてその所定サンプリング周期内に付着した付着水滴量を算出する。ここで、所定サンプリング周期T(図8参照)は、ワイパ1a、1bの払拭周期T(図8参照)に比べて短く、その払拭周期T内を複数区分に区分可能な周期(本実施形態では、50ms)である。
【0048】
なお、この所定サンプリング周期Tは、ワイパ1a、1bがLOモードなど各モードに対応するいずれの払拭速度で払拭範囲内を払拭操作する場合であっても、ワイパ1a、1bが検出対象部7rを通過しない期間(以下、付着水滴量検出可能期間と呼ぶ)T(図8参照)に基づき、付着水滴量検出可能期間T中に、複数回の付着水滴量算出が可能なように設定される。
【0049】
検出期間設定手段49は、付着水滴量算出手段41を実行するときに、実行中の払拭モードでの払拭周期Tに基づいて付着水滴量検出可能期間Tを設定する。この付着水滴量検出可能期間Tは、モータ駆動回路3の通電状況や、ワイパモータ2の回転角度などから算出されるワイパ1a、1bの位置に基づいて設定される。
【0050】
なお、払拭操作を実施していない場合には、検出期間設定手段49は、所定サンプリング周期Tおよび付着水滴量検出可能期間Tを、それぞれ、例えば50ms、3sのデフォルト値に設定する。これにより、雨の降り始めなどの場合においては、付着水滴量算出手段41は、これらデフォルト値で設定された所定サンプリング周期Tおよび付着水滴量検出可能期間T条件で、付着水滴量が算出される。
【0051】
なお、記憶手段(以下、第1記憶手段と呼ぶ)42は、各所定サンプリング周期T間前後の付着水滴量を比較するために、付着水滴量算出手段41によって算出された付着水滴量を、メモリ内に格納して記憶する。
【0052】
比較手段43は、払拭周期T内の各所定サンプリング周期T間前後の付着水滴量、つまり前回算出の付着水滴量(以下、前回付着水滴量と呼ぶ)と今回算出の付着水滴量(以下、今回付着水滴量と呼ぶ)を比較する。その比較の結果、今回付着水滴量が前回付着水滴量に比べて経時的にほぼ同じまたは減少しているか否かを比較手段43は判定する。
【0053】
経時的にほぼ同じまたは減少している場合には、比較手段43は、水滴の付着状態が降雨によるものと判断し、変化率算出手段44および結露判定手段45の実行を省いて、払拭モード選択手段48を実行する。逆に、経時的に増加している場合には、変化率算出手段44および結露判定手段45を実行する。
【0054】
変化率算出手段44は、今回付着水滴量と前回付着水滴量とに基づいて前回付着水滴量に対して今回付着水滴量の変化率を算出する。結露判定手段45は、仮判定手段45aを備えている。仮判定手段45aは、所定サンプリング周期T間前後の今回付着水滴量と前回付着水滴量から算出された変化率に基づいて結露による水滴付着状態か否かを判定する。
【0055】
なお、詳しくは、変化率が所定の増加率(本実施形態では、5%)以上か否かを判定し、所定の増加率以上の場合には、結露による水滴付着状態と判定する(以下、結露であるとする結露仮判定と呼ぶ)。逆に、所定の増加率未満の場合には、降雨によるものと判定し、記憶手段(以下、第2記憶手段と呼ぶ)46に結露仮判定が否定された実績を結露OFFとして記憶する。
【0056】
なお、ここで、出願人は結露による水滴付着の過程と降雨によるものの過程を比較調査したところ、図8(b)の結露による水滴付着の過程と図8(a)の降雨によるものの過程に示されるように、結露による水滴付着の過程は払拭周期T内の各所定サンプリング周期T間の付着水滴量は、ほぼ一定の割合で増加する(図8(b)参照)。また、図7(a)から図7(c)に示すように、結露は外気(雰囲気)に含まれる水蒸気が液化してウインドシールド7の外表面に付着するため、水蒸気が結露して形成される水滴9bの大きさが比較的小さく、ウインドシールド7の外表面の全面にわたって付着するまで付着水滴9b量は増加し続ける。
【0057】
一方、図6(a)から図6(c)のウインドシールド7への雨滴の衝突前後の過程に示すように、雨滴9aは、雨滴自身の表面張力の影響などにより衝突前後で検出対象部7rにおける雨滴9aの付着面積が変化するため、水滴検出器5で検出される付着水滴9a量が増減するおそれがある。なお、図6(b)に示すようにウインドシールド7へ衝突直後の雨滴9aは、ウインドシールド7外表面に沿って拡がり、その後は、図6(c)に示すように、雨滴9a自身の表面張力により、雨滴9aはほぼ半球体になるまで小粒化する。
【0058】
また、雨滴9aの大きさは一般に結露による水滴9bよりも大きいため、降雨によりウインドシールド7へ衝突した雨滴9a自身、あるいは図示しない複数の雨滴9aの表面張力などの相互影響で集合し大粒化した雨滴9a自身の自重によって、結果として、傾斜しているウインドシールド7外表面に沿って流れ落ちてしまって排出されることになる場合もある。
【0059】
そのため、図8(a)の降雨による水滴付着の過程に示されるように、降雨初期には付着水滴量は増加するものの(図8(a)の左端の付着例)、その後は、経時的にほぼ同じまたは減少する現象がみられ、結果として、水滴検出器5で検出される付着水滴量が減少する場合もある。
【0060】
なお、結露による水滴付着状態か否かを判定する増加率の閾値として、霧雨から大雨までの降雨状態と、結露発生度合に影響する湿度環境を考慮した結露状態とによる水滴付着状態を調査し、その結果、所定の増加率が5%であれば、降雨と結露の水滴付着状態を判別可能であるとの結果を出願人は確認した。
【0061】
さらに、結露判定手段45は、検出期間判定手段45bと、本判定手段45cとを備えている。検出期間判定手段45bは、付着水滴量検出可能期間Tが終了したか否かを判定する。付着水滴量検出可能期間Tが終了していない場合には、次の所定サンプリング周期T間前後の付着水滴量の変化率の算出が可能であるので、図2に示すように、付着水滴量算出手段41を実行する段階まで戻る。
【0062】
逆に、付着水滴量検出可能期間Tが終了している場合には、払拭周期T内の全ての仮判定手段45bが終了したと判断する。本判定手段45cは、全ての仮判定手段45bにおいて、第2記憶手段46に記憶するデータを読出し、結露仮判定が否定された実績(結露OFF)があったか否かを判定する。結露OFFとの記憶データがない場合には、結露による水滴付着状態であると最終判定する。逆に、結露OFFとの記憶データがある場合には、降雨による水滴付着状態であると最終判定する。
【0063】
本判定手段45cで結露による水滴付着状態であると最終判定されると、HIモード禁止手段47は、モータ駆動回路3へ出力する選択信号を決定するための選択信号決定手段48へHIモードを選択することを禁止する禁止信号を出力する。
【0064】
選択信号決定手段48は、水滴検出器5の上記水滴検出信号の出力値または上記出力代表値から求められる通常の雨滴量に応じた払拭モードの選択信号と、HIモード禁止手段47にてHIモードを選択することを禁止する場合には、その禁止信号とに基づいて最終的に選択信号を決定する。マイクロコンピュータ4は、選択信号決定手段48にて決定された選択信号をモータ駆動回路3へ出力する。
【0065】
選択信号決定手段48は、水滴検出器5の上記水滴検出信号の出力値または上記出力代表値から求められる通常の雨滴量に応じた払拭モードの選択信号と、HIモード禁止手段47からの禁止信号とに基づいて最終的に選択信号を決定する。
【0066】
以上説明した結露判定ありのワイパ自動制御は、マイクロコンピュータ4によって、図3、図4、図5に示すような手順で実行される。図3は、本実施形態に係わる雨滴検出装置で算出した付着水滴量に基づいてワイパの払拭操作モードを決定する基本的な制御処理を示すフローチャートである。図4は、図3中の払拭操作モードの決定に係わる制御処理を示すフローチャートである。図5は、図4中の結露判定に係わる制御処理を示すフローチャートである。
【0067】
図3に示すように、まず、S(ステップ)110にて、初期化を行う。次に、マイクロコンピュータ4は、S120にて、ワイパスイッチ6からの運転者選択信号を読取る。なお、以下の説明では、運転者選択信号から、AUTOモードが選択されているものとする。ワイパ駆動装置20は、マイクロコンピュータ4により自動制御されている。
【0068】
S130では、マイクロコンピュータ4は、50msに設定された所定サンプリング周期ごとに水滴検出器5から水滴検出信号を受取り、付着水滴量を算出する。S140では、マイクロコンピュータ4はその付着水滴量に基づいて払拭モードを決定する。次いでS150では、S140で決定された払拭モードに応じた選択信号をモータ駆動回路3が受信し、モータ駆動回路3によりワイパ1a、1bをその払拭モードに対応した払拭操作で動作させ、ウインドシールド7を自動制御させ、この制御処理を終了する。
【0069】
次に、S140の制御処理における払拭モードの決定の手順について図4に従って説明をする。S210では、マイクロコンピュータ4は、水滴検出器5からの水滴検出信号に基づいて、現在ウインドシールド7に水滴が付着している状態か否かを判断する。水滴が付着している状態であれば、S220へ移行する、水滴が付着している状態になければS230へ移行する。
【0070】
S220では、マイクロコンピュータ4は、ウインドシールド7に結露が発生している状態にあるか否かを判定する。S240では、結露判定の結果と、通常の雨滴検出による水滴付着量とに基づいて払拭モードを選択し、処理を終了する。
【0071】
S210において、水滴が付着していない状態と判断され、S230に移行されると、S230では、マイクロコンピュータ4は、現在ワイパ1a、1bが払拭停止の状態にあるか否かを判定する。その結果、ワイパ1a、1bが停止していれば、S250にて払拭モードを強制的に停止モードにし処理を終了する。ワイパ1a、1bが停止していなければ、処理をS240に移行する。
【0072】
次に、S220の制御処理における結露判定の手順について図5に従って説明をする。S310では、マイクロコンピュータ4は、50ms前(前回のサンプリング周期)の付着水滴量と今回のサンプリング周期での付着水滴量とを比較する。今回のサンプリング周期での付着水滴量が、前回のサンプリング周期の付着水滴量よりもほぼ同じまたは減少しているならば、S320に移行する。S320では、マイクロコンピュータ4は結露判定値をOFFにして、S360に移行する。逆に、今回のサンプリング周期での付着水滴量が、前回のサンプリング周期の付着水滴量よりも増加しているならば、S330に移行する。
【0073】
S330では、マイクロコンピュータ4は、50ms前(前回のサンプリング周期)の付着水滴量に対する今回のサンプリング周期での付着水滴量の変化率(増加率)を算出し、S340に移行する。S340では、マイクロコンピュータ4は、その変化率(増加率)が、結露判定のための閾値としての所定増加率5%以上であるか否かを判定する。その増加率が5%以上であれば、S360に移行する。逆に、その増加率が5%未満であれば、S350に移行して、結露判定値をOFFにし、その後、S360に移行する。
【0074】
S360では、マイクロコンピュータ4は、付着水滴量検出可能期間が終了しているか否かを判定する。この検出期間が終了していれば、マイクロコンピュータ4はS370に移行し、終了していなければ、再びS120の制御処理に戻す。S120に戻した場合、マイクロコンピュータ4は、この付着水滴量検出可能期間が終了するまで、S120からS360までの処理を繰り返す。
【0075】
S370では、マイクロコンピュータ4は、付着水滴量検出可能期間中に結露判定値がOFFにならなかったか否かを判定する。この付着水滴量検出可能期間中に一度も結露判定値がOFFとならなかった場合は、マイクロコンピュータ4は、S380に移行し、水滴の付着状態が結露であると判断し、結露判定値をONに、ワイパ1a、1bの払拭モードをHIモードに選択することを禁止するように、HIモード禁止に設定し、この処理を終了する。
【0076】
S380で結露判定ON、HIモード禁止と設定された場合は、マイクロコンピュータ4は、S240の制御処理において、払拭モードをHIモード以外のモードを選択する。一方、一度でも結露判定値がOFFとなった場合は、結露判定による制限を加えず、マイクロコンピュータ4は、S240において、運転者に不快感を与えることなく、最適な払拭モードを選択する。
【0077】
なお、以上説明した結露判定ありのワイパ自動制御の機能および手順は、マイクロコンピュータ4に、外部入力信号として、ワイパスイッチ6の各運転者選択信号のうちAUTOモードの信号が入力される場合つまりワイパ自動制御の場合で説明した。AUTOモード以外のLOモード、HIモード、あるいは停止モードの運転者選択信号がマイクロコンピュータ4に入力される場合においては、図2に示すように、選択信号決定手段48は、モータ駆動回路3へ出力するための選択信号を、上記運転者選択信号(例えば、LOモードの運転者選択信号)に基づいてその信号に対応するLOモードの選択信号に決定する。その時、ワイパ自動制御は行われず、運転者が選択したLOモードにワイパ操作モードが固定される。
【0078】
また、マイクロコンピュータ4に入力される外部入力信号が、ウインドウォッシャスイッチ8による信号の場合には、運転者がウインドシールド7の汚れなどにより視界の良否が劣ると感じるためにウインドシールド7に液滴を噴霧する状態である。この噴霧による液滴は結露ではないので、結露判定手段45は中止されるようにすることが好ましい(図2参照)。
【0079】
次に、本実施形態の作用効果を説明すると、
(1)ワイパの払拭周期内において水滴検出器5にて検出された付着水滴量の変化率(水滴の変化パターン)を変化率算出手段44で算出し、結露判定手段45にて、その変化率に基づいてウインドシールド7への水滴の付着状態を判定するので、降雨によるウインドガラスへ付着する雨滴の状態と、外気等雰囲気に含まれる水蒸気の結露とを判別することが可能となる。
【0080】
(2)結露判定手段45は、払拭周期内に算出される変化率が所定の増加率以上である場合つまり付着水滴量の増加率に着目して監視する。その増加率が5%以上である場合に、水滴がウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定する。これによると、水滴検出器5の検出する付着水滴量に係わる情報の後処理方法を変更する程度で、結露を検出するための検出装置などを追加することなく、容易に降雨によるウインドガラスへ付着する雨滴の状態と、外気等雰囲気に含まれる水蒸気の結露とを判別することができる。
【0081】
(3)結露判定手段45において、ウインドシールド7に結露が発生していると判定された場合には、HIモード禁止手段47が最も速い払拭操作モードを選択することを禁止するので、運転者に最も速いワイパ払拭動作を煩わしく感じさせ、不快感を運転者に与えてしまうことを防止できる。
【0082】
(4)結露判定手段45が、ウインドシールド7へ結露して付着した結露状態であると判定した後、次回以降の払拭周期T内において結露状態であると判定しない場合には、一旦、結露状態であると判定した後でも結露判定を取消す(S370における制御処理)。これにより、一時的に結露のような挙動を示す霧雨などの降雨状態に対しても結露状態の判定を取消すことができる。
【0083】
(5)比較手段43は、払拭周期T内の各所定サンプリング周期T間前後の付着水滴量、つまり前回付着水滴量と今回付着水滴量とを比較する。その比較の結果、経時的にほぼ同じまたは減少している場合には、比較手段43は、水滴の付着状態が降雨によるものと判断し、変化率算出手段44および結露判定手段45の実行を省いて、払拭モード選択手段47を実行する。これにより、結露状態を判定するための内部演算処理などの無駄時間を省くことができる。
【0084】
(6)マイクロコンピュータ4に入力される外部入力信号が、ウインドウォッシャスイッチ8による信号の場合には、運転者がウインドシールド7の汚れなどにより視界の良否が劣ると感じるためにウインドシールド7に液滴を噴霧する状態である。この噴霧による液滴は結露ではないので、結露判定手段45は中止されるようにする。これにより、運転者が快適に感じる雨滴検出による自動的なワイパ制御のための雨滴検出装置が提供できる。
【0085】
(7)雨滴検出装置の水滴検出手段として赤外線を発光する発光ダイオードなどの発光素子51と、赤外線を受光可能なフォトダイオードなどの受光素子52とを備え、雨滴を光学的に検出する水滴検出器5を適用することが、雨滴検出装置に対して最も適している。
【0086】
(他の実施形態)
以上説明した本実施形態では、雨滴および結露による水滴を検出する水滴検出手段と、赤外線を発光するLEDなどの発光手段51と、その光を受光可能なPDなどの受光素子52とを備える雨滴検出器で説明したが、赤外線に限らず、他の光線を利用する光学的な検出器であれば、いずれの水滴検出器であってもよい。
【0087】
以上説明した本実施形態では、結露判定手段45にてウインドシールド7に付着する水滴が結露であると判定された場合には、HIモード禁止手段47でHIモードを選択することを禁止するように制御処理したが、HIモードを禁止する禁止手段に限らず、モードダウンするようにモード選択を制限する制限手段であってもよい。この制御処理であっても、払拭モードをモードダウンさせることにより、HIモードへの選択が阻止され、運転者にワイパ払拭動作を煩わしく感じさせ、不快感を運転者に与えてしまうことを防止できる。
【0088】
次に、他の実施形態の作用効果を説明すると、
(1)結露判定手段45にてウインドシールド7に付着する水滴が結露であると判定された場合には、モードダウンするようにモード選択を制限する。払拭モードをモードダウンさせることにより、HIモードへの選択が阻止され、運転者にワイパ払拭動作を煩わしく感じさせ、不快感を運転者に与えてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本実施形態の雨滴検出装置を、車両用のワイパ制御装置に適用した一実施例を示す構成図である。
【図2】図1中に示す制御装置の主な機能を手段で表すブロック図である。
【図3】本実施形態に係わる雨滴検出装置で算出した付着水滴量に基づいてワイパの払拭操作モードを決定する基本的な制御処理を示すフローチャートである。
【図4】図3中の払拭操作モードの決定に係わる制御処理を示すフローチャートである。
【図5】図4中の結露判定に係わる制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(a)、図6(b)、および図6(c)は、ウインドガラス表面へ雨滴が衝突する前後の過程を示す模式的断面図である。
【図7】図7(a)、図7(b)、および図7(c)は、時間経過の順に示す模式的断面図である。
【図8】図8(a)は降雨によりウインドガラスへ付着した付着水滴量の過程、図8(b)は外気に含まれる水蒸気の結露によりウインドガラスへ付着した付着水滴量の過程を示すグラフである。
【符号の説明】
【0090】
1a、1b ワイパ
2 ワイパモータ
3 モータ駆動回路
4 マイクロコンピュータ
5 水滴検出器
6 ワイパスイッチ
7 ウインドシールド
8 ウインドウォッシャスイッチ
41 付着水滴量算出手段
43 比較手段
44 変化率算出手段
45 結露判定手段
47 払拭操作モードの制限手段(HIモード禁止手段)
48 払拭モードの選択手段(選択信号決定手段)
49 検出期間設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイパと、駆動手段とを備え、前記駆動手段の駆動力により前記ワイパの払拭操作を形成することによりウインドガラスに付着した水滴を払拭するワイパ装置に用いられ、
前記ワイパの払拭範囲内の前記ウインドガラスに付着した水滴量を検出し、該付着水滴量に基づいて前記ワイパの払拭操作モードを選択する選択信号を出力する雨滴検出装置において、
前記ワイパの払拭周期内において、前記付着水滴量を所定の周期ごとに検出可能な水滴検出手段と、
前記水滴検出手段で検出された各所定の周期間の前記付着水滴量の変化率を算出する変化率算出手段と、
算出した前記変化率に基づいて前記ウインドガラスへの水滴の付着状態を判定する判定手段とを備えていることを特徴とする雨滴検出装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記払拭周期内に算出される前記変化率が所定の増加率以上である場合には、水滴が前記ウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載の雨滴検出装置。
【請求項3】
前記付着水滴量に基づいて前記払拭操作モードを選択する選択手段を備えており、
前記判定手段は、結露状態であると判定する場合には、前記選択手段が最も速い払拭操作モードを選択することを禁止する禁止手段を有することを特徴とする請求項2に記載の雨滴検出装置。
【請求項4】
前記付着水滴量に基づいて前記払拭操作モードを選択する選択手段を備えており、
前記判定手段は、結露状態であると判定する場合には、前記選択手段が選択する払拭操作モードをモードダウンさせる制限手段を有することを特徴とする請求項2に記載の雨滴検出装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記ウインドガラスへ結露して付着した結露状態であると判定した後、次回以降の前記払拭周期内においても結露状態であると判定しない場合には、結露状態の判定を取消すことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の雨滴検出装置。
【請求項6】
前記各所定の周期間の前記付着水滴量を比較する比較手段を備え、
前記比較手段は、経時的にほぼ同じまたは減少していると判断する場合には、前記変化率算出手段による算出を中止することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の雨滴検出装置。
【請求項7】
前記ウインドガラスを液滴で清浄するための外部信号を受信すると、前記ウインドガラスが液滴により清浄されている状態であると認知する認知手段を備え、
前記認知手段が検出した外部信号に基づいて前記ワイパの払拭操作モードが選択されている場合には、前記判定手段による判定を中止することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の雨滴検出装置。
【請求項8】
前記水滴検出手段は、
水滴検出の対象となる対象物に向かって光を発光する発光素子を有する発光手段と、
前記発光手段から発光されて前記対象物により反射された光を受光し、受光量に略比例した出力値を出力する受光手段とを備えていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の雨滴検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−7936(P2006−7936A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186827(P2004−186827)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】