説明

電力供給装置、メモリ装置、処理装置、メモリ装置判定方法、ソフトウェア処理システム、処理プログラム、並びに処理プログラムを記録した記録媒体

【課題】ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたものかどうかを判定し、かつ、不正コピーされたものである場合にはその使用を阻止するソフトウェア処理システム等を提供する。
【解決手段】ゲーム機20では、メモリ装置1が有するゲームプログラムを読み出して実行するゲーム機2のCPU6が、電力制御部7にアクセスしてメモリ装置1に電力を供給させる。次いで、CPU6が負荷制御部3およびメモリ4にアクセスして、メモリ4が有する電力消費データを読み出し、負荷制御部3は負荷を変化させる。その後、電力制御部7にてメモリ装置1に供給する電力が測定され、かつ、当該測定結果が記憶される。次いで、CPU6が再び電力制御部7にアクセスして、上記測定結果を読み出し、読み出した上記電力消費データと比較してメモリ装置1が正規品か否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたものかどうかを判定し、かつ、不正コピーされたものである場合にはその使用を阻止するための電力供給装置、メモリ装置、処理装置、メモリ装置判定方法、ソフトウェア処理システム、処理プログラム、並びに処理プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ゲーム機では、当該ゲーム機のゲームプログラムが当該ゲーム機に着脱可能なゲームカセットの形で市場に大量に供給されているが、このゲームカセットには必ず不正コピー問題が発生している。
【0003】
図8は、従来の家庭用ゲーム機140の構成例を示すブロック図である。ゲーム機140は、図示のように、上記ゲームカセットに相当するメモリ装置121と、当該メモリ装置121が着脱されるゲーム機122とで構成される。
【0004】
メモリ装置121は、ゲームプログラムが格納されているメモリ123を備えている。ゲーム機122は、表示部などの周辺回路部124、CPU125、電源制御部126、および電池132を備えている。メモリ装置121におけるメモリ123とゲーム機122におけるCPU125とはバス127で接続され、周辺回路部124とCPU125とはバス128で接続され、CPU125と電源制御部126とはバス129で接続されている。また、電池132から電源制御部126および電源経路130を介してメモリ装置121に電力が供給され、電源制御部126および電源経路131を介してゲーム機122に電力が供給される。ゲーム機122は、その電源がオンされると、CPU125が起動してメモリ装置21よりゲームプログラムをロードしてゲームを開始させる。
【0005】
ここで、メモリ123はROMやフラッシュメモリなどの汎用品であるため、例えばメモリ装置121とゲーム機122との間にモニタ装置を装着してCPU125と接続されるバス27のデータを読み取って、メモリ123の内容を複製する不正コピーが可能であった。
【0006】
そこで、不正コピーを防ぐために、メモリ123、つまりゲームカセット内のゲームプログラムが格納されたメモリのアドレスやデータを暗号化する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。しかしながら、この方法は、ゲームカセットのコストを上昇させるなどの問題があり、広く実用化されていない。
【特許文献1】特開2002−91828号公報(2002年3月29日公開)
【特許文献2】特開2008−40941号公報(2008年2月21日公開)
【特許文献3】特願2008−171342号公報(2008年6月30日出願)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、システム1010ではセキュリティチェックに用いられる信号がデジタル信号であるため、外部から観測することが比較的困難ではなく、かつその観測した結果を解析し、ソフトウェアとして同じ動作をある程度実現することができる。このため、セキュリティチェックの効果が十分に発揮されず、市場に偽造ソフトウェアデバイスが出回ることとなる。
【0008】
上述のように、ゲームカセット内のゲームプログラムが格納されたメモリには汎用のROMやフラッシュメモリが使用されるため、ゲームプログラムの不正コピーが比較的容易であるが、それを阻止する有効な手立てが未だ提案されておらず、不正コピー品が市場に出回っている。
【0009】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたものかどうかを判定し、かつ、不正コピーされたもの(非正規品)である場合にはその使用を阻止するための電力供給装置、メモリ装置、処理装置、メモリ装置判定方法、ソフトウェア処理システム、処理プログラム、並びに処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電力供給装置は、上記課題を解決するために、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記電力供給装置であって、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する電力処理手段を備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明に係るメモリ装置は、上記課題を解決するために、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置であって、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データを記憶している記憶手段を備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る処理装置は、上記課題を解決するために、上記もしくは下記メモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、上記電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記処理装置であって、上記電力供給装置および上記メモリ装置にそれぞれアクセスするとともに、上記電力供給装置より上記測定結果を、上記メモリ装置より上記電力消費データをそれぞれ読み出し、かつ、読み出した上記測定結果と上記電力消費データとを比較して上記メモリ装置が正規品か否かを判定する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明に係るメモリ装置判定方法は、上記課題を解決するために、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置が正規品か否かを判定するメモリ装置判定方法であって、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスする第1アクセス工程と、上記電力供給装置における電力処理手段が、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給する第1電力処理工程と、上記処理装置から上記メモリ装置にアクセスして、上記メモリ装置における記憶手段から、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データを読み出す第2アクセス工程と、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電力処理手段が上記メモリ装置に供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する第2電力処理工程と、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスして、上記測定結果を読み出す第3アクセス工程と、上記処理装置における判定手段が、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果と上記メモリ装置より読み出した上記電力消費データとを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する判定工程とを有することを特徴としている。
【0014】
本発明に係るソフトウェア処理システムは、上記課題を解決するために、ソフトウェアを有する、上記もしくは下記メモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する、上記もしくは下記処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する、上記電力供給装置とを備えていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成および方法によれば、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおいて、まず、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスすることにより、上記電源装置から上記メモリ装置に電力が供給されるとともに、当該供給された電力が測定され、かつ、当該測定結果が記憶される。次いで、上記処理装置から上記メモリ装置にアクセスすることにより、記憶している、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データが上記処理装置に読みだされる。また、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスすることにより、上記測定結果が上記処理装置に読み出される。次いで、上記処理装置が、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果と上記メモリ装置より読み出した上記電力消費データとを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する。
【0016】
通常、デバイスを低消費電流で適切に、かつ高速に動作させるためには、技術的に高いレベルの製造プロセスが必要とされ、それゆえに製造コストが高くなる。非正規品では、このような技術的に高いレベルの製造プロセスは用いられないため、基本的に消費電流が大きくなる。また、この消費電流はデバイスの半導体特性によって決定されるものであり、この半導体特性は生産工場、製造プロセスによって異なるため、偽造するのは極めて困難であり、コストも必要とする(引用文献3参照)。
【0017】
それゆえ、上記の構成および方法によって、上記メモリ装置に実際に供給する電力と、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データとを比較することで、上記メモリ装置が正規品か否かを判定することができる。そして、この判定の結果、上記メモリ装置が非正規品であると判定した場合には、その使用を停止させることが可能となる。
【0018】
なお、上記電力消費データを非正規品のものと置き換えることは可能であるが、上記メモリ装置におけるソフトウェア自体の解析を必要とし、当該ソフトウェア自体がチェックサムやハッシュ値をチェックすることで書き換えを検出することが容易に出来るため、上記電力消費データを偽造した非正規品の排除は比較的容易に実現できる。
【0019】
以上により、本発明は、ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたもの(非正規品)かどうかを判定し、かつ、不正コピーされたものである場合にはその使用を阻止するための電力供給装置、メモリ装置、処理装置、メモリ装置判定方法、ソフトウェア処理システム、処理プログラム、並びに処理プログラムを記録した記録媒体を提供することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係るメモリ装置は、上記処理装置からのアクセスに対して上記メモリ装置の負荷量を制御する負荷制御手段をさらに備え、上記電力消費データは、上記負荷制御手段にて負荷が制御された場合の電力消費に関するものであることが好ましい。
【0021】
本発明に係るメモリ装置判定方法は、上記第2アクセス工程において、上記メモリ装置における負荷制御手段が、上記メモリ装置の負荷量を制御し、かつ、当該工程において上記処理装置に送信する上記電力消費データは、上記負荷制御手段にて負荷が制御された場合の電力消費に関するものであることが好ましい。
【0022】
上記の構成および方法によれば、上記メモリ装置には負荷制御手段が備えられており、当該負荷制御手段において、上記処理装置からのアクセスに対して、上記メモリ装置の負荷量を制御し、当該制御を行った場合の上記メモリ装置に実際に供給する電力と、当該制御を行った場合の上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データとを比較することで、より偽造を困難とし、より正確な判定を可能とすることができる。
【0023】
本発明に係るメモリ装置は、上記電力消費データは、上記メモリ装置の平均の消費電流値を示すものであることが好ましい。
【0024】
本発明に係るメモリ装置は、上記電力消費データは、上記負荷制御手段にて負荷が制御された場合の上記メモリ装置の消費電流値を示すものであることが好ましい。
【0025】
本発明に係るメモリ装置は、上記電力消費データは、上記メモリ装置の消費電流波形の任意のタイミングでの値を示すものであることが好ましい。
【0026】
本発明に係るメモリ装置は、上記電力消費データは、上記メモリ装置の消費電流波形の各タイミングでの値を示すものであることが好ましい。
【0027】
本発明に係るメモリ装置は、上記メモリ装置のアドレス上に上記負荷制御手段がマッピングされていることが好ましい。
【0028】
本発明に係る処理装置は、上記メモリ装置が正規品ではないと判定した場合、上記メモリ装置のソフトウェアの処理を停止することが好ましい。
【0029】
本発明に係る処理装置は、上記メモリ装置が正規品ではないと判定した場合、上記電力供給装置にアクセスして上記メモリ装置への電力供給を停止させることが好ましい。
【0030】
本発明に係る処理装置は、上記課題を解決するために、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、上記電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記処理装置であって、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データをCPUに内蔵されるROMに記憶しているとともに、上記電力供給装置にアクセスし、上記電力供給装置より上記測定結果を読み出し、かつ、読み出した上記測定結果と上記電力消費データとを比較して上記メモリ装置が正規品か否かを判定する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0031】
本発明に係るメモリ装置判定方法は、上記課題を解決するために、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置が正規品か否かを判定するメモリ装置判定方法であって、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスする第1アクセス工程と、上記電力供給装置における電力処理手段が、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する電力処理工程と、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスして、上記測定結果を読み出す第3アクセス工程と、上記処理装置における判定手段が、CPUに内蔵されるROMに記憶している上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データと、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果とを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する判定工程とを有することを特徴としている。
【0032】
上記の構成および方法は、既に市場に出回った従来のメモリ装置に対応するものである。上記の構成および方法によれば、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおいて、まず、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスすることにより、上記電源装置から上記メモリ装置に電力が供給されるとともに、当該供給された電力が測定され、かつ、当該測定結果が記憶される。次いで、上記処理装置が、上記電力供給装置にアクセスすることにより上記測定結果を読み出し、当該読み出した上記測定結果と、記憶している上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データとを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する。そして、この判定の結果、上記メモリ装置が非正規品であると判定した場合には、その使用を停止させることが可能となる。なお、上記処理装置における上記電力消費データは、上記メモリ装置の種類より判別する構成とすればよい。また、上記電力消費データは、それ自体を偽造することは極めて困難なCPUに内蔵されるROMに記憶されるため、高いセキュリティ性を確保できる。
【0033】
以上により、本発明は、ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたもの(非正規品)かどうかを判定し、かつ、不正コピーされたものである場合にはその使用を阻止するための電力供給装置、メモリ装置、処理装置、メモリ装置判定方法、ソフトウェア処理システム、処理プログラム、並びに処理プログラムを記録した記録媒体を提供することができるという効果を奏する。
【0034】
なお、上記処理装置における制御手段を、処理プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記処理プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録させることにより、任意のコンピュータ上で上記処理プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る電力供給装置は、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記電力供給装置であって、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する電力処理手段を備えていることを特徴としている。
【0036】
本発明に係るメモリ装置は、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置であって、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データを記憶している記憶手段を備えていることを特徴としている。
【0037】
本発明に係る処理装置は、上記もしくは下記メモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、上記電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記処理装置であって、上記電力供給装置および上記メモリ装置にそれぞれアクセスするとともに、上記電力供給装置より上記測定結果を、上記メモリ装置より上記消費電力データをそれぞれ読み出し、かつ、読み出した上記測定結果と上記消費電力データとを比較して上記メモリ装置が正規品か否かを判定する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0038】
本発明に係るメモリ装置判定方法は、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置が正規品か否かを判定するメモリ装置判定方法であって、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスする第1アクセス工程と、上記電力供給装置における電力処理手段が、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する電力処理工程と、上記処理装置から上記メモリ装置にアクセスして、上記メモリ装置における記憶手段から、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データを読み出す第2アクセス工程と、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスして、上記測定結果を読み出す第3アクセス工程と、上記処理装置における判定手段が、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果と上記メモリ装置より読み出した上記電力消費データとを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する判定工程とを有することを特徴としている。
【0039】
本発明に係るソフトウェア処理システムは、ソフトウェアを有する、上記もしくは下記メモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する、上記もしくは下記処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する、上記電力供給装置とを備えていることを特徴としている。
【0040】
上記の構成および方法によれば、ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおいて、まず、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスすることにより、上記電源装置から上記メモリ装置に電力が供給されるとともに、当該供給された電力が測定され、かつ、当該測定結果が記憶される。次いで、上記処理装置から上記メモリ装置にアクセスすることにより、記憶している、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データが上記処理装置に読みだされる。また、上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスすることにより、上記測定結果が上記処理装置に読み出される。次いで、上記処理装置が、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果と上記メモリ装置より読み出した上記電力消費データとを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する。
【0041】
通常、デバイスを低消費電流で適切に、かつ高速に動作させるためには、技術的に高いレベルの製造プロセスが必要とされ、それゆえに製造コストが高くなる。非正規品では、このような技術的に高いレベルの製造プロセスは用いられないため、基本的に消費電流が大きくなる。また、この消費電流はデバイスの半導体特性によって決定されるものであり、この半導体特性は生産工場、製造プロセスによって異なるため、偽造するのは極めて困難であり、コストも必要とする(引用文献3参照)。
【0042】
それゆえ、上記の構成および方法によって、上記メモリ装置に実際に供給する電力と、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データとを比較することで、上記メモリ装置が正規品か否かを判定することができる。そして、この判定の結果、上記メモリ装置が非正規品であると判定した場合には、その使用を停止させることが可能となる。
【0043】
なお、上記電力消費データを非正規品のものと置き換えることは可能であるが、上記メモリ装置におけるソフトウェア自体の解析を必要とし、当該ソフトウェア自体がチェックサムやハッシュ値をチェックすることで書き換えを検出することが容易に出来るため、上記電力消費データを偽造した非正規品の排除は比較的容易に実現できる。
【0044】
以上により、本発明は、ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたもの(非正規品)かどうかを判定し、かつ、不正コピーされたものである場合にはその使用を阻止するための電力供給装置、メモリ装置、処理装置、メモリ装置判定方法、ソフトウェア処理システム、処理プログラム、並びに処理プログラムを記録した記録媒体を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の実施形態について、図1〜図7を用いて説明すると以下の通りである。
【0046】
図1は、本実施形態に係るゲーム機20(ソフトウェア処理システム)の要部構成を示すブロック図である。まずは、図1を参照して、ゲーム機20の要部構成について説明する。
【0047】
(ゲーム機の要部構成)
ゲーム機20は、図1に示すように、ゲーム機(処理装置)2と、当該ゲーム機2に着脱可能なメモリ装置1とを備えている。メモリ装置1は、負荷制御部(負荷制御手段)3およびメモリ(記憶手段)4を備えている。ゲーム機2は、周辺回路部5、CPU(処理装置)6、電力制御部(電力供給装置)7、および電池(電源装置)17を備えている。ゲーム機20は、その電源がONにされると、CPU6によりメモリ4に格納されているゲームプログラムをロードしてゲームを開始させる。
【0048】
負荷制御部3、メモリ4、およびCPU6は、バス8により互いに接続されている。また、周辺回路部5およびCPU6はバス9により、CPU6および電力制御部7はバス10により、互いに接続されている。ゲーム機2では、電池17から供給される電力が、電力制御部7および電源経路11を介してメモリ装置1に供給されるとともに、電力制御部7および電源経路12を介してゲーム機2に供給される。
【0049】
負荷制御部3は、メモリ装置1のアドレス上にマッピングされており、その負荷制御部3に割り当てられた特定のアドレスにCPU6がバス8を介してアクセスすることにより、あるいはCPU6がバス8を介してメモリ装置1に命令を発行してアクセスすることにより、負荷を発生させてメモリ装置1の負荷量を制御してメモリ装置1の電力消費を増加させる。詳細は後述する。
【0050】
メモリ4は、ゲーム機2にて実行されるゲームプログラムを格納しており、汎用のROMやフラッシュメモリが用いられる。また、メモリ4は、メモリ装置1の電力消費に関する電力消費データを格納している。上記電力消費データは、負荷制御部3にて負荷が制御された場合のメモリ装置1の消費電流値を示すものである。あるいは、メモリ装置1の平均の消費電流値を示すものであってもよい。また、メモリ装置1の消費電流波形の任意のタイミングでの値を示すものであってもよい。また、メモリ装置1の消費電流波形の各タイミングでの値を示すものであってもよい。
【0051】
周辺回路部5は、ゲーム機2の他の構成(例えば表示部など)であって、CPU6によりバス9を介して制御される。
【0052】
CPU6は、メモリ装置1およびゲーム機2の各種構成の制御を行う。また、CPU6は、電力制御部7より後述するメモリ装置1に供給する電力の測定結果を、メモリ装置1より上記消費電力データをそれぞれ読み出し、かつ、読み出した上記測定結果と上記消費電力データとを比較して、メモリ装置1が正規品か否かを判定する。具体的には、上記測定結果が上記消費電力データの範囲内であれば(上記測定結果が上記消費電力データの電流値より小さい)、メモリ装置1が正規品であると判定して、上記測定結果が上記消費電力データの範囲内でなければ(上記測定結果が上記消費電力データの電流値より大きい)、メモリ装置1が非正規品であると判定する。
【0053】
通常、デバイスを低消費電流で適切に、かつ高速に動作させるためには、技術的に高いレベルの製造プロセスが必要とされ、それゆえに製造コストが高くなる。非正規品では、このような技術的に高いレベルの製造プロセスは用いられないため、基本的に消費電流が大きくなる。また、この消費電流はデバイスの半導体特性によって決定されるものであり、この半導体特性は生産工場、製造プロセスによって異なるため、偽造するのは極めて困難であり、コストも必要とする(引用文献3参照)。
【0054】
それゆえ、メモリ装置1に実際に供給する電力と、メモリ装置1の電力消費に関する電力消費データとを比較することで、メモリ装置1が正規品か否かを判定することができる。そして、この判定の結果、メモリ装置1が非正規品であると判定した場合には、メモリ装置1のソフトウェアの処理を停止する、あるいは電力制御部7にアクセスしてメモリ装置1への電力供給を停止させることにより、非正規品と判定したメモリ装置1の使用を停止させる。
【0055】
電力制御部7は、CPU6がバス10を介して電力制御部7に命令を発行してアクセスすることにより、電池17からメモリ装置1およびゲーム機2に電力を供給するとともに、メモリ装置1に供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する。詳細は後述する。
【0056】
電池17は、電力を供給する。ゲーム機20は、電池17ではなく、商用電源から電力を供給する構成であってもよい。
【0057】
次に、図2を参照して、電力制御部7の構成について説明する。図2は、電源制御部7の要部構成を示すブロック図である。
【0058】
(電力制御部の構成)
電力制御部7は、図示のように、CPUインターフェイス13、スイッチ部14、電力測定部15、および電源部16を備えている。端子33は電源経路11に、端子34は電源経路12に、端子35は電池17に、端子36はバス10を介してCPU6に接続される。
【0059】
CPUインターフェイス13は、CPU6からの指示を受けて電力測定部15で測定した電力測定値を1つもしくは複数を記憶する。スイッチ部14は、CPU6からの指示を受けて、端子33と電力測定部15とを接続/非接続とする。具体的には、ゲーム機2にメモリ装置1が接続され、メモリ装置1に電力を供給する間は端子33と電力測定部15とを接続とし、それ以外では非接続とする。電力測定部15は、電源部16からメモリ装置1に供給される電力を測定し、当該測定結果をCPUインターフェイス13に送信する。電源部16は、メモリ装置1およびゲーム機2に供給する必要な電力を電池17から取り出す。
【0060】
電源部16は、一般的にDC/DCコンバータで構成され、PWM(Pulse Width Modulation)制御やPFM(Pulse Frequency Modulation)制御を行っており、負荷(電力)の増減に対してこれら制御によって定電圧を作り出す。この制御のパルス幅や周波数は電源部16内部の電圧によって調整されており、この電圧を読み取ることで電力測定部15は電力の測定を行う。CPUインターフェイス13は、その測定値の最新値を保持したり、平均値を計算して保持したり、一定数サンプリングした値を保持する。そして、CPUインターフェイス13は、CPU6からの指示を受けたとき、その保持した値を出力したり、平均値をリセットして希望する状態での平均値を出力したり、サンプリングした値をリセットして希望する状態でのサンプリング値を出力する。また、電力測定部15は、引用文献3の電源回路における電力測定の構成を採用してもよい。
【0061】
次に、図3を参照して、負荷制御部3の構成について説明する。図3は、負荷制御部3の構成を示す図である。
【0062】
(負荷制御部の構成)
負荷制御部3は、図示のように、アドレスデコーダ40および負荷回路41a〜41dを備えている。端子44はバス8に接続され、端子45は電源経路11に接続され、端子46は接地されている。本実施形態では、バス8のうち2ビットを負荷制御部3に接続した場合を例に説明する。
【0063】
端子44から入力されたアドレスデータはアドレスデコーダ40を介して端子a,b,c,dに割り当てられる。
【0064】
負荷回路41a,41cは、負荷抵抗42、およびNチャネル型MOSトランジスタであるMOSスイッチ43を有している。負荷回路41a,41cにおける負荷抵抗42の一端は、端子45に接続されており、その他端はMOSスイッチ43のドレインに接続されている。負荷回路41aにおけるMOSスイッチ43のゲートは、端子aに接続されており、そのソースは端子46に接続されている。負荷回路41cにおけるMOSスイッチ43のゲートは、端子cに接続されており、そのソースは端子46に接続されている。
【0065】
負荷回路41b,41dは、MOSスイッチ43を有している。負荷回路41b,41dにおけるMOSスイッチ43のドレインは、いずれにも接続されておらず、そのゲートは、それぞれ端子b,dに接続されており、そのソースは端子46に接続されている。
【0066】
以上のような構成の負荷制御部3では、端子44に入力されるアドレスデータによってMOSスイッチ43がON/OFFして負荷抵抗42が端子45と端子46とで形成される電源ラインに接続され負荷を変化させる。この例では、負荷回路41a,41cにおけるMOSスイッチ43がONした場合に負荷抵抗42が接続されて負荷が発生するが、負荷回路41b,41dにおけるMOSスイッチ43がONした場合は負荷は発生しない。すなわち特定のアドレスをアクセスした場合のみ負荷が発生する機能が実現できる。なお、上述のように負荷制御部3は、CPU6からの命令発行によって負荷を発生させて電力消費を増加させてもよい。
【0067】
次に、図4を参照して、負荷制御部3の他の構成例である負荷制御部3Aについて説明する。図4は、負荷制御部3Aの構成を示す図である。
【0068】
(負荷制御部の他の構成)
負荷制御部3Aは、図示のように、レジスタ51、記憶部52、比較器53、および負荷回路54を備えている。端子50はバス8に接続され、端子55は電源経路11に接続され、端子56は接地されている。
【0069】
CPUから周辺機器への命令発行は、一般的に周辺機器に内蔵するレジスタに命令を書き込むことで行われる。レジスタ51は、CPU6から端子50を介し命令が書き込まれる。比較器53は、EXNOR1〜EXNOR4で構成され、レジスタ51の書き込まれた値の各ビットと命令セットの記憶部52の各ビットとを比較し、その出力によって負荷回路54を駆動する。負荷回路54は、図3で説明した負荷回路41a〜41dからなる」ものであるため、ここでは説明は省略する。比較器53におけるEXNOR1の出力端子が上記端子aであり、EXNOR2の出力端子が上記端子bであり、EXNOR3の出力端子が上記端子cであり、EXNOR4の出力端子が上記端子dである。負荷制御部3Aは、レジスタ51に命令を書き込むため、CPU6がレジスタ51の値をクリアしないと負荷は継続して発生するという特徴がある。
【0070】
(メモリ装置の判定動作)
次に、図5を参照して、メモリ装置1が正規品か否かを判定する際の動作について説明する。図5は、その動作の流れを示すフローチャートである。
【0071】
まず、ゲーム機2の電源がONとされて、CPU6が起動すると(図5のフローチャートにおける“START”)、CPU6は電力制御部7にアクセスする(図5のフローチャートにおける“ステップ1(S1)”、第1アクセス工程)。電力制御部7は、CPU6からのアクセスを受けて、スイッチ部14を動作させてメモリ装置1に電力を供給する(図5のフローチャートにおける“S2”、第1電力処理工程)。
【0072】
次いで、CPU6は、負荷制御部3およびメモリ4にアクセスして、メモリ4に格納されている上記電力消費データを読み出し、負荷制御部3は負荷を変化させる(図5のフローチャートにおける“S3”および“S4”、第2アクセス工程)。その後、電力測定部15にてメモリ装置1に供給する電力が測定され、かつ、当該測定結果をCPUインターフェイス13に送信して記憶させる(図5のフローチャートにおける“S5”、第2電力処理工程)。
【0073】
次いで、CPU6は、再び電力制御部7にアクセスして、CPUインターフェイス13に記憶されている、上記測定結果を読み出し(図5のフローチャートにおける“S6”、第3アクセス工程)、読み出した上記電力消費データと上記測定結果とを比較して、メモリ装置1が正規品か否かを判定する(図5のフローチャートにおける“S7”、判定工程)。
【0074】
CPU6は、メモリ装置1が正規品であると判定した場合には、処理を続行してゲームを開始させるが、メモリ装置1が非正規品であると判定した場合には、処理を停止する、あるいは電力制御部7にアクセスしてメモリ装置1への電力供給を停止させることにより、非正規品と判定したメモリ装置1の使用を停止させる。
【0075】
次に、本実施形態の2つの変更例について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態における部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。また、基本的に上述した実施形態からの変更点についてのみ説明する。
【0076】
(変更例1)
変更例1は、上述した実施形態に対し、メモリ装置1から負荷制御部3(3A)を省略したものである。この変更例1の場合の、メモリ装置1が正規品か否かを判定する際の動作について、図6を参照して説明する。図6は、その動作の流れを示すフローチャートである。
【0077】
まず、ゲーム機2の電源がONとされて、CPU6が起動すると(図6のフローチャートにおける“START”)、CPU6は電力制御部7にアクセスする(図6のフローチャートにおける“ステップ1(S1)”、第1アクセス工程)。電力制御部7は、CPU6からのアクセスを受けて、スイッチ部14を動作させてメモリ装置1に電力を供給する(図6のフローチャートにおける“S2”、第1電力処理工程)。ここまでの動作は、上述した実施形態の場合と同じである。
【0078】
次いで、CPU6は、メモリ4にアクセスして、メモリ4に格納されている上記電力消費データを読み出す(図6のフローチャートにおける“S3A”および“S4A”、第2アクセス工程)。またこれ以降の動作も、上述した実施形態の場合と同じである。その後、電力測定部15にてメモリ装置1に供給する電力が測定され、かつ、当該測定結果をCPUインターフェイス13に送信して記憶させる(図6のフローチャートにおける“S5”、第2電力処理工程)。
【0079】
次いで、CPU6は、再び電力制御部7にアクセスして、CPUインターフェイス13に記憶されている、上記測定結果を読み出し(図6のフローチャートにおける“S6”、第3アクセス工程)、読み出した上記電力消費データと上記測定結果とを比較して、メモリ装置1が正規品か否かを判定する(図6のフローチャートにおける“S7”、判定工程)。
【0080】
CPU6は、メモリ装置1が正規品であると判定した場合には、処理を続行してゲームを開始させるが、メモリ装置1が非正規品であると判定した場合には、処理を停止する、あるいは電力制御部7にアクセスしてメモリ装置1への電力供給を停止させることにより、非正規品と判定したメモリ装置1の使用を停止させる。
【0081】
以上のような変更例1の場合、元々メモリ装置1には不要な負荷制御部3を省略できるというメリットがあるが、負荷制御部3を備えている上述した実施形態の場合、より偽造を困難とし、より正確な判定を可能とすることができる。
【0082】
(変更例2)
変更例2は、既に市場に出回った従来のメモリ装置に対応するものであって、当該従来のメモリ装置の電力消費に関する電力消費データをCPU6のROM18に格納している。これにより、負荷制御部3(3A)を使用した検査は出来ないが、上述した実施形態と同様に、上記従来のメモリ装置が正規品であるか否かを判定して、非正規品であると判定した場合には、上記従来のメモリ装置の使用を停止させることができる。また、上記電力消費データをそれ自体を偽造することは極めて困難なCPU6のROM18に記憶しているため、高いセキュリティ性を確保できる。この変更例2の場合の、上記従来のメモリ装置が正規品か否かを判定する際の動作について、図7を参照して説明する。図7は、その動作の流れを示すフローチャートである。
【0083】
まず、ゲーム機2の電源がONとされて、CPU6が起動すると(図7のフローチャートにおける“START”)、CPU6は電力制御部7にアクセスする(図7のフローチャートにおける“ステップ1(S1)”、第1アクセス工程)。電力制御部7は、CPU6からのアクセスを受けて、スイッチ部14を動作させて上記従来のメモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力が電力測定部15にて測定され、かつ、当該測定結果をCPUインターフェイス13に送信して記憶させる(図7のフローチャートにおける“S2”および“S5”、電力処理工程)。
【0084】
次いで、CPU6は、再び電力制御部7にアクセスして、CPUインターフェイス13に記憶されている、上記測定結果を読み出す(図6のフローチャートにおける“S6”、第3アクセス工程)。次いで、CPU6は、ROM18から上記電力消費データを読み出し、読み出した上記電力消費データと上記測定結果とを比較して、メモリ装置1が正規品か否かを判定する(図7のフローチャートにおける“S7A”、判定工程)。
【0085】
CPU6は、上記従来のメモリ装置が正規品であると判定した場合には、処理を続行してゲームを開始させるが、上記従来のメモリ装置が非正規品であると判定した場合には、処理を停止する、あるいは電力制御部7にアクセスして上記従来のメモリ装置への電力供給を停止させることにより、非正規品と判定した上記従来のメモリ装置の使用を停止させる。
【0086】
以上のように、本発明では、非正規品では基本的に消費電流が大きくなり、この消費電流は生産工場、製造プロセスによって異なるデバイスの半導体特性によって決定されるものであるから、偽造するのは極めて困難であって、コストも必要とするということを利用して、メモリ装置に実際に供給する電力と、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データとを比較することによって、上記メモリ装置が正規品か否かを判定することができる。そして、この判定の結果、上記メモリ装置が非正規品であると判定した場合には、その使用を停止させることが可能となる。
【0087】
なお、上記電力消費データを非正規品のものと置き換えることは可能であるが、上記メモリ装置におけるソフトウェア自体の解析を必要とし、当該ソフトウェア自体がチェックサムやハッシュ値をチェックすることで書き換えを検出することが容易に出来るため、上記電力消費データを偽造した非正規品の排除は比較的容易に実現できる。
【0088】
最後に、CPU6は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるCPU6の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、制御部9に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0089】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0090】
また、CPU6を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0091】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、ソフトウェアを有するソフトウェアデバイスに対し、このソフトウェアデバイスが不正コピーされたもの(非正規品)かどうかを判定し、かつ、不正コピーされたものである場合にはその使用を阻止することができ、携帯型ゲーム機、据置型ゲーム機と当該据置型ゲーム機と電気的に接続される電子機器とによって構成されるシステムとして好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム機の要部構成を示すブロック図である。
【図2】電力制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】負荷制御部の構成を示す図である。
【図4】負荷制御部の他の構成を示す図である。
【図5】メモリ装置が正規品か否かを判定する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】変更例の場合の、メモリ装置が正規品か否かを判定する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】他の変更例の場合の、メモリ装置が正規品か否かを判定する際の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】従来技術に係るものであり、ゲーム機の要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0094】
1 メモリ装置
2 ゲーム機(処理装置)
3 負荷制御部(負荷制御手段)
6 CPU(制御手段、判定手段)
7 電力制御部(電力供給装置、電力処理手段)
20 ゲーム機(ソフトウェア処理システム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記電力供給装置であって、
上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する電力処理手段を備えていることを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】
ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置であって、
上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データを記憶している記憶手段を備えていることを特徴とするメモリ装置。
【請求項3】
上記メモリ装置は、上記処理装置からのアクセスに対して上記メモリ装置の負荷量を制御する負荷制御手段をさらに備え、
上記電力消費データは、上記負荷制御手段にて負荷が制御された場合の電力消費に関するものであることを特徴とする請求項2に記載のメモリ装置。
【請求項4】
上記電力消費データは、上記メモリ装置の平均の消費電流値を示すものであることを特徴とする請求項2または3に記載のメモリ装置。
【請求項5】
上記電力消費データは、上記負荷制御手段にて負荷が制御された場合の上記メモリ装置の消費電流値を示すものであることを特徴とする請求項4に記載のメモリ装置。
【請求項6】
上記電力消費データは、上記メモリ装置の消費電流波形の任意のタイミングでの値を示すものであることを特徴とする請求項5に記載のメモリ装置。
【請求項7】
上記電力消費データは、上記メモリ装置の消費電流波形の各タイミングでの値を示すものであることを特徴とする請求項5に記載のメモリ装置。
【請求項8】
上記メモリ装置のアドレス上に上記負荷制御手段がマッピングされていることを特徴とする請求項4に記載のメモリ装置。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか一項に記載のメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、請求項1に記載の電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記処理装置であって、
上記電力供給装置および上記メモリ装置にそれぞれアクセスするとともに、上記電力供給装置より上記測定結果を、上記メモリ装置より上記電力消費データをそれぞれ読み出し、かつ、読み出した上記測定結果と上記電力消費データとを比較して上記メモリ装置が正規品か否かを判定する制御手段を備えていることを特徴とする処理装置。
【請求項10】
上記処理装置は、上記メモリ装置が正規品ではないと判定した場合、上記メモリ装置のソフトウェアの処理を停止することを特徴とする請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
上記処理装置は、上記メモリ装置が正規品ではないと判定した場合、上記電力供給装置にアクセスして上記メモリ装置への電力供給を停止させることを特徴とする請求項9に記載の処理装置。
【請求項12】
ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、請求項1に記載の電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記処理装置であって、
上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データをCPUに内蔵されるROMに記憶しているとともに、上記電力供給装置にアクセスし、上記電力供給装置より上記測定結果を読み出し、かつ、読み出した上記測定結果と上記電力消費データとを比較して上記メモリ装置が正規品か否かを判定する制御手段を備えていることを特徴とする処理装置。
【請求項13】
ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置が正規品か否かを判定するメモリ装置判定方法であって、
上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスする第1アクセス工程と、
上記電力供給装置における電力処理手段が、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給する第1電力処理工程と、
上記処理装置から上記メモリ装置にアクセスして、上記メモリ装置における記憶手段から、上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データを読み出す第2アクセス工程と、
上記処理装置からのアクセスに対して、上記電力処理手段が上記メモリ装置に供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する第2電力処理工程と、
上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスして、上記測定結果を読み出す第3アクセス工程と、
上記処理装置における判定手段が、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果と上記メモリ装置より読み出した上記電力消費データとを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する判定工程とを有することを特徴とするメモリ装置判定方法。
【請求項14】
上記第2アクセス工程において、上記メモリ装置における負荷制御手段が、上記メモリ装置の負荷量を制御し、かつ、当該工程において上記処理装置に読み出される上記電力消費データは、上記負荷制御手段にて負荷が制御された場合の電力消費に関するものであることを特徴とする請求項13に記載のメモリ装置判定方法。
【請求項15】
ソフトウェアを有するメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する電力供給装置とを備えているソフトウェア処理システムにおける上記メモリ装置が正規品か否かを判定するメモリ装置判定方法であって、
上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスする第1アクセス工程と、
上記電力供給装置における電力処理手段が、上記処理装置からのアクセスに対して、上記電源装置から上記メモリ装置に電力を供給するとともに、当該供給する電力を測定し、かつ、当該測定結果を記憶する電力処理工程と、
上記処理装置から上記電力供給装置にアクセスして、上記測定結果を読み出す第3アクセス工程と、
上記処理装置における判定手段が、CPUに内蔵されるROMに記憶している上記メモリ装置の電力消費に関する電力消費データと、上記電力供給装置より読み出した上記測定結果とを比較して、上記メモリ装置が正規品か否かを判定する判定工程とを有することを特徴とするメモリ装置判定方法。
【請求項16】
ソフトウェアを有する、請求項2〜8のいずれか一項に記載のメモリ装置と、当該メモリ装置のソフトウェアを読み出して処理する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の処理装置と、電力を供給する電源装置と、当該電源装置から供給される電力を上記メモリ装置に供給する、請求項1に記載の電力供給装置とを備えていることを特徴とするソフトウェア処理システム。
【請求項17】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の処理装置の制御手段としてコンピュータを動作させる処理プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−79410(P2010−79410A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244316(P2008−244316)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】