説明

電力制御サブシステム

【課題】各サブチャネルの送信電力を独立して制御する。
【解決手段】複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信する遠隔局用の電力制御サブシステムは、受信機と複数の利得調整器を備える。受信機は電力制御メッセージを受信し、電力制御メッセージに基づいて複数の利得値を供給する。利得調整器はそれぞれ対応するサブチャネル信号と対応する利得値を受取り、利得値にしたがってサブチャネル信号の利得を調整し、受信された電力制御メッセージに基づいてサブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立に調整する。したがって、送信局はサブチャネルの合計からなるチャネルを発生し、各サブチャネルまたはサブチャネルのグループは、サブチャネル電力制御メッセージにしたがって変化する一意的な利得値で増幅される。受信されたサブチャネルに基づいてメトリックスを監視および計算することに続き、サブチャネル電力制御メッセージを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
I.発明の分野
この発明は電力制御サブシステムに関する。特にこの発明は、遠隔局が複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信するワイヤレス通信システムの基地局で使用するための電力制御サブシステムに関する。
【0002】
II.関連技術の説明
符号分割多元接続(CDMA)スペクトル拡散通信システムでは、そのシステム内のすべての基地局との通信に共通の周波数帯が使用される。このようなシステムの例は、“ディアルモード広帯域スペクトル拡散セルラシステム用の移動局−基地局互換性標準規格”と題するTIA/EIA暫定標準規格IS−95−Aに説明されており、これは参照のためにここに組み込まれている。CDMA信号の発生および受信は、共に本発明の譲受人に譲受され、ここに参照として組込まれている、“衛星または地上中継器を使用するスペクトル拡散多元接続通信システム”と題する米国特許第4,901,307号および“CDMAセルラ電話システムにおいて信号波形を発生させるためのシステムおよび方法”と題する米国特許第5,103,459号に開示されている。
【0003】
共通の周波数帯を占有する信号は、高レート疑似雑音(PN)コードの使用に基づくスペクトル拡散CDMA波形特性を通して受信局において弁別される。PNコードが使用されて、基地局および遠隔局から送信される信号が変調される。異なる基地局からの信号は、各基地局に割り当てられたPNコードにもたらされる一意的な時間オフセットを弁別することにより、受信局において独立して受信される。高レートPN変調により、異なる伝播路を通って信号が伝わった場合にも単一の送信局からの信号を受信局が受信することができる。複数の信号の復調は、共に本発明の譲受人に譲受され、ここに参照として組込まれている、“複数の信号を受信することができるシステムにおける復調素子の割当”と題する米国特許第5,490,165号および“CDMAセルラ電話システムにおけるダイバーシティ受信機”と題する米国特許第5,109,390号に開示されている。
【0004】
IS−95の無線(OTA)インターフェイス標準規格は、デジタルセルラ電話システムを実現するための1組のRF信号変調手順を規定している。(ここでは集約的にIS−95標準規格として言及する)IS−95標準規格およびIS−95AやANSI J−STD−008のようなその派生規格は通信工業協会(TIA)により公表されており、異なる販売者により製造される通信装置間の実施可能性を確保している。
【0005】
IS−95標準規格は、以前の既存のセルラ電話技術よりもさらに効率的に利用可能なRF帯域幅を使用することから熱狂的に受け入れられている。この増加した効率は、幅広い送信電力制御と組み合わせてCDMA信号処理技術を使用し、セルラ電話システムの周波数再使用を増加させることにより提供される。
【0006】
図1は、IS−95の使用と矛盾しない方法で構成されたデジタルセルラ電話システムを図示している。動作中、電話通話や他の通信は、RF信号を使用して、(一般的にセルラ電話機である)遠隔局1と基地局2との間でデータを交換することによる行われる。通信はさらに基地局2から基地局コントローラ(BSC)4および移動体スイッチングセンタ(MSC)6を通して、公衆電話交換ネットワーク(PSTN)8に向けて、あるいは他の遠隔局1へ送信するために他の基地局に向けてなされる。BSC4とMSC6は一般的に移動体制御、通話処理および通話ルーティング機能を行う。
【0007】
基地局2から1組の遠隔局1に送信されるRF信号はフォワードリンクと呼ばれ、遠隔局1から基地局2に送信されるRF信号はリバースリンクと呼ばれる。IS−95標準規格は、デジタル化音声データのようなユーザデータをリバースリンク信号を通して送信することにより通信サービスを提供することを遠隔局1に要求する。リバースリンク信号は単一のトラフィックチャネルから構成されており、したがってパイロットチャネルを含まないことから“非コヒーレント”信号と呼ばれることが多く、このようなことからコヒーレントに復調することができない。
【0008】
リバースリンク信号内では、IS−95により提供される1組のレートセットからどのレートセットが選択されるかに依存して、ユーザデータは8.6あるいは13.35kbpsの最大データレートで送信される。単一チャネルで非コヒーレントなリバースリンク信号を使用すると、単一の基地局2と通信している1組の遠隔局1間を同期させる必要性がなくなることにより、IS−95のセルラ電話システムの実現が簡単になる。
【0009】
先に説明したように、IS−95は、利用可能なRF帯域幅をさらに効率的に利用するために、幅広い送信電力制御を組み込んでいる。IS−95にしたがうと、この電力制御は、基地局で受信されたときの受信信号強度とリバースリンクトラフィックチャネルの品質を測定し、その測定値に基づいて電力制御コマンドを発生することにより実行される。電力制御コマンドはフォワードリンク信号により遠隔局に送信される。遠隔局は、電力制御コマンドに基づいてリバースリンク信号の送信電力を増加または減少させることにより電力制御コマンドに応答する。この電力制御方法は閉ループ電力制御として呼ばれている。CDMA通信システムにおける閉ループ電力制御の設計は、本発明の譲受人に譲受され、ここに参照として組込まれている、“CDMAセルラ電話システムにおいて送信電力を制御する方法および装置”と題する米国特許第5,056,109号に開示されている。
【0010】
IS−95システムでは、通信を行うのに最低限の必要性でリバースリンク信号の送信電力を維持するために、秒当り800回のオーダのレートで電力制御調整が反復して実行される。さらにIS−95は、20ミリ秒の増分で送信デューティサイクルを変化させることにより、音声アクティビィティの変化に応答してリバースリンク信号のデューティサイクルを調整することも要求する。したがって、送信デューティサイクルが低くされた場合には、遠隔局はいずれかのセットポイントで送信する。すなわち、送信はゲート制御されて遠隔局はまったく送信しない。送信がゲート制御されている期間中、リバースリンク信号が検出されないことから、基地局は不正確な電力制御増加コマンドを発生する。遠隔局にはその送信がいつゲート制御されたのかが分かっており、また対応する増加コマンドが不正確であることが分かっているので、遠隔局は対応する増加コマンドを無視することができる。
【0011】
ワールドワイドウエッブのようなネットワーク技術により生み出されるデジタルデータを送信する増加しつつある需要を満たすために、さらに複雑でより高レートな多重チャネルコヒーレントリバースリンク信号が、“高データレートCDMAワイヤレス通信システム”と題する留保中の米国特許出願第08/654,443号(’443出願)に提供されており、この米国特許出願は1996年5月28日に出願され、本発明の譲受人に譲受され、ここに参照として組込まれている。先に言及した特許出願は、1組の独立して利得調整されるチャネルが1組の直交サブチャネルコードを使用することにより形成されるシステムを説明している。送信チャネルの1つを通して送信されるべきデータは、サブチャネルコードの1つで変調され、利得調整され、他のサブチャネルコードを使用して変調されたデータと合計される。結果として得られた合計データは、ユーザロングコードと疑似ランダム拡散コード(PNコード)を使用して変調され、送信のためにアップコンバートされる。特に先に参照した特許出願は、少なくとも1つのトラフィックサブチャネルを含むウォルシュシーケンス変調されたサブチャネル、電力制御サブチャネルおよびパイロットサブチャネルからなるリバースリンク信号を説明している。
【0012】
多重チャネルリバースリンクは、異なるタイプのデータを同時に送信できるようにすることにより柔軟性を増加させる。パイロットサブチャネルを提供することにより、基地局におけるリバースリンク信号のコヒーレント処理が促進され、これはリバースリンクの性能を向上させる。電力制御、時間追跡および周波数追跡を促進するために、平均受信パイロット信号電力対雑音比(SNR)を一定レベルに維持することが望ましい。CDMAベースのシステムでは、高いシステム容量を実現するために効率的な電力制御が重要であることに留意しなければならない。通常、電力制御は開ループと閉ループの2つの部分に分けられる。開ループ電力制御では、移動局は予め定められた時間期間に対して受信フォワードリンク信号を測定し、受信フォワードリンク電力の変化に応答してその送信電力を調整する。IS−95で実現されるような開ループ電力制御はかなり遅く、(コーナー効果として知られている)長い期間のチャネル変動を処理する。先に説明したような閉ループ電力制御はより早く、そしてフェージングの影響を補償しようとする。
【0013】
IS−95ベースのCDMAシステムでは、閉ループ電力制御も使用され、リバースリンクを所要のセットポイントに駆動させる。例えば、1%のフレームエラーレート(FER)が望ましいかもしれない。FERが高すぎる場合には、エラーレートを減少させるためにリバースリンク電力の増加が必要である。一方、FERが所要のセットポイントよりも低い場合には、リバースリンク電力を減少させることができる。リバースリンク電力を減少させると発生する干渉も減少させ、したがってシステム中の他のユーザに直接的な好影響をもたらす。すべてのユーザがセットポイントで、したがって所要のエラーレートを達成するために要求される最小電力で送信しているときに、CDMAでは最大容量に到達する。
【0014】
システムの動作セットポイントは、基地局における電力制御決定しきい値を変化させることにより修正することができる。結果として、リバースリンクの総平均受信電力が新しい値に収束する。この電力制御メカニズムは総送信電力に影響を与える。しかしながら、’443出願において提供されているような複数のサブチャネルを使用するシステムにこの技術が適用されると、総送信電力が修正されるので、各サブチャネルの相対強度は変化しない。例えば、受信パイロットサブチャネル電力に関して満足のいく電力レベルに到達したときに、送信電力を後続して変化させてデータサブチャネルに対する受信FERを修正するとパイロット電力に影響を与え、逆も同様である。別々のサブチャネルを占有する異なるタイプのデータは異なる要求を持ちやすいので、各サブチャネルの送信電力を独立して制御できることが望ましい。
【発明の概要】
【0015】
本発明の1つの観点にしたがうと、遠隔局が複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信するワイヤレス通信システムの基地局において使用する電力制御サブシステムが提供される。この電力制御サブシステムは、前記リバースリンク信号を受信し、前記リバースリンク信号を復調して前記複数のサブチャネル信号を供給する受信機手段と、前記複数のサブチャネル信号のそれぞれを受取り、前記サブチャネル信号のそれぞれの品質を測定する品質測定手段と、前記複数のサブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立的に調整することができるように、前記複数のサブチャネル信号の少なくとも1つの送信電力を調整する電力制御メッセージを発生するメッセージ発生器手段とを具備する。
【0016】
本発明の他の観点にしたがうと、複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信する遠隔局用の電力制御サブシステムが提供される。この電力制御サブシステムは、電力制御メッセージを受信し、前記電力制御メッセージに基づいて複数の利得値を供給する受信機手段と、受信された電力制御メッセージに基づいて前記サブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立的に調整することができるようにするために、それぞれ対応するサブチャネル信号と対応する利得値を受取り、前記利得値にしたがって前記サブチャネル信号の利得を調整するように構成された複数の利得調整手段とを具備する。
【0017】
本発明のさらに別の観点にしたがうと、複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信する遠隔局の送信電力を制御する方法が提供される。この方法は、前記リバースリンク信号を受信し、前記リバースリンク信号を復調して、前記複数のサブチャネル信号を獲得し、前記複数のサブチャネル信号の少なくとも1つの送信電力を調整する際に使用する電力制御メッセージを発生し、前記複数のサブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立的に調整することができるように、前記電力制御メッセージを遠隔局に送信するステップを含む。
【0018】
以下の説明では、サブチャネル制御ループにより各サブチャネルの送信電力を独立的に制御することを説明する。送信局はサブチャネルの合計からなるチャネルを発生する。各サブチャネルまたはサブチャネルのグループは、受信局からのサブチャネル電力制御メッセージにしたがって変化する一意的な利得値で増幅される。受信局は、その受信されたサブチャネルに基づくメトリクスを監視および計算した後に各サブチャネル電力制御メッセージを発生する。
【0019】
本発明の特徴および効果は、以下の図面とともに詳細な説明を読むことからさらに明白になるであろう。図面において、同じ参照文字は同様な構成要素を識別している。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0020】
以下に説明する本発明の例示的な実施形態では、サブチャネル制御ループがリバースリンクを制御する。したがって、送信局は遠隔局として呼ばれ、受信局は基地局として呼ばれる。遠隔局には、ワイヤレスローカルループ局、携帯電話機、データ端末、これらに類するものが含まれる。フォワードリンクのみに、あるいはフォワードリンクとリバースリンクの両方同時に、この発明を使用できることを理解すべきである。
【0021】
N個のサブチャネルを含むチャネルでは、遠隔局による総送信電力Ptotは、各サブチャネルの送信電力の合計:
Ptot=P0+P1+………+PN (1)
として定義される。
【0022】
遠隔局は、他のサブチャネルの動作ポイントを変化させないままで、対応するサブチャネル送信電力Piを変化させることにより、特定のサブチャネルであるサブチャネルiのセットポイントを変化させることができる。
【0023】
式(1)は任意の電力Prefにより正規化することができる。
【0024】
Ptot=(F0+F1+………+FN)*Pref (2)
例示的な実施形態では、電力制御は送信電力Prefを調整することにより達成される。各サブチャネル制御ループはFiの特定のものすなわちFiのサブセットを調整することにより動作する。
【0025】
図2は例示的な遠隔局を図示している。遠隔局100では、複数のデータ信号データ0−データNがエンコーダ110A−110Nに入る。エンコードされた結果はインターリーバ120A−120Nでインターリーブされ、その後、拡散器130A−130Nにおいて一意的なウォルシュシーケンスW0−WNにより変調される。乗算器130A−130Nの出力は、利得調整ブロック140A−140Nにおいて、利得制御プロセッサ180から供給される一意的な利得値で増幅される。利得調整ブロック140A−140Nはデジタル技術を使用しても、あるいは可変利得増幅器を使用して実現してもよく、両技術はこの技術分野で知られている。
【0026】
例示的な実施形態では、ウォルシュシーケンス0(W0)が一定値を変調してパイロット信号を形成する。このようにされていると、例示的な実施形態では、乗算器130Aに入力されるデータは固定され、エンコーダ110Aとインターリーバ120Aは必要とされない。利得調整された信号は合計器150で結合される。合計器150はデジタルまたはアナログデバイスとして実現することができる。合計器150は利得調整ブロック140A−140Nがデジタルである場合にはデジタルである傾向があり、利得調整ブロック140A−140Nがアナログである場合にはアナログである傾向があるが、必ずしもこのようにする必要はない。独立して利得調整されたデータ信号の合計からなる信号は、利得調整ブロック160において、利得制御プロセッサ180により供給される利得値で増幅される。パイロット利得調整は利得調整ブロック160により達成することができることから、利得調整ブロック140Aは重要ではない。代わりに、全体的な利得が各サブチャネル利得に入れられると、利得調整ブロック160を除去することができる。いずれのケースでも、各サブチャネル利得は全体的な信号利得とともになおかつ独立的に変化させることができることから、制御は失われない。利得調整ブロック160からの結果的な信号は送信機170において変調およびアップコンバートされ、その後デュプレクサ220を通してアンテナ230で送信される。他の利得調整ブロックと同様に、利得調整ブロック160はデジタルまたはアナログ技術を使用して実現することができる。
【0027】
アンテナ230を介しデュプレクサ220を通る基地局からのフォワードリンクデータは電力制御メッセージ情報を含み、受信機210においてダウンコンバートおよび増幅される。受信信号は復調器200において復調され、その後デコーダ190においてデインターリーブおよびデコードされる。例示的な実施形態では、復調器200は先に言及した米国特許第4,401,307号および第5,103,459号に説明されているようなCDMA復調器である。基地局からのサブチャネル電力制御メッセージは、デコーダ190によりデコードされたフォワードリンクデータから、利得制御プロセッサ180において分離される。
【0028】
これらのメッセージは、利得調整ブロック140A−140Nおよび160において利得値を独立的に制御する。利得値を調整するには多くの方法がある。例えば、サブチャネル電力制御メッセージはNビットから構成することができ、Nビットのそれぞれが対応するサブチャネルに命令してその送信電力を増加または減少させる。このメッセージに応答して、各利得値は予め定められた量だけ増加または減少され、この予め定められた量はすべてのサブチャネルに対して使用することができ、あるいは各サブチャネルに対して一意的にすることもできる。代わりに、サブチャネル電力制御メッセージには、利得値を示すあるいは利得値に対する変化量を示すNバイナリシーケンスを含めることができる。制御メッセージは各利得値あるいは利得値のグループを独立的に制御することができ、そしてこのそれぞれに対する技術の組み合わせを使用することができる。
【0029】
図3は例示的な基地局を図示している。基地局300では、システム中で動作している遠隔局からのすべての送信信号の合計を含む信号がアンテナ310を通して入力され、受信機320においてダウンコンバートおよび増幅される。PN復調器330は特定の遠隔局、例えば遠隔局100により送信される1組の信号を抽出する。PN復調信号は複数のウォルシュ復調器340A−340Nに向けられる。各ウォルシュ復調器は、遠隔局100により送信された信号の対応するサブチャネルを復調する。
【0030】
例示的な実施形態では、ウォルシュ復調器340A−340Nにより復調されるようなサブチャネルはデコーダ350A−350Nにおいてデインターリーブおよびデコードすることができる。デコーダ350A−350Nからのデータは比較器370に送られる。比較器370が計算するのに便利なメトリックはフレームエラーレート(FER)のメトリックである。各サブチャネルのフレームエラーレートは、しきい値発生器380により供給されるようなそのサブチャネルに対するFERしきい値と比較することができる。サブチャネルのフレームエラーレートが所要の通信品質にとって必要なものよりも低い場合には、そのサブチャネルにおける電力は減少させることができる。逆に、サブチャネルのフレームエラーレートが高すぎる場合には、そのサブチャネルはその電力を増加させる必要がある。
【0031】
代替実施形態では、各サブチャネル信号のエネルギは累算器360A−360Nで合計される。エネルギの結果は比較器370に送られる。受信機320には一般的に自動利得制御回路(AGC)が含まれており、これはインバンドエネルギを予め定められたレベルに正規化する。比較のためにエネルギ値を正規化するのを助けるために、AGCに関係するパラメータを比較器370に送ることができる。比較器370は各サブチャネルで受信されたエネルギを、しきい値発生器380により決定されるようなそのチャネルに対するエネルギしきい値と比較する。エネルギしきい値は、各サブチャネルにおいてある品質のサービスを確保するように計算される。各サブチャネルの電力はこの比較に基づいて調整することができる。しきい値を越えた場合には電力を減少させることができ、しきい値を越えない場合には減少させることができる。さらに、2つの実施形態は、フレームエラーレートまたは他の信号品質メトリックに応答してエネルギしきい値を変化できるようにすることにより、互いに関連して動作することができる。
【0032】
比較器370における比較に対して他の多くの代替実施形態が考えられる。デコーダ350A−350Nがビタビアルゴリズムを使用すると、比較のためにビタビデコーダメトリクスを提供することができる。別の例には、フレームエラーレートの代わりにシンボルエラーレートの比較や、周期冗長検査(CRC)の比較が含まれている。図1に示されているような基地局コントローラ4により、しきい値発生器380にしきい値を信号送信することができ、あるいはしきい値発生器380自体中でしきい値を計算することもできる。
【0033】
例示的な実施形態では、比較器370は、受信されたサブチャネルに基づいて、各サブチャネルの電力レベルを増加させるあるいは減少させるのかまたはさせないのかを決定する。この決定に基づいて、必要ならば、メッセージ発生器390は遠隔局に送信されるべき電力制御メッセージを生成して任意のサブチャネルを修正する。電力制御メッセージは、IS−95に記載されているように、信号送信データとして送信したり、データストリーム中に組み込むことができ、あるいは、メッセージを移動局に中継することができる他の任意の信号送信方法で送信することもできる。先に説明したように、メッセージはサブチャネル毎の簡単なアップまたはダウンコマンドとすることができ、またそれぞれに対して正確な利得値を送信するような複雑なものとすることができる。さらに、各サブチャネルは独立的に制御することができ、あるいは代わりにサブチャネル電力制御メッセージがサブチャネルのグループを制御することもできる。電力制御メッセージは変調器400において変調され、送信機410においてアップコンバートおよび増幅され、アンテナ420を通して遠隔局100に送信される。遠隔局100は先に説明したように各サブチャネルに関係する利得値を修正するので、サブチャネル制御ループは閉じられている。
【0034】
代替実施形態では、利得調整ブロック140A−140Nに対する利得値は開ループの方法で計算することができる。利得制御プロセッサ180における予め定められた利得計算アルゴリズムを使用して、フォワードリンク信号の受信エネルギに基づき個々の利得調整値を計算することができる。例えば、異なるサブチャネルはエラー訂正に対して異なるコーディングを持っている傾向があり、したがって、エラーレートは、フェージングによる受信電力の所定の低下に対して変化する。経験的な学習を使用して予め定められた利得計算アルゴリズムを開発することができる。
【0035】
別の代替実施形態では、フォワードリンクおよびリバースリンクの両方がこの発明を使用する場合には、フォワードリンクサブチャネルの受信エネルギの開ループ計算を使用して、対応するリバースリンクサブチャネルの利得を調整することができ、またこの逆もすることができる。フォワードリンクとリバースリンクに関して相対性または部分的な相対性がある状況では、対応する送信サブチャネルの電力レベルを決定する計算において、サブチャネル中の受信エネルギを使用することができる。
【0036】
開ループと閉ループ技術の組み合わせも使用することができる。
【0037】
好ましい実施形態の先の説明は当業者が本発明を作り、使用することができるように提供されている。これらの実施形態に対するさまざまな修正は当業者に容易に明らかになるであろう。ここに規定されている一般的な原理は発明力を用いることなく他の実施形態に適用することができる。したがって、本発明はここに示されている実施形態により限定されることを意図しているものでなく、ここに開示されている原理および新規な特徴と矛盾しない最も広い範囲にしたがうことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、セルラ電話システムのブロック図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態にしたがって構成された遠隔局のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態にしたがって構成された基地局のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔局が複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信するワイヤレス通信システムの基地局において使用する電力制御サブシステムにおいて、
前記リバースリンク信号を受信し、前記リバースリンク信号を復調して前記複数のサブチャネル信号を供給する受信機手段と、
前記複数のサブチャネル信号のそれぞれを受取り、前記サブチャネル信号のそれぞれの品質を測定する品質測定手段と、
前記複数のサブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立的に調整することができるように、前記複数のサブチャネル信号の少なくとも1つの送信電力を調整する電力制御メッセージを発生するメッセージ発生器手段とを具備する電力制御サブシステム。
【請求項2】
前記受信機手段が、
疑似ランダム雑音(PN)シーケンスにしたがって前記リバースリンク信号を復調して、遠隔局信号を供給するPN復調器手段と、
それぞれ前記遠隔局信号を受取り、直交復調シーケンスにしたがって前記遠隔局信号を復調して、前記サブチャネル信号の対応する1つを供給する複数の直交復調器手段とを備える請求項1記載の電力制御サブシステム。
【請求項3】
前記品質測定手段が、
それぞれ前記サブチャネル信号の対応する1つを受取り、予め定められた時間期間に対して前記サブチャネル信号のエネルギを累算して、累算されたサブチャネルエネルギを供給する複数の累算器手段と、
前記累算サブチャネルエネルギを受取り、前記累算サブチャネルエネルギのそれぞれを複数のしきい値の対応するしきい値と比較する比較器手段とを備える請求項1または2記載の電力制御サブシステム。
【請求項4】
前記品質測定手段が、
それぞれ対応するサブチャネル信号を受取り、前記サブチャネル信号中のフレームエラーの存在を決定する複数のデコーダ手段と、
前記決定されたフレームエラーに基づくフレームエラーレートをフレームエラーレートしきい値と比較する比較器手段とを備える請求項1ないし3のいずれか1項記載の電力制御サブシステム。
【請求項5】
前記品質測定手段が、前記サブチャネルのそれぞれに対する測定されたフレームエラーレートにしたがって前記複数のしきい値を発生するしきい値発生器手段をさらに備える請求項3または4記載の電力制御サブシステム。
【請求項6】
前記電力制御メッセージが複数のビットを含み、各ビットが前記複数のサブチャネルの1つに命令して、予め定められた量だけ前記サブチャネルの送信電力を増加または減少させる請求項1ないし5のいずれか1項記載の電力制御サブシステム。
【請求項7】
前記電力制御メッセージが複数の利得値を含み、各利得値が前記複数のサブチャネルの1つに適用されて、前記サブチャネルの送信電力が制御される請求項1ないし6のいずれか1項記載の電力制御サブシステム。
【請求項8】
前記電力制御メッセージが複数の値を含み、各値が1ビットより多くかつ全体的な利得値を決定するのに必要な数よりも少ないものから構成され、前記複数の値のそれぞれが前記複数のサブチャネルの1つに命令して、予め定められた量だけ乗算された前記値だけ前記サブチャネルの送信電力を増加または減少させる請求項1ないし7のいずれか1項記載の電力制御サブシステム。
【請求項9】
変調フォーマットにしたがって前記電力制御メッセージを変調する変調器をさらに具備する請求項1ないし8のいずれか1項記載の電力制御サブシステム。
【請求項10】
前記変調器が、CDMAフォーマットにしたがって変調する変調器を備える請求項9記載の電力制御サブシステム。
【請求項11】
前記品質測定手段が、
それぞれ前記サブチャネル信号の対応する1つを受取り、予め定められた時間期間に対して前記サブチャネル信号のエネルギを累算して、累算されたサブチャネルエネルギを供給する複数の累算器手段と、
前記累算サブチャネルエネルギを受取り、前記累算サブチャネルエネルギのそれぞれを複数のしきい値の対応するしきい値と比較する比較器手段とを備える請求項2記載の電力制御サブシステム。
【請求項12】
前記品質測定手段が、
それぞれ対応するサブチャネル信号を受取り、前記サブチャネル信号中のフレームエラーの存在を決定する複数のデコーダ手段と、
前記決定されたフレームエラーに基づくフレームエラーレートをフレームエラーレートしきい値と比較する比較器手段とを備える請求項2項記載の電力制御サブシステム。
【請求項13】
前記品質測定手段が、前記サブチャネルのそれぞれに対する測定されたフレームエラーレートにしたがって前記複数のしきい値を発生するしきい値発生器手段をさらに備える請求項11記載の電力制御サブシステム。
【請求項14】
前記電力制御メッセージが複数のビットを含み、各ビットが前記複数のサブチャネルの1つに命令して、予め定められた量だけ前記サブチャネルの送信電力を増加または減少させる請求項2記載の電力制御サブシステム。
【請求項15】
前記電力制御メッセージが複数の利得値を含み、各利得値が前記複数のサブチャネルの1つに適用されて、前記サブチャネルの送信電力が制御される請求項2項記載の電力制御サブシステム。
【請求項16】
前記電力制御メッセージが複数の値を含み、各値が1ビットより多くかつ全体的な利得値を決定するのに必要な数よりも少ないものから構成され、前記複数の値のそれぞれが前記複数のサブチャネルの1つに命令して、予め定められた量だけ乗算された前記値だけ前記サブチャネルの送信電力を増加または減少させる請求項8記載の電力制御サブシステム。
【請求項17】
変調フォーマットにしたがって前記電力制御メッセージを変調する変調器をさらに具備する請求項2記載の電力制御サブシステム。
【請求項18】
前記変調器が、CDMAフォーマットにしたがって変調する変調器を備える請求項17記載の電力制御サブシステム。
【請求項19】
複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信する遠隔局用の電力制御サブシステムにおいて、
電力制御メッセージを受信し、前記電力制御メッセージに基づいて複数の利得値を供給する受信機手段と、
受信された電力制御メッセージに基づいて前記サブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立的に調整することができるようにするために、それぞれ対応するサブチャネル信号と対応する利得値を受取り、前記利得値にしたがって前記サブチャネル信号の利得を調整するように構成された複数の利得調整手段とを具備する電力制御サブシステム。
【請求項20】
複数のサブチャネル信号を含むリバースリンク信号を送信する遠隔局の送信電力を制御する方法において、
前記リバースリンク信号を受信し、
前記リバースリンク信号を復調して、前記複数のサブチャネル信号を獲得し、
前記複数のサブチャネル信号の少なくとも1つの送信電力を調整する際に使用する電力制御メッセージを発生し、
前記複数のサブチャネル信号のそれぞれの送信電力を独立的に調整することができるように、前記電力制御メッセージを遠隔局に送信するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−10960(P2009−10960A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−184025(P2008−184025)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【分割の表示】特願平10−535928の分割
【原出願日】平成10年2月13日(1998.2.13)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】