説明

電力制御方法、電力制御装置および画像形成装置

【課題】コンデンサインプット形の整流回路を用いているにもかかわらず、入力電流のピーク値を抑えることのできる電力制御を低コストで実現すること。
【解決手段】交流電源35からの交流電力をコンデンサインプット形のレギュレーター10により整流して二次側負荷に供給し、かつ、交流電源35からの交流電力をヒーター38に供給するための電力制御方法である。この電力制御方法は、ヒーター38に流れ込むヒーター入力電流Ii2を各半サイクルの全期間においてオンとする第1モード、および、ヒーター入力電流Ii2の各半サイクルにおいて、レギュレーター10においてコンデンサの充電電流Icに起因する入力充電電流Ii3が流れている期間はヒーター入力電流Ii2をオフとしそれ以外の期間はヒーター入力電流Ii2をオンとする第2モード、が設けられ、第1モードまたは第2モードを選択して用いることにより制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御方法、電力制御装置および画像形成装置に関する。本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの電子写真方式の画像形成装置などの電力制御に利用される。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、通常、商用電源から交流電力を供給されることにより作動する。画像形成装置は、一般的に直流負荷と交流負荷とを有し、供給された交流電力の一部を直流電力に変換して直流負荷に供給し、交流負荷には交流電力を整流することなく供給する。
【0003】
図11は一般的な画像形成装置101の各部に供給される電力の種類を示す図である。図11に示すように、交流電源135から電力制御装置130に供給された交流電力のうち、一部は直流電力に変換され、イメージングユニットGU、中間転写部140、定着部150、制御部134、および操作部139に供給される。直流負荷として、例えば、各ローラーや各ファンを駆動させるためのモーター、制御部134および操作部139における電子部品または電子回路などがある。
【0004】
また、交流電源135から供給された交流電力の一部は、整流されることなく、定着部150に供給される。交流負荷として、定着部150において定着処理を行うための熱源であるヒーターが挙げられる。近年は、ショートウォームアップや高速プリントを実現するために大電力のヒーターが用いられている。
【0005】
交流負荷の一般的な電力制御方法として、位相制御および波数制御がある。位相制御は、負荷に対して、交流電力を半サイクル内の任意の位相角からゼロクロス点まで電力を供給し、この位相角を変化させることで供給電力を可変する制御方法である。
【0006】
また、波数制御は、交流電力の半サイクルを1つの単位として、半サイクルごとにONまたはOFFすることで、負荷への供給電力を可変する制御方法である。
【0007】
また、これらの制御方法をさらに改良した制御方法も提案されている。このような制御方法は、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0008】
電力制御装置130は、交流電力を直流電力に変換するレギュレーターを備える。レギュレーターは、交流電力を整流するための整流回路を備えている。一般的に、整流回路としては、コンデンサインプット形整流回路が用いられる。
【0009】
図12は従来の電力制御装置130の構成を示す図である。図12に示すように、電力制御装置130は、交流電源135からの交流電力を直流電力へと変換して二次側負荷137に供給するレギュレーター110、および、交流電力を制御してヒーター138に供給するヒーター制御用スイッチング部131を備える。
【0010】
レギュレーター110は、コンデンサインプット形の整流回路118、スイッチング回路117、トランス113、ダイオード114、第2平滑コンデンサ115、および二次側出力回路116を備える。
【0011】
整流回路118は、4本のダイオードにより構成されたブリッジダイオード111、および第1平滑コンデンサ112を備える。整流回路118は、交流電源135から入力された交流電力を整流する。交流電力は、ブリッジダイオード111により全波整流され、第1平滑コンデンサ112により平滑化される。
【0012】
第1平滑コンデンサ112からの平滑化された出力は、スイッチング回路117がオンとオフを繰り返すことにより高周波の交流波形となる。スイッチング回路117は、例えばバイポーラトランジスター、またはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor )などを用いて構成することができる。
【0013】
高周波の交流電力は、トランス113により変圧され、ダイオード114により整流され、第2平滑コンデンサ115により平滑化されることで、直流電力に変換される。二次側出力回路116は、所望の電圧を生成することができるように、スイッチング回路117に対するフィードバック制御を行う。電力制御装置130により生成された直流電力が二次側負荷137に供給される。
【0014】
また、ヒーター138には、ヒーター制御用スイッチング部131を介して、交流電源135から交流電力が供給される。ヒーター制御用スイッチング部131は、上述した電力制御方法を用いて電力の供給量を制御し、ヒーター138の温度を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−186218号公報
【特許文献2】特開2010−286649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述の制御方法により、画像形成装置101において二次側負荷137およびヒーター138にそれぞれ直流電力および交流電力が供給されるが、以下に示す問題がある。
【0017】
すなわち、整流回路118において交流電力が整流される際に、第1平滑コンデンサ112に充電電流が流れる。整流回路118には、整流入力電流Ii101が流れ込んでいるが、整流入力電流Ii101には、この充電電流に対応した入力充電電流が含まれる。入力充電電流は、時間幅が短くピーク値が高いという特徴を有する。整流入力電流Ii101において、入力充電電流が流れていない期間の電流値は略ゼロである。
【0018】
図13はコンデンサインプット形整流回路118の入力電圧Vi101および整流入力電流Ii101の波形を示す図である。図13に示すように、入力電圧Vi101は正弦波であるのに対して、整流入力電流Ii101の波形は急峻に立ち上がりかつ立ち下がるので尖ったような形状の部分を有する。尖ったような形状の部分が入力充電電流の波形である。図13では、入力充電電流が流れている期間以外は電流値がゼロであり、整流入力電流Ii101は、時間幅が短く、ピーク値が高い。
【0019】
整流入力電流Ii101は時間幅が短いことから、力率が低く、効率が悪いという問題がある。また、整流入力電流Ii101はピーク値が大きくなり易いので、スイッチング制御部131を介してヒーター138に入力されるヒーター入力電流Ii102と整流入力電流Ii101との和である総合入力電流のピーク値が大きくなり易いという問題がある。
【0020】
総合入力電流のピーク値が大きくなりすぎると、電気機器に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、電源の接続に用いられるコンセントまたはプラグなどが損傷する可能性がある。これらの損傷を防ぐためには、総合入力電流のピーク値をできるだけ抑え、例えば電流規制値内(例えば15A)に抑制すればよい。
【0021】
これに対応するために、ヒーター138の電力仕様を低くすることにより、総合入力電流を抑えることが考えられる。また、ヒーター138と二次側負荷137とに同時に電力が供給されることがないよう、ヒーター138への電力供給を一時的に停止させるウエイト制御を行うことで総合入力電流を抑えることが考えられる。
【0022】
しかし、これらの方法では、画像形成装置101の設計の自由度が低くなり、また、画像形成装置101の性能の低下を招いてプリントの生産性を損なう可能性がある。
【0023】
また、ヒーター制御用スイッチング部131として、トライアックなどの自己消弧能力を有さない素子を用いた場合には、交流の半サイクル内における自由なスイッチング制御が不可能であるため、きめ細かな位相制御を行うことができない。
【0024】
また、コンデンサインプット形整流回路の代わりにチョークインプット形の整流回路を用いた場合は、コストが高くなり装置が重量化し大型化する。
【0025】
また、PFC(Power Factor Correction )電源を用いることにより力率を改善することもできるが、この場合もコストが高くなるという問題がある。
【0026】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされた発明であり、その目的は、コンデンサインプット形の整流回路を用いているにもかかわらず、入力電流のピーク値を抑えることのできる電力制御を低コストで実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係る電力制御方法は、交流電源からの交流電力をコンデンサインプット形の整流スイッチング回路により整流して直流負荷に供給し、かつ、前記交流電源からの交流電力を交流負荷に供給するための電力制御方法であって、前記交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流を各半サイクルの全期間においてオンとする第1モード、および、前記交流負荷入力電流の各半サイクルにおいて、前記整流スイッチング回路においてコンデンサの充電電流に起因する入力充電電流が流れている期間は前記交流負荷入力電流をオフとしそれ以外の期間は前記交流負荷入力電流をオンとする第2モード、が設けられ、前記第1モードまたは第2モードを選択して用いることにより制御を行う。
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置は、交流電力によって動作する交流負荷および直流電力によって動作する直流負荷を備えた画像形成装置であって、交流電源から供給される交流電力を整流して前記直流負荷に直流電力を供給するためのコンデンサインプット形の整流スイッチング回路と、前記交流電源から供給される交流電力を前記交流負荷に供給する際に前記交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流のオンまたはオフを制御するスイッチ手段と、前記整流スイッチング回路においてコンデンサの充電電流に起因する入力充電電流が流れている期間である充電電流期間を検出するための充電電流期間検出手段と、前記スイッチ手段の制御動作を決定して前記スイッチ手段に指示を与える制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記交流負荷に流れ込む前記交流負荷入力電流を各半サイクルの全期間においてオンとする第1モード、または、前記交流負荷入力電流の各半サイクルにおいて前記充電電流期間は前記交流負荷入力電流をオフとしそれ以外の期間は前記交流負荷入力電流をオンとする第2モード、を選択し、前記スイッチ手段の制御動作を決定する。
【発明の効果】
【0029】
コンデンサインプット形の整流回路を用いているにもかかわらず、入力電流のピーク値を抑えることのできる電力制御を低コストで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置の電力制御に関係する部分のブロック図である。
【図3】画像形成装置の電力制御装置の構成を示す図である。
【図4】入力電圧および整流入力電流の波形の例を示す図である。
【図5】画像形成装置における動作モードの選択処理を示すフローチャートである。
【図6】第1モードの動作を示すフローチャートである。
【図7】第2モードの動作を示すフローチャートである。
【図8】第1モードにおける各部の電流波形の例を示す図である。
【図9】第2モードにおける各部の電流波形の例を示す図である。
【図10】画像形成装置の動作状態による動作モードの切り換えを示すフローチャートである。
【図11】一般的な画像形成装置の各部に供給される電力の種類を示す図である。
【図12】従来の画像形成装置の電力制御装置の構成を示す図である。
【図13】コンデンサインプット形整流回路の各部の電圧または電流の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構成の例を示す図である。
【0032】
図1に示すように、画像形成装置1はタンデム型のプリントエンジンを内蔵した電子写真方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、一般に複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)と呼ばれる装置であって、コピー、ネットワークプリンティング(PCプリント)、ファックス、およびスキャナなどの機能を集約した装置である。
【0033】
画像形成装置1は、画像形成部20および給紙部60などを備える。給紙部60は、各サイズの用紙YSを収納するための給紙カセット61、および、給紙カセット61に収納された用紙YSを1枚ずつ取り出して搬送路HRへと送るローラー群62〜66を備える。給紙カセット61から搬送路HRへと送られた用紙YSは、矢印M1方向に進む。
【0034】
ローラー群62〜66は、具体的には、ピックアップローラー62、給紙ローラー63、分離ローラー64、搬送ローラー対65、およびレジストローラー対66である。ピックアップローラー62は、給紙カセット61から用紙YSを取り出す。給紙ローラー63は、取り出された用紙YSを搬送路HRへと送る。分離ローラー64は、給紙ローラー63に対して用紙YSを挟んで対向する位置に設置されている。分離ローラー64は、複数枚重なったままの用紙YSが搬送路HRに送られることがないよう、用紙YSを一枚ずつに分離する。搬送ローラー対65は、一枚ずつ送られてくる用紙YSを搬送路HRに沿って送る。レジストローラー対66は、用紙YSを一時待機させた後、所定のタイミングで中間転写部40に供給する。
【0035】
画像形成部20は、電子写真方式によって用紙上に画像を形成するものであって、イメージングユニットU、中間転写部40、および定着部50を備えている。
【0036】
イメージングユニットUは、Y(イエロー)、M(マジェンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色にそれぞれ対応するイメージングユニットUY、UM、UC、UKから構成されている。各イメージングユニットUY、UM、UC、UKは、この順で中間転写ベルト41に沿って配置されている。各イメージングユニットUY、UM、UC、UKは、それぞれ、感光体ドラム21、帯電チャージャー22、感光体ドラム21の表面を露光して静電潜像を形成する露光部23、静電潜像を各色のトナーで現像してトナー像を形成する現像部24、トナー像を中間転写ベルト41に転写(一次転写)するための転写チャージャー25、感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーナー26、および、図示しない転写ローラーなどを備えている。イメージングユニットUにより、矢印M2方向に走行している中間転写ベルト41上に各色のトナー像(トナー画像)が、順次、転写位置が合うように重なって転写される。
【0037】
中間転写部40には、トナー像が転写される中間転写ベルト41と、複数のローラー42、43、44と、二次転写ローラー45とが設けられている。中間転写ベルト41は、ローラー42〜44により支持されていて、これらが回転駆動することにより矢印M2方向に走行する。二次転写ローラー45は、中間転写ベルト41を介してローラー44に対向するように設置されている。二次転写ローラー45は、中間転写ベルト41に対して接離可能であり、二次転写ローラー45が中間転写ベルト41に圧接されることで二次転写ローラー45とローラー44との間に転写ニップ部が形成される。
【0038】
用紙YSは中間転写ベルト41の走行と同期して搬送され、転写ニップ部においてトナー像が形成された中間転写ベルト41と接する。二次転写ローラー45にバイアス電圧が加えられることで、中間転写ベルト41上に形成されたトナー像が用紙YS上に転写(二次転写)される。二次転写によってトナー像が転写された用紙YSは定着部50に搬送される。
【0039】
定着部50には、内部に熱源を有する加熱ローラー51、加熱ローラー51との間にニップ部を形成する加圧ローラー52、および用紙搬送ガイド53が設けられる。トナー像が形成された用紙YSは定着部50に搬送される。用紙YSは、用紙搬送ガイド53に案内されて搬送路HR上を搬送されて、加熱ローラー51と加圧ローラー52とにより形成されたニップル部において加熱される。加熱によりトナーが溶融し、トナー像が用紙YSに定着する。なお、加熱ローラー51の内部に設置された熱源については図示していない。熱源として、例えばハロゲンヒーターなどが用いられる。
【0040】
トナー像が定着された用紙YSは、搬送路HR上を搬送されてトレイ70上に排出される。
【0041】
次に、画像形成装置1における電力制御について説明する。図2には画像形成装置1の電力制御に関係する部分について説明するためのブロック図が、図3には画像形成装置1の電力制御装置30の構成が、それぞれ示されている。
【0042】
図2に示すように、画像形成装置1は、図1を用いて説明した要素以外に、電力制御装置30および制御部34を備えている。なお、二次側負荷37は、画像形成装置1のうちの直流電力が供給される要素である。二次側負荷37は「直流負荷」の例である。
【0043】
二次側負荷37は、例えば、イメージングユニットU、中間転写部40、定着部50、給紙部60などにおける各ローラーや各ファンを駆動するためのモーターなどである。制御部34の電子回路(電子部品)を動作させるためにも直流電力が供給されていることから、これらの電子回路も二次側負荷37に含まれる。また、感光体ドラム21への静電潜像の形成、中間転写ベルト41へのトナー像の転写および用紙YSへのトナー像の転写などの各工程においても直流電力が用いられる。したがって、これらの各工程による負荷も二次側負荷37に含まれることがある。
【0044】
加熱ローラー51の内部には、上述したように熱源であるハロゲンヒーターなどのヒーター38が設置されている。ヒーター38には交流電力が供給される。また、加熱ローラー51の内部には、ヒーター38の温度を検知し、検知したヒーター38の温度を温度検知信号Stとして制御部34に送る温度センサー39が設置されている。温度センサー39として、例えば熱電対または半導体センサーなどが用いられる。なお、ヒーター38は「交流負荷」の例である。
【0045】
制御部34は、加熱ローラー51が所定の温度となるように、温度検知信号Stに基づいてヒーター38に対してフィードバック制御を行う。
【0046】
交流電源35は、商用の交流電力を画像形成装置1に供給する。画像形成装置1に供給された交流電力は、その一部が電力制御装置30を介してヒーター38に供給される。また、その一部が電力制御装置30により直流電力に変換されて、二次側負荷37および制御部34に供給される。
【0047】
電力制御装置30は、レギュレーター10、整流入力電流検出回路33、ゼロクロス検出回路32、およびヒーター制御用スイッチング部31を備える。
【0048】
図3に示すように、レギュレーター10は、コンデンサインプット形の整流回路18、トランス13、ダイオード14、第2平滑コンデンサ15、二次側出力回路16、およびスイッチング回路17を備える。
【0049】
整流回路18は、4本のダイオードにより構成されたブリッジダイオード11および第1平滑コンデンサ12を備える。整流回路18は、交流電源35から入力された交流電力を整流する。交流電力はブリッジダイオード11により全波整流され、第1平滑コンデンサ12により平滑化される。第1平滑コンデンサ12には充電電流Icが流れる。
【0050】
なお、整流回路18は、コンデンサインプット形整流回路であり、ブリッジダイオード11の出力の直後にコイルなどが接続されることなく、直接に第1平滑コンデンサ12が接続された構成である。
【0051】
整流回路18からの出力は、整流回路18の後段に接続された回路により、所定の一定の電圧となるように調整される。整流回路18の後段にはスイッチング回路17を介してトランス13が接続される。二次側出力回路16からの制御信号Sdによってスイッチング回路17がオン/オフを所定の間隔で繰り返すことにより、整流回路18の直流出力(脈流出力)は高周波の交流波形となる。スイッチング回路17は、例えばバイポーラトランジスターまたはMOSFETなどを用いて構成することができる。
【0052】
高周波の交流波形は、トランス13により変圧され、ダイオード14により整流され、第2平滑コンデンサ15により平滑化されることで、直流電力に変換される。レギュレーター10によって所定の電圧を生成するよう、二次側出力回路16はスイッチング回路17の位相制御を行い、フィードバック制御を行う。電力制御装置30により生成された直流電力が二次側負荷37に供給される。
【0053】
整流入力電流検出回路33は、レギュレーター10の入力電流つまり整流回路18の入力電流である整流入力電流Ii1の大きさを検出し、検出値を整流入力電流検知信号Sii1として制御部34に送る。整流入力電流Ii1の成分は、第1平滑コンデンサ12への充電電流Icが主な成分であり、これに、漏れ電流、ノイズ電流、およびその他の電流成分が加わる。整流入力電流検出回路33は、例えば電流検出用の抵抗などを用いて構成される。
【0054】
ゼロクロス検出回路32は、交流電源35の交流電圧のゼロクロスポイントを検出し、検出したゼロクロスポイントをゼロクロス検知信号Szとして制御部34に送る。
【0055】
ヒーター制御用スイッチング部31は、制御部34から送られてくるヒーター制御信号Shに応じてオンまたはオフする。これにより、ヒーター制御用スイッチング部31は、ヒーター38に供給する交流電力の位相制御を行う。ヒーター38には位相制御されたヒーター入力電流Ii2が流れ込む。
【0056】
後で出てくる総合入力電流Iiaは、ヒーター38に流れ込むヒーター入力電流(交流負荷入力電流)Ii2と、整流回路18に流れ込む整流入力電流Ii1との和である。
【0057】
なお、ヒーター制御用スイッチング部31は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor )などの自己消弧能力のある素子により構成されている。これにより、任意の位相タイミングでオンしまたはオフすることができ、後述のような波形のヒーター入力電流Ii2を生成することができる。
【0058】
制御部34は、例えばCPU、ROM、RAM、インターフェース回路、その他の周辺回路またはハードウエア回路などを用いて構成され、画像形成装置1の各部の動作を制御する。画像形成装置1の各部は、制御部34からの指令を受けて動作し、制御部34は各部の動作状態を各部からの信号などにより把握し管理する。
【0059】
制御部34は、整流入力電流検知信号Sii1に基づいて、そのピーク値を検出する。上に述べたように、整流入力電流Ii1の主成分は第1平滑コンデンサ12への充電電流Icであり、交流の各半サイクルにおいて比較的短い所定の時間幅Tcと大きいピーク値Pcとを持つ。ピーク値Pcおよび時間幅Tc、特にピーク値Pcは、二次側負荷37の大きさに応じて変化する。
【0060】
また、制御部34は、整流入力電流Ii1についてのしきい値Ithをあらかじめ記憶している。しきい値Ithは、総合入力電流Iiaのピーク値(Pa)が大きくなり過ぎないように制御するために用いられる。すなわち、画像形成装置1の使用によって、交流電源35との接続のために用いられるコンセントまたはプラグなどの電気機器に悪影響を及ぼさないよう、または電気機器を損傷させないよう、総合入力電流Iiaのピーク値(Pa)が抑制される。
【0061】
例えば、総合入力電流Iiaのピーク値(Pa)が、それら電気機器の電流規制値(Ik)を越えることが予想されると、越えないようにヒーター入力電流Ii2の位相制御を行う。しきい値Ithは、整流入力電流Ii1の大きさ例えばピーク値(Pa)がその限界に達したことを検知するためのしきい値として用いられる。
【0062】
以下、さらに詳しく説明する。
【0063】
すなわち、制御部34は、総合入力電流Iiaのピーク値Paが、例えば電気機器の電流規制値Ikよりも小さい値となるように、ヒーター制御用スイッチング部31の動作を制御する。
【0064】
画像形成装置1が動作中(稼働中)である場合に、動作状態が変化してもヒーター38は所定の温度が必要であることからヒーター入力電流Ii2のピーク値はあまり変化しない。これに対して、整流入力電流Ii1のピーク値Pcは画像形成装置1の動作状態に応じて大きく変化する。そのため、整流入力電流Ii1の大きさに応じて、ヒーター入力電流Ii2の位相制御を行うことにより、総合入力電流Iiaのピーク値Paを抑制し、例えばピーク値Paが電流規制値Ikを越えないように制御することができる。
【0065】
このような制御を行うために、制御部34は、整流入力電流検知信号Sii1に基づいて、整流入力電流Ii1の変化に応じてヒーター制御用スイッチング部31の位相制御を行う。ヒーター制御用スイッチング部31の位相制御によって、ヒーター38に流れ込むヒーター入力電流Ii2のオン期間が制御される。
【0066】
具体的には、例えば、整流入力電流Ii1のピーク値Pcがしきい値Ithを越えた場合に、整流入力電流Ii1の充電電流Icに対応した期間(充電期間)において、ヒーター入力電流Ii2をオフし、充電期間以外の期間においてのみヒーター入力電流Ii2をオンする。
【0067】
ここで、整流入力電流Ii1について説明する。
【0068】
図4には、入力電圧Vi1および整流入力電流Ii1の波形の例が示されている。図4において、整流入力電流Ii1の波形うち、実線で表された部分は後述の入力充電電流Ii3の波形であり、破線で表された部分は入力充電電流Ii3以外の波形である。
【0069】
図4において、入力電圧Vi1は、正弦波であり、1サイクル(時間0〜t6)のみが示されている。入力電圧Vi1において、時間0、t3、およびt6がゼロクロスポイントである。
【0070】
整流入力電流Ii1は、時間0〜t1においてゼロであり、時間t1で立ち上がり、ピークに達した後に立ち下がり、時間t2でゼロとなる。時間t2〜t4ではゼロであり、時間t4で負の側に立ち上がり、ピークに達した後に立ち下がり、時間t5でゼロとなる。
【0071】
整流回路18において、ブリッジダイオード11により整流された電力は第1平滑コンデンサ12に充電される。第1平滑コンデンサ12に充電された電圧がブリッジダイオード11から供給される電圧よりも大きい場合に、第1平滑コンデンサ12が放電する。そして、第1平滑コンデンサ12に充電された電圧がブリッジダイオード11から供給される電圧よりも小さい場合には、第1平滑コンデンサ12は放電を行うことなく、ブリッジダイオード11の出力によって充電される。
【0072】
時間0〜t1、t2〜t4、およびt5〜t6では、第1平滑コンデンサ12に充電された電荷によって負荷側の回路に電流が流れる。このとき、第1平滑コンデンサ12への充電は行われないので充電電流Icは流れない。
【0073】
一方、時間t1〜t2およびt4〜t5では、ブリッジダイオード11の出力によって第1平滑コンデンサ12が充電され、充電電流Icが流れる。
【0074】
整流回路18に流れ込む整流入力電流Ii1のうち、時間t1〜t2および時間t4〜t5の期間に流れる電流である入力充電電流Ii3は、充電電流Icに起因して流れる電流成分である。
【0075】
入力電圧Vi1の各半サイクルの間に、それぞれ1パルス(1回)の入力充電電流Ii3が流れる。
【0076】
さて、上に述べたヒーター制御用スイッチング部31の位相制御を行うために、そのための動作モード(制御モード)が制御部34に設定されている。
【0077】
次に、制御部34による動作モードについて説明する。
【0078】
動作モードには、第1モード(第1制御モード)および第2モード(第2制御モード)がある。
【0079】
第1モードでは、交流負荷であるヒーター38に流れ込むヒーター入力電流Ii2を、各半サイクルの全期間においてオンとする。つまり、第1モードでは位相制御は行われない。
【0080】
第2モードでは、ヒーター入力電流Ii2の各半サイクルにおいて、充電電流Icに起因する入力充電電流Ii3が流れている期間(充電電流期間Tc)はヒーター入力電流Ii2をオフとし、それ以外の期間はヒーター入力電流Ii2をオンとする。
【0081】
本実施形態において、制御部34は、整流入力電流検知信号Sii1に基づいて整流入力電流Ii1のピーク値Pcを取得し、その値がしきい値Ithよりも小さい場合は第1モードを選択し、第1モードによる制御を行う。整流入力電流Ii1のピーク値がしきい値Ith以上である場合は第2モードを選択し、第2モードによる制御を行う。
【0082】
このように、第2モードにおける位相制御のために、ゼロクロス検知信号Sz、つまり時間t1、t2、t4、t5などのゼロクロスポイントが用いられる。ゼロクロスポイントの検出のために、ゼロに近い値のしきい値Ithzを用いることができる。この場合には、整流入力電流Ii1(または入力充電電流Ii3、充電電流Ic)がしきい値Ithzをクロスした時点が、ゼロクロスポイントとなる。この場合のゼロクロスポイントは、整流入力電流Ii1がゼロになるタイミングではなく、また入力充電電流Ii3または充電電流Icが正確にゼロになるタイミングでもないこともある。このように、ゼロクロスポイントとして、整流入力電流Ii1などがほぼゼロとなるタイミング、またはゼロ近辺の所定の値となるタイミングなどを用いることが可能である。
【0083】
上での説明において、動作モードの選択のために、総合入力電流Iiaのピーク値Pcをしきい値Ithと比較した。しかし、ピーク値Pcのみではなく、時間幅Tcの大小などをも考慮して動作モードを決定してもよい。
【0084】
また、上に述べた実施形態では、しきい値Ithを、総合入力電流Iiaのピーク値Paが電流規制値Ikを越えないように制御を行うために設定するものとして説明した。しかし、その場合に、電流規制値Ikそれ自体を用いるのではなく、電流規制値Ikに対応した適当な規制値Ikaを用いてもよい。つまり、規制値Ikaとして、例えば、電流規制値Ikに適当な係数kaを掛け合わせた値(Ik×ka)、電流規制値Ikに適当な定数kbを加算した値(Ik+kb)などを用いてもよい。
【0085】
また、電流規制値Ikとして、電気機器の電流規制値それ自体を用いるのではなく、入力充電電流Ii3の時間幅Tcなどを考慮に入れた電流規制値、例えば、整流入力電流Ii1の実効値または総合入力電流Iiaの実効値などを考慮に入れた場合の電流規制値を用いてもよい。
【0086】
このように、第2モードにおいては、総合入力電流Iiaについて、ピーク値Paまたはこれ以外の代表値が大きくなり過ぎないように制御される。
【0087】
次に、画像形成装置1の電力制御方法の一例について、フローチャートおよび各電流波形を参照して説明する。
【0088】
図5は画像形成装置1における動作モードの選択処理を示すフローチャート、図6は第1モードの動作を示すフローチャート、図7は第2モードの動作を示すフローチャートである。また、図8は第1モードにおける各部の電流波形の例を示す図、図9は第2モードにおける各部の電流波形の例を示す図である。また、図10は画像形成装置1の動作状態による動作モードの切り換わりを示すフローチャートである。
【0089】
図5において、整流入力電流Ii1が検出される(#501)。整流入力電流Ii1、つまりこれに含まれるピーク値Pcは、整流入力電流検出回路33において常に検出されている。
【0090】
検出されたピーク値Pcとしきい値Ithとが比較される(#502)。ピーク値Pcがしきい値Ithよりも小さい場合(#502でNo)は、第1モードが選択される(#503)。ピーク値Pcがしきい値Ith以上である場合(#503でYes)は、第2モードが選択される(#504)。
【0091】
図6において、第1モードが選択されると(#601)、ヒーター制御信号Shに基づき、ヒーター制御用スイッチング部31において、ヒーター入力電流Ii2がその各半サイクルの全期間においてオンとなるように制御が行われる(#602)。
【0092】
図8に示すように、第1モードでは、整流入力電流Ii1のピーク値Pcはしきい値Ithよりも小さい。ヒーター入力電流Ii2は、入力電圧Vi1と同位相であり、各半サイクルの全期間においてオンである。総合入力電流Iiaは、各半サイクルの中央部付近で突出した波形となっているが、そのピーク値Paは電流規制値Ikよりも小さく抑えられている。なお、総合入力電流Iiaは、整流入力電流Ii1とヒーター入力電流Ii2との和である。
【0093】
図7において、第2モードが選択されると(#701)、充電電流期間(時間幅)Tcが検出される(#702)。そして、ヒーター入力電流Ii2の各半サイクルにおいて、充電電流期間Tcはヒーター入力電流Ii2がオフとなるように、充電電流期間Tc以外の期間はヒーター入力電流Ii2がオンとなるように、制御が行われる(#703)。
【0094】
図9に示すように、第2モードでは、整流入力電流Ii1のピーク値Pcはしきい値Ithよりも大きい。ヒーター入力電流Ii2は、入力電圧Vi1と同位相であるが、各半サイクルの所定の期間tb1〜tb2、tb4〜tb5…において、つまり各充電電流期間Tcにおいて、オフとなっている。これにより、総合入力電流Iiaのピーク値Paは、中央部付近においても突出することなく、電流規制値Ikよりも小さく抑えられている。
【0095】
このように、整流入力電流Ii1のピーク値Paを検出し、その大きさに応じて動作モードを選択することにより、コンデンサインプット形の整流回路を用いているにもかかわらず、入力電流(総合入力電流Iia)のピーク値Paを抑えることができる。
【0096】
これにより、コンセントまたはプラグなどの電気機器の電流規制値Ikに適合するように制御を行うことが可能となり、これら電気機器に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0097】
しかも、ヒーター38への電力供給についてウエイト制御を行うことが避けられるので、画像形成装置1のショートウオームアップ、および高速プリントの実現に支障をきたすことがない。
【0098】
上に述べた実施形態では、整流入力電流Ii1のピーク値Pcなどを検出することによって、動作モードを選択した。しかし、これ以外の方法によって動作モードを選択しまたは決定してもよい。つまり、例えば、整流入力電流Ii1のピーク値Pcの大きさ以外に、二次側負荷37の大きさを示すパラメータを検出することによってもよい。
【0099】
例えば、二次側負荷37の大きさが所定値よりも少ないときに第1モードを選択し、所定値よりも大きくなったときに第2モードを選択する。
【0100】
また、整流入力電流Ii1の大きさは画像形成装置1の動作状態に応じて変化するので、画像形成装置1の動作状態を検出し、動作状態に応じて動作モードを選択し決定してもよい。
【0101】
具体的には、例えば、画像形成装置1が、ウォームアップ中であるか、初期動作中であるか、スタンバイ中であるか、または印刷中(プリント中)であるかなどによって動作モードを決定してもよい。
【0102】
すなわち、整流入力電流Ii1は、ウォームアップ中またはスタンバイ中である場合には例えば1A程度、初期動作中である場合に例えば3A程度、印刷中である場合には例えば5A程度である。
【0103】
したがって、例えば、ウォームアップ中またはスタンバイ中である場合に、動作モードとして第1モードを選択する。また、初期動作中または印刷中である場合に、動作モードとして第2モードを選択する。
【0104】
なお、スタンバイ中とは、画像形成装置1の電源は入っているが休止している状態である。つまり、二次側負荷37のうち電子回路などの制御系は動作しているが、モーターはほとんど駆動していない状態であり、整流入力電流Ii1は小さい。しかし、ユーザが印刷をしようとする場合には速やかに印刷可能状態とならねばならないため、加熱ローラー51はある程度の温度である。したがって、ヒーター入力電流Ii2も流れている。
【0105】
また、ウォームアップ中とは、画像形成装置1がスタンバイ中から印刷可能状態になるまでの状態である。印刷が行われる前であるので、スタンバイ中と同様に二次側負荷37のうち制御系は動作しているが、モーターはほとんど動作していない状態であり、整流入力電流Ii1は小さい。そのときの温度にもよるが、通常は加熱ローラー51の温度を上げなければならないので、ヒーター入力電流Ii2が流れている。
【0106】
また、初期動作中とは、印刷は行われていないが、各部の位置決めなどが必要な状態である。各部の位置決めのためにモーターが駆動しているため、スタンバイ中およびウォームアップ中に比べて整流入力電流Ii1は大きい。印刷が可能な状態にするために加熱ローラー51の温度を上げなければならないので、ヒーター入力電流Ii2も流れている。
【0107】
また、印刷中とは、用紙YSに画像を形成している状態であり、二次側負荷37における各部のモーターなどがほとんど動作している状態である。ヒーター38も加熱されていて、ヒーター入力電流Ii2も流れている。
【0108】
このように、画像形成装置1の動作状態に応じて動作モードを選択するようにすると、整流入力電流Ii1を検出する必要がないので、整流入力電流検出回路33を省略することも可能である。
【0109】
この場合に、制御部34において、画像形成装置1の動作状態に対応する好ましい動作モードを予め記憶しておけばよい。
【0110】
次に、画像形成装置1の動作状態に応じて動作モードを選択する例をフローチャートに沿って説明する。
【0111】
図10は画像形成装置1の動作状態に応じて動作モードを選択する処理動作の例を示すフローチャートである。
【0112】
図10において、画像形成装置1がウォーミングアップ(WU)中である場合は(#1001)、第1モードが選択される(#1002)。これにより、ヒーター38など、必要なヒーターは全てが全サイクルにおいてオン状態となる。
【0113】
初期動作中である場合は(#1003でYes)、第2モードが選択される(#1004)。これにより、ヒーター38などに供給される電力が位相制御され、総合入力電流Iiaのピーク値Paが抑えられる。初期動作中でない場合は(#1003でNo)、第1モードが選択される(#1005)。
【0114】
ウォームアップが完了し(#1006)、スタンバイ中となった場合は(#1007)、第1モードが選択される(#1008)。
【0115】
印刷が開始された場合は(#1009)、第2モードが選択される(#1010)。印刷が終了し、スタンバイ中に移行した場合は(#1011)、第1モードが選択される(#1012)。
【0116】
このように、本実施形態に係る画像形成装置1では、交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流(ヒーター入力電流Ii2)と、レギュレーター10に流れ込む整流入力電流Ii1との和が、所定の電流規制値Ikを超えないように、交流負荷入力電流の各半サイクルにおけるオンまたはオフのタイミングを制御するのである。
【0117】
本実施形態に係る画像形成装置1では、上述のようにコンデンサインプット整流形の整流回路を備えていて、PFC電源などを用いていないにもかかわらず、総合入力電流Iiaを抑制することができる。したがって、総合入力電流Iiaのピーク値Paが電気機器の電流規制値を超えないようにすることを、容易に低コストで実現できる。
【0118】
また、ヒーター38の電力仕様が限定されることがないので、大電力のヒーター38を使用でき、ショートウォームアップや高速プリントを実現できる。
【0119】
また、第2モードにおいて、総合入力電流Iiaの波形を入力電圧Vi1と同位相の正弦波形に近づけることが可能であるので、力率の改善にも寄与する。
【0120】
なお、ヒーター38としてハロゲンヒーターを用いた構成を例示した。しかし、ハロゲンヒーター以外に、カーボンヒーター、電熱線、セラミックヒーターまたは誘導加熱(IH:Induction Heating )コイルなどを用いてもよい。
【0121】
上に述べた実施形態において、レギュレーター10、整流回路18、電力制御装置30、ヒーター制御用スイッチング部31、整流入力電流検出回路33、または画像形成装置1の全体または各部の構成、構造、形状、寸法、回路、個数、材質、処理の内容または順序またはタイミングなどは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 画像形成装置
10 レギュレーター
12 第1平滑コンデンサ
18 整流回路
30 電力制御装置
31 ヒーター制御用スイッチング部(スイッチ手段)
32 ゼロクロス検出回路
33 整流入力電流検出回路
34 制御部(制御手段、充電電流期間検出手段)
35 交流電源
37 二次側負荷(直流負荷)
38 ヒーター(交流負荷)
39 温度センサー
51 加熱ローラー
Ii2 ヒーター入力電流(交流負荷入力電流)
Ii1 整流入力電流
Ii3 入力充電電流
Iia 総合入力電流
Ith しきい値
Ic 充電電流
Tc 充電電流期間
Pc ピーク値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流電力をコンデンサインプット形の整流スイッチング回路により整流して直流負荷に供給し、かつ、前記交流電源からの交流電力を交流負荷に供給するための電力制御方法であって、
前記交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流を各半サイクルの全期間においてオンとする第1モード、および、
前記交流負荷入力電流の各半サイクルにおいて、前記整流スイッチング回路においてコンデンサの充電電流に起因する入力充電電流が流れている期間は前記交流負荷入力電流をオフとしそれ以外の期間は前記交流負荷入力電流をオンとする第2モード、が設けられ、 前記第1モードまたは第2モードを選択して用いることにより制御を行う、
ことを特徴とする電力制御方法。
【請求項2】
前記整流スイッチング回路に流れる整流入力電流を検出し、
前記整流入力電流が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第1モードを選択し、
前記整流入力電流が前記しきい値以上である場合は前記第2モードを選択する、
請求項1記載の電力制御方法。
【請求項3】
交流電源からの交流電力を整流して直流電力を出力するコンデンサインプット形の整流スイッチング回路を有し、直流負荷に当該直流電力を供給し、かつ、前記交流電源からの交流電力を交流負荷に供給する電力制御装置であって、
前記交流電源からの交流電力を前記交流負荷に供給する際に、前記交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流のオンまたはオフを制御するスイッチ手段と、
前記整流スイッチング回路においてコンデンサの充電電流に起因する入力充電電流が流れている期間である充電電流期間を検出するための充電電流期間検出手段と、
前記スイッチ手段の制御動作を決定して前記スイッチ手段に指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記交流負荷に流れ込む前記交流負荷入力電流を各半サイクルの全期間においてオンとする第1モード、または、前記交流負荷入力電流の各半サイクルにおいて前記充電電流期間は前記交流負荷入力電流をオフとしそれ以外の期間は前記交流負荷入力電流をオンとする第2モード、を選択し、前記スイッチ手段の制御動作を決定する、
ことを特徴とする電力制御装置。
【請求項4】
前記整流スイッチング回路に流れる整流入力電流を検出する整流入力電流検出手段を備え、
前記制御手段は、検出された当該整流入力電流が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第1モードを選択し、検出された当該整流入力電流が前記しきい値以上である場合は前記第2モードを選択する、
請求項3記載の電力制御装置。
【請求項5】
交流電力によって動作する交流負荷および直流電力によって動作する直流負荷を備えた画像形成装置であって、
交流電源から供給される交流電力を整流して前記直流負荷に直流電力を供給するためのコンデンサインプット形の整流スイッチング回路と、
前記交流電源から供給される交流電力を前記交流負荷に供給する際に前記交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流のオンまたはオフを制御するスイッチ手段と、
前記整流スイッチング回路においてコンデンサの充電電流に起因する入力充電電流が流れている期間である充電電流期間を検出するための充電電流期間検出手段と、
前記スイッチ手段の制御動作を決定して前記スイッチ手段に指示を与える制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記交流負荷に流れ込む前記交流負荷入力電流を各半サイクルの全期間においてオンとする第1モード、または、前記交流負荷入力電流の各半サイクルにおいて前記充電電流期間は前記交流負荷入力電流をオフとしそれ以外の期間は前記交流負荷入力電流をオンとする第2モード、を選択し、前記スイッチ手段の制御動作を決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記整流スイッチング回路に流れる整流入力電流を検出する整流入力電流検出手段を備え、
前記制御手段は、検出された当該整流入力電流が所定のしきい値よりも小さい場合は前記第1モードを選択し、検出された当該整流入力電流が前記しきい値以上である場合は前記第2モードを選択する、
請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、当該画像形成装置の動作状態に基づいて、前記第1モードまたは前記第2モードを選択する、
請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、当該画像形成装置がウォームアップ中である場合に前記第1モードを選択する、
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、当該画像形成装置が印刷中である場合に前記第2モードを選択する、 請求項7記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、当該画像形成装置がスタンバイ中である場合に前記第1モードを選択する、
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、当該画像形成装置が初期動作中である場合に前記第2モードを選択する、
請求項7記載の画像形成装置。
【請求項12】
交流電源からの交流電力をコンデンサインプット形の整流スイッチング回路により整流して直流負荷に供給し、かつ、前記交流電源からの交流電力を交流負荷に供給するための電力制御方法であって、
前記交流負荷に流れ込む交流負荷入力電流と、前記整流スイッチング回路に流れ込む整流入力電流との和が、所定の電流規制値を超えないように、前記交流負荷入力電流の各半サイクルにおけるオンまたはオフのタイミングを制御する、
ことを特徴とする電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−66334(P2013−66334A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204233(P2011−204233)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】