説明

電力変換器

【課題】損失を抑えつつ、負電圧を印加することによるスイッチング素子のターンオフを行う電力変換器を提供する。
【解決手段】ハイサイド駆動回路111a及びローサイド駆動回路131aは、第二電源140と、第一コンデンサ111c及び第一ダイオード111dからなるブートストラップ回路とにより常時正電圧が印加され、ハイサイド駆動回路111aは、第一電源111bにより常時負電圧が印加される。また、ハイサイド素子110がOFF、ローサイド素子130がONである間は、第一電源111bにより、ローサイド駆動回路131aへの負電圧の印加と、第二コンデンサ141への充電が行われる。そして、ハイサイド素子110がON、ローサイド素子130がOFFである間には第二コンデンサ141が放電され、ローサイド駆動回路131aに負電圧が印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ出力を行う電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
三相モータ等に対してインバータ出力を行う電力変換器として、ハイサイド側とローサイド側とにスイッチング素子が設けられたインバータ回路が知られている。このようなインバータ回路のスイッチング素子をN型のパワーMOSFETで構成した場合、各スイッチング素子の駆動には、それぞれの素子のソース端子を基準電位とした正電圧を発生させる別個の正電圧源が必要となる。ここで、これらのスイッチング素子に対して電源を個別に設けることも考えられるが、ブートストラップ回路を用いてハイサイド側のスイッチング素子の駆動に必要な正電圧を生成することにより、単一の電源でこれらのスイッチング素子を駆動する手法が多用されている。
【0003】
また、一方では、スイッチング素子のターンオフを高速化するため、スイッチング素子をOFFする際に、負のゲート電圧を印加する手法が知られている。この場合、各スイッチング素子の駆動には、上述した正電圧の他に、各素子のソース端子を基準とした負電圧を生成する別個の負電圧源が必要となる。そして、この負電圧源として個別に電源を設けるとなると、コストが増加してしまう。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の電力変換装置では、ツェナーダイオードを用いることにより、単一電源によって両スイッチング素子の駆動に必要な負電圧を生成させることが提案されている。具体的には、ローサイド側の駆動回路に負電圧を供給するよう設けられた負電圧供給用電源の負電圧側に抵抗を介してアノード端子が接続され、ハイサイド側のスイッチング素子のソースにカソード端子が接続されたツェナーダイオードを設け、そのツェナーダイオードのアノード端子をハイサイド側の駆動回路に接続することにより、ハイサイド側のスイッチング素子がONしている際に、ツェナーダイオードにおける電圧降下により生じた負電圧が、ハイサイド側の駆動回路に供給されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−314154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の電力変換器では、常時、電流がツェナーダイオードを流れているため、損失が大きくなってしまう。
本願発明は上記課題を解決するためになされたものであり、損失を抑えつつ、負電圧を印加することによるスイッチング素子のターンオフを行う電力変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、高電圧源の正電位側に接続されたスイッチング素子であるハイサイド素子と、ハイサイド素子と高電圧源の負電位側の電位である基準電位との間に直列に接続されたスイッチング素子であるローサイド素子とを備え、ハイサイド素子のソース端子とローサイド素子のドレイン端子との接点に設けられた出力端子から、負荷に対しインバータ出力を行う電力変換器に関するものである。この電力変換器は、ハイサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするハイサイド駆動回路と、ローサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするローサイド駆動回路とを備える。また、この電力変換器は、正電位側が出力端子に、負電位側がハイサイド駆動回路の負電源端子に接続され、上記素子のOFFに必要な電圧を発生させる第一電源と、正電位側がローサイド駆動回路の正電源端子に、負電位側が基準電位に接続され、上記素子のONに必要な電圧を発生させる第二電源とを備える。また、この電力変換器は、第二電源の正電位側と出力端子との間に直列に接続された第一ダイオードと第一コンデンサとにより構成され、ハイサイド駆動回路の正電源端子に、ハイサイド素子のソース端子を基準とした正電圧を印加するブートストラップ回路と、第一電源の負電位側にカソード端子が接続された第二ダイオードと、一端が、第二ダイオードのアノード端子、及び、ローサイド駆動回路の負電源端子に、他端が基準電位に接続され、ローサイド素子がONしている間に、第二ダイオードと、第一電源と共に閉ループを形成する第二コンデンサとを備える。
【0008】
尚、例えば、第二ダイオードのアノード端子と第二コンデンサの一端とは、限流抵抗を介して接続されていても良く、各素子が接続されるとは、抵抗等の素子を介して接続されることも含むものとする。
【0009】
こうすることにより、両駆動回路には、第二電源と、第一コンデンサ及び第一ダイオードにより構成されるブートストラップ回路とにより、常時、対応するスイッチング素子のソース端子を基準とした正電圧が印加されると共に、ハイサイド駆動回路は、第一電源により、常時、ハイサイド素子のソース端子を基準とする負電圧が印加される。また、ハイサイド素子がOFF、ローサイド素子がONである間は、第一電源からローサイド駆動回路に対して、ローサイド素子のソース端子を基準とする負電圧が印加されると共に、第一電源により第二コンデンサに負電荷が充電される。そして、ハイサイド素子がON、ローサイド素子がOFFである間には、負電荷が蓄積された第二コンデンサが放電され、ローサイド駆動回路に対して、ローサイド素子のソース端子を基準とする負電圧が印加される。
【0010】
このように、請求項1に記載の電力変換器によれば、各駆動回路に対して個別に電源を設けることなく負電圧を印加することができる。また、この電力変換器では、負電荷が蓄積された第二コンデンサによりローサイド駆動回路に負電圧が印加されるため、例えば、負電圧源としてツェナーダイオードの電圧降下を利用する場合のように、駆動回路に印加する負電圧を生成するために常時電流を流す必要が無くなる。したがって、請求項1に記載の電力変換器は、損失を抑えつつ、負電圧を印加することによるスイッチング素子のターンオフを行うことができる。そして、このようなターンオフを行うことにより、スイッチング損失を低減させることや、インバータ出力の対象となる三相モータ等の誤動作を防ぐことができるのである。
【0011】
さらに、この電力変換器によれば、第二コンデンサによりローサイド駆動回路に印加する負電圧が生成されるため、例えば、ツェナーダイオードの電圧降下を利用して負電圧を生成する場合に比べ、より安定した負電圧を生成することができる。
【0012】
また、請求項1に記載の電力変換器を、次のようにして複数相のインバータ出力に対応させても良い。
すなわち、請求項2に記載されているように、ハイサイド素子と、該ハイサイド素子をON/OFFするハイサイド駆動回路と、該ハイサイド素子に接続されたローサイド素子と、該ローサイド素子をON/OFFするローサイド駆動回路と、該ハイサイド駆動回路に接続される第一電源と、該ハイサイド駆動回路に対応するブートストラップ回路と、該第一電源に接続された第二ダイオードとをブロックとしても良い。そして、電力変換器は、複数相のインバータ出力を行い、各相に対応するブロックが個別に設けられ、第二電源の正電位側は、それぞれのブロックにおけるローサイド駆動回路の正電源端子とブートストラップ回路とに接続しており、第二コンデンサの一端は、それぞれのブロックにおけるローサイド駆動回路と第二ダイオードとに接続していても良い。
【0013】
こうすることにより、第二電源や第二コンデンサを各相に対して個別に設けることなく複数相のインバータ出力を行うことができ、コストを低減させることができる。
また、請求項3に記載されているように、いずれかのブロックにおいて、該ブロックにおけるローサイド駆動回路は、該ブロックに対応して個別に設けられた第一インダクタを介して第二電源に接続していると共に、該ブロックに対応して個別に設けられた第二インダクタを介して第二コンデンサに接続していても良い。
【0014】
このように、ローサイド駆動回路と第二電源等とをインダクタを介して接続し、このローサイド駆動回路の電圧源と、他のブロックのローサイド駆動回路の電圧源とを分離することにより、このローサイド駆動回路に対しての、基準電位ライン上等に生じるノイズの影響を抑えることができる。このため、インダクタを介して接続されたローサイド駆動回路により駆動されるローサイド素子の誤動作を防ぐことができる。
【0015】
また、請求項4に記載されているように、いずれかのブロックにおいて、該ブロックにおけるローサイド駆動回路は、該ブロックに対応して個別に設けられた第一インダクタを介して第二電源に接続していると共に、該ローサイド駆動回路の負電源端子と、該ブロックにおける第二ダイオードのアノード端子とは、第二コンデンサに替えて、該ブロックに対応して個別に設けられている第三コンデンサの一端に接続されていても良い。そして、第三コンデンサの他端は、基準電位に接続されており、該第三コンデンサに対応するブロックのローサイド素子がONしている間に、該第三コンデンサは、該ブロックの第二ダイオード及び第一電源と共に閉ループを形成しても良い。
【0016】
このように、インダクタとコンデンサとによりこのローサイド駆動回路の電圧源と、他のブロックのローサイド駆動回路の電圧源とを分離する場合であっても、このローサイド駆動回路に対しての、基準電位ライン上等に生じるノイズの影響を抑えることができる。また、インダクタに替えてコンデンサを用いることにより、電力変換器のサイズを小さくすることができる。
【0017】
また、電力変換器は、次のように構成されていても良い。
すなわち、請求項5に記載されているように、電力変換器は、ハイサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするハイサイド駆動回路と、ローサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするローサイド駆動回路とを備えていても良い。また、この電力変換器は、正電位側がローサイド駆動回路の正電源端子に、負電位側が基準電位に接続され、この素子のONに必要な電圧を発生させる第一電源とを備えていても良い。また、この電力変換器は、正電位側が基準電位に、負電位側がローサイド駆動回路の負電源端子に接続され、素子のOFFに必要な電圧を発生させる第二電源と、第一電源の正電位側と出力端子との間に直列に接続された第一ダイオードと第一コンデンサとにより構成され、ハイサイド駆動回路の正電源端子に、ハイサイド素子のソース端子を基準とした正電圧を印加するブートストラップ回路とを備えていても良い。また、この電力変換器は、一端が出力端子に、他端がハイサイド駆動回路の負電源端子に接続されている第二コンデンサと、一端が第二電源の負電位側に、他端が第二コンデンサの他端に接続された制御用スイッチング素子と、制御用スイッチング素子を、ローサイド駆動回路によるローサイド素子のON/OFFに同期してON/OFFする制御用駆動回路とを備えていても良い。そして、スイッチング素子は、ローサイド駆動回路によりローサイド素子がONされた場合には、第二コンデンサと第二電源と共に閉ループを形成しても良い。
【0018】
こうすることにより、両駆動回路には、第一電源と、第一コンデンサ及び第一ダイオードにより構成されるブートストラップ回路とにより、常時、対応するスイッチング素子のソース端子を基準とした正電圧が印加されると共に、ローサイド駆動回路は、第二電源により、常時、ローサイド素子のソース端子を基準とする負電圧が印加される。また、ハイサイド素子がOFF、ローサイド素子がONである間は、スイッチング素子がON状態となり、ハイサイド駆動回路に対しては第二電源によりハイサイド素子のソース端子を基準とする負電圧が印加されると共に、第二電源により第二コンデンサに負電荷が充電される。そして、ハイサイド素子がON、ローサイド素子がOFFである間は、スイッチング素子がOFF状態となり、負電荷が蓄積された第二コンデンサが放電されてハイサイド駆動回路に対してハイサイド素子のソース端子を基準とする負電圧が印加される。
【0019】
このように、請求項5に記載の電力変換器によれば、各駆動回路に対して個別に電源を設けることなく負電圧を印加することができる。また、この電力変換器では、負電荷が蓄積された第二コンデンサによりローサイド駆動回路に負電圧が印加されるため、例えば、負電圧源としてツェナーダイオードの電圧降下を利用する場合のように、駆動回路に印加する負電圧を生成するために常時電流を流す必要が無くなる。したがって、請求項5に記載の電力変換器は、損失を抑えつつ、負電圧を印加することによるスイッチング素子のターンオフを行うことができる。そして、このようなターンオフを行うことにより、スイッチング損失を低減させることや、インバータ出力の対象となる三相モータ等の誤動作を防ぐことができるのである。
【0020】
さらに、この電力変換器によれば、第二コンデンサによりローサイド駆動回路に印加する負電圧が生成されるため、例えば、ツェナーダイオードの電圧降下を利用して負電圧を生成する場合に比べ、より安定した負電圧を生成することができる。
【0021】
また、請求項5に記載の電力変換器を、次のようにして複数相のインバータ出力に対応させても良い。
すなわち、請求項6に記載されているように、ハイサイド素子と、該ハイサイド素子をON/OFFするハイサイド駆動回路と、該ハイサイド素子に接続されたローサイド素子と、該ローサイド素子をON/OFFするローサイド駆動回路と、該ハイサイド駆動回路に対応するブートストラップ回路と、該ハイサイド駆動回路に接続している第二コンデンサと、該第二コンデンサに接続されている制御用スイッチング素子と、該制御用スイッチング素子をON/OFFする制御用駆動回路とをブロックとしても良い。そして、電力変換器は、複数相のインバータ出力を行い、各相に対応するブロックが個別に設けられ、第一電源は、それぞれのブロックにおけるローサイド駆動回路とブートストラップ回路とに接続しており、第二電源は、それぞれのブロックにおけるローサイド駆動回路とスイッチング素子とに接続していても良い。
【0022】
こうすることにより、第一電源や第二電源を各相に対して個別に設けることなく複数相のインバータ出力を行うことができ、コストを低減させることができる。
また、請求項7に記載されているように、いずれかのブロックにおいて、該ブロックにおけるローサイド駆動回路は、該ブロックに対応して個別に設けられた第一インダクタを介して第一電源に接続していると共に、該ブロックに対応して個別に設けられた第二インダクタを介して第二電源に接続していても良い。
【0023】
このように、ローサイド駆動回路と各電源とをインダクタを介して接続し、このローサイド駆動回路の電圧源と、他のブロックのローサイド駆動回路の電圧源とを分離することにより、このローサイド駆動回路に対しての、基準電位ライン上等に生じるノイズの影響を抑えることができる。このため、インダクタを介して接続されたローサイド駆動回路により駆動されるローサイド素子の誤動作を防ぐことができる。
【0024】
そして、制御用スイッチング素子は、請求項8に記載されているように、Nチャンネル型のスイッチング素子により構成されていても良い。
こうすることにより、制御用スイッチング素子におけるスイッチング損失を低減させることができる。
【0025】
また、制御用駆動回路に対し、制御用スイッチング素子をONするための正電圧を、次のようにして入力しても良い。
すなわち、請求項9に記載されているように、制御用スイッチング素子は、ソース端子が第二電源に、ドレイン端子が第二コンデンサの他端に接続されており、制御用駆動回路は、正電源端子が、第二電源の正電位側に接続されていても良い。
【0026】
こうすることにより、制御用駆動回路に対して専用の正電圧源を設ける必要が無くなり、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第一実施形態における電力変換器の回路図である。
【図2】第二実施形態における電力変換器の回路図である。
【図3】第三実施形態における電力変換器の回路図である。
【図4】第四実施形態における電力変換器の回路図である。
【図5】第二実施形態の変形例の電力変換器の回路図である。
【図6】第三実施形態の変形例の電力変換器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0029】
[第一実施形態]
[構成の説明]
図1は、第一実施形態の電力変換器100の構成を示す回路図である。電力変換器100は、高電圧源300から出力される電圧をHIレベル電圧とするインバータ波形を生成し、負荷200に対して出力する。尚、高電圧源300は負荷200の種類に応じた電圧を出力し、例えば、負荷200がハイブリッド車両に用いられる三相モータであり、電力変換器100が、この三相モータに対しての三相のインバータ出力のうちの一相を出力する場合であれば、高電圧源300は300V程度の電圧を出力しても良い。尚、本実施形態では、高電圧源300の負電位側の電位を基準電位とする。
【0030】
電力変換器100は、ドレイン端子が高電圧源300に、ソース端子が負荷200に対してのインバータ出力端子120に接続されている、ノーマリオフ型のN型パワーMOSFETであるハイサイド側スイッチング素子110(以後、ハイサイド素子110と記載)と、ドレイン端子がインバータ出力端子120に、ソース端子が基準電位に接続されている、ノーマリオフ型のN型パワーMOSFETであるローサイド側スイッチング素子130(以後、ローサイド素子130と記載)とを備える。尚、これらの素子は、ソース端子を基準とする負電圧をゲート端子に印加することによりOFFされるノーマリオン型のパワーMOSFETであっても良い。
【0031】
また、電力変換器100は、外部から入力されるパルス信号がHIレベルである間は、正電源端子に入力されている正電圧をハイサイド素子110のゲート端子に印加してこの素子をONすると共に、このパルス信号がLOレベルである間は、負電源端子に入力されている負電圧をゲート端子に印加してハイサイド素子110をOFFするハイサイド駆動回路111aと、ハイサイド駆動回路111aに入力されるパルス信号とは相補的なパルス信号が入力され、このパルス信号がHIレベルである間は、正電源端子に入力されている正電圧をローサイド素子130のゲート端子に印加してこの素子をONすると共に、このパルス信号がLOレベルである間は、負電源端子に入力されている負電圧をゲート端子に印加してローサイド素子130をOFFするローサイド駆動回路131aと、を備える。
【0032】
また、電力変換器100は、正電位側がインバータ出力端子120に、負電位側がハイサイド駆動回路111aの負電源端子に接続されており、ハイサイド素子110及びローサイド素子130をOFFするために必要な所定電圧(例えば、10V)を生成する第一電源111bと、正電位側がローサイド駆動回路131aの正電源端子に、負電位側が基準電位に接続されており、ハイサイド素子110及びローサイド素子130をONするために必要な所定電圧(例えば、10V)を生成する第二電源140と、第二電源140の正電位側にアノード端子が接続された第一ダイオード111dと、一端がインバータ出力端子120に、他端がハイサイド駆動回路111aの正電源端子、及び、第一ダイオード111dのカソード端子に接続され、第一ダイオード111dと共にブートストラップ回路を形成する第一コンデンサ111cと、カソード端子が第一電源124の負電位側に、アノード端子がローサイド駆動回路131aの負電源端子に接続している第二ダイオード111eと、一端がローサイド駆動回路131aの負電源端子に、他端が基準電位に接続された第二コンデンサ141と、を備えている。
【0033】
尚、第一ダイオード111dのアノード端子は、第一限流抵抗142を介して第二電源140の正電位側と、ローサイド駆動回路131aの正電源端子とに接続されている。また、第二ダイオード111eのアノード端子は、第二限流抵抗143を介して第二コンデンサ141と、ローサイド駆動回路131aの負電源端子とに接続さている。
【0034】
また、第一ダイオード111d、及び第二ダイオード111eは、SiC製のショットキー・バリア・ダイオードにより構成されていても良い。
このように構成された電力変換器100によれば、両駆動回路の正電源端子には、第二電源140と、第一コンデンサ111c及び第一ダイオード111dにより構成されるブートストラップ回路とにより、常時、対応するスイッチング素子のソース端子を基準とした10V程度の電圧が印加されると共に、ハイサイド駆動回路111aの負電源端子には、第一電源111bにより、常時、ハイサイド素子110のソース端子を基準とする−10V程度の電圧が印加される。また、ハイサイド素子110がOFF、ローサイド素子130がONである間は、第一電源111bからローサイド駆動回路131aの負電源端子に対して、ローサイド素子130のソース端子を基準とする−10V程度の電圧が印加されると共に、第一電源111bにより第二コンデンサ141に負電荷が充電される。そして、ハイサイド素子110がON、ローサイド素子130がOFFである間には、負電荷が蓄積された第二コンデンサ141が放電され、ローサイド駆動回路131aの負電源端子に対して、ローサイド素子130のソース端子を基準とする−10V程度の電圧が印加される。
【0035】
[効果]
第一実施形態の電力変換器100によれば、各駆動回路に対して個別に電源を設けることなく、スイッチング素子のOFFに必要な負電圧を印加することができる。また、この電力変換器100では、負電荷が蓄積された第二コンデンサ141によりローサイド駆動回路131aに対しローサイド素子130のOFFに必要な負電圧が印加されるため、例えば、負電圧源としてツェナーダイオードの電圧降下を利用する場合のように、駆動回路に印加する負電圧を生成するために常時電流を流す必要が無くなる。したがって、この電力変換器100は、損失を抑えつつ、負電圧を印加することによるスイッチング素子のターンオフを行うことができる。そして、このようなターンオフを行うことにより、スイッチング損失を低減させることや、インバータ出力の対象となる三相モータ等の誤動作を防ぐことができるのである。
【0036】
さらに、この電力変換器100によれば、第二コンデンサ141によりローサイド駆動回路131aに印加する負電圧が生成されるため、例えば、ツェナーダイオードの電圧降下を利用して負電圧を生成する場合に比べ、より安定した負電圧を生成することができる。
【0037】
[第二実施形態]
[構成の説明]
次に、第二実施形態における電力変換器400について説明する。図2には、電力変換器400の構成を示す回路図が記載されている。第二実施形態の電力変換器400は、第一実施形態と同様の高電圧源300から出力される電圧をHIレベル電圧とするA相とB相の二相のインバータ波形を生成し、図示しない負荷に対して出力する。
【0038】
電力変換器400は、ドレイン端子が高電圧源300に、ソース端子が負荷(図示なし)に対してのA相のインバータ出力端子420に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるハイサイド素子410と、ドレイン端子がA相のインバータ出力端子420に、ソース端子が基準電位に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるローサイド素子430と、ドレイン端子が高電圧源300に、ソース端子がB相のインバータ出力端子460に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるハイサイド素子450と、ドレイン端子がB相のインバータ出力端子460に、ソース端子が基準電位に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるローサイド素子470と、を備える。
【0039】
また、電力変換器400は、A相のハイサイド素子410,ローサイド素子430に対応する、第一実施形態と同様の構成要素であり、第一実施形態と同様に接続されたハイサイド駆動回路411a,第一電源411b,第一コンデンサ411c,第一ダイオード411d,第二ダイオード411e,ローサイド駆動回路431aを有している。そして、ハイサイド駆動回路411a,第一電源411b,第一コンデンサ411c,第一ダイオード411d,第二ダイオード411eはA1ブロック411を、ローサイド駆動回路431aはA2ブロック431を構成している。
【0040】
また、B相のハイサイド素子450,ローサイド素子470についても、A1ブロック411と同様の回路であるB1ブロック451と、A2ブロック431と同様の回路であるB2ブロック471とが設けられている。A1ブロック411のa点,b点,c点,d点は、それぞれ、B1ブロック451のa´点,b´点,c´点,d´点に対応しており、A2ブロック431のe点,f点,g点は、それぞれ、B2ブロック471のe´点,f´点,g´点に対応している。
【0041】
また、電力変換器400は、A1ブロック411における第一ダイオード411dのアノード端子、及びA2ブロック431におけるローサイド駆動回路431aの正電源端子に対し正電位側が接続しており、負電位側が基準電位に接続している、第一実施形態と同様の第二電源440と、A1ブロック411における第二ダイオード411eのアノード端子と、A2ブロック431におけるローサイド駆動回路431aの負電源端子とに一端が接続しており、他端が基準電位に接続している、第一実施形態と同様の第二コンデンサ441とを備える。
【0042】
そして、図2におけるa点及びa´点,b点及びb´点,e点及びh点,g点及びi点は、それぞれ、図示しないラインで接続されている。このため、第二電源440は、さらに、正電位側が、B1ブロック451における第一ダイオードのアノード端子に接続されると共に、第一インダクタ472を介してB2ブロック471におけるローサイド駆動回路の正電源端子に接続されている。また、第二コンデンサ441の一端は、さらに、B1ブロック451における第二ダイオードのアノード端子に接続されると共に、第二インダクタ473を介してB2ブロック471におけるローサイド駆動回路の負電源端子に接続されている。
【0043】
[効果]
第二実施形態の電力変換器400によれば、第二電源440や第二コンデンサ441を各相に対して個別に設けることなく複数相のインバータ出力を行うことができ、コストを低減させることができる。
【0044】
また、B2ブロック471におけるローサイド駆動回路の電圧源は、A2ブロック431におけるローサイド駆動回路431aの電圧源から分離されており、B2ブロック471におけるローサイド駆動回路に対しての、基準電位ライン上等に生じるノイズの影響を抑えることができる。このため、B2ブロック471におけるローサイド駆動回路により駆動されるローサイド素子470の誤動作を防ぐことができる。
【0045】
[第三実施形態]
[構成の説明]
次に、第三実施形態における電力変換器500について説明する。図3には、電力変換器500の構成を示す回路図が記載されている。第三実施形態の電力変換器500は、第一実施形態と同様の高電圧源300から出力される電圧をHIレベル電圧とするインバータ波形を生成し、負荷200に対して出力する。
【0046】
電力変換器500は、ドレイン端子が高電圧源300に、ソース端子が負荷200に対してのインバータ出力端子520に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるハイサイド素子510と、ドレイン端子がインバータ出力端子520に、ソース端子が基準電位に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるローサイド素子530とを備える。
【0047】
また、電力変換器500は、第一実施形態と同様のハイサイド駆動回路511a、及び、ローサイド駆動回路531aと、正電位側がローサイド駆動回路531aの正電源端子に、負電位側が基準電位に接続されており、ハイサイド素子510及びローサイド素子530をONするために必要な所定電圧(例えば、10V)を生成する第一電源540と、正電位側が基準電位に、負電位側がローサイド駆動回路531aの負電源端子に接続されており、ハイサイド素子510及びローサイド素子530をOFFするために必要な所定電圧(例えば、10V)を生成する第二電源541と、一端がインバータ出力端子520に、他端がハイサイド駆動回路511aの正電源端子に接続されている第一コンデンサ511bと、アノード端子が第一電源540の正電位側に、カソード端子が第一コンデンサ511bの他端に接続され、第一コンデンサ511bと共にブートストラップ回路を構成するダイオード511cと、一端がインバータ出力端子520に、他端がハイサイド駆動回路511aの負電源端子に接続されている第二コンデンサ511dと、ドレイン端子が第二コンデンサ511dの他端に、ソース端子が第二電源541の負電位側に接続されているN型のパワーMOSFETである制御用スイッチング素子511eと、制御用スイッチング素子511eのソース端子を基準として例えば10V程度をHIレベル、該素子のソース端子と同程度の電位をLOレベルとし、ローサイド駆動回路531aに入力されるパルス信号と同タイミングでHIレベル或いはLOレベルに変化するパルス信号を生成して制御用スイッチング素子511eのゲート端子に入力し、該素子をON/OFFする制御用駆動回路511fと、を備えている。
【0048】
また、ダイオード511cのアノード端子は、第一限流抵抗542を介して第一電源540の正電位側と、ローサイド駆動回路531aの正電源端子とに接続されている。また、制御用スイッチング素子511eのドレイン端子は、第二限流抵抗543を介して第二コンデンサ511dの他端に接続さている。
【0049】
また、ダイオード511cは、SiC製のショットキー・バリア・ダイオードにより構成されていても良い。
このように構成された電力変換器500によれば、両駆動回路の正電源端子には、第一電源540と、第一コンデンサ511b及びダイオード511cにより構成されるブートストラップ回路とにより、常時、対応するスイッチング素子のソース端子を基準とした10V程度の電圧が印加されると共に、ローサイド駆動回路531aの負電源端子には、第二電源541により、常時、ローサイド素子530のソース端子を基準とする−10V程度の電圧が印加される。また、ハイサイド素子510がOFF、ローサイド素子530がONである間は、制御用スイッチング素子511eがON状態となり、ハイサイド駆動回路511aの負電源端子に対しては、第二電源541によりハイサイド素子510のソース端子を基準とする−10V程度の電圧が印加されると共に、第二電源541により第二コンデンサ511dに負電荷が充電される。そして、ハイサイド素子510がON、ローサイド素子530がOFFである間は、制御用スイッチング素子511eがOFF状態となり、負電荷が蓄積された第二コンデンサ511dが放電され、ハイサイド駆動回路511aの負電源端子に対して、ハイサイド素子510のソース端子を基準とする−10V程度の電圧が印加される。
【0050】
[効果]
第三実施形態の電力変換器500によれば、各駆動回路に対して個別に電源を設けることなく、スイッチング素子のOFFに必要な負電圧を印加することができる。また、この電力変換器500では、負電荷が蓄積された第二コンデンサ511dによりローサイド駆動回路531aに対しローサイド素子530のOFFに必要な負電圧が印加されるため、例えば、負電圧源としてツェナーダイオードの電圧降下を利用する場合のように、駆動回路に印加する負電圧を生成するために常時電流を流す必要が無くなる。したがって、この電力変換器500は、損失を抑えつつ、負電圧を印加することによるスイッチング素子のターンオフを行うことができる。そして、このようなターンオフを行うことにより、スイッチング損失を低減させることや、インバータ出力の対象となる三相モータ等の誤動作を防ぐことができるのである。
【0051】
さらに、この電力変換器500によれば、第二コンデンサ511dによりローサイド駆動回路531aに印加する負電圧が生成されるため、例えば、ツェナーダイオードの電圧降下を利用して負電圧を生成する場合に比べ、より安定した負電圧を生成することができる。
【0052】
[第四実施形態]
[構成の説明]
次に、第四実施形態における電力変換器600について説明する。図4には、電力変換器600の構成を示す回路図が記載されている。第四実施形態の電力変換器600は、第一実施形態と同様の高電圧源300から出力される電圧をHIレベル電圧とするA相とB相の二相のインバータ波形を生成し、図示しない負荷に対して出力する。
【0053】
電力変換器600は、ドレイン端子が高電圧源300に、ソース端子が負荷(図示なし)に対してのA相のインバータ出力端子620に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるハイサイド素子610と、ドレイン端子がA相のインバータ出力端子620に、ソース端子が基準電位に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるローサイド素子630と、ドレイン端子が高電圧源300に、ソース端子がB相のインバータ出力端子660に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるハイサイド素子650と、ドレイン端子がB相のインバータ出力端子660に、ソース端子が基準電位に接続されている、第一実施形態と同様のパワーMOSFETであるローサイド素子670と、を備える。
【0054】
また、電力変換器600は、A相のハイサイド素子610,ローサイド素子630に対応する、第三実施形態と同様の構成要素であり、第三実施形態と同様に接続されたハイサイド駆動回路611a,第一コンデンサ611b,ダイオード611c,第二コンデンサ611d,制御用スイッチング素子611e,制御用駆動回路611f,ローサイド駆動回路631aを有している。そして、ハイサイド駆動回路611a,第一コンデンサ611b,ダイオード611c,第二コンデンサ611d,制御用スイッチング素子611e,制御用駆動回路611fはA1ブロック611を、ローサイド駆動回路631aはA2ブロック631を構成している。
【0055】
また、B相のハイサイド素子650,ローサイド素子670についても、A1ブロック611と同様の回路であるB1ブロック651と、A2ブロック631と同様の回路であるB2ブロック671とが設けられている。A1ブロック611のa点,b点,c点,d点は、それぞれ、B2ブロック671のa´点,b´点,c´点,d´点に対応しており、A2ブロック631のe点,f点,g点は、それぞれ、B2ブロック671のe´点,f´点,g´点に対応している。
【0056】
また、電力変換器600は、A1ブロック611におけるダイオード611cのアノード端子、及びA2ブロック631におけるローサイド駆動回路631aの正電源端子に対し正電位側が接続しており、負電位側が基準電位に接続している、第三実施形態と同様の第一電源640と、正電位側が基準電位に接続しており、A1ブロック611における制御用スイッチング素子611eのソース端子と、A2ブロック631におけるローサイド駆動回路631aの負電源端子とに負電位側が接続している、第三実施形態と同様の第二電源641とを備える。
【0057】
そして、図4におけるa点及びa´点,b点及びb´点,e点及びh点,g点及びi点は、それぞれ、図示しないラインで接続されている。このため、第一電源640は、さらに、正電位側が、B1ブロック651におけるダイオードのアノード端子に接続されると共に、第一インダクタ672を介してB2ブロック671におけるローサイド駆動回路の正電源端子に接続される。また、第二電源641の負電位側は、さらに、B1ブロック651における制御用スイッチング素子のソース端子に接続されると共に、第二インダクタ673を介してB2ブロック671におけるローサイド駆動回路の負電源端子に接続される。
【0058】
[効果]
第四実施形態の電力変換器600によれば、第一電源640や第二電源641を各相に対して個別に設けることなく複数相のインバータ出力を行うことができ、コストを低減させることができる。
【0059】
また、B2ブロック671におけるローサイド駆動回路の電圧源は、A2ブロック631におけるローサイド駆動回路631aの電圧源から分離されており、B2ブロック671におけるローサイド駆動回路に対しての、基準電位ライン上等に生じるノイズの影響を抑えることができる。このため、B2ブロック671におけるローサイド駆動回路により駆動されるローサイド素子670の誤動作を防ぐことができる。
【0060】
[他の実施形態]
(1)第二実施形態における電力変換器400は、次のように構成されていても良い。すなわち、図5に記載されているように、第二インダクタ473に替えて、一端が第二電源440の負電位側に接続され、他端がB1ブロック451の第二ダイオードのアノード端子と、B2ブロック471のローサイド駆動回路の負電源端子とに接続された第三コンデンサ442を備えていても良い。そして、図5におけるa点及びa´点,e点及びh点は、それぞれ、図示しないラインで接続されていても良い。
【0061】
このような構成を有する場合であっても、B2ブロック471におけるローサイド駆動回路の電圧源を、A2ブロック431におけるローサイド駆動回路431aの電圧源から分離することができ、B2ブロック471におけるローサイド駆動回路に対しての、基準電位ライン上等に生じるノイズの影響を抑えることができる。また、第二インダクタ473に替えて第三コンデンサ442を用いることにより、電力変換器400のサイズを小さくすることができる。
【0062】
(2)第三実施形態における電力変換器500において、図6に記載されているように、制御用駆動回路511fは、正電源端子が第二電源541の正電位側に、負電源端子が制御用スイッチング素子511eのソース端子にそれぞれ接続されていても良い。こうすることにより、制御用駆動回路511fは、専用の電圧源を設けることなく制御用スイッチング素子511eをON/OFFすることができ、コストを低減することができる。
【0063】
尚、第四実施形態における制御用スイッチング素子の正電源端子,負電源端子についても、同様に接続されていてもよい。
(3)また、第二実施形態や第四実施形態では、二相のインバータ出力に対応する電力変換器について説明したが、各相に対応するブロックと同様のブロックをさらに加えることにより、三相以上のインバータ出力を行う電力変換器を構成することができる。
【符号の説明】
【0064】
100…電力変換器、110…ハイサイド素子、111a…ハイサイド駆動回路、111b…第一電源、111c…第一コンデンサ、111d…第一ダイオード、111e…第二ダイオード、120…インバータ出力端子、124…第一電源、130…ローサイド素子、131a…ローサイド駆動回路、140…第二電源、141…第二コンデンサ、142…第一限流抵抗、143…第二限流抵抗、200…負荷、300…高電圧源、400…電力変換器、410…ハイサイド素子、411…A1ブロック、411a…ハイサイド駆動回路、411b…第一電源、411c…第一コンデンサ、411d…第一ダイオード、411e…第二ダイオード、420…インバータ出力端子、430…ローサイド素子、431…A2ブロック、431a…ローサイド駆動回路、440…第二電源、441…第二コンデンサ、442…第三コンデンサ、450…ハイサイド素子、451…B1ブロック、460…インバータ出力端子、470…ローサイド素子、471…B2ブロック、472…第一インダクタ、473…第二インダクタ、500…電力変換器、510…ハイサイド素子、511a…ハイサイド駆動回路、511b…第一コンデンサ、511c…ダイオード、511d…第二コンデンサ、511e…制御用スイッチング素子、511f…制御用駆動回路、520…インバータ出力端子、530…ローサイド素子、531a…ローサイド駆動回路、540…第一電源、541…第二電源、542…第一限流抵抗、543…第二限流抵抗、600…電力変換器、610…ハイサイド素子、611…A1ブロック、611a…ハイサイド駆動回路、611b…第一コンデンサ、611c…ダイオード、611d…第二コンデンサ、611e…制御用スイッチング素子、611f…制御用駆動回路、620…インバータ出力端子、630…ローサイド素子、631…A2ブロック、631a…ローサイド駆動回路、640…第一電源、641…第二電源、650…ハイサイド素子、651…B1ブロック、660…インバータ出力端子、670…ローサイド素子、671…B2ブロック、672…第一インダクタ、673…第二インダクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧源の正電位側に接続されたスイッチング素子であるハイサイド素子と、前記ハイサイド素子と前記高電圧源の負電位側の電位である基準電位との間に直列に接続されたスイッチング素子であるローサイド素子とを備え、前記ハイサイド素子のソース端子と前記ローサイド素子のドレイン端子との接点に設けられた出力端子から、負荷に対しインバータ出力を行う電力変換器であって、
前記ハイサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするハイサイド駆動回路と、
前記ローサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするローサイド駆動回路と、
正電位側が前記出力端子に、負電位側が前記ハイサイド駆動回路の負電源端子に接続され、前記素子のOFFに必要な電圧を発生させる第一電源と、
正電位側が前記ローサイド駆動回路の正電源端子に、負電位側が前記基準電位に接続され、前記素子のONに必要な電圧を発生させる第二電源と、
前記第二電源の正電位側と前記出力端子との間に直列に接続された第一ダイオードと第一コンデンサとにより構成され、前記ハイサイド駆動回路の正電源端子に、前記ハイサイド素子のソース端子を基準とした正電圧を印加するブートストラップ回路と、
前記第一電源の負電位側にカソード端子が接続された第二ダイオードと、
一端が、前記第二ダイオードのアノード端子、及び、前記ローサイド駆動回路の負電源端子に、他端が前記基準電位に接続され、前記ローサイド素子がONしている間に、前記第二ダイオードと、前記第一電源と共に閉ループを形成する第二コンデンサと、
を備えることを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換器において、
前記ハイサイド素子と、該ハイサイド素子をON/OFFする前記ハイサイド駆動回路と、該ハイサイド素子に接続された前記ローサイド素子と、該ローサイド素子をON/OFFする前記ローサイド駆動回路と、該ハイサイド駆動回路に接続される前記第一電源と、該ハイサイド駆動回路に対応する前記ブートストラップ回路と、該第一電源に接続された前記第二ダイオードとをブロックとし、
前記電力変換器は、複数相のインバータ出力を行い、各相に対応する前記ブロックが個別に設けられ、
前記第二電源の正電位側は、それぞれの前記ブロックにおける前記ローサイド駆動回路の正電源端子と前記ブートストラップ回路とに接続しており、
前記第二コンデンサの一端は、それぞれの前記ブロックにおける前記ローサイド駆動回路と前記第二ダイオードとに接続していること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項3】
請求項2に記載の電力変換器において、
いずれかの前記ブロックにおいて、該ブロックにおける前記ローサイド駆動回路は、該ブロックに対応して個別に設けられた第一インダクタを介して前記第二電源に接続していると共に、該ブロックに対応して個別に設けられた第二インダクタを介して前記第二コンデンサに接続していること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項4】
請求項2に記載の電力変換器において、
いずれかの前記ブロックにおいて、該ブロックにおける前記ローサイド駆動回路は、該ブロックに対応して個別に設けられた第一インダクタを介して前記第二電源に接続していると共に、該ローサイド駆動回路の前記負電源端子と、該ブロックにおける前記第二ダイオードのアノード端子とは、前記第二コンデンサに替えて、該ブロックに対応して個別に設けられている第三コンデンサの一端に接続されており、
前記第三コンデンサの他端は、前記基準電位に接続されており、該第三コンデンサに対応する前記ブロックの前記ローサイド素子がONしている間に、該第三コンデンサは、該ブロックの前記第二ダイオード及び前記第一電源と共に閉ループを形成すること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項5】
高電圧源の正電位側に接続されたスイッチング素子であるハイサイド素子と、前記ハイサイド素子と前記高電圧源の負電位側の電位である基準電位との間に直列に接続されたスイッチング素子であるローサイド素子とを備え、前記ハイサイド素子のソース端子と前記ローサイド素子のドレイン端子との接点に設けられた出力端子から、負荷に対しインバータ出力を行う電力変換器であって、
前記ハイサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするハイサイド駆動回路と、
前記ローサイド素子に、該素子のソース端子を基準とした正電圧を印加して該素子をONすると共に、該素子に、該ソース端子を基準とした負電圧を印加して該素子をOFFするローサイド駆動回路と、
正電位側が前記ローサイド駆動回路の正電源端子に、負電位側が前記基準電位に接続され、前記素子のONに必要な電圧を発生させる第一電源と、
正電位側が前記基準電位に、負電位側が前記ローサイド駆動回路の負電源端子に接続され、前記素子のOFFに必要な電圧を発生させる第二電源と、
前記第一電源の正電位側と前記出力端子との間に直列に接続された第一ダイオードと第一コンデンサとにより構成され、前記ハイサイド駆動回路の正電源端子に、前記ハイサイド素子のソース端子を基準とした正電圧を印加するブートストラップ回路と、
一端が前記出力端子に、他端が前記ハイサイド駆動回路の負電源端子に接続されている第二コンデンサと、
一端が前記第二電源の負電位側に、他端が前記第二コンデンサの他端に接続された制御用スイッチング素子と、
前記制御用スイッチング素子を、前記ローサイド駆動回路による前記ローサイド素子のON/OFFに同期してON/OFFする制御用駆動回路と、
を備え、
前記スイッチング素子は、前記ローサイド駆動回路により前記ローサイド素子がONされた場合には、前記第二コンデンサと前記第二電源と共に閉ループを形成すること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換器において、
前記ハイサイド素子と、該ハイサイド素子をON/OFFする前記ハイサイド駆動回路と、該ハイサイド素子に接続された前記ローサイド素子と、該ローサイド素子をON/OFFする前記ローサイド駆動回路と、該ハイサイド駆動回路に対応する前記ブートストラップ回路と、該ハイサイド駆動回路に接続している前記第二コンデンサと、該第二コンデンサに接続されている前記制御用スイッチング素子と、該制御用スイッチング素子をON/OFFする前記制御用駆動回路と、をブロックとし、
前記電力変換器は、複数相のインバータ出力を行い、各相に対応する前記ブロックが個別に設けられ、
前記第一電源は、それぞれの前記ブロックにおける前記ローサイド駆動回路と前記ブートストラップ回路とに接続しており、
前記第二電源は、それぞれの前記ブロックにおける前記ローサイド駆動回路と前記スイッチング素子とに接続していること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項7】
請求項6に記載の電力変換器において、
いずれかの前記ブロックにおいて、該ブロックにおける前記ローサイド駆動回路は、該ブロックに対応して個別に設けられた第一インダクタを介して前記第一電源に接続していると共に、該ブロックに対応して個別に設けられた第二インダクタを介して前記第二電源に接続していること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一つに記載の電力変換器において、
前記制御用スイッチング素子は、Nチャンネル型のスイッチング素子により構成されていること、
を特徴とする電力変換器。
【請求項9】
請求項8に記載の電力変換器において、
前記制御用スイッチング素子は、ソース端子が前記第二電源に、ドレイン端子が前記第二コンデンサの他端に接続されており、
前記制御用駆動回路は、正電源端子が、前記第二電源の正電位側に接続されていること、
を特徴とする電力変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−66963(P2011−66963A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213223(P2009−213223)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】