説明

電力変換装置

【課題】配線インダクタンスが低減され、コンデンサとして耐熱性の高い特殊なものを使用する必要がない電力変換装置を提供する。
【解決手段】基板22を構成するセラミック基板21上に複数の半導体チップ23が実装されている。基板22と平行に、かつ相互に絶縁された状態で近接して重なるように、平板状の正極用配線部材27及び負極用配線部材28が、端子部において基板22の回路パターン24b,24cに超音波接合で接合されている。負極用配線部材28上に複数のコンデンサ17が、正極端子が正極用配線部材27に、負極端子が負極用配線部材28にそれぞれに電気的に接続された状態で配置されている。各配線部材27,28の同じ側に配置された端子部の接合部27b,28bは、一直線上に位置するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路によって直流を交流に変換する半導体装置(パワー半導体モジュール)や、前記パワー半導体モジュールと直流平滑回路を構成するコンデンサモジュールとを備えた電力変換装置(インバータ装置)においては、配線のインダクタンスを低減することが必要である。
【0003】
従来、外部機器の一対の電極端子と、半導体装置の対応する電極端子との間をそれぞれ接続するとともに、互いに逆方向の電流が流される一対の配線部材を有する半導体装置の端子接続構造において、配線部材のインダクタンスを低減することができる端子接続構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、前記一対の配線部材はそれぞれ平板形状を有するとともに互いに近接して対向するように配置され、前記一対の配線部材と前記半導体装置の対応する電極端子とはそれぞれ超音波接合又は抵抗溶接又は半田付けにより接合されている。前記外部機器の一対の電極端子として、それぞれ電源コンデンサの正極端子及び負極端子が例示されている。
【0004】
また、従来、パワー半導体モジュールの内部配線、コンデンサモジュールの内部配線及びコンデンサモジュールから半導体モジュールに至る外部配線に寄生するインダクタンスを小さくする構造や構成が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2には、図11(a),(b)に示すように、ベース71上に設けられた絶縁基板72上にスイッチングチップ73及びダイオードチップ74が設けられ、P側(正側)導体75及びN側(負側)導体76が相互に絶縁された積層状に設けられ、図示しない絶縁ケース内に収納されたパワー半導体モジュールが開示されている。P側導体75及びN側導体76は、平板状の主導体75a,76aと、各主導体75a,76aの端部に形成され相互に絶縁された帯状の副導体75b,76bとを備え、各副導体75b,76bの端部が外部接続端子P2,N2となっている。また、特許文献2には、パワー半導体モジュールの絶縁ケース上にコンデンサモジュールを配置したインバータ装置が記載されている。コンデンサモジュールは、コンデンサエレメントを接続するP側導体とN側導体とが、絶縁かつ積層状に設けられた平板状の主導体及び主導体の端部に絶縁かつ積層状に設けられた帯状の副導体で構成されている。そして、副導体の端部が外部接続端子となっている。さらに、特許文献2には、P側導体75とN側導体76を構成する主導体75a,76a上に、分岐導体を立設し、各分岐導体にコンデンサエレメントを接続した構成も開示されている。
【特許文献1】特開2006−318953号公報
【特許文献2】特開2005−347561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、電源コンデンサから半導体モジュールの外部端子接合部までの配線インダクタンスを低減することはできるが、半導体モジュール内部のインダクタンス低減に関しては配慮がなされていない。また、コンデンサをケース内に収容する構成に関しても何ら記載はない。
【0006】
一方、特許文献2には、パワー半導体モジュールの内部配線及びコンデンサモジュールの内部配線のインダクタンスを低減する構成や、外部接続端子の部分のインダクタンスを低減する構成が開示されている。また、コンデンサモジュールがパワー半導体モジュールの絶縁ケース内に収容(内蔵)された構成も開示されている。
【0007】
ところが、コンデンサ内蔵の構成の場合、製造工程において、コンデンサを配線部材上に実装した状態で、配線部材の端子を絶縁基板の配線パターンに接合する必要がある。その際、半田付けではコンデンサの近くの温度上昇が大きくなり、コンデンサとして耐熱性の高い特殊なものを使用する必要がある。そして、特許文献2には、コンデンサ内蔵の構成の場合におけるこれらの点に関しては何ら記載がなく、P側導体75及びN側導体76を絶縁基板72に接続する接続導体と絶縁基板72が半田付けで行われるのか否かに関しても特に記載はない。しかし、図示された接続導体の形状から半田付けで行われると考えられるため、前記の問題が生じる。
【0008】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、配線インダクタンスが低減され、コンデンサとして耐熱性の高い特殊なものを使用する必要がない電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数のスイッチング素子が実装された基板と、前記基板と平行に、かつ相互に電気的に絶縁された状態で近接して重なるように配置された平板状の正極用配線部材及び負極用配線部材と、正極端子及び負極端子がコンデンサ本体の一方の側に設けられ、前記正極端子が前記正極用配線部材に接続され、前記負極端子が前記負極用配線部材に接続されたコンデンサと、前記基板の前記スイッチング素子が実装された側の面、前記正極用配線部材、前記負極用配線部材及び前記コンデンサを囲繞するカバーとを備え、前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材は、端子部において前記基板の回路パターンに超音波接合で接合されている。
【0010】
この発明では、コンデンサがカバー内に配置され、平板状の正極用配線部材及び負極用配線部材は、相互に絶縁された状態で近接して重なるように配置されているため、コンデンサがカバー外に配置される構成に比較して、電力変換装置の駆動時における配線インダクタンスが低減される。また、電力変換装置を製造する際、正極用配線部材及び負極用配線部材とコンデンサとを接合した後に、正極用配線部材及び負極用配線部材の端子部を基板の回路パターンに電気的に接合する必要がある。そのとき、端子部の接合に半田付けを用いると、端子部とコンデンサとが近いため、一般の耐熱性を特に考慮していないコンデンサを使用すると、半田付けのための加熱によりコンデンサが悪影響を受ける虞がある。しかし、端子部の接合が超音波接合で行われるため、コンデンサに加わる熱量が小さくなり、耐熱性の高い特殊なコンデンサを使用する必要がない。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記基板は、金属ベースと、その上に接合されるとともに、表面に絶縁層を介して回路パターンが形成された複数の絶縁基板とで構成されている。この発明では、基板として金属ベース上に絶縁層を形成するとともに、その絶縁層上に同じ回路パターンを形成した場合に比較して、回路パターンの数、即ち絶縁基板の数が多くても、基板を形成する際の歩留まりが良くなる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記コンデンサは、前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材のうちの前記基板と対向しない一方の配線部材上に配置され、正極端子及び負極端子が前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材に接続されている。この発明では、コンデンサ本体よりコンデンサの正極端子及び負極端子が基板に近い状態になる。したがって、コンデンサの正極端子及び負極端子と、基板に実装されたスイッチング素子との距離が、正極端子及び負極端子がコンデンサ本体に対して基板と反対側に配置された構成に比較して短くなり、配線インダクタンスをより低減することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記端子部は、前記配線部材の幅方向の端部から前記基板側に向かって屈曲し、さらに前記配線部材と平行に延びるように屈曲形成された接合部において前記基板に超音波接合されており、各配線部材の同じ側に配置された端子部の超音波接合箇所が一直線上に位置するように設けられている。
【0014】
電力変換装置を製造する際、配線部材は、端子部の接合部が基板の回路パターンに超音波接合によって接合される。超音波接合は、接合すべき端子部の接合部を回路パターン上に配置した状態で、超音波接合用のツール(ホーン)によって、接合部を押圧しつつ超音波振動を加えることで行われる。超音波接合は、一点ずつ順に行われる。この発明では、各配線部材の同じ側に配置された端子部の超音波接合箇所が一直線上に位置するように設けられているため、超音波接合用のツールを配線部材に沿って移動させることで、ツールの押圧部が端子部の接合部と対向する状態になり、効率良く超音波接合を行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記電力変換装置はインバータ装置であり、各相の出力電極部材が前記配線部材と交差する状態で前記配線部材と前記基板との間を通り、前記出力電極部材の前記基板との接合部も超音波接合により接合され、前記出力電極部材の超音波接合箇所も前記端子部の超音波接合箇所と一直線上に位置するように設けられている。この発明では、製造工程において、正極用配線部材及び負極用配線部材の接合部だけでなく、出力電極部材の接合部も同じ工程で基板に対して順に超音波接合することができ、より効率良く超音波接合を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配線インダクタンスが低減され、コンデンサとして耐熱性の高い特殊なものを使用する必要がない電力変換装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を3相用のインバータ装置に具体化した一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。
先ずインバータ装置の回路構成を説明する。図1(a)に示すように、インバータ装置11は、6個のスイッチング素子Q1〜Q6を有するインバータ回路12を備えている。各スイッチング素子Q1〜Q6には、MOSFET(metal oxide semiconductor 電界効果トランジスタ)が使用されている。インバータ回路12は、第1及び第2のスイッチング素子Q1,Q2、第3及び第4のスイッチング素子Q3,Q4、第5及び第6のスイッチング素子Q5,Q6がそれぞれ直列に接続されている。各スイッチング素子Q1〜Q6のドレインとソース間には、ダイオードD1〜D6が、逆並列に接続されている。第1、第3及び第5のスイッチング素子Q1,Q3,Q5及び各第1、第3及び第5のスイッチング素子Q1,Q3,Q5に接続されたダイオードD1,D3,D5の組はそれぞれ上アームと呼ばれる。また、第2、第4及び第6のスイッチング素子Q2,Q4,Q6及び第2、第4及び第6のスイッチング素子Q2,Q4,Q6に接続されたダイオードD2,D4,D6の組はそれぞれ下アームと呼ばれる。
【0018】
第1、第3及び第5のスイッチング素子Q1,Q3,Q5のドレインが、配線13を介して電源入力用のプラス入力端子14に接続され、第2、第4及び第6のスイッチング素子Q2,Q4,Q6が、配線15を介して電源入力用のマイナス入力端子16に接続されている。配線13及び配線15間にはコンデンサ17が複数並列に接続されている。この実施形態ではコンデンサ17として電解コンデンサが使用され、コンデンサ17の正極(プラス)端子が配線13に接続され、コンデンサ17の負極(マイナス)端子が配線15に接続されている。
【0019】
スイッチング素子Q1,Q2の間の接合点はU相端子Uに、スイッチング素子Q3,Q4の間の接合点はV相端子Vに、スイッチング素子Q5,Q6の間の接合点はW相端子Wに、それぞれ接続されている。各スイッチング素子Q1〜Q6のゲートは駆動信号入力端子G1〜G6に接続されている。各スイッチング素子Q1〜Q6のソースは信号端子S1〜S6に接続されている。
【0020】
図1(a)では各上アーム及び各下アームがそれぞれ、1個のスイッチング素子及び1個のダイオードで構成されているが、各アームを流れる電流量が大きな場合は、各アームを図1(b)に示すようにスイッチング素子QとダイオードDの組が複数並列に接続された構成としても差し支えない。この実施形態では各アームはそれぞれ4組のスイッチング素子Q及びダイオードDで構成されている。
【0021】
次にインバータ装置11の構造を説明する。
図2及び図3に示すように、インバータ装置11は、銅製の金属ベース20と、絶縁基板としてのセラミック基板21とで構成された基板22上に半導体チップ23が実装されている。半導体チップ23は、1個のスイッチング素子(MOSFET)及び1個のダイオードが一つのデバイスとして組み込まれている。即ち、半導体チップ23は、図1(b)に示される一つのスイッチング素子Q及び一つのダイオードDを備えたデバイスとなる。信号端子およびこれに接続される制御基板は、主電流電極と反対側に配置していることにより制御基板が主電流によるノイズの影響を受けにくい。
【0022】
セラミック基板21は、表面に回路パターン24a,24b,24c,24dを有し、裏面にセラミック基板21と金属ベース20とを接合する接合層として機能する金属板25を有するセラミック板26で構成されている。セラミック板26は、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素等により形成され、回路パターン24a,24b,24c,24d及び金属板25は、例えば、アルミニウムや銅等で形成されている。セラミック基板21は、金属板25を介して半田(図示せず)で金属ベース20に接合されている。以下、この明細書では、金属ベース20をインバータ装置11の底部(下部)として説明する。
【0023】
回路パターン24aはゲート信号用の回路パターン、回路パターン24bはドレイン用の回路パターン、回路パターン24cはソース用の回路パターン、回路パターン24dはソース信号用の回路パターンである。各回路パターン24a,24b,24c,24dは帯状に形成されている。ドレイン用の回路パターン24bと、ソース用の回路パターン24cとは、隣接して平行に延びるように形成され、ゲート信号用の回路パターン24a及びソース信号用の回路パターン24dは、回路パターン24cと反対側において回路パターン24bと平行に延びるように形成されている。半導体チップ23は、ドレイン用の回路パターン24b上に半田で接合されている。図5に示すように、半導体チップ23は、ゲートとゲート信号用の回路パターン24aとの間、ソースとソース用の回路パターン24cとの間及びソースとソース信号用の回路パターン24dとの間をワイヤボンディングにより電気的に接続されている。
【0024】
金属ベース20はほぼ矩形状に形成され、セラミック基板21も矩形状に形成されている。セラミック基板21は12個設けられ、長手方向が金属ベース20の長手方向と直交する状態で各列6個となるように2列、6行に配置されている。そして、各行の2個のセラミック基板21上に配置された半導体チップ23がインバータ回路12の各アームを構成する。この実施形態では、半導体チップ23は、各セラミック基板21上に2個ずつ実装されており、4個の半導体チップ23がそれぞれ1つのアームを構成する。半導体チップ23は回路パターン24bの長手方向中央部にスペースが存在し、スペースの両側に半導体チップ23が1個ずつ位置するように配置されている。
【0025】
基板22の上方には平板状の正極用配線部材27及び負極用配線部材28が、基板22と平行に、かつ相互に絶縁された状態で近接して重なるように配置されている。この実施形態では、正極用配線部材27の上方に負極用配線部材28が配置されている。正極用配線部材27は図1(a)における配線13を、負極用配線部材28は図1(a)における配線15をそれぞれ構成する。正極用配線部材27は、幅方向の端部から基板22側に向かって延びるように設けられた複数(この実施形態では3対6個)の端子部27aにより、上アームを構成するセラミック基板21上のドレイン用の回路パターン24bの中央部に超音波接合されている。負極用配線部材28は、幅方向の端部から基板22側に向かって延びるように設けられた複数(この実施形態では3対6個)の端子部28aにより、下アームを構成するセラミック基板21上のソース用の回路パターン24cの中央部に超音波接合されている。
【0026】
詳述すると、端子部27a,28aは、図4(b)等に示すように、それぞれ正極用配線部材27及び負極用配線部材28の幅方向の端部両側に、幅方向の中心線に対して線対称に設けられている。各端子部27a,28aは、それぞれ正極用配線部材27及び負極用配線部材28の幅方向の端部から基板22側に向かって屈曲し、さらに基板22に超音波接合されている接合部27b,28bが配線部材27,28と平行に延びるように屈曲形成されている。そして、各接合部27b,28bは、配線部材27,28の同じ側に配置された各端子部27a,28aの超音波接合箇所が一直線上に位置するように設けられて、各回路パターン24b,24cに超音波接合されている。
【0027】
図6(a),(b)等に示すように、正極用配線部材27及び負極用配線部材28には、幅方向の端部両側に、各端子部27a,28aの接合部27b,28bより上側において各端子部27a,28aと連続するとともに互いに重なる状態で配置される垂下部27c,28cが形成されている。垂下部27c,28cは正極用配線部材27及び負極用配線部材28の全長にわたって延びるのではなく切り欠き部27d,28dが複数、それぞれ対向するように設けられている。そして、正極用配線部材27及び負極用配線部材28の間には、両者の電気的絶縁性を確保するための絶縁部材29(図4(b)に図示)が配置されている。また、正極用配線部材27、負極用配線部材28及び絶縁部材29にはコンデンサ17の正極端子17a及び負極端子17bを挿通可能な長孔が形成されている。
【0028】
金属ベース20には、その周縁に沿うように電気的絶縁性の支持枠30が、全てのセラミック基板21を枠内に収容する状態に固定されている。正極用配線部材27の長手方向の一端部には、外部電源入力用のプラス入力端子14が形成されている。プラス入力端子14は、一部が支持枠30の外側に位置するように配置されている。負極用配線部材28には、その長手方向の正極用配線部材27のプラス入力端子14が形成された側と反対側の端部に、外部電源入力用のマイナス入力端子16が形成されている。マイナス入力端子16も、一部が支持枠30の外側に位置するように配置されている。
【0029】
負極用配線部材28上、即ち正極用配線部材27及び負極用配線部材28のうちの基板22と対向しない一方の配線部材上に、複数(この実施形態では4個)のコンデンサ17が正極端子17a及び負極端子17bが下向きになる状態で電気的な絶縁部材(図示せず)を介して配置されている。各コンデンサ17は、正極端子17a及び負極端子17bがコンデンサ本体の一方の側に設けられ、正極端子17aが正極用配線部材27に接続され、負極端子17bが負極用配線部材28に接続されている。
【0030】
図2及び図3等に示すように、インバータ装置11の3つの出力電極部材32U,32V,32Wは、側面ほぼL字状に形成されるとともに、上方に向かって延びる部分が支持枠30の近くに位置し、横方向に延びる部分が正極用配線部材27の下方においてその長手方向と直交する状態で配置されている。正極用配線部材27と出力電極部材32U,32V,32Wとは、シリコーンゲル36(図4(a)に図示)で絶縁が確保されている。出力電極部材32Uは、第1のスイッチング素子Q1及びダイオードD1で構成される上アームのソース用の回路パターン24cと、第2のスイッチング素子Q2及びダイオードD2で構成される下アームのドレイン用の回路パターン24bとに超音波接合されている。出力電極部材32Vは、第3のスイッチング素子Q3及びダイオードD3で構成される上アームのソース用の回路パターン24cと、第4のスイッチング素子Q4及びダイオードD4で構成される下アームのドレイン用の回路パターン24bとに超音波接合されている。出力電極部材32Wは、第5のスイッチング素子Q5及びダイオードD5で構成される上アームのソース用の回路パターン24cと、第6のスイッチング素子Q6及びダイオードD6で構成される下アームのドレイン用の回路パターン24bとに超音波接合されている。
【0031】
各出力電極部材32U,32V,32Wは、セラミック基板21とほぼ同じ幅の銅板をプレス加工することで形成されている。図8(b)等に示すように、各出力電極部材32U,32V,32Wには、上アームを構成する2個のセラミック基板21の回路パターン24bのほぼ中央部と、下アームを構成する2個のセラミック基板21の回路パターン24cのほぼ中央部にそれぞれ接合される合計4個の接合部35がそれぞれ設けられている。各出力電極部材32U,32V,32Wは、ほぼL字状に屈曲され、かつ2個の接合部35が水平に延びる部分の先端両側で、2個の接合部35が屈曲部寄りでそれぞれ下側に突出するように形成されている。各出力電極部材32U,32V,32Wは、各2個の接合部35の間に負極用配線部材28の端子部28a及び接合部28bを配置可能な空間が設けられている。そして、各2個の接合部35は、図3に示すように、正極用配線部材27及び負極用配線部材28の接合部27b,28bと一直線上に位置するように回路パターン24b,24c上に接合されている。
【0032】
各アームに対応するそれぞれ2個のセラミック基板21のうち、出力電極部材32U,32V,32Wの先端側と対応するセラミック基板21のゲート信号用の回路パターン24aには、駆動信号入力端子G1〜G6の第1端部が、ソース信号用の回路パターン24dには信号端子S1〜S6の第1端部が、それぞれ接合されている。信号端子はセラミック基板と超音波接合にて接合され、これにより端子と基板をワイヤボンディングで接続するよりも小型化できる。各端子G1〜G6,S1〜S6は、第2端部が支持枠30から突出するように、支持枠30を貫通する状態で支持枠30に一体成形されている。なお、各アームを構成する2個のセラミック基板21上に形成された、回路パターン24a同士及び回路パターン24d同士はそれぞれワイヤボンディングで電気的に接続されている。
【0033】
支持枠30内には半導体チップ23の絶縁性確保や保護のためにシリコーンゲル36が充填、硬化されている。そして、金属ベース20上には、基板22の半導体チップ23、即ちスイッチング素子Q1〜Q6が実装された側の面、正極用配線部材27、負極用配線部材28、コンデンサ17、出力電極部材32U,32V,32W及び支持枠30を囲繞するカバー37がボルトにより固定されるようになっている。
【0034】
次に前記のように構成されたインバータ装置11の製造方法を説明する。
先ずセラミック基板21上への半導体チップ23の実装工程が行われる。この工程では、図7(a)に示すように、セラミック基板21のドレイン用の回路パターン24b上に2個の半導体チップ23を、回路パターン24bの長手方向の中央部にスペースが存在するように半田付けにより接合する。次に半導体チップ23のゲートとゲート信号用の回路パターン24aとの間、半導体チップ23のソースとソース用の回路パターン24cとの間及び半導体チップ23のソースとソース信号用の回路パターン24dとの間をワイヤボンディングにより電気的に接続する。
【0035】
次にセラミック基板21を金属ベース20上に接合する工程が行われる。この工程では、図7(b)に示すように、半導体チップ23が実装されたセラミック基板21を金属ベース20上に、6行2列に半田付けで接合し、同じアームを構成する各2個のセラミック基板21のゲート信号用の回路パターン24a同士及びソース信号用の回路パターン24d同士をワイヤボンディング(図示せず)により電気的に接続する。
【0036】
次に出力電極部材32U,32V,32Wをセラミック基板21に接合する工程が行われる。この工程では、図8(a)に示すように、先ず駆動信号入力端子G1〜G6及び信号端子S1〜S6が装備された支持枠30を、金属ベース20上にセラミック基板21を囲むように固定する。支持枠30の固定は接着剤やねじを用いて行われる。次に出力電極部材32U,32V,32Wを、図8(b)に示すように、各接合部35がドレイン用の回路パターン24b及びソース用の回路パターン24cのほぼ中央部と当接するように配置する。そして、超音波接合により各接合部35を順次回路パターン24b及び回路パターン24cに接合する。また、駆動信号入力端子G1〜G6の第1端部を回路パターン24aに、信号端子S1〜S6の第1端部を回路パターン24dに、それぞれ超音波接合により接合する。
【0037】
次にコンデンサアッシー(組立品)を組み立てる工程が行われる。この工程では、4個のコンデンサ17を正極端子17a及び負極端子17bが上向きになる状態において、所定間隔で1列に治具で固定する。その状態で絶縁材を介して負極用配線部材28を各コンデンサ17の負極端子17bにねじで固定する。次に絶縁部材29を負極用配線部材28との間に配置した状態で正極用配線部材27をコンデンサ17の正極端子17aにねじで固定する。以上により、正極用配線部材27及び負極用配線部材28間の絶縁が確保された状態で、コンデンサ17の正極端子17aに正極用配線部材27が、負極端子17bに負極用配線部材28がそれぞれ電気的に接合されたコンデンサアッシー38が組み立てられる。
【0038】
次にセラミック基板21にコンデンサアッシー38を超音波接合する工程が行われる。この工程では、先ず、コンデンサアッシー38をセラミック基板21上に載置する。図9に示すように、コンデンサアッシー38は、セラミック基板21の上方から支持枠30内の所定位置に配置される。この状態では、図3に示すように、正極用配線部材27及び負極用配線部材28の幅方向の同じ側に配置された各接合部27b,28bが一直線上に位置する状態になる。
【0039】
その状態で各接合部27b,28bを順に超音波接合で回路パターン24b,24cに接合する。接合部27b,28bとコンデンサ17とが近いため、端子部27a,28aの接合に半田付けを用いると、一般の耐熱性を特に考慮していないコンデンサを使用すると、半田付けのための加熱によりコンデンサ17が悪影響を受ける虞がある。しかし、接合部27b,28bの接合が超音波接合で行われるため、コンデンサ17に加わる熱量が小さくなり、耐熱性の高い特殊なコンデンサを使用する必要がない。
【0040】
次に半導体チップ23や各接合部等湿気や酸化を嫌う部分の電気的絶縁及び保護のため、支持枠30内へのシリコーンゲル36の注入、硬化処理が行われ、シリコーンゲル36の充填、硬化が行われる。正極用配線部材27及び負極用配線部材28の垂下部27c,28cに切り欠き部27d,28dが形成されているため、切り欠き部27d,28dがない場合に比較して、シリコーンゲルの注入時にシリコーンゲルが正極用配線部材27と負極用配線部材28との間に容易に流入する。そして、最後にカバー37が金属ベース20にボルトにより固定されて、インバータ装置11が完成する。
【0041】
次に前記のように構成されたインバータ装置11の作用を説明する。
インバータ装置11は、例えば、車両の電源装置の一部を構成するものとして使用される。インバータ装置11は、プラス入力端子14及びマイナス入力端子16が直流電源(図示せず)に接続され、U相端子U、V相端子V及びW相端子Wがモータ(図示せず)に接続され、駆動信号入力端子G1〜G6及び信号端子S1〜S6が制御装置(図示せず)に接続された状態で使用される。
【0042】
上アームの第1、第3及び第5のスイッチング素子Q1,Q3,Q5及び下アームの第2、第4及び第6のスイッチング素子Q2,Q4,Q6がそれぞれ所定周期でオン、オフ制御されることによりモータに交流が供給されてモータが駆動される。
【0043】
正極用配線部材27及び負極用配線部材28には、スイッチング素子Q1〜Q6のスイッチング時に急峻に立ち上がる電流又は立ち下がる電流が流れ、その電流は正極用配線部材27及び負極用配線部材28で逆方向となる。正極用配線部材27及び負極用配線部材28は平行な平板状に形成され、互いに近接して配置されているため、相互インダクタンスの効果により配線インダクタンスが低減する。また、垂下部27c,28cも平行に近接して配置されているため、垂下部27c,28cが存在しない場合に比較して、配線インダクタンスがより低減する。
【0044】
したがって、この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)インバータ装置11は、複数のスイッチング素子が実装された基板22と、基板22と平行に、かつ相互に絶縁された状態で近接して重なるように配置された平板状の正極用配線部材27及び負極用配線部材28と、上側に配置された負極用配線部材28上に配置された複数のコンデンサ17と、コンデンサ17等を覆うカバー37とを備えている。コンデンサ17は、正極端子17a及び負極端子17bがコンデンサ本体の一方の側に設けられている。正極端子17aは正極用配線部材27に電気的に接続され、負極端子17bは負極用配線部材28に電気的に接続され、正極用配線部材27及び負極用配線部材28は、端子部27a,28aにおいて基板22の回路パターン24b,24cに超音波接合で接合されている。したがって、コンデンサ17がカバー37外に配置される構成に比較して、コンデンサ17と半導体チップ23との電流経路の長さが短くなり、インバータ装置11の駆動時における配線インダクタンスが低減される。
【0045】
(2)インバータ装置11を製造する際、正極用配線部材27及び負極用配線部材28とコンデンサ17とを接合した後に、正極用配線部材27及び負極用配線部材28の端子部27a,28aの接合部27b,28bを基板22の回路パターン24b,24cに超音波接合により電気的に接合する。したがって、接合部27b,28bの接合に半田付けを用いる場合と異なり、耐熱性の高い特殊なコンデンサを使用する必要がない。
【0046】
(3)コンデンサ17は、正極用配線部材27及び負極用配線部材28のうちの基板22と対向しない一方の配線部材(負極用配線部材28)上に配置され、正極端子17a及び負極端子17bが正極用配線部材27及び負極用配線部材28に接続されている。そのため、コンデンサ本体よりコンデンサ17の正極端子17a及び負極端子17bが基板22に近い状態になる。したがって、コンデンサ17の正極端子17a及び負極端子17bと、基板22に実装されたスイッチング素子(半導体チップ23)との距離が、正極端子17a及び負極端子17bがコンデンサ本体に対して基板22と反対側に配置された構成に比較して短くなり、配線インダクタンスをより低減することができる。
【0047】
(4)正極用配線部材27及び負極用配線部材28の端子部27a,28aは、配線部材27,28の幅方向の端部から基板22側に向かって屈曲し、さらに、先端側の接合部27b,28bが配線部材27,28と平行に延びるように屈曲形成され、接合部27b,28bが基板22に超音波接合されている。そして、各配線部材27,28の同じ側に配置された端子部27a,28aの超音波接合箇所が一直線上に位置するように設けられている。したがって、超音波接合の際に、超音波接合用のツール(ホーン)を配線部材27,28に沿って移動させることで、ツールの押圧部が端子部27a,28aの接合部27b,28bと対向する状態になり、効率良く超音波接合を行うことができる。
【0048】
(5)各出力電極部材32U,32V,32Wは、4個の接合部35が仮想矩形の4つの角部と対応する配置に形成されている。したがって、各出力電極部材32U,32V,32Wをセラミック基板21に超音波接合する際、自立状態で安定してセラミック基板21上に載置されるため、各出力電極部材32U,32V,32Wを保持する治具がなくても、超音波接合を行うことができる。
【0049】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ インバータ装置11を製造する各工程は、前記実施形態で説明した順に行われる必要はない。例えば、セラミック基板21に半導体チップ23を実装する工程やコンデンサアッシー38を組み立てる工程をそれぞれ別工程として、半導体チップ23が実装されたセラミック基板21やコンデンサアッシー38を複数製造しておき、それらの部品を使用してインバータ装置11の製造を行ってもよい。
【0050】
○ 出力電極部材32U,32V,32Wをセラミック基板21に超音波接合する工程と、コンデンサアッシー38をセラミック基板21に超音波接合する工程とを同じ工程としてもよい。例えば、支持枠30に各出力電極部材32U,32V,32Wを位置決めした状態で保持可能な保持部を設ける。そして、各出力電極部材32U,32V,32Wを保持部に保持した状態で金属ベース20に固定した後、直ぐに超音波接合を行わず、コンデンサアッシー38のセラミック基板21への超音波接合時に行うようにする。出力電極部材32U,32V,32Wの接合部35が正極用配線部材27及び負極用配線部材28の接合部27b,28bと一直線上に配置されているため、超音波接合用のツールを配線部材27,28に沿って移動させることで、ツールが各接合部27b,28b,35と順に対向する状態になり、効率良く超音波接合を行うことができる。
【0051】
○ 出力電極部材32U,32V,32Wのセラミック基板21に対する超音波接合をコンデンサアッシー38のセラミック基板21に対する超音波接合より先に行う場合は、出力電極部材32U,32V,32Wの接合部35を正極用配線部材27及び負極用配線部材28の接合部27b,28bと一直線上に配置しなくてもよい。
【0052】
○ 超音波接合は各接合点(接合箇所)を一点ずつ順に行う方法に限らず、複数点ずつ行うようにしてもよい。この場合、1点ずつ行う場合に比較して、全ての接合点の超音波接合が完了するまでの時間を短縮することができる。特に2点ずつ行う場合は、超音波接合ツールの体格をさほど大きくせず、接合点の数も偶数であるため、効率良く行うことができる。
【0053】
○ 正極用配線部材27及び負極用配線部材28は、基板22と平行に、かつ相互に絶縁された状態で近接して重なるように配置されていればよく、負極用配線部材28が上側、即ち基板22と対向しない側に配置される構成に限らず、正極用配線部材27が上側に配置される構成としてもよい。しかし、電解コンデンサの場合、外側がグランドのため、負極用配線部材28が上側に配置される方が好ましい。
【0054】
○ コンデンサ17は、正極用配線部材27及び負極用配線部材28のうちの基板22と対向しない一方の配線部材上に配置される構成、即ち、コンデンサ17と基板22との間に正極用配線部材27及び負極用配線部材28が存在する構成に限らない。例えば、図10に示すように、出力電極部材32U,32V,32Wと直交する状態で出力電極部材32U,32V,32W上に絶縁プレート40を配置し、絶縁プレート40上にコンデンサ17を正極端子17a及び負極端子17bがコンデンサ本体に対して基板22と反対側となるように載置された状態で組み付ける。そして、正極用配線部材27及び負極用配線部材28が正極端子17a及び負極端子17bにねじにより固定される。この場合、図10に示すように、正極用配線部材27及び負極用配線部材28の端子部27a,28a及び垂下部27c,28cの長さが長くなる。しかし、コンデンサ17をカバー37の外に配置する場合に比較して、配線インダクタンスは低減される。なお、図10は図4(a)と断面の位置が異なっている。
【0055】
○ 各アームを2個のセラミック基板21で構成する代わりに、1個のセラミック基板21で構成してもよい、この場合、ゲート信号用の回路パターン24a間及びソース信号用の回路パターン24d間をそれぞれ電気的に接続するワイヤボンディングが不要になる。また、各アームのドレイン用の回路パターン24b及びソース用の回路パターン24cと、正極用配線部材27、負極用配線部材28及び出力電極部材32U,32V,32Wの各接合部27b,28b,35との接合箇所は2箇所でなく、1箇所ずつでもよくなる。しかし、前記接合箇所を1箇所ずつにすると、超音波接合の際にコンデンサアッシー38を保持する治具や出力電極部材32U,32V,32Wを保持する治具が必要になる。
【0056】
○ 出力電極部材32U,32V,32Wを自立可能な状態にするためには、少なくとも3個の接合部35を備えていればよい。
○ 各回路パターン24a,24b,24c,24dを細長い形状のパターンで形成して、並列状態で配置することは必須ではない。しかし、回路パターン24b,24cをブロック形状に形成した場合は、半導体チップ23を複数実装したり、正極用配線部材27及び負極用配線部材28の接合部27b,28bや出力電極部材32U,32V,32Wの接合部35を接合したりするスペースの確保に必要なセラミック基板21の面積が大きくなる。また、回路パターン24b,24cの間隔を狭くすると、出力電極部材32U,32V,32Wが自立状態で各接合部35を超音波接合するのが難しくなる。
【0057】
○ 各アームを構成するセラミック基板21を1個にしてセラミック基板21の数を少なくする構成に限らず、1個のセラミック基板21上に複数のアームを構成するようにしてもよい。
【0058】
○ 金属ベース20をアルミニウム系金属で形成し、セラミック基板21として、両面にアルミニウム層が形成されたDBA(Direct Brazing Aluminum )基板を用い、DBA 基板の表面に回路パターン24a,24b,24c,24dを形成し、裏面を金属ベース20にアルミニウム系ろう材によりろう付けしてもよい。
【0059】
○ セラミック基板21に代えて、絶縁基板として金属基板の表面に絶縁層を形成し、絶縁層上に回路パターン24a,24b,24c,24dを形成した構成の物を使用してもよい。
【0060】
○ 金属ベース20上に絶縁基板を半田付けあるいはろう付けで接合する代わりに、金属ベース20上に絶縁層を形成し、その絶縁層上に回路パターン24a,24b,24c,24dを形成してもよい。この場合、部品点数が少なくなるとともに、絶縁基板を金属ベース20上に接合する工程が不要になる。
【0061】
○ コンデンサ17の数は4個に限らず、インバータ装置11の定格電流値及び使用するコンデンサの容量により決まり、3個以下でも5個以上でもよい。
○ コンデンサ17は電解コンデンサに限らず、例えば電気二重層コンデンサであってもよい。
【0062】
○ スイッチング素子Q,Q1〜Q6はMOSFETに限らず、他のパワートランジスタ(例えば、IGBT(絶縁ゲートバイポーラ型トランジスタ))やサイリスタを使用してもよい。
【0063】
○ 各アームを構成するスイッチング素子Q及びダイオードDの組は4組に限らず、各アームを流れる電流量の大きさによって3組以下でも5組以上でもよい。また、複数組に限らず、1組のスイッチング素子Q及びダイオードDの組で構成されてもよい。
【0064】
○ 1組のスイッチング素子及びダイオードは、1個の半導体チップ23としてパッケージ化される構成に限らず、スイッチング素子及びダイオードがそれぞれ回路パターン上に実装された構成でもよい。
【0065】
○ インバータ装置11は、3相交流を出力する構成に限らず、単相交流を出力する構成としてもよい。単相交流を出力する構成では上アーム及び下アームの組が2組存在する。
【0066】
○ 電力変換装置は、インバータ装置11に限らず、例えば、DC−DCコンバータに適用してもよい。
○ 駆動信号入力端子G1〜G6の第1端部を回路パターン24aに、信号端子S1〜S6の第1端部を回路パターン24dにそれぞれ接合する時期は、コンデンサアッシー38をセラミック基板21に超音波接合する前に限らず、支持枠30を金属ベース20に固定した後、支持枠30内へシリコーンゲルを充填するまでに行えばよい。
【0067】
○ コンデンサ17の正極端子17aと正極用配線部材27との接合及び負極端子17bと負極用配線部材28との接合は、ねじによる締め付け固定に限らず、コンデンサ17に対する熱の影響が半田付けに比較して小さな接合方法、例えば、精密抵抗溶接やレーザビーム溶接で行ってもよい。
【0068】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項5に記載の発明において、出力電極部材が前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材とその下方において直交する状態で配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)はインバータの回路図、(b)は一つのアームの回路図。
【図2】インバータ装置のカバーを省略した模式斜視図。
【図3】同じく平面図。
【図4】(a)は図3のA−A線断面図、(b)は(a)の一部省略部分拡大図。
【図5】半導体チップのソース及びゲートと各回路パターンとのワイヤボンディングの状態を示す部分模式図。
【図6】(a)は図3のB−B線断面図、(b)は(a)の部分拡大図。
【図7】(a)はチップ部品が実装されたセラミック基板の模式斜視図、(b)はセラミック基板が実装された金属ベースの模式斜視図。
【図8】(a)は金属ベースに支持枠が取り付けられた状態の模式斜視図、(b)は出力電極部材を取り付けた状態の模式斜視図。
【図9】コンデンサアッシー、金属ベース、支持枠及び出力電極部材の関係を示す模式斜視図。
【図10】別の実施形態の断面図。
【図11】(a)は従来技術の斜視図、(b)は同じく分解斜視図。
【符号の説明】
【0070】
Q,Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6…スイッチング素子、11…インバータ装置、17…コンデンサ、17a…正極端子、17b…負極端子、20…金属ベース、21…絶縁基板としてのセラミック基板、22…基板、23…スイッチング素子としての半導体チップ、24b,24c…回路パターン、26…絶縁層としてのセラミック板、27…正極用配線部材、27a,28a…端子部、27b,28b,35…接合部、28…負極用配線部材、32U,32V,32W…出力電極部材、37…カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子が実装された基板と、
前記基板と平行に、かつ相互に電気的に絶縁された状態で近接して重なるように配置された平板状の正極用配線部材及び負極用配線部材と、
正極端子及び負極端子がコンデンサ本体の一方の側に設けられ、前記正極端子が前記正極用配線部材に接続され、前記負極端子が前記負極用配線部材に接続されたコンデンサと、
前記基板の前記スイッチング素子が実装された側の面、前記正極用配線部材、前記負極用配線部材及び前記コンデンサを囲繞するカバーと
を備え、
前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材は、端子部において前記基板の回路パターンに超音波接合で接合されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記基板は、金属ベースと、その上に接合されるとともに、表面に絶縁層を介して回路パターンが形成された複数の絶縁基板とで構成されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コンデンサは、前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材のうちの前記基板と対向しない一方の配線部材上に配置され、正極端子及び負極端子が前記正極用配線部材及び前記負極用配線部材に接続されている請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記端子部は、前記配線部材の幅方向の端部から前記基板側に向かって屈曲し、さらに前記配線部材と平行に延びるように屈曲形成された接合部において前記基板に超音波接合されており、各配線部材の同じ側に配置された端子部の超音波接合箇所が一直線上に位置するように設けられている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記電力変換装置はインバータ装置であり、各相の出力電極部材が前記配線部材と交差する状態で前記配線部材と前記基板との間を通り、前記出力電極部材の前記基板との接合部も超音波接合により接合され、前記出力電極部材の超音波接合箇所も前記端子部の超音波接合箇所と一直線上に位置するように設けられている請求項4に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−213268(P2009−213268A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54047(P2008−54047)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】