電力変換装置
【課題】直流母線の過電圧抑制手段を小型低コスト化する電力変換装置を得る。
【解決手段】直流母線PNに、ダイオード14と大容量の電解コンデンサ15からなる直列回路を接続する。ダイオード14のアノード及びカソード間に第1の抵抗16が接続し、第1の抵抗16に第2の抵抗17を直列に接続する。第2の抵抗17は、コンタクタ4の補助b接点18に接続する。この補助b接点18が閉となることで電解コンデンサ15の電荷を直流母線PNに放電する。このため、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2の殆どを、大容量である電解コンデンサ15が充電する。これにより、直流母線PNの直流電圧は、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧よりも、かなり低い電圧にリミットされる。
【解決手段】直流母線PNに、ダイオード14と大容量の電解コンデンサ15からなる直列回路を接続する。ダイオード14のアノード及びカソード間に第1の抵抗16が接続し、第1の抵抗16に第2の抵抗17を直列に接続する。第2の抵抗17は、コンタクタ4の補助b接点18に接続する。この補助b接点18が閉となることで電解コンデンサ15の電荷を直流母線PNに放電する。このため、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2の殆どを、大容量である電解コンデンサ15が充電する。これにより、直流母線PNの直流電圧は、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧よりも、かなり低い電圧にリミットされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ダイオード整流回路を有する電力変換装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、商用周波数の交流系統から受電する電力変換装置では、交流系統からの交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路とを組み合わせて用いている。インバータ回路は、負荷に交流電力を供給する交流電源であって、半導体スイッチング素子からなり、高効率で、保守性も良好である。このため、インバータ回路は、モータの駆動源をはじめ変圧器を介して交流の高圧高周波電力を供給する電源、あるいは、変圧器の二次側を整流してEVなどのバッテリーを充電する充電装置などに広く応用されている。
【0003】
整流回路は、インバータ回路に直流電圧を供給する直流電源であって、交流入力の力率を高める観点から、スイッチング素子を備えたものが主流となっている。中でも、直流電圧の一定制御が可能であるPWMコンバータ等が、整流回路として近年多用されている。ただし、スイッチング素子を備えた整流回路は、通常コストが高く、電圧の損失が多いため効率が低いといった短所がある。
【0004】
そこで、コストの低減化と効率の向上を図るべく、ダイオード素子のみから構成したダイオード整流回路が用いられている。しかし、ダイオード整流回路は、アクティブな素子を用いた場合に比べて力率の低下は否めない。また、ダイオード整流回路の欠点としては、回路の出力する直流電圧が変動し易い点が指摘されている。このため、交流を供給する送電端側に負荷としては、直流電圧の変動の影響を受け難いオゾン発生器などに採用されることが多い。
【0005】
すなわち、ダイオード整流回路に対しては、力率の向上と直流電圧の安定化が求められている。このうち、高力率の改善を達成するためには、整流後の平滑度を向上させ、交流側のピーク電流を低くする必要がある。そこで、整流後の平滑度を向上させるべく、多相整流回路の採用が有効となっている。また、直流電圧の安定化は困難なため、電圧変動を受け難い負荷に利用されている。
【0006】
ここで、ダイオード整流回路を備えた電力変換装置の従来例について、図6の回路図を用いて、具体的に説明する。図6に示すように、電力変換装置Aにおいて、交流を受け取る受電端側に商用周波数の三相の交流系統1が接続され、交流を供給する送電端側に負荷9(ここではオゾン発生器)が接続されている。
【0007】
電力変換装置Aは、三相のダイオード整流回路として機能するダイオードブリッジ5と、インバータ回路たるインバータブリッジ6に加えて、高周波変圧器7と、リアクトル8と、直流母線PNと、変圧器3と、コンタクタ4と、コンデンサ10が設けられている。このうち、変圧器3は電力変換装置Aの受電端に設置され、交流系統1に接続されている。なお、交流系統1と変圧器3の間には、配線によるインダクタンスなどに起因する浮遊インダクタンス2が存在する。また、変圧器3に交流を入り切りするコンタクタ4が接続されている。
【0008】
コンタクタ4にダイオードブリッジ5が接続されている。ダイオードブリッジ5は直流母線PN間に接続されている。直流母線PN間において、ダイオードブリッジ5の後段には、小容量のコンデンサ10並びにインバータブリッジ6が設けられている。インバータブリッジ6は、直流母線PNに流れる直流電圧を交流電力に変換し、これを負荷9へと供給する。インバータブリッジ6には、高周波変圧器7が接続されており、さらに高周波変圧器7にはリアクトル8が接続されている。リアクトル8にはインバータブリッジ6が変換した交流電圧を供給する負荷9が接続されている。
【0009】
以上の構成を有する電力変換装置Aにおいて、交流系統1から三相交流電圧を受電すると、変圧器3が所望の電圧値に変換した上で、コンタクタ4が交流電圧をダイオードブリッジ5に出力する。ダイオードブリッジ5は三相交流電圧を整流して直流電圧に変換し、この直流電圧を直流母線PNに出力する。ダイオードブリッジ5の出力では位相60°おきに凹凸を繰りかえす波形が得られる。このような波形を一般に6相整流と呼ぶ。
【0010】
コンデンサ10は、ダイオードブリッジ5から直流母線PNに出力された直流電圧のサージを吸収し、インバータブリッジ6は、直流母線PNに流れる直流電圧を交流電圧に変換して高周波変圧器7に出力する。高周波変圧器7はインバータブリッジ6が変換した交流電圧を上昇させ、リアクトル8を介して負荷9に電力を注入する。
【0011】
前述したように、ダイオード整流回路では力率の低い点が課題となっているが、コンデンサ10の容量が大きいと、直流母線PNのコンデンサ容量が高くなり、交流側のピーク電流が高くなって力率が低下する。このため、コンデンサ10の容量を極力小さくすることが望まれている。
【0012】
また、ダイオード整流回路のもう一つの欠点である直流電圧の変動し易さについては、負荷9の動作に影響を与えることはもちろんであるが、さらに深刻な問題となるのは、直流電圧の急上昇がインバータブリッジ6の半導体スイッチング素子を劣化させる場合である。この点について、図6を用いて説明する。
【0013】
電力変換装置Aでは通常、負荷9又は高周波変圧器7やインバータブリッジ6に異常が発生して直流母線PNに過電流が流れた場合に、当該過電流を検出してインバータブリッジ6のゲートを遮断する保護を行っている。ゲート遮断によりインバータブリッジ6が急停止すると、直流母線PNからインバータブリッジ6へ供給される電流はゼロになる。
【0014】
このとき、交流系統1から電力変換装置の受電端までは、先に述べたように、浮遊インダクタンス2が存在している。この浮遊インダクタンス2は通常動作時に流れていた電流によるエネルギーを保有している。このエネルギーは、直流母線PNからインバータブリッジ6へ電流が供給されなくなったことで、行き場が無くなる。そのため、インバータブリッジ6前段のコンデンサ10に流れ込むことになる。
【0015】
しかし、コンデンサ10は、力率を確保する点から小容量に設定しているので、浮遊インダクタンス2のエネルギーを十分に吸収することができない。その結果、直流母線PNの直流電圧が急激に上昇することになる。この上昇した電圧値が、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧を超えてしまうと、当該素子を劣化させることになる。
【0016】
インバータブリッジ6のゲート遮断時に、直流母線PNの直流電圧を過度に上昇させないようにするには、コンデンサ10の容量を増加させることが考えられる。しかし、コンデンサ10の容量を増やせば、直流母線PNのコンデンサ容量も高くなるので、交流側のピーク電流は高くなって、力率の低下は避けられない。それでなくともダイオードブリッジ5を用いた電力変換装置Aでは力率は低いため、高力率を追求する要請は強く、コンデンサ10の容量増加は現実的ではない。
【0017】
そこで、コンデンサ10の容量を増加させるのではなく、浮遊インダクタンス2のエネルギーを吸収する電圧クランプ回路をコンデンサ10に並列に接続することで、直流母線PNの過電圧を抑制する技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0018】
以下、電圧クランプ回路の具体例を図6に示す。すなわち、電圧クランプ回路は、互いに直列に接続された放電抵抗11及びパワースイッチング素子12から構成される。また、パワースイッチング素子12には直流母線PNの電圧を検出する電圧検出回路13が接続されている。
【0019】
このような電圧クランプ回路は、直流母線PNの電圧が上昇した場合、電圧検出回路13がこれを検出し、パワースイッチング素子12がON(閉路)となって、放電抵抗11を直流母線PNに投入する。したがって、ゲート遮断によりインバータブリッジ6が急停止した場合でも、浮遊インダクタンス2に蓄積された電流によるエネルギーを、放電抵抗11が十分に吸収することができる。これにより、直流母線PNの過電圧を抑制することができ、直流母線PNの直流電圧値がインバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧を超えるおそれがなく、安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010−239736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、直流母線PNの過電流検出は定格電流の150〜180%程度に設定されている。したがって、それだけでも直流母線PNに流れる電流は通常時よりは多い上に、仮に過電流の検出が遅れたとなると、更に直流母線PNに流れる電流が増加することになる。つまり、放電抵抗11は、過電流検出の遅れにより増加した大きなエネルギーも吸収する必要がある。その結果、放電抵抗11とパワースイッチング素子12の電流定格が大きくなっていた。
【0022】
すなわち、放電抵抗11とパワースイッチング素子12の定格電流を、直流母線PNの定格電流値以上の値を選ばなくては、直流母線PNの過電圧を確実に防ぐことが困難となっていた。そのため、電圧クランプ回路は大形化し、コストが高くなるといった問題が生じた。特にコスト高に関しては、ダイオード整流回路を用いた電力変換装置は低コストが利点なので、これを減殺してしまうことになり、早急な解決が待たれていた。
【0023】
本実施形態の電力変換装置は、上記の課題を解決するために提案されたものであり、ダイオード整流回路を備えた電力変換装置において、直流母線の過電圧抑制手段を小型低コスト化する電力変換装置を得ることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、実施形態の電力変換装置は、次の点を特徴とする。
(1)ダイオード素子からなり商用周波数の交流系統電圧を整流して直流母線に出力する整流回路と、半導体スイッチング素子からなり前記直流母線の電圧を交流に変換して負荷に電力を供給するインバータ回路とを有する。
(2)前記直流母線には、ダイオード及びコンデンサからなる直列回路が接続されている。前記コンデンサは交流系統のインダクタンスに蓄積されたエネルギーを過渡的に吸収可能に構成されている。
(3)前記ダイオードのアノード及びカソード間には第1の抵抗が接続され、この第1の抵抗には前記直流母線間に投入されることで前記コンデンサの電荷を放電する第2の抵抗が接続されている。
(4)前記インバータ回路の過電流あるいは停止を検出して前記第2の抵抗を投入する抵抗投入手段が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図2】第2の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図3】第3の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図4】第4の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図5】第5の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図6】従来の電力変換装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態である電力変換装置について、図1〜図5を参照して具体的に説明する。なお、図6に示した従来例と同一の部材に関しては同一符号を付して説明は省略する。
【0027】
(1)第1の実施形態
[構成]
第1の実施形態に係る電力変換装置A1について、図1を用いて説明する。第1の実施形態の基本構成は、図6に示した従来例と同様である。ただし、第1の実施形態では、コンタクタ4に機械的接点として補助b接点18が設けられている。コンタクタ4のb接点18は、通常動作時は開なので直流母線PNに注入される浮遊インダクタンス2のエネルギーは、小容量のコンデンサ10によって少し平滑化されるのみである。したがって、通常動作時の直流母線PNの直流電圧は3相全波波形に近い状態にある。
【0028】
第1の実施形態の構成上の特徴は、直流母線PNに対し、ダイオード14と大容量の電解コンデンサ15からなる直列回路が接続された点にある。この直列回路は小容量のコンデンサ10と共に、直流母線PNにおけるクランプ回路を構成することになる。電解コンデンサ15の容量は、小容量のコンデンサ10の容量に比べて、数十倍程度になっている。また、ダイオード14には第1の抵抗16が並列に接続され、さらに第1の抵抗16には第2の抵抗17が直列に接続されている。
【0029】
(電解コンデンサ15)
まず、電解コンデンサ15の容量C(F)について説明する。電解コンデンサ15の容量C(F)は、電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギーは、浮遊インダクタンス2に蓄積されるエネルギーよりも大きくなるように設定される。このような設定により、電解コンデンサ15は浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーを吸収可能となっている。
【0030】
電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギーは、下記の式1から求められる。式1において、VH(V)はインバータブリッジ6の最大許容電圧(ただし、インバータブリッジ6における実際の半導体スイッチング素子に印加される電圧はこの電圧にスイッチングサージが加算される)、VR(V)はインバータブリッジ6の常用電圧、I(A)は直流母線PNに流れる過電流の最大電流値である。
【0031】
この時、電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギーは、
(数1)
1/2×C(VH2−VR2)…式1
となる。
【0032】
浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーは、次の式2から求められる。3相各相の浮遊インダクタンス2をL(H)、浮遊インダクタンス2に流れた電流をI(A)とする。3相ブリッジの電流は120°通電となり、電流は2相に流れているので、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2は、
(数2)
1/2×LI2×2=LI2…式2
となる。
【0033】
電解コンデンサ15の容量は、電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギー(式1)が、浮遊インダクタンス2に蓄積されるエネルギーLI2(式2)よりも大きくなるように設定すれば良いのであるから、
(数3)
LI2≦1/2×C(VH2−VR2)…式3
となる。
【0034】
したがって、電解コンデンサ15の容量C(F)は、
(数4)
C≧2LI2/VH2−VR2…式4
という値を選定すれば、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2を吸収可能になる。なお、電解コンデンサ15の放電時定数は、ダイオードブリッジ5の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定されている。
【0035】
(第1の抵抗16)
一方、第1の抵抗16は、前記ダイオード14のアノード及びカソード間に接続されている。第1の抵抗16は、比較的高い抵抗からなり、通常の動作時に、電解コンデンサ15の電荷を直流母線PNにゆるやかに放電するようになっている。また、第1の抵抗16の放電時定数は、ダイオードブリッジ5の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定されている。
【0036】
(第2の抵抗17)
さらに、第2の抵抗17は、第1の抵抗16に直列に接続されている。第2の抵抗17は、第1の抵抗16よりも高い抵抗からなる。第2の抵抗17はコンタクタ4の補助b接点18に接続されている。コンタクタ4の補助b接点18は、後述するコンタクタ4の駆動回路23と共に、当該第2の抵抗17を直流母線PNに投入させる抵抗投入手段となっている。すなわち、第2の抵抗17は、補助b接点18が閉となることで直流母線PNに投入され、電解コンデンサ15の電荷を直流母線PNに放電するようになっている。
【0037】
高周波変圧器7には電流検出器19及び検出回路20が接続されている。検出回路20は直流母線PNに流れる過電流を検出する回路である。検出回路20にはインバータブリッジ6を制御するロジック回路21と、コンタクタ4を駆動する駆動回路23が接続されている。
【0038】
ロジック回路21は、負荷9の異常を知らせる信号やインバータブリッジ6に流れる過電流を知らせる信号など、各種検出信号を入力すると共に、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子に制御信号を出力する回路である。また、駆動回路23は、検出回路20が直流母線PNに流れる過電流を検出する時、あるいはロジック回路21がインバータブリッジ6を停止させる時、コンタクタ4を開とするように構成されている。
【0039】
[作用]
以上の構成を有する電力変換装置A1において、インバータブリッジ6の出力に短絡事故等が発生した場合、高周波変圧器7に接続された電流検出器19の出力が急に大きくなり、検出回路20は過電流が発生したことを検出する。検出回路20の検出結果を受けて、ロジック回路21はインバータブリッジ6のゲート遮断を行う信号を出力し、インバータブリッジ6は動作を停止する。
【0040】
このように、検出回路20が過電流を検出した時、ロジック回路21がインバータブリッジ6のゲートを遮断するが、ゲート遮断には10〜20μs程度の時間がかかる。このため、過電流検出を定格電流の150%に設定しても、電流のピーク値は180%〜200%程度になる。
【0041】
インバータブリッジ6が停止したことで、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2は、ダイオードブリッジ5を通ってコンデンサ10に流れると同時に、ダイオード14から大容量の電解コンデンサ15に流れて充電し、直流母線PNの直流電圧は上昇する。
【0042】
この時、コンデンサ10は、インバータブリッジ6の定常スイッチングに伴うリプルを吸収する程度であるが、これに比べて電解コンデンサ15の容量は数十倍程度である。したがって、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2の殆どは、大容量である電解コンデンサ15を充電することになる。これにより、直流母線PNの直流電圧は、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧よりも、かなり低い電圧にリミットされることになる。かくして、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子は劣化のおそれが無く、安全である。
【0043】
また、ロジック回路21がインバータブリッジ6の動作を停止させる時、駆動回路23はコンタクタ4を開動作に移行し、コンタクタ4の補助b接点18は閉となり、第2の抵抗17が直流母線PNに投入される。このため、電解コンデンサ15の電荷は第2の抵抗17を通って放電される。ただし、インバータブリッジ6は停止しているので、電解コンデンサ15は急いで放電する必要は無い。したがって、第2の抵抗17は電解コンデンサ15を長時間にわたってゆっくり放電することができる。
【0044】
[効果]
以上のような第1の実施形態では、ゲート遮断によりインバータブリッジ6が急停止した場合、浮遊インダクタンス2に蓄積された電流によるエネルギーLI2は、電解コンデンサ15を充電することになる。これにより、直流母線PNの過電圧を確実に抑制することができる。すなわち、前記エネルギーLI2の流入により直流母線PNの直流電圧が急激に上昇することがなく、インバータブリッジ6における半導体スイッチング素子の耐電圧を超えることが無い。
【0045】
また、通常動作時では、電解コンデンサ15は、第1の抵抗16によって、僅かに放電されるのみである。このため、直流母線PNのコンデンサ容量に電解コンデンサ15の容量が加味されることは殆どなく、直流母線PNにおいて電解コンデンサ15の容量は無きに等しい状態となっている。したがって、直流母線PNのコンデンサ容量は小容量を維持することができ、交流側のピーク電流を低く抑えることが可能なので、力率を悪化させるおそれが無い。これにより、力率の改善と直流母線の過電圧抑制を両立させることができる。
【0046】
上記の第1の実施形態によれば、ダイオード14と大容量の電解コンデンサ15を直列回路にして直流母線PNに接続するといった簡単な構成によって、直流母線PNに過電流が流れてインバータブリッジ6のゲート遮断を実施しても、大容量の電解コンデンサ15が浮遊インダクタンス2のエネルギーLI2を過渡的に十分に吸収することができる。そのため、より安価で信頼性が高く、しかも高力率及び高効率な電力変換装置A1を提供することができる。
【0047】
さらに、第1の実施形態においては、直流母線PNの過電圧を抑制する手段として、電流定格の大きい回路は不要である。このため、構成のコンパクト化と低コスト化を達成することが可能である。ダイオードブリッジ5を用いた電力変換装置A1は、低コスト化の観点から採用されるので、コストの低減効果は極めて有効である。
【0048】
また、直流母線PNの過電圧抑制手段における構成のコンパクト化について詳しくみると、第1の実施形態におけるダイオード14は、サージ電流が短い時間流れるのみなので、冷却フィン等は不要であり、小形のもので済む。しかも、ダイオード14は小容量であっても安全である。大容量の電解コンデンサ15もサージ耐量があれば十分であり、その小形化は容易である。したがって、本実施形態において直流母線PNに接続された直列回路は、非常にコンパクトな構成となる。さらに、第2の抵抗17についても、高インピーダンスのため、小形で安価である。
【0049】
また、第1の実施形態では、電解コンデンサ15及び第1の抵抗16の放電時定数を、ダイオードブリッジ5の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定している。このため、定常時は電解コンデンサ15に流れるリプルを十分に小さくすることができ、安定性を高めることが可能である。
【0050】
(2)第2の実施形態
[構成]
続いて、第2の実施形態に係る電力変換装置A2について、図2を用いて説明する。第2の実施形態は、図6に示した従来例と比較してコンタクタ4を無くし、第2の抵抗17の投入手段の構成要素であるコンタクタ4の補助b接点18及び駆動回路23を無くした場合の形態である。第2の実施形態では、第2の抵抗17の投入手段として、検出回路20が直流母線PNに流れる過電流を検出する時に閉となるリレー18Aが、第2の抵抗17に接続されている。
【0051】
図2に示すように、電流検出器19はインバータブリッジ6の直流母線PNに設置されており、電流検出器19に接続された検出回路20にはリレー18Aが接続されている。リレー18Aは、検出回路20が直流母線PNに流れる過電流を検出する時、オフとなって、第2の抵抗17を直流母線PN間に投入するようになっている。第2の抵抗17が直流母線PN間に投入されると、第1の抵抗16及び第2の抵抗17が直列回路となってコンデンサ15の電荷を放電する。なお、リレー18Aは半導体スイッチであっても機械的接点であっても良い。
【0052】
[作用効果]
以上のような第2の実施形態は、上記第1の実施形態が持つ作用効果に加えて、次のような独自の作用効果がある。すなわち、前記第1の実施形態に比べて、コンタクタ4やその駆動回路23は不要となり、構成をより簡略化することができ、コストの低減化をいっそう進めることができる。
【0053】
(3)他の実施形態
なお、本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。
【0054】
すなわち、上記の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0055】
例えば、上記実施形態では、容量の異なる2つのコンデンサを備えているが、インバータ回路のゲート遮断時に浮遊インダクタンスに蓄積されたエネルギーを吸収可能なコンデンサを備えることが不可欠であって、インバータ回路の定常スイッチングに伴うリプルを吸収するといった責務を持つ小容量のコンデンサの設置は適宜変更可能である。
【0056】
また、上記ダイオードブリッジ5では、6相整流を行っているので、電圧変化に応じてコンデンサ10へのインプット電流が流れると、受電の力率は芳しくないといえる。そこで、整流後の平滑度を高め、受電力率を向上させるために、多相整流回路が有効である。
【0057】
(3−1)第3の実施形態
図3に示した第3の実施形態では、ダイオード整流回路として、12相整流回路であるダイオードブリッジ5A、5Bを適用している。すなわち、変圧器3の2次側の巻線を2つにし、それぞれで位相を30°ずらすことで、整流後の凹凸を互いに30°ずらす。これらを足し合わせると、30°ごとに凹凸を繰り返す波形となる。
【0058】
(3−2)第4の実施形態
図4に示す第4の実施形態では、大変圧器3の2次巻線の数を3つに増やし、18相整流回路であるダイオードブリッジ5A、5B、5Cとしている。第4の実施形態にように18相整流の場合は2次巻線を、±20°ずらして出力する。この場合は、整流後の電圧を足し合わせたあとの凹凸の周期が20°ごとになる。
【0059】
(3−3)第5の実施形態
図5に示す第5の実施形態では、変圧器3の2次巻線の数を5つに増やして、24相整流回路であるダイオードブリッジ5A、5B、5C、5Dとしている。第5の実施形態にように24相整流の場合は各2次巻線の位相は、0°、+30°、−15°、+15°であり、ダイオードブリッジ5A〜5Dの電圧を全て足し合わせると、電圧の凹凸は15°ごとになる。なお、図5に示した第5の実施形態では、ダイオードブリッジ5A及び5Bと、ダイオードブリッジ5C及び5Dに対して、別々に、コンデンサ10、ダイオード14、電解コンデンサ15、第1の抵抗16、第2の抵抗17及びリレー18Aが組み込まれている。
【0060】
上記のように整流回路の相数を増やせば、電力変換装置の平滑度および力率はさらに向上する。しかし、整流回路の相数を増やした分だけ、変圧器3の構造が複雑になる。したがって、実用可能な範囲は、24相整流までである。
【符号の説明】
【0061】
1…交流系統
2…浮遊インダクタンス
3…変圧器
4…コンタクタ
5、5A〜5D…ダイオードブリッジ
6…インバータブリッジ
7…高周波変圧器
8…リアクトル
9…負荷
10…小容量のコンデンサ
11…放電抵抗
12…パワースイッチング素子
13…電圧検出回路
14…ダイオード
15…大容量の電解コンデンサ
16…第1の抵抗
17…第2の抵抗
18…コンタクタの補助b接点
18A…リレー
19…電流検出器
20…検出回路
21…ロジック回路
23…駆動回路
PN…直流母線
A、A1、A2…電力変換装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ダイオード整流回路を有する電力変換装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、商用周波数の交流系統から受電する電力変換装置では、交流系統からの交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路とを組み合わせて用いている。インバータ回路は、負荷に交流電力を供給する交流電源であって、半導体スイッチング素子からなり、高効率で、保守性も良好である。このため、インバータ回路は、モータの駆動源をはじめ変圧器を介して交流の高圧高周波電力を供給する電源、あるいは、変圧器の二次側を整流してEVなどのバッテリーを充電する充電装置などに広く応用されている。
【0003】
整流回路は、インバータ回路に直流電圧を供給する直流電源であって、交流入力の力率を高める観点から、スイッチング素子を備えたものが主流となっている。中でも、直流電圧の一定制御が可能であるPWMコンバータ等が、整流回路として近年多用されている。ただし、スイッチング素子を備えた整流回路は、通常コストが高く、電圧の損失が多いため効率が低いといった短所がある。
【0004】
そこで、コストの低減化と効率の向上を図るべく、ダイオード素子のみから構成したダイオード整流回路が用いられている。しかし、ダイオード整流回路は、アクティブな素子を用いた場合に比べて力率の低下は否めない。また、ダイオード整流回路の欠点としては、回路の出力する直流電圧が変動し易い点が指摘されている。このため、交流を供給する送電端側に負荷としては、直流電圧の変動の影響を受け難いオゾン発生器などに採用されることが多い。
【0005】
すなわち、ダイオード整流回路に対しては、力率の向上と直流電圧の安定化が求められている。このうち、高力率の改善を達成するためには、整流後の平滑度を向上させ、交流側のピーク電流を低くする必要がある。そこで、整流後の平滑度を向上させるべく、多相整流回路の採用が有効となっている。また、直流電圧の安定化は困難なため、電圧変動を受け難い負荷に利用されている。
【0006】
ここで、ダイオード整流回路を備えた電力変換装置の従来例について、図6の回路図を用いて、具体的に説明する。図6に示すように、電力変換装置Aにおいて、交流を受け取る受電端側に商用周波数の三相の交流系統1が接続され、交流を供給する送電端側に負荷9(ここではオゾン発生器)が接続されている。
【0007】
電力変換装置Aは、三相のダイオード整流回路として機能するダイオードブリッジ5と、インバータ回路たるインバータブリッジ6に加えて、高周波変圧器7と、リアクトル8と、直流母線PNと、変圧器3と、コンタクタ4と、コンデンサ10が設けられている。このうち、変圧器3は電力変換装置Aの受電端に設置され、交流系統1に接続されている。なお、交流系統1と変圧器3の間には、配線によるインダクタンスなどに起因する浮遊インダクタンス2が存在する。また、変圧器3に交流を入り切りするコンタクタ4が接続されている。
【0008】
コンタクタ4にダイオードブリッジ5が接続されている。ダイオードブリッジ5は直流母線PN間に接続されている。直流母線PN間において、ダイオードブリッジ5の後段には、小容量のコンデンサ10並びにインバータブリッジ6が設けられている。インバータブリッジ6は、直流母線PNに流れる直流電圧を交流電力に変換し、これを負荷9へと供給する。インバータブリッジ6には、高周波変圧器7が接続されており、さらに高周波変圧器7にはリアクトル8が接続されている。リアクトル8にはインバータブリッジ6が変換した交流電圧を供給する負荷9が接続されている。
【0009】
以上の構成を有する電力変換装置Aにおいて、交流系統1から三相交流電圧を受電すると、変圧器3が所望の電圧値に変換した上で、コンタクタ4が交流電圧をダイオードブリッジ5に出力する。ダイオードブリッジ5は三相交流電圧を整流して直流電圧に変換し、この直流電圧を直流母線PNに出力する。ダイオードブリッジ5の出力では位相60°おきに凹凸を繰りかえす波形が得られる。このような波形を一般に6相整流と呼ぶ。
【0010】
コンデンサ10は、ダイオードブリッジ5から直流母線PNに出力された直流電圧のサージを吸収し、インバータブリッジ6は、直流母線PNに流れる直流電圧を交流電圧に変換して高周波変圧器7に出力する。高周波変圧器7はインバータブリッジ6が変換した交流電圧を上昇させ、リアクトル8を介して負荷9に電力を注入する。
【0011】
前述したように、ダイオード整流回路では力率の低い点が課題となっているが、コンデンサ10の容量が大きいと、直流母線PNのコンデンサ容量が高くなり、交流側のピーク電流が高くなって力率が低下する。このため、コンデンサ10の容量を極力小さくすることが望まれている。
【0012】
また、ダイオード整流回路のもう一つの欠点である直流電圧の変動し易さについては、負荷9の動作に影響を与えることはもちろんであるが、さらに深刻な問題となるのは、直流電圧の急上昇がインバータブリッジ6の半導体スイッチング素子を劣化させる場合である。この点について、図6を用いて説明する。
【0013】
電力変換装置Aでは通常、負荷9又は高周波変圧器7やインバータブリッジ6に異常が発生して直流母線PNに過電流が流れた場合に、当該過電流を検出してインバータブリッジ6のゲートを遮断する保護を行っている。ゲート遮断によりインバータブリッジ6が急停止すると、直流母線PNからインバータブリッジ6へ供給される電流はゼロになる。
【0014】
このとき、交流系統1から電力変換装置の受電端までは、先に述べたように、浮遊インダクタンス2が存在している。この浮遊インダクタンス2は通常動作時に流れていた電流によるエネルギーを保有している。このエネルギーは、直流母線PNからインバータブリッジ6へ電流が供給されなくなったことで、行き場が無くなる。そのため、インバータブリッジ6前段のコンデンサ10に流れ込むことになる。
【0015】
しかし、コンデンサ10は、力率を確保する点から小容量に設定しているので、浮遊インダクタンス2のエネルギーを十分に吸収することができない。その結果、直流母線PNの直流電圧が急激に上昇することになる。この上昇した電圧値が、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧を超えてしまうと、当該素子を劣化させることになる。
【0016】
インバータブリッジ6のゲート遮断時に、直流母線PNの直流電圧を過度に上昇させないようにするには、コンデンサ10の容量を増加させることが考えられる。しかし、コンデンサ10の容量を増やせば、直流母線PNのコンデンサ容量も高くなるので、交流側のピーク電流は高くなって、力率の低下は避けられない。それでなくともダイオードブリッジ5を用いた電力変換装置Aでは力率は低いため、高力率を追求する要請は強く、コンデンサ10の容量増加は現実的ではない。
【0017】
そこで、コンデンサ10の容量を増加させるのではなく、浮遊インダクタンス2のエネルギーを吸収する電圧クランプ回路をコンデンサ10に並列に接続することで、直流母線PNの過電圧を抑制する技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【0018】
以下、電圧クランプ回路の具体例を図6に示す。すなわち、電圧クランプ回路は、互いに直列に接続された放電抵抗11及びパワースイッチング素子12から構成される。また、パワースイッチング素子12には直流母線PNの電圧を検出する電圧検出回路13が接続されている。
【0019】
このような電圧クランプ回路は、直流母線PNの電圧が上昇した場合、電圧検出回路13がこれを検出し、パワースイッチング素子12がON(閉路)となって、放電抵抗11を直流母線PNに投入する。したがって、ゲート遮断によりインバータブリッジ6が急停止した場合でも、浮遊インダクタンス2に蓄積された電流によるエネルギーを、放電抵抗11が十分に吸収することができる。これにより、直流母線PNの過電圧を抑制することができ、直流母線PNの直流電圧値がインバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧を超えるおそれがなく、安全である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2010−239736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、直流母線PNの過電流検出は定格電流の150〜180%程度に設定されている。したがって、それだけでも直流母線PNに流れる電流は通常時よりは多い上に、仮に過電流の検出が遅れたとなると、更に直流母線PNに流れる電流が増加することになる。つまり、放電抵抗11は、過電流検出の遅れにより増加した大きなエネルギーも吸収する必要がある。その結果、放電抵抗11とパワースイッチング素子12の電流定格が大きくなっていた。
【0022】
すなわち、放電抵抗11とパワースイッチング素子12の定格電流を、直流母線PNの定格電流値以上の値を選ばなくては、直流母線PNの過電圧を確実に防ぐことが困難となっていた。そのため、電圧クランプ回路は大形化し、コストが高くなるといった問題が生じた。特にコスト高に関しては、ダイオード整流回路を用いた電力変換装置は低コストが利点なので、これを減殺してしまうことになり、早急な解決が待たれていた。
【0023】
本実施形態の電力変換装置は、上記の課題を解決するために提案されたものであり、ダイオード整流回路を備えた電力変換装置において、直流母線の過電圧抑制手段を小型低コスト化する電力変換装置を得ることを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の目的を達成するために、実施形態の電力変換装置は、次の点を特徴とする。
(1)ダイオード素子からなり商用周波数の交流系統電圧を整流して直流母線に出力する整流回路と、半導体スイッチング素子からなり前記直流母線の電圧を交流に変換して負荷に電力を供給するインバータ回路とを有する。
(2)前記直流母線には、ダイオード及びコンデンサからなる直列回路が接続されている。前記コンデンサは交流系統のインダクタンスに蓄積されたエネルギーを過渡的に吸収可能に構成されている。
(3)前記ダイオードのアノード及びカソード間には第1の抵抗が接続され、この第1の抵抗には前記直流母線間に投入されることで前記コンデンサの電荷を放電する第2の抵抗が接続されている。
(4)前記インバータ回路の過電流あるいは停止を検出して前記第2の抵抗を投入する抵抗投入手段が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図2】第2の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図3】第3の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図4】第4の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図5】第5の実施形態である電力変換装置の回路図。
【図6】従来の電力変換装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態である電力変換装置について、図1〜図5を参照して具体的に説明する。なお、図6に示した従来例と同一の部材に関しては同一符号を付して説明は省略する。
【0027】
(1)第1の実施形態
[構成]
第1の実施形態に係る電力変換装置A1について、図1を用いて説明する。第1の実施形態の基本構成は、図6に示した従来例と同様である。ただし、第1の実施形態では、コンタクタ4に機械的接点として補助b接点18が設けられている。コンタクタ4のb接点18は、通常動作時は開なので直流母線PNに注入される浮遊インダクタンス2のエネルギーは、小容量のコンデンサ10によって少し平滑化されるのみである。したがって、通常動作時の直流母線PNの直流電圧は3相全波波形に近い状態にある。
【0028】
第1の実施形態の構成上の特徴は、直流母線PNに対し、ダイオード14と大容量の電解コンデンサ15からなる直列回路が接続された点にある。この直列回路は小容量のコンデンサ10と共に、直流母線PNにおけるクランプ回路を構成することになる。電解コンデンサ15の容量は、小容量のコンデンサ10の容量に比べて、数十倍程度になっている。また、ダイオード14には第1の抵抗16が並列に接続され、さらに第1の抵抗16には第2の抵抗17が直列に接続されている。
【0029】
(電解コンデンサ15)
まず、電解コンデンサ15の容量C(F)について説明する。電解コンデンサ15の容量C(F)は、電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギーは、浮遊インダクタンス2に蓄積されるエネルギーよりも大きくなるように設定される。このような設定により、電解コンデンサ15は浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーを吸収可能となっている。
【0030】
電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギーは、下記の式1から求められる。式1において、VH(V)はインバータブリッジ6の最大許容電圧(ただし、インバータブリッジ6における実際の半導体スイッチング素子に印加される電圧はこの電圧にスイッチングサージが加算される)、VR(V)はインバータブリッジ6の常用電圧、I(A)は直流母線PNに流れる過電流の最大電流値である。
【0031】
この時、電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギーは、
(数1)
1/2×C(VH2−VR2)…式1
となる。
【0032】
浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーは、次の式2から求められる。3相各相の浮遊インダクタンス2をL(H)、浮遊インダクタンス2に流れた電流をI(A)とする。3相ブリッジの電流は120°通電となり、電流は2相に流れているので、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2は、
(数2)
1/2×LI2×2=LI2…式2
となる。
【0033】
電解コンデンサ15の容量は、電解コンデンサ15に蓄積されるエネルギー(式1)が、浮遊インダクタンス2に蓄積されるエネルギーLI2(式2)よりも大きくなるように設定すれば良いのであるから、
(数3)
LI2≦1/2×C(VH2−VR2)…式3
となる。
【0034】
したがって、電解コンデンサ15の容量C(F)は、
(数4)
C≧2LI2/VH2−VR2…式4
という値を選定すれば、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2を吸収可能になる。なお、電解コンデンサ15の放電時定数は、ダイオードブリッジ5の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定されている。
【0035】
(第1の抵抗16)
一方、第1の抵抗16は、前記ダイオード14のアノード及びカソード間に接続されている。第1の抵抗16は、比較的高い抵抗からなり、通常の動作時に、電解コンデンサ15の電荷を直流母線PNにゆるやかに放電するようになっている。また、第1の抵抗16の放電時定数は、ダイオードブリッジ5の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定されている。
【0036】
(第2の抵抗17)
さらに、第2の抵抗17は、第1の抵抗16に直列に接続されている。第2の抵抗17は、第1の抵抗16よりも高い抵抗からなる。第2の抵抗17はコンタクタ4の補助b接点18に接続されている。コンタクタ4の補助b接点18は、後述するコンタクタ4の駆動回路23と共に、当該第2の抵抗17を直流母線PNに投入させる抵抗投入手段となっている。すなわち、第2の抵抗17は、補助b接点18が閉となることで直流母線PNに投入され、電解コンデンサ15の電荷を直流母線PNに放電するようになっている。
【0037】
高周波変圧器7には電流検出器19及び検出回路20が接続されている。検出回路20は直流母線PNに流れる過電流を検出する回路である。検出回路20にはインバータブリッジ6を制御するロジック回路21と、コンタクタ4を駆動する駆動回路23が接続されている。
【0038】
ロジック回路21は、負荷9の異常を知らせる信号やインバータブリッジ6に流れる過電流を知らせる信号など、各種検出信号を入力すると共に、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子に制御信号を出力する回路である。また、駆動回路23は、検出回路20が直流母線PNに流れる過電流を検出する時、あるいはロジック回路21がインバータブリッジ6を停止させる時、コンタクタ4を開とするように構成されている。
【0039】
[作用]
以上の構成を有する電力変換装置A1において、インバータブリッジ6の出力に短絡事故等が発生した場合、高周波変圧器7に接続された電流検出器19の出力が急に大きくなり、検出回路20は過電流が発生したことを検出する。検出回路20の検出結果を受けて、ロジック回路21はインバータブリッジ6のゲート遮断を行う信号を出力し、インバータブリッジ6は動作を停止する。
【0040】
このように、検出回路20が過電流を検出した時、ロジック回路21がインバータブリッジ6のゲートを遮断するが、ゲート遮断には10〜20μs程度の時間がかかる。このため、過電流検出を定格電流の150%に設定しても、電流のピーク値は180%〜200%程度になる。
【0041】
インバータブリッジ6が停止したことで、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2は、ダイオードブリッジ5を通ってコンデンサ10に流れると同時に、ダイオード14から大容量の電解コンデンサ15に流れて充電し、直流母線PNの直流電圧は上昇する。
【0042】
この時、コンデンサ10は、インバータブリッジ6の定常スイッチングに伴うリプルを吸収する程度であるが、これに比べて電解コンデンサ15の容量は数十倍程度である。したがって、浮遊インダクタンス2に蓄積されたエネルギーLI2の殆どは、大容量である電解コンデンサ15を充電することになる。これにより、直流母線PNの直流電圧は、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子の耐電圧よりも、かなり低い電圧にリミットされることになる。かくして、インバータブリッジ6の半導体スイッチング素子は劣化のおそれが無く、安全である。
【0043】
また、ロジック回路21がインバータブリッジ6の動作を停止させる時、駆動回路23はコンタクタ4を開動作に移行し、コンタクタ4の補助b接点18は閉となり、第2の抵抗17が直流母線PNに投入される。このため、電解コンデンサ15の電荷は第2の抵抗17を通って放電される。ただし、インバータブリッジ6は停止しているので、電解コンデンサ15は急いで放電する必要は無い。したがって、第2の抵抗17は電解コンデンサ15を長時間にわたってゆっくり放電することができる。
【0044】
[効果]
以上のような第1の実施形態では、ゲート遮断によりインバータブリッジ6が急停止した場合、浮遊インダクタンス2に蓄積された電流によるエネルギーLI2は、電解コンデンサ15を充電することになる。これにより、直流母線PNの過電圧を確実に抑制することができる。すなわち、前記エネルギーLI2の流入により直流母線PNの直流電圧が急激に上昇することがなく、インバータブリッジ6における半導体スイッチング素子の耐電圧を超えることが無い。
【0045】
また、通常動作時では、電解コンデンサ15は、第1の抵抗16によって、僅かに放電されるのみである。このため、直流母線PNのコンデンサ容量に電解コンデンサ15の容量が加味されることは殆どなく、直流母線PNにおいて電解コンデンサ15の容量は無きに等しい状態となっている。したがって、直流母線PNのコンデンサ容量は小容量を維持することができ、交流側のピーク電流を低く抑えることが可能なので、力率を悪化させるおそれが無い。これにより、力率の改善と直流母線の過電圧抑制を両立させることができる。
【0046】
上記の第1の実施形態によれば、ダイオード14と大容量の電解コンデンサ15を直列回路にして直流母線PNに接続するといった簡単な構成によって、直流母線PNに過電流が流れてインバータブリッジ6のゲート遮断を実施しても、大容量の電解コンデンサ15が浮遊インダクタンス2のエネルギーLI2を過渡的に十分に吸収することができる。そのため、より安価で信頼性が高く、しかも高力率及び高効率な電力変換装置A1を提供することができる。
【0047】
さらに、第1の実施形態においては、直流母線PNの過電圧を抑制する手段として、電流定格の大きい回路は不要である。このため、構成のコンパクト化と低コスト化を達成することが可能である。ダイオードブリッジ5を用いた電力変換装置A1は、低コスト化の観点から採用されるので、コストの低減効果は極めて有効である。
【0048】
また、直流母線PNの過電圧抑制手段における構成のコンパクト化について詳しくみると、第1の実施形態におけるダイオード14は、サージ電流が短い時間流れるのみなので、冷却フィン等は不要であり、小形のもので済む。しかも、ダイオード14は小容量であっても安全である。大容量の電解コンデンサ15もサージ耐量があれば十分であり、その小形化は容易である。したがって、本実施形態において直流母線PNに接続された直列回路は、非常にコンパクトな構成となる。さらに、第2の抵抗17についても、高インピーダンスのため、小形で安価である。
【0049】
また、第1の実施形態では、電解コンデンサ15及び第1の抵抗16の放電時定数を、ダイオードブリッジ5の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定している。このため、定常時は電解コンデンサ15に流れるリプルを十分に小さくすることができ、安定性を高めることが可能である。
【0050】
(2)第2の実施形態
[構成]
続いて、第2の実施形態に係る電力変換装置A2について、図2を用いて説明する。第2の実施形態は、図6に示した従来例と比較してコンタクタ4を無くし、第2の抵抗17の投入手段の構成要素であるコンタクタ4の補助b接点18及び駆動回路23を無くした場合の形態である。第2の実施形態では、第2の抵抗17の投入手段として、検出回路20が直流母線PNに流れる過電流を検出する時に閉となるリレー18Aが、第2の抵抗17に接続されている。
【0051】
図2に示すように、電流検出器19はインバータブリッジ6の直流母線PNに設置されており、電流検出器19に接続された検出回路20にはリレー18Aが接続されている。リレー18Aは、検出回路20が直流母線PNに流れる過電流を検出する時、オフとなって、第2の抵抗17を直流母線PN間に投入するようになっている。第2の抵抗17が直流母線PN間に投入されると、第1の抵抗16及び第2の抵抗17が直列回路となってコンデンサ15の電荷を放電する。なお、リレー18Aは半導体スイッチであっても機械的接点であっても良い。
【0052】
[作用効果]
以上のような第2の実施形態は、上記第1の実施形態が持つ作用効果に加えて、次のような独自の作用効果がある。すなわち、前記第1の実施形態に比べて、コンタクタ4やその駆動回路23は不要となり、構成をより簡略化することができ、コストの低減化をいっそう進めることができる。
【0053】
(3)他の実施形態
なお、本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。
【0054】
すなわち、上記の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0055】
例えば、上記実施形態では、容量の異なる2つのコンデンサを備えているが、インバータ回路のゲート遮断時に浮遊インダクタンスに蓄積されたエネルギーを吸収可能なコンデンサを備えることが不可欠であって、インバータ回路の定常スイッチングに伴うリプルを吸収するといった責務を持つ小容量のコンデンサの設置は適宜変更可能である。
【0056】
また、上記ダイオードブリッジ5では、6相整流を行っているので、電圧変化に応じてコンデンサ10へのインプット電流が流れると、受電の力率は芳しくないといえる。そこで、整流後の平滑度を高め、受電力率を向上させるために、多相整流回路が有効である。
【0057】
(3−1)第3の実施形態
図3に示した第3の実施形態では、ダイオード整流回路として、12相整流回路であるダイオードブリッジ5A、5Bを適用している。すなわち、変圧器3の2次側の巻線を2つにし、それぞれで位相を30°ずらすことで、整流後の凹凸を互いに30°ずらす。これらを足し合わせると、30°ごとに凹凸を繰り返す波形となる。
【0058】
(3−2)第4の実施形態
図4に示す第4の実施形態では、大変圧器3の2次巻線の数を3つに増やし、18相整流回路であるダイオードブリッジ5A、5B、5Cとしている。第4の実施形態にように18相整流の場合は2次巻線を、±20°ずらして出力する。この場合は、整流後の電圧を足し合わせたあとの凹凸の周期が20°ごとになる。
【0059】
(3−3)第5の実施形態
図5に示す第5の実施形態では、変圧器3の2次巻線の数を5つに増やして、24相整流回路であるダイオードブリッジ5A、5B、5C、5Dとしている。第5の実施形態にように24相整流の場合は各2次巻線の位相は、0°、+30°、−15°、+15°であり、ダイオードブリッジ5A〜5Dの電圧を全て足し合わせると、電圧の凹凸は15°ごとになる。なお、図5に示した第5の実施形態では、ダイオードブリッジ5A及び5Bと、ダイオードブリッジ5C及び5Dに対して、別々に、コンデンサ10、ダイオード14、電解コンデンサ15、第1の抵抗16、第2の抵抗17及びリレー18Aが組み込まれている。
【0060】
上記のように整流回路の相数を増やせば、電力変換装置の平滑度および力率はさらに向上する。しかし、整流回路の相数を増やした分だけ、変圧器3の構造が複雑になる。したがって、実用可能な範囲は、24相整流までである。
【符号の説明】
【0061】
1…交流系統
2…浮遊インダクタンス
3…変圧器
4…コンタクタ
5、5A〜5D…ダイオードブリッジ
6…インバータブリッジ
7…高周波変圧器
8…リアクトル
9…負荷
10…小容量のコンデンサ
11…放電抵抗
12…パワースイッチング素子
13…電圧検出回路
14…ダイオード
15…大容量の電解コンデンサ
16…第1の抵抗
17…第2の抵抗
18…コンタクタの補助b接点
18A…リレー
19…電流検出器
20…検出回路
21…ロジック回路
23…駆動回路
PN…直流母線
A、A1、A2…電力変換装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオード素子からなり商用周波数の交流系統電圧を整流して直流母線に出力する整流回路と、半導体スイッチング素子からなり前記直流母線の電圧を交流に変換して負荷に電力を供給するインバータ回路とを有する電力変換装置において、
前記直流母線には、ダイオード及びコンデンサからなる直列回路が接続され、
前記コンデンサは交流系統のインダクタンスに蓄積されたエネルギーを過渡的に吸収可能に構成され、
前記ダイオードのアノード及びカソード間には第1の抵抗が接続され、この第1の抵抗には前記直流母線間に投入されることで前記コンデンサの電荷を放電する第2の抵抗が接続され、
前記インバータ回路の過電流あるいは停止を検出して前記第2の抵抗を投入する抵抗投入手段が設けられたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記整流回路には交流を入り切りするコンタクタが接続され、
前記抵抗投入手段は、前記コンタクタの開放を検出して前記第2の抵抗を投入するものであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記抵抗投入手段は、前記インバータ回路の過電流あるいは停止を検出して前記第2の抵抗を投入するリレーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記交流系統が3相交流系統の場合、前記整流回路は前記直流母線に12相以上の多相整流を出力する多相整流回路から構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1の抵抗及び前記コンデンサの放電時定数は、前記整流回路の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記直流母線における前記インバータ回路の前段に、前記コンデンサよりも小容量のコンデンサが接続されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項1】
ダイオード素子からなり商用周波数の交流系統電圧を整流して直流母線に出力する整流回路と、半導体スイッチング素子からなり前記直流母線の電圧を交流に変換して負荷に電力を供給するインバータ回路とを有する電力変換装置において、
前記直流母線には、ダイオード及びコンデンサからなる直列回路が接続され、
前記コンデンサは交流系統のインダクタンスに蓄積されたエネルギーを過渡的に吸収可能に構成され、
前記ダイオードのアノード及びカソード間には第1の抵抗が接続され、この第1の抵抗には前記直流母線間に投入されることで前記コンデンサの電荷を放電する第2の抵抗が接続され、
前記インバータ回路の過電流あるいは停止を検出して前記第2の抵抗を投入する抵抗投入手段が設けられたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記整流回路には交流を入り切りするコンタクタが接続され、
前記抵抗投入手段は、前記コンタクタの開放を検出して前記第2の抵抗を投入するものであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記抵抗投入手段は、前記インバータ回路の過電流あるいは停止を検出して前記第2の抵抗を投入するリレーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記交流系統が3相交流系統の場合、前記整流回路は前記直流母線に12相以上の多相整流を出力する多相整流回路から構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1の抵抗及び前記コンデンサの放電時定数は、前記整流回路の出力電圧リプルの周波数に対して充分に長く設定されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記直流母線における前記インバータ回路の前段に、前記コンデンサよりも小容量のコンデンサが接続されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−205492(P2012−205492A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71102(P2011−71102)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(391017540)東芝ITコントロールシステム株式会社 (107)
【Fターム(参考)】
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