電力変換装置
【課題】コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、積層体10と、制御回路基板3と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とを備える。積層体10は、複数の半導体モジュール2と、複数の冷媒流路11とを積層してなる。制御回路基板3は、半導体モジュールの制御端子21に接続してある。第1冷却器6は、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却する。複数の冷媒流路11により、半導体モジュール2を冷却する第2冷却器7が構成されている。制御端子21の突出方向(Z方向)において、制御回路基板3と、積層体10と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とが、この順に配置されている。
【解決手段】電力変換装置1は、積層体10と、制御回路基板3と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とを備える。積層体10は、複数の半導体モジュール2と、複数の冷媒流路11とを積層してなる。制御回路基板3は、半導体モジュールの制御端子21に接続してある。第1冷却器6は、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却する。複数の冷媒流路11により、半導体モジュール2を冷却する第2冷却器7が構成されている。制御端子21の突出方向(Z方向)において、制御回路基板3と、積層体10と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とが、この順に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DC−DCコンバータ等の電力変換装置として、図14に示すごとく、複数の半導体モジュール92と、複数の冷却管912とを積層した積層体910を備えたものが知られている(下記特許文献参照)。半導体モジュール92は、IGBT素子等の半導体素子を内蔵した本体部920と、該本体部920から突出した制御端子921およびパワー端子922を備える。冷却管912の内部には、冷媒919が流れる冷媒流路99が形成されている。冷媒919を流すことによって、半導体モジュール92を冷却している。
【0003】
また、電力変換装置9は、コンデンサ94とリアクトル95とを備える。コンデンサ94及びリアクトル95は、図示しないバスバーによって、半導体モジュール92のパワー端子922と電気的に接続している。これらコンデンサ94と、リアクトル95と、半導体モジュール92とによって電力変換回路を構成してある。
【0004】
半導体モジュール92の制御端子921には、制御回路基板93が接続している。この制御回路基板93に形成された制御回路930によって、半導体モジュール92のスイッチング動作を制御している。制御回路基板93と、積層体910やリアクトル95等は収納ケース98内に収納されている。また、収納ケース98にはカバー980が取り付けられ、水や埃等が入らないよう密閉されている。
【0005】
リアクトル95は、複数の冷却管912のうち、積層体910の積層方向(X方向)における一端に位置する冷却管912aに接触している。この冷却管912aによって、リアクトル95を冷却している。コンデンサ94を冷却する部品は特に設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4396627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電力変換装置9は、半導体モジュール92を冷却するための冷却管912aを、リアクトル95の冷却に兼用しているため、リアクトル95を充分に冷却することができなかった。また、コンデンサ94を冷却する冷却器は特に設けられていないため、温度が上昇しやすかった。そのため、リアクトル95やコンデンサ94から発生した熱Hによって、収納ケース98内の空気の温度が上昇しやすくなり、制御回路基板93を構成する電子部品が故障しやすくなるという問題があった。
【0008】
また、電力変換装置9を稼動すると、リアクトル95やコンデンサ94から放射ノイズNが発生する。従来の電力変換装置9は、制御回路基板93とリアクトル95とが隣接配置されており、これらの間に放射ノイズNを遮るものがないため、制御回路930が、リアクトル95から発生した放射ノイズNの影響を受けやすく、誤動作しやすいという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、半導体素子を内蔵した本体部から制御端子およびパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
上記制御端子に接続され、上記半導体モジュールのスイッチング動作を制御する制御回路基板と、
上記半導体モジュールの上記パワー端子に電気的に接続されるコンデンサ及びリアクトルと、
上記コンデンサ及び上記リアクトルを冷却する第1冷却器とを備え、
上記コンデンサ及び上記リアクトルは、上記冷却器の冷却面にそれぞれ載置され、
上記複数の冷媒流路により、上記半導体モジュールを冷却する第2冷却器が構成され、
上記制御端子の突出方向において、上記制御回路基板と、上記積層体と、上記コンデンサ及び上記リアクトルと、上記第1冷却器とが、この順に配置されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0011】
上記電力変換装置においては、半導体モジュールを冷却する冷却器(上記第2冷却器)と、コンデンサ及びリアクトルを冷却する冷却器(上記第1冷却器)との、2個の冷却器を設けてある。このようにすると、第1冷却器によって、コンデンサのみならず、リアクトルをも冷却することができる。また、第1冷却器は、第2冷却器とは別に設けてあるので冷却効率が高く、コンデンサとリアクトルを効率よく冷却することができる。これにより、コンデンサ及びリアクトルから発生する熱を低減し、電力変換装置内の雰囲気温度の上昇を抑制し、制御回路基板の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0012】
また、上記電力変換装置は、上記突出方向において、制御回路基板と、積層体と、コンデンサ及びリアクトルと、第1冷却器とを、この順に配置してある。このようにすると、積層体と第1冷却器との間にコンデンサ及びリアクトルが介在するため、コンデンサ及びリアクトルから発生する放射ノイズを、積層体および第1冷却器によって遮蔽することができる。そのため、放射ノイズが制御回路基板に届きにくくなり、制御回路基板に形成した制御回路が誤動作しにくくなる。
【0013】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電力変換装置の断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】図3の高電圧バスバーおよびリアクトル接続バスバーを取り除いた図。
【図5】図1のC−C断面図。
【図6】図1のD−D断面図。
【図7】実施例1における、電力変換装置の回路図。
【図8】実施例1における、半導体モジュールと冷媒流路を一体化した例。
【図9】実施例2における、電力変換装置の断面図。
【図10】実施例2における、コンデンサおよびリアクトルを含む平面における電力変換装置の断面図。
【図11】実施例3における、コンデンサおよびリアクトルを含む平面における電力変換装置の断面図。
【図12】実施例4における、電力変換装置の断面図。
【図13】実施例4における、電力変換装置の側面図。
【図14】従来例における、電力変換装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記電力変換装置において、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台と、上記積層体を積層方向に押圧して固定する弾性部材とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記弾性部材の少なくとも一部と重なる位置に、上記端子台が設けられていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、電力変換装置を小型化することができる。すなわち、上記構成にすると、上記突出方向から見た場合に、弾性部材の少なくとも一部と端子台とが重なっているため、突出方向から見た電力変換装置の面積を小さくすることが可能になる。そのため、電力変換装置を小型化しやすい。
【0016】
また、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向における、上記積層体に隣接する位置に、上記端子台が設けられていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、電力変換装置を小型化することができる。すなわち、電力変換装置は、多数の半導体モジュールと多数の冷媒流路とを積層した上記積層体を備えるため、上記積層方向に長くなりやすい。そのため、仮に、上記突出方向から見た場合に、積層方向における、積層体に隣接する位置に端子台を設けたとすると、電力変換装置の積層方向の長さが更に長くなり、電力変換装置が大型化することがある。しかしながら、上記突出方向から見た場合に、上記幅方向における、積層体に隣接する位置に端子台を設ければ、電力変換装置の積層方向の長さを抑制でき、電力変換装置が大型化することを防止できる。
【0017】
また、上記第1冷却器と上記第2冷却器とは空冷式であり、上記第1冷却器には貫通穴が形成され、上記冷媒流路と上記貫通穴とは、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向に貫通しており、上記冷媒流路と上記貫通穴とにそれぞれ空気が流れるよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、例えば、送風機を使って、上記貫通穴と上記冷媒流路とに送風することにより、半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを冷却することができる。また、貫通穴と冷媒流路とはそれぞれ同一方向に貫通しているため、貫通穴用の送風機と、冷媒流路用の送風機とを別々に設ける必要はなく、1個の送風機を使って、冷媒流路と貫通穴とにそれぞれ送風することが可能となる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
電力変換装置に係る実施例について、図1〜図8を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、積層体10と、制御回路基板3と、コンデンサ4と、リアクトル5と、第1冷却器6とを備える。積層体10は、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路11とを積層してなる。
半導体モジュール2は、半導体素子23(図7参照)を内蔵した本体部20を備える。この本体部20から制御端子21およびパワー端子22がそれぞれ反対方向に突出している。
冷媒流路11には、半導体モジュール2を冷却する冷媒19が流れる。
【0019】
制御回路基板3は制御端子21に接続されている。制御回路基板3には、制御回路30が形成されている。この制御回路30によって、半導体モジュール2のスイッチング動作を制御する。
コンデンサ4及びリアクトル5は、半導体モジュール2のパワー端子22に電気的に接続されている。
第1冷却器6は、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却する。
【0020】
コンデンサ4及びリアクトル5は、第1冷却器6の冷却面69にそれぞれ載置されている。
また、複数の冷媒流路11により、半導体モジュール2を冷却する第2冷却器7が構成されている。
制御端子21の突出方向(Z方向)において、制御回路基板3と、積層体10と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とが、この順に配置されている。
【0021】
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車に搭載される車載用電力変換装置である。また、本例の電力変換装置1は、直流電源100(図7参照)の電圧を昇圧するためのDC−DCコンバータである。
【0022】
積層体10やコンデンサ4等は、収納ケース8内に収納されている。また、収納ケース8にはカバー80が取り付けられ、水や埃等が入らないよう密閉されている。
【0023】
コンデンサ4とリアクトル5とは、バスバー14によって、半導体モジュール2のパワー端子22に接続されている。また、電力変換装置1は、外部機器と接続するための入出力端子70と、該入出力端子70を固定する端子台71とを備える。
【0024】
図4に示すごとく、積層体10は、冷却管12と半導体モジュール2とを積層してなる。冷却管12の内部に、上記冷媒流路11が形成されている。また、積層体10の積層方向(X方向)に隣り合う2個の冷却管12は、連結管120によって連結されている。連結管120は、冷却管12の長手方向(Y方向)における、冷却管12の両端に設けられている。また、複数の冷却管12のうち、X方向における一端に位置する冷却管12aには、冷媒19を積層体10内に導入するための積層体側導入パイプ15と、積層体10から冷媒19が導出される積層体側導出パイプ16とが取り付けられている。積層体側導入パイプ15から冷媒19を導入すると、冷媒19は連結管120を通って全ての冷却管12を流れ、積層体側導出パイプ16から導出される。これにより、半導体モジュール2を冷却している。
【0025】
また、積層体10はフレーム81内に固定されている。フレーム81は、Z方向から見た形状が矩形状である。フレーム81の、X方向に直交する2つの側壁811,812のうち、一方の側壁811と積層体10との間に弾性部材17(板ばね)が設けられている。この弾性部材17によって積層体10をX方向に押圧し、他方の側壁812(パイプ15,16を設けた側の側壁)に押し当てて固定している。
なお、本例では、一方の側壁811と積層体10との間に弾性部材17を設けたが、他方の側壁812と積層体10との間に弾性部材17を設けてもよい。この場合、積層体10は一方の側壁811に向けて押圧されることになる。
【0026】
図2に示すごとく、半導体モジュール2は3本のパワー端子22(22a,22b,22c)を備える。パワー端子22には、昇圧後の電圧が加わる高電圧端子22a(図7参照)と、接地された接地端子22bと、リアクトル5に接続されたリアクトル接続端子22cとがある。高電圧端子22aには高電圧バスバー14aが接続し、接地端子22bには接地バスバー14bが接続している。また、リアクトル接続端子22cにはリアクトル接続バスバー14c,14d(図3参照)が接続している。これらのバスバー14によって、コンデンサ4及びリアクトル5と、パワー端子22とを電気的に接続し、電力変換回路を構成している。
【0027】
図6に示すごとく、第1冷却器6は、Z方向から見た場合の形状が略矩形状である。第1冷却器6は、第1側壁61と、第2側壁62と、第3側壁63と、第4側壁64との4個の側壁を備える。また、第1冷却器6は、第1仕切板65と第2仕切板66との2個の仕切板を有する。この2個の仕切板65,66によって、第1冷却器6の内部は、第1室601と、第2室602と、第3室603との3個の部屋に分けられている。第1室601と第2室602との間は、第1連通部611において連通している。また、第2室602と第3室との間は、第2連通部612において連通している。第1連通部611は第4側壁64に隣接形成され、第2連通部612は第3側壁63に隣接形成されている。
【0028】
第3側壁63には、冷媒19を第1冷却器6内に導入するための導入パイプ67が設けられている。また、第4側壁64には、第1冷却器6から冷媒19が導出する導出パイプ68が設けられている。第3側壁63から冷媒19を導入すると、冷媒19は第1室601、第1連通部611、第2室602、第2連通部612、第3室603を通り、導出パイプ68から導出される。これにより、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却している。
【0029】
図1に示すごとく、導出パイプ68と積層体側導入パイプ15とは、ホース18によって接続している。導出パイプ68から導出した冷媒19は、ホース18を流れ、積層体側導入パイプ15を通って積層体10内(図4参照)内に導入される。その後、上述したように、冷媒19は積層体側導出パイプ16から導出される。
【0030】
次に、電力変換装置1の回路の説明をする。図7に示すごとく、本例の電力変換装置1は、直流電源100の電圧を昇圧するDC−DCコンバータを構成している。電力変換装置1は、2個のコンデンサ素子C1,C2と、2個のコイル素子L1,L2と、6個の半導体モジュール2とを備える。2個のコンデンサ素子C1,C2は、図5に示すごとく1個のコンデンサ4(コンデンサモジュール)内に収容されている。また、2個のコイル素子L1,L2は、それぞれ別のリアクトル5(5a,5b)内に収容されている。
【0031】
図7に示すごとく、半導体モジュール2内には、2セットの半導体素子23(IGBT素子およびフリーホイールダイオード素子)が封止されている。半導体素子23には、上アーム側半導体素子23aと、下アーム側半導体素子23bとがある。上アーム側半導体素子23aのコレクタ端子は、上述した高電圧端子22aとなっている。高電圧端子22aは高電圧バスバー14aに接続している。
【0032】
下アーム側半導体素子23bのエミッタ端子は、上述した接地端子22bとなっている。接地端子22bは、接地バスバー14bに接続している。
上アーム側半導体素子23aと下アーム側半導体素子23bには、それぞれフリーホイールダイオード素子250が逆並列接続している。
【0033】
上アーム側半導体素子23aのエミッタ端子と、下アーム側半導体素子23bのコレクタ端子とは、上述したリアクトル接続端子22cにそれぞれ接続している。
第1半導体モジュール2a〜第3半導体モジュール2cのリアクトル接続端子22cは、第1リアクトル接続バスバー14cを介して、第1コイル素子L1の一方の端子51に接続している。また、第4半導体モジュール2d〜第6半導体モジュール2fのリアクトル接続端子22cは、第2リアクトル接続バスバー14dを介して、第2コイル素子L2の一方の端子53に接続している。
【0034】
電力変換装置1は3個の入出力端子70を備える。入出力端子70には、直流電源100の正電極に接続される第1入出力端子70VLと、直流電源100の負電極に接続される第2入出力端子70Nと、外部装置に接続される第3入出力端子70VHとがある。接地バスバー14bは第2入出力端子70Nに接続しており、高電圧バスバー14aは第3入出力端子70VHに接続している。
【0035】
コイル素子L1,L2の他方の端子52,54は、第1入出力端子70VLに接続している。第1入出力端子70VLと第2入出力端子70Nとの間に、第1コンデンサ素子C1が設けられている。また、高電圧バスバー14aと接地バスバー14bとの間に、第2コンデンサ素子C2が設けられている。
【0036】
上アーム側半導体素子23aと下アーム側半導体素子23bのゲート端子は、上記制御回路基板3に接続している。制御回路基板3に形成した制御回路30によって、下アーム側半導体素子23bをオンオフ動作させ、直流電源100の電圧を昇圧している。制御回路30は、第1コイル素子L1に接続した3個の半導体モジュール2a〜2cと、第2コイル素子L2に接続した3個の半導体モジュール2d〜2fとを、互いに位相をずらしつつオンオフ動作させている。
【0037】
図3に示すごとく、高電圧バスバー14aは、板状の本体部143と、該本体部143に設けられた櫛歯状部144とを備える。櫛歯状部144は、半導体モジュール2の高電圧端子22aに接続している。本体部143には、コンデンサ4の第1端子41(図5参照)に接続するための接続端子141が形成されている。
【0038】
図4に示すごとく、接地バスバー14b(図4参照)も同様の構造になっており、板状の本体部145と、該本体部145に設けられた櫛歯状部146とを備える。櫛歯状部146は、半導体モジュール2の接地端子22bに接続している。本体部145には、コンデンサ4の第2端子42(図5参照)に接続するための接続端子142が形成されている。
【0039】
また、図3に示すごとく、本例の電力変換装置1は、第1リアクトル接続バスバー14cと、第2リアクトル接続バスバー14dとの、2個のリアクトル接続バスバーを備える。第1リアクトル接続バスバー14cは、第1半導体モジュール2a〜第3半導体モジュール2cのリアクトル接続端子22cに接続している。また、第2リアクトル接続バスバー14dは、第4半導体モジュール2d〜第6半導体モジュール2fのリアクトル接続端子22cに接続している。
【0040】
第1リアクトル接続バスバー14cには、第1リアクトル5aの第1端子51(図5参照)に接続するための電極端子147が形成されている。第2リアクトル接続バスバー14dには、第2リアクトル5bの第1端子53(図5参照)に接続するための電極端子148が形成されている。
【0041】
図5に示すごとく、本例の電力変換装置1は、第1リアクトル5aと第2リアクトル5bとの2個のリアクトル5と、コンデンサ4とを有する。そして、これらコンデンサ4とリアクトル5a,5bとがZ方向視において互いに重ならないように配置されている。第1リアクトル5aと第2リアクトル5bとは、X方向に隣接配置されている。また、コンデンサ4は、第1リアクトル5a及び第2リアクトル5bに対して、Y方向に隣接配置されている。
【0042】
コンデンサ4は、第1バスバー45と、第2バスバー46と、第3バスバー47との、3個のバスバーを備える。第1バスバー45は、第1コイル素子L1に接続した第3端子43と、第2コイル素子L2に接続した第4端子44と、第1入出力端子70VLが接続した第1端子締結部450とを有する。第2バスバー46は、接地バスバー14b(図4参照)に接続した第2端子42と、第2入出力端子70Nが接続した第2端子締結部460とを有する。第3バスバー47は、高電圧バスバー14a(図3参照)に接続した第1端子41と、第3入出力端子70VHが接続した第3端子締結部470とを有する。第1バスバー45と第2バスバー46との間には、第1コンデンサ素子C1が設けられ、第2バスバー46と第3バスバー47との間には、第2コンデンサ素子C2が設けられている。
【0043】
第1リアクトル5aは、第1端子51と第2端子52との2個の端子を備える。これら2個の端子51,52の間に、第1コイル素子L1が接続している。
また、第2リアクトル5bは、第1端子53と第2端子54との2個の端子を備える。これら2個の端子53,54の間に、第2コイル素子L2が接続している。
【0044】
第1リアクトル5aの第2端子52には、コンデンサ4の第3端子43が接続している。また、第2リアクトル5bの第2端子54には、コンデンサ4の第4端子44が接続している。
【0045】
第1リアクトルの第1端子51と、第1リアクトル接続バスバー14c(図3参照)の電極端子147とは、ボルト締結されている。また、第2リアクトルの第1端子53と、第2リアクトル接続バスバー14d(図3参照)の電極端子148とは、ボルト締結されている。
【0046】
コンデンサ4の第1端子41と、高電圧バスバー14a(図3参照)の接続端子141とは、ボルト締結されている。また、コンデンサ4の第2端子42と、接地バスバー14bの接続端子142とは、ボルト締結されている。
【0047】
図5に示すごとく、第1端子締結部450には、第1入出力端子70VLが締結しており、第2端子締結部460には第2入出力端子70Nが締結している。第3端子締結部470には第3入出力端子70VHが締結している。
【0048】
また、本例の電力変換装置1は、入出力端子70を固定するための端子台71を備える。端子台71は絶縁樹脂からなり、3本の入出力端子70の一部を封止している。図4、図5に示すごとく、Z方向から見た場合に、弾性部材17の一部と重なる位置に、端子台71が設けられている。
【0049】
本例の作用効果について説明する。図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、半導体モジュール2を冷却する冷却器(第2冷却器7)と、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却する冷却器(第1冷却器6)との、2個の冷却器を設けてある。このようにすると、第1冷却器6によって、コンデンサ4とリアクトル5とを冷却することができる。第1冷却器6は、第2冷却器7とは別に設けてあるので、コンデンサ4とリアクトル5を効率よく冷却することができる。これにより、コンデンサ4及びリアクトル5から発生する熱を低減し、電力変換装置1内の雰囲気温度の上昇を抑制し、制御回路基板3の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0050】
また、本例の電力変換装置1は、Z方向において、制御回路基板3と、積層体10と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とを、この順に配置してある。このようにすると、積層体10と第1冷却器6との間に、コンデンサ4及びリアクトル5が介在するため、コンデンサ4及びリアクトル5から発生する放射ノイズNを、積層体10および第1冷却器6によって遮蔽することができる。そのため、放射ノイズNが制御回路基板3に届きにくくなり、制御回路30が誤動作しにくくなる。
【0051】
また、本例では、Z方向から見た場合に、弾性部材17の一部と重なる位置に、端子台71が設けられている。
このようにすると、電力変換装置1を小型化することができる。すなわち、上記構成にすると、Z方向から見た場合に、弾性部材17の一部と端子台71とが重なっているため、Z方向から見た電力変換装置1の面積を小さくすることが可能になる。そのため、電力変換装置1を小型化しやすい。
また、本例では図1、図5に示すごとく、コンデンサ4に対してX方向に隣接し、かつ弾性部材17に対してZ方向に隣接するスペースSに、端子台71を配置できる。そのため、このスペースSを有効活用することができる。
【0052】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供することができる。
【0053】
また、本例では図1に示すごとく、弾性部材17の、X方向における積層体10側の端部170は、端子台71の、X方向におけるリアクトル5側の端部710よりも、X方向においてパイプ15,16側に位置している。また、フレーム81の上記一方の側壁811は、コンデンサ4との締結部715よりも、X方向における外側(パイプ15,16とは反対側)に位置している。
また、弾性部材17のZ方向における長さは、フレーム81のZ方向における長さよりも短い。フレーム81の端子台71側の端部819と、弾性部材17との間には隙間ESが形成されている。そして、端子台71の入出力端子70と、コンデンサ4の端子とを締結するボルト716の一部(頭部)が、隙間ES内に位置している。
このようにすると、隙間ES内にボルト716の一部を入れることができるため、ボルト716とフレーム81とが干渉することを防止でき、電力変換装置1の、Z方向における長さを短くすることができる。これにより、電力変換装置1を小型化することが可能になる。
【0054】
なお、本例では、冷媒流路11を内部に有する複数の冷却管12と、複数の半導体モジュール2とを積層して積層体10を構成したが、図8に示すごとく、半導体素子を内蔵した半導体モジュール2の本体部20と枠部28とを一体に備えた冷却器一体型半導体モジュール29を積層することにより、半導体モジュール2と冷媒流路11とが積層される構造にしてもよい。冷却器一体型半導体モジュール29の枠部28は、本体部20よりもX方向における幅が大きい。また、枠部28と本体部20との間には空間が設けられている。この空間が、冷媒流路11となる。
【0055】
(実施例2)
本例は、コンデンサ4と、リアクトル5と、端子台71の配置位置を変更した例である。図10に示すごとく、本例の電力変換装置1は、X方向に向って、第1リアクトル5aと、コンデンサ4と、第2リアクトル5bとをこの順に配置してある。
【0056】
コンデンサ4は、実施例1と同様に、第1端子締結部450と、第2端子締結部460と、第3端子締結部470との3個の端子締結部と、第1端子41〜第4端子44の4個の端子とを備える。第1端子41と、第2端子42と、3個の端子締結部450,460,470は、コンデンサ4からY方向に突出している。また、第3端子43と第4端子44は、X方向に向って互いに反対側に突出している。
【0057】
第1端子41と第3端子締結部470は一体化している。また、第2端子42と第2端子締結部460とは一体化している。第3入出力端子70VHは第3端子締結部470に締結され、第2入出力端子70Nは第2端子締結部460に締結されている。また、第1入出力端子70VLは第1端子締結部450に締結されている。
【0058】
第1端子41は、高電圧バスバー14a(図9参照)の接続端子141にボルト締結され、第2端子42は、接地バスバー14bの接続端子142にボルト締結されている。
【0059】
また、本例の電力変換装置1は、実施例1と同様に、端子台71を備える。図9、図10に示すごとく、本例では、Z方向から見た場合に、X方向とZ方向との双方に直交する幅方向(Y方向)において、積層体10に隣接する位置に、端子台71が設けられている。
【0060】
第1リアクトル5aの第1端子51と、第2リアクトル5bの第1端子53とは、Y方向における、端子台71を設けた側とは反対側にそれぞれ突出している。第1リアクトル5aの第1端子51は、第1リアクトル接続バスバー14c(図9参照)の電極端子147に接続している。第2リアクトル5bの第1端子53は、第2リアクトル接続バスバー14d(図9参照)の電極端子148に接続している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0061】
本例の作用効果について説明する。
本例では、Z方向から見た場合に、Y方向における、積層体10に隣接する位置に、端子台71が設けられている。
このようにすると、電力変換装置1を小型化することができる。すなわち、電力変換装置1は、多数の半導体モジュール2と多数の冷媒流路11とを積層した積層体10を備えるため、X方向に長くなりやすい。そのため、仮に、Z方向から見た場合に、X方向における、積層体10に隣接する位置に端子台71を設けたとすると、電力変換装置1のX方向の長さが更に長くなり、電力変換装置1が大型化することがある。しかしながら、Z方向から見た場合に、Y方向における、積層体10に隣接する位置に端子台71を設ければ、電力変換装置1のX方向の長さを抑制でき、電力変換装置1が大型化することを防止できる。
【0062】
また、本例では、第1端子41と、第2端子42と、3個の端子締結部450,460,470が、コンデンサ4から同一方向(Y方向)に突出しているため、締結作業を行いやすい。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0063】
(実施例3)
本例は、コンデンサ4の端子締結部450,460,470の延出方向を変えた例である。図11に示すごとく、本例では、第1端子締結部450と、第2端子締結部460と、第3端子締結部470とが、それぞれY方向における一方側に延出し、第1端子41と第2端子42とが、それぞれY方向における他方側に延出している。
その他、実施例2と同様の構成を備える。
【0064】
本例の作用効果について説明する。本例では、端子締結部450,460,470がY方向における一方側に延出し、端子41,42がY方向における他方側に延出しているため、電力変換装置1のレイアウト自由度を上げることが可能になる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0065】
(実施例4)
本例は、第1冷却器6と第2冷却器7とを空冷式にした例である。図12、図13に示すごとく、第1冷却器6には貫通穴60が形成されている。第2冷却器7の冷媒流路11と貫通穴60とは、それぞれY方向に貫通している。
【0066】
図13に示すごとく、収納ケース8の壁部には、第1冷却器6に対応した位置に第1穴部82が形成され、第2冷却器7に対応した位置に第2穴部83が形成されている。そして、収納ケース8外に送風機(図示しない)を配置し、冷媒流路11と貫通穴60とにそれぞれ送風することにより、半導体モジュール2、コンデンサ4、リアクトル5を冷却するようになっている。
【0067】
なお、収納ケース8内に水等が入らないように、穴部82,83の周辺は、シール部材(図示しない)によってシールされている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0068】
本例の作用効果について説明する。本例では、送風機を使って、貫通穴60と冷媒流路11とに送風することにより、半導体モジュール2と、コンデンサ4と、リアクトル5とを冷却することができる。また、貫通穴60と冷媒流路11とはそれぞれ同一方向に貫通しているため、貫通穴60用の送風機と、冷媒流路11用の送風機とを別々に設ける必要はなく、1個の送風機を使って、冷媒流路11と貫通穴60とにそれぞれ送風することが可能となる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0069】
1 電力変換装置
10 積層体
11 冷媒流路
2 半導体モジュール
21 制御端子
22 パワー端子
3 制御回路基板
4 コンデンサ
5 リアクトル
6 第1冷却器
7 第2冷却器
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを備えた電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DC−DCコンバータ等の電力変換装置として、図14に示すごとく、複数の半導体モジュール92と、複数の冷却管912とを積層した積層体910を備えたものが知られている(下記特許文献参照)。半導体モジュール92は、IGBT素子等の半導体素子を内蔵した本体部920と、該本体部920から突出した制御端子921およびパワー端子922を備える。冷却管912の内部には、冷媒919が流れる冷媒流路99が形成されている。冷媒919を流すことによって、半導体モジュール92を冷却している。
【0003】
また、電力変換装置9は、コンデンサ94とリアクトル95とを備える。コンデンサ94及びリアクトル95は、図示しないバスバーによって、半導体モジュール92のパワー端子922と電気的に接続している。これらコンデンサ94と、リアクトル95と、半導体モジュール92とによって電力変換回路を構成してある。
【0004】
半導体モジュール92の制御端子921には、制御回路基板93が接続している。この制御回路基板93に形成された制御回路930によって、半導体モジュール92のスイッチング動作を制御している。制御回路基板93と、積層体910やリアクトル95等は収納ケース98内に収納されている。また、収納ケース98にはカバー980が取り付けられ、水や埃等が入らないよう密閉されている。
【0005】
リアクトル95は、複数の冷却管912のうち、積層体910の積層方向(X方向)における一端に位置する冷却管912aに接触している。この冷却管912aによって、リアクトル95を冷却している。コンデンサ94を冷却する部品は特に設けられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4396627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電力変換装置9は、半導体モジュール92を冷却するための冷却管912aを、リアクトル95の冷却に兼用しているため、リアクトル95を充分に冷却することができなかった。また、コンデンサ94を冷却する冷却器は特に設けられていないため、温度が上昇しやすかった。そのため、リアクトル95やコンデンサ94から発生した熱Hによって、収納ケース98内の空気の温度が上昇しやすくなり、制御回路基板93を構成する電子部品が故障しやすくなるという問題があった。
【0008】
また、電力変換装置9を稼動すると、リアクトル95やコンデンサ94から放射ノイズNが発生する。従来の電力変換装置9は、制御回路基板93とリアクトル95とが隣接配置されており、これらの間に放射ノイズNを遮るものがないため、制御回路930が、リアクトル95から発生した放射ノイズNの影響を受けやすく、誤動作しやすいという問題があった。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、半導体素子を内蔵した本体部から制御端子およびパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
上記制御端子に接続され、上記半導体モジュールのスイッチング動作を制御する制御回路基板と、
上記半導体モジュールの上記パワー端子に電気的に接続されるコンデンサ及びリアクトルと、
上記コンデンサ及び上記リアクトルを冷却する第1冷却器とを備え、
上記コンデンサ及び上記リアクトルは、上記冷却器の冷却面にそれぞれ載置され、
上記複数の冷媒流路により、上記半導体モジュールを冷却する第2冷却器が構成され、
上記制御端子の突出方向において、上記制御回路基板と、上記積層体と、上記コンデンサ及び上記リアクトルと、上記第1冷却器とが、この順に配置されていることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0011】
上記電力変換装置においては、半導体モジュールを冷却する冷却器(上記第2冷却器)と、コンデンサ及びリアクトルを冷却する冷却器(上記第1冷却器)との、2個の冷却器を設けてある。このようにすると、第1冷却器によって、コンデンサのみならず、リアクトルをも冷却することができる。また、第1冷却器は、第2冷却器とは別に設けてあるので冷却効率が高く、コンデンサとリアクトルを効率よく冷却することができる。これにより、コンデンサ及びリアクトルから発生する熱を低減し、電力変換装置内の雰囲気温度の上昇を抑制し、制御回路基板の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0012】
また、上記電力変換装置は、上記突出方向において、制御回路基板と、積層体と、コンデンサ及びリアクトルと、第1冷却器とを、この順に配置してある。このようにすると、積層体と第1冷却器との間にコンデンサ及びリアクトルが介在するため、コンデンサ及びリアクトルから発生する放射ノイズを、積層体および第1冷却器によって遮蔽することができる。そのため、放射ノイズが制御回路基板に届きにくくなり、制御回路基板に形成した制御回路が誤動作しにくくなる。
【0013】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電力変換装置の断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】図3の高電圧バスバーおよびリアクトル接続バスバーを取り除いた図。
【図5】図1のC−C断面図。
【図6】図1のD−D断面図。
【図7】実施例1における、電力変換装置の回路図。
【図8】実施例1における、半導体モジュールと冷媒流路を一体化した例。
【図9】実施例2における、電力変換装置の断面図。
【図10】実施例2における、コンデンサおよびリアクトルを含む平面における電力変換装置の断面図。
【図11】実施例3における、コンデンサおよびリアクトルを含む平面における電力変換装置の断面図。
【図12】実施例4における、電力変換装置の断面図。
【図13】実施例4における、電力変換装置の側面図。
【図14】従来例における、電力変換装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記電力変換装置において、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台と、上記積層体を積層方向に押圧して固定する弾性部材とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記弾性部材の少なくとも一部と重なる位置に、上記端子台が設けられていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、電力変換装置を小型化することができる。すなわち、上記構成にすると、上記突出方向から見た場合に、弾性部材の少なくとも一部と端子台とが重なっているため、突出方向から見た電力変換装置の面積を小さくすることが可能になる。そのため、電力変換装置を小型化しやすい。
【0016】
また、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向における、上記積層体に隣接する位置に、上記端子台が設けられていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、電力変換装置を小型化することができる。すなわち、電力変換装置は、多数の半導体モジュールと多数の冷媒流路とを積層した上記積層体を備えるため、上記積層方向に長くなりやすい。そのため、仮に、上記突出方向から見た場合に、積層方向における、積層体に隣接する位置に端子台を設けたとすると、電力変換装置の積層方向の長さが更に長くなり、電力変換装置が大型化することがある。しかしながら、上記突出方向から見た場合に、上記幅方向における、積層体に隣接する位置に端子台を設ければ、電力変換装置の積層方向の長さを抑制でき、電力変換装置が大型化することを防止できる。
【0017】
また、上記第1冷却器と上記第2冷却器とは空冷式であり、上記第1冷却器には貫通穴が形成され、上記冷媒流路と上記貫通穴とは、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向に貫通しており、上記冷媒流路と上記貫通穴とにそれぞれ空気が流れるよう構成されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、例えば、送風機を使って、上記貫通穴と上記冷媒流路とに送風することにより、半導体モジュールと、コンデンサと、リアクトルとを冷却することができる。また、貫通穴と冷媒流路とはそれぞれ同一方向に貫通しているため、貫通穴用の送風機と、冷媒流路用の送風機とを別々に設ける必要はなく、1個の送風機を使って、冷媒流路と貫通穴とにそれぞれ送風することが可能となる。
【実施例】
【0018】
(実施例1)
電力変換装置に係る実施例について、図1〜図8を用いて説明する。
図1、図2に示すごとく、本例の電力変換装置1は、積層体10と、制御回路基板3と、コンデンサ4と、リアクトル5と、第1冷却器6とを備える。積層体10は、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路11とを積層してなる。
半導体モジュール2は、半導体素子23(図7参照)を内蔵した本体部20を備える。この本体部20から制御端子21およびパワー端子22がそれぞれ反対方向に突出している。
冷媒流路11には、半導体モジュール2を冷却する冷媒19が流れる。
【0019】
制御回路基板3は制御端子21に接続されている。制御回路基板3には、制御回路30が形成されている。この制御回路30によって、半導体モジュール2のスイッチング動作を制御する。
コンデンサ4及びリアクトル5は、半導体モジュール2のパワー端子22に電気的に接続されている。
第1冷却器6は、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却する。
【0020】
コンデンサ4及びリアクトル5は、第1冷却器6の冷却面69にそれぞれ載置されている。
また、複数の冷媒流路11により、半導体モジュール2を冷却する第2冷却器7が構成されている。
制御端子21の突出方向(Z方向)において、制御回路基板3と、積層体10と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とが、この順に配置されている。
【0021】
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車に搭載される車載用電力変換装置である。また、本例の電力変換装置1は、直流電源100(図7参照)の電圧を昇圧するためのDC−DCコンバータである。
【0022】
積層体10やコンデンサ4等は、収納ケース8内に収納されている。また、収納ケース8にはカバー80が取り付けられ、水や埃等が入らないよう密閉されている。
【0023】
コンデンサ4とリアクトル5とは、バスバー14によって、半導体モジュール2のパワー端子22に接続されている。また、電力変換装置1は、外部機器と接続するための入出力端子70と、該入出力端子70を固定する端子台71とを備える。
【0024】
図4に示すごとく、積層体10は、冷却管12と半導体モジュール2とを積層してなる。冷却管12の内部に、上記冷媒流路11が形成されている。また、積層体10の積層方向(X方向)に隣り合う2個の冷却管12は、連結管120によって連結されている。連結管120は、冷却管12の長手方向(Y方向)における、冷却管12の両端に設けられている。また、複数の冷却管12のうち、X方向における一端に位置する冷却管12aには、冷媒19を積層体10内に導入するための積層体側導入パイプ15と、積層体10から冷媒19が導出される積層体側導出パイプ16とが取り付けられている。積層体側導入パイプ15から冷媒19を導入すると、冷媒19は連結管120を通って全ての冷却管12を流れ、積層体側導出パイプ16から導出される。これにより、半導体モジュール2を冷却している。
【0025】
また、積層体10はフレーム81内に固定されている。フレーム81は、Z方向から見た形状が矩形状である。フレーム81の、X方向に直交する2つの側壁811,812のうち、一方の側壁811と積層体10との間に弾性部材17(板ばね)が設けられている。この弾性部材17によって積層体10をX方向に押圧し、他方の側壁812(パイプ15,16を設けた側の側壁)に押し当てて固定している。
なお、本例では、一方の側壁811と積層体10との間に弾性部材17を設けたが、他方の側壁812と積層体10との間に弾性部材17を設けてもよい。この場合、積層体10は一方の側壁811に向けて押圧されることになる。
【0026】
図2に示すごとく、半導体モジュール2は3本のパワー端子22(22a,22b,22c)を備える。パワー端子22には、昇圧後の電圧が加わる高電圧端子22a(図7参照)と、接地された接地端子22bと、リアクトル5に接続されたリアクトル接続端子22cとがある。高電圧端子22aには高電圧バスバー14aが接続し、接地端子22bには接地バスバー14bが接続している。また、リアクトル接続端子22cにはリアクトル接続バスバー14c,14d(図3参照)が接続している。これらのバスバー14によって、コンデンサ4及びリアクトル5と、パワー端子22とを電気的に接続し、電力変換回路を構成している。
【0027】
図6に示すごとく、第1冷却器6は、Z方向から見た場合の形状が略矩形状である。第1冷却器6は、第1側壁61と、第2側壁62と、第3側壁63と、第4側壁64との4個の側壁を備える。また、第1冷却器6は、第1仕切板65と第2仕切板66との2個の仕切板を有する。この2個の仕切板65,66によって、第1冷却器6の内部は、第1室601と、第2室602と、第3室603との3個の部屋に分けられている。第1室601と第2室602との間は、第1連通部611において連通している。また、第2室602と第3室との間は、第2連通部612において連通している。第1連通部611は第4側壁64に隣接形成され、第2連通部612は第3側壁63に隣接形成されている。
【0028】
第3側壁63には、冷媒19を第1冷却器6内に導入するための導入パイプ67が設けられている。また、第4側壁64には、第1冷却器6から冷媒19が導出する導出パイプ68が設けられている。第3側壁63から冷媒19を導入すると、冷媒19は第1室601、第1連通部611、第2室602、第2連通部612、第3室603を通り、導出パイプ68から導出される。これにより、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却している。
【0029】
図1に示すごとく、導出パイプ68と積層体側導入パイプ15とは、ホース18によって接続している。導出パイプ68から導出した冷媒19は、ホース18を流れ、積層体側導入パイプ15を通って積層体10内(図4参照)内に導入される。その後、上述したように、冷媒19は積層体側導出パイプ16から導出される。
【0030】
次に、電力変換装置1の回路の説明をする。図7に示すごとく、本例の電力変換装置1は、直流電源100の電圧を昇圧するDC−DCコンバータを構成している。電力変換装置1は、2個のコンデンサ素子C1,C2と、2個のコイル素子L1,L2と、6個の半導体モジュール2とを備える。2個のコンデンサ素子C1,C2は、図5に示すごとく1個のコンデンサ4(コンデンサモジュール)内に収容されている。また、2個のコイル素子L1,L2は、それぞれ別のリアクトル5(5a,5b)内に収容されている。
【0031】
図7に示すごとく、半導体モジュール2内には、2セットの半導体素子23(IGBT素子およびフリーホイールダイオード素子)が封止されている。半導体素子23には、上アーム側半導体素子23aと、下アーム側半導体素子23bとがある。上アーム側半導体素子23aのコレクタ端子は、上述した高電圧端子22aとなっている。高電圧端子22aは高電圧バスバー14aに接続している。
【0032】
下アーム側半導体素子23bのエミッタ端子は、上述した接地端子22bとなっている。接地端子22bは、接地バスバー14bに接続している。
上アーム側半導体素子23aと下アーム側半導体素子23bには、それぞれフリーホイールダイオード素子250が逆並列接続している。
【0033】
上アーム側半導体素子23aのエミッタ端子と、下アーム側半導体素子23bのコレクタ端子とは、上述したリアクトル接続端子22cにそれぞれ接続している。
第1半導体モジュール2a〜第3半導体モジュール2cのリアクトル接続端子22cは、第1リアクトル接続バスバー14cを介して、第1コイル素子L1の一方の端子51に接続している。また、第4半導体モジュール2d〜第6半導体モジュール2fのリアクトル接続端子22cは、第2リアクトル接続バスバー14dを介して、第2コイル素子L2の一方の端子53に接続している。
【0034】
電力変換装置1は3個の入出力端子70を備える。入出力端子70には、直流電源100の正電極に接続される第1入出力端子70VLと、直流電源100の負電極に接続される第2入出力端子70Nと、外部装置に接続される第3入出力端子70VHとがある。接地バスバー14bは第2入出力端子70Nに接続しており、高電圧バスバー14aは第3入出力端子70VHに接続している。
【0035】
コイル素子L1,L2の他方の端子52,54は、第1入出力端子70VLに接続している。第1入出力端子70VLと第2入出力端子70Nとの間に、第1コンデンサ素子C1が設けられている。また、高電圧バスバー14aと接地バスバー14bとの間に、第2コンデンサ素子C2が設けられている。
【0036】
上アーム側半導体素子23aと下アーム側半導体素子23bのゲート端子は、上記制御回路基板3に接続している。制御回路基板3に形成した制御回路30によって、下アーム側半導体素子23bをオンオフ動作させ、直流電源100の電圧を昇圧している。制御回路30は、第1コイル素子L1に接続した3個の半導体モジュール2a〜2cと、第2コイル素子L2に接続した3個の半導体モジュール2d〜2fとを、互いに位相をずらしつつオンオフ動作させている。
【0037】
図3に示すごとく、高電圧バスバー14aは、板状の本体部143と、該本体部143に設けられた櫛歯状部144とを備える。櫛歯状部144は、半導体モジュール2の高電圧端子22aに接続している。本体部143には、コンデンサ4の第1端子41(図5参照)に接続するための接続端子141が形成されている。
【0038】
図4に示すごとく、接地バスバー14b(図4参照)も同様の構造になっており、板状の本体部145と、該本体部145に設けられた櫛歯状部146とを備える。櫛歯状部146は、半導体モジュール2の接地端子22bに接続している。本体部145には、コンデンサ4の第2端子42(図5参照)に接続するための接続端子142が形成されている。
【0039】
また、図3に示すごとく、本例の電力変換装置1は、第1リアクトル接続バスバー14cと、第2リアクトル接続バスバー14dとの、2個のリアクトル接続バスバーを備える。第1リアクトル接続バスバー14cは、第1半導体モジュール2a〜第3半導体モジュール2cのリアクトル接続端子22cに接続している。また、第2リアクトル接続バスバー14dは、第4半導体モジュール2d〜第6半導体モジュール2fのリアクトル接続端子22cに接続している。
【0040】
第1リアクトル接続バスバー14cには、第1リアクトル5aの第1端子51(図5参照)に接続するための電極端子147が形成されている。第2リアクトル接続バスバー14dには、第2リアクトル5bの第1端子53(図5参照)に接続するための電極端子148が形成されている。
【0041】
図5に示すごとく、本例の電力変換装置1は、第1リアクトル5aと第2リアクトル5bとの2個のリアクトル5と、コンデンサ4とを有する。そして、これらコンデンサ4とリアクトル5a,5bとがZ方向視において互いに重ならないように配置されている。第1リアクトル5aと第2リアクトル5bとは、X方向に隣接配置されている。また、コンデンサ4は、第1リアクトル5a及び第2リアクトル5bに対して、Y方向に隣接配置されている。
【0042】
コンデンサ4は、第1バスバー45と、第2バスバー46と、第3バスバー47との、3個のバスバーを備える。第1バスバー45は、第1コイル素子L1に接続した第3端子43と、第2コイル素子L2に接続した第4端子44と、第1入出力端子70VLが接続した第1端子締結部450とを有する。第2バスバー46は、接地バスバー14b(図4参照)に接続した第2端子42と、第2入出力端子70Nが接続した第2端子締結部460とを有する。第3バスバー47は、高電圧バスバー14a(図3参照)に接続した第1端子41と、第3入出力端子70VHが接続した第3端子締結部470とを有する。第1バスバー45と第2バスバー46との間には、第1コンデンサ素子C1が設けられ、第2バスバー46と第3バスバー47との間には、第2コンデンサ素子C2が設けられている。
【0043】
第1リアクトル5aは、第1端子51と第2端子52との2個の端子を備える。これら2個の端子51,52の間に、第1コイル素子L1が接続している。
また、第2リアクトル5bは、第1端子53と第2端子54との2個の端子を備える。これら2個の端子53,54の間に、第2コイル素子L2が接続している。
【0044】
第1リアクトル5aの第2端子52には、コンデンサ4の第3端子43が接続している。また、第2リアクトル5bの第2端子54には、コンデンサ4の第4端子44が接続している。
【0045】
第1リアクトルの第1端子51と、第1リアクトル接続バスバー14c(図3参照)の電極端子147とは、ボルト締結されている。また、第2リアクトルの第1端子53と、第2リアクトル接続バスバー14d(図3参照)の電極端子148とは、ボルト締結されている。
【0046】
コンデンサ4の第1端子41と、高電圧バスバー14a(図3参照)の接続端子141とは、ボルト締結されている。また、コンデンサ4の第2端子42と、接地バスバー14bの接続端子142とは、ボルト締結されている。
【0047】
図5に示すごとく、第1端子締結部450には、第1入出力端子70VLが締結しており、第2端子締結部460には第2入出力端子70Nが締結している。第3端子締結部470には第3入出力端子70VHが締結している。
【0048】
また、本例の電力変換装置1は、入出力端子70を固定するための端子台71を備える。端子台71は絶縁樹脂からなり、3本の入出力端子70の一部を封止している。図4、図5に示すごとく、Z方向から見た場合に、弾性部材17の一部と重なる位置に、端子台71が設けられている。
【0049】
本例の作用効果について説明する。図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、半導体モジュール2を冷却する冷却器(第2冷却器7)と、コンデンサ4及びリアクトル5を冷却する冷却器(第1冷却器6)との、2個の冷却器を設けてある。このようにすると、第1冷却器6によって、コンデンサ4とリアクトル5とを冷却することができる。第1冷却器6は、第2冷却器7とは別に設けてあるので、コンデンサ4とリアクトル5を効率よく冷却することができる。これにより、コンデンサ4及びリアクトル5から発生する熱を低減し、電力変換装置1内の雰囲気温度の上昇を抑制し、制御回路基板3の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0050】
また、本例の電力変換装置1は、Z方向において、制御回路基板3と、積層体10と、コンデンサ4及びリアクトル5と、第1冷却器6とを、この順に配置してある。このようにすると、積層体10と第1冷却器6との間に、コンデンサ4及びリアクトル5が介在するため、コンデンサ4及びリアクトル5から発生する放射ノイズNを、積層体10および第1冷却器6によって遮蔽することができる。そのため、放射ノイズNが制御回路基板3に届きにくくなり、制御回路30が誤動作しにくくなる。
【0051】
また、本例では、Z方向から見た場合に、弾性部材17の一部と重なる位置に、端子台71が設けられている。
このようにすると、電力変換装置1を小型化することができる。すなわち、上記構成にすると、Z方向から見た場合に、弾性部材17の一部と端子台71とが重なっているため、Z方向から見た電力変換装置1の面積を小さくすることが可能になる。そのため、電力変換装置1を小型化しやすい。
また、本例では図1、図5に示すごとく、コンデンサ4に対してX方向に隣接し、かつ弾性部材17に対してZ方向に隣接するスペースSに、端子台71を配置できる。そのため、このスペースSを有効活用することができる。
【0052】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサ及びリアクトルを冷却しやすく、制御回路が誤動作しにくい電力変換装置を提供することができる。
【0053】
また、本例では図1に示すごとく、弾性部材17の、X方向における積層体10側の端部170は、端子台71の、X方向におけるリアクトル5側の端部710よりも、X方向においてパイプ15,16側に位置している。また、フレーム81の上記一方の側壁811は、コンデンサ4との締結部715よりも、X方向における外側(パイプ15,16とは反対側)に位置している。
また、弾性部材17のZ方向における長さは、フレーム81のZ方向における長さよりも短い。フレーム81の端子台71側の端部819と、弾性部材17との間には隙間ESが形成されている。そして、端子台71の入出力端子70と、コンデンサ4の端子とを締結するボルト716の一部(頭部)が、隙間ES内に位置している。
このようにすると、隙間ES内にボルト716の一部を入れることができるため、ボルト716とフレーム81とが干渉することを防止でき、電力変換装置1の、Z方向における長さを短くすることができる。これにより、電力変換装置1を小型化することが可能になる。
【0054】
なお、本例では、冷媒流路11を内部に有する複数の冷却管12と、複数の半導体モジュール2とを積層して積層体10を構成したが、図8に示すごとく、半導体素子を内蔵した半導体モジュール2の本体部20と枠部28とを一体に備えた冷却器一体型半導体モジュール29を積層することにより、半導体モジュール2と冷媒流路11とが積層される構造にしてもよい。冷却器一体型半導体モジュール29の枠部28は、本体部20よりもX方向における幅が大きい。また、枠部28と本体部20との間には空間が設けられている。この空間が、冷媒流路11となる。
【0055】
(実施例2)
本例は、コンデンサ4と、リアクトル5と、端子台71の配置位置を変更した例である。図10に示すごとく、本例の電力変換装置1は、X方向に向って、第1リアクトル5aと、コンデンサ4と、第2リアクトル5bとをこの順に配置してある。
【0056】
コンデンサ4は、実施例1と同様に、第1端子締結部450と、第2端子締結部460と、第3端子締結部470との3個の端子締結部と、第1端子41〜第4端子44の4個の端子とを備える。第1端子41と、第2端子42と、3個の端子締結部450,460,470は、コンデンサ4からY方向に突出している。また、第3端子43と第4端子44は、X方向に向って互いに反対側に突出している。
【0057】
第1端子41と第3端子締結部470は一体化している。また、第2端子42と第2端子締結部460とは一体化している。第3入出力端子70VHは第3端子締結部470に締結され、第2入出力端子70Nは第2端子締結部460に締結されている。また、第1入出力端子70VLは第1端子締結部450に締結されている。
【0058】
第1端子41は、高電圧バスバー14a(図9参照)の接続端子141にボルト締結され、第2端子42は、接地バスバー14bの接続端子142にボルト締結されている。
【0059】
また、本例の電力変換装置1は、実施例1と同様に、端子台71を備える。図9、図10に示すごとく、本例では、Z方向から見た場合に、X方向とZ方向との双方に直交する幅方向(Y方向)において、積層体10に隣接する位置に、端子台71が設けられている。
【0060】
第1リアクトル5aの第1端子51と、第2リアクトル5bの第1端子53とは、Y方向における、端子台71を設けた側とは反対側にそれぞれ突出している。第1リアクトル5aの第1端子51は、第1リアクトル接続バスバー14c(図9参照)の電極端子147に接続している。第2リアクトル5bの第1端子53は、第2リアクトル接続バスバー14d(図9参照)の電極端子148に接続している。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0061】
本例の作用効果について説明する。
本例では、Z方向から見た場合に、Y方向における、積層体10に隣接する位置に、端子台71が設けられている。
このようにすると、電力変換装置1を小型化することができる。すなわち、電力変換装置1は、多数の半導体モジュール2と多数の冷媒流路11とを積層した積層体10を備えるため、X方向に長くなりやすい。そのため、仮に、Z方向から見た場合に、X方向における、積層体10に隣接する位置に端子台71を設けたとすると、電力変換装置1のX方向の長さが更に長くなり、電力変換装置1が大型化することがある。しかしながら、Z方向から見た場合に、Y方向における、積層体10に隣接する位置に端子台71を設ければ、電力変換装置1のX方向の長さを抑制でき、電力変換装置1が大型化することを防止できる。
【0062】
また、本例では、第1端子41と、第2端子42と、3個の端子締結部450,460,470が、コンデンサ4から同一方向(Y方向)に突出しているため、締結作業を行いやすい。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0063】
(実施例3)
本例は、コンデンサ4の端子締結部450,460,470の延出方向を変えた例である。図11に示すごとく、本例では、第1端子締結部450と、第2端子締結部460と、第3端子締結部470とが、それぞれY方向における一方側に延出し、第1端子41と第2端子42とが、それぞれY方向における他方側に延出している。
その他、実施例2と同様の構成を備える。
【0064】
本例の作用効果について説明する。本例では、端子締結部450,460,470がY方向における一方側に延出し、端子41,42がY方向における他方側に延出しているため、電力変換装置1のレイアウト自由度を上げることが可能になる。
その他、実施例2と同様の作用効果を有する。
【0065】
(実施例4)
本例は、第1冷却器6と第2冷却器7とを空冷式にした例である。図12、図13に示すごとく、第1冷却器6には貫通穴60が形成されている。第2冷却器7の冷媒流路11と貫通穴60とは、それぞれY方向に貫通している。
【0066】
図13に示すごとく、収納ケース8の壁部には、第1冷却器6に対応した位置に第1穴部82が形成され、第2冷却器7に対応した位置に第2穴部83が形成されている。そして、収納ケース8外に送風機(図示しない)を配置し、冷媒流路11と貫通穴60とにそれぞれ送風することにより、半導体モジュール2、コンデンサ4、リアクトル5を冷却するようになっている。
【0067】
なお、収納ケース8内に水等が入らないように、穴部82,83の周辺は、シール部材(図示しない)によってシールされている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0068】
本例の作用効果について説明する。本例では、送風機を使って、貫通穴60と冷媒流路11とに送風することにより、半導体モジュール2と、コンデンサ4と、リアクトル5とを冷却することができる。また、貫通穴60と冷媒流路11とはそれぞれ同一方向に貫通しているため、貫通穴60用の送風機と、冷媒流路11用の送風機とを別々に設ける必要はなく、1個の送風機を使って、冷媒流路11と貫通穴60とにそれぞれ送風することが可能となる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0069】
1 電力変換装置
10 積層体
11 冷媒流路
2 半導体モジュール
21 制御端子
22 パワー端子
3 制御回路基板
4 コンデンサ
5 リアクトル
6 第1冷却器
7 第2冷却器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵した本体部から制御端子およびパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
上記制御端子に接続され、上記半導体モジュールのスイッチング動作を制御する制御回路基板と、
上記半導体モジュールの上記パワー端子に電気的に接続されるコンデンサ及びリアクトルと、
上記コンデンサ及び上記リアクトルを冷却する第1冷却器とを備え、
上記コンデンサ及び上記リアクトルは、上記冷却器の冷却面にそれぞれ載置され、
上記複数の冷媒流路により、上記半導体モジュールを冷却する第2冷却器が構成され、
上記制御端子の突出方向において、上記制御回路基板と、上記積層体と、上記コンデンサ及び上記リアクトルと、上記第1冷却器とが、この順に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台と、上記積層体を積層方向に押圧して固定する弾性部材とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記弾性部材の少なくとも一部と重なる位置に、上記端子台が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置において、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向における、上記積層体に隣接する位置に、上記端子台が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記第1冷却器と上記第2冷却器とは空冷式であり、上記第1冷却器には貫通穴が形成され、上記冷媒流路と上記貫通穴とは、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向に貫通しており、上記冷媒流路と上記貫通穴とにそれぞれ空気が流れるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項1】
半導体素子を内蔵した本体部から制御端子およびパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
上記制御端子に接続され、上記半導体モジュールのスイッチング動作を制御する制御回路基板と、
上記半導体モジュールの上記パワー端子に電気的に接続されるコンデンサ及びリアクトルと、
上記コンデンサ及び上記リアクトルを冷却する第1冷却器とを備え、
上記コンデンサ及び上記リアクトルは、上記冷却器の冷却面にそれぞれ載置され、
上記複数の冷媒流路により、上記半導体モジュールを冷却する第2冷却器が構成され、
上記制御端子の突出方向において、上記制御回路基板と、上記積層体と、上記コンデンサ及び上記リアクトルと、上記第1冷却器とが、この順に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台と、上記積層体を積層方向に押圧して固定する弾性部材とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記弾性部材の少なくとも一部と重なる位置に、上記端子台が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置において、外部機器と接続するための入出力端子と、該入出力端子を固定する端子台とを備え、上記突出方向から見た場合に、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向における、上記積層体に隣接する位置に、上記端子台が設けられていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記第1冷却器と上記第2冷却器とは空冷式であり、上記第1冷却器には貫通穴が形成され、上記冷媒流路と上記貫通穴とは、上記積層体の積層方向と上記突出方向との双方に直交する幅方向に貫通しており、上記冷媒流路と上記貫通穴とにそれぞれ空気が流れるよう構成されていることを特徴とする電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−51747(P2013−51747A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186813(P2011−186813)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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