電動シリンダ及び電動シリンダシステム
【課題】 荷重検出を可能としながら、構成を簡素化でき、且つ軸方向の長さを縮小して小型化を実現するとともに、電動シリンダを有するシステム構成の柔軟化を実現する電動シリンダを提供する。
【解決手段】 一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、前記外筒体の外周であって前記軸受が設けられた位置と前記固定部との間の位置に設けられる歪検出部とを備える。
【解決手段】 一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、前記外筒体の外周であって前記軸受が設けられた位置と前記固定部との間の位置に設けられる歪検出部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧入装置やプレス装置に用いられ、電動機の回転運動を直線運動に変換する電動シリンダ及びこれを用いた電動シリンダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種装置に用いられる電動シリンダとして、例えば特開平8−117970号公報やCN1074820Cに記載されたものがある。この電動シリンダは、ねじ棒に螺合されたボールナットに取り付けられたピストンと、ねじ棒を回転制御するモータと、ピストンの前面に設けられた中空ロッドと、中空ロッドの中空部に挿入され、ねじ棒の先端に回転自在に設けた支持体と、を備える。中空ロッドの先端のロッドヘッドには、取付板を介してウレタンゴムが取り付けられ、このウレタンゴムの先端には金属保護板が設けられている。この電動シリンダは、高温に強く、且つ衝撃を弱めることができるので、重量のある高温状態の物体を押し出す押し出し装置や、受け止める受け止め装置に用いられるのに適している。
【0003】
また、電動シリンダとして、例えば特開平9−271154号公報やCN1182504Aに記載されたものがある。この電動シリンダは、電動機と、該電動機に電動部材を介して連結する複数本平行のボールねじと、該ボールねじと螺合する複数個のボールナットと、ボールナットを一体に固定するスライダと、該スライダに固定したロッドとを備えている。さらに、電動シリンダとして、特開平9−289755号公報やCN1189254Aに記載されたものがある。さらにまた、特開平9−215264号公報やCN1120306Cに記載されたものがある。
【0004】
上述したような電動シリンダを例えば圧入装置やプレス装置に用いる場合に、ロッドにより押す出す荷重の検出を行うことが望まれる場合がある。荷重検出を行う場合には、例えば電動シリンダのロッド先端にロードセル等の荷重変換器を設けることが考えられる。このロードセルにより検出された荷重値を用いることにより、圧入の際の押圧力の良否判定を行うことや、目標荷重まで監視しながらプレスを行う等の動作を可能とする。
【0005】
しかしながら、例えば図13(a)に示すように電動シリンダ401のロッド403の先端にロードセル410を設けた場合(治具412の手前に設けた場合)には、以下のような問題がある。図13(a)に示すように、ロードセル410には出力ケーブル411が接続されることとなり、外筒体402に対するロッド403の繰り返しの往復運動によるケーブル411の屈曲動作により、このケーブル410が断線(P1部分等)する等の問題が生じる可能性がある。また、この電動シリンダ401を用いた装置による加工対象によってはロードセル自体や、出力ケーブルが干渉(P2部分等)する場合があり、干渉を回避するために例えば図13(a)に示す治具412に換えて図13(b)に示すように必要以上に長い治具413を用いる必要が生じる等の問題が生じる可能性がある。また、軸方向の制限があるために長い治具で対応ができない場合には、電動シリンダ自体が使用できなくなる場面も生じうるといった問題がある。このように、荷重検出を必要とする場合に、構成を簡素化することや、軸方向の長さを縮小して小型化を実現することは困難であり、この電動シリンダを有するシステムのシステム構成も制限されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−117970号公報
【特許文献2】特開平9−271154号公報
【特許文献3】特開平9−289755号公報
【特許文献4】特開平9−215264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、荷重検出を可能としながら、構成を簡素化でき、且つ軸方向の長さを縮小して小型化を実現するとともに、電動シリンダを有するシステム構成の柔軟化を実現する電動シリンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電動シリンダは、一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、前記外筒体の外周であって前記軸受が設けられた位置と前記固定部との間の位置に設けられる歪検出部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、外筒体に設けた歪検出部により荷重検出を行うことができるので、別途ロードセル等を設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。また、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、本発明は、荷重検出を必要とする装置において、構成を簡素化できるとともに、軸方向の長さを縮小して装置の小型化を実現する。また、本発明は、この電動シリンダを有するシステムにおける構成(システム構成)の柔軟化を実現でき、すなわち、電動シリンダ自体の軸方向の長さ縮小や小型化により、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用された電動シリンダを有する電動シリンダシステムの概略図である。
【図2】電動シリンダの概略断面図である。
【図3】電動シリンダを構成する歪検出部を説明するための図である。(a)は、歪ゲージが外筒体に取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。(b)は、各歪ゲージを接続する配線の状態を示す概略図である。(c)は、各歪ゲージ及び配線によりホイートストンブリッジが形成されていることを示すための配線図である。
【図4】電動シリンダのロッドの回転を規制している部材を説明するための図である。(a)は、ロッド外面に形成された溝部と、外筒体に圧入されるブッシュ部材に設けられた突出部との関係を示す斜視図である。(b)は、該ブッシュ部材、ロッド及び外筒体の断面図である。(c)は、(b)の要部である溝部と突出部の拡大断面図である。(d)は、揺動防止用のブッシュ部材、ロッド及び外筒体の断面図である。
【図5】電動シリンダのロッドの回転を規制する部材の他の例を示す図であり、スプライン形状の溝部及び突出部を採用した例の図である。(a)は、当該変形例におけるロッド外面に形成された溝部と、外筒体に圧入されるブッシュ部材に設けられた突出部との関係を示す斜視図である。(b)は、(a)に示すブッシュ部材の断面図である。
【図6】電動シリンダのロッドの回転を規制する構造の他の例を示す図であり、滑りキーを用いた構造を採用した例の図である。(a)は、当該変形例におけるロッド外面に形成された溝部と、キー部材との関係を示す斜視図である。(b)は、このキー部材と、外筒体とを示す側面図である。(c)は、このキー部材と、外筒体と、ロッド部材との関係を示す正面方向からの断面図である。(d)は、このキー部材と、外筒体との関係を示すロッド先端側から基端側に向けた方向の断面図である。
【図7】図4及び図5に示したブッシュ構造の回転規制機構と、図6に示した滑りキー構造の回転規制機構とを比較するための図である。(a)は、図6に示す滑りキー構造の回転規制機構を示す断面図であり、(b)は、図4に示すブッシュ構造の回転規制機構を示す断面図である。
【図8】反力としてロッドに加わる軸方向の荷重が、ロッドからねじ機構を経由して伝達される範囲を説明するための図である。
【図9】図1の電動シリンダシステムに用いることができる電動シリンダの他の例の概略断面図である。
【図10】図9の電動シリンダシステムを構成する歪検出部を説明するための図である。(a)は、歪検出部である歪ゲージを取り付ける歪ゲージ取付部材の斜視図である。(b)は、歪ゲージ取付部材の平面図である。
【図11】図9の電動シリンダシステムを構成する歪検出部の他の例を示す図である。(a)は、歪検出部である歪ゲージを取り付ける歪ゲージ取付部材の斜視図である。(b)は、歪ゲージ取付部材の平面図である。(c)は、歪ゲージ取付部材の断面図である。(d)は、歪ゲージ取付部材の変形部と、変形部に取り付けた歪ゲージの一例を示す斜視図である。
【図12】図11に示す歪ゲージ取付部材と外筒体との関係を示す分解斜視図である。
【図13】電動シリンダのロッド先端にロードセルを設けた場合の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した電動シリンダ1を有する電動シリンダシステム100について図面を参照して説明する。電動シリンダシステム100は、図1に示すように、電動シリンダ1と、電動シリンダを制御する制御手段101と、電動シリンダ1を取り付けるためのシステム本体フレーム102とを有する。
【0012】
電動シリンダ1は、図2に示すように、外筒体2と、ロッド3と、軸受4と、回転軸5と、ねじ機構6と、歪検出部7とを備える。外筒体2は、例えば円筒状のケーシングであり、一端側2aに当該電動シリンダ1の取付箇所(システム本体フレーム102の取付部103)に固定するための固定部11を有している。固定部11は、例えばフランジ等であり、ねじ10等によりフレーム102の取付部103に締結され、電動シリンダ1がシステムに固定される。
【0013】
ロッド3は、外筒体2の一端側(一端2aが設けられた側)の開口2bから軸方向に伸縮可能とされている。ロッド3の伸縮とは、開口2bから軸方向に伸びるように突出することと、軸方向に縮むように開口2bより内部に引っ込むこと(外筒体2から突出した部分が小さくなる方向に縮むこと)とを意味する。
【0014】
軸受4は、外筒体2の他端側(他端2cが設けられた側)であって内部に設けられている。回転軸5は、軸受4に回転可能に支持されるとともに、電動機12の駆動力により回転駆動される。ねじ機構6は、回転軸5の回転運動をロッド3の直線運動に変換して伝達する。歪検出部7は、外筒体2の外周であって軸受4が設けられた位置と固定部11との間の位置に設けられる。
【0015】
具体的に、歪検出部7は、軸受4の外周に位置して軸受4を保持する軸受保持部材13の固定部11側の端部13aと、固定部11との間の位置に設けられる。これは、歪検出部7の軸方向の位置が、軸受4の引張り方向の力を受ける位置と固定部11との間の位置で、且つ軸受4の圧縮方向の力を受ける位置と固定部11との間の位置であることが必要であるからである。軸受保持部材13は、軸受4により受けたスラスト方向(圧縮方向及び引っ張り方向)の荷重を外筒体2に伝達する部材であり、外筒体2内にセットされるとともに軸受4を保持する部材である。尚、ここで説明する電動シリンダ1においては、軸受4と外筒体2との間に軸受保持部材13を設けるように構成したが、軸受保持部材を設けないように構成してもよい。その場合には、歪検出部は、軸受の固定部側の端部と、固定部との間の位置に設けられる。
【0016】
また、歪検出部7は、外筒体2の軸受4の取付位置と固定部11との間の部分に加わる軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する。外筒体2は、歪検出部7を取り付ける部分2dの外径が小さくされた薄肉状とされている。このような形状とされていることにより、外筒体2の歪検出部7を取り付ける部分2dに、保護カバーを設けたときに外形寸法を小さく抑えることを可能とする。また、この部分2dは、推力に耐えうる断面積となるような厚さで且つ後述の歪ゲージによって外筒体2に掛かる反力を検出可能な程度の薄さにすることが要求されるが、この観点においても薄肉状とすることが都合がよい。
【0017】
歪検出部7は、例えば、図3に示すように配置された複数の歪ゲージRg1〜Rg4からなる。尚、図3は説明の分かり易さのため外筒体2の薄肉形状とされた検出部の取り付け用の部分2dのみを図示しているが、実際にはその上下に連続的に同一部材が設けられる。歪検出部7は、各歪ゲージRg1〜Rg4を接続する接続配線7aと、必要に応じて端子台7bとを有する。そして、例えば図3(b)や図3(c)に示す(1)と(2)との間のEが印加電圧であり、(3)と(4)との間のe0が出力電圧である。図3(c)に示すように各ゲージによりホイートストンブリッジを形成することで、印加電圧に比例し、且つひずみに比例する電圧信号が出力される。歪検出部7の出力は、図1に示すように制御手段101の第1のコントローラ104に送られる。
【0018】
ロッド3は、回転軸5が挿通可能な筒状に形成される。ロッド3の外径は、外筒体2の内径より小さく形成される。ねじ機構6は、ボールねじである。尚、ねじ機構6は、例えば台形ネジや角ネジであってもよい。台形ネジは、雄ネジ及び雌ネジの断面が台形であるネジをいい、角ネジは、雄ネジ及び雌ネジの断面が矩形であるネジをいう。また、その他軸方向の荷重を受け、回転運動を直線運動へ変換する機械要素を用いても良い。ここで説明するロッド3には、ボールねじであるねじ機構6のナット部材15が一体とされている。回転軸5に一体とされる雄ねじ部分16は、ナット部材15及びボール17とともにボールねじを構成している。
【0019】
ロッド3の端部3aの外周には、軸方向に形成された溝部18が一又は複数設けられる。ここでは、図4(a)に示すように、溝部18が円周方向に等間隔で3箇所設けられている。この端部3aは、外筒体2の一端側2aの開口2bから飛び出す側の端部である。一方、外筒体2の一端側2aの開口2bの内側には、圧入(締りばめ)により嵌合されたブッシュ部材19が取り付けられている。ブッシュ部材19の内面には、図4(a)及び図4(b)に示すように、溝部18に対応する一又は複数の突出部20が形成されている。ここでは、3箇所の突出部20が設けられている。ブッシュ部材19は円筒の内面に軸方向に形成された突出部20を有する形状である。突出部20は、溝部18と係合することでロッド3の回転を規制する。尚、突出部20及び溝部18の間には、図4(c)に示すように、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能な程度の微小な隙間が形成されている。また、同様に、ブッシュ部材19の内面とロッド3の外面との間にも、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能な程度の微小な隙間が形成されている。尚、図4(a)に示すように、ロッド3の先端である端部3aには、電動シリンダシステム100の構成の必要に応じて治具(例えば図1の圧入用治具108)を取り付けるためのボルト穴21が設けられている。
【0020】
図4(a)〜図4(c)で説明したブッシュ部材19は、回転規制用のブッシュ部材である。外筒体2には、さらに、揺動防止用のブッシュ部材22が設けられている。このブッシュ部材22は、図4(d)に示すように、円筒状に形成され、圧入により外筒体2内に嵌合される。ブッシュ部材22の内面とロッド3の外面との間には、ロッド3が外筒体2に対して摺動可能な程度の微小な隙間が形成されている。ブッシュ部材19及びブッシュ部材22は、図1に示すように、所定の距離を有して配置されている。ブッシュ部材19及びブッシュ部材22は、ロッド部材2が軸に対して傾斜するように揺動動作することを防止する。ロッド部材2が揺動動作してしまうと、ねじ機構6の機能が発揮できず、すなわちボールねじ部に不必要な力が発生することとなり、さらに、ボールねじ部の各部品に偏った磨耗等が発生してねじ機構が損傷する問題が発生するおそれがある。ブッシュ部材19及びブッシュ部材22は、このような問題を防止する。以上のようにブッシュ部材19は、回転規制機能と、揺動防止機能を兼ね備える。
【0021】
尚、電動シリンダ1を構成する回転規制用のブッシュ部材と、溝部の構成はこれに限られるものではない。例えば、JISB1601の角形スプライン、B1603のインボリュートスプライン、B1193のボールスプライン等のスプライン形状の溝及び突出部を有するブッシュ部材を構成するようにしてもよい。例えば、上述した溝部18及びブッシュ部材19に換えて、図5に示すような溝部28及びブッシュ部材29を有するように構成しても良い。図5(a)に示すように、溝部28が、溝部18と同様に、ロッド3の外周に、端部3aから軸方向に設けられている。溝部28は、円周方向に等間隔で8箇所設けられている。外筒体2に圧入されるブッシュ部材29の内面には、図5(a)及び図5(b)に示すように、溝部28に対応する複数の突出部30が形成されている。ここでは、8箇所の突出部30が設けられており、溝部28と係合することでロッド3の回転を規制する。尚、突出部30及び溝部28の間には、適度の隙間が形成され、ブッシュ部材29の内面とロッド3の外面との間にも、適度の隙間が形成され、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能とされている。
【0022】
また、電動シリンダ1を構成する回転規制機構は、上述のブッシュ部材19,29を用いたブッシュ構造に限られるものではない。すなわち、図6に示すような滑りキーを用いた構造としてもよい。すなわち、上述した溝部18及びブッシュ部材19に換えて、溝部32及びキー部材33を有するように構成してもよい。滑りキー構造とする場合には、上述したブッシュ部材22と同様の揺動防止機能のみを有する円筒状のブッシュ部材34を設ける必要がある。キー部材33は、外筒体2に設けた開口部33aにねじ部材33bにより取り付けられる。キー部材33は、外筒体2に取り付けられたときに、溝部32側に突出する突出部33cを有している。突出部33cは、溝部32と係合することでロッド3の回転を規制する。突出部33c及び溝部18の間には、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能な程度の微小な隙間が形成される。
【0023】
上述の回転規制機構のうち、ブッシュ部材19,29を用いたブッシュ構造は、キー部材33を用いた滑りキー構造に比べて電動シリンダ1の軸方向の長さを短縮するという観点及び構成の簡素化という観点からは有利である。この点について図7を用いて説明する。図7(a)に示すように滑りキー構造を採用した場合(キー部材33等を用いた場合)には、ロッド3に設けた溝部32の内、揺動防止用のブッシュ部材34の部分は、回転規制として使用できない。その一方で図7(b)に示すようにブッシュ構造を採用した場合(ブッシュ部材19等を用いた場合)には、ロッド3に設けた溝部18は、先端まで回転規制用として用いることができる。よって、ブッシュ構造を採用した方が、図7に示すL1分だけ軸方向の寸法を短縮することができる。
【0024】
ところで、電動機12は、モータ本体37と、出力軸38と、エンコーダ39とを有する。また、電動シリンダ1は、電動機12の出力軸38の回転力を回転軸5に伝達する伝達機構40を備えている。伝達機構40は、出力軸38に接続されるタイミングプーリ41と、回転軸5に接続されるタイミングプーリ42と、タイミングプーリ41,42間に巻き回されるタイミングベルト43とを有する。伝達機構40は、出力軸38の回転力を、回転軸5に伝達することができる。この際、タイミングプーリ41,42の径の大きさの関係を変更することで、所望の減速率で減速又は増速することができる。回転軸5は、外筒体2及び伝達機構40において複数の軸受46により回転方向の力を受けるようにされている。軸受46は、所謂ラジアル軸受である。一方、上述した軸受4は、回転軸5にかかる推力を受けるようにされている。この軸受4は、所謂スラスト軸受であり、ベアリングナット47により、回転軸5と一体とされる。また、軸受4は、上述した軸受保持部材13に嵌合されている。
【0025】
電動機12は、出力軸38が回転軸5と平行となるように配置されるとともに、外筒体2に対して軸方向に直交する位置に設けられる。すなわち、出力軸38と回転軸5が一致しておらず、全体としてコ字状(U字状)となるように配置されている。換言すると、回転軸5及び出力軸38は、伝達機構40に対してともに同じ方向に向けて配置されている。よって、外筒体2及びモータ本体37が軸方向に重なる位置に配置でき、すなわち装置全体の軸方向の寸法を小さくすることができる。尚、電動シリンダ1において、伝達機構40を設けずに、出力軸38と回転軸5が一致(互いに延長線上に位置)するように配置して、全体としてI字状となるように配置するようにしてもよい。この場合、伝達機構40は不要となるが、装置全体の軸方向の寸法は図2を用いて説明した上述の方が短くでき、この観点からは有利である。電動機12と回転機構40は、ボルト48で一体となるように固定されている。外筒体2と回転機構40は、ボルト49で一体となるように固定されている。
【0026】
回転軸5と伝達機構40との間には、減速機44が配置されている。電動シリンダ1は、減速機44を備えることにより、所望の力及び速度で回転軸5を回転でき、所望の推力及び速度でロッド3を出し入れすることが可能である。また、電動シリンダ1は、伝達機構40の減速のみに頼ると伝達機構のプーリが大きくなり装置全体が大きくなりすぎるおそれがあるが、減速機44を有することによりこのような問題を解消して装置の小型化を可能とする。また、減速機は、電動機12と伝達機構40との間に配置することも可能であるが、図2に示すように回転軸5と伝達機構40との間に配置することにより次の効果がある。すなわち、減速機を電動機12側に配置した場合には、電動機12の端部(図2では下端部)が電動シリンダシステム100のシステム本体フレーム102側に近づく。システム全体の都合により、外筒体2の取付部である固定部11を伝達機構40側(図2では上側)に移動するように設計変更したい場合があるが、減速機を電動機12側に配置すると、電動機12が本体フレーム102に干渉し、上述の設計変更ができないこととなる。すなわち、システム全体の自由度が低下することとなる。図2に示す電動シリンダ1は、減速機44が回転軸5と伝達機構40との間に配置されているため、該問題を防止でき、すなわち、電動シリンダシステム100のシステム全体の自由度を向上させることができる。
【0027】
以上のような電動シリンダ1により、例えば図8に示すように被加工物120を押圧するとその押圧荷重X1が反力となって、矢印X2〜X8に示すように各部材を伝達することとなる。そして固定部11において固定されている外筒体2の矢印Y1で示される部分に引っ張り力が発生することとなる。また、電動シリンダ1が例えば図8と逆方向に力が掛かるように用いられる場合には、矢印X2〜X5の部分に反力が各部材を伝達し、軸受保持部材13の固定部11側の端部13aから図中下方向に、外筒体2の当接部2eに、その反力が伝達することとなる。そして固定部11において固定されている外筒体2の矢印Y2で示される部分に圧縮力が発生することとなる。歪検出部7は、図2に示すようにボールねじのナット部材15の外側に位置しており、すなわち、軸受4の外周に位置して軸受を保持する軸受保持部材13の固定部11側の端部13aと、固定部11との間の位置に設けられている。よって、歪検出部7は、上述したY1で示される引っ張り力が加わる範囲を考慮した場合にもY2で示される圧縮力が加わる範囲を考慮した場合にもそのロッド2に加わる軸方向の荷重(反力)を検出することが可能である。
【0028】
尚、この電動シリンダ1において、外筒体2は、金属材料から削り出されることにより、すなわち固定部11を含めて所謂一体物(単一の部材)で形成されている。よって構成を簡素化するとともに、上述の反力が適切に伝わるので、これを歪検出部7で検出することを実現する。尚、円筒状の部材と、固定部11となるフランジ部材とを一体物となるように溶接により構成するようにしてもよい。また、電動シリンダ特有の構造、すなわち外筒体2には上述の反力以外の外力が発生しないことに鑑みて、この外筒体2の上述したような引張り力も圧縮力も反力として掛かる部分に歪検出部7を設けた点にも特徴を有する。すなわち、ケーシングとしての外筒体2を歪検出部の取付部として兼用させ、その構成の簡素化及び適切な軸方向の荷重検出を実現したものである。
【0029】
以上のように、電動シリンダ1は、上述したような外筒体2、ロッド3、軸受4、回転軸5、ねじ機構6、歪検出部7を備え、外筒体2に設けた歪検出部7により荷重検出を行うことができるので、別途ロードセル等を設ける必要がなくなり、構成の簡素化を実現できる。
【0030】
また、電動シリンダ1は、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル(可動側の端部がロッド先端と一緒に動くようにたるみを有した出力ケーブル)等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、電動シリンダ1は、荷重検出を必要とする場合において、構成を簡素化できるとともに、軸方向の長さを縮小して装置の小型化を実現する。
【0031】
さらに、電動シリンダ1は、これを有する電動シリンダシステム100における構成(システム構成)の柔軟化を実現でき、すなわち、電動シリンダ自体の軸方向の長さ縮小や小型化により、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【0032】
次に、この電動シリンダ1を有する電動サーボシリンダシステム100について説明する。電動サーボシリンダシステム100に設けられた制御手段101は、歪検出部7からの検出信号を受信する第1のコントローラ104と、周辺機器や作業状態に合わせての動作指示を行う第2のコントローラ105と、電動機12を駆動制御するとともに電動機12のエンコーダ39からの信号を受信するモータドライバ106とを有する。
【0033】
モータドライバ106は、第1のコントローラ104からの動作条件の指令に基づいて電動機12の回転制御(回転指令)を行う。モータドライバ106は、エンコーダ39からエンコーダパルス数の信号を受信し、この受信した情報を含めた電動機12の各種情報を第1のコントローラ104に送信する。第1のコントローラ104は、エンコーダ39からの情報を受信するとともに、歪検出部7からロッド3に加わる軸方向の荷重の検出出力信号を、すなわち荷重(推力)に比例した出力を受信する。第2のコントローラ105は、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller)であり、第1のコントローラ104から各種情報を受け取るとともに、第1のコントローラ104に対して部品の投入・取り出しを行う周辺機器や作業状態に合わせての動作指示等を行う。第1のコントローラ104は、随時ロッド3の位置や、ロッド3に加わる軸方向の荷重をモニタし、次の制御サイクルの動作条件を設定・演算してモータドライバ106への指示(制御)を行う。以上のように、制御手段101は、電動機12のエンコーダ39からの信号と、荷重検出手段としての歪検出部7からの信号に基づいて電動シリンダ1を制御する。
【0034】
電動サーボシリンダシステム100は、電動シリンダ1と、電動シリンダ1を制御する制御手段101とを備え、電動シリンダ1は、上述したような外筒体2と、ロッド3と、軸受4と、回転軸5と、回転軸5の回転運動をロッド3の直線運動に変換して伝達するねじ機構6と、ロッド3に加わる軸方向の荷重を、ロッド3からねじ機構6を経由して伝達された位置で検出する荷重検出手段としての歪検出部7とを有し、制御手段101が、電動機1のエンコーダ39からの信号と、荷重検出手段(歪検出部7)からの信号に基づいて電動シリンダ1を制御する構成に特徴を有する。電動サーボシリンダシステム100は、システム構成を簡素化及び柔軟化するとともに、荷重検出及び位置検出を行うことを実現する。
【0035】
すなわち、電動サーボシリンダシステム100は、荷重検出手段である歪検出部7が、ロッド3からねじ機構6を経由して伝達された位置でロッド3に加わる軸方向の荷重を検出するので、ロッド3先端にロードセルを設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。換言すると、伸縮動作するロッド3に荷重検出手段を設けるのではなく、固定側ともいえる外筒体2側に荷重検出手段を設ける点に特徴を有する。また、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、荷重検出及び位置検出を必要とするシステムにおいて、構成を簡素化できるとともに、小型化を実現する。また、システム構成の柔軟化や、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【0036】
電動サーボシリンダシステム100は、電動シリンダ1を用いることにより、上述した電動シリンダ1自体の有利な効果をも兼ね備えるものである。尚、この電動サーボシリンダシステム100に用いられる電動シリンダは、上述した電動シリンダ1に限られるものではなく、外筒体と、ロッドと、軸受と、回転軸と、ねじ機構と、前記ロッドに加わる軸方向の荷重を、ロッドからねじ機構を経由して伝達された位置で検出する荷重検出手段とを有するものであればよく、例えば図9に示す電動シリンダ61を用いてもよい。
【0037】
次に、電動サーボシリンダシステム100に用いることが可能な電動シリンダ61について説明する。電動シリンダ61においては、荷重検出手段の構成が異なることを除いて上述した電動シリンダ1と同様であるので、同じ部分(構成)には、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。すなわち、電動シリンダ1では、外筒体2の外周所定位置に歪検出部7が設けられているのに対し、電動シリンダ61では、外筒体62と一体に固定される部材に歪検出部67が設けられている点が異なる。
【0038】
具体的に、電動シリンダ61は、図9に示すように、外筒体62と、ロッド3と、軸受4と、回転軸5と、ねじ機構6と、歪検出部67とを備える。外筒体62は、筒状のケーシングである点については上述の外筒体2と同様であるが、先端側の第1の筒部71と、第2の筒部72とがそれぞれに設けられたフランジ部71a,72aをボルト73により一体に固定される構造とされている。外筒体62は、第1の筒部71が設けられた側の一端側2aにシステム本体フレーム102の取付部103に固定するための固定部11が設けられている。
【0039】
歪検出部67は、ロッド3に加わる軸方向の荷重が、ねじ機構6を経由して伝達される位置に設けられている。具体的に、歪検出部67は、外筒体62を構成する2つの部材(第1の筒部71及び第2の筒部72)に挟持される板状部材74に設けられる。この板状部材74は、歪ゲージ取付部材である。板状部材74は、図10に示すように、複数の切り抜き孔74d,74eが設けられることにより、外周囲に設けられる第1及び第2の筒部71,72に挟持される固定部74aと、中央に設けられロッド3に加わる軸方向の荷重を受ける荷重受け部74bと、固定部74a及び荷重受け部74bを結合するとともに歪を受感するための受感部74cとを有するよう構成されている。尚、図10(a)は、歪ゲージ取付部材としての板状部材74の斜視図であるが、固定部74a、受感部74c、荷重受け部74b等の構造の理解のため、一部破断して示している。
【0040】
板状部材74には、ボルト73を挿通するための孔部74fが設けられており、固定部74a側がフランジ部71a,71bに挟持されることにより外筒体62に固定される。荷重受け部74bは、軸受4により受けたスラスト方向の荷重を軸受保持部材13を介して受けることとなる。軸受4や軸受保持部材13を介してロッド3に加わった軸方向の荷重が伝達されると、荷重受け部74bは偏倚する。外筒体62に固定された固定部74aと、偏倚された荷重受け部74bとの間を結合する受感部74cは、変形することとなる。歪検出部67を構成する歪ゲージ67gは、この受感部74cの例えば側面に貼り付けられる。尚、歪ゲージの貼り付け箇所は、受感部74cの側面に限られるものではなく、上面や下面であってもよい。歪ゲージ67gを有する歪検出部67は、図3で説明した歪検出部7と同様に、各ゲージによりホイートストンブリッジを形成することで、印加電圧に比例し、且つひずみに比例する電圧信号が出力される。歪検出部67の出力は、制御手段101の第1のコントローラ104に送られる。以上のように、歪検出部67は、ロッド3からねじ機構6を経由して板状部材74に伝達された軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する。
【0041】
尚、電動シリンダ61を構成する歪検出部67を取り付けるための取付部材は、上述の平面内において矩形状の板状部材74に限られるものではなく、例えば、図11及び図12に示す板状部材84であってもよい。
【0042】
歪検出部67を取り付けるための板状部材84は、平面内において円形状であり、外筒体62を構成する第1及び第2の筒部71,72に挟持される。板状部材84は、図11に示すように、複数の切り抜き孔84d,84eが設けられることにより、外周囲に設けられる第1及び第2の筒部81,82に挟持される固定部84aと、中央に設けられロッド3に加わる軸方向の荷重を受ける荷重受け部84bと、固定部84a及び荷重受け部84bを結合するとともに歪を受感するための受感部84cとを有するよう構成されている。固定部84aには、配線引き出し用の貫通孔84fが設けられる。尚、図11(a)は、歪ゲージ取付部材としての板状部材84の斜視図であるが、固定部84a、受感部84c、荷重受け部84b等の構造の理解のため、一部破断して示している。
【0043】
板状部材84は、固定部84a側がフランジ部71a,71bに挟持されることにより外筒体62に固定される。荷重受け部84bは、軸受4により受けたスラスト方向の荷重を軸受保持部材13を介して受けることとなる。軸受4や軸受保持部材13を介してロッド3に加わった軸方向の荷重が伝達されると、荷重受け部84bは偏倚する。外筒体62に固定された固定部84aと、偏倚された荷重受け部84bとの間を結合する受感部84cは、変形することとなる。歪検出部67を構成する歪ゲージ67gは、この受感部84cの例えば側面に貼り付けられる。尚、歪ゲージの貼り付け箇所は、受感部84cの側面に限られるものではなく、上面や下面であってもよい。以上のように、歪検出部67は、ロッド3からねじ機構6を経由して板状部材84に伝達された軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する。
【0044】
ところで、図9に示す電動シリンダ61は、回転規制機構として、図6で説明した滑りキー構造を構成する溝部32及びキー構造33を有しているが、電動シリンダ1で説明したのと同様に、これに換えてブッシュ部材19,29を採用するようにしてもよい。
【0045】
また、電動シリンダ61は、モータ本体37、出力軸38及びエンコーダ39を有する電動機12や、伝達機構40や、減速機44等を備えている点については、電動シリンダ1と同様である。電動シリンダ61も、上述の同様にコ字状(U字状)となるように電動機12が配置されているが、I字状となるように出力軸38及び回転軸5が一致するように配置してもよい。
【0046】
以上のように、電動シリンダ61は、上述したような外筒体62、ロッド3、軸受4、回転軸5、ねじ機構6、歪検出部67を備え、外筒体62に設けた歪検出部67により荷重検出を行うことができるので、別途ロードセル等を設ける必要がなくなり、構成の簡素化を実現できる。
【0047】
また、電動シリンダ61は、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブルが断線する等の不具合も防止でき、荷重検出を必要とする場合において、構成を簡素化できるとともに、軸方向の長さを縮小して装置の小型化を実現する。さらに、電動シリンダ61は、電動シリンダシステム100のシステム構成の柔軟化を実現でき、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【0048】
電動シリンダ61を有する電動サーボシリンダシステム100は、上述と同様に、システム構成を簡素化及び柔軟化するとともに、荷重検出及び位置検出を行うことを実現する。すなわち、電動サーボシリンダシステム100は、荷重検出手段である歪検出部67が、ロッド3からねじ機構6を経由して伝達された位置でロッド3に加わる軸方向の荷重を検出するので、ロッド3先端にロードセルを設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。換言すると、伸縮動作するロッド3に荷重検出手段を設けるのではなく、固定側ともいえる外筒体62と一体に固定される板状部材74,84に荷重検出手段を設ける点に特徴を有する。また、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、荷重検出及び位置検出を必要とするシステムにおいて、構成を簡素化できるとともに、小型化を実現する。また、システム構成の柔軟化や、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【符号の説明】
【0049】
1 電動シリンダ
2 外筒体
3 ロッド
4 軸受
5 回転軸
6 ねじ機構
7 歪検出部
11 固定部
100 電動シリンダシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圧入装置やプレス装置に用いられ、電動機の回転運動を直線運動に変換する電動シリンダ及びこれを用いた電動シリンダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種装置に用いられる電動シリンダとして、例えば特開平8−117970号公報やCN1074820Cに記載されたものがある。この電動シリンダは、ねじ棒に螺合されたボールナットに取り付けられたピストンと、ねじ棒を回転制御するモータと、ピストンの前面に設けられた中空ロッドと、中空ロッドの中空部に挿入され、ねじ棒の先端に回転自在に設けた支持体と、を備える。中空ロッドの先端のロッドヘッドには、取付板を介してウレタンゴムが取り付けられ、このウレタンゴムの先端には金属保護板が設けられている。この電動シリンダは、高温に強く、且つ衝撃を弱めることができるので、重量のある高温状態の物体を押し出す押し出し装置や、受け止める受け止め装置に用いられるのに適している。
【0003】
また、電動シリンダとして、例えば特開平9−271154号公報やCN1182504Aに記載されたものがある。この電動シリンダは、電動機と、該電動機に電動部材を介して連結する複数本平行のボールねじと、該ボールねじと螺合する複数個のボールナットと、ボールナットを一体に固定するスライダと、該スライダに固定したロッドとを備えている。さらに、電動シリンダとして、特開平9−289755号公報やCN1189254Aに記載されたものがある。さらにまた、特開平9−215264号公報やCN1120306Cに記載されたものがある。
【0004】
上述したような電動シリンダを例えば圧入装置やプレス装置に用いる場合に、ロッドにより押す出す荷重の検出を行うことが望まれる場合がある。荷重検出を行う場合には、例えば電動シリンダのロッド先端にロードセル等の荷重変換器を設けることが考えられる。このロードセルにより検出された荷重値を用いることにより、圧入の際の押圧力の良否判定を行うことや、目標荷重まで監視しながらプレスを行う等の動作を可能とする。
【0005】
しかしながら、例えば図13(a)に示すように電動シリンダ401のロッド403の先端にロードセル410を設けた場合(治具412の手前に設けた場合)には、以下のような問題がある。図13(a)に示すように、ロードセル410には出力ケーブル411が接続されることとなり、外筒体402に対するロッド403の繰り返しの往復運動によるケーブル411の屈曲動作により、このケーブル410が断線(P1部分等)する等の問題が生じる可能性がある。また、この電動シリンダ401を用いた装置による加工対象によってはロードセル自体や、出力ケーブルが干渉(P2部分等)する場合があり、干渉を回避するために例えば図13(a)に示す治具412に換えて図13(b)に示すように必要以上に長い治具413を用いる必要が生じる等の問題が生じる可能性がある。また、軸方向の制限があるために長い治具で対応ができない場合には、電動シリンダ自体が使用できなくなる場面も生じうるといった問題がある。このように、荷重検出を必要とする場合に、構成を簡素化することや、軸方向の長さを縮小して小型化を実現することは困難であり、この電動シリンダを有するシステムのシステム構成も制限されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−117970号公報
【特許文献2】特開平9−271154号公報
【特許文献3】特開平9−289755号公報
【特許文献4】特開平9−215264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、荷重検出を可能としながら、構成を簡素化でき、且つ軸方向の長さを縮小して小型化を実現するとともに、電動シリンダを有するシステム構成の柔軟化を実現する電動シリンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電動シリンダは、一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、前記外筒体の外周であって前記軸受が設けられた位置と前記固定部との間の位置に設けられる歪検出部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、外筒体に設けた歪検出部により荷重検出を行うことができるので、別途ロードセル等を設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。また、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、本発明は、荷重検出を必要とする装置において、構成を簡素化できるとともに、軸方向の長さを縮小して装置の小型化を実現する。また、本発明は、この電動シリンダを有するシステムにおける構成(システム構成)の柔軟化を実現でき、すなわち、電動シリンダ自体の軸方向の長さ縮小や小型化により、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明が適用された電動シリンダを有する電動シリンダシステムの概略図である。
【図2】電動シリンダの概略断面図である。
【図3】電動シリンダを構成する歪検出部を説明するための図である。(a)は、歪ゲージが外筒体に取り付けられた状態の一例を示す斜視図である。(b)は、各歪ゲージを接続する配線の状態を示す概略図である。(c)は、各歪ゲージ及び配線によりホイートストンブリッジが形成されていることを示すための配線図である。
【図4】電動シリンダのロッドの回転を規制している部材を説明するための図である。(a)は、ロッド外面に形成された溝部と、外筒体に圧入されるブッシュ部材に設けられた突出部との関係を示す斜視図である。(b)は、該ブッシュ部材、ロッド及び外筒体の断面図である。(c)は、(b)の要部である溝部と突出部の拡大断面図である。(d)は、揺動防止用のブッシュ部材、ロッド及び外筒体の断面図である。
【図5】電動シリンダのロッドの回転を規制する部材の他の例を示す図であり、スプライン形状の溝部及び突出部を採用した例の図である。(a)は、当該変形例におけるロッド外面に形成された溝部と、外筒体に圧入されるブッシュ部材に設けられた突出部との関係を示す斜視図である。(b)は、(a)に示すブッシュ部材の断面図である。
【図6】電動シリンダのロッドの回転を規制する構造の他の例を示す図であり、滑りキーを用いた構造を採用した例の図である。(a)は、当該変形例におけるロッド外面に形成された溝部と、キー部材との関係を示す斜視図である。(b)は、このキー部材と、外筒体とを示す側面図である。(c)は、このキー部材と、外筒体と、ロッド部材との関係を示す正面方向からの断面図である。(d)は、このキー部材と、外筒体との関係を示すロッド先端側から基端側に向けた方向の断面図である。
【図7】図4及び図5に示したブッシュ構造の回転規制機構と、図6に示した滑りキー構造の回転規制機構とを比較するための図である。(a)は、図6に示す滑りキー構造の回転規制機構を示す断面図であり、(b)は、図4に示すブッシュ構造の回転規制機構を示す断面図である。
【図8】反力としてロッドに加わる軸方向の荷重が、ロッドからねじ機構を経由して伝達される範囲を説明するための図である。
【図9】図1の電動シリンダシステムに用いることができる電動シリンダの他の例の概略断面図である。
【図10】図9の電動シリンダシステムを構成する歪検出部を説明するための図である。(a)は、歪検出部である歪ゲージを取り付ける歪ゲージ取付部材の斜視図である。(b)は、歪ゲージ取付部材の平面図である。
【図11】図9の電動シリンダシステムを構成する歪検出部の他の例を示す図である。(a)は、歪検出部である歪ゲージを取り付ける歪ゲージ取付部材の斜視図である。(b)は、歪ゲージ取付部材の平面図である。(c)は、歪ゲージ取付部材の断面図である。(d)は、歪ゲージ取付部材の変形部と、変形部に取り付けた歪ゲージの一例を示す斜視図である。
【図12】図11に示す歪ゲージ取付部材と外筒体との関係を示す分解斜視図である。
【図13】電動シリンダのロッド先端にロードセルを設けた場合の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した電動シリンダ1を有する電動シリンダシステム100について図面を参照して説明する。電動シリンダシステム100は、図1に示すように、電動シリンダ1と、電動シリンダを制御する制御手段101と、電動シリンダ1を取り付けるためのシステム本体フレーム102とを有する。
【0012】
電動シリンダ1は、図2に示すように、外筒体2と、ロッド3と、軸受4と、回転軸5と、ねじ機構6と、歪検出部7とを備える。外筒体2は、例えば円筒状のケーシングであり、一端側2aに当該電動シリンダ1の取付箇所(システム本体フレーム102の取付部103)に固定するための固定部11を有している。固定部11は、例えばフランジ等であり、ねじ10等によりフレーム102の取付部103に締結され、電動シリンダ1がシステムに固定される。
【0013】
ロッド3は、外筒体2の一端側(一端2aが設けられた側)の開口2bから軸方向に伸縮可能とされている。ロッド3の伸縮とは、開口2bから軸方向に伸びるように突出することと、軸方向に縮むように開口2bより内部に引っ込むこと(外筒体2から突出した部分が小さくなる方向に縮むこと)とを意味する。
【0014】
軸受4は、外筒体2の他端側(他端2cが設けられた側)であって内部に設けられている。回転軸5は、軸受4に回転可能に支持されるとともに、電動機12の駆動力により回転駆動される。ねじ機構6は、回転軸5の回転運動をロッド3の直線運動に変換して伝達する。歪検出部7は、外筒体2の外周であって軸受4が設けられた位置と固定部11との間の位置に設けられる。
【0015】
具体的に、歪検出部7は、軸受4の外周に位置して軸受4を保持する軸受保持部材13の固定部11側の端部13aと、固定部11との間の位置に設けられる。これは、歪検出部7の軸方向の位置が、軸受4の引張り方向の力を受ける位置と固定部11との間の位置で、且つ軸受4の圧縮方向の力を受ける位置と固定部11との間の位置であることが必要であるからである。軸受保持部材13は、軸受4により受けたスラスト方向(圧縮方向及び引っ張り方向)の荷重を外筒体2に伝達する部材であり、外筒体2内にセットされるとともに軸受4を保持する部材である。尚、ここで説明する電動シリンダ1においては、軸受4と外筒体2との間に軸受保持部材13を設けるように構成したが、軸受保持部材を設けないように構成してもよい。その場合には、歪検出部は、軸受の固定部側の端部と、固定部との間の位置に設けられる。
【0016】
また、歪検出部7は、外筒体2の軸受4の取付位置と固定部11との間の部分に加わる軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する。外筒体2は、歪検出部7を取り付ける部分2dの外径が小さくされた薄肉状とされている。このような形状とされていることにより、外筒体2の歪検出部7を取り付ける部分2dに、保護カバーを設けたときに外形寸法を小さく抑えることを可能とする。また、この部分2dは、推力に耐えうる断面積となるような厚さで且つ後述の歪ゲージによって外筒体2に掛かる反力を検出可能な程度の薄さにすることが要求されるが、この観点においても薄肉状とすることが都合がよい。
【0017】
歪検出部7は、例えば、図3に示すように配置された複数の歪ゲージRg1〜Rg4からなる。尚、図3は説明の分かり易さのため外筒体2の薄肉形状とされた検出部の取り付け用の部分2dのみを図示しているが、実際にはその上下に連続的に同一部材が設けられる。歪検出部7は、各歪ゲージRg1〜Rg4を接続する接続配線7aと、必要に応じて端子台7bとを有する。そして、例えば図3(b)や図3(c)に示す(1)と(2)との間のEが印加電圧であり、(3)と(4)との間のe0が出力電圧である。図3(c)に示すように各ゲージによりホイートストンブリッジを形成することで、印加電圧に比例し、且つひずみに比例する電圧信号が出力される。歪検出部7の出力は、図1に示すように制御手段101の第1のコントローラ104に送られる。
【0018】
ロッド3は、回転軸5が挿通可能な筒状に形成される。ロッド3の外径は、外筒体2の内径より小さく形成される。ねじ機構6は、ボールねじである。尚、ねじ機構6は、例えば台形ネジや角ネジであってもよい。台形ネジは、雄ネジ及び雌ネジの断面が台形であるネジをいい、角ネジは、雄ネジ及び雌ネジの断面が矩形であるネジをいう。また、その他軸方向の荷重を受け、回転運動を直線運動へ変換する機械要素を用いても良い。ここで説明するロッド3には、ボールねじであるねじ機構6のナット部材15が一体とされている。回転軸5に一体とされる雄ねじ部分16は、ナット部材15及びボール17とともにボールねじを構成している。
【0019】
ロッド3の端部3aの外周には、軸方向に形成された溝部18が一又は複数設けられる。ここでは、図4(a)に示すように、溝部18が円周方向に等間隔で3箇所設けられている。この端部3aは、外筒体2の一端側2aの開口2bから飛び出す側の端部である。一方、外筒体2の一端側2aの開口2bの内側には、圧入(締りばめ)により嵌合されたブッシュ部材19が取り付けられている。ブッシュ部材19の内面には、図4(a)及び図4(b)に示すように、溝部18に対応する一又は複数の突出部20が形成されている。ここでは、3箇所の突出部20が設けられている。ブッシュ部材19は円筒の内面に軸方向に形成された突出部20を有する形状である。突出部20は、溝部18と係合することでロッド3の回転を規制する。尚、突出部20及び溝部18の間には、図4(c)に示すように、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能な程度の微小な隙間が形成されている。また、同様に、ブッシュ部材19の内面とロッド3の外面との間にも、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能な程度の微小な隙間が形成されている。尚、図4(a)に示すように、ロッド3の先端である端部3aには、電動シリンダシステム100の構成の必要に応じて治具(例えば図1の圧入用治具108)を取り付けるためのボルト穴21が設けられている。
【0020】
図4(a)〜図4(c)で説明したブッシュ部材19は、回転規制用のブッシュ部材である。外筒体2には、さらに、揺動防止用のブッシュ部材22が設けられている。このブッシュ部材22は、図4(d)に示すように、円筒状に形成され、圧入により外筒体2内に嵌合される。ブッシュ部材22の内面とロッド3の外面との間には、ロッド3が外筒体2に対して摺動可能な程度の微小な隙間が形成されている。ブッシュ部材19及びブッシュ部材22は、図1に示すように、所定の距離を有して配置されている。ブッシュ部材19及びブッシュ部材22は、ロッド部材2が軸に対して傾斜するように揺動動作することを防止する。ロッド部材2が揺動動作してしまうと、ねじ機構6の機能が発揮できず、すなわちボールねじ部に不必要な力が発生することとなり、さらに、ボールねじ部の各部品に偏った磨耗等が発生してねじ機構が損傷する問題が発生するおそれがある。ブッシュ部材19及びブッシュ部材22は、このような問題を防止する。以上のようにブッシュ部材19は、回転規制機能と、揺動防止機能を兼ね備える。
【0021】
尚、電動シリンダ1を構成する回転規制用のブッシュ部材と、溝部の構成はこれに限られるものではない。例えば、JISB1601の角形スプライン、B1603のインボリュートスプライン、B1193のボールスプライン等のスプライン形状の溝及び突出部を有するブッシュ部材を構成するようにしてもよい。例えば、上述した溝部18及びブッシュ部材19に換えて、図5に示すような溝部28及びブッシュ部材29を有するように構成しても良い。図5(a)に示すように、溝部28が、溝部18と同様に、ロッド3の外周に、端部3aから軸方向に設けられている。溝部28は、円周方向に等間隔で8箇所設けられている。外筒体2に圧入されるブッシュ部材29の内面には、図5(a)及び図5(b)に示すように、溝部28に対応する複数の突出部30が形成されている。ここでは、8箇所の突出部30が設けられており、溝部28と係合することでロッド3の回転を規制する。尚、突出部30及び溝部28の間には、適度の隙間が形成され、ブッシュ部材29の内面とロッド3の外面との間にも、適度の隙間が形成され、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能とされている。
【0022】
また、電動シリンダ1を構成する回転規制機構は、上述のブッシュ部材19,29を用いたブッシュ構造に限られるものではない。すなわち、図6に示すような滑りキーを用いた構造としてもよい。すなわち、上述した溝部18及びブッシュ部材19に換えて、溝部32及びキー部材33を有するように構成してもよい。滑りキー構造とする場合には、上述したブッシュ部材22と同様の揺動防止機能のみを有する円筒状のブッシュ部材34を設ける必要がある。キー部材33は、外筒体2に設けた開口部33aにねじ部材33bにより取り付けられる。キー部材33は、外筒体2に取り付けられたときに、溝部32側に突出する突出部33cを有している。突出部33cは、溝部32と係合することでロッド3の回転を規制する。突出部33c及び溝部18の間には、ロッド3が外筒体2に対して軸方向に摺動可能な程度の微小な隙間が形成される。
【0023】
上述の回転規制機構のうち、ブッシュ部材19,29を用いたブッシュ構造は、キー部材33を用いた滑りキー構造に比べて電動シリンダ1の軸方向の長さを短縮するという観点及び構成の簡素化という観点からは有利である。この点について図7を用いて説明する。図7(a)に示すように滑りキー構造を採用した場合(キー部材33等を用いた場合)には、ロッド3に設けた溝部32の内、揺動防止用のブッシュ部材34の部分は、回転規制として使用できない。その一方で図7(b)に示すようにブッシュ構造を採用した場合(ブッシュ部材19等を用いた場合)には、ロッド3に設けた溝部18は、先端まで回転規制用として用いることができる。よって、ブッシュ構造を採用した方が、図7に示すL1分だけ軸方向の寸法を短縮することができる。
【0024】
ところで、電動機12は、モータ本体37と、出力軸38と、エンコーダ39とを有する。また、電動シリンダ1は、電動機12の出力軸38の回転力を回転軸5に伝達する伝達機構40を備えている。伝達機構40は、出力軸38に接続されるタイミングプーリ41と、回転軸5に接続されるタイミングプーリ42と、タイミングプーリ41,42間に巻き回されるタイミングベルト43とを有する。伝達機構40は、出力軸38の回転力を、回転軸5に伝達することができる。この際、タイミングプーリ41,42の径の大きさの関係を変更することで、所望の減速率で減速又は増速することができる。回転軸5は、外筒体2及び伝達機構40において複数の軸受46により回転方向の力を受けるようにされている。軸受46は、所謂ラジアル軸受である。一方、上述した軸受4は、回転軸5にかかる推力を受けるようにされている。この軸受4は、所謂スラスト軸受であり、ベアリングナット47により、回転軸5と一体とされる。また、軸受4は、上述した軸受保持部材13に嵌合されている。
【0025】
電動機12は、出力軸38が回転軸5と平行となるように配置されるとともに、外筒体2に対して軸方向に直交する位置に設けられる。すなわち、出力軸38と回転軸5が一致しておらず、全体としてコ字状(U字状)となるように配置されている。換言すると、回転軸5及び出力軸38は、伝達機構40に対してともに同じ方向に向けて配置されている。よって、外筒体2及びモータ本体37が軸方向に重なる位置に配置でき、すなわち装置全体の軸方向の寸法を小さくすることができる。尚、電動シリンダ1において、伝達機構40を設けずに、出力軸38と回転軸5が一致(互いに延長線上に位置)するように配置して、全体としてI字状となるように配置するようにしてもよい。この場合、伝達機構40は不要となるが、装置全体の軸方向の寸法は図2を用いて説明した上述の方が短くでき、この観点からは有利である。電動機12と回転機構40は、ボルト48で一体となるように固定されている。外筒体2と回転機構40は、ボルト49で一体となるように固定されている。
【0026】
回転軸5と伝達機構40との間には、減速機44が配置されている。電動シリンダ1は、減速機44を備えることにより、所望の力及び速度で回転軸5を回転でき、所望の推力及び速度でロッド3を出し入れすることが可能である。また、電動シリンダ1は、伝達機構40の減速のみに頼ると伝達機構のプーリが大きくなり装置全体が大きくなりすぎるおそれがあるが、減速機44を有することによりこのような問題を解消して装置の小型化を可能とする。また、減速機は、電動機12と伝達機構40との間に配置することも可能であるが、図2に示すように回転軸5と伝達機構40との間に配置することにより次の効果がある。すなわち、減速機を電動機12側に配置した場合には、電動機12の端部(図2では下端部)が電動シリンダシステム100のシステム本体フレーム102側に近づく。システム全体の都合により、外筒体2の取付部である固定部11を伝達機構40側(図2では上側)に移動するように設計変更したい場合があるが、減速機を電動機12側に配置すると、電動機12が本体フレーム102に干渉し、上述の設計変更ができないこととなる。すなわち、システム全体の自由度が低下することとなる。図2に示す電動シリンダ1は、減速機44が回転軸5と伝達機構40との間に配置されているため、該問題を防止でき、すなわち、電動シリンダシステム100のシステム全体の自由度を向上させることができる。
【0027】
以上のような電動シリンダ1により、例えば図8に示すように被加工物120を押圧するとその押圧荷重X1が反力となって、矢印X2〜X8に示すように各部材を伝達することとなる。そして固定部11において固定されている外筒体2の矢印Y1で示される部分に引っ張り力が発生することとなる。また、電動シリンダ1が例えば図8と逆方向に力が掛かるように用いられる場合には、矢印X2〜X5の部分に反力が各部材を伝達し、軸受保持部材13の固定部11側の端部13aから図中下方向に、外筒体2の当接部2eに、その反力が伝達することとなる。そして固定部11において固定されている外筒体2の矢印Y2で示される部分に圧縮力が発生することとなる。歪検出部7は、図2に示すようにボールねじのナット部材15の外側に位置しており、すなわち、軸受4の外周に位置して軸受を保持する軸受保持部材13の固定部11側の端部13aと、固定部11との間の位置に設けられている。よって、歪検出部7は、上述したY1で示される引っ張り力が加わる範囲を考慮した場合にもY2で示される圧縮力が加わる範囲を考慮した場合にもそのロッド2に加わる軸方向の荷重(反力)を検出することが可能である。
【0028】
尚、この電動シリンダ1において、外筒体2は、金属材料から削り出されることにより、すなわち固定部11を含めて所謂一体物(単一の部材)で形成されている。よって構成を簡素化するとともに、上述の反力が適切に伝わるので、これを歪検出部7で検出することを実現する。尚、円筒状の部材と、固定部11となるフランジ部材とを一体物となるように溶接により構成するようにしてもよい。また、電動シリンダ特有の構造、すなわち外筒体2には上述の反力以外の外力が発生しないことに鑑みて、この外筒体2の上述したような引張り力も圧縮力も反力として掛かる部分に歪検出部7を設けた点にも特徴を有する。すなわち、ケーシングとしての外筒体2を歪検出部の取付部として兼用させ、その構成の簡素化及び適切な軸方向の荷重検出を実現したものである。
【0029】
以上のように、電動シリンダ1は、上述したような外筒体2、ロッド3、軸受4、回転軸5、ねじ機構6、歪検出部7を備え、外筒体2に設けた歪検出部7により荷重検出を行うことができるので、別途ロードセル等を設ける必要がなくなり、構成の簡素化を実現できる。
【0030】
また、電動シリンダ1は、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル(可動側の端部がロッド先端と一緒に動くようにたるみを有した出力ケーブル)等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、電動シリンダ1は、荷重検出を必要とする場合において、構成を簡素化できるとともに、軸方向の長さを縮小して装置の小型化を実現する。
【0031】
さらに、電動シリンダ1は、これを有する電動シリンダシステム100における構成(システム構成)の柔軟化を実現でき、すなわち、電動シリンダ自体の軸方向の長さ縮小や小型化により、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【0032】
次に、この電動シリンダ1を有する電動サーボシリンダシステム100について説明する。電動サーボシリンダシステム100に設けられた制御手段101は、歪検出部7からの検出信号を受信する第1のコントローラ104と、周辺機器や作業状態に合わせての動作指示を行う第2のコントローラ105と、電動機12を駆動制御するとともに電動機12のエンコーダ39からの信号を受信するモータドライバ106とを有する。
【0033】
モータドライバ106は、第1のコントローラ104からの動作条件の指令に基づいて電動機12の回転制御(回転指令)を行う。モータドライバ106は、エンコーダ39からエンコーダパルス数の信号を受信し、この受信した情報を含めた電動機12の各種情報を第1のコントローラ104に送信する。第1のコントローラ104は、エンコーダ39からの情報を受信するとともに、歪検出部7からロッド3に加わる軸方向の荷重の検出出力信号を、すなわち荷重(推力)に比例した出力を受信する。第2のコントローラ105は、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller)であり、第1のコントローラ104から各種情報を受け取るとともに、第1のコントローラ104に対して部品の投入・取り出しを行う周辺機器や作業状態に合わせての動作指示等を行う。第1のコントローラ104は、随時ロッド3の位置や、ロッド3に加わる軸方向の荷重をモニタし、次の制御サイクルの動作条件を設定・演算してモータドライバ106への指示(制御)を行う。以上のように、制御手段101は、電動機12のエンコーダ39からの信号と、荷重検出手段としての歪検出部7からの信号に基づいて電動シリンダ1を制御する。
【0034】
電動サーボシリンダシステム100は、電動シリンダ1と、電動シリンダ1を制御する制御手段101とを備え、電動シリンダ1は、上述したような外筒体2と、ロッド3と、軸受4と、回転軸5と、回転軸5の回転運動をロッド3の直線運動に変換して伝達するねじ機構6と、ロッド3に加わる軸方向の荷重を、ロッド3からねじ機構6を経由して伝達された位置で検出する荷重検出手段としての歪検出部7とを有し、制御手段101が、電動機1のエンコーダ39からの信号と、荷重検出手段(歪検出部7)からの信号に基づいて電動シリンダ1を制御する構成に特徴を有する。電動サーボシリンダシステム100は、システム構成を簡素化及び柔軟化するとともに、荷重検出及び位置検出を行うことを実現する。
【0035】
すなわち、電動サーボシリンダシステム100は、荷重検出手段である歪検出部7が、ロッド3からねじ機構6を経由して伝達された位置でロッド3に加わる軸方向の荷重を検出するので、ロッド3先端にロードセルを設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。換言すると、伸縮動作するロッド3に荷重検出手段を設けるのではなく、固定側ともいえる外筒体2側に荷重検出手段を設ける点に特徴を有する。また、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、荷重検出及び位置検出を必要とするシステムにおいて、構成を簡素化できるとともに、小型化を実現する。また、システム構成の柔軟化や、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【0036】
電動サーボシリンダシステム100は、電動シリンダ1を用いることにより、上述した電動シリンダ1自体の有利な効果をも兼ね備えるものである。尚、この電動サーボシリンダシステム100に用いられる電動シリンダは、上述した電動シリンダ1に限られるものではなく、外筒体と、ロッドと、軸受と、回転軸と、ねじ機構と、前記ロッドに加わる軸方向の荷重を、ロッドからねじ機構を経由して伝達された位置で検出する荷重検出手段とを有するものであればよく、例えば図9に示す電動シリンダ61を用いてもよい。
【0037】
次に、電動サーボシリンダシステム100に用いることが可能な電動シリンダ61について説明する。電動シリンダ61においては、荷重検出手段の構成が異なることを除いて上述した電動シリンダ1と同様であるので、同じ部分(構成)には、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。すなわち、電動シリンダ1では、外筒体2の外周所定位置に歪検出部7が設けられているのに対し、電動シリンダ61では、外筒体62と一体に固定される部材に歪検出部67が設けられている点が異なる。
【0038】
具体的に、電動シリンダ61は、図9に示すように、外筒体62と、ロッド3と、軸受4と、回転軸5と、ねじ機構6と、歪検出部67とを備える。外筒体62は、筒状のケーシングである点については上述の外筒体2と同様であるが、先端側の第1の筒部71と、第2の筒部72とがそれぞれに設けられたフランジ部71a,72aをボルト73により一体に固定される構造とされている。外筒体62は、第1の筒部71が設けられた側の一端側2aにシステム本体フレーム102の取付部103に固定するための固定部11が設けられている。
【0039】
歪検出部67は、ロッド3に加わる軸方向の荷重が、ねじ機構6を経由して伝達される位置に設けられている。具体的に、歪検出部67は、外筒体62を構成する2つの部材(第1の筒部71及び第2の筒部72)に挟持される板状部材74に設けられる。この板状部材74は、歪ゲージ取付部材である。板状部材74は、図10に示すように、複数の切り抜き孔74d,74eが設けられることにより、外周囲に設けられる第1及び第2の筒部71,72に挟持される固定部74aと、中央に設けられロッド3に加わる軸方向の荷重を受ける荷重受け部74bと、固定部74a及び荷重受け部74bを結合するとともに歪を受感するための受感部74cとを有するよう構成されている。尚、図10(a)は、歪ゲージ取付部材としての板状部材74の斜視図であるが、固定部74a、受感部74c、荷重受け部74b等の構造の理解のため、一部破断して示している。
【0040】
板状部材74には、ボルト73を挿通するための孔部74fが設けられており、固定部74a側がフランジ部71a,71bに挟持されることにより外筒体62に固定される。荷重受け部74bは、軸受4により受けたスラスト方向の荷重を軸受保持部材13を介して受けることとなる。軸受4や軸受保持部材13を介してロッド3に加わった軸方向の荷重が伝達されると、荷重受け部74bは偏倚する。外筒体62に固定された固定部74aと、偏倚された荷重受け部74bとの間を結合する受感部74cは、変形することとなる。歪検出部67を構成する歪ゲージ67gは、この受感部74cの例えば側面に貼り付けられる。尚、歪ゲージの貼り付け箇所は、受感部74cの側面に限られるものではなく、上面や下面であってもよい。歪ゲージ67gを有する歪検出部67は、図3で説明した歪検出部7と同様に、各ゲージによりホイートストンブリッジを形成することで、印加電圧に比例し、且つひずみに比例する電圧信号が出力される。歪検出部67の出力は、制御手段101の第1のコントローラ104に送られる。以上のように、歪検出部67は、ロッド3からねじ機構6を経由して板状部材74に伝達された軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する。
【0041】
尚、電動シリンダ61を構成する歪検出部67を取り付けるための取付部材は、上述の平面内において矩形状の板状部材74に限られるものではなく、例えば、図11及び図12に示す板状部材84であってもよい。
【0042】
歪検出部67を取り付けるための板状部材84は、平面内において円形状であり、外筒体62を構成する第1及び第2の筒部71,72に挟持される。板状部材84は、図11に示すように、複数の切り抜き孔84d,84eが設けられることにより、外周囲に設けられる第1及び第2の筒部81,82に挟持される固定部84aと、中央に設けられロッド3に加わる軸方向の荷重を受ける荷重受け部84bと、固定部84a及び荷重受け部84bを結合するとともに歪を受感するための受感部84cとを有するよう構成されている。固定部84aには、配線引き出し用の貫通孔84fが設けられる。尚、図11(a)は、歪ゲージ取付部材としての板状部材84の斜視図であるが、固定部84a、受感部84c、荷重受け部84b等の構造の理解のため、一部破断して示している。
【0043】
板状部材84は、固定部84a側がフランジ部71a,71bに挟持されることにより外筒体62に固定される。荷重受け部84bは、軸受4により受けたスラスト方向の荷重を軸受保持部材13を介して受けることとなる。軸受4や軸受保持部材13を介してロッド3に加わった軸方向の荷重が伝達されると、荷重受け部84bは偏倚する。外筒体62に固定された固定部84aと、偏倚された荷重受け部84bとの間を結合する受感部84cは、変形することとなる。歪検出部67を構成する歪ゲージ67gは、この受感部84cの例えば側面に貼り付けられる。尚、歪ゲージの貼り付け箇所は、受感部84cの側面に限られるものではなく、上面や下面であってもよい。以上のように、歪検出部67は、ロッド3からねじ機構6を経由して板状部材84に伝達された軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する。
【0044】
ところで、図9に示す電動シリンダ61は、回転規制機構として、図6で説明した滑りキー構造を構成する溝部32及びキー構造33を有しているが、電動シリンダ1で説明したのと同様に、これに換えてブッシュ部材19,29を採用するようにしてもよい。
【0045】
また、電動シリンダ61は、モータ本体37、出力軸38及びエンコーダ39を有する電動機12や、伝達機構40や、減速機44等を備えている点については、電動シリンダ1と同様である。電動シリンダ61も、上述の同様にコ字状(U字状)となるように電動機12が配置されているが、I字状となるように出力軸38及び回転軸5が一致するように配置してもよい。
【0046】
以上のように、電動シリンダ61は、上述したような外筒体62、ロッド3、軸受4、回転軸5、ねじ機構6、歪検出部67を備え、外筒体62に設けた歪検出部67により荷重検出を行うことができるので、別途ロードセル等を設ける必要がなくなり、構成の簡素化を実現できる。
【0047】
また、電動シリンダ61は、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブルが断線する等の不具合も防止でき、荷重検出を必要とする場合において、構成を簡素化できるとともに、軸方向の長さを縮小して装置の小型化を実現する。さらに、電動シリンダ61は、電動シリンダシステム100のシステム構成の柔軟化を実現でき、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【0048】
電動シリンダ61を有する電動サーボシリンダシステム100は、上述と同様に、システム構成を簡素化及び柔軟化するとともに、荷重検出及び位置検出を行うことを実現する。すなわち、電動サーボシリンダシステム100は、荷重検出手段である歪検出部67が、ロッド3からねじ機構6を経由して伝達された位置でロッド3に加わる軸方向の荷重を検出するので、ロッド3先端にロードセルを設ける必要がなくなり、構成を簡素化できる。換言すると、伸縮動作するロッド3に荷重検出手段を設けるのではなく、固定側ともいえる外筒体62と一体に固定される板状部材74,84に荷重検出手段を設ける点に特徴を有する。また、ロッド先端にロードセルを設けた場合に必要な出力ケーブル等を設ける必要もなくなり、このケーブルが繰り返される屈曲により断線する等の不具合も防止できる。よって、荷重検出及び位置検出を必要とするシステムにおいて、構成を簡素化できるとともに、小型化を実現する。また、システム構成の柔軟化や、システム全体のフレキシブルな外部構成を実現する。
【符号の説明】
【0049】
1 電動シリンダ
2 外筒体
3 ロッド
4 軸受
5 回転軸
6 ねじ機構
7 歪検出部
11 固定部
100 電動シリンダシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、
前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、
前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、
前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、
前記外筒体の外周であって前記軸受が設けられた位置と前記固定部との間の位置に設けられる歪検出部とを備える電動シリンダ。
【請求項2】
前記歪検出部は、前記軸受の外周に位置して軸受を保持する軸受保持部材の前記固定部側の端部と、前記固定部との間の位置に設けられる請求項1記載の電動シリンダ。
【請求項3】
前記歪検出部は、前記軸受の前記固定部側の端部と、前記固定部との間の位置に設けられる請求項1記載の電動シリンダ。
【請求項4】
前記歪検出部は、前記外筒体の前記軸受の取付位置と前記固定部との間の部分に加わる軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する請求項2記載の電動シリンダ。
【請求項5】
前記外筒体は、前記歪検出部を取り付ける部分の外径が小さくされた薄肉状とされている請求項4記載の電動シリンダ。
【請求項6】
前記ねじ機構は、ボールねじである請求項5記載の電動シリンダ。
【請求項7】
前記ロッドの前記外筒体の前記一端側の開口から飛び出す側の端部の外周には、軸方向に形成された溝部が一又は複数設けられ、
前記外筒体の前記一端側の開口の内側には、圧入により嵌合されたブッシュ部材が取り付けられ、
前記ブッシュ部材には、前記溝部に対応する一又は複数の突出部が形成され、
前記突出部は、前記溝部と係合することで前記ロッドの回転を規制する請求項6記載の電動シリンダ。
【請求項8】
さらに、前記電動機と前記回転軸との間に設けられる減速機を備える請求項7記載の電動シリンダ。
【請求項9】
さらに、前記電動機の出力軸の回転力を前記回転軸に伝達する伝達機構を備え、
前記電動機は、前記出力軸が前記回転軸と平行になるように配置されるとともに、前記外筒体に対して軸方向に直交する位置に設けられ、
前記減速機は、前記回転軸と前記伝達機構との間に配置されている請求項8記載の電動シリンダ。
【請求項10】
前記外筒体は、金属材料製であり単一の部材として形成されている請求項9記載の電動シリンダ。
【請求項11】
一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、
前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、
前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、
前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、
前記外筒体を構成する2つの部材に挟持される板状部材の受感部に設けられる歪検出部とを備える電動シリンダ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の内いずれか1項に記載の電動シリンダと、
前記電動シリンダを制御する制御手段とを備える電動サーボシリンダシステム。
【請求項1】
一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、
前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、
前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、
前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、
前記外筒体の外周であって前記軸受が設けられた位置と前記固定部との間の位置に設けられる歪検出部とを備える電動シリンダ。
【請求項2】
前記歪検出部は、前記軸受の外周に位置して軸受を保持する軸受保持部材の前記固定部側の端部と、前記固定部との間の位置に設けられる請求項1記載の電動シリンダ。
【請求項3】
前記歪検出部は、前記軸受の前記固定部側の端部と、前記固定部との間の位置に設けられる請求項1記載の電動シリンダ。
【請求項4】
前記歪検出部は、前記外筒体の前記軸受の取付位置と前記固定部との間の部分に加わる軸方向の荷重を検出して電気信号に変換する請求項2記載の電動シリンダ。
【請求項5】
前記外筒体は、前記歪検出部を取り付ける部分の外径が小さくされた薄肉状とされている請求項4記載の電動シリンダ。
【請求項6】
前記ねじ機構は、ボールねじである請求項5記載の電動シリンダ。
【請求項7】
前記ロッドの前記外筒体の前記一端側の開口から飛び出す側の端部の外周には、軸方向に形成された溝部が一又は複数設けられ、
前記外筒体の前記一端側の開口の内側には、圧入により嵌合されたブッシュ部材が取り付けられ、
前記ブッシュ部材には、前記溝部に対応する一又は複数の突出部が形成され、
前記突出部は、前記溝部と係合することで前記ロッドの回転を規制する請求項6記載の電動シリンダ。
【請求項8】
さらに、前記電動機と前記回転軸との間に設けられる減速機を備える請求項7記載の電動シリンダ。
【請求項9】
さらに、前記電動機の出力軸の回転力を前記回転軸に伝達する伝達機構を備え、
前記電動機は、前記出力軸が前記回転軸と平行になるように配置されるとともに、前記外筒体に対して軸方向に直交する位置に設けられ、
前記減速機は、前記回転軸と前記伝達機構との間に配置されている請求項8記載の電動シリンダ。
【請求項10】
前記外筒体は、金属材料製であり単一の部材として形成されている請求項9記載の電動シリンダ。
【請求項11】
一端側に当該電動シリンダの取付箇所に固定するための固定部を有した外筒体と、
前記外筒体の前記一端側の開口から軸方向に伸縮可能とされたロッドと、
前記外筒体の他端側であって内部に設けられた軸受と、
前記軸受に回転可能に支持されるとともに、電動機の駆動力により回転駆動される回転軸と、
前記回転軸の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換して伝達するねじ機構と、
前記外筒体を構成する2つの部材に挟持される板状部材の受感部に設けられる歪検出部とを備える電動シリンダ。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11の内いずれか1項に記載の電動シリンダと、
前記電動シリンダを制御する制御手段とを備える電動サーボシリンダシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−147605(P2012−147605A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5150(P2011−5150)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000191009)新東工業株式会社 (474)
【Fターム(参考)】
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