説明

電動回転工具のねじ締め制御方法および装置

【課題】 複数のねじ種から所要のねじを選択するねじ締め作業を、1本の電動ドライバーにより、適正なねじ締めトルクで、自動的に達成することができる電動回転工具のねじ締め制御方法およびねじ締め制御装置を提供する。
【解決手段】 複数のねじの種類に応じて、それぞれ最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータ12の負荷電流値ないし電圧値を予め設定し、選択したねじをねじ供給手段から取出す際にねじの種類を判別する信号を発生させ、選択したねじに対する最適なねじ締めを行うねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定して、電動モータによる最適なねじ締めトルクによるねじ締め完了に伴う駆動停止制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドライバー等の電動回転工具を使用して、所要のねじ取付け対象物にねじ等の取付けを行うねじ締め作業において、例えばねじ径の異なる複数種類のねじを適宜選択して、共通の電動ドライバーを使用してねじ締め作業を行う場合、選択したねじの種類に応じて予め設定したねじ締めトルク値となるように、電動ドライバーのねじ締めトルク設定を自動的に行うことにより、ねじの種類に応じて常に最適なねじ締め作業を達成することができる電動回転工具のねじ締め制御方法および制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本出願人は、電動ドライバーの駆動を電気的にオートストップしてトルク制御を行うことのできる電源装置とねじ締め用電動ドライバーとを組合せてなるねじ締め装置を開発し、特許を得た(特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、この特許文献1に記載の自動停止装置を備えたねじ締め装置は、変圧器および整流装置を設けて直流電圧を供給し、前記整流装置の出力側に可変調整し得る定電圧回路を接続すると共に直流電圧出力ラインに負荷抵抗を接続して、この負荷抵抗にモータの負荷電流が流れることによって生ずる電位差を前記定電圧回路によって設定した所定定電圧とを比較し、前記負荷抵抗を流れる負荷電流が所定値以上の過負荷電流に変化しかつ一定時間継続して流れた場合に、この過負荷電流をコンデンサに充電し、コンデンサの充電電圧が所定値に達した際リレーを作動して回路を遮断し、かつ前記コンデンサの放電時間内において前記リレーの動作を保持するように構成したスイッチング回路を設け、このスイッチング回路をモータを内蔵し前記モータにより回転駆動するドライバーシャフトを有する電動ドライバーの電源に接続した構成からなるものである。
【0004】
このように構成された前記特許文献1に記載の自動停止装置を備えたねじ締め装置によれば、ねじ締め作業において、常に最適なトルクにより最終的なねじ締めの締付けを達成することができると共に、その操作には熟練を要することなく、しかもモータには長時間に亘って過電流が流れる惧れが全くないので、電動ドライバーの寿命を高めることができる等、種々の優れた利点を有するものである。
【0005】
また、本出願人は、ドライバーシャフトに加わる外的負荷が所定量に達した際に、電動ドライバーへの通電を自動的に遮断してトルク制御を行うと共に、一定時間経過後に通電を復帰させるオートストップ装置を、ねじ締め用電動ドライバーに電気的に接続してなるねじ締め装置を開発し、実用新案登録を得た(特許文献2参照)。
【0006】
すなわち、この特許文献2に記載の自動停止装置を備えたねじ締め装置は、電動モータを内蔵しこの電動モータの回転により駆動されるドライバーシャフトを有する電動ドライバーにおいて、電動モータ駆動電源ラインに電動モータの駆動後、電源ラインに流れる負荷電流が前記ドライバーシャフトに加わる外的負荷により所定値以上の過負荷電流に変化した際に、この状態変化を検知する過負荷電流検知回路と、この検知回路の動作に応答して電動モータ駆動電源ラインの通電を遮断すると共に、一定時間経過後に通電を復帰させるよう構成したスイッチング回路とを、組合せたオートストップ装置を接続配置した構成からなるものである。従って、このように構成された前記特許文献2に記載の自動停止装置を備えたねじ締め装置においても、前記特許文献1に記載のねじ締め装置と同様の利点が得られるものである。
【0007】
一方、従来において、電動ドライバー等によりねじ締め作業を行うに際し、ドライバービットの先端に所望のねじを係止させながら、ねじの取り出しを簡便に行うことができるねじ供給装置が種々提案され(例えば、特許文献3参照)、実用化されている。
【0008】
しかるに、前記特許文献3に記載のねじ供給装置は、(1) シュータの上面に沿ってスリットを設け、ビス類の頭部をシュータの上面上で摺動させると共に軸部を上記スリット内で移動させるようにして、ビス類を上記シュータによって取出し位置へ供給するように構成したビス類の供給装置において、(2) 上記取出し位置の上部にドライバーのビットを案内するビットガイドを設けると共に、(3) 上記取出し位置まで前方に向かって移動して来たビス類をこの取出し位置に停止させる係止部材を設け、(4) 上記ビットガイドは水平断面形状がほぼコ字状をなす3つのガイド片を有し、これら3つのガイド片を上方から下方に向けて次第にすぼむように形成し、これら3つのガイド片の下端には上記取出し位置の直上に近接して配置された位置出し口を設け、これらほぼコ字状をなす3つのガイド片の上記前方である一側方をこのビットガイドの上下全長に亘って開放させたほぼ逆台形状の切欠きを設ける。
また、(5) 上記係止部材は常時はビス類を上記取出し位置に停止させる復動位置に付勢させて保持され、ビス類を上記取出し位置からさらに上記前方に移動させるときにはビス類を上記取出し位置に停止させない往動位置に上記付勢力に逆らって往動し得るように構成され、(6) 上記シュータの上面に沿って上記取出し位置まで前方に向かって移動して来たビス類が上記係止部材によりこの取出し位置に停止されているとき、上記取出し位置の上方における不特定位置から下降されるドライバーのビットを上記ビットガイドの上記3つのガイド片によって上記位置出し口へ誘導すると共に、そのビットを上記位置出し口で上記取出し位置に対して位置出ししてその取出し位置のビス類に上方からマグネット吸着により係止させ得るように構成する。
そして、(7) 上記マグネット吸着による係止後のビットを上記ビットガイドの上記切欠きからそのビットガイドの上記前方へ引き出すことにより、上記係止部材を上記往動位置へ往動させると共に、そのビットにマグネット吸着により係止されているビス類を上記取出し位置の上記前方へ取出し得るようにした構成からなるものである。
【0009】
このように構成された前記特許文献3に記載のねじ供給装置によれば、ドライバーのビットを大まかに、しかも単に下降させるだけの1操作によって、ビットをビットガイドによって取出し位置のビス類の頭部に正確に係止させることができると共に、その際、特にビットガイドの水平断面形状がほぼコ字状でかつ上方から下方に向けて次第にすぼむように形成された3つのガイド片の前方である一側方に、ビッドガイドの上下全長に亘って開放されたほぼ逆台形状の切欠きを設けたので、ビットをビットガイド内に挿入して取出し位置のビス類に係止させ、その係止後にビットによってビス類を取出し位置の前方に取出すための一連の操作を素早くかつスムーズに行うことができ、ビス類の取出し作業を高能率に行うことができるものである。
【0010】
さらに、従来の自動ドライバー装置では、ねじの種類やその取付け対象物が異なるような場合、単に締付けトルクの値を調整できるだけであったことから、例えば径の小さいねじを締付ける場合に、ねじに加わる締付けトルクが設定値を大きく越えて、ねじ頭部に大きなストレスが加わったり、また径の小さいねじを締付ける場合に、ねじに加わる締付けトルクが設定値以下となり、ねじの十分な締付けを行うことができなくなる等の不都合を生じていた。
【0011】
このような観点から、ねじ径の異なる複数ねじ種のねじを予め設定された締付けトルクで自動的に締付ける自動ねじ締め装置において、ねじの種類に応じて最適なねじ締め制御を行うことができる自動ねじ締め方法および装置が提案されている(特許文献4参照)。
【0012】
すなわち、前記特許文献4に記載の自動ねじ締め方法は、ねじ径の異なる複数ねじ種のねじを予め設定された締付けトルクで自動的に締付ける自動ねじ締め方法において、(a)ねじ着座前は、前記複数ねじ種から選択されたねじ種と前記設定された締付けトルクに基づいて、ねじ径が大きいねじ種ほど最適回転数が小さくなるように定められる最適回転数により前記設定された締付けトルク以下の回転トルクで前記ねじを回転させ、(b) ねじ着座後は、前記選択されたねじ種に応じて、ねじ径が大きいねじ種ほど回転トルクの立上りを強く鈍らせるように定められる前記回転トルクの時間変化特性に基づいて、前記回転トルクを前記設定された締付けトルクまで上昇させながら前記ねじを締付けるように設定したものである。
【0013】
また、前記特許文献4に記載の自動ねじ締め装置は、ねじ径の異なる複数ねじ種のねじを予め設定された締付けトルクで自動的に締付ける自動ねじ締め装置において、(c) 前記ねじを回転させる回転手段と、(d) 前記複数ねじ種から選択されたねじ種と前記設定された締付けトルクに基づいて、ねじ径が大きいねじ種ほど最適回転数が小さくなるように前記最適回転数を設定する最適回転数設定手段と、(e) 前記回転手段を前記最適回転数で定速回転させる定速制御信号を出力する定速制御手段と、(f) 前記選択されたねじ種に応じて、ねじ径が大きいねじ種ほど回転トルクの立上りを強く鈍らせるように定められる前記回転手段の回転トルクの時間変化特性に基づいて、ねじ着座時における前記定速制御信号の立上りを変化させる立上り制御手段と、(g) 前記回転手段の回転トルクが前記設定された締付けトルクを越えないように前記定速制御信号を制限するトルク制限手段とを備えた構成からなるものである。
【0014】
このように構成された前記特許文献4に記載の自動ねじ締め方法および装置によれば、ねじ着座前は、複数ねじ種から選択されたねじ種と設定された締付けトルクに基づいて、ねじ径が大きいねじ種ほど最適回転数が小さくなるように定められる最適回転数により設定された締付けトルク以下の回転トルクでねじを回転させ、ねじ着座後は、選択されたねじ種に応じて、ねじ径が大きいねじ種ほど回転トルクの立上りを強く鈍らせるように定められる回転トルクの時間変化特性に基づいて、回転トルクを設定された締付けトルクまで上昇させながら前記ねじを締付けるようにしたので、ねじ径の異なるねじ種に応じて最適なねじ締め制御を行うことができるものである。
【0015】
【特許文献1】特公昭53−15240号公報
【特許文献2】実公昭53−47677号公報
【特許文献3】特公平4−35306号公報
【特許文献4】特開平4−2473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
今日、各種産業界における各種製品の組立て工程において、ねじ締め作業は極めて重要である。例えば、従来の製品組立て工程においては、一般的にねじ径の異なる複数種類のねじを使用すると共に、これらのねじ締め作業を行う場合、ねじの種類に応じて予めねじ締めトルク値を設定した複数本の電動ドライバーを用意しておき、作業者はねじの選択と同時に選択したねじに適合したねじ締めトルク値の設定されている電動ドライバーを使用して、ねじ締め作業を行っている。
【0017】
しかるに、このようなねじ締め作業において、複数本の電動ドライバーを用意しておき、ねじの種類に応じて電動ドライバーを使い分けることは、作業者の作業を煩雑化し、作業能率を低下させると共に作業ミスを発生し易く、例えば選択したねじと電動ドライバーとの不適合から、ねじ締めトルク値の過不足により、適正なねじ締めが達成されず、組立て不良製品が発生し易くなる等の難点がある。
【0018】
このような観点から、従来において、ねじ径の異なる複数種類のねじに対しても容易に適合してねじ締め作業を可能とするビット形状とした、ドライバービットも提案されている。そして、このようなドライバービットを備えた電動ドライバーにより、前記特許文献4に開示されるような、ねじ径の異なる複数ねじ種のねじを予め設定された締付けトルクで自動的に締付けるように設定した自動ねじ締め装置も提案されている。
【0019】
前記特許文献4に開示される自動ねじ締め装置においては、ねじ径の異なる複数ねじ種の種別を判定する手段として、ねじ種毎に締付けトルクを予め設定した制御ユニットを設けると共に、この制御ユニットにねじ種選択スイッチを設けて、作業者が予め使用するねじを選択する際に、これらのねじ種選択スイッチをそれぞれ選択操作するように構成されている。従って、この自動ねじ締め装置においては、1本の電動ドライバーにより、ねじ径の異なる複数ねじ種のねじ締め作業を、それぞれ選択したねじ種に応じて適正に行うことができるという、多機能性を有するものである。
【0020】
しかし、製品組立て工程において、複数のねじ種から所要のねじを頻繁に選択するようなねじ締め作業を行う場合、前述した多機能性を有する自動ねじ締め装置の場合、ねじ種選択スイッチを頻繁に切り替え操作する必要があり、作業の煩雑化および作業能率の低下と共に作業ミスが発生し易くなる等の問題がある。しかも、前述した自動ねじ締め装置は、ねじ締めトルクの設定を、電動ドライバーの回転数の大小により行うと共に、特にねじの着座後における回転トルクの特性を変化させる等の設定がなされ、制御手段の設計が煩雑となり、装置全体の製作費用も増大する傾向にある。
【0021】
そこで、本発明者は、種々検討並びに試作を重ねた結果、複数のねじ種から所要のねじを頻繁に選択するような、ねじ締め作業を行う製品の組立て工程において、1本の電動ドライバーにより、それぞれ選択したねじ種に応じ、簡便かつ容易にして、適正なねじ締めトルクでのねじ締め作業を行うことのできる電動回転工具のねじ締め制御方法および装置の開発に成功した。
【0022】
すなわち、本発明においては、回転工具を回転駆動する電動モータと、この電動モータの負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、前記電動モータの駆動制御回路を駆動制御する駆動スイッチと、前記駆動スイッチの操作により前記電動モータを回転駆動し、前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流が予め設定した設定値を超えた際に前記電動モータのねじ締め完了による駆動停止制御を行うように構成した制御手段とを備えた電動回転工具を設ける。
そして、前記制御手段においては、ねじ締め操作される複数のねじの種類に応じて、それぞれ最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値にそれぞれ対応する電動モータの負荷電流値ないし電圧値を予め設定する。
また、ねじ締め操作される複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段からそれぞれ選択して取出すと共に、選択したねじをねじ供給手段から取出す際にねじの種類を判別する信号を発生させ、このねじの種類を判別する信号に基づいて選択したねじに対する前記最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定して、電動モータによる最適なねじ締めトルクによるねじ締め完了に伴う駆動停止制御を行うように構成する。
【0023】
このように構成した本発明の電動回転工具のねじ締め制御方法および装置によれば、前述した従来の自動ねじ締め装置における問題点を一挙に解消することができると共に、複数のねじの種類から選択されるねじそれぞれ適正なねじ締めトルクによるねじ締め作業を、自動的にしかも簡便な操作で、作業ミスの発生もなく、極めて能率的に達成することができ、さらに装置構成も簡単にして低コストに実現することができることを突き止めた。
【0024】
従って、本発明の目的は、複数のねじ種から所要のねじを頻繁に選択するようなねじ締め作業を、1本の電動ドライバーにより、それぞれ適正なねじ締めトルクで、自動的にしかも簡便な操作で、作業ミスの発生もなく、極めて能率的に達成することができると共に、簡単な構成にして低コストに製作することができる電動回転工具のねじ締め制御方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法は、回転工具を電動モータにより回転駆動し、この電動モータの負荷電流を負荷電流検出手段により検出すると共に、前記電動モータの駆動制御回路を駆動スイッチにより駆動制御し、前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流が予め設定した設定値を超えた際に前記電動モータのねじ締めを完了するように駆動停止制御を行うように構成した電動回転工具を使用し、
ねじ締め操作される複数のねじの種類に応じて、それぞれ最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値にそれぞれ対応する電動モータの負荷電流値ないし電圧値を予め設定し、
ねじ締め操作される複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段からそれぞれ選択して取出すと共に、選択したねじをねじ供給手段から取出す際にねじの種類を判別する信号を発生させ、このねじの種類を判別する信号に基づいて選択したねじに対する前記最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定して、電動モータによる最適なねじ締めトルクによるねじ締め完了に伴う駆動停止制御を行うことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項2に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法は、複数種類のねじを、ねじの種類毎に設けたねじ供給手段からそれぞれ供給すると共に、これらねじ供給手段のねじ供給口においてねじの取り出しをセンサにより検出し、このセンサによるねじ検出信号に基づいてねじの種類を判別すると共に、予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項3に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法は、複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段のねじ供給口から、ねじを取り出す際に検出されるねじ検出信号に基づいて、検出されたねじが所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了した際にねじ締め完了の表示を行うことを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項4に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法は、複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段のねじ供給口から、それぞれ取り出す際に検出されるねじ検出信号に基づいて、所要の製品の組立てに要するねじの種別とその個数とを予め設定し、これらの設定されたねじの種別とその個数とに対応させてそれぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの個数をカウントし、ねじの種類毎にカウントされたねじの個数が設定個数に達した際に所定のねじ締め作業の完了表示ないしカウントのリセットを行うと共に、所定のねじ締め作業の完了前にいずれかのねじの種類が設定個数を超過して取出される際にはアラームを発生させることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の請求項5に記載の電動回転工具のねじ締め制御装置は、回転工具を回転駆動する電動モータと、この電動モータの負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、前記電動モータの駆動制御回路を駆動制御する駆動スイッチと、前記駆動スイッチの操作により前記電動モータを回転駆動し、前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流が予め設定した設定値を超えた際に前記電動モータのねじ締め完了による駆動停止制御を行うように構成した制御手段とを備えた電動回転工具からなり、
ねじ締め操作される複数の種類のねじをそれぞれ選択して取出し得るようにねじの種類毎に供給するねじ供給手段を設けると共に、前記ねじ供給手段のねじ供給口にそれぞれねじの取出しを検出してねじ検出信号を発生するセンサを設け、
前記センサによるねじ検出信号によりねじの種別を判定するねじ種別判定回路を設けると共に、このねじ種別判定回路により判定されたねじの種別に対応して最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定するねじ締め負荷電流値設定回路を設け、
ねじ締めに操作において前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流を前記ねじ締め負荷電流値設定回路に設定された設定値と比較して、前記検出された負荷電流が前記設定された設定値に達した際に電動モータの駆動停止制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項6に記載の電動回転工具のねじ締め制御装置は、複数種類のねじをねじの種類毎にねじ供給手段から取出すことにより、センサにより検出されたねじ検出信号を入力してねじの種類を判別するねじ種別判定回路を設け、前記ねじ種別判定回路により判別された出力信号により予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定するねじ締め負荷電流値設定回路を設け、電動モータの負荷電流検出回路により検出される負荷電流を前記ねじ締め負荷電流値設定回路に設定された設定値と比較してねじ締めの完了を判定するねじ締め負荷電流比較判定回路を設け、さらに前記検出された負荷電流が前記設定された設定値に達した際に電動モータの駆動停止制御を行う電動モータ停止指令回路を設けることを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項7に記載の電動回転工具のねじ締め制御装置は、複数種類のねじをねじの種類毎にねじ供給手段から取出すことにより、センサにより検出されるねじ検出信号に基づいて、検出されたねじが所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了した際にねじ締め完了の表示を行うねじ締め完了表示装置を設けることを特徴とする。
【0032】
本発明の請求項8に記載の電動回転工具のねじ締め制御装置は、複数種類のねじをねじの種類毎にねじ供給手段から取出すことにより、センサにより検出されるねじ検出信号に対応させて、所要の製品の組立てに要するねじの種別とその個数とを予め設定すると共に、これらの設定されたねじの種別とその個数とに対しそれぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの個数をカウントするカウンタ回路を設け、
前記カウンタ回路においてねじの種類毎にカウントされたねじの個数が設定個数に達した際に所定のねじ締め作業の完了表示ないしカウントのリセットを行うと共に、所定のねじ締め作業の完了前にいずれかのねじの種類が設定個数を超過してねじを取出す際にはアラームを発生させるリセット/アラーム表示装置を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の請求項1および5に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法および装置によれば、複数のねじ種から所要のねじを頻繁に選択するようなねじ締め作業を、1本の電動ドライバーにより、それぞれ適正なねじ締めトルクで、自動的にしかも簡便な操作で、作業ミスの発生もなく、極めて能率的に達成することができると共に、簡単な構成にして低コストに製作することができる。
【0034】
本発明の請求項2および6に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法および装置によれば、複数種類のねじの選択ないし取出し操作を簡便にすると共に、取出したねじの最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値の設定を、スイッチ操作等を必要とすることなく、自動的に行うことができ、ねじ締め作業の作業ミスを解消して作業能率を著しく向上することができる。
【0035】
本発明の請求項3および7に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法および装置によれば、複数種類のねじをそれぞれ選択し取出して、最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルクでねじ締めが完了したことを、表示手段により表示することにより、ねじ締め作業の確認を容易化することができ、ねじ締め作業の適正化と迅速化に寄与する効果は極めて大きい。
【0036】
本発明の請求項4および8に記載の電動回転工具のねじ締め制御方法および装置によれば、所要の製品の組立てに際して、予め設定したねじの種別とその個数とに基づいて、これらの計数処理を行うことにより、ねじ締め作業の適正化と迅速化と共にねじ締め作業の作業ミスを無くし、組立て製品の生産管理および品質管理に資する効果は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本発明に係る電動回転工具のねじ締め制御方法および装置の実施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明に係る電動回転工具のねじ締め制御方法を実施する電動ドライバーの制御装置の概略システム構成を示す系統説明図である。すなわち、図1において、参照符号10は電動モータ12を内蔵した電動ドライバーを示し、この電動ドライバー10には、電動モータ12の出力軸に適宜減速機構等(図示せず)を介してねじ締め作業を行うためのドライバービット14が結合されている。また、前記電動モータ12に対しては、所要の電源16に接続され、電動モータ12の駆動制御を行う制御手段としての電動モータ駆動制御ユニット20が、適宜ON/OFFスイッチ18を介して接続配置されている。
【0039】
また、本実施例において、電動ドライバー10のドライバービット14によりねじ締め操作される複数種類のねじSA 、SB 、SC を、それぞれ選択して取出し得るようにねじの種類毎に供給するねじ供給手段として、それぞれねじ供給口23A、23B、23Cを備えたねじ供給装置22A、22B、22Cを設ける。さらに、前記ねじ供給装置22A、22B、22Cの各ねじ供給口23A、23B、23Cには、それぞれ選択したねじを取出す際にねじの種類を判別するためのねじ検出信号を発生させるねじ検出手段としてのセンサ24A、24B、24Cを設ける。
【0040】
そして、前記ねじ供給装置22A、22B、22Cから所要のねじを選択して取出すことにより、前記センサ24A、24B、24Cにより検出されるねじ検出信号を、ねじ種別判定回路25に入力して、ねじの種類を判別するように構成される。前記ねじ種別判定回路25により判別された出力信号は、前記電動モータ駆動制御ユニット20に入力され、この電動モータ駆動制御ユニット20において、ねじの種類毎に予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値(電圧値とすることも可能である)を自動的に選択設定すると共に、電動モータ12のねじ締め完了による駆動停止制御を行うように構成される。
【0041】
なお、本実施例においては、特に図示しないが、複数種類のねじをねじの種類毎に供給するねじ供給手段のねじ供給口に設けたセンサ24A、24B、24Cにより検出されるねじ検出信号に基づいて、検出されたねじが所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了した際にねじ締め完了を表示する手段としてのねじ締め完了表示装置を、例えば電動ドライバー10の把持部ケーシングの一部であって、作業者の見易い位置に適宜設けることができる。このように、ねじが所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了した場合に、この状態を検出して表示するように構成することにより、ねじ締めが完了するまでは、既に選択設定されている最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値はリセットされることなく維持させることができる。これにより、例えば電動ドライバー10の操作を途中で停止したような場合において、ねじが完全にねじ締めを完了するまでは、設定されている最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値によるねじ締めを行うことができる。
【0042】
また、本実施例において、前記電動モータ駆動制御ユニット20においては、前記ねじ供給装置22A、22B、22Cから所要のねじを選択して取出すことにより、前記センサ24A、24B、24Cにより検出されるねじ検出信号に基づいて、所要の製品の組立てに要するねじ種別とその個数とを予め設定し、これらの設定されたねじの種別と個数とに対応させて、それぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの個数をカウントし、ねじの種類毎にカウントされたねじの個数が設定個数に達した際に所定のねじ締め作業の完了の表示ないしカウントのリセットを行うと共に、所定のねじ締め作業の完了前にいずれかのねじの種類が設定個数を超過してねじを取出す際にはアラームを発生するように設定した、作業完了表示ないしカウントのリセットまたはアラームを発生する手段としてのリセット/アラーム表示装置30を設ける。
【0043】
図2は、図1に示す電動ドライバーのねじ締め制御を行う電動モータ駆動制御ユニット20の具体的な構成例を示す系統図である。なお、説明の便宜上、図1に示す構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図2において、本実施例の電動ドライバー10に内蔵された電動モータ12を駆動制御するための電動モータ駆動制御回路26が設けられている。しかるに、前述したように、ねじ供給装置から所要のねじを選択して取出すことにより、センサ24A、24B、24Cにより検出されるねじ検出信号は、ねじ種別判定回路25に入力される。次いで、このねじ種別判定回路25により判別された出力信号は、ねじ締め負荷電流値設定回路28に入力されて、ねじの種類毎に予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値を自動的に選択設定され、ねじ締め負荷電流判定回路34に入力される。
【0045】
一方、前記電動モータ駆動制御回路26に対しては、負荷電流検出回路32が設けられ、この負荷電流検出回路32は、電動ドライバー10によりねじ締め操作を行う際に、電動ドライバー10に内蔵された電動モータ12の駆動により生じる負荷電流を検出する。この負荷電流検出回路32により検出される負荷電流は、前記ねじ締め負荷電流比較判定回路34に入力されて、前記ねじ締め負荷電流値設定回路28により設定されたねじ締めトルク値に対応する負荷電流値と比較される。そして、前記ねじ締め負荷電流比較判定回路34において、電動モータ12の駆動により生じる負荷電流が設定された負荷電流値に達した際に、電動モータ停止指令回路36を介して、前記電動モータ駆動制御回路26に対し、電動モータ12を停止するための制御が行われる。この結果、電動ドライバー10によりねじ締め操作が行われたねじは、予め設定された最適なねじ締めトルク値によりねじ締めを完了することができる。
【0046】
また、前記電動モータ駆動制御回路26においては、前述したねじ締め作業に際して、ねじ供給装置から所要のねじを選択して取出すことにより、センサ24A、24B、24Cにより検出されるねじ検出信号は、所要の製品の組立てに要するねじ種別とその個数とを予め設定したカウンタ回路27に入力される。このカウンタ回路27においては、それぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの種類毎にその個数をカウントするように設定される。そして、このカウンタ回路27は、前述したリセット/アラーム表示装置30に接続して、ねじの種類毎にカウントされたねじの個数が設定個数に達した際に所定のねじ締め作業の完了表示ないしカウントのリセットを行うと共に、所定のねじ締め作業の完了前にいずれかのねじの種類が設定個数を超過してねじを取出す際にはアラームを発生するように設定される。
【0047】
次に、前記構成からなる本実施例における電動ドライバーの制御方法および装置において、ねじ締め作業に伴うねじ締め制御を行う場合の制御プログラムについて、図3および図4に示すフローチャートを参照しながら以下説明する。
【0048】
図3は、本実施例における電動ドライバー10のねじ締め作業に伴うねじ締め制御を行う場合の基本的な制御プログラムを示す。図3において、まず、ねじ締め作業の開始に伴い、電動ドライバー10によりねじ供給装置22A、22B、22Cから所要のねじSA 、SB 、SC を選択して、適宜ねじ供給口23A、23B、23Cより取出す(STEP−1)。このねじの取出しに際しては、前記ねじ供給装置のねじ供給口に設けたセンサ24A、24B、24Cにより、ねじ検出信号が出力される(STEP−2)。
【0049】
前記ねじの取出しにより前記センサより出力されるねじ検出信号は、ねじ種別判定回路25へ入力されて、ねじの種別が判定される(STEP−3)。そして、ねじの種別が判定された前記ねじ種別判定回路25の出力信号は、ねじ締め負荷電流値設定回路28へ入力されて、ねじの種類毎に予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値が自動的に選択設定される(STEP−4)。
【0050】
次いで、電動ドライバー10によりねじ締め操作を行うことにより、電動ドライバー10に内蔵された電動モータ12の負荷電流が、電動モータ駆動制御回路26に対して設けた負荷電流検出回路32により検出される(STEP−5)。この負荷電流検出回路32により検出され電動モータ12の負荷電流は、前記ねじ締め負荷電流値設定回路28に設定された負荷電流値と、ねじ締め負荷電流比較判定回路34で比較され、前記検出負荷電流が設定負荷電流値と一致ないし超過するかの判定が行われる(STEP−6)。そして、前記検出負荷電流が設定負荷電流値と一致ないし超過した場合には、電動モータ停止指令回路36を介して、前記電動モータ駆動制御回路26により電動モータ12を停止制御して、ねじ締めを完了する(STEP−7)。しかし、前記検出負荷電流が設定負荷電流値と一致ないし超過するまでは、電動ドライバー10によるねじ締め操作を継続し得るように保持される。
【0051】
以上の制御動作により、ねじ供給装置からのねじの選択取出しから、取出したねじをその種類毎に予め設定された最適なねじ締めトルクによるねじ締め操作の完了までを、円滑かつ適正に達成することができる。
【0052】
次に、図4に示す制御プログラムについて説明する。前述したねじの取出しに際して、前記ねじ供給装置のねじ供給口に設けたセンサ24A、24B、24Cより出力されるねじ検出信号(STEP−2)を、前記電動モータ駆動制御回路26に対して設けたカウンタ回路27へ入力する(STEP−11)。この場合、前記カウンタ回路27においては、例えば、所要の製品の組立てに要するねじの種別とその個数とを予め設定し、カウンタ回路27に入力されるそれぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの種類毎の個数が、それぞれカウントされるように設定されている。
【0053】
そこで、前記カウンタ回路27において、ねじ締めが完了したねじの種類毎の個数が、設定されたねじの個数と比較して超過したかどうかを判定し(STEP−12)、超過していない場合には、ねじ締めが完了したねじの種類毎の個数がカウントされる(STEP−14)。しかし、設定されたねじの個数を超過している場合には、前述したリセット/アラーム表示装置30によりアラームを発生して(STEP−13)、ねじの再選択と再取出しを行う必要がある(STEP−1)。この場合、ねじ締めが完了した信号は、前記STEP−7より取得することができる。
【0054】
次いで、前記カウンタ回路27において、ねじ締めが完了したねじの種類毎の個数がカウントされた場合(STEP−14)、カウントされたねじの種類毎の個数が設定した個数と一致したかどうかを判定し(STEP−15)、それぞれ個数が一致している場合には、前述したリセット/アラーム表示装置30によりねじ締め作業の完了を表示すると共に、カウントをリセットする(STEP−16)。また、それぞれ個数が一致していない場合には、さらにねじ締め作業を継続する必要がある。
【0055】
以上、本発明の好適な実施例についてそれぞれ説明したが、本発明は前述した実施例に限定されることなく、例えばねじ供給装置からのねじの取出しを検出する際に、検出の誤動作を防止するためにセンサを2重ないし3重に設けることにより、制御動作の精度を高めるように設定することができる。また、前述した実施例においては、電動モータの負荷電流の検出に基づいて、最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する設定値として負荷電流値を設定する場合について説明したが、前記設定値として負荷電流値に代えて対応する電圧値として設定し、負荷電流に基づく電圧値による設定値との比較を行うように構成することも可能である。その他、本発明の精神を逸脱しない範囲内において多くの設計変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る電動回転工具のねじ締め制御方法を実施する電動ドライバーの制御装置の概略システム構成を示す系統説明図である。
【図2】図1に示す電動ドライバーの制御装置の制御系統の構成例を示す系統説明図である。
【図3】図1および図2に示す電動ドライバーの制御装置におけるねじ締め制御動作プログラムの一実施例を示すフローチャート図である。
【図4】図3に示すねじ締め制御動作プログラムに付加される制御動作プログラムを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0057】
10 電動ドライバー
12 電動モータ
14 ドライバービット
16 電源
18 ON/OFFスイッチ
20 電動モータ駆動制御ユニット
22A〜22C ねじ供給装置
23A〜23C ねじ供給口
24A〜24C センサ
25 ねじ種別判定回路
26 電動モータ駆動制御回路
27 カウンタ回路
28 ねじ締め負荷電流値設定回路
30 リセット/アラーム表示装置
32 負荷電流検出回路
34 ねじ締め負荷電流比較判定回路
36 電動モータ停止指令回路
S、SA 、SB 、SC ねじ
P ねじ取付け対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転工具を電動モータにより回転駆動し、この電動モータの負荷電流を負荷電流検出手段により検出すると共に、前記電動モータの駆動制御回路を駆動スイッチにより駆動制御し、前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流が予め設定した設定値を超えた際に前記電動モータのねじ締めを完了するように駆動停止制御を行うように構成した電動回転工具を使用し、
ねじ締め操作される複数のねじの種類に応じて、それぞれ最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値にそれぞれ対応する電動モータの負荷電流値ないし電圧値を予め設定し、
ねじ締め操作される複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段からそれぞれ選択して取出すと共に、選択したねじをねじ供給手段から取出す際にねじの種類を判別する信号を発生させ、このねじの種類を判別する信号に基づいて選択したねじに対する前記最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定して、電動モータによる最適なねじ締めトルクによるねじ締め完了に伴う駆動停止制御を行うことを特徴とする電動回転工具のねじ締め制御方法。
【請求項2】
複数種類のねじを、ねじの種類毎に設けたねじ供給手段からそれぞれ供給すると共に、これらねじ供給手段のねじ供給口においてねじの取り出しをセンサにより検出し、このセンサによるねじ検出信号に基づいてねじの種類を判別すると共に、予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定することを特徴とする請求項1記載の電動回転工具のねじ締め制御方法。
【請求項3】
複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段のねじ供給口から、ねじを取り出す際に検出されるねじ検出信号に基づいて、検出されたねじが所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了した際にねじ締め完了の表示を行うことを特徴とする請求項1または2記載の電動回転工具のねじ締め制御方法。
【請求項4】
複数種類のねじを、ねじの種類毎に供給するねじ供給手段のねじ供給口から、それぞれ取り出す際に検出されるねじ検出信号に基づいて、所要の製品の組立てに要するねじの種別とその個数とを予め設定し、これらの設定されたねじの種別とその個数とに対応させてそれぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの個数をカウントし、ねじの種類毎にカウントされたねじの個数が設定個数に達した際に所定のねじ締め作業の完了表示ないしカウントのリセットを行うと共に、所定のねじ締め作業の完了前にいずれかのねじの種類が設定個数を超過して取出される際にはアラームを発生させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電動回転工具のねじ締め制御方法。
【請求項5】
回転工具を回転駆動する電動モータと、この電動モータの負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、前記電動モータの駆動制御回路を駆動制御する駆動スイッチと、前記駆動スイッチの操作により前記電動モータを回転駆動し、前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流が予め設定した設定値を超えた際に前記電動モータのねじ締め完了による駆動停止制御を行うように構成した制御手段とを備えた電動回転工具からなり、
ねじ締め操作される複数の種類のねじをそれぞれ選択して取出し得るようにねじの種類毎に供給するねじ供給手段を設けると共に、前記ねじ供給手段のねじ供給口にそれぞれねじの取出しを検出してねじ検出信号を発生するセンサを設け、
前記センサによるねじ検出信号によりねじの種別を判定するねじ種別判定回路を設けると共に、このねじ種別判定回路により判定されたねじの種別に対応して最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定するねじ締め負荷電流値設定回路を設け、
ねじ締めに操作において前記負荷電流検出手段により検出される負荷電流を前記ねじ締め負荷電流値設定回路に設定された設定値と比較して、前記検出された負荷電流が前記設定された設定値に達した際に電動モータの駆動停止制御を行うように構成したことを特徴とする電動回転工具のねじ締め制御装置。
【請求項6】
複数種類のねじをねじの種類毎にねじ供給手段から取出すことにより、センサにより検出されたねじ検出信号を入力してねじの種類を判別するねじ種別判定回路を設け、前記ねじ種別判定回路により判別された出力信号により予め設定された最適なねじ締めを行うためのねじ締めトルク値に対応する前記電動モータの負荷電流値ないし電圧値を自動的に選択設定するねじ締め負荷電流値設定回路を設け、電動モータの負荷電流検出回路により検出される負荷電流を前記ねじ締め負荷電流値設定回路に設定された設定値と比較してねじ締めの完了を判定するねじ締め負荷電流比較判定回路を設け、さらに前記検出された負荷電流が前記設定された設定値に達した際に電動モータの駆動停止制御を行う電動モータ停止制御回路を設けることを特徴とする請求項5記載の電動回転工具のねじ締め制御装置。
【請求項7】
複数種類のねじをねじの種類毎にねじ供給手段から取出すことにより、センサにより検出されるねじ検出信号に基づいて、検出されたねじが所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了した際にねじ締め完了の表示を行うねじ締め完了表示装置を設けることを特徴とする請求項5または6記載の電動回転工具のねじ締め制御装置。
【請求項8】
複数種類のねじをねじの種類毎にねじ供給手段から取出すことにより、センサにより検出されるねじ検出信号に対応させて、所要の製品の組立てに要するねじの種別とその個数とを予め設定すると共に、これらの設定されたねじの種別とその個数とに対しそれぞれ所定のねじ締めトルクでねじ締めが完了したねじの個数をカウントするカウンタ回路を設け、
前記カウンタ回路においてねじの種類毎にカウントされたねじの個数が設定個数に達した際に所定のねじ締め作業の完了表示ないしカウントのリセットを行うと共に、所定のねじ締め作業の完了前にいずれかのねじの種類が設定個数を超過してねじを取出す際にはアラームを発生させるリセット/アラーム表示装置を設けることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の電動回転工具のねじ締め制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−62065(P2006−62065A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250962(P2004−250962)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(390041380)
【Fターム(参考)】